JP7342468B2 - シール型熱転写受像シート - Google Patents

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Description

本発明は、シール型熱転写受像シートに関する。
熱転写方式の印画物の製造方法において、特に中間色の再現性や階調性に優れ、高画質の画像を容易に形成可能な昇華転写方式が、デジタル写真やIDカード、クレジットカード等の券面に顔写真を形成する用途等で広く用いられている。また、アミューズメント分野では、顔写真等の画像が形成された印画物がシールとして貼れるように、離型部とシール部とが剥離可能に形成されたシール型熱転写受像シートが用いられている。
特許文献1には、このようなシール型の熱転写受像シートにおいて、粘着剤のはみ出しによる印画物の画質不良を低減させるため、改良された粘着剤が使用されたものが提案されている。また、シール型熱転写受像シートについては、シールの貼り位置がずれたり、シールを貼る対象物を変更したい場合において、容易にかつ確実に貼り換えできることが望まれる場合がある。しかし、従来のシール型熱転写受像シートでは、このような課題が考慮されておらず、一旦、貼ったシールをきれいに剥がすことが困難であったり、仮に剥がせたとしても、粘着力が低下してしまい、他の対象物に再度貼ることが困難な場合が多い。
一方、特許文献2には、被着体側の表面に多数の微小な吸盤群を有する粘着層からなるマイクロ吸盤膜が提案されている。マイクロ吸盤膜は被着体との間で繰り返しの貼り付けと剥離が可能であり、当該マイクロ吸盤膜から構成された粘着層をシール型熱転写受像シートに設けることが考えられる。ここで、当該文献の組成物は常温でもマイクロ吸盤膜を作製可能とされているが、塗布された組成物を常温乾燥するには、長時間の乾燥時間を要し、実際には加熱しながらの乾燥が必要である。しかし、シール型熱転写受像シートには、画像形成のための受容層が設けられており、粘着層としてのマイクロ吸盤膜の形成のために製造工程で加熱されると受容層が変質、変形するおそれがあり、シール型熱転写受像シートに上記組成物を塗布して利用することができなかった。
特開2017-170852号公報 特開2017-36404号公報
本開示はこのような状況に鑑みてなされたものであり、容易にかつ確実に貼り換えできるシール型熱転写受像シートを提供することを課題とする。
本実施の形態によるシール型熱転写受像シートは、離型部と、シール部とが一体をなすシール型熱転写受像シートであって、前記シール部は、前記離型部から剥離可能に設けられ、かつ、少なくとも粘着層および熱転写画像を形成可能な受容層が積層された構成を備え、前記粘着層は、前記離型部に対向して配置され、かつ、その両面に複数の凹形状を備えており、前記離型部側の面に開口する前記凹形状の各開口部の直径の平均値をDave 1とし、前記受容層側に開口する前記凹形状の各開口部の直径の平均値をDave 2としたときに、
|Dave 1-Dave 2|/Dave 2≦0.5
の関係を満たす。
本実施の別の形態によるシール型熱転写受像シートは、離型部と、シール部とが一体をなすシール型熱転写受像シートであって、前記シール部は、前記離型部から剥離可能に設けられ、かつ、少なくとも熱転写画像を形成可能な受容層を備え、前記離型部は、少なくとも粘着層および基材を備え、前記粘着層は、前記シール部に対向して配置され、かつ、その両面に複数の凹形状を備えており、前記シール部側の面に開口する前記凹形状の各開口部の直径の平均値をDave 1とし、前記受容層側に開口する前記凹形状の各開口部の直径の平均値をDave 2としたときに、|Dave 1-Dave 2|/Dave 2≦0.5の関係を満たす。
また、本実施の別の形態によるシール型熱転写受像シートにおいて、前記受容層が昇華性染料を受容可能であってもよい。
また、本実施の別の形態によるシール型熱転写受像シートにおいて、前記粘着層の層厚は、20μm以上40μm以下であってもよい。
また、本実施の別の形態によるシール型熱転写受像シートにおいて、前記粘着層は、液状の樹脂組成物に気泡を含めて乾燥させたことにより前記気泡に基づく前記凹形状が両面に複数形成されていてもよい。
また、本実施の別の形態によるシール型熱転写受像シートにおいて、前記シール部を第1シール部とするとき、前記離型部の、前記第1シール部が積層される面とは反対側の面に、第2シール部が積層されていることを特徴とするシール型熱転写受像シート。
本実施の形態によれば、容易にかつ確実に貼り換えできるシール型熱転写受像シートを提供できる。
第1実施形態のシール型熱転写受像シートの断面図である。 シール型熱転写受像シートの製造装置を説明する図である。 シール型熱転写受像シートの製造工程を説明する図である。 シール型熱転写受像シートに熱転写画像を形成する工程を説明する図および対象物に貼られたシール型熱転写受像シートの断面図である。 第1実施形態の変形例に係るシール型熱転写受像シートの断面図である。 第2実施形態のシール型熱転写受像シートの断面図である。 第3実施形態のシール型熱転写受像シートの断面図である。 第4実施形態のシール型熱転写受像シートの断面図である。 実施例のシール型熱転写受像シートの粘着層を対象物側から見た拡大写真である。 実施例のシール型熱転写受像シートのシート面に直交する方向の断面で拡大した図である。 サンプル1の観察結果を示す図である。 サンプル2の観察結果を示す図である。 サンプル3の観察結果を示す図である。 サンプル4の観察結果を示す図である。
以下、図面等を参照して、本開示のシール型熱転写受像シートの一例について説明する。ただし、本開示のシール型熱転写受像シートは、以下に説明する実施形態や実施例には限定されない。
なお、以下に示す各図は、模式的に示したものである。そのため、各部の大きさ、形状、断面図における各層の厚さの図示等は、理解を容易にするために適宜誇張している。また、各図において、部材の断面を示すハッチングを適宜省略する。本明細書中に記載する各部材の寸法等の数値および材料名は、実施形態としての一例であり、これに限定されるものではなく、適宜選択して使用できる。本明細書において、形状や幾何学的条件を特定する用語、例えば平行、直交、垂直等の用語については、厳密に意味するところに加え、実質的に同じ状態も含むものとする。また、説明の便宜上、各図において、紙面に対する上方または下方を単に上方または下方等という語句を用いて説明することがあるが、実際には上下方向が逆転してもよく、左右方向についても同様とする。
1.第1実施形態
本開示のシール型熱転写受像シートに関する第1実施形態について説明する。図1は、第1実施形態のシール型熱転写受像シート100の構成を説明する断面図である。図2は、本実施形態のシール型熱転写受像シート100の製造装置の一例を説明する概念図であり、図3は、当該シール型熱転写受像シート100の製造工程を説明する図である。以下、シール型熱転写受像シート100の構成および製造方法、工程について説明する。シール型熱転写受像シート100は、図1に示すように、下方側の離型部10と、この離型部10の上方側に積層されたシール部50との積層構造により構成され、離型部10と、シール部50とが一体をなすものである。
(a)離型部
図1に示すように、離型部10は、下方側から離型部用基材20および離型層30がこの順に積層された構成をとる。ただし、離型層30は任意の層であり、離型部用基材20の表面に微細な凹凸加工を施したりプラズマ処理等の公知の撥水加工技術等を用いて離型部材20自体に離型性を付与する場合には、離型層30を設ける必要はない。離型部10は、シール型熱転写受像シート100に熱転写画像が形成された後で、シール部50を剥がしたときに残留する部分であり、熱転写画像の形成時の搬送安定性確保や、シールとして使用する前の意図しない付着を防止する目的で設けられる。
(i)離型部用基材
離型部用基材20は、離型部10のベースとなるものであり、離型層30を介してシール部50が積層された後の熱転写画像形成の際の搬送、加工適性を付与したり、シール部50を離型部10から剥がす際の作業性を向上させる。離型部用基材20の材料の限定は特にはなく、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等の耐熱性の高いポリエステル、ポリプロピレン、ポリカーボネート、酢酸セルロース、ポリエチレン誘導体、ポリアミド、ポリメチルペンテン等のプラスチックの延伸または未延伸フィルム等を使用できる。また、これらのうち、2種以上の材料のアロイ、または、積層をしたものを使用してもよい。離型部用基材20の厚さは、要求される剛性や耐熱性等により適宜選択することが可能であるが、例えば、20μm以上200μm以下であることが好ましく、50μm以上150μm以下であることがさらに好ましい。
(ii)離型層
離型層30は、上層に積層されたシール部50の剥離を容易にするために設けられる任意の層であり、離型層30の材料としては、例えば、ワックス類、シリコーンワックス、シリコーン樹脂、シリコーン変性樹脂、フッ素樹脂、フッ素変性樹脂、ポリビニルアルコール、アクリル樹脂、ポリエステル、熱架橋性エポキシ-アミノ樹脂及び熱架橋性アルキッド-アミノ樹脂等を使用できる。また、離型層30は、上記に挙げた単一の材料を含有していてもよく、2種以上を含有していてもよい。また、前述したとおり、離型部用基材20自体に離型性を付与する場合には、離型層30を別途設ける必要はない。なお、離型層30の厚さは、例えば、0.5μm以上5μm以下としてもよい。
(b)シール部
図1に示すように、シール部50は離型部10の上方に積層され、当該離型部10に対して剥離可能に設けられた層であり、下方側から粘着層60、シール部用基材70および受容層80がこの順に積層された構成をとる。粘着層60を有するシール部50は、離型部10が離型層30を有するか否かにかかわらず、離型部10から剥離可能に設けられていればよい。シール部50は、シール型熱転写受像シート100に熱転写画像が形成された後で、これを離型部10から剥がし、任意の対象物に貼ること、および、剥がして再度貼り直すことができるものである。これにより、当該シール部50は、対象物への貼り位置がずれてしまった場合や、異なる対象物に貼り直したい場合にも、柔軟に貼り替えることができる。
(i)粘着層
粘着層60は、シール部50の最下層に設けられる層であり、離型部10の離型層30と隣接する。すなわち、粘着層60は、後述する受容層80よりも離型部10に近い側に配置され、シール部50を離型部10から剥離した後、任意の対象物に対する粘着性を有する。粘着層60は、その両面に、すなわち、シール部50と離型部10とを積層した際に離型層30側を向く面と、シール部用基材70側を向く面とに、開口した複数の凹形状610を備えている。また、粘着層60は、弾性を備えており、複数の凹形状610がそれぞれ微細な吸盤として作用することから、様々な対象物に対して粘着力(吸着力)を発揮することができる。
粘着層60は、例えば、特許文献2(特開2017-36404号公報)に開示されている液状の樹脂組成物(アクリルエマルジョン)を用いて後述する製造方法により形成される。粘着層60の層厚tは、1μm以上500μm以下であることが望ましい。上記層厚範囲の下限値を下回ると、凹形状610の形成が困難になったり、凹形状の大きさが小さくなりすぎて、粘着(吸着)特性が低下したりする。また、上記層厚範囲の上限値を越えると、シール部50としての柔軟性が低下して、作業性が悪くなる。さらに、粘着層60の両面に凹形状610を均等に設けるためには、粘着層60の層厚は、20μm以上40μm以下とすることが望ましい。この点については、後述する。
粘着層60の凹形状610の大きさや密度は、後述する製造工程における各種条件を変更することにより調整可能である。例えば、粘着層60は、凹形状610が含まれる程度を表す指標として、粘着層60の密度を用いることができる。この粘着層60の密度としては、特に限定されないが、例えば、0.1g/cm3以上0.6g/cm3以下とすることができる。また、凹形状610の大きさは、特に限定されないが、例えば、1μm以上300μm以下とすることができる。
(ii)シール部用基材
シール部用基材70は、シール部50に強度や柔軟性、加工適性等を付与する重要な部材である。シール部用基材70の材料は、上記の要件を満たす限り特に制限はなく、例えば、離型部用基材20で例示した材料を適宜選択することができ、同一材料の基材による単層構成でもよく、異なる材料の基材を積層した多層構成でもよい。また、シール部用基材70の厚さは、要求される剛性や耐熱性等により適宜選択することが可能であるが、例えば、50μm以上150μm以下であることが好ましい。
(iii)受容層
受容層80は、シール部50の一方の面側の最表面に形成され、昇華性染料または熱溶融性インキ等の熱移行性の色材を受容可能とする層である。後述するとおり、熱転写シートとシール型熱転写受像シート100とを、熱転写シートの染料層または熱溶融性インキ層と当該受容層80とが当接するように重ね合わせ、サーマルヘッドにより、熱転写シートの背面側から熱を印加することにより、受容層80に熱転写画像を形成することができる。本実施形態では受容層80を、昇華性染料が受容可能な層とし、染料層を有する熱転写シートを用いて熱転写画像を形成している。なお、熱転写画像の上に、保護層をさらに転写してもよい。
受容層80の成分について特に限定はなく、熱転写受像シートに用いるものとして公知の受容層を適宜選択して用いることができる。例えば、ポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂、ポリ塩化ビニルもしくはポリ塩化ビニリデン等のハロゲン化樹脂、ポリ酢酸ビニル、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体、エチレン-酢酸ビニル共重合体もしくはポリアクリル酸エステル等のビニル樹脂、ポリエチレンテレフタレートもしくはポリブチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアミド樹脂、エチレンもしくはプロピレン等のオレフィンと他のビニルポリマーとの共重合体、アイオノマーもしくはセルロースジアセテート等のセルロース樹脂、ポリカーボネート、アクリル樹脂等の溶剤系の樹脂を挙げることができる。これらの材料は1種を単独で使用してもよく、2種以上を組合せて使用してもよい。受容層80の厚みについて特に限定はないが、0.5μm以上10μm以下であることが好ましく、1μm以上5μm以下であることがより好ましい。
(iv)プライマー層
シール部50を構成する各構成部材間、すなわち各層間に、層間密着性を向上させるための図示しないプライマー層を設けてもよい。プライマー層は、シール部50を構成する全ての層間に設けてもよく、何れかの層間に設けてもよい。例えば、シール部用基材70と受容層80との間にプライマー層を設けることができる。
プライマー層の成分としては、例えば、ポリエステル、ポリアクリル酸エステル、ポリ酢酸ビニル、ポリウレタン、スチレンアクリレート樹脂、ポリアクリルアミド、ポリアミド、ポリエーテル、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニルやポリビニルアルコールやポリビニルピロリドン等のビニル樹脂、ポリビニルアセトアセタールやポリビニルブチラール等のポリビニルアセタール、無機粒子等を挙げることができる。 プライマー層の厚さについて特に限定はないが、0.8μm以上2.5μm以下であることが好ましく、1μm以上2.5μmであることがより好ましい。
なお、シール型熱転写受像シート100の全体の厚さについて特に限定はないが、150μm以上300μm以下が一般的であり、好ましくは、200μm以上250μm以下である。また、シール部50を構成する層に、着色剤等を添加してもよい。
(c)シール型熱転写受像シートの製造工程
次に、図2および図3に基づいて、シール型熱転写受像シート100の製造装置および製造工程について説明する。図2は、シール型熱転写受像シート100の製造装置を説明する図であり、図3は、シール型熱転写受像シート100の製造工程を説明する図である。
まず、図2および図3(b)に示すように、粘着層60を形成するための特許文献2に開示されているアクリルエマルジョンの組成物を攪拌機に入れ、この組成物中に窒素ガスを混合しながら攪拌を行い、組成物中に気泡を含め、気泡含有した樹脂組成物600を作製する(P1:泡立て工程)。
次に、図3(a)に示すような、離型部用基材20と離型層30とが積層された離型部10を準備し、その後、図2および図3(b)に示すように、離型部10の離型層30の面上に気泡含有した樹脂組成物600を塗工する(P2:塗工工程)。塗工工程では、例えば、コンマコータ(登録商標)を用いることができるが、その他の公知の塗工手法を用いてもよい。
離型部10の上層に気泡含有の樹脂組成物600を塗工したら、図2および図3(c)に示すように、当該樹脂組成物600を加熱しながら乾燥させて粘着層60を形成する(P3:乾燥工程)。乾燥工程では、例えば、温度を60℃以上140℃以下程度の乾燥炉を用いることができる。乾燥時間としては、例えば、30秒以上10分以下程度を例示することができる。また、乾燥工程では、気泡含有の樹脂組成物600に対して送風を行いながら乾燥を促進してもよい。乾燥工程を行うことにより、当該樹脂組成物600の両面に凹形状610が形成されて、粘着層60が形成される。
この凹形状610は、気泡含有の樹脂組成物600中に含まれていた気泡が破泡して気泡の形状の一部が残ることにより形成される。ここで、樹脂組成物600の硬化が不十分な状態で気泡が破泡すると凹形状610が残りにくくなる。一方、気泡が破泡する前に樹脂組成物600が硬化してしまうと、凹形状610が形成されないおそれがある。よって、ある程度、気泡含有の樹脂組成物600の硬化が進んだ状態で破泡が行われる条件で乾燥工程が行われることが望ましい。したがって、乾燥工程における温度や送風量が、凹形状610の状態に大きく影響を与える。
乾燥工程により粘着層60を形成した後、図2および図3(d)に示すように、別途用意したシール部用基材70と受容層80とが積層されたシートを粘着層60と接合させる(図中のP4:ラミネート工程)。このラミネート工程では、粘着層60の凹形状610による吸着力(粘着力)によってラミネートを行うので、加熱が不要であり、また、わずかな加圧力だけで接合が可能である。よって、別途用意したシール部用基材70と受容層80とが積層されたシートに品質的なダメージを与えることが抑制される。
上記ラミネート工程が完了すれば、シール型熱転写受像シート100が完成する。以上のように、本実施形態のシール型熱転写受像シート100の製造では、シール部用基材70と受容層80とが積層されたシートに粘着層60を形成する際、熱によるダメージを与えることなく、シール型熱転写受像シート100を効率よく製造可能である。なお、シール型熱転写受像シート100は、その後、ロール状に巻き取ってもよいし、必要なサイズに裁断されてもよい。
(d)シール型熱転写受像シートへの画像形成、対象物への貼り付け
次に、図4に基づいて、上記の工程を経て製造されたシール型熱転写受像シート100に熱転写画像を形成し、任意の対象物に貼る点について説明する。図4(a)は、熱転写プリンタ900の概略構造を示す図である。また、図4(b)は、熱転写画像400が形成されたシール型熱転写受像シート101を示す断面図であり、図4(c)は、当該シール型熱転写受像シート101を部分的に剥がして、シール部50Aとして、対象物500に貼り付けた状態を示す断面図である。なお、本実施形態では、便宜上、熱転写画像形成前のシール型熱転写受像シートをシール型熱転写受像シート100とし、熱転写画像形成後のシール型熱転写受像シートをシール型熱転写受像シート101としている。
まず、ロール状に巻き取られたシール型熱転写受像シート100が熱転写プリンタ900内部の図示しないホルダーに保持され、ロール状の巻取状態からシール型熱転写受像シート100が記録部910のサーマルヘッド901の下端部付近に供給されるように搬送される。また、記録部910には、色材層を有する熱転写シート200が供給ロールから巻上ロールに巻き取られる形態で熱転写プリンタ900内部の図示しないホルダーに保持され、記録部910のサーマルヘッド901とプラテンロール902との間に熱転写シート200とシール型熱転写受像シート100とが重ね合わせられて挿入される。このとき、熱転写シート200の染料層とシール型熱転写受像シート100の受容層80とが当接する。この状態で、サーマルヘッド901の加熱及び加圧により、熱転写シート200の色材層が熱転写画像400としてシール型熱転写受像シート100の受容層80に転写されることにより印画される。なお、熱転写画像の形成は、昇華転写方式に限らず、溶融転写方式であってもよい。
このようにして、図4(b)および図4(c)に示すように、熱転写画像400が受容層80に転写されたシール型熱転写受像シート101は、離型部10とシール部50との界面となる離型層30をきっかけとして、シール部50の部分を分離することができる。ここで、あらかじめ、熱転写画像形成前のシール型熱転写受像シート100または熱転写画像形成後のシール型熱転写受像シート101には、シール部50を個片部分として剥離できるように、切れ込み310、320を形成している。切れ込み310、320は、シール部50の表裏を厚さ方向に向けて貫通し、かつ、少なくとも離型部10の全部を貫通しない深さで設定されたハーフカットである。このように切れ込みを形成しておけば、図4(c)に示すように、対象物500に対して所望のサイズのシール部50Aを貼ることができる。シール部50Aは、略同一サイズの粘着層60A、シール部用基材70A、および熱転写画像400が形成された受容層80Aから構成される。
図4(c)のように対象物500に貼り付けられた部分的なサイズのシール部50Aは、粘着層60Aを介して対象物500の表面と粘着している。露出した粘着層60Aを対象物500に貼り付けて、その表面に適度な圧力を加えることにより、粘着層60Aの露出面に多数存在する凹形状610が弾性変形することにより従来のマイクロ吸盤と同様な作用によって対象物500に対して吸着(粘着)するものと推測される。
すなわち、凹形状610の周囲の弾性変形によって、凹形状610には、変形状態から元の形状に戻ろうとする力が働き、この力により、凹形状610内の密閉空間が負圧となって、対象物500への吸着作用が生じると推測されるが、必ずしも当該メカニズムに依るものとは限らない。なお、凹形状610単体での吸着力は弱いものであるが、多数の凹形状610が形成されているので、全体としては必要な吸着力を確保できる。また、粘着層60の作製時に、凹形状610が含まれる量を、例えば、密度をパラメータとして調整すれば、粘着層60の粘着力(吸着力)を調整可能である。
このように、シール部50Aは十分な粘着力を有して対象物500に粘着しているが、もしも、貼り付け位置を間違えてずれた位置に貼ってしまった場合や、別の対象物に貼り直したい場合には、当該粘着層60Aが、前述のとおり弾性を備えており、複数の凹形状610がそれぞれ微細な吸盤として作用すると考えられることから、シール部50Aを比較的容易に当該対象物500から剥がして、再度、貼り直すことができる。また、貼り直した際にも、複数の凹形状610がそれぞれ微細な吸盤として作用すると考えられることから、再度の貼り付けによる粘着力の低下もなく、シール部50Aを比較的強固に対象物に貼り付けることができる。
2.第1実施形態の変形例
次に、第1実施形態のシール型熱転写受像シート100とは層構成が若干異なる変形例について説明する。図5は、第1実施形態の変形例を示すシール型熱転写受像シート110の構成を説明する断面図である。本変形例のシール型熱転写受像シート110は、図5に示すように、下方側の離型部11と、この離型部11の上方側に積層されたシール部51との積層構造により構成されている。
(a)離型部
図5に示すように、離型部11は、下方側から離型部用基材21および粘着層61がこの順に積層された構成をとる。すなわち、第1実施形態では、シール部50側に積層されていた粘着層60が、本変形例では、離型部11側に粘着層61として設けられる点が第1実施形態とは異なる。なお、離型部用基材21および粘着層61の材料構成は、第1実施形態で例示した離型部用基材20および粘着層60の材料構成と同様にできる。
(b)シール部
シール部51は離型部11の上方に積層された層であり、下方側から離型層31、シール部用基材71および受容層81が積層された構成をとる。本変形例は、第1実施形態の層構成に対して、離型層30と粘着層60の配置のみが入れ替わった積層構成となっている。なお、本変形例では、離型部11に粘着層61が含まれ、シール部51に離型層31が含まれているが、シール部51が離型層31を有するか否かにかかわらず、シール部51は、粘着層61を含む離型部11から剥離可能に設けられていればよい。シール部51は、第1実施形態のシール型熱転写受像シート100と同様に、シール型熱転写受像シート110に熱転写画像が形成された後で、これを離型部11から剥がすことができる。本変形例は、例えば、成形品の意匠性を得るために、成形品に対して、熱転写画像を有する受容層81の部分を被着させる、いわゆる加飾シートの分野で利用できる。この場合、受容層81に熱転写画像を形成するまでは、搬送適性や加工適性を考慮して、シール型熱転写受像シート101を、離型部11も含めたある程度の厚さにして加工し、成形品に被着させる前に当該離型部11を剥がして、シール部51を極力薄い加飾シートとすることができる。
3.第2実施形態
続けて、本開示のシール型熱転写受像シートに関する第2実施形態について説明する。図6は、第2実施形態のシール型熱転写受像シート120の構成を説明する断面図である。シール型熱転写受像シート120は、下方側の第2シール部53、離型部12、および第1シール部52が、この順に積層された構成を有している。本実施形態は、上下方向の略中央に配置される離型部12の表裏両面にシール部として第1シール部52および第2シール部53を備えるもので、表裏いずれからもシール部を剥がして対象物に貼ることができる。
(a)第1シール部
図6に示すように、第1シール部52は上下方向の略中央に配置される離型部12の上方に積層された層であり、下方側から粘着層62、シール部用基材72および受容層82がこの順に積層された構成をとる。すなわち、離型部12および第1シール部52の層構成だけを見た場合、離型部12に離型層33があることを除けば、第1実施形態のシール型熱転写受像シート100の層構成と同一となる。第1シール部52は、シール型熱転写受像シート120の受容層82側に熱転写画像が形成された後で、これを離型部12から剥がし、任意の対象物に貼ること、および、剥がして再度貼り直すことができる。なお、粘着層62、シール部用基材72および受容層82の材料構成は、第1実施形態で例示した粘着層60、シール部用基材70および受容層80の材料構成と同様にできる。
(b)離型部
離型部12は、下方側から離型層33、離型部用基材22および離型層32がこの順に積層された構成をとる。第1実施形態では、離型部用基材20の片側面にしか離型層は形成されていなかったが、本実施形態では、離型部12の両面に第1シール部52および第2シール部53を備えるため、離型層も離型部用基材22の両面に設けられている。なお、離型部用基材22および離型層32、33の材料構成は、第1実施形態で例示した離型部用基材20および離型層30の材料構成と同様にできる。
(c)第2シール部
また、第2シール部53は離型部12の、第1シール部52とは反対側に積層された層であり、図6の下方側から受容層83、シール部用基材73および粘着層63がこの順に積層された構成をとる。すなわち、離型部12および第2シール部53の層構成だけを見た場合、離型部12に離型層32があることを除けば、第1実施形態のシール型熱転写受像シート100の層構成と同一となる。言い換えると、離型部12を中心として、第1シール部52および第2シール部53は、互いに対称的な層構成を有している。しかし、第1シール部52および第2シール部53が、完全に上下対称の層構成である必要はなく、第1シール部52および第2シール部53のいずれかに異なる層構成が付加または削除された構成としてもよく、また、第1シール部52および第2シール部53を構成する受容層、シール部用基材および粘着層の厚さや成分が各々異なるようにしてもよい。
第2実施形態のシール型熱転写受像シート120は、その表裏両面に受容層82および83がそれぞれ設けられているため、シール型熱転写受像シート120の表裏両面に熱転写画像を形成することができる。これにより、シール型熱転写受像シートの片側のみに熱転写画像を形成する場合に比べて、同一長さ、面積のシール型熱転写受像シートにより多くのシール部を形成することができる。また、前述の熱転写プリンタ900において、記録部910をシール型熱転写受像シートの表裏面に対応する位置に設けておけば、表裏の画像形成を1工程でできるようになり、生産効率の向上も図れる。
4.第3実施形態
続けて、本開示のシール型熱転写受像シートに関する第3実施形態について説明する。図7は、第3実施形態のシール型熱転写受像シート130の構成を説明する断面図である。シール型熱転写受像シート130は、図7に示すように、下方側から離型部15、第2シール部55、および第1シール部54が、この順に積層された構成を有している。本実施形態は、離型部に対して同じ側に二重のシール部が積層された構造となっている。このような構成により、シール型熱転写受像シート130から、第1シール部54を剥がして所定の対象物に貼った後、第2シール部55を剥がして当該第1シール部54の上に重ねて貼ることができる。これによって、第2シール部55を第1シール部の保護シートとして利用することができる。
(a)離型部
図7に示すように、離型部15は、下方側から離型部用基材25および離型層35が積層された構成をとる。離型層35の上層には、第2シール部55の粘着層65が当接するため、当該当接部分を界面として第2シール部55を離型部15から容易に剥がしたり、再粘着させることができる。なお、離型部用基材25および離型層35の材料構成は、第1実施形態で例示した離型部用基材20および離型層30の材料構成と同様にできる。
(b)第1シール部
第1シール部54は後述する第2シール部55の上方に積層された層であり、下方側から粘着層64、シール部用基材74および受容層84がこの順に積層された構成をとる。第1シール部54は、シール型熱転写受像シート130の受容層84に熱転写画像が形成された後で、これを第2シール部55との界面から剥がし、任意の対象物に貼ること、および、剥がして再度貼り直すことができる。なお、粘着層64、シール部用基材74および受容層84の材料構成は、第1実施形態で例示した粘着層60、シール部用基材70および受容層80の材料構成と同様にできる。
(c)第2シール部
第2シール部55は、前述の離型部15に積層される層であり、図7の下方側から粘着層65、シール部用基材75および離型層34がこの順に積層された構成をとる。離型層34の上層には、前述の第1シール部54が積層される。粘着層65、シール部用基材75および離型層34の材料構成は、第1実施形態の粘着層60、シール部用基材70および離型層30について例示したものを用いることができ、第1シール部54と同じ材料でもよく、異なる材料でもよい。なお、第1シール部54を対象物に貼り付けた後、第2シール部55を重ねて貼る保護シートとして用いるため、シール部用基材75および粘着層65を透明性のある材料で形成することが好ましい。
第3実施形態のシール型熱転写受像シート130は、離型部15の上層側に第2シール部55と第1シール部54との二重構造のシール部を備えているため、第2シール部55を透明性のある部材で構成することが好ましい。これにより、第1シール部54を対象物に貼り付けた後、第2シール部55を、当該第1シール部54に重ねて保護シートとして貼ることで、第1シール部54の耐久性や耐薬品性等を一層向上させることができる。
5.第4実施形態
次に、本開示のシール型熱転写受像シートに関する第4実施形態について説明する。図8は、第4実施形態のシール型熱転写受像シート140の構成を説明する断面図である。シール型熱転写受像シート140は、図8に示すように、下方側から離型部16およびシール部56が積層された構成を有している。本実施形態は、離型部にも受容層87が設けられ、シール部55を剥がした後の離型部16にも熱転写画像420が形成されているため、通常は廃棄対象となる使用済みの離型部16に付加価値を持たせることができる。また、シール部55側の受容層86と、離型部16側の受容層87とが、それぞれオンデマンドで熱転写画像を形成できるため、表裏の画像同士に何らかの関連付けをすることにより、一層の付加価値を与えることもできる。
また、離型部用基材26を透明基材とし、受容層87に熱転写画像420を形成した後、これに隠蔽用の印刷層または基材層を積層することも可能であり、この場合には、シール部56を剥がしたときのみ、離型部16の熱転写画像420を透明な離型部用基材26を通して視認できる。このような構成とすれば、例えば、くじ引きの当たり、はずれの結果や当選番号、おみくじの吉、凶等の結果を示す熱転写画像を、受容層87にオンデマンドで形成する、といった活用方法が可能である。なお、本実施形態のシール型熱転写受像シート140は、第1実施形態のシール型熱転写受像シート100に対して、離型部側の表面に追加の受容層を設けていることのみが異なるため、詳細の説明を省略する。
次に実施例を挙げて、本発明を更に具体的に説明する。
1.シール型熱転写受像シートの作成
第1実施形態のシール型熱転写受像シート100を実際に作製した例を示し、比較例と比較した結果を説明する。実施例のシール型熱転写受像シート100では、離型部用基材20として、離型性を備えた2軸延伸PETフィルムを使用し、当該フィルム上に、200μmのクリアランスを有するコンマコータ(登録商標)を用いて泡立て工程済みの気泡含有の樹脂組成物600を塗布した。これを100℃の乾燥炉内で1分間乾燥を行って粘着層60を形成し、これに受容層80が積層されたシール部用基材70をラミネートしてシール型熱転写受像シート100を得た。なお、この場合の粘着層60の密度は、0.39g/cm3であり、厚さ50μmであった。
なお、図9は、実施例のシール型熱転写受像シート100からシール部50を剥がしたときの粘着層60を、当該粘着層60の表面側からみて拡大した写真であり、図10は、実施例のシール型熱転写受像シート100の粘着層60のシート面に直交する方向の断面で拡大した図である。図9および図10に示すように、粘着層60には、多数の凹形状610が形成されている。
一方、比較例1として、泡立て工程を行わない他は、上記実施例と同様にして作製したシール型熱転写受像シートを作製した。作製後の粘着層の密度は、0.87g/cm3であり、厚さ100μmであった。比較例2として、アクリル樹脂である綜研化学社製:SK2094を用いて粘着層を作製したシール型熱転写受像シート(アクリル粘着Aタイプとする)を用意した。また、比較例3として、アクリル樹脂である綜研化学社製:SK1502Cを用いて粘着層を作製したシール型熱転写受像シート(アクリル粘着Bタイプとする)を用意した。
2.実施例、比較例に関する剥離力の測定結果
以上の4種類のシール型熱転写受像シートを用意し、剥離力について比較した。剥離力は、引張り試験機を用いて、引張り速度300mm/minで180°剥離を行い、そのときの剥離力を測定した結果である。また、剥離力の測定は、貼り付け直後(0時間)と、貼り付け後1000時間経過とについて行った。その結果、貼り付け直後(0時間)の実施例、比較例1、2および3の剥離力はそれぞれ、2.6、4.9、5.1および5.8(単位:N/25mm)であり、貼り付け後1000時間経過後の実施例、比較例1、2および3の剥離力はそれぞれ、5.1、12.1、17.3および21.5(単位:N/25mm)であった。
実施例では、貼り付け直後及び1000時間経過後の双方において、比較的小さな剥離力で剥離できることがわかる。この程度の剥離力であれば、自然に剥がれてしまうことはなく、かつ、剥がそうとして力を加えれば簡単に剥がすことが可能である。しかも、凹形状610による吸着であることから、剥離後に対象物の表面に粘着層60の残留が無く、また、粘着層60自体の粘着力(剥離力)も実質上の変化は無く、再貼り付け可能であった。
一方、比較例1は、小片であれば比較的小さな剥離力で剥離できるが、大サイズの場合は剥離にある程度の力が必要であった。また、剥離後には対象物の表面に粘着層の残留が見られ、完全な再貼り付けは不可能であった。また、比較例2は、大サイズの場合は剥離にある程度の力が必要であり、貼り付け直後であれば、剥がすことは可能であるが、1000時間経過後では、剥離力が大幅に上昇してしまっており、手作業では剥離が困難であったり、無理に剥がすと表層シートが破損したりするおそれがある状態になっていた。さらに、比較例3は、貼り付け直後から剥離力が大きすぎて、手作業では剥離が困難であったり、無理に剥がすと表層シートが破損したりするおそれがある状態になっていた。また、比較例2及び比較例3のいずれも、剥離後は、被着体に粘着剤が一部残ってしまったり、粘着力の低下があったりして、再貼り付けには適していなかった。
3.粘着層の凹形状について検証実験
上述したように、本開示において、粘着層60の凹形状610が粘着力に大きな影響を与える。凹形状610が粘着層60の両面に均等に設けられていないと、粘着層の一方の面が他方の面に比べて粘着力(吸着力)が低下、または、増加してしまうおそれがある。また、凹形状610が粘着層60の両面に均等に設けられることにより、粘着層60の物理的性質も均質になり、シール部50と離型部10、または、シール部50と貼り付ける対象物との両者に対する十分な粘着力及び被着体との再剥離性の発現の上でも好ましい。
凹形状610を粘着層60の両面に均等に設けるためには、粘着層60の塗布量(層厚t)の管理が重要である。この点、特許文献2(特開2017-36404号公報)においては、何ら考慮されておらず、単にマイクロ吸盤が形成されていればよいとされている。特許文献2では、WET膜厚800μmとして形成した実施例1の断面写真である図2(特許文献2の図2)において、マイクロ吸盤を有する面として示されている部分には、微細な吸盤構造が形成されているものの、ガラス基板から剥離した面として示されている部分には、先の微細な吸盤構造とは比べものにならない程巨大な気泡と思われる構成が確認できる。すなわち、特許文献2の構成では、粘着層の一方の面にはマイクロ吸盤(本実施形態における凹形状610に相当)が形成されているが、他方の面には、マイクロ吸盤(凹形状610)が略形成されていない。
この点を本件出願人においても、検証実験を行なった。検証実験として、4種類の粘着層のサンプルを作製し、その両面の凹形状610をSEMで観察した。サンプルは、サンプル1、2、3および4であり、それぞれの粘着層の層厚が、25μm、30μm、35μmおよび約2000μmである。なお、これらのサンプルの層厚は、乾燥後のものである。また、サンプル1、2および3については、コーターを用いてガラス面に発泡処理後の気泡含有の樹脂組成物600を塗工し、100℃の乾燥炉を用いて乾燥処理を行なった。サンプル4については、ガラス面への滴下塗布とし、常温下の自然乾燥とした。なお、サンプル4について乾燥条件を変えたのは、特許文献2における常温乾燥で十分であるとの記載についても検証するためである。また、いずれのサンプルも、発泡処理後の粘着層の密度は、0.4g/cm3とした。
図11は、サンプル1の観察結果を示す図であり、図12は、サンプル2の観察結果を示す図である。また、図13は、サンプル3の観察結果を示す図であり、図14は、サンプル4の観察結果を示す図である。図11、図12および図13のように、粘着層の層厚tを管理したサンプル1からサンプル3については、微細な凹形状610が両面に均等に形成されていることが確認できた。これに対して、図14に示す膜厚が厚いサンプル4では、乾燥面とガラス側面とで凹形状610の大きさに極端な差異が認められ、特許文献2の図2と同様な結果が得られた。よって、粘着層60の両面に凹形状610を均等に設けるためには、粘着層60の層厚tは、20μm以上40μm以下とすることが望ましいと判断できる。
ここで、この凹形状610が粘着層60の両面に複数形成され、かつ均等に設けられている状態について、より詳しくは、以下に示すような関係を満たすことが望ましい。シール部50側の面に開口する凹形状610の各開口部の直径の平均値をDave 1とし、離型部10側に開口する凹形状610の各開口部の直径の平均値をDave 2としたときに、
|Dave 1-Dave 2|/Dave 2≦0.5
の関係を満たすことが望ましい。
また、
|Dave 1-Dave 2|/Dave 2≦0.25
の関係を満たすことがさらに望ましい。
これらの関係を満たすことにより、粘着層60の両面における粘着力の差異を少なくすることができ、また、シール部50と離型部10、または、シール部50と対象物との両者に対する十分な粘着力および対象物との再剥離性を良好に発現させることができる。なお、各開口部の直径の平均値とは、全ての開口部の平均を求めることは現実的には不可能であるので、ここでは、1500μm×1100μmの観察範囲内において、直径が大きい開口部から順に3個の開口部について直径の計測を行ない、その平均値とした。
ここで、図11から図14のサンプルについて、開口部の計測を行ない、|Dave 1-Dave 2|/Dave 2 を求めたところ、サンプル1:0.04、サンプル2:0.06、サンプル3:0.12、サンプル4:0.69であった。
10、11、12、15、16 離型部
20、21、22、25、26 離型部用基材
30、31、32、33、34、35、36 離型層
50、50A、51、56 シール部
52、54 第1シール部
53、55 第2シール部
60、60A、61、62、63、64、65、66 粘着層
70、70A、71、72、73、74、75、76 シール部用基材
80、80A、81、82、83、84、86、87 受容層
90 隠蔽層
100、101、101A、110、120、130、140 シール型熱転写受像シート
200 熱転写シート
310、320 切込み
400、410、420 熱転写画像
500 対象物
600 樹脂組成物
610 凹形状
900 熱転写プリンタ
901 サーマルヘッド
902 プラテンロール
910 記録部

Claims (4)

  1. 離型部と、シール部とが一体をなすシール型熱転写受像シートであって、
    前記シール部は、前記離型部から剥離可能に設けられ、かつ、少なくとも粘着層および
    熱転写画像を形成可能な受容層が積層された構成を備え、
    前記粘着層は、前記離型部に対向して配置され、かつ、その両面に複数の凹形状を備え
    ており、
    前記粘着層の層厚は、20μm以上40μm以下であり、かつ前記粘着層の密度が0.1g/cm 3 以上0.6g/cm 3 以下であり、
    前記離型部側の面に開口する前記凹形状の各開口部の直径の平均値をDave 1とし、前記
    受容層側に開口する前記凹形状の各開口部の直径の平均値をDave 2としたときに、
    |Dave 1-Dave 2|/Dave 2≦0.5
    の関係を満たす、シール型熱転写受像シート。
  2. 離型部と、シール部とが一体をなすシール型熱転写受像シートであって、
    前記シール部は、前記離型部から剥離可能に設けられ、かつ、少なくとも熱転写画像を
    形成可能な受容層を備え、
    前記離型部は、少なくとも粘着層および基材を備え、
    前記粘着層は、前記シール部に対向して配置され、かつ、その両面に複数の凹形状を備
    えており、
    前記粘着層の層厚は、20μm以上40μm以下であり、かつ前記粘着層の密度が0.1g/cm 3 以上0.6g/cm 3 以下であり、
    前記シール部側の面に開口する前記凹形状の各開口部の直径の平均値をDave 1とし、前
    基材側に開口する前記凹形状の各開口部の直径の平均値をDave 2としたときに、
    |Dave 1-Dave 2|/Dave 2≦0.5
    の関係を満たす、シール型熱転写受像シート。
  3. 前記受容層が昇華性染料を受容可能である、請求項1または2に記載のシール型熱転写
    受像シート。
  4. 請求項1からのいずれかに記載のシール型熱転写受像シートにおいて、
    前記シール部を第1シール部とするとき、前記離型部の、前記第1シール部が積層され
    る面とは反対側の面に、第2シール部が積層されていることを特徴とするシール型熱転写
    受像シート。

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