JP7330581B1 - ソフトカプセルの製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
<1> 魚油(A)、レシチン(B)及び水(C)を混合して乳化物を得る工程を有する乳化物の製造方法。
<2> 魚油(A)、レシチン(B)及び水(C)の合計100重量%に対して、魚油(A)が90~99.8重量%、レシチン(B)が0.15~3重量%、水(C)が0.1~3重量%である<1>に記載の乳化物の製造方法。
<3> 前記レシチン(B)が、大豆レシチンである<1>又は<2>に記載の乳化物の製造方法。
<4> <1>から<3>のいずれかに記載の製造方法により得た乳化物に、増粘剤(D)を添加して粘度調整する工程を含むソフトカプセル用内容物の製造方法。
<5> <4>の製造方法により得たソフトカプセル用内容物をカプセル皮膜に充填する工程を含むソフトカプセルの製造方法。
<6> 前記カプセル皮膜が、ゼラチン、グリセリン、カテキン類及びテアフラビン類を含有するカプセル皮膜である<5>に記載のソフトカプセルの製造方法。
本発明は、魚油(A)、レシチン(B)及び水(C)を混合して乳化物を得る工程(以下、「工程(1)」と記載する場合がある。)を有する乳化物の製造方法(以下、「本発明の乳化物の製造方法」と記載する場合がある。)に関する。
本発明における「乳化物」は、成分(A)~(C)を混合した後、乳化状態(白濁状態)を1時間以上維持しているものを意味するものとする。すなわち、混合直後に乳化状態であっても、1時間後に乳化状態でないものは、本発明における乳化物には含まれない。
また、本明細書において「乳化状態」とは、外観を目視で確認した際に、白濁している状態を意味する。
本発明における「魚油」は、魚から得られる油であり、魚の全身、すなわち身部、頭部、皮部、内臓部、卵等から採取することができる。また、魚油の原料となる魚類(原料魚類)は、特に制限はなく、例えば、マグロ、イワシ、ニシン、サンマ、サバ、カツオ、イカ、タラ等が挙げられる。魚油の原料となる魚類は、1種単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
本発明における「レシチン」は、脂肪酸である疎水基と親水基の両方を有し、油と水の乳化作用を有するものである。レシチンは、魚油及び水と混合することにより、乳化物の分散・安定性を向上させることができ、さらには、魚油特有の臭気を抑制することが期待できる。
水は、本発明の効果を損なわないかぎり特に制限されず、例えば、水道水、蒸留水、ミネラル水、アルカリイオン水等が挙げられる。
成分(A)~(C)の配合割合は製造される乳化物が乳化状態を保つ範囲で適宜設定することができる。
成分(A)~(C)の合計を100重量%としたときのそれぞれの配合割合としては、成分(A)が、85~99.8重量%(好適には90~99.8重量%)であり、成分(B)が、0.1~6重量%(好適には0.15~3重量%)であり、成分(C)が、0.1~15重量%(好適には0.1~6重量%)となるような割合で配合することが好ましい。このような割合で成分(A)~(C)を含有して製造される乳化物は、後述する実施例の通り、時間が経っても相分離が生じにくい。
このような配合割合の成分(C)を含有して製造されるソフトカプセル用内容物は、後述する実施例[カプセル皮膜の軟化性試験]に示す通り、水を含有させていても、カプセル皮膜が柔らかくなりにくく、カプセル皮膜の軟化を抑えることができる。
工程(1)において、成分(A)~(C)以外の成分(任意の成分)を配合する場合は、本発明の目的を損なわない範囲で、必要に応じて配合することができる。このような任意の成分としては、成分(A)~(C)からなる乳化物の乳化状態を損なわず、安全に経口摂取できるものであれば特に制限されない。例えば、増粘剤、pH調整剤、緩衝剤、酸化防止剤、防腐剤、糖類、乳原料、呈味剤、着色料、香料、キレート剤、甘味料、塩類、ビタミン類、ミネラル類、その他の食品成分を含有してもよい。
次に、本発明におけるソフトカプセル用内容物の製造方法を説明する。
本発明のソフトカプセル用内容物の製造方法は、上述した本発明の乳化物の製造方法(工程(1))により得られた乳化物に、増粘剤(D)を添加して粘度調整する工程(以下、「工程(2)」と記載する場合がある。)を含むものである。
なお、本発明のソフトカプセル用内容物の製造方法において、成分(A)~(C)に関する内容は、上述した工程(1)の通りであるため、説明を省略する。
本発明のソフトカプセル用内容物の製造方法における「増粘剤」(以下、「成分(D)」と記載する場合がある。)は、乳化物の粘度調整のために添加される。増粘剤としては、本発明の目的を損なわないものであればよく、例えば、ミツロウ、ゼラチン、キサンタンガム等が挙げられる。乳化物との混合性がよく、混合後に乳化物と分離せずに、ソフトカプセルへの充填に適したペースト状に保つことができる点でミツロウが好適に使用される。
工程(2)において、他の任意成分を配合する場合は、本発明の目的を損なわない範囲で、必要に応じて含むことができる。このような任意の成分としては、安全に経口摂取できるものであれば特に制限されない。例えば、pH調整剤、緩衝剤、酸化防止剤、防腐剤、糖類、乳原料、呈味剤、着色料、香料、キレート剤、甘味料、塩類、ビタミン類、ミネラル類、その他の食品成分を含有してもよい。
製造されたソフトカプセル用内容物は、ソフトカプセルに充填できる粘度であればよく、形状としては、例えば、半固形状(ゲル状、クリーム状、ペースト状、ゾル状)等が挙げられる。
次に、本発明におけるソフトカプセルの製造方法を説明する。
本発明におけるソフトカプセルの製造方法は、上記工程(1)及び上記工程(2)を経て製造されたソフトカプセル用内容物をカプセル皮膜に充填させる工程(以下、「工程(3)」と記載する場合がある。)を含む。
なお、本発明のソフトカプセルの製造方法において、魚油(A)、レシチン(B)及び水(C)に関する内容は、上述した工程(1)の通りであり、増粘剤(D)に関する内容は、上述した工程(2)の通りであるため、説明を省略する。
これらの可塑剤は、1種単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
なお、「緑茶葉」とは茶樹(学名:Cameria sinensis)より摘採した未発酵の茶葉を意味し、緑茶であれば特に品種は問わない。
なお、「紅茶葉」とは茶樹(学名:Cameria sinensis)より摘採した茶葉を発酵させたものを意味し、紅茶であれば特に品種は問わない。
カプセル皮膜におけるカテキン類及びテアフラビン類の含有量は、本発明の効果を奏す範囲で、カテキン類及びテアフラビン類の種類や形態(精製物、加工物)カプセル皮膜の強度や皮膜の均一性を損なわない範囲適宜調整することができる。
緑茶由来カテキン及び紅茶由来テアフラビンの含有量が少なすぎると、内容物由来の臭気の抑制効果が不十分になる場合があり、多すぎるとカプセル皮膜が硬化してソフトカプセル崩壊遅延等の問題が生じる場合がある。
本発明におけるソフトカプセルの形状、大きさは、特に制限されない。形状としては、ラウンド型(球型)、オーバル型(フットボール型)、オブロング型(長楕円型)等が挙げられる。ソフトカプセルの大きさは、目的に応じて適宜選定することができる。
・マグロ魚油:株式会社Tuna Advanced Functional Food製(マグロの頭部から採取された油)
・大豆レシチン:株式会社J-オイルミルズ製(J レシチンCL)
・水:水道水
[1-1.乳化状態の評価用試料の製造]
以下の方法で、乳化状態の評価用試料を製造した。
バイアル瓶に成分(A)としてマグロ魚油40.0mLを入れ、さらに、成分(B)として大豆レシチン1.4mLを入れて振とうし、混合した。その後、成分(C)として水2.2mLを添加し、バイアル瓶を振とうし、全体的に均一になるように十分な時間混合することによって、実施例1の試料を得た。
実施例1の方法において、大豆レシチン(成分(B))を使用しなかったこと以外は同様の方法で、比較例の試料を得た。
実施例1の方法において、水(成分(C))を使用しなかったこと以外は同様の方法で、比較例2の試料を得た。
上述のように製造した実施例1、比較例1及び比較例2の評価用試料を室温にて、1時間静置後、バイアル瓶中の試料の外観を目視確認した。図2に、1時間静置後のバイアル瓶中の試料の外観写真を示す。また、1時間静置後の試料の状態を以下の基準で評価した。評価の結果を表1に示す。
(評価基準)
○:混合直後には外観に白濁が確認され、1時間後にも外観に同程度の白濁が確認される。
△:混合直後には外観に白濁が確認されるが、1時間後には外観に相分離などが確認され、白濁の程度が低下している。
×:混合直後に外観に白濁が確認されず、1時間後にも白濁せず外観に相分離などが確認される。
このうち、評価が「〇」のものを合格とした。
[2-1.ソフトカプセル用内容物及びソフトカプセルの製造]
ソフトカプセル用内容物及びソフトカプセルは以下の方法で製造した。
(実施例2)
マグロ魚油100重量部当たり、大豆レシチン3.5重量部、水1.0重量部を全体的に均一になるように十分な時間混合し乳化物を得た。得られた乳化物100重量部当たり、ミツロウ3.4重量部になるように混合し、実施例2のソフトカプセル用内容物を得た。
また、カプセル皮膜用組成物は、ゼラチン100重量部当たり、グリセリン40重量部、緑茶由来カテキン(メディエンス株式会社製)0.4重量部及び紅茶由来テアフラビン(焼津水産化学工業株式会社製)0.4重量部になるように調製した。
ソフトカプセル化は、調製したカプセル皮膜用組成物を流延しシート状(厚さは0.2~0.5mm)にすると共に、カプセル皮膜内部に実施例2のソフトカプセル用内容物を充填し成形し、成形後乾燥させて実施例2のソフトカプセルを製造した。
上述した実施例2と同様の方法で実施例3のソフトカプセル用内容物を得た。その後、実施例2の方法において、緑茶由来カテキン及び紅茶由来テアフラビンを使用しなかったこと以外同様の方法でカプセル皮膜用組成物を調製し、実施例3のソフトカプセルを製造した。
上述のように製造した実施例2及び比較例3のソフトカプセルは、カプセル皮膜の種類にかかわらず、乳化状態を維持したソフトカプセル用内容物が充填されたソフトカプセルを成形し、製造することができた。
[3-1.乳化状態の評価用試料の製造]
表2に示す配合割合に従い、乳化物を製造した。なお、表2中の配合割合の単位は「重量%」である
実験例A~Jの試料は、バイアル瓶にマグロ魚油及び大豆レシチンを入れて振とうし、混合した。その後、水を添加し、バイアル瓶を振とうし、全体的に均一になるように十分な時間混合することによって得た。
上述のように製造した実験例A~Jの試料を室温にて、1時間静置後、バイアル瓶中の試料の外観を目視確認した。図4に、1時間静置後のバイアル瓶中の試料の外観写真を示す。また、1時間静置後の試料の状態を、上記<評価1>と同様の評価基準で評価した。評価の結果を表3に示す。
これに対して、実験例A~Iの試料は、混合直後は外観に白濁が確認され、1時間後に観察しても相分離は確認されず、白濁が維持していた。実験例A~Iの試料は、混合後1時間後においても乳化状態を保っており、乳化の安定性が認められた。
上記[3-1.乳化状態の評価用試料の製造]で製造された乳化物(実験例A~Eの試料)を用い、実験例A~Eの乳化物のカプセル皮膜に対する影響を評価した。
評価に用いたカプセル皮膜シートは、カプセル皮膜(株式会社ニッピ,ニッピゼラチンAPー200)を用いた。
まず、短冊状に裁断した幅1cmのカプセル皮膜シートを、実験例A~Eの乳化物の中に40分間浸漬させた。40分浸漬後、乳化物から取り出した各カプセル皮膜シートを台に静置し、カプセル皮膜シートのたわみの程度を目視で確認し評価した。
図5に、乳化物に40分浸漬したカプセル皮膜シートの写真((a)平面図、(b)斜視図)を示す。また、図5には、参考例として、乳化物に浸漬していないカプセル皮膜シートについても併せて示した。
これに対し、乳化物中の水の割合がより少ない実験例A(水:0.26重量%)や実験例B(水:1.04重量%)ではカプセル皮膜シートの軟化の程度が小さく、ソフトカプセルの成形に適していると判断した。
10 カプセル皮膜
11 内容物
a 長径
b 短径
Claims (3)
- ソフトカプセルの製造方法であって、
魚油(A)、レシチン(B)及び水(C)を混合して乳化物を得る工程と、
得られた乳化物に、増粘剤(D)を添加して粘度調整することによってソフトカプセル用内容物を得る工程と、
得られたソフトカプセル用内容物をカプセル皮膜に充填する工程と、を含み、
前記カプセル皮膜が、ゼラチン、グリセリン、カテキン類及びテアフラビン類を含有するカプセル皮膜であることを特徴とするソフトカプセルの製造方法。 - 魚油(A)、レシチン(B)及び水(C)の合計100重量%に対して、魚油(A)が90~99.8重量%、レシチン(B)が0.15~3重量%、水(C)が0.1~3重量%である請求項1に記載のソフトカプセルの製造方法。
- 前記レシチン(B)が、大豆レシチンである請求項1に記載のソフトカプセルの製造方法。
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