JP7323690B1 - 非水電解質二次電池用正極、並びにこれを用いた非水電解質二次電池、電池モジュール、及び電池システム - Google Patents

非水電解質二次電池用正極、並びにこれを用いた非水電解質二次電池、電池モジュール、及び電池システム Download PDF

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Abstract

【課題】正極活物質がオリビン型結晶構造を有する化合物であり、集電体と正極活物質層との密着性が良好であるとともに、高温劣化耐性が良好な非水電解質二次電池用正極の提供。【解決手段】正極集電体11と、正極集電体11上に存在する正極活物質層12を有し、正極集電体11の、正極活物質層12側の表面の少なくとも一部に、導電材料を含む集電体被覆層が存在し、正極活物質層12は正極活物質及び導電性炭素を含み、正極活物質が、一般式LiFexM(1-x)PO4で表される化合物を含み、正極活物質層12の空隙率が40%以下であり、正極活物質層12の総質量に対して導電性炭素の含有量が0.5~3.5質量%である、非水電解質二次電池用正極。【選択図】図1

Description

本発明は、非水電解質二次電池用正極、並びにこれを用いた非水電解質二次電池、電池モジュール、及び電池システムに関する。
非水電解質二次電池は、一般的に、正極、非水電解質、負極、及び正極と負極との間に設置される分離膜(セパレータ)により構成される。
非水電解質二次電池の正極としては、リチウムイオンを含む正極活物質、導電助剤、及び結着材を含む組成物からなる正極活物質層を、金属箔(集電体)の表面に固着させたものが知られている。
リチウムイオンを含む正極活物質としては、コバルト酸リチウム(LiCoO)、ニッケル酸リチウム(LiNiO)、マンガン酸リチウム(LiMn)等のリチウム遷移金属複合酸化物や、リン酸鉄リチウム(LiFePO)等のリチウムリン酸化合物が実用化されている。
特許文献1には、集電体本体の表面に導電剤を含む集電体被覆層を設け、その上に正極活物質層を設け、正極活物質としてニッケル・コバルト・マンガン酸リチウム(NCM)
用いたリチウムイオン二次電池用正極において、集電体本体の表面粗さと集電体被覆層の表面粗さとの差を0.1μm以上とし、正極活物質層の空隙率を43~64%に大きくすることにより、サイクル特性を高めた例が記載されている。
国際公開第2018/180742号
リン酸鉄リチウム等のオリビン型結晶構造を有する正極活物質は、リンと酸素の強固な共有結合により高温時の酸素放出がないため、NCM等の酸化物系活物質に比べて安全性が高いが、リチウムイオンの拡散性、電子伝導性が低いため電池特性が不十分になりやすい。
非水電解質二次電池において、集電体と正極活物質層との密着性が電池特性に影響を与えることは知られているが、正極活物質がオリビン型結晶構造を有する化合物である非水電解質二次電池における集電体と正極活物質層の密着性については検討されていない。
また、非水電解質二次電池にあっては、高温環境でも電池特性が劣化し難いことが望まれる。
本発明は、正極活物質がオリビン型結晶構造を有する化合物であり、集電体と正極活物質層との密着性が良好であるとともに、高温劣化耐性が良好な非水電解質二次電池用正極の提供を目的とする。
本発明は以下の態様を有する。
[1] 正極集電体と、前記正極集電体上に存在する正極活物質層を有し、
前記正極集電体の、前記正極活物質層側の表面の少なくとも一部に、導電材料を含む集電体被覆層が存在し、
前記正極活物質層は正極活物質及び導電性炭素を含み、
前記正極活物質層は正極活物質粒子を含み、前記正極活物質粒子は、前記正極活物質である芯部と、導電性炭素を含む活物質被覆部とを有する被覆粒子を含み、
前記正極活物質が、一般式LiFe(1-x)PO(式中、0≦x≦1、MはCo、Ni、Mn、Al、Ti又はZrである。)で表される化合物を含み、
前記正極活物質層の空隙率が40%以下であり、
前記正極活物質層の総質量に対して前記導電性炭素の含有量が0.5~3.5質量%である、非水電解質二次電池用正極。
[2] 前記正極活物質層は結着材を含み、前記結着材はポリフッ化ビニリデンを含む、[1]に記載の非水電解質二次電池用正極。
[3] 前記[1]又は[2]に記載の非水電解質二次電池用正極、負極、及び前記非水電解質二次電池用正極と負極との間に存在する非水電解質を備える、非水電解質二次電池。
[4] 前記[3]に記載の非水電解質二次電池の複数個を備える、電池モジュール又は電池システム。
本発明によれば、正極活物質がオリビン型結晶構造を有する化合物であり、集電体と正極活物質層との密着性が良好であるとともに、高温劣化耐性が良好な非水電解質二次電池用正極が得られる。
本発明に係る非水電解質二次電池用正極の一例を模式的に示す断面図である。 本発明に係る非水電解質二次電池の一例を模式的に示す断面図である。 正極活物質層の剥離強度の測定方法を説明するための工程図である。
本明細書及び特許請求の範囲において、数値範囲を示す「~」は、その前後に記載した数値を下限値及び上限値として含むことを意味する。
図1は、本発明の非水電解質二次電池用正極の一実施形態を示す模式断面図であり、図2は本発明の非水電解質二次電池の一実施形態を示す模式断面図である。
なお、図1、2は、その構成をわかりやすく説明するための模式図であり、各構成要素の寸法比率等は、実際とは異なる場合もある。
以下、実施形態を挙げて本発明を説明する。
図2に示すように、本実施形態の非水電解質二次電池は、正極1(以下「非水電解質二次電池用正極」ともいう。)、負極3、及び正極1と負極3との間に存在する非水電解液4を備える。
<非水電解質二次電池用正極>
図1に示すように、本実施形態における正極1は、集電体(以下「正極集電体」という。)11と正極活物質層12を有する。
本実施形態において、正極活物質層12は正極集電体11の両面上に存在する。ただし、本発明において、正極集電体11の一方の面にのみ、正極活物質層12が存在してもよい。
図1の例において、正極集電体11は、正極集電体本体14と、正極集電体本体14の正極活物質層12側の表面を被覆する集電体被覆層15とを有する。集電体被覆層15は導電材料を含む。ただし、本発明においては、正極集電体11の、正極活物質層12側の表面の少なくとも一部に集電体被覆層15が存在すればよい。
[正極活物質層]
正極活物質層12は正極活物質及び導電性炭素を含む。
正極活物質層12は、正極活物質を含む粒子である正極活物質粒子を含むことが好ましい。正極活物質粒子は、正極活物質である芯部と、導電性炭素を含む活物質被覆部とを有する被覆粒子を含むことが好ましい。
正極活物質層12は、さらに結着材を含むことが好ましい。
正極活物質層12は、導電助剤を含んでもよい。本明細書において、「導電助剤」という用語は、正極活物質層を形成するにあたって正極活物質粒子と混合する、粒状、繊維状などの形状を有する導電材料であって、正極活物質粒子を繋ぐ形で正極活物質層中に存在させる導電材料を指す。導電助剤は導電性炭素を含むことが好ましい。
正極活物質層12は、さらに分散剤を含んでもよい。
正極活物質層12の総質量に対して、正極活物質粒子の含有量は80.0~99.9質量%が好ましく、90~99.5質量%がより好ましい。
正極活物質層の厚み(正極集電体の両面上に正極活物質層が存在する場合、両面の合計)は20~500μmであることが好ましく、25~300μmであることがより好ましく、30~200μmであることが特に好ましい。正極活物質層の厚みが上記範囲の下限値以上であると、正極を組み込んだ電池のエネルギー密度が高くなりやすく、上記範囲の上限値以下であると、電極の内部抵抗低減効果に優れる。
[正極活物質粒子]
正極活物質粒子は、正極活物質を含む。正極活物質粒子の少なくとも一部は、前記正極活物質である芯部と、導電性炭素を含む活物質被覆部とを有する被覆粒子であることが好ましい。
被覆粒子において、正極活物質粒子の表面には、導電材料を含む被覆部(以下、「活物質被覆部」ともいう。)が存在する。正極活物質粒子が活物質被覆部を有することで、電池容量、サイクル特性をより高められる。
例えば、活物質被覆部は、予め正極活物質粒子の表面に形成されており、かつ正極活物質層中において、正極活物質粒子の表面に存在する。即ち、本明細書における活物質被覆部は、正極製造用組成物の調製段階以降の工程で新たに形成されるものではない。加えて、活物質被覆部は、正極製造用組成物の調製段階以降の工程で欠落するものではない。
例えば、正極製造用組成物を調製する際に、被覆粒子を溶媒と共にミキサー等で混合しても、活物質被覆部は正極活物質の表面を被覆している。また、仮に、正極から正極活物質層を剥がし、これを溶媒に投入して正極活物質層中の結着材を溶媒に溶解させた場合にも、活物質被覆部は正極活物質の表面を被覆している。また、仮に、正極活物質層中の粒子の粒度分布をレーザー回折・散乱法により測定する際に、凝集した粒子をほぐす操作を行った場合にも活物質被覆部は正極活物質の表面を被覆している。
活物質被覆部は、正極活物質粒子の外表面全体の面積の50%以上に存在することが好ましく、70%以上に存在することが好ましく、90%以上に存在することが好ましい。
すなわち、被覆粒子は、正極活物質である芯部と、前記芯部の表面を覆う活物質被覆部とを有し、芯部の表面積に対する活物質被覆部の面積(被覆率)は、50%以上が好ましく、70%以上がより好ましく、90%以上がさらに好ましい。
被覆粒子の製造方法としては、例えば、焼結法、蒸着法等が挙げられる。
焼結法としては、正極活物質の粒子と有機物とを含む活物質製造用組成物(例えば、スラリー)を、大気圧下、500~1000℃、1~100時間で焼成する方法が挙げられる。活物質製造用組成物に添加する有機物としては、サリチル酸、カテコール、ヒドロキノン、レゾルシノール、ピロガロール、フロログルシノール、ヘキサヒドロキシベンゼン、安息香酸、フタル酸、テレフタル酸、フェニルアラニン、水分散型フェノール樹脂、スクロース、グルコース、ラクトース等の糖類、リンゴ酸、クエン酸などのカルボン酸、アリルアルコール、プロパルギルアルコール等の不飽和一価アルコール、アスコルビン酸、ポリビニルアルコール等が挙げられる。この焼結法によれば、活物質製造用組成物を焼成することで、有機物中の炭素を正極活物質の表面に焼結して、活物質被覆部を形成する。
また、他の焼結法としては、いわゆる衝撃焼結被覆法が挙げられる。
衝撃焼結被覆法は、例えば、衝撃焼結被覆装置において燃料の炭化水素と酸素の混合ガスを用いてバーナに点火し燃焼室で燃焼させてフレームを発生させ、その際、酸素量を燃料に対して完全燃焼の当量以下にしてフレーム温度を下げ、その後方に粉末供給用ノズルを設置し、そのノズルから被覆する有機物と溶媒を用いて溶かしスラリー状にしたものと燃焼ガスからなる固体-液体-気体三相混合物を粉末供給ノズルから噴射させ、室温に保持された燃焼ガス量を増して、噴射微粉末の温度を下げて、粉末材料の変態温度、昇華温度、蒸発温度以下で加速し、衝撃により瞬時焼結させて、正極活物質の粒子を被覆する。
蒸着法としては、物理気相成長法(PVD)、化学気相成長法(CVD)等の気相堆積法、メッキ等の液相堆積法等が挙げられる。
前記被覆率は次のような方法により測定することができる。まず、正極活物質層中の粒子を、透過電子顕微鏡を用いたエネルギー分散型X線分光法(TEM-EDX)により分析する。具体的には、TEM画像における正極活物質粒子の外周部をEDXで元素分析する。元素分析は炭素について行い、正極活物質粒子を被覆している炭素を特定する。炭素の被覆部が1nm以上の厚さである箇所を被覆部分とし、観察した正極活物質粒子の全周に対して被覆部分の割合を求め、これを被覆率とすることができる。測定は例えば、10個の正極活物質粒子について行い、これらの平均値とすることができる。
また、前記活物質被覆部は、正極活物質のみから構成される粒子(芯部)の表面上に直接形成された厚み1nm~100nm、好ましくは5nm~50nmの層であり、この厚みは上述した被覆率の測定に用いるTEM-EDXによって確認することができる。
本発明において、被覆粒子の被覆率(芯部の表面積に対する活物質被覆部の面積)は100%が特に好ましい。
なお、この被覆率(%)は、正極活物質層中に存在する正極活物質粒子全体についての平均値であり、この平均値が上記下限値以上となる限り、活物質被覆部を有しない正極活物質粒子が微量に存在することを排除するものではない。活物質被覆部を有しない正極活物質粒子(単一粒子)が正極活物質層中に存在する場合、その量は、正極活物質層中に存在する正極活物質粒子全体の量に対して、好ましくは30質量%以下であり、より好ましくは20質量%以下であり、特に好ましくは10質量%以下である。
活物質被覆部を構成する導電材料は、炭素(導電性炭素)を含む。該導電材料は、炭素のみでもよく、炭素と炭素以外の他の元素とを含む導電性有機化合物でもよい。他の元素としては、窒素、水素、酸素等が例示できる。前記導電性有機化合物において、他の元素は10原子%以下が好ましく、5原子%以下がより好ましい。活物質被覆部を構成する導電材料は、炭素のみからなることがさらに好ましい。
活物質被覆部を有する正極活物質粒子の総質量に対して、導電材料の含有量は0.1~4.0質量%が好ましく、0.5~3.0質量%がより好ましく、0.7~2.5質量%がさらに好ましい。多すぎる場合は正極活物質粒子の表面から導電材料が剥がれ、独立した導電助剤粒子として残留する可能性があるため、好ましくない。
活物質被覆部を炭素で構成する場合、アモルファス(非晶質)カーボンであることが望ましい。
非晶質性の炭素を被覆した正極活物質を得る製造方法は、特に限定されず、公知の方法を用いることができる。例えば、正極活物質粒子に対して、炭素前駆体として、易黒鉛化性樹脂あるいは難黒鉛化性樹脂、ナフタレン、コールタール、バインダーピッチ等を添加し、600~1300℃で熱処理をする方法が挙げられる。また、正極活物質粒子を流動状態とし、化学蒸着炭素源としてメタノール、エタノール、ベンゼンやトルエン等の炭化水素化合物等を用い、600~1300℃の熱処理温度で化学的気相蒸着(CVD)処理をし、正極活物質粒子の表面に炭素被膜を形成させる方法が挙げられる。これらの方法により形成した活物質被覆部は、活物質被覆部を構成する炭素の大部分がアモルファス(非晶質)である。
活物質被覆部をアモルファスの炭素ではなく、導電性が高く、結晶性も高いカーボンナノチューブ、グラフェン等を用いて形成した場合、活物質被覆部は抵抗が低くなりすぎて、充放電サイクルを行った際に電解液との副反応性が高まり電池の寿命特性が低下しやすい。
例えば、EELSスペクトル(C-Kエッジ)の形状の違いから、sp結合割合を確認することにより、活物質被覆部の炭素が結晶質であるか、アモルファスであるかを判定することができる。同様にラマンスペクトルの波数1200cm-1~1800cm-1におけるピーク位置を確認することにより、活物質被覆部の炭素が結晶質であるか、アモルファスであるかを判定することができる。
活物質被覆部において、非晶質炭素の存在比率が結晶質炭素の存在比率よりも高いことが好ましい。
正極活物質粒子は、一般式LiFe(1-x)PO(以下「一般式(I)」ともいう。)で表される化合物(I)を含む。化合物(I)はオリビン型結晶構造を有する化合物である。一般式(I)において0≦x≦1である。MはCo、Ni、Mn、Al、Ti又はZrである。物性値に変化がない程度に微小量の、FeおよびM(Co、Ni、Mn、Al、Ti又はZr)の一部を他の元素に置換することもできる。一般式(I)で表される化合物(I)は、微量の金属不純物が含まれていても本発明の効果が損なわれるものではない。
一般式(I)で表される化合物(I)は、LiFePOで表されるリン酸鉄リチウム(以下、単に「リン酸鉄リチウム」ともいう。)が好ましい。
正極活物質粒子として、表面の少なくとも一部に導電材料を含む活物質被覆部が存在するリン酸鉄リチウム粒子(以下「被覆リン酸鉄リチウム粒子」ともいう。)がより好ましい。電池容量、サイクル特性により優れる点から、リン酸鉄リチウム粒子の表面全体が導電材料で被覆されていることがさらに好ましい。
被覆リン酸鉄リチウム粒子は公知の方法で製造できる。
被覆リン酸鉄リチウム粒子の活物質被覆部は、非晶質炭素の存在比率が結晶質炭素の存在比率よりも高い、低結晶性の炭素で構成されることが好ましい。
低結晶性の炭素を被覆したリン酸鉄リチウム粒子を得る製造方法は、特に制限はないが、例えば、リン酸鉄粒子に対して前記炭素前駆体を添加して熱処理する方法や、リン酸鉄リチウム粒子を流動させながら、前記化学蒸着炭素源を用いたCVD処理を施して表面に炭素被膜を形成させる方法が挙げられる。
リン酸鉄粒子の粒子径は、粉砕工程における粉砕時間等によって調整できる。リン酸鉄リチウム粉末を被覆する炭素の量は、炭素を被覆する処理の温度や時間によって調整できる。被覆されなかった炭素粒子はその後の分級や洗浄などの工程などにより取り除くことが望ましい。
正極活物質粒子は、前記一般式(I)で表される化合物(I)以外の他の正極活物質を含む他の正極活物質粒子を1種以上含んでもよい。
他の正極活物質は、リチウム遷移金属複合酸化物が好ましい。例えば、コバルト酸リチウム(LiCoO)、ニッケル酸リチウム(LiNiO)、ニッケルコバルトアルミン酸リチウム(LiNiCoAl、ただしx+y+z=1)、ニッケルコバルトマンガン酸リチウム(LiNiCoMn、ただしx+y+z=1)、マンガン酸リチウム(LiMn)、コバルトマンガン酸リチウム(LiMnCoO)、クロム酸マンガンリチウム(LiMnCrO)、バナジウムニッケル酸リチウム(LiNiVO)、ニッケル置換マンガン酸リチウム(例えば、LiMn1.5Ni0.5)、及びバナジウムコバルト酸リチウム(LiCoVO)、これらの化合物の一部を金属元素で置換した非化学量論的化合物等が挙げられる。前記金属元素としては、Mn、Mg、Ni、Co、Cu、Zn及びGeからなる群から選択される1種以上が挙げられる。
他の正極活物質粒子の表面の少なくとも一部に、前記活物質被覆部が存在してもよい。
正極活物質粒子の総質量(活物質被覆部を有する場合は活物質被覆部の質量も含む)に対して、前記一般式(I)で表される化合物の含有量は50質量%以上が好ましく、80質量%以上がより好ましく、90質量%以上がさらに好ましい。100質量%でもよい。
被覆リン酸鉄リチウム粒子を用いる場合、正極活物質粒子の総質量に対して、被覆リン酸鉄リチウム粒子の含有量は50質量%以上が好ましく、80質量%以上がより好ましく、90質量%以上がさらに好ましい。100質量%でもよい。
正極活物質粒子の活物質被覆部の厚さは、1~100nmが好ましい。
正極活物質粒子の活物質被覆部の厚さは、正極活物質粒子の透過電子顕微鏡(TEM)像における活物質被覆部の厚さを計測する方法で測定できる。正極活物質粒子の表面に存在する活物質被覆部の厚さは均一でなくてもよい。正極活物質粒子の表面の少なくとも一部に厚さ1nm以上の活物質被覆部が存在し、活物質被覆部の厚さの最大値が100nm以下であることが好ましい。
正極活物質粒子の平均粒子径(活物質被覆部を有する場合は活物質被覆部の厚さも含む)は、0.1~20.0μmが好ましく、0.5~15.0μmがより好ましい。正極活物質粒子を2種以上用いる場合、それぞれの平均粒子径が上記の範囲内であればよい。
前記平均粒子径が上記範囲の下限値以上であると、正極製造用組成物における分散性が良くなりやすく、また、凝集物が発生し難くなりやすい。一方、上記範囲の上限値以下であると比表面積が適度に大きくなり、充放電で反応する面積を確保しやすい。
本明細書における正極活物質粒子の平均粒子径は、レーザー回折・散乱法による粒度分布測定器を用いて測定した体積基準のメジアン径である。
[結着材]
正極活物質層12に含まれる結着材は有機物であり、例えば、ポリアクリル酸(PAA)、ポリアクリル酸リチウム(PAALi)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリフッ化ビニリデン-ヘキサフルオロプロピレン共重合体(PVDF-HFP)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルアセタール(PVAC)、ポリエチレンオキサイド(PEO)、ポリエチレングリコール(PEG)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ポリアクリルニトリル(PAN、ポリイミド(PI)等が挙げられる。結着材は1種でもよく、2種以上を併用してもよい。
結着材がポリフッ化ビニリデン(PVDF)を含むことが好ましい。
正極活物質層が結着材を含有する場合、結着材の含有量は、正極活物質層の総質量に対して0.1~4.0質量%が好ましく、0.3~3.0質量%がより好ましく、0.5~2.0質量%がさらに好ましい。結着材の含有量が上記範囲の下限値以上であると、正極活物質が充分に結着され、正極の機械的強度が得られる。上限値以下であるとイオンの伝導に寄与しない物質の割合が少なくなり、電極の内部抵抗を低減できる。
[導電助剤]
正極活物質層12に含まれる導電助剤は、公知のものを用いることができる。
導電性炭素を含む導電助剤としては、グラファイト、グラフェン、ハードカーボン、ケッチェンブラック、アセチレンブラック、カーボンナノチューブ(CNT)等が挙げられる。導電助剤は1種でもよく、2種以上を併用してもよい。
正極活物質層における導電助剤の含有量は、例えば、正極活物質の総質量100質量部に対して、3質量部未満が好ましく、2質量部未満がより好ましく、1質量部以下がさらに好ましく、導電助剤を含まないことが特に好ましく、独立した導電助剤粒子(例えば独立した炭素粒子)が存在しない状態が望ましい。
前記導電助剤の含有量が、上記上限値以下であると、反応活性点が少ない正極活物質層が形成できる。
正極活物質層に導電助剤を配合する場合、導電助剤の含有量の下限値は、導電助剤の種類に応じて適宜決定され、例えば、正極活物質層の総質量に対して0.1質量%超とされる。
なお、正極活物質層が「導電助剤を含まない」とは、実質的に含まないことを意味し、本発明の効果に影響を及ぼさない程度に含むものを排除するものではない。例えば、導電助剤の含有量が正極活物質層の総質量に対して0.1質量%以下であれば、実質的に含まれないと判断できる。
[分散剤]
正極活物質層12に含まれる分散剤は有機物であり、例えば、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルブチラール(PVB)、ポリビニルホルマール(PVF)等が挙げられる。分散剤は1種でもよく、2種以上を併用してもよい。
分散剤は正極活物質層における粒子の分散性向上に寄与する。一方、分散剤の含有量が多すぎると電極の内部抵抗が増大しやすい。
正極活物質層の総質量に対して、分散剤の含有量は0.5質量%以下が好ましく、0.2質量%以下がより好ましい。
正極活物質層が分散剤を含有する場合、分散剤の含有量の下限値は、正極活物質層の総質量に対して0.01質量%以上が好ましく、0.05質量%以上がより好ましい。
[正極集電体本体]
正極集電体本体14を構成する材料としては、銅、アルミニウム、チタン、ニッケル、ステンレス鋼等の導電性を有する金属が例示できる。
正極集電体本体14は、金属材料からなる箔(金属箔)であり、表面に形成される酸化膜を含んでいてもよい。
正極集電体本体14の厚みは、例えば8~40μmが好ましく、10~25μmがより好ましい。
正極集電体本体14の厚み及び正極集電体11の厚みは、マイクロメータを用いて測定できる。測定器の一例としてはミツトヨ社製品名「MDH-25M」が挙げられる。
[集電体被覆層]
正極集電体本体14の表面の少なくとも一部に集電体被覆層15が存在する。集電体被覆層15は導電材料を含む。
ここで、「表面の少なくとも一部」とは、正極集電体本体の表面の面積の10%~100%、好ましくは30%~100%、より好ましくは50%~100%を意味する。
集電体被覆層15中の導電材料は、炭素(導電性炭素)を含むことが好ましい。炭素のみからなる導電材料がより好ましい。
集電体被覆層15は、例えばカーボンブラック等の炭素粒子と結着材を含むコーティング層が好ましい。集電体被覆層15の結着材は、正極活物質層12の結着材と同様のものを例示できる。
正極集電体本体14の表面を集電体被覆層15で被覆した正極集電体11は、例えば、導電材料、結着材、及び溶媒を含むスラリーを、グラビア法等の公知の塗工方法を用いて正極集電体本体14の表面に塗工し、乾燥して溶媒を除去する方法で製造できる。
集電体被覆層15の厚みは、0.01~7.0μmが好ましく、0.1~5.0μmがより好ましく、0.2~2.0μmがさらに好ましい。上記範囲であると、クラックやピンホールがない均一な被膜層を形成することができ、また膜厚に起因する電池重量の増加や、電極の内部抵抗を小さくすることができる。
集電体被覆層の厚さは、集電体被覆層の断面の透過電子顕微鏡(TEM)像又は走査型電子顕微鏡(SEM)像における被覆層の厚さを計測する方法で測定できる。集電体被覆層の厚さは均一でなくてもよい。
正極集電体本体14の両面に集電体被覆層15が存在する場合、両者の平均値が上記の範囲内であればよい。
[導電性炭素含有量]
本実施形態において、正極活物質層12は導電性炭素を含む。
正極活物質層の総質量に対して、導電性炭素の含有量は0.5~3.5質量%が好ましく、1.0~3.0質量%がより好ましく、1.2~2.8質量%がさらに好ましく、1.5~2.5質量%未満が特に好ましい。
正極活物質層中の導電性炭素の含有量が、上記範囲の下限値以上であると良好な導電パス形成と低抵抗な特性に優れ、上限値以下であると孤立する導電性炭素が少なく、反応活性点が少ない正極活物質層を形成できる。
正極活物質層の総質量に対する導電性炭素の含有量は、活物質の炭素含有量と配合量、及び導電助剤の炭素含有量と配合量に基づいて算出できる。又は、正極から正極活物質層を剥がして120℃環境で真空乾燥した乾燥物(粉体)を測定対象物として、下記≪導電性炭素含有量の測定方法≫で測定できる。
例えば、正極活物質層の最表面の、深さ数μmの部分をスパチュラ等で剥がした粉体を120℃環境で真空乾燥させて測定対象物とすることができる。
下記≪導電性炭素含有量の測定方法≫で測定した導電性炭素の含有量は、活物質被覆部中の炭素と、導電助剤中の炭素を含む。結着材中の炭素は含まれない。分散剤中の炭素は含まれない。
≪導電性炭素含有量の測定方法≫
[測定方法A]
測定対象物を均一に混合して試料(質量w1)を量りとり、下記の工程A1、工程A2の手順で熱重量示差熱(TG-DTA)測定を行い、TG曲線を得る。得られたTG曲線から下記第1の重量減少量M1(単位:質量%)及び第2の重量減少量M2(単位:質量%)を求める。M2からM1を減算して導電性炭素の含有量(単位:質量%)を得る。
工程A1:300mL/分のアルゴン気流中において、10℃/分の昇温速度で30℃から600℃まで昇温し、600℃で10分間保持したときの質量w2から、下記式(a1)により第1の重量減少量M1を求める。
M1=(w1-w2)/w1×100 …(a1)
工程A2:前記工程A1の直後に600℃から10℃/分の降温速度で降温し、200℃で10分間保持した後に、測定ガスをアルゴンから酸素へ完全に置換し、100mL/分の酸素気流中において、10℃/分の昇温速度で200℃から1000℃まで昇温し、1000℃にて10分間保持したときの質量w3から、下記式(a2)により第2の重量減少量M2(単位:質量%)を求める。
M2=(w1-w3)/w1×100 …(a2)
[測定方法B]
測定対象物を均一に混合して試料を0.0001mg精秤し、下記の燃焼条件で試料を燃焼し、発生した二酸化炭素をCHN元素分析装置により定量し、試料に含まれる全炭素量M3(単位:質量%)を測定する。また、前記測定方法Aの工程A1の手順で第1の重量減少量M1を求める。M3からM1を減算して導電性炭素の含有量(単位:質量%)を得る。
[燃焼条件]
燃焼炉:1150℃
還元炉:850℃
ヘリウム流量:200mL/分
酸素流量:25~30mL/分
[測定方法C]
上記測定方法Bと同様にして、試料に含まれる全炭素量M3(単位:質量%)を測定する。また、下記の方法で結着材由来の炭素の含有量M4(単位:質量%)を求める。M3からM4を減算して導電性炭素の含有量(単位:質量%)を得る。
結着材がポリフッ化ビニリデン(PVDF:モノマー(CHCF)の分子量64)である場合は、管状式燃焼法による燃焼イオンクロマトグラフィーにより測定されたフッ化物イオン(F)の含有量(単位:質量%)、PVDFを構成するモノマーのフッ素の原子量(19)、及びPVDFを構成する炭素の原子量(12)から以下の式で計算することができる。
PVDFの含有量(単位:質量%)=フッ化物イオンの含有量(単位:質量%)×64/38
PVDF由来の炭素の含有量M4(単位:質量%)=フッ化物イオンの含有量(単位:質量%)×12/19
結着材がポリフッ化ビニリデンであることは、試料、又は試料をN,N-ジメチルホルムアミド(DMF)溶媒により抽出した液体をフーリエ変換赤外スペクトル(FT-IR)測定し、C-F結合由来の吸収を確認する方法で確かめることができる。同様に19F-NMR測定でも確かめることができる。
結着材がPVDF以外と同定された場合は、その分子量に相当する結着材の含有量(単位:質量%)および炭素の含有量(単位:質量%)を求めることで、結着材由来の炭素量M4を算出できる。
分散剤が含まれる場合は、前記M3からM4を減算し、さらに分散剤由来の炭素量を減算して導電性炭素の含有量(単位:質量%)を得ることができる。
これらの手法は下記複数の公知文献に記載されている。
東レリサーチセンター The TRC News No.117 (Sep.2013)第34~37頁、[2021年2月10日検索]、インターネット<https://www.toray-research.co.jp/technical-info/trcnews/pdf/TRC117(34-37).pdf>
東ソー分析センター 技術レポート No.T1019 2017.09.20、[2021年2月10日検索]、インターネット<http://www.tosoh-arc.co.jp/techrepo/files/tarc00522/T1719N.pdf>
≪導電性炭素の分析方法≫
正極活物質の活物質被覆部を構成する導電性炭素と、導電助剤である導電性炭素は、以下の分析方法で区別できる。
例えば、正極活物質層中の粒子を透過電子顕微鏡電子エネルギー損失分光法(TEM-EELS)により分析し、粒子表面近傍にのみ290eV付近の炭素由来のピークが存在する粒子は正極活物質であり、粒子内部にまで炭素由来のピークが存在する粒子は導電助剤と判定することができる。ここで「粒子表面近傍」とは、粒子表面からの深さが、約100nmまでの領域を意味し、「粒子内部」とは前記粒子表面近傍よりも内側の領域を意味する。
他の方法としては、正極活物質層中の粒子をラマン分光によりマッピング解析し、炭素由来のG-bandとD-band、及び正極活物質由来の酸化物結晶のピークが同時に観測された粒子は正極活物質であり、G-bandとD-bandのみが観測された粒子は導電助剤と判定することができる。
さらに他の方法としては、広がり抵抗顕微鏡(SSRM:Scanning Spread Resistance Microscope)により、正極活物質層の断面を観察し、粒子表面に粒子内部より抵抗が低い部分が存在する場合、抵抗が低い部分は活物質被覆部に存在する導電性炭素であると判定できる。そのような粒子以外に独立して存在し、かつ抵抗が低い部分は導電助剤であると判定することができる。
なお、不純物として考えられる微量な炭素や、製造時に正極活物質の表面から意図せず剥がれた微量な炭素などは、導電助剤と判定しない。
これらの方法を用いて、炭素材料からなる導電助剤が正極活物質層に含まれるか否かを確認することができる。
<正極の製造方法>
本実施形態の正極1の製造方法は、正極活物質を含む正極製造用組成物を調製する組成物調製工程と、正極製造用組成物を正極集電体11上に塗工する塗工工程を有する。
例えば、正極活物質及び溶媒を含む正極製造用組成物を、正極集電体11上に塗工し、乾燥し溶媒を除去して正極活物質層12を形成する方法で正極1を製造できる。正極製造用組成物は導電助剤を含んでもよい。正極製造用組成物は結着材を含んでもよい。正極製造用組成物は分散剤を含んでもよい。
正極集電体11上に正極活物質層12を形成した積層物を、2枚の平板状冶具の間に挟み、厚み方向に均一に加圧する方法で、正極活物質層12の厚みを調整できる。例えば、ロールプレス機を用いて加圧する方法を使用できる。
前記積層物を加圧する際の加圧力(プレス圧力)は、例えば、線圧が0.6~2.5kN/mであることが好ましく、1.0~2.4kN/mがより好ましい。
正極製造用組成物の溶媒は非水系溶媒が好ましい。例えば、メタノール、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール等のアルコール;N-メチルピロリドン、N,N-ジメチルホルムアミド等の鎖状又は環状アミド;アセトン等のケトンが挙げられる。溶媒は1種でもよく、2種以上を併用してもよい。
<非水電解質二次電池>
図2に示す本実施形態の非水電解質二次電池10は、本実施形態の非水電解質二次電池用正極1と、負極3と、非水電解液4とを備える。さらにセパレータ2を備えてもよい。図中符号5は外装体である。
本実施形態において、正極1は、板状(シート状)の正極集電体11と、その両面上に設けられた正極活物質層12と有する。正極活物質層12は正極集電体11の表面の一部に存在する。正極集電体11の表面の縁部は、正極活物質層12が存在しない正極集電体露出部13である。正極集電体露出部13の表面には、集電体被覆層15が存在していてもよいし、集電体被覆層15が存在しなくてもよい(すなわち、正極集電体本体14が露出していてもよい)。正極集電体露出部13の任意の箇所に、図示しない端子用タブが電気的に接続する。
本実施形態において、負極3は、板状(シート状)の負極集電体31と、その両面上に設けられた負極活物質層32とを有する。負極活物質層32は負極集電体31の表面の一部に存在する。負極集電体31の表面の縁部は、負極活物質層32が存在しない負極集電体露出部33である。負極集電体露出部33の任意の箇所に、図示しない端子用タブが電気的に接続する。
正極1、負極3およびセパレータ2の形状は特に限定されない。例えば平面視矩形状でもよい。
図2では、代表的に、負極/セパレータ/正極/セパレータ/負極の順に積層した構造を示しているが、電極の数は適宜変更できる。正極1は1枚以上あればよく、得ようとする電池容量に応じて任意の数の正極1を用いることができる。負極3及びセパレータ2は、正極1の数より1枚多く用い、最外層が負極3となるように積層する。
[負極]
負極活物質層32は負極活物質を含む。負極活物質層32はさらに結着材を含んでもよい。負極活物質層32はさらに導電助剤を含んでもよい。負極活物質の形状は、粒子状が好ましい。
負極3は、例えば、負極活物質、結着材、及び溶媒を含む負極製造用組成物を調製し、これを負極集電体31上に塗工し、乾燥し溶媒を除去して負極活物質層32を形成する方法で製造できる。負極製造用組成物は導電助剤を含んでもよい。
負極活物質及び導電助剤としては、例えば炭素材料、チタン酸リチウム(LTO)、シリコン、一酸化シリコン等が挙げられる。炭素材料としては、グラファイト、グラフェン、ハードカーボン、ケッチェンブラック、アセチレンブラック、カーボンナノチューブ(CNT)等が挙げられる。負極活物質及び導電助剤は、それぞれ1種でもよく2種以上を併用してもよい。
負極集電体31の材料は、上記した正極集電体11の材料と同様のものを例示できる。
負極製造用組成物中の結着材としては、ポリアクリル酸(PAA)、ポリアクリル酸リチウム(PAALi)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリフッ化ビニリデン-六フッ化プロピレン共重合体(PVDF-HFP)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリエチレンオキサイド(PEO)、ポリエチレングリコール(PEG)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ポリアクリルニトリル(PAN)、ポリイミド(PI)等が例示できる。結着材は1種でもよく2種以上を併用してもよい。
負極製造用組成物中の溶媒としては、水、有機溶媒が例示できる。有機溶媒としては、メタノール、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール等のアルコール;N-メチルピロリドン(NMP)、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)等の鎖状又は環状アミド;アセトン等のケトンが例示できる。溶媒は1種でもよく2種以上を併用してもよい。
負極活物質層32の総質量に対して、負極活物質及び導電助剤の合計の含有量は80.0~99.9質量%が好ましく、85.0~98.0質量%がより好ましい。
[セパレータ]
セパレータ2を負極3と正極1との間に配置して短絡等を防止する。セパレータ2は、後述する非水電解液4を保持してもよい。
セパレータ2としては、特に限定されず、多孔性の高分子膜、不織布、ガラスファイバー等が例示できる。
セパレータ2の一方又は両方の表面上に絶縁層を設けてもよい。絶縁層は、絶縁性微粒子を絶縁層用結着材で結着した多孔質構造を有する層が好ましい。
セパレータ2の厚さは、例えば、5~30μmとされる。
セパレータ2は、各種可塑剤、酸化防止剤、難燃剤を含んでもよい。
酸化防止剤としては、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、モノフェノール系酸化防止剤、ビスフェノール系酸化防止剤、ポリフェノール系酸化防止剤等のフェノール系酸化防止剤;ヒンダードアミン系酸化防止剤;リン系酸化防止剤;イオウ系酸化防止剤;ベンゾトリアゾール系酸化防止剤;ベンゾフェノン系酸化防止剤;トリアジン系酸化防止剤;サルチル酸エステル系酸化防止剤等が例示できる。フェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤が好ましい。
[非水電解液(非水電解質)]
非水電解液4は正極1と負極3との間を満たす。例えば、リチウムイオン二次電池、電気二重層キャパシタ等において公知の非水電解液を使用できる。
非水電解質二次電池10の製造に用いる非水電解液は、有機溶媒と電解質塩とを含む。さらに添加剤を含んでもよい。
製造後(初期充電後)の非水電解質二次電池10は、有機溶媒と電解質塩を含み、さらに添加剤に由来する残留物又は痕跡を含んでもよい。
有機溶媒は、高電圧に対する耐性を有するものが好ましい。例えば、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、γ-ブチロラクトン、スルホラン、ジメチルスルホキシド、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、1,2-ジメトキシエタン、1,2-ジエトキシエタン、テトロヒドラフラン、2-メチルテトラヒドロフラン、ジオキソラン、メチルアセテート等の極性溶媒、又はこれら極性溶媒の2種類以上の混合物が挙げられる。
電解質塩は、特に限定されず、例えばLiClO、LiPF、LiBF、LiAsF、LiCF、LiCFCO、LiPFSO、LiN(SOF)、LiN(SOCF、Li(SOCFCF、LiN(COCF、LiN(COCFCF等のリチウムを含む塩、又はこれら塩の2種以上の混合物が挙げられる。
添加剤としては、硫黄原子及び窒素原子の一方又は両方を含む化合物が挙げられる。添加剤は、1種単独でもよいし、2種以上の組み合わせでもよい。
<非水電解質二次電池の製造方法>
本実施形態の非水電解質二次電池の製造方法は、正極、セパレータ、負極、非水電解液、外装体等を公知の方法で組み立て、非水電解質二次電池を得る方法が挙げられる。
本実施形態の非水電解質二次電池の製造方法の一例について説明する。例えば、正極1と負極3を、セパレータ2を介して交互に積層した電極積層体を作製する。電極積層体をアルミラミネート袋等の外装体(筐体)5に封入する。次いで、非水電解液4を外装体に注入し、外装体5を密閉して、非水電解質二次電池とする。
<正極活物質層の空隙率>
本実施形態において、正極活物質層12は多孔質層であり、その空隙率(空孔率、細孔率または多孔度と呼ばれることもある。)は40%以下であり、39%以下が好ましく、38%以下がより好ましい。空隙率が上記上限値以下であると集電体被覆層と正極活物質層との密着力に優れる。例えば、後述の剥離試験において、集電体被覆層と正極活物質層との界面が剥離せず、正極活物質層の凝集破壊が生じるように密着力を高めることができる。集電体被覆層と正極活物質層との密着力が高まると、正極集電体と正極活物質層間の抵抗が低下し、電池特性が向上する。
正極活物質層の空隙率の下限値は特に限定されないが、イオン伝導の点からは25%以上であることが好ましく、30%以上であることがより好ましく、さらに35%以上であることがより好ましい。
ここで、空隙率とは「正極活物質層の単位体積あたりの空隙の体積が占める百分率」を意味する。本明細書における空隙率は、下記の測定方法により測定した値である。
[空隙率の測定方法]
空隙率は、電極の体積密度、電極構成成分の重量比及び真密度から得られる。
例えば、正極活物質、導電助剤、結着材からなる正極活物質層の空隙率は下記式(b1)で求められる。
空隙率(%)=(1-正極の体積密度/正極活物質層の真密度)×100…(b1)
ここで、正極活物質層の真密度は、下記式(b2)で算出される。
正極活物質層の密度=100/(正極活物質比率/活物質の真密度+導電助剤比率/導電助剤の真密度+結着材の比率/結着材の真密度)…(b2)
分散剤を含む場合には、正極活物質層の真密度に分散剤比率/分散剤の真密度を加える。
正極の体積密度は以下の測定方法により測定した値である。
マイクロゲージを用いて正極シートの厚み及び正極集電体露出部13の厚みを測定した。それぞれ任意の5点で測定して平均値を求める。
正極シートを、直径16mmの円形に打ち抜いた測定試料を5枚準備する。
各測定試料の質量を精密天秤にて秤量し、測定結果から、予め測定した正極集電体11の質量を差し引くことにより、測定試料中の正極活物質層12の質量を算出する。各測定値の平均値から下記式(b3)に基づいて、正極活物質層の体積密度を算出する。
体積密度(単位:g/cm)=正極活物質層の質量(単位:g)/[(正極活物質層 の厚み(単位:cm)×測定試料の面積(単位:cm)]・・・(b3)
正極活物質層12の空隙率は、例えば、正極集電体11上に正極活物質層12を形成した積層物を加圧する際の加圧力(プレス圧力)、正極活物質粒子の粒子径、正極活物質層12における、正極活物質粒子の含有量、導電助剤の含有量、結着材の含有量によって調整できる。
プレス圧力が大きいほど空隙率は小さくなる傾向がある。
集電体被覆層と正極活物質層との密着力の指標として、後述の剥離試験で測定される正極活物質層の剥離強度(180°剥離強度)を用いることができる。正極活物質層の剥離強度は10~1,000mN/cmが好ましく、20~500mN/cmがより好ましく、30~300mN/cmがさらに好ましい。
本実施形態の非水電解質二次電池は、産業用、民生用、自動車用、住宅用等、各種用途のリチウムイオン二次電池として使用できる。
本実施形態の非水電解質二次電池の使用形態は特に限定されない。例えば、複数個の非水電解質二次電池を直列又は並列に接続して構成した電池モジュール、電気的に接続した複数個の電池モジュールと電池制御システムとを備える電池システム等に用いることができる。
電池システムの例としては、電池パック、定置用蓄電池システム、自動車の動力用蓄電池システム、自動車の補機用蓄電池システム、非常電源用蓄電池システム等が挙げられる。
以下に実施例を用いて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
<測定方法>
[正極活物質層の空隙率の測定方法]
上記の方法で正極活物質層の空隙率を測定した。
[剥離試験]
下記の方法で正極活物質層の剥離強度を測定した。
図3は、正極活物質層の剥離強度の測定方法の工程図である。図3に示す工程(S1)~(S7)を順に説明する。図3は、その構成をわかりやすく説明するための模式図であり、各構成要素の寸法比率等は、実際とは異なる場合もある。
(S1)先ず、幅25mm、長さ120mmの長方形の両面テープ50を準備する。両面テープ50は粘着層50aの両面に剥離紙50b、50cが積層されている。両面テープ50としては、日東電工社製品名「No.5015、25mm幅」を用いた。
(S2)両面テープ50の片面の離型紙50cを剥がし、粘着層50aの表面(以下、「糊面」ともいう。)が露出した粘着体55とする。粘着体55において、長さ方向の一端部55aからの距離が約10mmのところに折り曲げ位置51を設ける。
(S3)前記折り曲げ位置51より一端部55a側を、糊面と糊面とが接着するように折り曲げる。
(S4)粘着体55の糊面と、正極シート60の正極活物質層12とが接触するように、粘着体55と正極シート60とを貼り合わせる。
(S5)粘着体55の外縁に沿って正極シート60を切り出し、長さ方向に圧着ローラーを2往復させる方法で、粘着体55と正極シート60とを圧着させて複合体65を得る。
(S6)ステンレス板70の一面に、複合体65の粘着体55側の外面を接触させ、折り曲げ位置51とは反対側の他端部65bを、メンディングテープ80でステンレス板70に固定する。メンディングテープ80としては、3M社製品名「スコッチテープメンディングテープ18mm×30小巻810-1-18D」を用いた。メンディングテープ80の長さは約30mmとし、ステンレス板70の端部から複合体65の他端部65bまでの距離Aは約5mm、メンディングテープ80の一端部80aから複合体65の他端部65bまでの距離Bは5mmとする。メンディングテープ80の他端部80bはステンレス板70の他面に貼り付ける。
(S7)複合体65の折り曲げ位置51側の端部において、粘着体55から正極シート60を、長さ方向に対して平行にゆっくりと剥がす。メンディングテープ80で固定されていない正極シート60の端部(以下、「剥離端」という)60aが、ステンレス板70からはみ出す程度までゆっくりと剥がす。
次いで、複合体65が固定されたステンレス板70を、図示しない引っ張り試験機(島津製作所製品名「EZ-LX」)に設置し、粘着体55の折り曲げ位置51側の端部を固定し、正極シート60の剥離端60aを折り曲げ位置51とは反対方向(折り曲げ位置51に対して180°方向)に、引っ張り速度60mm/分、試験力50000mN、ストローク70mmで引っ張って剥離強度を測定する。ストローク20~50mmにおける剥離強度の平均値を、正極活物質層12の剥離強度とする。
(S8)剥離試験後に剥離状態を観察した。正極シート60のうち、粘着層50aと密着している正極活物質層12と正極集電体11との界面、すなわち正極活物質層12と集電体被覆層との界面が剥離した場合を「界面剥離」と判定する。粘着層50aと密着している正極活物質層12が破断された場合を「凝集破壊」と判定する。
<評価方法>
[高温劣化耐性]
高温劣化耐性の評価は、下記(1)~(7)の手順に沿って行った。
(1)定格容量が1Ahとなるように非水電解質二次電池(セル)を作製した。
(2)得られたセルに対して、25℃環境下で0.2Cレート(すなわち、200mA)で一定電流にて終止電圧3.6Vで充電を行った後、一定電圧にて前記充電電流の1/4を終止電流(すなわち、50mA)として充電を行った。
(3)25℃環境下で容量確認のための放電を0.2Cレートで一定電流にて終止電圧2.5Vで行った。このときの放電容量を基準容量とし、基準容量を1Cレートの電流値とした(すなわち、1,000mAとした)。
(4)25℃環境下でセルの0.2Cレート(すなわち、200mA)で一定電流にて終止電圧3.6Vで充電を行った後、一定電圧にて前記充電電流の1/4を終止電流(すなわち、50mA)として充電を行った。その後、75℃でセルを保管した。
(5)24時間保管後、セルを25℃環境下に2時間静置し、放電を0.2Cレートで一定電流にて終止電圧2.5Vで行った。
(6)前記(5)で測定された75℃保管後の放電容量を、前記(3)で行った放電容量で除して百分率とする事で、容量維持率(単位:%)を算出した。
(7)前記(4)から(6)を容量維持率が80%未満になるまで繰返し、容量維持率と日数をプロットして、容量維持率が80%未満となる日数を求めた。この日数が多いほど、セルの高温劣化耐性に優れる。
<使用材料>
[負極]
下記負極製造例1で製造した負極。
[集電体]
下記集電体製造例1で製造した、集電体被覆層を有する集電体。
[正極活物質粒子]
正極活物質粒子として、リン酸鉄リチウムからなる芯部と低結晶性の炭素からなる被覆部を有する被覆粒子(以下「LFP被覆粒子」ともいう。)を用いた。
LFP(1):平均粒子径1.2μm、炭素含有量1.1質量%、被覆種が低結晶性の炭素のLFP被覆粒子。
LFP(2):平均粒子径1.1μm、炭素含有量1.1質量%、被覆種が低結晶性の炭素のLFP被覆粒子。
LFP(3):平均粒子径10.0μm、炭素含有量1.5質量%、被覆種が低結晶性の炭素のLFP被覆粒子。
LFP(4):平均粒子径11.0μm、炭素含有量2.0質量%、被覆種が低結晶性の炭素のLFP被覆粒子。
[その他]
導電助剤として、カーボンブラック(CB)を用いた。CBは不純物が定量限界以下であり、炭素含有量100質量%とみなすことができる。
結着材として、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)を用いた。
溶媒として、N-メチルピロリドン(NMP)を用いた。
<負極製造例1:負極の製造>
負極活物質である人造黒鉛100質量部と、結着材であるスチレンブタジエンゴム1.5質量部と、増粘材であるカルボキシメチルセルロースNa1.5質量部と、溶媒である水とを混合し、固形分50質量%の負極製造用組成物を得た。
得られた負極製造用組成物を、銅箔(厚さ8μm)の両面上にそれぞれ塗工し、100℃で真空乾燥して負極活物質層を形成した。負極製造用組成物の塗工量(表裏両面合計)は20mg/cmとした。両面それぞれの負極活物質層は、塗工量及び厚みが互いに均等になるように形成した。塗工後に線圧を2kN/mとして加圧プレスし、負極シートを得た。
得られた負極シートを打ち抜き、負極とした。
<集電体製造例1:(集電体被覆層あり)の製造>
以下の方法で正極集電体本体の表裏両面を集電体被覆層で被覆して正極集電体を作製した。正極集電体本体としてはアルミニウム箔(厚さ15μm)を用いた。
カーボンブラックと、結着材と、導電性炭素と、溶媒である純水とを混合してスラリーを得た。純水の使用量はスラリーを塗工するのに必要な量とした。
得られたスラリーを正極集電体本体の両面にグラビア法で塗工し、乾燥し溶媒を除去して集電体被覆層を形成し、正極集電体を得た。
<例1~12>
例1~7は実施例、例8~12は比較例である。
以下の方法で正極活物質層を形成した。
表1に示す配合の正極活物質粒子、導電助剤、結着材、及び溶媒をミキサーにて混合して正極製造用組成物を得た。溶媒の使用量は、正極製造用組成物を塗工するのに必要な量とした。
得られた正極製造用組成物を、正極集電体の両面上にそれぞれ塗工し、予備乾燥後、120℃環境で真空乾燥して正極活物質層を形成した後、表1に示すプレス圧力(線圧)で加圧プレスし、正極シートを得た。正極製造用組成物の塗工量(表裏両面合計)は20.0mg/cmとした。両面それぞれの正極活物質層は、塗工量及び厚みが互いに均等になるように形成した。
得られた正極シートについて、正極活物質層の総質量に対する導電性炭素含有量を求めた。結果を表1に示す。
正極活物質粒子の炭素含有量と配合量、及び導電助剤の炭素含有量と配合量に基づいて、正極活物質層の総質量に対する導電性炭素の含有量を算出した。上記≪導電性炭素含有量の測定方法≫に記載の方法を用いて確認することも可能である。
得られた正極シートを試料として、上記の方法で、空隙率の測定及び剥離試験を行った。結果を表1に示す。
得られた正極シートを打ち抜き、正極とした。
<非水電解質二次電池の製造>
以下の方法で、図2に示す構成の非水電解質二次電池を製造した。
エチレンカーボネート(EC)とジエチルカーボネート(DEC)を、EC:DECの体積比が3:7となるように混合した溶媒に、電解質としてLiPFを1モル/リットルとなるように溶解して、非水電解液を調製した。
上記の各例で得た正極と、負極とを、セパレータを介して交互に積層し、最外層が負極である電極積層体を作製した。セパレータとしては、ポリオレフィンフィルム(厚さ15μm)を用いた。
電極積層体を作製する工程では、まず、セパレータ2と正極1とを積層し、その後、セパレータ2上に負極3を積層した。
電極積層体の正極集電体露出部13及び負極集電体露出部33のそれぞれに、端子用タブを電気的に接続し、端子用タブが外部に突出するように、アルミラミネートフィルムで電極積層体を挟み、三辺をラミネート加工して封止した。
続いて、封止せずに残した一辺から非水電解液を注入し、真空封止して非水電解質二次電池(ラミネートセル)を製造した。
得られた非水電解質二次電池(ラミネートセル)について、上記の方法で、高温劣化耐性を評価した。結果を表1に示す。
Figure 0007323690000002
表1に示されるように、正極活物質層の空隙率が40%以下である、例1~7の非水電解質二次電池用正極は、剥離強度が高く、剥離試験において正極活物質層の凝集破壊が生じ、高温劣化耐性にも優れていた。正極活物質層の凝集破壊は、集電体被覆層と正極活物質層との界面の密着力が高いことを意味する。
一方、正極活物質層の空隙率が40%を超える例8~11の非水電解質二次電池用正極は、剥離強度が低く、剥離試験において集電体被覆層と正極活物質層との界面で剥離が生じた。また、空隙率が40%を超えると、同じ導電性炭素量においても、反応点が増加することから、高温劣化が進行しやすかった。
12では、空隙率が40%以下であっても、導電性炭素量が3.5%を超えると、二次電池における高温劣化耐性が劣った。これは、導電助剤によって反応点が増加したことを意味する。
1 正極
2 セパレータ
3 負極
4 非水電解液
5 外装体
10 非水電解質二次電池
11 正極集電体
12 正極活物質層
13 正極集電体露出部
14 正極集電体本体
15 集電体被覆層
31 負極集電体
32 負極活物質層
33 負極集電体露出部
50 両面テープ
50a 粘着層
50b 剥離紙
50c 剥離紙
51 折り曲げ位置
55 粘着体
55a 粘着体の一端部
60 正極シート
60a 正極シートの端部(剥離端)
65 粘着体と正極シートの複合体
65b 複合体の他端部
70 ステンレス板
80 メンディングテープ
80a メンディングテープの一端部
80b メンディングテープの他端部

Claims (4)

  1. 正極集電体と、前記正極集電体上に存在する正極活物質層を有し、
    前記正極集電体の、前記正極活物質層側の表面の少なくとも一部に、導電材料を含む集電体被覆層が存在し、
    前記正極活物質層は正極活物質及び導電性炭素を含み、
    前記正極活物質層は正極活物質粒子を含み、前記正極活物質粒子は、前記正極活物質である芯部と、導電性炭素を含む活物質被覆部とを有する被覆粒子を含み、
    前記正極活物質が、一般式LiFe(1-x)PO(式中、0≦x≦1、MはCo、Ni、Mn、Al、Ti又はZrである。)で表される化合物を含み、
    前記正極活物質層の空隙率が40%以下であり、
    前記正極活物質層の総質量に対して前記導電性炭素の含有量が0.5~3.5質量%である、非水電解質二次電池用正極。
  2. 前記正極活物質層は結着材を含み、前記結着材はポリフッ化ビニリデンを含む、請求項1に記載の非水電解質二次電池用正極。
  3. 請求項1又は2に記載の非水電解質二次電池用正極、負極、及び前記非水電解質二次電池用正極と負極との間に存在する非水電解質を備える、非水電解質二次電池。
  4. 請求項3に記載の非水電解質二次電池の複数個を備える、電池モジュール又は電池システム。
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