JP7004255B2 - 食品材料、及びデコレート食品 - Google Patents

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Description

本願発明は、糖類、食物繊維及び増粘多糖類を含む粉体の一体成型物で、加熱調理を必要とすることなく食することができる、食品の外観、食感に変化を付与するトッピング材、添加材又は混合材などの食材素材、及びそれを利用したデコレート食品に関する。
先ず、本発明完成までの発明者の開発経過を以下説明する。発明者はこれまで、6件の特許出願を行っており、そのうち出願の早いもの4件について特許を取得している。それらを出願順に特許文献1-6とし、それら特許出願(特許)について、順番に説明する。
特許文献1の発明は、安全面及びコスト面においても優れ、小麦粉加工食品を安定して青紫色に着色することのできるビルベリーを添加した小麦粉加工食品及びその着色方法である。ビルベリーを使ったピューレと小麦粉加工食品の組み合わせでは、従来ではできなかった鮮やかなブルーベリー色を製品に付与できる。
しかし、その利用に際しては、小麦粉加工食品生地とビルベリーピューレをミキサーで混合して作らなければならないので、ある程度の仕込み量が必要であった。また仕込む場合は対粉20%以上のビルベリーピューレを混ぜ込むことが原則であり、それ以下の場合は鮮やかな紫色を得ることはできなかった。またマーブル状にブルーベリー生地と白い一般的な生地を組み合わせると、単色でブルーベリー製品をつくった場合よりコストは抑えられ、より鮮やかなブルーベリー色を対比表現できるものの、この場合どうしても二種類の生地を組み合わせなければならず、発酵具合などの違いでその組み合わせ作業は容易でなかった。
特許文献2の発明は、特許文献1の問題点を解決するために開発した。具体的には、ブルーベリーピューレと糖類、澱粉を基本原料として混合し乾燥した打錠製品とした。この製品によりミキシングの最後に打錠製品を加えて混合する、もしくは余った生地に手成形で打錠品を混合するだけでマーブル状のブルーベリー色を添加できるようになった。この打錠製品は少ない量の添加であってもその部分はきれいに発色しておりピューレの場合の対粉20%以上使用することが好ましいという制約はなくなった。併せてブルーベリーだけでなくいちごやコーヒー味などの製品の提供も可能となった。
しかしながら設備の大型化、生産コストの高さ、澱粉の配合量の制約、形状の小型化が困難、生産量の悪さ、技術的に高度の作業が要求されるなどの問題があった。特にコストは高くベーカリー業界から現行の半分の直径の製品を依頼された場合、出来高は大幅に低くなるため実現できなかった。
特許文献3は、特許文献2の課題であった作業性、コスト管理、澱粉量の配合制約、生産性、小粒化の問題を解決すべく開発された。その結果、販売価格も半分くらいに下げられ販売量も大きく伸びた。さらに打錠製品の場合は成型圧力の制限で液状に流れていたものが、圧力を高めて成型したり澱粉の配合を変化させたりすることでジャム状化することに成功した。同品を配合したパン菓子生地を手で裂くとプルンとした球形状のジャム状化した部位が現れ人気となった。
特許文献4の発明は、特許文献3の問題を解決するために開発された。特許文献3の特許では比較的短期間の販売製品にその用途は限られていた。製造後2-3日が理想であり、長くてもせいぜい1週間程度であった。その理由はジャム化した部位から糖の再結晶化が起こり、いわゆる「シャリ」が発生するためである。さらにジャム化した部位の水分が生地に吸い込まれ、中で空洞化したり包丁などでカットするとその断面はジャムでベト付き汚れたりしてしまった。
しかし穀粉を加えたこの特許文献4の技術により、これらの問題は解決され、数か月に及ぶ賞味期限の製品にも対応できるようになった。さらに従来のパン菓子分野だけでなく冷凍食品、畜肉加工製品、魚肉加工製品など加熱加工する食品全般にわたって応用が利くこととなった。
特許文献2、3の製品は、ブルーベリー、いちご、メープルシロップなど甘味系統のものが多かったが、特許文献4の製法で、カレー、ピザ、みそ、しょうゆ、ソース、チリソース、辛子、ラー油などの粒を成型し、加熱加工食品に添加することで、今までにない呈味原料の風味を損ねない、メリハリの利いた製品をつくることに成功した。
特許文献5の発明は、成型物の著しい生産性の向上と、製造設備のコンパクト化を提案した。特許文献5は、特許文献3-4の素材の成型に利用できる。いずれも必要原料を混合し、ある程度の圧力を加えて粒を整形し、乾燥させ、パン菓子生地や食品に加えて加熱もしくはそのまま食すというものである。この混合し圧力をかけて整形する場合の方法としては、プレス、製粒、製丸、打錠などが考えられるが、特許文献5では、最も経済的、且つ効果的な方法として押し出し機を選定している。その結果、著しい生産性の向上と設備の節約に成功している。
一般的な押し出し機の場合では、混合した粉末状態の混合体を一回で理想の生地、すなわち少ない水分を浸潤させ麺状につなげてカットするのは困難を要した。特許文献3の方法としてはまずスクリューの前に取り付けたダイスの孔径を10-15mmと大きなものにセットして、徐々に粉体混合体をつなぎ合わせ、最後に孔径3-5mm程度の希望するダイスに置き換えて最終的な押出しを行っていた。力のない押し出し機の場合1回目の押出しだけでも3-4回回数を重ねる必要があった。仮に一回で粉体混合体を希望する3-5mmのダイスで押し出そうとすると、ダイスとスクリュー先端部において粉体混合体は圧着され相当な熱を持ち、最後には粘土化から液状化してほとんど希望する生地は得られなくなる。
この問題を解決するために新たな特許文献5の製法を発明した。発明の要点は、シリンダー内のスクリュー先端に回転する刃物を取り付けることである。この刃物はスクリューと同軸回転するものであり、ダイスとスクリュー先端部の間に滞留する粘土化した生地をかき回し著しく押し出し作業を改善した。今まで数回かかった押出し工程を1回で希望する3-5mm程度の小さい径に成型することも可能となった。
特許文献6の発明は、着色対象に色を点在させるのでなく、簡易かつ再現性よく、美しい色の濃淡変化(濃淡)を対象に付与する、特に焼成パン及び菓子の生地のミキシング調整とともに濃淡を付与し、焼成後もその模様を保持することができる、濃淡付与材、さらに濃淡付与材を利用した加工食品である。
他方、加熱調理を必要とすることなく食することができる食品材料(デコレート素材)として、特許文献7に記載の「粒状チョコレート菓子の製造方法」が開示されている。特許文献7に開示の粒状チョコレート菓子の製造方法は、センター材が小さく、重量が軽くても、センター材を十分に感じることが出来、仕上がりも綺麗で不良品の発生も防止することが出来る粒状のチョコレート菓子及びその製造方法、該チョコレート菓子の製造に適した被覆センター材であって、軽量のセンター材の周囲をチョコレート生地が覆う粒状チョコレート菓子の製造方法において、前記センター材を焼成菓子又はパフスナックの粉砕品で被覆する工程、得られた被覆センター材をさらにチョコレート生地で被覆する工程を含み、前記粉砕品の平均粒径が700μm未満であり、かつ、前記センター材がチョコレート付着性の異なる2種類以上の表面を有するものである、粒状チョコレート菓子の製造方法というものである。
特許文献7の粒状チョコレート菓子において、センター材の周囲をパフスナックの粉砕品で被覆し、更にそれら上からチョコレートで被覆してなるもので、センター材、パフスナック粉砕品、被覆チョコレートは、積層された状態で、すなわち別体で、一体性がなかった。
特許第3707058号公報 特許第4072778号公報 特許第4258784号公報 特許第5509235号公報 特開2015-146735号公報 特願2017-175288号 特開2009-171872号公報
そこで、本願発明は、糖類、食物繊維及び増粘多糖類を含む粉体の一体成型物で、加熱調理を必要とすることなく食することができる、食品の外観、食感に変化を付与するトッピング材、添加材又は混合材などの食材素材、及びそれを利用したデコレート食品を提供することを目的とするものである。
上記の課題を解決するために、本願発明は、
(1)
粉体原料を含み、前記粉体原料が少なくとも、50~99重量%の糖類、セルロース又はリグニンから選ばれる0.1~20重量%の不溶性食物繊維及び増粘多糖類を含むとともに大豆タンパクとオカラ油脂を含まない混合物(アイスクリーム類のトッピングソースに使用する水溶性ソース、ゲル化及びゼリー化物を除く)であって、
前記混合物は、押出し機による非膨化一体造粒物であることを特徴とする食品材料(キャンディーの材料、トロミ剤、含水チョコレート組成物、薄片状のスナック菓子を除く)。
(2)
前記混合物に、呈味原料が含まれることを特徴とする(1)に記載の食品材料。
(3)
前記食品材料が、加熱調理されることなく、食品の添加、混合或いはトッピングに用いられることを特徴とする(1)又は(2)に記載の食品材料。
(4)
前記一体造粒物の前記造粒を、前記粉体原料に対して4~15重量%に水分調整して混合生地とし、圧力下で前記混合生地に水分を浸潤させて混練生地とする造粒とし、
さらに、造粒後、乾燥してなることを特徴とする(1)~(3)の何れか1つに記載の食品材料の製造方法。
(5)
前記一体造粒物の前記造粒を、前記粉体原料に対して4~15重量%に水分調整して混合生地とし、圧力下で前記混合生地に水分を浸潤させて混練生地とする造粒とし、
さらに、造粒後、乾燥工程を経ることなく、脱酸素剤、アルコール揮散剤或いは乾燥剤とともにバリア包装材に梱包することを特徴とする(1)~(3)の何れか1つに記載の食品材料の製造方法。
(6)
(1)~(3)の何れか1つに記載の食品材料を、食材又は食品に添加、混合或いはトッピングしたことを特徴とするデコレート食品(キャンディーを除く)。
とした。
本発明の「糖類、食物繊維と増粘多糖類を含む粉体の一体成型物である食品材料」としては、例えば、菓子、パン、総菜類への「トッピング材」、「混合材」或いは「添加材」として利用、クリーム、餡などのフィリングへの「添加材」、「混合材」、カップ麺の添加食材、キャンディ、グミ、こんにゃくや寒天菓子、チョコレート製品やアイスクリーム製品、健康食品などへの「添加材」、「混合材」、その他、加熱を必要することなく食せる食品への「トッピング材」、「混合材」或いは「添加材」などが挙げられる。
ここで、「糖類」とは、ブドウ糖、麦芽糖、果糖、ショ糖、乳糖、トレハロース、オリゴ糖、水飴、デキストリン、それら還元糖、それらの混合物、ブドウ糖果糖液糖や果糖ブドウ糖液糖などの異性化糖、グラニュー糖、上白糖、粉糖など、一般に食品に使用できる糖類が使用できる。
ここでの「食物繊維」は、セルロース、リグニンなどの不溶性食物繊維を言う。食物繊維を添加することで、乾燥後の粒の形状や硬さを保持できる。
この食物繊維は、一般的には粉末状の製品であるが、意図的にフルーツ加工品やココアパウダー等の呈味原料や添加物に加えられている場合(特定保健用食品など)も、その作用は有効である。従って、本製品をつくる場合、実際には食物繊維を添加しない場合であっても、その前段階で標準的な呈味原料や添加物の割合を超えてこの食物繊維が添加されている原料を使用した場合は、標準的な割合を超えた部分の食物繊維を加えたに等しいこととする。すなわち、予め呈味原料、添加物に含まれる食物繊維も本発明の食物繊維の組成物を構成する。なお、この食物繊維は食品として供されるものと、食品添加物として供されるものがあるが、そのどちらでも問題ないこととする。増粘多糖類も同様である。
「増粘多糖類」とは、未膨潤の粉末状のゲル化剤、増粘剤、セルロースなどがあり、ゲル化剤としては、寒天、ゼラチン、ペクチン、ジェランガム、カラギーナン、アルギン酸などが挙げられ、増粘剤としては、アラビアガム、ローカストビーンガム、グアーガム、タマリンドガム、キサンタンガム、セルロースガム、カラギーナン、ペクチン、それらを含む製剤などがあり、それらから選ばれる1種または2種以上を添加することができる。・・・
「呈味原料」とは、フルーツ原料、着色料、香料、酸味料、香辛料、ビーフエキス、ビーフパウダー、カレー粉、ピザソース、その他、バター、ミルク、ヨーグルト、チーズ等の乳製品や乳加工品、野菜やその加工品、チョコレート、ココアパウダー、ココアバター、抹茶、蜂蜜、メープルシロップ、キャラメル、油脂、デキストリン、澱粉などが該当する。但しこれらに限定されない。さらに、副原料として、造粒、結着補助剤が添加されてもよい。補助剤として、乳化剤、光沢剤、保存料、防腐剤、pH調整剤、栄養強化剤などが挙げられる。
「フルーツ原料」としては、フルーツを加工したもので、その形態は問わない。例えば、糖煮、フルーツ果汁、濃縮果汁、ピューレ、濃縮ピューレ、エキス、ジュース(清涼飲料水)、それらを粉末化させたものなどの加工品など挙げられる。但し、これらに限定さるものではない。
「フルーツ」としては、ブルーベリー、ビルベリー、ストロベリー、クランベリー、リンゴンベリー、ラズベリー、スグリ、レモン、ブドウ、オレンジ、リンゴ、トマト、バナナ、桃、さくらんぼ、マンゴー、メロン、スイカ、パイナップル、梨、グレープフルーツ等の一般に入手できる果物、野菜類などが挙げられ、単一、ミックスして使用することができる。但し、これらに限定されるものではない。
つづいて上記の混合された原料を成型する方法について、説明する。本発明の成型方法は、素材の混合、加圧混練、成型、乾燥からなる。
「成型方法」としては、糖類、食物繊維及び増粘多糖類を含む混合物の成型として、打錠、製丸、製粒、プレス後のカット破砕など例示できるが、最も効率的、経済的でメンテナンスやランニングコスト、作業性、配合の自由度・制約のなさすべての面で優れているのは押し出し加工法(特許文献3、4、5など)である。
最終的な混合物が押し出されて排出されるダイス部分の孔径や形状を変えることで、多様な形状の要望に応えられる。たとえば、一般的な形状として球形形があるが、押し出した直後に高速で回転する成形機に投入することで球形にすることもできる。またダイスの孔径を星形、ハート形、アルファベット型、動物などの型を施すことで可愛らしい形の製品を得ることができる。
最終的な水分値は長期間保存することだけが目的であれば、自由水の度合いを見る水分活性Aw値として0.600未満が理想である。しかしながら脱酸素剤、アルコール揮散剤、シリカゲルなどの乾燥剤を用いて、バリア性のある袋などの包装容器に保管・流通させることで、Aw値は高くても問題ない。
実際の配合比率 糖類50~99%であり、好ましくは70~98%、更に好ましくは80~95%である。食物繊維は0.1~20%、増粘多糖類は0.1~20%、好ましくは1~10%である。この配合比率(粉体原料比率)は後からくわえる加水およびフルーツ原料等の水分値(生のブルーベリー100gを配合する場合は約88%の水分を含むので、88gの水分値となる)は含まないものとしてあらわしている。
尚、原料の混合に当たっては加水が必要となり、その配合量は粉体原料に対して4~15%である。この加水とは純水及びフルーツやメープルシロップ等の呈味原料に含まれている自由水を合算したものである。
水分を浸潤させるための「加圧混練」には、ミキサーもしくはニーダー内で生地を混合後、押出し機を利用すること、或いは混合しサラサラの生地を加圧だけするプレス機などを用いて行うことができる。圧力としては、1MPa/m以上かかればよい。特に好ましくは2MPa/m~10MPa/mである。
「成型」は、打錠を除き、加圧しながら混合・混練し、成型する「押出し機」、加圧し水分を浸潤させる「プレス加工機」(別途成型が必要)、混合生地を加圧と別途成型する装置、例えば「整丸」、「整粒機」、など用いて行うことができる。
「押出し機」とは、工業、食品などの分野で使用されており、図1に示すように、モーター4bに接続されたスクリュー4cを回転させ、ホッパー4aに投入された材料(混合生地5)を、スクリュー4cが挿入されたスクリューケース4dとスクリュー4cの間を移動させながら加圧混練し、スクリーン4eに穿設された孔4fから材料を押出し、成型(造粒)する機械である。その押出し出口に回転するカッター4gを配置することで、材料を所定の大きさに切断することもできる。
パスタマシンと言われるものは一般にスクリーンとスクリューが密着せず、ラッパ状に広がってスクリーンが施されているが、これもここでは同一のものとして扱う。
押出し機には、上記スクリュー型押出し機の他、円筒型押出し機(バスケット型押出し機ともいう。)がある。例えば、株式会社アーステクニカ、インライン式円筒造粒機(型番FBG-200)や畑鐡工所などのHG型などがある。
円筒型押出し機は、羽根と呼ばれるものが、混合生地の入った円筒形の筒の中で、回転する事により、側面のスクリーンより造粒品が得られるというものである。この羽根は、混合生地をスクリーンに押し付け、押し出すための押出し羽根と、筒内の混合生地が外に逃げないように上から押え付けるための加圧羽根によって構成されている。
しかし、スクリュー型押出し機と異なり、設定されたスクリーンの孔径よりも小さめの径の造粒品となる。これはスクリュー型押出し機が垂直に、しかも大きな圧力で混練された生地をところてんのように押し出すのに対し、円筒型押出し造粒機は回転する羽根がこすりつけるように押し出すことに起因する。スクリュー型押出し機に比べて粒度が小さい2mm以下の造粒に適する。
図1では、一軸押出し機を示したが、押出し機には、スクリューの本数、配置により、二軸、二軸一軸などがあり、またその形状もテーパー形状など様々あり、それらが本発明の製菓製パン材料の混合生地の加圧混練に使用することができる。
「整丸機」とは、機械上部にパンやうどんの生地のようにしっかり混練された生地を載せ、自重及びあらかじめ設けられた溝に順次ローラーにより溝に生地を押し込み、生地を角状に絞り出す。その後カットされた角状の生地は、左右にスライドする板の間に送り込まれ、ちょうど手のひらで粘土を丸める要領で、生地を丸く成型する装置である。なお、生地に糖分が多く添加されていると、機械に生地がくっついてしまい稼働時間が制限される。また、その清掃と清掃後の整丸機の乾燥に時間がかかり、成型効率は押出し機に比べあまりよくない。
「整粒機」とは、造粒加工されたものを、円筒型状の筒の中に落とし、円筒型状の筒の底面には回転する円盤があり、造粒物は衝突を繰り返し、次第に角やバリが取れて、楕円や球形に加工する装置である。前記円盤はセンター部分がやや高くなる傾斜がついたり、筒内に熱風等の乾燥した風を送り込んだりすることで、整型と乾燥を同時に行うことができるものもある。
「プレス加工機」とは、うどん、そば、ラーメンなどの麺類の生地の成型に使用される装置で、装置上部に配置されたバットに生地を載せ、生地上部に板状の蓋を載せ、油圧機などにより、蓋が下がり、或いはバットが上昇し、生地を加圧する。その後生地をローラーで薄く延ばし、縦横からカットして、所望の形状に整形する装置である。
打錠機は、乾燥した原料(湿式の場合は水分をまだ多く含んでいる)を圧力により硬化させるが、押出し機、整丸、整粒機、プレス機による成型では水分を含んだ状態で、比較的軟状な原料であり、成型後乾燥により、結着、硬化させるものである。中でも、押出し機で造粒する場合は、総水分量が極めて低い状態で成型できるため、乾燥時間は短く、経済的である。
従来の特許発明の製品は、最終的には他の生地や材料と混合、接触させ、さらに加熱することで、生地から発生する蒸気や水分を吸収、澱粉を膨潤させ、その目的とする製品ができていたのに対し、本願発明は、そのまま直接食すことができるというものである。
つまり、スナックやサプリメントとして食してもよいし、サラダやアイスクリーム、調理パン、総菜、ドーナツやマフィン、パン、洋生菓子、煎餅、クリームなどの具材など、出来上がった食材、料理の上にそのままのせても食せるというものである。勿論、従来の特許発明品と同様に製品に添加して、加熱された後に食すことも可能である。
従来の特許製品の場合は加熱して、配合した生地から発生する蒸気を利用して澱粉のアルファ化やジャム化により食すことができるようになった。逆に言うと加熱していないで食すと硬くて口の中はケガをするし、生の澱粉を食すことになるのでお腹がゆるくなるため加熱調理することが絶対条件であった。
そのためキャンディやチョコレートの様に水分をほとんど含まない製品との融合は、この原理からして使用できなかった。また、水分は多少含んでいてもクッキーやビスケットなどに使用するには無理があった。しかし、本願発明によって、それら問題を解決できることとなった。
発明者の過去の開発の経過とともにまとめると、次の通りである。
特許文献1の「ビルベリーピューレによる小麦粉加工食品の着色方法」により、ビルベリーピューレで小麦粉加工品に天然色を着色することができるようになった。特許文献2の「小麦粉加工食品用打錠製品及びそれを利用した小麦粉加工食品」により、特許文献1の最低配合量である対粉約20%の制約がなくなり、バラエティ化も可能になった。特許文献3の「製菓製パン用材料及びそれを用いた穀粉加熱加工食品」により、加熱によりジャム化する材料を提供し、さらに大幅にコストが改善し、加えて澱粉の配合制約もなくなった。特許文献4の「加熱食品用材料及びそれを用いた加熱食品」により、糖の再結晶の問題を解消し、利用した食品の長期間の販売が可能になった。特許文献5の「糖加工品原料の押し出し成形装置及びその押し出し方法」により、生産率が向上した。特許文献6の「濃淡付与材」により、食材の調理とともに色調、模様の濃淡を付与することができようになった。
さらに本願発明により、加熱しなくてもそのまま生で食べられる食材を提供することができた。その結果、水分を有しないチョコやキャンディへの応用だけでなく、アイスクリームや全ての食品の外観、食感に変化を付与できるようになり、デコレートされた食品のバリエーションを広げることが可能になった。本願発明は巷によく見られる硬くて食感に異物感のある糖加工品と異なり、その原材料成分や食感、風味はドライフルーツに近い画期的なものとなっている。
本発明に用いる押出し装置の一例である。 本発明の食品材料の加圧混練、成型工程の一例((A)(B)一次押出し、(C)二次押出し、カット成型後の造粒物)の写真である。 本発明の食品材料(ブルーベリー風味)をアイスクリームに利用(添加、混合)したときの写真である。 本発明の食品材料(ブルーベリー風味、イチゴ風味、抹茶風味)をキャンディに利用(固化前に練り込み内部に混在)したときの写真である。 本発明の食品材料(イチゴ風味)をケーキに利用(ショートケーキのホイップの上にトッピング)したときの写真である。 本発明の食品材料(イチゴ風味、練乳風味、抹茶風味)をチョコレートに利用(固化前に練り込み、さらにトッピング)したときの写真である。 本発明の食品材料(ブルーベリー風味、イチゴ風味)をドーナツに利用(上掛けされたアイシングが固化する前にトッピング)したときの写真である。 本発明の食品材料(ブルーベリー風味、抹茶風味)をマフィンに利用(上掛けされた糖液が固化する前にトッピング)したときの写真である。
以下、本発明について、具体的により詳細に説明する。なお、本発明は下記実施例に限定されるものではない。
本発明の製造方法は、素材の混合、加圧混練、成型、乾燥からなる。
・素材の混合
上白糖やブドウ糖、麦芽糖、水あめ、異性化糖などの糖類を準備する。準備した糖類に食物繊維と増粘多糖類を加え、呈味原料のブルーベリーピューレ、その他、酸味料、混合、混練を行う。呈味原料だけで十分な水分が得られない場合は加水も行う。水分は、粉体に対して0.5~15%水分量が必要である。(この水分量は自由水でありその組成上に不可欠な結合水は含んでいない。)
・加圧混練、成型
加圧混練、成型は、図1の押出し機を使用して、ダイスの孔径を10~20mm程度にセットして一次押出しを行う。一回で生地がまとまらない場合は複数回にわたり、この1次押出しの工程を行う。一次押出しでは、はじめのさらさらとした生地が全体にまとまることが感じられる。このまとまるという現象は強い押出し圧力により全体に水分が均一に行き渡っていることを示している。この後、希望する大きさの孔径0.1~20mmの間で再度押し出し(二次押出し)加工を行い、所望の大きさにカットして、粒状の造粒物7にする(図2)。乾燥後の最終製品の径は、1~10mm程度であれば、多種多様な食材に用いることができる。
・乾燥
乾燥は、風乾、温風乾燥などが例示できる。乾燥後の製品の水分値は、ハロゲン水分計などの測定で10%未満が良い。水分活性Aw値であらわした場合、0.600未満がカビや細菌などの微生物が繁殖できない条件として最適であるが、一般的には0.700未満であればまず安心して流通ができる状態である。しかしながら脱酸素剤、アルコール揮散剤、シリカゲルなどの乾燥剤を用いて、バリア性のある袋などの包装容器に保管・流通させる場合には、この乾燥工程を省略、もしくは短縮して、Aw値を高いままとしても問題ない。
実施例1では、ブルーベリーピューレを採用したが、この部分をいちごピューレやコーヒーエキス、ココアパウダー、きなこ、シナモンパウダー、メープルシロップ、はちみつ、抹茶、乳製品、野菜のペーストなどいろいろな材料と置き換えられるのは言うまでもない。
また置き換えた材料だけでは色や風味、酸味などで不足している部分があれば着色料や香料、酸味料などを適宜加えることができる。尚、香料の場合は乾燥後に添加した方が香気成分の散逸を防ぐことができるため望ましい。
また呈味原料としてカレーやピザ、チリソースなどの辛み製品を作りたい場合は保形剤として糖類ではなく無味無臭に近いデキストリンなどを単独でも、又は糖類と組み合わせても使用することができる。
乾燥後に計量し、包装して金属探知機やX線検査などを行い、梱包、保管、出荷となる。
以下、本願発明の具体的な使用方法について説明する。そのまま食することができるため、スナック、ラムネ等の菓子として提供することができる。また、甘味の強い甘味料を低減し、デキストリン、α化澱粉などを使用することで、呈味原料の風味を損ねることなく、カレー、焼き肉、焼きそばなど食品風味のスナックも提供することができる。また、香辛料、ソースなどと混合すれば「ふりかけ」にすることもできる。そのた、畜肉製品、魚肉・貝類製品などにも、添加、混合或いはトッピングできる。
焼成されたパン、菓子、せんべいなどへトッピングする。その他の応用例としては、焼成後のパンの表面にツヤ出しと呼ばれるオイルやアイシングなどを施した上に振り掛ける。洋菓子の場合は生クリームやフィリングの上に直接振り掛けてもよいしナパージュなどを施した上から振り掛ける。このような従来のトッピングの上にさらにトッピングすることで、本発明を安定して付着させることができる。勿論、焼成前の生地にトッピングすることも可能である。
クリームや餡他、ジャムフィリング、和菓子へ混合、トッピングする。チョコレートやキャンディ、ガムへ混合、トッピングする。チョコレートやキャンディ生地を型に流し込むときに一緒に混合する。もしくは型に入れた後に、上からトッピングする。アイスクリームへ混合、トッピングする。完全に凍結しているアイスクリームやラクトアイス、氷菓などへ混合、トッピングする。凍結していない溶解しているアイスクリームに本発明を添加、トッピングするとその組成上の特性から水分が浸潤して、本発明の独特の食感が失われてしまうので注意が必要である。総菜等の料理、サラダへ混合、トッピングする。カップ麺、インスタント食品などに添加する。健康食品、サプリメントなどへ添加、混合する。
上記の他、そのまま食せるあらゆる食品へ制限なくトッピング、混合或いは添加する。ペットフードなどにも添加することができ、応用範囲が極めて高い、食材である。
これら、従来のように加熱を必要とすることなく食することができる食材をトッピング、添加することにより、食品の外観、食感、風味を簡単に変化させることができたり、食品のバリエーション化に資する。なお、食品に水分が多い場合には、本発明は食べる寸前に添加されることが、本発明への水分移行を抑えるために望ましい。
造粒物7を成型する場合のより具体的な配合組成、成型法を以下に説明する。
・素材(組成)/ブルーベリー風味
ブドウ糖 600
食物繊維 30
増粘多糖類(キサンタンガム)20
ブルーベリーピューレ 50
これらを混合する。すべての粉体が均一に混合されるまで10~30分程度かかる。
そして、図2(B)に示すように、直径10mm孔4fのスクリーン4eを装着して一次押出しを行う。一度だけで生地が均一化されない場合(不均一で、まだらな一次押出し物7a(図2(A)))は複数回この作業を繰り返すことで、均一化された生地(均一な一次押出し物7b)となる(図2(B))。
続いて、直径3mmの孔のスクリーンに取り換えて、二次押出しを行う。その押出しの際、二次押出し物をカットして造粒物7にし、乾燥棚に並べて一晩乾燥させる。造粒物7の水分活性値Awが0.60を下回れば次の工程に移る。もしくは脱酸素剤やアルコール揮散剤を同梱しバリア性のある包装を用いれば乾燥させる工程は不要となる。
つづいて、乾燥した造粒物にブルーベリー香料を0.1~1.0%加えてよく混合させ、本発明である食品材料が完成する。呈味原料、色素、フレーバーを変更すれば、多種多様なバラエティに富む食品材料を提供できる。その後、計量・袋詰め、金属探知機検査、ダンボールへの梱包、保管、出荷となる。ブルーベリーピューレに代え、イチゴピューレ又は果汁、練乳、抹茶を至適風味となるよう添加し、水分調整した上で、必要な香料、色素を添加することで、イチゴ風味、練乳風味、抹茶風味の食品材料品を製造することができる。
以下、糖類、食物繊維、増粘多糖類を利用した食品である本発明のデコレート食品を説明する。
図3は、本発明のブルーベリー風味の食品材料10をアイスクリーム11aに利用した食品材料入りアイスクリーム11の写真である。アイスクリーム11aに食品材料10を添加、練り込み混在させることで、アイスクリーム11aの食感にアクセントを付与することができる。
図4は、本発明のブルーベリー風味、イチゴ風味、抹茶風味の食品材料10、10a、10bをキャンディ12aに利用した食品材料入りキャンディ12である。キャンディ12aが固化する前に食品材料10、10a、10bを練り込み混在させることで、キャンディ12aの食感にアクセントを付与することができる。クッキー等の菓子生地に練り込み、焼成することもできる。
図5は、本発明のイチゴ風味の食品材料10をショートケーキ13aに利用した食品材料トッピングケーキ13の写真である。ケーキのホイップ等に、食品材料10をトッピングすることで、ケーキ等の洋菓子の食感にアクセントを付与することができる。
図6は、本発明のイチゴ風風味、練乳風味、抹茶風味の食品材料10、10c、10bをチョコレート14aに利用した食品材料入りチョコレート14の写真である。食品材料10、10c、10bを、チョコレート14aが固化する前に練り込み、さらに表面にトッピングすることで、チョコレート14aの食感にアクセントを付与することができる。なお、呈味原料、色素、香料を添加しない、即ち糖類、食物繊維及び増粘多糖類だけを成型したプレーン風味も可能である。
図7は、本発明のブルーベリー風味、イチゴ風味の食品材料10、10aをドーナツ15aに利用した食品材料トッピングドーナツ15の写真である。ドーナツ15aに上掛けされたアイシング15bに食品材料10、10aを、アイシング15bが固化する前にトッピングすることで、ドーナツ15aの食感にアクセントを付与することができる。
図8は、本発明のブルーベリー風味、抹茶風味の食品材料10、10bをマフィン16aに利用した食品材料トッピングマフィン16の写真である。マフィン16aの表面に上掛けされる糖液16bに食品材料10、10bを、糖液16bが固化する前に、トッピングすることで、マフィン16aの食感にアクセントを付与することができる。
4 押出し機
4a ホッパー
4b モーター
4c スクリュー
4d スクリューケース
4e スクリーン
4f 孔
4g カッター
5 混合生地
6 圧力計
7 造粒物
7a 不均一な一次押出し物
7b 均一な一次押出し物
10 食品材料
10a 食品材料
10b 食品材料
10c 食品材料
11 食品材料入りアイスクリーム
11a アイスクリーム
12 食品材料入りキャンディ
12a キャンディ
13 食品材料トッピングケーキ
13a ショートケーキ
14 食品材料入りチョコレート
14a チョコレート
15 食品材料トッピングドーナツ
15a ドーナツ
15b アイシング
16 食品材料トッピングマフィン
16a マフィン
16b 糖液

Claims (6)

  1. 粉体原料を含み、前記粉体原料が少なくとも、50~99重量%の糖類、セルロース又はリグニンから選ばれる0.1~20重量%の不溶性食物繊維及び増粘多糖類を含むとともに大豆タンパクとオカラ油脂を含まない混合物(アイスクリーム類のトッピングソースに使用する水溶性ソース、ゲル化及びゼリー化物を除く)であって、
    前記混合物は、押出し機による非膨化一体造粒物であることを特徴とする食品材料(キャンディーの材料、トロミ剤、含水チョコレート組成物、薄片状のスナック菓子を除く)。
  2. 前記混合物に、呈味原料が含まれることを特徴とする請求項1に記載の食品材料。
  3. 前記食品材料が、加熱調理されることなく、食品の添加、混合或いはトッピングに用いられることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の食品材料。
  4. 前記一体造粒物の前記造粒を、前記粉体原料に対して4~15重量%に水分調整して混合生地とし、圧力下で前記混合生地に水分を浸潤させて混練生地とする造粒とし、
    さらに、造粒後、乾燥してなることを特徴とする請求項1~請求項3の何れか1項に記載の食品材料の製造方法。
  5. 前記一体造粒物の前記造粒を、前記粉体原料に対して4~15重量%に水分調整して混合生地とし、圧力下で前記混合生地に水分を浸潤させて混練生地とする造粒とし、
    さらに、造粒後、乾燥工程を経ることなく、脱酸素剤、アルコール揮散剤或いは乾燥剤とともにバリア包装材に梱包することを特徴とする請求項1~請求項3の何れか1項に記載の食品材料の製造方法。
  6. 請求項1~請求項3の何れか1項に記載の食品材料を、食材又は食品に添加、混合或いはトッピングしたことを特徴とするデコレート食品(キャンディーを除く)。
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