JP7336310B2 - 熱可塑性樹脂組成物及び成形体 - Google Patents
熱可塑性樹脂組成物及び成形体 Download PDFInfo
- Publication number
- JP7336310B2 JP7336310B2 JP2019150341A JP2019150341A JP7336310B2 JP 7336310 B2 JP7336310 B2 JP 7336310B2 JP 2019150341 A JP2019150341 A JP 2019150341A JP 2019150341 A JP2019150341 A JP 2019150341A JP 7336310 B2 JP7336310 B2 JP 7336310B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- hydrogenated
- resin composition
- thermoplastic resin
- polymer block
- cyclic polyolefin
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Active
Links
Landscapes
- Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
Description
この環状ポリオレフィンの利用については、本発明者等が種々検討しているが、公開された特許出願等の文献等はまだない。
そこで、本発明は、このような問題を鑑みてなされたものである。すなわち、本発明の課題は透明性と剛性、強度の優れた熱可塑性樹脂組成物及び成形体を提供することを目的とする。
即ち、本発明は以下の特徴を有する。
[3]前記ガラス繊維(B)が、NEガラスからなるガラス繊維である、[1]又は[2]に記載の熱可塑性樹脂組成物。
[4]前記水素化芳香族ビニルポリマーブロック単位が90%以上の水素化レベルをもち、かつ、前記水素化共役ジエンポリマーブロック単位が95%以上の水素化レベルをもつ、[1]~[3]のいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂組成物。
[5]前記水素化芳香族ビニルポリマーブロック単位が水素化ポリスチレンからなり、前記環状ポリオレフィン(A)中の含有率が30~99モル%である、[1]~[4]のいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂組成物。
[7]10GHzにおける誘電正接が0.0025以下である、[1]~[6]のいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂組成物。
[8]前記ガラス繊維(B)の繊維断面の平均直径が5~50μmである、[1]~[7]のいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂組成物。
[9]前記ガラス繊維(B)の繊維断面の長径と短径の比(長径/短径)の平均値が2~8の扁平断面を有する、[1]~[8]のいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂組成物。
[11][1]~[10]のいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂組成物を成形した成形体。
[12][1]~[10]のいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂組成物を成形した医療機器、光学部品又は電気・電子部品。
[13][1]~[10]のいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂組成物を成形した部品を有するミリ波モジュール。
[14][1]~[10]のいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂組成物を成形した部品であり、ミリ波レーダーカバー、コネクタ、及び筐体から選ばれるミリ波モジュール構成部品。
以下において、「~」を用いてその前後に数値又は物性値を挟んで表現する場合、その前後の値を含むものとして用いることとする。
本発明の環状ポリオレフィン(A)は、少なくとも1種の芳香族ビニルモノマー単位及び少なくとも1種の共役ジエンモノマー単位を含むブロックコポリマーの水素化体である水素化ブロックコポリマーからなる。
該水素化ブロックコポリマーは、前記芳香族ビニルモノマー単位からなるポリマーブロックの水素化体である水素化芳香族ビニルポリマーブロック単位、及び、前記共役ジエンモノマー単位からなるポリマーブロックの水素化体である水素化共役ジエンポリマーブロック単位を有する。
また、該水素化ブロックコポリマーは、前記水素化芳香族ビニルポリマーブロック単位を少なくとも2個有すると共に、前記水素化共役ジエンポリマーブロック単位を少なくとも1個有するものである。
なお、「ブロック」とは、後記するように、本明細書において、コポリマーの構造的又は組成的に異なった重合セグメントからのミクロ層分離を表すコポリマーの重合セグメントをいう。このため、例えば「ブロック単位を少なくとも2個有する」とは、水素化ブロックコポリマーの中に、構造的又は組成的に異なった重合セグメントからのミクロ層分離を表すコポリマーの重合セグメントを少なくとも2個有することをいう。
また、前記のArは、フェニル基又はアルキルフェニル基が好ましく、フェニル基がより好ましい。
共役ジエンモノマーとしては、例えば、1,3-ブタジエン、2-メチル-1,3-ブタジエン(イソプレンン)、2-メチル-1,3ペンタジエンとその類似化合物、及びこれらの混合物が挙げられる。
なお、「官能基のない」とはブロックコポリマー中に如何なる官能基、即ち、炭素と水素以外の元素を含む基が存在しないことを意味する。
そして、水素化ブロックコポリマーの好ましい一態様としては、スチレンとブタジエンの水素化トリブロック又はペンタブロックコポリマーを挙げることができ、他の如何なる官能基又は構造的変性剤も含まないことが好ましい。
「ブロック」とは、コポリマーの構造的又は組成的に異なった重合セグメントからのミクロ層分離を表すコポリマーの重合セグメントとして定義される。ミクロ層分離は、ブロックコポリマー中で重合セグメントが混じり合わないことにより生ずる。
なお、ミクロ層分離とブロックコポリマーは、PHYSICS TODAYの1999年2月号32-38頁の“Block Copolymers-Designer Soft Materials”で広範に議論されている。
水素化芳香族ビニルポリマーブロック単位の比率が上記下限値以上であれば剛性が低下することがなく、上記上限値以下であれば脆性が悪化することがない。
水素化共役ジエンポリマーブロック単位の比率が上記下限値以上であれば脆性が悪化することがなく、上記上限値以下であれば剛性が低下することがない。
Mwが上記下限値以上であれば機械強度が低下せず、上記上限値以下であれば成形加工性が悪化しない。
本明細書のMwは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて決定される。
なお、水素化芳香族ビニルポリマーブロック単位の水素化レベルとは、芳香族ビニルポリマーブロック単位が水素化によって飽和される割合を示し、水素化共役ジエンポリマーブロック単位の水素化レベルとは、共役ジエンポリマーブロック単位が水素化によって飽和される割合を示す。このように高レベルの水素化は、誘電損失を低減させるために好ましい。
MFRは、ISO 1133に従って、測定温度230℃、測定荷重2.16kgの条件で測定した。
本発明の環状ポリオレフィン(A)としては、市販のものを用いることができる。具体的には、三菱ケミカル(株)製:ゼラス(商標登録)が挙げられる。
本発明で用いるガラス繊維(B)は、屈折率が1.49~1.53のガラス繊維である。
ガラス繊維(B)の屈折率は、好ましくは1.50~1.52である。屈折率がこの範囲内であれば、得られる成形体の透明性が向上する。
これらの内、得られる熱可塑性樹脂組成物の透明性が向上することから、平均値が2~8の扁平断面ガラス繊維を用いることが好ましい。
繊維断面の平均直径が上記下限値以上であれば、得られる成形体の機械的強度が向上し、上記上限値以下であれば、得られる成形体の外観が良好となる。
繊維断面の長径の平均値が上記下限値以上であれば、ガラス繊維の製造が容易であり、上記上限値以下であれば、得られる成形体の外観が良好となる。
繊維断面の長径と短径の比が上記下限値以上であれば、得られる成形体の透明性及び寸法安定性が向上し、上記上限値以下であれば、得られる成形体の強度が向上する。
数平均繊維長が上記下限値以上であれば、得られる成形体の機械的強度が向上し、上記上限値以下であれば、熱可塑性樹脂組成物を得る際に環状ポリオレフィン(A)中へのガラス繊維(B)の分散性が良好となり、ガラス繊維(B)が樹脂から脱落することがない。このことから、熱可塑性樹脂組成物の生産性が向上する。
本発明の熱可塑性樹脂組成物には、上記成分(A)及び成分(B)に加えて、酸変性環状ポリオレフィン(C)を更に含有することが好ましい。
酸変性環状ポリオレフィン(C)は、成分(A)と、成分(B)等の無機物に対して高い相溶化性能を発揮することができる。
変性に供する環状ポリオレフィン(A)は、1種でもよく、モノマー単位の組成や物性等の異なる2種以上でもよい。
不飽和カルボン酸及び/又はその誘導体によるグラフト変性処理は、常用されている任意の方法を採用することができ、その方法は特に限定されない。
また、溶融変性法としては、環状ポリオレフィン(A)と不飽和カルボン酸及び/又はその誘導体とを、押出機等を使用して170~290℃で溶融し、通常0.5~10分間反応させる方法が挙げられる。
また、不飽和カルボン酸の誘導体としては、酸無水物、エステル、アミド、イミド、金属塩等が挙げられる。具体的には、無水マレイン酸、無水ハイミック酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸等の酸無水物;アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸グリシジル、マレイン酸モノエチルエステル、マレイン酸ジエチルエステル、イタコン酸モノメチルエステル、イタコン酸ジエチルエステル等のエステル;アクリルアミド、メタクリルアミド、マレイン酸モノアミド、マレイン酸ジアミド、マレイン酸-N-モノエチルアミド、マレイン酸-N,N-ジエチルアミド、マレイン酸-N,N-モノブチルアミド、マレイン酸-N,N-ジブチルアミド、フマル酸モノアミド、フマル酸ジアミド、フマル酸-N-モノブチルアミド、フマル酸-N,N-ジブチルアミド等のアミド;マレイミド、Nブチルマレイミド、N-フェニルマレイミド等のイミド;アクリル酸ナトリウム、メタクリル酸ナトリウム、アクリル酸カリウム、メタクリル酸カリウム等の金属塩が挙げられる。
これらの中でも、特にマレイン酸、無水マレイン酸が好ましい。
具体的には、ジ-t-ブチルパーオキサイド、t-ブチルクミルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルパーオキシ)ヘキシン-3、1,4-ビス(t-ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、1,1-ビス(t-ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、n-ブチル-4,4-ビス(t-ブチルパーオキシ)バレエート、2,2-ビス(4,4-t-ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン、2,2-ビス(t-ブチルパーオキシ)ブタン、1,1-ビス(t-ブチルパーオキシ)シクロドデカン等のジアルキルパーオキサイド類;t-ブチルパーオキシアセテート、t-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート、t-ブチルパーオキシピバレート、t-ブチルパーオキシラウレート、t-ブチルパーオキシベンゾエート、t-ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、t-ブチルパーオキシマレイックアシッド、ジ-t-ブチルパーオキシイソフタレート、2,5-ジメチル-2,5-ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、2,5-ジメチル-2,5-ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキシン-3、2,5-ジメチル-2,5-ジ(トルイルパーオキシ)ヘキサン等のパーオキシエステル類;ジ-3,5,5-トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、ジベンゾイルパーオキサイド等のジアシルパーオキサイド類;t-ブチルヒドロパーオキサイド、クメンヒドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンヒドロパーオキサイド、p-メンタンヒドロパーオキサイド、2,5-ジメチル-2,5-ジ(ヒドロパーオキシ)ヘキサン等のヒドロパーオキサイド類;メチルエチルケトンパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイド等のケトンパーオキサイド類等が挙げられる。
ラジカル重合開始剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
具体的には、ジ-t-ブチルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルパーオキシ)ヘキシン-3等のジアルキルパーオキサイド類;t-ブチルパーオキシベンゾエート、2,5-ジメチル-2,5-ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、2,5-ジメチル-2,5-ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキシン-3等のパーオキシエステル類が好ましい。
変性率が前記範囲内であれば、相溶化が十分となる傾向にある。
なお、酸変性環状ポリオレフィン(C)の変性率は、例えば、以下の方法で測定することができる。
次に、フーリエ変換型赤外分光光度計にて、サンプルの2000~1600cm-1のスペクトルを測定し、不飽和カルボン酸及び/又はその誘導体特有の吸収(C=O伸縮振動帯、即ち、カルボニル特性吸収。)から求めることができる。
得られたピーク面積Sを使用し、下記式(1)に基づいて、不飽和カルボン酸及び/又はその誘導体に由来する構成単位の含有率Xmを算出する。
なお、酸変性環状ポリオレフィン(C)の変性においては、未反応の不飽和カルボン酸及び/又はその誘導体も残留し得るが、本明細書における変性率とは、上記の通り、酸変性環状ポリオレフィン(C)を上記の方法で測定した際の値を意味するものとする。
Xm=k・S/t・ρ ・・・(1)
(式中、kは不飽和カルボン酸を含有する熱可塑性樹脂のメチルエステル化物のNMR定量値を元に求められた係数を表し、t(mm)はサンプルの厚さを表し、ρはサンプルの密度(g/cm3)を表す。)
本発明の酸変性環状ポリオレフィン(C)としては、市販のものを用いることができる。具体的には、三菱ケミカル社製:「ゼラス(商標登録)MC940AP」が挙げられる。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、環状ポリオレフィン(A)と、ガラス繊維(B)とを含有する。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、更に、酸変性環状ポリオレフィン(C)を含有してもよい。
また、本発明の熱可塑性樹脂組成物は、更に、後述する樹脂成分(成分(A)、(C)以外の樹脂成分)やエラストマー成分を含有してもよい。
ガラス繊維(B)の含有量が上記下限値以上であれば、得られる成形体の剛性及び強度の向上効果を充分に得ることができ、上記上限値以下であれば、得られる成形体の低誘電特性、透明性、強度を充分に発現することができる。
樹脂として成分(A)及び(C)を用いている場合には、成分(A)+(C)を指す。
樹脂として成分(A)、(C)及び他の樹脂を用いている場合には、成分(A)+(C)+他の樹脂を指す。
成分(C)の含有量が上記下限値以上であれば、無機物に対して高い相溶化性能及び強度を有効に発現することができ、上記上限値以下であれば、得られる成形体の透明性が良好となる。
本発明の熱可塑性樹脂組成物には、その他の成分として、樹脂組成物に常用されている配合剤を、本発明の効果を損なわない範囲で含有させることができる。
このような配合剤としては、例えば、熱安定剤、紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤、帯電防止剤、結晶核剤、防錆剤、無機充填材、発泡剤及び顔料が挙げられる。
このうち、酸化防止剤、特にフェノール系、硫黄系又はリン系の酸化防止剤を含有させることが好ましい。
酸化防止剤は、本発明の熱可塑性樹脂組成物100質量部に対して0.01~2質量部含有させることが好ましい。
このような樹脂成分としては、例えば、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、エチレン-α-オレフィン共重合樹脂、プロピレン-α-オレフィン共重合樹脂、エチレン-酢酸ビニル共重合樹脂、エチレン-アクリル酸エステル共重合樹脂、エチレン-(メタ)アクリル酸共重合樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、エチレン-ビニルアルコール共重合体、アクリル系樹脂及び石油樹脂スチレン-共役ジエンブロック共重合樹脂が挙げられる。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、成分(A)及び(B)、必要に応じて成分(C)やその他の成分を、通常の押出機やバンバリーミキサー、ロール、ブラベンダープラストグラフ、ニーダーブラベンダー等を用いて常法で混練して製造することができる。
これらの製造方法の中でも、押出機、特に二軸押出機を用いることが好ましい。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、成形することにより各種成形体を得ることができる。
この成形方法としては、通常の射出成形法、又は必要に応じて、ガスインジェクション成形法、射出圧縮成形法、ショートショット発泡成形法等の各種成形法をあげることができる。
特に、本発明の熱可塑性樹脂組成物を射出成形することにより成形体とすることが好ましく、射出成形を行なう際の成形条件は以下の通りである。
成形温度は通常200~300℃であり、好ましくは220~280℃である。射出圧力は通常5~100MPaであり、好ましくは10~80MPaである。また、金型温度は通常0~100℃であり、好ましくは30~95℃である。
本発明の熱可塑性樹脂組成物及び成形体は、前記の特性を有するので、医療機器、光学部品又は電気・電子部品、ミリ波モジュール構成部品として有用に使用できる。
前記の本発明の成形体が用いられるミリ波モジュール構成部品としては、ミリ波レーダーカバー、コネクタ、筐体等があげられ、これらの部品を用いたミリ波モジュールは、低誘電特性や透明性等の前記の特性を有し、好適に使用することができる。
<メルトフローレート(MFR)>
・装置:(株)東洋精機製作所製「メルトインデクサー」
・温度:230℃
・オリフィス孔径:2mm
・荷重:2.16kg
[カーボンNMRによる測定]
・装置:Bruker社製「AVANCE400分光計」
・溶媒:オルソジクロロベンゼン-h4/パラジクロロベンゼン-d4混合溶媒
・濃度:0.3g/2.5mL
・測定:13C-NMR
・共鳴周波数:400MHz
・積算回数:1536
・フリップ角:45度
・データ取得時間:1.5秒
・パルス繰り返し時間:15秒
・測定温度:100℃
・1H照射:完全デカップリング
[プロトンNMRによる測定]
・装置:日本分光社製「400YH分光計」
・溶媒:重クロロホルム
・濃度:0.045g/1.0mL
・測定:1H-NMR
・共鳴周波数:400MHz
・積算回数:8
・測定温度:18.5℃
・水素化芳香族ビニルポリマーブロック単位の水素化レベル:6.8~7.5ppmの積分値低減率
・水素化共役ジエンポリマーブロック単位の水素化レベル:5.7~6.4ppmの積分値低減率
得られた熱可塑性樹脂組成物を用いて、インラインスクリュウタイプ射出成形機(JSW社製「J110AD」)により、射出圧力50MPa、シリンダー温度270℃、金型温度95℃にて、厚さ2mm×幅100mm×長さ100mmの試験片を成形した。
この試験片を用いて、ISO14782に準拠して透明性の指標であるヘーズを測定した。
本発明の熱可塑性樹脂組成物のヘーズは、好ましくは90以下であり、より好ましくは85以下である。
得られた熱可塑性樹脂組成物を用いて、インラインスクリュウタイプ射出成形機(JSW社製「J110AD」)により、射出圧力50MPa、シリンダー温度270℃、金型温度95℃にて、厚さ4mm×幅10mm×長さ80mmの試験片を成形した。
この試験片を用いて、ISO178に準拠して、スパン間64mm、曲げ速度2mm/分にて、剛性の指標である曲げ弾性率を測定した。
本発明の熱可塑性樹脂組成物の曲げ弾性率は、好ましくは3000MPa以上であり、より好ましくは4000MPa以上、更に好ましくは5000MPa以上である。
得られた熱可塑性樹脂組成物を用いて、インラインスクリュウタイプ射出成形機(JSW社製「J110AD」)により、射出圧力50MPa、シリンダー温度270℃、金型温度95℃にて、厚さ4mm×幅10mm(測定部)×長さ170mmのダンベル状試験片を成形した。
この試験片を用いて、ISO527-1Aに準拠して、引張速度50mm/分にて、強度の指標である引張強度を測定した。
本発明の熱可塑性樹脂組成物の引張強度は、好ましくは40MPa以上であり、より好ましくは60MPa以上、更に好ましくは80MPa以上である。
得られた熱可塑性樹脂組成物を用いて、インラインスクリュウタイプ射出成形機(JSW社製「J110AD」)により、射出圧力50MPa、シリンダー温度270℃、金型温度95℃にて、厚さ2mm×幅100mm×長さ100mmの試験片を成形した。
これを、厚さ1.5mm×幅1.5mm×長さ80mmにカットし、誘電正接用試験片とした。
PNA-LネットワークアナライザN5230A(アジレント・テクノロジー(株)製)を用いて、IEC62810に準拠し、周波数10GHz、測定温度23℃にて低誘電特性の指標である誘電正接を測定した。
本発明の熱可塑性樹脂組成物の誘電正接は、好ましくは0.0025以下であり、より好ましくは0.0020以下である。
<環状ポリオレフィン(A-1)>
三菱ケミカル(株)製 「ゼラス(商標登録)MC930」
・密度(ASTM D792):0.94g/cm3
・MFR(230℃、2.16kg):1g/10分
・水素化芳香族ビニルポリマーブロック単位:含有率67モル%、水素化レベル99.5%以上の水素化ポリスチレン
・水素化共役ジエンポリマーブロック単位:含有率33モル%、水素化レベル99.5%以上の水素化ポリブタジエン
・ブロック構造:ペンタブロック構造、合計水素化レベル:99.5%以上
日東紡績(株)製 CN 3J-451
・ガラス種類:NEガラス
・屈折率:1.52
・繊維断面:円形
・繊維径:11μm
・繊維長:3mm
日東紡績(株)製 CNG 3PA-820
・ガラス種類:NEガラス
・屈折率:1.52
・繊維断面:扁平
・繊維径(長径):28μm、繊維径(短径):7μm、長径と短径の比:4
・繊維長:3mm
日東紡績(株)製 CSG 3PA-820
・ガラス種類:Eガラス
・屈折率:1.56
・繊維断面:扁平
・繊維径(長径):28μm、繊維径(短径):7μm、長径と短径の比:4
・繊維長:3mm
三菱ケミカル(株)製 「ゼラス(商標登録)MC940AP」
・密度(ASTM D792):0.94g/cm3
・MFR(230℃、2.16kg):3g/10分
・水素化芳香族ビニルポリマーブロック単位:含有率67モル%、水素化レベル99.5%以上の水素化ポリスチレン
・水素化共役ジエンポリマーブロック単位:含有率33モル%、水素化レベル99.5%以上の水素化ポリブタジエン
・ブロック構造:ペンタブロック構造、合計水素化レベル:99.5%以上
・マレイン酸変性率:1.2質量%
成分(A-1)98.5質量部、成分(B-1)43質量部、成分(C-1)1.5質量部を、同方向2軸押出機(パーカコーポレーション社製 HK25D Φ25、L/D=41)にて5kg/hの速度で投入し、240℃の範囲で昇温させて溶融混練を行ない、熱可塑性樹脂組成物を製造した。
得られたペレットを用いて評価を行なった。結果を表1,2に示す。
表1に示す配合にしたこと以外は実施例1と同様にして、熱可塑性樹脂組成物を製造した。
得られたペレットを用いて評価を行なった。結果を表1,2に示す。
表1より、本発明に該当する実施例1~6は低誘電特性、透明性と剛性、強度に優れたものであることがわかる。
これに対して、成分(B)を含まない比較例1は剛性と強度が劣り、本発明に該当しないガラス繊維を用いた比較例2は透明性及び低誘電特性が劣ることがわかった。
Claims (10)
- 環状ポリオレフィン(A)と、屈折率が1.49~1.53のガラス繊維(B)とを含有する熱可塑性樹脂組成物であって、
前記熱可塑性樹脂組成物中の樹脂成分100質量部に対して、前記ガラス繊維(B)5~100質量部を含有し、
該環状ポリオレフィン(A)が、少なくとも1種の芳香族ビニルモノマー単位及び少なくとも1種の共役ジエンモノマー単位を含むブロックコポリマーの水素化体である水素化ブロックコポリマーからなり、
該水素化ブロックコポリマーは、前記芳香族ビニルモノマー単位からなるポリマーブロックの水素化体である水素化芳香族ビニルポリマーブロック単位、及び前記共役ジエンモノマー単位からなるポリマーブロックの水素化体である水素化共役ジエンポリマーブロック単位を有し、
該水素化ブロックコポリマーは、前記水素化芳香族ビニルポリマーブロック単位を少なくとも2個有すると共に、前記水素化共役ジエンポリマーブロック単位を少なくとも1個有し、
前記水素化芳香族ビニルポリマーブロック単位が90%以上の水素化レベルをもち、かつ、前記水素化共役ジエンポリマーブロック単位が95%以上の水素化レベルをもち、
前記水素化芳香族ビニルポリマーブロック単位が水素化ポリスチレンからなり、前記環状ポリオレフィン(A)中の含有率が30~99モル%であり、
前記水素化共役ジエンポリマーブロック単位が水素化ポリブタジエンからなり、前記環状ポリオレフィン(A)中の含有率が1~70モル%であり、
前記ガラス繊維(B)の繊維断面の平均直径が5~50μmであり、
前記ガラス繊維(B)の繊維断面の長径と短径の比(長径/短径)の平均値が2~8の扁平断面を有する、熱可塑性樹脂組成物。 - 前記ガラス繊維(B)が、NEガラスからなるガラス繊維である、請求項1に記載の熱可塑性樹脂組成物。
- 10GHzにおける誘電正接が0.0025以下である、請求項1又は2に記載の熱可塑性樹脂組成物。
- 前記環状ポリオレフィン(A)100質量部に対して、更に、酸変性環状ポリオレフィン(C)0~100質量部を含有する、請求項1~3のいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂組成物。
- 請求項1~4のいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂組成物を成形した成形体。
- 請求項1~4のいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂組成物を成形した医療機器。
- 請求項1~4のいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂組成物を成形した光学部品。
- 請求項1~4のいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂組成物を成形した電気・電子部品。
- 請求項1~4のいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂組成物を成形した部品を有するミリ波モジュール。
- 請求項1~4のいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂組成物を成形した部品であり、ミリ波レーダーカバー、コネクタ、及び筐体から選ばれるミリ波モジュール構成部品。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2019150341A JP7336310B2 (ja) | 2019-08-20 | 2019-08-20 | 熱可塑性樹脂組成物及び成形体 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2019150341A JP7336310B2 (ja) | 2019-08-20 | 2019-08-20 | 熱可塑性樹脂組成物及び成形体 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2021031534A JP2021031534A (ja) | 2021-03-01 |
JP7336310B2 true JP7336310B2 (ja) | 2023-08-31 |
Family
ID=74675448
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2019150341A Active JP7336310B2 (ja) | 2019-08-20 | 2019-08-20 | 熱可塑性樹脂組成物及び成形体 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP7336310B2 (ja) |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP7487526B2 (ja) | 2020-03-31 | 2024-05-21 | 三菱ケミカル株式会社 | 樹脂組成物とその製造方法、トナー、粉体塗料及びインキ |
Citations (7)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2003268036A (ja) | 2002-03-13 | 2003-09-25 | Nippon Zeon Co Ltd | 成形材料 |
JP2005239851A (ja) | 2004-02-26 | 2005-09-08 | Nippon Zeon Co Ltd | 末端変性ビニル脂環式炭化水素重合体及びその製造方法 |
JP2010084007A (ja) | 2008-09-30 | 2010-04-15 | Mitsubishi Engineering Plastics Corp | 携帯電子機器用ポリアミド樹脂組成物及び携帯電子機器部品 |
JP2014105285A (ja) | 2012-11-28 | 2014-06-09 | Nippon Zeon Co Ltd | 繊維強化樹脂組成物 |
JP2015168767A (ja) | 2014-03-07 | 2015-09-28 | 日本ゼオン株式会社 | 硬化性樹脂組成物、フィルム、プリプレグ、積層体、硬化物、及び複合体 |
JP2016021071A (ja) | 2009-12-18 | 2016-02-04 | ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー | 環状ブロックコポリマーを含むプラスチック光ファイバ |
JP2018135444A (ja) | 2017-02-22 | 2018-08-30 | ダイセルポリマー株式会社 | 樹脂成形体 |
-
2019
- 2019-08-20 JP JP2019150341A patent/JP7336310B2/ja active Active
Patent Citations (7)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2003268036A (ja) | 2002-03-13 | 2003-09-25 | Nippon Zeon Co Ltd | 成形材料 |
JP2005239851A (ja) | 2004-02-26 | 2005-09-08 | Nippon Zeon Co Ltd | 末端変性ビニル脂環式炭化水素重合体及びその製造方法 |
JP2010084007A (ja) | 2008-09-30 | 2010-04-15 | Mitsubishi Engineering Plastics Corp | 携帯電子機器用ポリアミド樹脂組成物及び携帯電子機器部品 |
JP2016021071A (ja) | 2009-12-18 | 2016-02-04 | ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー | 環状ブロックコポリマーを含むプラスチック光ファイバ |
JP2014105285A (ja) | 2012-11-28 | 2014-06-09 | Nippon Zeon Co Ltd | 繊維強化樹脂組成物 |
JP2015168767A (ja) | 2014-03-07 | 2015-09-28 | 日本ゼオン株式会社 | 硬化性樹脂組成物、フィルム、プリプレグ、積層体、硬化物、及び複合体 |
JP2018135444A (ja) | 2017-02-22 | 2018-08-30 | ダイセルポリマー株式会社 | 樹脂成形体 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2021031534A (ja) | 2021-03-01 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
KR100287599B1 (ko) | 유리 섬유 강화 중합체 조성물 | |
JPWO2009069649A1 (ja) | フィラー強化樹脂用助剤、フィラー強化ポリプロピレン樹脂組成物およびその成形品 | |
JP2012158648A (ja) | 電磁波シールド用プロピレン系樹脂組成物、その製造方法及び成形体 | |
EP3162847A1 (en) | Thermoplastic elastomer composition having improved vibration insulation and heat resistance, and molded product formed therefrom | |
JP2020158787A (ja) | 繊維強化ポリプロピレン系樹脂組成物およびその成形体 | |
JP7336310B2 (ja) | 熱可塑性樹脂組成物及び成形体 | |
JP2020157609A (ja) | 立体造形装置用樹脂成形材料および立体造形装置用フィラメント | |
US9963585B2 (en) | Polymer composition and compound therefrom for isotropic film, extruded and molded article | |
WO1991018049A1 (en) | Polypropylene resin composition | |
US20200165447A1 (en) | Resin composition, method of producing resin composition, and molded article | |
JPH041023B2 (ja) | ||
JP5511148B2 (ja) | 耐アルコール性成形材料及び成形品 | |
JP7381232B2 (ja) | レーザーダイレクトストラクチャリング用熱可塑性樹脂組成物及び成形体 | |
JP4449474B2 (ja) | 変性ポリオレフィン樹脂の製造方法及び変性ポリオレフィン樹脂 | |
JP4489475B2 (ja) | ポリプロピレン系樹脂組成物 | |
JP2021042357A (ja) | 樹脂組成物 | |
JP2004026869A (ja) | 熱可塑性樹脂組成物 | |
WO2020162494A1 (ja) | 樹脂組成物、熱可塑性樹脂組成物、および熱可塑性樹脂成型体 | |
JPH10158461A (ja) | 熱可塑性樹脂組成物及びその被覆物 | |
JP5461159B2 (ja) | 無塗装用ポリプロピレン系樹脂組成物及びその成形品 | |
JP4615232B2 (ja) | ポリプロピレン系樹脂組成物 | |
JP4760189B2 (ja) | オレフィン重合体組成物およびその成形体 | |
JPH10101893A (ja) | 樹脂組成物 | |
EP3604426A1 (en) | Filler-reinforced resin structure | |
JP5134291B2 (ja) | ポリプロピレン系樹脂グラフト共重合体 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20220214 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20230117 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20230124 |
|
A601 | Written request for extension of time |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601 Effective date: 20230314 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20230519 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20230725 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20230821 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 7336310 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |