JP7350550B2 - 固定構造、固定具、及び固定方法 - Google Patents

固定構造、固定具、及び固定方法 Download PDF

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Description

本発明は、フランジを有する長尺な第1部材の当該フランジに固定具を用いて、この第1部材と別の長尺な第2部材を交差して固定する二部材の固定構造、その固定具、及び固定方法に関するものである。
ショッピンセンターや公共施設などの建築物等に併設される鉄骨造の立体駐車場では、駐車スペース毎に車止め等が設置されている。しかし、運転ミス等によって車両が車止めを乗り越えたり、すり抜けたりした場合の車両の転落防止対策として、従来、駐車場の端部にガードレール(梁材)が設置されている。
例えば、特許文献1には、一対の柱間に水平に配置される第1の梁部材12及び第2の梁部材14と、下端が第1の梁部材12に接続されると共に、上端が第2の梁部材14に接続される第1の長尺支柱16及び第2の長尺支柱18と、各柱と長尺支柱との間、及び長尺支柱間に配置固定される第1の分割ガードレール22~第3の分割ガードレール28を備えた転落防止柵10が開示されている(特許文献1の特許請求の範囲の請求項1、明細書の段落[0017]~[0033]、図面の図2,図3等参照)。
しかし、特許文献1に記載の転落防止柵は、車両の転落防止柵としては有効であるものの、水平に設ける梁材(分割ガードレール22~28)だけでは隙間が大きすぎて、人の転落防止としては不十分であるという問題があった。
そこで、車両の転落防止のための梁材に加え、人の転落防止対策としてパネル材であるフェンスを取り付けることが行われている。しかし、立体駐車場などの既設の構造物にフェンスを取り付ける場合、人がもたれかかる荷重や風荷重などフェンスに作用する荷重に耐えられることが当然必要となってくる。
このため、車止めのための梁材に転落防止のためのフェンスを取り付ける場合、従来は、図10に示すように、各フェンスの支柱を取り付ける位置に、フェンスを取り付けるためのガセットプレートを現場等で溶接しており、任意の位置でフェンスの支柱を固定することができないという問題が発生していた。
また、溶接でなくボルト止めする場合でも、現場での溶接や寸法取り、その寸法取りを反映した工場等での加工が必要となり、工期の遅延に繋がるという問題が発生していた。工場での加工を行わずに、現場で実測して穴あけを行うことも可能であるが、そうすると、現場での穴あけ作業に伴う鋼材の切削屑が発生し、その切削屑を除去しきれずに、舗装や仕上げ材がもらい錆びで汚れてしまうという問題が発生していた。
特開2017-57591号公報
そこで、本発明は、前述した問題に鑑みて案出されたものであり、その目的とするところは、現場での加工や溶接を一切必要とせず施工が容易で、且つ、人がもたれかかる荷重や風荷重などに耐えられる必要強度を有する固定構造、固定具、及び固定方法を提供することにある。
第1発明に係る固定構造は、フランジを有する第1部材の当該フランジに固定具を用いて、他の第2部材を固定する固定構造であって、前記固定具は、前記フランジに端部を掛け止めて固定するプレート状のプレート部と、このプレート部の板面の面外方向に傾斜して突出し、前記第2部材の回転を抑止する爪部と、を備えるとともに、前記プレート部には、締結部材を挿通する挿通孔が中央付近に一つ穿設され、前記第2部材は、予めボルト孔が穿設され、前記締結部材が前記挿通孔及び前記ボルト孔に挿通されて、前記第2部材と前記固定具とが締め付けられ前記第2部材と前記固定具との間に前記フランジが挟み込まれることにより、第1部材と第2部材とが互いに固定され前記爪部は、一対設けられ、それら一対の爪部の間に前記第2部材を挟み込んで前記第2部材の回転を抑止することを特徴とする。
発明に係る固定構造は、第1発明において、前記固定具は、複数設けられ、前記フランジの端部に各固定具の前記爪部が異なる方向に取り付けられているか、又は、前記第1部材が複数あり、各第1部材のフランジから各固定具の前記爪部が同一方向に取り付けられていることにより、前記第2部材が2か所以上で固定されていることを特徴とする。
発明に係る固定構造は、第1発明又は発明において、前記固定具と前記第2部材との間には、前記フランジの厚さに応じたスペーサーが介装されて前記固定具と前記第2部材とが前記締結部材で締結されていることを特徴とする。
発明に係る固定具は、フランジを有する第1部材の当該フランジに他の第2部材を固定する固定具であって、前記フランジに端部を掛け止めて固定するプレート状のプレート部と、このプレート部の板面の面外方向に傾斜して突出し、前記第2部材を挟み込む間隔で一対設けられて前記第2部材の回転を抑止する爪部と、を備えるとともに、前記プレート部には、前記第2部材を締結する締結部材を挿通する挿通孔が中央付近に一つ穿設され前記爪部は、前記第2部材を挟み込むように一対設けられていることを特徴とする。
発明に係る固定方法は、フランジを有する第1部材の当該フランジに、他の第2部材を固定する固定方法であって、前記第2部材を締結する締結部材を挿通する挿通孔が中央付近に一つ穿設されて前記フランジに端部を掛け止めて固定するプレート状のプレート部と、このプレート部の板面の面外方向に傾斜して突出し、前記第2部材を挟み込む間隔で一対設けられて前記第2部材の回転を抑止する爪部と、を備える固定具を用い、前記締結部材を前記挿通孔及び前記第2部材に予め穿設されたボルト孔に挿通して前記第2部材と前記固定具とを締め付けて前記第2部材と前記固定具との間に前記フランジを挟み込み、前記フランジに前記第2部材を回転不能に固定することを特徴とする。
発明に係る固定方法は、第発明において、前記フランジの端部に前記固定具を複数設けて、それぞれの固定具の各爪部を異なる方向に取り付けて前記第2部材を2か所以上で固定することを特徴とする。
発明に係る固定方法は、第発明において、複数の前記第1部材の各フランジから複数の前記固定具の各爪部を同一方向に取り付けて前記第2部材を2か所以上で固定することを特徴とする。
発明に係る固定方法は、第発明ないし第発明のいずれかの発明において、前記固定具と前記第2部材との間に、前記フランジの厚さに応じたスペーサーを介装して前記固定具と前記第2部材とを前記締結部材で締結することを特徴とする。
第1発明~第発明によれば、固定具のプレート部で掛け止めて第1部材のフランジを第2部材との間に挟み込むだけで固定して必要強度を有する固定構造とすることができ、現場での溶接や穴あけなどの加工作業も不要とすることができる。また、第1発明~第発明によれば、第1部材の任意の位置に第2部材を固定できるので、例えば、車の転落防止用の梁材に障害物を避けてフェンスの支柱等を固定するこが容易となる。
また、第1発明~第8発明によれば、固定具の爪部で第2部材を挟み込んで係止するので、締結部材を介して固定する際に、固定具そのものが共回りすることを防止でき、容易に第1部材に第2部材を固定して取り付けることができる。
特に、第発明、第発明、第発明によれば、第2部材のいずれかの端部に隙間があり回転(揺動)する恐れがある場合であっても、複数の固定具で第1部材に第2部材を回転しないように固定することが可能となり、人がもたれかかる荷重や風荷重などに耐えられる必要強度を確保することが容易となる。
特に、第発明、第発明によれば、スペーサーを設けることで、固定具のプレート部の板面と第2部材の側面を面一又は段差の少ないものとすることができ、ボルト等の締結部材による締結が強固となる。このため、フェンスなどのパネル材等を第2部材に取り付けた場合であっても、人がもたれかかる荷重や風荷重などに耐えられる必要強度を確保することが容易となる。
本発明の実施形態に係る固定構造を示す正面図である。 同上の固定構造を示す図1のA-A線鉛直断面図である。 同上の固定構造を示す平面図である。 同上の固定構造を示す図2のB部拡大図である。 同上の固定構造の固定具を示す斜視図である。 本発明の第2実施形態に係る固定構造を示す鉛直断面図である。 同上の固定構造の第1部材のフランジの向きが違う変形例を示す鉛直断面図である。 本発明の第3実施形態に係る固定構造を示す鉛直断面図である。 同上の固定構造の第1部材のフランジの向きが違う変形例を示す鉛直断面図である。 立体駐車場の梁材にフェンスを取り付ける場合の従来の固定構造を示す鉛直断面図である。
以下、本発明の実施形態に係る固定構造、固定金具、及び固定方法について、図面を参照しながら詳細に説明する。
[第1実施形態]
先ず、図1~図5を用いて、本発明の第1実施形態に係る固定構造1について説明する。固定構造1として、立体駐車場の車両落下防止用の既存のH形鋼からなる梁材2を第1部材として、この梁材2に、第2部材として角形鋼管からなるフェンス支柱3を直交させて固定し、このフェンス支柱3にフェンスパネル4を固定して既存の立体駐車場に新たにフェンスを増設する場合を例示して説明する。また、図示形態では、フェンス支柱3及びフェンスパネル4は、立体駐車場の床スラブS1から所定距離(本実施形態では、20mm程度)離間して浮かして設置している。つまり、フェンス支柱3と構造物(例えば、床スラブS1)との間にフェンス支柱3が回転したりずれたりして移動し得る隙間がある。
図1は、本発明の実施形態に係る固定構造1を示す正面図であり、図2は、固定構造1を示すA-A線鉛直断面図である。また、図3は、同上の固定構造を示す平面図であり、図4は、固定構造1を示す図2のB部拡大図である。なお、図5は、固定構造1の固定金具5を示す斜視図である。
本実施形態に係る固定構造1は、第1部材であるH形鋼からなる梁材2と、この梁材2に固定される第2部材であるフェンス支柱3と、このフェンス支柱3に固定されるパネル材であるフェンスパネル4など、から構成されている。このフェンス支柱3は、梁材2に固定具である固定金具5を介して締結部材である締結ボルト6で締結されて固定されている。
(梁材:第1部材)
梁材2は、図2等に示すように、前述の特許文献1に記載された分割ガードレール(22~28)に相当する立体駐車場に設けられた車両落下防止用の既存の横架材であり、図示形態では、H-200×200のH形鋼からなる。この梁材2は、図2,図4に示すように、一対のフランジ21と、これらを繋ぐウェブ22と、から構成されたH形鋼である。
なお、本発明に係る第1部材は、梁材2のような横方向に設置された横架材に限られず、支柱などの縦方向材であっても構わない。例えば、フェンスパネル4を固定する場合であっても、第1部材を縦方向材とし、横架材である胴縁を第2部材としてこの胴縁にフェンスパネル4を固定する場合にも本発明に係る固定構造を適用することができる。
(フェンス支柱:第2部材)
フェンス支柱3は、本実施形態では、□40mm×29mmの角形鋼管であり、後述のフェンスパネル4を支持する第2部材としての機能を有している。勿論、フェンス支柱3は、角形鋼管に限られず、山形鋼や溝形鋼などの他の鋼材であってもよい。また、本発明に係る第2部材は、鋼材に限られず、フェンスパネル4などのパネル材を支持可能で人がもたれかかる荷重や風荷重などに耐えられる必要強度を有する部材であればよい。
このフェンス支柱3には、図1,図2,図4に示すように、梁材2のフランジ21の幅に応じた間隔で締結ボルト6を挿通するボルト孔(図示せず)が予め工場等で穿設されている。また、フェンス支柱3には、後述のフックボルト7を挿通すフックボルト孔(図示せず)も複数設けられている。
(フェンスパネル:パネル材)
フェンスパネル4は、縦横の複数の鋼線が溶接等で接合されて格子状に組み立てられて人の通行や転落を防止する転落防止柵として機能する部材である。本実施形態に係るフェンスパネル4は、直径3.8mmの鋼線から格子状に組み立てられて、高さ1170mm×幅1990mmの格子状のパネル材となっている。なお、フェンスパネル4は、床スラブS1から20mm浮かせて設置されるので、1190mmの高さとなる。
また、図1,図2に示すように、フェンスパネル4は、フェンス支柱3に掛止部材であるJ字状のボルトであるフックボルト7で掛け止められている。そして、図1,図3に示すように、隣接するフェンスパネル4同士は、接続金具8を介してボルト止めされて連結されている。
(固定金具:固定具)
固定金具5は、4.5mm厚の鋼板からなり、図5等に示すように、高さ65mm×幅50mmの矩形のプレート状のプレート部50と、このプレート部50の端部から板面の面外方向に傾斜して突出する一対の爪部51と、から構成されている。なお、固定金具5は、防錆のため溶融亜鉛めっきが施されている。勿論、固定金具5は、高耐食性めっき鋼板やステンレスなどの耐食性鋼板から構成することも可能である。
このプレート部50は、矩形の一端(図5の図示形態では下端)を前述の梁材2のフランジ21に掛け止めて固定する機能を有する板状の部材であり、中央付近に直径14mmの円形の孔である挿通孔50aが穿設されている。この挿通孔50aは、フェンス支柱3を締結する締結部材である締結ボルト6を挿通する孔である。
爪部51は、4.5mm厚の鋼板から折り曲げ加工されてプレート部50の板面に対して所定角度(本実施形態では45度)傾斜する部位であり、所定幅(本実施形態では、フェンス支柱3の幅に応じた30mm)離間して左右一対設けられている。
この爪部51は、板面に対して所定角度傾斜してプレート部50から一方に突出していればよく、45度より緩やかな傾斜角度で傾斜してもよいし、90度やそれ以上の角度で傾斜していてもよい。
一対の爪部51は、その間の凹部52にフェンス支柱3を挟み込んで挿置し(図3参照)、固定金具5の挿通孔50aに締結ボルト6を挿通してフェンス支柱3に締結ボルト6で固定金具5を締結した際に、回転不能、即ち、固定金具5が締結ボルト6を中心に回転するのを阻止する機能を有している。
以上、本実施形態に係る固定具として固定金具5に、爪部51が一対の2個設けられているものを例示したが、固定金具5が締結ボルト6を中心に供回りすることを阻止できる構成であれば、爪部51を1つとすることも可能である。例えば、第2部材の爪部51と対応する位置に孔や窪みが設けられ、この孔や窪みに爪部51が係止されることで固定金具5が締結ボルト6を中心に供回りすることを阻止する構成であっても構わない。
また、図示形態では、爪部51がプレート部50の端部から直ぐに折れ曲がるものを例示したが、プレート部50の端部が折れ曲がってから二股に爪部51が形成されていてもよく、爪部51の途中から折れ曲がっているものでもよい。要するに、本発明に係る固定具は、一対の爪部51の間の凹部52にフェンス支柱3を挟み込んで挿置できる構成であればよい。
なお、図4に示すように、固定構造1は、固定金具5が梁材2のフランジ21の上下にそれぞれ設けられている。即ち、1本のフェンス支柱3毎に上下一対の固定金具5が設けられている。このため、梁材2のフランジ21に固定金具5と締結ボルト6とで挟み込んで固定されるだけで、例えば、図1,図2に示すように、フェンス支柱3が床スラブS1から離間して浮かして設置された場合であっても、フェンス支柱3の回転又は揺動を抑止して固定することが可能となる。
つまり、締結ボルト6でフェンス支柱3と固定金具5とが締め付けられてフェンス支柱3の側面と固定金具5との間にフランジ21が挟み込まれるだけでは、摩擦接合されているだけなので大きな外力が作用した場合、フェンス支柱3及び固定金具5は、フランジ21に沿ってスライドする可能性がある。このため、長尺なフェンス支柱3の端部に外力が作用し、回転モーメントが生じた場合、フェンス支柱3がずれて回転揺動したり、フランジに沿ってずれたりする虞がある。しかし、固定金具5がフランジ21を上下方向から挟み込んで設けられることにより、回転モーメントが生じた場合であってもその回転移動やフランジに沿って上下にずれたりする場合のスライド移動を拘束して阻止することができる。
但し、第1部材であるフェンス支柱3を床スラブS1から浮かして設置する場合を例示したが、第1部材であるフェンス支柱3を床スラブS1に当接して設置する場合は、フランジ21の上端に固定金具5を設けるだけでも床スラブS1からの反力が得られるため、回転モーメントやフランジに沿ってずれ動くことに対抗することができる。また、フェンス支柱3が天井面に当接している場合も同様である。
また、図4に示すように、固定金具5とフェンス支柱3との間には、フランジ21の厚さに応じたスペーサー9が介装されて固定金具5とフェンス支柱3とが、締結ボルト6で締結されている。このように、スペーサー9を設けることで、固定金具5のプレート部50の板面とフェンス支柱3の側面を面一又は段差の少ないものとすることができ、締結ボルト6による締結が強固なものとなる。このため、フェンスパネル4をフェンス支柱3に取り付けた際に、人がもたれかかる荷重や風荷重などに耐えられる必要強度を確保することが容易となる。
[第2実施形態]
次に、図6,図7を用いて、本発明の第2実施形態に係る固定構造1’について説明する。図6は、本発明の第2実施形態に係る固定構造1’を示す図4に相当する鉛直断面図であり、図7は、本発明の第2実施形態に係る固定構造の変形例を示す鉛直断面図である。
第2実施形態に係る固定構造1’が、前述の第1実施形態に係る固定構造1と相違する点は、第1部材であるH形鋼からなる梁材2が、2本の山形鋼2’となっている点である。よって、その点について主に説明し、同一構成は同一符号を付し、説明を省略する。
図6に示すように、第2実施形態に係る固定構造1’では、第1部材が既存の二本の山形鋼2’となっており、それぞれの山形鋼2’のフランジ21’が上下に向くように取り付けられている。そして、第2実施形態に係る固定構造1’は、フランジ21’の端部に、前述の固定構造1と略同様に、2つの固定金具5の爪部51が、それぞれ異なる方向に向くように取り付けられている。
図7に示す場合は、既存の二本の山形鋼2’のフランジ21’の向きが図6と逆となっている。その場合であっても、前述の固定金具5を、前述の固定構造1と上下逆に取り付けるだけで、同様に、山形鋼2’にフェンス支柱3を固定することができる。この第2実施形態に係る固定構造1’の変形例でも、前述の固定構造1と略同様に、2つの固定金具5の爪部51が、異なる方向に向くように取り付けられている。
[第3実施形態]
次に、図8,図9を用いて、本発明の第3実施形態に係る固定構造1”について説明する。図8は、本発明の第3実施形態に係る固定構造1”を示す図4に相当する鉛直断面図であり、図9は、本発明の第3実施形態に係る固定構造の変形例を示す鉛直断面図である。
第3実施形態に係る固定構造1”が、前述の第2実施形態に係る固定構造1’と相違する点は、2本の山形鋼2’のフランジ21’の向きが、2本とも同じ同一方向に向いている点である。よって、その点について主に説明し、同一構成は同一符号を付し、説明を省略する。
図8に示すように、第3実施形態に係る固定構造1”は、図6に示した第2実施形態に係る固定構造1’の上部構造と、図7に示したその変形例に係る固定構造1’の下部構造を組み合わせているだけである。また、図9に示すように、第3実施形態に係る固定構造1”の変形例は、図6に示した第2実施形態に係る固定構造1’の下部構造と、図7に示したその変形例に係る固定構造1’の上部構造を組み合わせているだけである。
このように、本発明では、固定金具5の取り付ける向きを、第1部材のフランジの向きに応じて付け替えるだけで、様々な場合に対応して、第1部材に第2部材を固定することができる。また、その場合であっても、フェンスなどの固定構造として、人がもたれかかる荷重や風荷重などに耐えられる必要強度を有するものとすることができる。
<固定方法>
次に、図1~図9を用いて、本発明の実施形態に係る固定方法について説明する。前述の立体駐車場に設けられた車両落下防止用の既存の第1部材に、第2部材として角形鋼管からなるフェンス支柱3を直交させて固定し、このフェンス支柱3に、パネル材としてフェンスパネル4を固定して既存の立体駐車場に新たにフェンスを増設する場合を例示して説明する。
(事前準備)
先ず、事前準備として、工場等において、フェンス支柱3に、ドリル等を用いて前述のボルト孔やフックボルト7を挿通すフックボルト孔(図示せず)を削孔し、立体駐車場の現場へ搬入する。また、必要な部材である、前述のフェンスパネル4、固定金具5、締結ボルト6、フックボルト7、接続金具8、スペーサー9等も現場へ搬入する。
(第2支持部材の第1支持部材への固定)
次に、既存の第1支持部材に、第2支持部材であるフェンス支柱3を固定する。具体的には、第1支持部材がH形鋼からなる梁材2である場合は、図4等に示すように、フェンス支柱3のボルト孔に締結ボルト6を挿通するとともに、この締結ボルト6にスペーサー9及び固定金具5の挿通孔50aを挿通する。
そして、締結ボルト6のナットを締め、固定金具5のプレート部50とフェンス支柱3の側面との間に梁材2のフランジ21を挟み込んで梁材2の長手方向と、フェンス支柱3の長手方向とが直交するように固定する。このとき、本実施形態に係る固定方法では、図1,図3に示すように、フェンス支柱3の下端は、床スラブS1から20mm程度浮かせて固定する。
なお、図4に示すように、本実施形態に係る固定方法では、1本のフェンス支柱3に対して、2つの固定金具5を用いてフランジ21の上下で挟み込んで固定する。このため、図1,図2に示すように、フェンス支柱3及びフェンスパネル4を床スラブS1から少し浮かして固定する場合でも、前述のように、フェンス支柱3が回転(揺動)せず、強固に固定することができる。
また、固定金具5は、図5に示す凹部52にフェンス支柱3を挿通し、一対の爪部51,51の間に、フェンス支柱3が位置するようにして締結ボルト6を締め付けて固定する。すると図4に示すように、爪部51のプレート部50に対する傾斜により、締結ボルト6(挿通孔50a)を中心に、固定金具5が回転する動きを爪部51がフェンス支柱3に当接することで阻止することができる。つまり、締結ボルト6の締付時に固定金具5が供回りすることを防止することができる。このため、締結ボルト6の締付時に固定金具5から手を放すことができ、容易に第1部材に第2部材を固定して取り付けることができる。
その上、本実施形態に係る固定方法では、締結ボルト6を締め付けるときに、スペーサー9を介装した状態で締め付ける。このため、固定金具5のプレート部50の板面とフェンス支柱3の側面を面一又は段差の少ない状態で締め付けることができる。よって、締結ボルト6による締結が強固なものとなり、フェンスパネル4をフェンス支柱3に取り付けた際に、人がもたれかかる荷重や風荷重などに耐えられる必要強度を確保することが容易となる。
(パネル材の固定)
次に、第2支持部材であるフェンス支柱3に、パネル材であるフェンスパネル4を固定する。具体的には、フェンス支柱3のフックボルト孔にJ字状のフックボルト7を挿通し、フェンスパネル4の格子状の鋼線を掛け止めて固定する。
そして、図1,図3に示すように、隣接するフェンスパネル4同士は、接続金具8を用いて、複数個所に亘り互いに掛け止めた上、ボルト止めして連結する。これにより、既存のH形鋼からなる梁材2に、フェンス支柱3及びフェンスパネル4を固定して増設することができ、本実施形態に係る固定方法が完了する。
また、既存の第1支持部材が複数の山形鋼2’である場合は、図6~図9に示すように、山形鋼2’のフランジ21’の向きに応じて適宜固定すればよい。
即ち、図6,図7に示すように、山形鋼2’のフランジ21’が、違う向きに設置されている場合は、各フランジ21’の端部に2つの固定金具5の各爪部51を異なる方向に取り付けて固定する。
一方、図8,図9に示すように、山形鋼2’のフランジ21’が、同じ向きに設置されている場合は、各フランジ21’の端部に2つの固定金具5の各爪部51を同一方向に取り付けて固定する。
このように、本発明では、固定金具5の取り付ける向きを、第1部材のフランジの向きに応じて付け替えるだけで、様々な場合に対応して、固定することができる。また、その場合であっても、フェンスパネル4の固定構造として、人がもたれかかる荷重や風荷重などに耐えられる必要強度を有するものとすることができる。
以上説明した本発明の実施形態に係る固定構造1~1”によれば、固定金具5のプレート部50で掛け止めて梁材2や山形鋼2’のフランジ21,21’をフェンス支柱3との間に挟み込むだけで固定できるので、現場での溶接や穴あけなどの加工作業を不要にすることができる。
また、固定構造1~1”によれば、第1部材の任意の位置に第2部材を固定できるので、例えば、車の転落防止用の梁材に障害物を避けてフェンスの支柱等を固定するこが容易となる。
以上、実施形態に係る固定構造1~1”及び固定方法について詳細に説明したが、前述した又は図示した実施形態は、いずれも本発明を実施するにあたって具体化した一実施形態を示したものに過ぎない。よって、例示した実施形態によって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。
特に、実施形態に係る固定構造として、既存の立体駐車場に新たにフェンスを増設する場合を例示して説明したが、本発明は、第1部材である梁材を含め立体駐車場を新設する場合にも適用できることは云うまでもない。
また、第1部材として長手方向を横方向に設置する横架材を例示し、第2部材として長手方向を縦方向に設置する縦方向材を例示して説明したが、横架材と縦方向材とが逆であっても構わない。その上、第2部材が既設の部材で、その第2部材にフランジを有する第1部材を固定する場合も本発明を適用することができる。要するに、本発明は、二つの部材の何れかの部材にフランジが有り、そのフランジに固定具を用いて他の部材を固定する固定構造には適用することができる。
なお、第2部材であるフェンス支柱にフェンスパネルを設置する場合を例示したが、第2部材に固定する部材は、格子状のフェンスに限られず、板状のパネルなどの盤状材や板材を含むパネル材やその他の部材を取り付ける場合も、本発明を適用することができる。また、本発明は、第2部材に他の部材を取り付けない場合にも適用可能である。
1,1,1”:固定構造
2:梁材(第1部材)
21:フランジ
22:ウェブ
2’:山形鋼(第1部材)
21’:フランジ
3:フェンス支柱(第2部材)
4:フェンス(パネル材)
5:固定金具(固定具)
50:プレート部
50a:挿通孔
51:爪部
52:凹部
6:締結ボルト(締結部材)
7:フックボルト(掛止部材)
8:接続金具
9:スペーサー
S1:床スラブ(構造物)

Claims (8)

  1. フランジを有する第1部材の当該フランジに固定具を用いて、他の第2部材を固定する固定構造であって、
    前記固定具は、前記フランジに端部を掛け止めて固定するプレート状のプレート部と、このプレート部の板面の面外方向に傾斜して突出し、前記第2部材の回転を抑止する爪部と、を備えるとともに、前記プレート部には、締結部材を挿通する挿通孔が中央付近に一つ穿設され、
    前記第2部材は、予めボルト孔が穿設され、
    前記締結部材が前記挿通孔及び前記ボルト孔に挿通されて、前記第2部材と前記固定具とが締め付けられ前記第2部材と前記固定具との間に前記フランジが挟み込まれることにより、第1部材と第2部材とが互いに固定され
    前記爪部は、一対設けられ、それら一対の爪部の間に前記第2部材を挟み込んで前記第2部材の回転を抑止すること
    を特徴とする固定構造。
  2. 前記固定具は、複数設けられ、前記フランジの端部に各固定具の前記爪部が異なる方向に取り付けられているか、又は、前記第1部材が複数あり、各第1部材のフランジから各固定具の前記爪部が同一方向に取り付けられていることにより、前記第2部材が2か所以上で固定されていること
    を特徴とする請求項1に記載の固定構造。
  3. 前記固定具と前記第2部材との間には、前記フランジの厚さに応じたスペーサーが介装されて前記固定具と前記第2部材とが前記締結部材で締結されていること
    を特徴とする請求項1又は2に記載の固定構造。
  4. フランジを有する第1部材の当該フランジに他の第2部材を固定する固定具であって、
    前記フランジに端部を掛け止めて固定するプレート状のプレート部と、このプレート部の板面の面外方向に傾斜して突出し、前記第2部材を挟み込む間隔で一対設けられて前記第2部材の回転を抑止する爪部と、を備えるとともに、前記プレート部には、前記第2部材を締結する締結部材を挿通する挿通孔が中央付近に一つ穿設され
    前記爪部は、前記第2部材を挟み込むように一対設けられていること
    を特徴とする固定具。
  5. フランジを有する第1部材の当該フランジに、他の第2部材を固定する固定方法であって、
    前記第2部材を締結する締結部材を挿通する挿通孔が中央付近に一つ穿設されて前記フランジに端部を掛け止めて固定するプレート状のプレート部と、このプレート部の板面の面外方向に傾斜して突出し、前記第2部材を挟み込む間隔で一対設けられて前記第2部材の回転を抑止する爪部と、を備える固定具を用い、
    前記締結部材を前記挿通孔及び前記第2部材に予め穿設されたボルト孔に挿通して前記第2部材と前記固定具とを締め付けて前記第2部材と前記固定具との間に前記フランジを挟み込み、前記フランジに前記第2部材を回転不能に固定すること
    を特徴とする固定方法。
  6. 前記フランジの端部に前記固定具を複数設けて、それぞれの固定具の各爪部を異なる方向に取り付けて前記第2部材を2か所以上で固定すること
    を特徴とする請求項に記載の固定方法。
  7. 複数の前記第1部材の各フランジから複数の前記固定具の各爪部を同一方向に取り付けて前記第2部材を2か所以上で固定すること
    を特徴とする請求項に記載の固定方法。
  8. 前記固定具と前記第2部材との間に、前記フランジの厚さに応じたスペーサーを介装して前記固定具と前記第2部材とを前記締結部材で締結すること
    を特徴とする請求項ないしのいずれかに記載の固定方法。
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