JP7352427B2 - 螺旋管の製管方法及び製管装置 - Google Patents
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Description
特許文献1には、自走式の製管装置によって、合成樹脂製の帯状部材を螺旋状に巻回して螺旋管を構築することが開示されている。帯状部材の帯幅方向の両縁部には、雌雄の嵌合部が形成されている。前記製管装置は、製管中の螺旋管における延伸前方側の管端部の一箇所の内周上に配置されている。製管装置の一対の駆動ローラによって、帯状部材における未製管の後続帯部を挟み付けるとともに前記管端部へ向けて斜めに押し込む。これによって、後続帯部及び管端部の互いに対向する嵌合部どうしが凹凸嵌合されて製管が進展される。同時に推進反力が生じて製管装置が巻き方向に沿って推進される。
本発明は、かかる事情に鑑み、螺旋管の製管時に異常があった場合に修復のために逆転駆動させる際、帯状部材の嵌合部どうしの嵌合力が弱くても、製管装置が後退するために必要な力に達する前に、推進後方側で嵌合が外れるのを防止することを目的とする。
製管中の螺旋管における管軸方向の延伸前方側の管端部の一箇所における内周側に配置された製管装置の一対の駆動ローラによって、前記帯状部材における未製管の後続帯部を挟み付ける工程と、
前記駆動ローラの正転駆動によって前記後続帯部を前記管端部上の嵌合位置へ向けて斜めに押し込む工程と、
前記押し込みによって、前記嵌合位置において前記後続帯部と前記管端部の互いに対向する嵌合部どうしを凹凸嵌合させる工程と、
前記押し込み及び前記凹凸嵌合により生じる推進反力によって、前記製管装置を前記巻き方向の推進前方側へ推進させる工程と、を実行し、
さらに、製管異常時には、前記管端部の内周側及び外周側のうち少なくとも内周側に配置された押さえ部材を含む押さえ治具を、前記管端部における前記後続帯部と連なる第1巻き部分と、該第1巻き部分の延伸後方側に隣接する第2巻き部分とに跨るようにして前記管端部に当接又は近接させる工程と、
前記駆動ローラの逆転駆動によって前記後続帯部を前記押し込む向きとは逆方向へ引き込むことによって、前記第1巻き部分と前記第2巻き部分との嵌合部どうしの凹凸嵌合を解除する工程と、を実行することを特徴とする。
製管異常時には、修復のために駆動ローラを逆転駆動させる。ここで、螺旋管における嵌合部どうしの嵌合力が弱い場合、前記逆転駆動によって、製管装置が後退するのに必要な力に達する前に、推進後方側で嵌合が外れて帯状部材が浮き上がろうとする。すると、該帯状部材に押さえ治具が突き当たって浮き上がりを阻止する。これによって、製管装置が未後退のまま前記推進後方側で嵌合外れが起きるのが防止され、製管装置を確実に後退させながら、第1巻き部分を管端部から円滑に引き剥がすことができる。よって、製管装置を管端部から取り外す必要が無い。不具合を直した後で再度製管装置を取り付ける必要も無い。この結果、施工時間が長くなるのを回避できる。
製管中の螺旋管における管軸方向の延伸前方側の管端部の一箇所の内周側に、装置前後方向を前記巻き方向へ沿わせ、かつ装置幅方向を前記管軸方向へ沿わせて配置されて、前記巻き方向へ推進可能な装置フレームと、
前記装置フレームに設けられ、前記管端部に対して前記巻き方向へ移動可能に係止される管端係止部と、
回転軸を前記装置幅方向へ向けて前記装置フレームに設けられ、前記帯状部材における未製管の後続帯部を挟み付ける一対の駆動ローラ、並びに前記駆動ローラを正転駆動及び逆転駆動可能な動力源を含み、前記正転駆動によって前記後続帯部を前記管端部上の嵌合位置へ向けて斜めに押し込んで、前記凹凸嵌合及び前記推進のための力を得る駆動部と、
前記管端部の内周側及び外周側のうち少なくとも内周側に配置された押さえ部材を含み、前記逆転駆動時に、前記管端部における前記後続帯部と連なる第1巻き部分と、該第1巻き部分の延伸後方側に隣接する第2巻き部分とに跨るようにして前記管端部に当接又は近接される押さえ治具と、
を備えたことを特徴とする。
当該製管装置によれば、通常運転時は、駆動ローラの正転駆動によって推進されながら螺旋管を製管する。製管異常に対する修復のための逆転駆動時には、押さえ治具によって推進後方側での嵌合外れを阻止することで、製管装置が確実に後退しながら、第1巻き部分を引き剥がすことができる。
前記製管装置において、前記押さえ治具が、前記嵌合位置より前記装置前後方向の推進後方側における所定範囲内に配置されていることが好ましい。
これによって、修復のための逆転駆動時に推進後方側における嵌合外れを確実に防止できる。
これによって、推進後方側での嵌合外れを確実に防止できる。
通常運転時は押さえ治具を装置フレームから外しておき、逆転駆動の際、押さえ治具を、治具支持部を介して装置フレームに取り付けることにしてもよい。
前記装置フレームとは別体の押さえ治具として、シャコ万力などのクランプ部材を用いてもよい。
前記押さえ治具が、前記管端部の内部に伸縮可能に設けられた突っ張り部材を含んでいてもよい。
<第1実施形態(図1~図7)>
図1及び図2は、老朽化した下水道管1(既設管状体)を更生する様子を示したものである。下水道管1の内周に更生管9(螺旋管)がライニングされることで、下水道管1が更生されている。
なお、更生対象の既設管状体は、下水道管に限らず、上水道管、農業用水管、水力発電導水管、ガス管その他の既設管でもよく、トンネルであってもよい。
製管中の更生管9における管軸方向の延伸前方側の管端部9eには、帯状部材90における未製管の後続帯部90bが連続している。詳細な図示は省略するが、後続帯部90bは、地上から発進人孔に垂下され、製管中の更生管9の内部を経て、管端部9eに連なっている。
製管装置10は、特許文献1等に開示された製管装置と同様の基本構造を有している。詳しくは、図1~図3に示すように、製管装置10は、装置フレーム11と、管端係止部20と、駆動部30を備えている。
管端係止部20によって、装置フレーム11ひいては製管装置10が、管端部9eに対して脱落しないように、かつ巻き方向へ移動可能に係合されている。
図1及び図2に示すように、装置フレーム11は、治具支持部50を有している。治具支持部50は、内周側支持アーム51と、外周側支持アーム52を含む。内周側支持アーム51は、装置フレーム11の本体部11aから管端部9eの内周面に沿って推進後方側へ延出されている。内周側支持アーム51の先端部に、回転ローラからなる内周側押さえ部材41が、回転軸まわりに回転可能に支持されている。
製管装置10の一対の駆動ローラ31,32によって後続帯部90bを挟み付けた状態で、これら駆動ローラ31,32を正転駆動させる。これによって、後続帯部90bが更生管9の内周側から管端部9e上の嵌合位置9pへ向けて斜めに押し込まれる。そして、嵌合位置9pにおいて、後続帯部90bと管端部9eの互いに対向する嵌合部93,94どうしが凹凸嵌合される。前記押し込み及び凹凸嵌合によって推進反力が生じ、製管装置10が管端部9eの巻き方向の推進前方側(図1において時計回り側)へ推進される。
言い換えると、駆動部30は、正転駆動によって後続帯部90bを斜めに押し込んで、前記凹凸嵌合及び前記推進のための力を得る。
これによって、製管が進み、更生管9が延伸される。
製管装置10の推進に伴って、押さえ治具40が装置フレーム11と一体に推進前方側へ前進移動される。
具体的には、製管装置10に搭載された押さえ治具40を、第1巻き部分9eaと第2巻き部分9ebとに跨るようにして、管端部9eと対面させて当接又は近接させる。好ましくは、一対の押さえ部材41,42によって、巻き部分9ea,9ebに跨るようにして管端部9eを内周側及び外周側から挟持する。
よって、修復のために製管装置10を管端部9eから取り外す必要が無い。不具合を直した後で再度製管装置10を取り付ける必要も無い。この結果、施工時間が長くなるのを回避できる。
その後、駆動ローラ31,32を正転駆動させ、製管工程を再開する。
<第2実施形態(図8~図9)>
図8の実線にて示すように、第2実施形態における押さえ治具60は、装置フレーム11とは別体になっている。詳しくは、図9に示すように、押さえ治具60は、管端部9eの内周側の押さえ部材61と、管端部9eの外周側の押さえ部材62と、C字状の連結フレーム63と、接近・離間機構64を含む。連結フレーム63の一端部に接近・離間機構64が設けられている。接近・離間機構64は、調節ネジ65とレバー66を含む。調節ネジ65に内周側押さえ部材61が設けられている。連結フレーム63の他端部に外周側押さえ部材62が設けられている。内周側押さえ部材61及び外周側押さえ部材62どうしが、調節ネジ65の軸方向に対峙している。
レバー66の操作によって調節ネジ65を軸方向に移動させることで、押さえ部材61,62どうしが接近、離間される。
押さえ治具60としてシャコ万力を用いてもよい。なお、図8においては、図示の都合上、押さえ治具60の大きさは、製管装置10に対して誇張されている。
内周側押さえ部材61及び外周側押さえ部材62の間に管端部9eを挿し入れ、接近・離間機構64によって、これら押さえ部材61,62を接近させて、第1巻き部分9ea及び第2巻き部分9ebどうしの嵌合部93,94を内周側及び外周側から挟持する。挟持位置は、嵌合位置9pから推進後方側へ一定距離離す。これによって、製管装置10の逆転駆動時に推進後方側で嵌合外れが起きるのを阻止でき、製管装置10を確実に後退させながら、第1巻き部分9eaを管端部9eから円滑に引き剥がすことができる。
第2実施形態は、既設管状体1の内周と更生管9との間の隙間が大きいときに有効である。
図10及び図11に示すように、第3実施形態における押さえ治具70は、装置フレーム11とは別体の突っ張り部材によって構成されている。詳しくは、図10の実線にて示すように、押さえ治具70は、突っ張り棒71と、伸縮ジャッキ72を含む。伸縮ジャッキ72はネジ式であるが、油圧式であってもよい。
第3実施形態は、既設管状体1の内周と更生管9との間の隙間が小さいときに有効である。
例えば、第1実施形態の押さえ治具40は、通常の製管工程においては、装置フレーム11から分離しておき、必要時すなわち製管異常の修復時に装置フレーム11に取り付けることにしてもよい。第1実施形態の外周側押さえ部材42を省略してもよい。
帯状部材90の断面形状は、適宜設計変更してもよい。一方の嵌合部93が凹溝を有する凹状断面に形成され、他方の嵌合部94が前記凹溝と嵌合可能な凸条を有する凸状断面に形成されていてもよい。補強帯材92を省略してもよい。
WD 装置幅方向
HD 装置高さ方向
1 下水道管(既設管状体)
9 更生管(螺旋管)
9e 管端部
9ea 第1巻き部分
9eb 第2巻き部分
9p 嵌合位置
90 帯状部材
90b 後続帯部
93 嵌合部
94 嵌合部
10 製管装置
11 装置フレーム
11a フレーム本体部
20 管端係止部
21,22 管端係止部材
23 係止爪
30 駆動部
31,32 駆動ローラ
33 駆動源
40 押さえ治具
41 内周側押さえ部材
42 外周側押さえ部材
50 治具支持部
51 内周側支持アーム
52 外周側支持アーム
60 押さえ治具
61 内周側押さえ部材
62 外周側押さえ部材
63 連結フレーム
64 接近・離間機構
70 押さえ治具(突っ張り部材)
71 突っ張り棒
72 伸縮ジャッキ
73 押さえ部
Claims (6)
- 帯幅方向の両縁部に凹状又は凸状又は凹凸状の嵌合部が形成された帯状部材を螺旋状の巻き方向に沿って巻回して、前記両縁部の一周違いに対向する嵌合部どうしを凹凸嵌合させることによって、前記帯状部材からなる螺旋管を製管する方法であって、
製管中の螺旋管における管軸方向の延伸前方側の管端部の一箇所における内周側に配置された製管装置の一対の駆動ローラによって、前記帯状部材における未製管の後続帯部を挟み付ける工程と、
前記駆動ローラの正転駆動によって前記後続帯部を前記管端部上の嵌合位置へ向けて斜めに押し込む工程と、
前記押し込みによって、前記嵌合位置において前記後続帯部と前記管端部の互いに対向する嵌合部どうしを凹凸嵌合させる工程と、
前記押し込み及び前記凹凸嵌合により生じる推進反力によって、前記製管装置を前記巻き方向の推進前方側へ推進させる工程と、を実行し、
さらに、製管異常時には、前記管端部の内周側及び外周側のうち少なくとも内周側に配置された押さえ部材を含む押さえ治具を、前記管端部における前記後続帯部と連なる第1巻き部分と、該第1巻き部分の延伸後方側に隣接する第2巻き部分とに跨るようにして前記管端部に当接又は近接させる工程と、
前記駆動ローラの逆転駆動によって前記後続帯部を前記押し込む向きとは逆方向へ引き込むことによって、前記第1巻き部分と前記第2巻き部分との嵌合部どうしの凹凸嵌合を解除する工程と、を実行し、
前記押さえ部材を、前記嵌合位置より前記巻き方向の推進後方側における所定範囲内に配置し、前記所定範囲が100mm~2000mmであることを特徴とする製管方法。 - 帯幅方向の両縁部に凹状又は凸状又は凹凸状の嵌合部が形成された合成樹脂製の帯本体、及び該帯本体の外周側部に設けられた金属製の補強帯材を含む帯状部材を、螺旋状の巻き方向に沿って巻回して、前記両縁部の一周違いに対向する嵌合部どうしを凹凸嵌合させることによって、前記帯状部材からなる螺旋管を製管する装置であって、
製管中の螺旋管における管軸方向の延伸前方側の管端部の一箇所の内周側に、装置前後方向を前記巻き方向へ沿わせ、かつ装置幅方向を前記管軸方向へ沿わせて配置されて、前記巻き方向へ推進可能な装置フレームと、
前記装置フレームに設けられ、前記管端部に対して前記巻き方向へ移動可能に係止される管端係止部と、
回転軸を前記装置幅方向へ向けて前記装置フレームに設けられ、前記帯状部材における未製管の後続帯部を挟み付ける一対の駆動ローラ、並びに前記駆動ローラを正転駆動及び逆転駆動可能な動力源を含み、前記正転駆動によって前記後続帯部を前記管端部上の嵌合位置へ向けて斜めに押し込んで、前記凹凸嵌合及び前記推進のための力を得る駆動部と、
前記管端部の内周側及び外周側のうち少なくとも内周側に配置された押さえ部材を含み、前記逆転駆動時に、前記管端部における前記後続帯部と連なる第1巻き部分と、該第1巻き部分の延伸後方側に隣接する第2巻き部分とに跨るようにして前記管端部に当接又は近接される押さえ治具と、
を備え、前記押さえ部材が、前記嵌合位置より前記装置前後方向の推進後方側における所定範囲内に配置されており、前記所定範囲が100mm~2000mmであることを特徴とする製管装置。 - 前記押さえ治具が、前記第1巻き部分及び前記第2巻き部分に跨るようにして前記管端部を内周側及び外周側から挟持する一対の押さえ部材を含むことを特徴とする請求項2に記載の製管装置。
- 前記装置フレームが、前記押さえ治具を支持する治具支持部を有していることを特徴とする請求項2又は3に記載の製管装置。
- 帯幅方向の両縁部に凹状又は凸状又は凹凸状の嵌合部が形成された帯状部材を螺旋状の巻き方向に沿って巻回して、前記両縁部の一周違いに対向する嵌合部どうしを凹凸嵌合させることによって、前記帯状部材からなる螺旋管を製管する方法であって、
製管中の螺旋管における管軸方向の延伸前方側の管端部の一箇所における内周側に配置された製管装置の装置フレームに設けられた一対の駆動ローラによって、前記帯状部材における未製管の後続帯部を挟み付ける工程と、
前記駆動ローラの正転駆動によって前記後続帯部を前記管端部上の嵌合位置へ向けて斜めに押し込む工程と、
前記押し込みによって、前記嵌合位置において前記後続帯部と前記管端部の互いに対向する嵌合部どうしを凹凸嵌合させる工程と、
前記押し込み及び前記凹凸嵌合により生じる推進反力によって、前記製管装置を前記巻き方向の推進前方側へ推進させる工程と、を実行し、
さらに、製管異常時には、前記管端部の内周側及び外周側のうち少なくとも内周側に配置された押さえ部材を含む押さえ治具を、前記管端部における前記後続帯部と連なる第1巻き部分と、該第1巻き部分の延伸後方側に隣接する第2巻き部分とに跨るようにして前記管端部に当接又は近接させる工程と、
前記駆動ローラの逆転駆動によって前記後続帯部を前記押し込む向きとは逆方向へ引き込むことによって、前記第1巻き部分と前記第2巻き部分との嵌合部どうしの凹凸嵌合を解除する工程と、を実行し、
前記押さえ治具が、前記装置フレームとは別体に設けられており、
前記製管異常時には、前記逆転駆動によって前記凹凸嵌合を解除する工程と、前記押さえ部材の配置場所を前記巻き方向の推進後方側へずらして前記当接又は近接させる工程とを交互に反復することを特徴とする製管方法。 - 前記押さえ治具が、前記管端部の内部に伸縮可能に設けられた突っ張り部材を含むことを特徴とする請求項5に記載の製管方法。
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