JP7350436B2 - 切削ブレード及び加工方法 - Google Patents

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本発明は、ウェーハを切削するための切削ブレード、及び、該切削ブレードを用いてウェーハを加工する加工方法に関する。
デバイスチップの製造工程においては、例えば、IC(Integrated Circuit)、LSI(Large Scale Integration)等でなるデバイスを構成する各種の膜(導電膜、絶縁膜など)を含む膜層(機能層)が表面側に形成されたウェーハが用いられる。このウェーハは互いに交差するように格子状に配列された複数のストリート(分割予定ライン)によって区画されており、該領域にそれぞれデバイスが形成されている。
ウェーハをストリートに沿って分割することにより、デバイスをそれぞれ備える複数のデバイスチップが得られる。このウェーハの分割には、例えば切削装置が用いられる。切削装置は、ウェーハを保持するチャックテーブルと、ダイヤモンド等の砥粒がボンド材によって固定された環状の切削ブレードが装着されるスピンドルとを備えている。
スピンドルに切削ブレードを装着してスピンドルを回転させると、切削ブレードはスピンドルの軸心を回転軸として回転する。この状態で切削ブレードをウェーハに切り込ませることにより、ウェーハが切削される。そして、全てのストリートに沿ってウェーハが切削されると、ウェーハは複数のデバイスチップに分割される。
近年、デバイスの処理能力を向上させるため、デバイスの層間絶縁膜として低誘電率絶縁膜(Low-k膜)を用いる手法が実用化されている。また、デバイスの保護を目的として、デバイスを覆うようにパッシベーション膜が形成されることがある。この低誘電率絶縁膜やパッシベーション膜などの絶縁膜を含む膜層がデバイスを区画するストリートにまで形成されている場合、ウェーハをストリートに沿って切削ブレードで切削すると、切削ブレードの砥粒が膜層に接触する。
切削ブレードの砥粒と膜層に含まれる絶縁膜とが接触すると、絶縁膜が砥粒に引っ張られて剥離してしまうことがある。そして、この剥離がデバイスの形成された領域まで進行すると、デバイスが損傷する恐れがある。そのため、低誘電率絶縁膜やパッシベーション膜などを含む膜層がストリートに形成されている場合、切削ブレードでウェーハを適切に分割することが困難になる。
そこで、ストリートに形成された膜層の除去にレーザー加工装置を用いる手法が提案されている。特許文献1には、まずウェーハにレーザービームを照射することによってストリートに形成された低誘電率絶縁膜を除去し、その後、切削ブレードでウェーハをストリートに沿って切削する手法が開示されている。この手法を用いることにより、切削ブレードと低誘電率絶縁膜との接触を回避し、低誘電率絶縁膜の剥離に起因するデバイスの損傷を防止できる。
特開2005-64231号公報
上記のように、低誘電率絶縁膜やパッシベーション膜のような絶縁膜を含む膜層がストリートに形成されたウェーハを切削ブレードによって切削すると、絶縁膜の剥離によるデバイスの損傷が生じる恐れがある。また、レーザービームの照射によって膜層を除去する手法を用いる場合、切削装置に加えて更にレーザー加工装置が必要となり、ウェーハの分割に必要な工程や設備のコストが増大する。
本発明はかかる問題に鑑みてなされたものであり、絶縁膜の剥離を回避しつつウェーハを簡易に分割することを可能とする切削ブレードの提供、及び、該切削ブレードを用いてウェーハを加工する加工方法の提供を課題とする。
本発明の一態様によれば、格子状に配列された複数のストリートによって区画された複数の領域にデバイスが形成されるとともに、該ストリートに絶縁膜を含む膜層が形成されたウェーハの、該膜層を該ストリートに沿って切削する切削ブレードであって、該膜層以上の硬度を有する繊維状物質と、該繊維状物質を固定するボンド材とを含み、砥粒を含まず、該ストリートの幅未満の厚さを有する環状の切れ刃を備え、該繊維状物質は該ボンド材から突出している切削ブレードが提供される。
なお、好ましくは、該繊維状物質は、カーボンナノチューブ、窒化ホウ素ナノチューブ、又はシリコンナノチューブである。また、好ましくは、該切削ブレードは、該絶縁膜として低誘電率絶縁膜又はパッシベーション膜を含む該膜層を切削する。
また、本発明の一態様によれば、該切削ブレードを用いて該ウェーハを加工する加工方法であって、該ウェーハをチャックテーブルによって保持するステップと、該ウェーハを保持した該チャックテーブルと該切削ブレードとを相対的に移動させ、該ボンド材から突出した該繊維状物質を該膜層に接触させることにより、該膜層を該ストリートに沿って除去するステップとを備える加工方法が提供される。なお、好ましくは、該膜層を該ストリートに沿って除去するステップでは、該ボンド材を該膜層に接触させずに該繊維状物質を該膜層に接触させる。
本発明の一態様に係る切削ブレードは、繊維状物質がボンド材によって固定された切れ刃を備える。そして、この切削ブレードをストリートに沿ってウェーハに切り込ませると、膜層に含まれる絶縁膜が繊維状物質によって切削され、除去される。このように、膜層の除去に繊維状物質を含む切削ブレードを用いると、膜層に含まれる絶縁膜の剥離が抑制され、デバイスの損傷が防止される。
また、本実施形態に係る切削ブレードを用いることにより、膜層の除去を切削装置によって実施できる。そのため、膜層の除去のためにレーザー加工装置等を準備する必要がなく、ウェーハの分割工程の簡易化、及び装置のコストの低減を図ることができる。
図1(A)はウェーハを示す斜視図であり、図1(B)はウェーハを示す断面図である。 図2(A)は切れ刃からなる切削ブレードを示す斜視図であり、図2(B)は基台及び切れ刃を備える切削ブレードを示す斜視図である。 図3(A)は切削ブレードを示す正面図であり、図3(B)は切削ブレードの切れ刃の先端部を示す拡大正面図である。 切削装置を示す斜視図である。 切削ユニットを示す斜視図である。 図6(A)は切削装置によってウェーハが加工される様子を示す断面図であり、図6(B)は切削ブレードによって膜層が切削される様子を示す拡大断面図である。 製造装置を示す断面図である。 図8(A)は電鋳層が形成された基台を示す断面図であり、図8(B)は電鋳層を示す拡大断面図であり、図8(C)は電鋳層が基台から剥離される様子を示す断面図である。
以下、添付図面を参照して本発明の実施形態を説明する。まず、本実施形態に係る切削ブレードによって加工することが可能なウェーハの構成例について説明する。図1(A)はウェーハ11を示す斜視図であり、図1(B)はウェーハ11を示す断面図である。
ウェーハ11は、シリコン等の材料でなり表面13a及び裏面13bを有する円盤状の基板13を備える。基板13の表面13a側には、IC(Integrated Circuit)、LSI(Large Scale Integration)等でなるデバイス17を構成する各種の膜(導電膜、絶縁膜など)を含む膜層(機能層)15が形成されている。また、ウェーハ11は互いに交差するように格子状に配列された複数のストリート(分割予定ライン)19によって複数の領域に区画されており、該領域にそれぞれデバイス17が形成されている。
基板13の材質、形状、構造、大きさ等に制限はない。例えば基板13として、シリコン以外の半導体(SiC、GaAs、InP、GaNなど)、サファイア、セラミックス、樹脂、金属等でなる基板を用いることもできる。また、デバイス17の種類、数量、形状、構造、大きさ、配置等にも制限はない。
膜層15には、デバイス17を構成する導電膜(電極等)や、デバイス17の層間絶縁膜等として用いられる低誘電率絶縁膜(Low-k膜)、デバイス17を保護するパッシベーション膜等の絶縁膜が含まれる。低誘電率絶縁膜は、SiOF、SiOC、BSG(SiOB)等の無機物や、ポリイミド系、パリレン系のポリマー等でなる有機物などの材料からなる絶縁膜である。また、パッシベーション膜は、シリコン窒化膜やシリコン酸化膜等でなり、例えば複数のデバイス17を覆うように形成される絶縁膜である。
膜層15の一部は、デバイス17に隣接するストリート19にも形成されている。図1(B)に示す膜層(機能層)15aは、膜層15のうち、ストリート19に形成された領域に相当する。この膜層15aには、低誘電率絶縁膜やパッシベーション膜等の絶縁膜が含まれている。
ストリート19に沿って基板13及び膜層15aを切断することにより、ウェーハ11はデバイス17をそれぞれ備える複数のデバイスチップに分割される。例えばウェーハ11の分割には、ウェーハ11を保持するチャックテーブルと、ウェーハ11を切削するための切削ブレードが装着されるスピンドルとを備える切削装置が用いられる。
切削ブレードは、例えばダイヤモンド等でなる砥粒をボンド材によって固定して構成される。この切削ブレードをスピンドルに装着し、切削ブレードを回転させながらウェーハ11に切り込ませることにより、ウェーハ11が切削される。
上記の切削ブレードをウェーハ11に切り込ませると、膜層15aに含まれる絶縁膜(低誘電率絶縁膜やパッシベーション膜など)が切削ブレードの砥粒と接触する。このとき、砥粒が絶縁膜に深く切り込み、絶縁膜が砥粒に引っ張られて剥離してしまうことがある。そして、この剥離がデバイス17の形成された領域まで進行すると、デバイス17が損傷する恐れがある。
そこで、本実施形態においては、繊維状物質がボンド材によって固定された切れ刃を備える切削ブレードを用いて、ストリート19に形成された膜層15aを切削する。この切削ブレードを用いると、繊維状物質が膜層15aに接触することによって膜層15aが切削される。
繊維状物質は、上記の砥粒よりも柔軟で変形しやすく、膜層15aに含まれる絶縁膜に深く切り込みにくい。そのため、繊維状物質によって膜層15aを切削しても、膜層15aに含まれる絶縁膜は繊維状物質に引っ張られにくく、絶縁膜の剥離は生じにくい。その結果、絶縁膜の剥離に起因するデバイス17の損傷が抑制される。
以下、本実施形態に係る切削ブレードの構成例について説明する。本実施形態に係る切削ブレードの構成例を図2に示す。
図2(A)は、切れ刃23からなる切削ブレード21を示す斜視図である。切削ブレード21は、中央部に円形の開口23aを有する環状の切れ刃23によって構成されている。環状の切れ刃23によって構成された切削ブレード21は、ワッシャータイプ(ワッシャーブレード)と呼ばれる。
図2(B)は、基台27及び切れ刃29を備える切削ブレード25を示す斜視図である。切削ブレード25は、中央部に円形の開口27aを有する環状の基台27と、基台27の外縁部に形成された環状の切れ刃29とによって構成される。基台27の外縁部に切れ刃29が形成された切削ブレード25は、ハブタイプ(ハブブレード)と呼ばれる。
また、基台27は切削ブレード25の幅方向に突出した環状の把持部27bを有する。切削装置を用いて被加工物を加工する際、切削装置の使用者(オペレータ)は把持部27bを持って切削ブレード25を切削装置に装着することができる。
図3(A)は切削ブレード21を示す正面図であり、図3(B)は切削ブレード21の切れ刃23の先端部を示す拡大正面図である。図3(B)では、切れ刃23の先端部23bを拡大して示している。
切れ刃23は、ボンド材31によって複数の繊維状物質33を固定することによって構成されている。ボンド材31としては、メタルボンド、レジンボンド、ビトリファイドボンドなどを用いることができる。
繊維状物質33は、糸状又はチューブ状の物質によって構成され、その硬度が膜層15aの硬度以上である繊維状の物質である。繊維状物質33はボンド材31によって固定されており、図3(B)に示すように、繊維状物質33の一部はボンド材31の外周部の表面から突出している。なお、繊維状物質33の材質は、膜層15aの材質(膜層15aの硬度)等に応じて適宜選択される。
繊維状物質33としては、直径がnmオーダー(例えば1nm以上100nm以下)のファイバー状のナノ物質(ナノファイバ)が用いることができる。例えば、中空のファイバー状のナノ物質(ナノチューブ)や、中実のファイバー状のナノ物質(ナノワイヤ、ナノロッド)等を用いることができる。繊維状物質33の具体例としては、カーボンナノチューブ(CNT)、窒化ホウ素ナノチューブ(BNNT)、シリコンナノチューブ等が挙げられる。
ただし、繊維状物質33のサイズは上記に限定されない。例えば、繊維状物質33として、直径がμmオーダー(例えば1μm以上10μm以下)のファイバー状の物質を用いてもよい。この物質は、中空のファイバー状であってもよいし(マイクロチューブ)、中実のファイバー状であってもよい(マイクロワイヤ、マイクロロッド)。
なお、図3では切削ブレード21の切れ刃23について説明したが、図2(B)に示す切削ブレード25の切れ刃29も同様に構成できる。
切削ブレード21は、切削装置に備えられたスピンドルの先端部に装着され、スピンドルによって回転可能な態様で支持される。切削ブレード21がスピンドルに装着された状態でスピンドルを回転させると、切削ブレード21はスピンドルの軸心を回転軸として回転する。そして、回転した状態の切削ブレード21をストリート19に沿ってウェーハ11に切り込ませることにより、膜層15aが切削される。
次に、切削ブレード21が装着される切削装置の構成例について説明する。図4は、切削装置2を示す斜視図である。
切削装置2は、切削装置2を構成する各構成要素を支持する基台4を備える。基台4の前方の角部には開口4aが形成されており、この開口4a内には昇降機構(不図示)によって鉛直方向(Z軸方向)に移動するカセット支持台6が設けられている。カセット支持台6の上面には、複数のウェーハ11を収容するカセット8が搭載される。なお、図4ではカセット8の輪郭を二点鎖線で示している。
ウェーハ11は、中央部に円形の開口を備える環状フレーム43によって支持された状態でカセット8に収容される。具体的には、ウェーハ11の裏面側(基板13の裏面13b側、図1参照)は、樹脂等の材料でなりウェーハ11よりも径の大きい円形のテープ41の中央部に貼付される。また、テープ41の外周部は環状フレーム43に貼付される。これにより、ウェーハ11はテープ41を介して環状フレーム43に支持される。
基台4の前方側には、オペレータが加工条件等を入力するための操作パネル10が設けられている。また、開口4aの後方には、ウェーハ11のカセット8からの搬出、及びウェーハ11のカセット8への搬入を行う搬送機構12が設けられている。
カセット8と搬送機構12との間には、カセット8から搬出されたウェーハ11、又はカセット8に搬入されるウェーハ11が仮置きされる領域である仮置き領域14が設けられている。この仮置き領域14には、ウェーハ11の位置合わせを行う位置合わせ機構16が設けられている。
仮置き領域14の近傍には、環状フレーム43を吸着してウェーハ11を搬送する旋回アームを備える搬送機構18が設けられている。また、開口4aの側方には、ウェーハ11を保持するチャックテーブル20が設けられている。チャックテーブル20の上面は、ウェーハ11を保持する保持面20aを構成している。また、チャックテーブル20の周囲には、環状フレーム43を四方から固定するための4個のクランプ22が設けられている。
チャックテーブル20は、モータ等の回転駆動源(不図示)と接続されており、鉛直方向に概ね平行な回転軸の周りに回転する。また、チャックテーブル20の下方には移動機構(不図示)が設けられており、この移動機構はチャックテーブル20を加工送り方向(X軸方向)に移動させる。さらに、チャックテーブル20の保持面20aは、チャックテーブル20の内部に形成された吸引路(不図示)等を介してエジェクタ等の吸引源(不図示)と接続されている。
カセット8に収容されたウェーハ11は、搬送機構12によって仮置き領域14に搬送される。そして、仮置き領域14に配置されたウェーハ11は、搬送機構18によってチャックテーブル20上に搬送され、テープ41を介して保持面20aで支持される。また、クランプ22によって環状フレーム43が固定される。この状態で保持面20aに吸引源の負圧を作用させることにより、ウェーハ11は基板13の表面13a側(膜層15側、図1参照)が上方に露出した状態でチャックテーブル20によって吸引保持される。
チャックテーブル20の上方には、チャックテーブル20によって保持されたウェーハ11を切削する切削ユニット24が設けられている。切削ユニット24には、例えば切削ブレード21(図2(A)参照)が装着される。切削ユニット24は移動機構(不図示)と接続されており、この移動機構は切削ユニット24を割り出し送り方向(Y軸方向)及び鉛直方向(Z軸方向)に沿って移動させる。
図5は、切削ユニット24を示す斜視図である。切削ユニット24は、筒状のスピンドルハウジング26を備える。このスピンドルハウジング26には、加工送り方向(X軸方向)に対して概ね垂直な方向に回転軸をとるスピンドル28が回転可能な状態で収容されており、スピンドル28はモータ等の回転駆動源(不図示)と連結されている。また、スピンドル28の先端部はスピンドルハウジング26の外部に露出しており、このスピンドル28の先端部にはマウントフランジ30が固定されている。
マウントフランジ30は、固定フランジ30aと、固定フランジ30aと接続されたボス部30bとを備え、ボス部30bには雄ねじ部30cが形成されている。このマウントフランジ30は、固定ナット32によってスピンドル28の先端部に固定されている。
切削ブレード21の切れ刃23が備える開口23a、及び着脱フランジ34の開口34aにマウントフランジ30のボス部30bを挿入した状態で、固定ナット36を雄ねじ部30cに締め付けることにより、切削ブレード21がスピンドル28の先端部に装着される。この状態でスピンドル28を回転駆動源によって回転させることにより、切削ブレード21が回転する。
なお、ここでは図2(A)に示すワッシャータイプの切削ブレード21がスピンドル28に装着される例について説明したが、スピンドル28には図2(B)に示すハブタイプの切削ブレード25を装着してもよい。
図4に示すチャックテーブル20のX軸方向における移動経路の上方には、ウェーハ11のストリート19の位置を検出する検出機構38が設けられている。検出機構38は、ウェーハ11の表面側(膜層15側、図1(A)及び図1(B)参照)を撮像するカメラ等でなる撮像ユニット40を備える。撮像ユニット40によって取得された画像に基づき、切削ブレード21によって切削されるストリート19が選択される。
チャックテーブル20の後方には、ウェーハ11を洗浄する洗浄ユニット42が設けられている。また、洗浄ユニット42の上方には、ウェーハ11をチャックテーブル20上から洗浄ユニット42に搬送する搬送機構44が設けられている。
切削ユニット24によるウェーハ11の加工が完了すると、ウェーハ11は搬送機構44によってチャックテーブル20上から洗浄ユニット42に搬送され、洗浄ユニット42によるウェーハ11の洗浄及び乾燥が行われる。その後、ウェーハ11は搬送機構18によって仮置き領域14に搬送され、搬送機構12によってカセット8に収容される。
また、切削装置2はその上部に、撮像ユニット40によって撮像された画像や、オペレータに参照される情報などが表示される表示部46を備える。
図6(A)は、切削装置2によってウェーハ11が加工される様子を示す断面図である。ウェーハ11を加工する際は、まず、テープ41を介してウェーハ11をチャックテーブル20の保持面20aで支持するとともに、クランプ22によって環状フレーム43を固定する。この状態で、保持面20aに吸引源の負圧を作用させることにより、ウェーハ11は表面側(膜層15側)が上方に露出した状態でチャックテーブル20によって吸引保持される。
次に、ストリート19の延長線上に切削ブレード21が配置されるとともに、切削ブレード21の下端がストリート19に形成された膜層15aの表面よりも下方に配置されるように、切削ユニット24の位置を調整する。また、ストリート19が加工送り方向(X軸方向)と概ね平行となるように、チャックテーブル20の角度を調整する。
そして、切削ブレード21を回転させながらチャックテーブル20を加工送り方向(X軸方向)に移動させる。これにより、切削ブレード21とチャックテーブル20とが相対的に移動して切削ブレード21が膜層15aに切り込み、膜層15aがストリート19に沿って切削される。
図6(B)は、切削ブレード21によって膜層15aが切削される様子を示す拡大断面図である。切削ブレード21の切れ刃23は、その厚さ(幅)がストリート19の幅(隣接する2つのデバイス17の間の距離)未満となるように形成されている。そして、ウェーハ11を切削する際は、切れ刃23がデバイス17に接触することなくストリート19に沿って切り込むように、切削ユニット24の割り出し送り方向(Y軸方向)における位置が調整される。
また、図6(B)に示すように、切削ブレード21の先端ではボンド材31から繊維状物質33が突出している。そして、切削ブレード21の鉛直方向(Z軸方向)における位置(高さ)は、ボンド材31が膜層15aに接触せず、且つ、繊維状物質33が膜層15aと接触するように調整されている。そのため、切削ブレード21をウェーハ11に切り込ませると、繊維状物質33が膜層15aに接触し、膜層15aが切削される。
繊維状物質33は、基板13の表面13aに達する切削溝15b(図6(A)参照)が膜層15aに形成されるように、膜層15aを切削する。これにより、ストリート19に形成された膜層15aの一部が除去される。
なお、ボンド材31を膜層15aに接触させずに繊維状物質33によって膜層15aを切削する場合、膜層15aの厚さによっては、一度の切削では膜層15aが除去されないことがある。この場合は、切削ブレード21の高さを変えながら一のストリート19に沿って切削ブレード21を複数回切り込ませることにより、膜層15aを除去する。
このように、繊維状物質33によって膜層15aを切削すると、例えばダイヤモンドでなる砥粒を含む切削ブレードを膜層15aに接触させて切削加工を行う場合と比較して、膜層15aに含まれる絶縁膜(低誘電率絶縁膜、パッシベーション膜など)の剥離が生じにくい。これは、繊維状物質33が砥粒よりも柔軟で変形しやすく、膜層15aに含まれる絶縁膜に深く切り込みにくいことに起因すると推察される。
その後、他のストリート19に形成された膜層15aに対して同様の加工を繰り返し、全てのストリート19に沿って切削溝15bを形成する。これにより、全てのストリート19に沿って膜層15aが除去される。
切削溝15bを形成した後、ストリート19に沿って基板13を切断することにより、ウェーハ11がデバイス17をそれぞれ備える複数のデバイスチップに分割される。このウェーハ11の分割には、例えばダイヤモンド等でなる砥粒がボンド材によって固定されたウェーハ分割用の切削ブレードを用いることができる。
具体的には、まず、切削ユニット24(図4参照)に装着された切削ブレード21を取り外し、上記のウェーハ分割用の切削ブレードを切削ユニット24に装着する。ただし、分割用の切削ブレードとしては、切削ブレード21よりも厚さ(幅)が小さいものを用いる。
次に、分割用の切削ブレードの下端が基板13の裏面13bよりも下方に位置付けられるように切削ユニット24を配置する。そして、分割用の切削ブレードを回転させながらチャックテーブル20を加工送り方向(X軸方向)に移動させる。これにより、基板13が切削溝15bに沿って切断される。
なお、切削ユニット24のY軸方向における位置は、分割用の切削ブレードが切削溝15bの内側に切り込むように調整される。そのため、分割用の切削ブレードは基板13を切削する際に膜層15に含まれる絶縁膜には接触しない。よって、分割用の切削ブレードに含まれる砥粒と膜層15とが接触することによる絶縁膜の剥離が回避される。
そして、上記の工程を繰り返し、全ての切削溝15bに沿って基板13を切断すると、ウェーハ11が複数のデバイスチップに分割される。
以上の通り、本実施形態に係る切削ブレード21は、繊維状物質33がボンド材31によって固定された切れ刃23を備える。そして、この繊維状物質33をストリート19に沿ってウェーハ11に切り込ませると、膜層15aに含まれる絶縁膜が繊維状物質33によって切削され、除去される。このように、繊維状物質33によって膜層15aの除去を行うことにより、膜層15aに含まれる絶縁膜の剥離が抑制され、デバイス17の損傷が防止される。
また、本実施形態に係る切削ブレードを用いることにより、膜層15aの除去を切削装置2によって実施できる。そのため、膜層15aの除去のためにレーザー加工装置等を準備する必要がなく、ウェーハ11の分割工程の簡易化、及び装置のコストの低減を図ることができる。
なお、本実施形態では、ボンド材31の下端が膜層15aの上面よりも上方に位置付けられる例について説明したが(図6(B)参照)、ボンド材31の先端部が繊維状物質33によって適切に覆われている場合には、ボンド材31の下端が膜層15aの上面よりも僅かに下方に位置付けられていてもよい。この場合、ボンド材31の先端部を覆う繊維状物質33によってボンド材31と膜層15aとの接触が防止されるため、膜層15aに含まれる絶縁膜の剥離は生じにくい。
また、本実施形態では主にワッシャータイプの切削ブレード21を用いて膜層15aを除去する例について説明したが、膜層15aを除去には図2(B)に示すハブタイプの切削ブレード25を用いることもできる。
次に、ボンド材と繊維状物質とを備える切れ刃からなる切削ブレードの製造方法の例について説明する。切削ブレードは、例えば電鋳等の方法によって製造できる。
図7は、切削ブレードの製造に用いられる製造装置50を示す断面図である。切削ブレードを製造する際はまず、電解液54が収容された浴槽52を準備する。電解液54の材料は任意に選択でき、例えば、硫酸ニッケルや硝酸ニッケル等のニッケルを含む電解液を用いることができる。
電解液54には、切削ブレードの切れ刃に含ませる繊維状物質56が混合される。なお、繊維状物質56は、その表面を修飾することによって可溶化させた後、電解液54に添加する。また、電解液54には、繊維状物質56を電解液54中に概ね均等に分散させるための分散剤(界面活性剤など)が、繊維状物質56とともに添加される。
次に、ステンレスやアルミニウム等の金属材料で形成された円盤状の基台58と、ニッケル等でなる電極60とを、浴槽52内の電解液54に浸漬させる。なお、基台58の表面には、切削ブレードの切れ刃の形状に対応したマスク62が形成されている。図2(A)に示すような環状の切れ刃を形成する場合には、平面視で環状の開口62aを有するマスク62が形成される。
また、基台58はスイッチ64を介して直流電源66のマイナス端子(負極)に接続され、電極60は直流電源66のプラス端子(正極)に接続される。なお、スイッチ64は電極60と直流電源66との間に配置されてもよい。
次に、モータ等で構成される回転駆動源68によってファン70を回転させて電解液54を攪拌しながら、スイッチ64を短絡させる。これにより、基台58を陰極、電極60を陽極として電解液54に直流電流が流れ、基台58の表面に電鋳層が電着される。
図8(A)は、電鋳層72が形成された基台58を示す断面図であり、図8(B)は電鋳層72を示す拡大断面図である。基台58の表面のマスク62で覆われていない領域(開口62aの内部)には、環状の電鋳層72が形成される。図8(B)に示すように、基台58の表面に形成された電鋳層72には、電解液54に添加された繊維状物質56が含有されている。
その後、基台58を浴槽52から取り出し、基台58の表面に形成された電鋳層72を基台58から剥離する。これにより、中央部に円形の開口72aを有する環状の電鋳層72が基台58から分離される。図8(C)は、電鋳層72が基台58から剥離される様子を示す断面図である。
その後、必要に応じて電鋳層72の表面をエッチングし、繊維状物質56を電鋳層72の表面から突出させる。これにより、図3(B)に示すような、ボンド材31から繊維状物質33が突出した切れ刃23によって構成される切削ブレード21が得られる。
なお、ここでは一例として、ワッシャータイプの切削ブレードの製造方法について説明したが、ハブタイプの切削ブレード25(図2(B)参照)も同様の方法によって製造できる。この場合、基台58に代えて、基台27を浴槽52内の電解液54に浸漬する。また、マスク62は、基台27の外周部以外の領域を覆うように形成する。
その他、上記実施形態に係る構造、方法等は、本発明の目的の範囲を逸脱しない限りにおいて適宜変更して実施できる。
11 ウェーハ
13 基板
13a 表面
13b 裏面
15,15a 膜層(機能層)
15b 切削溝
17 デバイス
19 ストリート(分割予定ライン)
21 切削ブレード
23 切れ刃
23a 開口
23b 先端部
25 切削ブレード
27 基台
27a 開口
27b 把持部
29 切れ刃
31 ボンド材
33 繊維状物質
41 テープ
43 環状フレーム
2 切削装置
4 基台
4a 開口
6 カセット支持台
8 カセット
10 操作パネル
12 搬送機構
14 仮置き領域
16 位置合わせ機構
18 搬送機構
20 チャックテーブル
20a 保持面
22 クランプ
24 切削ユニット
26 スピンドルハウジング
28 スピンドル
30 マウントフランジ
30a 固定フランジ
30b ボス部
30c 雄ねじ部
32 固定ナット
34 着脱フランジ
34a 開口
36 固定ナット
38 検出機構
40 撮像ユニット
42 洗浄ユニット
44 搬送機構
46 表示部
50 製造装置
52 浴槽
54 電解液
56 繊維状物質
58 基台
60 電極
62 マスク
62a 開口
64 スイッチ
66 直流電源
68 回転駆動源
70 ファン
72 電鋳層
72a 開口

Claims (5)

  1. 格子状に配列された複数のストリートによって区画された複数の領域にデバイスが形成されるとともに、該ストリートに絶縁膜を含む膜層が形成されたウェーハの、該膜層を該ストリートに沿って切削する切削ブレードであって、
    該膜層以上の硬度を有する繊維状物質と、該繊維状物質を固定するボンド材とを含み、砥粒を含まず、該ストリートの幅未満の厚さを有する環状の切れ刃を備え、
    該繊維状物質は該ボンド材から突出していることを特徴とする切削ブレード。
  2. 該繊維状物質は、カーボンナノチューブ、窒化ホウ素ナノチューブ、又はシリコンナノチューブであることを特徴とする請求項1に記載の切削ブレード。
  3. 該絶縁膜として低誘電率絶縁膜又はパッシベーション膜を含む該膜層を切削することを特徴とする請求項1又は2に記載の切削ブレード。
  4. 請求項1乃至3のいずれかに記載の切削ブレードを用いて該ウェーハを加工する加工方法であって、
    該ウェーハをチャックテーブルによって保持するステップと、
    該ウェーハを保持した該チャックテーブルと該切削ブレードとを相対的に移動させ、該ボンド材から突出した該繊維状物質を該膜層に接触させることにより、該膜層を該ストリートに沿って除去するステップとを備えることを特徴とする加工方法。
  5. 該膜層を該ストリートに沿って除去するステップでは、該ボンド材を該膜層に接触させずに該繊維状物質を該膜層に接触させることを特徴とする請求項4に記載の加工方法。
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