JP4704086B2 - クリヤ塗装ステンレス鋼板及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、化成処理がノンクロム処理であり、無公害で、かつ付着性、プレス性、耐候性、雨筋汚染性、耐洗剤性、耐薬品性に優れた家電、建材、自動車等の部品に利用されるクリヤ潤滑塗装ステンレス鋼板及びその製造方法に関するものである。さらに本発明は、高光沢、耐指紋汚染性あるいは耐疵付き性に優れた高機能性のクリヤ潤滑塗装ステンレス鋼板に関するものであり、さらには高意匠性のクリヤ塗装ステンレス鋼板に関するものである。
ステンレス鋼板などの板材をプレス成形加工する際には、潤滑油を塗布してから成形を行い、成形加工後に溶剤やアルカリ脱脂を使用して潤滑油を落としていた。これら潤滑剤の使用はプレス環境を劣悪にするとともに、脱脂溶剤として使用されていたフロンや有機溶剤がオゾン層を破壊することから、それら脱脂溶剤の規制が強化され使用が禁止されるに至った。このように潤滑油の使用は、さらに廃液処理や作業環境の問題もあり、無塗油でプレス成形でき、脱脂が省略できる地球環境にやさしいクリヤ潤滑ステンレス鋼板が求められている。一方、ステンレスクリヤ潤滑鋼板が、家電製品等に使用される場合には、シックハウス症候群などの問題からクロメートフリーのクリヤ潤滑ステンレス鋼板が求められている。更に、建材製品に関しては、耐候性に優れ、雨筋汚染性、耐酸性雨性に優れたクリヤ潤滑ステンレス鋼板が求められている。
しかしながら、プレス成形性に優れるステンレスクリヤ潤滑鋼板として、例えば特許文献1のように塗布型クロメート処理を行い、エポキシ変性ポリエステル樹脂やビスフェノール型骨格、エステル骨格およびカルボキシル基を有する、エーテル、エステル型ウレタン樹脂、アクリル樹脂などをメラミン樹脂などで熱硬化させ、ポリオレフィンワックスを塗膜中に分散させることでプレス性に優れるステンレスクリヤ潤滑鋼板が使用されているが、ビスフェノール型骨格を含むため耐候性は劣り、用途が制限されるとともに、クロメート処理で僅かであるが6価クロムを含むため、シックハウス症候群などの問題を生じている。
上述の近年の環境規制の問題から、金属の表面処理はクロメート処理やリン酸クロメート処理等のクロム系表面処理剤からノンクロメート系処理に置き換わりつつある。しかしながら、クロメート処理やリン酸クロメート処理に比べ密着性、耐食性が悪く、そのため処理液にシランカップリングや水分散性シリカを入れて密着性、耐食性を維持させている(特許文献2)。ところがシランカップリング剤は保護剤として塗装したクリヤ塗膜の光沢には悪影響しないが、水分散性シリカは入れるほど耐食性は上がるが光沢が劣化するという問題がある。特にステンレスクリヤ鋼板ではその傾向が顕著に表れ、ノンクロメート系処理にて、かつ高光沢が得られるクリヤ塗装ステンレス鋼板の開発が望まれている。
クリヤ塗装ステンレス鋼板は金属光沢を活かした高級感のある外観が得られ、かつ表面光沢が非常に高いことから、家電製品の筐体や内装材、表装材に使われるケースが多くなってきている。クリヤ塗装ステンレス鋼板にはポリエステル樹脂、アクリル樹脂、シリコーンポリエステル樹脂、アクリルシリコーン樹脂、フッ素樹脂等のクリヤ塗料が使用され、1コート1ベイクもしくは2コート2ベイクで塗装されている。クリヤ塗装ステンレス鋼板は表面が不活性のステンレス鋼板を原板としているため付着性が悪く、また光輝焼鈍(BA)仕上げのステンレス鋼板は緻密な不動態が形成されているため、さらに付着性に難がある。また家電製品の筐体や内装材、表装材に使われるクリヤ塗装ステンレス鋼板は表面光沢が非常に高いのが特長であるが、それがゆえに鋼板の取り扱いや運搬時に付く、すり疵が目立ちやすい。かかる耐疵付き性と加工性のバランスがとれ作業性に優れるクリヤ塗装ステンレス鋼板は未だ開発されていないのが現状である。耐疵付き性、加工性の優れたクリヤ塗装ステンレス鋼板として、例えば特許文献3にあるように2コート2ベイク方式で下塗を低弾性率塗膜で高膜厚、上塗には高弾性率塗膜で低膜厚に調整することで、加工性と耐疵付き性を高めたクリヤ塗装ステンレス鋼板の製造方法が報告されているが、2コート2ベイクという塗装工程でなければならないことや下塗と上塗の塗料を区別し、さらに膜厚も、それぞれコントロールしなければならない必要性があるという、非常に煩雑な塗装管理が要求され、作業性面を考慮すると現実的でない。
上述のように、家電製品の筐体や内装材、表装材に使われるクリヤ塗装ステンレス鋼板は表面光沢が非常に高いのが特長であることから、すり疵が目立ちやすいことに加え、指紋等の汚染が目立ちやすい。かかる耐指紋汚染性を考慮したクリヤ塗装ステンレス鋼板は未だ開発されていないのが現状である。
家電製品の筐体や内装材、表装材に使われるクリヤ塗装ステンレス鋼板は表面光沢が非常に高いのが一般的であるが、市場では低光沢で高級感のあるインバーダル調のクリヤ塗装ステンレス鋼板も要望されている。しかし、単に低光沢にするだけでは高級感がなくなり、落ち着きのある家電製品に対応できない。なお、インバーダル鋼板とは特殊ロールを使用し板表面に微小な凹凸をつけたもので、防眩性、意匠性の特徴を有したステンレス鋼板のことである。
特開2001−149860号公報 特開2001−316845号公報 特開2003−154309号公報
本発明の第1の課題は、クロメートフリーであり、かつクリヤ性、耐候性、雨筋汚染性、耐疵付き性、耐洗剤性、耐薬品性に優れた環境対応型クリヤ塗装ステンレス鋼板およびその製造方法を確立することにある。
第2の課題は、高光沢な塗装ステンレスクリヤ鋼板およびその製造方法を提供することである。
第3の課題は、耐疵付き性と加工性のバランスがとれ、作業性に優れかつ短時間焼付けが可能な高機能性のクリヤ塗装ステンレス鋼板およびその製造方法を提供することである。
第4の課題は、耐指紋性に優れた高機能性のクリヤ塗装ステンレス鋼板およびその製造方法を提供することである。
第5の課題は、低光沢で高級感のあるインバーダル調のクリヤ塗装ステンレス鋼板およびその製造方法を提供することである。
本発明者らは、前記課題を解決する手段を鋭意検討した結果、熱硬化系樹脂の特性、ワックス、化成処理剤および塗装条件を検討し、環境対応型クリヤ潤滑ステンレス鋼板およびその製造方法を確立した。
即ち、本発明の要旨とするところは以下のとおりである。
)上層がクリヤ塗膜と下層が化成処理塗膜で形成されるクリヤ塗装ステンレス鋼板において、化成処理塗膜がアミノシラン系、エポキシシラン系の1種類または2種類より実質的になるとともに鎖状の水分散性シリカを0.1〜30%(固形分比)含有し、化成処理塗膜付着量が2〜50mg/m2であり、クリヤ塗膜が架橋性官能基を有するガラス転移点が30〜90℃、数平均分子量3000〜50000のアクリル樹脂を主成分として該アクリル樹脂を架橋硬化させるためのブロックイソシアネート樹脂を含む熱硬化性樹脂組成物であり、クリヤ塗膜厚さが1〜10μmであることを特徴とし、高光沢を有するクリヤ塗装ステンレス鋼板。
上層がクリヤ塗膜と下層が化成処理塗膜で形成されるクリヤ塗装ステンレス鋼板において、化成処理塗膜がアミノシラン系、エポキシシラン系の1種類または2種類より実質的になり、化成処理塗膜付着量が2〜50mg/m 2 であり、クリヤ塗膜が架橋性官能基を有するガラス転移点が30〜90℃、数平均分子量3000〜50000のアクリル樹脂を主成分として該アクリル樹脂を架橋硬化させるためのブロックイソシアネート樹脂及びアミノ樹脂を含む熱硬化性樹脂組成物であり、
前記熱硬化性樹脂組成物が、その固形物100質量部あたり、オルガノシリカゾルを2〜10質量部、非晶質シリカを0.5〜5質量部含有し、前記アミノ樹脂の硬化触媒としてP−トルエンスルホン酸系触媒を熱硬化性樹脂組成物の固形物100質量部あたり、0.5〜5質量部含有するとともに、前記ブロックイソシアネート樹脂の硬化触媒を含有し、
前記クリヤ塗膜は、熱硬化性樹脂組成物の固形物100質量部あたり、融点が70〜160℃であって粒径が0.1〜7.0μmであるポリオレフィン系ワックスを固形分量で0.25〜5質量部含有し、クリヤ塗膜厚さが1〜10μmであることを特徴とする生産性・耐指紋性・耐疵付き性に優れたクリヤ塗装ステンレス鋼板。
)上層がクリヤ塗膜と下層が化成処理塗膜で形成されるステンレス鋼板の製造方法であって、アミノシラン系、エポキシシラン系の1種類または2種類よりなるとともに鎖状の水分散性シリカを0.1〜30%(固形分比)含有する化成処理塗膜を付着量が2〜50mg/m2となるように塗布し、その後クリヤ塗膜として架橋性官能基を有するガラス転移点が30〜90℃、数平均分子量3000〜50000のアクリル樹脂を主成分として該アクリル樹脂を架橋硬化させるためのブロックイソシアネート樹脂を含む熱硬化性樹脂組成物をクリヤ塗膜厚さが1〜10μmとなるように塗布することを特徴とし、高光沢を有するクリヤ塗装ステンレス鋼板の製造方法。
上層がクリヤ塗膜と下層が化成処理塗膜で形成されるステンレス鋼板の製造方法であって、アミノシラン系、エポキシシラン系の1種類または2種類よりなる化成処理塗膜を付着量が2〜50mg/m 2 となるように塗布し、その後クリヤ塗膜として架橋性官能基を有するガラス転移点が30〜90℃、数平均分子量3000〜50000のアクリル樹脂を主成分として該アクリル樹脂を架橋硬化させるためのブロックイソシアネート樹脂及びアミノ樹脂を含む熱硬化性樹脂組成物をクリヤ塗膜厚さが1〜10μmとなるように塗布し、
前記熱硬化性樹脂組成物は、その固形物100質量部あたり、融点が70〜160℃であって粒径が0.1〜7.0μmであるポリオレフィン系ワックスを固形分量で0.25〜5質量部含有し、
前記熱硬化性樹脂組成物が、その固形物100質量部あたり、オルガノシリカゾルを2〜10質量部、非晶質シリカを0.5〜5質量部含有し、前記アミノ樹脂の硬化触媒としてP−トルエンスルホン酸系触媒を熱硬化性樹脂組成物の固形物100質量部あたり、0.5〜5質量部含有するとともに、前記ブロックイソシアネート樹脂の硬化触媒を含有することを特徴とする生産性・耐指紋性・耐疵付き性に優れたクリヤ塗装ステンレス鋼板の製造方法。
本発明によればクロメートフリーであり、無公害で、かつクリヤ性、耐候性、雨筋汚染性、耐疵付き性、耐洗剤性、耐薬品性に優れた環境対応型ステンレスクリヤ潤滑鋼板を得ることができる。さらに、本発明によれば高光沢を有するクリヤ塗装ステンレス鋼板、耐指紋汚染性、耐疵付き性に優れたクリヤ塗装ステンレス鋼板、短時間焼付けを可能とする生産性に優れたクリヤ塗装ステンレス鋼板あるいはインバーダル調の意匠性に優れたクリヤ塗装ステンレス鋼板を得ることができる。従って家電製品、建材内装材だけでなく、建材外装用としても最適なステンレスクリヤ潤滑鋼板を提供できる。
本発明のクリヤ塗装ステンレス鋼板は、化成処理塗膜がアミノシラン系、エポキシシラン系の1種類または2種類よりなり、化成処理塗膜付着量が2〜50mg/m2であり、クリヤ塗膜が架橋性官能基を有するガラス転移点が30〜90℃、数平均分子量3000〜50000のアクリル樹脂を主成分として該アクリル樹脂を架橋硬化させるためのブロックイソシアネート化合物を含む熱硬化性樹脂組成物であり、クリヤ塗膜厚さが1〜10μmであることを特徴とする。
また本発明のクリヤ塗装ステンレス鋼板の製造方法は、アミノシラン系、エポキシシラン系の1種類または2種類よりなる化成処理塗膜を付着量が2〜50mg/m2となるように塗布し、その後クリヤ塗膜として架橋性官能基を有するガラス転移点が30〜90℃、数平均分子量3000〜50000のアクリル樹脂を主成分として該アクリル樹脂を架橋硬化させるためのブロックイソシアネート化合物を含む熱硬化性樹脂組成物をクリヤ塗膜厚さが1〜10μmとなるように塗布することを特徴とする。
本発明は上記構成とすることにより、クロメートフリーであり、無公害で、かつクリヤ性、耐候性、雨筋汚染性、耐疵付き性、耐洗剤性、耐薬品性に優れた環境対応型ステンレスクリヤ潤滑鋼板を得ることができる。なお、上記本発明において、耐疵付き性はクリヤ塗装鋼板表面の硬さを簡易的に指標とした。
本発明における化成処理塗膜は、アミノシラン系、エポキシシラン系の1種類又は2種類よりなり、付着量が2〜50mg/m2になるように塗布し、ステンレス鋼板素材の表面温度(MT)が60〜140℃で焼付け乾燥される。化成処理塗膜の付着量が2mg/m2未満では光沢が劣化するとともに、耐食性も劣化する。付着量が50mg/m2を超えると化成処理の水可溶な成分が増加し、沸騰水試験後の塗膜表面にブリスタ−を生じる。好ましくは上限は30mg/m2で、さらに好ましくは2〜10mg/m2である。化成処理塗膜の付着量については、蛍光X線にてSiO2量を測定することによって定めることができる。
アミノシラン系カップリング剤としては、N−2(アミノエチル)3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−2(アミノエチル)3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシランが挙げられ、エポキシ系シランカップリング剤としては、2−(3,4エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン等のシランカップリング剤が挙げられ、これらの1種または2種類より実質的になり、さらにポリエチレンワックスやシリカ系骨材を混入することができる。
処理液の塗布は、スプレー、ロールコーター、カーテンフローコート、静電塗布等の方法を用いて行うことができる。
乾燥は、水分を蒸発させれば良く、その温度は60〜140℃が適当である。この処理に際し、必要に応じてアルカリ脱脂や酸、アルカリによるエッチング等の公知の前処理を施しても構わない。
上記化成処理塗膜とするためのノンクロメート系金属表面処理剤は市販されているものであれば、すべてが適用できる。市販されているノンクロメート系金属表面処理剤にはパルコートE305、3750、3751、3753、3756、3757、3970(日本パーカライジング株式会社製)、アルサーフ440(日本ペイント株式会社製)などがある。
従来よりある金属表面処理としてのクロメート処理は、僅かであるが6価クロムを含有し、有害であるとともにクロム処理を化成処理とした場合、ステンレス表面が僅かに黄色みを帯びるので好ましくない。本発明のノンクロメートの化成処理塗膜を用いると無色透明であるとともに、本発明の請求項1,2の塗膜を1〜10μm塗布し、ステンレス素材の表面温度(MT)190〜240℃で焼き付けることにより、白色度が高いステンレスクリヤ潤滑鋼板を得ることができると同時に、建材製品として要求される耐候性、雨筋汚染性に優れたステンレスクリヤ潤滑鋼板を得ることができる。耐雨筋汚染性に優れる理由は明確ではないが、化成処理塗膜中の微量な水可溶成分が塗膜表面に配向する一方、塗膜の表面硬度は高いため、排気スス等の汚染物質が付着しても塗膜内部に浸み込むことがほとんど無く、塗膜表面に配向した水可溶成分とともに流されるため雨筋汚染性に優れると考えられる。さらに、ノンクロメートの金属表面処理剤に鎖状水分散シリカを配合した化成処理膜を用いると、非常に高光沢のクリヤ塗膜ステンレス鋼板を得ることができる。
本発明におけるクリヤ塗膜は、水酸基、カルボキシル基、アルコキシシラン基などから選ばれる1種又は2種以上の架橋性官能基を有するアクリル樹脂を主成分とする熱硬化性樹脂組成物である。アクリル樹脂は、塗料用樹脂として既知の製造方法により得ることができる。
アクリル樹脂は、たとえばアクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、メタアクリル酸メチル、メタアクリル酸エチル、メタアクリル酸イソプロピル、メタアクリル酸n−ブチル、メタアクリル酸n−ヘキシル、アクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸シクロへキシル、メタクリル酸ラウリル等の脂肪族又は環式アクリートを用いることができる。これらは、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル類。スチレン、a−メチルスチレン等のスチレン類。アクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド等のアクリルアミド系単量体等から選ばれる1種、2種以上の非官能性単量体を水酸基、カルボキシル基、アルコキシシラン基等の架橋性官能基を持った重合性単量体の1種または2種以上と反応させることにより得ることができる。
1分子中に水酸基及び重合性不飽和二重結合をそれぞれ1つ以上含有する単量体としては、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸ヒドキシプロピル、メタクリル酸ヒドロキシプロピル等のヒドロキシアルキルエステル、プラクセルFM1〜5、FA−1〜5(ダイセル化学工業製)ラクトン変性水酸基含有ビニル重合モノマーを挙げることができる。
カルボキシル基を有する重合体単量体は、1分子中にカルボキシル基及び重合性不飽和二重結合をそれぞれ1つ以上含有する化合物であり、例えばアクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸等を挙げることができる。
アルコキシシラン基を有する重合体単量体は、1分子中にアルコキシシラン基及び重合性不飽和二重結合をそれぞれ1つ以上含有する化合物であり、例えばビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、メタアクリロキシプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。
前述のとおり、アクリル樹脂は、水酸基、カルボキシル基、アルコキシシラン基等の架橋性官能基を有する。ここで、アクリル性樹脂は架橋性官能基を1分子あたり、2個以上有することができる。また、樹脂のガラス転移点は30〜90℃が適しており、好ましくは50〜90℃の範囲内にあるのがより適している。樹脂のガラス転移点が30℃未満の場合は、連続プレス時の摩擦、加工発熱のため鋼板表面の温度が80〜100℃に上昇することにより、塗膜の軟化を生じ、金型に塗膜樹脂が付着する。また、90℃超の場合には、ピンホール、レベリング不足等の塗装時の作業性が悪い。アクリル樹脂の数平均分子量は3000〜50000のアクリル樹脂、特に4000〜10000の範囲にあるのが適している。3000未満では架橋剤との反応性が乏しすぎて塗膜にはならず、50000を超える場合、溶剤での溶解性が不足して樹脂液にならない。アクリル樹脂の数平均分子量は樹脂のガラス転移点に連動しており、分子量を上記範囲内とすることにより、ガラス転移点を上記好適範囲にすることが可能となる。
アクリル樹脂系熱硬化性樹脂成分のもう一つの構成成分である架橋剤は、ブロックイソシアネート樹脂である。
ブロックイソシアネート化合物は、1分子中に2個以上のイソシアネート基を有する化合物であり、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ダイマー酸ジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネートなどの脂環族ジイソシアネート、該ポリイソシアネートのビューレットタイプの付加物、イソシアヌル環タイプ付加物等であり、これらのポリイソシアネートをフェノール類、オキシム類、活性メチレン類、ε−カプロラクタム類、トリアゾール類、ピラゾール類等のブロック剤で封鎖したものであり、ジブチルチンジラウリレート等の有機錫触媒がブロック剤の解離促進剤として使用される。市販品としてはデスモジュールBL1100、BL1265MPA/X、VPLS2253、BL3475BS/SN、BL3272MPA、BL3370MPA、BL4265SN、デスモーサム2170、スミジュール3175(以上、住化バイエルウレタン(株)製)デュラネート17B−60PX、TPA−B80X、MF−B60X、MF−K60X(以上、旭化成工業(株)製)バーノックDB−980K、D−550、B3−867、B7−887−60(以上、大日本インキ工業(株)製)、コロネート2515、2507、2513(以上、日本ポリウレタン工業(株)製)などが挙げられ単独もしくは併用して使用してよい。
アクリル樹脂系熱硬化性樹脂組成物における樹脂と架橋剤の両成分の構成比率は目的に応じ広い範囲内にわたり変えることができ、アクリル樹脂中の(OH+COOH)基1モルに対して、イソシアネート基が0.1〜2.0モルとすることが良い。好ましくは0.1〜1.0、さらに好ましくは0.2〜0.8モルが良い。なお、基体樹脂の一分子中の末端及び側鎖は、水酸基、カルボキシル基、アルコキシシラン基等から選ぶことができる。アクリル樹脂系熱硬化性樹脂組成物における樹脂と架橋剤の両成分の構成比率は目的に応じ広い範囲内にわたり変えることができる。
クリヤ塗膜には、更に添加剤としてレベリング剤、消泡剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、艶消し剤、シランカップリング剤等を混合させ、塗料化しても良いし、顔料又は染料を分散させ、カラークリヤとすることも可能である。また、必要に応じてエポキシ樹脂、シリコン樹脂、フッ素樹脂、ポリエステル樹脂等を含んで良い。
本発明のクリヤ塗膜はまた、上記熱硬化性樹脂組成物の固形物100質量部あたり、固形分量でポリオレフィン系ワックスを0.25〜5.0質量部含有することを特徴とする。これにより、油性潤滑剤等を塗布したステンレス鋼板より優れた成形性を有する潤滑性に優れたクリヤ塗装ステンレス鋼板を得ることができる。
ポリオレフィン系ワックスとしては、パラフィン、マイクロクロスタリン、ポリエチレン、ポリエチレン−フッ素等の炭化水素系ワックス等が挙げられる。加工時には、素材の加工発熱と摩擦熱により塗膜温度が上昇するためワックスの融点は70〜160℃が適切であり、70℃未満では加工時に軟化溶融して固形潤滑添加物としての優れた特性が発揮できず、160℃を超えるものは、硬い粒子が表面に存在することにより摩擦特性を低下させるので、高度の成形加工性は得られない。
ポリオレフィン系ワックスの酸価としては、0〜30が望ましく、30を超えると樹脂との相溶性が良くなり、ワックスが均一に塗膜表面に浮き上がらないため、加工性が不十分となる。
これらのワックス粒径は0.1〜7.0μmが適切である。7.0μmを超えるものは、固形化したワックスの分布が不均一となるため好ましくない。また、0.1μm未満の場合は、加工性が不十分である。ポリオレフィン系ワックスの量は熱硬化性樹脂組成物の固形物100質量部あたり0.25〜5.0質量部が適当である。0.25質量部未満では加工性は不十分であり、5.0質量部を超えると塗膜表面にムラが発生して、クリヤ鋼板の外観を損なう。
本発明の化成処理塗膜は、鎖状の水分散性シリカを0.1〜30%(固形分比)含有すると好ましい。鎖状の水分散性シリカを配合された処理液で化成処理塗膜を形成した後、クリヤ塗料を塗布することで、高光沢を有するクリヤ塗装ステンレス鋼板を得ることができる。
本発明の化成処理塗膜に配合する鎖状水分散性シリカはナトリウム分の少ないものであれば使用できる。商品として好適なものとしては「スノーテックスUP」「スノーテックスOUP」(日産化学工業社製)がある。水分散性シリカとしては鎖状水分散性シリカ以外に球状水分散性シリカがあるが、高光沢は得られない。鎖状水分散性シリカが好適である理由は定かではないが、そのものの持つ成膜性の良さ、結合性の良さ、さらに粘度が高く造膜ゲル性が大きいことが挙げられる。
上記、鎖状水分散性シリカの含有量は金属表面処理剤に0.1〜30%(固形分比)であり、好ましくは0.5〜25%(固形分比)の濃度である。鎖状水分散性シリカの量が0.1%(固形分比)未満では光沢アップの効果が不足し、30%(固形分比)を越えると処理液の安定性が悪くなる。
本発明の化成処理塗膜には、さらに耐食性を上げるのにリン酸塩類、縮合リン酸、ポリリン酸、メタリン酸、ピロリン酸等のリン酸またはその塩類やアクリル樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリエステル樹脂、ポリオレフィン樹脂、アルキッド樹脂等の水溶性樹脂を併用してもよい。
本発明の熱硬化性樹脂組成物のもう一つの構成成分である架橋剤として、ブロックイソシアネート樹脂に加え、アミノ樹脂を用いると好ましい。熱硬化性樹脂組成物を架橋硬化させるための樹脂としてアミノ樹脂(メラミン樹脂)を含有するクリヤ塗料を塗布することで耐疵付き性に優れたクリヤ塗装ステンレス鋼板を得ることができる。
アミノ樹脂はアミノ化合物(メラミン、グアナミン、尿素)とホルムアルデヒド(ホルマリン)を付加反応させ、アルコールで変性した樹脂を総称し、塗料用樹脂としてはメラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、尿素樹脂、ブチル化尿素樹脂、ブチル化尿素メラミン樹脂、グリコールウリル樹脂、アセトグアナミン樹脂、シクロヘキシルグアナミン樹脂があるが、その中でも熱硬化性に起因する耐指紋性、耐疵付き性、耐薬品性という面からメラミン樹脂が好ましい。変性するアルコールの種類によってメチル化メラミン樹脂、n−ブチル化メラミン樹脂、イソブチル化メラミン樹脂、混合アルキル化メラミン樹脂等に分かれる。メチル化メラミン樹脂としては、サイメル300、301,303、350、370、771、325、327、703、712、715,701、267、285、232、235、236、238、211、254、204、212、202、207(以上、三井サイテック株式会社製)、LUWIPAL 063、066、068、069、072、073(以上 BASF製)、スーパーベッカミンL−105(以上、大日本インキ化学工業株式会社製)メラン522、523、620、622、623(以上、日立化成工業株式会社製)、n−ブチル化メラミン樹脂としてはマイコート506、508(以上、三井サイテック株式会社製)、ユーバン20SB、20SE、21R、22R、122、125、128、220、225、228、28−60、20HS、2020、2021、2028、120(以上、三井化学株式会社製)、PLASTOPAL EBS 100A、100B、400B、600B、CB(以上、BASF製)スーパーベッカミンJ−820、L−109、L−117、L−127、L−164(以上、大日本インキ化学工業株式会社製)、メラン21A、22、220、2000、8000(以上、日立化成工業株式会社製)、テスアジン3020、3021、3036(以上、日立化成ポリマー株式会社製)、イソブチル化メラミン樹脂としてはユーバン60R、62、62E、360、361、165、166−60、169、2061(以上、三井化学株式会社製)、スーパーベッカミンG−821、L−145、L−110、L−125(以上、大日本インキ化学工業株式会社製)、PLASTOPAL EBS 4001、FIB、H731B、LR8824(以上、BASF製)メラン27、28、28D、245、265、269、289(以上、日立化成工業株式会社製)、テスアジン3027、3028、3029、3030、3037(以上、日立化成ポリマー株式会社製)、混合アルキル化メラミン樹脂としてはサイメル267、285、232、235、236、238、211、254、204、212、202、207(以上、三井サイテック株式会社製)などが挙げられ単独もしくは併用で使用しても良い。
熱硬化性樹脂組成物におけるアミノ樹脂の含有量は、アクリル樹脂固形分100質量部に対して10〜40質量部、好ましくは15〜30質量部とすることが良い。
本発明の熱硬化性樹脂組成物においては、熱硬化性樹脂組成物100質量部あたり、固形分量でオルガノシリカゾルを2.0〜10質量部、非晶質シリカを0.5〜5.0質量部を選択的に含有することができる。熱硬化性樹脂組成物の中にオルガノシリカゾルを含有するクリヤ塗料を塗布することにより、耐疵付き性に優れたクリヤ塗装ステンレス鋼板を得ることができる。さらに、熱硬化性樹脂組成物の中に非晶質シリカを含有するクリヤ塗料を塗布することにより、耐疵付き性に加えて耐指紋汚染性に優れたクリヤ塗装ステンレス鋼板を得ることができる。
オルガノシリカゾルとは、有機溶媒にナノメートル(nm)レベルのコロイダルシリカを安定に分散させたコロイド溶液であり、セラミックの持つ性能を有し、含有することで塗膜の硬度、耐疵付き性、耐指紋汚染性が向上する。分散媒の溶剤の種類や固形分により、MA−ST−M、IPA−ST、EG−ST、EG−ZL、NPC−ST、DMAC−ST、DMAC−ST−ZL、XBA−ST、MIBK−ST(以上、日産化学工業株式会社製)などが挙げられ、アクリル樹脂との相溶性に応じて単品もしくは併用して選択すればよい。熱硬化性樹脂組成物100質量部あたり、固形分量で2.0〜10質量部の含有が好ましいが、3〜8質量部がさらに好ましい。2.0質量部未満では、耐疵付き性や硬さが不足し、10質量部を超えると加工性が劣化する。
非晶質シリカは多孔性をもった流動性粉末であり、平均粒径、細孔容積、細孔径、表面処理の違いで多くの種類が市販されている。この特長である多孔性と表面が水との親和性が強い水酸基でおおわれていることからと推測するが、含有することで耐指紋汚染性が大幅に上がる。具体的にはサイリシア250、250N、256、256N、310P、320、350、370、380、420、430、440、450、470、435、445、436、446、456、476、530、550、710、730、740、770、780(以上、富士シリシア化学株式会社製)、ミズカシルP−801、P−802、P−526、P−527、P−603、P−604、P−554A、P−73、P−78A、P−78D、P−78F、P−707、P−740、P−752、P−50、P−766(以上、水澤化学工業株式会社製)カープレックスFPS−1、FPS−2、FPS−3、FPS−4、FPS−5、FPS−101、CS−5、CS−7、CS−8、CS−701、CS−801(シオノギ製薬株式会社製)などが挙げられ、単品もしくは併用して選択すればよい。熱硬化性樹脂組成物100質量部あたり、固形分量で0.5〜5.0質量部の含有が好ましいが、1.0〜4.0質量部がさらに好ましい。0.5質量部未満では、耐指紋汚染性が低下し、直接塗膜に触れたとき指紋が付きやすく、ガーゼでのふき取りも容易でない。5.0質量部を超えると耐指紋汚染性の効果は維持するが、塗膜の光沢が低くなりすぎ、クリヤ塗装ステンレス鋼板の高級感がなくなる。
熱硬化性樹脂組成物がアクリル樹脂を架橋硬化させるための樹脂としてアミノ樹脂を含有することにより、クリヤ塗膜の硬さを増して耐疵付き性を向上させる一方、アミノ樹脂を用いると熱硬化性樹脂組成物が硬化するのに要する時間が長くなる。そのため、アミノ樹脂を用いた場合にはクリヤ塗膜の焼き付け所要時間を長くする必要が生じ、塗装ラインの生産性を低下させることが必要となる。
アミノ樹脂を含む本発明の熱硬化性樹脂組成物においては、クリヤ塗膜の硬化を促進するためアミノ樹脂の硬化触媒を含むこととすると、短い焼き付け時間で樹脂を硬化させることができるので好ましい。
一般にアミノ樹脂の硬化触媒としてスルホン酸系やアミン系の触媒が使用されるが、本特許における特長である短時間焼付けを可能とする目的にはスルホン酸系触媒の中でもP−トルエンスルホン酸系触媒が好ましく、熱硬化性樹脂組成物と該架橋樹脂組成物の固形物100質量部あたり固形分量で0.5〜5質量部、好ましくは1〜2質量部含有することが望ましい。0.5質量部未満では、その効果が得られず、5質量部を超えると硬化が飽和するだけでなく、加工性も劣化する。
本発明はまた、熱硬化性樹脂組成物が、ブロックイソシアネート樹脂の硬化触媒を含有することとするとさらに好ましい。ブロックイソシアネート樹脂の硬化触媒としては、ジ−n−ブチルチンオキサイド、n−ジブチルチンクロライド、ジ−n−ブチルチンジラウリレート、ジ−n−ブチルチンジアセテート、ジ−n−オクチルチンオキサイド、ジ−n−オクチルチンジラウリレート、テトラ−n−ブチルチン等が挙げられる。
本発明の熱硬化性樹脂組成物は熱硬化性樹脂組成物100質量部あたり、固形分量でアクリル系樹脂ビーズを0.5〜8質量部を選択的に含有することができる。熱硬化性樹脂組成物のアクリル樹脂を架橋硬化させるための樹脂としてブロックイソシアネート樹脂とアミノ樹脂を含有するクリヤ塗料に、アクリル樹脂ビーズを含有することでインバーダル調の意匠性に優れたクリヤ塗装ステンレス鋼板を得ることができる。
アクリル樹脂ビーズとは、平均粒子径を数μm〜数百μmの間で制御することが可能な真球状架橋ポリマー微粒子である。含有することで意匠性の付与、艶消しの効果、表面状態の粗度による耐指紋性付与、耐疵付き性が向上する。アクリル樹脂ビーズとして、アートパールG−200透明、G−400透明、G−800透明、(以上、根上工業株式会社製)、テクポリマーMBX−12、MBX−15、MBX−20、MBX−30、ARX−15、ARX−30(以上、積水化成品工業株式会社製)、タフッチクAR650S、AR650M、(以上、東洋紡績株式会社製)、ラブコロール220、030、230、330、530の透明タイプ以上、大日精化工業株式会社)、ガンツパールGM0605、GM1005、GM2005(以上、ガンツ化成株式会社)などが挙げられ、アクリル樹脂との相溶性に応じて単品もしくは併用して選択すればよい。熱硬化性樹脂組成物100質量部あたり、固形分量で0.5〜8質量部の含有が好ましいが、2〜4質量部がさらに好ましい。0.5質量部未満では、意匠性が付与できず、インバーダル調にはならない。また、耐指紋汚染性が低下し、直接塗膜に触れたとき指紋が付きやすく、ガーゼでのふき取りも容易でない。8質量部を超えると耐指紋汚染性の効果は維持するが、塗膜の光沢が低くなりすぎ、クリヤ塗装ステンレス鋼板の高級感がなくなる。アクリル系樹脂ビーズの平均粒径は6〜30μmが好ましいが、6〜15μmがさらに好ましい。平均粒径が6〜30μm以外では、意匠性が付与できず、インバーダル調にはならない。また、着色された樹脂ビーズでは塗膜に色がつき、ステンレス感がなくなるためインバーダル調の意匠にはならない。ウレタン系樹脂ビーズを使用すると同様の触感は得られるが、塗料の貯蔵安定性が悪く、意匠性が変わりインバーダル調にはならない。
以下に、本発明の実施例および比較例について説明する。実施例中、単に部とあるものは質量部を示し、%とあるものは質量%を示す。
温度計、還流冷却器、攪拌器、滴下ロート、窒素ガス導入管を備えた4つ口フラスコに表1の通りトルエン、酢酸ブチルを規定量入れ、110℃まで昇温し窒素ガスを吹き込みながら攪拌し、メタアクリル酸メチル、スチレン、メタアクリル酸n−ブチル、メタアクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸2ヒドロキシエチル、アクリル酸メチル、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)の混合物を3時間かけて滴下し、滴下終了後さらにAIBNを追加して同温度でさらに3時間反応させて不揮発分50%のアクリル系共重合体を得た。さらに硬化剤であるブロックイソシアネート「デスモジュールVPLS2253」(住化バイエルウレタン株式会社製)を表1のように配合し、クリヤ塗料を得た。
上塗り塗料の製造は、表1に示す配合割合に応じてクリヤ塗料を得た。
Figure 0004704086
比較のクリヤ塗料として、高分子ポリエステル/メラミン樹脂塗料「コイルコート475クリヤ」(川上塗料)を用いた。
金属板としては、ステンレス鋼板SUS430/No.4研磨仕上げ材を用いた。
これらのステンレス鋼板上に本発明の化成処理塗膜処理液をロールコーターにて蛍光X線にてSiO2が2〜50mg/m2になるように塗装し、板温(MT)が100℃になるよう乾燥させた。続いて本発明のクリヤ塗料をバーコーターにて板温(MT)が193℃になるように焼付け、表2に示す発明例No.1〜25のクリヤ塗装ステンレス鋼板を得た。塗装ラインの走行速度は50m/分とした。以下、実施例3を除いて同様の走行速度とした。
比較のためにクリヤ塗装が本発明の範囲を外れる塗装ステンレス鋼板、化成処理塗膜が塗布型クロメート処理である塗装ステンレス鋼板、化成処理塗膜の無い塗装ステンレス鋼板を前記の発明例と同様の方法で処理して、表3に示す比較例No.26〜37のステンレス鋼板を得た。
これらの供試材について塗膜のクリヤ性、硬さ、雨筋汚染性、耐洗剤性、耐薬品性、耐候性試験、成形性(エリクセン試験)、耐塩水噴霧性を調べた。結果を表2、表3に示す。
Figure 0004704086
Figure 0004704086
塗膜の評価方法は以下の通りである。
(1) 塗膜のクリヤ性
色差計CR−300(ミノルタ社製)にて塗膜の着色状態を、板温193℃で焼き付けた素材とクリヤ塗装した材料の色差Δb値にて測定した。(Δb大→黄大)
(2)硬さ
JIS K5600 5−4 引っかき硬度(鉛筆法)に従って評価した。(4以上を合格とした。)
5:6H以上(合格)
4:5H(合格)
3:4H(不合格)
2:3H(不合格)
1:2H以下(不合格)
(3) 雨筋汚染性
供試材を天然暴露試験3ヶ月行い、塗膜の雨筋のつき具合を評価した。
5:跡が全く無い (合格)
4:跡が僅かに認められる (合格)
3:跡がやや目立つ (不合格)
2:跡が濃く残る (不合格)
1:剥離する (不合格)
(4)耐洗剤性
供試材を40℃で72時間マジックリンにつけ塗膜の状態を観察、評価した。
5:跡が全く無い (合格)
4:跡が僅かに認められる (合格)
3:跡がやや目立つ (不合格)
2:跡が濃く残る (不合格)
1:剥離する (不合格)
(5)耐薬品性
5%硫酸と5%NaOHを供試材に2mL滴下し、蓋をしたのち、16時間後の塗膜の状態を観察、評価した。
5:跡が全く無い (合格)
4:跡が僅かに認められる (合格)
3:跡がやや目立つ (不合格)
2:跡が濃く残る (不合格)
1:剥離する (不合格)
(6)耐候性
SWOM試験1000hr後の光沢保持率(%)にて評価した。
5:光沢保持率80〜100% (合格)
4:光沢保持率60〜80% (合格)
3:光沢保持率40〜60% (不合格)
2:光沢保持率20〜40% (不合格)
1:光沢保持率0〜20% (不合格)
(7)エリクセン値
JIS Z2247に従って評価した。(SUS430グラファイトグリースを使用した場合、9.3mmであったため、それ以上を合格とした。)
(8)耐塩水噴霧試験
塗膜にクロスカットを施し、JIS Z2371の方法に従い塩水噴霧試験500hr行い、塗膜の剥離状態を目視により評価した。
5:剥離率5%未満 (合格)
4:剥離率5%以上10%未満 (合格)
3:剥離率10%以上15%未満 (不合格)
2:剥離率15%以上20%未満 (不合格)
1:剥離率20%以上 (不合格)
本発明によれば、6価クロムの放出が無く、かつクリヤ性、硬さ、雨筋汚染性、耐洗剤性、耐薬品性、耐候性に優れる環境に対応したクリヤ塗装ステンレス鋼板を得ることができる。更に、熱硬化性樹脂の固体物100質量部あたり、ポリオレフィン系ワックスを固形分量で0.25〜5質量部含有することにより、油性潤滑剤等を塗布したステンレス鋼板より優れた成形性を有する潤滑性に優れたクリヤ塗装ステンレス鋼板を得ることができる。
一方、比較例では、化成処理無しでは密着性不良、クロメート処理材では表面が黄色みを帯びると共に、6価クロムを含むため、環境に優しくない。更に、従来のポリエステル/メラミン樹脂塗料では、硬さ、雨筋汚染性、耐洗剤性、耐薬品性、耐候性に劣る可能性がある。また、平均分子量やガラス転移点が発明の範囲外のものは、硬さや製造性に劣る等の欠点を有している。
ステンレス鋼板(SUS430/No.4研磨仕上げ材)に本発明の化成処理塗膜処理液をロールコーターにて蛍光X線でSiO2が2〜50mg/m2になるように塗装し、板温(MT)が100℃になるよう乾燥させた。続いて本発明のクリヤ塗料(表1)をバーコーターにて板温(MT)が193℃になるように焼付け、表4に示す発明例No.1〜12のクリヤ塗装ステンレス鋼板を得た。鎖状水分散性シリカは化成処理塗膜に含有させた。
比較のために化成処理塗膜に鎖状水分散性シリカを入れないもの(比較例1)、化成処理塗膜に鎖状水分散性シリカを50%(固形分比)入れたもの(比較例2)、化成処理塗膜に鎖状水分散性シリカの代わりに通常の球状水分散シリカ「スノーテックスC」(日産化学(株))を入れたもの(比較例3)、化成処理塗膜がクロメート系のもの「アロジン1000(日本パーカライジング(株))」(比較例4)、クリヤ塗料がポリエステル系のもの(比較例5)、クリヤ塗料が表1のB−1、B−2のもの(比較例6,7)、化成処理塗膜の付着量を1mg及び100mgにしたもの(比較例8,9)を前記の発明例と同様の方法で処理して、表4に示す比較例No.1〜9のステンレス鋼板を得た。
これらの供試材について塗膜の光沢、クリヤ性、硬さ、雨筋汚染性、耐洗剤性、耐薬品性、耐候性試験、耐カッピング性を調べた。結果を表4に示す。
Figure 0004704086
塗膜の評価方法は以下の通りである。
(1) 光沢
JIS K5600 4−7(鏡面光沢度)に準じ測定し、110以上を合格とした。
5:130以上(合格)
4:110〜130(合格)
3:90〜110(不合格)
2:70〜90(不合格)
1:70以下(不合格)
(2)付着性
沸騰水に1時間浸漬し、30分放置後の付着性を碁盤目試験で評価した。評価はJIS K5600 5−6に準じ、8点以上を合格とした。
5:(合格):10点
4:(合格):8〜9点
3:(不合格):7〜6点
2:(不合格):5〜4点
1:(不合格):3点以下
(3)耐カッピング性
JIS K5600 5−2に準じて評価した。
5:9mm以上(合格)
4:7〜9mm(合格)
3:5〜7mm(不合格)
2:3〜5mm(不合格)
1:3mm以下(不合格)
(4)塗膜のクリヤ性、硬さ、雨筋汚染性、耐洗剤性、耐薬品性、耐候性の評価方法は実施例1と同様とした。
本発明によれば、ノンクロメート系金属表面処理剤に鎖状の水分散性シリカを配合された処理液で表面処理して化成処理塗膜を塗布した後、クリヤ塗料を塗布することで、高光沢を有するクリヤ塗装ステンレス鋼板を得ることができる。
一方、比較例では、化成処理塗膜に鎖状水分散性シリカを入れないもの(比較例1)は光沢が劣り、鎖状水分散性シリカを50%(固形分比)入れたもの(比較例2)は光沢は良好だが、金属処理液の安定性、付着性、耐カップリング性が劣り、化成処理塗膜に鎖状水分散性シリカの代わりに通常の球状水分散シリカを入れたもの(比較例3)は光沢が劣り、化成処理塗膜がクロメート系のもの(比較例4)は六価クロムを含むため環境に優しくない。クリヤ塗料がポリエステル系のもの(比較例5)、クリヤ塗料が表1のB−1、B−2のもの(比較例6,7)は、付着性や硬さに劣る。化成処理塗膜の付着量を1mg及び100mgにしたもの(比較例8,9)は付着性に劣る。
実施例1の方法で得たアクリル系共重合体に、さらに硬化剤であるブロックイソシアネート「デスモジュールVPLS2253」(住化バイエルウレタン株式会社製)とアミノ樹脂としてメラミン樹脂を表5のように配合し、クリヤ塗料を得た。オルガノシリカゾル、非晶質シリカやポリオレフィンワックスは表5のクリヤ塗料に含有させた。
ステンレス鋼板(SUS430/No.4研磨仕上げ材)に本発明の化成処理塗膜処理液をロールコーターにて蛍光X線でSiO2が2〜50mg/m2になるように塗装し、板温(MT)が100℃になるよう乾燥させた。本発明のクリヤ塗料(表5)をバーコーターにて板温(MT)が193℃になるように焼付け、表6に示す発明例No.1〜14のクリヤ塗装ステンレス鋼板を得た。本実施例では、クリヤ塗膜にアミノ樹脂を含有しているため硬化速度が遅くなるので、塗装ラインの鋼板走行速度を35m/分とした。
比較のためにクリヤ塗装が本発明の範囲を外れるクリヤ塗装ステンレス鋼板を前記の発明例と同様の方法で処理して、表7に示す比較例No.1〜14のステンレス鋼板を得た。
これらの供試材について塗膜の加工性、硬さ、光沢度、耐疵付き性、耐指紋汚染性、耐洗剤性、耐薬品性試験を調べた。結果を表6、7に示す。
塗膜の評価方法は以下の通りである。
(1)塗膜の加工性
JIS K5600 5−2(耐カッピング性)に従って評価した。
5:7mm以上(合格)
4:5〜7mm(合格)
3:3〜5mm(不合格)
2:1〜3mm(不合格)
1:1mm以下(不合格)
(2)硬さ
JIS K5600 5−4 引っかき硬度(鉛筆法)に従って評価した。
5:6H以上(合格)
4:5H(合格)
3:4H(不合格)
2:3H(不合格)
1:2H以下(不合格)
(3)光沢度
JIS K5600 4−7 鏡面光沢度に従って評価した。
5:90以上(合格)
4:70〜90(合格)
3:50〜70(不合格)
2:30〜50(不合格)
1:30以下(不合格)
(4)耐疵付き性
研磨剤入り家庭用洗剤「ジフ」(日本リーバ製)をガーゼを4枚重ねた上に滴下し1kgの荷重で100回こすり、疵付き性を評価する。
5:疵がない(合格)
4:ほとんど疵が目立たない(合格)
3:はっきりと疵が確認できる(不合格)
2:疵で塗膜の光沢がなくなっている(不合格)
1:塗膜が削れ素地に達している(不合格)
(5)耐指紋汚染性
指で塗面を1kg重の力で押え、指紋の付き方を確認し、付着した指紋をガーゼでふき取る。
5:指紋が付かない(合格)
4:ほとんど指紋が目立たない(合格)
3:うっすらと指紋が確認でき、除去は容易(不合格)
2:うっすらと指紋が確認でき、除去は困難(不合格)
1:はっきりと指紋が確認できる(不合格)
(6)耐洗剤性、耐薬品性については実施例1と同様に評価した。
Figure 0004704086
Figure 0004704086
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表6の本発明例1、2によれば、熱硬化性樹脂組成物を架橋硬化させるための樹脂としてアミノ樹脂(メラミン樹脂)を含有するクリヤ塗料を塗布することで耐疵付き性に優れたクリヤ塗装ステンレス鋼板を得ることができる。また表6の本発明3〜18は、熱硬化性樹脂組成物の中にオルガノシリカゾルを含有するクリヤ塗料を塗布することで耐疵付き性により一層優れたクリヤ塗装ステンレス鋼板を得ることができる。さらに、表6の本発明5〜18は、熱硬化性樹脂組成物の中に非晶質シリカを含有するクリヤ塗料を塗布することで耐疵付き性に加えて耐指紋汚染性に優れたクリヤ塗装ステンレス鋼板を得ることができる。本発明1〜18はポリオレフィンワックスを本発明の範囲で含有するので、塗膜の加工性または光沢度が優れ、耐疵付き性、耐指紋汚染性も優れている。
一方、表7の比較例1はアミノ樹脂を含有しないので、耐疵付き性が十分に向上していない。オルガノシリカゾル含有量が本発明範囲を超えるもの(比較例2)は塗膜の加工性や耐薬品性に劣る。非晶質シリカ含有量が本発明範囲を超えるもの(比較例9)は光沢が劣る。クリヤ塗料が本発明範囲を外れるもの(比較例10、11)は、耐疵付き性や塗膜の加工性に劣る。アミノ樹脂(メラミン樹脂)を含有するクリヤ塗料、オレガノシリカゲルおよび非晶質シリカが本発明の範囲にあっても、ポリオレフィンワックスが本発明の範囲を外れるもの(比較例5〜8)は、塗膜の加工性または光沢度が劣り、耐疵付き性、耐指紋汚染性も劣化する。また、ポリオレフィンワックス含有量が本発明範囲に満たないもの(比較例3、4)は、ポリオレフィンワックスを本発明範囲で含有するものに比較して潤滑性が向上していない。
なお、アミノ樹脂を含有しないクリヤ塗料を塗布した比較例1については、本実施例における耐疵付き性評価結果は指標3以下であるが、硬さについては4以上の良好な結果を示している。従って、このような厳しい耐疵付き性を要求されない用途については、十分に良好なクリヤ塗装ステンレス鋼板として用いることができる。
実施例1の方法で得たアクリル系共重合体に、さらに硬化剤であるブロックイソシアネート「デスモジュールVPLS2253」(住化バイエルウレタン株式会社製)とアミノ樹脂としてメラミン樹脂(サイメル327)を表8のように配合し、クリヤ塗料を得た。オルガノシリカゾル、非晶質シリカ、ポリオレフィンワックスおよび硬化触媒は表8のクリヤ塗料に含有させた。
ステンレス鋼板(SUS430/No.4研磨仕上げ材)に本発明の化成処理塗膜処理液をロールコーターにて蛍光X線でSiO2が2〜50mg/m2になるように塗装し、板温(MT)が100℃になるよう乾燥させた。本発明のクリヤ塗料(表8)をバーコーターにて板温(MT)が193℃になるように焼付け、表9に示す発明例No.1〜19のクリヤ塗装ステンレス鋼板を得た。硬化触媒を含有することによって硬化速度が速くなるので、塗装ラインの鋼板走行速度を原則50m/分とした。
比較のためにクリヤ塗装が本発明の範囲を外れるクリヤ塗装ステンレス鋼板を前記の発明例と同様の方法で処理して、表10に示す比較例No.1〜14のステンレス鋼板を得た。
これらの供試材について塗膜の加工性、硬さ、光沢度、耐疵付き性、耐指紋汚染性、耐洗剤性、耐薬品性試験を調べた。結果を表9、10に示す。
塗膜の評価方法は実施例3と同様である。
Figure 0004704086
Figure 0004704086
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表9に示す本発明によれば、熱硬化性樹脂組成物を架橋硬化させるための樹脂としてブロックイソシアネート樹脂とアミノ樹脂を含有するクリヤ塗料において、クリヤ塗膜の架橋硬化を促進するための硬化触媒として、ブロックイソシアネート樹脂に対してはジ−n−ブチルチンジラウリレート、アミノ樹脂に対してはP−トルエンスルホン酸を含むクリヤ塗料を塗布することで、鋼板走行速度が50m/分においても十分に良好な耐疵付き性を確保できた。すなわち、生産性に優れた耐疵付き性のクリヤ塗装ステンレス鋼板を得ることができる。さらに表9の本発明2〜19は、オルガノシリカゾルを含有することで耐疵付き性を一層向上させることができる。さらに表9の本発明1、3〜19は、クリヤ塗料に非晶質シリカを含有することで耐指紋汚染性にも優れたクリヤ塗装ステンレス鋼板とすることができる。
一方、表10に示す比較例では、アミノ樹脂の硬化触媒のP−トルエンスルホン酸を含まないか本発明範囲の下限を外れるもの(比較例8、9)は耐疵付き性に劣り、本発明範囲を超えるもの(比較例10)は塗膜の加工性に劣る。アミノ樹脂の硬化触媒のP−トルエンスルホン酸に代えてドデシルベンゼンスルホン酸を含有するもの(比較例11)は硬さと耐疵付き性に劣っている。すなわち、硬化触媒を含有しない場合には、架橋速度が遅く生産性を阻害することを意味している。実用的には、本発明においてはラインスピードをアップしながら、耐疵付き性等の高機能性を付与することが可能であるが、比較例ではできない。オルガノシリカゾル含有量が本発明範囲を超えるもの(比較例1)は塗膜の加工性や耐薬品性に劣る。クリヤ塗料が本発明範囲を外れるもの(比較例12,13)は、耐疵付き性や塗膜の加工性に劣る。クリヤ塗料、オレガノシリカゾルおよび非晶質シリカが本発明の範囲にあっても、ポリオレフィンワックスが本発明の範囲を外れるもの(比較例2〜7)は、塗膜の加工性または光沢度が劣り、耐疵付き性、耐指紋汚染性も劣化する。比較例14は、熱硬化性樹脂組成物にアミノ樹脂を含有しないので、耐疵付き性や硬さが向上していない。
実施例1の方法で得たアクリル系共重合体に、さらに硬化剤であるブロックイソシアネート「デスモジュールVPLS2253」(住化バイエルウレタン株式会社製)とアミノ樹脂としてメラミン樹脂(サイメル327)を実施例4と同様の表8のように配合し、クリヤ塗料を得た。ポリオレフィンワックスおよび樹脂ビーズは表8のクリヤ塗料に含有させた。
ステンレス鋼板(SUS430/No.4研磨仕上げ材)に本発明の化成処理塗膜処理液をロールコーターにて蛍光X線でSiO2が2〜50mg/m2になるように塗装し、板温(MT)が100℃になるよう乾燥させた。本発明のクリヤ塗料(表8)をバーコーターにて板温(MT)が193℃になるように焼付け、表11に示す発明例No.1〜17のクリヤ塗装ステンレス鋼板を得た。
比較のためにクリヤ塗装が本発明の範囲を外れるクリヤ塗装ステンレス鋼板を前記の発明例と同様の方法で処理して、表12に示す比較例No.1〜16のステンレス鋼板を得た。
これらの供試材について塗膜の加工性、硬さ、光沢度、耐疵付き性、耐指紋汚染性、耐洗剤性、耐薬品性試験を調べた。結果を表11、12に示す。
塗膜の評価方法は以下の通りである。
(1)意匠性・外観
インバーダル材(ステンレス)と意匠性を比較する。
5:全く差が無い (合格)
4:ほとんど差がない (合格)
3:差がやや目立つ (不合格)
2:差が目立つ (不合格)
1:はっきりと差がわかる (不合格)
(2)貯蔵安定性
43℃の状態で144時間後の塗料の状態を観察、評価した。
5:全く異常が無い (合格)
4:やや塗料状態に異常がある (合格)
3:僅かに粘度上昇が認められる(不合格)
2:やや増粘傾向がみられる (不合格)
1:完全にゲル、増粘している (不合格)
(3)塗膜の加工性、硬さ、耐疵付き性、耐指紋汚染性、耐洗剤性、耐薬品性については、実施例4の方法で評価した。結果を表11、12に示す。
Figure 0004704086
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本発明によれば、アクリル樹脂の熱硬化性樹脂組成物を架橋硬化させるための樹脂としてブロックイソシアネート樹脂とアミノ樹脂を含有するクリヤ塗料に、アクリル樹脂ビーズを含有することでインバーダル調の意匠性に優れたクリヤ塗装ステンレス鋼板を得ることができる。
一方、比較例ではアクリル樹脂ビーズが本発明範囲を外れるもの(比較例2〜4)は意匠性と光沢度が劣る。アクリル樹脂ビーズではなくウレタン樹脂ビーズを含有するもの(比較例5〜7)は貯蔵安定性に劣る。クリヤ塗料が本発明範囲を外れるもの(比較例8、9)は、意匠性と光沢度が劣る。ポリオレフィンワックスが本発明の範囲を外れるもの(比較例10、11)は、下限を外れる場合は意匠性と塗膜の加工性が劣り、上限が外れる場合は意匠性と硬さが劣る。

Claims (4)

  1. 上層がクリヤ塗膜と下層が化成処理塗膜で形成されるクリヤ塗装ステンレス鋼板において、化成処理塗膜がアミノシラン系、エポキシシラン系の1種類または2種類より実質的になるとともに鎖状の水分散性シリカを0.1〜30%(固形分比)含有し、化成処理塗膜付着量が2〜50mg/m2であり、クリヤ塗膜が架橋性官能基を有するガラス転移点が30〜90℃、数平均分子量3000〜50000のアクリル樹脂を主成分として該アクリル樹脂を架橋硬化させるためのブロックイソシアネート樹脂を含む熱硬化性樹脂組成物であり、クリヤ塗膜厚さが1〜10μmであることを特徴とし、高光沢を有するクリヤ塗装ステンレス鋼板。
  2. 上層がクリヤ塗膜と下層が化成処理塗膜で形成されるクリヤ塗装ステンレス鋼板において、化成処理塗膜がアミノシラン系、エポキシシラン系の1種類または2種類より実質的になり、化成処理塗膜付着量が2〜50mg/m 2 であり、クリヤ塗膜が架橋性官能基を有するガラス転移点が30〜90℃、数平均分子量3000〜50000のアクリル樹脂を主成分として該アクリル樹脂を架橋硬化させるためのブロックイソシアネート樹脂及びアミノ樹脂を含む熱硬化性樹脂組成物であり、
    前記熱硬化性樹脂組成物が、その固形物100質量部あたり、オルガノシリカゾルを2〜10質量部、非晶質シリカを0.5〜5質量部含有し、前記アミノ樹脂の硬化触媒としてP−トルエンスルホン酸系触媒を熱硬化性樹脂組成物の固形物100質量部あたり、0.5〜5質量部含有するとともに、前記ブロックイソシアネート樹脂の硬化触媒を含有し、
    前記クリヤ塗膜は、熱硬化性樹脂組成物の固形物100質量部あたり、融点が70〜160℃であって粒径が0.1〜7.0μmであるポリオレフィン系ワックスを固形分量で0.25〜5質量部含有し、クリヤ塗膜厚さが1〜10μmであることを特徴とする生産性・耐指紋性・耐疵付き性に優れたクリヤ塗装ステンレス鋼板。
  3. 上層がクリヤ塗膜と下層が化成処理塗膜で形成されるステンレス鋼板の製造方法であって、アミノシラン系、エポキシシラン系の1種類または2種類よりなるとともに鎖状の水分散性シリカを0.1〜30%(固形分比)含有する化成処理塗膜を付着量が2〜50mg/m2となるように塗布し、その後クリヤ塗膜として架橋性官能基を有するガラス転移点が30〜90℃、数平均分子量3000〜50000のアクリル樹脂を主成分として該アクリル樹脂を架橋硬化させるためのブロックイソシアネート樹脂を含む熱硬化性樹脂組成物をクリヤ塗膜厚さが1〜10μmとなるように塗布することを特徴とし、高光沢を有するクリヤ塗装ステンレス鋼板の製造方法。
  4. 上層がクリヤ塗膜と下層が化成処理塗膜で形成されるステンレス鋼板の製造方法であって、アミノシラン系、エポキシシラン系の1種類または2種類よりなる化成処理塗膜を付着量が2〜50mg/m 2 となるように塗布し、その後クリヤ塗膜として架橋性官能基を有するガラス転移点が30〜90℃、数平均分子量3000〜50000のアクリル樹脂を主成分として該アクリル樹脂を架橋硬化させるためのブロックイソシアネート樹脂及びアミノ樹脂を含む熱硬化性樹脂組成物をクリヤ塗膜厚さが1〜10μmとなるように塗布し、
    前記熱硬化性樹脂組成物は、その固形物100質量部あたり、融点が70〜160℃であって粒径が0.1〜7.0μmであるポリオレフィン系ワックスを固形分量で0.25〜5質量部含有し、
    前記熱硬化性樹脂組成物が、その固形物100質量部あたり、オルガノシリカゾルを2〜10質量部、非晶質シリカを0.5〜5質量部含有し、前記アミノ樹脂の硬化触媒としてP−トルエンスルホン酸系触媒を熱硬化性樹脂組成物の固形物100質量部あたり、0.5〜5質量部含有するとともに、前記ブロックイソシアネート樹脂の硬化触媒を含有することを特徴とする生産性・耐指紋性・耐疵付き性に優れたクリヤ塗装ステンレス鋼板の製造方法。
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