JP7345412B2 - クリヤ塗装ステンレス鋼板 - Google Patents

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Description

本発明は、クリヤ塗装ステンレス鋼板に関する。
ステンレス鋼板はステンレス特有の美麗な金属光沢を活かした高級感のある外観が得られることから、家庭用や業務用の電化製品の筐体や内装材、外装材に広く使われている。
電化製品に使用されるステンレス鋼板は、非塗装で使用されるものと、表面に塗装を施して使用されるものとに大別される。特に、電化製品の外装材として使用されるステンレス鋼板は、意匠性を付与したり、耐食性や耐汚染性等を高めたりする目的からステンレス鋼板の表面(品質保証面)を塗装して使用される場合が多い。
ステンレス鋼板の表面に塗装が施されてクリヤ樹脂層が形成されたクリヤ塗装ステンレス鋼板においては、意匠性を高めるために、クリヤ樹脂層に顔料を配合する場合がある。
クリヤ塗装ステンレス鋼板は、クリヤ樹脂層の透明性により金属表面が透けて見えることで高い意匠性を維持しているが、クリヤ樹脂層の色調が濃くなるにつれて、クリヤ樹脂層中の顔料の含有量が増えていくため、必然的にクリヤ樹脂層の透明性は低下する傾向にある。
そこで、クリヤ樹脂層中の顔料の粒子径等を規定することで、クリヤ樹脂層の透明性と濃い色調とを両立させたクリヤ塗装ステンレス鋼板が提案されている(特許文献1)。
特開2013-233816号公報
近年、洗剤や衣料等、いわゆる消臭剤以外の製品において、消臭効果を有する製品が増えている。消臭効果を有する製品としては、洗剤や衣料以外にも、例えば消臭剤を配合した塗料や、該塗料が塗装された製品などがある。
しかしながら、消臭剤を配合した塗料をステンレス鋼板に塗装すると、クリヤ樹脂層の透明性が十分に得られず、クリヤ塗装ステンレス鋼板の意匠性が低下することがある。そのため、消臭効果を有するクリヤ塗装ステンレス鋼板は、未だ見出されていないのが現状である。
本発明の課題は、意匠性を損なうことなく、消臭効果に優れるクリヤ塗装ステンレス鋼板を提供することにある。
本発明者らは鋭意検討した結果、消臭剤を配合した塗料をステンレス鋼板に塗装すると、クリヤ樹脂層の透明性が十分に得られにくくなる原因が、塗料に配合される消臭剤の粒子径であることを見出した。すなわち、粒子径の大きい消臭剤を配合した塗料をステンレス鋼板に塗装すると、消臭剤によりクリヤ樹脂層の可視光の透過が遮蔽されてしまい、クリヤ樹脂層の透明性が低下しやすくなる。しかし、クリヤ樹脂層の透明性を考慮して粒子径の小さい消臭剤を用いると、塗料中で分散しにくくなり、十分な消臭効果が得られにくくなる。
そこで、クリヤ樹脂層に含まれる顔料および消臭剤の粒子径を規定しつつ、特定の分散剤を併用することで、意匠性と消臭効果を両立できるとの着想に基づき、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下の態様を有する。
[1] ステンレス鋼板と、該ステンレス鋼板の少なくとも一方の面に形成されたクリヤ樹脂層とを具備し、前記クリヤ樹脂層は、熱硬化性樹脂を含有する熱硬化性樹脂組成物と、平均粒子径が10~1100nmであり、かつ顔料分散粒度が5~20μmである顔料と、平均粒子径が5~300nmである消臭剤と、前記顔料用の分散剤(α)と、前記消臭剤用の分散剤(β)とを含み、前記クリヤ樹脂層の顔料容積濃度が0.8~2.5%であり、前記分散剤(β)がリン酸基を含む分散剤である、クリヤ塗装ステンレス鋼板。
[2] 前記顔料と前記分散剤(α)の組み合わせが、下記(A)~(C)のいずれかである、前記[1]のクリヤ塗装ステンレス鋼板。
(A):前記顔料が酸性顔料であり、前記分散剤(α)が塩基性分散剤である組み合わせ。
(B):前記顔料が塩基性顔料であり、前記分散剤(α)が酸性分散剤である組み合わせ。
(C):前記顔料が両性顔料であり、前記分散剤(α)が両性分散剤である組み合わせ。
本発明によれば、意匠性を損なうことなく、消臭効果に優れるクリヤ塗装ステンレス鋼板を提供できる。
本発明のクリヤ塗装ステンレス鋼板の一実施形態例を模式的に示す断面図である。
以下、本発明のクリヤ塗装ステンレス鋼板の一実施形態例について説明する。
図1は、本発明のクリヤ塗装ステンレス鋼板の一実施形態例を模式的に示す断面図である。
本実施形態例のクリヤ塗装ステンレス鋼板10は、ステンレス鋼板11と、該ステンレス鋼板11の一方の面に形成されたクリヤ樹脂層12とを具備して構成されている。
なお、図1においては、説明の便宜上、寸法比は実際のものと異なったものである。
また、本発明において、「クリヤ」とは、可視光領域の光線透過率が30%以上のことである。可視光領域の光線透過率は、分光光度計を用いて、380nm~750nmの波長範囲で測定した光線透過率である。
クリヤ樹脂層12の可視光領域の光線透過率が30%未満であると、可視光は僅かに透過しているものの、目視ではステンレス鋼板11を殆ど見ることはできない。そのため、ステンレスの持つ美麗な外観を活かした意匠は得られない。
特に、クリヤ樹脂層12の可視光透過率は40%以上であることが好ましく、50%以上であることがより好ましい。
「ステンレス鋼板」
ステンレス鋼板11としては、フェライト系、マルテンサイト系、オーステナイト系、オーステナイト・フェライト系(二相系)など、一般に使用される公知のステンレス鋼板を用いることができる。
ステンレス鋼板11の表面は、クリヤ樹脂層12が形成される前に研磨処理が施されていてもよい。
研磨処理としては、No.4研磨、ヘアライン(HL)研磨、2B研磨など、一般に使用される研磨方法が挙げられる。
また、ステンレス鋼板11のクリヤ樹脂層12が形成される表面は、クリヤ樹脂層12が形成される前に化成処理が施されていてもよい。ステンレス鋼板11の表面を化成処理することで、化成処理塗膜(図示略)が形成される。
化成処理塗膜としては、アミノシラン系シランカップリング剤およびエポキシシラン系シランカップリング剤の一方または両方を含有する塗膜が好ましい。ステンレス鋼板11とクリヤ樹脂層12との間に、これらシランカップリング剤を含有する化成処理塗膜を有していれば、無公害なクロメートフリーにでき、さらにステンレス鋼板11とクリヤ樹脂層12との密着性を高くできる。
ここで、アミノシラン系カップリング剤としては、例えば、N-2(アミノエチル)3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N-2(アミノエチル)3-アミノプロピルメチルジエトキシシラン、N-2(アミノエチル)3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシランなどが挙げられる。
エポキシ系シランカップリング剤としては、例えば、2-(3,4エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシランなどが挙げられる。
化成処理塗膜には、耐食性をさらに向上させるために、リン酸塩類、縮合リン酸、ポリリン酸、メタリン酸、ピロリン酸等のリン酸またはその塩類;アクリル樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリエステル、ポリオレフィン、アルキド樹脂等の樹脂などが含まれてもよい。
化成処理塗膜の付着量は2~50mg/mが好ましい。化成処理塗膜の付着量が2mg/m未満であると、光沢および耐食性が低下しやすくなる。一方、付着量が50mg/mを超えると、沸騰水試験後の塗膜表面にブリスターを生じることがある。化成処理塗膜の付着量の好ましい上限は30mg/mであり、より好ましくは10mg/mである。
化成処理塗膜の付着量は、蛍光X線分析にてSiO量を測定することによって求めることができる。
「クリヤ樹脂層」
本実施例のクリヤ樹脂層12は、ステンレス鋼板11の一方の面に形成された塗膜であり、熱硬化性樹脂組成物と、顔料と、消臭剤と、顔料用の分散剤(α)と、消臭剤用の分散剤(β)とを含む。クリヤ樹脂層12は、ポリオレフィン系ワックスをさらに含むことが好ましい。クリヤ樹脂層12は、熱硬化性樹脂組成物、顔料、消臭剤、分散剤(α)、分散剤(β)およびポリオレフィン系ワックス以外の成分(任意成分)を含んでいてもよい。
<熱硬化性樹脂組成物>
熱硬化性樹脂組成物は、熱硬化性樹脂を含む。
熱硬化性樹脂組成物は、熱硬化性樹脂を硬化させる架橋樹脂をさらに含むことが好ましい。また、熱硬化性樹脂組成物は、硬化触媒をさらに含んでいてもよい。
(熱硬化性樹脂)
熱硬化性樹脂としては特に制限されないが、例えばアクリル樹脂、ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂、アクリルシリコーン樹脂などが挙げられる。これらの中でも、クリヤ樹脂層12に高硬度および透明性を付与する観点で、アクリル樹脂が好ましい。
アクリル樹脂としては、架橋性官能基を有するアクリル樹脂が好ましい。
架橋性官能基を有するアクリル樹脂はステンレス鋼板11に対する密着性に優れるので、クリヤ樹脂層12が該アクリル樹脂を含むことで、ステンレス鋼板11とクリヤ樹脂層12とが良好に密着する。
ここで、「架橋性官能基」とは、ヒドロキシ基、カルボキシ基、アルコキシシラン基などから選ばれる1種または2種以上の官能基である。アクリル樹脂は架橋性官能基を1分子あたり、2つ以上有することが好ましい。
架橋性官能基を有するアクリル樹脂は、例えば非官能性アクリル単量体と架橋性官能基を有する重合性単量体とを反応させることで得られる。このようにして得られるアクリル樹脂は、非官能性アクリル単量体単位と架橋性官能基を有する重合性単量体単位とを含む。
非官能性アクリル単量体としては、例えばアクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n-ブチル、アクリル酸2-エチルヘキシル、アクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸n-ブチル、メタクリル酸n-ヘキシル、メタクリル酸シクロへキシル、メタクリル酸ラウリル等の脂肪族または環式アクリートなどが挙げられる。
これら非官能性アクリル単量体は1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
架橋性官能基を有する重合性単量体としては、ヒドロキシ基を有する単量体、カルボキシ基を有する単量体、アルコキシシラン基を有する単量体等が挙げられる。
ヒドロキシ基を有する単量体は、1分子中にヒドロキシ基と重合性不飽和二重結合をそれぞれ1つ以上含有する単量体である。このような単量体としては、例えばアクリル酸2-ヒドロキシエチル、メタクリル酸2-ヒドロキシエチル、アクリル酸ヒドキシプロピル、メタクリル酸ヒドロキシプロピル等のヒドロキシアルキルエステル;ラクトン変性水酸基含有ビニル重合モノマー(例えば、プラクセルFM1、2、3、4、5、FA-1、2、3、4、5(以上、株式会社ダイセル製)等)などが挙げられる。
カルボキシ基を有する単量体は、1分子中にカルボキシ基と重合性不飽和二重結合をそれぞれ1つ以上含有する単量体である。このような単量体としては、例えばアクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸などが挙げられる。
アルコキシシラン基を有する単量体は、1分子中にアルコキシシラン基と重合性不飽和二重結合をそれぞれ1つ以上含有する単量体である。このような単量体としては、例えばビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、メタアクリロキシプロピルトリメトキシシランなどが挙げられる。
これら架橋性官能基を有する重合性単量体は1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
架橋性官能基を有するアクリル樹脂は、非官能性アクリル単量体単位および架橋性官能基を有する重合性単量体単位以外の他の単量体単位を含んでいてもよい。
他の単量体としては、例えばメチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、n-プロピルビニルエーテル、n-ブチルビニルエーテル等のビニルエーテル類;スチレン、α-メチルスチレン等のスチレン類;アクリルアミド、N-メチロールアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド等のアクリルアミドなどが挙げられる。
これら他の単量体は1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
アクリル樹脂のガラス転移温度は30~90℃が好ましく、50~90℃がより好ましい。アクリル樹脂のガラス転移温度が30℃以上であれば、クリヤ樹脂層12の表面硬度が高まる。また、クリヤ塗装ステンレス鋼板10を連続プレスした際に摩擦し、加工発熱して、表面の温度が80~100℃に上昇するため、アクリル樹脂のガラス転移温度が30℃未満であると、クリヤ樹脂層12が軟化して、金型に付着することがある。また、アクリル樹脂のガラス転移温度が90℃を超えると、ピンホール、レベリング不足等が生じる傾向にある。
アクリル樹脂のガラス転移温度を前記範囲にするためには、アクリル樹脂の組成を適宜選択すればよい。
アクリル樹脂のガラス転移温度は、示差走査熱量計(DSC)の測定により求めた値である。
アクリル樹脂の数平均分子量は3000~50000が好ましく、4000~10000がより好ましい。アクリル樹脂の数平均分子量が3000以上であれば、顔料分散性が高まり、光沢性および着色性に優れたクリヤ樹脂層12が得られる。また、熱硬化性樹脂組成物が後述のイソシアネート樹脂を含む場合、アクリル樹脂の数平均分子量が3000未満であると、イソシアネート樹脂との反応性が低くなり、クリヤ樹脂層12が形成されにくくなることがある。アクリル樹脂の数平均分子量が50000を超えると、溶媒溶解性が低くなるため、後述するクリヤ塗料が得られにくくなる。
アクリル樹脂の数平均分子量は、アクリル樹脂を製造する際の条件(例えば、重合温度、重合開始剤の種類や量等)によって調整することができる。
アクリル樹脂の数平均分子量は、ゲルろ過クロマトグラフィー(GPC)により測定される、標準ポリスチレン換算の値である。
(架橋樹脂)
架橋樹脂は、熱硬化性樹脂を硬化させる樹脂である。
熱硬化性樹脂組成物が架橋樹脂を含むことで、熱硬化性樹脂が架橋構造となる。すなわち、熱硬化性樹脂組成物は、架橋樹脂で架橋された熱硬化性樹脂を含む。熱硬化性樹脂が架橋樹脂で架橋されることで、クリヤ樹脂層12の強度が高まるとともに、ステンレス鋼板11に対するクリヤ樹脂層12の密着性が向上する。
架橋樹脂としては、イソシアネート樹脂、アミノ樹脂などが挙げられる。
架橋樹脂としてイソシアネート樹脂を用いる場合、加工性に優れる熱硬化性樹脂組成物が得られる。一方、架橋樹脂としてアミノ樹脂を用いる場合、クリヤ樹脂層12の表面硬度が高まる。
これら架橋樹脂は1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
イソシアネート樹脂には、常温下でも硬化反応が進行するノンブロックタイプと、イソシアネート基をフェノール類、オキシム類、活性メチレン類、ε-カプロラクタム類、トリアゾール類、ピラゾール類等のブロック剤によって封鎖することで、常温下では反応が進まないが、加熱することによって硬化反応が進行するブロックタイプとがある。
イソシアネート樹脂としては、ノンブロックタイプおよびブロックタイプのいずれも使用可能であるが、プレコート型塗装による生産を行う場合は、連続生産時の作業性に優れる点で、ブロックタイプが好ましい。
ブロックタイプのイソシアネート樹脂は、1分子中に2つ以上のイソシアネート基を有する化合物である。このような化合物としては、具体的に、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート;ヘキサメチレンジイソシアネート、ダイマー酸ジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート;イソホロンジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート等の脂環族ジイソシアネート;これらイソシアネートのビューレットタイプの付加物やイソシアヌル環タイプの付加物などが挙げられる。
ブロックタイプのイソシアネート樹脂の市販品としては、例えば、デスモジュールBL1100、BL1265MPA/X、BL3575/1 MPA/SN、BL3475BS/SN、BL3272MPA、BL3370MPA、BL4265SN、デスモーサム2170、スミジュール3175(以上、住化コベストロウレタン株式会社製)、デュラネート17B-60PX、TPA-B80X、MF-B60X、MF-K60X(以上、旭化成株式会社製)、バーノックDB-980K、D-550、B3-867、B7-887-60(以上、DIC株式会社製)、コロネート2515、2507、2513(以上、東ソー株式会社製)などが挙げられる。
これらブロックタイプのイソシアネート樹脂は1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
熱硬化性樹脂として架橋性官能基を有するアクリル樹脂を用いる場合、アクリル樹脂とイソシアネート樹脂との割合は、アクリル樹脂の架橋性官能基とイソシアネート樹脂のイソシアネート基(NCO基)との比が当量比で、架橋性官能基/NCO基=1.0/0.1~1.0/2.0となる範囲が好ましく、1.0/0.2~1.0/1.5となる範囲がより好ましく、1.0/0.5~1.0/1.2となる範囲がさらに好ましい。当量比が1.0/0.1以上であれば、熱硬化性樹脂組成物の架橋が十分となるため、ステンレス鋼板11に対するクリヤ樹脂層12の密着性が向上するとともに、耐水性や耐薬品性も良好となる。当量比が1.0/2.0以下であれば、イソシアネート基が適量となるため未反応のイソシアネート樹脂が残りにくくなり、熱硬化性樹脂組成物の硬化性を良好に維持できる。熱硬化性樹脂組成物の硬化性が良好であれば、熱硬化性樹脂組成物の硬度が低下するのを抑制できるので、クリヤ樹脂層12に加圧による圧痕が発生するのを抑制できる。
アミノ樹脂は、アミノ化合物(メラミン、グアナミン、尿素)とホルムアルデヒド(ホルマリン)を付加反応させ、アルコールで変性した樹脂の総称である。アミノ樹脂の具体例としては、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、尿素樹脂、ブチル化尿素樹脂、ブチル化尿素メラミン樹脂、グリコールウリル樹脂、アセトグアナミン樹脂、シクロヘキシルグアナミン樹脂等が挙げられる。これらの中でも、耐指紋汚染性、耐疵付き性、耐薬品性という面からメラミン樹脂が好ましい。
メラミン樹脂は、変性するアルコールの種類によってメチル化メラミン樹脂、n-ブチル化メラミン樹脂、イソブチル化メラミン樹脂、混合アルキル化メラミン樹脂などに分類される。これらの中でも、反応性に優れ、かつ可とう性とのバランスに優れる点で、メチル化メラミン樹脂が特に好ましい。
具体的には、メチル化メラミン樹脂としては、サイメル300、301、303、350、370、771、325、327、703、712、715、701(以上、三井化学株式会社製)、LUWIPAL 063、066、068、069、072、073(以上 BASFジャパン株式会社製)、アミディアL-105(以上、DIC株式会社製)、メラン522、523、620、622、623(以上、日立化成株式会社製)等が挙げられる。
n-ブチル化メラミン樹脂としては、マイコート506、508、ユーバン20SB、20SE、21R、22R、122、125、128、220、225、228、28-60、20HS、2020、2021、2028、120(以上、三井化学株式会社製)、PLASTOPAL EBS 100A、100B、400B、600B、CB(以上、BASFジャパン株式会社製)、アミディアJ-820、L-109、L-117、L-127、L-164(以上、DIC株式会社製)、メラン21A、22、220、2000、8000(以上、日立化成株式会社製)等が挙げられる。
イソブチル化メラミン樹脂としては、ユーバン60R、62、62E、360、361、165、166-60、169、2061(以上、三井化学株式会社製)、アミディアG-821、L-145、L-110、L-125(以上、DIC株式会社製)、PLASTOPAL EBS 4001、FIB、H731B、LR8824(以上、BASFジャパン株式会社製)、メラン27、28、28D、245、265、269、289(以上、日立化成株式会社製)等が挙げられる。
混合アルキル化メラミン樹脂としては、サイメル267、285、232、235、236、238、211、254、204、212、202、207(以上、三井化学株式会社製)等が挙げられる。
これらアミノ樹脂は1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
アミノ樹脂の含有量は、熱硬化性樹脂の固形分100質量部に対して、5~40質量部が好ましく、10~30質量部がより好ましく、15~30質量部がさらに好ましい。アミノ樹脂の含有量が5質量部以上であれば、クリヤ樹脂層12の架橋密度が上がるので、ステンレス鋼板11に対する密着性がより向上する。また、クリヤ樹脂層12の表面硬度が十分なものとなるので、耐疵付き性が高まる。一方、アミノ樹脂の含有量が40質量部以下であれば、クリヤ樹脂層12を容易に形成できる。
(硬化触媒)
硬化触媒は、熱硬化性樹脂と架橋樹脂との架橋反応を促進させるものである。
硬化触媒は、熱硬化性樹脂組成物に含まれる架橋樹脂の種類に応じて決定される。例えば、熱硬化性樹脂組成物が架橋樹脂としてイソシアネート樹脂を含有する場合、硬化触媒としては有機錫触媒が好ましい。
有機錫触媒としては、例えばジ-n-ブチル錫オキサイド、n-ジブチル錫クロライド、ジ-n-ブチル錫ジラウレート、ジ-n-ブチル錫ジアセテート、ジ-n-オクチル錫オキサイド、ジ-n-オクチル錫ジラウリレート、テトラ-n-ブチル錫などが挙げられる。
これら有機錫触媒は1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
イソシアネート樹脂の硬化触媒の含有量は、熱硬化性樹脂と架橋樹脂の固形分の合計100質量部に対して、0.005~0.08質量部が好ましく、0.01~0.06質量部がより好ましい。硬化触媒の含有量が0.005質量部以上であれば、硬化触媒の効果が十分に得られ、硬化時間を短縮できる。硬化触媒の含有量が0.08質量部を超えると、単に硬化触媒の効果が頭打ちするだけでなく、反応性が過剰に高くなることによってイソシアネート基(NCO基)が空気中の水分等と反応するなど、熱硬化性樹脂の架橋性官能基(例えば、OH基やCOOH基等)との1:1反応をかえって阻害する場合がある。その結果、耐侯性が低下するなど本来の性能を発揮できなくなる恐れがある。また、イソシアネート樹脂としてノンブロックタイプを用いた場合、後述するクリヤ塗料の反応性が極端に速くなるために、熱硬化性樹脂とイソシアネート樹脂とを混合した後、直ちに塗装する必要性が生じ、塗装作業性が著しく低下する。
熱硬化性樹脂組成物が架橋樹脂としてアミノ樹脂を含有する場合、硬化触媒としてはスルホン酸系やアミン系の硬化触媒が好ましい。特に、クリヤ樹脂層12の表面硬度をより高める目的で、より反応性の高いスルホン酸系の硬化触媒である、p-トルエンスルホン酸やドデシルベンゼンスルホン酸を用いることが好ましい。
アミノ樹脂の硬化触媒の含有量は、熱硬化性樹脂と架橋樹脂の固形分の合計100質量部に対して、0.5~5質量部が好ましく、1~2質量部がより好ましい。硬化触媒の含有量が0.5質量部以上であれば、硬化触媒の効果が十分に得られ、硬化時間を短縮できる。硬化触媒の含有量が5質量部を超えても、硬化触媒の効果が頭打ちとなるだけでなく、クリヤ塗装ステンレス鋼板10の加工性が低下する場合がある。
<顔料>
顔料としては、無機顔料、カーボン顔料、有機顔料のいずれであってもよい。
無機顔料としては、例えば酸化鉄等が挙げられる。
カーボン系顔料としては、例えばカーボンブラック等が挙げられる。
有機顔料としては、例えば溶性アゾ、縮合アゾ、モノアゾ、ジアゾ等のアゾ系顔料;フタロシアニン、アントラキノン、インジゴ、ペリレン、ペリノン、ジオキサジン、キナクリドン、イソインドリノン、ジケトピロロピロール、フラバンスロン、アンスラピリミジン、アシルアミン、キノフタロン、ピロコリン、フルオロピン等の多環系顔料;ニッケルアゾ等の金属錯体系顔料等が挙げられる。
また、顔料は、酸性顔料、塩基性顔料、両性顔料に分類され、いずれの顔料も用いることができる。
ここで、顔料が酸性であるか、塩基性であるか、両性であるかは、pHの異なる水性媒体中で顔料のゼータ電位を測定し、顔料の等電点を求めることで判断する。pHの異なる水性媒体中で測定したゼータ電位の測定点を結ぶ線が、電位ゼロの線と交わった点が等電点であり、等電点における水性媒体のpHを顔料の酸塩基性の指標とする。等電点における水性媒体のpHが6.0未満となる顔料を酸性顔料とし、等電点における水性媒体のpHが6.0以上、8.0未満となる顔料を両性顔料とし、等電点における水性媒体のpHが8.0以上となる顔料を塩基性顔料とする。
ゼータ電位の測定に用いる水性媒体としては、水、リン酸塩水溶液、ホウ酸塩水溶液、フタル酸塩水溶液などが挙げられる。
酸性顔料としては、例えばペリレンレッド、キナクリドンレッド、カーボンブラック等が挙げられる。
塩基性顔料としては、例えばフタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、酸化鉄(レッド)、酸化鉄(イエロー)、酸化鉄(ブラック)等が挙げられる。
両性顔料としては、例えば酸化鉄(ブラウン)、アソレッド、イソインドリノンイエロー等が挙げられる。
これら顔料は1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
顔料の平均粒子径は10~1100nmであり、10~800nmが好ましく、10~500nmがより好ましい。
特に、顔料が無機顔料である場合、平均粒子径は100~200nmが好ましく、100~180nmがより好ましく、100~150nmがさらに好ましい。
顔料がカーボン系顔料である場合、平均粒子径は10~80nmが好ましく、10~50nmがより好ましい。
顔料が有機顔料である場合、平均粒子径は50~1100nmが好ましく、50~800nmがより好ましく、50~500nmがさらに好ましい。
顔料の平均粒子径が上記下限値以上であれば、入手が容易であるとともに、クリヤ樹脂層12が十分に着色する。顔料の平均粒子径が上記上限値以下であれば、クリヤ樹脂層12の透明性および鮮映性が低下しにくく、クリヤ塗装ステンレス鋼板10の意匠性を良好に維持できる。
顔料の平均粒子径は、レーザー回折散乱法の測定により求めた値である。
顔料の顔料分散粒度は、クリヤ樹脂層12の鮮映性が高くなる点で20μm以下であり、実用性の点で5μm以上である。顔料の顔料分散粒度は、5~20μmであり、5~10μmが好ましい。
顔料の顔料分散粒度は、既知の傾きで傾斜した溝が形成された分散粒度測定器を用いて測定する。具体的には、分散粒度測定器の傾斜した溝に、測定対象となる顔料を充填し、溝が形成された表面から顔料が突出し始める箇所を調べる。そして、顔料が突出し始める箇所の溝の深さを分散粒度とする。
クリヤ樹脂層12の顔料容積濃度は0.8~2.5%であり、1.0~2.5%が好ましく、1.5~2.5%がさらに好ましい。顔料容積濃度が0.8%以上であれば、クリヤ樹脂層12が十分に着色する。顔料容積濃度が2.5%以下であれば、クリヤ樹脂層12の透明性および鮮映性が低下しにくく、クリヤ塗装ステンレス鋼板10の意匠性を良好に維持できる。
クリヤ樹脂層12の顔料容積濃度は、下記式で求められる値である。また、顔料容積濃度はPVCと称されることもある。
顔料容積濃度=[(顔料の容積)/(顔料の容積+樹脂の容積)]×100(%)
ところで、色の見え方は感覚的であるため、顔料によって意匠性に優れるクリヤ樹脂層12の可視光の透過率の範囲は異なる。例えば、レッドの顔料であるペリレンレッドでは相対透過率が50~65%、ブルーの顔料であるフタロシアニンブルーでは30~55%、ブラウンの顔料であるコロファインブラウンでは55~70%であるときに意匠性により優れる。なお、相対透過率が、上記下限値以上であれば透明性を良好に維持でき、上記上限値以下であればクリヤ樹脂層12の色が薄くなりにくい傾向にある。
上述した範囲の相対透過率となる顔料容積濃度は、ペリレンレッドでは0.8~2.4%であり、フタロシアニンブルーでは0.8~2.1%であり、コロファインブラウンでは1.5~2.5%である。
<消臭剤>
消臭剤は、一般に分解型の消臭剤と、吸着型の消臭剤とに大別される。
分解型の消臭剤は、臭いの原因となる物質(臭い物質)に化学的な作用を及ぼすことで臭い物質を分解して消臭効果を発揮する、化学的消臭法に基づく消臭剤である。
一方、吸着型の消臭剤は、表面に微細な細孔を有し、該細孔に臭い物質を吸着して無効化することで消臭効果を発揮する、物理的方法に基づく消臭剤である。
吸着型の消臭剤は、細孔が臭い物質で飽和するとそれ以上の消臭効果は得られにくいが、分解型の消臭剤は自身が変化することなく臭い物質を分解するので、消臭効果の持続性に優れる。また、吸着型の消臭剤の場合、消臭機能を高めるために一粒子当たりの細孔の数を増やすことで臭い物質をより多く吸着させようとすると、粒子径が大きくなる傾向にある。粒子径の大きい消臭剤を用いると、十分な透明性が得られにくくなるため、意匠性と消臭効果の両立が困難となる。
消臭効果の持続性、および意匠性と消臭効果の両立の観点から、消臭剤としては分解型の消臭剤が好ましい。
分解型の消臭剤としては、二酸化チタン、酸化亜鉛、二酸化ケイ素、酸化アルミニウム、白金等の消臭剤成分を主成分とするものが挙げられる。これらの中でも、安定供給と入手のし易さの観点から、二酸化チタンが好ましい。
これら消臭剤は1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
分解型の消臭剤は、さらに結晶分散型の消臭剤と、粉体型の消臭剤に分類される。
結晶分散型の消臭剤は、上述した消臭剤成分を任意の溶媒に分散させたものである。
一方、粉体型の消臭剤は、上述した消臭剤成分が凝集したものや、消臭剤成分を任意の樹脂または金属等の担体に担持させたものである。
クリヤ樹脂層12の透明性に影響しにくく、低コストであり、塗装作業性にも優れる観点から、粉体型の消臭剤が好ましい。
結晶分散型の消臭剤としては、CSB、CSB-M(以上、堺化学工業株式会社製)、TKS-201、TSK-202、TSK-203、TKD-701、TKD-702(以上、テイカ株式会社製)、ライオナイトPC(以上、ライオン株式会社製)、STS-01、STS-02、STS-21(以上、石原産業株式会社製)等が挙げられる。
粉体型の消臭剤としては、SSP-20、SSP-25、SSP-M、LCH-C、LCH-A(以上、堺化学工業株式会社製)、AMT-100、AMt-600、JA-1、TKP-101、TKP-102(以上、テイカ株式会社製)、MPT-623、ST-01、ST-21、ST-31、ST-41(以上、石原産業株式会社製)、PHOTHAP(以上、太平化学産業株式会社製)等が挙げられる。
消臭剤の平均粒子径は5~300nmであり、5~250nmが好ましく、5~200nmがより好ましい。消臭剤の平均粒子径が5nm以上であれば、消臭剤が後述するクリヤ塗料中で安定的に分散しやすくなる。消臭剤の平均粒子径が300nm以下であれば、クリヤ樹脂層12の透明性が低下しにくいため、クリヤ塗装ステンレス鋼板10が有する高い意匠性が損なわれにくい。
なお、クリヤ樹脂層12に含まれる消臭剤は、平均粒子径が300nm以下と小さいため、顔料としての機能(着色性)を有していない。また、クリヤ樹脂層12に含まれる顔料の機能を妨げる恐れもない。
消臭剤の平均粒子径は、X線小角散乱法の測定により求めた値である。
クリヤ樹脂層12中の消臭剤の含有量は、熱硬化性樹脂組成物の固形分100質量部に対して2~14質量部が好ましく、3~10質量部がより好ましい。消臭剤の含有量が2質量部以上であれば、十分な消臭効果が得られる。消臭剤の含有量が14質量部を超えても、消臭効果が頭打ちとなるだけでなく、コストが増大する。消臭効果とクリヤ樹脂層12の透明性のバランスを考慮すると、消臭剤の含有量は14質量部以下が好ましい。
<分散剤(α)>
分散剤(α)は、顔料用の分散剤である。
クリヤ樹脂層12が分散剤(α)を含むことで、クリヤ樹脂層12中での顔料の分散性が高まり、透明性および鮮映性がより向上する。
分散剤(α)は、リン酸基を含んでいてもよいし、含んでいなくてもよい。後述するクリヤ塗料の安定性が高まる観点から、リン酸基を含まないことが好ましい。
分散剤(α)は、酸性分散剤、塩基性分散剤、両性分散剤に分類され、いずれの分散剤も用いることができるが、顔料の種類に応じて選択されることが好ましい。
ここで、分散剤が酸性であるか、塩基性であるか、両性であるかは、分散剤を濃度が10質量%になるように水に分散させた分散液を調製し、JIS K 5101-17-2に準拠して分散液のpHを測定することで判断する。分散液のpHが6.0未満となる分散剤を酸性分散剤とし、分散液のpHが6.0以上、8.0未満となる分散剤を両性分散剤とし、分散液のpHが8.0以上となる分散剤を塩基性分散剤とする。
顔料と分散剤(α)の好ましい組み合わせとしては、下記(A)~(C)が挙げられる。下記(A)~(C)のいずれかの組み合わせであれば、クリヤ樹脂層12の透明性がより向上する。
(A):顔料が酸性顔料であり、分散剤(α)が塩基性分散剤である組み合わせ。
(B):顔料が塩基性顔料であり、分散剤(α)が酸性分散剤である組み合わせ。
(C):顔料が両性顔料であり、分散剤(α)が両性分散剤である組み合わせ。
酸性分散剤はリン酸基を含んでいてもよいし、含んでいなくてもよい。酸性分散剤としては、例えばカルボキシ基等の酸性基を含む界面活性剤や、カルボキシ基等の酸性基を含む共重合体等が挙げられ、具体的には、DisperBYK-102、118、170、174(以上、ビックケミー社製)等が挙げられる。
塩基性分散剤はリン酸基を含んでいてもよいし、含んでいなくてもよい。塩基性分散剤としては、例えばヒドロキシ基を含む界面活性剤や、顔料に対して親和性を有するブロック共重合体等が挙げられ、具体的には、DisperBYK-108、109、162、163(以上、ビックケミー社製)等が挙げられる。
両性分散剤はリン酸基を含んでいてもよいし、含んでいなくてもよい。両性分散剤としては、例えばカルボキシ基等の酸性基を含む共重合体のアミン塩等が挙げられ、具体的には、DisperBYK-106、140、180(以上、ビックケミー社製)等が挙げられる。
クリヤ樹脂層12中の分散剤(α)の含有量は、熱硬化性樹脂組成物の固形分100質量部に対して0.2~5.0質量部が好ましく、0.5~2.0質量部がより好ましい。分散剤(α)の含有量が0.2質量部以上であれば、顔料を十分に分散でき、クリヤ樹脂層12の透明性がより向上する。分散剤(α)の含有量が5.0質量部以下であれば、透明性および消臭性以外の塗膜性能を良好に維持できる。
また、顔料と分散剤(α)の質量比は、顔料/分散剤(α)=2~10が好ましく、3~5.5がより好ましい。質量比(顔料/分散剤α)が2以上であれば、耐水性などの塗膜の性能を良好に維持できる。質量比(顔料/分散剤α)が10以下であれば、塗膜の透明性がより向上する。
<分散剤(β)>
分散剤(β)は、消臭剤用であり、リン酸基を含む分散剤である。
クリヤ樹脂層12が分散剤(β)を含むことで、クリヤ樹脂層12中での消臭剤の分散性が高まり、消臭剤の平均粒子径が300nm以下と小さくても十分な消臭効果が得られる。
分散剤(β)は、酸性分散剤、塩基性分散剤、両性分散剤に分類され、いずれの分散剤も用いることができる。
リン酸基を含む酸性分散剤としては、例えばカルボキシ基等の酸性基とリン酸基を含む界面活性剤や、カルボキシ基等の酸性基とリン酸基を含む共重合体等が挙げられ、具体的には、DisperBYK-110、111(以上、ビックケミー社製)等が挙げられる。
リン酸基を含む塩基性分散剤としては、例えばヒドロキシ基とリン酸基を含む界面活性剤や、ヒドロキシ基とリン酸基を含むカルボン酸エステル等が挙げられ、具体的には、DisperBYK-108、184(以上、ビックケミー社製)等が挙げられる。
リン酸基を含む両性分散剤としては、例えばカルボキシ基等の酸性基とリン酸基を含む共重合体のアミン塩等が挙げられ、具体的には、DisperBYK-142(以上、ビックケミー社製)等が挙げられる。
クリヤ樹脂層12中の分散剤(β)の含有量は、熱硬化性樹脂組成物の固形分100質量部に対して0.01~2.0質量部が好ましく、0.02~0.5質量部がより好ましい。分散剤(β)の含有量が0.01質量部以上であれば、消臭剤を十分に分散でき、優れた消臭効果が得られる。分散剤(β)の含有量が2.0質量部以下であれば、消臭剤を十分に分散しつつ、透明性と消臭性のバランスに優れる。
また、消臭剤と分散剤(β)の質量比は、消臭剤/分散剤(β)=2~50が好ましく、2.5~35がより好ましく、10~35がさらに好ましい。質量比(顔料/分散剤β)が2以上であれば、透明性および消臭性以外の塗膜性能を良好に維持できる。質量比(顔料/分散剤β)が50以下であれば、消臭剤を十分に分散しつつ、透明性と消臭性のバランスに優れる。
<ポリオレフィン系ワックス>
ポリオレフィン系ワックスは潤滑剤である。
クリヤ樹脂層12がポリオレフィン系ワックスを含有すれば、油性潤滑剤等を塗布した場合に比べて潤滑性が高くなり、加工性に優れたクリヤ塗装ステンレス鋼板10が得られる。
ポリオレフィン系ワックスとしては、パラフィン、マイクロクリスタリン、ポリエチレン、ポリエチレン-フッ素等の炭化水素系ワックス等が挙げられる。
これらポリオレフィン系ワックスは1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
クリヤ塗装ステンレス鋼板10を加工する際には、加工発熱および摩擦熱により塗膜温度が上昇するため、ポリオレフィン系ワックスの融点は70~160℃が好ましい。ポリオレフィン系ワックスの融点が70℃以上であれば、加工時に軟化溶融しにくく、固形潤滑添加物としての優れた特性を十分に発揮できる。ポリオレフィン系ワックスの融点が160℃以下であれば、硬い粒子が表面に存在しにくくなるため摩擦特性が低下しにくく、高い加工性を良好に維持できる。
ポリオレフィン系ワックスの酸価は、0~30mgKOH/gが好ましい。ポリオレフィン系ワックスの酸価が30mgKOH/g以下であれば、熱硬化性樹脂組成物との相溶性が高くなりすぎず、ポリオレフィン系ワックスが均一に塗膜表面に浮き上がりやすくなるため、クリヤ塗装ステンレス鋼板10の加工性が向上する傾向にある。
ポリオレフィン系ワックスの平均粒子径は0.1~7μmが好ましく、1~5μmがより好ましい。ポリオレフィン系ワックスの平均粒子径が0.1μm以上であれば、得られるクリヤ塗装ステンレス鋼板10の加工性を良好に維持できる。ポリオレフィン系ワックスの平均粒子径が7μmを超えると、クリヤ樹脂層12中でのポリオレフィン系ワックスの分散性が低くなる傾向にある。
クリヤ樹脂層12中のポリオレフィン系ワックスの含有量は、熱硬化性樹脂組成物の固形分100質量部に対して0.25~10質量部が好ましく、1~5質量部がより好ましい。ポリオレフィン系ワックスの含有量が0.25質量部以上であれば、十分な潤滑性向上効果が得られ、クリヤ塗装ステンレス鋼板10の加工性が向上する。ポリオレフィン系ワックスの含有量が10質量部以下であればクリヤ樹脂層12の表面にムラが発生しにくく、クリヤ度を良好に維持できる。
<任意成分>
クリヤ樹脂層12は、硬度、耐疵付き性がより高くなり、また、耐指紋汚染性が高くなることから、シリカゾルを含有してもよい。
シリカゾルは、ナノメートルサイズの粒子から構成されたシリカ粒子である。
シリカゾルとしては、オルガノシリカゾルを用いることができる。オルガノシリカゾルとは、有機溶媒にナノメートルサイズのコロイダルシリカを安定に分散させたコロイド溶液である。
オルガノシリカゾルの具体例としては、MA-ST-M、IPA-ST、EG-ST、EG-ZL、NPC-ST、DMAC-ST、DMAC-ST-ZL、XBA-ST、MIBK-ST(以上、日産化学株式会社製)等が挙げられる。
これらオルガノシリカゾルは1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
クリヤ樹脂層12中のシリカゾルの含有量は、熱硬化性樹脂組成物の固形分100質量部に対して2~10質量部が好ましく、3~8質量部がより好ましい。シリカゾルの含有量が、2質量部以上であれば耐疵付き性や硬度が向上し、10質量部以下であればクリヤ塗装ステンレス鋼板10の加工性を良好に維持できる。
クリヤ樹脂層12には、レベリング剤、消泡剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、艶消し剤、シランカップリング剤、ポリオレフィン系ワックス以外の潤滑剤(例えばフッ素樹脂、ポリオレフィンパウダー、フッ素樹脂以外の非ポリオレフィン系ワックスなど)等の添加剤などが含まれてもよい。
<膜厚>
クリヤ樹脂層12の膜厚は1~10μmが好ましく、1.5~5μmがより好ましい。クリヤ樹脂層12の膜厚が1μm以上であれば、加工性を良好に維持できる。加えて、着色効果が十分に得られるので、クリヤ塗装ステンレス鋼板10の意匠性がより高まる。クリヤ樹脂層12の膜厚が10μm以下であれば、透明性を良好に維持できるので、ステンレス鋼板11の素地が見えやすく、意匠性に優れる。加えて、消臭剤がより均一に分散しやすくなる。
「クリヤ塗装ステンレス鋼板の製造方法」
次に、上述したクリヤ塗装ステンレス鋼板10の製造方法の一例について説明する。なお、クリヤ塗装ステンレス鋼板10の製造方法は以下の例に限定されるものではない。
この例の製造方法では、まず、ステンレス鋼板11をアルカリ脱脂や酸、アルカリによるエッチング等の公知の前処理を施す。
次いで、ステンレス鋼板11に、化成処理液を塗布し、乾燥して、化成処理塗膜(図示略)を形成する。
前記化成処理液としては、例えばアミノシラン系カップリング剤およびエポキシシラン系カップリング剤の一方または両方を含むものが好ましい。また、化成処理液としては、市販品を用いることができる。市販の化成処理液としては、例えばパルコートE305、3750、3751、3753、3756、3757、3970(日本パーカライジング株式会社製)、アルサーフ440(日本ペイント・サーフケミカルズ株式会社製)などが挙げられる。
化成処理液の塗布方法としては、例えば、スプレー、ロールコート、バーコート、カーテンフローコート、静電塗布等を採用できる。
化成処理液の乾燥温度(表面温度)は60~140℃とすることが好ましい。
次いで、化成処理塗膜の表面にクリヤ塗料を塗布し、乾燥(焼付け)する。
前記クリヤ塗料は、上述した熱硬化性樹脂組成物と、顔料と、消臭剤と、分散剤(α)と、分散剤(β)と、溶媒と、必要に応じてポリオレフィン系ワックスおよび任意成分の1つ以上とを含むものが好ましい。
クリヤ塗料に用いられる溶媒としては、例えばトルエン、キシレン、ベンゼン、シクロヘキサン、ヘキサン等の炭化水素;メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等のアルコール;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル化合物;ジエチルエーテル等のエーテル化合物;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン;ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等の極性溶媒などが挙げられる。これら有機溶剤は1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
クリヤ塗料の塗布方法としては、化成処理液の塗布方法と同じ方法が適用される。
クリヤ塗料を塗装した後の硬化条件(乾燥温度)は、ステンレス鋼板11の素材最高到達温度(PMT)にして200~270℃となるように加熱することが好ましく、より好ましくは210~250℃である。素材最高到達温度が200℃未満であると、硬化反応が十分に進まず、クリヤ樹脂層12の表面硬度が低下するだけでなく、ステンレス鋼板11とクリヤ樹脂層12との密着性が低下することがある。一方、素材最高到達温度が270℃を超えると、クリヤ樹脂層12の柔軟性が低下しやすくなる。加えて、クリヤ塗装ステンレス鋼板10が黄変して意匠性を低下させることがある。
こうして、少なくとも熱硬化性樹脂組成物と、顔料と、消臭剤と、分散剤(α)と、分散剤(β)とを含有するクリヤ樹脂層12をステンレス鋼板11上に形成して、クリヤ塗装ステンレス鋼板10を得る。
なお、熱硬化性樹脂組成物が架橋樹脂を含む場合、前記乾燥の際に、熱硬化性樹脂が架橋樹脂によって架橋する。
「作用効果」
以上説明したクリヤ塗装ステンレス鋼板は、平均粒子径が10~1100nmであり、かつ顔料分散粒度が5~20μmである顔料と、顔料用の分散剤(α)とを含むクリヤ樹脂層を備え、クリヤ樹脂層の顔料容積濃度が0.8~2.5%である。そのため、クリヤ樹脂層は透明性および鮮映性に優れ、濃く着色されてもステンレス鋼板の視認性に優れるので、クリヤ塗装ステンレス鋼板は高い意匠性を有する。
しかも、クリヤ樹脂層は平均粒子径が5~300nmである消臭剤と、リン酸基を含む消臭剤用の分散剤(β)とを含む。クリヤ樹脂層に含まれる消臭剤の粒子径は小さいため、クリヤ樹脂層の透明性は影響されにくい。加えて、分散剤(β)により消臭剤がクリヤ樹脂層中で均一に分散するため、十分な消臭効果が得られる。
よって、本発明のクリヤ塗装ステンレス鋼板は、意匠性を損なうことなく、消臭効果に優れる。
「用途」
本発明のクリヤ塗装ステンレス鋼板は、家庭用や業務用の電化製品、電子機器製品の筐体や内装材、表装材として好適に使用される。
「他の実施形態」
本発明のクリヤ塗装ステンレス鋼板は、上述したものに限定されない。例えば、上述した実施形態例では、ステンレス鋼板の片面のみにクリヤ樹脂層が形成されているが、ステンレス鋼板の両面にクリヤ樹脂層が形成されていてもよい。また、ステンレス鋼板はクリヤ樹脂層を形成する前に化成処理を施さなくてもよい。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はかかる実施例のみに限定されるものではない。
「アクリル樹脂の製造」
アクリル樹脂として、以下のようにして製造したアクリル樹脂の溶液を用いた。
温度計、還流冷却器、攪拌機、滴下ロート、窒素ガス導入管を備えた4つ口フラスコに、表1に示す配合量で、トルエン、酢酸ブチルを入れ、110℃まで昇温し、窒素ガスを吹き込みながら攪拌し、メタクリル酸メチル、スチレン、メタクリル酸n-ブチル、メタクリル酸2-ヒドロキシエチル、アクリル酸メチル、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)の混合物を3時間かけて滴下した。滴下終了後、さらにAIBNを追加して同温度でさらに3時間反応させて、不揮発分50%のアクリル樹脂の溶液を得た。
得られたアクリル樹脂のガラス転移温度および数平均分子量を表1に示す。
Figure 0007345412000001
「実施例1」
アクリル樹脂の溶液200質量部(固形分換算で100質量部)に、イソシアネート樹脂としてブロックイソシアネート(住化コベストロウレタン株式会社製、商品名「デスモジュールBL3575/1 MPA/SN」、NCO含有率10.5質量%)20質量部を配合し、熱硬化性樹脂組成物を得た。なお、アクリル樹脂のヒドロキシル基(OH基)1モルに対する、イソシアネート樹脂のイソシアネート基(NCO基)の割合(NCO/OH)は1モルであった。
得られた熱硬化性樹脂組成物に、顔料として透明の酸化鉄(ブラウン)(DIC株式会社製、商品名「Colrtex Brown J1007」、平均粒子径40nm、顔料分散粒度10μm、両性顔料)を、顔料容積濃度が2.5%となるように添加した。さらに、熱硬化性樹脂組成物100質量部に対して、消臭剤として二酸化チタン(テイカ株式会社製、商品名「AMT-100」、平均粒子径6nm、分散型かつ粉体型)2質量部と、分散剤(α)として酸性基を含む共重合体のアミン塩(ビックケミー社製、商品名「DisPerBYK-180」、リン酸基を含まない両性分散剤)と、分散剤(β)として酸性基とリン酸基を含む共重合体(ビックケミー社製、商品名「DispreBYK-110」、リン酸基を含む酸性分散剤)と、ポリオレフィン系ワックスとしてポリエチレンワックス(株式会社岐阜セラツク製造所製、商品名「ハイフラットX15P-2」、平均粒子径2μm、融点120℃)2質量部とを添加し、クリヤ塗料を得た。
次いで、厚さ1.3mmのガラス板(マツナミガラス製)の片面に、先に得られたクリヤ塗料を塗布し、180℃で20分焼き付けて、厚さ3μmのクリヤ樹脂層をガラス板上に成膜し、試験片(1)を得た。
<測定・評価>
(1)相対透過率の測定
まず、熱硬化性樹脂組成物100質量部に対して、ポリオレフィン系ワックスとしてポリエチレンワックス(株式会社岐阜セラツク製造所製、商品名「ハイフラットX15P-2」、平均粒子径2μm、融点120℃)2質量部を添加し、評価用のクリヤ塗料を得た。この評価用のクリヤ塗料を厚さ1.3mmのガラス板(マツナミガラス製)の片面に塗布し、180℃で20分焼き付けて、厚さ3μmのクリヤ樹脂層をガラス板上に成膜し、試験片(2)を得た。
次いで、ガラス板自体の可視光領域の光線透過率(可視光透過率)を分光光度計(株式会社島津製作所製、商品名「UV2500PC」)を用いて測定して、ベースラインを作成した。引き続き、試験片(1)および試験片(2)の可視光透過率をそれぞれ測定した。
そして、試験片(2)の可視光透過率を100%としたときの試験片(2)の可視光透過率の割合、すなわち相対透過率を求めた。
この相対透過率はクリヤ樹脂層の透明性の指標であり、相対透過率が高いほど透明性が高い、すなわち意匠性に優れることを示す。結果を表2に示す。
(2)消臭効果の評価
蓋付きのガラス容器に、濃度0.3質量%のアンモニア水溶液を充填し、そこへ試験片(1)を半分が浸漬するように入れ、蓋を閉めてガラス容器を密閉した。紫外線ランプを用い、ガラス容器に紫外線を240時間照射した後、ガラス容器内の臭いを下記評価基準に基づいて、専門パネラー3名が官能評価した。専門パネラーの評価結果の平均値を求め、4点以上を合格とした。結果を表2に示す。
5:臭いを感じない(無臭)。
4:僅かに臭い感じるが、何の臭いかは判別できない。
3:何の臭いか判別できる程度に臭いを感じる。
2:楽に臭いを判別できる。
1:強い臭いを感じる。
「実施例2~23、比較例1~3」
表2~6に示す顔料、消臭剤、分散剤(α)および分散剤(β)を用いた以外は、実施例1と同様にしてクリヤ塗料を調製した。得られたクリヤ塗料を用いた以外は、実施例1と同様にして試験片(1)等を作製し、相対透過率を測定し、消臭効果を評価した。結果を表2~6に示す。
なお、実施例4~6で用いた消臭剤は、二酸化チタン(テイカ株式会社製、商品名「TKP-101」、平均粒子径15nm、分散型かつ粉体型)である。
実施例7~9で用いた消臭剤は、二酸化チタン(テイカ株式会社製、商品名「AMT-600」、平均粒子径30nm、分散型かつ粉体型)である。
実施例10~12で用いた消臭剤は、二酸化チタン(テイカ株式会社製、商品名「JA-1」、平均粒子径180nm、分散型かつ粉体型)である。
実施例13、19、22で用いた分散剤(β)は、ヒドロキシ基とリン酸基を含むカルボン酸エステル(ビックケミー社製、商品名「DisperBYK-108」、リン酸基を含む塩基性分散剤)である。
実施例14、20、23で用いた分散剤(β)は、酸性基とリン酸基を含む共重合体のアミン塩(ビックケミー社製、商品名「DisperBYK-142」、リン酸基を含む両性分散剤)である。
実施例15、18~20で用いた分散剤(α)は、顔料に対して親和性を有するブロック共重合体(ビックケミー社製、商品名「DisperBYK-163」、リン酸基を含まない塩基性分散剤)である。
実施例16、21~23で用いた分散剤(α)は、酸性基を含む共重合体(ビックケミー社製、商品名「DisperBYK-102」、リン酸基を含まない酸性分散剤)である。
実施例17で用いた消臭剤は、二酸化チタン(テイカ株式会社製、商品名「TKD-701」、平均粒子径6nm、分散型かつ結晶分散型)である。
実施例18~20で用いた顔料は、ペリレンレッド(BASF社製、商品名「パリオゲンレッドL3885」、平均粒子径10nm、顔料分散粒度10μm、酸性顔料)である。
実施例21~23で用いた顔料は、フタロシアニンブルー(東洋インキ株式会社製、商品名「リオノールブルーESP」、平均粒子径10nm、顔料分散粒度10μm、塩基性顔料)である。
比較例1で用いた分散剤(β)は、酸性基を含む共重合体(ビックケミー社製、商品名「DisperBYK-102」、リン酸基を含まない酸性分散剤)である。
比較例2で用いた分散剤(β)は、顔料に対して親和性を有するブロック共重合体(ビックケミー社製、商品名「DisperBYK-163」、リン酸基を含まない塩基性分散剤)である。
比較例3で用いた分散剤(β)は、酸性基を含む共重合体のアミン塩(ビックケミー社製、商品名「DisperBYK-180」、リン酸基を含まない両性分散剤)である。
「比較例4」
クリヤ樹脂層の顔料容積濃度が7.5%になるように変更した以外は、実施例1と同様にしてクリヤ塗料を調製した。得られたクリヤ塗料を用いた以外は、実施例1と同様にして試験片(1)等を作製し、相対透過率を測定し、消臭効果を評価した。結果を表6に示す。
「比較例5」
分散剤(α)を用いなかった以外は、実施例1と同様にしてクリヤ塗料を調製した。得られたクリヤ塗料を用いた以外は、実施例1と同様にして試験片(1)等を作製し、相対透過率を測定し、消臭効果を評価した。結果を表6に示す。
「比較例6」
分散剤(β)を用いなかった以外は、実施例1と同様にしてクリヤ塗料を調製した。得られたクリヤ塗料を用いた以外は、実施例1と同様にして試験片(1)等を作製し、相対透過率を測定し、消臭効果を評価した。結果を表6に示す。
Figure 0007345412000002
Figure 0007345412000003
Figure 0007345412000004
Figure 0007345412000005
Figure 0007345412000006
各実施例の場合、透明性および消臭効果に優れていた。
一方、消臭剤用の分散剤(β)としてリン酸基を含まない分散剤を用いた比較例1~3の場合、相対透過率が低く、透明性に劣っていた。
クリヤ樹脂層の顔料容積濃度が7.5%である比較例4の場合、相対透過率が低く、透明性に劣っていた。
分散剤(α)を用いなかった比較例5の場合、相対透過率が低く、透明性に劣っていた。
分散剤(β)を用いなかった比較例6の場合、相対透過率が低く、透明性に劣っていた。また、十分な消臭効果が得られなかった。
10 クリヤ塗装ステンレス鋼板
11 ステンレス鋼板
12 クリヤ樹脂層

Claims (2)

  1. ステンレス鋼板と、該ステンレス鋼板の少なくとも一方の面に形成されたクリヤ樹脂層とを具備し、
    前記クリヤ樹脂層は、熱硬化性樹脂を含有する熱硬化性樹脂組成物と、平均粒子径が10~1100nmであり、かつ顔料分散粒度が5~20μmである顔料と、平均粒子径が5~300nmである消臭剤と、前記顔料用の分散剤(α)と、前記消臭剤用の分散剤(β)とを含み、
    前記クリヤ樹脂層の顔料容積濃度が0.8~2.5%であり、
    前記分散剤(β)がリン酸基を含む分散剤である、クリヤ塗装ステンレス鋼板。
  2. 前記顔料と前記分散剤(α)の組み合わせが、下記(A)~(C)のいずれかである、請求項1に記載のクリヤ塗装ステンレス鋼板。
    (A):前記顔料が酸性顔料であり、前記分散剤(α)が塩基性分散剤である組み合わせ。
    (B):前記顔料が塩基性顔料であり、前記分散剤(α)が酸性分散剤である組み合わせ。
    (C):前記顔料が両性顔料であり、前記分散剤(α)が両性分散剤である組み合わせ。
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