以下、本開示に係る画像形成システムの実施の形態を、図面を参照しながら説明する。
〔1〕画像形成システムの全体構成
図1は、画像形成システムの全体構成を示す正面図である。
同図に示すように、画像形成システム1は、画像形成装置100と、画像形成装置100に装着される後処理装置200を含む。
画像形成装置100は、原稿の画像を読み取るスキャンジョブと、読み取って得られた画像データに基づいて原稿画像をシートにプリントするコピージョブと、ネットワークを介して接続されている外部端末(不図示)からのジョブの要求を受け付けて、受け付けたジョブに係る画像をシートにプリントするプリントジョブ等の各種ジョブを実行する機能を有する多機能複合機(MFP:Multi Function Peripheral)である。以下、MFP100という。
後処理装置200は、MFP100から画像がプリントされたシートが供給される。後処理装置200は、ステープル機構を備える。ステープル機構は、複数のシートをまとめた束にステープル針を打ち込む機構である。また、後処理装置200は、MFP100により画像が形成された1以上のシートを並び替えて排紙するソート処理、パンチ穴加工するパンチ処理を実行する機構を有しても良い。
同図では、X軸方向がMFP100を正面側から見たときの左右方向に相当し、Y軸方向が上下方向に相当する。X軸とY軸の双方に直交する方向をZ軸方向(奥行方向)という場合がある。
〔2〕MFPの全体構成
MFP100は、原稿を読み取るための原稿読取部130と、原稿を原稿読取部130に搬送するための自動原稿搬送装置120と、原稿読取部130が原稿を読み取って出力する画像データに基づいてシートに画像を印刷するためのプリント部140と、プリント部140にシートを供給するためのシート搬送部150と、ユーザーインターフェースとしての操作パネル160と、を含む。
図2は、MFP100の全体構成を概略的に示す図である。
同図に示すようにMFP100は、筐体底部に、シートを収容し搬送するシート搬送部150が設けられている。シート搬送部150の上方には、電子写真方式により画像を印刷するプリント部140、電源部110及びMFP100の各ブロックを統合的に制御する全体制御部170とエンジン制御部180が設けられ、これらの上方に、原稿読取部130と自動原稿搬送装置120及び操作パネル160が設けられている。
(2-1)原稿読取部と自動原稿搬送装置
自動原稿搬送装置120は、原稿トレイに載置された原稿を搬送機構により搬送して原稿読取部130へ送り出す。
原稿読取部130は、自動原稿搬送装置120からコンタクトガラス上に搬送された原稿又はコンタクトガラス上に載置された原稿を光学的に走査し、原稿からの反射光をCCD(Charge Coupled Device)センサー12aの受光面上に結像させ、原稿画像を読み取って、原稿の画像データを生成する。生成した画像データは画像メモリ(不図示)に書き込まれる。
(2-2)操作パネル
操作パネル160は、操作者の接触操作を受け付けるタッチパネル161及びテンキー、スタートキーに加えて、省電力モード移行指示キー162等の各種操作キーを備え、操作者による各種入力操作、例えば、プリントの実行指示を受け付けたり、省電力モード移行指示キー162の入力を受け付けたりする。受け付けた入力を示す操作信号は、全体制御部170に出力される。
(2-3)シート搬送部
シート搬送部150は、給紙部51及び搬送経路部53を備える。
給紙部51は、MFP100の筐体底部に設けられ、搬送経路部53は、給紙部51から給紙されるシートの搬送方向、下流側に設けられている。
給紙部51は、2つの給紙トレイユニット51a、51bを備える。給紙トレイユニット51a、51bには、それぞれ昇降板52が配置されており、この昇降板52上にシートSが収容される。昇降板52は、不図示のモーターにより昇降動作を行う。シートSは、画像を形成する対象となる記録媒体として、紙などの用紙の他、OHP(Overhead projector)シート、布等を含む。以下、特に言及しない限り、記録媒体を用紙とする場合を例に説明する。
給紙トレイユニット51a、51bに収容されている用紙束の最上位の用紙Sがその上に位置する繰り出しローラー56に接するように昇降板52の昇降が行われ、繰り出しローラー56の回転によりその用紙Sが繰り出されて搬送経路部53に搬送される。
搬送経路部53は、搬送ローラー対53a、53b、レジストローラー対53c等の複数の搬送ローラー対を有する。
給紙部51から、用紙Sが搬送経路部53に搬送されると、用紙Sは、搬送ローラー対53a、53b、レジストローラー対53cによって搬送方向下流に案内される。レジストローラー対53cは、用紙Sの傾き補正を行うとともに搬送タイミングを調整する。その後、用紙Sは、プリント部140の二次転写ニップ34Pに向けて搬送される。
(2-4)プリント部
プリント部140は、電子写真方式により画像を形成する画像形成部40及びトナー像を用紙に融着する定着部60から構成されている。
画像形成部40は、画像データに基づいて、Y成分、M成分、C成分、K成分の各有色トナーによる画像を形成するための画像形成ユニット41Y、41M、41C、41K、中間転写ユニット31等を備える。
Y成分、M成分、C成分、K成分用の画像形成ユニット41Y、41M、41C、41Kは、同様の構成を有する。図示及び説明の便宜上、共通する構成要素を同一の符号で示し、それぞれを区別する場合には符号にY、M、C、又はKを添えて示すこととする。図1では、Y成分用の画像形成ユニット41Yの構成要素についてのみ符号を付し、その他の画像形成ユニット41M、41C、41Kの構成要素については符号を省略している。以下、画像形成ユニット41Y、41M、41C、41Kを代表して、画像形成ユニット41Yについて、画像形成ユニット41として説明する。
画像形成ユニット41は、露光部48、現像部42、感光体ドラム43(感光体)、帯電部44、およびドラムクリーニング部45等を備える。
帯電部44は、矢印B方向に回転する感光体ドラム43の周面を一様に帯電させる。
露光部48は、例えば半導体レーザーで構成され、感光体ドラム43に対して各色成分の画像に対応するレーザー光を照射する。レーザー光の照射により、感光体ドラム43の周面には、各色成分の静電潜像が形成されることとなる。
現像部42は、例えば二成分現像方式の現像装置であり、感光体ドラム43の周面に各色成分のトナーを付着させることにより静電潜像を可視化してトナー画像を形成する。
ドラムクリーニング部45は、感光体ドラム43の周面に摺接されるドラムクリーニングブレード等を有する。ドラムクリーニングブレードは、一次転写後に感光体ドラム43の周面に残存する転写残トナーを除去する。
中間転写ユニット31は、中間転写ベルト32、複数の一次転写ローラー47、複数の支持ローラー33A~33D、及びベルトクリーニング装置36等を備える。
中間転写ベルト32は、無端状ベルトで構成され、複数の支持ローラー33A~33Dにより張架され、矢印A方向に周回走行する。複数の支持ローラー33A~33Dのうち、支持ローラー33Aは、駆動ローラーであり、支持ローラー33B~33Dは、従動ローラーである。
各色成分の一次転写ローラー47は、当該色成分の感光体ドラム43に対向して、中間転写ベルト32の内周面側に配置される。一次転写ローラー47には、印加される電圧に応じた転写電流が流れる。中間転写ベルト32を挟んで、一次転写ローラー47が感光体ドラム43に押圧されることにより、感光体ドラム43が中間転写ベルト32に圧接され、感光体ドラム43から中間転写ベルト32へトナー像を転写するための一次転写ニップが形成される。
支持ローラー33Bは、中間転写ベルト32を挟んで、二次転写ローラー34Bに圧接しており、これにより、中間転写ベルト32から用紙Sへトナー像を転写するための二次転写ニップ34Pが形成される。
各色の一次転写ニップを中間転写ベルト32が通過する際、各色の感光体ドラム43上のトナー像が中間転写ベルト32に重ねて一次転写される。
その後、搬送経路部53を搬送される用紙Sが二次転写ニップ34Pを通過する際、中間転写ベルト32上のトナー像が用紙Sに二次転写される。トナー像が転写された用紙Sは定着部60に向けて搬送される。ベルトクリーニング装置36は、二次転写後に中間転写ベルト32の表面に残留する転写残トナーを除去する。
定着部60は、定着ベルト60A、加圧ローラー60B及び定着ベルト60Aに熱量を付与する加熱源60C等を備える。定着ベルト60Aに加圧ローラー60Bが圧接されることによりその圧接領域である定着ニップNPが形成される。
定着部60は、二次転写ニップ34Pを通過した用紙Sを定着ニップNPが通過する際に加熱、加圧して、用紙S上のトナー像を用紙Sに定着する。定着ニップNPを通過した用紙Sは、排紙ローラー対55により排出口57を経て後処理装置200に搬送される。
〔3〕後処理装置の構成
図3は、後処理装置200の外観を示す斜視図である。
同図に示すように後処理装置200は、本体ケース208の右側面上部にサブトレイ251およびメイントレイ252が配置され、正面にマニュアルステープル部247が配置される。
図4は、マニュアルステープル部247を拡大して示す図である。
同図に示すようにマニュアルステープル部247は、ユーザーが外部から用紙束Sb2を挿入するための挿入口248と、破線で示す手差し挿入用紙検出センサー244を有する。以下、用紙検出センサー244と略する。
挿入口248から本体ケース208の内側に延びる切込み部分が設けられており、ユーザーは、複数枚の用紙が重ねられてなる用紙束Sb2を挿入口248から切込み部分に挿入することが可能である。
用紙検出センサー244は、本体ケース208の内部であり、挿入口248から本体ケース208の内側に延びる切込み部分に配置される。用紙検出センサー244は、透過型の光学センサーであり、挿入口248から切込み部分に挿入される用紙束Sb2を検出する。本体ケース208の内部には、後述するステープルユニット270(図5参照)が設けられており、挿入口248に挿入された用紙束Sb2が用紙検出センサー244により検出されると、ステープルユニット270によって用紙束Sb2にステープル針が打ち込まれる(ステープル綴じ)。ユーザーが挿入口248に用紙束Sb2を挿入することで用紙束Sb2にステープル綴じが行われる処理をマニュアルステープルという。
なお、用紙検出センサー244は、用紙束Sb2を検出可能であれば、透過型の光学センサーに限らず、超音波センサー、反射型の光学センサー、タッチセンサーなどでも良い。また、用紙検出センサー244は、挿入口248から切込み部分に挿入される用紙束Sb2により傾きが変動するレバーとレバーの傾きを検出する接点スイッチでも良い。
なお、本実施の形態では、用紙検出センサー244が用紙束Sb2を検出したことを、マニュアルステープル(後処理)の実行指示の受け付けとして、マニュアルステープルが開始される例を説明するが、これに限られない。例えば、挿入口248に用紙束Sb2が挿入されている状態で、ユーザーによる操作ボタンの押下やタッチ等の操作が受け付けられたことを、マニュアルステープルの実行指示の受け付けとして、マニュアルステープルが開始される構成でも良い。図4では、操作ボタンの例として、本体ケース208のマニュアルステープル部247の近傍に配置される操作ボタン244aが記載されるが、これに代えて、MFP100の操作パネル160や装置本体に配置されてもよい。この場合には、用紙検出センサー244は不要である。
図5は、後処理装置200の内部構成を示す図である。
同図に示すように後処理装置200は、搬送機構203及びステープル機構204を備える。搬送機構203は、搬送ローラー対231と、中間ローラー対232と、切換器235と、サブ排出ローラー対233と、収容ローラー対234と、メイン排出ローラー対238と、パドル239を含む。ステープル機構204は、積載トレイ237と、ステープルユニット270と、一対の整合板245L、245Rを含む。
搬送機構203は、MFP100から排出された用紙Sを受け入れ口209で受け入れて搬送経路R1、R2、R3に沿って搬送する。具体的には、受け入れ口209で受け入れられた用紙Sは、搬送経路R1に沿って搬送ローラー対231と中間ローラー対232によって搬送され、切換器235により搬送経路R2が選択される場合、分岐点236から搬送経路R2に進入し、その後、搬送経路R2に沿ってサブ排出ローラー対233によって搬送されてサブトレイ251に排出される。
切換器235により搬送経路R3が選択される場合、用紙Sは、分岐点236から搬送経路R3に進入し、その後、搬送経路R3に沿って収容ローラー対234によって搬送され、メイン排出ローラー対238に到達する。
メイン排出ローラー対238は、上下方向に移動可能な上側ローラー238aと下側ローラー238bとを含み、MFP100から排出された用紙Sに自動的にステープル綴じするオンラインステープル以外の通常モードのときには、両ローラーが圧接状態で回転して、収容ローラー対234を通過した用紙Sをメイントレイ252に排出する。
オンラインステープルのときには、メイン排出ローラー対238は、両ローラーが離間状態で回転が停止される。この離間状態のときには、用紙Sは、両ローラーの間に介在する状態になり、用紙Sの搬送方向後端が収容ローラー対234を通過すると、用紙Sが収容ローラー対234とメイン排出ローラー対238いずれにも拘束されなくなる。
用紙Sの搬送方向後端が収容ローラー対234を通過するタイミングに合わせて、パドル239が回転し、パドル239の先端が用紙Sの上面に当たり、用紙Sに図の斜め右下の方向の力が付与され、用紙Sが積載トレイ237上に強制的に落とされる。積載トレイ237は、メイン排出ローラー対238に近い方の端部よりも遠い方の端部が下方に位置するように傾斜しており、積載トレイ237上に落下した用紙Sは、積載トレイ237の傾斜面に沿って降下し、積載トレイ237の下端の係止部246に当たって停止する。
積載トレイ237上に、複数枚の用紙が重なってなる用紙束が積載された状態で、ステープル機構270によりその用紙束にステープル針が打ち込まれる(オンラインステープル綴じ)。その後、上側ローラー238aと下側ローラー238bが圧接した状態で回転して、積載トレイ237上の用紙束がメイントレイ252に排出される。
図6は、ステープル機構204の概略平面図である。
同図に示すようにステープル機構204は、積載トレイ237と、一対の整合板245L、245Rと、ステープルユニット270を含む。積載トレイ237には、搬送機構210により搬送された複数枚の用紙が重なってなる用紙束Sb1が積載される。
ステープルユニット270は、側面視でコの字状のユニット本体274(図5)にユニット上部273とユニット下部275が配置される。ユニット上部273にはステープル針が収納される。ユニット上部273とユニット下部275との間に用紙束Sb1の一部が入り込み、ユニット本体274に用紙束Sb1が当たらない状態で、ユニット上部273が下降しつつユニット下部275が上昇して用紙束Sb1を上下から挟み込んで、用紙束Sb1にステープル針が打ち込まれる。ステープル針の打ち込みが終了すると、ユニット上部273が上昇しつつユニット下部275が下降して用紙束Sb1から離間する。これにより、ステープル綴じが終了する。ステープル綴じは、ステープルモーター242(図8)の駆動により行われ、開始から終了までに一定の時間Td(例えば0.5秒)を要する。この時間Tdは、マニュアルステープルでも同じである。
一対の整合板245L、245Rは、用紙幅方向Wに沿って往復移動が可能であり、搬送機構210により積載トレイ237上に1枚の用紙Sが搬送されて来る度に、破線で示す待機位置から実線で示す整合位置に移動して、用紙Sを整合し、その後、待機位置に戻る動作を繰り返し行う。この整合板245L、245Rの移動は、整合モーター243(図8)の駆動により行われる。
最後の用紙Sが搬送されると、整合位置に位置したまま停止した状態で、ステープルユニット270によりオンラインステープル綴じが行われる。
ステープルユニット270は、レール275に沿って移動可能である。レール275は、用紙幅方向Wに平行な移動経路T1と、移動経路T1の装置背面側の端部から延出している移動経路T2と、移動経路T1の装置正面側の端部から分岐している移動経路T3、T4を含む。
ステープルユニット270は、移動経路T2の端部(第1位置)に移動したときには、同図において上下方向に沿った基本姿勢から、回転軸279を中心に反時計方向に一定角度(約45°)だけ回転した第1姿勢(実線)に遷移でき、移動経路T3の端部(第2位置)に移動したときには、基本姿勢から回転軸279を中心に時計方向に一定角度(約45°)だけ回転した第2姿勢(一点鎖線)に遷移できるようになっている。ステープルユニット270の移動は、移動用モーター241(図8)の駆動により行われる。
第1姿勢(実線)は、用紙束Sb1の後端辺296において装置背面側の角部にステープル綴じする場合の姿勢であり、第2姿勢(一点鎖線)は、用紙束Sb1の装置正面側の角部にステープル綴じする場合の姿勢である。用紙束Sb1のいずれの角部にステープル綴じするかをユーザーは、ジョブの実行条件として指示することができ、その指示に基づきステープルユニット270が第1姿勢と第2姿勢のいずれかの姿勢になるようにステープルユニット270の移動が制御される。
一方、移動経路T4の端部(第3位置)に移動したときには、図7に示すように基本姿勢から回転軸279を中心に反時計方向に一定角度(約45°)だけ回転した第3姿勢に遷移できるようになっている。この第3姿勢は、マニュアルステープルを実行する場合の姿勢であり、本体ケース208の挿入口248から挿入された用紙束Sb2の角部Sbuにステープル綴じがなされる。この第3位置をマニュアルステープル位置という。
〔4〕MFPと後処理装置の制御ブロック
図8は、MFP100と後処理装置200の制御ブロックを示す図である。
同図に示すようにMFP100の電源部110は、外部の商用電源からの電力(例えばAC100V)を直流の5Vと24Vに変換してそれぞれの電圧を出力する電源回路11と、24Vの出力ライン上に配されたスイッチ部12を有する。直流の5V、24Vを以下、DC5V、DC24Vという。
電源部110から出力されたDC5Vは、全体制御部170と操作パネル160に供給される。DC5Vの供給を受ける各部をまとめてグループ21という。
一方、電源部110から出力されたDC24Vは、エンジン制御部180と、自動原稿搬送装置120と、原稿読取部130と、プリント部140と、シート搬送部150に供給される。DC24Vの供給を受ける各部をまとめてグループ22という。また、グループ22とは別に、DC24Vは、後処理装置200に供給される。
全体制御部170は、エンジン制御部180との間で信号のやりとりを行うことでき、エンジン制御部180に対してジョブの実行指示を行う。
全体制御部170は、省電力制御部171とパネル制御部172を含む。省電力制御部171とパネル制御部172は、それぞれがCPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)を含む。省電力制御部171とパネル制御部172は、相互に通信することができる
省電力制御部171は、通常モードから省電力モードへの遷移と、省電力モードから通常モードへの遷移を行う。ここで、通常モードは、電源部110からDC24Vを出力させるモードであり、省電力モードは、電源部110からDC24Vの出力を停止させるモードである。通常モードと省電力モードの一方から他方への遷移は、スイッチ部12に対してオンとオフを切り換える切換信号を出力して、スイッチ部12をオン(通電:実線で示す状態)とオフ(切断:破線で示す状態)に切り換えることで行われる。
グループ22に属する各部と後処理装置200は、DC24Vの電力供給のみで動作し、DC24Vの電力供給が停止されると動作できない状態になる。通常モードのときにグループ22に属する各部と後処理装置200で消費されていた電力が省電力モードに遷移すると消費されなくなるので、その分、省電力モードは、通常モードよりも節電になる。
なお、全体制御部170は、通常モードと省電力モードに関係なく、常時、電源部110からDC5Vを供給されており、省電力制御部171とパネル制御部172の動作が可能である。DC5Vが供給される操作パネル160についても常時動作が可能である。
通常モードから省電力モードへの遷移は、ジョブ終了からユーザーによる操作がない無操作時間が一定時間(例えば1分)経過したときや、ユーザーが省電力モード移行指示キー162を操作した場合を契機とする。一方、省電力モードから通常モードへの遷移は、ユーザーからのジョブ要求指示、例えばコピーのスタートキーが操作された場合、別の何らかのキーやボタンがユーザーにより操作された場合、ネットワークを介して外部の端末装置からプリントジョブの要求を受け付けた場合などを契機とする。
パネル制御部172は、操作パネル160の表示制御を行うとともに、操作パネル160からどのキーやボタンが操作されたかの情報を受信して、操作されたキーやボタンに対応する動作、例えばジョブの開始などを判断する。パネル制御部172がコピージョブの開始を判断すると、全体制御部170は、エンジン制御部180にコピージョブの開始を指示する。
また、パネル制御部172は、省電力モード移行指示キー162の入力操作が受け付けられたことを判断すると、省電力制御部171に省電力モードへの遷移を指示する。さらに、パネル制御部172は、操作パネル160からのキーやボタンの入力を受け付けない無操作時間を計時し、無操作時間が一定時間に達した場合、省電力制御部171に省電力モードへの遷移を指示する。省電力制御部171は、パネル制御部172からの省電力モードへの遷移指示を受け付けると、省電力モードに遷移する判断をしたことを示す省電力移行開始通知P2(後述:図11)をエンジン制御部180に送る。その後、エンジン制御部180から移行準備完了通知P7(後述:図11)を受信すると、スイッチ部12にオフの切換信号を出力して、スイッチ部12をオフさせる。これにより、通常モードから省電力モードに遷移する。
また、パネル制御部172は、省電力モードのときに、操作パネル160からのキーやボタンの操作情報を受信すると、省電力制御部171に省電力モードの解除を指示する。この指示により省電力制御部171は、スイッチ部12にオンの切換信号を出力して、スイッチ部12をオンさせる。これにより、省電力モードから通常モードに遷移し、電源部110からエンジン制御部180を含むグループ22に属する各部と後処理装置200にDC24Vの供給が再開される。ネットワークを介して外部の端末装置からジョブの要求を受け付けた場合も同様である。
エンジン制御部180は、CPU181と、ROM182と、RAM183と、画像安定化処理部184と、不揮発性のバックアップメモリ185と、インターフェース(I/F)190を有し、これらは相互に通信することができる。
CPU181は、自動原稿搬送装置120と、原稿読取部130と、プリント部140と、シート搬送部150の動作を統括的に制御して、全体制御部170から指示のあったジョブ、例えばコピー、プリント、スキャンジョブを円滑に実行させる。
ROM182は、予め、スキャン、コピー又はプリント等の各種ジョブを実行させるための制御プログラムなどを記憶している。CPU181は、ROM182に記憶されている制御プログラムに従って動作する。RAM183は、CPU181によるプログラム実行時のワークエリアを提供する。
CPU181は、全体制御部170から省電力モードへの遷移を開始することを示す省電力移行開始通知を受信すると、省電力モードの移行準備としてデータバックアップとホーム復帰動作を実行する。データバックアップは、次に説明する画像安定化処理により求められる制御変数をバックアップメモリ185に格納する処理である。ホーム復帰動作は、例えば給紙部51の昇降板52をホーム位置、例えば最も下の位置に戻す動作や、中間転写ベルト32が感光体ドラム43に対して接離可能な構成になっている場合には、初期の接触位置に戻す動作などが含まれる。
画像安定化処理部184は、プリント部140を制御して画像安定化処理を実行する。
画像安定化処理は、帯電、露光、現像、転写の各工程のうち、帯電部44の帯電電圧と現像部42の現像バイアス電圧を基準値からこれに対して少しずつ異なる値に可変させながら、中間転写ベルト32上に、その各値に応じたY~Kの各色の所定形状のトナーパッチを形成し、形成した各トナーパッチの濃度を不図示のセンサーで検出して、その検出結果からトナーパッチの濃度が目標濃度に一致または最も近い帯電電圧と現像バイアス電圧の値を現在の制御変数の最適値として求める処理である。求めた帯電電圧と現像バイアス電圧の値は、RAM183に格納される。
CPU181は、これ以降の画像形成時にRAM183に格納されている帯電電圧と現像バイアス電圧の値を読み出して、読み出した帯電電圧で帯電部44に感光体ドラム43を帯電させ、読み出した現像バイアス電圧で現像部42に現像を行わせる。
画像安定化処理は、省電力モードではない通常モードのときに、所定枚数(例えば100枚)のプリントが実行される度や一定時間間隔(例えば1日単位)で繰り返し実行され、その都度、求められた帯電電圧と現像バイアス電圧のデータがRAM183に上書き保存されるようになっている。
ここで、帯電電圧と現像バイアス電圧のデータをRAM183に格納する構成をとった場合、省電力モードに遷移してDC24Vの供給が停止されると、RAM183に格納されている帯電電圧と現像バイアス電圧のデータが消去されてしまうおそれがある。
そこで、エンジン制御部180は、全体制御部170から省電力モードへの遷移を開始することを示す省電力移行開始通知を受信すると、RAM183に格納されている帯電電圧と現像バイアス電圧のデータを不揮発性のフラッシュメモリなどからなるバックアップメモリ185に格納する(データバックアップ)。その後、省電力モードに遷移し、さらに通常モードに遷移すると、バックアップメモリ185に格納していた帯電電圧と現像バイアス電圧のデータを読み出して、RAM183に格納する。これにより、前回の画像安定化処理で求められた帯電電圧と現像バイアス電圧のデータの消失が防止される。
なお、上記ではプリント部140のプリント動作を制御するための制御変数として、帯電電圧と現像バイアス電圧を求める例を説明したが、これに限られず、例えば露光部48の露光量、転写ローラー47に供給される転写バイアス、定着部60の定着温度などを含めた制御変数が求められるとしても良い。
インターフェース190は、後処理装置200のインターフェース201とケーブル(不図示)を介して例えばシリアル通信が可能に接続されており、データや信号をやりとり可能になっている。
エンジン制御部180は、全体制御部170から受信したジョブの実行条件に含まれる後処理に関する情報(オンラインステープル綴じの有無など)をインターフェース190、201を介して後処理装置200の後処理制御部202に送信することができる。
後処理装置200は、インターフェース201と、後処理制御部202と、搬送部203と、ステープル部204と、手差し挿入用紙検出センサー244を備える。
後処理制御部202は、CPU211と、ROM212と、RAM213と、マニュアルステープル情報記憶部214と、タイマー215を有する。
CPU211は、搬送部203と、ステープル部204の動作を統括的に制御して、用紙Sの搬送、ステープル綴じを円滑に実行させる。
ROM212は、予め、用紙Sの搬送やステープル綴じを実行させるための制御プログラムなどを記憶している。CPU211は、ROM212に記憶されている制御プログラムに従って動作する。RAM213は、CPU211によるプログラム実行時のワークエリアを提供する。
マニュアルステープル情報記憶部214は、不揮発性の記憶部であり、図9に示すように省電力最短移行時間Tαと、マニュアルステープル開始までの遅延時間Tcと、ステープル綴じ動作時間Tdを示す情報をテーブル形式で記憶している。
省電力最短移行時間Tα(図11)は、全体制御部170が省電力モードへの移行を判断してからスイッチ部12がオフになって電源部110からDC24Vの出力が停止するまでに要すると想定される時間の最短時間であり、予め実験などで求められる。この最短時間については後述する。
マニュアルステープル開始までの遅延時間Tcは、図10に示すようにマニュアルステープルにおいて用紙束が挿入口248に挿入されて用紙検出センサー244で検出されてから、マニュアルステープルを開始するまでの遅延時間(例えば1秒)であり、予め実験などで求められる。ユーザーが用紙を挿入してから位置が安定するまでの時間および用紙検出センサー244の入力が安定するまである程度の時間がかかるので、その時間を遅延時間Tcとしている。ここでは、図7に示す第3位置がステープルユニット270の待機位置になっている。なお、この時間Tcを操作パネル160から設定変更可能にして、MFP100から後処理装置200の後処理制御部202に通知する構成をとることもできる。例えば、遅延時間Tcの微調整に適用できる。また、待機位置を変更可能な構成とした場合に、その待機位置から第3位置に移動するのに要する時間が必要になる。時間Tcを設定変更可能とすることで、このような構成にも適用が可能になる。
ステープル綴じ動作時間Tdは、ステープルモーター242の駆動開始によりステープル綴じが開始されてからステープル綴じ終了によりステープルモーター242の駆動を停止するまでに要する時間であり、上記の例では0.5秒になっている。以下、時間Tc+Tdを時間Tβ(例えば1.5秒)という。
〔5〕MFPと後処理装置間の信号のやり取りについて
図11は、省電力モードの移行の際におけるMFPと後処理装置間の信号のやり取りを示すシーケンス図である。
同図に示すようにMFP100の全体制御部170は、通常モード中に省電力モードへの移行を判断すると(P1)、その旨を示す省電力移行開始通知(P2)をエンジン制御部180に送信する。エンジン制御部180は、全体制御部170から省電力移行開始通知(P2)を受信すると、後処理装置200の後処理制御部202に省電力移行開始通知(P3)を送信する。これにより、エンジン制御部180と後処理制御部202は、この後に省電力モードへの移行(DC24V出力の遮断)が行われることを判断できる。
エンジン制御部180は、省電力移行開始通知を受信すると、データバックアップ(P4)を行うとともにホーム復帰動作(P5)を行う。そして、データバックアップとホーム復帰動作が完了すると、移行準備完了を判断する(P6)。データバックアップの完了は、RAM183から現像バイアス電圧などの制御変数を示すデータの全部をバックアップメモリ185に格納する処理を終了したことにより判断される。ホーム復帰動作の完了は、ホーム復帰対象の部材、例えば昇降板52については昇降板52がホーム位置への移動が完了したことにより判断される。
ここで、データバックアップについて、RAM183から読み出してバックアップメモリ185に格納する制御変数を示すデータ量が多くなると、データバックアップに要する時間が長くなり、そのデータ量が少なくなると、データバックアップに要する時間が短くなる。このようにデータバックアップに要する時間は、バックアップの都度、変動する場合がある。また、ホーム復帰動作に要する時間も変動する。例えば、昇降板52がホーム位置以外の位置(最上位など)に存していれば、ホーム位置への復帰に要する時間が長くなるが、ホーム位置に存していれば、その時間は0になる。
従って、エンジン制御部180が全体制御部170から省電力移行開始通知(P2)を受信してから移行準備完了(P6)を判断するまでの時間がある程度変化する。
エンジン制御部180は、移行準備完了を判断すると、移行準備完了通知(P7)を全体制御部170に送信する。
全体制御部170は、エンジン制御部180からの移行準備完了通知(P7)を受信すると、電源部110に対して遮断指示信号(P8)、具体的にはスイッチ部12に対してオフの切換信号を送信する。スイッチ部12は、オフの切換信号の受信によりDC24Vラインを遮断する(P9)。スイッチ部12がオンからオフに切り換わるのにある程度の時間を要する。従って、電源部110が遮断指示信号を受信してからDC24Vラインが遮断されるまでに一定の時間Tb(例えば0.5秒)を要することになる。
スイッチ部12がオンからオフに切り換わってDC24Vラインの給電が遮断されると(時点t3)、これ以後、省電力モードに移行する。これにより、エンジン制御部180やプリント部140を含むグループ22(図8)に属する各部と後処理装置200への電力供給が停止され、エンジン制御部180やプリント部140に加えて後処理装置200などで電力(待機電力を含む)が消費されなくなる。
全体制御部170が省電力移行開始通知(P2)を送信してから(時点t1)、電源部110に遮断指示信号(P8)を送信する(時点t2)までに要する時間をTaとすると、この時間Taは、エンジン制御部180におけるデータバックアップとホーム復帰動作に要する時間が変動することにより、変動する場合がある。時間Taが最短のときの時間に時間Tbを加算した時間が上記の省電力最短移行時間Tαになる。
従って、省電力移行開始通知(P2)の送信(時点t1)からDC24Vラインの遮断(時点t3)までの時間は、最も短い場合がTα(例えば1.5~2秒)になり、エンジン制御部180と後処理制御部202は、省電力移行開始通知を受信してから省電力モードに実際に移行する(DC24Vの給電が遮断される)までに時間Tαの猶予があること判る。時間TαとTβは、Tα≧Tβの大小関係を有する。
一方、後処理制御部202は、エンジン制御部180から省電力移行開始通知(P3)を受信すると、タイマー215の計時を開始する(P10)。タイマー215により計時される時間Tiは、マニュアルステープルの実行の良否を判断するのに用いられる。このことを具体的に図12(a)~(c)を用いて説明する。
図12(a)は、通常モードにおいて後処理装置200の挿入口248に挿入された用紙束が用紙検出センサー244で検出された時点Q1の後に、後処理制御部202がエンジン制御部180から省電力移行開始通知(P3)を受信した場合に、マニュアルステープルが実行されることを模式的に示した図である。上記のように時間Tα≧Tβの関係があるので、時点Q1が省電力移行開始通知(P3)の受信よりも前の時間帯に属していれば、省電力移行開始通知(P3)から時間Tα経過時(DC24Vの供給遮断)の前にマニュアルステープル動作を終了することができる。
図12(b)は、省電力移行開始通知(P3)の受信後に、用紙束が用紙検出センサー244で検出された場合(時点Q2)、タイマー215のカウント値Tiが、Tα≧(Ti+Tβ)の大小関係を満たすことを条件にマニュアルステープルを実行すれば、DC24Vの供給遮断の前にマニュアルステープル動作が終了することを模式的に示した図である。
図12(c)は、省電力移行開始通知(P3)の受信後に、用紙束が用紙検出センサー244で検出された場合(時点Q3)、Tα≧(Ti+Tβ)の大小関係を満たさないのにマニュアルステープルを実行すれば、DC24Vの供給遮断時にマニュアルステープル動作が未だ終了していないことを模式的に示す図である。
つまり、時間Tα≧Tβの関係を有する場合、省電力移行開始通知(P3)を受信した後でも、Tα≧(Ti+Tβ)の関係を満たせば、省電力モードへの遷移(DC24Vの供給遮断)によりマニュアルステープルが中断することを回避できる。
換言すると、Tα<(Ti+Tβ)の関係を満たす場合、後処理装置200の挿入口248に用紙束が挿入されてもマニュアルステープルの動作を禁止すれば、マニュアルステープルの中断を回避できる。
MFP100は、後処理装置200がマニュアルステープルを行うか否かに関わらず、省電力モードの移行を判断すると独自に省電力モードに移行するので、従来のように後処理装置200のマニュアルステープルを優先して省電力モードへの移行が遅延されることがなくなり、省電力モードによる節電効果を向上できる。
〔6〕全体制御部が実行する処理について
図13は、全体制御部170が実行する省電力モード移行制御の内容を示すフローチャートである。この制御は、省電力制御部171が担当する。
同図に示すようにジョブ終了を判断すると(ステップS1で「Yes」)、ユーザーによる操作パネル160への操作入力が一定時間に亘って生じない、つまり無操作時間が一定時間に達したか否かを判断する(ステップS2)。無操作時間が一定時間に達したことを判断すると(ステップS2で「Yes」)、省電力移行開始通知(図11:P2)をエンジン制御部180に送信する(ステップS3)。
そして、エンジン制御部180からの移行準備開始通知(図11:P7)の受信の有無を判断する(ステップS4)。この受信を判断すると(ステップS5で「Yes」)、遮断指示信号(図11:P8)を電源部110に送信して(ステップS6)、当該制御を終了する。これにより、電源部110のスイッチ部12がオフになってDC24Vの出力が遮断されると、通常モードから省電力モードへの移行が完了する。
〔7〕エンジン制御部が実行する処理について
図14は、エンジン制御部180が実行する省電力モード移行制御の内容を示すフローチャートである。この制御は、エンジン制御部180のCPU181が担当する。
同図に示すように通常モードにおいて全体制御部170からの省電力移行開始通知P2の受信の有無を判断する(ステップS21)。受信したことを判断すると(ステップS22で「Yes」)、省電力移行開始通知(図11:P3)を後処理装置200の後処理制御部202に送信する(ステップS23)。
そして、データバックアップ(図11:P4)とホーム復帰動作(図11:P5)を開始する(ステップS24、S25)。データバックアップとホーム復帰動作は、並行することが望ましいが、一方を先に他方を後に実行するとしても良い。
データバックアップとホーム復帰動作の両方が終了したことを判断すると(ステップS26で「Yes」)、移行準備完了通知(図11:P7)を全体制御部170に送信して(ステップS27)、当該制御を終了する。
図15は、エンジン制御部180が実行する省電力モードからの復帰制御の内容を示すフローチャートであり、省電力モードから通常モードへの移行に伴ってエンジン制御部180へのDC24Vの供給が再開されたときにCPU181により実行される。
同図に示すようにDC24Vの入力により初期処理を実行する(ステップS11)。この初期処理は、CPU181のリセットなど電源供給時に最初に実行される所定の処理である。そして、バックアップメモリ185に格納されている現像バイアス電圧などの制御変数を示すデータを読み出し(ステップS12)、読み出したデータをRAM183に転送してRAM183内の記憶領域のうち制御変数のデータを格納すべきアドレスに所在する領域に格納させて(ステップS13)、当該制御を終了する。次回のプリント等の画像形成時には、RAM183に格納された制御変数(現像バイアス電圧など)が読み出され、読み出した制御変数を用いて、帯電、露光、現像、転写の各工程が実行される。
〔8〕後処理制御部が実行する処理について
(8-1)計時処理
図16は、後処理制御部202が通常モード時に実行するタイマー215による計時処理の内容を示すフローチャートである。
この処理は、後処理制御部202のCPU211が担当する。同図に示すようにMFP100のエンジン制御部180からの省電力移行開始通知(図11:P3)の受信の有無を判断する(ステップS71)。省電力移行開始通知の受信を判断すると(ステップS72で「Yes」)、タイマー215を起動して計時を開始(図11:P10)して(ステップS73)、当該処理を終了する。
(8-2)マニュアルステープル実行判断処理
図17は、後処理制御部202が通常モード時に実行するマニュアルステープル実行判断処理の内容を示すフローチャートである。この制御は、CPU211が担当する。
同図に示すように後処理装置200の挿入口248に挿入された用紙が用紙検出センサー244で検出されたか否かを判断する(ステップS51)。用紙検出の判断が、後処理としてのマニュアルステープルの実行指示の受け付けに相当する。
用紙検出を判断すると(ステップS52で「Yes」)、省電力最短移行時間Tαと、マニュアルステープル開始までの遅延時間Tcと、ステープル綴じ動作時間Tdを示す情報をマニュアルステープル情報記憶部214から読み出して取得する(ステップS53、S54)。
そして、省電力移行開始通知(図11:P3)を受信済か否かを判断する(ステップS55)。受信済ではないと判断すると(ステップS56で「No」:図12(a))、マニュアルステープル綴じ(ステップS60)を実行して、当該処理を終了する。
図18は、マニュアルステープル綴じのサブルーチンの内容を示すフローチャートである。同図に示すようにマニュアルステープル開始までの遅延時間Tcを計時する(ステップS81)。計時した時間が遅延時間Tcに達すると、ステープルモーター242を駆動してステープル綴じが開始し(ステップS82)、ステープル綴じが終了するとステープルモーター242の駆動を停止して(ステップS83)、リターンする。
図17に戻って、省電力移行開始通知を受信済と判断すると(ステップS56で「Yes」)、タイマー215のカウント値Tiを取得し(ステップS57)、Tα≧(Tβ+Ti)の関係を満たすか否かを判断する(ステップS58)。満たすことを判断すると(ステップS59で「Yes」)(図12(b))、ステップS60に進む。この場合、マニュアルステープルが実行される。一方、満たさないことを判断すると(ステップS59で「No」)(図12(c))、ステップS60をスキップして(実行を禁止して)、当該処理を終了する。この場合、マニュアルステープルは実行されない。省電力移行開始通知を受信している場合は、受信から時間Tαが経過すると省電力モードに移行して、DC24V供給が遮断されることになる。
以上、説明したように本実施の形態では、MFP100では、省電力モードの移行判断をすると、後処理装置200に関わらず省電力モードに移行する。後処理装置200では、省電力移行開始通知の受信よりも前に挿入口248に挿入された用紙を検出すると、マニュアルステープルを実行し、省電力移行開始通知の受信後、挿入口248に挿入された用紙を検出すると、(a)Tα≧(Tβ+Ti)の関係を満たす場合、マニュアルステープルを実行し、(b)満たさない場合、つまりTα<(Tβ+Ti)の場合、マニュアルステープルの動作終了がDC24Vの給電の遮断よりも後になるとして、マニュアルステープルの実行を禁止する。これにより、マニュアルステープルの動作が省電力モードへの移行により中断することが防止される。
上記では、MFP(画像形成装置)と後処理装置を含む画像形成システムの例を説明したが、これに限られず、マニュアルステープルの実行方法であるとしてもよい。さらに、その方法をコンピュータが実行するプログラムであるとしてもよい。また、本開示に係るプログラムは、例えば磁気テープ、フレキシブルディスク等の磁気ディスク、DVD-ROM、DVD-RAM、CD-ROM、CD-R、MO、PDなどの光記録媒体、フラッシュメモリ系記録媒体等、コンピュータ読み取り可能な各種記録媒体に記録することが可能であり、当該記録媒体の形態で生産、譲渡等がなされる場合もあるし、プログラムの形態でインターネットを含む有線、無線の各種ネットワーク、放送、電気通信回線、衛星通信等を介して伝送、供給される場合もある。
〔9〕変形例
以上、実施の形態に基づいて説明してきたが、本開示は、上述の実施の形態に限定されないのは勿論であり、以下のような変形例が考えられる。
(9-1)上記実施の形態では、ステープルユニット270を移動可能とすることにより、オンラインステープルとマニュアルステープルを切り換えて実行可能な構成例を説明したが、これに限られず、例えばマニュアルステープルのみを行える構成にも適用できる。この場合、ステープルユニット270をマニュアルステープル位置に固定できるので、ステープルユニット270を移動させる必要がない。
(9-2)上記実施の形態では、省電力最短移行時間Tαを固定値として用いて、Tα≧(Tβ+Ti)の関係を満たすか否かを判断するとしたが、これに限られない。
例えば、データバックアップやホーム復帰動作に要する時間が変動する場合に、エンジン制御部180がその変動量に応じて時間Taを予測し、予測した時間Taに時間Tbを加算した時間Tαを求め、求めた時間Tαを後処理制御部202に送信する。後処理制御部202は、エンジン制御部180から取得した時間Tαを用いて、Tα≧(Tβ+Ti)の関係を満たすか否かを判断する。エンジン制御部180から取得した時間Tαは、取得の都度、変動している可能があり、時間Tαが長くなるほど、その分、時間Tiが長くなっても、Tα≧(Tβ+Ti)の関係を満たす場面が増えて、マニュアルステープルの実行が許可されることが多くなる。
(9-3)上記実施の形態では、ユーザーが挿入口から挿入したシートに対してステープル綴じを行う構成例を説明したが、手差しによる後処理は、ステープル綴じに限られず、例えばシートに孔を開けるパンチ処理とすることもできる。
(9-4)上記実施の形態では、画像形成装置を多機能複合機とした場合の例を説明したが、これに限られず、シートに画像を形成する画像形成装置であれば、例えば複写機、プリンター、ファクシミリ装置などであっても良い。また、電子写真方式のものに限られず、例えばインクジェット方式の画像形成装置にも適用できる。
また、上記実施の形態及び上記変形例の内容を可能な限り、それぞれ組み合わせるとしても良い。