JP7338822B2 - ターメロノールbの揮発を抑制する方法 - Google Patents
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(1)ターメロノールBを含む低水分組成物においてターメロノールBの揮発を抑制する方法であって、
水中にターメロノールBと単糖類及び二糖類から選択される1以上の糖類とを含む水溶液を乾燥して、ターメロノールBを含む低水分組成物を調製することを含む方法。
(2)単糖類がグルコース、エリスリトール及びソルビトールから選択される1以上であり、二糖類がスクロース、麦芽糖及びマルチトールから選択される1以上である、(1)に記載の方法。
(3)低水分組成物が、1回の摂取量当たり、20μg以上のターメロノールBを含む、(1)又は(2)に記載の方法。
ターメロノールA及びターメロノールBは、それぞれ、以下の平面構造を有する化合物である。
抽出溶媒としては、水及び親水性有機溶媒からなる群から選択される少なくとも1種、ヘキサン等の液体溶媒、水蒸気、超臨界流体等が例示できる。
水蒸気を用いる抽出は水蒸気蒸留とも呼ばれる。
超臨界流体としては超臨界二酸化炭素が好ましい。
ウコンからターメロノールBを効率的に抽出する観点からは、抽出溶媒として、エタノール、ヘキサン又は超臨界流体を用いることが好ましい。
抽出溶媒を用いたウコン抽出物の調製方法は特に限定されない。
低水分組成物とは、例えば、全重量あたりの水分量が10重量%以下、典型的には7重量%以下、6重量%以下、5重量%以下、4重量%以下、またはそれ以下の組成物であることができる。低水分組成物の水分量の下限値は特に限定されないが、全重量あたり3重量%以上であることができる。水分量の測定は、公知の方法を用いて測定することができる。例えば、常圧加熱乾燥法を用いたのちに乾燥助剤法(105℃で16時間)にて測定することができる。
ターメロノールA及びターメロノールBの定量方法は特に限定されないが、例えばLC/MS分析により行うことができる。
「他の成分」としては、ウコン色素、甘味料、増粘剤、香料、酸化防止剤、ビタミン類等が挙げられる。
増粘剤としては、ジェランガム、キサンタンガム、ペクチン、グアーガム等の増粘多糖類が挙げられる。
酸化防止剤としては、ビタミンC、酵素処理ルチン、トコフェロール(ビタミンE)、カテキン等が挙げられる。
ビタミン類としては、ビタミンA、ビタミンC、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンE、ナイアシン、イノシトール等が挙げられる。
甘味料、増粘剤、香料、酸化防止剤、ビタミン類等は、当業者が食品等の経口摂取される組成物に通常採用する範囲内の量で適宜配合することができる。
本発明で用いる糖類は、単糖類及び二糖類から選択される1以上の糖類である。ここで糖類には、糖だけでなく糖アルコールも含まれる。単糖類としては、グルコース、エリスリトール及びソルビトールから選択される1以上が好ましい。二糖類としては、スクロース、麦芽糖及びマルチトールから選択される1以上が好ましい。
本発明者らは驚くべきことに、水中にターメロノールBを含む水溶液を乾燥して低水分組成物を調製すると、ターメロノールBが乾燥時、及び/又は、低水分組成物の保存中に揮発するという問題があるのに対して、ターメロノールBを含む水溶液に更に前記糖類を含ませて乾燥を行い、低水分組成物を調製すると、乾燥時、及び/又は、低水分組成物の保存中でのターメロノールBの揮発が抑制されることを見出し、本発明を完成するに至った。
市販のウコン抽出物を含有する顆粒1、顆粒2及び錠剤をそれぞれ1gずつ容量15mLのガラス製サンプルボトル中に封入した。ボトル内の気相は空気(1~3回目)又は窒素ガス(4回目)とした。サンプルボトルを50℃の温度下で7日間保存した。保存前及び保存後の顆粒1、顆粒2又は錠剤中のターメロノールA及びターメロノールBを定量した。ターメロノールA及びターメロノールBについて、保存前の顆粒1、顆粒2又は錠剤での含量に対する保存後の顆粒1、顆粒2又は錠剤での含量の割合を残存率として算出した。
検出器:QDa
設定質量数:TA、TB:232.9m/z、内部標準(Nバニリルノナンアミド):294.1m/z
流速:0.4mL/分
移動相:LC-MS用MeOH:0.1%ギ酸水溶液(MiliQ使用)=55:45
使用カラム:COSMOS πNAP,Φ3.0mm×150mm,粒子径5μm
カラム温度:40℃
以上の結果は、ウコン抽出物含有顆粒又は錠剤の高温保存中でのTBの低減は揮発が原因であることを示す。
分析装置:Agilent 5975C
SPME:65μm PDMS/DVB
抽出:ヘッドスペース法、5分間、80℃
分析装置:Agilent 7890A
設定質量数:m/z 40-300 スプリットレス
キャリヤー:1.3mL/分 He
使用カラム:DB-WAX,60m×250μm×0.25μm
カラム温度:40℃→240℃、8min
240℃→250℃、15min
250℃ホールド、10min
ウコン(Curcuma longa)の根茎部分を水抽出し乾燥して得たウコン抽出物を以下の試験に用いた。
検出器:QDa
設定質量数:TA、TB:232.9m/z、内部標準(Nバニリルノナンアミド):294.1m/z
流速:0.4mL/分
移動相:LC-MS用MeOH:0.1%ギ酸水溶液(MiliQ使用)=55:45
使用カラム:COSMOS πNAP,φ3.0mm×150mm,粒子径5μm
カラム温度:40℃
実験2の結果は、糖類がTBの揮発を防ぐ作用を有する可能性を示唆している。
使用した糖類の種類及び重量ならびにTA及びTBの残存率を次表に示す。サンプル1は糖類を含まないウコン抽出物水溶液の凍結乾燥物である。サンプル11は、凍結乾燥を行わないウコン抽出物である。
実験2に記載のウコン抽出物1gと、エリスリトール、砂糖又はトレハロース1g、2g又は5gとを水100mL中に溶解して水溶液とし、-20℃にて凍結し、凍結後に棚温度50℃にて2日間凍結乾燥を行い、凍結乾燥物を得た。
実験2と同じ手順で凍結乾燥後のTA及びTBの残存率を求めた。
各サンプルでのTA及びTBの残存率を次表に示す。
実験2に記載のウコン抽出物1gと、デキストリン(松谷化学工業株式会社TK16)5g、砂糖5g、又は麦芽糖5gとを水100mL中に溶解して水溶液とし、-20℃にて凍結し、凍結後に棚温度50℃にて2日間凍結乾燥を行い、凍結乾燥物を得た(サンプル2、3、4)。またサンプル2、3、4に対するネガティブコントロールとして、デキストリン、砂糖及び麦芽糖を用いない以外は同じ条件でウコン抽出物水溶液の凍結乾燥物を得た(サンプル1)。
各サンプルでのTA及びTBの残存率を次表に示す。
ウコン(Curcuma longa)の根茎部分を水抽出し乾燥して得たウコン抽出物を以下の試験に用いた。
このウコン抽出物を用いて以下のサンプル1~9を調製した。
ポジティブコントロールとして、ウコン抽出物1gを100mLの水に溶解し、凍結し、解凍して、水溶液を調製した。
ネガティブコントロールとして、水1000mLあたりウコン抽出物30gを添加して水溶液とし、この水溶液を噴霧乾燥(ディスク回転25000rpm、200℃、500mL/40分、60分間)して噴霧乾燥物を得た。この噴霧乾燥物1gを100mLの水に溶解し水溶液を調製した。
水1000mLあたりウコン抽出物30g及び麦芽糖150gを添加して水溶液とし、この水溶液を噴霧乾燥(ディスク回転25000rpm、200℃、500mL/40分、60分間)して噴霧乾燥物を得た。この噴霧乾燥物6gを100mLの水に溶解し水溶液を調製した。
水1000mLあたりウコン抽出物30g及びデキストリン(松谷化学工業株式会社TK16)150gを添加して水溶液とし、この水溶液を噴霧乾燥(ディスク回転25000rpm、200℃、500mL/40分、60分間)して噴霧乾燥物を得た。この噴霧乾燥物6gを100mLの水に溶解し水溶液を調製した。
水1000mLあたりウコン抽出物30g、麦芽糖150g及びデキストリン(松谷化学工業株式会社TK16)150gを添加して水溶液とし、この水溶液を噴霧乾燥(ディスク回転25000rpm、200℃、500mL/40分、60分間)して噴霧乾燥物を得た。この噴霧乾燥物11gを100mLの水に溶解し水溶液を調製した。
サンプル2の調製の際に得た噴霧乾燥物を、50℃の温度下で7日間保存した。保存後の噴霧乾燥物1gを100mLの水に溶解し水溶液を調製した。
サンプル3の調製の際に得た噴霧乾燥物を、50℃の温度下で7日間保存した。保存後の噴霧乾燥物6gを100mLの水に溶解し水溶液を調製した。
サンプル4の調製の際に得た噴霧乾燥物を、50℃の温度下で7日間保存した。保存後の噴霧乾燥物6gを100mLの水に溶解し水溶液を調製した。
サンプル5の調製の際に得た噴霧乾燥物を、50℃の温度下で7日間保存した。保存後の噴霧乾燥物11gを100mLの水に溶解し水溶液を調製した。
サンプル1~9の水溶液中のTA及びTBの量を実施例2に記載の方法で定量した。
サンプル1のTA及びTBの量に対する、サンプル2~5のTA及びTBの量の割合を、サンプル2~5での残存率として算出した。
サンプル2のTA及びTBの量に対する、サンプル6のTA及びTBの量の割合を、サンプル6での残存率として算出した。
サンプル3のTA及びTBの量に対する、サンプル7のTA及びTBの量の割合を、サンプル7での残存率として算出した。
サンプル4のTA及びTBの量に対する、サンプル8のTA及びTBの量の割合を、サンプル8での残存率として算出した。
サンプル5のTA及びTBの量に対する、サンプル9のTA及びTBの量の割合を、サンプル9での残存率として算出した。
結果を次表に示す。
Claims (3)
- ターメロノールBを含む低水分組成物においてターメロノールBの揮発を抑制する方法であって、
水中にターメロノールBと単糖類及び二糖類から選択される1以上の糖類とを含む水溶液を乾燥して、ターメロノールBを含む低水分組成物を調製することを含み、低水分組成物は、全重量あたりの水分量が10重量%以下の組成物である、方法。 - 単糖類がグルコース、エリスリトール及びソルビトールから選択される1以上であり、二糖類がスクロース、麦芽糖、トレハロース及びマルチトールから選択される1以上である、請求項1に記載の方法。
- 低水分組成物が、1回の摂取量当たり、20μg以上のターメロノールBを含む、請求項1又は2に記載の方法。
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JP2015172012A (ja) | 2014-03-11 | 2015-10-01 | ハウス食品グループ本社株式会社 | ウコン中の有用成分を含有する低水分系組成物 |
JP2015172031A (ja) | 2014-06-30 | 2015-10-01 | ハウス食品グループ本社株式会社 | ウコン中の有用成分を含有する低水分系組成物 |
JP2018061483A (ja) | 2016-10-14 | 2018-04-19 | ハウスウェルネスフーズ株式会社 | 植物抽出物を含有する口腔内即溶性顆粒の製造方法 |
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