JP7352426B2 - 螺旋管の製管方法及び製管装置 - Google Patents
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Description
特許文献1には、自走式の製管装置によって、帯状部材を螺旋状に巻回して螺旋管を構築することが開示されている。帯状部材の帯幅方向の両縁部には、雌雄の嵌合部が形成されている。前記製管装置は、製管中の螺旋管における延伸前方側の管端部の一箇所の内周上に配置されている。製管装置の一対の駆動ローラによって、帯状部材における未製管の後続帯部を挟み付けるとともに前記管端部へ向けて斜めに押し込む。これによって、後続帯部及び管端部の互いに対向する嵌合部どうしが凹凸嵌合されて製管が進展される。同時に推進反力が生じて製管装置が巻き方向に沿って推進される。
特許文献2には、合成樹脂製の帯本体と、鋼製(金属製)の補強帯材を含む帯状部材が開示されている。帯本体の外周側部(螺旋管に製管されたとき外周を向く側部)には、リブ及び一対の係止突起が設けられている。補強帯材が、前記リブに被さるようにして帯本体の外周側部に添えられ、補強帯材の両端部が一対の係止突起に係止されている。
本発明は、かかる事情に鑑み、帯本体及び補強帯材を含む帯状部材からなる螺旋管の製管時に異常があった場合に修復のために逆転駆動させる際、帯本体の嵌合部どうしの嵌合力が強くても、帯本体と補強帯材が分離されるのを防止して、管端部から帯状部材の一部を円滑に引き剥がし可能とすることを目的とする。
製管中の螺旋管における管軸方向の延伸前方側の管端部の一箇所の内周側に配置された製管装置の一対の駆動ローラによって、前記帯状部材における未製管の後続帯部を挟み付ける工程と、
前記駆動ローラの正転駆動によって前記後続帯部を前記管端部上の嵌合位置へ向けて斜めに押し込む工程と、
前記押し込みによって、前記嵌合位置において前記後続帯部と前記管端部の互いに対向する嵌合部どうしを凹凸嵌合させる工程と、
前記押し込み及び前記凹凸嵌合により生じる推進反力によって、前記製管装置を前記巻き方向の推進前方側へ推進させる工程と、を実行し、
さらに、製管異常時には、前記製管装置に搭載の押さえ治具を、前記管端部における前記後続帯部と連なる第1巻き部分の延伸後方側に隣接する第2巻き部分の内周面と当接又は近接させる工程と、
前記駆動ローラの逆転駆動によって前記後続帯部を前記押し込む向きとは逆方向へ引き込むことによって、前記第1巻き部分と前記第2巻き部分との嵌合部どうしの凹凸嵌合を解除する工程を実行することを特徴とする。
製管異常時には、修復のために駆動ローラを逆転駆動させる。ここで、螺旋管における嵌合部どうしの嵌合力が強いと、前記逆転駆動によって、前記嵌合部どうしの嵌合が外れる前に、帯本体が補強帯材から外れて管端部の内周側へ浮き上がろうとする。すると、該帯本体に押さえ治具が突き当たって浮き上がりを阻止する。これによって、帯本体と補強帯材とが分離されるのが防止される。したがって、管端部から第1巻き部分を円滑に引き剥がすことができる。よって、製管装置を管端部から取り外す必要が無い。不具合を直した後で再度製管装置を取り付ける必要も無い。この結果、施工時間が長くなるのを回避できる。
製管中の螺旋管における管軸方向の延伸前方側の管端部の一箇所の内周側に、装置前後方向を前記巻き方向へ沿わせ、かつ装置幅方向を前記管軸方向へ沿わせて配置されて、前記巻き方向へ推進可能な装置フレームと、
前記装置フレームに設けられ、前記管端部に対して前記巻き方向へ移動可能に係止される管端係止部と、
回転軸を前記装置幅方向へ向けて前記装置フレームに設けられ、前記帯状部材における未製管の後続帯部を挟み付ける一対の駆動ローラ、並びに前記駆動ローラを正転駆動及び逆転駆動可能な動力源を含み、前記正転駆動によって前記後続帯部を前記管端部上の嵌合位置へ向けて斜めに押し込んで、前記凹凸嵌合及び前記推進のための力を得る駆動部と、
前記装置フレームに設けられ、少なくとも前記逆転駆動時には、前記管端部における前記後続帯部と連なる第1巻き部分の延伸後方側に隣接する第2巻き部分の内周面と当接又は近接される押さえ治具と、
を備えたことを特徴とする。
当該製管装置によれば、通常運転時は、駆動ローラの正転駆動によって推進されながら螺旋管を製管する。製管異常に対する修復のための逆転駆動時には、押さえ治具によって帯本体と補強帯材との分離を阻止することで、第1巻き部分の引き剥がしを円滑に行うことができる。
押さえ治具は、装置フレームに着脱可能であってもよい。通常運転時は押さえ治具を装置フレームから外しておき、必要時(製管異常の修復のための逆転駆動時)に押さえ治具を装置フレームに取り付けてもよい。
前記製管装置において、前記押さえ治具が、前記嵌合位置を挟んで前記装置前後方向の両側の所定範囲内に配置されていることが好ましい。
これによって、逆転駆動時に補強帯材と帯本体との分離が起きるのを確実に阻止できる。
前記製管装置において、前記押さえ治具が、前記嵌合位置の延伸後方側の側部に配置されていることが好ましい。これによって、押さえ治具が嵌合位置の真横位置に配置される。
前記押さえ治具が、前記第2巻き部分の内周面と対向する面を有する押さえ板部を含んでいてもよい。これによって、第2巻き部分の帯状部材を面で押さえることができる。
これによって、螺旋管の曲率に応じて押さえ治具を高さ調節することで、押さえ治具を第2巻き部分に確実に当接させたり近接距離を調整したりできる。曲率が違っても同一の押さえ治具で対応できる。
前記角度調節機構は、前記押さえ治具を前記装置フレームに対して前記装置幅方向に沿う軸線まわりに回転可能に連結する連結部と、前記押さえ治具の角度を保持する保持部とを含むことが好ましい。
装置フレームに対して押さえ治具の角度を調節することで、押さえ治具の先端部を高さ調節できる。調節後、保持部によって押さえ治具の角度を固定する。これによって、押さえ治具を第2巻き部分に確実に当接させたり近接距離を調整したりでき、曲率が違っても同一の押さえ治具で対応できる。
<第1実施形態(図1~図6)>
図1及び図2は、老朽化した下水道管1(既設管状体)を更生する様子を示したものである。下水道管1の内周に更生管9(螺旋管)がライニングされることで、下水道管1が更生されている。
なお、更生対象の既設管状体は、下水道管に限らず、上水道管、農業用水管、水力発電導水管、ガス管その他の既設管でもよく、トンネルであってもよい。
製管中の更生管9における管軸方向の延伸前方側の管端部9eには、帯状部材90における未製管の後続帯部90bが連続している。詳細な図示は省略するが、後続帯部90bは、地上から発進人孔に垂下され、製管中の更生管9の内部を経て、管端部9eに連なっている。
製管装置10は、特許文献1等に開示された製管装置と同様の基本構造を有している。詳しくは、図1~図3に示すように、製管装置10は、装置フレーム11と、管端係止部20と、駆動部30を備えている。
管端係止部20によって、装置フレーム11ひいては製管装置10が、管端部9eに対して脱落しないように、かつ巻き方向へ移動可能に係合されている。
製管装置10の一対の駆動ローラ31,32によって後続帯部90bを挟み付けた状態で、これら駆動ローラ31,32を正転駆動させる。これによって、後続帯部90bが更生管9の内周側から管端部9e上の嵌合位置9pへ向けて斜めに押し込まれる。そして、嵌合位置9pにおいて、後続帯部90bと管端部9eの互いに対向する嵌合部93,94どうしが凹凸嵌合される。前記押し込み及び凹凸嵌合によって推進反力が生じ、製管装置10が管端部9eの巻き方向の推進前方側へ推進される。
言い換えると、駆動部30は、正転駆動によって後続帯部90bを斜めに押し込んで、前記凹凸嵌合及び前記推進のための力を得る。
これによって、製管が進み、更生管9が延伸される。
製管装置10の推進に伴って、押さえ治具40が装置フレーム11と一体に推進前方側へ前進移動される。
具体的には、製管装置10に搭載された押さえ治具40を第2巻き部分9ebの内周面と対面させて当接又は近接させる。その状態で、駆動ローラ31,32を逆転駆動させる。これによって、駆動ローラ31,32間に挟まれた後続帯部90bが前記押し込む向きとは逆方向へ引き込まれる。このため、第1巻き部分9eaと第2巻き部分9ebとの嵌合部93,94どうしの凹凸嵌合が解除され、第1巻き部分9eaが管端部9eから引き剥がされて、剥離帯部分9ea’となる。引き剥がしに伴って、製管装置10が推進後方側へ後退される。押さえ治具40は、装置フレーム11と一体に後退移動される。
その後、駆動ローラ31,32を正転駆動させ、製管工程を再開する。
<第2実施形態(図7)>
図7に示すように、第2実施形態における押さえ治具40は、押さえローラ42を含む。押さえローラ42の回転軸は、装置幅方向WDへ向けられている。押さえローラ42は、該回転軸のまわりに自由回転可能になっている。押さえローラ42は、第2巻き部分9ebの内周面に当接されていてもよく、僅かに離れて近接されていてもよい。当接されている場合、装置フレーム11の推進又は後退に伴って、押さえローラ42が第2巻き部分9eb上を転動される。
押さえ治具40は、第2巻き部分9eb上の嵌合位置9pを挟んで巻き方向(装置前後方向MD)の両側の所定範囲R内に配置されていればよい。嵌合位置9pから片側200mm~300mm程度離れた地点までであれば押さえ治具として所要機能を果たす。
図8及び図9に示すように、第3実施形態においては、押さえ治具40が嵌合位置9pよりも装置前後方向MDの推進前方側に配置されている。
なお、更生管9(螺旋管)の口径は、例えば800mm~2000mm程度である。
図10及び図11に示すように、第4実施形態においては、押さえ治具40が嵌合位置9pよりも装置前後方向MDの推進後方側に配置されている。
図12に示すように、第5実施形態においては、装置フレーム11と押さえ治具40との間に高さ調節機構50が設けられている。押さえ治具40が、高さ調節機構50を介して装置フレーム11に支持されている。
ホルダ51には雌ネジ孔53が形成されている。該雌ネジ孔53に調節ネジ52がねじ込まれている。調節ネジ52の端部は、ホルダ51よりも装置高さ方向HDの底部側(図12において下側)へ突出して、押さえ治具40の底部の押さえ板部41と係合されている。
これによって、製管異常に対する修復のための逆転駆動時に、押さえ治具40を第2巻き部分9ebに確実に当接させることができる。又は押さえ治具40と第2巻き部分9ebとの間の近接距離を調整できる。
図13に示すように、第3実施形態においては、押さえ治具60が、角度調節機構70を介して装置フレーム11に角度調節可能に支持されている。押さえ治具60は、棒状に形成されている。押さえ治具60の先端の押さえ部61は先細ないしは球面状に形成されている。
保持部材74を締め付けることで、ガイド73が保持部材74に対して固定され、押さえ治具60の回転が阻止される。これによって、押さえ治具60を前記角度範囲内の任意の角度に調節して、その角度に保持できる。
これによって、第5実施形態(図12)と同様に、製管異常に対する修復のための逆転駆動時に、押さえ部61を第2巻き部分9eb(図2参照)に確実に当接させることができる。又は押さえ部61と第2巻き部分9ebとの間の近接距離を調整できる。
これによって、更生管9の曲率に拘わらず、押さえ部61を第2巻き部分9ebに確実に当接させたり近接距離を調整したりできる。したがって、更生管9の曲率に応じて押さえ治具60を取り換える必要が無く、曲率が違っても同一の押さえ治具60で対応できる。
例えば、押さえ治具40は、装置フレーム11に着脱可能であってもよい。通常運転時は押さえ治具40を装置フレーム11から外しておき、必要時(製管異常の修復のための逆転駆動時)にだけ押さえ治具40を装置フレーム11に取り付けてもよい。
帯状部材90の断面形状は、適宜設計変更してもよい。一方の嵌合部93が凹溝を有する凹状断面に形成され、他方の嵌合部94が前記凹溝と嵌合可能な凸条を有する凸状断面に形成されていてもよい。
第3実施形態(図8、図9)及び第4実施形態(図10、図11)の押さえ治具40は、第1実施形態(図1~図3)と同様の押さえ板部41によって構成されているが、第2実施形態(図7)と同様の押さえローラ42によって構成されていてもよい。
押さえローラ42を第5実施形態(図12)と同様の高さ調節機構50によって高さ調節可能にしてもよい。
第5実施形態(図12)の高さ調節機構50と第6実施形態(図13)の角度調節機構70とを組み合わせてもよい。
WD 装置幅方向
HD 装置高さ方向
1 下水道管(既設管状体)
9 更生管(螺旋管)
9e 管端部
9ea 第1巻き部分
9eb 第2巻き部分
9p 嵌合位置
90 帯状部材
90b 後続帯部
91 帯本体
92 補強帯材
93 嵌合部
93c 係止突起
94 嵌合部
94c 係止突起
95 リブ
10 製管装置
11 装置フレーム
20 管端係止部
21,22 管端係止部材
23 係止爪
30 駆動部
31,32 駆動ローラ
33 駆動源
40 押さえ治具
41 押さえ板部
42 押さえローラ
50 高さ調節機構
60 押さえ治具
61 押さえ部
70 角度調節機構
71 連結ピン(連結部)
72 保持部
74 保持部材
Claims (6)
- 帯幅方向の両縁部に凹状又は凸状又は凹凸状の嵌合部が形成された合成樹脂製の帯本体、及び該帯本体の外周側部に設けられた金属製の補強帯材を含む帯状部材を、螺旋状の巻き方向に沿って巻回して、前記両縁部の一周違いに対向する嵌合部どうしを凹凸嵌合させることによって、前記帯状部材からなる螺旋管を製管する方法であって、
製管中の螺旋管における管軸方向の延伸前方側の管端部の一箇所の内周側に配置された製管装置の一対の駆動ローラによって、前記帯状部材における未製管の後続帯部を挟み付ける工程と、
前記駆動ローラの正転駆動によって前記後続帯部を前記管端部上の嵌合位置へ向けて斜めに押し込む工程と、
前記押し込みによって、前記嵌合位置において前記後続帯部と前記管端部の互いに対向する嵌合部どうしを凹凸嵌合させる工程と、
前記押し込み及び前記凹凸嵌合により生じる推進反力によって、前記製管装置を前記巻き方向の推進前方側へ推進させる工程と、を実行し、
さらに、製管異常時には、前記製管装置に搭載の押さえ治具を、前記管端部における前記後続帯部と連なる第1巻き部分よりも延伸後方側に引っ込んだ位置において、前記第1巻き部分の延伸後方側に隣接する第2巻き部分における前記嵌合位置の真横位置又は前記嵌合位置より推進後方の内周面と当接又は近接させる工程と、
前記駆動ローラの逆転駆動によって前記後続帯部を前記押し込む向きとは逆方向へ引き込むことによって、前記第1巻き部分と前記第2巻き部分との嵌合部どうしの凹凸嵌合を解除する工程を実行することを特徴とする製管方法。 - 帯幅方向の両縁部に凹状又は凸状又は凹凸状の嵌合部が形成された合成樹脂製の帯本体、及び該帯本体の外周側部に設けられた金属製の補強帯材を含む帯状部材を、螺旋状の巻き方向に沿って巻回して、前記両縁部の一周違いに対向する嵌合部どうしを凹凸嵌合させることによって、前記帯状部材からなる螺旋管を製管する装置であって、
製管中の螺旋管における管軸方向の延伸前方側の管端部の一箇所の内周側に、装置前後方向を前記巻き方向へ沿わせ、かつ装置幅方向を前記管軸方向へ沿わせて配置されて、前記巻き方向へ推進可能な装置フレームと、
前記装置フレームに設けられ、前記管端部に対して前記巻き方向へ移動可能に係止される管端係止部と、
回転軸を前記装置幅方向へ向けて前記装置フレームに設けられ、前記帯状部材における未製管の後続帯部を挟み付ける一対の駆動ローラ、並びに前記駆動ローラを正転駆動及び逆転駆動可能な動力源を含み、前記正転駆動によって前記後続帯部を前記管端部上の嵌合位置へ向けて斜めに押し込んで、前記凹凸嵌合及び前記推進のための力を得る駆動部と、
前記装置フレームに設けられ、少なくとも前記逆転駆動時には、前記管端部における前記後続帯部と連なる第1巻き部分よりも延伸後方側に引っ込んで、前記第1巻き部分の延伸後方側に隣接する第2巻き部分における前記嵌合位置の真横位置又は前記嵌合位置より推進後方の内周面と当接又は近接される押さえ治具と、
を備えたことを特徴とする製管装置。 - 前記押さえ治具が、回転軸を前記装置幅方向へ向けた押さえローラを含むことを特徴とする請求項2に記載の製管装置。
- 前記押さえ治具が、前記第2巻き部分の内周面と対向する面を有する押さえ板部を含むことを特徴とする請求項2又は3に記載の製管装置。
- 前記装置フレームと前記押さえ治具との間には、前記押さえ治具を前記装置フレームに対して前記装置幅方向及び前記装置前後方向と直交する装置高さ方向に位置調節可能な高さ調節機構が設けられていることを特徴とする請求項2~4の何れか1項に記載の製管装置。
- 前記押さえ治具を、前記装置フレームに対して、前記装置幅方向に沿う軸線まわりに角度調節可能な角度調節機構を、更に備えたことを特徴とする請求項2~5の何れか1項に記載の製管装置。
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