JP7326679B2 - 山留め工法 - Google Patents

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本発明は、山留め工法に関する。
下記特許文献1には、山留め壁の下端部に壁厚が薄い壁厚変化部を設けて、この山留め壁の内側に地盤改良体を構築した構造が示されている。この構造においては、山留め壁に壁厚変化部を設けることで山留め壁と地盤改良体との間のせん断抵抗力が高まり、開削底面の盤ぶくれ現象が抑制されている。
特開2015-031020公報
上記特許文献1に示された山留め壁においては、山留め壁の壁厚を一定にした場合と比較して、山留め壁と地盤改良体との間のせん断抵抗力を高めることができる。しかし、山留め壁の浮上りを抑制することはできない。
本発明は上記事実を考慮して、山留め壁や建物の地下躯体の浮上りを抑制することを目的とする。
一態様の浮上り抑制構造は、山留め壁の下部又は建物の地下躯体の下部から横方向外側へ張り出し上方の土塊重量を受ける張り出し部分を備え、被圧地下水からの水圧を受ける不透水層の上に構築された地盤改良体を有する。
一態様に記載の浮上り抑制構造においては、山留め壁の下部又は建物の地下躯体の下部から外側へ地盤改良体が張り出している。この地盤改良体には、山留め壁又は建物の地下躯体の外側の土圧が作用する。この土圧(土塊重量)によって地盤改良体が下方の地盤を押さえ込む。このため、山留め壁の浮上りや、改修のために上部躯体が撤去された後の建物の地下躯体の浮上りを抑制できる。
一態様の浮上り抑制構造は、前記地盤改良体に作用する土塊重量、前記地盤改良体の重量、及び、前記地盤改良体の下方における前記不透水層の重量の和が、前記地盤改良体に作用する水圧以上である。
一態様の浮上り抑制構造は、山留め壁の下部又は建物の地下躯体の下部から外側へ張り出す地盤改良体を有し、前記地盤改良体に作用する土塊重量及び前記地盤改良体の重量の和が、前記地盤改良体に作用する水圧以上である。
一態様の浮上り抑制構造は、前記地盤改良体の張り出し部分に作用する土塊重量は、前記地盤改良体の外周部から地盤の内部摩擦角で斜め上方に地盤面まで形成される傾斜面と前記山留め壁との間にある土塊重量である。
請求項1の山留め工法は、被圧地下水の水位が地盤面より高い透水層の上に形成された不透水層の上に地盤改良体を構築する工程と、前記地盤改良体の上に山留め壁を構築し、前記地盤改良体の外周部が前記山留め壁の外側へ張り出すようにする工程と、前記山留め壁の内側の地盤を床付け面まで掘削する工程と、を有する。
請求項1に記載の山留め工法では、不透水層の上に地盤改良体を構築し、この地盤改良体の上に山留め壁を構築する。このため山留め壁やオーガー等が不透水層を貫通することが抑制される。これにより、透水層から貫通孔を通じて被圧地下水が噴出することを抑制できる。また、山留め壁の外側へ張り出した地盤改良体の外周部には土圧(土塊重量)が作用する。これにより、山留め壁の浮上りを抑制できる。
請求項2の山留め工法は、請求項1に記載の山留め工法において、前記地盤改良体の外周部の張り出し幅は、前記地盤改良体の外周部から地盤の内部摩擦角で斜め上方に地盤面まで形成される傾斜面と前記山留め壁との間にある土塊重量と、前記被圧地下水の水圧と、に基づいて算出される。
請求項2に記載の山留め工法によると、地盤改良体の外周部の張り出し幅を、地盤の土塊重量及び被圧地下水の水圧に基づいて算出する。すなわち、地盤特性に応じて張り出し幅を調整できる。例えば地盤の土塊重量が大きい場合、地盤改良体の張り出し幅を小さくしても、被圧地下水の水圧に抵抗できる。又は、例えば被圧地下水の水圧が大きい場合、地盤改良体の張り出し幅を大きくすれば、土塊重量を大きくして水圧に抵抗できる。
本発明によると、山留め壁や建物の地下躯体の浮上りを抑制することができる。
本発明の第1実施形態に係る浮上り抑制構造を示した立断面図である。 (A)は本発明の第1実施形態に係る浮上り抑制構造を構築する山留め工法において地盤改良体を形成している状態を示した立断面図であり(B)は地盤改良体の山留め壁に対する張り出し幅を算出するための各パラメータを示した立断面図である。 (A)は本発明の第1実施形態に係る浮上り抑制構造において床付け面の深さを浅くした場合の地盤改良体の張り出し幅の概要を示した立断面図であり(B)は床付け面の深さを深くした場合の地盤改良体の張り出し幅の概要を示した立断面図である。 (A)は本発明の第1実施形態に係る浮上り抑制構造において地盤改良体と山留め壁とを離間して配置した変形例を示す立断面図であり(B)は不圧地下水を備えた透水層に浮上り抑制構造を形成した変形例を示す立断面図である。 (A)は本発明の第1実施形態に係る浮上り抑制構造において地盤改良体を平面視で枠状に形成した変形例を示す立断面図であり、(B)は地盤改良体を不透水層の下方に形成した変形例を示す立断面図である。 本発明の第2実施形態に係る浮上り抑制構造を示した立断面図である。
以下、本発明の実施形態に係る浮上り抑制構造及び山留め工法について、図面を参照しながら説明する。各図面において同一の符号を用いて示される構成要素は、同一の構成要素であることを意味する。また、各図面において重複する構成及び符号については、説明を省略する場合がある。なお、本発明は以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的の範囲内において構成を省略する、または異なる構成と入れ替える等、適宜変更を加えて実施することができる。
<第1実施形態>
(地盤)
図1には、本発明の第1実施形態に係る浮上り抑制構造が示されている。この浮上り抑制構造は、透水層12、14と不透水層16とを備えた地盤10に構築される山留め壁20の浮上りを抑制する地下構造である。
透水層14には地下水が流れている。この地下水は、不透水層16と図示しない透水層14の下方の不透水層とに挟まれることで圧力を受けている。すなわち、透水層14の地下水は被圧地下水とされている。
透水層14の地下水の水位(被圧地下水の水位)Hは、地盤面GLより高い位置とされている。このため、例えば地盤工事において不透水層16をオーガー等で貫通すると、地下水が地上に噴出する可能性がある。
また、透水層14の地下水は不透水層16を下方から押し上げている。これにより、不透水層16の上方の透水層12を掘削すると、土塊重量が減少することにより掘削面(床付け面)が浮上る「盤ぶくれ」が発生する可能性がある。
透水層14の地下水は不透水層16によって遮られており、透水層12には流入していない。なお、透水層12には、透水層14からの地下水の流入が抑制されているが、例えば雨水の浸透や山間部からの流入による地下水は存在していてもよい。
透水層12の内部摩擦角はφとされている。これにより、透水層12に作用する上下方向のせん断力に対して、透水層12は破線で示す滑り面Tを形成する。
(浮上り抑制構造)
本発明の第1実施形態に係る浮上り抑制構造は、地盤改良体30と山留め壁20とを備えている。
地盤改良体30は、透水層12において不透水層16の上方にセメント系固化材等を用いて構築された盤状の改良土である。地盤改良体30は、平面視で矩形状に形成され、後述する山留め壁20の外側へ張り出して構築されている。また、地盤改良体30は不透水層16と接して構築されている。
山留め壁20は、例えばソイルセメント柱列壁によって形成され、透水層12において地盤改良体30の上方に構築されている。山留め壁20は平面視で矩形に形成されている。また、山留め壁20は地盤改良体30と接して構築され、山留め壁20の内部と外部とを分断している。なお、山留め壁20は、鋼矢板等を用いて形成してもよい。
山留め壁20は、平面視で地盤改良体30の内側に配置されている。山留め壁20の地盤改良体30に対するインセット幅、換言すると、地盤改良体30の山留め壁20に対する張り出し幅は幅Aとされている。また、山留め壁20の高さ、換言すると、地盤面GLから地盤改良体30の上面までの深さは、深さBとされている。
山留め壁20の内部の地盤10は掘削され、地盤面GLより低い位置に床付け面10Aが形成されている。地盤面GLから床付け面10Aまでの深さは、深さCとされている。
(山留め工法)
山留め壁20を構築するためには、山留め壁20に先立って地盤改良体30を構築する。地盤改良体30の構築に際しては、機械式攪拌工法又は高圧噴射攪拌工法が用いられる。具体的には、高圧噴射攪拌工法で説明すると、図2(A)に示すように、まずロッド40を用いて透水層12を掘削(ボーリング)する。
ロッド40は、地盤面GLに載置された地盤掘削装置(不図示)に取付けられている。また、ロッド40の先端(下端部)には掘削用ビット(不図示)が取付けられており、ロッド40を回転させることで掘削用ビットが透水層12を掘削し、ロッド40が透水層12に挿入される。
次に、ロッド40を回転させつつ引き抜きながら、ロッド40の先端部分に形成された注入口から透水層12へ、地盤改良剤を注入する。これにより、透水層12に、円柱状の改良部材30Aが形成される。地盤改良体30は、ロッド40を所定の間隔で透水層12に挿入し、改良部材30Aを横方向に連ねて配置することにより盤状に形成される。
次に、地盤改良体30の上に山留め壁20を構築する。山留め壁20の構築に際しては、山留め壁20の外側に地盤改良体30の外周部が張り出すようにして(山留め壁20を地盤改良体30の外周部からインセットして)構築する。この際、山留め壁20を構築するためのオーガーは、不透水層16に到達する前に地盤改良体30に到達する。このため地盤改良体30が防護体となり、不透水層16がオーガーによって貫通されることが抑制される。これにより地下水が地上へ噴出することを抑制できる。
山留め壁20の構築に際して、地盤改良体30の山留め壁20に対する張り出し幅(山留め壁20の地盤改良体30に対するインセット幅)Aは、以下のパラメータを用いて算出される。
・地盤面GLから地盤改良体30の上面までの深さB
・地盤面GLから床付け面10Aまでの深さC(掘削予定深さ)
・山留め壁20間の幅D
・地盤改良体30の幅E
・地盤改良体30の高さF
・不透水層16の高さI
・透水層12を形成する土の単位体積重量γ1
・地盤改良体30の単位体積重量γ2
・不透水層16の単位体積重量γ3
・不透水層16に作用している単位面積水圧ρ
・透水層12を形成する土の内部摩擦角φ
具体的には、張り出し幅A及び上記のパラメータを用いて、次の各式が導出される。なお、以下の各式によって導出される土塊重量W1、W2、W3、重量W4、水圧Pは、図2(B)の紙面前後方向における単位長さ当りの重量を示す。また、図2(B)においては、土塊重量W1、W2、W3、重量W4がそれぞれどの部分の重量を指すのかを明確にするために、これらの重量を備えた部分を、破線の引出線及び符合W1、W2、W3、W4で示した。
地盤改良体30の張り出し部30Eの直上部の土塊重量
W1=A×B×γ1 ・・・式(1)
張り出し部30Eの直上部の土塊と滑り面Tとの間に挟まれた土塊重量
W2=(B×Btanφ×γ1)/2 ・・・式(2)
床付け面10Aの形成後において山留め壁20に囲まれた部分の土塊重量
W3=D×(B-C)×γ1 ・・・式(3)
地盤改良体30の重量
W4=E×F×γ2 ・・・式(4)
不透水層16の重量
W5=E×I×γ3 ・・・式(5)
不透水層16を介して地盤改良体30に作用する水圧
P=E×ρ ・・・式(6)
これらの数式によって導出される重量W1、W2、W3、W4、W5によって、地盤改良体30には下向きの力が作用し、水圧Pによって、地盤改良体30には上向きの力(浮力)が作用する。本実施形態においては、次の条件を満たすように、各パラメータを設定する。
地盤改良体30に作用する下向きの力>地盤改良体30に作用する上向きの力
すなわち、
2×W1+2×W2+W3+W4+W5>P ・・・式(7-1)
具体的には、式(7-1)に式(1)~(6)を代入し、さらに、パラメータとしての深さB、深さC、山留め壁20間の幅D、幅E、高さF、高さI、単位体積重量γ1、単位体積重量γ2、単位面積水圧ρ、内部摩擦角φを代入する。これにより、式(7-1)は張り出し幅Aに関する条件式として記述され、張り出し幅Aを算出することができる。
式(7-1)を満たすことにより、地盤改良体30の浮上りが抑制される。従って、山留め壁20の浮上りが抑制される。また、床付け面10Aの盤ぶくれが抑制される。
例えば、上記の各パラメータを次のように設定する。
・地盤面GLから地盤改良体30の上面までの深さB=9.0m
・地盤面GLから床付け面10Aまでの深さC(掘削予定深さ)=8.0m
・山留め壁20間の幅D=20m
・地盤改良体30の幅E=(20+2A)m
・地盤改良体30の高さF=1.0m
・不透水層16の高さI=2.0m
・透水層12を形成する土の単位体積重量γ1=2.0t/m
・地盤改良体30の単位体積重量γ2=2.0t/m
・不透水層16の単位体積重量γ3=1.7t/m
・不透水層16に作用している単位面積水圧ρ=15.5t
・透水層12を形成する土の内部摩擦角φ=40°
なお、地盤改良体30の幅Eについては、山留め壁20の壁圧が無視できるほどに小さいものとして記載している。
ここで、張り出し幅A=1.0mとして、これらのパラメータを式(1)~(5)に代入すると、W1~W5は以下の通り算出される。
W1=18.0t/m
W2=68.0t/m
W3=40.0t/m
W4=44.0t/m
W5=74.8t/m
これらをさらに式(7-1)に代入すると、
2×W1+2×W2+W3+W4+W5=330.8t/mとなる。
また、張り出し幅A=1.0mのとき、水圧Pは以下の通り算出される。
P=341.0t/m
すなわち、張り出し幅A=1.0mの場合、
2×W1+2×W2+W3+W4+W5<P
となり、式(7-1)を満たさない。
一方、張り出し幅A=2.0mとして、これらのパラメータを式(1)~(5)に代入すると、W1~W5は以下の通り算出される。
W1=36.0t/m
W2=68.0t/m
W3=40.0t/m
W4=48.0t/m
W5=81.6t/m
これらをさらに式(7-1)に代入すると、
2×W1+2×W2+W3+W4+W5=377.6t/mとなる。
また、張り出し幅A=2.0mのとき、水圧Pは以下の通り算出される。
P=372.0t/m
すなわち、張り出し幅A=2.0mの場合、
2×W1+2×W2+W3+W4+W5>P
となり、式(7-1)を満たす。以上により、張り出し幅Aは2.0mとすることができる。
なお、各パラメータのうち、単位体積重量γ1、γ3、単位面積水圧ρ、内部摩擦角φは、地盤10の固有の性質によって決定される固定値である。また、単位体積重量γ2は、地盤改良体30を形成する地盤改良剤を調整することにより適宜調整できる。
ここで、深さB、深さC、山留め壁20間の幅D、幅E、高さFは、任意の寸法とすることができる。一例として図3(A)に示すように、地盤面GLから地盤改良体30の上面までの深さB及び地盤面GLから床付け面10Aまでの深さCを、図1に示す実施形態と比較して小さくした場合、式(7-1)の左辺が小さくなる。すなわち、地盤改良体30が浅い位置に形成されるため、上下方向の土塊重量が少なくなる。
このとき、地盤改良体30の張り出し幅Aを大きくすることで横方向の土塊重量を増やし、上下方向の土塊重量の減分を補完することができる。このように、地盤改良体30の張り出し幅Aを調整すれば、地盤面GLから床付け面10Aまでの深さC等の値に関わらず、式(7-1)を満たすことができる。
別の一例として図3(B)に示すように、地盤面GLから地盤改良体30の上面までの深さB及び地盤面GLから床付け面10Aまでの深さCを、図1に示す実施形態と比較して大きくした場合、式(7-1)の左辺が大きくなる。すなわち、地盤改良体30が深い位置に形成されるため、上下方向の土塊重量が大きくなる。
このとき、地盤改良体30の張り出し幅Aを小さくして横方向の土塊重量を減らしても、当該減分は、上下方向の土塊重量の増分により相殺することができる。
なお、山留め壁20の壁厚は、透水層12の土圧によって構造耐力上有害な変形が生じない程度の厚みに設定される。また、地盤改良体30の高さFは、公知の算定方法を用いて、地盤改良体30において、主に土塊重量が作用する部分と、主に水圧が作用する部分との境界部(張り出し部30Eと他の部分との境界部)に作用するせん断力によって、地盤改良体30がパンチング破壊されない程度の高さに設定される。
このように、各パラメータを諸般の条件により所定の値に設定した場合においても、張り出し幅Aを調整すれば、地盤改良体30の浮上り、山留め壁20の浮上り及び床付け面10Aの盤ぶくれを抑制することができる。
なお、本実施形態においては、深さB、深さC、山留め壁20間の幅D、幅E、高さFを任意の寸法とし、張り出し幅Aを調整することで地盤改良体30の浮上り、山留め壁20の浮上り及び床付け面10Aの盤ぶくれを抑制する(式(7-1)を満たす)実施形態について説明したが本発明の実施形態はこれに限らない。
例えば張り出し幅Aを任意の寸法として、深さB、深さC、山留め壁20間の幅D、幅E及び高さFのうち、少なくとも何れかを調整することで、地盤改良体30の浮上り、山留め壁20の浮上り及び床付け面10Aの盤ぶくれを抑制することができる。
(変形例)
第1実施形態に係る浮上り抑制構造においては、山留め壁20を地盤改良体30と接して構築したが、本発明の実施形態はこれに限らない。例えば図4(A)に示すように、山留め壁20を地盤改良体30と離間して構築してもよい。この場合においても、上述した各パラメータの「深さB、深さC、山留め壁20間の幅D、幅E、高さF、単位体積重量γ1、単位体積重量γ2、単位面積水圧ρ、内部摩擦角φ及び式(1)~(7-1)を適用できる。
なお、この場合、地下水が山留め壁20の外側から床付け面10Aへ回り込まないように、透水層12における地下水の水位(不図示。図4(A)における地下水位Hは、透水層14における被圧地下水の水位を示している。)は床付け面10Aより低い位置にあることが好ましい。
また、第1実施形態に係る浮上り抑制構造は、不透水層16及び透水層14を備えた地盤10に構築されているが、本発明の実施形態はこれに限らない。
例えば図4(B)に示すように、浮上り抑制構造は水位が地盤面GLより低い「不圧地下水」を備えた透水層18に適用することもできる。この場合、浮上り抑制構造は、透水層18における地下水位Hが床付け面10Aより高い場合であっても、床付け面10Aの盤ぶくれ及び山留め壁20の浮上りを抑制できる。あるいは、浮上り抑制構造は、透水層18における地下水位Hが、気候条件によって一時的に床付け面10Aより高くなる場合に適用してもよい。
また、第1実施形態に係る浮上り抑制構造においては、地盤改良体30を平面視で矩形の盤状に形成しているが、本発明の実施形態はこれに限らない。例えば図5(A)に示す地盤改良体32のように、平面視で矩形の枠状(ロ型)に形成してもよい。山留め壁20は地盤改良体32の上方(平面視で地盤改良体32と重なる位置)に形成するものとする。地盤改良体32は、山留め壁20の外側及び内側の双方へ張り出している。
このような実施形態においても、地盤改良体32の浮上り、山留め壁20の浮上り及び床付け面10Aの盤ぶくれを抑制することができる。なお、地盤改良体32を矩形の枠状に形成する場合、第1実施形態において地盤改良体30の重量W4を算出する式(4)で示される「地盤改良体30の幅E」を、「地盤改良体32において枠状に形成された各部分の幅E1、E2の和」、すなわち幅(E1+E2)に置き換えるものとする。
また、第1実施形態に係る浮上り抑制構造においては、地盤改良体30を不透水層16の上方に形成したが、本発明の実施形態はこれに限らない。例えば図5(B)に示す地盤改良体34のように、不透水層16の下方に形成してもよい。
このような実施形態においても、地盤改良体34の浮上り、山留め壁20の浮上り及び床付け面10Aの部分的な盤ぶくれを抑制することができる。なお、地盤改良体34を不透水層16の下方に形成する場合、第1実施形態における「地盤面GLから地盤改良体30の上面までの深さB」を、「地盤面GLから不透水層16の上面までの深さB1」に置き換えるものとする。
<第2実施形態>
(地盤)
図6には、本発明の第2実施形態に係る浮上り抑制構造が示されている。この浮上り抑制構造は、図4(B)を用いて説明した透水層18に構築された地下躯体22の浮上りを抑制する地下構造である。なお、この浮上り抑制構造は、透水層12、14と不透水層16とを備えた地盤10(第1実施形態参照)に構築することもできる。なお、第2実施形態に係る浮上り抑制構造において、第1実施形態と同様の構成については同じ符合で示し、適宜説明は省略する。
地下躯体22は既存建物24の一部である。地盤改良体36は、既存建物24の解体時において、地下躯体22の解体に先立って構築される。
地盤改良体36は、透水層18において地下躯体22の外周部に沿ってセメント系固化材を用いて構築された枠状の改良土である。地盤改良体36は、地下躯体22における壁体22Aの外側へ張り出して構築されている。
地下躯体22は、壁体22Aとスラブ22Bとを備えている。壁体22Aは平面視で矩形状に形成されている。スラブ22Bは壁体22A間に亘って盤状に形成されている。なお、壁体22A間にはスラブ22Bに加えて基礎梁を形成してもよい。
地下躯体22の地盤改良体36に対するインセット幅、換言すると、地盤改良体36の地下躯体22に対する張り出し幅は幅Aとされている。また、地盤面GLから地盤改良体36の上面までの深さは、深さBとされている。
地盤改良体36の地下躯体22に対する張り出し幅(地下躯体22の地盤改良体30に対するインセット幅)Aは、以下のパラメータを用いて算出される。なお、本実施形態における各パラメータは、第1実施形態と同様のものについては同じ記号で示す。
・地盤面GLから地盤改良体36の上面までの深さB
・地盤改良体36の端部間の幅E
・地盤改良体36において枠状に形成された各部分の幅E1、E2
・地盤改良体36の高さF
・透水層18を形成する土の単位体積重量γ1
・地盤改良体36の単位体積重量γ2
・地盤改良体36及び地下躯体22に作用している単位面積水圧ρ
・透水層18を形成する土の内部摩擦角φ
・地下躯体22の重量W6
具体的には、張り出し幅A及び上記のパラメータを用いて、次の各式が導出される。なお、以下の各式によって導出される土塊重量W1、W2、重量W4及び水圧P並びにパラメータとしての地下躯体22の重量W6は、図6の紙面前後方向における単位長さ当りの重量を示す。
地盤改良体36の張り出し部36Eの直上部の土塊重量
W1=A×B×γ1 ・・・式(8)
張り出し部36Eの直上部の土塊と滑り面Tとの間に挟まれた土塊重量
W2=(B×Btanφ×γ1)/2 ・・・式(9)
地盤改良体36の重量
W4=(E1+E2)×F×γ2 ・・・式(10)
地盤改良体36及び地下躯体22に作用する水圧
P=E×ρ ・・・式(11)
これらの数式によって導出される重量W1、W2及び重量W4並びにパラメータとしての重量W6によって、地盤改良体36には下向きの力が作用し、水圧Pによって、地盤改良体36及び地下躯体22には上向きの力(浮力)が作用する。本実施形態においては、次の条件を満たすように、各パラメータを設定する。
・地盤改良体36に作用する下向きの力>地盤改良体36及び地下躯体22に作用する上向きの力
すなわち、
W1+W2+W4+W6>P ・・・式(12)
具体的には、式(12)に式(8)~(11)を代入し、さらに、パラメータとしての深さB、幅E、E1、E2、高さF、単位体積重量γ1、単位体積重量γ2、単位面積水圧ρ、内部摩擦角φを代入する。これにより、式(12)は張り出し幅Aに関する条件式として記述され、張り出し幅Aを算出することができる。
式(12)を満たすことにより、地盤改良体36の浮上りが抑制される。これにより、地下躯体22の浮上りが抑制される。このため、例えば既存建物24における上部構造体を撤去して重量が減少した際においても、地下躯体22の浮上りを抑制することができる。
なお、上記の各実施形態において、山留め壁20及び地下躯体22の壁体22Aは平面視で矩形状とされているが、本発明の実施形態はこれに限らない。例えばL字型、三角形、円形など、任意の平面形状とすることができる。山留め壁20及び壁体22Aを任意の平面形状とした場合、地盤改良体30、32、34、36の形状も適宜変更すればよい。このように、本発明は様々な態様で実施できる。
10 地盤
10A 床付け面
14 透水層
16 不透水層
20 山留め壁
22 地下躯体
30 地盤改良体
32 地盤改良体
34 地盤改良体
36 地盤改良体
A 張り出し幅
H 水位(被圧地下水位)
T 滑り面(傾斜面)
W1 土塊重量
W2 土塊重量
φ 内部摩擦角

Claims (2)

  1. 被圧地下水の水位が地盤面より高い透水層の上に形成された不透水層の上に地盤改良体を構築する工程と、
    前記地盤改良体の上に山留め壁を構築し、前記地盤改良体の外周部が前記山留め壁の外側へ張り出すようにする工程と、
    前記山留め壁の内側の地盤を床付け面まで掘削する工程と、
    を有する山留め工法。
  2. 前記地盤改良体の外周部の張り出し幅は、
    前記地盤改良体の外周部から地盤の内部摩擦角で斜め上方に地盤面まで形成される傾斜面と前記山留め壁との間にある土塊重量と、
    前記被圧地下水の水圧と、に基づいて算出される、請求項1に記載の山留め工法。
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