JP7336310B2 - 熱可塑性樹脂組成物及び成形体 - Google Patents

熱可塑性樹脂組成物及び成形体 Download PDF

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Description

本発明は、低誘電特性、透明性と剛性、強度の優れた熱可塑性樹脂組成物及び成形体を提供することを目的とする。
環状ポリオレフィンは優れた透明性、耐候性、低誘電特性を持ち、医療、光学材料をはじめ、電気・電子部品の材料として、今後適用が期待されている。
この環状ポリオレフィンの利用については、本発明者等が種々検討しているが、公開された特許出願等の文献等はまだない。
ところで、本発明者等による環状ポリオレフィンについての検討において、その用途によっては剛性、強度等が不足する場合が生じる。この場合、機械物性の向上が望まれている。
そこで、本発明は、このような問題を鑑みてなされたものである。すなわち、本発明の課題は透明性と剛性、強度の優れた熱可塑性樹脂組成物及び成形体を提供することを目的とする。
本発明者は鋭意検討した結果、特定の環状ポリオレフィンと特定のガラス繊維を用いることで低誘電特性、透明性、剛性、強度に優れ、医療、光学材料をはじめ電気・電子部品の材料に好適に用いることができることを見出し、本発明に至った。
即ち、本発明は以下の特徴を有する。
[1]環状ポリオレフィン(A)と、屈折率が1.49~1.53のガラス繊維(B)とを含有する熱可塑性樹脂組成物であって、該環状ポリオレフィン(A)が、少なくとも1種の芳香族ビニルモノマー単位及び少なくとも1種の共役ジエンモノマー単位を含むブロックコポリマーの水素化体である水素化ブロックコポリマーからなり、該水素化ブロックコポリマーは、前記芳香族ビニルモノマー単位からなるポリマーブロックの水素化体である水素化芳香族ビニルポリマーブロック単位、及び前記共役ジエンモノマー単位からなるポリマーブロックの水素化体である水素化共役ジエンポリマーブロック単位を有し、該水素化ブロックコポリマーは、前記水素化芳香族ビニルポリマーブロック単位を少なくとも2個有すると共に、前記水素化共役ジエンポリマーブロック単位を少なくとも1個有する、熱可塑性樹脂組成物。
[2]前記熱可塑性樹脂組成物中の樹脂成分100質量部に対して、前記ガラス繊維(B)5~100質量部を含有する、[1]に記載の熱可塑性樹脂組成物。
[3]前記ガラス繊維(B)が、NEガラスからなるガラス繊維である、[1]又は[2]に記載の熱可塑性樹脂組成物。
[4]前記水素化芳香族ビニルポリマーブロック単位が90%以上の水素化レベルをもち、かつ、前記水素化共役ジエンポリマーブロック単位が95%以上の水素化レベルをもつ、[1]~[3]のいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂組成物。
[5]前記水素化芳香族ビニルポリマーブロック単位が水素化ポリスチレンからなり、前記環状ポリオレフィン(A)中の含有率が30~99モル%である、[1]~[4]のいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂組成物。
[6]前記水素化共役ジエンポリマーブロック単位が水素化ポリブタジエンからなり、前記環状ポリオレフィン(A)中の含有率が1~70モル%である、[1]~[5]のいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂組成物。
[7]10GHzにおける誘電正接が0.0025以下である、[1]~[6]のいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂組成物。
[8]前記ガラス繊維(B)の繊維断面の平均直径が5~50μmである、[1]~[7]のいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂組成物。
[9]前記ガラス繊維(B)の繊維断面の長径と短径の比(長径/短径)の平均値が2~8の扁平断面を有する、[1]~[8]のいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂組成物。
[10]前記環状ポリオレフィン(A)100質量部に対して、更に、酸変性環状ポリオレフィン(C)0~100質量部を含有する、[1]~[9]のいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂組成物。
[11][1]~[10]のいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂組成物を成形した成形体。
[12][1]~[10]のいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂組成物を成形した医療機器、光学部品又は電気・電子部品。
[13][1]~[10]のいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂組成物を成形した部品を有するミリ波モジュール。
[14][1]~[10]のいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂組成物を成形した部品であり、ミリ波レーダーカバー、コネクタ、及び筐体から選ばれるミリ波モジュール構成部品。
この発明にかかる特定の環状ポリオレフィンとガラス繊維を含有する熱可塑性組成物及びその成形体は、低誘電特性、透明性、剛性、強度に優れるので、医療機器、光学部品又は電気・電子部品、ミリ波モジュール構成部品として好適に使用できる。
以下に本発明について詳細に説明するが、以下の説明は、本発明の実施の形態の一例であり、本発明はその要旨を超えない限り、以下の記載内容に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、任意に変形して実施することができる。
以下において、「~」を用いてその前後に数値又は物性値を挟んで表現する場合、その前後の値を含むものとして用いることとする。
本願に係る発明は、環状ポリオレフィン(A)と、屈折率が1.49~1.53のガラス繊維(B)とを含有する熱可塑性樹脂組成物についての発明である。
<環状ポリオレフィン(A)>
本発明の環状ポリオレフィン(A)は、少なくとも1種の芳香族ビニルモノマー単位及び少なくとも1種の共役ジエンモノマー単位を含むブロックコポリマーの水素化体である水素化ブロックコポリマーからなる。
該水素化ブロックコポリマーは、前記芳香族ビニルモノマー単位からなるポリマーブロックの水素化体である水素化芳香族ビニルポリマーブロック単位、及び、前記共役ジエンモノマー単位からなるポリマーブロックの水素化体である水素化共役ジエンポリマーブロック単位を有する。
また、該水素化ブロックコポリマーは、前記水素化芳香族ビニルポリマーブロック単位を少なくとも2個有すると共に、前記水素化共役ジエンポリマーブロック単位を少なくとも1個有するものである。
本発明の環状ポリオレフィン(A)は、低誘電特性及び耐候性の観点から、前記水素化ブロックコポリマーからなることが好ましい。
なお、「ブロック」とは、後記するように、本明細書において、コポリマーの構造的又は組成的に異なった重合セグメントからのミクロ層分離を表すコポリマーの重合セグメントをいう。このため、例えば「ブロック単位を少なくとも2個有する」とは、水素化ブロックコポリマーの中に、構造的又は組成的に異なった重合セグメントからのミクロ層分離を表すコポリマーの重合セグメントを少なくとも2個有することをいう。
前記の芳香族ビニルモノマー単位の原料となる芳香族ビニルモノマーは、下記一般式(1)で示されるモノマーである。
Figure 0007336310000001
ここでRは、水素又はアルキル基、Arはフェニル基、ハロフェニル基、アルキルフェニル基、アルキルハロフェニル基、ナフチル基、ピリジニル基、又はアントラセニル基である。
前記アルキル基は、ハロ基、ニトロ基、アミノ基、ヒドロキシ基、シアノ基、カルボニル基、及びカルボキシル基のような官能基で単置換若しくは多重置換されたアルキル基であってもよい。また、前記アルキル基の炭素数は、1~6がよい。
また、前記のArは、フェニル基又はアルキルフェニル基が好ましく、フェニル基がより好ましい。
前記芳香族ビニルモノマーとしては、例えば、スチレン、α-メチルスチレン、ビニルトルエン(全ての異性体を含み、特にp-ビニルトルエン)、エチルスチレン、プロピルスチレン、ブチルスチレン、ビニルビフェニル、ビニルナフタレン、ビニルアントラセン(全ての異性体)、及びこれらの混合物が挙げられる。
前記の共役ジエンモノマー単位の原料となる共役ジエンモノマーは、2個の共役二重結合を持つモノマーであればよく、特に限定されるものではない。
共役ジエンモノマーとしては、例えば、1,3-ブタジエン、2-メチル-1,3-ブタジエン(イソプレンン)、2-メチル-1,3ペンタジエンとその類似化合物、及びこれらの混合物が挙げられる。
前記1,3-ブタジエンの重合体であるポリブタジエンは、水素化で1-ブテン繰り返し単位の等価物を与える1,2配置、又は水素化でエチレン繰り返し単位の等価物を与える1,4配置のいずれかを含むことができる。
前記の芳香族ビニルモノマーや、1,3-ブタジエンを含む前記共役ジエンモノマーから構成される重合性ブロックの水素化体は、本発明で使用される水素化ブロックコポリマーに含まれる。好ましくは、水素化ブロックコポリマーは官能基のないブロックコポリマーである。
なお、「官能基のない」とはブロックコポリマー中に如何なる官能基、即ち、炭素と水素以外の元素を含む基が存在しないことを意味する。
前記の水素化芳香族ビニルポリマーブロック単位の好ましい例としては、水素化ポリスチレンを挙げることができ、前記の水素化共役ジエンポリマーブロック単位の好ましい例としては、水素化ポリブタジエンを挙げることができる。
そして、水素化ブロックコポリマーの好ましい一態様としては、スチレンとブタジエンの水素化トリブロック又はペンタブロックコポリマーを挙げることができ、他の如何なる官能基又は構造的変性剤も含まないことが好ましい。
「ブロック」とは、コポリマーの構造的又は組成的に異なった重合セグメントからのミクロ層分離を表すコポリマーの重合セグメントとして定義される。ミクロ層分離は、ブロックコポリマー中で重合セグメントが混じり合わないことにより生ずる。
なお、ミクロ層分離とブロックコポリマーは、PHYSICS TODAYの1999年2月号32-38頁の“Block Copolymers-Designer Soft Materials”で広範に議論されている。
水素化芳香族ビニルポリマーブロック単位の含有率は、前記環状ポリオレフィン(A)に対して、好ましくは30~99モル%、より好ましくは40~90モル%である。
水素化芳香族ビニルポリマーブロック単位の比率が上記下限値以上であれば剛性が低下することがなく、上記上限値以下であれば脆性が悪化することがない。
また、水素化共役ジエンポリマーブロック単位の含有率は、前記環状ポリオレフィン(A)に対して、好ましくは1~70モル%、より好ましくは10~60モル%である。
水素化共役ジエンポリマーブロック単位の比率が上記下限値以上であれば脆性が悪化することがなく、上記上限値以下であれば剛性が低下することがない。
なお、前記のとおり、本願発明にかかるポリオレフィンは、「環状ポリオレフィン」であるが、この「環状」とは、前記水素化芳香族ビニルポリマーブロック単位が有する、芳香族環の水素化により生じる脂環式構造のことをいう。
本発明の水素化ブロックコポリマーはSBS、SBSBS、SIS、SISIS、及びSISBS(ここで、Sはポリスチレン、Bはポリブタジエン、Iはポリイソプレンを意味する。)のようなトリブロック、マルチブロック、テーパーブロック、及びスターブロックコポリマーを含むブロックコポリマーの水素化によって製造される。
本発明の水素化ブロックコポリマーはそれぞれの末端に芳香族ビニルポリマーからなるセグメントを含む。このため、本発明の水素化ブロックコポリマーは、少なくとも2個の水素化芳香族ビニルポリマーブロック単位を有することとなる。そして、この2個の水素化芳香族ビニルポリマーブロック単位の間には、少なくとも1つの水素化共役ジエンポリマーブロック単位を有することとなる。
前記水素化ブロックコポリマーを構成する水素化前のブロックコポリマーは、何個かの追加ブロックを含んでいてもよく、これらのブロックはトリブロックポリマー骨格のどの位置に結合していてもよい。このように、線状ブロックは例えばSBS、SBSB、SBSBS、そしてSBSBSBを含む。コポリマーは分岐していてもよく、重合連鎖はコポリマーの骨格に沿ってどの位置に結合していてもよい。
水素化ブロックコポリマーの重量平均分子量(Mw)の下限は、好ましくは30,000以上、より好ましくは40,000以上、更に好ましくは45,000以上、特に好ましくは50,000以上である。また、Mwの上限は、好ましくは120,000以下、より好ましくは100,000以下、更に好ましくは95,000以下、特に好ましくは90,000以下、最も好ましくは85,000以下、極めて好ましくは80,000以下である。
Mwが上記下限値以上であれば機械強度が低下せず、上記上限値以下であれば成形加工性が悪化しない。
本明細書のMwは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて決定される。
ブロックコポリマーの水素化レベルは、好ましくは水素化芳香族ビニルポリマーブロック単位が90%以上、水素化共役ジエンポリマーブロック単位が95%以上であり、より好ましくは水素化芳香族ビニルポリマーブロック単位が95%以上、水素化共役ジエンポリマーブロック単位が99%以上であり、更に好ましくは水素化芳香族ビニルポリマーブロック単位が98%以上、水素化共役ジエンポリマーブロック単位が99.5%以上であり、特に好ましくは水素化芳香族ビニルポリマーブロック単位が99.5%以上、水素化共役ジエンポリマーブロック単位が99.5%以上である。
なお、水素化芳香族ビニルポリマーブロック単位の水素化レベルとは、芳香族ビニルポリマーブロック単位が水素化によって飽和される割合を示し、水素化共役ジエンポリマーブロック単位の水素化レベルとは、共役ジエンポリマーブロック単位が水素化によって飽和される割合を示す。このように高レベルの水素化は、誘電損失を低減させるために好ましい。
水素化芳香族ビニルポリマーブロック単位の水素化レベルと水素化共役ジエンポリマーブロック単位の水素化レベルは、プロトンNMRを用いて決定される。
本発明の環状ポリオレフィン(A)のメルトフローレート(MFR)は特に限定されないが、通常0.1g/10分以上であり、成形方法や成形体の外観の観点から、好ましくは0.2g/10分以上である。また通常200g/10分以下であり、材料強度の観点から、好ましくは100g/10分以下、より好ましくは50g/10分以下である。
MFRは、ISO 1133に従って、測定温度230℃、測定荷重2.16kgの条件で測定した。
環状ポリオレフィン(A)は、1種を単独で用いてもよく、モノマー単位の組成や物性等の異なる2種以上を併用してもよい。
本発明の環状ポリオレフィン(A)としては、市販のものを用いることができる。具体的には、三菱ケミカル(株)製:ゼラス(商標登録)が挙げられる。
<ガラス繊維(B)>
本発明で用いるガラス繊維(B)は、屈折率が1.49~1.53のガラス繊維である。
ガラス繊維(B)の屈折率は、好ましくは1.50~1.52である。屈折率がこの範囲内であれば、得られる成形体の透明性が向上する。
ガラス繊維(B)としては、Cガラス、Sガラス、Tガラス、NEガラスから選ばれる1種以上のガラスにより形成されたガラス繊維が好適に用いられる。低誘電特性の観点からNEガラスにより形成されたガラス繊維がより好ましい。
ガラス繊維(B)の繊維断面の平均直径(繊維径)は、好ましくは5~50μm、より好ましくは7~30μmである。平均直径が上記範囲内であれば、得られる成形体の剛性及び強度が向上する。
ガラス繊維(B)の繊維断面の長径と短径の比(長径/短径)は、平均値が1~1.5の円形断面ガラス繊維であってもよく、平均値が2~8の扁平断面ガラス繊維であってもよい。
これらの内、得られる熱可塑性樹脂組成物の透明性が向上することから、平均値が2~8の扁平断面ガラス繊維を用いることが好ましい。
前記円形断面ガラス繊維の場合、繊維断面の平均直径は6~20μmが好ましく、7~18μmがより好ましく、8~15μmが更に好ましい。
繊維断面の平均直径が上記下限値以上であれば、得られる成形体の機械的強度が向上し、上記上限値以下であれば、得られる成形体の外観が良好となる。
前記扁平断面ガラス繊維の場合、繊維断面の長径の平均値は10~50μmが好ましく、15~40μmがより好ましく、25~30μmが更に好ましい。
繊維断面の長径の平均値が上記下限値以上であれば、ガラス繊維の製造が容易であり、上記上限値以下であれば、得られる成形体の外観が良好となる。
前記扁平断面ガラス繊維の場合、繊維断面の長径と短径の比は、平均値が2~7がより好ましく、2.5~5が更に好ましい。
繊維断面の長径と短径の比が上記下限値以上であれば、得られる成形体の透明性及び寸法安定性が向上し、上記上限値以下であれば、得られる成形体の強度が向上する。
ガラス繊維(B)の数平均繊維長は、1~8mmが好ましく、2~5mmがより好ましい。
数平均繊維長が上記下限値以上であれば、得られる成形体の機械的強度が向上し、上記上限値以下であれば、熱可塑性樹脂組成物を得る際に環状ポリオレフィン(A)中へのガラス繊維(B)の分散性が良好となり、ガラス繊維(B)が樹脂から脱落することがない。このことから、熱可塑性樹脂組成物の生産性が向上する。
本発明で用いるガラス繊維(B)は、環状ポリオレフィン(A)との密着性を向上させる目的で、アミノシラン、エポキシシラン等のシランカップリング剤等により表面処理をすることができる。また、ガラス繊維の取扱い性を向上させる目的で、ウレタンやエポキシ等の集束材等により集束させることができる。
本発明で用いるガラス繊維(B)は、従来公知の任意の方法で製造されるものである。
<酸変性環状ポリオレフィン(C)>
本発明の熱可塑性樹脂組成物には、上記成分(A)及び成分(B)に加えて、酸変性環状ポリオレフィン(C)を更に含有することが好ましい。
酸変性環状ポリオレフィン(C)は、成分(A)と、成分(B)等の無機物に対して高い相溶化性能を発揮することができる。
酸変性環状ポリオレフィン(C)は、前述の環状ポリオレフィン(A)を、不飽和カルボン酸及び/又はその誘導体でグラフト変性した、変性環状ポリオレフィンである。
変性に供する環状ポリオレフィン(A)は、1種でもよく、モノマー単位の組成や物性等の異なる2種以上でもよい。
不飽和カルボン酸及び/又はその誘導体によるグラフト変性処理は、常用されている任意の方法を採用することができ、その方法は特に限定されない。
例えば、溶液変性法としては、有機溶剤中に、環状ポリオレフィン(A)と不飽和カルボン酸及び/又はその誘導体と、必要に応じてラジカル重合開始剤を投入し、通常60~350℃、好ましくは80~250℃の温度で、通常0.5~15時間、好ましくは1~10時間反応させる方法が挙げられる。
また、溶融変性法としては、環状ポリオレフィン(A)と不飽和カルボン酸及び/又はその誘導体とを、押出機等を使用して170~290℃で溶融し、通常0.5~10分間反応させる方法が挙げられる。
これらの中でも、衛生性の観点から、溶媒を使用しない溶融変性法が好ましく、押出機を用いて変性することがより好ましい。なお、効率よく変性させるためにはラジカル重合開始剤の存在下に変性することが好ましい。
不飽和カルボン酸としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、エンドシス-ビシクロ〔2.2.1〕ヘプト-5-エン-2,3-ジカルボン酸が挙げられる。
また、不飽和カルボン酸の誘導体としては、酸無水物、エステル、アミド、イミド、金属塩等が挙げられる。具体的には、無水マレイン酸、無水ハイミック酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸等の酸無水物;アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸グリシジル、マレイン酸モノエチルエステル、マレイン酸ジエチルエステル、イタコン酸モノメチルエステル、イタコン酸ジエチルエステル等のエステル;アクリルアミド、メタクリルアミド、マレイン酸モノアミド、マレイン酸ジアミド、マレイン酸-N-モノエチルアミド、マレイン酸-N,N-ジエチルアミド、マレイン酸-N,N-モノブチルアミド、マレイン酸-N,N-ジブチルアミド、フマル酸モノアミド、フマル酸ジアミド、フマル酸-N-モノブチルアミド、フマル酸-N,N-ジブチルアミド等のアミド;マレイミド、Nブチルマレイミド、N-フェニルマレイミド等のイミド;アクリル酸ナトリウム、メタクリル酸ナトリウム、アクリル酸カリウム、メタクリル酸カリウム等の金属塩が挙げられる。
不飽和カルボン酸及び/又はその誘導体は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、特にマレイン酸、無水マレイン酸が好ましい。
ラジカル重合開始剤としては、有機過酸化物又はアゾ化合物が好ましく、有機過酸化物がより好ましい。
具体的には、ジ-t-ブチルパーオキサイド、t-ブチルクミルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルパーオキシ)ヘキシン-3、1,4-ビス(t-ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、1,1-ビス(t-ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、n-ブチル-4,4-ビス(t-ブチルパーオキシ)バレエート、2,2-ビス(4,4-t-ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン、2,2-ビス(t-ブチルパーオキシ)ブタン、1,1-ビス(t-ブチルパーオキシ)シクロドデカン等のジアルキルパーオキサイド類;t-ブチルパーオキシアセテート、t-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート、t-ブチルパーオキシピバレート、t-ブチルパーオキシラウレート、t-ブチルパーオキシベンゾエート、t-ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、t-ブチルパーオキシマレイックアシッド、ジ-t-ブチルパーオキシイソフタレート、2,5-ジメチル-2,5-ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、2,5-ジメチル-2,5-ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキシン-3、2,5-ジメチル-2,5-ジ(トルイルパーオキシ)ヘキサン等のパーオキシエステル類;ジ-3,5,5-トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、ジベンゾイルパーオキサイド等のジアシルパーオキサイド類;t-ブチルヒドロパーオキサイド、クメンヒドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンヒドロパーオキサイド、p-メンタンヒドロパーオキサイド、2,5-ジメチル-2,5-ジ(ヒドロパーオキシ)ヘキサン等のヒドロパーオキサイド類;メチルエチルケトンパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイド等のケトンパーオキサイド類等が挙げられる。
ラジカル重合開始剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
ラジカル重合開始剤としては、上記例示物の中でも、半減期が1分となる分解温度が100℃以上であるものが、変性効率の観点から好ましい。
具体的には、ジ-t-ブチルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルパーオキシ)ヘキシン-3等のジアルキルパーオキサイド類;t-ブチルパーオキシベンゾエート、2,5-ジメチル-2,5-ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、2,5-ジメチル-2,5-ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキシン-3等のパーオキシエステル類が好ましい。
ラジカル重合開始剤の使用量は、原料となる環状ポリオレフィン(A)100質量部に対して、0.001~2質量部の割合が好ましい。
酸変性環状ポリオレフィン(C)における、不飽和カルボン酸及び/又はその誘導体に由来する構成単位の含有率(以下、「変性率」と称する場合もある。)は、酸変性環状ポリオレフィン(C)の全体に対して、0.20~5.0質量%が好ましく、0.30~4.0質量%がより好ましく、0.50~3.0質量%が更に好ましい。
変性率が前記範囲内であれば、相溶化が十分となる傾向にある。
酸変性環状ポリオレフィン(C)における、不飽和カルボン酸及び/又はその誘導体に由来する構成単位の結合位置は、特に限定されず、酸変性環状ポリオレフィン(C)の主鎖末端及び側鎖の少なくとも一方に導入されていればよい。
なお、酸変性環状ポリオレフィン(C)の変性率は、例えば、以下の方法で測定することができる。
先ず、圧縮成形機等を用いて、酸変性環状ポリオレフィン(C)から厚さ0.1~0.4mmのシート状のプレスサンプルを作成する。
次に、フーリエ変換型赤外分光光度計にて、サンプルの2000~1600cm-1のスペクトルを測定し、不飽和カルボン酸及び/又はその誘導体特有の吸収(C=O伸縮振動帯、即ち、カルボニル特性吸収。)から求めることができる。
具体的には、得られたスペクトルに、1950cm-1と1665cm-1との間でベースラインを引き、1827~1665cm-1の間のピーク面積Sを算出する。
得られたピーク面積Sを使用し、下記式(1)に基づいて、不飽和カルボン酸及び/又はその誘導体に由来する構成単位の含有率Xmを算出する。
なお、酸変性環状ポリオレフィン(C)の変性においては、未反応の不飽和カルボン酸及び/又はその誘導体も残留し得るが、本明細書における変性率とは、上記の通り、酸変性環状ポリオレフィン(C)を上記の方法で測定した際の値を意味するものとする。
Xm=k・S/t・ρ ・・・(1)
(式中、kは不飽和カルボン酸を含有する熱可塑性樹脂のメチルエステル化物のNMR定量値を元に求められた係数を表し、t(mm)はサンプルの厚さを表し、ρはサンプルの密度(g/cm)を表す。)
酸変性環状ポリオレフィン(C)は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明の酸変性環状ポリオレフィン(C)としては、市販のものを用いることができる。具体的には、三菱ケミカル社製:「ゼラス(商標登録)MC940AP」が挙げられる。
<熱可塑性樹脂組成物>
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、環状ポリオレフィン(A)と、ガラス繊維(B)とを含有する。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、更に、酸変性環状ポリオレフィン(C)を含有してもよい。
また、本発明の熱可塑性樹脂組成物は、更に、後述する樹脂成分(成分(A)、(C)以外の樹脂成分)やエラストマー成分を含有してもよい。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、熱可塑性樹脂組成物中の樹脂成分100質量部に対して、ガラス繊維(B)5~100質量部を含有することがよい。ガラス繊維(B)の含有量は5~20質量部が好ましい。
ガラス繊維(B)の含有量が上記下限値以上であれば、得られる成形体の剛性及び強度の向上効果を充分に得ることができ、上記上限値以下であれば、得られる成形体の低誘電特性、透明性、強度を充分に発現することができる。
ここで、熱可塑性樹脂組成物中の「樹脂成分」とは、樹脂として成分(A)のみを用いている場合には、成分(A)を指す。
樹脂として成分(A)及び(C)を用いている場合には、成分(A)+(C)を指す。
樹脂として成分(A)、(C)及び他の樹脂を用いている場合には、成分(A)+(C)+他の樹脂を指す。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、環状ポリオレフィン(A)100質量部に対して、酸変性環状ポリオレフィン(C)0~100質量部を含有することができる。成分(C)の含有量は0.2~50質量部が好ましい。
成分(C)の含有量が上記下限値以上であれば、無機物に対して高い相溶化性能及び強度を有効に発現することができ、上記上限値以下であれば、得られる成形体の透明性が良好となる。
<その他の成分>
本発明の熱可塑性樹脂組成物には、その他の成分として、樹脂組成物に常用されている配合剤を、本発明の効果を損なわない範囲で含有させることができる。
このような配合剤としては、例えば、熱安定剤、紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤、帯電防止剤、結晶核剤、防錆剤、無機充填材、発泡剤及び顔料が挙げられる。
このうち、酸化防止剤、特にフェノール系、硫黄系又はリン系の酸化防止剤を含有させることが好ましい。
酸化防止剤は、本発明の熱可塑性樹脂組成物100質量部に対して0.01~2質量部含有させることが好ましい。
また、本発明の効果を損なわない範囲で、前記成分(A)及び成分(C)以外の樹脂成分やエラストマー成分を含有させてもよい。
このような樹脂成分としては、例えば、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、エチレン-α-オレフィン共重合樹脂、プロピレン-α-オレフィン共重合樹脂、エチレン-酢酸ビニル共重合樹脂、エチレン-アクリル酸エステル共重合樹脂、エチレン-(メタ)アクリル酸共重合樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、エチレン-ビニルアルコール共重合体、アクリル系樹脂及び石油樹脂スチレン-共役ジエンブロック共重合樹脂が挙げられる。
これらのその他の成分の配合は、熱可塑性樹脂の溶融混練に常用されている混練方法にて成分(A)に練り込んで添加しても構わないし、成分(A)と共に有機溶媒へ溶解させて混合しても構わない。
本発明の熱可塑性樹脂組成物の誘電正接は、好ましくは0.0025以下であり、より好ましくは0.0020以下である。この条件を満たすことにより、低誘電特性を発揮することができる。
<熱可塑性樹脂組成物の製造方法>
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、成分(A)及び(B)、必要に応じて成分(C)やその他の成分を、通常の押出機やバンバリーミキサー、ロール、ブラベンダープラストグラフ、ニーダーブラベンダー等を用いて常法で混練して製造することができる。
これらの製造方法の中でも、押出機、特に二軸押出機を用いることが好ましい。
本発明の熱可塑性樹脂組成物を押出機等で混練して製造する際には、通常180~300℃、好ましくは220~280℃に加熱した状態で溶融混練することによって製造することができる。
<成形体及びその製造方法>
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、成形することにより各種成形体を得ることができる。
この成形方法としては、通常の射出成形法、又は必要に応じて、ガスインジェクション成形法、射出圧縮成形法、ショートショット発泡成形法等の各種成形法をあげることができる。
特に、本発明の熱可塑性樹脂組成物を射出成形することにより成形体とすることが好ましく、射出成形を行なう際の成形条件は以下の通りである。
成形温度は通常200~300℃であり、好ましくは220~280℃である。射出圧力は通常5~100MPaであり、好ましくは10~80MPaである。また、金型温度は通常0~100℃であり、好ましくは30~95℃である。
<用途>
本発明の熱可塑性樹脂組成物及び成形体は、前記の特性を有するので、医療機器、光学部品又は電気・電子部品、ミリ波モジュール構成部品として有用に使用できる。
前記の本発明の成形体が用いられるミリ波モジュール構成部品としては、ミリ波レーダーカバー、コネクタ、筐体等があげられ、これらの部品を用いたミリ波モジュールは、低誘電特性や透明性等の前記の特性を有し、好適に使用することができる。
以下、実施例を用いて本発明の内容を更に具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例によって限定されるものではない。以下の実施例における各種の製造条件や評価結果の値は、本発明の実施態様における上限または下限の好ましい値としての意味をもつものであり、好ましい範囲は前記した上限または下限の値と、下記実施例の値または実施例同士の値との組み合わせで規定される範囲であってもよい。
[物性]
<メルトフローレート(MFR)>
・装置:(株)東洋精機製作所製「メルトインデクサー」
・温度:230℃
・オリフィス孔径:2mm
・荷重:2.16kg
<ポリマーブロックの比率>
[カーボンNMRによる測定]
・装置:Bruker社製「AVANCE400分光計」
・溶媒:オルソジクロロベンゼン-h/パラジクロロベンゼン-d混合溶媒
・濃度:0.3g/2.5mL
・測定:13C-NMR
・共鳴周波数:400MHz
・積算回数:1536
・フリップ角:45度
・データ取得時間:1.5秒
・パルス繰り返し時間:15秒
・測定温度:100℃
H照射:完全デカップリング
<水素化芳香族ビニルポリマーブロック単位、水素化共役ジエンポリマーブロック単位の水素化レベル>
[プロトンNMRによる測定]
・装置:日本分光社製「400YH分光計」
・溶媒:重クロロホルム
・濃度:0.045g/1.0mL
・測定:H-NMR
・共鳴周波数:400MHz
・積算回数:8
・測定温度:18.5℃
・水素化芳香族ビニルポリマーブロック単位の水素化レベル:6.8~7.5ppmの積分値低減率
・水素化共役ジエンポリマーブロック単位の水素化レベル:5.7~6.4ppmの積分値低減率
<ヘーズ>
得られた熱可塑性樹脂組成物を用いて、インラインスクリュウタイプ射出成形機(JSW社製「J110AD」)により、射出圧力50MPa、シリンダー温度270℃、金型温度95℃にて、厚さ2mm×幅100mm×長さ100mmの試験片を成形した。
この試験片を用いて、ISO14782に準拠して透明性の指標であるヘーズを測定した。
本発明の熱可塑性樹脂組成物のヘーズは、好ましくは90以下であり、より好ましくは85以下である。
<曲げ弾性率>
得られた熱可塑性樹脂組成物を用いて、インラインスクリュウタイプ射出成形機(JSW社製「J110AD」)により、射出圧力50MPa、シリンダー温度270℃、金型温度95℃にて、厚さ4mm×幅10mm×長さ80mmの試験片を成形した。
この試験片を用いて、ISO178に準拠して、スパン間64mm、曲げ速度2mm/分にて、剛性の指標である曲げ弾性率を測定した。
本発明の熱可塑性樹脂組成物の曲げ弾性率は、好ましくは3000MPa以上であり、より好ましくは4000MPa以上、更に好ましくは5000MPa以上である。
<引張強度>
得られた熱可塑性樹脂組成物を用いて、インラインスクリュウタイプ射出成形機(JSW社製「J110AD」)により、射出圧力50MPa、シリンダー温度270℃、金型温度95℃にて、厚さ4mm×幅10mm(測定部)×長さ170mmのダンベル状試験片を成形した。
この試験片を用いて、ISO527-1Aに準拠して、引張速度50mm/分にて、強度の指標である引張強度を測定した。
本発明の熱可塑性樹脂組成物の引張強度は、好ましくは40MPa以上であり、より好ましくは60MPa以上、更に好ましくは80MPa以上である。
<誘電正接>
得られた熱可塑性樹脂組成物を用いて、インラインスクリュウタイプ射出成形機(JSW社製「J110AD」)により、射出圧力50MPa、シリンダー温度270℃、金型温度95℃にて、厚さ2mm×幅100mm×長さ100mmの試験片を成形した。
これを、厚さ1.5mm×幅1.5mm×長さ80mmにカットし、誘電正接用試験片とした。
PNA-LネットワークアナライザN5230A(アジレント・テクノロジー(株)製)を用いて、IEC62810に準拠し、周波数10GHz、測定温度23℃にて低誘電特性の指標である誘電正接を測定した。
本発明の熱可塑性樹脂組成物の誘電正接は、好ましくは0.0025以下であり、より好ましくは0.0020以下である。
[原料]
<環状ポリオレフィン(A-1)>
三菱ケミカル(株)製 「ゼラス(商標登録)MC930」
・密度(ASTM D792):0.94g/cm
・MFR(230℃、2.16kg):1g/10分
・水素化芳香族ビニルポリマーブロック単位:含有率67モル%、水素化レベル99.5%以上の水素化ポリスチレン
・水素化共役ジエンポリマーブロック単位:含有率33モル%、水素化レベル99.5%以上の水素化ポリブタジエン
・ブロック構造:ペンタブロック構造、合計水素化レベル:99.5%以上
<ガラス繊維(B-1)>
日東紡績(株)製 CN 3J-451
・ガラス種類:NEガラス
・屈折率:1.52
・繊維断面:円形
・繊維径:11μm
・繊維長:3mm
<ガラス繊維(B-2)>
日東紡績(株)製 CNG 3PA-820
・ガラス種類:NEガラス
・屈折率:1.52
・繊維断面:扁平
・繊維径(長径):28μm、繊維径(短径):7μm、長径と短径の比:4
・繊維長:3mm
<ガラス繊維(X-1)>
日東紡績(株)製 CSG 3PA-820
・ガラス種類:Eガラス
・屈折率:1.56
・繊維断面:扁平
・繊維径(長径):28μm、繊維径(短径):7μm、長径と短径の比:4
・繊維長:3mm
<酸変性環状ポリオレフィン(C-1)>
三菱ケミカル(株)製 「ゼラス(商標登録)MC940AP」
・密度(ASTM D792):0.94g/cm
・MFR(230℃、2.16kg):3g/10分
・水素化芳香族ビニルポリマーブロック単位:含有率67モル%、水素化レベル99.5%以上の水素化ポリスチレン
・水素化共役ジエンポリマーブロック単位:含有率33モル%、水素化レベル99.5%以上の水素化ポリブタジエン
・ブロック構造:ペンタブロック構造、合計水素化レベル:99.5%以上
・マレイン酸変性率:1.2質量%
[実施例1]
成分(A-1)98.5質量部、成分(B-1)43質量部、成分(C-1)1.5質量部を、同方向2軸押出機(パーカコーポレーション社製 HK25D Φ25、L/D=41)にて5kg/hの速度で投入し、240℃の範囲で昇温させて溶融混練を行ない、熱可塑性樹脂組成物を製造した。
得られたペレットを用いて評価を行なった。結果を表1,2に示す。
[実施例2~6、比較例1~2]
表1に示す配合にしたこと以外は実施例1と同様にして、熱可塑性樹脂組成物を製造した。
得られたペレットを用いて評価を行なった。結果を表1,2に示す。
Figure 0007336310000002
Figure 0007336310000003
<評価結果>
表1より、本発明に該当する実施例1~6は低誘電特性、透明性と剛性、強度に優れたものであることがわかる。
これに対して、成分(B)を含まない比較例1は剛性と強度が劣り、本発明に該当しないガラス繊維を用いた比較例2は透明性及び低誘電特性が劣ることがわかった。
本発明の熱可塑性樹脂組成物及び成形体は低誘電特性、透明性と剛性、強度に優れ、医療機器、光学部品又は電気・電子部品、ミリ波モジュール構成部品として非常に有用である。

Claims (10)

  1. 環状ポリオレフィン(A)と、屈折率が1.49~1.53のガラス繊維(B)とを含有する熱可塑性樹脂組成物であって、
    前記熱可塑性樹脂組成物中の樹脂成分100質量部に対して、前記ガラス繊維(B)5~100質量部を含有し、
    該環状ポリオレフィン(A)が、少なくとも1種の芳香族ビニルモノマー単位及び少なくとも1種の共役ジエンモノマー単位を含むブロックコポリマーの水素化体である水素化ブロックコポリマーからなり、
    該水素化ブロックコポリマーは、前記芳香族ビニルモノマー単位からなるポリマーブロックの水素化体である水素化芳香族ビニルポリマーブロック単位、及び前記共役ジエンモノマー単位からなるポリマーブロックの水素化体である水素化共役ジエンポリマーブロック単位を有し、
    該水素化ブロックコポリマーは、前記水素化芳香族ビニルポリマーブロック単位を少なくとも2個有すると共に、前記水素化共役ジエンポリマーブロック単位を少なくとも1個有し、
    前記水素化芳香族ビニルポリマーブロック単位が90%以上の水素化レベルをもち、かつ、前記水素化共役ジエンポリマーブロック単位が95%以上の水素化レベルをもち、
    前記水素化芳香族ビニルポリマーブロック単位が水素化ポリスチレンからなり、前記環状ポリオレフィン(A)中の含有率が30~99モル%であり、
    前記水素化共役ジエンポリマーブロック単位が水素化ポリブタジエンからなり、前記環状ポリオレフィン(A)中の含有率が1~70モル%であり、
    前記ガラス繊維(B)の繊維断面の平均直径が5~50μmであり、
    前記ガラス繊維(B)の繊維断面の長径と短径の比(長径/短径)の平均値が2~8の扁平断面を有する、熱可塑性樹脂組成物。
  2. 前記ガラス繊維(B)が、NEガラスからなるガラス繊維である、請求項に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  3. 10GHzにおける誘電正接が0.0025以下である、請求項1又は2に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  4. 前記環状ポリオレフィン(A)100質量部に対して、更に、酸変性環状ポリオレフィン(C)0~100質量部を含有する、請求項1~のいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  5. 請求項1~のいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂組成物を成形した成形体。
  6. 請求項1~のいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂組成物を成形した医療機器。
  7. 請求項1~4のいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂組成物を成形した光学部品。
  8. 請求項1~4のいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂組成物を成形した電気・電子部品。
  9. 請求項1~のいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂組成物を成形した部品を有するミリ波モジュール。
  10. 請求項1~のいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂組成物を成形した部品であり、ミリ波レーダーカバー、コネクタ、及び筐体から選ばれるミリ波モジュール構成部品。
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