JP7328937B2 - 建設機械 - Google Patents

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Description

本発明は、建設機械に係り、更に詳しくは、ラジエータやオイルクーラ等の複数の熱交換器に対して複数の冷却ファンによって冷却風を供給する建設機械に関する。
油圧ショベルや油圧クレーン、ホイールローダ等の建設機械では、エンジン、油圧ポンプ、複数の熱交換器などがエンジンルーム内に収容されている。さらに、それらの機器を冷却するための冷却ファンがエンジンルーム内に設置されている。冷却ファンは、エンジンルーム内に外気を取り込んで冷却風として供給するものである。冷却ファンは、複数の熱交換器に対応して複数設置されることがある。
ところで、建設機械は、粉塵が多い過酷な環境下で稼働することがある。建設機械の1つである油圧ショベルは、土砂の掘削作業で活用されるだけでなく、建屋内や廃棄物の運搬船内などの様々な環境の作業現場で各種作業を行うことがある。例えば、建屋内の作業現場では、金属スクラップの解体や仕分け、移動作業などを行う。船内の作業現場では、木材チップや石炭のかき寄せや運搬作業を行う。このような作業現場では、細かな種々のものが塵埃となって空中に飛散する。
このような環境下で建設機械が稼働する場合、冷却ファンの駆動によってエンジンルーム内に取り込まれる外気には塵埃が含まれている。そのため、冷却風としての外気が熱交換器を通過する際に、外気と共にエンジンルーム内に取り込まれた塵埃が熱交換器の表面に付着してしまう。塵埃の付着が継続して熱交換器に目詰まりが生じると、熱交換器を通過する冷却風の風量が制限されるので、熱交換器の冷却性能が低下する。その結果、エンジンや油圧システムがオーバーヒートを起こす虞がある。
そこで、粉塵が飛散する環境下で稼動する建設機械の中には、正回転の駆動により冷却風を生起する冷却ファンを逆回転に駆動させることで、冷却風とは逆向きの清掃用空気流を熱交換器に供給し、当該清掃用空気流によって熱交換器に付着した塵埃を吹き飛ばして除去するものがある(例えば、特許文献1を参照)。
特開2008-126843号公報
特許文献1に記載の作業機械の冷却装置では、熱交換器の清掃作業のとき、2つの冷却ファンのうち、清掃対象の熱交換器側に位置する冷却ファンを逆転制御する一方、清掃対象でない熱交換器側に位置する冷却ファンを一時的に停止させている。しかし、清掃対象の熱交換器に対して1つの冷却ファンによって生起可能な風量や静圧には限界がある。熱交換器を清掃するための風量や静圧を現状よりも増加させることができれば、熱交換器の清掃作業性を更に向上させることが可能となる。つまり、特許文献1に記載の作業装置の冷却装置に対して、熱交換器の清掃作業性の効率に関して改善の余地があると考えられる。
本発明は、上記の問題点を解消するためになされたものであり、その目的は、熱交換器の清掃作業性の向上を図ることができる建設機械を提供することである。
本願は上記課題を解決する手段を複数含んでいるが、その一例を挙げるならば一方向に延在する壁部に囲まれて形成され、各々第1開口部および第2開口部を有し、互いに並列に配置された第1の通風路および第2の通風路と、前記第1の通風路の内部に配置された第1の熱交換器と、前記第2の通風路の内部に配置された第2の熱交換器と、前記第1の通風路の内部に配置され、前記第1の熱交換器を冷却するための第1の冷却ファンと、前記第2の通風路の内部に配置され、前記第2の熱交換器を冷却するための第2の冷却ファンと、前記第1の通風路の前記第2開口部に対して前記第1の通風路の延在方向に間隙をあけて配置され、かつ前記第2の通風路の前記第2開口部に対して前記第2の通風路の延在方向に間隙をあけて配置された障壁部と、前記第1の冷却ファンおよび前記第2の冷却ファンの駆動を制御するコントローラとを備え、前記第1の冷却ファンおよび前記第2の冷却ファンは、正回転と逆回転との切換えが可能で、正回転時に前記第1開口部が流入口となると共に前記第2開口部が流出口となる空気流を生起し、前記第1の通風路と前記障壁部との間の空間と前記第2の通風路と前記障壁部との間の空間とは連通しており、前記コントローラは、所定の条件を満たしたとき、前記第1の冷却ファンおよび前記第2の冷却ファンを正回転で駆動させる第1運転を、前記第1の冷却ファンを逆回転で駆動させると共に、前記第2の冷却ファンを正回転で駆動させる第2運転に切り換えることを特徴とする。
本発明によれば、第1の冷却ファンを逆回転で駆動させる一方、第2の冷却ファンを正回転で駆動させることで、正回転する第2の冷却ファンから吐出された空気流の一部が逆回転する第1の冷却ファンの吸込側に流れるので、逆回転の第1の冷却ファンと正回転の第2の冷却ファンの配列関係が直列の配置と類似した状態となる。したがって、第2の冷却ファンが停止している場合よりも、第1の熱交換器を流れる空気流の風量及び静圧を増加させることができる。その結果、第1の熱交換器に付着した塵埃を効率良く除去することができ、第1の熱交換器の清掃作業性が向上する。
上記以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
本発明の建設機械の第1の実施の形態を適用した油圧ショベルを示す側面図である。 図1に示す油圧ショベルの上部旋回体を示す斜視図である。 図2に示す油圧ショベルの上部旋回体の機械室をIII-III矢視から見た概略断面図である。 図3に示す油圧ショベルの機械室をIV-IV矢視から見た概略断面図である。 本発明の建設機械の第1の実施の形態の一部を構成するコントローラのハード構成及び機能構成を示すブロック図である。 図5に示す本発明の建設機械の第1の実施の形態の一部を構成するコントローラによる建設機械の稼働中における冷却ファンの通常運転及び清掃運転の制御手順の一例を示すフローチャートである。 図5に示す本発明の建設機械の第1の実施の形態の一部を構成するコントローラによる建設機械の稼働終了時における冷却ファンの清掃運転の制御手順の一例を示すフローチャートである。 本発明の建設機械の第1の実施の形態における冷却ファンの通常運転の実行時の冷却風の流れを示す説明図である。 本発明の建設機械の第1の実施の形態における第1の熱交換器を清掃対象とした清掃運転の実行時の空気流の流れを示す説明図である。 本発明の建設機械の第1の実施の形態における第2の熱交換器を清掃対象とした清掃運転の実行時の空気流の流れを示す説明図である。 本発明の建設機械の第2の実施の形態の一部を構成するコントローラのハード構成及び機能構成を示すブロック図である。 図11に示す本発明の建設機械の第2の実施の形態の一部を構成するコントローラによる建設機械の稼働中における冷却ファンの通常運転及び清掃運転の制御手順の一例を示すフローチャートである。 図11に示す本発明の建設機械の第2の実施の形態の一部を構成するコントローラによる建設機械の稼働終了時における冷却ファンの清掃運転の制御手順の一例を示すフローチャートである。
以下、本発明の建設機械の実施の形態について図面を用いて説明する。本実施の形態においては、建設機械の一例として油圧ショベルを例に挙げて説明する。なお、以下では、運転席に着座したオペレータを基準とした前後左右の方向を用いて説明する。
[第1の実施の形態]
まず、本発明の建設機械の第1の実施の形態を適用した油圧ショベルの構成を図1~図3を用いて説明する。図1は本発明の建設機械の第1の実施の形態を適用した油圧ショベルを示す側面図である。図2は図1に示す油圧ショベルの上部旋回体を示す斜視図である。図3は図2に示す油圧ショベルの上部旋回体の機械室をIII-III矢視から見た概略断面図である。図1における左右方向は、油圧ショベルの前後方向である。
図1において、油圧ショベル1は、自走可能な下部走行体2と、下部走行体2上に旋回可能に搭載された上部旋回体3と、上部旋回体3の前部に俯仰動可能に設けられた作業フロント4とで大略構成されている。下部走行体2は、左右にクローラ式の走行装置6(一方のみを図示)を備えている。左右の走行装置6はそれぞれ油圧アクチュエータとしての走行モータ(図示せず)により駆動する。上部旋回体3は、油圧アクチュエータとしての旋回モータ(図示せず)によって下部走行体2に対して相対的に旋回する。作業フロント4は、掘削作業等を行うための多関節型の作動装置であり、ブーム7、アーム8、作業具としてのバケット9を備えている。ブーム7の基端側は、上部旋回体3の前部に回動可能に連結されている。ブーム7の先端部には、アーム8の基端部が回動可能に連結されている。アーム8の先端部には、バケット9の基端部が回動可能に連結されている。ブーム7、アーム8、バケット9はそれぞれ、油圧アクチュエータとしてのブームシリンダ7a、アームシリンダ8a、バケットシリンダ9aによって駆動される。
上部旋回体3は、図1及び図2に示すように、下部走行体2上に旋回可能に搭載された支持構造体としての旋回フレーム11と、旋回フレーム11上の左前側に設置されたキャブ12と、旋回フレーム11上の右側に配設された燃料タンク13及び作動油タンク14と、旋回フレーム11の後端部に設けられたカウンタウェイト15と、キャブ12とカウンタウェイト15の間に設けられた機械室20とを含んで構成されている。キャブ12には、オペレータが着座する運転席、下部走行体2や作業フロント4等を操作するための各種の操作装置(ともに図示せず)、後述のキースイッチ12a(図4及び図5参照)などが配置されている。カウンタウェイト15は、作業フロント4と重量バランスをとるためのものである。
機械室20には、図3に示すように、原動機としてのエンジン31が収容されている。エンジン31は、出力軸が左右方向に延びた横置き状態で機械室20内の略中央部に配置されている。エンジン31には、油圧ポンプ32が動力伝達装置33を介して接続されている。油圧ポンプ32は、例えば、エンジン31の軸方向の一方側(図3中、右側)に配置されている。油圧ポンプ32は、エンジン31により駆動されることで、作動油タンク14(図2参照)内の作動油を吸い込み、作業フロント4の各シリンダ7a、8a、9a(図1参照)や下部走行体2の走行モータ、旋回モータ(共に図示せず)等の油圧アクチュエータに対して圧油を供給するものである。
機械室20には、エンジン31を挟んで油圧ポンプ32の反対側(図3中、左側)に冷却装置40が配置されている。冷却装置40は、油圧ポンプ32、油圧アクチュエータ7a、8a、9aなどを含む油圧システムの駆動により生じた熱やエンジン31の駆動により生じた熱などを油圧ショベル1の外部へ放出するものである。冷却装置40の詳細な構成は後述する。
機械室20は、エンジン31、油圧ポンプ32、冷却装置40等の各種装置を取り囲むカバー21によって外郭が形成されている。カバー21は、図2及び図3に示すように、下側カバー22と、下側カバー22の左端部側に立設された左側方カバー23と、下側カバー22の右端部側に立設された右側方カバー24と、下側カバー22の前端部側に立設され、左側方カバー23の前端部と右側方カバー24の前端部とに亘って延在する前側カバー25と、下側カバー22の後端部側に立設され、左側方カバー23の後端部と右側方カバー24の後端部とに亘って延在する後側カバー26と、左右の側方カバー23、24、前側カバー25、後側カバー26により形成された上方の開口部を覆う上側カバー27とで構成されている。左側方カバー23は冷却装置40に対面し、右側方カバー24は油圧ポンプ32に対面している。左側方カバー23には、機械室20内に外気を取り込むための吸込口23aが設けられている。上側カバー27には、排気部27aが上部旋回体3の左右方向に複数(図2中、2つ)設けられている。排気部27aは、冷却装置40を構成する後述の冷却ファン45、46、47、48が生起する冷却風を機械室20外へ排出するためのものである。上側カバー27には、エンジン31の排ガスを排出するための排気管23bが上方へ突出するように設けられている。
次に、本発明の建設機械の第1の実施の形態における冷却装置の構成を図3及び図4を用いて説明する。図4は図3に示す油圧ショベルの機械室をIV-IV矢視から見た概略断面図である。
機械室20内には、一方向(図3では左右方向、図4では紙面の直交方向)に延在する第1の通風路41及び第2の通風路42が互いに並列するように形成されている。具体的には、機械室20の内部空間の一部分が一方向に延在する隔壁29によって区分されており、隔壁29は左側方カバー23からエンジン31に対して隙間を設けた位置まで延在している。機械室20のカバー21を構成する壁部としての下側カバー22、前側カバー25、上側カバー27と壁部としての隔壁29とによって、第1の通風路41が形成されている。カバー21を構成する壁部としての下側カバー22、後側カバー26、上側カバー27と壁部としての隔壁29とによって、第2の通風路42が形成されている。すなわち、第1の通風路41及び第2の通風路42は、上部旋回体3(図1及び図2参照)の左右方向に延在し、上部旋回体3の前後方向に横並びになるように形成されている。第1の通風路41及び第2の通風路42はそれぞれ、その延在方向の一方側(図3中、左側)に第1開口部41a、42aを、他方側(図3中、右側)に第2開口部41b、42bを有している。第1開口部41a、42aは後述の冷却ファン45、46、47、48が正回転時に生起する空気流の流入口となり、第2開口部41b、42bは後述の冷却ファン45、46、47、48が正回転時に生起する空気流の流出口となる。
第1及び第2の通風路41、42の第2開口部41b、42bに対して、第1及び第2の通風路41、42の延在方向に間隙をあけてエンジン31が配置されている。エンジン31の壁面は、第1の通風路41の第2開口部41bと第2の通風路42の第2開口部42bとに接続される連通路35を形成している。すなわち、第1の通風路41とエンジン31との間の空間と第2の通風路42とエンジン31との間の空間とは連通している。エンジン31は、第1の通風路41の第2開口部41bまたは第2の通風路42の第2開口部42bから流出する空気流を、隣接する他方側の第2の通風路42の第2開口部42bまたは第1の通風路41の第2開口部41b側に転向させる障壁部として機能する。
冷却装置40は、第1の通風路41及び第2の通風路42の内部にそれぞれ1つずつ対応して配置された第1の熱交換器43及び第2の熱交換器44と、第1の熱交換器43の一方側(図3中、右側)に対向するように第1の通風路41内に配置された冷却ファン45及び冷却ファン46と、第2の熱交換器44の一方側(図3中、右側)に対向するように第2の通風路42内に配置された冷却ファン47及び冷却ファン48とを備えている。
第1の熱交換器43は、例えば、エンジン31で発生した熱を冷却するための冷却媒体(冷却水)を冷却するラジエータである。第2の熱交換器44は、例えば、油圧ポンプ32、作業フロント4の各シリンダ7a、8a、9a(図1参照)、走行モータ、旋回モータ(共に図示せず)を含む油圧システムを循環する作動油を冷却するオイルクーラである。
冷却ファン45及び冷却ファン46の2台の冷却ファンは、第1の熱交換器43を冷却するための第1の冷却ファンを構成しており、例えば、第1の熱交換器43の形状に応じて上下方向に並んで配置されている。第1の冷却ファンの一方の冷却ファン45は第1の熱交換器43の上側の第1領域に対応して配置され、第1の冷却ファンの他方の冷却ファン46は第1の熱交換器43の下側の第2領域に対応して配置されている。冷却ファン47及び冷却ファン48の2台の冷却ファンは、第2の熱交換器44を冷却するための第2の冷却ファンを構成しており、例えば、第2の熱交換器44の形状に応じて上下方向に並んで配置されている。第2の冷却ファンの一方の冷却ファン47は第2の熱交換器44の上側の第1領域に対応して配置され、第2の冷却ファンの他方の冷却ファン48は第2の熱交換器44の下側の第2領域に対応して配置されている。
各冷却ファン45、46、47、48は、例えば、回転軸部51と、回転軸部51の外周部に対して周方向に配列された複数(図4中、4つ)の翼部52とを有している。各冷却ファン45、46、47、48は、回転軸部51に接続された駆動装置としての電動モータ53によって回転駆動され、或る方向に回転する正回転と正回転に対して逆方向に回転する逆回転との切換えが可能なものである。各冷却ファン45、46、47、48は、正回転時に、第1又は第2の通風路41、42の第1開口部41a、42a側(図3中、左側)から第2開口部41b、42b側(図3中、右側)へ向かって流れる空気流を生起するように構成されている。冷却ファン45及び冷却ファン46(第1の冷却ファン)は、第1の通風路41に外気を取り込んで冷却風として第1の熱交換器43に供給するものである。冷却ファン47及び冷却ファン48(第2の冷却ファン)は、第2の通風路42に外気を取り込んで冷却風として第2の熱交換器44に供給するものである。
図4に示すように、第1の熱交換器43には、第1の温度センサ61及び第2の温度センサ62が配置されている。第1の温度センサ61は、第1の熱交換器43の上側の第1領域(第1の冷却ファンの一方の冷却ファン45が対向する領域)の温度を検出するものである。第2の温度センサ62は、第1の熱交換器43の下側の第2領域(第1の冷却ファンの他方の冷却ファン46が対向する領域)の温度を検出するものである。第2の熱交換器44には、第3の温度センサ63及び第4の温度センサ64が配置されている。第3の温度センサ63は、第2の熱交換器44の上側の第1領域(第2の冷却ファンの一方の冷却ファン47に対向する領域)の温度を検出するものである。第4の温度センサ64は、第2の熱交換器44の下側の第2領域(第2の冷却ファンの他方の冷却ファン48に対向する領域)の温度を検出するものである。各温度センサ61、62、63、64が検出する温度は、例えば、各熱交換器43、44の各領域のコアの表面温度または各熱交換器43、44の各領域の周囲の雰囲気温度である。各温度センサ61、62、63、64は、コントローラ70と電気的に接続されており、検出した温度(検出値)に対応した検出信号をコントローラ70へ出力する。
コントローラ70には、油圧ショベル1(図1参照)の始動及び停止を指示するキースイッチ12aが電気的に接続されている。キースイッチ12aは、油圧ショベル1の始動を指示するオン信号(始動指示信号)または油圧ショベル1の稼働停止を指示するオフ信号(稼働停止指示信号)をコントローラ70に対して出力する。
コントローラ70は、各冷却ファン45、46、47、48の駆動装置としての電動モータ53にそれぞれ電気的に接続されており、電動モータ53に対する制御を介して各冷却ファン45、46、47、48の駆動を制御するものである。コントローラ70は、第1の熱交換器43及び第2の熱交換器44を冷却する冷却ファンの通常運転(第1運転)や第1の熱交換器43または第2の熱交換器44を清掃する清掃運転(冷却ファンの第2運転または第3運転)に応じて、各冷却ファン45、46、47、48の駆動を制御する。
次に、本発明の建設機械の第1の実施の形態の一部を構成するコントローラのハード構成及び機能構成について図5を用いて説明する。図5は本発明の建設機械の第1の実施の形態の一部を構成するコントローラのハード構成及び機能構成を示すブロック図である。
図5において、コントローラ70は、ハード構成として、ROMやRAMなどで構成された記憶装置71と、CPUやMPUなどで構成された処理装置72とを備えている。記憶装置71には、通常運転および清掃運転を実行するために必要なプラグラムや各種情報が予め記憶されている。処理装置72は、記憶装置71から所定のプログラムや各種情報を適宜読み込み、当該プログラムに従って処理を実行することで各種機能を実現する。
コントローラ70は、例えば、記憶装置71の機能としての記憶部81と、処理装置72により実行される機能としての運転切換判定部82及びファン制御部83とを備えている。
記憶部81には、運転切換判定部82の判定のために用いられる第1の閾値S1、第2の閾値S2、第3の閾値S3、第4の閾値S4が予め記憶されている。第1~第4の閾値S1、S2、S3、S4はそれぞれ、第1~第4の温度センサ61、62、63、64から出力された検出値T1、T2、T3、T4の比較対象である。第1~第2の閾値S1、S2は、第1の熱交換器43が過度に温度上昇して異常な状態にあるとみなす値である。第3~第4の閾値S3、S4は、第2の熱交換器44が過度に温度上昇して異常な状態にあるとみなす値である。
運転切換判定部82は、第1及び第2の熱交換器43、44を冷却する通常運転(第1運転)を実行するか、又は、第1及び第2の熱交換器43、44のいずれかを清掃する清掃運転(第2運転または第3運転)を実行するかを判定するものである。具体的には、運転切換判定部82は、キースイッチ12aのオフ信号(稼働停止指示信号)が入力された場合に清掃運転(第2運転及び第3運転)を実行するように判定する。また、運転切換判定部82は、第1~第4の温度センサ61、62、63、64からの検出値T1、T2、T3、T4をそれぞれ記憶部81に予め記憶されている第1~第4の閾値S1、S2、S3、S4と比較することで、通常運転または清掃運転の何れかを実行するように判定する。
ファン制御部83は、通常運転(第1運転)または清掃運転(第2運転または第3運転)に応じて、各冷却ファン45、46、47、48を正回転で駆動させる正回転指令または逆回転で駆動させる逆回転指令を各冷却ファン45、46、47、48の駆動装置としての電動モータ53へ出力する。ファン制御部83は、通常運転では、例えば、各冷却ファン45、46、47、48の回転数をそれぞれ第1~第4の温度センサ61、62、63、64の検出値T1、T2、T3、T4に応じて変更するように制御することが可能である。また、清掃運転では、例えば、各冷却ファン45、46、47、48の回転数を一時的に一定に制御することが可能である。
次に、本発明の建設機械の第1の実施の形態の一部を構成するコントローラによる冷却ファンの通常運転及び清掃運転の制御手順について図5~図7を用いて説明する。図6は図5に示す本発明の建設機械の第1の実施の形態の一部を構成するコントローラによる建設機械の稼働中における冷却ファンの通常運転及び清掃運転の制御手順の一例を示すフローチャートである。図7は図5に示す本発明の建設機械の第1の実施の形態の一部を構成するコントローラによる建設機械の稼働終了時における冷却ファンの清掃運転の制御手順の一例を示すフローチャートである。
第1に、コントローラ70は、図6に示すように、油圧ショベル1(図1参照)の稼働中において第1及び第2の熱交換器43、44を冷却する通常運転(冷却ファンの第1運転)を実行し、当該通常運転の実行中に第1及び第2の熱交換器43、44のいずれかに異常が生じたと判定したとき、異常があると判定した熱交換器を清掃対象とした清掃運転(冷却ファンの第2運転または第3運転)に切り換える。
具体的には、図5に示すキースイッチ12aのオン信号(始動指示信号)が入力されると、コントローラ70は、各冷却ファン45、46、47、48の制御を開始する(図6に示すフローチャートのスタート)。先ず、コントローラ70の運転切換判定部82が通常運転(冷却ファンの第1運転)を実行すると判定し、コントローラ70のファン制御部83が各冷却ファン45、46、47、48に対応する電動モータ53に対して正回転で駆動させる正回転指令を出力する(図6に示すステップS10)。
次に、運転切換判定部82が第1の熱交換器43に温度異常が生じているか否かを判定する(図6に示すステップS20)。具体的には、運転切換判定部82は、第1の温度センサ61からの検出値T1を記憶部81に予め記憶されている第1の閾値S1と比較すると共に、第2の温度センサ62からの検出値T2を記憶部81に予め記憶されている第2の閾値S2と比較する。検出値T1が第1の閾値S1よりも大きい場合、又は、検出値T2が第2の閾値S2よりも大きい場合には、第1の熱交換器43に温度異常が生じている(YES)と判定する。それ以外の場合、すなわち、検出値T1が第1の閾値S1以下の場合、且つ、検出値T2が第2の閾値S2以下の場合には、第1の熱交換器43は正常である(NO)と判定する。
ステップS20においてYES(第1の熱交換器43が温度異常である)と判定した場合、コントローラ70は、第1の熱交換器43を清掃対象とした清掃運転(冷却ファンの第2運転)を実行する(図6に示すステップS30)。具体的には、ファン制御部83は、冷却ファン45及び冷却ファン46(第1の冷却ファン)に対応する電動モータ53に対してそれぞれ逆回転で駆動させる逆回転指令を所定時間出力すると共に、冷却ファン47及び冷却ファン48(第2の冷却ファン)に対応する電動モータ53に対してそれぞれ正回転指令を所定時間出力する。これにより、第1の熱交換器43側に位置する冷却ファン45及び冷却ファン46(第1の冷却ファン)の逆回転駆動と第2の熱交換器44側に位置する冷却ファン47及び冷却ファン48(第2の冷却ファン)の正回転駆動が同時に所定時間継続される。
一方、ステップS20においてNO(第1の熱交換器43が正常である)と判定した場合、コントローラ70は、第2の熱交換器44に温度異常が生じているか否かを判定する(図6に示すステップS40)。具体的には、運転切換判定部82は、第3の温度センサ63からの検出値T3を記憶部81に予め記憶されている第3の閾値S3と比較すると共に、第4の温度センサ64からの検出値T4を記憶部81に予め記憶されている第4の閾値S4と比較する。検出値T3が第3の閾値S3よりも大きい場合、又は、検出値T4が第4の閾値S4よりも大きい場合には、第2の熱交換器44に温度異常が生じている(YES)と判定する。それ以外の場合、すなわち、検出値T3が第3の閾値S3以下の場合、且つ、検出値T4が第4の閾値S4以下の場合には、第2の熱交換器44は正常である(NO)と判定する。
ステップS40においてYES(第2の熱交換器44が温度異常である)と判定した場合、コントローラ70は、第2の熱交換器44を清掃対象とした清掃運転(冷却ファンの第3運転)を実行する(図6に示すステップS50)。具体的には、ファン制御部83は、冷却ファン45及び冷却ファン46(第1の冷却ファン)に対応する電動モータ53に対してそれぞれ正回転指令を所定時間出力すると共に、冷却ファン47及び冷却ファン48(第2の冷却ファン)に対応する電動モータ53に対してそれぞれ逆回転指令を所定時間出力する。これにより、第1の熱交換器43側に位置する冷却ファン45及び冷却ファン46(第1の冷却ファン)の正回転駆動と第2の熱交換器44側に位置する冷却ファン47及び冷却ファン48(第2の冷却ファン)の逆回転駆動が同時に所定時間継続する。
一方、ステップS40においてNO(第2の熱交換器44が正常である)と判定した場合、コントローラ70は、スタートに戻って一連の制御手順(ステップS10~50)を繰り返す。
第2に、コントローラ70は、図7に示すように、油圧ショベル1の稼働終了の際に、第1及び第2の熱交換器43、44の異常の有無に係わらず、清掃対象を第1の熱交換器43から第2の熱交換器44へと順々に変更する清掃運転(第2運転および第3運転)を実行する。
具体的には、図5に示すキースイッチ12aのオフ信号が入力されると、コントローラ70は、先ず、第1の熱交換器43を清掃対象とした清掃運転(冷却ファンの第2運転)を実行する(図7に示すステップS110)。詳細には、ファン制御部83は、図6に示すステップS30と同様に、冷却ファン45、46(第1の冷却ファン)に対応する電動モータ53に対してそれぞれ逆回転指令を所定時間出力すると共に、冷却ファン47、48(第2の冷却ファン)に対応する電動モータ53に対してそれぞれ正回転指令を所定時間出力する。
次に、コントローラ70は、第2の熱交換器44を清掃対象とした清掃運転(冷却ファンの第3運転)を実行する(図7に示すステップS120)。詳細には、ファン制御部83は、図6に示すステップS50と同様に、冷却ファン45、46(第1の冷却ファン)に対応する電動モータ53に対してそれぞれ正回転指令を所定時間出力すると共に、冷却ファン47、48(第2の冷却ファン)に対応する電動モータ53に対してそれぞれ逆回転指令を所定時間出力する。
次いで、ファン制御部83は、各冷却ファン45、46、47、48に対応する電動モータ53に対してそれぞれ停止指令を出力し(図7に示すステップS130)、一連の制御手順を終了する。これにより、冷却ファン45、46、47、48がすべて停止する。
次に、本発明の建設機械の第1の実施の形態の動作を図3、図4、図6~図10を用いて説明する。図8は本発明の建設機械の第1の実施の形態における冷却ファンの通常運転の実行時の冷却風の流れを示す説明図である。図9は本発明の建設機械の第1の実施の形態における第1の熱交換器を清掃対象とした清掃運転の実行時の空気流の流れを示す説明図である。図10は本発明の建設機械の第1の実施の形態における第2の熱交換器を清掃対象とした清掃運転の実行時の空気流の流れを示す説明図である。図8~図10中、白抜き矢印は冷却風または空気流の流れ及びその方向を示している。
本実施形態に係る油圧ショベル1では、図3に示すエンジン31の稼働により生じる熱は冷却水によって冷却され、温度上昇した冷却水は第1の熱交換器43としてのラジエータに流入する。また、エンジン31により油圧ポンプ32が駆動して作動油が油圧システム中を循環することで熱が発生し、温度上昇した作動油は第2の熱交換器44としてのオイルクーラに流入する。油圧ショベル1の稼働中、各冷却ファン45、46、47、48が回転駆動されることで、図3に示す機械室20の左側方カバー23の吸込口23aから外気が機械室20内に吸い込まれて冷却風としてラジエータ43及びオイルクーラ44に供給される。
具体的には、図4に示すコントローラ70が通常運転を実行し、各冷却ファン45、46、47、48の電動モータ53に対してそれぞれ正回転指令を出力する(図6に示すステップS10)。これにより、冷却ファン45、46、47、48がすべて正回転で駆動する。冷却ファン45、46(第1の冷却ファン)の正回転によって、図8に示すように、外気が第1の通風路41内に第1開口部41a側から取り込まれて冷却風C1としてラジエータ43に供給される。また、冷却ファン47、48(第2の冷却ファン)の正回転によって、外気が第2の通風路42内に第1開口部42a側から取り込まれて冷却風C2としてオイルクーラ44に供給される。
ラジエータ43では、冷却水と第1の通風路41を流れる冷却風C1との熱交換により冷却水が冷却される。冷却水は、エンジン31とラジエータ43との間で循環することで所定以下の温度に維持される。オイルクーラ44では、作動油と第2の通風路42を流れる冷却風C2との熱交換により作動油が冷却される。作動油は、オイルクーラ44を介して油圧システムを循環することで所定以下の温度に維持される。
冷却水との熱交換によって温度上昇した冷却風C1及び作動油との熱交換によって温度上昇した冷却風C2は、機械室20のカバー21とエンジン31との隙間を流れ、最終的には上側カバー27の排気部27a(図2参照)などから機械室20の外部へ排出される。このように、エンジン31に生じた熱および作動油に生じた熱を油圧ショベル1の外部へ放出させることで、エンジン31及び油圧システムのオーバーヒートを防止している。
油圧ショベル1は、粉塵が多い過酷な環境下で稼働することがある。この場合、冷却ファン45、46、47、48の駆動によって機械室20の内部に吸い込まれた冷却風C1、C2としての外気には塵埃が含まれている。そのため、塵埃を含む冷却風C1、C2がラジエータ43やオイルクーラ44を通過する際に、塵埃がラジエータ43やオイルクーラ44の表面に付着する。塵埃の付着が継続することで、ラジエータ43やオイルクーラ44の表面を覆ったりラジエータ43やオイルクーラ44に目詰まりが生じたりすると、ラジエータ43やオイルクーラ44の熱交換量が低下したり、ラジエータ43やオイルクーラ44を通過する冷却風C1、C2の風量が低下したりする。その結果、ラジエータ43やオイルクーラ44の冷却性能が低下してエンジン31や油圧システムがオーバーヒートを起こす虞がある。
そこで、本実施の形態においては、コントローラ70が所定の条件のときに通常運転から所定の清掃運転に切り換えることで、ラジエータ43やオイルクーラ44に付着した塵埃を自動的に効率良く除去し、エンジン31や油圧システムのオーバーヒートを未然に防ぐものである。
具体的には、図4に示すコントローラ70は、上述した通常運転の実行中に、第1の温度センサ61からの検出値T1を第1の閾値S1と比較すると共に第2の温度センサ62からの検出値T2を第2の閾値S2と比較することで、ラジエータ43に温度異常が生じているか否かを判定する(図6に示すステップS20)。油圧ショベル1の累積稼働時間が短い場合、ラジエータ43やオイルクーラ44の表面に塵埃が付着していても、ラジエータ43やオイルクーラ44の冷却性能が著しく低下することはない。この場合、検出値T1が第1の閾値S1以下となると共に、検出値T2が第2の閾値S2以下となるので、コントローラ70はラジエータ43が正常である(NO)と判定する。
次に、コントローラ70は、第3の温度センサ63からの検出値T3を第3の閾値S3と比較すると共に第4の温度センサ64からの検出値T4を第4の閾値S4と比較することで、オイルクーラ44に異常が生じているか否かを判定する(図6に示すステップS40)。検出値T3が第3の閾値S3以下、且つ、検出値T4が第4の閾値S4以下となり、コントローラ70はオイルクーラ44が正常である(NO)と判定する。
コントローラ70は、ラジエータ43及びオイルクーラ44が正常であると判定すると、スタートに戻り、通常運転を継続する(図6に示すステップS10)。コントローラ70は、通常運転を継続中、ラジエータ43及びオイルクーラ44の温度異常を判定するまで、図6に示すステップS10、S20、S40を順に繰り返す。
油圧ショベル1の累積稼働時間が長くなると、塵埃がラジエータ43の表面を覆ったりラジエータ43に目詰まりが生じたりする。この場合、ラジエータ43の熱交換量やラジエータ43の通過風量に低下が生じ、ラジエータ43の温度を示す第1の温度センサ61からの検出値T1及び第2の温度センサ62からの検出値T2の少なくとも一方が対応する第1の閾値S1または第2の閾値S2よりも大きくなる。
この場合、コントローラ70は、図6に示すステップS20においてラジエータ43の温度異常(YES)と判定し、ラジエータ43を清掃対象とした清掃運転(冷却ファンの第2運転)を実行する(図6に示すステップS30)。これにより、冷却ファン45、46(第1の冷却ファン)が所定時間逆回転で駆動し、同時に、冷却ファン47、48(第2の冷却ファン)が所定時間正回転で駆動する。
清掃対象ではないオイルクーラ44側に位置する冷却ファン47、48(第2の冷却ファン)の正回転によって、図9に示すように、通常運転の実行時と同様に、第2の通風路42内に第1開口部42a側から取り込まれた外気が冷却風C2としてオイルクーラ44に供給される。オイルクーラ44を通過して冷却ファン47、48(第2の冷却ファン)から吐出された冷却風C2の一部は、障壁部としてのエンジン31によって転向し、エンジン31によって形成されている連通路35を介して第1の通風路41の第2開口部41b側に向かう。オイルクーラ44を通過した冷却風C2の残りは、機械室20のカバー21とエンジン31との隙間を流れて機械室20の外部へ排出される。
一方、清掃対象のラジエータ43側に位置する冷却ファン45、46(第1の冷却ファン)の逆回転によって、機械室20のエンジン31側の空間内の空気が第1の通風路41内に第2開口部41b側から吸い込まれると共に、冷却ファン47、48(第2の冷却ファン)から吐出されてエンジン31で転向した冷却風C2が第1の通風路41内に第2開口部41b側から吸い込まれ、空気流F1としてラジエータ43に供給される。この空気流F1は、通常運転の実行時におけるラジエータ43を冷却する冷却風C1(図8参照)とは逆方向の流れとなるので、ラジエータ43を通過する際にラジエータ43の表面から塵埃を吹き飛ばし、吸込口23aを介して機械室20の外部へ排出される。このとき、ラジエータ43から左側方カバー23側に吹き飛ばされた塵埃が正回転の冷却ファン47、48(第2の冷却ファン)の吸込側に吸い込まれることを隔壁29によって防止している。
本実施の形態においては、清掃対象のラジエータ43側に位置する冷却ファン45、46(第1の冷却ファン)を逆回転させると共に、清掃対象ではないオイルクーラ44側に位置する冷却ファン47、48(第2の冷却ファン)を停止させずに正回転させることで、冷却ファン47、48(第2の冷却ファン)から吐出される冷却風C2の一部が冷却ファン45、46(第1の冷却ファン)の吸込側に流れる。すなわち、逆回転の冷却ファン45、46(第1の冷却ファン)と正回転の冷却ファン47、48(第2の冷却ファン)の配列関係は、第2の通風路42と連通路35と第1の通風路41とが接続された流路上に直列に配置された状態と類似したものとなる。したがって、清掃対象でないオイルクーラ44側に位置する冷却ファン47、48(第2の冷却ファン)が停止している場合よりも、直列の配置関係にある逆回転の冷却ファン45、46(第1の冷却ファン)と正回転の冷却ファン47、48(第2の冷却ファン)の動作点が高静圧側へ移動することで風量も増加する。すなわち、ラジエータ43に供給される清掃用の空気流F1の風量及び静圧が増加する。したがって、ラジエータ43に付着した塵埃を短時間に効率よく除去することができる。
また、塵埃がオイルクーラ44の表面を覆ったりオイルクーラ44に目詰まりが生じたりすることもある。この場合、オイルクーラ44の温度を示す第3の温度センサ63からの検出値T3及び第4の温度センサ64からの検出値T4の少なくとも一方が対応する第3の閾値S3又は第4の閾値S4よりも大きくなる。
この場合、コントローラ70は、図6に示すステップS40においてオイルクーラ44の温度異常(YES)と判定し、オイルクーラ44を清掃対象とした清掃運転(冷却ファンの第3運転)を実行する(図6に示すステップS50)。これにより、冷却ファン45、46(第1の冷却ファン)が所定時間正回転で駆動し、同時に、冷却ファン47、48(第2の冷却ファン)が所定時間逆回転で駆動する。
清掃対象ではないラジエータ43側に位置する冷却ファン45、46(第1の冷却ファン)の正回転によって、図10に示すように、通常運転の実行時と同様に、第1の通風路41内に第1開口部41a側から取り込まれた外気が冷却風C1としてラジエータ43に供給される。ラジエータ43を通過して冷却ファン45、46(第1の冷却ファン)から吐出された冷却風C1の一部は、エンジン31によって転向して連通路35を介して第2の通風路42の第2開口部42b側に向かう。ラジエータ43を通過した冷却風C1の残りは、機械室20のカバー21とエンジン31との隙間を流れて機械室20の外部へ排出される。
一方、清掃対象のオイルクーラ44側に位置する冷却ファン47、48(第2の冷却ファン)の逆回転によって、機械室20のエンジン31側の空間内の空気が第2の通風路42内に第2開口部42b側から吸い込まれると共に、冷却ファン47、48(第2の冷却ファン)から吐出されてエンジン31で転向した冷却風C1が第2の通風路42内に第2開口部42b側から吸い込まれ、空気流F2としてオイルクーラ44に供給される。この空気流F2は、通常運転の実行時におけるオイルクーラ44を冷却する冷却風C2(図8参照)とは逆方向の流れとなるので、オイルクーラ44を通過する際にオイルクーラ44の表面から塵埃を吹き飛ばし、吸込口23aを介して機械室20の外部へ排出される。このとき、オイルクーラ44から左側方カバー23側に吹き飛ばされた塵埃が正回転の冷却ファン45、46(第1の冷却ファン)の吸込側に吸い込まれることを隔壁29によって防止している。
本実施の形態においては、清掃対象のオイルクーラ44側に位置する冷却ファン47、48(第2の冷却ファン)を逆回転させると共に、清掃対象ではないラジエータ43側に位置する冷却ファン45、46(第1の冷却ファン)を停止させずに正回転させることで、冷却ファン45、46(第1の冷却ファン)から吐出される冷却風C1の一部が冷却ファン47、48(第2の冷却ファン)の吸込側に流れる。すなわち、逆回転冷却ファン47、48(第2の冷却ファン)と正回転の冷却ファン45、46(第1の冷却ファン)の配列関係は、第1の通風路41と連通路35と第2の通風路42とが接続された流路上に直列に配置された状態と類似したものとなる。したがって、清掃対象でないラジエータ43側に位置する冷却ファン45、46(第1の冷却ファン)が停止している場合よりも、直列の配置関係にある逆回転の冷却ファン47、48(第2の冷却ファン)と正回転の冷却ファン45、46(第1の冷却ファン)の動作点が高静圧側へ移動することで風量も増加する。すなわち、オイルクーラ44に供給される清掃用の空気流F2の風量及び静圧が増加する。したがって、オイルクーラ44に付着した塵埃を短時間に効率よく除去することができる。
このように、第1の熱交換器としてのラジエータ43または第2の熱交換器としてのオイルクーラ44に温度異常が生じたと判定した場合には、通常運転(図6に示すステップS10)から、温度異常が生じた熱交換器43、44を対象とした清掃運転に自動的に切り換えることで、清掃対象の熱交換器43、44に付着した塵埃を除去する。清掃運転が終了したら、通常運転に再び切り換える(図6に示すステップS10)。
また、油圧ショベル1の稼働終了の際には、ラジエータ43及びオイルクーラ44の異常の有無に係わらず、ラジエータ43及びオイルクーラ44を順繰りに清掃対象として清掃運転を実行する(図7に示すステップS110~130)。油圧ショベル1の稼働終了時の清掃運転は、上述した熱交換器の温度異常時の清掃運転の制御手順と同様であるので、ここでの説明は省略する。このように、油圧ショベル1が粉塵の多い過酷な環境下で稼働する場合であっても、油圧ショベル1の稼働終了ごとにラジエータ43及びオイルクーラ44を自動的に清掃するので、ラジエータ43及びオイルクーラ44の冷却性能を容易且つ確実に維持することができる。
上述したように、本発明の第1の実施の形態に係る建設機械としての油圧ショベル1は、一方向に延在する機械室21のカバー21及び隔壁29(壁部)に囲まれて形成され、各々第1開口部41a、42aおよび第2開口部41b、42bを有し、互いに並列に配置された第1の通風路41及び第2の通風路42と、第1の通風路41の内部に配置された第1の熱交換器43と、第2の通風路42の内部に配置された第2の熱交換器44と、第1の通風路41の内部に配置され、第1の熱交換器43を冷却するための第1の冷却ファン45、46と、第2の通風路42の内部に配置され、第2の熱交換器44を冷却するための第2の冷却ファン47、48と、第1の通風路41の第2開口部41bに対して第1の通風路41の延在方向に間隙をあけて配置され、かつ第2の通風路42の第2開口部42bに対して第2の通風路42の延在方向に間隙をあけて配置されたエンジン31(障壁部)と、第1の冷却ファン45、46および第2の冷却ファン47、48の駆動を制御するコントローラ70とを備えている。第1の冷却ファン45、46および第2の冷却ファン47、48は、正回転と逆回転との切換えが可能で、正回転時に第1開口部41a、42aが流入口となると共に第2開口部41b、42bが流出口となる空気流を生起する。第1の通風路41とエンジン31(障壁部)との間の空間と第2の通風路42とエンジン31(障壁部)との間の空間とは連通している。コントローラ70は、所定の条件を満たしたとき、第1の冷却ファン45、46および第2の冷却ファン47、48を正回転で駆動させる通常運転(第1運転)を、第1の冷却ファン45、46を逆回転で駆動させると共に、第2の冷却ファン47、48を正回転で駆動させる清掃運転(第2運転)に切り換える。
この構成によれば、第1の冷却ファン45、46を逆回転で駆動させる一方、第2の冷却ファン47、48を正回転で駆動させることで、正回転する第2の冷却ファン47、48から吐出された空気流の一部が逆回転する第1の冷却ファン45、46の吸込側に流れるので、逆回転の第1の冷却ファン45、46と正回転の第2の冷却ファン47、48の配列関係が直列の配置と類似した状態となる。したがって、第2の冷却ファン47、48が停止している場合よりも、第1の熱交換器43を流れる空気流の風量及び静圧を増加させることができる。その結果、第1の熱交換器43から塵埃を効率良く除去することができ、第1の熱交換器43の清掃作業性が向上する。
また、本実施の形態においては、第1の冷却ファンが複数台の冷却ファン45、46で構成されている。また、コントローラ70が、清掃運転(第2運転)において、第1の冷却ファンを構成する冷却ファン45及び冷却ファン46(複数台の冷却ファン)を全て逆回転で駆動させる。この構成によると、第1の熱交換器43の全体領域を一度に清掃することができる。
また、本実施の形態に係る油圧ショベル1は、第1の熱交換器43の温度を検出する第1及び第2の温度センサ61、62(温度検出器)を更に備えている。さらに、上記の所定の条件は第1及び第2の温度センサ61、62(温度検出器)の検出した温度T1、T2が予め設定された閾値S1、S2を超えたときである。この構成によれば、第1の熱交換器43の清掃時期を第1の熱交換器4の温度異常の有無に基づいて判別することができるので、第1の熱交換器43の無駄な清掃作業を回避することができ、第1の熱交換器43の清掃作業の効率的な運用が可能となる。
また、本実施の形態に係る油圧ショベル1は、第2の熱交換器44の温度を検出する第3及び第4の温度センサ63、64(温度検出器)を更に備えている。さらに、上記の所定の条件は第3及び第4の温度センサ63、64(温度検出器)の検出した温度T3、T4が予め設定された閾値S3、S4を超えたときである。この構成によれば、第2の熱交換器44の清掃時期を第2の熱交換器44の温度異常の有無に基づいて判別することができるので、第2の熱交換器44の無駄な清掃作業を回避することができ、第2の熱交換器44の清掃作業の効率的な運用が可能となる。
さらに、本実施の形態においては、コントローラ70が、油圧ショベル1(建設機械)の稼働停止を指示するキースイッチ12aのオフ信号(稼働停止指示信号)が入力された場合、清掃対象の熱交換器を順繰りに変更する清掃運転を実行するように構成されている。すなわち、コントローラ70による清掃運転の所定の条件はキースイッチ12aのオフ信号(稼働停止指示信号)の入力である。この構成によれば、油圧ショベル1(建設機械)の稼働終了ごとに第1の熱交換器43及び第2の熱交換器44(複数の熱交換器)の両方を自動的に清掃するので、第1及び第2の熱交換器43、44(複数の熱交換器)の冷却性能の低下を未然に防止し、第1及び第2の熱交換器43、44(複数の熱交換器)の冷却性能を容易且つ確実に維持することができる。
次に、本発明の建設機械の第2の実施の形態について図面を用いて説明する。まず、本発明の建設機械の第2の実施の形態の構成について図11を用いて説明する。図11は本発明の建設機械の第2の実施の形態の一部を構成するコントローラのハード構成及び機能構成を示すブロック図である。なお、図11において、図1乃至図10に示す符号と同符号のものは、同様な部分であるので、その詳細な説明は省略する。
本発明の建設機械の第2の実施の形態が第1の実施の形態に対して相違する点は、図11に示すコントローラ70Aの清掃運転(第2運転および第3運転)の判定方法および清掃運転(第2運転および第3運転)時の冷却ファンの制御方法が異なることである。コントローラ70Aは、第1の熱交換器43及び第2の熱交換器44の複数の領域うち、温度異常が検出された領域のみを清掃対象として各冷却ファン45、46、47、48の駆動を制御する。それ以外の構成は、第1の実施の形態の場合と同様である。
具体的には、第2の実施の形態に係るコントローラ70Aの運転切換判定部82Aは、第1の実施の形態の運転切換判定部82が第1及び第2の熱交換器43、44のいずれかを清掃する清掃運転を実行するかを判定するものであるのに対して(図6参照)、第1の熱交換器43の第1領域もしくは第2領域または第2の熱交換器44の第1領域もしくは第2領域のいずれかを清掃する清掃運転を実行するかを判定するものである。より詳細には、運転切換判定部82Aは、第1の温度センサ61からの検出値T1を第1の閾値S1と比較することで、第1の熱交換器43の第1領域を対象とした清掃運転を実行するかを判定する。第2の温度センサ62からの検出値T2を第2の閾値S2と比較することで、第1の熱交換器43の第2領域を対象とした清掃運転を実行するかを判定する。また、第3の温度センサ63からの検出値T3を第3の閾値S3と比較することで、第2の熱交換器44の第1領域を対象とした清掃運転を実行するかを判定する。第4の温度センサ64からの検出値T4を第4の閾値S4と比較することで、第2の熱交換器44の第2領域を対象とした清掃運転を実行するかを判定する。
第2の実施の形態に係るファン制御部83Aは、第1の実施の形態のファン制御部83が清掃対象の熱交換器に対応する2つの冷却ファンを両方とも逆回転で駆動させるように清掃運転を実行するのに対して(図6及び図7参照)、清掃対象の熱交換器に対応する2つの冷却ファンのうち、一方側の冷却ファンを逆回転で駆動させる一方、他方側の冷却ファンを逆回転させずに停止させるように清掃運転を実行するものである。なお、通常運転における各冷却ファン45、46、47、48の制御は、第1の実施の形態の場合と同様である。
次に、本発明の建設機械の第2の実施の形態の一部を構成するコントローラによる冷却ファンの清掃運転の制御手順について図11~図13を用いて説明する。図12は図11に示す本発明の建設機械の第2の実施の形態の一部を構成するコントローラによる建設機械の稼働中における冷却ファンの通常運転及び清掃運転の制御手順の一例を示すフローチャートである。図13は図11に示す本発明の建設機械の第2の実施の形態の一部を構成するコントローラによる建設機械の稼働終了時における冷却ファンの清掃運転の制御手順の一例を示すフローチャートである。なお、図12及び図13において、図1乃至図10に示す符号と同符号のものは、同様な部分であるので、その詳細な説明は省略する。
第1に、図11に示すコントローラ70Aは、図12に示すように、油圧ショベル1の稼働中において第1及び第2の熱交換器43、44を冷却する通常運転を実行し(ステップS10)、当該通常運転の実行中に第1の熱交換器43の第1領域もしくは第2領域または第2の熱交換器44の第1領域もしくは第2領域のいずれかに温度異常が生じたと判定したとき、温度異常の熱交換器の領域を清掃対象とした清掃運転に切り換える(ステップS220~S290)。
具体的には、コントローラ70Aの運転切換判定部82Aは、通常運転の実行中に、第1の温度センサ61からの検出値T1を第1の閾値S1と比較することで、第1の熱交換器43の第1領域に温度異常が生じているか否かを判定する(ステップS220)。検出値T1が第1の閾値S1よりも大きい場合には、第1の熱交換器43の第1領域が温度異常である(YES)と判定する。それ以外の場合、すなわち、検出値T1が第1の閾値S1以下の場合、第1の熱交換器43の第1領域は正常である(NO)と判定する。
ステップS220においてYESと判定した場合、コントローラ70Aは、第1の熱交換器43の第1領域を清掃対象とした清掃運転を実行する(図12に示すステップS230)。具体的には、ファン制御部83Aは、第1の冷却ファンの一方の冷却ファン45に対応する電動モータ53に対して逆回転指令を所定時間出力し、第1の冷却ファンの他方の冷却ファン46に対応する電動モータ53に対して停止指令を所定時間出力する共に、冷却ファン47、48(第2の冷却ファン)に対応する電動モータ53に対してそれぞれ正回転指令を所定時間出力する。これにより、第1の熱交換器43側に位置する冷却ファン45及び冷却ファン46(第1の冷却ファン)のうち第1領域側の冷却ファン45の逆回転駆動、第2領域側の冷却ファン46の停止、第2の熱交換器44側に位置する冷却ファン47、48(第2の冷却ファン)の正回転駆動が同時に所定時間継続される。
一方、ステップS220においてNOと判定した場合、コントローラ70Aは、第2の温度センサ62からの検出値T2を第2の閾値S2と比較することで、第1の熱交換器43の第2領域に温度異常が生じているか否かを判定する(ステップS240)。検出値T2が第2の閾値S2よりも大きい場合には、第1の熱交換器43の第2領域が温度異常である(YES)と判定する。それ以外の場合、すなわち、検出値T2が第2の閾値S2以下の場合、第1の熱交換器43の第2領域は正常である(NO)と判定する。
ステップS240においてYESと判定した場合、コントローラ70Aは、第1の熱交換器43の第2領域を清掃対象とした清掃運転を実行する(図12に示すステップS250)。具体的には、ファン制御部83Aは、第1の冷却ファンの一方の冷却ファン45に対応する電動モータ53に対して停止指令を所定時間出力し、第1の冷却ファンの他方の冷却ファン46に対応する電動モータ53に対して逆回転指令を所定時間出力する共に、冷却ファン47、48(第2の冷却ファン)に対応する電動モータ53に対してそれぞれ正回転指令を所定時間出力する。これにより、第1の熱交換器43側に位置する冷却ファン45及び冷却ファン46(第1の冷却ファン)のうち第2領域側の冷却ファン46の逆回転駆動、第1領域側の冷却ファン45の停止、第2の熱交換器44側に位置する冷却ファン47、48(第2の冷却ファン)の正回転駆動が同時に所定時間継続される。
一方、ステップS240においてNOと判定した場合、コントローラ70Aは、第3の温度センサ63からの検出値T3を第3の閾値S3と比較することで、第2の熱交換器44の第1領域に温度異常が生じているか否かを判定する(ステップS260)。検出値T3が第3の閾値S3よりも大きい場合には、第2の熱交換器44の第1領域に温度異常が生じている(YES)と判定する。それ以外の場合、すなわち、検出値T3が第3の閾値S3以下の場合、第2の熱交換器44の第1領域は正常である(NO)と判定する。
ステップS260においてYESと判定した場合、コントローラ70Aは、第2の熱交換器44の第1領域を清掃対象とした清掃運転を実行する(図12に示すステップS270)。具体的には、ファン制御部83Aは、冷却ファン45、46(第1の冷却ファン)に対応する電動モータ53に対してそれぞれ正回転指令を所定時間出力すると共に、第2の冷却ファンの一方の冷却ファン47に対応する電動モータ53に対して逆回転指令を所定時間出力し、第2の冷却ファンの他方の冷却ファン48に対応する電動モータ53に対して停止指令を所定時間出力する。これにより、第2の熱交換器44に側に位置する冷却ファン47及び冷却ファン48(第2の冷却ファン)のうち第1領域側の冷却ファン47の逆回転駆動、第2領域側の冷却ファン48の停止、第1の熱交換器43側に位置する冷却ファン45、46(第1の冷却ファン)の正回転駆動が同時に所定時間継続する。
一方、ステップS260においてNOと判定した場合、コントローラ70Aは、第4の温度センサ64からの検出値T4を第4の閾値S4と比較することで、第2の熱交換器44の第2領域に温度異常が生じているか否かを判定する(ステップS280)。検出値T4が第4の閾値S4よりも大きい場合には、第2の熱交換器44の第2領域に温度異常が生じている(YES)と判定する。それ以外の場合、すなわち、検出値T4が第4の閾値S4以下の場合、第2の熱交換器44の第2領域は正常である(NO)と判定する。
ステップS280においてYESと判定した場合、コントローラ70Aは、第2の熱交換器44の第2領域を清掃対象とした清掃運転を実行する(図12に示すステップS290)。具体的には、ファン制御部83Aは、冷却ファン45、46(第1の冷却ファン)に対応する電動モータ53に対してそれぞれ正回転指令を所定時間出力すると共に、第2の冷却ファンの一方の冷却ファン47に対応する電動モータ53に対して停止指令を所定時間出力し、第2の冷却ファンの他方の冷却ファン48に対応する電動モータ53に対して逆回転指令を所定時間出力する。これにより、第2の熱交換器44側に位置する冷却ファン47及び冷却ファン48(第2の冷却ファン)のうち第2領域側の冷却ファン48の逆回転駆動、第1領域側の冷却ファン47の停止、第1の熱交換器43側に位置する冷却ファン45、46(第1の冷却ファン)の正回転駆動が同時に所定時間継続される。
一方、ステップS280においてNOと判定した場合、コントローラ70Aは、スタートに戻り一連の制御手順(ステップS10、S220~S290)を繰り返す。
第2に、コントローラ70Aは、図13に示すように、油圧ショベル1の稼働終了の際に、第1及び第2の熱交換器43、44の温度異常の有無に係わらず、清掃対象を順々に第1の熱交換器43の各領域から第2の熱交換器44の各領域へと変更する清掃運転を実行する。
具体的には、図11に示すキースイッチ12aのオフ信号が入力されると、コントローラ70Aは、先ず、第1の熱交換器43の第1領域を清掃対象とした清掃運転を実行する(図13に示すステップS310)。詳細には、ファン制御部83Aは、図12に示すステップS230と同様に、第1の冷却ファンの一方の冷却ファン45に対応する電動モータ53に対して逆回転指令を所定時間出力し、第1の冷却ファンの他方の冷却ファン46に対応する電動モータ53に対して停止指令を所定時間出力すると共に、冷却ファン47、48(第2の冷却ファン)に対応する電動モータ53に対してそれぞれ正回転指令を所定時間出力する。
次に、コントローラ70Aは、第1の熱交換器43の第2領域を清掃対象とした清掃運転を実行する(図13に示すステップS320)。ファン制御部83Aは、図12に示すステップS250と同様に、第1の冷却ファンの一方の冷却ファン45に対応する電動モータ53に対して停止指令を所定時間出力し、第1の冷却ファンの他方の冷却ファン46に対応する電動モータ53に対して逆回転指令を所定時間出力すると共に、冷却ファン47、48(第2の冷却ファン)に対応する電動モータ53に対してそれぞれ正回転指令を所定時間出力する。
次いで、コントローラ70Aは、第2の熱交換器44の第1領域を清掃対象とした清掃運転を実行する(図13に示すステップS330)。ファン制御部83Aは、図12に示すステップS270と同様に、冷却ファン45、46(第1の冷却ファン)に対応する電動モータ53に対してそれぞれ正回転指令を所定時間出力すると共に、第2の冷却ファンの一方の冷却ファン47に対応する電動モータ53に対して逆回転指令を所定時間出力し、第2の冷却ファンの他方の冷却ファン48に対応する電動モータ53に対して停止指令を所定時間出力する。
さらに、コントローラ70Aは、第2の熱交換器44の第2領域を清掃対象とした清掃運転を実行する(図13に示すステップS340)。ファン制御部83Aは、図12に示すステップS290と同様に、冷却ファン45、46(第1の冷却ファン)に対応する電動モータ53に対してそれぞれ正回転指令を所定時間出力すると共に、第2の冷却ファンの他方の冷却ファン48に対応する電動モータ53に対して逆回転指令を所定時間出力し、第2の冷却ファンの一方の冷却ファン47に対応する電動モータ53に対して停止指令を所定時間出力する。
最後に、コントローラ70Aは、各冷却ファン45、46、47、48に対応する電動モータ53に対してそれぞれ停止指令を出力し(図13に示すステップS350)、一連の制御手順を終了する。これにより、冷却ファン45、46、47、48がすべて停止する。
次に、本発明の建設機械の第2の実施の形態の動作を図9~図13を用いて説明する。図11に示すコントローラ70Aは、油圧ショベル1の稼働中、第1の実施の形態と同様な通常運転を実行する(図12に示すステップS10)。これにより、エンジン31及び油圧システムのオーバーヒートを防止している。
この通常運転の実行中に、コントローラ70Aは、第1~第4の温度センサ61、62、63、64からの検出値T1、T2、T3、T4をそれぞれ対応する第1~第4の閾値S1、S2、S3、S4と比較することで、第1の熱交換器43の第1領域もしくは第2領域または第2の熱交換器44の第1領域もしくは第2領域の異常の有無を判定する(図12に示すステップS220、S240、S260、S280)。油圧ショベル1の累積稼働時間が短い場合、第1の熱交換器43及び第2の熱交換器44の冷却性能が著しく低下することはない。この場合、検出値T1が第1の閾値S1以下なので、コントローラ70Aは、第1の熱交換器43の第1領域が正常である(図12に示すステップS220においてNO)と判定する。次に、検出値T2が第2の閾値S2以下なので、第1の熱交換器43の第2領域が正常である(図12に示すステップS240においてNO)と判定する。次いで、検出値T3が第3の閾値S3以下なので、第2の熱交換器44の第1領域が正常である(図12に示すステップS260においてNO)と判定する。さらに、検出値T4が第4の閾値S4以下なので、第2の熱交換器44の第2領域が正常である(図12に示すステップS280においてNO)と判定する。
コントローラ70Aは、第1~第2の熱交換器43、44の第1領域及び第2領域が正常であると判定すると、スタートに戻り、通常運転を継続する(図12に示すステップS10)。コントローラ70Aは、通常運転を継続中、第1~第2の熱交換器43、44の第1領域及び第2領域のいずれかに異常があると判定するまで、図12に示すステップS10、S220、S240、S260、S280を順に繰り返す。
油圧ショベル1の累積稼働時間が長くなると、塵埃の付着によって第1~第2の熱交換器43、44の第1領域及び第2領域のいずれかの温度が上昇することがある。
例えば、検出値T1が第1の閾値S1よりも大きくなった場合、コントローラ70Aは、第1の熱交換器43の第1領域を清掃対象とした清掃運転に切り換える(図12に示すステップS230)。これにより、第1の冷却ファンの一方の冷却ファン45が所定時間逆回転し、第1の冷却ファンの他方の冷却ファン46が所定時間停止し、冷却ファン47、48(第2の冷却ファン)が所定時間正回転する。
清掃対象でない第2の熱交換器44側に位置する第2の冷却ファン47、48(図4参照)の正回転によって吐出された冷却風C2の一部は、図9に示すように、エンジン31によって転向して連通路35を介して第1の通風路41の第2開口部41b側に向かう。
第1の実施の形態では、第2の冷却ファン47、48から吐出されて第1の通風路41の第2開口部41bに吸い込まれた冷却風の流れは、逆回転する第1の冷却ファン45、46(図4参照)の2つに分散されていた。
それに対して、本実施の形態においては、清掃対象の第1の熱交換器43側に位置する冷却ファン45、46(第1の冷却ファン)のうち、温度異常が検出された第1領域側の冷却ファン45のみを逆回転させ、異常が検出されていない第2領域側の冷却ファン46を停止させることで、冷却ファン47、48(第2の冷却ファン)から吐出されて第1の通風路41の第2開口部41bに吸い込まれた冷却風の流れが冷却ファン45に集中する。したがって、冷却ファン45から吐出される空気流F1は、第1の実施の形態の場合よりも風量が多くなり、第1の熱交換器43の第1領域を集中的に通過するので、付着した塵埃を第1の熱交換器43の第1領域から短時間で効率よく除去することができる。
また、第1の熱交換器43の第2領域を清掃対象とした清掃運転(図12に示すステップS250)を実行した場合には、温度異常が検出された第2領域側の冷却ファン46のみを逆回転させ、異常が検出されていない第1領域側の冷却ファン45を停止させるので、冷却ファン47、48(第2の冷却ファン)から吐出されて第1の通風路41の第2開口部41bに吸い込まれた冷却風の流れが冷却ファン46に集中する。したがって、冷却ファン46から吐出される空気流は、第1の実施の形態の場合よりも風量が多くなり、第1の熱交換器43の第2領域を集中的に通過するので、付着した塵埃を第1の熱交換器43の第2領域から短時間で効率よく除去することができる。
第2の熱交換器44の第1領域及び第2領域を清掃対象とする場合も、上述した第1の熱交換器43を清掃対象とする場合と同様である。すなわち、第2の熱交換器44の第1領域を清掃対象とした清掃運転(図12に示すステップS270)を実行した場合には、温度異常が検出された第1領域側の冷却ファン47のみを逆回転させ、異常が検出されていない第2領域側の冷却ファン48を停止させることで、図10に示すように、冷却ファン45、46(第1の冷却ファン)から吐出されて第2の通風路42の第2開口部42bに吸い込まれた冷却風の流れが冷却ファン47に集中する。したがって冷却ファン47から吐出される空気流F2は、第1の実施の形態の場合よりも風量が多くなり、第2の熱交換器44の第1領域を集中的に通過するので、付着した塵埃を第2の熱交換器44の第1領域から短時間で効率よく除去することができる。
また、第2の熱交換器44の第2領域を清掃対象とした清掃運転(図12に示すステップS290)を実行した場合には、温度異常が検出された第2領域側の冷却ファン48を逆回転させ、異常が検出されていない第1領域側の冷却ファン47を停止させることで、冷却ファン45、46(第1の冷却ファン)から吐出されて第2の通風路42の第2開口部42bに吸い込まれた冷却風の流れが冷却ファン48に集中する。したがって、冷却ファン48から吐出される空気流は、第1の実施の形態の場合よりも風量が多くなり、第2の熱交換器44の第2領域を集中的に通過するので、付着した塵埃を第2の熱交換器44の第2領域から短時間で効率よく除去することができる。
さらに、油圧ショベル1の稼働終了の際には、第1及び第2の熱交換器43、44の温度異常の有無に係わらず、第1の熱交換器43を清掃対象とする清掃運転を実行し(図13に示すステップS310~320)、第2の熱交換器44を清掃対象とする清掃運転を実行する(図13に示すステップS330~340)。
第1の熱交換器43を清掃対象とする清掃運転(第2運転)では、先ず、第1の熱交換器43の第1領域側に位置する冷却ファン45を逆回転させると共に、第2領域側に位置する冷却ファン46を停止させることで、逆回転する冷却ファン45に正回転する冷却ファン47、48(第2の冷却ファン)から吐出された冷却風C2の風量が集中するようにしている。次に、第1の熱交換器43の第1領域側の冷却ファン45を停止させると共に第2領域側に位置する冷却ファン46を逆回転させることで、逆回転する冷却ファン46に正回転する冷却ファン47、48(第2の冷却ファン)から吐出された冷却風の流れが集中するようにしている。したがって、冷却ファン45、46(第1の冷却ファン)から吐出されて第1の熱交換器43を清掃する空気流の風量が多くなるので、第1の熱交換器43から塵埃を短時間で効率よく除去することができる。
第2の熱交換器44を清掃対象とする清掃運転でも、先ず、第2の熱交換器44の第1領域側に位置する冷却ファン47を逆回転させると共に、第2領域側の冷却ファン48を停止させることで、逆回転する冷却ファン47に正回転する冷却ファン45、46(第1の冷却ファン)から吐出された冷却風の流れが集中するようにしている。次に、第2の熱交換器44の第1領域側の冷却ファン47を停止させると共に第2領域側に位置する冷却ファン48を逆回転させることで、逆回転する冷却ファン48に正回転する冷却ファン45、46(第1の冷却ファン)から吐出された冷却風の流れが集中するようにしている。したがって、冷却ファン47、48(第2の冷却ファン)から吐出されて第2の熱交換器44を清掃する空気流の風量が多くなるので、第2の熱交換器44から塵埃を短時間で効率よく除去することができる。
このように、油圧ショベル1が粉塵の多い過酷な環境下で稼働する場合であっても、油圧ショベル1の稼働終了ごとに第1及び第2の熱交換器43、44を清掃対象とした清掃運転に自動的に切り換わる。これにより、第1及び第2の熱交換器43、44の冷却性能を容易且つ確実に維持することができる。
また、本実施の形態の形態に係る第1の熱交換器43を清掃対象とする清掃運転(第2運転)では、先ず、第1の熱交換器43に対応した冷却ファン45、46(第1の冷却ファン)のうち、一方を逆回転で駆動させると共に他方を停止させ、次に、逆回転で駆動させている冷却ファンを停止させるように変更すると共に停止させている冷却ファンを逆回転で駆動させるように変更する制御を行うことで、第1の熱交換器43に対応した冷却ファン45、46(第1の冷却ファン)を一度は逆回転で駆動させる。これにより、第1の熱交換器43の全体を清掃できると共に空気流の風量を多くすることができる。
また、第2の熱交換器44を清掃対象とする清掃運転(第3運転)においては、第1の熱交換器43の場合と同様に、先ず、第2の熱交換器44に対応し冷却ファン47、48(第2の冷却ファン)のうち、一方を逆回転で駆動させると共に他方を停止させ、次に、逆回転で駆動させている冷却ファンを停止させるように変更すると共に停止させている冷却ファンを逆回転で駆動させるように変更する制御を行うことで、第2の熱交換器44に対応した冷却ファン47、48(第2の冷却ファン)を一度は逆回転で駆動させる。これにより、第2の熱交換器44の全体を清掃できると共に空気流の風量を多くすることができる。
上述した本発明の建設機械の第2の実施の形態によれば、前述した第1の実施の形態と同様に、逆回転の第1の冷却ファン45、46と正回転の第2の冷却ファン47、48の配列関係が直列の配置と類似した状態となるので、第2の冷却ファン47、48が停止している場合よりも、第1の熱交換器43を清掃するための空気流F1の風量が増加する。したがって、第1の熱交換器43に付着した塵埃を効率良く除去することができ、第1の熱交換器43の清掃作業性が向上する。
また、本実施の形態においては、第1の冷却ファンが複数台の冷却ファン45、46で構成されている。また、コントローラ70Aは、清掃運転(第2運転)において、第1の冷却ファンを構成する冷却ファン45及び冷却ファン46(複数台の冷却ファン)のうち、いずれか一つの冷却ファンを逆回転で駆動させる一方、残りの冷却ファンを停止させる。この構成によれば、正回転する第2の冷却ファン47、48から吐出された空気流は、第1の冷却ファン45、46のうち、停止する冷却ファンには分散されず、逆回転する冷却ファンに集中する。したがって、第1の実施の形態の場合よりも、逆回転する冷却ファンから吐出されて第1の熱交換器43を通過する空気流の風量が多くなるので、第1の熱交換器43から塵埃をより効率的に除去することができる。
また、本実施の形態に係るコントローラ70Aは、清掃運転(第2運転)において、第1の冷却ファンを構成する冷却ファン45及び冷却ファン46(複数台の冷却ファン)のうち、逆回転で駆動させている冷却ファンを停止させるように変更すると共に停止させている冷却ファンのいずれかを逆回転で駆動させるように変更する制御を行い、当該制御を繰り返して第1の冷却ファンを構成する全ての冷却ファン45、46を逆回転で駆動させる。この構成によれば、清掃運転(第2運転)により、清掃対象の第1の熱交換器43の全体に対して清掃用の空気流を確実に提供できる。
なお、本発明は本実施の形態に限られるものではなく、様々な変形例が含まれる。上記した実施形態は本発明をわかり易く説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。ある実施形態の構成の一部を他の実施の形態の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施形態の構成に他の実施の形態の構成を加えることも可能である。また、各実施形態の構成の一部について、他の構成の追加、削除、置換をすることも可能である。
例えば、上述した本発明の建設機械の第1及び第2の実施の形態においては、本発明の建設機械を油圧ショベル1に適用した例を示したが、本発明は油圧クレーンやホイールローダ等の各種の建設機械に広く適用することができる。
また、上述した実施の形態においては、冷却ファン45、46、47、48の駆動装置として、電動モータ53を用いた例を示したが、油圧モータを用いることも可能である。
また、上述した実施の形態においては、第1の熱交換器43及び第2の熱交換器44の2つの熱交換器を備えた冷却装置40の例を説明した。しかし、冷却装置は、3つ以上の熱交換器を備える構成も可能である。冷却装置は、例えば、エンジン31の吸気を冷却するインタークーラやエアコンを冷却するコンデンサなどの熱交換器を更に備える構成も可能である。
また、上述した実施の形態においては、機械室20内に第1の通風路41及び第2の通風路42の2つの通風路を形成した例を示した。しかし、通風路は、熱交換器の数に対応して3つ以上形成する構成も可能である。また、第1の通風路41及び第2の通風路42を機械室20のカバー21の一部と隔壁29とによって形成した例を示した。しかし、複数の通風路は、機械室20のカバー21を用いずに、壁部で構成された筒状部材を複数並列に並べることで形成することも可能である。
また、上述した実施の形態においては、キースイッチ12aのオフ信号(稼働停止指示信号)が入力された場合に通常運転(第1運転)から清掃運転(第2運転および第3運転)へ切り換えるようにコントローラ70、70Aを構成した例を示した。しかし、コントローラは、原動機としてのエンジン31が停止した場合に通常運転(第1運転)から清掃運転(第2運転および第3運転)へ切り換えるように構成することも可能である。この場合、図7及び図13に示すフローチャートにおいて、スタートのトリガーとして、エンジン31の停止が用いられる。
すなわち、コントローラ70、70Aによる清掃運転(第2運転)の所定の条件はエンジン31(原動機)が停止したときであり、コントローラ70、70Aは冷却ファン45及び冷却ファン46(第1の冷却ファン)を逆回転で駆動させると共に、冷却ファン47及び冷却ファン48(第2の冷却ファン)を正回転で駆動させる清掃運転(第2運転)を所定の時間行ったのち、冷却ファン47及び冷却ファン48(第2の冷却ファン)を逆回転で駆動させると共に、冷却ファン45及び冷却ファン46(第1の冷却ファン)を正回転で駆動させる清掃運転(第3運転)に切り替える。このような構成の場合でも、油圧ショベル1の稼働終了ごとに第1の熱交換器43及び第2の熱交換器44を自動的に順繰りに清掃するので、第1及び第2の熱交換器43、44の冷却性能の低下を未然に防止し、第1及び第2の熱交換器43、44の冷却性能を容易且つ確実に維持することができる。
また、上述した第1の実施の形態においては、第1の熱交換器43を冷却するための第1の冷却ファンを冷却ファン45及び冷却ファン46の2台の冷却ファンで構成すると共に、第2の熱交換器44を冷却するための第2の冷却ファンを冷却ファン47及び冷却ファン48の2台の冷却ファンで構成した冷却装置40の例を説明した。しかし、冷却装置は、第1の熱交換器43及び第2の熱交換器44に対してそれぞれ少なくとも1つずつ冷却ファンを設置する構成が可能である。
また、上述した第1の実施の形態においては、第1の熱交換器43に第1の温度センサ61及び第2の温度センサ62の2つのセンサを配置すると共に、第2の熱交換器44に第3の温度センサ63及び第4の温度センサ64の2つのセンサを配置する構成の例を示した。しかし、第1の熱交換器43及び第2の熱交換器44に対してそれぞれ少なくとも1つずつ温度センサを設置する構成が可能である。
また、上述した第1の実施の形態においては、図6に示すように、第1の熱交換器43の異常の有無を判定した後に、第2の熱交換器44の異常の有無を判定する例を説明した。しかし、第2の熱交換器44の異常の有無を判定した後に、第1の熱交換器43の異常の有無を判定することも可能である。すなわち、複数の熱交換器の異常の有無の判定の順番は任意である。
また、上述した第1の実施の形態においては、図7に示すように、油圧ショベル1の稼働終了の際に、第1の熱交換器43を清掃対象とした清掃運転の実行後に、第2の熱交換器44を清掃対象とした清掃運転を実行する例を説明した。しかし、第2の熱交換器44を清掃対象とした清掃運転の実行後に、第1の熱交換器43を清掃対象とした清掃運転を実行することも可能である。すなわち、油圧ショベル1の稼働終了の際の清掃運転の清掃対象の順番は任意である。
また、上述した第2の実施の形態においては、図12に示すように、第1の熱交換器43の第1領域および第2領域の異常の有無を順に判定した後に、第2の熱交換器44の第1領域および第2領域の異常の有無を順に判定する例を説明した。しかし、第1の熱交換器43及び第2の熱交換器44のいずれかの領域に対する異常の有無を判定する順番は入れ替え可能で任意である。
また、上述した第2の実施の形態においては、図13に示すように、油圧ショベル1の稼働終了の際に、第1の熱交換器43の第1領域および第2領域を順に清掃対象とした清掃運転の実行後に、第2の熱交換器44の第1領域および第2領域を順に清掃対象とした清掃運転を実行する例を説明した。しかし、油圧ショベル1の稼働終了の際における第1の熱交換器43及び第2の熱交換器44のいずれかの領域の清掃対象とする清掃運転の実行の順番は入れ替え可能で任意である。
上述した実施の形態においては、機械室20のカバー21が後側カバー26を備えている構成の例を示した。しかし、後側カバー26は、カウンタウェイト15の壁面で代用する構成も可能である。
上述した実施の形態においては、隔壁29が左側方カバー23からエンジン31側に延在している構成を示した。しかし、隔壁29は、第1及び第2の熱交換器43、44と複数の冷却ファン45、46、47、48を配置可能な第1及び第2の通風路41、42を形成し、且つ、第1及び第2の熱交換器43、44から左側方カバー23側に吹き飛ばれた塵埃が正回転の冷却ファンに吸い込まれることを防止することが可能な構成であればよい。
上述した実施の形態においては、エンジン31を障壁部として機能させる構成の例を示した。しかし、障壁部は、エンジン31に限らず、第1及び第2の通風路41、42の第2開口部41b、42bから流出する空気流を隣接する第2及び第1の通風路42、41の第2開口部42b、41b側に転向させることが可能なもので構成するができ、当該障壁部の形状や数は任意である。
上述した実施の形態においては、各温度センサ61、62、63、64が、各熱交換器43、44の各領域のコアの表面温度または各熱交換器43、44の各領域の周囲の雰囲気温度を検出する構成の例を示した。しかし、各温度センサ61、62、63、64を、各熱交換器43、44内を流れる流体の温度を検出するように構成することも可能である。
1…油圧ショベル(建設機械)、 21…カバー(壁部)、 22…下側カバー(壁部)、 25…前側カバー(壁部)、 26…後側カバー(壁部)、 27…上側カバー(壁部)、 29…隔壁(壁部)、 31…エンジン(障壁部;原動機)、 35…連通路、 41…第1の通風路、 41a…第1開口部、 41b…第2開口部、 42…第2の通風路、 42a…第1開口部、 42b…第2開口部、 43…第1の熱交換器、 44…第2の熱交換器、 45…冷却ファン(第1の冷却ファン)、 46…冷却ファン(第1の冷却ファン)、 47…冷却ファン(第2の冷却ファン)、 48…冷却ファン(第2の冷却ファン)、 61…第1の温度センサ(温度検出器)、 61…第1の温度センサ(温度検出器)、 62…第2の温度センサ(温度検出器)、 63…第3の温度センサ(温度検出器)、 64…第4の温度センサ(温度検出器)、 70、70A…コントローラ

Claims (6)

  1. 一方向に延在する壁部に囲まれて形成され、各々第1開口部および第2開口部を有し、互いに並列に配置された第1の通風路および第2の通風路と、
    前記第1の通風路の内部に配置された第1の熱交換器と、
    前記第2の通風路の内部に配置された第2の熱交換器と、
    前記第1の通風路の内部に配置され、前記第1の熱交換器を冷却するための第1の冷却ファンと、
    前記第2の通風路の内部に配置され、前記第2の熱交換器を冷却するための第2の冷却ファンと、
    前記第1の通風路の前記第2開口部に対して前記第1の通風路の延在方向に間隙をあけて配置され、かつ前記第2の通風路の前記第2開口部に対して前記第2の通風路の延在方向に間隙をあけて配置された障壁部と、
    前記第1の冷却ファンおよび前記第2の冷却ファンの駆動を制御するコントローラとを備え、
    前記第1の冷却ファンおよび前記第2の冷却ファンは、正回転と逆回転との切換えが可能で、正回転時に前記第1開口部が流入口となると共に前記第2開口部が流出口となる空気流を生起し、
    前記第1の通風路と前記障壁部との間の空間と前記第2の通風路と前記障壁部との間の空間とは連通しており、
    前記コントローラは、所定の条件を満たしたとき、前記第1の冷却ファンおよび前記第2の冷却ファンを正回転で駆動させる第1運転を、前記第1の冷却ファンを逆回転で駆動させると共に、前記第2の冷却ファンを正回転で駆動させる第2運転に切り換える
    ことを特徴とする建設機械。
  2. 請求項1に記載の建設機械において、
    前記第1の冷却ファンは、複数台の冷却ファンで構成され、
    前記コントローラは、前記第2運転において、前記第1の冷却ファンの前記複数台の冷却ファンを全て逆回転で駆動させる
    ことを特徴とする建設機械。
  3. 請求項1に記載の建設機械において、
    前記第1の冷却ファンは、複数台の冷却ファンで構成され、
    前記コントローラは、前記第2運転において、前記第1の冷却ファンの前記複数台の冷却ファンのうち、いずれか一つの冷却ファンを逆回転で駆動させる一方、残りの冷却ファンを停止させる
    ことを特徴とする建設機械。
  4. 請求項3に記載の建設機械において、
    前記コントローラは、前記第2運転において、前記第1の冷却ファンの前記複数台の冷却ファンのうち、逆回転で駆動させているファンを停止させるように変更すると共に、停止させているファンのいずれかを逆回転で駆動させるように変更する制御を行い、当該制御を繰り返して前記第1の冷却ファンを構成する全ての冷却ファンを逆回転で駆動させる
    ことを特徴とする建設機械。
  5. 請求項1に記載の建設機械において、
    前記第1の熱交換器の温度または前記第1の熱交換器内を流れる流体の温度を検出する温度検出器を更に備え、
    前記所定の条件は、前記温度検出器の検出した温度が、予め設定された閾値のいずれかを超えたときである
    ことを特徴とする建設機械。
  6. 請求項1に記載の建設機械において、
    原動機を更に備え、
    前記所定の条件は、前記原動機が停止したときであり、
    前記コントローラは、前記第2運転を所定の時間行ったのち、前記第2の冷却ファンを逆回転で駆動させると共に、前記第1の冷却ファンを正回転で駆動させる第3運転に切り替える
    ことを特徴とする建設機械。
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