JP7343085B2 - 非乾燥糖加工食材、及び加熱加工食品 - Google Patents
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Description
この発明の特長はパンなどのミキシングに際してグルテンが生じて生地に硬さが増してきた段階でこの粒を投入することで、この粒がミキシングの圧力により崩壊して生地の中に拡散し、色をにじませてマーブル状の演出をすることができるというものである。粒を崩壊させて所望の目的を達成させるためにはパン菓子生地に限らず、対象物にある程度の生地の固さが要求される。
製パン業界においては、商品の品質を高めるにあたりいろいろな技術が導入される。その一つとして生地のガス抜き工程が昔から行われている。原料を計量・混合し出来上がったパン生地は目的に応じて分割されて、成形される。
しかしながら、混合された生地は不均一に空気を内包しており、それらを内包したまま生地の成形を行うと、完成した商品の断面には大きな空洞が存在し、著しく商品価値が下がることとなる。
そのために、ガス抜きのためモルダー処理がされる。モルダー処理により、分割された生地はローラー間を通り、2~4ミリ程度の厚さに薄く転圧される。このモルダー処理により生地に内包された空気は外に取り出された状態になる。
(1)
糖類と、澱粉又は穀物粉と、水分を必須成分として、前記水分が浸潤した粒状の非乾燥成形物の糖加工品であって、
非乾燥の状態で、加熱処理されて完成する加熱加工食品の材料に添加され、前記加熱加工食品と異なる、色、食感及び呈味の内1種、又は2種以上を、前記加熱加工食品に付与することを特徴とする非乾燥糖加工食材。
(2)
前記粒状成形物に、さらに、風味材、色素材、保存料の内から選ばれる1種、又は2種以上の材料を含むことを特徴とする(1)に記載の非乾燥糖加工食材。
(3)
さらに保存性を向上させるべく、保存手段を伴って袋に保管される非乾燥糖加工食材であって、
前記保存手段を、脱酸素剤の同封、窒息ガス充填、希ガス充填及びアルコール揮発材の内から選ばれる1種、又は2種以上の保存手段としたことを特徴とする(1)又は(2)に記載の非乾燥糖加工食材。
(4)
(1)~(3)のいずれかに記載の非乾燥糖加工食材を、加工食品材料に添加して、分散させ、モルダー、リバースシーター処理、手作業ローラーにより転圧、ガス抜きした上で、折り込み処理或いはロール処理し、もしくは圧力を加えて成形し、加熱することで、前記加工食品材料に異なる、色、食感及び風味の内1種、又は2種以上を付与することを特徴とする加熱加工食品の製造方法。
の構成とした。
(1)
糖類と、5重量%より多く80重量%以下の澱粉、或いは0.1~5重量%の澱粉及び0.01~5重量%の粉末状増粘多糖類と、呈味原料とを必須原料とし、前記必須原料を含む材料の混合生地の成形物(打錠物を除く)であって、
非乾燥であることを特徴とする加熱加工食品用の非乾燥糖加工食材。
(2)
糖類、澱粉、呈味原料を必須原料とし、前記必須原料を含む材料を加圧下で調整された混合生地の成形物であって、
非乾燥であることを特徴とする加熱加工食品用の非乾燥糖加工食材。
(3)
前記澱粉が5重量%以上であることを特徴とする(2)に記載の非乾燥糖加工食材。
(4)
前記混合生地中の総水分量を12~27重量%の範囲であることを特徴とする(1)~(3)の何れか1つに記載の非乾燥糖加工食材。
(5)
前記加圧が、1MPa/m2以上であることを特徴とする(1)~(4)の何れかに1つに記載の非乾燥糖加工食材。
(6)
(1)~(5)の何れか1つに記載の非乾燥糖加工食材が、生地に配合され、加熱されてなることを特徴とする加熱加工食品。
より詳しくは、
(I)
糖類、澱粉、呈味原料を必須原料とし、全原料の総水分量が12~27重量%の範囲で、1MPa/m2以上の高加圧下で調製された浸潤成形物であって、非乾燥であることを特徴とする加熱加工食品用の非乾燥糖加工食材。
(II)
(I)に記載の非乾燥糖加工食材が、生地に配合され、加熱されてなることを特徴とする加熱加工食品。
(1)
糖類、穀物粉(穀物から抽出した澱粉単体を除く)、呈味原料を必須原料とし、前記必須原料を含む材料の水分が浸潤した混合生地の成形物であって、
非乾燥であることを特徴とする加熱加工食品用の非乾燥糖加工食材。
(2)
前記穀物粉として、トウモロコシ粉を含むことを特徴とする(1)に記載の非乾燥糖加工食材。
(3)
前記穀物粉として、さらに小麦粉を含むことを特徴とする(2)に記載の非乾燥糖加工食材。
(4)
前記糖類において、砂糖類又は/及び果糖が5-90重量%の範囲であることを特徴とする(1)~(3)の何れか1つに記載の非乾燥糖加工食材。
(5)
(1)~(4)の何れか1つに記載の非乾燥糖加工食材が、水分を含む食品素材もしくは水分を加えた食品素材に配合され、加熱してなることを特徴とする加熱加工食品。
より詳しくは、
(I)
水分を含む食品素材中に於いて難分解性及び難溶性を示すとともに加熱を受けることで加熱前の形状を留めることができる加熱加工食品用の非乾燥糖加工食材の製造方法であって、
前記を前記食品素材に加えて加熱することで加熱食品として完成し、
前記食品素材を加熱して得られる食感と異なる食感を、前記加熱食品に付与するための非乾燥糖加工食材であって、
糖類、穀物粉(穀物から抽出した澱粉単体を除く)、呈味原料を必須原料とし、水分を調整して混合生地とし、圧力下で前記混合生地に水分を浸潤させて混練生地とし、成形し、乾燥してなることを特徴とする非乾燥糖加工食材の製造方法。
(II)
(I)に記載の非乾燥糖加工食材の製造方法で得られた非乾燥糖加工食材を、水分を含む前記食品素材もしくは水分を加えた食品素材とともに加熱してなることを特徴とする加熱加工食品の製造方法。
とするとよい。
(1)
糖類と、穀物粉と、色素材からなる粒状の非乾燥成形物であって、
着色する対象の加工食品の原料に投入され、原料の混合調整に伴い濃淡を対象に付与することを特徴とする濃淡付与機能を備えた非乾燥糖加工食材。
(2)
前記穀物粉の配合量が、非乾燥糖加工食材において5-35重量%であることを特徴とする(1)に記載の非乾燥糖加工食材。
(3)
アルファ化澱粉を、非乾燥糖加工食材において0.1以上5重量%未満含むことを特徴とする(1)又は(2)に記載の非乾燥糖加工食材。
(4)
増粘多糖類を、前記非乾燥糖加工食材において0.01以上5重量%未満含むことを特徴とする(1)~(3)のいずれか1つに記載の非乾燥糖加工食材。
(5)
食物繊維を、前記非乾燥糖加工食材において0.01-10重量%含むことを特徴とする(1)~(4)のいずれか1つに記載の非乾燥糖加工食材。
(6)
(1)~(5)のいずれか1つに記載の非乾燥糖加工食材を、加工食品材料に添加して、撹拌し、撹拌に伴って、前記非乾燥糖加工食材が崩壊、分散して、前記加工食品材料に濃淡を付与することを特徴とする加工食品の製造方法。
必要に応じて、その後、加熱する。
本発明における糖類の配合量としては、好ましくは、55~95重量%、用途別の好ましい範囲としては、特許文献2用途の粒ジャムタイプでは60~95重量%、特許文献3用とのナゲットタイプでは50~70重量%、特許文献5用途のグラデーションタイプでは55~85重量%である。
なお、澱粉単体と穀物粉は、タンパク質、繊維質、ミネラル、その他組成において、本願発明においては全く異なる物質である。
市場への供給形態はドライ、常温、冷蔵、冷凍いずれでも構わないこととする。より具体的には、加熱加工食品としては、パンや菓子などの小麦粉加工食品のほかに、米飯、餅製品、麺製品、卵や乳加工製品、畜肉或いはかまぼこなどの魚肉加工製品、コロッケなどの総菜が例示できる。
本願出願に係る発明(本発明)の物性的視点
1)生地ダメージ
既出願製品では、生地のガス抜きの際、モルダー処理工程で、生地の引きちぎりなどのダメージが生じ、加工製品の品質が低下していた。
他方、本発明では、それら品質低下が改善される。また、乾燥した粒より水分を多く含むため、パンや菓子生地からの水分吸収が抑えられるためのため老化現象の発生を遅らせることができた。
2)再結晶の改善
本発明は、成形物自体に水分が多く含まれることから、糖の再結晶化が既出願製品に比べ改善された。すなわち、再結晶までの時間が長くなった。
3)香料の低減
既出願製品のように、乾燥工程がある場合は、成形乾燥された粒に後から香料を表面上に塗り付ける感じであり、一体性が乏しく揮発量も多い。
他方、本発明では、未乾燥粒を生産する場合は原料の混合時点で投入されるので、原料とのなじみ具合がよく深く香気成分が浸潤し粒の中に内包されることができるため、本発明は、香料を既出願製品に比べ低減させることができる。
4)特許文献2,3タイプの用途拡大
特許文献2,3に係る製品の場合、加熱膨潤させるため、原理的に、生地にある程度の水分の配合が必要であったため、クッキーなどの生地水分の低い加熱加工食品へ利用が制限されていた。他方、本発明では、自身に水分が含まれるようになったため、従来対応できなかった、クッキーやビスケット生地など比較的水分の少ない生地製品への利用も可能になった。
また、既出願製品では、ジャム様化させるために、焼成などの加熱時間は最低10分以上必要で、十分でないとジャム様化せず、シャリシャリとした糖質部が残り、不完全状態になる。他方、本発明であれば、粒内部への水分の浸透が必要でなく、ホットケーキなど短時間で焼き上げられる製品においても、ジャム様化させることができるようになり、利用分野を拡大させることができた。
5)特許文献5タイプの用途拡大
特許文献5では、粒の利用について、原理的に配合される生地にグルテンが発生するなど、ある程度の固さが必要とされてきた。
他方、本発明の非乾燥糖加工食材では、マフィンなど柔らかな生地でも、色のにじみが確認される。また特許文献5に係る製品に比べて、分散性が向上し、色目のにじみ方が著しく向上した。その結果、色素、香料を低減させることができる。
本発明の利用者の視点
1)モルダーの使用
既出願製品を添加した生地では、生地のガス抜きにモルダーを実質的に使用できなかったが、本発明を添加した生地では、生地のガス抜きにモルダーを使用することができ、手作業のガス抜きと比べて2倍以上の生産性と品質の安定性が得られる。またモルダーのメンテナンスも容易になる。
3)リバースシーター使用
既出願製品では実質的に使用できなかった、生地とバターやフィリングを折り込むデニッシュペストリーやパイ製品への使用も可能となる。その際、リバースシーターなどの折り畳み機も従来同様に使用することができる。
4)自動パン焼き器での改善
家庭でパン作りを楽しむ場合、自動パン焼き器を使用することが多い。この機械は生地をミキシング・焼成するパンケース(ボウル)と呼ばれる部分があり、焼成後の生地が取り出しやすいようにテフロン(登録商標)加工が施されている。
しかしながら、既出願製品のように乾燥硬化した硬い粒をボウルに入れてミキシングするとボウルが傷つき、テフロン(登録商標)が剥がれ、焼成後に融けた既出願製品の粒とボウルが強く付着して取り出せなくなることが多々あった。そのため既出願製品の粒を投入する場合、いったん生地を取り出して別の場所で手作業により生地と粒を混ぜ合わせていた。
他方、本発明の非乾燥糖加工食材の粒を使用すれば、自動パン焼き器を用いた家庭でのパン焼きにおいて、このような面倒な作業から解放されることになる。
1)製造時間の大幅な短縮、および生産性の向上
既出願製品は、1日目に糖を主体とした原料を計量・混合・成形してセイロと呼ばれる穴の開いた容器に入れたうえで、乾燥庫に移動して一晩乾燥させていた。2日目は前日から乾燥庫に保管していた製品を取出し、水分活性値を確認したうえで、問題なければ香料添加の工程になる。
セイロの重量を一枚一枚計量しながら混合機に乾燥された粒を投入して、規定された分量だけ香料を計量して投入し時間をかけて均等に分散混合していた。
他方、本発明では、未乾燥品の製造ラインでは当日中に作業は完結する。さらに香料添加工程は、原料を混合する工程に香料添加工程を組み入れることで、粒成形後、乾燥後に必要なくなり、著しい生産上のメリットを享受できる。
2)乾燥工程の制限解放
既出願製品では、乾燥室の容量が、生産量のボトルネックとなっていた。
他方、本発明では、乾燥室容量を気にすることなく、成形された分だけ生産が増える。
3)不良在庫の解消
大口の顧客の要望に応えるためには欠品は絶対に許されない。そのため、ある程度予測生産をして対応してきた。しかしながら多くの場合は、特注品として企画された製品のため、不良在庫として大量に余ってしまうことになった。
他方、本発明では、当日生産が可能となったことで、予測生産をする必要がなく、当日生産、当日出荷・納品も可能で、タイムリーに顧客の要望に応えることが可能となり、不良在庫を大幅に削減できることとなる。
4)乾燥工程の設備軽減
生産設備における乾燥工程や香料添加工程、装置は、投資額および専有面積において、全体のほぼ半分を占めていた。それら工程を省略するだけで、大幅な経費削減と生産性の向上が見込まれる。その結果、生産工程全体として2倍以上の生産性の向上が期待され、極めて画期的なことである。
5)乾燥工程の省略による清掃作業削減
既出願製品について、多数の品目が開発、生産されている。どんなに計画的にし、効率的化しようとしても、品目の違う製品を生産する場合、セイロや台車など乾燥工程に関する機器材を清掃する必要があった。これらはアレルギー物質の除去や異物混入の防止の観点からどうしても必要で、大きな手間と労力であり、清掃コストはほぼ毎日発生していた。
他方、本発明では、乾燥工程を必要としないことから、乾燥工程の清掃コストは発生しない。
上白糖 810g
コーンフラワー1,300g
澱粉(タピオカ) 300g
はちみつ 100g
香料 50g
カラメル色素 10g
加水 550g~ 650g
合計 5,010g~5,110g
主原料4,460に対して水分量12.3~14.6%
水分 730g~ 830g
水分含量14.5重量%~16.2重量%
Claims (4)
- 糖類と、澱粉又は穀物粉と、15-25重量%の水分を必須成分として、前記水分が浸潤した粒状の非乾燥成形物の糖加工品である非乾燥糖加工食材を、加工食品材料に添加して、分散させ、
モルダー、リバースシーター処理及び手作業ローラーの内より選ばれる何れか1種又は2種以上により転圧、ガス抜きした上で、
折り込み処理或いはロール処理し、もしくは圧力を加えて成形し、加熱することで、前記加工食品材料に異なる、色、食感及び風味の内1種、又は2種以上を付与することを特徴とする加熱加工食品の製造方法。 - 少なくとも50重量%以上の糖類と、澱粉又は穀物粉と、15-25重量%の水分を必須成分として、前記水分が浸潤した粒状の非乾燥成形物の糖加工品であって、
非乾燥の状態(冷凍状態を除く)で、加熱処理されて完成する加熱加工食品の生地に添加、転圧され、前記加熱加工食品と異なる、色、食感及び呈味の内1種、又は2種以上を、前記加熱加工食品に付与することを特徴とする非乾燥糖加工食材。 - 前記粒状の非乾燥成形物に、さらに、風味材、色素材、保存料の内から選ばれる1種、又は2種以上の材料を含むことを特徴とする請求項2に記載の非乾燥糖加工食材。
- さらに保存性を向上させるべく、保存手段を伴って袋に保管される非乾燥糖加工食材であって、
前記保存手段を、脱酸素剤の同封、窒息ガス充填、希ガス充填及びアルコール揮発材の内から選ばれる1種、又は2種以上の保存手段としたことを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の非乾燥糖加工食材。
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