JP7088438B1 - 負極活物質、負極活物質の製造方法及び非水電解質二次電池 - Google Patents

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Abstract

優れた充放電特性(充放電容量、初回クーロン効率及びサイクル特性)を有する負極活物質及びそれを用いた非水電解質二次電池を提供することにある。本発明の負極活物質は、シリコンオキシカーバイドと炭素質相を含むマトリクス内部にシリコンナノ粒子が分散した複合粒子を含む負極活物質であって、前記複合粒子は、29Si-NMRスペクトルから得られるケミカルシフト値において、下記式1を満たすものである。式1: 0.7≦A/B≦3.0A: Si(0価)に帰属する-70ppm~-90ppmの範囲内ピークの面積強度B: SiO4の結合に由来する-90ppm~-130ppm範囲内ピークの面積強度

Description

本発明は、負極活物質及びその製造方法、当該負極活物質を用いた非水電解質二次電池に関する。
近年、スマートフォンなどの携帯電子機器の普及に伴い、小型・高容量二次電池の需要が高まっている。その中でもリチウムイオン二次電池(LIBと表記する場合がある)は、電気自動車(EV)への急速展開が進められており、産業上の利用範囲が広がり続いている。リチウムイオン二次電池の負極材として、炭素類の黒鉛活物質(天然、人工)が広く用いられているが、黒鉛の理論容量密度が低く(372mAh/g)、リチウムイオン二次電池構成技術の進化により、電池容量向上は限界に近づいている。
シリコン(Si)は、金属リチウムと合金(金属間化合物)を形成できるため、電気化学的にリチウムイオンを吸蔵放出することが可能である。リチウムイオンの吸蔵放出容量は、Li22Siを形成した場合の理論容量が4200mAh/gであり、黒鉛の負極より遥かに高容量化することが可能である。
しかし、シリコンはリチウムイオンの吸蔵放出に伴い3倍~4倍の大きな体積変化を生じる。このため、充放電サイクルを行った場合、膨張収縮が繰り返されることによりシリコンが崩壊して微粉化してしまい、電極材の剥離・崩壊や電子伝導性の悪化などが生じるので、充放電サイクル特性が悪くなり、良好なサイクル寿命が得られないという課題があった。
以下、特許文献1~3には、LIBなどの非水電解質二次電池における負極活物質として用いるシリコン系化合物が記載されている。
特表2015-156355号公報 国際公開第2014-002602号パンフレット 特許第5892264号公報
例えば特許文献1~3に記載の従来のSi系化合物では、負極活物質マトリクス構造とシリコン粒子状態の制御において、Si(0価)が内在するマトリクスの組成やシリコンオキシカーバイドと炭素を含むマトリクスの炭素相構造について十分な検討がされておらず、二次電池としたときの充放電性能、特にサイクル特性に改善の余地がある。
上記実情を鑑み、本発明が解決しようとする課題は、優れた充放電特性(充放電容量、初回クーロン効率及びサイクル特性)を有する負極活物質、それを用いた非水電解質二次電池、及び負極活物質の製造方法を提供することにある。
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、シリコンオキシカーバイドと炭素質相を含むマトリクス内部にシリコンナノ粒子が分散した複合粒子において、シリコンナノ粒子である0価のSiとSiOCを含むマトリクスとの構造マッチングに着目した。その結果、Si(0価)とSiO結合に帰属するSiの29Si-NMRピーク面積強度比を特定範囲とすることで、二次電池における充放電性能、特にサイクル特性が一層向上することを見出し、本発明に至った。
すなわち本発明は、以下に関する。
[1] シリコンオキシカーバイドと炭素質相を含むマトリクス内部にシリコンナノ粒子が分散した複合粒子を含む負極活物質であって、前記複合粒子は、29Si-NMRスペクトルから得られるケミカルシフト値において、下記式1を満たすものである負極活物質。
式1: 0.7≦A/B≦3.0
A: Si(0価)に帰属する-70ppm~-90ppmの範囲内ピークの面積強度
B: SiOの結合に由来する-90ppm~-130ppm範囲内ピークの面積強度
[2] 炭素質相を含む前記複合粒子のラマンスペクトルにおいて、炭素構造のGバンドとDバンドに帰属する1590cm-1と1330cm-1付近の散乱ピークを有し、それらの散乱ピーク強度比I(Gバンド/Dバンド)が、0.7~2.0の範囲にある[1]に記載の負極活物質。
[3] 前記複合粒子における平均粒径(D50)が、1μm~20μmである[1]又は[2]に記載の負極活物質。
[4] 前記複合粒子における比表面積(BET)が、1m/g~20m/gの範囲にある[1]~[3]のいずれか1項に記載の負極活物質。
[5] [1]~[4]のいずれか1項に記載の負極活物質を含む非水電解質二次電池。
[6] 前記複合粒子の製造工程として、下記工程1~3を含む[1]~[4]のいずれか1項に記載の負極活物質の製造方法。
工程1: 湿式法粉砕した珪素(0価)スラリーを、ポリシロキサン化合物と炭素源樹脂を含む集合体と混合させ、撹拌・乾燥することで前駆体を得る
工程2: 前記工程1で得られた前駆体を不活性雰囲気中、最高到達温度1000℃~1180℃の温度範囲内で焼成することにより焼成物を得る
工程3: 前記工程2で得られた焼成物を粉砕することで負極活物質を得る
[7] 前記ポリシロキサン化合物が、シロキサン結合(Si-O-Si)主骨格の側鎖又は末端に、カルボキシ基、エポキシ基、アミノ基、又はポリエーテル基を有する[6]に記載の負極活物質の製造方法。
[8] 前記炭素源樹脂が、芳香族炭化水素部位を含む樹脂である[6]又は[7]に記載の負極活物質の製造方法。
[9] 前記芳香族炭化水素部位を含む樹脂が、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、又は熱硬化性樹脂である[8]に記載の負極活物質の製造方法。
本発明の負極活物質は、Si(0価)と、シリコンオキシカーバイド(SiOC)と炭素質相を含むマトリクス相との組み合わせや炭素相の構造などを巧みに制御することで、活物質中に内在するシリコンナノ粒子が性能発現しやすくなり、二次電池としたときの充放電性能、特にサイクル特性に優れる。本発明の負極活物質を非水電解質二次電池に用いることで充放電容量と初回クーロン効率及びサイクル特性を同時に高いレベルで発現させることができる。
実施例1の29Si-NMRスペクトルである。 比較例1の29Si-NMRスペクトルである。
<負極活物質>
本発明の負極活物質は、シリコンオキシカーバイドと炭素質相を含むマトリクス内部にシリコンナノ粒子が分散した複合粒子を含む負極活物質であって、上記複合粒子は、29Si-NMRスペクトルから得られるケミカルシフト値において、下記式1を満たすものである。
式1: 0.7≦A/B≦3.0
A: Si(0価)に帰属する-70ppm~-90ppmの範囲内ピークの面積強度
B: SiOの結合に由来する-90ppm~-130ppm範囲内ピークの面積強度
上記複合粒子は、Si、O、及びCの各元素によるSiOCの三次元ネットワーク構造と炭素からなるマトリクスがあり、そこにシリコンナノ粒子が均一に分散している構造を有している。上記SiOCの三次元ネットワーク構造では、Siと結合する原子の種類(O、又はC)、及びそれぞれの原子との結合の数から結合は、主に3種類に分けることができ、それぞれSiO、SiOC、及びSiOのドメインが挙げられる。これらのドメインがさらにランダムに結合したものが上記のシリコンオキシカーバイド(SiOC)となる。SiOCドメインのケミカルシフト(固体NMR)は-60ppm~-80ppmの範囲内(中心位置-70ppm)にあり、Si(0価)由来のピークと多少重なっている。
本発明の負極活物質において、29Si-NMRスペクトルから得られるケミカルシフト値が上記式1を満たすということは、複合粒子におけるシリコンナノ粒子(Si:0価)と、シリコンオキシカーバイド(SiOC)に存在するSiOとの比率が、最適であるということであり、これによりシリコンナノ粒子が性能発現しやすくなり、二次電池としたときの充放電性能、特にサイクル特性に優れる。上記A/Bは、より好ましくは0.8≦A/B≦2.9の範囲、更に好ましくは0.9≦A/B≦2.8の範囲である。
リチウムイオン二次電池の充放電過程において、炭素を活物質とする負極を例にした場合、充電時には、炭素とリチウムイオンとが挿入反応により化学結合が生じ、炭素がリチウムを捕捉する。放電時には、炭素に捕捉されたリチウムが、電子の放出によってリチウムイオンとなり、炭素から離れる脱離反応が行われる。この炭素とリチウムイオンとの挿入、脱離反応の繰り返し、つまり可逆的に反応が進行することによって充放電が行われる。本発明の負極活物質は、SiOC骨格と炭素とのマトリクス中において単体シリコン粒子(0価)が内在する活物質の構造を有する。SiOC骨格は、化学安定性が高い特徴を有し、炭素相との複合構造によると、電子遷移抵抗の低減に伴いリチウムイオンの拡散も容易になる。単体シリコン粒子(0価)がSiOCと炭素との複合構造体にて密に包まれることで、シリコン粒子と電解液との直接な接触を阻止する機能が発揮できることがある。従って、本発明負極活物質中にある単体シリコン粒子が充放電性能発現の主要成分とする役割を果たしながら、充放電時にシリコンと電解液との化学反応回避によってシリコン粒子の性能劣化も最大限に防ぐことができる。
さらに具体的に説明を加えると、SiOCは、リチウムイオンの接近によりSiOC内部の電子分布の変動が生じ、SiOCとリチウムイオンの間に静電的な結合や配位結合などが形成されるため、リチウムイオンがSiOCの骨格中に貯蔵される。そしてこれらの配位結合エネルギーは比較的低いため、リチウムイオンの脱離反応が容易に行われる。つまりSiOCが充放電の際にリチウムイオンの挿入・脱離反応を可逆的に起こすことができる。従って、我々はこのメカニズムを捉えることによって、SiOに対するシリコンナノ粒子(Si:0価)の割合が可逆容量の改善に強く寄与し、初回クーロン効率が改善できることを見出すに至った。
29Si-NMRスペクトルは、固体NMR装置を用いて容易に得られるものであり、本明細書の固体NMR測定は、例えば日本電子株式会社JEOL製装置(JNM-ECA600)を用いて実施されるものである。上記のピークの面積強度の比(A/B)は、固体NMR分析装置にてチューニング10分後に、8mmプロープにてシングルパルス測定をし、得られた固体NMRスペクトルデータ(積算64回)をフーリエ変換し、これをGauss+Lorentz関数を用いて波形分離を行う。次に、波形分離にて得られたピーク面積を元に、-90ppm~-130ppm範囲内ピークの面積強度(B)に対する-70ppm~-90ppmの範囲にあるピークの面積強度(A)の比を求めることで得られる。
本発明の負極活物質は、炭素質相を含む前記複合粒子のラマンスペクトルにおいて、炭素構造のGバンド(グラファイト長周期炭素格子構造)とDバンド(乱れや欠陥のあるグラファイト短周期炭素格子構造)に帰属する1590cm-1と1330cm-1付近の散乱ピークを有し、それらの散乱ピーク強度比I(Gバンド/Dバンド)が、0.7~2.0の範囲にあることが好ましい。上記散乱ピーク強度比Iは、好ましくは0.7~1.8である。上記散乱ピーク強度比Iが上記の範囲であるということは、マトリクス中の炭素質相において以下のことが言える。
本発明の負極活物質において、マトリクス中ではSiOC骨格構造等とともに炭素のみで構成される炭素質相を有している。この炭素質相の一部の炭素原子は、SiOC骨格中の一部のSi原子と結合している。この炭素質相は、充放電特性に影響を与える重要な成分である。炭素相は、SiO,SiOC、及びSiOで構成されるSiOC中に形成しているものであり、該SiOCの一部のSi原子と結合しているためSiOC内部、及び表面のSi原子とフリー炭素間の電子伝達がより容易となる。このため充放電時のリチウムイオンの挿入・離脱反応が速やかに進行し、充放電特性が向上すると考えることができる。また、リチウムイオンの挿入・脱離反応によって、負極活物質は僅かではあるが膨張・収縮することがあるが、フリー炭素がその近傍に存在することで活物質全体の膨張・収縮が緩和され、サイクル特性を大きく向上させる効果があると考えられる。
炭素質相は、前駆体シラン化合物の不活性ガス雰囲気中の熱分解に伴い形成したものがある。具体的にはシラン化合物の分子構造中にある炭化可能な部位、及び置換基等が不活性化する雰囲気中で高温熱分解によって炭素成分となり、これらの一部の炭素がSiOC骨格の一部と結合している特徴がある。炭化可能な成分は、特に限定されないが、炭化水素が好ましく、アルキル類、アルキレン類、アルケン類、アルキン類、芳香族類がより好ましく、さらに芳香族類であることが好ましい。
また、本発明の炭素質相において、炭素源樹脂の熱分解によって得られるものもある。これらの炭素も、活物質抵抗低減効果に繋がり、二次電池負極で使用される際、充放電時に珪素粒子の体積変化に柔軟に追従できると考えられる。炭素源樹脂の種類は、特に限定されてないが、炭素の六員環を含む炭素化合物が好ましい。
炭素質相の量は、負極活物質の充放電特性に対して影響を与えうるものである。その炭素量が不足であれば、導電性に劣り、充放電特性が悪化することがある。一方、炭素量が多すぎると、炭素自体の理論容量が低いため、負極活物質全体の充放電容量が低下することがある。
上記炭素質相の存在状態は、ラマンスペクトル以外に熱分析(TG-DTA)でも同定することが可能である。SiOC骨格中のC原子と異なり、炭素質相は、大気中で熱分解されやすく、空気存在下で測定した熱重量減少量により炭素の存在量を求めることができる。つまり炭素量は、熱重量示差熱分析装置Thermogravimeter-Differential Thermal Analyzer(TG-DTA)を用いることで定量できる。また、該測定からの熱重量減少挙動より得られる熱分解温度挙動(分解反応開始温度、分解反応終了温度、熱分解反応種の数、各熱分解反応種における最大重量減少量の温度など)の変化も容易に把握でき、これらの温度値を用いて炭素の状態を判断することができる。一方、SiOC骨格中のC原子、つまり前記SiO、SiOC、及びSiOを構成するSi原子と結合している炭素原子は、非常に強い化学結合を有するために熱安定性が高く、熱分析装置測定温度範囲において大気中で熱分解されることがないと考えられる。また、本発明活物質中の炭素は、ハードカーボンと類似する特性を有しているため、大気中において約550℃~900℃の温度範囲に熱分解されることに伴い、急激な重量減少が発生する。TG-DTAの測定条件の最高温度は特に限定されないが、炭素の熱分解反応を完全に終了させるために、大気中、室温(約25℃)から1000℃以上までの条件下でTG-DTA測定を行うのが好ましい。
複合粒子中のマトリクスでは、存在する炭素質相の割合が重要であり、その含有量がマトリクス総重量の30重量%~85重量%であることが好ましい。また、炭素質相の含有量が40重量%~70重量%であることがより好ましいく、さらに好ましくは45重量%~60重量%である。炭素質相の含有量が上記範囲であると、活物質抵抗低減効果が十分に得られる上、活物質内部へ電解液の浸透が抑制されるため電解液の分解や活物質表面上に固相界面電解質分解物(SEI)の発生が抑えられることがある。
上記シリコンナノ粒子は、珪素(0価)粒子を粉砕などでナノ化したものである。この珪素(0価)粒子の存在によって、二次電池としたときの充放電容量と初回クーロン効率を向上させることができる。本発明の負極活物質では、上述のとおりSiOに対するシリコンナノ粒子(Si:0価)の割合が重要であり、上記式1を満たすことが重要である。
シリコンナノ粒子の粉砕は、粉砕機としては、ボールミル、ビーズミル、ジェットミルなどの粉砕機を用いて行うことができる。また、粉砕は湿式粉砕であってもよく、有機溶剤として粉砕工程がうまくできるなら溶剤組成上に特に制限ないが、アルコール類、ケトン類などを好適に用いることができるが、トルエン、キシレン、ナフタレン、メチルナフタレンなどの芳香族炭化水素系溶剤も用いることができる。
複合粒子中におけるシリコンナノ粒子の含有率は特に制限ないが、シリコンナノ粒子の含有率を調整することによって電池容量を制御することができる。本発明の負極活物質においては複合粒子中のシリコン粒子の含有比率が1質量%~80質量%であることが好ましく、10質量%~70質量%であることがより好ましく、20質量%~60質量%であることがさらに好ましい。シリコン粒子の含有比率が20質量%以上であることで、電池の負極材としたときの充放電容量を大きくすることができ、負極材として黒鉛に対する容量の優位性が大きく、初回クーロン効率も高いレベルに維持できる。一方、60質量%以下とすることで、シリコン粒子がシリコンオキシカーバイドと炭素質相を含むマトリクスに十分に被覆され、充放電時の活物質体積膨張収縮変化も有効に抑えられることがあり、サイクル特性が改善する。
シリコンナノ粒子の平均粒子径(D50)は、10nm~300nmであることが好ましく、より好ましくは20nm~250nm、さらに好ましくは30nm~200nmである。平均粒子径(D50)は、レーザー粒度分析計などを用い動的光散乱法により測定することができる。300nmを超える大サイズの珪素粒子は、大きな塊となり、充放電時に微粉化現象が起やすいため、活物質の充放電性能が低下する傾向が想定される。一方、10nm未満の小サイズの珪素粒子は細かすぎるため、シリコン粒子同士が凝集しやすくなる。そのため、活物質中へ小粒子シリコンを均一に分散させるのが困難となり、また、微小粒子の表面活性エネルギーが高く、活物質の高温焼成で小粒子シリコンの表面上に副生成物などが多くなる傾向もあり、これが充放電性能の大幅な低下に繋がる。
上記平均粒子径(D50)は、負極活物質におけるシリコンナノ粒子の粒子径分布において、小径側から体積累積分布曲線を描いた場合に、累積50%となるときの粒子径である。平均粒子径(D50)は、レーザー回折式粒度分布測定装置などで測定することができる。
本発明の負極活物質は、上述のとおりシリコンオキシカーバイド(SiOC)と炭素質相を含むマトリクス内部に、シリコンナノ粒子が分散した複合粒子を含む。シリコンオキシカーバイド(SiOC)は、珪素(0価を除く)と酸素と炭素からなるSi-O-C骨格構造を有する構造体である。SiOCは、後述の製造方法で述べるようにポリシロキサン化合物を焼成することにより形成することができる。Si-O-C骨格構造の詳細については、ポリシロキサン構造として後述の製造方法で述べる。
上記複合粒子における平均粒径(D50)は、1μm~20μmが好ましく、2μm~18μmがより好ましい。平均粒径(D50)が小さすぎると、比表面積の大幅な上昇につれ充放電時にSEIの生成量が増えることで単位体積当たりの可逆充放電容量が低下することがあり、逆に大きすぎると、電極膜作製が困難になり、集電体から剥離するおそれがある。
複合粒子における比表面積(BET)が、1m/g~20m/gの範囲にあることが好ましく、3m/g~18m/gの範囲にあることがより好ましい。比表面積(BET)が上記範囲であると、電極作製時における溶媒の吸収量を適切に保つことができ、結着性を維持するための結着剤を使用量も適切に保つことができる。比表面積(BET:Brunauer-Emmett-Teller)は、窒素ガス吸着測定より求めることができ、汎用の比表面積測定装置を用いることで容易に測定することができる。
複合粒子は、表面に平均厚み10nm以上300nm以下の低結晶炭素を主体とした被覆層が存在していてもよい。上記平均厚みは、好ましくは20nm以上200nm以下である。複合粒子が上記平均厚みの被覆層を有することで、粒子表面上に露出したシリコンナノ粒子を保護することができ、これにより複合粒子の化学安定性や熱安定性改善のため、結果として充放電性能の低下をさらに抑制することができる。
<製法の説明>
本発明の負極活物質を製造する方法の一例を以下説明する。
本発明の負極活物質は、複合粒子の製造工程として、下記工程1~3を含むことが好ましい。
工程1: 湿式法粉砕した珪素(0価)スラリーを、ポリシロキサン化合物と炭素源樹脂を含む集合体と混合させ、撹拌・乾燥することで前駆体を得る
工程2: 前記工程1で得られた前駆体を不活性雰囲気中、最高到達温度1000℃~1180℃の温度範囲内で焼成することにより焼成物を得る
工程3: 前記工程2で得られた焼成物を粉砕することで負極活物質を得る
<工程1>
(珪素(0価)スラリー)
工程1で用いる湿式法粉砕した珪素(0価)スラリー(上記シリコンナノ粒子のスラリー)の調製は、有機溶媒を用い湿式粉末粉砕装置にて行うことができる。有機溶媒においてシリコン粒子の粉砕を促進させるために分散剤を使っても良い。湿式粉砕装置としては、特に限定されるものでなく、ローラーミル、ジェットミル、高速回転粉砕機、容器駆動型ミル、ビーズミルなどが挙げられる。
湿式法では任意の溶媒を用いることができる。有機溶媒としては、特に限定されないが、シリコンと化学反応しなければ良い。例えば、ケトン類のアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトン;アルコール類のエタノール、メタノール、ノルマルプロピルアルコール、イソプロピルアルコール;芳香族のベンゼン、トルエン、キシレンなどが挙げられる。
上記分散剤の種類は、特に限定されるものでなく、水系や非水系の公知慣用の市販製品を使うことができるが、シリコン粒子の表面過剰酸化を回避するため、非水系分散剤の使用が好ましい。非水系分散剤の種類は、高分子型(ポリエーテル系、ポリアルキレンポリアミン系、ポリカルボン酸部分アルキルエステル系など)、低分子型(多価アルコールエステル系、アルキルポリアミン系など)、無機型のポリリン酸塩系などが例示される。珪素(0価)スラリーにおける珪素の濃度は特に限定されないが、5質量%~40質量%の範囲が好ましく、10質量%~30質量%がより好ましい。
(ポリシロキサン化合物)
工程1で用いる上記ポリシロキサン化合物としては、ポリカルボシラン、ポリシラザン、ポリシラン及びポリシロキサン構造を少なくとも1つ含む樹脂であれば特に限定はない。これら単独の樹脂であっても良く、これをセグメントとして有し、他の重合体セグメントと化学的に結合した複合型樹脂でも良い。複合化の形態がグラフト、ブロック、ランダム、交互などの共重合体がある。例えば、ポリシロキサンセグメントと重合体セグメントの側鎖に化学的に結合したグラフト構造を有する複合樹脂があり、重合体セグメントの末端にポリシロキサンセグメントが化学的に結合したブロック構造を有する複合樹脂等が挙げられる。
ポリシロキサンセグメントが、下記一般式(S-1)および/または下記一般式(S-2)で表される構造単位を有するものが好ましい。なかでもポリシロキサン化合物が、シロキサン結合(Si-O-Si)主骨格の側鎖又は末端に、カルボキシ基、エポキシ基、アミノ基、又はポリエーテル基を有することがより好ましい。
Figure 0007088438000001
Figure 0007088438000002
(前記一般式(S-1)及び(S-2)中、Rは芳香族炭化水素置換基又はアルキル基、エポキシ基、カルボキシ基などを表す。R及びRは、それぞれアルキル基、シクロアルキル基、アリール基またはアラルキル基、エポキシ基、カルボキシ基などを示す。)
アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert-ペンチル基、1-メチルブチル基、2-メチルブチル基、1,2-ジメチルプロピル基、1-エチルプロピル基、ヘキシル基、イソヘシル基、1-メチルペンチル基、2-メチルペンチル基、3-メチルペンチル基、1,1-ジメチルブチル基、1,2-ジメチルブチル基、2,2-ジメチルブチル基、1-エチルブチル基、1,1,2-トリメチルプロピル基、1,2,2-トリメチルプロピル基、1-エチル-2-メチルプロピル基、1-エチル-1-メチルプロピル基等が挙げられる。前記のシクロアルキル基としては、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。
アリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基、2-メチルフェニル基、3-メチルフェニル基、4-メチルフェニル基、4-ビニルフェニル基、3-イソプロピルフェニル基等が挙げられる。
アラルキル基としては、例えば、ベンジル基、ジフェニルメチル基、ナフチルメチル基等が挙げられる。
ポリシロキサン化合物が有するポリシロキサンセグメント以外の重合体セグメントとしては、例えば、アクリル重合体、フルオロオレフィン重合体、ビニルエステル重合体、芳香族系ビニル重合体、ポリオレフィン重合体等のビニル重合体セグメントや、ポリウレタン重合体セグメント、ポリエステル重合体セグメント、ポリエーテル重合体セグメント等の重合体セグメント等が挙げられる。中でも、ビニル重合体セグメントが好ましい。
ポリシロキサン化合物が、ポリシロキサンセグメントと重合体セグメントとが下記の構造式(S-3)で示される構造で結合した複合樹脂でもよく、三次元網目状のポリシロキサン構造を有してもよい。
Figure 0007088438000003
(式中、炭素原子は重合体セグメントを構成する炭素原子であり、2個の珪素原子はポリシロキサンセグメントを構成する珪素原子である)
ポリシロキサン化合物が有するポリシロキサンセグメントは、該ポリシロキサンセグメント中に重合性二重結合など加熱により反応が可能な官能基を有していてもよい。熱分解前にポリシロキサン化合物を加熱処理することにより、架橋反応が進行し、固体状とすることにより、熱分解処理を容易に行うことができる。
重合性二重結合としては、例えば、ビニル基や(メタ)アクリロイル基等が挙げられる。重合性二重結合は、ポリシロキサンセグメント中に2つ以上存在することが好ましく3~200個存在することがより好ましく、3~50個存在することが更に好ましい。また、ポリシロキサン化合物として重合性二重結合が2個以上存在する複合樹脂を使用することによって、架橋反応が容易に進行させることができる。
ポリシロキサンセグメントは、シラノール基および/または加水分解性シリル基を有してもよい。加水分解性シリル基中の加水分解性基としては、例えば、ハロゲン原子、アルコキシ基、置換アルコキシ基、アシロキシ基、フェノキシ基、メルカプト基、アミノ基、アミド基、アミノオキシ基、イミノオキシ基、アルケニルオキシ基等が挙げられ、これらの基が加水分解されることにより加水分解性シリル基はシラノール基となる。前記熱硬化反応と並行して、シラノール基中の水酸基や加水分解性シリル基中の前記加水分解性基の間で加水分解縮合反応が進行することで、固体状のポリシロキサン化合物を得ることができる。
本発明で言うシラノール基とは珪素原子に直接結合した水酸基を有する珪素含有基である。本発明で言う加水分解性シリル基とは珪素原子に直接結合した加水分解性基を有する珪素含有基であり、具体的には、例えば、下記の一般式(S-4)で表される基が挙げられる。
Figure 0007088438000004
(式中、Rはアルキル基、アリール基又はアラルキル基等の1価の有機基を、Rはハロゲン原子、アルコキシ基、アシロキシ基、アリルオキシ基、メルカプト基、アミノ基、アミド基、アミノオキシ基、イミノオキシ基又はアルケニルオキシ基である。またbは0~2の整数である。)
アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert-ペンチル基、1-メチルブチル基、2-メチルブチル基、1,2-ジメチルプロピル基、1-エチルプロピル基、ヘキシル基、イソヘシル基、1-メチルペンチル基、2-メチルペンチル基、3-メチルペンチル基、1,1-ジメチルブチル基、1,2-ジメチルブチル基、2,2-ジメチルブチル基、1-エチルブチル基、1,1,2-トリメチルプロピル基、1,2,2-トリメチルプロピル基、1-エチル-2-メチルプロピル基、1-エチル-1-メチルプロピル基等が挙げられる。
アリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基、2-メチルフェニル基、3-メチルフェニル基、4-メチルフェニル基、4-ビニルフェニル基、3-イソプロピルフェニル基等が挙げられる。
アラルキル基としては、例えば、ベンジル基、ジフェニルメチル基、ナフチルメチル基等が挙げられる。
ハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられる。
アルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、第二ブトキシ基、第三ブトキシ基等が挙げられる。
アシロキシ基としては、例えば、ホルミルオキシ、アセトキシ、プロパノイルオキシ、ブタノイルオキシ、ピバロイルオキシ、ペンタノイルオキシ、フェニルアセトキシ、アセトアセトキシ、ベンゾイルオキシ、ナフトイルオキシ等が挙げられる。
アリルオキシ基としては、例えば、フェニルオキシ、ナフチルオキシ等が挙げられる。
アルケニルオキシ基としては、例えば、ビニルオキシ基、アリルオキシ基、1-プロペニルオキシ基、イソプロペニルオキシ基、2-ブテニルオキシ基、3-ブテニルオキシ基、2-ペテニルオキシ基、3-メチル-3-ブテニルオキシ基、2-ヘキセニルオキシ基等が挙げられる。
上記一般式(S-1)および/または上記一般式(S-2)で示される構造単位を有するポリシロキサンセグメントとしては、例えば以下の構造を有するもの等が挙げられる。
Figure 0007088438000005
Figure 0007088438000006
Figure 0007088438000007
重合体セグメントは、本発明の効果を阻害しない範囲で、必要に応じて各種官能基を有していても良い。かかる官能基としては、例えばカルボキシル基、ブロックされたカルボキシル基、カルボン酸無水基、3級アミノ基、水酸基、ブロックされた水酸基、シクロカーボネート基、エポキシ基、カルボニル基、1級アミド基、2級アミド、カーバメート基、下記の構造式(S-5)で表される官能基等を使用することができる。
Figure 0007088438000008
また、前記重合体セグメントは、ビニル基、(メタ)アクリロイル基等の重合性二重結合を有していてもよい。
上記ポリシロキサン化合物は、公知の方法で製造できるが、なかでも下記(1)~(3)に示す方法で製造することが好ましい。但し、これらに限定されるものではない。
(1)前記重合体セグメントの原料として、シラノール基および/または加水分解性シリル基を含有する重合体セグメントを予め調製しておき、この重合体セグメントと、シラノール基および/または加水分解性シリル基、並びに重合性二重結合を併有するシラン化合物を含有するシラン化合物とを混合し、加水分解縮合反応を行う方法。
(2)前記重合体セグメントの原料として、シラノール基および/または加水分解性シリル基を含有する重合体セグメントを予め調製する。また、シラノール基および/または加水分解性シリル基、並びに重合性二重結合を併有するシラン化合物を含有するシラン化合物を加水分解縮合反応してポリシロキサンも予め調製しておく。そして、重合体セグメントとポリシロキサンとを混合し、加水分解縮合反応を行う方法。
(3)前記重合体セグメントと、シラノール基および/または加水分解性シリル基、並びに重合性二重結合を併有するシラン化合物を含有するシラン化合物と、ポリシロキサンとを混合し、加水分解縮合反応を行う方法。
(炭素源樹脂)
工程1で用いる炭素源樹脂は、前駆体作製時にポリシロキサン化合物との混和性が良く、また、不活性雰囲気中・高温焼成により炭化されることがあれば特に限定されないが、芳香族官能基を有する合成樹脂類や天然化学原料を用いることが好ましい、安価入手や不純物排除の観点からフェノール樹脂の使用がより好ましい。
合成樹脂類としては、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸などの熱可塑性樹脂、フェノール樹脂、フラン樹脂などの熱硬化性樹脂が挙げられる。天然化学原料としては、重質油、特にはタールピッチ類としては、コールタール、タール軽油、タール中油、タール重油、ナフタリン油、アントラセン油、コールタールピッチ、ピッチ油、メソフェーズピッチ、酸素架橋石油ピッチ、ヘビーオイルなどが挙げられる。
特に、本発明の工程1においては、炭素源樹脂が、芳香族炭化水素部位を含む樹脂であることが好ましく、上記の芳香族炭化水素部位を含む樹脂が、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、又は熱硬化性樹脂であることが好ましい。
(前駆体)
そして、上記の珪素(0価)スラリーとポリシロキサン化合物と炭素源樹脂を含む集合体を均一に混合させ、攪拌した後、脱溶媒と乾燥を経て前駆体が得られる。原料の混合では、特に限定されないが、汎用な分散・混合の機能を有する装置を用いることができる。その中、攪拌機、超音波ミキサー、プリミックス分散機などが挙げられる。有機溶媒を溜去することを目的とする脱溶剤と乾燥の作業では、乾燥機、減圧乾燥機、噴霧乾燥機などを用いることができる。
この負極活物質前駆体は、珪素(0価)であるシリコンナノ粒子の含有量を3質量%~50質量%、ポリシロキサン化合物の固形分を15質量%~85質量%含有し、炭素源樹脂の固形分を3質量%~70質量%含有する様に設定することが好ましく、シリコンナノ粒子の固形分含有量を8質量%~40質量%、ポリシロキサン化合物の固形分を20~70質量%に、炭素源樹脂の固形分を3質量%~60質量%に設定することがより好ましい。
<工程2>
工程2は、上記工程1で得られた前駆体を不活性雰囲気中、最高到達温度1000℃~1180℃の温度範囲内で焼成することで、熱分解可能な有機成分を完全分解させ、その他の主成分を焼成条件の精密制御により本発明の負極活物質に適した焼成物とする工程である。具体的にいうと、原料のポリシロキサン化合物に存在する「Si-O」結合は、高温処理のエネルギーによって脱水縮合反応が進むことで「Si-O-C」の骨格構造(本明細書以下の記載中にSiOCと称す)を形成すると共に、均一化分散されていた炭素源樹脂も炭化されることで、「Si-O-C」骨格を有する三次元構造体中にフリー炭素として転化される。
工程2では、上記工程1で得られた前駆体を不活性雰囲気下、昇温速度、一定温度での保持時間等により既定される焼成のプログラムに沿って焼成する。最高到達温度は、設定する最高温度であり、焼成物である負極活物質の構造や性能に強く影響を与えるものである。本発明では最高到達温度が1000℃~1180℃であることにより、前述の珪素と炭素の化学結合状態を保有する負極活物質の微細構造が精密に制御でき、過高温焼成でのシリコン粒子の酸化も回避できることでより優れた充放電特性が得られる。
焼成方法は、特に限定されないが、不活性雰囲気中にて加熱機能を有する反応装置を用いればよく、連続法、回分法での処理が可能である。焼成用装置については、流動層反応炉、回転炉、竪型移動層反応炉、トンネル炉、バッチ炉、ロータリーキルン等をその目的に応じ適宜選択することができる。
<工程3>
工程3は、上記工程2で得られた焼成物を粉砕し、必要に応じて分級することで本発明の負極活物質を得る工程である。粉砕は、目的とする粒径まで一段で行っても良いし、数段に分けて行っても良い。例えば焼成物が10mm以上の塊または凝集粒子となっていて、10μmの活物質を作製する場合はジョークラッシャー、ロールクラッシャー等で粗粉砕を行い1mm程度の粒子にした後、グローミル、ボールミル等で100μmとし、ビーズミル、ジェットミル等で10μmまで粉砕する。粉砕で作製した粒子には粗大粒子が含まれる場合がありそれを取り除くため、また、微粉を取り除いて粒度分布を調整する場合は分級を行う。使用する分級機は風力分級機、湿式分級機等目的に応じて使い分けるが、粗大粒子を取り除く場合、篩を通す分級方式が確実に目的を達成できるために好ましい。尚、本焼成前に前駆体混合物を噴霧乾燥等により目標粒子径付近の形状に制御し、その形状で本焼成を行った場合は、もちろん粉砕工程を省くことも可能である。
<負極の作製>
本発明の負極活物質は、上述の通りに優れた充放電特性を示すことから、これを電池負極として用いた時に、良好な充放電特性を発揮するものである。
具体的には、本発明の負極活物質と有機結着剤とを必須成分として、必要に応じてその他の導電助剤などの成分を含んで構成されるスラリーを集電体銅箔上へ薄膜のようにして負極として用いることができる。また、上記のスラリーに公知慣用されている黒鉛など炭素材料を加えて負極を作製することもできる。
この黒鉛など炭素材料としては、天然黒鉛、人工黒鉛、ハードカーボン、ソフトカーボンなどが挙げられる。こうして得られる負極は、活物質として、本発明の負極活物質を含むことから、高容量かつ優れたサイクル特性を有し、さらに、優れた初回クーロン効率をも兼備する二次電池用負極となる。該負極は、例えば、前述の二次電池用負極活物質と、有機結着材であるバインダーとを、溶媒とともに撹拌機、ボールミル、スーパーサンドミル、加圧ニーダ等の分散装置により混練して、負極材スラリーを調製し、これを集電体に塗布して負極層を形成することで得ることができる。また、ペースト状の負極材スラリーをシート状、ペレット状等の形状に成形し、これを集電体と一体化することでも得ることができる。
上記有機結着剤としては、特に限定されないが、例えば、スチレン-ブタジエンゴム共重合体(SBR);エチレン性不飽和カルボン酸エステル(例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロニトリル、およびヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等)、およびエチレン性不飽和カルボン酸(例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、フマル酸、マレイン酸等)からなる(メタ)アクリル共重合体;ポリ弗化ビニリデン、ポリエチレンオキサイド、ポリエピクロヒドリン、ポリホスファゼン、ポリアクリロニトリル、ポリイミド、ポリアミドイミド、カルボキシメチルセルロース(CMC)などの高分子化合物が挙げられる。
これらの有機結着剤は、それぞれの物性によって、水に分散、あるいは溶解したもの、また、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)などの有機溶剤に溶解したものがある。リチウムイオン二次電池負極の負極層中の有機結着剤の含有比率は、1質量%~30質量%であることが好ましく、2質量%~20質量%であることがより好ましく、3質量%~15質量%であることがさらに好ましい。
有機結着剤の含有比率が1質量%以上であることで密着性がより良好で、充放電時の膨張・収縮によって負極構造の破壊がより抑制される。一方、30質量%以下であることで、電極抵抗の上昇がより抑えられる。
この際、本発明の負極活物質においては、化学安定性が高く、水性バインダーも採用することができる点で、実用化面においても取り扱い容易なものである。
また、上記負極材スラリーには、必要に応じて、導電助材を混合してもよい。導電助材としては、例えば、カーボンブラック、グラファイト、アセチレンブラック、あるいは導電性を示す酸化物や窒化物等が挙げられる。導電助剤の使用量は、本発明の負極活物質に対して1質量%~15質量%程度とすればよい。
また上記集電体の材質および形状については、特に限定されず、例えば、銅、ニッケル、チタン、ステンレス鋼等を、箔状、穴開け箔状、メッシュ状等にした帯状のものを用いればよい。また、多孔性材料、たとえばポーラスメタル(発泡メタル)やカーボンペーパーなども使用可能である。
上記負極材スラリーを集電体に塗布する方法としては、特に限定されないが、例えば、メタルマスク印刷法、静電塗装法、ディップコート法、スプレーコート法、ロールコート法、ドクターブレード法、グラビアコート法、スクリーン印刷法など公知の方法が挙げられる。塗布後は、必要に応じて平板プレス、カレンダーロール等による圧延処理を行うことが好ましい。
また、シート状、ペレット状等の形状に成形された負極材スラリーと集電体との一体化は、例えば、ロール、プレス、もしくはこれらの組み合わせ等、公知の方法により行うことができる。
上記集電体上に形成された負極層および集電体と一体化した負極層は、用いた有機結着剤に応じて熱処理することが好ましい。例えば、公知慣用されている水系のスチレン-ブタジエンゴム共重合体(SBR)などを用いた場合には100~130℃で熱処理すればよく、ポリイミド、ポリアミドイミドを主骨格とした有機結着剤を用いた場合には150~450℃で熱処理することが好ましい。
この熱処理により溶媒の除去、バインダーの硬化による高強度化が進み、粒子間及び粒子と集電体間の密着性が向上できる。尚、これらの熱処理は、処理中の集電体の酸化を防ぐため、ヘリウム、アルゴン、窒素等の不活性雰囲気、真空雰囲気で行うことが好ましい。
また、熱処理する後に、負極はプレス(加圧処理)しておくことが好ましい。本発明の負極活物質を用いた負極では、電極密度が1.0g/cm~1.8g/cmであることが好ましく、1.1g/cm~1.7g/cmであることがより好ましく、1.2g/cm~1.6g/cmであることがさらに好ましい。電極密度については、高いほど密着性及び電極の体積容量密度が向上する傾向があるが、密度が高すぎると、電極中の空隙が減少することで珪素など体積膨張の抑制効果が弱くなり、サイクル特性が低下するため、最適な範囲を選択する。
<フル電池の構成>
上述のように、本発明の負極活物質を用いた負極は、充放電特性に優れるため、二次電池であれば特に限定されないが、非水電解質二次電池と固体型電解質二次電池に用いることが好ましく、特に非水電解質二次電池の負極として用いた際に優れた性能を発揮するものである。
本発明の非水電解質二次電池は、例えば、湿式電解質二次電池に用いる場合、正極と、本発明の負極とを、セパレータを介して対向して配置し、電解液を注入することにより構成することができる。
正極は、負極と同様にして、集電体表面上に正極層を形成することで得ることができる。この場合の集電体はアルミニウム、チタン、ステンレス鋼等の金属や合金を、箔状、穴開け箔状、メッシュ状等にした帯状のものを用いることができる。
正極層に用いる正極材料としては、特に制限されない。非水電解質二次電池の中でも、リチウムイオン二次電池を作製する場合には、例えば、リチウムイオンをドーピングまたはインターカレーション可能な金属化合物、金属酸化物、金属硫化物、または導電性高分子材料を用いればよく、特に限定されない。例えば、コバルト酸リチウム(LiCoO)、ニッケル酸リチウム(LiNiO)、マンガン酸リチウム(LiMnO)、およびこれらの複合酸化物(LiCoxNiyMnzO、x+y+z=1)、リチウムマンガンスピネル(LiMn)、リチウムバナジウム化合物、V、V13、VO、MnO、TiO、MoV、TiS、V、VS、MoS、MoS、Cr、Cr、オリビン型LiMPO(M:Co、Ni、Mn、Fe)、ポリアセチレン、ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリアセン等の導電性ポリマー、多孔質炭素等などを単独或いは混合して使用することができる。
セパレータとしては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィンを主成分とした不織布、クロス、微孔フィルム又はそれらを組み合わせたものを使用することができる。なお、作製する非水電解質二次電池の正極と負極が直接接触しない構造にした場合は、セパレータを使用する必要はない。
電解液としては、例えば、LiClO、LiPF、LiAsF、LiBF、LiSOCF等のリチウム塩を、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ビニレンカーボネート、フルオロエチレンカーボネート、シクロペンタノン、スルホラン、3-メチルスルホラン、2,4-ジメチルスルホラン、3-メチル-1,3-オキサゾリジン-2-オン、γ-ブチロラクトン、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、メチルプロピルカーボネート、ブチルメチルカーボネート、エチルプロピルカーボネート、ブチルエチルカーボネート、ジプロピルカーボネート、1,2-ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、2-メチルテトラヒドロフラン、1,3-ジオキソラン、酢酸メチル、酢酸エチル等の単体もしくは2成分以上の混合物の非水系溶剤に溶解した、いわゆる有機電解液を使用することができる。
本発明の非水電解質二次電池の構造は、特に限定されないが、通常、正極および負極と、必要に応じて設けられるセパレータとを、扁平渦巻状に巻回して巻回式極板群としたり、これらを平板状として積層して積層式極板群としたりし、これら極板群を外装体中に封入した構造とするのが一般的である。尚、本発明の実施例で用いるハーフセルは、負極に本発明の珪素含有活物質を主体とする構成とし、対極に金属リチウムを用いた簡易評価を行っているが、これはより活物質自体のサイクル特性を明確に比較するためである。前述したとおり、黒鉛系活物質(容量約340mAh/g前後)を主体とした合剤に少量添加し、既存負極容量を大きく上回る400~700mAh/g程度の負極容量に抑え、サイクル特性を向上させることが可能である。
本発明の負極活物質を用いた非水電解質二次電池は、特に限定されないが、ペーパー型電池、ボタン型電池、コイン型電池、積層型電池、円筒型電池、角型電池などとして使用される。上述した本発明の負極活物質は、リチウムイオンを挿入脱離することを充放電機構とする電気化学装置全般、例えば、ハイブリッドキャパシタ、固体リチウム二次電池などにも適用することが可能である。
以下、本発明を実施例により詳細に説明する。部及び%は、特に断りがない限り、質量基準であるものとする。
「ポリシロキサン化合物の作製」
(合成例1:メチルトリメトキシシランの縮合物(m-1)の合成)
攪拌機、温度計、滴下ロート、冷却管及び窒素ガス導入口を備えた反応容器に、メチルトリメトキシシラン(以下、「MTMS」と略記する。)1,421質量部を仕込んで、60℃まで昇温した。次いで、上記反応容器中にiso-プロピルアシッドホスフェート(SC有機化学株式会社製「Phoslex A-3」)0.17質量部と脱イオン水207質量部との混合物を5分間で滴下した後、80℃の温度で4時間撹拌して加水分解縮合反応させた。
上記の加水分解縮合反応によって得られた縮合物を、温度40~60℃及び40~1.3kPaの減圧下(メタノールの留去開始時の減圧条件が40kPaで、最終的に1.3kPaとなるまで減圧する条件をいう。以下、同様。)で蒸留し、上記反応過程で生成したメタノール及び水を除去することによって、数平均分子量1,000のMTMSの縮合物(m-1)を含有する液(有効成分70質量%)1,000質量部を得た。なお、前記有効成分とは、MTMS等のシランモノマーのメトキシ基が全て縮合反応した場合の理論収量(質量部)を、縮合反応後の実収量(質量部)で除した値〔シランモノマーのメトキシ基が全て縮合反応した場合の理論収量(質量部)/縮合反応後の実収量(質量部)〕により算出したものである。
[評価方法]
本実施例における負極活物質の評価方法は以下のとおりである。
平均粒径(D50):レーザー回折式粒度分布測定装置(株式会社島津製作所製、SALD-3000J)を用いて測定した。
比表面積(BET):比表面積測定装置(BELJAPAN社製、BELSORP-mini)を用いて窒素吸着測定より測定した。
29Si-NMR:JEOL RESONANCE社製、JNM-ECA600を用いた。
ラマン散乱分析測定:日本分光社製、NRS-5500を用いた。
[実施例1]
本発明の負極活物質を以下の様にして製造した。
小型ビーズミル装置の容器中(150ml)にジルコニアビーズ(粒径範囲:0.1mm~0.2mm)及び100mlのメチルエチルケトン溶媒(MEK)を加え、シリコン粉体(和光製薬社製、平均粒径3~5μm)とカチオン性分散剤液(ビックケミー・ジャパン株式会社:BYK145)を入れ、ビーズミル湿式粉砕を行った後、色濃い褐色液体状であるシリコンスラリーを得た。光散乱測定法及びTEM観察でシリコン粉砕粒子の平均粒径(D50)が60nmであった。
上記合成例で作製したポリシロキサン樹脂(PSi樹脂:平均分子量3500)、及びフェノール樹脂(Ph-R樹脂;平均分子量3000)を樹脂固形物重量構成比の20:80で混合させ、Si粒子量を50重量%となるように上記褐色液体状シリコンスラリー(平均粒径60nm)を添加して撹拌機中にて十分に混合させた後、脱溶媒及び減圧乾燥を行い、前駆体を得た。その後、前駆体を窒素雰囲気中で1100℃/4時間にて高温焼成し、その後、遊星型ボールミルで粉砕して、負極活物質粉末である黒色固形物を得た。
得られた負極活物質粉末の平均粒径(D50)は約6.3μmであり、比表面積(BET)は16.5m/gを示した。また、29Si-NMRスペクトルによると、-70ppm~-90ppm範囲内ピークAと-90ppm~-130ppm範囲内ピークBが検出され、面積比A/Bが1.83であった。また、ラマン散乱分析測定結果は、炭素のGバンドに帰属する1590cm-1付近のピークとDバンドの1330cm-1付近のピークを示し、強度比G/Dが0.79となった。
次に、上記で得られた負極活物質を使用し、以下の方法でハーフセル及びフルセルを作製し、二次電池充放電試験を行った。
活物質粉末(80部)と導電助剤(アセチレンブラック、10部)及びバインダー(CMC+SBR、10部)との混合スラリーを調製して銅箔上に製膜した。その後、110℃で減圧乾燥し、Li金属箔を対極してハーフセルを作製した。このハーフセルについて、二次電池充放電試験装置(北斗(株)社製)を用い、充放電特性の評価を行った(カットオフ電圧範囲:0.005~1.5v)。充放電の測定結果は、初回放電容量が1450mAh/g;初回クーロン効率が85.1%であった。
また、正極材料としてLiCoOを正極活物質、集電体としてアルミ箔を用いた単層シートを用いて、正極膜を作製した。さらに、450mAh/g放電容量設計値にて黒鉛粉体や活物質粉末とバインダーを混合して負極膜を作製した。非水電解質には六フッ化リン酸リチウムをエチレンカーボネートとジエチルカーボネートの1/1(体積比)混合液に1mol/Lの濃度で溶解した非水電解質溶液を用い、セパレータに厚さ30μmのポリエチレン製微多孔質フィルムを用いたフルセルのコイン型リチウムイオン二次電池を作製した。このリチウムイオン二次電池を室温下、テストセルの電圧が4.2 V に達するまで1.2mA(正極基準で0.25c)の定電流で充電を行い、4.2Vに達した後は、セル電圧を4.2Vに保つように電流を減少させて充電を行い、放電容量を求めた。室温下200サイクルの容量維持率が84.5%であった。
上記の評価結果をまとめて表1に示す。
[実施例2~18]
表1に示すとおり、負極活物質前駆体における樹脂構成比(PSi/Ph-R)やSi含有量%、焼成温度を変えたこと以外は上記実施例1と同様にして、それぞれの負極活物質を作製し、各材料の性状と充放電特性などを評価した。これらの結果は表1に示すとおりである。実施例15及び16では、焼成後にそれぞれ1.2μm、13.5μmとなるように粉砕した(実施例15及び16では、遊星型ボールミルでの粉砕条件を変更した)。上記実施例2~18の評価結果をまとめて表1に示す。
[比較例1]
実施例1と同様な条件(樹脂構成4/6、Si粒径と添加量)にて前駆体を乾燥後、窒素雰囲気・1200℃にて4時間焼成して負極活物質を得た。負極活物質粉末の平均粒径(D50)が約5.8μmであり、比表面積(BET)は29m/gを示した。29Si-NMRスペクトルでは、-70ppm~-90ppm範囲内ピークAと-90ppm~-130ppm範囲内ピークBが検出され、面積比A/Bが0.61であった。また、ラマン散乱分析測定結果は、炭素のGバンドに帰属する1590cm-1付近のピークとDバンドの1330cm-1付近のピークを示し、強度比G/Dが2.1となった。フルセルの充放電測定結果は、室温下200サイクル後の容量維持率が91%であったが、ハーフセルの充放電測定結果は、初回放電容量が344mAh/g;初回クーロン効率が54.6%に大幅低下した。
[比較例2]
実施例1との同様操作によって、樹脂構成比を1/9にして前駆体を作製後、窒素雰囲気・1100℃にて4時間焼成及び粉砕を経て負極活物質を得た。負極活物質粉末の平均粒径(D50)が約5.7μmであり、比表面積(BET)は25.3m/gを示した。29Si-NMRピークAとピークの面積比A/Bが3.9であった。また、炭素GバンドとDバンドの強度比G/Dが0.9となった。ハーフセルの充放電測定結果は、初回放電容量が1320mAh/g;初回クーロン効率が85.5%であったが、フルセルの充放電測定結果によると、室温下200サイクル後の容量維持率が76%に低下した。
[比較例3]
実施例1との同様操作によって、樹脂構成比を1/9に、Siの添加量を70%にして前駆体を作製後、窒素雰囲気・1100℃にて4時間焼成及び粉砕を経て、負極活物質を得た。負極活物質粉末の平均粒径(D50)が約5.6μmであり、比表面積(BET)は19.7m/gを示した。29Si-NMRピークAとピークの面積比A/Bが5.1であった。また、炭素GバンドとDバンドの強度比G/Dが0.96となった。ハーフセルの充放電測定結果は、初回放電容量が1920mAh/g;初回クーロン効率が87.9%であったが、フルセルの充放電測定結果によると、室温下200サイクル後の容量維持率が43%に低下した。
Figure 0007088438000009
上記表1より、A/Bが式1(0.7≦A/B≦3.0)を満たすものである場合、初回放電容量及び容量維持率がともに良好であることが分かる。

Claims (9)

  1. シリコンオキシカーバイドと炭素質相を含むマトリクス内部にシリコンナノ粒子が分散した複合粒子を含む負極活物質であって、前記複合粒子は、29Si-NMRスペクトルから得られるケミカルシフト値において、下記式1を満たすものである負極活物質。
    式1: 0.7≦A/B≦3.0
    A: Si(0価)に帰属する-70ppm~-90ppmの範囲内ピークの面積強度
    B: SiOの結合に由来する-90ppm~-130ppm範囲内ピークの面積強度
  2. 炭素質相を含む前記複合粒子のラマンスペクトルにおいて、炭素構造のGバンドとDバンドに帰属する1590cm-1と1330cm-1付近の散乱ピークを有し、それらの散乱ピーク強度比I(Gバンド/Dバンド)が、0.7~2.0の範囲にある請求項1に記載の負極活物質。
  3. 前記複合粒子における平均粒径(D50)が、1μm~20μmである請求項1又は2に記載の負極活物質。
  4. 前記複合粒子における比表面積(BET)が、1m/g~20m/gの範囲にある請求項1~3のいずれか1項に記載の負極活物質。
  5. 請求項1~4のいずれか1項に記載の負極活物質を含む非水電解質二次電池。
  6. 前記複合粒子の製造工程として、下記工程1~3を含む請求項1~4のいずれか1項に記載の負極活物質の製造方法。
    工程1: 湿式法粉砕した珪素(0価)スラリーを、ポリシロキサン化合物と炭素源樹脂を含む集合体と混合させ、撹拌・乾燥することで前駆体を得る
    工程2: 前記工程1で得られた前駆体を不活性雰囲気中、最高到達温度1000℃~1180℃の温度範囲内で焼成することにより焼成物を得る
    工程3: 前記工程2で得られた焼成物を粉砕することで負極活物質を得る
  7. 前記ポリシロキサン化合物が、シロキサン結合(Si-O-Si)主骨格の側鎖又は末端に、カルボキシ基、エポキシ基、アミノ基、又はポリエーテル基を有する請求項6に記載の負極活物質の製造方法。
  8. 前記炭素源樹脂が、芳香族炭化水素部位を含む樹脂である請求項6又は7に記載の負極活物質の製造方法。
  9. 前記芳香族炭化水素部位を含む樹脂が、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、又は熱硬化性樹脂である請求項8に記載の負極活物質の製造方法。
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