以下、本開示の一側面に係る媒体搬送装置、制御方法及び制御プログラムについて図を参照しつつ説明する。但し、本発明の技術的範囲はそれらの実施の形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された発明とその均等物に及ぶ点に留意されたい。
図1は、イメージスキャナとして構成された媒体搬送装置100を示す斜視図である。媒体搬送装置100は、原稿である媒体を搬送し、撮像する。媒体は、用紙、厚紙、カード、冊子又はパスポート等である。媒体搬送装置100は、ファクシミリ、複写機、プリンタ複合機(MFP、Multifunction Peripheral)等でもよい。なお、搬送される媒体は、原稿でなく印刷対象物等でもよく、媒体搬送装置100はプリンタ等でもよい。
媒体搬送装置100は、下側筐体101、上側筐体102、載置台103、排出台104、操作装置105及び表示装置106等を備える。
上側筐体102は、媒体搬送装置100の上面を覆う位置に配置され、媒体つまり時、媒体搬送装置100内部の清掃時等に開閉可能なようにヒンジにより下側筐体101に係合している。即ち、上側筐体102は、下側筐体101の上側に配置され、下側筐体101を覆う筐体カバーとして機能する。
載置台103は、給送される媒体を載置面103a上に載置可能に下側筐体101に係合している。載置台103は、載置面103a上で媒体の給送方向A1と直交する幅方向A2に移動可能に設けられ、且つ、載置面103aと直交する高さ方向A3に積載される媒体の幅方向を規制するサイドガイド107a、107bを有する。排出台104は、排出された媒体を保持可能に下側筐体101に係合している。
操作装置105は、ボタン等の入力デバイス及び入力デバイスから信号を取得するインタフェース回路を有し、利用者による入力操作を受け付け、利用者の入力操作に応じた操作信号を出力する。表示装置106は、液晶、有機EL(Electro-Luminescence)等を含むディスプレイ及びディスプレイに画像データを出力するインタフェース回路を有し、画像データをディスプレイに表示する。
図2は、媒体搬送装置100内部の搬送経路を説明するための図である。
媒体搬送装置100内部の搬送経路は、センターセンサ111、第1サイドセンサ112、第2サイドセンサ113、第1媒体検出センサ114、給送ローラ115、ブレーキローラ116、第2媒体検出センサ117、超音波発信器118a、超音波受信器118b、第1搬送ローラ119、第2搬送ローラ120、第1撮像装置121a、第2撮像装置121b、第1排出ローラ122及び第2排出ローラ123等を有している。なお、各ローラの数は一つに限定されず、各ローラの数はそれぞれ複数でもよい。以下では、第1撮像装置121a及び第2撮像装置121bを総じて撮像装置121と称する場合がある。
下側筐体101の上面は、媒体の搬送路の下側ガイド108aを形成し、上側筐体102の下面は、媒体の搬送路の上側ガイド108bを形成する。図2において矢印A1は媒体の給送方向を示す。以下では、上流とは給送方向A1の上流のことをいい、下流とは給送方向A1の下流のことをいう。
センターセンサ111、第1サイドセンサ112及び第2サイドセンサ113は、上側筐体102の上流側の端部に、即ち媒体の搬送路に対して上側に、且つ、給送ローラ115及びブレーキローラ116より上流側に配置される。なお、センターセンサ111、第1サイドセンサ112及び第2サイドセンサ113は、載置台103が撮像可能であり、載置台103に載置された媒体の状態が検知可能であれば、給送ローラ115及びブレーキローラ116より下流側に配置されてもよい。センターセンサ111、第1サイドセンサ112及び第2サイドセンサ113の詳細については後述する。
第1媒体検出センサ114は、センターセンサ111、第1サイドセンサ112及び第2サイドセンサ113より下流側に配置される。第1媒体検出センサ114は、接触検出センサを有し、載置台103に媒体が載置されているか否かを検出する。第1媒体検出センサ114は、載置台103に媒体が載置されている状態と載置されていない状態とで信号値が変化する第1媒体検出信号を生成して出力する。
給送ローラ115及びブレーキローラ116は、第1媒体検出センサ114より下流側に配置される。給送ローラ115は、下側筐体101に設けられ、ブレーキローラ116は、上側筐体102に、給送ローラ115と対向するように設けられる。給送ローラ115及びブレーキローラ116は、載置台103に載置された媒体を分離して給送する給送部の一例であり、載置台103に載置された媒体を下側から順に給送する。
第2媒体検出センサ117は、給送ローラ115及びブレーキローラ116より下流側且つ第1搬送ローラ119及び第2搬送ローラ120より上流側、即ち撮像装置121より上流側に配置され、その位置に媒体が存在するか否かを検出する。第2媒体検出センサ117は、媒体の搬送路に対して一方の側に設けられた発光器及び受光器と、搬送路を挟んで発光器及び受光器と対向する位置に設けられたミラー等の反射部材とを含む。発光器は、搬送路に向けて光を照射する。一方、受光器は、発光器により照射され、反射部材により反射された光を受光し、受光した光の強度に応じた電気信号である第2媒体検出信号を生成して出力する。第2媒体検出センサ117の位置に媒体が存在する場合、発光器により照射された光はその媒体により遮光されるため、第2媒体検出センサ117の位置に媒体が存在する状態と存在しない状態とで第2媒体検出信号の信号値は変化する。なお、発光器及び受光器は、搬送路を挟んで相互に対向する位置に設けられ、反射部材は省略されてもよい。
超音波発信器118a及び超音波受信器118bは、給送ローラ115及びブレーキローラ116より下流側且つ第1搬送ローラ119及び第2搬送ローラ120より上流側、即ち撮像装置121より上流側に配置される。超音波発信器118a及び超音波受信器118bは、媒体の搬送路の近傍に、搬送路を挟んで対向して配置される。超音波発信器118aは、超音波を出力する。一方、超音波受信器118bは、超音波発信器118aにより発信され、媒体を通過した超音波を受信し、受信した超音波に応じた電気信号である超音波信号を生成して出力する。以下では、超音波発信器118a及び超音波受信器118bを総じて超音波センサ118と称する場合がある。
第1撮像装置121aは、主走査方向に直線状に配列されたCCD(Charge Coupled Device)による撮像素子を備える縮小光学系タイプのラインセンサを有する。また、第1撮像装置121aは、撮像素子上に像を結ぶレンズと、撮像素子から出力された電気信号を増幅し、アナログ/デジタル(A/D)変換するA/D変換器とを有する。第1撮像装置121aは、搬送された媒体の裏面を撮像した入力画像を生成して出力する。
同様に、第2撮像装置121bは、主走査方向に直線状に配列されたCCDによる撮像素子を備える縮小光学系タイプの撮像センサを有する。また、第2撮像装置121bは、撮像素子上に像を結ぶレンズと、撮像素子から出力された電気信号を増幅し、アナログ/デジタル(A/D)変換するA/D変換器とを有する。第2撮像装置121bは、搬送された媒体の裏面を撮像した入力画像を生成して出力する。
なお、媒体搬送装置100は、第1撮像装置121a及び第2撮像装置121bを一方だけ配置し、媒体の片面だけを読み取ってもよい。また、CCDの代わりにCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)による撮像素子を備える等倍光学系タイプのCIS(Contact Image Sensor)を利用することもできる。
載置台103に載置された媒体は、給送ローラ115が図2の矢印A4の方向に回転することによって、下側ガイド108aと上側ガイド108bの間を給送方向A1に向かって搬送される。ブレーキローラ116は、媒体給送時、矢印A5の方向に回転する。給送ローラ115及びブレーキローラ116の働きにより、載置台103に複数の媒体が載置されている場合、載置台103に載置されている媒体のうち給送ローラ115と接触している媒体のみが分離される。これにより、分離された媒体以外の媒体の搬送が制限されるように動作する(重送の防止)。
媒体は、下側ガイド108aと上側ガイド108bによりガイドされながら、第1搬送ローラ119と第2搬送ローラ120の間に送り込まれる。媒体は、第1搬送ローラ119及び第2搬送ローラ120がそれぞれ矢印A6及び矢印A7の方向に回転することによって、第1撮像装置121aと第2撮像装置121bの間に送り込まれる。撮像装置121により読み取られた媒体は、第1排出ローラ122及び第2排出ローラ123がそれぞれ矢印A8及び矢印A9の方向に回転することによって排出台104上に排出される。
図3は、センターセンサ111、第1サイドセンサ112及び第2サイドセンサ113について説明するための模式図である。図3は、媒体搬送装置100の上流側を上方から見た模式図である。
図3に示すように、センターセンサ111、第1サイドセンサ112及び第2サイドセンサ113は、幅方向A2において、相互に離間して配置される。センターセンサ111は、載置台103の中央位置と対向する位置に配置される。第1サイドセンサ112は、センターセンサ111より外側であり且つ一方のサイドガイド107a側に配置される。第2サイドセンサ113は、センターセンサ111より外側であり且つ他方のサイドガイド107b側に配置される。
センターセンサ111、第1サイドセンサ112及び第2サイドセンサ113は、撮像センサ等のエリアセンサである。各撮像センサは、撮像素子と、撮像素子上に像を結ぶレンズと、撮像素子から出力された電気信号を増幅し、アナログ/デジタル(A/D)変換するA/D変換器とを有する。撮像素子は、1次元又は2次元に配列されたCCD又はCMOS等である。
各センサは、撮像方向(レンズ光軸)が、給送方向A1において上流側に、特に幅方向A2における載置台103の略中心位置に向き、且つ、高さ方向A3において下方(載置面103a側)に向くように配置される。特に、センターセンサ111は、その撮像範囲R1に、載置台103に載置された媒体が幅方向A2の全体にわたって含まれるように配置される。第1サイドセンサ112は、その撮像範囲R2に、載置台103に載置された媒体の一方のサイドガイド107a側の領域が含まれるように配置される。第2サイドセンサ113は、その撮像範囲R3に、載置台103に載置された媒体の他方のサイドガイド107b側の領域が含まれるように配置される。
各センサは広画角センサであることが好ましく、媒体搬送装置100がサポートする最大サイズの媒体が載置台103に載置された場合に、その媒体全体が各センサの各撮像範囲に含まれることが好ましい。各センサは、載置台103に載置された最大サイズの媒体内の各領域、特にその媒体の上流側の端部における各領域が、少なくとも何れかのセンサの撮像範囲に含まれるように設けられる。
各センサは、載置台103に載置された媒体を一定周期毎に撮像し、媒体を撮像した画像を生成して出力する。センターセンサ111は第1画像を生成し、第1サイドセンサ112は第2画像を生成し、第2サイドセンサ113は第3画像を生成する。
図4は、媒体搬送装置100の概略構成を示すブロック図である。
媒体搬送装置100は、前述した構成に加えて、駆動装置131、インタフェース装置132、記憶装置140、CPU(Central Processing Unit)150及び処理回路160等をさらに有する。
駆動装置131は、1つ又は複数のモータを含み、CPU150からの制御信号によって、給送ローラ115、ブレーキローラ116、第1搬送ローラ119、第2搬送ローラ120、第1排出ローラ122及び第2排出ローラ123を回転させて媒体を搬送させる。
インタフェース装置132は、例えばUSB等のシリアルバスに準じるインタフェース回路を有し、不図示の情報処理装置(例えば、パーソナルコンピュータ、携帯情報端末等)と電気的に接続して入力画像及び各種の情報を送受信する。また、インタフェース装置132の代わりに、無線信号を送受信するアンテナと、所定の通信プロトコルに従って、無線通信回線を通じて信号の送受信を行うための無線通信インタフェース装置とを有する通信部が用いられてもよい。所定の通信プロトコルは、例えば無線LAN(Local Area Network)である。
記憶装置140は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等のメモリ装置、ハードディスク等の固定ディスク装置、又はフレキシブルディスク、光ディスク等の可搬用の記憶装置等を有する。また、記憶装置140には、媒体搬送装置100の各種処理に用いられるコンピュータプログラム、データベース、テーブル等が格納される。コンピュータプログラムは、コンピュータ読み取り可能な可搬型記録媒体から、公知のセットアッププログラム等を用いて記憶装置140にインストールされてもよい。可搬型記録媒体は、例えばCD-ROM(compact disc read only memory)、DVD-ROM(digital versatile disc read only memory)等である。
CPU150は、予め記憶装置140に記憶されているプログラムに基づいて動作する。なお、CPU150に代えて、DSP(digital signal processor)、LSI(large scale integration)等が用いられてもよい。また、CPU150に代えて、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)等が用いられてもよい。
CPU150は、操作装置105、表示装置106、センターセンサ111、第1サイドセンサ112、第2サイドセンサ113、第1媒体検出センサ114、第2媒体検出センサ117、超音波センサ118、撮像装置121、駆動装置131、インタフェース装置132、記憶装置140及び処理回路160等と接続され、これらの各部を制御する。CPU150は、駆動装置131の駆動制御、撮像装置121の撮像制御等を行い、画像を取得し、インタフェース装置132を介して不図示の情報処理装置に送信する。また、CPU150は、センターセンサ111、第1サイドセンサ112又は第2サイドセンサ113により生成される画像に基づいて、載置台103に載置された媒体の撓みが発生しているか否かを判定する。
処理回路160は、撮像装置121により撮像された画像に所定の画像処理を実行し、画像処理が実行された画像を記憶装置140に格納する。なお、処理回路160の代わりに、DSP、LSI,ASIC又はFPGA等が用いられてもよい。
図5は、記憶装置140及びCPU150の概略構成を示す図である。
図5に示すように、記憶装置140には、制御プログラム141、動き検出プログラム142、判定プログラム143及び画像取得プログラム144等が記憶される。これらの各プログラムは、プロセッサ上で動作するソフトウェアにより実装される機能モジュールである。CPU150は、記憶装置140に記憶された各プログラムを読み取り、読み取った各プログラムに従って動作する。これにより、CPU150は、制御部151、動き検出部152、判定部153及び画像取得部154として機能する。
図6は、媒体搬送装置100の媒体読取処理の動作の例を示すフローチャートである。
以下、図6に示したフローチャートを参照しつつ、媒体搬送装置100の媒体読取処理の動作の例を説明する。なお、以下に説明する動作のフローは、予め記憶装置140に記憶されているプログラムに基づき主にCPU150により媒体搬送装置100の各要素と協働して実行される。図6に示す動作のフローは、定期的に実行される。
最初に、制御部151は、利用者により操作装置105を用いて媒体の読取指示が入力されて、媒体の読み取りを指示する操作信号を操作装置105から受信するまで待機する(ステップS101)。
次に、制御部151は、第1媒体検出センサ114から第1媒体検出信号を取得し、取得した第1媒体検出信号に基づいて、載置台103に媒体が載置されているか否かを判定する(ステップS102)。
載置台103に媒体が載置されていない場合、制御部151は、ステップS101へ処理を戻し、操作装置105から新たに操作信号を受信するまで待機する。
一方、載置台103に媒体が載置されている場合、動き検出部152は、センターセンサ111、第1サイドセンサ112及び第2サイドセンサ113から第1画像、第2画像及び第3画像を取得し、記憶装置140に記憶する(ステップS103)。動き検出部152は、取得した第1画像、第2画像及び第3画像を、それぞれ第1初期画像、第2初期画像及び第3初期画像として記憶装置140に記憶する。
次に、制御部151は、駆動装置131を駆動して、給送ローラ115、ブレーキローラ116、第1搬送ローラ119、第2搬送ローラ120、第1排出ローラ122及び第2排出ローラ123を回転させて、媒体を給送及び搬送させる(ステップS104)。また、画像取得部154は、撮像装置121に、搬送された媒体の撮像を開始させる。
次に、制御部151は、撓みフラグ又は重送フラグがONに設定されているか否かを判定する(ステップS105)。撓みフラグ及び重送フラグは、それぞれ、媒体毎の読取開始時にOFFに設定され、後述する判定処理で判定部153により媒体の撓み及び重送が発生していると判定されるとONに設定される。
撓みフラグ又は重送フラグの何れかがONに設定されている場合、制御部151は、駆動装置131を停止し、媒体の給送及び搬送を停止する(ステップS106)。このように、制御部151は、判定部153による判定結果に応じて、媒体の給送を停止する。媒体搬送装置100は、撓み又は重送が発生している媒体の給送を停止することにより、二つ折りにされた媒体、ステイプルで綴じられた媒体又は綴られた媒体等が搬送された場合に、媒体のジャムが発生することを防止できる。
次に、制御部151は、媒体の撓みが発生していること又は媒体の重送が発生していることを示す警告を利用者に通知し(ステップS107)、一連のステップを終了する。制御部151は、警告を表示装置106に表示することにより、利用者に警告を通知する。なお、制御部151は、警告を示す情報を、インタフェース装置132を介して不図示の情報処理装置に送信し、警告を情報処理装置に表示させることにより利用者に警告を通知してもよい。このように、制御部151は、判定部153による判定結果に基づいて、利用者に警告を通知する。これにより、利用者は、媒体の給送で異常が発生したことを認識して、媒体を適切な状態に修正し又は媒体搬送装置100の分離機能を無効にした上で、媒体を再給送させることができる。なお、警告の通知処理は省略されてもよい。
一方、ステップS105において撓みフラグ及び重送フラグの両方がOFFに設定されていた場合、制御部151は、媒体の先端が第1搬送ローラ119及び第2搬送ローラ120を通過したか否かを判定する(ステップS108)。制御部151は、第2媒体検出センサ117から第2媒体検出信号を定期的に受信し、受信した第2媒体検出信号に基づいて、媒体の先端が第2媒体検出センサ117の位置を通過したか否かを判定する。制御部151は、第2媒体検出信号の信号値が、媒体が存在しないことを示す値から媒体が存在することを示す値に変化したときに、媒体の先端が第2媒体検出センサ117の位置を通過したと判定する。制御部151は、媒体の先端が第2媒体検出センサ117の位置を通過してから第1時間が経過したときに、媒体の先端が第1搬送ローラ119及び第2搬送ローラ120を通過したと判定する。第1時間は、媒体が第2媒体検出センサ117の位置から第1搬送ローラ119及び第2搬送ローラ120の位置まで移動する時間に予め設定される。なお、制御部151は、給送ローラ115の回転量(搬送量)に基づいて、媒体の先端が第1搬送ローラ119及び第2搬送ローラ120を通過したか否かを判定してもよい。
なお、制御部151は、第1搬送ローラ119及び第2搬送ローラ120より下流側に設けられた不図示の媒体検出センサによる媒体検出結果に基づいて、媒体の先端が第1搬送ローラ119及び第2搬送ローラ120を通過したか否かを判定してもよい。
媒体の先端が第1搬送ローラ119及び第2搬送ローラ120を通過した場合、制御部151は、給送ローラ115及びブレーキローラ116の回転を停止させて媒体の給送を停止するように駆動装置131を制御する(ステップS109)。給送ローラ115及びブレーキローラ116により給送された媒体は、以降、第1搬送ローラ119、第2搬送ローラ120、第1排出ローラ122及び第2排出ローラ123により搬送される。なお、制御部151は、既に媒体の給送を停止している場合は、特に処理を実行しない。
媒体の先端が第1搬送ローラ119及び第2搬送ローラ120を通過していない場合、又は、媒体の給送を停止させた場合、制御部151は、媒体の後端が撮像装置121を通過したか否かを判定する(ステップS110)。制御部151は、第2媒体検出センサ117から第2媒体検出信号を定期的に受信し、受信した第2媒体検出信号に基づいて、媒体の後端が第2媒体検出センサ117の位置を通過したか否かを判定する。制御部151は、第2媒体検出信号の信号値が、媒体が存在することを示す値から媒体が存在しないことを示す値に変化したときに、媒体の後端が第2媒体検出センサ117の位置を通過したと判定する。制御部151は、媒体の後端が第2媒体検出センサ117の位置を通過してから第2時間が経過したときに、媒体の後端が撮像装置121を通過したと判定する。第2時間は、媒体が第2媒体検出センサ117の位置から撮像装置121まで移動する時間に予め設定される。なお、制御部151は、給送ローラ115の回転量(搬送量)に基づいて、媒体の後端が撮像装置121を通過したか否かを判定してもよい。媒体の後端が撮像装置121を通過していない場合、制御部151は、処理をステップS105へ戻し、ステップS105~S110の処理を繰り返す。
一方、媒体の後端が撮像装置121を通過した場合、画像取得部154は、撮像装置121から入力画像を取得し、取得した入力画像を、インタフェース装置132を介して不図示の情報処理装置へ送信する(ステップS111)。なお、情報処理装置と接続されていない場合、画像取得部154は、入力画像を記憶装置140に記憶しておく。
次に、制御部151は、第1媒体検出センサ114から取得する第1媒体検出信号に基づいて載置台103に媒体が残っているか否かを判定する(ステップS112)。載置台103に媒体が残っている場合、制御部151は、ステップS103へ処理を戻し、ステップS103~S112の処理を繰り返す。
一方、載置台103に媒体が残っていない場合、制御部151は、駆動装置131を停止し(ステップS113)、一連のステップを終了する。
図7は、判定処理の動作の例を示すフローチャートである。
以下、図7に示したフローチャートを参照しつつ、媒体搬送装置100の判定処理の動作の例を説明する。なお、以下に説明する動作のフローは、予め記憶装置140に記憶されているプログラムに基づき主にCPU150により媒体搬送装置100の各要素と協働して実行される。図7に示す動作のフローは、媒体の給送中及び/又は搬送中に定期的に実行される。
最初に、動き検出部152は、センターセンサ111、第1サイドセンサ112及び第2サイドセンサ113から第1画像、第2画像及び第3画像を取得し、記憶装置140に記憶する(ステップS201)。
次に、動き検出部152は、第1画像、第2画像及び第3画像に基づいて、載置台103に載置された媒体の給送方向A1における第1変化量を検出する。また、動き検出部152は、第1画像、第2画像及び第3画像に基づいて、載置台103に載置された媒体の、載置台103の載置面103aと直交する高さ方向A3における第2変化量を検出する。また、動き検出部152は、第1画像、第2画像及び第3画像に基づいて、載置台103に載置された媒体の、載置台103の載置面103aと平行であり且つ給送方向と直交する幅方向A2における第3変化量を検出する(ステップS202)。
動き検出部152は、例えば公知のパターンマッチング技術を利用して、画像内での対象物の移動量を算出する。動き検出部152は、図6のステップS103で取得していた第1初期画像と、第1画像とをそれぞれ所定サイズの複数のブロックに分割する。動き検出部152は、第1初期画像内の基準ブロックに対して、第1画像内でその基準ブロックに対応する位置(第1初期画像内の基準ブロックの座標と同一の座標の位置)から所定範囲内にあるブロックを評価ブロックとして抽出する。動き検出部152は、基準ブロックと抽出した各評価ブロックとで相互に対応する画素の輝度値の差の絶対値の合計値を算出し、合計値が最小である評価ブロックを基準ブロックに対応する対象ブロックとして特定する。なお、動き検出部152は、相互に対応する画素の輝度値の差の二乗の合計値、又は、正規化相互相関値を用いて対象ブロックを特定してもよい。
動き検出部152は、第1画像内で、複数の基準ブロックに対応する各位置から、各基準ブロックに対応する対象ブロックへ向かうベクトルを算出する。動き検出部152は、算出したベクトルの平均の給送方向A1の成分を第1移動量として検出し、幅方向A2の成分を第3移動量として検出する。給送方向A1の成分は、例えば画像内の垂直方向の成分であり、幅方向A2の成分は、例えば画像内の水平方向の成分である。なお、各成分の方向は、垂直方向及び水平方向に対して、センターセンサ111の撮像方向の傾きを考慮して補正されてもよい。動き検出部152は、第2初期画像と第2画像の組合せ、及び、第3初期画像と第3画像の組合せについても、第1移動量及び第3移動量を検出する。動き検出部152は、検出した各第1移動量の最大値、平均値又は中央値を第1変化量として検出し、各第3移動量の最大値、平均値又は中央値を第3変化量として検出する。
動き検出部152は、基準ブロックに対応する対象ブロックを特定する場合と同様にして、第1画像、第2画像及び第3画像の内の二つの画像(例えば第2画像及び第3画像)の組合せについて、相互に対応する二つのブロックを抽出する。動き検出部152は、抽出した二つのブロックのセット毎に、二つのブロックの画像内の位置ずれ量(座標の位置の差)Xを算出する。動き検出部152は、三角測量の原理を利用して、位置ずれ量Xから、以下の式(1)により、そのセットに対応する画像を撮像したセンサから媒体上のそのブロックに対応する位置までの距離Dを算出する。
D=P×(f/X) (1)
ここで、Pは各画像を撮像した二つのセンサの間の距離Pであり、fはセンサの焦点距離である。
同様に、動き検出部152は、ブロックのセットが抽出された二つの画像に対応する初期画像から、各ブロックに対応するブロックのセットを抽出し、センサから媒体上のそのブロックに対応する位置までの距離Dを算出する。動き検出部152は、ブロックのセット毎に、初期画像から算出した距離Dと、最新の画像から算出した距離Dとの差分値を算出し、算出した差分値の最大値、平均値又は中央値を、高さ方向A3における第2移動量として検出する。動き検出部152は、第1画像、第2画像及び第3画像の内の全ての二つの画像の組合せについて、第2移動量を算出し、算出した各第2移動量の最大値、平均値又は中央値を第2変化量として検出する。
なお、動き検出部152は、パターンマッチング技術を利用する代わりに、画像の特徴量を利用して、画像内での対象物の移動量を算出してもよい。その場合、動き検出部152は、各画像から、予め定められた特徴的な部分を示す特徴点を抽出する。動き検出部152は、各特徴点として、載置台103に載置された媒体の各角の点もしくは各辺上の点又は媒体内の文字、罫線もしくは図形上の点等を抽出する。そのために、動き検出部152は、各画像に対してエッジ抽出処理を行い、周辺画素との輝度差が所定値以上であるエッジ画素を抽出する。動き検出部152は、抽出したエッジ画素の位置、パターン等に基づいて特徴量を求める。動き検出部152は、求めた特徴量が、載置台103に載置された媒体又は媒体内の文字、罫線もしくは図形等の各部について予め定められた条件を満たすか否かにより各部の位置を特定し、特定した各部の位置に基づいて特徴点を抽出する。動き検出部152は、パターンマッチング技術を利用する場合と同様にして、各画像から抽出した相互に対応する特徴点の各移動量を算出する。
このように、動き検出部152は、センターセンサ111、第1サイドセンサ112及び第2サイドセンサ113により生成された画像に基づいて、第1変化量、第2変化量及び第3変化量を検出する。
次に、判定部153は、第1変化量が第1閾値未満であるか否かと、第2変化量が第2閾値以上であるか否かと、を判定する(ステップS203)。第1閾値は、例えば様々な種類の媒体を給送させる実験において、媒体の撓みが発生した場合に検出された第1変化量と、媒体の撓みが発生しなかった場合に検出された第1変化量との間の値に予め設定される。同様に、第2閾値は、例えば様々な種類の媒体を給送させる実験において、媒体の撓みが発生した場合に検出された第2変化量と、媒体の撓みが発生しなかった場合に検出された第2変化量との間の値に予め設定される。
第1変化量が第1閾値未満であり且つ第2変化量が第2閾値以上である場合、判定部153は、媒体の撓みが発生していると判定する(ステップS204)。判定部153は、媒体の撓みを、媒体損傷の予兆として検出し、媒体の給送を継続させた場合に媒体の損傷が発生する可能性が高いと推定する。次に、判定部153は、撓みフラグをONに設定して(ステップS205)、処理をステップS208へ移行する。
一方、第1変化量が第1閾値以上である場合、又は、第2変化量が第2閾値未満である場合、判定部153は、第3変化量が第3閾値以上であるか否かを判定する(ステップS206)。第3閾値は、例えば様々な種類の媒体を給送させる実験において、媒体の撓みが発生した場合に算出された第3変化量と、媒体の撓みが発生しなかった場合に算出された第3変化量との間の値に予め設定される。
第3変化量が第3閾値以上である場合、判定部153は、媒体の撓みが発生していると判定する(ステップS204)。判定部153は、媒体の撓みを、媒体損傷の予兆として検出し、媒体の給送を継続させた場合に媒体の損傷が発生する可能性が高いと推定する。次に、判定部153は、撓みフラグをONに設定して(ステップS205)、処理をステップS208へ移行する。
一方、第3変化量が第3閾値未満である場合、判定部153は、媒体の撓みが発生していないと判定する(ステップS207)。
次に、判定部153は、超音波センサ118から超音波信号を取得する(ステップS208)。
次に、判定部153は、取得した超音波信号の信号値が重送閾値未満であるか否かを判定する(ステップS209)。
図8は、超音波信号の特性について説明するための模式図である。
図8のグラフ800の横軸は時間を示し、縦軸は超音波信号の信号値を示す。グラフ800において、実線801は媒体として一枚の用紙が搬送されている場合の超音波信号の特性を示し、点線802は用紙の重送が発生している場合の超音波信号の特性を示す。重送が発生していることにより、区間803において点線802の超音波信号の信号値が低下している。重送閾値は、一枚の用紙が搬送されているときの超音波信号の信号値S1と、用紙の重送が発生しているときの超音波信号の信号値S2との間の値に設定される。これにより、判定部153は、超音波信号の信号値が重送閾値未満であるか否かを判定することによって媒体の重送が発生しているか否かを判定することができる。
判定部153は、超音波信号の信号値が重送閾値未満である場合、重送が発生していると判定し(ステップS210)、重送フラグをONに設定して(ステップS211)、一連のステップを終了する。一方、判定部153は、超音波信号の信号値が重送閾値以上である場合、重送が発生していないと判定し(ステップS212)、一連のステップを終了する。
なお、変化量を検出するためのセンサとして、センターセンサ111、第1サイドセンサ112及び第2サイドセンサ113の内の何れか二つのセンサ(例えば第1サイドセンサ112及び第2サイドセンサ113)のみが使用されてもよい。その場合、媒体搬送装置100がサポートする最大サイズの媒体が載置されたときに、その媒体全体が二つのセンサの撮像範囲に含まれるように、より広画角のセンサ(例えば水平方向の画角が60°以上且つ90°以下であるセンサ)が使用されることが好ましい。この場合、ステップS202において、動き検出部152は、各センサにより撮像された画像から算出された各移動量の最大値又は平均値を各変化量として検出する。これにより、媒体搬送装置100は、ハードウェア構成を単純化でき、装置サイズ及び装置コストを低減させることが可能となる。
また、変化量を検出するためのセンサとして、センターセンサ111、第1サイドセンサ112及び第2サイドセンサ113の内の何れか一つのセンサ(例えばセンターセンサ111)のみが使用されてもよい。その場合、媒体搬送装置がサポートする最大サイズの媒体が載置された場合に、その媒体全体が一つのセンサの撮像範囲に含まれるように、より広画角のセンサ(例えば水平方向の画角が90°より大きいセンサ)が使用されることが好ましい。さらに、一つのセンサによってセンサと対象物の間の距離が測定されるように、公知の位相差検出方式等により対象までの距離を測定可能な撮像センサが使用されることが好ましい。この場合、ステップS202において、動き検出部152は、一つのセンサにより撮像された画像から算出された各移動量を各変化量として検出する。これにより、媒体搬送装置100は、ハードウェア構成をより単純化でき、装置サイズ及び装置コストをより低減させることが可能となる。
また、変化量を検出するためのセンサとして、センターセンサ111、第1サイドセンサ112及び第2サイドセンサ113に加えてさらに一又は複数のセンサが使用されてもよい。その場合、ステップS202において、動き検出部152は、各センサにより撮像された画像から算出された各移動量の最大値、平均値又は中央値を各変化量として検出する。これにより、媒体搬送装置100は、媒体の撓みの検出精度をさらに向上させることが可能となる。
また、動き検出部152は、第1~第3変化量として、給送開始前から現在までの変化量でなく、一定期間における変化量を検出してもよい。その場合、動き検出部152は、ステップS201で取得した各画像を、ステップS103で取得していた各画像と比較するのでなく、前回に又は所定時間前に取得した各画像と比較することにより、第1~第3変化量を検出する。
また、ステップS206の第3変化量の判定処理は省略され、判定部153は、第1変化量が第1閾値以上である場合、又は、第2変化量が第2閾値未満である場合、媒体の撓みが発生していないと判定してもよい。また、ステップS208~S212の重送判定処理は省略されてもよい。
図9は、媒体種別毎の、各変化量の検出結果と、媒体の撓みの検出結果の関係を示す表である。図10A~図13Cは、二つ折りにされた媒体又はステイプルで綴じられた媒体が給送されるときの様子を示す模式図である。図14は、山折り及び谷折りについて説明するための模式図である。
図9の項目1は、給送方向A1に沿って二つ折りにされた媒体又は給送方向A1に沿った一端がステイプルで綴じられた複数の媒体が給送されたときの各検出結果を示す。図10Aは、その媒体1000を媒体搬送装置100の側方から見た模式図であり、図10Bは、その媒体1000を媒体搬送装置100の下流側から見た模式図である。図10A及び図10Bに示すように、媒体1000では、給送方向A1に沿った一端1001が綴じられている。媒体搬送装置100の給送部は、載置台103に載置された媒体を下側から順に給送するため、媒体1000の下側部分1002は給送部の下流側に送られるが、上側部分1003の下流側の端部は給送部より上流側に留まる。
この場合、上側部分1003は給送部によって留まろうとするが、綴じられた一端1001には下側部分1002によって下流側に向かう力が加わり、上側部分1003の上流側部分1004が上方に向けて撓む。そのため、図9の項目1に示すように、給送方向A1における第1変化量は小さくなり、高さ方向A3における第2変化量は中程度となる。
図9の項目2は、幅方向A2に沿って二つ折りにされた媒体又は幅方向A2に沿った一端がステイプルで綴じられた複数の媒体が、綴じられた部分が上流側に配置された状態で給送されたときの各検出結果を示す。図11Aは、その媒体1100を媒体搬送装置100の側方から見た模式図であり、図11Bは、その媒体1100を媒体搬送装置100の下流側から見た模式図である。図11A及び図11Bに示すように、媒体1100では、幅方向A2に沿った一端1101が綴じられている。
この場合、上側部分1003の下流側の端部は、給送部によって留まり、下流側に移動しない。一方、綴じられた一端1101には下側部分1102によって下流側に向かう力が加わり、上側部分1103の中央部分1104が上方に向けて撓む。そのため、図9の項目2に示すように、給送方向A1における第1変化量はほとんど0となり、高さ方向A3における第2変化量は中程度となる。
図9の項目3は、幅方向A2に沿って二つ折りにされた媒体又は幅方向A2に沿った一端がステイプルで綴じられた複数の媒体が、綴じられた部分が下流側に配置された状態で給送されたときの各検出結果を示す。この媒体は、給送部で分離されずに給送部の下流側にスムーズに給送される。そのため、図9の項目3に示すように、給送方向A1における第1変化量は大きくなり、高さ方向A3における第2変化量及び幅方向A2における第3変化量はほとんど0となる。
図9の項目4は、媒体の一つの角がステイプルで綴じられた複数の媒体が、綴じられた部分が上流側に配置された状態で給送されたときの各検出結果を示す。図12Aは、その媒体1200を媒体搬送装置100の側方から見た模式図であり、図12Bは、その媒体1200を媒体搬送装置100の下流側から見た模式図であり、図12Cは、その媒体1200を上方から見た模式図である。図12A~図12Cに示すように、媒体1200では、給送方向A1の上流側であり且つ幅方向A2の一端側である端部1201が綴じられている。
この場合、上側部分1203の綴じられた端部1201には、下側部分1202によって、給送部で留まっている下流側部分1204を中心として矢印A11の方向に向かうように回転する力が加わる。これにより、上側部分1203は、給送方向A1にはほとんど移動しないが、上側部分1203の端部1201の反対側の下流側端部1205は、幅方向A2において端部1201の反対側に向かって移動する。また、端部1201には下側部分1202によって下流側に向かう力が加わることにより、上側部分1203の端部1201の周辺部分1206は、上方に向けて撓む。そのため、図9の項目4に示すように、給送方向A1における第1変化量はほとんど0となり、幅方向A2における第3変化量は小量ながら発生し、高さ方向A3における第2変化量は中程度となる。なお、幅方向A2の変化は、高さ方向A3の変化より早期に発生する傾向にある。
図9の項目5は、媒体の一つの角がステイプルで綴じられた複数の媒体が、綴じられた部分が下流側に配置された状態で給送されたときの各検出結果を示す。図13Aは、その媒体1300を媒体搬送装置100の側方から見た模式図であり、図13Bは、その媒体1300を媒体搬送装置100の下流側から見た模式図であり、図13Cは、その媒体1300を上方から見た模式図である。図13A~図13Cに示すように、媒体1300では、給送方向A1の下流側であり且つ幅方向A2の一端側である端部1301が綴じられている。
この場合、上側部分1303の綴じられた端部1301には、下側部分1302によって、給送部で留まっている下流側部分1304を中心として矢印A12の方向に向かうように回転する力が加わる。これにより、上側部分1303は、給送方向A1には少ししか移動しないが、上側部分1303の端部1301側の上流側端部1305は、幅方向A2において端部1301側に向かって移動する。また、上側部分1303の端部1301の周辺部分1306は、上方に向けてわずかに撓むが、その撓みは給送部によって抑えられる。そのため、図9の項目5に示すように、給送方向A1における第1変化量、及び、幅方向A2における第3変化量は小量ながら発生し、高さ方向A3における第2変化量はほとんど0となる。
図9の項目6は、給送方向A1の中央部分が幅方向A2に沿って山折りにされた媒体(上方に向けて凸となるように折り目が付けられた媒体)が給送されたときの各検出結果を示す。図14に示す媒体1400の給送方向A1における中央ライン1401が山折りにされた場合、媒体1400は、給送時に給送部で分離されずに給送部の下流側にスムーズに給送される。但し、媒体1400が給送される際、その中央部分は膨らむ。そのため、図9の項目6に示すように、給送方向A1における第1変化量は大きくなり、高さ方向A3における第2変化量は中程度となる。
図9の項目7は、給送方向A1の中央部分が幅方向A2に沿って谷折りにされた媒体(下方に向けて凸となるように折り目が付けられた媒体)が給送されたときの各検出結果を示す。図14に示す媒体1400の給送方向A1における中央ライン1401が谷折りにされた場合、媒体1400は、給送時に給送部で分離されずに給送部の下流側にスムーズに給送される。但し、媒体1400が給送される際、その下流側の端部1403は立ち上がる。そのため、図9の項目7に示すように、給送方向A1における第1変化量は大きくなり、高さ方向A3における第2変化量は中程度となる。
図9の項目8及び項目9は、それぞれ、幅方向A2の中央部分が給送方向A1に沿って山折り及び谷折りにされた媒体が給送されたときの各検出結果を示す。図14に示す媒体1400の幅方向A2における中央ライン1402が山折り又は谷折りにされた場合、媒体1400は、給送時に給送部で分離されずに給送部の下流側にスムーズに給送される。また、媒体1400は、給送される際、給送部によって挟持されて平らになり、その幅方向A2の中央ライン1402及び両端部1404は膨らまない。そのため、図9の項目8及び項目9に示すように、給送方向A1における第1変化量は大きくなり、高さ方向A3における第2変化量はほとんど0となる。
したがって、第1変化量の第1閾値は、項目1、2、4における第1変化量と項目6~9における第1変化量との間の値に設定され、第2変化量の第2閾値は、項目1、2、4における第2変化量より小さい値に設定されることが好ましい。これにより、媒体搬送装置100は、給送方向A1に沿って二つ折りにされた媒体又は綴じられた媒体が給送された場合(項目1)、媒体の撓みを正しく検出できる。また、媒体搬送装置100は、上流端が幅方向A2に沿って二つ折りにされた媒体又は綴じられた媒体が給送された場合も(項目2)、媒体の撓みを正しく検出できる。また、媒体搬送装置100は、上流側の一つの角が綴じられた媒体が給送された場合も(項目4)、媒体の撓みを正しく検出できる。一方、媒体搬送装置100は、山折り又は谷折りにされた媒体が給送された場合(項目6~9)、媒体の撓みを誤って検出しない。
また、第3変化量の第3閾値は、項目4、5における第3変化量より小さい値に設定されることが好ましい。これにより、媒体搬送装置100は、一つの角が綴じられた媒体が給送された場合(項目4、5)、媒体の撓みを正しく且つ早期に検出できる。
なお、下流端が幅方向A2に沿って二つ折りにされた媒体又は綴じられた媒体が給送された場合(項目3)、媒体搬送装置100は、媒体の撓みを検出できないが、重送を検出して、媒体の給送を停止し、利用者に警告を通知することができる。
以上詳述したように、媒体搬送装置100は、載置台103に載置された媒体の給送方向A1における変化量と、高さ方向A3における変化量とに基づいて、媒体の挙動、特に媒体の撓みを検出して、媒体の給送を停止する。したがって、媒体搬送装置100は、給送している媒体の撓みが発生しているか否かを精度良く判定し、媒体の給送を適切に制御することが可能となった。
また、媒体搬送装置100は、載置台103に載置された媒体の幅方向A2における変化量を用いることにより、媒体の損傷が発生しやすい、一つの角がステイプルで綴じられた媒体の撓みをより早期且つ確実に検出することが可能となった。また、媒体搬送装置100は、折り目付きの媒体が給送された場合に媒体の撓みを誤って検出することを防止しつつ、二つ折りにされた媒体、ステイプルで綴じられた媒体又は綴られた媒体等が給送された場合に、媒体の撓みを正しく検出することが可能となった。また、媒体搬送装置100は、載置台103に載置された媒体の状態に基づいて媒体の給送を停止することにより、媒体のジャムの発生を未然に防止し、媒体の損傷の発生を抑制することが可能となった。また、媒体搬送装置100は、上側筐体102に設けられたセンサによって、載置台103に載置された媒体を下流側から監視することにより、少数のセンサで媒体の撓みを検出することができ、装置サイズ及び装置コストの増大を抑制することが可能となった。
図15は、他の実施形態に係る媒体搬送装置におけるセンターセンサ211、第1サイドセンサ212及び第2サイドセンサ213について説明するための模式図である。
センターセンサ211、第1サイドセンサ212及び第2サイドセンサ213は、それぞれ媒体搬送装置100のセンターセンサ111、第1サイドセンサ112及び第2サイドセンサ113の代わりに使用される。センターセンサ211、第1サイドセンサ212及び第2サイドセンサ213は、それぞれセンターセンサ111、第1サイドセンサ112及び第2サイドセンサ113の配置位置に配置される。
センターセンサ211、第1サイドセンサ212及び第2サイドセンサ213は、光センサ等のジェスチャーセンサである。センターセンサ211は、発光器211a及び受光器211bを含む。発光器211aは、発光部の一例であり、載置台103に向けて光(赤外光)を照射する。一方、受光器211bは、受光部の一例であり、発光器211aにより照射され、載置台103又は載置台103に載置された媒体により反射された光を受光し、受光した光を検知する。受光器211bは、1次元又は2次元に配列された複数の受光素子を含み、各受光素子が受光した光の強度の分布を示す強度パターンと、発光器211aが光を照射してから各受光素子が光を受光するまでの時間の分布を示す時間パターンとを生成して出力する。第1サイドセンサ212は、発光器211a及び受光器211bと同様の発光器212a及び受光器212bを含む。第2サイドセンサ213は、発光器211a及び受光器211bと同様の発光器213a及び受光器213bを含む。
各センサは、光の照射方向が、給送方向A1において上流側に、特に幅方向A2における載置台103の略中心位置に向き、且つ、高さ方向A3において下方(載置面103a側)に向くように配置される。各センサは、媒体搬送装置100がサポートする最大サイズの媒体が載置台103に載置された場合に、その媒体の全ての領域における反射光が各センサで検知されるように設けられることが好ましい。各センサは、載置台103に載置された最大サイズの媒体内の各領域、特にその媒体の上流側の端部の各領域における反射光が、少なくとも何れかのセンサで検知されるように設けられる。
各センサは、一定周期毎に、載置台103に載置された媒体に向けて光を照射し、受光した光に応じた強度パターン及び時間パターンを生成して出力する。センターセンサ211は第1強度パターン及び第1時間パターンを生成し、第1サイドセンサ212は第2強度パターン及び第2時間パターンを生成し、第2サイドセンサ213は第3強度パターン及び第3時間パターンを生成する。
動き検出部は、図6のステップS103において、センターセンサ211、第1サイドセンサ212及び第2サイドセンサ213から第1~第3強度パターン及び第1~第3時間パターンを取得する。動き検出部は、取得した第1~第3強度パターン及び第1~第3時間パターンを第1~第3初期強度パターン及び第1~第3初期時間パターンとして記憶装置140に記憶する。また、動き検出部は、図7のステップS201において、センターセンサ211、第1サイドセンサ212及び第2サイドセンサ213から第1~第3強度パターン及び第1~第3時間パターンを取得し、記憶装置140に記憶する。
動き検出部は、第1~第3画像及び第1~第3初期画像を用いる場合と同様にして、第1~第3強度パターン及び第1~第3初期強度パターンから、第1変化量及び第2変化量を検出する。即ち、動き検出部は、第1~第3強度パターンにおける光の強度を、第1~第3画像における輝度と同様に扱って、第1変化量及び第3変化量を検出する。
また、動き検出部は、第1時間パターン及び第1初期時間パターンから、各センサから媒体における光の各反射位置までの距離を算出する。動き検出部は、パターン内の要素(時間)毎に、第1初期時間パターンから算出した距離と、最新の第1時間パターンから算出した距離との差分値を算出し、算出した差分値の最大値、平均値又は中央値を、高さ方向A3における第2移動量として検出する。動き検出部は、第2時間パターンと第2初期時間パターンの組合せ及び第3時間パターンと第3初期時間パターンの組合せについても第2移動量を算出し、算出した各第2移動量の最大値、平均値又は中央値を第2変化量として検出する。
このように、動き検出部は、センターセンサ211、第1サイドセンサ212及び第2サイドセンサ213により生成された情報に基づいて、第1変化量、第2変化量及び第3変化量を検出する。なお、光センサを使用する場合も、撮像センサを使用する場合と同様に、センターセンサ211、第1サイドセンサ212及び第2サイドセンサ213の内の何れか一つ又は二つのセンサのみが使用されてもよい。また、センターセンサ211、第1サイドセンサ212及び第2サイドセンサ213に加えてさらに一又は複数のセンサが使用されてもよい。
また、媒体搬送装置は、第1変化量及び第3変化量を検出するために、光学センサを使用してもよい。光学センサは、発光器及び受光器を含む。発光器は、載置台103に向けて光(赤外光)を照射する。一方、受光器は、一定期間毎に受光した光の強度に応じた画像を撮像し、最新の画像と直前の画像とから共通部分を検出する。受光器は、検出した共通部分の画像内の位置の変化に基づいて、搬送された媒体の移動方向及び移動距離を検出し、検出した移動方向及び移動距離を示す移動情報を生成して出力する。動き検出部は、図6のステップS103及び図7のステップS201において、光学センサから移動情報を取得し、取得した各移動情報から、第1変化量及び第3変化量を検出する。
また、媒体搬送装置は、第2変化量を検出するために、ドット光プロジェクションセンサを使用してもよい。ドット光プロジェクションセンサは、赤外線照射器及び赤外線カメラを含む。赤外線照射器は、載置台103に向けて複数の赤外線ビームを照射する。一方、赤外線カメラは、受光した赤外線の強度に応じた赤外線画像を生成して出力する。動き検出部は、図6のステップS103及び図7のステップS201において、ドット光プロジェクションセンサから赤外線画像を取得する。動き検出部は、撮像センサにより撮像された画像から第2変化量を検出する場合と同様にして、赤外線画像から第2変化量を検出する。
以上詳述したように、媒体搬送装置は、光センサ、光学センサ及び/又はドット光プロジェクションセンサを使用する場合も、給送している媒体の撓みが発生しているか否かを精度良く判定し、媒体の給送を適切に制御することが可能となった。
図16は、さらに他の実施形態に係る媒体搬送装置における処理回路360の概略構成を示す図である。処理回路360は、媒体搬送装置100の処理回路160の代わりに使用され、CPU150の代わりに、媒体読取処理を実行する。処理回路360は、制御回路361、動き検出回路362、判定回路363及び画像取得回路364等を有する。なお、これらの各部は、それぞれ独立した集積回路、マイクロプロセッサ、ファームウェア等で構成されてもよい。
制御回路361は、制御部の一例であり、制御部151と同様の機能を有する。制御回路361は、操作装置105から操作信号を、第1媒体検出センサ114から第1媒体検出信号を、判定回路363から媒体の撓み及び重送の判定結果を受信する。制御回路361は、受信した各信号に応じて駆動装置131を駆動するとともに、媒体の給送を停止する。
動き検出回路362は、動き検出部の一例であり、動き検出部152と同様の機能を有する。動き検出回路362は、センターセンサ111、第1サイドセンサ112、第2サイドセンサ113から第1~第3画像を受信する。または、動き検出回路362は、センターセンサ211、第1サイドセンサ212、第2サイドセンサ213から第1~第3強度パターン及び第1~第3時間パターンを受信する。動き検出回路362は、受信した各情報に基づいて、第1~第3変化量を検出し、検出結果を判定回路363に出力する。
判定回路363は、判定部の一例であり、判定部153と同様の機能を有する。判定回路363は、動き検出回路362から第1~第3変化量を受信し、受信した各情報に基づいて、媒体の撓みが発生しているか否かを判定し、判定結果を制御回路361に出力する。また、判定回路363は、超音波センサ118から超音波信号を受信し、受信した超音波信号に基づいて、媒体の重送が発生しているか否かを判定し、判定結果を制御回路361に出力する。
画像取得回路364は、画像取得部の一例であり、画像取得部154と同様の機能を有する。画像取得回路364は、第2媒体検出センサ117から第2媒体検出信号を、撮像装置121から入力画像を受信し、入力画像を記憶装置140に記憶するとともにインタフェース装置132を介して不図示の情報処理装置へ送信する。
以上詳述したように、媒体搬送装置は、処理回路360を用いる場合においても、給送している媒体の撓みが発生しているか否かを精度良く判定し、媒体の給送を適切に制御することが可能となった。
図17は、さらに他の実施形態に係る媒体搬送装置400を示す斜視図である。媒体搬送装置400は、媒体搬送装置100と同様の装置である。但し、媒体搬送装置400は、載置台403に載置された媒体を上側から順に給送する。
媒体搬送装置400は、下側筐体401、上側筐体402、載置台403、排出台404、操作装置405及び表示装置406等を備える。下側筐体401、上側筐体402、載置台403、排出台404、操作装置405及び表示装置406は、それぞれ下側筐体101、上側筐体102、載置台103、排出台104、操作装置105及び表示装置106と同様の機能を有する。
但し、載置台403は、給送される媒体を載置面403a上に載置可能に、下側筐体401の媒体供給側の側面に、載置面103aと直交する高さ方向A23に移動可能に設けられる。載置台403は、載置面403a上で媒体の給送方向A21と直交する幅方向A22に移動可能に設けられ、且つ、媒体の幅方向を規制するサイドガイド407a、407bを有する。排出台404は、排出された媒体を保持可能に上側筐体402上に形成されている。
図18は、媒体搬送装置400内部の搬送経路を説明するための図である。
媒体搬送装置400内部の搬送経路は、ピックローラ410、センターセンサ411、第1サイドセンサ412、第2サイドセンサ413、第1媒体検出センサ414、給送ローラ415、ブレーキローラ416、第2媒体検出センサ417、超音波発信器418a、超音波受信器418b、搬送ローラ419a~g、搬送従動ローラ420a~g、第1撮像装置421a、第2撮像装置421b、排出ローラ422及び排出従動ローラ423等を有している。なお、各ローラの数は一つに限定されず、各ローラの数はそれぞれ複数でもよい。以下では、第1撮像装置421a及び第2撮像装置421bを総じて撮像装置421と称する場合がある。また、超音波発信器418a及び超音波受信器418bを総じて超音波センサ418と称する場合がある。
下側筐体401の上面は、媒体の搬送路の下側ガイド408aを形成し、上側筐体102の下面は、媒体の搬送路の上側ガイド408bを形成する。各センサ及び撮像装置は、媒体搬送装置100の各センサ及び撮像装置と同様の構成及び機能を有する。
ピックローラ410は、上側筐体402に設けられ、媒体搬送路と略同一の高さまで上昇した載置台403に載置された媒体と接触して、その媒体を下流側に向けて給送する。
給送ローラ415は、上側筐体402に設けられ、ブレーキローラ416は、下側筐体401に、給送ローラ415と対向するように設けられる。給送ローラ415及びブレーキローラ416は、載置台403に載置された媒体を分離して給送する給送部の一例であり、載置台403に載置された媒体を上側から順に給送する。
載置台403に載置された媒体は、ピックローラ410、給送ローラ415がそれぞれ図18の矢印A24、A25の方向に回転することによって、下側ガイド408aと上側ガイド408bの間を給送方向A21に向かって搬送される。ブレーキローラ416は、媒体給送時、矢印A26の方向に回転する。給送ローラ415及びブレーキローラ416の働きにより、載置台403に複数の媒体が載置されている場合、載置台403に載置されている媒体のうち給送ローラ415と接触している媒体のみが分離される。
媒体は、下側ガイド408aと上側ガイド408bによりガイドされながら、搬送ローラ419a~bがそれぞれ矢印A27~A28の方向に回転することによって、第1撮像装置421aの撮像位置L1に送り込まれる。その後、媒体は、搬送ローラ419cと搬送従動ローラ420cの間に送り込まれ、搬送ローラ419cが矢印A29の方向に回転することによって第2撮像装置421bの撮像位置L2に送り込まれる。各撮像装置421により読み取られた媒体は、搬送ローラ419d~g及び排出ローラ422がそれぞれ矢印A30~A34の方向に回転することによって排出台404上に排出される。
図19は、センターセンサ411、第1サイドセンサ412及び第2サイドセンサ413について説明するための模式図である。図19は、媒体搬送装置400の上流側を上方から見た模式図である。
図19に示すように、センターセンサ411、第1サイドセンサ412及び第2サイドセンサ413の配置位置は、それぞれ媒体搬送装置100のセンターセンサ111、第1サイドセンサ112及び第2サイドセンサ113と同様である。
各センサは、撮像方向(レンズ光軸)が、給送方向A21において上流側に、特に幅方向A22における載置台403の略中心位置に向き、且つ、高さ方向A23において下方(載置面403a側)に向くように配置される。特に、センターセンサ411は、その撮像範囲R41に、載置台403に載置された媒体が幅方向A22の全体にわたって含まれるように配置される。第1サイドセンサ412は、その撮像範囲R42に、載置台403に載置された媒体の一方のサイドガイド407a側の領域が含まれるように配置される。第2サイドセンサ413は、その撮像範囲R43に、載置台403に載置された媒体の他方のサイドガイド407b側の領域が含まれるように配置される。
媒体搬送装置100と同様に、媒体搬送装置400は、前述した構成に加えて、駆動装置131、インタフェース装置132、記憶装置140、CPU150及び処理回路160等をさらに有する(図4を参照)。また、記憶装置140には、制御プログラム141、動き検出プログラム142、判定プログラム143及び画像取得プログラム144等が記憶される。CPU150は、制御部151、動き検出部152、判定部153及び画像取得部154として機能する(図5を参照)。また、媒体搬送装置400は、媒体読取処理(図6を参照)及び判定処理(図7を参照)を実行する。
媒体搬送装置100と同様に、媒体搬送装置400において、変化量を検出するためのセンサとして、一つ、二つ又は四つ以上のセンサが使用されてもよい。また、変化量を検出するためのセンサとして、光センサ等のジェスチャーセンサ、光学センサ及び/又はドット光プロジェクションセンサが使用されてもよい。また、媒体読取処理及び判定処理は、処理回路360により実行されてもよい。
図20は、媒体搬送装置400における、媒体種別毎の、各変化量の検出結果と、媒体の撓みの検出結果の関係を示す表である。図21A~図24Cは、媒体搬送装置400において、二つ折りにされた媒体又はステイプルで綴じられた媒体が給送されるときの様子を示す模式図である。
図20の項目1は、給送方向A21に沿って二つ折りにされた媒体又は給送方向A21に沿った一端がステイプルで綴じられた複数の媒体が給送されたときの各検出結果を示す。図21Aは、その媒体2100を媒体搬送装置400の側方から見た模式図であり、図21Bは、その媒体2100を媒体搬送装置400の下流側から見た模式図である。図21A及び図21Bに示すように、媒体2100では、給送方向A21に沿った一端2101が綴じられている。媒体搬送装置400の給送部は、載置台403に載置された媒体を上側から順に給送するため、媒体2100の上側部分2103は給送部の下流側に送られるが、下側部分2102は給送部より上流側に留まる。
この場合、上側部分2103は、給送方向A1に向かって移動するが、下側部分2102が給送部によって留まることにより、綴じられた一端2101に引っ張られて、上側部分2103の上流側部分2104が上方に向けて撓む。そのため、図20の項目1に示すように、給送方向A1における第1変化量及び高さ方向A3における第2変化量は中程度となる。
図20の項目2は、幅方向A22に沿って二つ折りにされた媒体又は幅方向A22に沿った一端がステイプルで綴じられた複数の媒体が、綴じられた部分が上流側に配置された状態で給送されたときの各検出結果を示す。図22Aは、その媒体2200を媒体搬送装置400の側方から見た模式図であり、図22Bは、その媒体2200を媒体搬送装置400の下流側から見た模式図である。図22A及び図22Bに示すように、媒体2200では、幅方向A22に沿った一端2201が綴じられている。
この場合、上側部分2203は、給送方向A1に向かって移動するが、下側部分2202が給送部によって留まることにより、綴じられた一端2201に引っ張られて、上側部分2203の上流側部分2204が上方に向けて撓む。そのため、図20の項目2に示すように、給送方向A1における第1変化量は中程度となり、高さ方向A3における第2変化量は大きくなる。
図20の項目3は、幅方向A22に沿って二つ折りにされた媒体又は幅方向A22に沿った一端がステイプルで綴じられた複数の媒体が、綴じられた部分が下流側に配置された状態で給送されたときの各検出結果を示す。この媒体は、給送部で分離されずに給送部の下流側にスムーズに給送される。そのため、図20の項目3に示すように、給送方向A21における第1変化量は大きくなり、高さ方向A23における第2変化量及び幅方向A22における第3変化量はほとんど0となる。
図20の項目4は、媒体の一つの角がステイプルで綴じられた複数の媒体が、綴じられた部分が上流側に配置された状態で給送されたときの各検出結果を示す。図23Aは、その媒体2300を媒体搬送装置400の側方から見た模式図であり、図23Bは、その媒体2300を媒体搬送装置400の下流側から見た模式図であり、図23Cは、その媒体2300を上方から見た模式図である。図23A~図23Cに示すように、媒体2300では、給送方向A21の上流側であり且つ幅方向A22の一端側である端部2301が綴じられている。
この場合、上側部分2303は給送方向A1に向かって移動し、下側部分2302の綴じられた端部2301には、上側部分2303によって、給送部で留まっている下流側部分2304を中心として矢印A25の方向に向かうように回転する力が加わる。これにより、下側部分2302の端部2301の反対側の下流側端部2305は、幅方向A22において端部2301の反対側に向かって移動する。また、下側部分2302によって端部2301が引っ張られることにより、上側部分2303の端部2301の周辺部分2306は上方に向けて撓む。そのため、図20の項目4に示すように、給送方向A1における第1変化量は中程度となり、幅方向A2における第3変化量は小量ながら発生し、高さ方向A3における第2変化量は大きくなる。なお、幅方向A2の変化は、高さ方向A3の変化より早期に発生する傾向にある。
図20の項目5は、媒体の一つの角がステイプルで綴じられた複数の媒体が、綴じられた部分が下流側に配置された状態で給送されたときの各検出結果を示す。図24Aは、その媒体2400を媒体搬送装置400の側方から見た模式図であり、図24Bは、その媒体2400を媒体搬送装置400の下流側から見た模式図であり、図24Cは、その媒体2400を上方から見た模式図である。図24A~図24Cに示すように、媒体2400では、給送方向A21の下流側であり且つ幅方向A22の一端側である端部2401が綴じられている。
この場合、上側部分2403は給送方向A1に向かって移動し、下側部分2402の綴じられた端部2401には、上側部分2403によって、給送部で留まっている下流側部分2404を中心として矢印A26の方向に向かうように回転する力が加わる。これにより、下側部分2402の端部2401側の上流側端部2405は、幅方向A2において端部2401側に向かって移動する。また、下側部分2402によって端部2401が引っ張られることにより、上側部分2403の端部2401の周辺部分2406は上方に向けてわずかに撓むが、その撓みは給送部によって抑えられる。そのため、図20の項目5に示すように、給送方向A21における第1変化量及び幅方向A22における第3変化量は中程度となり、高さ方向A23における第2変化量はほとんど0となる。
図20の項目6は、給送方向A21の中央部分が幅方向A22に沿って山折りにされた媒体が給送されたときの各検出結果を示す。この媒体は、給送部で分離されずに給送部の下流側にスムーズに給送される。但し、この媒体が給送される際、その中央部分は膨らむ。そのため、図20の項目6に示すように、給送方向A21における第1変化量は大きくなり、高さ方向A23における第2変化量は中程度となる。
図20の項目7は、給送方向A21の中央部分が幅方向A22に沿って谷折りにされた媒体が給送されたときの各検出結果を示す。この媒体は、給送部で分離されずに給送部の下流側にスムーズに給送される。但し、この媒体が給送される際、その下流側の端部は立ち上がる。そのため、図20の項目7に示すように、給送方向A21における第1変化量は大きくなり、高さ方向A23における第2変化量は中程度となる。
図20の項目8及び項目9は、それぞれ、幅方向A22の中央部分が給送方向A21に沿って山折り及び谷折りにされた媒体が給送されたときの各検出結果を示す。これらの媒体は、給送部で分離されずに給送部の下流側にスムーズに給送される。また、これらの媒体は、給送される際、給送部によって挟持されて平らになり、その幅方向A22の中央部及び両端部は膨らまない。そのため、図20の項目8及び項目9に示すように、給送方向A21における第1変化量は大きくなり、高さ方向A23における第2変化量はほとんど0となる。
したがって、第1変化量の第1閾値は、項目1、2、4における第1変化量と項目6~9における第1変化量との間の値に設定され、第2変化量の第2閾値は、項目1、2、4における第2変化量より小さい値に設定されることが好ましい。これにより、媒体搬送装置400は、給送方向A21に沿って二つ折りにされた媒体又は綴じられた媒体が給送された場合(項目1)、媒体の撓みを正しく検出できる。また、媒体搬送装置400は、上流端が幅方向A22に沿って二つ折りにされた媒体又は綴じられた媒体が給送された場合も(項目2)、媒体の撓みを正しく検出できる。また、媒体搬送装置400は、上流側の一つの角が綴じられた媒体が給送された場合も(項目4)、媒体の撓みを正しく検出できる。一方、媒体搬送装置400は、山折り又は谷折りにされた媒体が給送された場合(項目6~9)、媒体の撓みを誤って検出しない。
また、第3変化量の第3閾値は、項目4、5における第3変化量より小さい値に設定されることが好ましい。これにより、媒体搬送装置400は、一つの角が綴じられた媒体が給送された場合(項目4、5)、媒体の撓みを正しく且つ早期に検出できる。
なお、下流端が幅方向A22に沿って二つ折りにされた媒体又は綴じられた媒体が給送された場合(項目3)、媒体搬送装置400は、媒体の撓みを検出できないが、重送を検出して、媒体の給送を停止し、利用者に警告を通知することができる。
以上詳述したように、媒体搬送装置400は、載置台403に載置された媒体を上側から順に給送する場合も、給送している媒体の撓みが発生しているか否かを精度良く判定し、媒体の給送を適切に制御することが可能となった。