JP2000301659A - アルカリ可溶樹脂被覆粗面化ステンレス鋼板 - Google Patents

アルカリ可溶樹脂被覆粗面化ステンレス鋼板

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JP2000301659A
JP2000301659A JP11113453A JP11345399A JP2000301659A JP 2000301659 A JP2000301659 A JP 2000301659A JP 11113453 A JP11113453 A JP 11113453A JP 11345399 A JP11345399 A JP 11345399A JP 2000301659 A JP2000301659 A JP 2000301659A
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alkali
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soluble resin
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Yoshiharu Iwamizu
義治 岩水
Takeshi Shimizu
剛 清水
Tsutomu Miyano
勉 宮野
Masayoshi Tadano
政義 多々納
Keiji Izumi
圭二 和泉
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Nippon Steel Nisshin Co Ltd
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Nisshin Steel Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 粗面化処理を施したステンレス鋼板の、プレ
ス加工時の金型によるカジリを解消する。 【解決手段】 粗面化ステンレス鋼板の粗面化面に、酸
価が60〜200、分子量が5000〜20000の、
分子中にカルボキシル基を有するアルカリ可溶樹脂を2
〜50g/m2塗装した粗面化ステンレス鋼板。該アルカ
リ可溶樹脂中に、合成樹脂粉末固体潤滑剤を含有させる
ことにより、プレス加工性がさらに向上する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、粗面化したステン
レス鋼板の表面をアルカリ可溶樹脂で被覆することによ
り、取扱時の傷付きや、プレス加工時のカジリを防止し
た粗面化ステンレス鋼板に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、ステンレス鋼板の防眩性向上、意
匠性の付与、塗膜密着性の向上等を目的として表面を粗
面化したステンレス鋼板が開発されている。粗面化方法
としては、ショットブラスト等の物理的手段や、化学的
若しくは電気化学的なエッチング方法があり、例えば、
特開平10−259449号公報や特開平11−613
54号公報には、塩化第二鉄水溶液中で交番電解するこ
とによりによりステンレス鋼板表面を粗面化する方法が
開示されている。
【0003】この方法により製造した粗面化ステンレス
鋼板は、その表面に微細なピットが高密度に形成された
特徴ある形態を有しており、その形態が各種塗膜との密
着性を向上させ、各種有機塗装や琺瑯被覆の原板として
好適である。また、無塗装で使用する場合においても、
その粗面化面の防眩効果により、落ち着きを持った色調
を呈するため、外装建材としても使用される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ステンレス鋼板は一般
に、プレス加工を施されて最終製品となることが多い。
上述した様に、粗面化ステンレス鋼板は各種の優れた特
性を有するが、プレス加工時に金型と接触する部位で
は、粗面化面が金型にかじられて粗面化の機能が発揮で
きなくなる恐れがある。従来より、ステンレス鋼板のプ
レス加工時に、金型のカジリ防止対策として塩化ビニル
樹脂の保護フィルムを鋼板表面に貼り付け、加工後にそ
の保護フィルムを剥ぎ取る作業が行われているが、粗面
化ステンレス鋼板の場合、プレス加工のしごきによって
保護フィルムが粗面化面に強固に固着し、引き剥がしが
困難となったり、保護フィルムの糊が粗面化面に残存
し、塗装密着性を阻害するといった問題を引き起こす。
【0005】また、ステンレス鋼板のプレス加工時のカ
ジリを防止する方法として、アルカリ可溶型の保護皮膜
をステンレス鋼板上に被覆する方法が、特開平8−15
6177号公報および特開平8−252887号公報に
開示されている。しかし、これらの方法は、塗膜密着性
のあまり良くない通常のステンレス鋼板が対象であり、
これらの方法を粗面化ステンレス鋼板に適用すると、ア
ルカリ脱脂工程で短時間に保護皮膜が除去できないとい
う問題が残る。
【0006】本発明は、各種機能性付与を目的としてそ
の表面を粗面化したステンレス鋼板に、プレス加工時の
金型との接触によるカジリを防止し、かつ、その後のア
ルカリ脱脂工程において十分な溶解性を持つアルカリ可
溶型の保護皮膜を被覆することにより、プレス加工後に
おいても粗面化の機能性が維持可能な粗面化ステンレス
鋼板を提供するものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、本発明においては、単位面積あたりの表面積がその
幾何学的表面積に対して2.5倍以上となる粗面化面を
片面もしくは両面に有するステンレス鋼板であって、そ
の粗面化面上に、分子中にカルボキシル基を有する樹脂
であって、その酸価が60〜200および分子量が50
00〜20000であるアルカリ可溶樹脂を2〜50g
/m2被覆したことを特徴とするアルカリ可溶樹脂被覆
粗面化ステンレス鋼板が提供される。
【0008】また、本発明においては、上記アルカリ可
溶樹脂被覆粗面化ステンレス鋼板の好適な粗面化形態と
して、平均開口径が1〜10μmのピットが、ピット未
発生部分の面積率が40%以下となるように高密度に発
生しており、かつ、下記(1)で定義するオーバーハン
グ密度Kが0.1〜1の範囲であるアルカリ可溶樹脂被
覆粗面化ステンレス鋼板が提供される。 (1)オーバーハング密度K:鋼板断面の顕微鏡観察像
において、50μm以上の長さの測定範囲を定め、当該
測定範囲内でピット内壁面が断面曲線の平均線の方向よ
り下側に向いている部分(=オーバーハング部)の個数
nを測定し、その個数nを測定範囲の長さ(μm)で除
した値をKとする。ここで、断面曲線とは当該断面に現
われる原板最表面の輪郭をいい、断面曲線の平均線とは
定めた測定範囲において、その断面曲線までの偏差の二
乗和が最小になるように設定した直線または曲線をい
い、下側とは板厚中央部側をいう。
【0009】さらに本発明においては、上記何れかのア
ルカリ可溶樹脂被覆粗面化ステンレス鋼板において、ア
ルカリ可溶樹脂皮膜中に平均粒径1〜10μmの合成樹
脂粉末を1〜25mass%含有させたアルカリ可溶樹
脂被覆粗面化ステンレス鋼板が提供される。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明の粗面化ステンレス鋼板と
しては、単位面積あたりの表面積の幾何学的表面積に対
して(いわゆる比表面積が)2.5倍以上であることが
好ましい。比表面積が2.5未満では、塗膜密着性や防
眩性等、粗面化ステンレス鋼板としての機能が不十分と
なる。なお、ここで言う幾何学的表面積とは、表面に凹
凸の全くない理想的な平面の面積を表し、例えば、1m
×1mのステンレス表面の片面の幾何学的表面積は1m
2となる。ステンレス鋼板の粗面化の方法としては、特
に限定するものではなく、比表面積が2.5以上に粗面
化できればどのような方法でも良い。なかでも、表面積
を大きくできるショットブラストあるいは塩化第二鉄水
溶液中での交番電解による方法が好適である。また、原
板として使用するステンレス鋼板の鋼種も特に限定する
ものではなく、使用する用途に応じて適宜選択すると良
い。
【0011】本発明のさらに好適な粗面の形態として、
ステンレス鋼板表面に平均開口径が1〜10μmのピッ
トが、ピット未発生部分の面積率が40%以下となるよ
うに高密度に発生しており、かつ、下記(1)で定義す
るオーバーハング密度Kが0.1〜1の範囲となること
が挙げられる。ピットの平均開口径が1μm未満では、
アルカリ脱脂後においてもピット内にアルカリ可溶樹脂
が残存しやすく、塗装密着性等の面で問題となる。ピッ
トの平均開口径が10μmを超えると、加工部の塗装密
着性や防眩性等が低下する。
【0012】良好な加工部の塗装密着性や防眩性を得る
ためには、オーバーハング部を有するピット形態がさら
に好適である。その場合、オーバーハング密度Kが0.1
以上において、粗面化面の機能が効果的に働く。しか
し、オーバーハング密度Kが1を超えるとアルカリ可溶
樹脂が残存しやすくなるため、オーバーハング密度Kは
0.1〜1とする。図1にオーバーハング密度Kの求め
方を説明する断面の模式図を示す。図1には、測定範囲
として定めた長さ75μmの範囲を示すとともに、その
測定範囲内でピット内壁面が断面曲線の平均線の方向よ
り下を向いている部分(オーバーハング部)を矢印で示
した。この例では測定範囲75μmあたりオーバーハン
グ部の個数は32個であり、オーバーハング密度Kは3
2/75=0.42(個/μm)と求められる。
【0013】なお、ピット未発生部分の面積率が40%
を超えると、塗装密着性や防弦性等などが低下するの
で、ピット未発生部の面積率としては40%以下が好ま
しい。
【0014】本発明に用いるアルカリ可溶樹脂として
は、分子中にカルボキシル基を有するものであって、ア
ルカリ水溶液に溶解するものであれば、樹脂の種類は特
に限定するものではない。樹脂の例としては、アクリル
酸または/およびメタクリル酸の重合体または共重合体
などのアクリル樹脂、カルボキシル基を変性させたウレ
タン樹脂、エポキシ樹脂などが挙げられる。なお、カル
ボキシル基はアルカリ水溶液との接触により樹脂皮膜を
溶解させるために必要である。
【0015】アルカリ可溶樹脂の酸価としては60〜2
00が好ましい。酸価が60未満ではアルカリ脱脂時の
粗面化面での皮膜除去性が劣る。また、200を超える
と造膜性が悪くなり皮膜の耐カジリ性が低下する。な
お、酸価とは樹脂1g中に含まれる酸分(カルボキシル
基)を中和するのに必要な水酸化カリウムのmg数をい
う。アルカリ可溶樹脂の分子量としては、5000〜2
0000が好適である。分子量が5000未満では造膜
性や皮膜強度が十分ではなく、耐カジリ性が低下する。
20000を超えるとアルカリ脱脂時の粗面化面での皮
膜除去性が劣化する。皮膜除去性の観点より、分子量の
より好ましい範囲は5000〜15000である。
【0016】アルカリ可溶樹脂の被覆量としては2〜5
0g/m2が好適である。被覆量が2g/m2未満では粗
面化面を完全に覆うことができず、粗面化面の保護には
不十分である。50g/m2を超えると、皮膜の溶解時
間が長くなり、かつ、カジリ防止に対する性能も飽和
し、経済的に不利となる。なお、被覆量1g/m2は、
膜厚に換算した場合約1μmに相当する。
【0017】プレス加工性をさらに向上させるために
は、アルカリ可溶樹脂中に固体潤滑剤として合成樹脂粉
末を添加することが好ましい。合成樹脂粉末を潤滑材と
して添加すると、潤滑性が向上して無塗油で加工が可能
となり、塗油の省略による作業環境の改善効果が付加的
に得られる。なお、固形潤滑剤としては無機系のものを
用いることも可能であるが、廃液処理の観点より、合成
樹脂粉末が好ましい。合成樹脂粉末の添加量としては1
〜25mass%が好適である。添加量が1mass%
未満では、添加の効果が少なく、25mass%を超え
ると、処理液への分散が困難になり、アルカリ樹脂を被
覆する以前にゲル化してしまう。合成樹脂粉末の平均粒
径は1〜10μmが好ましい。1μm未満の場合には、
潤滑性向上効果が少なく、10μmを超えると、加工時
に合成樹脂粉末が脱落し、潤滑性を発揮しなくなる。
【0018】粗面化面へのアルカリ可溶樹脂の被覆方法
は、鋼板表面に均一皮膜が得られる方法であれば特に限
定するものではない。例えば、ロールコーター法やスプ
レー法などの公知の塗装方法が用いられる。
【0019】
【実施例】[実施例1]板厚が0.8mmのSUS430
粗面化ステンレス鋼板(図1に模式的に示したもの)を
ベースとして、その粗面化面上にアルカリ可溶樹脂を5
g/m2塗布したサンプルを作製した。アルカリ可溶樹
脂としては、メチルメタクリレート、ブチルアクリレー
ト、メタクリル酸を用いて酸価が70、分子量が100
00となるように共重合させ、かつ、その樹脂中に平均
粒径2μmのポリエチレン樹脂粉末を10mass%含
有させたアクリル樹脂を用いた。また、比較材として、
アルカリ可溶樹脂を施さなかったもの、さらに厚み50μ
mの塩化ビニル製の保護フィルムを粗面化面上に貼り付
けたサンプルも用意した。
【0020】それぞれのサンプルについて80mmφの円
板試験片を採取し、ポンチ径:40mmφ、ポンチ肩
R:5R、しわ押さえ力:15kNとした条件の円筒絞
り加工を実施した。ただし、ポリエチレン樹脂粉末を含
有したアルカリ可溶樹脂を施したサンプルについては無
塗油で加工を行った。そして、いずれの円筒絞り加工サ
ンプルともpH:12、液温:50℃のオルソケイ酸ソ
ーダ水溶液中に浸せき後、その側壁部を一部切り出し、
外周側表面を走査電子顕微鏡(SEM)により観察し
た。アルカリ可溶樹脂皮膜を施さなかった場合、粗面化
面は金型のカジリによりつぶれていたが、本発明のアル
カリ可溶樹脂を被覆した粗面化ステンレス鋼板では、粗
面化面が残存し、プレス加工後も粗面化の機能性が維持
できる状態にあることが観察された。なお、塩化ビニル
製の保護フィルムを貼り付けて円筒絞り加工に供したサ
ンプルについては、側壁部において保護フィルムが強固
に貼り付き、引き剥がすことが不可能であった。
【0021】[実施例2] 通常の脱脂・酸洗を施した板厚;0.6mmのSUS4
30およびSUS304ステンレス鋼板について種々の
条件で粗面化処理を行った。得られた粗面化面上にメチ
ルメタクリレート、ブチルアクリレート、メタクリル酸
を用いて酸価が70、分子量が10000共重合させ、
かつ、その皮膜中に平均粒径2μmのポリエチレン樹脂
粉末を10mass%含有させたアルカリ可溶樹脂皮膜
を、付着量5g/m2一定となるように塗布し、サンプ
ルを作製した。また、比較材として、SUS430ステ
ンレス鋼板2DR仕上げ材およびSUS304ステンレ
ス鋼板2B仕上げ材の粗面化未処理材についても、アル
カリ可溶樹脂被覆したサンプルを作製した。
【0022】得られたアルカリ可溶樹脂被覆粗面化ステ
ンレス鋼板より円板試験片を採取し、ポンチサイズ:4
0×40mm、ポンチ肩R:5R、しわ押さえ力:15
kNの条件で角筒絞りを実施した。この試験片をNaO
H水溶液(pH:12、液温:50℃)に1分間浸せき
して皮膜を除去し、角筒絞り加工側壁部を一部切り出
し、その外周側表面について琺瑯塗装密着性を以下の条
件で実施した。角筒絞り外側の試験片に、焼成後の膜厚
で100μmとなるようにホ琺瑯(鉄琺瑯用カバーコー
ト、白色)を塗装し、その塗装部分にエリクセンによる
押込み2mmを施し、加工部分の塗膜残存率から琺瑯と
の密着性を評価した。
【0023】表1に、各供試材の粗面化処理方法、BE
T法により求めた比表面積、粗面化さらに、塩化第二鉄
水溶液中での交番電解により作製した粗面化ステンレス
鋼板の場合にはピット未発生面積率、ピットの平均開口
径、オーバーハング密度と加工部分の琺瑯塗膜残存率と
を関係を示す。比表面積が2.5以上では、いずれも琺
瑯塗膜残存率が70%以上であり、良好な密着性を示し
た。なかでも、塩化第二鉄水溶液中での交番電解によっ
て作製した試料番号1および試料番号2では、粗面化面
にオーバーハング部を有しており、高い琺瑯塗膜残存率
を示した。
【0024】
【表1】
【0025】[実施例3]通常の電解脱脂、酸洗を施し
た板厚;0.8mmのSUS304ステンレス鋼板2B
仕上げ材表面に、液温が40℃、濃度が4mass%の
塩化第二鉄水溶液を用いて、アノード電流密度が3kA
/m2、カソード電流密度が0.1kA/m2、交番電解
サイクル数5Hz、処理時間60sで交番電解を行い粗
面化ステンレス鋼板を作製した。次に、2,2−ジメチ
ロールプロピオン酸、ヘキサメチレンジイソシアネー
ト、1,4−ブチレングリコール、エチレングリコール
系ポリエステルポリオールの各成分を変化させて反応さ
せることにより、酸価と分子量を調整したカルボキシル
基含有ウレタン樹脂のエマルジョン処理液を準備した。
この処理液を上記の粗面化ステンレス鋼板にバーコータ
ーで塗布して、オーブンで乾燥し、厚さの異なる樹脂皮
膜を形成した。
【0026】得られたアルカリ可溶樹脂被覆粗面化ステ
ンレス鋼板より円板試験片を採取し、ポンチサイズ:4
0×40mm、ポンチ肩R:5R、しわ押さえ力:15
kNの条件で角筒絞りを実施した。なお、加工はプレス
油を用いて実施した。この試験片をオルソケイ酸水溶液
(pH;12、液温;50℃)に1分間浸せきして皮膜
を除去し、角筒絞り加工サンプルの側壁部を一部切り出
し、その外周側表面についてセラミックス塗料(日本合
成ゴム製;グラスカB103黒色顔料入り)をスプレー
塗装したのち、180℃で2min間焼成を行い、焼成
後の膜厚が10μmになるように塗膜を付着させた。こ
の試験片を温水50℃に10日間浸せき後、加工部側壁
部にカッターガイド間隔1mmの碁盤目を刻み、その部
分にセロテープを貼布後、剥離する方法(以下碁盤目セ
ロテープ剥離試験)を行い、塗膜に異常の無いものを
○、一部でも剥離が生じたものを×で評価した。表2
に、アルカリ可溶樹脂の明細および評価結果を示す。
【0027】
【表2】
【0028】アルカリ可溶樹脂の酸価が低い試料番号1
8や樹脂の分子量が高い試料番号19では、セラミック
ス塗膜の二次密着性が不良となった。これは、これらの
樹脂皮膜の場合、アルカリ水溶液中での溶解性が小さ
く、粗面化面のピット内部に樹脂が残存したことによ
り、塗装密着性が低下したものと考えられる。試料番号
20では、アルカリ可溶樹脂の被覆量が少なく、加工の
際に粗面化面にカジリが生じたため、加工部の塗膜密着
性は測定できなかった。
【0029】[実施例4]実施例3に示した試料番号1
6の処理液に平均粒径の異なるポリエチレン合成樹脂粉
末を添加したものを用い、無塗油で加工を実施し、実施
例3と同様にセラミックス塗装の二次密着性を調査し
た。表3にポリエチレン合成樹脂粉末の明細と試験結果
を示す。
【0030】
【表3】
【0031】合成樹脂粉末を適正量添加した試料番号2
3〜26では、無塗油で加工後も粗面化面にカジリが生
じることなく粗面化面の機能性を維持される。試料番号
27では、合成樹脂粉末の添加量が少なく、無塗油では
加工の際に粗面化面にカジリが生じ、加工部の塗膜密着
性が得られなかった。試料番号28では、合成樹脂粉末
の添加量が多すぎたため、処理液の安定性が悪くゲル化
したため、塗装できなかった。
【0032】[実施例5]板厚0.4mm、幅600m
mのSUS430ステンレス鋼板2B仕上げ材に、通常
の電解脱脂・酸洗を施した鋼帯について、液温が40
℃、5mass%の塩化第二鉄水溶液を用いてアノード
電流密度:5.0kA/m2、カソード電流密度:1.
5A/m2、交番電解サイクル:10Hz一定として、
両面に電解粗面化処理を行った。また、この時、通板速
度を変化させることにより10〜180sの範囲で処理
時間の異なるサンプルを作製した。その後、鋼帯のまま
塗装ラインにおいて、ロールコーターにより粗面化面に
試料番号28の処理液を焼付け後の付着量が4g/m2
なるように塗装した。そして、得られたアルカリ可溶樹
脂被覆電解粗面化ステンレス鋼帯の電解粗面化処理時間
の異なる部分よりそれぞれ円盤試験片を切り出し、実施
例3と同様な方法により、角筒絞り加工側壁部のセラミ
ックス塗装密着性を評価した。その結果を表4に示す。
【0033】
【表4】
【0034】粗面化処理時間の増加にともない、ピット
未発生部分の面積は減少し、比表面積やオーバーハング
部を有するピットが形成し、良好なセラミックス塗膜密
着性を示した。しかし、粗面化処理時間10sでは、ピ
ット未発生部分の面積率が高く、比表面積も小さいた
め、良好な琺瑯塗装密着性が得られなかった。また、粗
面化処理時間を180sとしたサンプルでは、オーバー
ハング部を有するサンプルが細かく形成したため、アル
カリ可溶樹脂がピット内部に残存しやすくなり、その結
果として塗膜密着性が低下したものと考えられる。
【0035】
【発明の効果】以上のように、本発明のアルカリ可溶樹
脂被覆粗面化ステンレス鋼板は、アルカリ可溶樹脂の保
護作用により、プレス加工時に粗面化面が損なわれず、
また、プレス加工後にアルカリ脱脂することにより、粗
面化面が本来有していた機能性を発現することが可能で
ある。
【図面の簡単な説明】
【図1】オーバーハング密度Kの求めかたを示す、粗面
化ステンレス鋼板表面付近の断面の模式図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 多々納 政義 大阪府堺市石津西町5番地 日新製鋼株式 会社技術研究所表面処理研究部内 (72)発明者 和泉 圭二 大阪府堺市石津西町5番地 日新製鋼株式 会社技術研究所表面処理研究部内 Fターム(参考) 4D075 CA02 CA50 DA06 DB04 EA02 EB13 EB22 EB52 EB55 EC24 EC53 4F100 AB04A AK01B AK01H AK01K AK04B AK04H AK25B AK25J AL01B BA02 BA10A BA10B DD07A DE01B DE01H GB07 JA07B JA20B JB08B JL01 YY00A YY00B YY00H

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 単位面積あたりの表面積がその幾何学的
    表面積に対して2.5倍以上となる粗面化面を片面もし
    くは両面に有するステンレス鋼板であって、その粗面化
    面上に、分子中にカルボキシル基を有する樹脂であっ
    て、その酸価が60〜200および分子量が5000〜
    20000であるアルカリ可溶樹脂を2〜50g/m2
    被覆したことを特徴とするアルカリ可溶樹脂被覆粗面化
    ステンレス鋼板。
  2. 【請求項2】 粗面化形態として、平均開口径が1〜1
    0μmのピットが、ピット未発生部分の面積率が40%
    以下となるように高密度に発生しており、かつ、下記
    (1)で定義するオーバーハング密度Kが0.1〜1の
    範囲であることを特徴とする請求項1に記載のアルカリ
    可溶樹脂被覆粗面化ステンレス鋼板。 (1)オーバーハング密度K:鋼板断面の顕微鏡観察像
    において、50μm以上の長さの測定範囲を定め、当該
    測定範囲内でピット内壁面が断面曲線の平均線の方向よ
    り下側に向いている部分(=オーバーハング部)の個数
    nを測定し、その個数nを測定範囲の長さ(μm)で除
    した値をKとする。ここで、断面曲線とは当該断面に現
    われる原板最表面の輪郭をいい、断面曲線の平均線とは
    定めた測定範囲において、その断面曲線までの偏差の二
    乗和が最小になるように設定した直線または曲線をい
    い、下側とは板厚中央部側をいう。
  3. 【請求項3】 アルカリ可溶樹脂皮膜中に平均粒径1〜
    10μmの合成樹脂粉末を1〜25mass%含有させ
    たことを特徴とする請求項1または2に記載のアルカリ
    可溶樹脂被覆粗面化ステンレス鋼板。
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Cited By (4)

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