JP5651262B2 - 防黴性建築材料、及び建築材料の防黴方法 - Google Patents

防黴性建築材料、及び建築材料の防黴方法 Download PDF

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Description

本発明は、防黴性建築材料、及び建築材料の防黴方法に関する。
石膏ボードや目地セメント等の建築材料は、バインダーとして使用される成分を栄養源とすることで黴が発育することがあるため、黴の発育を防止するために防黴剤が配合される。具体的には、チアベンダゾール、ジフェノコナゾール、プロピコナゾール、及びフルジオキソニル等の抗菌剤によって処理した石膏ボード等の壁板が提案されている(特許文献1)。
また、建築材料の一種であるシリコーンシーラントは、耐久性、耐候性、及び接着性等に優れた弾性シーリング材であり、地震や台風の影響による建物の動きに対しても追従する性能を備える。このため、シリコーンシーラントは、超高層ビルや一般住宅等の建築材料;土木工事用材料;クリーンルームや水槽等の構成材料など、様々な目的に幅広く使用されている。
一般住宅等では、シリコーンシーラントは台所や風呂場等の水まわりにおいて高頻度で使用される。このため、シリコーンシーラントには、食品残渣、人の垢、及びシリコーンシーラントそのものを栄養源として黴が発生しやすく、外観を損ねる、或いはシール性能が劣化したりするといった問題が生ずる。なお、発生した黴はシリコーンシーラント等の建築材料の内部にまで菌糸を張り巡らせるため、清掃によって除去することは極めて困難である。
シリコーンシーラントへの黴の発生を抑制するために、防黴剤をシリコーンシーラントに配合することが提案されている。しかしながら、一般的な防黴剤の多くは紫外線の影響によって変色しやすいため、シリコーンシーラントに配合できる防黴剤の種類や濃度は限られている。このような状況下、変色の少ないシーリング材として、オルガノポリシロキサンにテブコナゾール等の1,2,4−トリアゾール化合物を防黴剤として配合した組成物が開示されている(特許文献2)。また、樹脂等に配合し得る防黴剤として、テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシラート(特許文献3)や、ポリ[{6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル}{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}ヘキサメチレン{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}](特許文献4)等のピペリジン誘導体が開示されている。
特表2008−546676号公報 特開平8−217977号公報 特許第3716965号公報 特許第3716966号公報
しかしながら、特許文献1で開示された抗菌剤によって処理した石膏ボード等の壁板であっても、台所や風呂場等の等の水まわり或いは雨曝しになる屋外等に設置されると、配合した抗菌剤(防黴剤)が水へと溶出することがある。このため、一定の効力が認められる量の防黴剤を建築材料に配合した場合であっても、その建築材料が水まわり等に設置される場合には有効な防黴性が発揮されなくなるといった不都合が生じていた。したがって、このような不都合を解消するためには防黴剤の配合量を増加させるしかなく、コスト高になる等の新たな課題が生じていた。
また、特許文献2において開示されたシーリング材は、水まわり等の湿潤条件下で使用されると配合された防黴剤が徐々に水へと溶出してしまい、防黴性が低下して黴が発生しやすくなるといった問題がある。また、特許文献3及び4において開示された特定構造を有するピペリジン誘導体は、シリコーンシーラントに配合しても十分な防黴性が発揮されにくいことが本発明者らによって確認された。
本発明は、このような従来技術の有する問題点に鑑みてなされたものであり、その課題とするところは、水まわり等の湿潤条件下に配置される建築材料又はその原材料等に対し、より少ない量を配合した場合であっても、防黴性が低下せずに長期間にわたって維持される建築材料用の防黴剤組成物を用いた防黴性建築材料を提供することにある。
また、本発明の課題とするところは、変色しにくく、湿潤条件下で使用した場合であっても防黴性が低下せずに長期間にわたって維持される防黴性建築材料を提供することにある。さらに、本発明の課題とするところは、上記の建築材料用の防黴剤組成物を用いた建築材料の防黴方法を提供することにある。
本発明者らは上記課題を達成すべく鋭意検討した結果、ブタンテトラカルボキシレート構造(以下、「BTC構造」とも記す)をその分子骨格中に有するヒンダードアミン系の化合物と、特定の防黴剤とを組み合わせて用いることによって、上記課題を達成することが可能であることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明によれば、以下に示す防黴性建築材料が提供される。
[1]建築材料の原材料と、防黴剤組成物とを含有する、湿潤条件下に配置される充填剤として用いられる防黴性建築材料であって、前記防黴剤組成物が、第1の有効成分と、第2の有効成分とを含有し、前記第1の有効成分が、下記一般式(3)で表される化合物及びその塩、並びに下記一般式(4)で表される化合物及びその塩の少なくともいずれかのヒンダードアミン系化合物であり、前記第2の有効成分が、テブコナゾール、プロピコナゾール、エニルコナゾール、チアベンダゾール及びこれらの塩、並びにフルジオキソニルからなる群より選択される少なくとも一種の防黴剤であり、前記第1の有効成分の含有割合が0.03〜0.5質量%であるとともに、前記第2の有効成分がテブコナゾール又はその塩であり、前記テブコナゾール又はその塩の含有割合が0.01〜0.5質量%であるか、又は前記第1の有効成分の含有割合が0.03〜0.5質量%であるとともに、前記第2の有効成分(但し、テブコナゾール及びその塩を除く)の含有割合が0.002〜0.2質量%であり、シリコーンシーラント、変性シリコーンシーラント、目地セメント、石膏スラリー、又はモルタルである防黴性建築材料。
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(前記一般式(3)及び(4)中、R1は、それぞれ独立に水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を示す。前記一般式(4)中、nは、繰り返し単位数を示す)
]前記ヒンダードアミン系化合物が、下記式(3−1)で表される化合物、下記式(3−2)で表される化合物、下記式(4−1)で表される化合物、及び下記式(4−2)で表される化合物の少なくともいずれかである前記[1]に記載の防黴性建築材料。
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また、本発明によれば、以下に示す建築材料の防黴方法が提供される。
]防黴剤組成物を建築材料の原材料に添加する工程を有する、湿潤条件下に配置される充填剤として用いられる建築材料の防黴方法であって、前記防黴剤組成物が、第1の有効成分と、第2の有効成分とを含有し、前記第1の有効成分が、下記一般式(3)で表される化合物及びその塩、並びに下記一般式(4)で表される化合物及びその塩の少なくともいずれかのヒンダードアミン系化合物であり、前記第2の有効成分が、テブコナゾール、プロピコナゾール、エニルコナゾール、チアベンダゾール及びこれらの塩、並びにフルジオキソニルからなる群より選択される少なくとも一種の防黴剤であり、前記第1の有効成分の含有割合が0.03〜0.5質量%であるとともに、前記第2の有効成分がテブコナゾール又はその塩であり、前記テブコナゾール又はその塩の含有割合が0.01〜0.5質量%であるか、又は前記第1の有効成分の含有割合が0.03〜0.5質量%であるとともに、前記第2の有効成分(但し、テブコナゾール及びその塩を除く)の含有割合が0.002〜0.2質量%であり、前記建築材料が、シリコーンシーラント、変性シリコーンシーラント、目地セメント、石膏スラリー、又はモルタルである建築材料の防黴方法
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(前記一般式(3)及び(4)中、R1は、それぞれ独立に水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を示す。前記一般式(4)中、nは、繰り返し単位数を示す)
]前記ヒンダードアミン系化合物が、下記式(3−1)で表される化合物、下記式(3−2)で表される化合物、下記式(4−1)で表される化合物、及び下記式(4−2)で表される化合物の少なくともいずれかである前記[3]に記載の建築材料の防黴方法。
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本発明で用いる建築材料用の防黴剤組成物は、水まわり等の湿潤条件下に配置される建築材料又はその原材料等に対し、より少ない量を配合した場合であっても、防黴性が低下せずに長期間にわたって維持されるものである。このため、の防黴剤組成物を用いれば、水まわり等に配置される場合であっても、長期間にわたって防黴性を発揮しうるシリコーンシーラント、目地セメント、及び石膏ボード等の建築材料を提供することができる。
また、本発明の防黴性建築材料は、変色しにくく、湿潤条件下で使用した場合であっても防黴性が低下せずに長期間にわたって維持されるものである。このため、本発明の防黴性建築材料は、例えば水まわり等で使用されるシリコーンシーラント、目地セメント、石膏ボード、及び成形品(シリコーン成形品等)を製造するための材料として有用である。
以下、本発明の実施の形態について説明するが、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではない。
<防黴剤組成物>
本発明の建築材料用の防黴剤組成物は、第1の有効成分と、第2の有効成分とを含有する。第1の有効成分は、前記式(1)で表される構造部分及び前記一般式(2)で表される構造部分をその分子骨格中に有するヒンダードアミン系化合物である。そして、第2の有効成分は、トリアゾール系防黴剤、イミダゾール系防黴剤、ベンズイミダゾール系防黴剤、及びフルジオキソニルからなる群より選択される少なくとも一種の防黴剤である。以下、本発明の防黴剤組成物の詳細について説明する。
本発明者らは検討の結果、特定の構造を有するヒンダードアミン系化合物(第1の有効成分)と、特定の防黴剤(第2の有効成分)とを組み合わせることによって、防黴剤の水への溶出による防黴性の低下が有効に抑制されることを見出した。このため、第1の有効成分と、第2の有効成分とを含有する本発明の防黴剤組成物を用いれば、水まわり等の湿潤条件下に配置されるシリコーンシーラント、目地セメント及び石膏ボード等の建築材料又はその原材料等に配合した場合であっても、防黴性が低下しにくく、長期間にわたって防黴性が発揮される建築材料を提供することができる。
なお、第1の有効成分を、第2の有効成分である種々の特定の防黴剤と併用すると、相乗的な防黴効果を得ることができる。このため、防黴剤の濃度を低くした場合であっても、有効な防黴効果が発揮される。従って、防黴剤の配合量を大幅に減ずることができるので、本発明の防黴剤組成物は、コスト面においても有利である。また、配合可能な防黴剤の種類も多いため、特定の薬剤が効きにくい黴(いわゆる耐性菌)への対策としても有効である。なお、前述の特許文献3及び4においては、本発明において用いる第1の有効成分に該当するヒンダードアミン系化合物(ピペリジン誘導体)と、防黴剤とを併用した具体例については一切検証されていない。このことから、いずれの特許文献の記載からも、第1の有効成分と第2の有効成分を併用した場合に得られる相乗効果について推認することはできない。
(第1の有効成分)
第1の有効成分は、下記式(1)で表される構造部分及び下記一般式(2)で表される構造部分をその分子骨格中に有するヒンダードアミン系化合物である。
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一般式(2)中、R1は、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を示す。また、式(1)及び一般式(2)中の*は、分子骨格中の他の構造部分が結合する結合位置を表し、式(1)中の*で表される結合位置のうちの少なくとも一つには、一般式(2)で表される構造部分が結合している。なお、一般式(2)で表される構造部分を分子骨格中に複数有する場合には、複数のR1は同一であっても異なっていてもよい。
一般式(2)中、R1で表される炭素数1〜4のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、及びブチル基等を挙げることができる。これらのアルキル基は、直鎖状であっても、分岐状であってもよい。一般式(2)中のR1としては、水素原子又はメチル基が好ましい。なお、前述の通り、式(1)中の*で表される結合位置のうちの少なくとも一つには、一般式(2)で表される構造部分が結合している。すなわち、式(1)中の少なくとも一つの酸素原子(O)には、一般式(2)で表されるピペラジン環が結合している。
前記式(1)で表される構造(BTC構造)をその分子骨格中に有するヒンダードアミン系化合物を使用することで、特定の防黴剤と併用した場合の効果を得ることができることを本発明者らは見出した。換言すれば、BTC構造を分子骨格中に有しないヒンダードアミン系化合物を用いても本発明の効果を得ることができない。なお、ヒンダードアミン系化合物は、その分子骨格中に前記一般式(2)で表される構造部分を2以上有することが好ましく、3以上有することがさらに好ましい。さらに、ヒンダードアミン系化合物は、前記式(1)中の*で表される結合位置のうちの少なくとも一つに、前記一般式(2)で表される構造部分が、前記一般式(2)中の*で表される結合位置で直接結合しているものが好ましい。ヒンダードアミン系化合物の具体例としては、下記式(A)〜(F)で表される化合物及びその塩、下記一般式(3)で表される化合物及びその塩、並びに下記一般式(4)で表される化合物及びその塩等を挙げることができる。なお、下記式(A)で表される化合物は、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸と、1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジノール及び4,4’−(1−メチルエチリデン)ビス(シクロヘキサノール)との混合エステル化物(CAS登録番号:85630−98−4)である。また、下記式(B)で表される化合物は、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸と、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジノール及び4,4’−(1−メチルエチリデン)ビス(シクロヘキサノール)との混合エステル化物(CAS登録番号:85630−99−5)である。
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(前記一般式(3)及び(4)中、R1は、それぞれ独立に水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を示す。前記一般式(4)中、nは、繰り返し単位数を示す)
なお、前記一般式(C)〜(F)で表される化合物のCAS登録番号は以下に示す通りである。
[CAS登録番号]
一般式(C)で表される化合物:84696−73−1
一般式(D)で表される化合物:84696−74−2
一般式(E)で表される化合物:106287−66−5
一般式(F)で表される化合物:228858−23−9
なかでも、ヒンダードアミン系化合物としては、前記一般式(3)で表される化合物及びその塩、並びに前記一般式(4)で表される化合物及びその塩が好ましい。これらのヒンダードアミン系化合物は、一種単独で又は二種以上を組み合わせて用いることができる。
前記一般式(3)で表される化合物の具体例としては、下記式(3−1)で表される1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)(CAS登録番号:64022−61−3)、及び下記式(3−2)で表される1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸テトラキス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニル)(CAS登録番号:91788−83−9)等を挙げることができる。
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また、前記一般式(4)で表される化合物の具体例としては、下記式(4−1)で表される、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸と、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジノール及び3,9−ビス(2−ヒドロキシ−1,1−ジメチルエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカンとの混合エステル化物(CAS登録番号:101357−37−3)、並びに下記式(4−2)で表される、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸と、1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジノール及び3,9−ビス(2−ヒドロキシ−1,1−ジメチルエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカンとの混合エステル化物(CAS登録番号:101357−36−2)等を挙げることができる。
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上記のようなヒンダードアミン系化合物は、樹脂の光安定剤として一般的に使用されている物質であり、例えば、ADEKA社より入手することができる。
(第2の有効成分)
第2の有効成分は、トリアゾール系防黴剤、イミダゾール系防黴剤、ベンズイミダゾール系防黴剤、及びフルジオキソニルからなる群より選択される少なくとも一種の防黴剤である。トリアゾール系防黴剤の具体例としては、テブコナゾール、プロピコナゾール、シプロコナゾール、アザコナゾール、テトラコナゾール、パクロブトラゾール、フルトリアホール、ジニコナゾール、ジフェノコナゾール、フェンブコナゾール、トリアジメフォン、及びこれらの塩等を挙げることができる。これらのトリアゾール系防黴剤は、一種単独で又は二種以上を組み合わせて用いることができる。
イミダゾール系防黴剤の具体例としては、エニルコナゾール(イマザリル)、トリフルミゾール、及びこれらの塩等を挙げることができる。これらのイミダゾール系防黴剤は、一種単独で又は二種以上を組み合わせて用いることができる。また、ベンズイミダゾール系防黴剤の具体例としては、チアベンダゾール、ベノミル、カーベンダジム、及びこれらの塩等を挙げることができる。これらのベンズイミダゾール系防黴剤は、一種単独で又は二種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明の防黴剤組成物においては、第1の有効成分(特定のヒンダードアミン系化合物)の含有量が、第2の有効成分(特定の防黴剤)1質量部に対して、0.1〜150質量部であることが好ましく、0.4〜40質量部であることがさらに好ましい。第1の有効成分の含有量を、第2の有効成分1質量部に対して上記数値範囲の量とすることにより、より長期間にわたって防黴性を発揮しうる建築材料を製造することができる。
(建築材料)
本発明の防黴剤組成物が適用される建築材料の種類は特に限定されず、建築物等に一般的に用いられる材料等を挙げることができる。建築材料の具体例としては、シリコーンシーラント、セメント、目地セメント、石膏ボード、ケイカル板、モルタル、コンクリート、プラスター、ジョイントセメント等を挙げることができる。これらの建築材料の原材料等に防黴剤組成物を添加することで、水まわり等の湿潤条件下に配置された場合であっても優れた防黴性が維持される建築材料を得ることができる。
<建築材料の防黴方法>
本発明の建築材料の防黴方法(以下、単に「防黴方法」とも記す)は、前述の本発明の防黴剤組成物を建築材料の原材料に添加する工程(以下、「工程(1)」とも記す)を有する。工程(1)では、例えば、市販のシリコーンシーラント(シーリング材)、目地セメント、及び石膏等をはじめとする前述した建築材料の原材料に防黴剤組成物を添加する。防黴剤組成物を添加する方法は特に限定されない。なお、本発明の防黴剤組成物に含まれる第1の有効成分と第2の有効成分をそれぞれ別個に添加してもよい。
防黴剤組成物を建築材料の原材料に添加する際には、第1の有効成分の量が、原材料の量を基準として0.005〜0.2質量%となるように添加することが好ましく、0.01〜0.1質量%となるように添加することがさらに好ましい。また、第2の有効成分の量が、原材料の量を基準として0.002〜0.2質量%となるように添加することが好ましく、0.005〜0.1質量%となるように添加することがさらに好ましい。第1の有効成分と第2の有効成分の量が上記の範囲となるように添加することで、水まわり等に配置される場合であっても、より長期間にわたって防黴性がさらに有効に発揮される建築材料を製造することができる。
本発明の防黴方法は、工程(1)以外の工程を有してもよい。工程(1)以外の工程としては、建築材料が一般的に付される工程(例えば、乾燥工程、加熱工程、養生工程等)を挙げることができる。
<防黴性建築材料>
本発明の防黴性建築材料は、建築材料の原材料と、前述の本発明の防黴剤組成物とを含有する。すなわち、本発明の防黴性建築材料は、建築材料の原材料と、前記式(1)で表される構造部分及び前記一般式(2)で表される構造部分をその分子骨格中に有するヒンダードアミン系化合物と、特定の防黴剤とを含有する。
前述の通り、本発明者らは検討の結果、特定の構造を有するヒンダードアミン系化合物と、特定の防黴剤とを組み合わせることによって、防黴剤の水への溶出による防黴性の低下が有効に抑制されることを見出した。さらに、このような特定のヒンダードアミン系化合物は紫外線の影響による変色が生じにくいため、建築材料の原材料(例えば、シリコーン樹脂を含有するシーリング材等)に高濃度に配合可能であることを見出した。このため、本発明の防黴性建築材料は、例えば水まわり等の湿潤条件下に施工されるシリコーンシーラント等の建築材料として使用された場合であっても高い防黴効果が長期間にわたって維持されるとともに、変色も生じにくいものである。さらに、本発明の防黴性建築材料を用いれば、例えば水まわり等の湿潤条件下で使用された場合であっても高い防黴効果が長期間にわたって維持されるとともに、変色も生じにくい防黴性成形品を製造することができる。
なお、このヒンダードアミン系化合物を種々の特定の防黴剤と併用すると、相乗的な防黴効果を得ることができる。このため、防黴剤の濃度を低くした場合であっても、有効な防黴効果が発揮される。従って、十分な防黴効果が得られる量を配合すると変色の程度が大きくなり使用しにくかった従来の防黴剤であっても、特定のヒンダードアミン系化合物と併用することで配合量を大幅に減ずることができる。このため、本発明の防黴性建築材料はコスト面においても有利である。また、配合可能な防黴剤の種類も多いため、特定の薬剤が効きにくい黴(いわゆる耐性菌)への対策としても有効である。
本発明の防黴性建築材料に含有されるヒンダードアミン系化合物の割合は、0.01〜0.5質量%であることが好ましく、0.02〜0.3質量%であることがさらに好ましく、0.03〜0.2質量%であることが特に好ましい。ヒンダードアミン系化合物の含有割合(濃度)が0.01質量%未満であると、防黴効果が不十分となる傾向にある。一方、ヒンダードアミン系化合物の含有割合(濃度)が0.5質量%超であると、コスト面で不利になる場合があるとともに、硬化不良が生ずる場合がある。
本発明の防黴性建築材料に含有される防黴剤(但し、テブコナゾール及びその塩を除く)の割合は、0.002〜0.2質量%であることが好ましく、0.002〜0.1質量%であることがさらに好ましく、0.003〜0.07質量%であることが特に好ましい。テブコナゾール及びその塩以外の防黴剤の含有割合(濃度)が0.002質量%未満であると、防黴効果が不十分となる傾向にある。一方、テブコナゾール及びその塩以外の防黴剤の含有割合(濃度)が0.2質量%超であると、紫外線による変色度合いが大きくなる傾向にあるとともに、コスト面において不利になる場合がある。
また、本発明の防黴性建築材料において、防黴剤がテブコナゾール及び/又はその塩である場合には、テブコナゾール及び/又はその塩の含有割合は、0.005〜0.5質量%であることが好ましく、0.01〜0.5質量%であることがさらに好ましく、0.02〜0.5質量%であることが特に好ましく、0.03〜0.5質量%であることが最も好ましい。テブコナゾール及び/又はその塩の含有割合(濃度)が0.005質量%未満であると、防黴効果が不十分となる傾向にある。なお、テブコナゾールやその塩は紫外線の影響によっても変色しにくい防黴剤であることから、テブコナゾール等以外の防黴剤に比して多く配合することが可能である。但し、0.5質量%超であると、コスト面において不利になる場合がある。
本発明の防黴性建築材料の具体例としては、シリコーンシーラント、変性シリコーンシーラント、ウレタンシーラント、目地セメント、石膏スラリー、モルタル等の充填剤;石膏ボード、プラスター、ケイカル板等の構造材等を挙げることができる。なかでも、本発明の防黴性建築材料は、シリコーンシーラント、変性シリコーンシーラント、ウレタンシーラント、目地セメント、石膏スラリー、モルタル等の充填剤としてとして有用である。
(シリコーン樹脂)
本発明の防黴性建築材料がシリコーンシーラントである場合、このシリコーンシーラントには、通常、建築材料の原材料としてのシリコーン樹脂(主剤)が含有される。このシリコーン樹脂は、いわゆるアルコールタイプ、オキシムタイプ、及び酢酸タイプのいずれであってもよい。また、シリコーン樹脂を主成分として含有する一般的なシーリング材にヒンダードアミン系化合物及び各種防黴剤を添加すれば、シリコーンシーラントとして用いられる防黴性建築材料を得ることができる。シーリング材は、湿気により架橋してゴム状の弾性を示す一成分架橋タイプであっても、二成分混合により架橋してゴム状の弾性を示す二成分架橋タイプであってもよい。このようなシーリング材としては、例えば、建築材料、土木工事用材料、及び生活必需品の構成材料など、一般的な市販のシーリング材であれば使用することができる。
なお、使用可能な市販のシーリング材としては、例えば、商品名「セメダイン8060」(セメダイン社製)、商品名「SE960」(東レ・ダウコーニング社製)等を挙げることができる。
<防黴性成形品>
本発明の防黴性成形品は、上述の本発明の防黴性建築材料を成形材料として使用し、一般的な成形方法によって製造されるものである。このため、本発明の防黴性成形品は、成形材料として用いたシリコーンシーラント等の建築材料の特性が生かされており、かつ、湿潤条件下で使用した場合であっても防黴性が低下せずに長期間にわたって維持される。従って、本発明の防黴性成形品は、その特性を生かし、例えばチューブ、ホース、ガスケット、パッキン、又はシート等として有用である。
以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、実施例、比較例中の「部」及び「%」は、特に断らない限り質量基準である。
<目地セメント>
(実施例1)
防黴剤を含有しない市販の目地セメントを原材料として用意した。この原材料に、下記式(3−1)で表される化合物及びチアベンダゾールを、原材料に対する割合でそれぞれ0.05%となるように配合し、十分に混合して混合物を得た。得られた混合物と水を1.0:0.35(質量比)の割合で混合し、十分に混練して試料(目地セメント)を調製した。調製した目地セメントを直径20mmφ×厚さ5mmの円柱状の型に流し込んだ後、風乾して円盤状の硬化物を得た。型から取り出した円盤状の硬化物を炭酸水に浸漬して中性化した後、硬化物の質量に対して100倍量の水と一緒に容器内に封入した。そして、容器を40℃で7日間保持する浸漬処理を行ったもの(40℃浸漬処理後)、及び60℃で7日間保持する浸漬処理を行ったもの(60℃浸漬処理後)をそれぞれ試験用小片とした。
Figure 0005651262
(実施例2〜16、比較例1〜8)
表I−1〜I−5に示す配合としたこと以外は、前述の実施例1と同様にして試験用小片(目地セメントの硬化物)を得た。なお、比較例4については、ヒンダードアミン系化合物と防黴剤のいずれも配合していない。また、式(4−2)及び(5)で表される化合物の構造を以下に示す。
Figure 0005651262
Figure 0005651262
(防黴性の評価(1))
グルコースを3%加えた湿潤剤添加(N−メチルタウリン 0.01%)無機塩溶液に下記供試黴の胞子を懸濁したものを等量混合し、混合胞子懸濁液とした。なお、上記の無機塩溶液は、硝酸ナトリウム2g、リン酸二水素カリウム0.7g、リン酸水素二カリウム0.3g、塩化カリウム0.5g、硫酸マグネシウム七水和物0.5g、硫酸鉄(II)七水和物0.01gに精製水1000mLを加え、良く撹拌して溶解させたものを水酸化ナトリウムでpH6.0〜6.5に調整した後、115℃で30分湿熱滅菌したものである。
[供試黴]
・Aspergillus niger
・Penicillium pinophilum
・Paecilomyces variotii
・Gliocladium virens
・Chaetomium globosum
グルコースを3%加えた無機塩溶液寒天培地に前述の試験用小片(直径20mmφ×厚さ5mm)をのせ、試験用小片及び培地表面に混合胞子懸濁液を均一に噴霧して蓋をした。なお、上記の無機塩溶液寒天培地は、硝酸ナトリウム2g、リン酸二水素カリウム0.7g、リン酸水素二カリウム0.3g、塩化カリウム0.5g、硫酸マグネシウム七水和物0.5g、硫酸鉄(II)七水和物0.01gに精製水1000mLを加え、良く撹拌して溶解させた後、水酸化ナトリウムでpH6.0〜6.5に調整したものに2%の寒天を加えて115℃で30分湿熱滅菌し、シャーレに注いで培地の厚さが5mmとなるように無菌的に分注し、放冷して固化させたものである。混合胞子懸濁液を噴霧して蓋をした後、30℃、相対湿度95%以上で培養し、4週間後にかびの発育状況を観察した。結果を表I−1〜I−5に示す。なお、防黴性の評価基準は以下に示す通りである。
0:肉眼及び顕微鏡下で黴の発育は認められない。
1:肉眼では黴の発育が認められないが、顕微鏡下では明らかに確認できる。
2:肉眼で黴の発育が認められ、発育部分の面積は試料の全面積の25%未満である。
3:肉眼で黴の発育が認められ、発育部分の面積は試料の全面積の25%以上50%未満である。
4:菌糸はよく発育し、発育部分の面積は試料の全面積の50%以上である。
5:菌糸の発育は激しく、試料全面を覆っている。
(有効成分残存量の測定(1))
以下に示す手順にしたがって、40℃浸漬処理後の試験用小片及び60℃浸漬処理後の試験用小片の第2の有効成分の残存量を測定した。結果を表I−1〜I−4中に「有効成分残存量(40℃浸漬処理後)」及び「有効成分残存量(40℃浸漬処理後)」として示す。
[測定手順]
各種試験片を粉砕してアセトニトリルで希釈した後、超音波により60分間抽出処理して試料液を得た。得られた試料液を以下に示すHPLC分析条件で分析し、第2の有効成分の残存量を測定した。
機器 :LC−10A(島津製作所)
カラム :L−column ODS(化学物質評価研究機構)
ガードカラム:Security Guard C18(Phenomenex)
移動相 :アセトニトリル:25mMリン酸水溶液=50:50
流量 :1.0mL/分
Figure 0005651262
Figure 0005651262
Figure 0005651262
Figure 0005651262
Figure 0005651262
表I−1〜I−4に示すように、40℃浸漬処理後における第2の有効成分の残存量(有効成分残存量)が0.0015%以上、好ましくは0.002質量%以上であれば、有効な防黴効果が維持されることが分かる。
<石膏ボード>
(実施例17)
防黴剤を含有しない市販の焼石膏を原材料として用意した。この原材料に、前記式(3−1)で表される化合物及びエニルコナゾールを、原材料に対する割合でそれぞれ0.05%及び0.01%となるように配合し、十分に混合して混合物を得た。得られた混合物と水を2.0:1.7(質量比)の割合で混合し、十分に混練して試料(石膏スラリー)を調製した。調製した石膏スラリーを直径42mmφ×厚さ21mmの円柱状の型に流し込んだ後、120℃に設定した通風乾燥機を使用して水分を飛ばして硬化させて円柱状の硬化物を得た。型から取り出した円柱状の硬化物を試験用小片とした。
(実施例18〜24、比較例9〜18)
表I−6〜I−8に示す配合としたこと以外は、前述の実施例17と同様にして試験用小片(石膏の硬化物)を得た。なお、比較例13については、ヒンダードアミン系化合物と防黴剤のいずれも配合していない。
(防黴性の評価(2))
湿潤剤添加(スルホコハク酸ジオクチルナトリウム 0.005%)水溶液に下記供試黴の胞子を懸濁したものを等量混合し、混合胞子懸濁液とした。なお、上記の湿潤剤添加水溶液は、121℃で15分湿熱滅菌したものである。
[供試黴]
・Aspergillus niger
・Cladosporium cladosporioides
・Penicillium citrinum
・Trichoderma virens
・Alternaria alternata
市販のポテトデキストロース寒天(PDA)に蒸留水を加え、121℃で15分湿熱滅菌した後、厚さが10mmとなるように滅菌シャーレに無菌的に分注した。放冷してPDAを固化させ、PDA培地を作製した。作製したPDA培地に混合胞子懸濁液を均一に噴霧し、風乾した後、前述の試験用小片(直径42mmφ×厚さ21mm)をのせた。試験用小片及び培地表面に混合胞子懸濁液を再度均一に噴霧して蓋をした。混合胞子懸濁液を噴霧して蓋をした後、30℃、相対湿度95%以上で培養し、4週間後にかびの発育状況を観察した。結果を表I−6〜I−8に示す。また、試験用小片を流量720ml/分の水道水で18時間処理する流水処理を行った。流水処理後の試験用小片について、上記と同様にして防黴性(流水処理後)を評価した。結果を表I−6〜I−8に示す。なお、防黴性の評価基準は以下に示す通りである。
0:肉眼及び顕微鏡下で黴の発育は認められない。
1:肉眼では黴の発育が認められないが、顕微鏡下では明らかに確認できる。
2:肉眼で黴の発育が認められ、発育部分の面積は試料の全面積の25%未満である。
3:肉眼で黴の発育が認められ、発育部分の面積は試料の全面積の25%以上50%未満である。
4:菌糸はよく発育し、発育部分の面積は試料の全面積の50%以上である。
5:菌糸の発育は激しく、試料全面を覆っている。
(有効成分残存量の測定(1))
以下に示す手順にしたがって、流水処理後の試験用小片の第2の有効成分の残存量を測定した。結果を表I−6及びI−7中に「有効成分残存量(流水処理後)」として示す。
[測定手順]
各種試験片を粉砕してアセトニトリルで希釈した後、超音波により60分間抽出処理して試料液を得た。得られた試料液を以下に示すHPLC分析条件で分析し、第2の有効成分の残存量を測定した。
機器 :LC−10A(島津製作所)
カラム :L−column ODS(化学物質評価研究機構)
ガードカラム:Security Guard C18(Phenomenex)
移動相 :アセトニトリル:25mMリン酸水溶液=50:50
流量 :1.0mL/分
Figure 0005651262
Figure 0005651262
Figure 0005651262
表I−6及びI−7に示すように、流水試験後における第2の有効成分の残存量(有効成分残存量)が0.0015%以上、好ましくは0.002質量%以上であれば、有効な防黴効果が維持されることが分かる。
<シリコーンシーラント>
(実施例25)
シリコーン樹脂を主成分とし、防黴剤を含有しない市販のシーリング材(商品名「セメダイン8060」、セメダイン社製)に、前記式(3−1)で表される化合物を0.03%、及びテブコナゾールを0.07%となるようにそれぞれ配合し、十分に撹拌して試料(シリコーンシーラント)を得た。
(実施例26〜38、比較例19〜35)
表II−1〜II−7に示す配合としたこと以外は、前述の実施例25と同様にして試料(シリコーンシーラント)を得た。なお、比較例25については、ヒンダードアミン系化合物と防黴剤のいずれも配合していない。また、式(6)で表される化合物の構造を以下に示す。
Figure 0005651262
<評価>
(試験用小片の作製)
上述の実施例及び比較例で得たシリコーンシーラントを100mm×100mm×厚さ2mmのシート状に伸ばした後、室温で2日間放置して硬化させ、シート状硬化物を得た。得られたシート状硬化物を40mm×40mmのサイズに裁断して試験用小片を作製した。
(紫外線による変色の評価)
試験用小片に対して、紫外線フェードメーター(スガ試験機社製)を使用して48時間紫外線を照射した。色差計(日本電色社製)を使用して紫外線照射後の試験用小片の色差を測定し、紫外線を照射していない無添加のシリコーンシーラント(商品名「セメダイン8060」、セメダイン社製))の色差との差(黄変度合いΔb)を算出した。結果を表II−1〜II−7に示す。
なお、Δbが0以上2.0未満であると、肉眼は目立った変色を認めることができない。一方、Δbが2.0以上であると、肉眼で明らかな変色を認めることができる。
(防黴性の評価(3))
得られた試験用小片の防黴性(浸漬処理前)を以下の条件で評価した。湿潤剤添加(N−メチルタウリン 0.01%)無機塩溶液に下記供試黴の胞子を懸濁したものを等量混合し、混合胞子懸濁液とした。なお、上記の無機塩溶液は、硝酸ナトリウム2g、リン酸二水素カリウム0.7g、リン酸水素二カリウム0.3g、塩化カリウム0.5g、硫酸マグネシウム七水和物0.5g、硫酸鉄(II)七水和物0.01gに精製水1000mLを加え、良く撹拌して溶解させたものを水酸化ナトリウムでpH6.0〜6.5に調整した後、115℃で30分湿熱滅菌したものである。
[供試黴]
・Aspergillus niger
・Penicillium pinophilum
・Paecilomyces variotii
・Gliocladium virens
・Chaetomium globosum
無機塩溶液寒天培地に前述の試験用小片(40mm×40mm)をのせ、試験用小片及び培地表面に混合胞子懸濁液を均一に噴霧して蓋をした。なお、上記の無機塩溶液寒天培地は、硝酸ナトリウム2g、リン酸二水素カリウム0.7g、リン酸水素二カリウム0.3g、塩化カリウム0.5g、硫酸マグネシウム七水和物0.5g、硫酸鉄(II)七水和物0.01gに精製水1000mLを加え、良く撹拌して溶解させた後、水酸化ナトリウムでpH6.0〜6.5に調整したものに2%の寒天を加えて115℃で30分湿熱滅菌し、シャーレに注いで培地の厚さが5mmとなるように無菌的に分注し、放冷して固化させたものである。混合胞子懸濁液を噴霧して蓋をした後、30℃、相対湿度95%以上で培養し、4週間後にかびの発育状況を観察した。結果を表II−1〜II−7に示す。また、試験用小片を石鹸成分(オレイン酸ナトリウム0.05%及びラウリン酸ナトリウム0.05%)を添加した水道水1Lとともに容器内に封入し、40℃で3日間保持する浸漬処理を行った。浸漬処理後の試験用小片について、上記と同様にして防黴性(浸漬処理後)を評価した。結果を表II−1〜II−7に示す。なお、防黴性の評価基準は以下に示す通りである。
0:肉眼及び顕微鏡下で黴の発育は認められない。
1:肉眼では黴の発育が認められないが、顕微鏡下では明らかに確認できる。
2:肉眼で黴の発育が認められ、発育部分の面積は試料の全面積の25%未満である。
3:肉眼で黴の発育が認められ、発育部分の面積は試料の全面積の25%以上50%未満である。
4:菌糸はよく発育し、発育部分の面積は試料の全面積の50%以上である。
5:菌糸の発育は激しく、試料全面を覆っている。
Figure 0005651262
Figure 0005651262
Figure 0005651262
Figure 0005651262
Figure 0005651262
Figure 0005651262
Figure 0005651262
(実施例39〜41、比較例36及び37)
シリコーン樹脂を主成分とし、防黴剤を含有しない市販のシーリング材(商品名「セメダイン8060」、セメダイン社製)に、前記式(3−1)で表される化合物及びテブコナゾールを表II−8に示す濃度となるようにそれぞれ配合し、十分に撹拌して試料(シリコーンシーラント)を得た。
<評価>
(試験用小片の作製)
実施例39〜41、比較例36及び37で得たシリコーンシーラントを100mm×100mm×厚さ2mmのシート状に伸ばした後、室温で2日間放置して硬化させ、シート状硬化物を得た。得られたシート状硬化物を40mm×40mmのサイズに裁断して試験用小片を作製した。
(防黴性の評価(A法:グルコースなし))
湿潤剤添加(N−メチルタウリン 0.01%)無機塩溶液に下記供試黴の胞子を懸濁したものを等量混合し、混合胞子懸濁液とした。なお、上記の無機塩溶液は、硝酸ナトリウム2g、リン酸二水素カリウム0.7g、リン酸水素二カリウム0.3g、塩化カリウム0.5g、硫酸マグネシウム七水和物0.5g、硫酸鉄(II)七水和物0.01gに精製水1000mLを加え、良く撹拌して溶解させたものを水酸化ナトリウムでpH6.0〜6.5に調整した後、115℃で30分湿熱滅菌したものである。
[供試黴]
・Aspergillus niger
・Penicillium pinophilum
・Paecilomyces variotii
・Gliocladium virens
・Chaetomium globosum
一方、前述の試験用小片(40mm×40mm)を石鹸成分(オレイン酸ナトリウム0.05%及びラウリン酸ナトリウム0.05%)を添加した水道水1Lとともに容器内に封入し、40℃で4日間保持する浸漬処理を行った。
無機塩溶液寒天培地に浸漬処理後の試験用小片をのせ、試験用小片及び培地表面に混合胞子懸濁液を均一に噴霧して蓋をした。なお、上記の無機塩溶液寒天培地は、硝酸ナトリウム2g、リン酸二水素カリウム0.7g、リン酸水素二カリウム0.3g、塩化カリウム0.5g、硫酸マグネシウム七水和物0.5g、硫酸鉄(II)七水和物0.01gに精製水1000mLを加え、良く撹拌して溶解させた後、水酸化ナトリウムでpH6.0〜6.5に調整したものに2%の寒天を加えて115℃で30分湿熱滅菌し、シャーレに注いで培地の厚さが5mmとなるように無菌的に分注し、放冷して固化させたものである。混合胞子懸濁液を噴霧して蓋をした後、30℃、相対湿度95%以上で培養し、4週間後にかびの発育状況を観察した。結果を表II−8に示す。
0:肉眼及び顕微鏡下で黴の発育は認められない。
1:肉眼では黴の発育が認められないが、顕微鏡下では明らかに確認できる。
2:肉眼で黴の発育が認められ、発育部分の面積は試料の全面積の25%未満である。
3:肉眼で黴の発育が認められ、発育部分の面積は試料の全面積の25%以上50%未満である。
4:菌糸はよく発育し、発育部分の面積は試料の全面積の50%以上である。
5:菌糸の発育は激しく、試料全面を覆っている。
(防黴性の評価(B法:グルコースあり)
グルコースを3%加えた湿潤剤添加無機塩溶液と、グルコースを3%加えた無機塩溶液寒天培地を使用したこと以外は、前述の「防黴性の評価(A法:グルコースなし)」と同様にして前述の試験用小片の防黴性を評価した。結果を表II−8に示す。
Figure 0005651262
本発明の防黴剤組成物は、例えば、水まわり等の湿潤条件下に施工されるシリコーンシーラント(シーリング材)、シリコーン成形品、目地セメント、及び石膏等の建築材料に有効な防黴性を付与する薬剤として好適である。

Claims (4)

  1. 建築材料の原材料と、防黴剤組成物とを含有する、湿潤条件下に配置される充填剤として用いられる防黴性建築材料であって、
    前記防黴剤組成物が、第1の有効成分と、第2の有効成分とを含有し、
    前記第1の有効成分が、下記一般式(3)で表される化合物及びその塩、並びに下記一般式(4)で表される化合物及びその塩の少なくともいずれかのヒンダードアミン系化合物であり、
    前記第2の有効成分が、テブコナゾール、プロピコナゾール、エニルコナゾール、チアベンダゾール及びこれらの塩、並びにフルジオキソニルからなる群より選択される少なくとも一種の防黴剤であり、
    前記第1の有効成分の含有割合が0.03〜0.5質量%であるとともに、前記第2の有効成分がテブコナゾール又はその塩であり、前記テブコナゾール又はその塩の含有割合が0.01〜0.5質量%であるか、又は
    前記第1の有効成分の含有割合が0.03〜0.5質量%であるとともに、前記第2の有効成分(但し、テブコナゾール及びその塩を除く)の含有割合が0.002〜0.2質量%であり、
    シリコーンシーラント、変性シリコーンシーラント、目地セメント、石膏スラリー、又はモルタルである防黴性建築材料。
    Figure 0005651262
    Figure 0005651262
    (前記一般式(3)及び(4)中、R 1 は、それぞれ独立に水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を示す。前記一般式(4)中、nは、繰り返し単位数を示す)
  2. 前記ヒンダードアミン系化合物が、下記式(3−1)で表される化合物、下記式(3−2)で表される化合物、下記式(4−1)で表される化合物、及び下記式(4−2)で表される化合物の少なくともいずれかである請求項1に記載の防黴性建築材料。
    Figure 0005651262
    Figure 0005651262
    Figure 0005651262
    Figure 0005651262
  3. 防黴剤組成物を建築材料の原材料に添加する工程を有する、湿潤条件下に配置される充填剤として用いられる建築材料の防黴方法であって、
    前記防黴剤組成物が、第1の有効成分と、第2の有効成分とを含有し、
    前記第1の有効成分が、下記一般式(3)で表される化合物及びその塩、並びに下記一般式(4)で表される化合物及びその塩の少なくともいずれかのヒンダードアミン系化合物であり、
    前記第2の有効成分が、テブコナゾール、プロピコナゾール、エニルコナゾール、チアベンダゾール及びこれらの塩、並びにフルジオキソニルからなる群より選択される少なくとも一種の防黴剤であり、
    前記第1の有効成分の含有割合が0.03〜0.5質量%であるとともに、前記第2の有効成分がテブコナゾール又はその塩であり、前記テブコナゾール又はその塩の含有割合が0.01〜0.5質量%であるか、又は
    前記第1の有効成分の含有割合が0.03〜0.5質量%であるとともに、前記第2の有効成分(但し、テブコナゾール及びその塩を除く)の含有割合が0.002〜0.2質量%であり、
    前記建築材料が、シリコーンシーラント、変性シリコーンシーラント、目地セメント、石膏スラリー、又はモルタルである建築材料の防黴方法。
    Figure 0005651262
    Figure 0005651262
    (前記一般式(3)及び(4)中、R 1 は、それぞれ独立に水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を示す。前記一般式(4)中、nは、繰り返し単位数を示す)
  4. 前記ヒンダードアミン系化合物が、下記式(3−1)で表される化合物、下記式(3−2)で表される化合物、下記式(4−1)で表される化合物、及び下記式(4−2)で表される化合物の少なくともいずれかである請求項に記載の建築材料の防黴方法。
    Figure 0005651262
    Figure 0005651262
    Figure 0005651262
    Figure 0005651262
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