JP7342462B2 - 浴室の天井部材または壁部材 - Google Patents

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本発明は、浴室の天井部材または壁部材、とりわけ菌やカビの発生を抑制可能な浴室の天井部材または壁部材に関する。
浴室の天井はシャワーの水や入浴による跳ね水などの付着が比較的少ない箇所であるが、結露水が発生することもあり、菌やカビが発生・生育してしまう。また、浴室の天井は清掃し難い箇所であり、このような箇所に抗菌防カビ機能が付加されることが望まれる。例えば、特開昭62-264249号公報(特許文献1)には、浴室の天井に接着剤層を設け、この接着剤層に吸水樹脂を固着させるとともに、これら接着剤層および/または吸水樹脂に防カビ剤を含浸および/または混合させることが開示されている。これにより、天井に発生した結露水の落下、湿気等によるカビの発生を防止するとしている。また、浴室の壁についても、壁面についた水は基本的に流れ落ちるが、同様に菌やカビが発生・生育する。
上記従来技術に加えて、さらにより効率的に浴室の天井または壁材において菌やカビの発生を抑制する手法が依然望まれている。
特開昭62-264249号公報
本発明者らは、浴室の天井部材および壁部材が晒される環境と、天井部材および壁部材における抗菌防カビ作用の発現との関係、特に部材表面に抗菌防カビ剤を含むフィルムを備える構造のこれら部材における抗菌防カビ作用の発現との関係について検討を行った。
その結果、本発明者らは、部材表面に抗菌防カビ剤を含むフィルムを備える構造の浴室の天井部材および壁部材にあって、2種類の特定の有機系抗菌防カビ剤を含ませることにより、日常的な使用によって浴室が置かれる環境下、とりわけ高温および低温双方の環境下において、これら部材への菌やカビの発生を長期的に抑制することができるとの知見を得た。本発明者らの知る限りでは、浴室の温度変化、さらに浴室乾燥機使用時の温度変化を考慮して、浴室の天井部材または壁部材の防菌防カビ作用の発現を検討した報告はなされていない。本発明は斯かる知見に基づきなされたものである。
したがって、本発明は、菌やカビの発生を長期的に抑制可能な、すなわち抗菌性および防カビ性を長期的に維持可能な、浴室の天井部材または壁部材の提供をその目的としている。
そして、本発明による浴室の天井部材または壁部材は、
第1の有機系抗菌防カビ剤と第2の有機系抗菌防カビ剤とを含んでなる樹脂フィルムを備え、
前記第1および第2の有機系抗菌防カビ剤は、前記部材の表面に付着する水分に溶出して、前記部材の表面に抗菌防カビ性を付与し、
前記第1の有機系抗菌防カビ剤は、前記浴室の天井部材または壁部材を45℃、240時間の条件で放置した後の、40℃におけるその溶出速度が、前記浴室の天井部材または壁部材を前記条件で放置する前の、40℃におけるその溶出速度と同一であるものであり、
前記第2の有機系抗菌防カビ剤が、10℃および20℃の温度において、前記第1の有機系抗菌防カビ剤よりも溶出速度が常に大きいものである
ことを特徴とする。
一般的な浴室ユニットおよびその構成部材を示す模式図である。 本発明による浴室の天井部材または壁部材の構成を示す模式図である。 試験1で用意した、浴室乾燥機の使用を想定した評価試験のための積層体サンプルの斜視図である。
浴室の天井部材または壁部材
図1は、一般的な浴室ユニットおよびその構成部材を示す模式図である。図1に示す態様の浴室ユニット500は、浴槽510、床520、カウンター531、鏡533、シャワー534、壁部材541、542、543、544、および天井部材550を備える。本発明による天井部材または壁部材は、このような浴室ユニットの天井部材550および壁部材541、542、543、544として用いられる。
図2は、本発明による浴室の天井部材または壁部材の基本的な構成を示す模式図である。本発明による天井部材または壁部材1は、樹脂フィルム10を、基板11の上に備える基本構造を有する。例えば、基板11に樹脂フィルム10を貼り合せた積層体である。基板11は、浴室ユニット500の天井および壁を構成する部材であり、基板11としては、例えば鋼板、アルミニウム、ステンレスなどが挙げられ、好ましくは鋼板である。鋼板としては、例えば冷延鋼板、溶融亜鉛-アルミニウム-マグネシウム合金めっき鋼板、溶融亜鉛めっき鋼板、電気亜鉛めっき鋼板などが挙げられ、好ましくは溶融亜鉛めっき鋼板である。さらに構造材としての石膏ボード12等に基板11を載せてなる。図2に示す態様では、樹脂フィルム10は、基板11と樹脂フィルム10との間に例えば接着剤(図示せず)で貼り付けられている。なお、図2中、矢印は天井部材または壁部材1から見て浴室空間内部の方向を示す。
本発明において、樹脂フィルムは二種類の抗菌防カビ剤を含み、この二種の抗菌防カビ剤は、この樹脂フィルムを備えた天井部材または壁部材を、45℃、240時間の条件で放置した後の、40℃におけるその溶出速度が、浴室の天井部材または壁部材を前記条件で放置する前の、40℃におけるその溶出速度と同一である第1の有機系抗菌防カビ剤と、10℃および20℃の温度において、第1の有機系抗菌防カビ剤よりも溶出速度が常に大きい第2の有機系抗菌防カビ剤とからなる。このような二種の抗菌防カビ剤を含むことで、本発明による浴室の天井部材または壁部材は、優れた抗菌防カビ作用を発現させることができる。
本発明による天井部材または壁部材は、以下のような浴室が晒される広範な温度、水が比較的少ない箇所、そして抗菌防カビ剤を存在させる量に制限のあるといった状況において、抗菌防カビ活性を効率よく発揮し、菌やカビの発生を長期的にわたり抑制するとの効果が得られる。
浴室は、入浴していない状態では一般的には室温にあり、入浴時に内部の温度が上昇する。また、浴室乾燥機を備えている場合には、その使用時にも内部の温度は上昇する。さらに、入浴していない状態であっても、冬場のような低い外気温から夏場の高い外気温に晒される。他方、抗菌防カビ剤は、それを含む部材の表面に付着した水に溶けだし、その抗菌防カビ活性を発現させるものであるため、その溶出は浴室が晒される広範な温度範囲において確保される必要がある。すなわち、入浴していない状態の温度、冬場のような低い温度でも水に溶け出しその抗菌防カビ活性を発現させることができる必要がある。さらに、入浴時、夏場の気温、そして浴室乾燥機の使用時のような高い温度は、抗菌防カビ剤の水への溶出には、低温の環境に比較して有利ではあるが、一方で、熱により抗菌防カビ剤が樹脂成形体(樹脂フィルム)に安定して留まることができず、一定時間が経過すると抗菌防カビ活性が失われるおそれがある。
加えて、本発明による天井部材または壁部材にあっては、基板の上に樹脂フィルムを備える構成であり、抗菌防カビ剤はこの樹脂フィルムに含有される。樹脂フィルムは薄膜であるから、それに含有できる抗菌防カビ剤の量は制限され、限られた量により活性を発現させなければならない制限がある。
上記のような広範な温度範囲、そして抗菌防カビ剤を存在させる量に制限のある状況において、本発明による浴室の天井部材または壁部材は、優れた抗菌防カビ作用を発現する。この効果は、樹脂フィルムが、第1の有機系抗菌防カビ剤と第2の有機系抗菌防カビ剤との双方を含むことにより、高温環境では、第1の有機系抗菌防カビ剤が溶出することで、抗菌防カビ性能を長期間維持することができ、低温環境では、第2の有機系抗菌防カビ剤が溶出することで、抗菌防カビ性能を長期間維持することができることに起因する。すなわち、高温耐性を有するが低温環境下で溶出し難い第1の有機系抗菌防カビ剤と、低温環境下で溶出するが高温環境下で熱劣化する第2の有機系抗菌防カビ剤との双方を含むことにより、高温環境および低温環境双方において、抗菌防カビ剤を適切に溶出させることができ、そして抗菌防カビ性能を長期的に維持することができると考えられる。
本発明の一つの態様によれば、本発明による天井部材または壁部材は、浴室乾燥機が設置された浴室において有利に使用できる。高温環境下においても良好な抗菌防カビ作用が発現できるからである。
樹脂フィルム
本発明において、樹脂フィルム10は、主成分としての樹脂と、第1の有機系抗菌防カビ剤および第2の有機系抗菌防カビ剤とを含む樹脂成形体である。ここで、主成分とは、樹脂が樹脂フィルムを好ましくは50質量%以上、より好ましくは60質量%以上、さらにより好ましくは85質量%以上97質量%以下占めることを意味する。樹脂フィルムの樹脂構成量をこのような値とすることで、良好な成形性と外観を有する樹脂フィルムを得ることが可能となる。
樹脂
樹脂フィルムを構成する樹脂として、熱硬化性樹脂または熱可塑性樹脂のいずれを用いてもよい。
熱硬化性樹脂として、ユリア樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、およびケイ素樹脂から選ばれる一種以上を用いることが可能である。
熱可塑性樹脂として、ポリプロピレン樹脂(PP)およびポリエチレン樹脂(PE)等のポリオレフィン、ポリアセタール樹脂(POM)、ポリブチレンテレフタレート樹脂(PBT)、ポリ塩化ビニル樹脂(PVC)、ポリスチレン樹脂(PS)、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合樹脂(ABS)、ポリフェニレンサルファイド樹脂(PPS)、ポリエチレンテレフタレート樹脂(PET)、ポリメタクリル酸メチル樹脂(PMMA)、ポリアミド樹脂(PA)、ポリエーテルエーテルケトン樹脂(PEEK)、ポリトリメチレンテレフタレート樹脂(PTT)、ポリカーボネート樹脂(PC)、並びにポリテトラフルオロエチレン-4フッ化エチレン樹脂(PTFE)から選ばれる一種以上を用いることが可能である。
本発明において、樹脂として、熱可塑性樹脂を用いることが好ましい。熱可塑性樹脂を用いることにより、第1および第2の有機系抗菌防カビ剤が樹脂フィルムの表面に溶出し易くなり、このため菌やカビの増殖を長期的に抑制することが可能となる。熱可塑性樹脂の中でも、PP、PE、POM、PBT、PVC、ABS、PPS、PET、PMMA、PA、およびPCから選ばれる一種以上を用いることがより好ましい。さらにより好ましくは、PP、PE、PBT、PVC、およびPETから選ばれる一種以上である。
樹脂フィルムの厚みは、好ましくは20μm以上300μm以下である。樹脂フィルムの厚みをこの範囲とすることで、樹脂フィルムに含まれる有機系抗菌防カビ剤の抗菌防カビ性能を担保することができる。
第1および第2の有機系抗菌防カビ剤
本発明において、樹脂フィルムに含まれる第1および第2の有機系抗菌防カビ剤とは、防菌防黴剤辞典-原体編-(日本防菌防黴学会誌,1998,Vol.26)に記載されている、細菌および真菌に対してMIC(最小発育阻止濃度)を有している有機系薬剤を意味する。
第1および第2の有機系抗菌防カビ剤は、浴室の天井部材または壁部材の表面に付着する水分に溶出し、これら部材の表面に抗菌防カビ性を付与する。つまり、浴室の天井部材または壁部材の表面に付着する水分に溶出する第1および第2の有機系抗菌防カビ剤に菌やカビが接触することにより、抗菌防カビ効果が発現する。
本発明において、有機系抗菌防カビ剤の溶出速度は、以下の方法を用いて求めることができる。
面積がSである樹脂成形体と体積がLである超純水とを容器に入れ、樹脂成形体を水に浸漬させ、一定温度で、一定時間(T)静置する。その後、容器から樹脂成形体を取り出し、一定温度で一定時間(T)に、樹脂成形体から溶出した抗菌防カビ剤の濃度(M)を分析装置を用いて算出する。分析装置としては、樹脂成形体に含まれる抗菌防カビ剤の量や種類に応じて選択することができるが、例えば、GC/MSやICP-MS、HPLCなどを用いることができる。この際、コンタミなどの影響を考慮して抗菌防カビ剤の濃度(M)を求める。下記の式のように、樹脂成形体から溶出した抗菌防カビ剤の濃度(M)と、樹脂成形体の面積(S)と、溶出時間(T)から抗菌防カビ剤の溶出速度(V)を求める。
抗菌防カビ剤の溶出速度V(g/cm/h)=樹脂成形体から溶出した抗菌防カビ剤の濃度M(g/ml)×溶媒量L(ml)/(樹脂成形体の面積S(cm)×溶出時間T(h))
本発明において、溶出速度とは、樹脂成形体を製造した後、事実上未使用の状態において、算出される溶出速度を指す。ここで、「事実上未使用の状態」とは、樹脂成形体が製造されてから例えば水まわり部材として実際に使用される状態まで、あるいは浴室として施工がなされ状態、さらにその使用がなされて間もない状態を指す。
第1の有機系抗菌防カビ剤
第1の有機系抗菌防カビ剤は、浴室の天井部材または壁部材(以下、単に「部材」ということもある)を45℃に240時間放置(以下、「熱処理(または熱暴露)」ということもある)した場合において、放置後(240時間)の40℃における水への溶出速度が、放置前(0時間)の40℃における水への溶出速度と同一である薬剤である。本発明において、溶出速度が「同一である」とは、放置後(240時間)においても第1の有機系抗菌防カビ剤が安定して溶出されていることを指す。具体的には、下記式で表される熱処理前後における溶出速度の変化率が±100%以下であることを意味する。変化率はより具体的には±70%であり、さらにより具体的には±65%以下である。
変化率(%)=(熱処理した部材の溶出速度-熱処理していない部材の溶出速度)/熱処理していない部材の溶出速度×100
第1の有機系抗菌防カビ剤は、熱処理後も劣化せず、つまり、高温耐性または耐熱性を有し、浴室が置かれ得る高温環境下で水に安定に溶出し、防カビ効果を発揮することができる。本発明において、高温環境とは、25℃以上の温度環境、具体的には40℃以上の温度環境、より具体的には45℃以上の温度環境を意味する。
本発明において、第1の有機系抗菌防カビ剤として、分子量が190以上で且つ融点が50℃以上であるものを用いることが好ましい。このような物性を有することにより、安定して樹脂成形体に第1の有機系抗菌防カビ剤が留まることができ、高温環境下において、樹脂成形体の表面に抗菌防カビ効果を長期間発揮することが可能となる。
本発明の好ましい態様によれば、第1の有機系抗菌防カビ剤として、ピリジン系抗菌防カビ剤、イミダゾール系抗菌防カビ剤、トリアゾール系抗菌防カビ剤、ヨウ素系抗菌防カビ剤、ヒ素系抗菌防カビ剤、エーテル系抗菌防カビ剤、有機塩素系抗菌防カビ剤、ビグアナイド系抗菌防カビ剤、スルファミド系抗菌防カビ剤、第四級アンモニウム塩素系抗菌防カビ剤、アルデヒド系抗菌防カビ剤、カルボン酸系抗菌防カビ剤、エステル系抗菌防カビ剤およびフェノール系抗菌防カビ剤からなる群から選ばれる一種以上が用いられる。第1の有機系抗菌防カビ剤として、分子中に特定の化学構造を有するこれらの抗菌防カビ剤を用いることで、高温下においてその溶出速度が変わらないようにすることできる。その結果、浴室が高温環境下となる場合であっても、防カビ効果を長期間発揮することができる。
ピリジン系抗菌防カビ剤としては、ジンクピリチオン(ZPT:ビス(2-ピリジチオ-1-オキシド)亜鉛)、デンシル(2,3,5,6,-テトラクロロ-4-(メチルスルフォニル)ピリジン)、カッパーピリチオン(CPT:ビス(2-ピリジチオ-1-オキシド)銅)から選択される一種以上を用いることができる。ピリジン系抗菌防カビ剤は、例えば、細菌やカビの細胞膜内に侵入し、プロトンポンプの阻害により膜輸送を制限することでATP合成を阻害し、細菌やカビの増殖を抑制することができる。
ZPTの構造式を以下に示す。
Figure 0007342462000001
イミダゾール系抗菌防カビ剤としては、チアベンダゾール(TBZ:2-(4-チアゾリル)-ベンツイミダゾール)、カルベンダジム(MBCまたはBCM:メチル-2-ベンツイミダゾールカルバメート)から選択される一種以上を用いることができる。
トリアゾール系抗菌防カビ剤としては、テブコナゾール((±)-α-[2-(4-クロロフェニル)エチル]-α-(1,1-ジメチルエチル)-1H-1,2,4-トリアゾール-1-エタノール)などを用いることができる。
ヨウ素系抗菌防カビ剤としては、ジヨードメチルパラトリルスルホン、ポリビニルピロリドンヨード、3-ヨード-2-プロピニルブチルカルバマート(IPBC)から選択される一種以上を用いることができる。
ヒ素系抗菌防カビ剤としては、10,10’-オキシビス-10H-フェノキシアルシン(OBPA)などを用いることができる。
エーテル系抗菌防カビ剤としては、トリクロサンなどを用いることができる。
有機塩素系抗菌防カビ剤としては、トリクロカルバン(3,4,4’-トリクロロカルバニリド)、ハロカルバン(4,4-ジクロロ-3-(3-フルオロメチル)-カルバニリド)、クロロタロニル(TPN:2,4,5,6-テトラクロロイソフタロニトリル)、ジクロロイソシアヌル酸、トリクロロイソシアヌル酸から選択される一種以上を用いることができる。この中でも、TPNが好ましく用いられる。
ビグアナイド系抗菌防カビ剤としては、グルコン酸クロルヘキシジン、クロルヘキシジン塩酸塩、ポリピグアナイド塩酸塩、ポリヘキサメチレンピグアナイドから選択される一種以上を用いることができる。
スルファミド系抗菌防カビ剤としては、ジクロフルアニド、トリフルアニドから選択される一種以上を用いることができる。
第四級アンモニウム塩素系抗菌防カビ剤としては、塩化ベンゾトニウム、セチルピリジニウムクロライドから選択される一種以上を用いることができる。
アルデヒド系抗菌防カビ剤としては、BCA(α-ブロモシンナムアルデヒド)などを用いることができる。
カルボン酸系抗菌防カビ剤としては、マグネシウム2水素ビスモノペルオキシフタラート、ウンデシレン酸亜鉛から選択される一種以上を用いることができる。
エステル系抗菌防カビ剤としては、ラウリシジン(グリセロールラウレート)などを用いることができる。
フェノール系抗菌防カビ剤としては、ブチルパラベン(ブチル-p-ヒドロキシベンゾエート)、オルトフェニルフェノールナトリウムから選択される一種以上を用いることができる。
本発明の好ましい態様によれば、第1の有機系抗菌防カビ剤として、ピリジン系のジンクピリチオン(ZPT)およびカッパーピリチオン(CPT)、イミダゾール系のチアベンダゾール(TBZ)およびカルベンダジム(MBC)、トリアゾール系のテブコナゾール、第四級アンモニウム塩素系の塩化ベンゾトニウムおよびセチルピリジニウムクロライド、ヒ素系のオキシビスフェノキシアルシン(OBPA)、エーテル系のトリクロサン、有機塩素系のクロロタロニル(TPN)、ヨウ素系のジヨードメチルパラトリルスルホンおよび3-ヨード-2-プロピニルブチルカルバマート(IPBC)からなる群から選択される1種以上が用いられる。
第2の有機系抗菌防カビ剤
第2の有機系抗菌防カビ剤は、浴室が置かれ得る低温環境において、第1の有機系抗菌防カビ剤よりも溶出速度が常に大きい、つまり水に溶出し易い薬剤である。本発明において、低温環境とは、25℃以下の温度環境、具体的には0℃以上25℃以下の範囲の温度環境、より具体的には10℃以上25℃以下の範囲の温度環境を意味する。第2の有機系抗菌防カビ剤は、低温環境下で水に安定に溶出し、防カビ効果を発揮することができる。
本発明において、第2の有機系抗菌防カビ剤として、分子量が190未満又は融点が25℃以下であるものを用いることが好ましい。このような物性を有することにより、結露水や付着水中に第2の有機系抗菌防カビ剤が溶出しやすく、カビが繁殖しやすい梅雨時期などの低温環境において長期間にわたって菌やカビの増殖を抑制することが可能となる。
本発明の一つの態様において、例えば、10℃の低温水において、第2の有機系抗菌防カビ剤の溶出速度が1×10-10g/cm/hより大きいことが好ましい。溶出速度がこの値より大きいことで、本発明による樹脂フィルムは、低温環境における防カビ性能を長期的に維持することができる。
本発明の一つの態様において、例えば、第2の有機系抗菌防カビ剤の10℃の水への溶出速度は、1×10-10g/cm/h以上であることが好ましく、1×10-9g/cm/h以上であることがより好ましい。また、第2の有機系抗菌防カビ剤は、水温が10℃から20℃へ増加するのに伴い、20℃の水への溶出速度が10℃の水への溶出速度に対して2倍以上大きくなることが好ましい。低温領域において、温度の増加に伴い溶出速度が促進されることにより、例えば、夏場に浴室の天井や壁に水滴が残ってしまった場所や、カビが繁殖し易い梅雨時期も含め、一年を通じて、長期にわたり、菌やカビの増殖を抑制することが可能となる。
本発明の好ましい態様によれば、第2の有機系抗菌防カビ剤として、チアゾリン系抗菌防カビ剤、トリアジン系抗菌防カビ剤、チアゾール系抗菌防カビ剤、フェノール系抗菌防カビ剤、カーバメイト系抗菌防カビ剤、過酸化物系抗菌防カビ剤、ピリジン系抗菌防カビ剤、カルボン酸系抗菌防カビ剤、アルデヒド系抗菌防カビ剤、アルコール系抗菌防カビ剤からなる群から選ばれる一種以上を用いることが可能である。第2の有機系抗菌防カビ剤として、分子中に特定の化学構造を有するこれらの抗菌防カビ剤を用いることで、低温下においても比較的溶出し易くすることができる。その結果、浴室が低温環境下となる場合であっても防カビ効果を長期間発揮することができる。
チアゾリン系抗菌防カビ剤としては、OIT(2-n-オクチル-4-イソチアゾリン-3-オン)、MIT(2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オン)、CMI(5-クロロ-2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オン)、BIT(1,2-ベンゾイソチアゾロン)、n-ブチルBIT(N-n-ブチル-1,2-ベンゾイソチアゾロン-3)から選択される一種以上を用いることができる。チアゾリン系抗菌防カビ剤は、例えば、細菌やカビの細胞膜内に侵入し、TCAサイクルのデヒドロゲナーゼ阻害によりATP合成を阻害し、細菌やカビの増殖を抑制することが可能となる。
OITの構造式を以下に示す。
Figure 0007342462000002
MITの構造式を以下に示す。
Figure 0007342462000003
CMIの構造式を以下に示す。
Figure 0007342462000004
BITの構造式を以下に示す。
Figure 0007342462000005
トリアジン系抗菌防カビ剤としては、ヘキサヒドロ-1,3,5-トリメチル-1,3,5-トリアジン、2,4-ジクロロ-6-メトキシ-1,3,5-トリアジンなどを用いることができる。
チアゾール系抗菌防カビ剤としては、2-(チアシアノメチルチオ)ベンゾチアゾール(TCMTB)、トリシクラゾール、ベンゾチアゾールから選択される一種以上を用いることができる。
フェノール系抗菌防カビ剤としては、チモール(2-イソプロピル-5-メチルフェノール)、ビオゾール(3-メチル-4-イソプロピルフェノール)、OPP(オルトフェニルフェノール)、フェノール、エチルパラベン(エチル-p-ヒドロキシベンゾエート)、メチルパラベン(メチル-p-ヒドロキシベンゾエート)、プロピルパラベン(プロピル-p-ヒドロキシベンゾエート)、メタクレゾール、オルトクレゾール、パラクレゾール、クロロクレゾール(2-メチル-3-クロロフェノール)から選択される一種以上を用いることができる。
カーバメイト系抗菌防カビ剤としては、N-メチルジチオカルバミン酸ナトリウムなどを用いることができる。
過酸化物系抗菌防カビ剤としては、過酢酸などを用いることができる。
ピリジン系抗菌防カビ剤としては、ピリチオンナトリウムなどを用いることができる。
カルボン酸系抗菌防カビ剤としては、安息香酸、ソルビン酸、カプリル酸、プロピオン酸、10-ウンデシレン酸、ソルビン酸カリウム、プロピオン酸カリウム、プロピオン酸カルシウム、安息香酸ナトリウム、プロピオン酸ナトリウム、から選択される一種以上を用いることができる。
アルデヒド系抗菌防カビ剤としては、グルタルアルデヒド、ホルムアルデヒドから選択される一種以上を用いることができる。
アルコール系抗菌防カビ剤としては、エタノール、イソプロパノール、プロパノール、トリスニトロ(トリスヒドロキシメチルニトロメタン)、クロロブタノール(1,1,1-トリクロロ-2-メチル-2-プロパノール)、から選択される一種以上を用いることができる。
本発明の好ましい態様によれば、第2の有機系抗菌防カビ剤として、チアゾリン系のオクチルイソチアゾリノン(OIT)、メチルイソチアゾリノン(MIT)、クロロメチルイソチアゾリノン(CMI)、ベンズイソチアゾリノン(BIT)およびn-ブチルBIT、チアゾール系のチオシアノメチルチオベンゾチアゾール(TCMTB)、トリシクラゾールおよびベンゾチアゾール、カルボン酸系の安息香酸、ソルビン酸、カプリル酸、プロピオン酸、10-ウンデシレン酸、ソルビン酸カリウム、プロピオン酸カリウム、プロピオン酸カルシウム、安息香酸ナトリウムおよびプロピオン酸ナトリウム、アルデヒド系のグルタルアルデヒドおよびホルムアルデヒド、フェノール系のオルトフェニルフェノール(OPP)およびビオゾールからなる群から選択される一種以上のものが用いられる。
本発明において、第1および第2の有機系抗菌防カビ剤の組み合わせとして、例えば、以下の群から選ばれる少なくとも1種の組み合わせが好ましい:
・ ピリジン系のジンクピリチオン(ZPT)およびチアゾリン系のオクチルイソチアゾリノン(OIT)の組み合わせ、
・ イミダゾール系のチアベンダゾール(TBZ)およびチアゾリン系のオクチルイソチアゾリノン(OIT)の組み合わせ、
・ ピリジン系のジンクピリチオン(ZPT)およびチアゾール系のベンゾチアゾールの組み合わせ、
・ エーテル系のトリクロサンおよびチアゾリン系のオクチルイソチアゾリノン(OIT)の組み合わせ、
・ ヨウ素系の3-ヨード-2-プロピニルブチルカルバマート(IPBC)およびチアゾリン系のオクチルイソチアゾリノン(OIT)の組み合わせ、
・ ピリジン系のジンクピリチオン(ZPT)およびチアゾール系のトリシクラゾールの組み合わせ、
・ ピリジン系のジンクピリチオン(ZPT)およびチアゾール系のチオシアノメチルチオベンゾチアゾール(TCMTB)の組み合わせ、
・ ピリジン系のカッパーピリチオン(CPT)およびチアゾリン系のオクチルイソチアゾリノン(OIT)の組み合わせ、
・ ピリジン系のカッパーピリチオン(CPT)およびチアゾール系のベンゾチアゾールの組み合わせ、
・ イミダゾール系のチアベンダゾール(TBZ)およびチアゾール系のベンゾチアゾールの組み合わせ、
・ トリアゾール系のテブコナゾールおよびチアゾリン系のオクチルイソチアゾリノン(OIT)の組み合わせ、
・ トリアゾール系のテブコナゾールおよびチアゾール系のベンゾチアゾールの組み合わせ、
・ ヨウ素系の3-ヨード-2-プロピニルブチルカルバマート(IPBC)およびチアゾール系のベンゾチアゾールの組み合わせ、
・ エーテル系のトリクロサンおよびチアゾール系のベンゾチアゾールの組み合わせ。
本発明において、第1および第2の有機系抗菌防カビ剤の組み合わせについて、一方が塩基性骨格または塩基性官能基を含むものであり、他方が酸性骨格または酸性官能基を含むものであることが好ましい。つまり、第1の有機系抗菌防カビ剤として、塩基性骨格または塩基性官能基を含むものを選定し、かつ、第2の有機系抗菌防カビ剤として、酸性骨格または酸性官能基を含むものを選定すること、あるいは第1の有機系抗菌防カビ剤として、酸性骨格または酸性官能基を含むものを選定し、かつ、第2の有機系抗菌防カビ剤として、塩基性骨格または塩基性官能基を含むものを選定することが好ましい。このように、電気的又はイオン的特性に基いて第1および第2の有機系抗菌防カビ剤の組み合わせを特定することにより、低温環境下において、第2の有機系抗菌防カビ剤の溶出に伴い、第1の有機系抗菌防カビ剤の溶出も可能になると考えられる。その結果、第1の有機系抗菌防カビ剤のみを樹脂成形体に含む場合と比較して、低温環境下において第1の有機系抗菌防カビ剤を溶出し易くすることができる。また、樹脂成形体の中に、第1の有機系抗菌防カビ剤と共に、これと電気的又はイオン的な親和性の高い第2の有機系抗菌防カビ剤が存在しているため、高温環境下において、揮発等により第2の有機系抗菌防カビ剤が樹脂成形体から気相中に移動するのを抑制することが可能になると考えられる。その結果、第2の有機系抗菌防カビ剤のみを樹脂成形体に含む場合と比較して、高温環境下において第2の有機系抗菌防カビ剤を樹脂成形体に安定して留めることができる。本発明において、例えば、第1の有機系抗菌防カビ剤が、塩基性骨格または塩基性官能基を含む、ピリジン系のジンクピリチオンであり、かつ、第2の有機系抗菌防カビ剤が、酸性骨格または酸性官能基を含む、チアゾリン系のオクチルイソチアゾリノンである組み合わせが挙げられる。また、第1の有機系抗菌防カビ剤が、酸性骨格または酸性官能基を含む、有機塩素系のジクロロイソシアヌル酸であり、かつ、第2の有機系抗菌防カビ剤が、塩基性骨格または塩基性官能基を含む、ピリジン系のピリチオンナトリウムである組み合わせが挙げられる。
本発明において、第1の有機系抗菌防カビ剤および第2の有機系抗菌防カビ剤が無機化合物に担持されていることが好ましい。無機化合物に担持されることにより、有機系抗菌防カビ剤の耐熱性が向上することができ、加熱成形時にガスが発生することを抑制することが可能となる。また、樹脂成形体から有機系抗菌防カビ剤が溶出する速度を制御することができるため、長期的に菌やカビの増殖を抑制することが可能となる。
無機化合物として、ゼオライト、ガラス、タルク、シリカゲル、ケイ酸塩、マイカ、セピオライト、粘土鉱物類、金属酸化物から選ばれる一種以上を用いることが可能であるが、これに限定されるものではない。
本発明において、第1の有機系抗菌防カビ剤および第2の有機系抗菌防カビ剤は、樹脂成形体において、0.01質量%以上10質量%以下含まれることが好ましい。含有量がこの範囲にあることで、樹脂成形体に抗菌防カビ性を付与することが可能となる。より好ましくは0.01質量%以上5質量%以下、さらにより好ましくは0.05質量%以上3質量%以下、なおさらにより好ましくは、0.05量%以上2質量%以下である。これにより、樹脂成形体の加熱成形時の成形性が良好であり、かつ長期的に菌やカビの増殖を抑制することが可能となる。
本発明による樹脂成形体は、表面に第1および第2の有機系抗菌防カビ剤を0.05質量%以上含むことが好ましい。
樹脂成形体および樹脂成形体の表面に含まれる有機系抗菌防カビ剤の量は、下記に示す方法にて得ることができる。
樹脂成形体に含まれる有機系抗菌防カビ剤の量を得る分析手法としては、ガスクロマトグラフ質量分析法(GC/MS)、高速液体クロマトグラフ(HPLC)、高速液体クロマトグラフ質量分析法(LC/MS)、高速液体クロマトグラフタンデム質量分析法(LC/MS/MS)などが挙げられ、有機系抗菌防カビ剤の種類に応じて適宜選択することができる。
樹脂成形体の表面に含まれる有機系抗菌防カビ剤の量を得る分析手法としては、X線光電子分光法(XPS)、オージェ電子分光法(AES)、電子線マイクロアナライザ(EPMA)、グロー放電発光分析装置(GD-OES)、グロー放電質量分析装置(GD-MS)、全反射型赤外吸収法(ATR-IR)などが挙げられ、有機系抗菌防カビ剤の種類に応じて適宜選択することができる。
分析手法により求めた樹脂成形体に含まれる有機系抗菌防カビ剤の量を用いて、樹脂成形体の表面に含まれる有機系抗菌防カビ剤の量を得ることも可能である。すなわち、樹脂成形体から有機系抗菌防カビ剤が溶出する速度を測定し、この有機系抗菌防カビ剤の溶出速度と溶出時間から、樹脂成形体に表面に含まれる有機系抗菌防カビ剤の量を求めることができる。
有機系抗菌防カビ剤の表面濃度N(g/cm)=有機系抗菌防カビ剤の溶出速度V(g/cm/h)×溶出時間T(h))
無機系抗菌剤
本発明において、樹脂フィルムは、第1の有機系抗菌防カビ剤および第2の有機系抗菌防カビ剤に加えて、無機系抗菌剤をさらに含んでいてもよい。無機系抗菌剤とは、防菌防黴剤辞典-原体編-(日本防菌防黴学会誌,1998,Vol.26)に記載されている、少なくとも細菌に対してMIC(最小発育阻止濃度)を有している無機系薬剤を意味する。
このような無機系抗菌剤として、銀系抗菌剤、亜鉛系抗菌剤、銅系抗菌剤から選ばれる一種以上を用いることが可能である。これにより、天井部材または壁部材に、幅広い種類の細菌類に対する抗菌効果を付与することができ、細菌類の増殖により産生されるバイオフィルムの生成を抑制することが可能になる。したがって、バイオフィルムを足場として天井部材または壁部材に付着するカビの増殖も抑制することができる。例えば、銀系抗菌剤は、銀イオンが細菌の細胞膜タンパク中の-SH基やジスルフィド結合と結合し、膜タンパクを変性させることで細胞膜を破壊することができる。
本発明において、無機系抗菌剤として、銀イオン、亜鉛イオンおよび銅イオンから選択される一種以上が無機化合物に担持されたものを用いることが可能である。無機化合物としては、ゼオライト、ガラス、タルク、シリカゲル、ケイ酸塩、マイカ、セピオライトから選ばれる一種以上を用いることが可能である。複数のイオン種を用いる場合は、各イオンが同じ無機化合物に担持されていても良い。具体的には、銀イオンと亜鉛イオンがガラスに担持された無機系抗菌剤を用いることが可能である。また、複数のイオン種を用いる場合、各イオンが異なる無機化合物に担持されていても良い。具体的には、銀イオンがガラスに担持された無機系抗菌剤と、亜鉛イオンがゼオライトに担持された無機系抗菌剤とを用いることが可能である。
本発明において、銀系抗菌剤として、銀と銀以外の無機酸化物との複合体を用いることができる。具体的には、銀-リン酸ジルコニウム:「(AgNaZr(PO)(x+y+z=1)」、塩化銀-酸化チタン:「AgCl/TiO」、銀-リン酸亜鉛カルシウム:「(Ag-CaZnAl(PO)(x+y+z=10)」、銀亜鉛アルミノケイ酸塩(混合物):「αAgO・βZnO・γ(NH・δNaO・Al・2SiO・XHO(α+β+γ+δ=1)」から選ばれる一種以上を用いることが可能である。
本発明において、亜鉛系抗菌剤として、酸化亜鉛・銀/リン酸ジルコニウム(ZnO,AgNaZr(PO))などを用いることが可能である。
本発明において、銅系抗菌剤として、N-ステアロリル-L-グラタミ酸AgCu塩などを用いることが可能である。
本発明において、無機系抗菌剤として銀系抗菌剤を用いることが好ましい。さらに好ましくは、銀と銀以外の無機酸化物との複合体を用いることが好ましい。これにより、樹脂成形体の表面に銀の過剰な溶出を抑制することができるため、長期にわたり菌の増殖を抑制することが可能となる。
本発明において、樹脂フィルムは、無機系抗菌剤を0.0001質量%以上0.1質量%以下含むことが好ましく、0.0005質量%以上0.01質量%以下含むことがより好ましい。これにより、長期間にわたり菌の増殖やバイオフィルムの生成を抑制することが可能となる。
本発明において、有機系抗菌防カビ剤と無機系抗菌剤は、作用機序が異なるものを選択することが好ましい。例えば、本発明の一つの好ましい態様によれば、有機系抗菌防カビ剤としては細菌やカビの代謝阻害をするものを用いることが好ましく、無機系抗菌剤としては細菌の細胞膜阻害するものを用いることが好ましい。このような組み合わせとすることで、無機系抗菌剤が細菌やカビの細胞膜を破壊し、有機系抗菌防カビ剤が細胞内に侵入しやすくなり、その結果、菌やカビの成長をより効果的に抑制することができるとの利点が得られる。
本発明において、用途に応じて、樹脂フィルムの表面に意匠性を付与してもよい。例えば、樹脂フィルムの表面に鏡面加工、エンボス加工などのパターン化処理を施し、あるいは模様を付与してもよい。樹脂フィルムへの意匠性の付与は、公知の方法によって行われる。
本発明において、樹脂フィルムに着色剤を含ませて、意匠性を付与してもよい。着色剤として、無機顔料や有機顔料を用いることができる。無機顔料としては、酸化チタン、タルク、シリカなどを用いることができる。有機顔料としては、Pigment Yellow 83、Pigment Red 48:2、Pigment Red 48:3、Pigment Violet 23、Pigment Blue 15、Pigment Blue 15:1、Pigment Blue 15:2、Pigment Blue 15:3、Pigment Green 7、Pigment Green 36などを用いることができる。
本発明の一つの態様において、樹脂フィルムからの有機系抗菌防カビ剤の溶出を妨げない限りにおいて、樹脂フィルムの上に樹脂フィルムを保護する等の目的で層を設けてもよい。
製造方法
本発明において、樹脂成形体を作製する方法として、下記の方法を用いることができるが、この方法に限定されるものではない。
まず、樹脂成形体を構成するのに必要な原料を準備する。樹脂原料、第1の有機系抗菌防カビ剤および第2の有機系抗菌防カビ剤を所望の量となるように秤量し、混合する。樹脂原料と、第1の有機系抗菌防カビ剤および第2の有機系抗菌防カビ剤の混合方法としては、コンパウンドまたはマスターバッチを用いることが可能である。
コンパウンドは、樹脂原料を加熱溶融した状態で、第1の有機系抗菌防カビ剤および第2の有機系抗菌防カビ剤と、必要に応じて無機系抗菌剤とを所定量添加および混合し、例えば、ペレット状に成形して用いることができる。
マスターバッチは、樹脂と、第1の有機系抗菌防カビ剤および第2の有機系抗菌防カビ剤と、他の添加剤などを濃縮し、例えばペレット状にしたものである。あらかじめ作製したマスターバッチを成形時に樹脂原料に適量混合して用いることができる。
本発明において、目的に応じて、原料に無機系抗菌剤、タルク、ガラスファイバー、カーボンファイバー、セルロースファイバー、酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、着色剤などの添加剤を含んでいても良い。
次いで、混合した原料を、所望の形状に成形する。成形方法としては、射出成形、押出成形、圧縮成形、トランスファ成形、カレンダー成形、真空成形、ブロー成形などが挙げられる。本発明において、押出成形またはカレンダー成形を用いるのが好ましい。
押出成形またはカレンダー成形時の加熱温度は、樹脂の種類に応じて選択できる。例えば、樹脂としてポリオレフィン樹脂を用いる場合、180℃以上300℃以下が好ましい。有機系抗菌防カビ剤は、樹脂成形温度が高いと熱で分解する為、樹脂成形温度は、より低い方が好ましい。
なお、本発明において、天井部材または壁部材1は、接着剤を介して、石膏ボード等の下地材に貼り付けられて、天井パネルまたは壁パネルが製造され、これらパネルは、例えば冶具などを用いて、天井または壁の躯体に取り付けられる。
本発明を以下の実施例および比較例によってさらに詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
原料
以下のものを原料として用いた。
・有機系抗菌防カビ剤A:チアゾリン系抗菌防カビ剤であるOIT(2-n-オクチル-4-イソチアゾリン-3-オン)をタルクに1:9の割合で担持させたもの
・有機系抗菌防カビ剤B:ピリジン系抗菌防カビ剤であるZPT(ジンクピリチオン)を無機化合物に1:4の割合で担持させたもの
・有機系抗菌防カビ剤C:チアゾール系抗菌防カビ剤であるベンゾチアゾール
・有機系抗菌防カビ剤D:イミダゾール系抗菌防カビ剤であるTBZ
・有機系抗菌防カビ剤E:エーテル系抗菌防カビ剤であるトリクロサン
・有機系抗菌防カビ剤F:ヨウ素系抗菌防カビ剤であるIPBC
・無機系抗菌剤:銀系抗菌剤(銀イオンと亜鉛イオンを無機化合物に担持させたもの)
・顔料:酸化チタン(表面処理をしたもの。例えば、酸化チタンの表面に、シリカを含有するシリカ層および/またはアルミナを含有するアルミナ層を一種または二種以上備えたもの)
実施例1
熱可塑性樹脂を加熱溶融し、これに、有機系抗菌防カビ剤Aと、有機系抗菌防カビ剤Bと、無機系抗菌剤とを添加、混合し、ペレット状のマスターバッチを作製した。次に、表1に示すような割合となるように、得られたマスターバッチと、ポリプロピレン樹脂と、顔料とを混合し、カレンダー成形機により厚み145μmの樹脂成形体を作製した。なお、上記熱可塑性樹脂としてポリエチレン樹脂を用いた。
実施例2
ポリプロピレン樹脂を加熱溶融し、これに、有機系抗菌防カビ剤Aと、有機系抗菌防カビ剤Bと、無機系抗菌剤とを添加、混合し、ペレット状のマスターバッチを作製した。次に、表1に示すような割合となるように、得られたマスターバッチと、ポリプロピレン樹脂と、顔料とを混合し、カレンダー成形機により厚み120μmの樹脂成形体を作製した。
実施例3
ポリプロピレン樹脂を加熱溶融し、これに、有機系抗菌防カビ剤Aと、有機系抗菌防カビ剤Dを混錬し、圧縮成形して、厚み150μmの樹脂成形体を作製した。
実施例4
ポリプロピレン樹脂を加熱溶融し、これに、有機系抗菌防カビ剤Cと、有機系抗菌防カビ剤Bを混錬し、圧縮成形して、厚み150μmの樹脂成形体を作製した。
実施例5
ポリプロピレン樹脂を加熱溶融し、これに、有機系抗菌防カビ剤Aと、有機系抗菌防カビ剤Eを混錬し、圧縮成形して、厚み150μmの樹脂成形体を作製した。
実施例6
熱可塑性樹脂を加熱溶融し、これに、有機系抗菌防カビ剤Aと、有機系抗菌防カビ剤Bと、無機系抗菌剤を添加、混合し、ペレット状のマスターバッチを作製した。次に、表1に示すような割合となるように、得られたマスターバッチと、ポリプロピレン樹脂と、顔料との混合物、およびポリプロピレン樹脂と顔料との混合物を、押出成形機により共押出しして、厚み40μmの抗菌防カビ剤含有樹脂層、および厚み60μmの抗菌防カビ剤非含有樹脂層が積層された樹脂成形体を作製した。なお、上記熱可塑性樹脂としてポリエチレン樹脂を用いた。また、得られた樹脂成形体の表層は抗菌防カビ剤含有樹脂層である。
実施例7
熱可塑性樹脂を加熱溶融し、これに、有機系抗菌防カビ剤Aと、有機系抗菌防カビ剤Bと、無機系抗菌剤を添加、混合し、ペレット状のマスターバッチを作製した。次に、表1に示すような割合となるように、ポリプロピレン樹脂と顔料との混合物、および得られたマスターバッチと、ポリプロピレン樹脂と、顔料との混合物を、押出成形機により共押出しして、厚み60μmの抗菌防カビ剤非含有樹脂層、および厚み40μmの抗菌防カビ剤含有樹脂層が積層された樹脂成形体を作製した。なお、上記熱可塑性樹脂としてポリエチレン樹脂を用いた。また、得られた樹脂成形体の表層は抗菌防カビ剤非含有樹脂層である。
実施例8
ポリプロピレン樹脂を加熱溶融し、これに、有機系抗菌防カビ剤Aと、有機系抗菌防カビ剤Fを混錬し、圧縮成形して、厚み150μmの樹脂成形体を作製した。
比較例1
熱可塑性樹脂を加熱溶融し、これに、有機系抗菌防カビ剤Bを添加、混合し、ペレット状のマスターバッチを作製した。次に、表1に示すような割合となるように、マスターバッチと、ポリプロピレン樹脂と、顔料とを混合し、カレンダー成形機により厚み120μmの樹脂成形体を作製した。なお、上記熱可塑性樹脂としてポリエチレン樹脂を用いた。
比較例2
熱可塑性樹脂を加熱溶融し、これに、有機系抗菌防カビ剤Bを添加、混合し、ペレット状のマスターバッチを作製した。次に、表1に示すような割合となるように、マスターバッチと、ポリプロピレン樹脂と、顔料とを混合し、カレンダー成形機により厚み125μmの樹脂成形体を作製した。なお、上記熱可塑性樹脂としてポリエチレン樹脂を用いた。
比較例3
ポリプロピレン樹脂を加熱溶融し、これに、有機系抗菌防カビ剤Aと、有機系抗菌防カビ剤Cを混錬し、圧縮成形して、厚み150μmの樹脂成形体を作製した。
Figure 0007342462000006
評価
得られた樹脂成形体を下記の方法により評価した。
樹脂成形体(樹脂フィルム)の厚み
得られた樹脂成形体(実施例1~8および比較例1~3)の厚みは以下の手順で測定した。樹脂成形体において、A4サイズの領域を10個任意に選択した。各領域における、4つの頂点および中心の計5箇所の厚みを、マイクロメーター(精度:0.01mm、日本不二越株式会社製)を用いて測定した。5箇所の厚みの平均値を各領域の厚みとし、10個の領域の厚みの平均値を樹脂成形体の厚みとした。
試験1:高温環境下での耐熱性および溶出性試験
高温環境(例えば、浴室乾燥機の使用等を想定した場合)における第2の有機系抗菌防カビ剤(OIT)および第1の有機系抗菌防カビ剤(ZPT)の耐熱性および水への溶出性を以下のとおり評価した。
熱劣化サンプルの作製
以下の手順で熱劣化サンプルを作製した。実施例1の樹脂成形体600(2.5cm×2.5cm、厚み145μm)の片面全面に、有機系抗菌防カビ剤を含まずPET樹脂からなる樹脂成形体700(2.5cm×2.5cm、厚み1mm)を、両面テープ(例えば、ナイスタック(ニチバン株式会社製))を用いて接着させ、図3に示すような積層体サンプル800を得た。得られた積層体サンプル800を、有機系抗菌防カビ剤を含む樹脂成形体600が上向き(大気側)になるように樹脂プレート900上に平置きした。積層体サンプル800を載置した樹脂プレート900を45℃の恒温槽の中央に入れ、6日間、10日間、および72日間静置させて、熱劣化サンプルS、S10およびS72を作製した。一方、積層体サンプル800自体を、非熱処理サンプルSとして使用した。これら熱劣化サンプルS、S10およびS72並びに非熱処理サンプルSを用いて下記試験を行った。
第2の有機系抗菌防カビ剤(OIT)の溶出速度
ガラス瓶に超純水を5ml入れ、40℃に保温した。熱劣化サンプルS、S10およびS72並びに非熱処理サンプルSの有機系抗菌防カビ剤を含む樹脂成形体層側の表面全体(2.5cm×2.5cm)が40℃の温水に接触するように、サンプルを温水面上に浮かせた。蓋をしてガラス瓶を密閉し、サンプルを40℃で1時間静置した。その後、サンプルをガラス瓶から取り出した。次に、ガラス瓶にヘキサン1.5ml(L)を加えて、蓋をして密閉し、よく撹拌し、水中に溶出したOITをヘキサン中に抽出した。このヘキサン溶液のOITの濃度(O)をGC/MSにて算出した。なお、ガラス瓶等の実験器具等は、予めアルカリ性洗浄剤(例えば、コンタミノンB 和光純薬工業株式会社製)で清浄化したものを使用した。
他方、有機系抗菌防カビ剤を含む実施例1の樹脂成形体(2.5cm×2.5cm、厚み145μm)の代わりに、有機系抗菌防カビ剤を含まずポリプロピレン樹脂からなる樹脂成形体(2.5cm×2.5cm、厚み145μm)を用いた以外は、上記熱劣化サンプルの作製手順と同様の手順で、積層体サンプルSを作製した。このサンプルSについて、上記と同じ条件でGC/MSにて測定を行い、操作ブランクのOITの濃度(O)を算出した。
下記式から、樹脂成形体から溶出したOITの溶出速度(VOIT)を求めた。
OIT=O×L/(S×T)=(O-O)×L/(S×T)
OIT :樹脂成形体から溶出したOITの溶出速度(g/cm2/h)
:樹脂成形体から溶出したOITの濃度(g/ml)=O-O
:ヘキサン溶液のOITの濃度(g/ml)
:操作ブランクのOITの濃度(g/ml)
:ヘキサンの量(1.5ml)
S :樹脂成形体面積(2.5×2.5cm
T :溶出時間(時間)
第1の有機系抗菌防カビ剤(ZPT)の溶出速度
熱劣化サンプルS、S10およびS72並びに非熱処理サンプルS毎に、ポリプロピレン製のボトルを2本用意し、それぞれに超純水20ml(L)を入れ、40℃に保温した。サンプル(S、S10、S)の有機系抗菌防カビ剤を含む樹脂成形体層側の表面全体(2.5cm×2.5cm)が一方のボトル内の40℃の温水に接触するように、サンプルを温水面上に浮かせた。蓋をして一方のボトルを密閉し、サンプルを40℃で1時間静置した(1回目)。その後、一方のボトルからサンプルを取り出し、1回目に温水に接触させた表面全体が他方のボトル内の40℃の温水に接触するように、サンプルを温水面上に浮かせた。蓋をして他方のボトルを密閉し、サンプルを40℃で1時間静置した(2回目)。その後、サンプルを他方のボトルから取り出し、2回目の接触が行われた他方のボトルに、硝酸の濃度が5vol%となるように超高純度の硝酸を加えた。この硝酸溶液の亜鉛イオンの濃度(Zn)をICP-MSにて算出した。なお、ポリプロピレン製のボトル等の実験器具等は、予め2mol/L硝酸水溶液で清浄化したものを使用し、更に金属等のコンタミを回避するため、樹脂製ピンセットを使用した。
第2の有機系抗菌防カビ剤(ZPT)は、樹脂成形体作製時の熱等で、樹脂成形体の表面近傍に偏析する傾向があることを本発明者らは実験により見出した。このため、1回目の接触により、表面近傍に偏析した第2の有機系抗菌防カビ剤を予め溶出させて除去した。2回目の接触後、第2の有機系抗菌防カビ剤はサンプルから安定した溶出速度で溶出すると考えられる。なお、安定した溶出速度を確認する作業は、どの有機系抗菌防カビ剤においても、必要に応じて実施する。
他方、積層体サンプルSについて、上記と同じ条件でICP-MSにて測定を行い、操作ブランクの亜鉛イオンの濃度(Zn)を算出した。
下記式から、樹脂成形体から溶出した亜鉛イオンの溶出速度(VZn)を求めた。
Zn= Zn×L/(S×T)=(Zn-Zn)×L/(S×T)
Zn :樹脂成形体から溶出した亜鉛イオンの溶出速度(g/cm/h)
Zn :樹脂成形体から溶出した亜鉛イオンの濃度(g/ml)=Zn-Zn
Zn :硝酸溶液の亜鉛イオンの濃度(g/ml)
Zn :操作ブランクの亜鉛イオンの濃度(g/ml)
:超純水の量(20ml)
S :樹脂成形体面積(2.5×2.5cm
T :溶出時間(時間)
下記式から、ZPTの溶出速度(VZPT)を求めた。
ZPT=VZn/Zn原子量×ZPT分子量
結果
実施例1の樹脂成形体を、45℃の雰囲気温度で、6日間、10日間および72日間、熱暴露して得られた熱劣化サンプルにおける、第2の有機系抗菌防カビ剤(OIT)および第1の有機系抗菌防カビ剤(ZPT)の40℃における溶出速度を表2に示す。第2の有機系抗菌防カビ剤(OIT)は、熱処理の前後(例えば、0日目と6日目~10日目との対比)において、溶出速度が約13倍変化した(減少した)。これに対し、第1の有機系抗菌防カビ剤(ZPT)は、熱処理の前後(例えば、0日目と6日目~10日目との対比)において、溶出速度が殆ど変化しなかった。具体的には、溶出速度は僅か約1.05倍~約1.60倍変化した(増加した)。第1の有機系抗菌防カビ剤は、熱処理後も劣化せずつまり、耐熱性を有し、高温環境下で水に安定に溶出することが確認された。
Figure 0007342462000007
試験2:低温環境下での溶出性試験
25℃以下の低温環境(例えば、カビの繁殖し易い梅雨時期や秋など)における、第2の有機系抗菌防カビ剤(OIT)および第1の有機系抗菌防カビ剤(ZPT)の水への溶出性を以下のとおり評価した。
第2の有機系抗菌防カビ剤(OIT)の溶出速度
ガラス瓶に超純水を5ml入れ、10℃、15℃、20℃または25℃に保温した。第2の有機系抗菌防カビ剤(OIT)のみを含む比較例1の樹脂成形体の片面全体(2.5cm×2.5cm、厚み120μm)が上記の低温水に接触するように、樹脂成形体を低温水面上に浮かせた。蓋をしてガラス瓶を密閉し、樹脂成形体を10℃、15℃、20℃または25℃で、24時間静置した。その後、樹脂成形体をガラス瓶から取り出した。次に、ガラス瓶にヘキサン1.5ml(L)を加え、蓋をして密閉し、よく撹拌し、水中に溶出したOITをヘキサン中に抽出した。このヘキサン溶液のOITの濃度(O)をGC/MSにて算出した。なお、ガラス瓶等の実験器具等は、予めアルカリ性洗浄剤(例えば、コンタミノンB 和光純薬工業株式会社製)で清浄化したものを使用した。
他方、第2の有機系抗菌防カビ剤(OIT)のみを含む比較例1の樹脂成形体(2.5cm×2.5cm、厚み120μm)の代わりに、有機系抗菌防カビ剤を含まずポリプロピレン樹脂からなる樹脂成形体(2.5cm×2.5cm、厚み145μm)を用い、上記と同じ条件でGC/MSにて測定を行い、操作ブランクのOITの濃度(O)を算出した。
下記式から、樹脂成形体から溶出したOITの溶出速度(VOIT)を求めた。
OIT=O×L/(S×T)=(O-O)×L/(S×T)
OIT :樹脂成形体から溶出したOITの溶出速度(g/cm2/h)
:樹脂成形体から溶出したOITの濃度(g/ml)=O-O
:ヘキサン溶液のOITの濃度(g/ml)
:操作ブランクのOITの濃度(g/ml)
:ヘキサンの量(1.5ml)
S :樹脂成形体面積(2.5×2.5cm
T :溶出時間(時間)
第1の有機系抗菌防カビ剤(ZPT)の溶出速度
ポリプロピレン製のボトルを2本用意し、それぞれに超純水20ml(L)を入れ、一方のボトルを40℃に、他方のボトルを10℃、15℃、20℃または25℃に保温した。第1の有機系抗菌防カビ剤(ZPT)のみを含む比較例2の樹脂成形体(2.5cm×2.5cm、厚み125μm)の片面全体(2.5cm×2.5cm)が一方のボトル内の40℃の水に接触するように、樹脂成形体を水面上に浮かせた。蓋をして一方のボトルを密閉し、樹脂成形体を40℃で1時間静置した(1回目)。その後、一方のボトルからサンプルを取り出し、1回目に40℃の水に接触させた表面全体が他方のボトル内の10℃、15℃、20℃または25℃に保温した水に接触するように、サンプルを水面上に浮かせた。蓋をして他方のボトルを密閉し、樹脂成形体を10℃、15℃、20℃または25℃で1時間静置した(2回目)。その後、樹脂成形体を他方のボトルから取り出し、2回目の接触が行われた他方のボトルに、硝酸の濃度が5vol%となるように超高純度の硝酸を加えた。この硝酸溶液の亜鉛イオンの濃度(Zn)をICP-MSにて算出した。
他方、第1の有機系抗菌防カビ剤(ZPT)を含む比較例2の樹脂成形体(2.5cm×2.5cm、厚み125μm)の代わりに、有機系抗菌防カビ剤を含まずポリプロピレン樹脂からなる樹脂成形体(2.5cm×2.5cm、厚み125μm)を用い、上記と同じ条件でICP-MSにて測定を行い、操作ブランクの亜鉛イオンの濃度(Zn)を算出した。
下記式から、樹脂成形体から溶出した亜鉛イオンの溶出速度(VZn)を求めた。
Zn= Zn×L/(S×T)=(Zn-Zn)×L/(S×T)
Zn :樹脂成形体から溶出した亜鉛イオンの溶出速度(g/cm/h)
Zn :樹脂成形体から溶出した亜鉛イオンの濃度(g/ml)=Zn-Zn
Zn :硝酸溶液の亜鉛イオンの濃度(g/ml)
Zn :操作ブランクの亜鉛イオンの濃度(g/ml)
:超純水の量(20ml)
S :樹脂成形体面積(2.5×2.5cm
T :溶出時間(時間)
下記式から、ZPTの溶出速度(VZPT)を求めた。
ZPT=VZn/Zn原子量×ZPT分子量
結果
低温環境下における第2の有機系抗菌防カビ剤(OIT)および第1の有機系抗菌防カビ剤(ZPT)の溶出速度を表3に示す。第1の有機系抗菌防カビ剤(ZPT)は、10℃の水、15℃の水、20℃の水、および25℃の水いずれにも溶出し難く、一方、第2の有機系抗菌防カビ剤(OIT)は、10℃の水、15℃の水、20℃の水、および25℃の水いずれにも溶出することができた。つまり、第2の有機系抗菌防カビ剤(OIT)は、第1の有機系抗菌防カビ剤(ZPT)に比べて、低温環境下(10℃、15℃、20℃、および25℃)において、水への溶出速度が常に大きく、低温水に対してカビの繁殖を抑制可能な量溶出することが確認された。第2の有機系抗菌防カビ剤(OIT)にあっては、例えば、25℃の水への溶出速度は、15℃の水への溶出速度に対して、9倍を超えて大きく、20℃の水への溶出速度は、10℃の水への溶出速度に対して、7倍を超えて大きかった。
Figure 0007342462000008
試験3:高温および低温双方の環境下における溶出性およびカビ抵抗性試験
試験片
高温環境下での防カビ性を評価するためのサンプルとして、試験1で作製した熱劣化サンプルSおよびS10、さらに45℃の恒温槽に21日間静置して作製した熱劣化サンプルS21並びに非熱処理サンプルSを用いた。また、実施例2~8の樹脂成形体を用い、試験1と同様の手順で熱劣化サンプルを作製して用いた。さらに、低温環境下での有機系抗菌防カビ剤の溶出性および防カビ性を評価するためのサンプルとして、実施例1~8および比較例1~3の樹脂成形体を用いた。これらサンプルを約1分間、消毒用アルコールに浸漬させ、クリーンベンチ内で30分以上乾燥させ、清浄化処理を行ったものを試験片として用いた。
カビ抵抗性試験
JIS Z2911プラスチック製品の試験方法Bを参考にして、実施例1~8および比較例1~3の樹脂成形体の高温環境下でのカビ抵抗性について試験を行った。なお、試験に用いるサンプル、備品、試薬等はすべて滅菌済みのものを使用した。
試験カビの前培養および試験胞子液の作製
Cladosporium cladosporioides NBRC6348を、ポテトデキストロース寒天培地の斜面培地に植次ぎ、25℃で7日間培養後、無機塩溶液(JIS Z2911のカビ抵抗性試験法処方)を用いて胞子数を1×10cfu/mlに調整したものを試験胞子液とした。
試験片を載せる培地の作製
無機塩溶液に寒天を20g/Lの割合で添加し、更に、D(+)-グルコース(JIS K8824規定)を30±1g/Lの割合で添加し、120±1℃で30分間高圧蒸気滅菌した。その後、必要に応じて、滅菌した0.01mol/L水酸化ナトリウム溶液でpHを6.0~6.5に調整した。ニプロ株式会社製のシャーレに20ml分注し、グルコース添加無機塩寒天培地を作製した。
試験片への試験胞子の接種および培養
グルコース添加無機塩寒天培地に試験胞子液を0.1ml滴下し、コンラージで塗り広げた。その上に試験片を載せ、この試験片上に、試験胞子液の液滴を11.1μlずつ等間隔に9滴接種し、温度28℃および相対湿度97%以上の環境で培養した。
試験3(カビ抵抗性試験)の評価方法
試験片上のカビの生育状態を顕微鏡及び目視で下記の判定基準にて判定し、4週間後の判定結果を最終判定結果とした。
判定基準
以下の0~3を合格(表4に○で示した)とし、4および5を不合格(表4に×で示した)とした:
0:肉眼及び顕微鏡でカビの発育が認められない
1:肉眼ではカビの発育が認められないが、顕微鏡ではカビの発育が認められる
2:肉眼でカビの発育が認められ、接種した試験胞子液9滴中3滴未満の液面をカビが覆っている
3:肉眼でカビの発育が認められ、接種した試験胞子液9滴中5滴未満の液面をカビが覆っている
4:菌糸がよく発育し、接種した試験胞子液9滴中5滴以上の液面をカビが覆っている
5:菌糸の発育が激しく、接種した試験胞子液9滴全ての液面をカビが覆っている
低温環境における溶出性試験
試験2と同様に、実施例1~8および比較例1~3の樹脂成形体の低温水への溶出性について試験を行い、以下の基準で評価した。
試験2の評価方法
試験後の樹脂成形体において、少なくとも第二の有機系抗菌防カビ剤の10℃の水への溶出速度が、1×10-10g/cm/h以上であったものを、低温環境における溶出性の基準1を満たす良好なものと評価し、表4に「○」を付した。さらに、水温が10℃から20℃へ増加するのに伴い、10℃の水への溶出速度に対して20℃の水への溶出速度が2倍以上であったものを、低温環境における溶出性の基準2を満たす良好なものと評価し、表4に「○」を付した。一方、第二の有機系抗菌防カビ剤の10℃の水への溶出速度が、1×10-10g/cm/h未満であったものを、溶出性基準1を満たさないものと評価し、表4に「×」を付した。また、水温が10℃から20℃へ増加するのに伴い、10℃の水への溶出速度に対して20℃の水への溶出速度が2倍未満であったものを、溶出性基準2を満たさないものと評価し、表4に「×」を付した。
本発明において、少なくとも基準1を満たす樹脂成形体は、低温環境における溶出性試験は合格であり、基準1を満たさないものは、(仮に、基準2を満たしたとしても)不合格である。基準1と基準2を満たした樹脂成形体は、低温環境における溶出性が非常に良好なものと評価した。
結果は表4に示されるとおりであった。
Figure 0007342462000009
表4に示されるように、実施例1~4、8の樹脂成形体は、45℃で6日、10日、および21日間熱処理しても、カビ抵抗性試験の結果は良好であり、かつ、低温水に対して有機系抗菌防カビ剤を溶出した。つまり、本発明の第1および第2の有機系抗菌防カビ剤を含む樹脂フィルムによれば、熱処理後においても、第1の有機系抗菌防カビ剤が劣化せずに、高温水に安定に溶出し、高温環境下において防カビ性能を発揮するとともに、試験2の基準1および2双方を満たすことからもわかるとおり、低温水に対してもカビの繁殖を抑制可能な量の第2の有機系抗菌防カビ剤を溶出し、低温環境下においても非常に良好な溶出性能、すなわち防カビ性能を発揮することが確認された。実施例5の樹脂成形体は、45℃で21日間熱処理したときのカビ抵抗性試験の結果が良好とはいえなかったが、45℃で6日および10日間熱処理したときのカビ抵抗性試験の結果は良好であり、本願発明に求められる高温環境下における防カビ性能を発揮するものであった。
抗菌防カビ剤を含有しない樹脂層の上に抗菌防カビ剤を含有する樹脂層が積層された2層構造の樹脂成形体である実施例6において、熱処理前のカビ抵抗性試験の結果は合格であった。膜厚が40μmの薄膜である抗菌防カビ剤を含有する樹脂層の表面においても、45℃で6日、10日、および21日間熱処理後に、カビ抵抗性試験の結果は良好であり、かつ、低温水に対しても有機系抗菌防カビ剤を溶出した。
抗菌防カビ剤を含有する樹脂層の上に抗菌防カビ剤を含有しない樹脂層が積層された2層構造の樹脂成形体である実施例7において、熱処理前のカビ抵抗性試験の結果は合格であった。また、抗菌防カビ剤を含有しない樹脂層が抗菌防カビ剤を含有する樹脂層の表面に、樹脂フィルムの最上層として、設けられた態様においても、45℃で6日、10日および21日間熱処理後において、カビ抵抗性試験の結果は良好であり、かつ、低温水に対して、抗菌防カビ剤を含有する下側の樹脂層から、樹脂フィルムの最上層(抗菌防カビ剤を含有しない樹脂層)の表面へ抗菌防カビ剤の溶出が維持され、抗菌防カビ剤を含有する下側の樹脂層を損傷から保護しつつ、抗菌防カビ効果が発揮されることが確認された。
一方、第2の有機系抗菌防カビ剤のみを含む比較例1の樹脂成形体は、45℃で6日、10日および21日間熱処理するとカビ抵抗性試験の結果が不合格であり、例えば浴室乾燥機の使用を想定した高温環境においては、十分な防カビ効果を発揮できないことが確認された。また、第1の有機系抗菌防カビ剤のみを含む比較例2の樹脂成形体は、試験2の基準1を満たさず、低温水において有機系抗菌防カビ剤が溶出し難いことが分かり、カビが繁殖しやすい梅雨時期など25℃以下の低温環境においては、十分な防カビ効果を発揮できないことが確認された。また、第2の有機系抗菌防カビ剤のみを複数含む比較例3の樹脂成形体は、比較例1と同様、45℃で6日、10日および21日間熱処理するとカビ抵抗性試験の結果が不合格であり、高温環境においては、十分な防カビ効果を発揮できないことが確認された。
1:浴室の天井部材または壁部材、10:樹脂フィルム、11:基板、12:石膏ボード、500:浴室ユニット、510:浴槽、520:床、531:カウンター、533:鏡、534:シャワー、541、542、543、544:壁部材、550:天井部材

Claims (7)

  1. 樹脂フィルムを備えてなる浴室の天井部材または壁部材であって、
    前記樹脂フィルムが、第1の有機系抗菌防カビ剤と第2の有機系抗菌防カビ剤とを含んでなり、
    前記第1および第2の有機系抗菌防カビ剤は、前記部材の表面に付着する水分に溶出して、前記部材の表面に抗菌防カビ性を付与し、
    前記第1の有機系抗菌防カビ剤は、前記浴室の天井部材または壁部材を45℃、240時間の条件で放置した後の、40℃におけるその溶出速度が、前記浴室の天井部材または壁部材を前記条件で放置する前の、40℃におけるその溶出速度と同一であるものであり、
    前記第2の有機系抗菌防カビ剤が、10℃および20℃の温度において、前記第1の有機系抗菌防カビ剤よりも溶出速度が常に大きいものであり、
    前記第1および第2の有機系抗菌防カビ剤の組み合わせが、
    ・ ピリジン系のジンクピリチオン(ZPT)およびチアゾリン系のオクチルイソチアゾリノン(OIT)の組み合わせ、
    ・ イミダゾール系のチアベンダゾール(TBZ)およびチアゾリン系のオクチルイソチアゾリノン(OIT)の組み合わせ、
    ・ ピリジン系のジンクピリチオン(ZPT)およびチアゾール系のベンゾチアゾールの組み合わせ、
    ・ エーテル系のトリクロサンおよびチアゾリン系のオクチルイソチアゾリノン(OIT)の組み合わせ、
    ・ ヨウ素系の3-ヨード-2-プロピニルブチルカルバマート(IPBC)およびチアゾリン系のオクチルイソチアゾリノン(OIT)の組み合わせ
    からなる群から選ばれる少なくとも1種の組み合わせであ
    ことを特徴とする、浴室の天井部材または壁部材。
  2. 前記第1および第2の有機系抗菌防カビ剤の組み合わせが、
    ・ ピリジン系のジンクピリチオン(ZPT)およびチアゾリン系のオクチルイソチアゾリノン(OIT)の組み合わせ、
    ・ ピリジン系のジンクピリチオン(ZPT)およびチアゾール系のベンゾチアゾールの組み合わせ、
    ・ エーテル系のトリクロサンおよびチアゾリン系のオクチルイソチアゾリノン(OIT)の組み合わせ、
    ・ ヨウ素系の3-ヨード-2-プロピニルブチルカルバマート(IPBC)およびチアゾリン系のオクチルイソチアゾリノン(OIT)の組み合わせ
    からなる群から選ばれる少なくとも1種の組み合わせである、請求項1に記載の浴室の天井部材または壁部材。
  3. 前記第1の有機系抗菌防カビ剤および前記第2の有機系抗菌防カビ剤が、それぞれ無機化合物に担持されてなるものである、請求項1または2に記載の浴室の天井部材または壁部材。
  4. 前記樹脂フィルムが、最表面に配置されている、請求項1~のいずれか一項に記載の浴室の天井部材または壁部材。
  5. 浴室乾燥機をさらに備えてなる浴室の天井部材または壁部材として用いられる、請求項1~のいずれか一項に記載の浴室の天井部材または壁部材。
  6. 請求項1~のいずれか一項に記載の部材を備えてなる、浴室ユニット。
  7. 浴室乾燥機をさらに備えてなる、請求項に記載の浴室ユニット。
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