JP7343081B2 - 二次電池用材料、負極活物質および二次電池 - Google Patents

二次電池用材料、負極活物質および二次電池 Download PDF

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Description

本発明は、二次電池用材料、前記二次電池用材料を含む負極活物質、および前記負極活物質を含む二次電池に関する。
非水電解質二次電池は、携帯機器を始め、ハイブリット自動車や電気自動車、家庭用蓄電池などに用いられており、電気容量、安全性、作動安定性など複数の特性をバランスよく有することが要求されている。
このような二次電池としては、主に、リチウムイオンを層間から放出するリチウムインターカレーション化合物を負極物質に用いられている。例えば充放電時にリチウムイオンを結晶面間の層間に吸蔵放出できる黒鉛等の炭素質材料を負極活物質に用いた、各種リチウムイオン電池の開発が進み、実用化もされている。
さらに、近年、各種電子機器・通信機器の小型化およびハイブリッド自動車等の急速な普及に伴い、これら機器等の駆動電源として、より高容量であり、かつサイクル特性や放電レート特性等の各種電池特性が更に向上した二次電池の開発が強く求められている。
二次電池の性能向上の試みの一つとして、従来黒鉛等が用いられていた負極活物質の改良が試みられている。特許文献1にはX線小角散乱とラマン分光法により特定の範囲に散乱が認められ、ラマン散乱ピークの強度比が特定の範囲にあるシリコン酸化物系複合材料を有する二次電池用負極活物質が開示されている。当該シリコン酸化物系複合材料は一般式SiOxCyで表される。
特許文献2にはケイ素元素、酸素元素および炭素元素を含む微粒子形態のSiOC複合材料であり、シリコン粒子が前記SiOCのマトリクスの中に埋め込まれ、前記微粒子が非晶質SiOCマトリクスで形成され、かつ少なくとも1種の非晶質炭素層でコーティングされたコアを有するコア/コーティング構造を有するSiOC複合材料が開示されている。
特許文献3には少なくとも1つのシリコン系微粒子と、少なくともSiとOとCとを構成元素として含有するSiOCコート層によって被覆されており、比表面積、粒径が特定の条件を満たすSiOC構造体が開示されている。
特許文献4には一般式SiOxCyで表される化合物の特定の原料を用いる製造方法が開示されており、特許文献5にはケイ素と酸素と炭素とからなるケイ素系無機化合物であり、ケイ素系無機化合物に存在するケイ素の化学結合状態に特徴がある化合物が開示されている。
しかしながら前記SiとOとCを用いたリチウム二次電池は初期効率が低いことから、SiとOとCを負極活物質に用いるための様々な改良が試みられている。
例えば特許文献6には特定の比表面積と圧縮抵抗率を有する炭素被膜をケイ素化合物の少なくとも表面の一部に有する負極活物質粒子が記載されている。
特許文献6に記載の負極活物質粒子はケイ素化合物を含有し、ケイ素化合物の表面の少なくとも一部が炭素被膜で被覆されていることで、優れた導電性を有するとされている。さらに、炭素被膜の比表面積を特定の範囲とすることで、電池の電解液の含浸性が良好となり、また、炭素被膜の圧縮抵抗率を特定の範囲とすることで、負極活物質粒子の表面の導電性が充分となり、かつ、表面の電力集中によるLiの微小析出が起こり難いと考えられている。
特許文献7にはケイ素の大きな体積膨張によるサイクル特性低下を改良する目的で、ナノサイズのケイ素粒子とケイ素粒子を内包する空間とケイ素粒子を内包しない空間を画成する炭素層の壁とを有する複合粒子が提案されている。
特許文献8には、ケイ素材料領域と、前記ケイ素材料領域の周囲に少なくとも一部において空隙を隔てて形成される、炭素材料による炭素材料領域とを含み、Cu-Ka線を用いた粉末X線回折法により求められる前記炭素材料領域の(002)平均層面間隔d002が0.365nm以上0.390nm以下である電池用負極材料が記載されている。
特許文献7および8では、ケイ素化合物と炭素被膜の間に空隙を設け、充放電によるケイ素化合物の大きな体積変化による負極材料の破壊を抑制することが記載されている。
WO2014/002602号 特表2018-502029号公報 WO2020/179409号 特開2018-106830号公報 WO2019/107336号 特開2016-164870号公報 国際公開2013/031993号公報 特開2019-125435号公報
黒鉛系負極活物質は二次電池の初期容量が低いため、高容量化を目的に種々の改良が行なわれている。前記特許文献1から5に記載のシリコン含有活物質は初期容量については高容量化が可能となる。
しかしながら、シリコン含有活物質は容量維持率および電池としての寿命のさらなる改良が求められている。またSiOC複合体では、ケイ素の含有量を多くすると維持率が低下する傾向にあった。したがって、二次電池に用いられる負極活物質のさらなる高性能化が求められている。
また従来の活物質は割れることで表面積が増大し、活物質と電解液との接触面積が大きくなる。その結果、充放電時に固相界面電解質分解物(以下、「SEI」とも記す。)の生成量が増えることで単位体積当たりの可逆充放電容量が低下し、初期のクーロン効率が低下すると考えられる。
しかしながら特許文献6のように負極活物質粒子が炭素被膜により被覆する方法では、充放電によるケイ素化合物の大きな体積変化を抑制するには不十分であり、初回クーロン効率の改良は十分ではなかった。
特許文献7および8のようにケイ素材料と炭素材料の間に空隙を設けることで、充放電によるケイ素化合物の大きな体積変化に対して、炭素材料が割れることを抑制しようと試みている。しかしながら空隙を設けるだけでは初回クーロン効率の改良効果はまだ十分ではなかった。
本発明者らはSiOC複合体中のケイ素、酸素および炭素の比率に着目し、これらの組成比を特定の範囲とすることで得られる二次電池の負極活物質のさらなる高性能化が可能となることを見出し、本発明を完成させるに至った。
即ち本発明は、リチウムイオン電池に用いられる二次電池用材料、および前記二次電池用材料を含む負極活物質、前記負極活物質を含む二次電池に関し、得られる二次電池の充放電容量、初期効率および容量維持率が全体的に高く、またこれら特性のバランスに優れた二次電池を与える二次電池用材料を提供することを目的とする。
さらに本発明は前記二次電池用材料を含み、得られる二次電池の充放電容量、初期効率および容量維持率が全体的に高く、またこれら特性のバランスに優れた二次電池を与える負極活物質を提供する。
本発明は、下記の態様を有する。
[1]
Si(ケイ素)、O(酸素)、C(炭素)を含有し、Siに対するOの含有比xが0.1≦x≦2、およびSiに対するCの含有比yが0.3≦y≦11である二次電池用材料。
[2]
0.1≦x≦1.5、および0.3≦y≦11である前記[1]に記載の二次電池用材料。
[3]
0.1≦x≦1、および0.3≦y≦11である前記[1]に記載の二次電池用材料。
[4]
0.1≦x≦0.7、および0.3≦y≦11である前記[1]に記載の二次電池用材料。
[5]
x+yが1.2以上である前記[1]から[4]のいずれかに記載の二次電池用材料。
[6]
x+yが2.3以上である前記[1]から[4]のいずれかに記載の二次電池用材料。
[7]
29Si-NMRスペクトルから得られるケミカルシフト値として、Si(0価)に帰属される-70ppmから-90ppmの範囲内のピークの面積強度A、SiOの結合に帰属される-90ppmから-130ppmの範囲内のピークの面積強度Bが、下記の式を満たす前記[1]から[6]のいずれかに記載の二次電池用材料。
式:0.2<A/B<5
[8]
体積平均粒子径(D50)が、0.5μmから10μmである前記[1]から[7]のいずれかに記載の二次電池用材料。
[9]
比表面積(BET)が、1m/gから20m/gである前記[1]から[8]のいずれかに記載の二次電池用材料。
[10]
赤外線解析において、2000cm-1から2200cm-1におけるSi-H伸縮振動由来である吸収スペクトルが存在しない前記[1]から[9]のいずれかに記載の二次電池用材料。
本発明は、また下記の態様を有する。
[11]
前記[1]から[10]のいずれかに記載の二次電池用材料を含有し、表面の少なくとも一部に炭素被膜を有し、真密度が1.6g/cm以上2.0g/cm以下、下記式(1)により定義される空隙率が7%以上20%以下である負極活物質。
式1
(ただし前記式(1)中、Vは空隙率(%)、ρは負極活物質内部の密度(g/cm)、ρ’は負極活物質全体の密度(g/cm)、ρ’’は炭素被膜の密度(g/cm)、Aは炭素被膜の量(質量%)をそれぞれ表す。)
[12]
炭素質相を含むマトリクスが内部に存在する前記[11]に記載の負極活物質。
[13]
Siナノ粒子を含む前記[11]または[12]に記載の負極活物質。
[14]
前記炭素被膜の量が6質量%以上30質量%以下である前記[11]から[13]のいずれかに記載の負極活物質。
[15]
前記マトリクスがシリコンオキシカーバイドと、フェノール樹脂の焼成物を含有する前記[12]に記載の負極活物質。
[16]
前記Siナノ粒子の体積平均粒子径(D50)が100nm以下である前記[13]に記載の負極活物質。
また本発明は、下記の態様を有する。
[17]
Siナノ粒子、炭素質相、および前記[1]から[10]のいずれかに記載の二次電池用材料を含有し、
前記炭素質相は前記Siナノ粒子を包埋し、
前記炭素質相がXRD測定より求められる炭素002面の面間隔が0.34nmから0.38nmであり、
比表面積が0.01m/gから20m/gである負極活物質。
[18]
真密度が1.8から2.5 g/cmである前記[17]に記載の負極活物質。
[19]
乾燥空気流通下でのTG分析による100から700℃での質量減少率が10から70%である前記[17]または[18]に記載の負極活物質。
[20]
N(窒素)を含み、Si、O、CおよびNの合計質量を100質量%として、Nの含有量が0.2質量%以上2.5質量%以下である前記[17]から[19]のいずれかに記載の負極活物質。
[21]
前記二次電池用材料の割合が0.1重量%から19重量%である前記[17]から[20]のいずれかに記載の負極活物質。
[22]
29Si-NMRスペクトルから得られるケミカルシフト値として、Si(0価)に帰属される-70ppmから-90ppmの範囲内のピークの面積強度A、SiOの結合に由来する-90ppmから-130ppmの範囲内のピークの面積強度Bが、下記の式(2)を満たす前記[17]から[21]のいずれかに記載の負極活物質。
0.2<A/B<5 (2)
[23]
平均粒子径(D50)が、0.5μmから10μmである前記[17]から[22]のいずれかに記載の負極活物質。
[24]
比表面積(BET)が、1m/gから20m/gである前記[17]から[23]のいずれかに記載の負極活物質。
[25]
赤外線解析において、2000cm-1から2200cm-1におけるSi-H伸縮振動由来である吸収スペクトルが存在しない前記[17]から[24]のいずれかに記載の負極活物質。
さらに本発明は、下記の態様を有する。
[26]
前記[11]から[25]のいずれかに記載の負極活物質を含む二次電池。
本発明によれば、充放電容量、初期効率および容量維持率が全体的に高く、またこれら特性のバランスに優れた二次電池を与える負極活物質および該負極活物質に用いられる二次電池用材料が提供される。
実施例1で得られた二次電池用材料のFT-IR測定で得られたスペクトル図である。 実施例16で得られた二次電池用材料のFT-IR測定で得られたスペクトル図である。 実施例26で得られた二次電池用材料のFT-IR測定で得られたスペクトル図である。
本発明の二次電池用材料(以下、「本二次電池用材料」とも記す。)はSi(ケイ素)、O(酸素)、C(炭素)を含有し、Siに対するOの含有比xが0.1≦x≦2、およびSiに対するCの含有比yが0.3≦y≦11である。なお含有比とは本二次電池用材料に含まれるSi、OおよびCのモル比であり、xは本二次電池用材料に含まれるSiの1モルに対する本二次電池用材料に含まれるOのモル数である。yも同様に本二次電池用材料に含まれるSiの1モルに対する本二次電池用材料に含まれるCのモル数である。これらモル比はそれぞれの元素の含有量を測定した後、モル比(原子数比)に換算することにより求めることができる。この際、OとCは無機元素分析装置を使用することによって、その含有量を定量でき、Siの含有量はICP発光分析装置(ICP-OES)を使用することによって定量できる。
なお、前記モル比の測定は前記の方法によって実施することが好ましいが、二次電池用材料の局所的な分析を行い、それにより得られた含有比データの測定点数を多く取得して、二次電池用材料全体の含有比を類推することでも可能である。局所的な分析としては、例えばエネルギー分散型X線分光法(SEM-EDX)や電子線プローブマイクロアナライザ(EPMA)が挙げられる。
本二次電池用材料は、Si、O、Cを含むマトリクスであるのが好ましく、シリコン粒子(以下、「Si粒子」とも記す。) をさらに含むのがより好ましい。マトリクスはシリコンオキシカーバイト(以下、「SiOC」とも記す。)骨格の三次元ネットワーク構造であり、本二次電池用材料を負極活物質として用いる場合、負極活物質は本二次電池用材料と炭素質相を含むのが好ましい。ここで言う炭素質相とは、SiOCの三次元骨格に含まれていないCのことであり、フリーの炭素として存在しているもの、炭素質相のC同士で結合しているもの、およびSiOC骨格と炭素質相を結合しているCを含む。
本二次電池用材料を負極活物質として用いる場合、負極活物質は前記マトリクスとSi粒子を含むのが好ましく、前記マトリクスとSi粒子を含む本二次電池用材料を用いるのが好ましい。Si粒子はマトリクス中に分散した状態で存在しているのが好ましく、負極活物質は前記マトリクス、前記炭素質相およびSi粒子を含むのがより好ましく、前記マトリクス、前記炭素質相およびSi粒子を含む本二次電池用材料を用いるのがより好ましい。
またマトリクスは後述するようにシリコンオキシカーバイドと、炭素源樹脂の焼成物を含有するのが好ましく、シリコンオキシカーバイドと、フェノール樹脂の焼成物を含有するのが好ましい。
本二次電池用材料が前記マトリクスの場合、本二次電池用材料を構成するマトリクス中のSiOC骨格は、化学安定性が高い特徴を有し、炭素質相との複合構造となることで、電子遷移抵抗の低減に伴いリチウムイオンの拡散も容易になる。Si粒子がSiOC骨格と炭素質相との複合構造体に密に包まれることで、Si粒子と電解液との直接な接触が阻止される。従って、本二次電池用材料、炭素質相およびSi粒子を含む負極活物質は、含有するSi粒子が充放電性能発現の主要成分とする役割を果たしながら、充放電時にSiと電解液との化学反応が回避されることによってSi粒子の性能劣化も最大限に防ぐことができる。
より詳細には、SiOCは、リチウムイオンの接近によりSiOC内部の電子分布の変動が生じ、SiOCとリチウムイオンの間に静電的な結合や配位結合などが形成されるため、リチウムイオンがSiOCの骨格中に貯蔵される。そしてこれらの配位結合エネルギーは比較的低いため、リチウムイオンの脱離反応が容易に行われる。つまりSiOCが充放電の際にリチウムイオンの挿入・脱離反応を可逆的に起こすことができると考えられる。
マトリクス中のSi粒子は0価のSiであり、負極活物質とした時の充放電性能と初回クーロン効率の観点から、Si粒子はナノ粒子であるのが好ましく、本二次電池材料はSiナノ粒子を含む複合体であるのが好ましい。ナノ粒子とは体積平均粒子径がナノオーダーの粒径を有する粒子であり、10nmから300nmが好ましく、20nmから250nmがより好ましく、30nmから200nmがさらに好ましい。また、負極活物質とした時の充放電性能と容量維持の観点から、Siナノ粒子の体積平均粒子径は100nm以下が好ましく、70nm以下がより好ましい。
ここで体積平均粒子径とはレーザー回折式粒度分析計などを用いて測定することができるD50の値である。D50は、レーザー粒度分析計などを用い動的光散乱法により測定することができる。Si粒子の粒子径分布において、小径側から体積累積分布曲線を描いた場合に、累積50%となるときの粒子径である。
300nmを超える大サイズのSi粒子は、大きな塊となり、負極活物質とした時、充放電時に微粉化現象が起きやすいため、負極活物質の容量維持率が低下する傾向が想定される。一方、10nm未満の小サイズのSi粒子は細かすぎるため、Si粒子同士が凝集しやすくなる。そのため、負極活物質中へのSi粒子の分散性が低下する可能性がある。また、Si粒子が細かすぎると、その表面活性エネルギーが高くなり、負極活物質の高温焼成でSi粒子の表面上に副生成物などが多くなる傾向もある。これらが充放電性能の低下に繋がるおそれがある。
前記Siナノ粒子は、Si塊を粉砕などでナノ化したものである。このSiナノ粒子の存在によって、二次電池としたときの充放電容量と初回クーロン効率を向上させることができる。
Si塊をナノ粒子とするための粉砕に用いる粉砕機としては、ボールミル、ビーズミル、ジェットミルなどの粉砕機が例示できる。また、粉砕は有機溶剤を用いた湿式粉砕であってもよく、有機溶剤としては、例えば、アルコール類、ケトン類などを好適に用いることができるが、トルエン、キシレン、ナフタレン、メチルナフタレンなどの芳香族炭化水素系溶剤も用いることができる。
Si粒子の形状は、特に限定されるものではないが、負極活物質とした時の充放電性能の観点から、長軸方向の長さが70から300nmが好ましく、厚みは15から70nmが好ましい。負極活物質とした時の充放電性能の観点から、長さに対する厚みの比である、いわゆるアスペクト比が0.5以下であることが好ましい。
Si粒子の形態は、動的光散乱法で平均粒径の測定が可能であるが、透過型電子顕微鏡(TEM)や電界放出型走査電子顕微鏡(FE-SEM)の解析手段を用いることで、前記アスペクト比のサンプルをより容易かつ精密に同定することができる。本二次電池用材料を含有する負極活物質の場合は、サンプルを集束イオンビーム(FIB)で切断して断面をFE-SEM観察することができ、またはサンプルをスライス加工してTEM観察によりSi粒子の状態を同定することができる。
なお前記Si粒子のアスペクト比は、TEM画像に映る視野内のサンプルの主要部分50粒子をベースにした計算結果である。
本二次電池用材料に含まれるSiに対するOの含有比xは二次電池とした時の充放電性能と容量維持率とのバランスが優位になるという観点から、0.1≦x≦1.5が好ましく、0.1≦x≦1.0がより好ましく、0.1≦x≦0.7がさらに好ましい。
また、本二次電池用材料に含まれるSiに対するCの含有比yは二次電池とした時の充放電性能と初回クーロン効率のバランスとの観点から、0.3≦y≦8が好ましい。
充放電容量、初回クーロン効率、容量維持率のバランスの観点から、前記含有比、x、と前記含有比、y、の和、x+y、は1.2以上が好ましく、2.3以上がより好ましい。
本二次電池用材料は前記Si、O、C以外に窒素原子、N、を含んでもよい。Nは後述する本二次電池用材料の製造方法において、使用する原料、例えばフェノール樹脂、分散剤、ポリシロキサン化合物、その他の窒素化合物、および焼成プロセスで用いる窒素ガス等がその分子内に官能基としてNを含む原子団となることで、本二次電池用材料に導入することができる。本二次電池用材料はNを含むことで、負極材料とした時の充放電性能や容量維持率に優れる傾向にある。
本二次電池用材料がNを含む場合、Nの含有量は、充放電性能や容量維持率の観点から、前記Si、O、CおよびNの合計質量を100質量%として、0.1質量%以上が好ましく、0.5質量%以上がより好ましく、1質量%以上がさらに好ましい。
また、充放電性能や容量維持率の観点から5質量%以下が好ましく、3質量%以下がより好ましく、2質量%以下がさらに好ましい。
本二次電池用材料は、29Si-NMRスペクトルから得られるケミカルシフト値において、下記式を満たすのが好ましい。
0.2<A/B<5
ただし、前記式中、AはSi(0価)に帰属される-70ppmから-90ppmの範囲内のピークの面積強度、BはSiOの結合に帰属される-90ppmから-130ppmの範囲内のピークの面積強度を表す。
本二次電池用材料は、Si、O、およびCの各元素によるSiOC骨格の三次元ネットワーク構造であり炭素質相を含むマトリクスとなり、そこにSi粒子が均一に分散した構造を有しているのが好ましい。前記SiOC骨格の三次元ネットワーク構造では、Siと結合するOまたはCの原子の種類、およびそれぞれの原子との結合の数から、結合は主に3種類に分けることができる。3種類の結合を有するドメインはSiO、SiOC、およびSiOであり、これらのドメインがさらにランダムに結合したものがシリコンオキシカーバイド(SiOC)となる。なおSiOCドメインのケミカルシフト(固体NMR)は中心位置を-70ppmとして-60ppmから-80ppmの範囲内である。
本二次電池用材料において、29Si-NMRスペクトルから得られるケミカルシフト値が前記A/Bの範囲を満たすということは、二次電池用物質における0価であるSi粒子とシリコンオキシカーバイドに存在するSiOとの比率が、Si粒子が性能発現しやすい比率となっており、二次電池としたときの充放電性能、特にサイクル特性に優れる。前記A/Bは、0.8≦A/B≦2.9の範囲がより好ましく、0.9≦A/B≦2.8の範囲がさらに好ましい。
29Si-NMRスペクトルは、固体NMR装置を用いて容易に得られるものである。本明細書において固体NMR測定は、例えば日本電子株式会社JEOL製装置(JNM-ECA600)を用いて実施されるものである。前記のA/Bは、固体NMR分析装置にてチューニング10分後に、8mmプローブにてシングルパルス測定をし、得られた固体NMRスペクトルデータ(積算64回)をフーリエ変換し、これをGauss+Lorentz関数を用いて波形分離を行う。次に、波形分離にて得られたピーク面積を元に、-90ppmから-130ppmの範囲内のピークの面積強度、B、に対する-70ppmから-90ppmの範囲にあるピークの面積強度、A、の比を求めることで得られる。
本二次電池用材料の平均粒子径(D50)は、0.5μmから10μmが好ましく、2μmから8μmがより好ましい。D50が小さすぎると、比表面積の大幅な上昇につれ、二次電池とした時、充放電時にSEIの生成量が増えることで単位体積当たりの可逆充放電容量が低下することがある。D50が大きすぎると、電極膜作製時に集電体から剥離するおそれがある。D50の測定方法については前記と同じである。
また本二次電池用材料の分級前の粒径範囲は0.1μmから30μmが好ましく、微粉粒子を排除後の粒径範囲は0.5μmから30μmが好ましい。
本二次電池用材料の比表面積(BET)は、1m/gから20m/gの範囲が好ましく、3m/gから18m/gの範囲がより好ましい。比表面積(BET)が前記範囲であると、電極作製時における溶媒の吸収量を適切に保つことができ、結着性を維持するための結着剤の使用量も適切に保つことができる。なお比表面積(BET)は、窒素ガス吸着測定より求めることができ、比表面積測定装置を用いることで測定することができる。
本二次電池用材料の赤外線解析において、2000cm-1から2200cm-1におけるSi-H伸縮振動由来である吸収スペクトルが存在しないのが好ましい。2000cm-1から2200cm-1におけるSi-H伸縮振動由来である吸収スペクトルが存在しなければ、リチウムイオンを効率よく吸蔵することが出来るということであり、充放電容量の向上に繋がる。
なお、Si-H伸縮振動由来である吸収スペクトルが存在しないとは、900cm-1から1200cm-1の範囲の吸収スペクトルの吸収強度に対して2000cm-1から2200cm-1におけるSi-H伸縮振動由来である吸収スペクトルの吸収強度が0.1%以下であり、0.05%以下がより好ましい。
本二次電池用材料を負極活物質が含む場合、SiOC骨格構造とともにC元素のみで構成される炭素質相を有するマトリクスが好ましい。負極活物質が本二次電池用材料と炭素質相を有する場合、炭素質相のラマンスペクトルにおいて、炭素構造がグラファイト長周期炭素格子構造のGバンドに帰属される1590cm-1付近の散乱ピークと、乱れや欠陥のあるグラファイト短周期炭素格子構造のDバンドに帰属される1330cm-1付近の散乱ピークを有し、それらの散乱ピーク強度比I(Gバンド/Dバンド)が、0.7から2の範囲にあることが好ましい。前記散乱ピーク強度比Iは、より好ましくは0.7から1.8である。前記散乱ピーク強度比Iが前記の範囲であるということは、マトリクス中の炭素質相において以下のことが言える。
炭素質相の一部のC原子は、SiOC骨格中の一部のSi原子と結合している。この炭素質相は、充放電特性に影響を与える重要な成分である。炭素質相は主に、SiO,SiOC、およびSiOで構成されるSiOC骨格中に形成しているものである。炭素質相がSiOC骨格の一部のSi原子と結合しているためSiOC骨格内部、および表面のSi原子とフリー炭素間の電子伝達がより容易となる。このため二次電池とした時の充放電時のリチウムイオンの挿入および離脱反応が速やかに進行し、充放電特性が向上すると考えることができる。また、リチウムイオンの挿入および脱離反応によって、負極活物質は膨張および収縮することがあるが、炭素質相がその近傍に存在することで活物質全体の膨張および収縮が緩和され、容量維持率を大きく向上させる効果があると考えられる。
炭素質相は、本二次電池用材料を作成する際に前駆体であるSi含有化合物および炭素源樹脂の不活性ガス雰囲気中の熱分解に伴い形成させるのが好ましい。具体的にはSi含有化合物および炭素源樹脂の分子構造中にある炭化可能な部位が不活性化する雰囲気中で高温熱分解によって炭素成分となり、これらの一部の炭素がSiOC骨格の一部と結合する。炭化可能な成分は、炭化水素が好ましく、アルキル類、アルキレン類、アルケン類、アルキン類、芳香族類がより好ましく、その中でも芳香族類であることがさらに好ましい。
また、炭素質相としてフリー炭素が存在することにより、活物質の抵抗低減効果が期待され、二次電池負極で使用される際、負極活物質内部の反応が均一かつスムーズに起こり、充放電性能と容量維持率のバランスに優れた二次電池用材料が得られると考えられる。フリー炭素の導入はSi含有化合物由来だけでも可能であるが、炭素源樹脂を併用することにより、フリー炭素の存在量とその効果の増大が期待される。炭素源樹脂の種類は、例えば、炭素の六員環を含む炭素化合物が好ましい。
前記炭素質相の存在状態は、ラマンスペクトル以外に熱重量示差熱分析装置(TG-DTA)でも同定することが可能である。SiOC骨格中のC原子と異なり、炭素質相は、大気中で熱分解されやすく、空気存在下で測定した熱重量減少量により炭素の存在量を求めることができる。つまり炭素量は、TG-DTAを用いることで定量できる。また、前記測定からの熱重量減少挙動により、分解反応開始温度、分解反応終了温度、熱分解反応種の数、各熱分解反応種における最大重量減少量の温度などの熱分解温度挙動の変化も容易に把握できる。これら挙動の温度の値を用いて炭素の状態を判断することができる。一方、SiOC骨格中のC原子、つまり前記SiO、SiOC、およびSiOを構成するSi原子と結合している炭素原子は、非常に強い化学結合を有するために熱安定性が高く、熱分析装置測定温度範囲内では大気中で熱分解されることがないと考えられる。また、炭素質相中の炭素は、非晶質炭素と類似する特性を有しているため、大気中において約550℃から900℃の温度範囲に熱分解される。その結果、急激な重量減少が発生する。TG-DTAの測定条件の最高温度は特に限定されないが、炭素の熱分解反応を完全に終了させるために、大気中、約25℃から約1000℃以上までの条件下でTG-DTA測定を行うのが好ましい。
本二次電池用材料の真密度は1.6g/cmより高く2.4g/cm未満が好ましく、1.7g/cmより高く2.35g/cm未満がより好ましい。真密度が上記範囲であると、二次電池用材料を構成する各成分の組成比および空隙率が適切な範囲にあり、負極活物質とした時、充放電性能が発現しやすい。真密度は真密度測定装置を用いることで測定することができる。
前記本二次電池用材料を含む負極活物質が好ましい。負極活物質は前記二次電池用材料そのものでもよいし、必要に応じて他の成分を含んでもよい。
また本二次電池用材料とは異なる物質(以下、「被覆材」とも記す。)により表面が被覆された本二次電池用材料を負極活物質が含んでもよい。被覆材は、電子伝導性、リチウムイオン伝導性、電解液の分解抑制効果が期待出来る物質が好ましい。
本二次電池用材料の表面が前記被覆材により被覆されている場合、被覆層の平均厚みは10nm以上300nm以下が好ましい。前記平均厚みは、より好ましくは20nm以上200nm以下である。本二次電池用材料が前記平均厚みの被覆層を有することで、本二次電池用材料がSiナノ粒子を含む場合、本二次電池用材料の表面上に露出したSiナノ粒子を保護することができ、これにより本二次電池用材料を負極活物質として用いた場合、負極活物質の化学安定性や熱安定性が改善される。結果として得られる二次電池の充放電性能の低下をさらに抑制することができる。
また本二次電池用材料の表面が前記被覆材により被覆されている場合、負極活物質の化学安定性や熱安定性の改善の観点から、被覆材の含有量は前記二次電池用材料の全量を100質量%として、1から30質量%が好ましく、3から25質量%がより好ましい。なお本二次電池用材料の全量とは、本二次電池用材料を構成するSi、O、Cおよび前記被覆材の合計量である。本二次電池用材料がNを含む場合は、Nも含む合計量である。
前記被覆材としては、炭素、チタン、ニッケル等の電子伝導性物質が挙げられる。これらの中でも、負極活物質の化学安定性や熱安定性改善の観点から、炭素が好ましく、低結晶性炭素がより好ましい。
被覆材が低結晶性炭素の場合、被覆層の平均厚みは10nm以上300nm以下、または、低結晶性炭素の含有量は前記二次電池用材料の全量を100質量%として、1から30質量%が好ましい。
被覆材が低結晶性炭素の場合、被覆層は化学蒸着法(CVD:Chemical Vapor Deposition)で作製するのが好ましい。
低結晶性炭素で被覆した場合、本二次電池用材料の前記ラマンスペクトルの散乱ピーク強度比I(Gバンド/Dバンド)は、0.9から1.1の範囲であるのが好ましい。比表面積(BET)は3.5m/g以下、真密度は1.9g/cm以上が好ましい。
負極活物質が本二次電池用材料を含むことから、本二次電池用材料を含む負極活物質は29Si-NMRスペクトルから得られるケミカルシフト値において、下記式を満たすのが好ましい。
0.2<A/B<5
ただし、前記式中、AおよびBは前記と同じである。
負極活物質において、29Si-NMRスペクトルから得られるケミカルシフト値が前記式を満たすということは、負極活物質における0価であるSi粒子とシリコンオキシカーバイドに存在するSiOとの比率が、Si粒子が性能発現しやすい比率となっており、二次電池としたときの充放電性能、特に容量維持率に優れる。前記A/Bは、0.8≦A/B≦2.9の範囲がより好ましく、0.9≦A/B≦2.8の範囲がさらに好ましい。
本二次電池用材料を含む負極活物質のD50は、0.5μmから10μmが好ましく、2μmから8μmがより好ましい。D50が小さすぎると、比表面積の大幅な上昇につれ、二次電池とした時、充放電時にSEIの生成量が増えることで単位体積当たりの可逆充放電容量が低下することがあり、大きすぎると、電極膜作製時に集電体から剥離するおそれがある。D50の測定方法については前記と同じである。
本二次電池用材料を含む負極活物質の比表面積(BET)は、1m/gから20m/gの範囲が好ましく、3m/gから18m/gの範囲がより好ましい。比表面積(BET)が前記範囲であると、電極作製時における溶媒の吸収量を適切に保つことができ、結着性を維持するための結着剤の使用量も適切に保つことができる。なお比表面積(BET)の測定方法は前記と同じである。
本二次電池用材料を含む負極活物質の赤外線解析において、2000cm-1から2200cm-1におけるSi-H伸縮振動由来である吸収スペクトルが存在しないのが好ましい。2000cm-1から2200cm-1におけるSi-H伸縮振動由来である吸収スペクトルが存在しないとは、不可逆容量発生部位の減少に繋がるということであり、初回クーロン効率の向上に繋がる。
なお、Si-H伸縮振動由来である吸収スペクトルが存在しないとは、前記と同じである。
本発明において、負極活物質の好ましい形態として、例えば前記本二次電池用材料を含み、表面の少なくとも一部に炭素被膜を有し、真密度が1.6g/cm以上2.0g/cm以下、下記式(1)により定義される空隙率が7%以上20%以下である負極活物質(以下、「本負極活物質1」とも記す。)が挙げられる。
式2
ただし前記式(1)中、Vは空隙率(%)、ρは負極活物質内部の密度(g/cm)、ρ’は負極活物質全体の密度(g/cm)、ρ’’は炭素被膜の密度(g/cm)、Aは炭素被膜の量(質量%)をそれぞれ表す。
前記のとおり、ケイ素化合物は、高容量であるがリチウムを大量に吸蔵および放出することによって大きな体積変化が起こり、その結果、サイクル性に劣ると考えられている。この体積変化は炭素被膜だけでは十分に抑制することができないと考えられる。そこで炭素被膜とケイ素化合物の間に空隙を設け、体積膨張を空隙が緩衝し炭素被膜の破壊を抑制する方法が提案されている。しかしながら空隙が適切でなければ前記緩衝効果が十分に機能せず、活物質の割れによる表面積増加のため、SEIの生成量が増え、初期のクーロン効率が低下すると考えられる。
また空隙率と同時に負極活物質の組成を適切に制御する必要があると考えられる。
ケイ素化合物と炭素被膜の間に十分な空隙があれば前記緩衝効果が十分に機能するはずであるが、従来の空隙率の定義ではケイ素化合物と炭素被膜の間の空隙の状況を適切に反映しているとは限らないと考えられる。
本発明者らはケイ素系化合物として前記本二次電池用材料を用い、本二次電池用材料の空隙の状況を反映する空隙率と負極活物質の組成との関係を検討し、前記式(1)で定義される空隙率が本二次電池用材料と炭素被膜の間の空隙の状況を適切に反映することを見出した。さらに前記式(1)で定義される空隙率と真密度が特定の範囲にある負極活物質を二次電池に用いることで、SEIの生成が抑制され、初期のクーロン効率が改良された二次電池が得られることを見出した。
本負極活物質1は本二次電池用材料を主成分として含むのが、電気容量の観点から好ましい。なお主成分とは本負極活物質1の質量を100質量%として、本二次電池用材料の含有量が少なくとも50質量%である。
本負極活物質1は、前記本二次電池用材料の好ましい形態を含むのがより好ましい。
本負極活物質1が含む本二次電池用材料の好ましい形態とは、ケイ素元素、酸素元素および炭素元素を含むSiOCと炭素質相との複合体が挙げられる。
SiOCは前記のとおりであり、SiOCと炭素質相との複合体はケイ素-酸素-炭素骨格の三次元ネットワーク構造と炭素質相としてフリー炭素を含む構造が好ましい。ここでフリー炭素とは、前記のとおりである。
SiOC中のSiに対するOのモル比、x、は本二次電池用材料を本負極活物質1に用いた場合、充放電性能と容量維持率とのバランスが優位になるという観点から、1≦x<2が好ましく、1≦x≦1.9がより好ましく、1≦x≦1.8がさらに好ましい。
また、SiOC中のSiに対するCのモル比、y、は本二次電池用材料を本負極活物質1に用いた場合、充放電性能と初回クーロン効率のバランスとの観点から、1≦y≦20が好ましく、1.2≦y≦15がより好ましい。
前記xおよびyは前記の方法で定量でき、前記と同様、局所的な分析を行い、本負極活物質1全体の含有比を類推してもよい。局所的な分析としては、前記と同様である。
好ましい形態として、SiOCとしてケイ素-酸素-炭素骨格の三次元ネットワーク構造と前記フリー炭素の複合体である本二次電池用材料を含む本負極活物質1を用いた場合、前記と同様な理由で本負極活物質1を負極中の本負極活物質1が充放電性能発現の主要成分とする役割を果たしながら、シリコンオキシカーバイドが充放電時に本負極活物質1の表面積変化に伴うSEI生成を抑制し、リチウム二次電池の初期クーロン効率が改良される。
また前記と同様に、好ましい形態として、SiOCとしてケイ素-酸素-炭素骨格の三次元ネットワーク構造と前記フリー炭素の複合体である本二次電池用材料を含む本負極活物質1を用いた場合、SiOCがケイ素-酸素-炭素骨格の三次元ネットワーク構造とフリー炭素を含む複合体の場合、ケイ素-酸素-炭素骨格は、リチウムイオンの接近によりケイ素-酸素-炭素骨格の内部の電子分布に変動が生じ、ケイ素-酸素-炭素骨格とリチウムイオンの間に静電的な結合や配位結合などが形成される。この静電的な結合や配位結合によりリチウムイオンがケイ素-酸素-炭素骨格中に貯蔵される。一方、配位結合エネルギーは比較的低いため、リチウムイオンの脱離反応が容易に行われる。つまりケイ素-酸素-炭素骨格が充放電の際にリチウムイオンの挿入と脱離反応を可逆的に起こすことができると考えられる。
前記と同様、本負極活物質1に含まれる本二次電池用材料は、前記SiOCはケイ素、酸素、炭素以外に窒素原子、N、を含んでもよい。Nの導入の方法は前記と同じである。SiOCがNを含むことで、本負極活物質1を負極活物質とした時の充放電性能や容量維持率に優れる傾向にある。
SiOCがNを含む場合、本負極活物質1を二次電池に用いた際の充放電性能や容量維持率の観点から、Siに対するOのモル比、a、Siに対するCのモル比、b、およびSiに対するNのモル比、c、はそれぞれ、1≦a≦2、1≦b≦20、0<c≦0.5が好ましく、1≦a≦1.9、1.2≦b≦15、0<c≦0.4がより好ましい。
前記a、bおよびcは前記xおよびyと同様、元素の含有質量を測定した後、モル比(原子数比)に換算することにより求めることができる。
前記xおよびyと同様、a、bおよびcの測定は前記記載方法によって実施することが好ましいが、本負極活物質1の局所的な分析を行い、それにより得られた含有比データの測定点数を多く取得して、本負極活物質1全体の含有比を類推することでも可能である。局所的な分析としては、例えばエネルギー分散型X線分光法(SEM-EDX)や電子線プローブマイクロアナライザ(EPMA)が挙げられる。
本負極活物質1はその内部にマトリクスが存在するのが好ましい。マトリクスとしては前記本二次電池用材料を含むのが好ましく、本二次電池用材料と炭素質相を含むのがより好ましい。炭素質相としては前記フリー炭素を含むのがさらに好ましい。
またマトリクスは後述するようにシリコンオキシカーバイドと、フェノール樹脂樹脂の焼成物を含有するのが好ましい。
本負極活物質1はその表面の少なくとも一部に炭素被膜を有している。炭素被膜は前記被覆材の中でも低結晶性炭素からなる被膜が好ましい。
炭素被膜の量は、本負極活物質1の化学安定性や熱安定性の改善の観点から、本負極活物質1の質量を100質量%として、0.1質量%以上30質量%以下が好ましく、1質量%以上25質量%以下がより好ましく、5質量%以上20質量%以下がさらに好ましい。また本活物質の化学安定性や熱安定性の改善の観点から、炭素被膜の平均厚みは10nm以上300nm以下が好ましい。
本負極活物質1は炭素被膜を表面の一部に有しており、本負極活物質1の化学安定性や熱安定性の改善の観点から、本負極活物質1の表面の1%以上に有しているのが好ましく、10%以上に有しているのがより好ましい。本負極活物質1は炭素被膜をその表面に連続的に有しても断続的に有してもよい。
炭素被膜は化学気相成長法により本負極活物質1の表面に作成するのが好ましい。
本負極活物質1の真密度は1.6g/cm以上2.0g/cm以下である。真密度は得られる二次電池のエネルギー密度を向上させる観点から、1.75g/cm以上が好ましく、1.80g/cm以上がより好ましい。
また、本負極活物質1の真密度は空隙率との関係から、1.95g/cm以下が好ましく、1.90g/cm以下がより好ましい。
前記真密度は真密度測定装置を用いて測定された値である。
本負極活物質1は下記式(1)で定義される空隙率、V、が7%以上20%以下である。
式3
前記式(1)中、ρは負極活物質内部の密度(g/cm)、ρ’は負極活物質全体の密度(g/cm)、ρ’’は前記炭素被膜の密度(g/cm)である。
負極活物質全体の密度とは、前記炭素被膜を含めた負極活物質の真密度であり、活物質内部の密度とは負極活物質から前記炭素被膜を除いた粒子の真密度である。炭素被膜の密度は負極活物質が有する炭素被膜の真密度である。
前記各密度、ρ、ρ’およびρ’’はいずれも定容積膨張法による乾式密度測定により求めることができる。本負極活物質1のρは通常、2.1から2.4程度である。
炭素被膜の密度は本負極活物質1から炭素被膜を剥離し、直接、真密度を測定してもよいが、計算等により求めてもよい。例えば、炭素被膜の含有率(質量%)と本負極活物質1の密度とのプロットを数点作成し、線形近似で炭素被膜の含有率が100質量%となる点の外挿を行い、炭素被膜のみの密度を算出してもよい。
また本負極活物質1からシリコン成分を溶解し、不溶部の真密度を直接測定してもよい。
前記式(1)中、Aは炭素被膜の量であり、前期と同様、本負極活物質1の質量を100質量%とした時の質量%である。炭素被膜の量はTG-DTA、元素分析等から求めることができる。
従来、空隙率は粒子全体の空隙の割合であり、粒子内の細孔および内部空隙が含まれていた。空隙率(%)の定義は、通常、下記式で定義されている。
空隙率(%)=(1-見かけ密度/真密度)×100
前記式中、見かけ密度は内部空隙を含めた密度であり、前記式で定義される空隙率は粒子の内部空隙を除いた空隙となっている。前記のとおり、炭素被膜を有する活物質粒子の破壊を抑制するためには、炭素被膜とその内部との間隙が重要であり、その部分の空隙率を評価する必要がある。空隙率の定義は前記特許文献7および8で定義されるような空隙率も含めて様々な定義が提案されているが、従来から定義されている空隙率では密度との相関性が十分でない可能性がある。
また電子顕微鏡等により粒子断面を観察し、空隙部分を視認して空隙率を算出する方法もあるが、この方法では粒子断面積への依存性が大きく、炭素被膜とその内部との間隙を正確に求めることは困難である。
一方、前記式(1)による空隙率の定義は、前記従来の方法とは異なり、炭素被膜を有する負極活物質において、式(1)中に炭素被膜の量および密度を導入することで、炭素被膜とその内部との間隙の空隙率がより正確に評価できる。
前記空隙率、V、は、リチウムイオンの挿入による膨張の影響を抑制する観点から、9%以上が好ましく、11%以上がより好ましい。また前記空隙率、V、は、得られる二次電池のエネルギー密度を向上させる観点から、18%以下が好ましく、17%以下がより好ましい。
活物質粒子を前記真密度および空隙率、V、の範囲とするためには、例えば、炭素被膜処理を行う際のガス流量の制御、処理時間や処理温度の制御を行う。
本負極活物質1はSiナノ粒子を含むのが好ましい。Siナノ粒子とは前記のとおりである。本負極活物質1はマトリクスとして前記本二次電池用材料と前記炭素質相を含み、Siナノ粒子を含むのがより好ましく、Siナノ粒子がマトリクスに分散しているのがさらに好ましい。
本負極活物質1がSiナノ粒子を含む場合、Siナノ粒子を含む本二次電池用材料を用いてもよいし、Siナノ粒子を含まない本二次電池用材料を用い、Siナノ粒子を別途添加して本負極活物質1としてもよいし、Siナノ粒子を含む本二次電池用材料を用い、さらにSiナノ粒子を別途添加して本負極活物質1としてもよい。Siナノ粒子の分散性の観点から、Siナノ粒子を含む本二次電池用材料を用いるのが好ましい。
本負極活物質1を負極活物質とした時の充放電性能と容量維持の観点から、Siナノ粒子の体積平均粒子径は10nmから300nmが好ましく、20nmから250nmがより好ましく、30nmから200nmがさら好ましい。
体積平均粒子径については前記のとおりである。
前記Siナノ粒子の比表面積は、電気容量と初期のクーロン効率の観点から、100m/gから400m/gが好ましい。
前記比表面積はBET法により求めた値であり、測定方法は前記のとおりである。
Siナノ粒子の比表面積は、電気容量と初期のクーロン効率の観点から、100m/gから300m/gがより好ましく、100m/gから230m/gがさらに好ましい。
Siナノ粒子の形状は、粒状、針状、フレーク状のいずれでもよいが、結晶質が好ましい。Siナノ粒子が結晶質の場合、X線回折においてSi(111)に帰属される回折ピークから得られる結晶子径が5nmから14nmの範囲であれば、初期クーロン効率および容量維持率の観点から好ましい。結晶子径は12nm以下がより好ましく、さらに好ましくは10nm以下である。
本負極活物質1の形状は、粒状、針状、フレーク状のいずれでもよい。本負極活物質1を二次電池の負極活物質とした時の充放電性能の観点から、Siナノ粒子の長軸方向の長さが30nmから300nmが好ましく、厚みは1nmから60nmが好ましい。負極活物質とした時の充放電性能の観点から、長さに対する厚みの比である、いわゆるアスペクト比が0.5以下である針状またはフレーク状の形状のSiナノ粒子が好ましい。
Siナノ粒子の形態は、動的光散乱法で平均粒径の測定が可能であるが、透過型電子顕微鏡(TEM)や電界放出型走査電子顕微鏡(FE-SEM)の解析手段を用いることで、前記アスペクト比のサンプルをより容易かつ精密に同定することができる。本発明の二次電池用材料を含有する負極活物質の場合は、サンプルを集束イオンビーム(FIB)で切断して断面をFE-SEM観察することができ、またはサンプルをスライス加工してTEM観察によりSiナノ粒子の状態を同定することができる。
なお前記Siナノ粒子のアスペクト比は、TEM画像に映る視野内のサンプルの主要部分50粒子をベースにした計算結果である。
Siナノ粒子の表面近傍に酸化ケイ素を有しているのが、初期クーロン効率と容量維持率とのバランスに優れる観点から好ましい。
Siナノ粒子が酸化ケイ素を有する場合、Siナノ粒子の表面がシリコンの酸化膜である二酸化ケイ素膜で被覆されているのが好ましい。
前記Siナノ粒子は、例えば平均粒径が前記範囲となるように0価のシリコン塊を粉砕などで粒子化し得ることができる。
粉砕に用いる粉砕機としては、前記のとおりであり、粉砕は有機溶剤を用いた湿式粉砕であってもよい。有機溶剤としては、例えば、アルコール類、ケトン類などを好適に用いることができるが、トルエン、キシレン、ナフタレン、メチルナフタレンなどの芳香族炭化水素系溶剤も用いることができる。
得られたシリコン粒子を、ビーズ粒径、配合率、回転数または粉砕時間などのビーズミルの条件を制御し、分級等することでSiナノ粒子とすることができる。
本負極活物質1の内部にマトリクスが存在する場合、マトリクス中に前記Siナノ粒子が分散しているのが好ましい。マトリクス中のSiナノ粒子の数は少なくとも2以上が好ましく、上限の数については特に限定はない。
マトリクス相は前記本二次電池用材料を含むマトリクスか好ましく、マトリクス相は前記炭素質相と本二次電池用材料を含むのが好ましい。
負極活物質の平均粒径が小さすぎると、比表面積の大幅な上昇につれ、活物質を二次電池とした時、充放電時にSEIの生成量が増えることで単位体積当たりの可逆充放電容量が低下することがある。平均粒径が大きすぎると、電極膜作製時に集電体から剥離するおそれがある。
したがって本負極活物質1の体積平均粒径は2μm以上15μm以下が好ましい。本負極活物質1の体積平均粒径は2.5μm以上がより好ましく、3.0μm以上が特に好ましい。また、本負極活物質1の体積平均粒径は12μm以下がより好ましく、10μm以下が特に好ましい。体積平均粒径は前記のとおりである。
本負極活物質1の比表面積は0.3m/g以上10m/g以下が好ましい。本負極活物質1の比表面積は0.5m/g以上がより好ましく、1m/g以上が特に好ましい。また、本負極活物質1の比表面積は9m/g以下がより好ましく、8m/g以下が特に好ましい。比表面積が前記範囲であると、電極作製時における溶媒の吸収量を適切に保つことができ、結着性を維持するための結着剤の使用量も適切に保つことができる。なお前記比表面積はBET法により求めた値であり、窒素ガス吸着測定により求めることができ、例えば比表面積測定装置を用いて測定することができる。
本負極活物質1が前記マトリクスとして炭素質相と前記本二次電池用材料を有する場合、本負極活物質1のラマンスペクトルは前記本二次電池用材料と同様、グラファイト長周期炭素格子構造のGバンドに帰属される1590cm-1付近の散乱ピークと、乱れや欠陥のあるグラファイト短周期炭素格子構造のDバンドに帰属される1330cm-1付近の散乱ピークが観測される。Dバンドの散乱ピーク強度、I(Gバンド)、に対するDバンドの散乱強度、I(Dバンド)、の強度比、I(Gバンド)/I(Dバンド)、は0.7以上2以下が好ましい。前記散乱ピーク強度比、I(Gバンド)/I(Dバンド)、は0.7以上1.8以下がより好ましい。前記散乱ピーク強度比、I(Gバンド)/I(Dバンド)、が前記の範囲であるということは、マトリクス中の炭素質相において以下のことが言える。
前記のとおり、炭素質相の一部の炭素原子は、ケイ素-酸素-炭素骨格中の一部のケイ素原子と結合しており、ケイ素-酸素-炭素骨格内部、および表面のケイ素原子と炭素質相間の電子伝達がより容易となる。このため本負極活物質1を二次電池に用いた時の充放電時のリチウムイオンの挿入および離脱反応が速やかに進行し、充放電特性が向上すると考えられる。また、リチウムイオンの挿入および脱離反応によって、負極活物質は膨張および収縮することがあるが、本負極活物質1は炭素質相がその近傍に存在することで負極活物質全体の膨張および収縮が緩和され、容量維持率を大きく向上させる効果があると考えられる。
炭素質相は、本二次電池用材料を製造する際に述べたように、ケイ素含有化合物および炭素源樹脂の不活性ガス雰囲気中の熱分解に伴い形成する。具体的にはケイ素含有化合物および炭素源樹脂の分子構造中にある炭化可能な部位が不活性な雰囲気中で高温熱分解によって炭素成分となり、これらの一部の炭素がケイ素-酸素-炭素骨格の一部と結合する。炭化可能な成分は、前記と同じであり、芳香族類であることが好ましい。
また、炭素質相としてフリー炭素が存在することにより、本負極活物質1の抵抗低減効果が期待される。二次電池の負極として本負極活物質1を使用した場合、本負極活物質1内部の反応が均一かつスムーズに起こり、充放電性能と容量維持率のバランスに優れた二次電池用活物質が得られると考えられる。フリー炭素の導入はケイ素含有化合物由来だけでも可能であるが、炭素源樹脂を併用することにより、フリー炭素の存在量とその効果の増大が期待される。炭素源樹脂の種類は、特に限定されないが、炭素の六員環を含む炭素化合物が好ましい。
前記フリー炭素の存在状態は、前記と同様、TG-DTAでも同定することが可能であり、炭素量は、TG-DTAを用いることで定量できる。
本負極活物質1は前記以外に必要に応じて他の第三成分を含んでもよい。
第三成分としては、Li、K、Na、Ca、MgおよびAlからなる群から選ばれる少なくとも1種の金属のシリケート化合物(以下、「本シリケート化合物」とも記す。)が挙げられる。
シリケート化合物は一般に1個または数個のケイ素原子を中心とし、電気陰性な配位子がこれを取り囲んだ構造を持つアニオンを含む化合物であるが、本シリケート化合物はLi、K、Na、Ca、MgおよびAlからなる群から選ばれる少なくとも1種の金属と前記アニオンを含む化合物との塩である。
前記アニオンを含む化合物としてはオルトケイ酸イオン(SiO 4-)、メタケイ酸イオン(SiO 2-)、ピロケイ酸イオン(Si 6-)、環状ケイ酸イオン(Si 6-またはSi18 12-)等のケイ酸イオンが知られている。本シリケート化合物はメタケイ酸イオンとLi、K、Na、Ca、MgおよびAlからなる群から選ばれる少なくとも1種の金属との塩であるシリケート化合物が好ましい。前記金属の中ではLiまたはMgが好ましい。
本シリケート化合物はLi、K、Na、Ca、MgおよびAlからなる群から選ばれる少なくとも1種の金属を有しており、これら金属の2種以上を有していてもよい。2種以上の金属を有する場合、一つのケイ酸イオンが複数種の金属を有していてもよいし、異なる金属を有するシリケート化合物の混合物であってもよい。また本シリケート化合物はLi、K、Na、Ca、MgおよびAlからなる群から選ばれる少なくとも1種の金属を有する限り、他の金属を有してもよい。
本シリケート化合物はリチウムシリケート化合物またはマグネシウムシリケート化合物が好ましく、メタケイ酸リチウム(LiSiO)またはメタケイ酸マグネシウム(MgSiO)がより好ましく、メタケイ酸マグネシウム(MgSiO)が特に好ましい。
本シリケート化合物は、結晶状態の場合、粉末X線回折測定(XRD)で検出することができ、非晶質の場合は、固体29Si-NMR測定で確認することができる。
本発明において、負極活物質の他の好ましい形態として、例えばSiナノ粒子、炭素質相、および前記本二次電池用材料を含有し、
前記炭素質相は前記Siナノ粒子を包埋し、
前記炭素質相がXRD測定より求められる炭素002面の面間隔が0.34nmから0.37nmであり、
比表面積が0.01m/gから20m/gである負極活物質(以下、「本負極活物質2」とも記す。)が挙げられる。
本負極活物質2の前記炭素002面の面間隔は次のように測定することが出来る。すなわち、炭素質相を含む負極活物質を試料フォルダーに充填し、CuKα線を線源とし、X線回折図形を得る。X線回折図形のピーク位置は2θ値でピーク位置を求め、CuKα線の波長を0.15418nmとして、以下に記すBraggの公式により炭素相002面間隔を計算する。
d002=λ/2・sinθ
また本負極活物質2の前記比表面積は次のように測定することが出来る。すなわち、液体窒素温度の相対圧0.5以下における窒素吸着量を複数点求め、BETプロットより、吸着熱C値が正でかつ、直線性の高い範囲で比表面積を計算する。
本負極活物質2が有するSiナノ粒子および炭素質相は前記と同じであり、好ましい形態等も前記と同じである。
本負極活物質2において、炭素質相はSiナノ粒子を包埋しているとは、Siナノ粒子が炭素質相に分散した状態をいい、SEM(走査型電子顕微鏡)のEDS(エネルギー分散型X線分光法)を用いて粒子断面を観察すること、電子線プローブマイクロアナライザ(EPMA)により確認することができる。
前記のとおり、炭素質相はケイ素含有化合物および炭素源樹脂の不活性ガス雰囲気中で加熱することで形成する。ケイ素含有化合物および炭素源樹脂の分子構造中にある炭素化可能な部位が炭素成分となり、積層構造を有する炭素質相を形成するが、さらに炭素化が進むと黒鉛化が進行する。黒鉛化が進行すると炭素質相の炭素002面間隔は理想的な黒鉛の0.3354nmに近づく。
本負極活物質2は炭素質相が層状構造を有しており、XRD測定より求められる炭素002面の面間隔が0.34nmから0.37nmである。
炭素質相の炭素002面の面間隔が0.34nmから0.38nmであることで、負極活物質の電子伝導性が良好となり、充電時の体積膨張に伴うSiナノ粒子の孤立を抑制し、その結果、Siナノ粒子の電気容量ロスを低減することが可能となる。
また炭素質相が負極活物質粒子の被覆材にもなり得ることから、負極活物質粒子間の電子伝導性を向上し、充電時の膨潤による負極活物質粒子の孤立を抑制し、二次電池とした時の容量維持率が向上する。
XRD測定より求められる炭素002面の面間隔は、クーロン効率の観点から0.34nmから0.38nmが好ましく、0.345nmから0.375nmがより好ましく、0.35nmから0.37nmがさらに好ましい。
本負極活物質2が前記本負極活物質1と同様、マトリクスを含有する場合、マトリクスは後述するようにシリコンオキシカーバイドと、炭素源樹脂の焼成物を含有するのが好ましく、シリコンオキシカーバイドと、フェノール樹脂の焼成物を含有するのが好ましい。
本負極活物質2の比表面積は0.01m/gから20m/gである。電極作製時における溶媒の吸収量と結着性を維持するための結着剤の使用量の観点から、本負極活物質2の比表面積は1m/g以上が好ましく、3m/g以上がより好ましい。また、本負極活物質2の比表面積は18m/g以下が好ましく、10m/g以下がより好ましい。なお前記比表面積はBET法により求めた値であり、窒素ガス吸着測定により求めることができ、例えば比表面積測定装置を用いて測定することができる。
本負極活物質2の真密度は1.8g/cmから2.5g/cmが好ましい。真密度は得られる二次電池のエネルギー密度を向上させる観点から、1.82g/cm以上が好ましく、1.85g/cm以上がより好ましい。
また、本負極活物質2の真密度は空隙率との関係から、2.3g/cm以下が好ましく、2.1g/cm以下がより好ましい。
前記真密度は真密度測定装置を用いて測定された値であり、ヘリウムガスによって、サンプルの入った試料室を加圧した後、バルブを開けて膨張室にガスを拡散させたときに生じる圧力変化からサンプルの体積を求め、そのサンプルの体積をサンプル重量で割ることによって求めることができる。
本負極活物質2は乾燥空気流通下でのTG分析による100から700℃での質量分析減少率が10%から70%であるのが、負極活物質の構造形成の観点から好ましい。
前記質量分析減少率は前記のとおり、乾燥空気流通の条件で、100℃から700℃の条件下でTG-DTA測定を行うことで求めることができる
本負極活物質2は乾燥空気流通下でのTG分析による100から700℃での質量分析減少率が15%から65%であるのがより好ましく、20%から60%であるのがさらに好ましい。
本負極活物質1と同様、本二次電池用材料はNを含むことで、負極材料とした時の充放電性能や容量維持率に優れる傾向にある。したがって、本負極活物質2に用いる二次電池用材料もNを含むのが好ましい。
本負極活物質2がNを含む場合、Nの含有量は、充放電性能や容量維持率の観点から、本負極活物質2が含むSi、O、CおよびNの合計質量を100質量%として、0.2質量%以上が好ましく、0.3質量%以上がより好ましく、0.4質量%以上がさらに好ましい。
また、充放電性能や容量維持率の観点から2.5質量%以下が好ましく、2.3質量%以下がより好ましく、2.0質量%以下がさらに好ましい。
本負極活物質2中のSi、O、CおよびNの各質量は前記本二次電池用材料と同じ方法で求めることができる。
また本負極活物質2が含有する本二次電池用材料の含有量は、電気容量の観点から、本負極活物質2の質量を100質量%として、本二次電池用材料の含有量0.1質量%から19質量%が好ましい。本負極活物質2は本二次電池用材料以外にSiナノ粒子を含むのが好ましく、後述するように本負極活物質2が炭素被膜を有する場合は、Siナノ粒子と炭素被膜を含むのが好ましい。
なお、本負極活物質2が本二次電池用材料とSiナノ粒子を含む場合は、本負極活物質2の質量は本二次電池用材料とSiナノ粒子の合計質量である。本負極活物質2が本二次電池用材料、Siナノ粒子および炭素被膜を含む場合は、本負極活物質2の質量は本二次電池用材料、Siナノ粒子および炭素被膜の合計質量である。
本負極活物質2は前記Siナノ粒子を含むことから、本負極活物質2は29Si-NMRスペクトルから得られるケミカルシフト値において、下記式(2)を満たすのが好ましい。
0.2<A/B<5 (2)
ただし、前記式中、AはSi(0価)に帰属される-70ppmから-90ppmの範囲内のピークの面積強度、BはSiOの結合に帰属される-90ppmから-130ppmの範囲内のピークの面積強度を表す。
本負極活物質2において、29Si-NMRスペクトルから得られるケミカルシフト値が前記式(2)を満たすということは、負極活物質における0価であるSi粒子とシリコンオキシカーバイドに存在するSiOとの比率が、Si粒子が性能発現しやすい比率となっており、二次電池としたときの充放電性能、特に容量維持率に優れる。前記A/Bは、0.8≦A/B≦2.9の範囲がより好ましく、0.9≦A/B≦2.8の範囲がさらに好ましい。
本負極活物質2の形状は、粒状、針状、フレーク状のいずれでもよい。本負極活物質2の体積平均粒径は、0.5μmから10μmが好ましく、2μmから8μmがより好ましい。体積平均粒径が小さすぎると、比表面積の大幅な上昇につれ、二次電池とした時、充放電時にSEIの生成量が増えることで単位体積当たりの可逆充放電容量が低下することがあり、大きすぎると、電極膜作製時に集電体から剥離するおそれがある。体積平均粒径の測定方法については前記と同じである。
本負極活物質2は前記本二次電池用材料を含むことから、本負極活物質2の赤外線解析において、2000cm-1から2200cm-1におけるSi-H伸縮振動由来である吸収スペクトルが存在しないのが好ましい。2000cm-1から2200cm-1におけるSi-H伸縮振動由来である吸収スペクトルが存在しないとは、リチウムイオンを効率よく吸蔵することが出来るということであり、充放電容量の向上に繋がる。
なお、Si-H伸縮振動由来である吸収スペクトルが存在しないとは前記と同じく、900cm-1から1200cm-1の範囲の吸収スペクトルの吸収強度に対してSi-H伸縮振動由来である吸収スペクトルの吸収強度が0.1%以下であり、0.05%以下がより好ましい。
本負極活物質2はシリケート化合物または炭素被膜を有してもよい。
シリケート化合物および炭素被膜は前記本負極活物質1と同じであり、好ましい態様も同じである。
前記本負極活物質1および2(以下、両者を合わせて「本負極活物質」と記す。)は、充放電容量、初期効率および容量維持率に優れていることから、本負極活物質を含む電池負極として用いた二次電池は、良好な充放電特性を発揮する。
具体的には、本負極活物質と有機結着剤と、必要に応じてその他の導電助剤などの成分を含んで構成されるスラリーを集電体銅箔上へ薄膜のようにして負極として用いることができる。また、前記のスラリーに黒鉛など炭素材料を加えて負極を作製することもできる。
炭素材料としては、天然黒鉛、人工黒鉛、ハードカーボンまたはソフトカーボンのような非晶質炭素などが挙げられる。
前記により得られる負極は、本負極活物質を含むことから、高容量かつ優れた容量維持率を有し、さらに、優れた初回クーロン効率をも兼備する二次電池用負極となる。該負極は、例えば、本発明の二次電池用負極活物質と、有機結着材であるバインダーとを、溶媒とともに撹拌機、ボールミル、スーパーサンドミル、加圧ニーダ等の分散装置により混練して、負極材スラリーを調製し、これを集電体に塗布して負極層を形成することで得ることができる。また、ペースト状の負極材スラリーをシート状、ペレット状等の形状に成形し、これを集電体と一体化することでも得ることができる。
前記有機結着剤としては、例えば、スチレン-ブタジエンゴム共重合体(SBR);メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロニトリル、およびヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等のエチレン性不飽和カルボン酸エステル、および、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、フマル酸、マレイン酸等のエチレン性不飽和カルボン酸からなる(メタ)アクリル共重合体等の不飽和カルボン酸共重合体;ポリ弗化ビニリデン、ポリエチレンオキサイド、ポリエピクロヒドリン、ポリホスファゼン、ポリアクリロニトリル、ポリイミド、ポリアミドイミド、カルボキシメチルセルロース(CMC)などの高分子化合物が挙げられる。
これらの有機結着剤は、それぞれの物性によって、水に分散、あるいは溶解したもの、また、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)などの有機溶剤に溶解したものがある。リチウムイオン二次電池負極の負極層中の有機結着剤の含有比率は、1質量%から30質量%であることが好ましく、2質量%から20質量%であることがより好ましく、3質量%から15質量%であることがさらに好ましい。
有機結着剤の含有比率が1質量%以上であることで密着性がより良好で、充放電時の膨張・収縮によって負極構造の破壊がより抑制される。一方、30質量%以下であることで、電極抵抗の上昇がより抑えられる。
かかる範囲において、本発明の負極活物質は、化学安定性が高く、水性バインダーも採用することができる点で、実用化面においても取り扱い容易である。
また、前記負極材スラリーには、必要に応じて、導電助材を混合してもよい。導電助材としては、例えば、カーボンブラック、グラファイト、アセチレンブラック、あるいは導電性を示す酸化物や窒化物等が挙げられる。導電助剤の使用量は、本発明の負極活物質に対して1質量%から15質量%程度とすればよい。
また前記集電体の材質および形状については、例えば、銅、ニッケル、チタン、ステンレス鋼等を、箔状、穴開け箔状、メッシュ状等にした帯状のものを用いればよい。また、多孔性材料、たとえばポーラスメタル(発泡メタル)やカーボンペーパーなども使用できる。
前記負極材スラリーを集電体に塗布する方法としては、例えば、メタルマスク印刷法、静電塗装法、ディップコート法、スプレーコート法、ロールコート法、ドクターブレード法、グラビアコート法、スクリーン印刷法などが挙げられる。塗布後は、必要に応じて平板プレス、カレンダーロール等による圧延処理を行うことが好ましい。
また、負極材スラリーをシート状またはペレット状等として、これと集電体との一体化は、例えば、ロール、プレス、もしくはこれらの組み合わせ等により行うことができる。
前記集電体上に形成された負極層および集電体と一体化した負極層は、用いた有機結着剤に応じて熱処理することが好ましい。例えば、水系のスチレン-ブタジエンゴム共重合体(SBR)などを用いた場合には100から130℃で熱処理すればよく、ポリイミド、ポリアミドイミドを主骨格とした有機結着剤を用いた場合には150から450℃で熱処理することが好ましい。
この熱処理により溶媒の除去、バインダーの硬化による高強度化が進み、粒子間および粒子と集電体間の密着性が向上できる。尚、これらの熱処理は、処理中の集電体の酸化を防ぐため、ヘリウム、アルゴン、窒素等の不活性雰囲気、真空雰囲気で行うことが好ましい。
また、熱処理した後に、負極はプレス(加圧処理)しておくことが好ましい。本発明の負極活物質を用いた負極では、電極密度が1g/cmから1.8g/cmであることが好ましく、1.1g/cmから1.7g/cmであることがより好ましく、1.2g/cmから1.6g/cmであることがさらに好ましい。電極密度については、高いほど密着性および電極の体積容量密度が向上する傾向があるが、密度が高すぎると、電極中の空隙が減少することで珪素など体積膨張の抑制効果が弱くなり、容量維持率が低下するため、最適な範囲を選択する。
本負極活物質を含む負極は、充放電特性に優れるため、二次電池に好適に用いられる。かかる負極を有する二次電池としては、非水電解質二次電池と固体型電解質二次電池が好ましく、特に非水電解質二次電池の負極として用いた際に優れた性能を発揮するものである。
本負極活物質を含む二次電池は、例えば、湿式電解質二次電池に用いる場合、正極と、本発明の負極活物質を含む負極とを、セパレータを介して対向して配置し、電解液を注入することにより構成することができる。
正極は、負極と同様にして、集電体表面上に正極層を形成することで得ることができる。この場合の集電体はアルミニウム、チタン、ステンレス鋼等の金属や合金を、箔状、穴開け箔状、メッシュ状等にした帯状のものを用いることができる。
正極層に用いる正極材料としては、特に制限されない。非水電解質二次電池の中でも、リチウムイオン二次電池を作製する場合には、例えば、リチウムイオンをドーピングまたはインターカレーション可能な金属化合物、金属酸化物、金属硫化物、または導電性高分子材料を用いればよい。例えば、コバルト酸リチウム(LiCoO)、ニッケル酸リチウム(LiNiO)、マンガン酸リチウム(LiMnO)、およびこれらの複合酸化物(LiCoxNiyMnzO、x+y+z=1)、リチウムマンガンスピネル(LiMn)、リチウムバナジウム化合物、V、V13、VO、MnO、TiO、MoV、TiS、V、VS、MoS、MoS、Cr、Cr、オリビン型LiMPO(M:Co、Ni、Mn、Fe)、ポリアセチレン、ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリアセン等の導電性ポリマー、多孔質炭素等などを単独或いは混合して使用することができる。
セパレータとしては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィンを主成分とした不織布、クロス、微孔フィルムまたはそれらを組み合わせたものを使用することができる。なお、作製する非水電解質二次電池の正極と負極が直接接触しない構造にした場合は、セパレータを使用する必要はない。
電解液としては、例えば、LiClO、LiPF、LiAsF、LiBF、LiSOCF等のリチウム塩を、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ビニレンカーボネート、フルオロエチレンカーボネート、シクロペンタノン、スルホラン、3-メチルスルホラン、2,4-ジメチルスルホラン、3-メチル-1,3-オキサゾリジン-2-オン、γ-ブチロラクトン、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、メチルプロピルカーボネート、ブチルメチルカーボネート、エチルプロピルカーボネート、ブチルエチルカーボネート、ジプロピルカーボネート、1,2-ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、2-メチルテトラヒドロフラン、1,3-ジオキソラン、酢酸メチル、酢酸エチル等の単体もしくは2成分以上の混合物の非水系溶剤に溶解した、いわゆる有機電解液を使用することができる。
本負極活物質を含む二次電池の構造は、特に限定されないが、通常、正極および負極と、必要に応じて設けられるセパレータとを、扁平渦巻状に巻回して巻回式極板群としたり、これらを平板状として積層して積層式極板群としたりし、これら極板群を外装体中に封入した構造とするのが一般的である。尚、本発明の実施例で用いるハーフセルは、負極に本二次電池用材料を主体とする構成とし、対極に金属リチウムを用いた簡易評価を行っているが、これはより活物質自体のサイクル特性を明確に比較するためである。黒鉛系活物質(容量約340mAh/g前後)を主体とした合剤に本負極活物質を少量添加し、負極容量を既存の負極容量を大きく上回る400から700mAh/g程度にし、サイクル特性を向上させることが可能である。
本負極活物質を含む二次電池は、特に限定されないが、ペーパー型電池、ボタン型電池、コイン型電池、積層型電池、円筒型電池、角型電池などとして使用される。前記の本負極活物質は、リチウムイオンを挿入脱離することを充放電機構とする電気化学装置全般、例えば、ハイブリッドキャパシタ、固体リチウム二次電池などにも適用することが可能である。
前記本二次電池用材料は、例えば、下記工程1から3を含む方法で製造できる。なお下記工程は、Si含有化合物としてポリシロキサン化合物を使用し、Siナノ粒子を含む場合の方法を例示しているが、この方法に限定されるものではない。例えばSi含有化合物として、市販のシランカップリング剤やテトラアルコキシシラン類などのシラン化合物を用いてもよい。
工程1: 湿式法粉砕したSi(0価)スラリーを、ポリシロキサン化合物と炭素源樹脂を含む集合体と混合させ、撹拌・乾燥して前駆体を得る。
工程2: 前記工程1で得られた前駆体を不活性雰囲気中、最高到達温度1000℃から1180℃の温度範囲内で焼成して焼成物を得る。
工程3: 前記工程2で得られた焼成物を粉砕して二次電池用材料を得る。
以下、各工程について説明する。
<工程1>
(Si(0価)スラリー)
工程1で用いる湿式法粉砕したSi(0価)スラリーの調製は、有機溶媒を用いシリコン粒子を湿式粉末粉砕装置にて粉砕しながら行うことができる。有機溶媒においてシリコン粒子の粉砕を促進させるために分散剤を使っても良い。湿式粉砕装置としては、特に限定されるものでなく、ローラーミル、高速回転粉砕機、容器駆動型ミル、ビーズミルなどが挙げられる。
湿式粉砕ではシリコン粒子がSiナノ粒子となるまで分散するのが好ましい。
湿式法で用いる有機溶媒は、シリコンと化学反応しない有機溶媒である。例えば、ケトン類のアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトン;アルコール類のエタノール、メタノール、ノルマルプロピルアルコール、イソプロピルアルコール;芳香族のベンゼン、トルエン、キシレンなどが挙げられる。
上記分散剤の種類は、水系や非水系の分散剤を用いることができる。シリコン粒子の表面に対する過剰酸化を抑制するため、非水系分散剤の使用が好ましい。非水系分散剤の種類は、ポリエーテル系、ポリアルキレンポリアミン系、ポリカルボン酸部分アルキルエステル系などの高分子型、多価アルコールエステル系、アルキルポリアミン系などの低分子型、ポリリン酸塩系などの無機型が例示される。Si(0価)スラリーにおける珪素の濃度は特に限定されないが、前記溶媒および、必要に応じて分散剤を含む場合は分散剤とSi粒子の合計量を100質量%として、Si粒子の量は5質量%から40質量%の範囲が好ましく、10質量%から30質量%がより好ましい。
(ポリシロキサン化合物)
工程1で用いるポリシロキサン化合物としては、ポリカルボシラン構造、ポリシラザン構造、ポリシラン構造およびポリシロキサン構造を少なくとも1つ含む樹脂である。これらの構造のみを含む樹脂であっても良く、これら構造の少なくとも一つをセグメントとして有し、他の重合体セグメントと化学的に結合した複合型樹脂でも良い。複合化の形態はグラフト共重合、ブロック共重合、ランダム共重合、交互共重合などがある。例えば、ポリシロキサンセグメントと重合体セグメントの側鎖に化学的に結合したグラフト構造を有する複合樹脂があり、重合体セグメントの末端にポリシロキサンセグメントが化学的に結合したブロック構造を有する複合樹脂等が挙げられる。
ポリシロキサンセグメントが、下記一般式(S-1)および/または下記一般式(S-2)で表される構造単位を有するものが好ましい。なかでもポリシロキサン化合物が、シロキサン結合(Si-O-Si)主骨格の側鎖または末端に、カルボキシ基、エポキシ基、アミノ基、またはポリエーテル基を有することがより好ましい。
(前記一般式(S-1)および(S-2)中、Rは芳香族炭化水素置換基またはアルキル基、エポキシ基、カルボキシ基などを表す。RおよびRは、それぞれアルキル基、シクロアルキル基、アリール基またはアラルキル基、エポキシ基、カルボキシ基などを示す。)
アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert-ペンチル基、1-メチルブチル基、2-メチルブチル基、1,2-ジメチルプロピル基、1-エチルプロピル基、ヘキシル基、イソヘシル基、1-メチルペンチル基、2-メチルペンチル基、3-メチルペンチル基、1,1-ジメチルブチル基、1,2-ジメチルブチル基、2,2-ジメチルブチル基、1-エチルブチル基、1,1,2-トリメチルプロピル基、1,2,2-トリメチルプロピル基、1-エチル-2-メチルプロピル基、1-エチル-1-メチルプロピル基等が挙げられる。前記のシクロアルキル基としては、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。
アリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基、2-メチルフェニル基、3-メチルフェニル基、4-メチルフェニル基、4-ビニルフェニル基、3-イソプロピルフェニル基等が挙げられる。
アラルキル基としては、例えば、ベンジル基、ジフェニルメチル基、ナフチルメチル基等が挙げられる。
ポリシロキサン化合物が有するポリシロキサンセグメント以外の重合体セグメントとしては、例えば、アクリル重合体、フルオロオレフィン重合体、ビニルエステル重合体、芳香族系ビニル重合体、ポリオレフィン重合体等のビニル重合体セグメントや、ポリウレタン重合体セグメント、ポリエステル重合体セグメント、ポリエーテル重合体セグメント等の重合体セグメント等が挙げられる。中でも、ビニル重合体セグメントが好ましい。
ポリシロキサン化合物が、ポリシロキサンセグメントと重合体セグメントとが下記の構造式(S-3)で示される構造で結合した複合樹脂でもよく、三次元網目状のポリシロキサン構造を有してもよい。
(式中、炭素原子は重合体セグメントを構成する炭素原子であり、2個の珪素原子はポリシロキサンセグメントを構成する珪素原子である)
ポリシロキサン化合物が有するポリシロキサンセグメントは、該ポリシロキサンセグメント中に重合性二重結合など加熱により反応が可能な官能基を有していてもよい。熱分解前にポリシロキサン化合物を加熱処理することにより、架橋反応が進行し、固体状とすることにより、熱分解処理を容易に行うことができる。
重合性二重結合としては、例えば、ビニル基や(メタ)アクリロイル基等が挙げられる。重合性二重結合は、ポリシロキサンセグメント中に2つ以上存在することが好ましく3から200個存在することがより好ましく、3から50個存在することが更に好ましい。また、ポリシロキサン化合物として重合性二重結合が2個以上存在する複合樹脂を使用することによって、架橋反応が容易に進行させることができる。
ポリシロキサンセグメントは、シラノール基および/または加水分解性シリル基を有してもよい。加水分解性シリル基中の加水分解性基としては、例えば、ハロゲン原子、アルコキシ基、置換アルコキシ基、アシロキシ基、フェノキシ基、メルカプト基、アミノ基、アミド基、アミノオキシ基、イミノオキシ基、アルケニルオキシ基等が挙げられ、これらの基が加水分解されることにより加水分解性シリル基はシラノール基となる。前記熱硬化反応と並行して、シラノール基中の水酸基や加水分解性シリル基中の前記加水分解性基の間で加水分解縮合反応が進行することで、固体状のポリシロキサン化合物を得ることができる。
本発明で言うシラノール基とは珪素原子に直接結合した水酸基を有する珪素含有基である。本発明で言う加水分解性シリル基とは珪素原子に直接結合した加水分解性基を有する珪素含有基であり、具体的には、例えば、下記の一般式(S-4)で表される基が挙げられる。
(式中、Rはアルキル基、アリール基またはアラルキル基等の1価の有機基を、Rはハロゲン原子、アルコキシ基、アシロキシ基、アリルオキシ基、メルカプト基、アミノ基、アミド基、アミノオキシ基、イミノオキシ基またはアルケニルオキシ基である。またbは0から2の整数である。)
アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert-ペンチル基、1-メチルブチル基、2-メチルブチル基、1,2-ジメチルプロピル基、1-エチルプロピル基、ヘキシル基、イソヘシル基、1-メチルペンチル基、2-メチルペンチル基、3-メチルペンチル基、1,1-ジメチルブチル基、1,2-ジメチルブチル基、2,2-ジメチルブチル基、1-エチルブチル基、1,1,2-トリメチルプロピル基、1,2,2-トリメチルプロピル基、1-エチル-2-メチルプロピル基、1-エチル-1-メチルプロピル基等が挙げられる。
アリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基、2-メチルフェニル基、3-メチルフェニル基、4-メチルフェニル基、4-ビニルフェニル基、3-イソプロピルフェニル基等が挙げられる。
アラルキル基としては、例えば、ベンジル基、ジフェニルメチル基、ナフチルメチル基等が挙げられる。
ハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられる。
アルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、第二ブトキシ基、第三ブトキシ基等が挙げられる。
アシロキシ基としては、例えば、ホルミルオキシ、アセトキシ、プロパノイルオキシ、ブタノイルオキシ、ピバロイルオキシ、ペンタノイルオキシ、フェニルアセトキシ、アセトアセトキシ、ベンゾイルオキシ、ナフトイルオキシ等が挙げられる。
アリルオキシ基としては、例えば、フェニルオキシ、ナフチルオキシ等が挙げられる。
アルケニルオキシ基としては、例えば、ビニルオキシ基、アリルオキシ基、1-プロペニルオキシ基、イソプロペニルオキシ基、2-ブテニルオキシ基、3-ブテニルオキシ基、2-ペテニルオキシ基、3-メチル-3-ブテニルオキシ基、2-ヘキセニルオキシ基等が挙げられる。
上記一般式(S-1)および/または上記一般式(S-2)で示される構造単位を有するポリシロキサンセグメントとしては、例えば以下の構造を有するもの等が挙げられる。
重合体セグメントは、本発明の効果を阻害しない範囲で、必要に応じて各種官能基を有していても良い。かかる官能基としては、例えばカルボキシル基、ブロックされたカルボキシル基、カルボン酸無水基、3級アミノ基、水酸基、ブロックされた水酸基、シクロカーボネート基、エポキシ基、カルボニル基、1級アミド基、2級アミド、カーバメート基、下記の構造式(S-5)で表される官能基等を使用することができる。
また、前記重合体セグメントは、ビニル基、(メタ)アクリロイル基等の重合性二重結合を有していてもよい。
上記ポリシロキサン化合物は、例えば、下記(1)から(3)に示す方法で製造することが好ましい。
(1)前記重合体セグメントの原料として、シラノール基および/または加水分解性シリル基を含有する重合体セグメントを予め調製しておき、この重合体セグメントと、シラノール基および/または加水分解性シリル基、並びに重合性二重結合を併有するシラン化合物を含有するシラン化合物とを混合し、加水分解縮合反応を行う方法。
(2)前記重合体セグメントの原料として、シラノール基および/または加水分解性シリル基を含有する重合体セグメントを予め調製する。また、シラノール基および/または加水分解性シリル基、並びに重合性二重結合を併有するシラン化合物を含有するシラン化合物を加水分解縮合反応してポリシロキサンも予め調製しておく。そして、重合体セグメントとポリシロキサンとを混合し、加水分解縮合反応を行う方法。
(3)前記重合体セグメントと、シラノール基および/または加水分解性シリル基、並びに重合性二重結合を併有するシラン化合物を含有するシラン化合物と、ポリシロキサンとを混合し、加水分解縮合反応を行う方法。
上述方法によりポリシロキサン化合物が得られる。
ポリシロキサン化合物としては、例えば、セラネート(登録商標)シリーズ(有機・無機ハイブリッド型コーティング樹脂;DIC株式会社製)やコンポセランSQシリーズ(シルセスキオキサン型ハイブリッド;荒川化学工業株式会社製)が挙げられる。
(炭素源樹脂)
前記工程1で用いる炭素源樹脂は、前駆体作製時にポリシロキサン化合物との混和性が良く、また、不活性雰囲気中・高温焼成により炭化され、芳香族官能基を有する合成樹脂類や天然化学原料を用いることが好ましい。
合成樹脂類としては、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸などの熱可塑性樹脂、フェノール樹脂、フラン樹脂などの熱硬化性樹脂が挙げられる。天然化学原料としては、重質油、特にはタールピッチ類としては、コールタール、タール軽油、タール中油、タール重油、ナフタリン油、アントラセン油、コールタールピッチ、ピッチ油、メソフェーズピッチ、酸素架橋石油ピッチ、ヘビーオイルなどが挙げられるが、安価入手や不純物排除の観点からフェノール樹脂の使用がより好ましい。
特に、本発明の工程1においては、炭素源樹脂が、芳香族炭化水素部位を含む樹脂であることが好ましく、上記の芳香族炭化水素部位を含む樹脂が、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、または熱硬化性樹脂であることが好ましく、フェノール樹脂はレゾール型が好ましい。
フェノール樹脂としては、例えばスミライトレジンシリーズ(レゾール型フェノール樹脂,住友ベークライト株式会社製)が挙げられる。
(前駆体)
前記ポリシロキサン化合物と前記炭素源樹脂を含む集合体と前記Siスラリーとを均一に混合させ、攪拌した後、脱溶媒と乾燥を経て二次電池用材料前駆体(以下、「前駆体」とも記す。)が得られる。ポリシロキサン化合物と炭素源樹脂を含む集合体は、ポリシロキサン化合物と炭素源樹脂とが均一に混合した状態であることが好ましい。前記混合は分散・混合の機能を有する装置を用いて行われる。例えば、攪拌機、超音波ミキサー、プリミックス分散機などが挙げられる。有機溶媒を溜去することを目的とする脱溶剤と乾燥の作業では、乾燥機、減圧乾燥機、噴霧乾燥機などを用いることができる。
前駆体は、Si(0価)であるシリコン粒子を3質量%から50質量%、ポリシロキサン化合物の固形分を15質量%から85質量%、炭素源樹脂の固形分を3質量%から70質量%含有するのが好ましく、シリコン粒子の固形分含有量を8質量%から40質量%、ポリシロキサン化合物の固形分を20から70質量%、炭素源樹脂の固形分を3質量%から60質量%含有するのがより好ましい。
また前駆体は炭素源樹脂としてフェノール樹脂を含むのが好ましく、シリコンオキシカーバイドとフェノール樹脂を含有する前駆体が好ましい。
<工程2>
工程2は、上記工程1で得られた前駆体を不活性雰囲気中、最高到達温度1000℃から1180℃の温度範囲内で焼成することで、熱分解可能な有機成分を完全分解させ、その他の主成分を焼成条件の精密制御により本発明の二次電池用材料に適した焼成物とする工程である。具体的にいうと、原料のポリシロキサン化合物および炭素源樹脂が高温処理のエネルギーによってSiOC骨格とフリー炭素に転化される。すなわち、焼成によりシリコンオキシカーバイドと、炭素源樹脂の焼成物を含有するマトリクスが得られる。ここでいう焼成物とは、炭素源樹脂などの有機化合物が高温で分解や転化されることにより、その組成や構造の一部または全部が変化したものであり、ポリシロキサン化合物などの炭素含有基を持つ無機化合物と共に焼成することによって得られるものを含む。
炭素源樹脂の焼成物は前記炭素源樹脂の全てが炭素に転化されていてもよいし、一部が炭素に転化され残りは前記炭素源樹脂の構造を維持していてもよい。得られるマトリクスはシリコンオキシカーバイドと、フェノール樹脂の焼成物を含有するのが好ましい。フェノール樹脂の焼成物はフェノール樹脂の焼成物はフェノール樹脂の全てが炭素に転化されていてもよいし、フェノール樹脂の一部が炭素に転化され残りはフェノール樹脂の構造を維持していてもよい。
工程2では、上記工程1で得られた前駆体を不活性雰囲気下、昇温速度、一定温度での保持時間等により規定される焼成のプログラムに沿って焼成する。最高到達温度は、設定する最高温度であり、焼成物である二次電池用材料の構造や性能に強く影響を与えるものである。本発明では最高到達温度が1000℃から1180℃であることにより、前記SiとCの化学結合状態を保有する二次電池用材料の微細構造が精密に制御でき、過高温焼成でのシリコン粒子の酸化も回避できることでより優れた充放電特性が得られる。
焼成方法は、特に限定されないが、不活性雰囲気中にて加熱機能を有する反応装置を用いればよく、連続法、回分法での処理が可能である。焼成用装置については、流動層反応炉、回転炉、竪型移動層反応炉、トンネル炉、バッチ炉、ロータリーキルン等をその目的に応じ適宜選択することができる。
<工程3>
工程3は、上記工程2で得られた焼成物を粉砕し、必要に応じて分級することで本発明の二次電池用材料を得る工程である。粉砕は、目的とする粒径まで一段で行っても良いし、数段に分けて行っても良い。例えば焼成物が10mm以上の塊または凝集粒子となっていて、10μmの活物質を作製する場合はジョークラッシャー、ロールクラッシャー等で粗粉砕を行い1mm程度の粒子にした後、グローミル、ボールミル等で100μmとし、ビーズミル、ジェットミル等で10μmまで粉砕する。粉砕で作製した粒子には粗大粒子が含まれる場合がありそれを取り除くため、また、微粉を取り除いて粒度分布を調整する場合は分級を行う。使用する分級機は風力分級機、湿式分級機等目的に応じて使い分けるが、粗大粒子を取り除く場合、篩を通す分級方式が確実に目的を達成できるために好ましい。尚、焼成前に前駆体混合物を噴霧乾燥等により目標粒子径付近の形状に制御し、その形状で本焼成を行った場合は、もちろん粉砕工程を省くことも可能である。
前記製造工程において、炭素被覆処理を行う際のガス流量の制御、処理時間や処理温度の条件の最適化を行うことで、本負極活物質1の真密度、および前記式(1)で定義される空隙率を前記範囲とすることができる。例えば、ガス流量および処理時間を大きくすることで、被覆する炭素量を増やすことができ、前記式(1)で定義される空隙率を調整することができる。また処理温度を高くすることで、真密度を高くすることができる。
また前記製造工程において、炭素源樹脂およびSiナノ粒子とポリシロキサン化合物との配合や混合方法を工夫し、さらに焼成温度を制御することで、本負極活物質2の炭素質相がXRD測定により求められる炭素002面の面間隔および比表面積を前記範囲とすることができる。例えば、炭素源樹脂に対してポリシロキサン化合物を配合して加熱処理をすると、シリコンオキシカーバイドが炭素構造の配向を阻害して、炭素002面の面間隔が広がる。また、焼成温度を高くすると炭素化反応が進み、炭素002面の面間隔が狭くなる。
本負極活物質がLi、K、Na、Ca、MgおよびAlからなる群から選ばれる少なくとも1種の金属のシリケート化合物を有する場合、Siナノ粒子のスラリーをポリシロキサン化合物と炭素源樹脂との混合物と混合して得られた懸濁液に、Li、K、Na、Ca、MgおよびAlからなる群から選ばれる少なくとも1種の金属の塩を添加し、その後は前記と同じ操作で、前記シリケート化合物を有する本活物質が得られる。
Li、K、Na、Ca、MgおよびAlからなる群から選ばれる少なくとも1種の金属の塩としては、これら金属のフッ化物、塩化物、臭化物等のハロゲン化物、水酸化物、炭酸塩等が挙げられる。
前記金属の塩は2種以上の金属の塩でもよく、一つの塩が複数種の金属を有していてもよいし、異なる金属を有する塩の混合物であってもよい。
前記金属の塩を懸濁液に添加する際の金属の塩の添加量は、Siナノ粒子のモル数に対してモル比で0.01から0.4までが好ましい。
前記金属の塩が有機溶媒に可溶の場合、前記金属の塩を有機溶媒に溶かして前記ポリシロキサン化合物と炭素源樹脂との混合物の懸濁液または、Siナノ粒子を本活物質粒子が含む場合はSiナノ粒子の懸濁液に加えて混合すればよい。前記金属の塩が有機溶媒に不溶の場合、金属の塩の粒子を有機溶媒に分散してからポリシロキサン化合物と炭素源樹脂との混合物の懸濁液または、Siナノ粒子を本活物質粒子が含む場合はSiナノ粒子の懸濁液に加えて混合すればよい。前記金属の塩は、分散効果向上の観点から平均粒径が100nm以下のナノ粒子が好ましい。前記有機溶媒は、アルコール類、ケトン類などを好適に用いることができるが、トルエン、キシレン、ナフタレン、メチルナフタレンなどの芳香族炭化水素系溶剤も用いることができる。
本負極活物質が前記炭素被膜を有する場合、前記方法にて得られた焼成物の少なくとも一部の表面を炭素被膜で被覆することで炭素被膜を有する本負極活物質が得られる。炭素被膜は化学気相蒸着装置内で、熱分解性炭素源ガスとキャリア不活性ガスフローの中、700℃から1000℃の温度範囲にて得られる非晶質炭素被膜が好ましい。
熱分解性炭素源ガスはアセチレン、エチレン、アセトン、アルコール、プロパン、メタン、エタンなどが挙げられる。
不活性ガスとしては、窒素、ヘリウム、アルゴン等が挙げられ、通常、窒素が用いられる。
前記のとおり、本発明の二次電池用材料を負極活物質とした時、充放電容量、初期効率および容量維持率が全体的に高く、またこれら特性のバランスに優れた二次電池を与える負極活物質および該負極活物質に用いられる二次電池用材料が提供される。
前記の方法により得られた二次電池用材料を負極活物質として好適に用いることができる。得られる負極活物質は前記方法により負極として用い、前記負極を有する二次電池とすることができる。
特に前記本負極活物質1および2は充放電容量、初期効率および容量維持率が全体的に高く、またこれら特性のバランスに優れた二次電池を与える観点から好ましい。
以上、本二次電池用材料、本二次電池用材料を有する本負極活物質1および本負極活物質2、本負極活物質を有する二次電池に関して説明したが、本発明は前記の実施形態の構成に限定されない。
本二次電池用材料、本二次電池用材料を有する本負極活物質1および本負極活物質2、本負極活物質を有する二次電池は前記実施形態の構成において、他の任意の構成を追加してもよいし、同様の機能を発揮する任意の構成と置換されていてもよい。
また前記本二次電池用材料の製造方法は、前記実施形態の構成において、他の任意の工程を追加で有してもよいし、同様の作用を生じる任意の工程と置換されていてもよい。
なお以下実施例の記載においては、Siは「シリコン」と同一物質を表している。
以下、実施例によって本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されない。
尚、本発明の実施例で用いるハーフセルは、負極に本二次電池用材料である珪素含有活物質を主体とする構成とし、対極に金属リチウムを用いた簡易評価を行っているが、これはより活物質自体のサイクル特性を明確に比較するためである。かかる構成とすることで、容量約340mAh/g前後の黒鉛系活物質を主体とした合剤に本二次電池用材料を少量添加することで、既存の負極容量を大きく上回る400から700mAh/g程度の負極容量に抑えながら、サイクル特性を向上させることが可能である。
「ポリシロキサン化合物の作製」
(合成例1:メチルトリメトキシシランの縮合物(a1)の合成)
攪拌機、温度計、滴下ロート、冷却管および窒素ガス導入口を備えた反応容器に、1,421質量部のメチルトリメトキシシラン(以下、「MTMS」とも記す。)を投入し、60℃まで昇温した。次いで、前記反応容器中に0.17質量部のiso-プロピルアシッドホスフェート(SC有機化学株式会社製「Phoslex A-3」)と207質量部の脱イオン水との混合物を5分間で滴下した後、80℃の温度で4時間撹拌して加水分解縮合反応させた。
前記の加水分解縮合反応によって得られた縮合物を、温度40から60℃でメタノールの留去開始時の減圧条件が40kPa、最終的に1.3kPaとなるまで減圧下で蒸留して、上記反応過程で生成したメタノールおよび水を除去することによって、数平均分子量1,000のMTMSの縮合物(a1)を含有する1,000質量部、有効成分70質量%の液を得た。なお、前記有効成分とは、MTMS等のシランモノマーのメトキシ基が全て縮合反応した場合の理論収量(質量部)を、縮合反応後の実収量(質量部)で除した値により算出したものである。これは下記式、
有効成分=シランモノマーのメトキシ基が全て縮合反応した場合の理論収量(質量部)/縮合反応後の実収量(質量部)
で表される。
(合成例2:硬化性樹脂組成物(1)の製造)
撹拌機、温度計、滴下ロート、冷却管および窒素ガス導入口を備えた反応容器に、150質量部のノルマルブタノール(以下、「n-BuOH」とも記す。)、105質量部のフェニルトリメトキシシラン(以下、「PTMS」とも記す。)、277質量部のジメチルジメトキシシラン(以下、「DMDMS」とも記す。)を投入し80℃まで昇温した。
同温度で21質量部のメチルメタアクリレート(以下、「MMA」とも記す。)、4質量部のブチルメタアクリレート(以下、「BMA」とも記す。)、3質量部の酪酸(以下、「BA」とも記す。)、2質量部のメタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン(以下、「MPTS」とも記す。)、3質量部のn-BuOHおよび0.6質量部のブチルペルオキシ-2-エチルヘキサノエート(以下、「TBPEH」とも記す。)を含有する混合物を、前記反応容器中へ6時間で滴下し、滴下終了後、更に同温度で20時間反応させて加水分解性シリル基を有する数平均分子量が10,000のビニル重合体(a2-1)の有機溶剤溶液を得た。
次いで、0.04質量部のPhoslex A-3と112質量部の脱イオン水との混合物を、5分間で滴下し、更に同温度で10時間撹拌して加水分解縮合反応させることで、ビニル重合体(a2-1)の有する加水分解性シリル基と、前記PTMSおよびDMDMS由来のポリシロキサンの有する加水分解性シリル基およびシラノール基とが結合した複合樹脂を含有する液を得た。
この液に472質量部の合成例1で得られたMTMSの縮合物(a1)、80質量部の脱イオン水を添加し、同温度で10時間撹拌して加水分解縮合反応させたものを、合成例1と同様の条件で蒸留することによって生成したメタノールおよび水を除去し、次いで、250質量部のn-BuOHを添加し、不揮発分が60.1質量%の硬化性樹脂組成物(1)を1,000質量部得た。
(合成例3:硬化性樹脂組成物(2)の製造)
撹拌機、温度計、滴下ロート、冷却管および窒素ガス導入口を備えた反応容器に、150質量部のn-BuOH、249質量部のPTMS、263質量部のDMDMSを投入し、80℃まで昇温した。
次いで、同温度で18質量部のMMA、14質量部のBMA、7質量部のBA、1質量部のアクリル酸(以下、「AA」とも記す。)、2質量部のMPTS、6質量部のn-BuOHおよび0.9質量部のTBPEHを含有する混合物を、前記反応容器中へ5時間で滴下し、滴下終了後、更に同温度で10時間反応させて加水分解性シリル基を有する数平均分子量が20,100のビニル重合体(a2-2)の有機溶剤溶液を得た。
次いで、0.05質量部のA-3と147質量部の脱イオン水との混合物を、5分間で滴下し、更に同温度で10時間撹拌して加水分解縮合反応させることで、ビニル重合体(a2-2)の有する加水分解性シリル基と、前記PTMSおよびDMDMS由来のポリシロキサンの有する加水分解性シリル基およびシラノール基とが結合した複合樹脂を含有する液を得た。
次いで、この液に76質量部の3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、231質量部の合成例1で得られたMTMSの縮合物(a1)、56質量部の脱イオン水を添加し、同温度で15時間撹拌して加水分解縮合反応させたものを、合成例1と同様の条件で蒸留することによって生成したメタノールおよび水を除去し、次いで、250質量部のn-BuOHを添加し、不揮発分が60.0質量%の硬化性樹脂組成物(2)を1,000質量部得た。
[実施例1]
本発明の負極活物質を以下の様にして製造した。
小型ビーズミル装置(ウルトラアペックスミルUAM-015,株式会社広島メタル&マシナリー製)の容器中(150ml)にジルコニアビーズ(粒径範囲:0.1mmから0.2mm)および400mlのメチルエチルケトン溶媒(MEK)を加え、Si粉体(和光製薬社製、平均粒径3から5μm)70gとカチオン性分散剤液(ビックケミー・ジャパン株式会社:BYK145)を所定量入れ、ビーズミル湿式粉砕を5時間行った後、色濃い褐色液体状であるSiスラリーを得た。光散乱測定法およびTEM観察でSi粉砕粒子の平均粒径(D50)が60nmであった。
上記合成例2で作製した3.23gの硬化性樹脂組成物(1)および27.8gのフェノール樹脂(スミライトレジンPR-53416,住友ベークライト株式会社製)を混合させ、高温焼成後の生成物に含まれるSi粒子量を20重量%となるように上記褐色液状であるSiスラリーを14.3g添加して撹拌機中にて十分に混合させた後、脱溶媒および減圧乾燥を行い、前駆体を得た。その後、前駆体を窒素雰囲気中で1100℃/4時間にて高温焼成し、その後、遊星型ボールミル(ボールミルP-6クラシックライン:FRITSCH社製)で粒径約5mmのジルコニアビーズと共に30分間粉砕して、負極活物質粉末である黒色固形物を得た。
得られた負極活物質粉末の元素分析を行ったところ、SiとOとCの組成比率(モル比)は1:1.5:8.7であった。各元素の分析は以下の装置を使用して測定した。O含有量は酸素・水素・窒素分析装置(TCH-600,LECO社製)、C含有量は炭素・硫黄分析装置(CS844,LECO社製)を使用して測定した。また、Si含有量は、ICP-OES分析装置(Agilent5110ICP-OES,アジレント・テクノロジー株式会社製)を使用して測定した。また、平均粒径(D50)は約5.7μmであり、比表面積(BET)は27.1m2/gを示した。また、29Si-NMRスペクトルによると、-70ppmから-90ppm範囲内ピークAと-90ppmから-130ppm範囲内ピークBが検出され、面積比A/Bが0.8であった。また、ラマン散乱分析測定結果は、炭素のGバンドに帰属する1590cm-1付近のピークとDバンドの1330cm-1付近のピークを示し、強度比G/Dが0.79となった。
次に、得られた負極活物質を使用し、以下の方法でハーフセルおよびフルセルを作製し、二次電池充放電試験を行った。
活物質粉末(80部)と導電助剤(アセチレンブラック、10部)およびバインダー(CMC+SBR、10部)との混合スラリーを調製して銅箔上に製膜した。その後、110℃で減圧乾燥し、Li金属箔を対極してハーフセルを作製した。このハーフセルについて、二次電池充放電試験装置(北斗電工株式会社製)を用い、充放電特性の評価を行った(カットオフ電圧範囲:0.005から1.5v)。充放電の測定結果は、初回放電容量が1030mAh/g;初回(クーロン)効率が79.0%であった。
また、正極材料としてLiCoOを正極活物質、集電体としてアルミ箔を用いた単層シートを用いて、正極膜を作製した。さらに、450mAh/g放電容量設計値にて黒鉛粉体や活物質粉末とバインダーを混合して負極膜を作製した。非水電解質には六フッ化リン酸リチウムをエチレンカーボネートとジエチルカーボネートの1/1(体積比)混合液に1mol/Lの濃度で溶解した非水電解質溶液を用い、セパレータに厚さ30μmのポリエチレン製微多孔質フィルムを用いたフルセルのコイン型リチウムイオン二次電池を作製した。このリチウムイオン二次電池を室温下、テストセルの電圧が4.2Vに達するまで1.2mA(正極基準で0.25c)の定電流で充電を行い、4.2Vに達した後は、セル電圧を4.2Vに保つように電流を減少させて充電を行い、放電容量を求めた。室温下100サイクルの容量維持率が97%であった。
[実施例2から実施例41、および比較例1から比較例4]
実施例1において、硬化性樹脂組成物(合成例1から3)、フェノール樹脂(スミライトレジンPR-53416)およびSiスラリーを表1に示したように変えた。また実施例30および31はSi粉末の湿式粉砕の時間を3時間、比較例4はSi粉末の湿式粉砕の時間を1時間に、実施例25と26は粒径約2mmのジルコニアビーズを使用した以外は同様にして負極活物質を得た。実施例1、実施例16および実施例26で得られた二次電池用材料のFT―IR測定を後述する条件で測定した。得られたスペクトル図を図1から図3に示した。
得られた実施例2から41および比較例1から4で得られた二次電池用材料をそのまま負極活物質として使用し、実施例1と同様にして二次電池を作成し評価した。
[実施例42および45]
実施例1と同様にして得られた黒色固形物20gをCVD装置(デスクトップロータリキルン:高砂工業株式会社製)に投入し、エチレンガス0.3L/分および窒素ガス0.7L/分の混合ガスを導入しながら、850℃で実施例42では1時間、実施例45では3時間加温処理して、化学的気相成長法により、黒色固形物表面への炭素被覆処理を行った。処理後の炭素被覆量を熱分析装置によって測定したところ、処理前重量よりも実施例42では5%、実施例45では20%増加したことがわかった。
[実施例43および44]
実施例1において、硬化性樹脂組成物(合成例1から3)、フェノール樹脂(スミライトレジンPR-53416)およびSiスラリーを表1に示したように変え、実施例42と同様にして黒色固形物表面への炭素被覆処理を行った。処理後の炭素被覆量を熱分析装置によって測定したところ、処理前重量よりも実施例43では6%、実施例44では7%増加したことがわかった。
得られた実施例2から45および比較例1から4で得られた二次電池用材料をそのまま負極活物質として使用し、実施例1と同様にして二次電池を作成し評価した。
評価結果を表2から表3に示した。
表2および表3中、各評価方法は以下のとおりである。
Si粒子径:体積平均粒子径(D50)であり、レーザー回折式粒度分布測定装置(マルバーン・パナリティカル社製、マスターサイザー3000)を用いて測定した。
比表面積(BET):比表面積測定装置(BELJAPAN社製、BELSORP-mini)を用いて窒素吸着測定より測定した。
29Si-NMR:JEOL RESONANCE社製、JNM-ECA600を用いた。
電池特性評価: 二次電池充放電試験装置(北斗電工株式会社製)を用いて電池特性を測定し、室温25℃、カットオフ電圧範囲が0.005から1.5Vに、充放電レートが0.1C(1から3回)と0.2C(4サイクル以後)にし、定電流・定電圧式充電/定電流式放電の設定条件下で充放電特性の評価試験を行った。各充放電時の切り替え時には、30分間、開回路で放置した。初回クーロン効率とサイクル特性(本願では100サイクル時の容量維持率を指す)は以下のようにして求めた。
初回(クーロン)効率(%)=初回放電容量(mAh/g)/初回充電容量(mAh/g)
また初回放電容量については、
◎:初回放電容量2000mAh/g以上
〇:初回放電容量1000mAh/g以上2000mAh/g未満
▲:初回放電容量1000mAh/g未満
初回効率については、
◎:初回効率80%以上
〇:初回効率75%以上85%未満
▲:容量維持率75%未満
とした。
容量維持率(%@100回目)=100回目の放電容量(mAh/g)/初回放電容量(mAh/g)
◎:容量維持率95%以上
〇:容量維持率85%以上95%未満
▲:容量維持率85%未満
FT-IR測定:測定機器としてFT/IR-4200(日本分光株式会社製)を用いた。測定サンプルとKBrとの混合で測定用錠剤試料を調製して、4000から400cm-1の範囲にて透過式で測定を行った。
ラマン散乱スペクトル測定:測定機器としてNRS-5500(日本分光株式会社製)を用いた。測定条件は励起レーザーの波長は532nm、対物レンズの倍率は100倍、測定波数範囲は3500から100cm-1とした。
実施例46
150mlの小型ビーズミル装置の容器中に粒径範囲が0.1mmから0.2mmのジルコニアビーズおよび100mlのメチルエチルケトン(以下、「MEK」とも記す。)溶媒を加え、平均粒径が3から5μmのシリコン粉体(和光製薬社製)とカチオン性分散剤液(ビックケミー・ジャパン株式会社:BYK145)を入れ、ビーズミル湿式粉砕を行った後、色濃い褐色液体状であるシリコンスラリーを得た。
平均分子量が3500のポリシロキサン樹脂(以下、「PSi樹脂」とも記す。)および平均分子量が3000のフェノール樹脂(以下、「Ph-R樹脂」とも記す。)を樹脂固形物の重量比が20:80で混合し、シリコン粒子量が50重量%となるように前記褐色液体状のシリコンスラリーを添加して撹拌機中にて十分に混合した。シリコンスラリー中のシリコンの平均粒径は60nmであった。混合後、脱溶媒および減圧乾燥を行い、前駆体を得た。その後、前駆体を窒素雰囲気中で1050℃、6時間、高温焼成し、その後、遊星型ボールミルで粉砕して黒色固形物を得た。
黒色固形物を遊星型ボールミルで粉砕し、得られた黒色粉体に熱化学蒸着法(以下、化学蒸着法を「CVD」とも記す。)を行うことで炭素被膜を表面の少なくとも一部に有する負極活物質を得た。このとき、熱CVDにはロータリーキルンタイプの反応炉を用い、炭素源としてLPG(液体プロパンガス)を炉内の温度を900℃、圧力を1atm、CVD時間を260分とした。得られた負極活物質の炭素被膜の量はTG-DTAから10.1%、真密度は1.84g/cm、そこから計算される空隙率は16.9%であった。またシリコン、シリコンオキシカーバイドおよび炭素質相の質量比は50/5/45であった。
次に、前記で得られた負極活物質を使用し、以下の方法でハーフセルを作製し、二次電池充放電試験を行った。
80質量部の前記で得られた活物質粒子と導電助剤として10質量部のアセチレンブラックおよびバインダーとして10質量部のCMCとSBRとの混合物とを混合してスラリーを調製した。得られたスラリーを銅箔上に製膜した。110℃で減圧乾燥後、Li金属箔を対極としてハーフセルを作製した。このハーフセルについて、二次電池充放電試験装置(北斗(株)社製)を用い、カットオフ電圧範囲を0.005から1.5vとして充放電特性の評価を行った。充放電の測定結果から、初回クーロン効率が84.6%であった。結果を表4に示した。
実施例47および48
シリコンスラリーを用いず、炭素被膜量を表4に示したように変更した以外は実施例46と同様にして表1に示したような負極活物質を得た。
実施例46と同様にして充放電特性の評価を行った結果を表4に示した。
実施例49から53
炭素被膜を表4に示したように変更した以外は実施例46と同様にして表4に示したような負極活物質を得た。
実施例46と同様にして充放電特性の評価を行った結果を表4に示した。
実施例54から56
シリコン、シリコンオキシカーバイドおよび炭素質相の質量比および炭素被膜を表4に示したように変更した以外は実施例46と同様にして表4に示したような負極活物質を得た。
実施例46と同様にして充放電特性の評価を行った結果を表4に示した。
比較例5
熱CVDの反応時間を20分とした以外は実施例46と同様な条件にて負極活物質を得た。得られた負極活物質の炭素被膜の量はTG-DTAから0.8%、真密度は2.09g/cm、そこから計算される空隙率は2.5%であった。ハーフセルの充放電測定結果から、初回クーロン効率が81.1%であった。結果を表4に示した。
比較例6
熱CVD実施しなかった以外は実施例と同様な条件にて負極活物質を得た。得られた負極活物質の炭素被膜の量は0%、真密度は2.32g/cm3で空隙率は0%であった。ハーフセルの充放電測定結果から初回クーロン効率が80.8%であった。結果を表4に示した。
表4中、各評価方法は以下のとおりである。
炭素被膜量の測定:熱分析装置(リガク社製、Thermo Plus EVO2)を用いて大気中にて重量損失を測って計算した。
真密度:真密度測定装置(アントンパール社製、Ultrapyc 5000 micro)を用いて、使用ガスはヘリウムで、温度25℃、測定圧力115kPaにて測定した。
空隙率:前記式(1)の基づき算出した。なおρ’’=1.6(g/cm)として算出した。
電池特性評価:二次電池充放電試験装置(北斗電工株式会社製)を用いて電池特性を測定し、室温25℃、カットオフ電圧範囲が0.005から1.5Vで初回クーロン効率を以下のようにして求めた。
活物質の初期クーロン効率(%)=初期放電容量(mAh/g)/初期充電容量(mAh/g)
前記結果から明らかなように、本負極活物質1を用いた場合、初回クーロン効率の高い二次電池が得られる。本負極活物質1を含む非水電解質二次電池はその電池特性に優れている。
前記結果から明らかなように、本発明の二次電池用材料は負極活物質として用いた場合、充放電容量、初期効率および容量維持率が全体的に高く、またこれら特性のバランスに優れる。また本発明の負極活物質を含む二次電池はその電池特性に優れている。
実施例57
本発明の負極活物質を以下の様にして調製した。
湿式粉砕法(ビーズミル)でシリコンナノ粒子を得た。
このシリコンナノ粒子の懸濁液をポリシロキサン珪素系有機化合物と市販フェノール樹脂(住友ベークライト社製 スミライトレジン、PR-53416)と一定な構成比で(焼成後の組成で計算した仕込み構成:SiOC/C/Si=0.05/0.45/0.5)均一に混合後、減圧乾燥で得られた前駆体を窒素雰囲気中、1100℃・6時間にて高温焼成することで、SiOC/C/Siを含む黒色固形物を得た。
黒色粉末を遊星型ボールミルで粉砕し、得られた黒色粉体に熱CVD(化学蒸着法)を行うことでカーボンコートを付与した負極活物質を得た。このとき、熱CVDにはロータリーキルンタイプの反応炉を用い、炭素源としてLPG(液体プロパンガス)を炉内の温度を900℃、圧力を1atm、CVD時間を3時間とした。得られた負極活物質は4.7μmの平均粒径(D50)と13.2m2/gの比表面積(BET)を有した。前記条件を表5に、評価結果を表6に示した。
比較例7
湿式粉砕法(ビーズミル)でシリコンナノ粒子を得た。
このシリコンナノ粒子の懸濁液をポリシロキサン珪素系有機化合物と市販フェノール樹脂(住友ベークライト社製 スミライトレジン、PR-53416)と一定な構成比で( 焼成後の組成で計算した仕込み構成:SiOC/C/Si=0.075/0.425/0.5)均一に混合後、減圧乾燥で得られた前駆体を窒素雰囲気中、1100℃・6時間にて高温焼成することで、SiOC/C/Siを含む黒色固形物を得た。
遊星型ボールミルで粉砕した黒色粉末が、7μmの平均粒径(D50)と21.3m2/gの比表面積(BET)を有した。これを負極活物質とした。前記条件を表5に、評価結果を表6に示した。
実施例57から64および比較例8から9
実施例57から64および比較例8から9は実施例57において下記表5に記載のとおり樹脂1、樹脂2および条件を変更した以外は実施例57と同様にして行った。評価結果を表6に示した。
表6中、各評価方法は以下のとおりである。
体積平均粒径:前記と同じである。
比表面積:前記と同じである。
放電容量:負極活物質粉末に導電助剤及びバインダーを添加し、銅箔上に成膜後、リチウム金属箔を対極とするハーフセルを作製する。このハーフセルを二次電池充放電測定装置に取り付け、カットオフ電圧範囲を0.005Vから1.5Vとして容量を測定した。
初期クーロン効率:前記と同じである。
平均面間隔d002が0.34から0.38nmかつ比表面積が0.01から20m/gである負極活物質は、クーロン効率が83%と電池性能が向上した。
前記結果から明らかなように、本二次電池用材料を用いた本負極活物質2は、充放電容量、初期効率および容量維持率が全体的に高く、またこれら特性のバランスに優れる。また本負極活物質2を含む二次電池はその電池特性に優れている。

Claims (20)

  1. Si(ケイ素)、O(酸素)、C(炭素)を含有し、Siに対するOの含有比xが0.1≦x≦2、およびSiに対するCの含有比yが0.3≦y≦11である二次電池用材料であって、29Si-NMRスペクトルから得られるケミカルシフト値として、Si(0価)に帰属される-70ppmから-90ppmの範囲内のピークの面積強度A、SiOの結合に帰属される-90ppmから-130ppmの範囲内のピークの面積強度Bが、下記の式を満たす二次電池用材料。
    式:0.2<A/B<5
  2. Si(ケイ素)、O(酸素)、C(炭素)を含有し、Siに対するOの含有比xが0.1≦x≦2、およびSiに対するCの含有比yが0.3≦y≦11である二次電池用材料であって、赤外線解析において、2000cm-1から2200cm-1におけるSi-H伸縮振動由来である吸収スペクトルが存在しない二次電池用材料。
  3. 体積平均粒子径(D50)が、0.5μmから10μmである請求項2に記載の二次電池用材料。
  4. 比表面積(BET)が、1m/gから20m/gである請求項2に記載の二次電池用材料。
  5. Si(ケイ素)、O(酸素)、C(炭素)を含有し、Siに対するOの含有比xが0.1≦x≦2、およびSiに対するCの含有比yが0.3≦y≦11である二次電池用材料を含有し、表面の少なくとも一部に炭素被膜を有し、真密度が1.6g/cm以上2.0g/cm以下、下記式(1)により定義される空隙率が7%以上20%以下である負極活物質。
    Figure 0007343081000018
    (ただし前記式(1)中、Vは空隙率(%)、ρは負極活物質内部の密度(g/cm)、ρ’は負極活物質全体の密度(g/cm)、ρ’’は炭素被膜の密度(g/cm)、Aは炭素被膜の量(質量%)をそれぞれ表す。)
  6. 炭素質相を含むマトリクスが内部に存在する請求項5に記載の負極活物質。
  7. Siナノ粒子を含む請求項5に記載の負極活物質。
  8. 前記炭素被膜の量が6質量%以上30質量%以下である請求項5に記載の負極活物質。
  9. 前記マトリクスがシリコンオキシカーバイドと、フェノール樹脂の焼成物を含有する請求項6に記載の負極活物質。
  10. 前記Siナノ粒子の体積平均粒子径(D50)が100nm以下である請求項7に記載の負極活物質。
  11. Siナノ粒子、炭素質相、およびSi(ケイ素)、O(酸素)、C(炭素)を含有し、Siに対するOの含有比xが0.1≦x≦2、およびSiに対するCの含有比yが0.3≦y≦11である二次電池用材料を含有し、
    前記炭素質相は前記Siナノ粒子を包埋し、
    前記炭素質相がXRD測定より求められる炭素002面の面間隔が0.34nmから0.38nmであり
    比表面積が0.01m/gから20m/gである負極活物質。
  12. 真密度が1.8から2.5g/cmである請求項11に記載の負極活物質。
  13. 乾燥空気流通下でのTG分析による100から700℃での質量減少率が10から70%である請求項11に記載の負極活物質。
  14. N(窒素)を含み、Si、O、CおよびNの合計質量を100質量%として、Nの含有量が0.2質量%以上2.5質量%以下である請求項11に記載の負極活物質。
  15. 前記二次電池用材料の割合が0.1重量%から19重量%である請求項11に記載の負極活物質。
  16. 29Si-NMRスペクトルから得られるケミカルシフト値として、Si(0価)に帰属される-70ppmから-90ppmの範囲内のピークの面積強度A、SiOの結合に由来する-90ppmから-130ppmの範囲内のピークの面積強度Bが、下記の式(2)を満たす請求項11に記載の負極活物質。
    0.2<A/B<5 (2)
  17. 平均粒子径(D50)が、0.5μmから10μmである請求項11に記載の負極活物質。
  18. 比表面積(BET)が、1m/gから20m/gである請求項11に記載の負極活物質。
  19. 赤外線解析において、2000cm-1から2200cm-1におけるSi-H伸縮振動由来である吸収スペクトルが存在しない請求項11に記載の負極活物質。
  20. 請求項5から19のいずれか1項に記載の負極活物質を含む二次電池。
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