JP2023141414A - 非水電解質二次電池用正極、並びにこれを用いた非水電解質二次電池、電池モジュール、及び電池システム - Google Patents

非水電解質二次電池用正極、並びにこれを用いた非水電解質二次電池、電池モジュール、及び電池システム Download PDF

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Abstract

【課題】電池内部で短絡を生じにくくし、乾式一軸延伸セパレータを用いた場合の短絡不良を低減することができる非水電解質二次電池用正極を提供する。【解決手段】セパレータ20と、セパレータ20の一方の面20aに積層された正極本体10と、を備え、正極本体10は、集電体11と、集電体11上に存在する、正極活物質粒子を含む正極活物質層12と、を有し、正極活物質層12の総質量に対して導電助剤の含有量が0.5質量%以下であり、セパレータ20は、多孔質層であり、ポロメータにより測定したセパレータ20の細孔の表面最大孔径が150nm以上である、非水電解質二次電池用正極1。【選択図】図1

Description

本発明は、非水電解質二次電池用正極、並びにこれを用いた非水電解質二次電池、電池モジュール、及び電池システムに関する。
非水電解質二次電池は、一般的に、正極、非水電解質、負極、及び正極と負極との間に設置される分離膜(セパレータ)により構成される。
非水電解質二次電池の正極としては、リチウムイオンを含む正極活物質、導電助剤、及び結着材からなる組成物を、金属箔(集電体)の表面にプレスして固着させ、電極活物質層を形成したものが知られている。
リチウムイオンを含む正極活物質としては、コバルト酸リチウム(LiCoO)、ニッケル酸リチウム(LiNiO)、マンガン酸リチウム(LiMn)等のリチウム遷移金属複合酸化物や、リン酸鉄リチウム(LiFePO)等のリチウムリン酸化合物が実用化されている。
非水電解質二次電池のセパレータには、耐電圧性が求められる。
特許文献1には、セパレータの耐電圧について、乾式一軸延伸セパレータは、湿式二軸延伸セパレータと比較して耐電圧が1/2程度であり、乾式一軸延伸セパレータの課題は電池内の短絡防止であると記載されている。
国際公開第2016/104782号
乾式一軸延伸セパレータは、一般に最大孔径が大きいため、耐電圧が低いことが課題である。電池の積層・倦回プロセス中に静電気が発生し放電を生ずるとその個所にセパレータに大きな空孔が生じると、電池が短絡して不良となる。これは空孔が小さい場合、徐々に電流漏れを生じて自己放電が大きくなる。すると、電池特性に影響するだけでなく、いずれその空孔を起点に大電流放電が生じれば、発火の恐れもある。一方、乾式一軸延伸セパレータは、耐圧縮性が高く、高温安定性が高いなどの利点を有しているため、その使いこなしが求められている。
本発明は、電池内部で短絡を生じにくくし、乾式一軸延伸セパレータを用いた場合の短絡不良を低減することができる非水電解質二次電池用正極を提供することを目的とする。
本発明者等は、鋭意検討した結果、以下の知見を得た。
乾式一軸セパレータを用いることで高圧のかかる電池内での耐圧縮性を高め、厚さ変化を抑えることで短絡防止に有効な効果を得た上に、正極活物質に導電助剤を用いないことで、正極活物質層の電子伝導性を均一化し、局所的に電子伝導の高い領域を設けないことによりセパレータの放電破壊を生じにくくすることで、電池内部での短絡を生じにくくするものである。これにより電池の短絡防止の面で乾式一軸セパレータの利点をいかしつつ欠点を補うことで、電池の安全性を高めるものである。
本発明は以下の態様を有する。
[1]セパレータと、前記セパレータの一方の面に積層された正極本体と、を備え、
前記正極本体は、集電体と、前記集電体上に存在する、正極活物質粒子を含む正極活物質層と、を有し、
前記正極活物質層の総質量に対して導電助剤の含有量が0.5質量%以下であり、
前記セパレータは、多孔質層であり、ポロメータにより測定した前記セパレータの細孔の表面最大孔径が150nm以上である、非水電解質二次電池用正極。
[2]前記正極活物質粒子が、一般式LiFe(1-x)PO(式中、0≦x≦1、MはCo、Ni、Mn、Al、Ti又はZrである。)で表される化合物を含む、[1]に記載の非水電解質二次電池用正極。
[3]前記集電体の、前記正極活物質層側の表面の少なくとも一部に、導電材料を含む集電体被覆層が存在する、[1]または[2]に記載の非水電解質二次電池用正極。
[4]前記正極活物質層が導電助剤を含まない、[1]または[2]に記載の非水電解質二次電池用正極。
[5][1]~[4]のいずれかに記載の非水電解質二次電池用正極、負極、及び前記非水電解質二次電池用正極と負極との間に存在する非水電解質を備える、非水電解質二次電池。
[6][5]に記載の非水電解質二次電池の複数個を備える、電池モジュール又は電池システム。
本発明によれば、電池内部で短絡を生じにくくし、乾式一軸延伸セパレータを用いた場合の短絡不良を低減することができる非水電解質二次電池用正極を提供することができる。
本発明に係る非水電解質二次電池用正極の一例を模式的に示す断面図である。 本発明に係る非水電解質二次電池の一例を模式的に示す断面図である。
本明細書及び特許請求の範囲において、数値範囲を示す「~」は、その前後に記載した数値を下限値及び上限値として含むことを意味する。
図1は、本発明の非水電解質二次電池用正極の一実施形態を示す模式断面図であり、図2は本発明の非水電解質二次電池の一実施形態を示す模式断面図である。
なお、図1、2は、その構成をわかりやすく説明するための模式図であり、各構成要素の寸法比率等は、実際とは異なる場合もある。
<非水電解質二次電池用正極>
本実施形態の非水電解質二次電池用正極(単に「正極」ともいう。)1は、正極本体10と、セパレータ20とを備える。正極本体10は、セパレータ20の一方の面20aに積層されている。図1に示すように、正極本体10は、セパレータ20の一方の面20aに接着剤層21を介して積層されていてもよい。
正極本体10は、集電体(以下「正極集電体」という。)11と、正極活物質層12とを有する。
正極活物質層12は正極集電体11の少なくとも一面上に存在する。正極集電体11の両面上に正極活物質層12が存在してもよい。
図1の例において、正極集電体11は、正極活物質層12側の表面に集電体被覆層15が存在する。すなわち、正極集電体11は、正極集電体本体14と、正極集電体本体14の正極活物質層12側の表面を被覆する集電体被覆層15とを有する。正極集電体本体14のみを正極集電体11としてもよい。
[正極活物質層]
正極活物質層12は正極活物質粒子を含む。
正極活物質層12は、さらに結着材を含むことが好ましい。
正極活物質層12は、さらに導電助剤を含んでもよい。本明細書において、「導電助剤」という用語は、正極活物質層12を形成するにあたって正極活物質粒子と混合する、粒状、繊維状などの形状を有する導電材料であって、正極活物質粒子を繋ぐ形で正極活物質層12中に存在させる導電材料を指す。
正極活物質層12は、さらに分散剤を含んでもよい。
正極活物質層12の総質量に対して、正極活物質粒子の含有量は80.0~99.9質量%が好ましく、90~99.5質量%がより好ましい。
正極活物質層12の厚み(正極集電体11の両面上に正極活物質層12が存在する場合、両面の合計)は30~500μmであることが好ましく、40~400μmであることがより好ましく、50~300μmであることが特に好ましい。正極活物質層12の厚みが上記範囲の下限値以上であると、正極1を組み込んだ電池のエネルギー密度が高くなりやすく、上記範囲の上限値以下であると、正極活物質層12の剥離強度が高く、充放電時に剥がれを抑制できる。
[正極活物質粒子]
正極活物質粒子は、正極活物質を含む。正極活物質粒子の少なくとも一部は、被覆粒子である。
被覆粒子において、正極活物質粒子の表面には、導電材料を含む被覆部(以下、「活物質被覆部」ともいう。)が存在する。正極活物質粒子は、活物質被覆部を有することで、電池容量、サイクル特性をより高められる。
例えば、活物質被覆部は、予め正極活物質粒子の表面に形成されており、かつ正極活物質層中において、正極活物質粒子の表面に存在する。すなわち、本稿における活物質被覆部は、正極製造用組成物の調製段階以降の工程で新たに形成されるものではない。加えて、活物質被覆部は、正極製造用組成物の調製段階以降の工程で欠落するものではない。
例えば、正極製造用組成物を調製する際に、被覆粒子を溶媒と共にミキサー等で混合しても、活物質被覆部は正極活物質の表面を被覆している。また、仮に、正極から正極活物質層を剥がし、これを溶媒に投入して正極活物質層中の結着材を溶媒に溶解させた場合にも、活物質被覆部は正極活物質の表面を被覆している。また、仮に、正極活物質層中の粒子の粒度分布をレーザー回折・散乱法により測定する際に、凝集した粒子をほぐす操作を行った場合にも活物質被覆部は正極活物質の表面を被覆している。
活物質被覆部は、正極活物質粒子の外表面全体の面積の50%以上に存在することが好ましく、70%以上に存在することが好ましく、90%以上に存在することが好ましい。
すなわち、被覆粒子は、正極活物質である芯部と、前記芯部の表面を覆う活物質被覆部とを有し、芯部の表面積に対する活物質被覆部の面積(被覆率)は、50%以上が好ましく、70%以上がより好ましく、90%以上がさらに好ましい。
被覆粒子の製造方法としては、例えば、焼結法、蒸着法等が挙げられる。
焼結法としては、正極活物質の粒子と有機物とを含む活物質製造用組成物(例えば、スラリー)を、大気圧下、500~1000℃、1~100時間で焼成する方法が挙げられる。活物質製造用組成物に添加する有機物としては、サリチル酸、カテコール、ヒドロキノン、レゾルシノール、ピロガロール、フロログルシノール、ヘキサヒドロキシベンゼン、安息香酸、フタル酸、テレフタル酸、フェニルアラニン、水分散型フェノール樹脂等、スクロース、グルコース、ラクトース等の糖類、リンゴ酸、クエン酸などのカルボン酸、アリルアルコール、プロパルギルアルコール等の不飽和一価アルコール、アスコルビン酸、ポリビニルアルコール等が挙げられる。この焼結法によれば、活物質製造用組成物を焼成することで、有機物中の炭素を正極活物質の表面に焼結して、活物質被覆部を形成する。
また、他の焼結法としては、いわゆる衝撃焼結被覆法が挙げられる。
衝撃焼結被覆法は、例えば、衝撃焼結被覆装置において燃料の炭化水素と酸素の混合ガスを用いてバーナに点火し燃焼室で燃焼させてフレームを発生させ、その際、酸素量を燃料に対して完全燃焼の当量以下にしてフレーム温度を下げ、その後方に粉末供給用ノズルを設置し、そのノズルから被覆する有機物と溶媒を用いて溶かしスラリー状にしたものと燃焼ガスからなる固体―液体―気体三相混合物を粉末供給ノズルから噴射させ、室温に保持された燃焼ガス量を増して、噴射微粉末の温度を下げて、粉末材料の変態温度、昇華温度、蒸発温度以下で加速し、衝撃により瞬時焼結させて、正極活物質の粒子を被覆する。
蒸着法としては、物理気相成長法(PVD)、化学気相成長法(CVD)等の気相堆積法、メッキ等の液相堆積法等が挙げられる。
前記被覆率は次の様な方法により測定することができる。 まず、正極活物質層中の粒子を、透過電子顕微鏡を用いたエネルギー分散型X線分光法(TEM-EDX)により分析する。具体的には、TEM画像における正極活物質粒子の外周部をEDXで元素分析する。元素分析は炭素について行い、正極活物質粒子を被覆している炭素を特定する。炭素の被覆部が1nm以上の厚さである箇所を被覆部分とし、観察した正極活物質粒子の全周に対して被覆部分の割合を求め、これを被覆率とすることができる。測定は例えば、10個の正極活物質粒子について行い、これらの平均値とすることができる。
また、前記活物質被覆部は、正極活物質のみから構成される粒子(以下、「芯部」と称することもある。)の表面上に直接形成された厚み1nm~100nm、好ましくは5nm~50nmの層であり、この厚みは上述した被覆率の測定に用いるTEM-EDXによって確認することができる。
本発明において、被覆粒子は、芯部の表面積に対する活物質被覆部の面積は、100%が特に好ましい。
なお、この被覆率(%)は、正極活物質層中に存在する正極活物質粒子全体についての平均値であり、この平均値が上記下限値以上となる限り、活物質被覆部を有しない正極活物質粒子が微量に存在することを排除するものではない。活物質被覆部を有しない正極活物質粒子(単一粒子)が正極活物質層中に存在する場合、その量は、正極活物質層中に存在する正極活物質粒子全体の量に対して、好ましくは30質量%以下であり、より好ましくは20質量%以下であり、特に好ましくは10質量%以下である。
活物質被覆部の導電材料は、炭素(導電性炭素)を含むことが好ましい。炭素のみからなる導電材料でもよく、炭素と炭素以外の他の元素とを含む導電性有機化合物でもよい。
他の元素としては、窒素、水素、酸素等が例示できる。前記導電性有機化合物において、他の元素は10原子%以下が好ましく、5原子%以下がより好ましい。
活物質被覆部を構成する導電材料は、炭素のみからなることがさらに好ましい。
活物質被覆部を有する正極活物質粒子の総質量に対して、導電材料の含有量は0.1~4.0質量%が好ましく、0.5~3.0質量%がより好ましく、0.7~2.5質量%がさらに好ましい。多すぎる場合は正極活物質粒子の表面から導電材料が剥がれ、独立した導電助剤粒子として残留する可能性があるため、好ましくない。
正極活物質粒子は、オリビン型結晶構造を有する化合物を含むことが好ましい。
オリビン型結晶構造を有する化合物は、一般式LiFe(1-x)PO(以下「一般式(I)」ともいう。)で表される化合物が好ましい。一般式(I)において0≦x≦1である。MはCo、Ni、Mn、Al、Ti又はZrである。物性値に変化がない程度に微小量の、FeおよびM(Co、Ni、Mn、Al、Ti又はZr)の一部を他の元素に置換することもできる。一般式(I)で表される化合物は、微量の金属不純物が含まれていても本発明の効果が損なわれるものではない。
一般式(I)で表される化合物は、LiFePOで表されるリン酸鉄リチウム(以下、単に「リン酸鉄リチウム」ともいう。)が好ましい。
正極活物質粒子として、表面の少なくとも一部に導電材料を含む活物質被覆部が存在するリン酸鉄リチウム粒子(以下「被覆リン酸鉄リチウム粒子」ともいう。)がより好ましい。電池容量、サイクル特性により優れる点から、リン酸鉄リチウム粒子の表面全体が導電材料で被覆されていることがさらに好ましい。
被覆リン酸鉄リチウム粒子は公知の方法で製造できる。
例えば、特許第5098146号公報に記載の方法を用いてリン酸鉄リチウム粉末を作製し、GS Yuasa Technical Report、2008年6月、第5巻、第1号、第27~31頁等に記載の方法を用いて、リン酸鉄リチウム粉末の表面の少なくとも一部を炭素で被覆できる。
具体的には、まず、シュウ酸鉄二水和物、リン酸二水素アンモニウム、及び炭酸リチウムを、特定のモル比で計り、これらを不活性雰囲気下で粉砕及び混合する。次に、得られた混合物を窒素雰囲気下で加熱処理することによってリン酸鉄リチウム粉末を作製する。
次いで、リン酸鉄リチウム粉末をロータリーキルンに入れ、窒素をキャリアガスとしたメタノール蒸気を供給しながら加熱処理することによって、表面の少なくとも一部を炭素で被覆したリン酸鉄リチウム粒子を得る。
例えば、粉砕工程における粉砕時間によってリン酸鉄リチウム粒子の粒子径を調整できる。メタノール蒸気を供給しながら加熱処理する工程における加熱時間及び温度等によって、リン酸鉄リチウム粒子を被覆する炭素の量を調整できる。被覆されなかった炭素粒子はその後の分級や洗浄などの工程などにより取り除くことが望ましい。
正極活物質粒子は、オリビン型結晶構造を有する化合物以外の他の正極活物質を含む他の正極活物質粒子を1種以上含んでもよい。
他の正極活物質は、リチウム遷移金属複合酸化物が好ましい。例えば、コバルト酸リチウム(LiCoO)、ニッケル酸リチウム(LiNiO)、ニッケルコバルトアルミン酸リチウム(LiNiCoAl、ただしx+y+z=1)、ニッケルコバルトマンガン酸リチウム(LiNiCoMn、ただしx+y+z=1)、マンガン酸リチウム(LiMn)、コバルトマンガン酸リチウム(LiMnCoO)、クロム酸マンガンリチウム(LiMnCrO)、バナジウムニッケル酸リチウム(LiNiVO)、ニッケル置換マンガン酸リチウム(例えば、LiMn1.5Ni0.5)、及びバナジウムコバルト酸リチウム(LiCoVO)、これらの化合物の一部を金属元素で置換した非化学量論的化合物等が挙げられる。前記金属元素としては、Mn、Mg、Ni、Co、Cu、Zn及びGeからなる群から選択される1種以上が挙げられる。
他の正極活物質粒子の表面の少なくとも一部に、前記活物質被覆部が存在してもよい。
正極活物質粒子の総質量(活物質被覆部を有する場合は活物質被覆部の質量も含む)に対して、オリビン型結晶構造を有する化合物の含有量は50質量%以上が好ましく、80質量%以上がより好ましく、90質量%以上がさらに好ましい。100質量%でもよい。
被覆リン酸鉄リチウム粒子を用いる場合、正極活物質粒子の総質量に対して、被覆リン酸鉄リチウム粒子の含有量は50質量%以上が好ましく、80質量%以上がより好ましく、90質量%以上がさらに好ましい。100質量%でもよい。
正極活物質粒子の平均粒子径(活物質被覆部を有する場合は活物質被覆部の厚さも含む)は、0.1~20.0μmが好ましく、0.5~15.0μmがより好ましい。正極活物質粒子を2種以上用いる場合、それぞれの平均粒子径が上記の範囲内であればよい。
前記平均粒子径が上記範囲の下限値以上であると、比表面積(単位:m/g)が適度に大きくなり、充放電で反応する面積を確保しやすい。その結果、電池として抵抗が低くなり、急速充電特性が低下し難くなる。一方、上記範囲の上限値以下であると比表面積が適度に小さくなり、正極製造用組成物における分散性が良くなりやすく、また、凝集物が発生し難くなりやすい。その結果、粒子間の導電パスが正極活物質層内部で均一となり、急速充電特性が向上しやすい。
本明細書における正極活物質粒子の平均粒子径は、レーザー回折・散乱法による粒度分布測定器を用いて測定した体積基準のメジアン径である。
[結着材]
正極活物質層12に含まれる結着材は有機物であり、例えば、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸リチウム、ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化ビニリデン-ヘキサフルオロプロピレン共重合体、スチレンブタジエンゴム、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール、ポリエチレンオキサイド、ポリエチレングリコール、カルボキシメチルセルロース、ポリアクリルニトリル、ポリイミド等が挙げられる。結着材は1種でもよく、2種以上を併用してもよい。
正極活物質層12における結着材の含有量が少ない方が、電池の体積エネルギー密度(Wh/L)が高くなる。正極活物質層12の総質量に対して、結着材の含有量は1.0質量%以下が好ましく、0.8質量%以下がより好ましい。
正極活物質層12が結着材を含有する場合、結着材の含有量の下限値は、正極活物質層12の総質量に対して0.1質量%以上が好ましく、0.3質量%以上がより好ましい。
[導電助剤]
正極活物質層12に含まれる導電助剤としては、例えば、グラファイト、グラフェン、ハードカーボン、ケッチェンブラック、アセチレンブラック、カーボンナノチューブ(CNT)等の炭素材料が挙げられる。導電助剤は1種でもよく、2種以上を併用してもよい。
正極活物質層12に導電助剤を配合する場合、導電助剤の含有量の上限値は、導電助剤の種類に応じて適宜決定され、正極活物質層12の総質量に対して0.5質量%以下とされる。
なお、正極活物質層12が「導電助剤を含まない」とは、実質的に含まないことを意味し、本発明の効果に影響を及ぼさない程度に含むものを排除するものではない。例えば、導電助剤の含有量が正極活物質層12の総質量に対して0.1質量%以下であれば、実質的に含まれないと判断できる。
[分散剤]
正極活物質層12に含まれる分散剤は有機物であり、例えば、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルブチラール(PVB)、ポリビニルホルマール(PVF)等が挙げられる。分散剤は1種でもよく、2種以上を併用してもよい。
分散剤は正極活物質層12内の粒子の凝集を避け、良好な導電パス形成に寄与する。一方、分散剤の含有量が多すぎると抵抗が増大して入力特性が低下しやすい。
正極活物質層12の総質量に対して、分散剤の含有量は0.5質量%以下が好ましく、0.2質量%以下がより好ましい。
正極活物質層12が分散剤を含有する場合、分散剤の含有量の下限値は、正極活物質層12の総質量に対して0.01質量%以上が好ましく、0.05質量%以上がより好ましい。
[正極集電体本体]
正極集電体本体14は金属材料からなる。金属材料としては、銅、アルミニウム、チタン、ニッケル、ステンレス鋼等の導電性を有する金属が例示できる。
正極集電体本体14の厚みは、例えば、8~40μmが好ましく、10~25μmがより好ましい。
正極集電体本体14の厚み及び正極集電体11の厚みは、マイクロメータを用いて測定できる。測定器の一例としてはミツトヨ社製品名「MDH-25M」が挙げられる。
[集電体被覆層]
正極集電体本体14の表面の少なくとも一部に集電体被覆層15が存在することが好ましい。集電体被覆層15は導電材料を含む。
ここで、「表面の少なくとも一部」とは、正極集電体本体14の表面の面積の10~100%、好ましくは30~100%、より好ましくは50~100%を意味する。
集電体被覆層15中の導電材料は、炭素(導電性炭素)を含むことが好ましい。炭素のみからなる導電材料がより好ましい。
集電体被覆層15は、例えばカーボンブラック等の炭素粒子と結着材を含むコーティング層が好ましい。集電体被覆層15の結着材は、正極活物質層12の結着材と同様のものを例示できる。
正極集電体本体14の表面を集電体被覆層15で被覆した正極集電体11は、例えば、導電材料、結着材、及び溶媒を含むスラリーを、グラビア法等の公知の塗工方法を用いて正極集電体本体14の表面に塗工し、乾燥して溶媒を除去する方法で製造できる。
集電体被覆層15の厚さは、0.1~4.0μmが好ましい。
集電体被覆層15の厚さは、集電体被覆層15の断面の透過電子顕微鏡(TEM)像又は走査型電子顕微鏡(SEM)像における被覆層の厚さを計測する方法で測定できる。集電体被覆層15の厚さは均一でなくてもよい。正極集電体本体14の表面の少なくとも一部に厚さ0.1μm以上の集電体被覆層15が存在し、集電体被覆層15の厚さの最大値が4.0μm以下であることが好ましい。
[導電性炭素含有量]
本実施形態において、正極活物質層12が導電性炭素を含むことが好ましい。正極活物質層12が導電性炭素を含む態様としては、下記態様1~3が挙げられる。
態様1:正極活物質層12が導電助剤を含み、導電助剤が導電性炭素を含む態様。
態様2:正極活物質層12が導電助剤を含み、かつ正極活物質粒子の表面の少なくとも一部に、導電材料を含む活物質被覆部が存在し、前記活物質被覆部の導電材料及び前記導電助剤の一方又は両方が導電性炭素を含む態様。
態様3:正極活物質層12が導電助剤を含まず、正極活物質粒子の表面の少なくとも一部に、導電材料を含む活物質被覆部が存在し、前記活物質被覆部の導電材料が導電性炭素を含む態様。
正極活物質層12の正極活物質の重量比を高めて、電池のエネルギー密度を高める点では態様3がより好ましい。
正極活物質層12の総質量に対して、導電性炭素の含有量は0.5質量%以上3.0質量%未満が好ましく、1.0~2.8質量%がより好ましく、1.2~2.6質量%がさらに好ましい。
正極活物質層12中の導電性炭素の含有量が、上記範囲の下限値以上であると正極活物質層12での導電パス形成に十分な量となり、上限値以下であると分散性向上に優れる。
正極活物質層12の総質量に対する導電性炭素の含有量は、正極1から正極活物質層12を剥がして120℃環境で真空乾燥した乾燥物(粉体)を測定対象物として、下記≪導電性炭素含有量の測定方法≫で測定できる。
例えば、正極活物質層12の最表面の、深さ数μmの部分をスパチュラ等で剥がした粉体を120℃環境で真空乾燥させて測定対象物とすることができる。
下記≪導電性炭素含有量の測定方法≫で測定した導電性炭素の含有量は、活物質被覆部中の炭素と、導電助剤中の炭素を含む。結着材中の炭素は含まれない。分散剤中の炭素は含まれない。
≪導電性炭素含有量の測定方法≫
[測定方法A]
測定対象物を均一に混合して試料(質量w1)を量りとり、下記の工程A1、工程A2の手順で熱重量示差熱(TG-DTA)測定を行い、TG曲線を得る。得られたTG曲線から下記第1の重量減少量M1(単位:質量%)及び第2の重量減少量M2(単位:質量%)を求める。M2からM1を減算して導電性炭素の含有量(単位:質量%)を得る。
工程A1:300mL/分のアルゴン気流中において、10℃/分の昇温速度で30℃から600℃まで昇温し、600℃で10分間保持したときの質量w2から、下記式(a1)により第1の重量減少量M1を求める。
M1=(w1-w2)/w1×100 ・・・(a1)
工程A2:前記工程A1の直後に600℃から10℃/分の降温速度で降温し、200℃で10分間保持した後に、測定ガスをアルゴンから酸素へ完全に置換し、100mL/分の酸素気流中において、10℃/分の昇温速度で200℃から1000℃まで昇温し、1000℃にて10分間保持したときの質量w3から、下記式(a2)により第2の重量減少量M2(単位:質量%)を求める。
M2=(w1-w3)/w1×100 ・・・(a2)
[測定方法B]
測定対象物を均一に混合して試料を0.0001mg精秤し、下記の燃焼条件で試料を燃焼し、発生した二酸化炭素をCHN元素分析装置により定量し、試料に含まれる全炭素量M3(単位:質量%)を測定する。また、前記測定方法Aの工程A1の手順で第1の重量減少量M1を求める。M3からM1を減算して導電性炭素の含有量(単位:質量%)を得る。
[燃焼条件]
燃焼炉:1150℃
還元炉:850℃
ヘリウム流量:200mL/分
酸素流量:25~30mL/分
[測定方法C]
上記測定方法Bと同様にして、試料に含まれる全炭素量M3(単位:質量%)を測定する。また、下記の方法で結着材由来の炭素の含有量M4(単位:質量%)を求める。M3からM4を減算して導電性炭素の含有量(単位:質量%)を得る。
結着材がポリフッ化ビニリデン(PVDF:モノマー(CHCF)の分子量64)である場合は、管状式燃焼法による燃焼イオンクロマトグラフィーにより測定されたフッ化物イオン(F)の含有量(単位:質量%)、PVDFを構成するモノマーのフッ素の原子量(19)、及びPVDFを構成する炭素の原子量(12)から以下の式で計算することができる。
PVDFの含有量(単位:質量%)=フッ化物イオンの含有量(単位:質量%)×64/38
PVDF由来の炭素の含有量M4(単位:質量%)=フッ化物イオンの含有量(単位:質量%)×12/19
結着材がポリフッ化ビニリデンであることは、試料、又は試料をN,N-ジメチルホルムアミド(DMF)溶媒により抽出した液体をフーリエ変換赤外スペクトル(FT-IR)測定し、C-F結合由来の吸収を確認する方法で確かめることができる。同様に19F-NMR測定でも確かめることができる。
結着材がPVDF以外と同定された場合は、その分子量に相当する結着材の含有量(単位:質量%)および炭素の含有量(単位:質量%)を求めることで、結着材由来の炭素量M4を算出できる。
分散剤が含まれる場合は、前記M3からM4を減算し、さらに分散剤由来の炭素量を減算して導電性炭素の含有量(単位:質量%)を得ることができる。
これらの手法は下記複数の公知文献に記載されている。
東レリサーチセンター The TRC News No.117 (Sep.2013)第34~37頁、[2021年2月10日検索]、インターネット<https://www.toray-research.co.jp/technical-info/trcnews/pdf/TRC117(34-37).pdf>
東ソー分析センター 技術レポート No.T1019 2017.09.20、[2021年2月10日検索]、インターネット<http://www.tosoh-arc.co.jp/techrepo/files/tarc00522/T1719N.pdf>
≪導電性炭素の分析方法≫
正極活物質の活物質被覆部を構成する導電性炭素と、導電助剤である導電性炭素は、以下の分析方法で区別できる。
例えば、正極活物質層中の粒子を透過電子顕微鏡電子エネルギー損失分光法(TEM-EELS)により分析し、粒子表面近傍にのみ290eV付近の炭素由来のピークが存在する粒子は正極活物質であり、粒子内部にまで炭素由来のピークが存在する粒子は導電助剤と判定することができる。ここで「粒子表面近傍」とは、粒子表面からの深さが、約100nmまでの領域を意味し、「粒子内部」とは前記粒子表面近傍よりも内側の領域を意味する。
他の方法としては、正極活物質層中の粒子をラマン分光によりマッピング解析し、炭素由来のG-bandとD-band、及び正極活物質由来の酸化物結晶のピークが同時に観測された粒子は正極活物質であり、G-bandとD-bandのみが観測された粒子は導電助剤と判定することができる。
さらに他の方法としては、広がり抵抗顕微鏡(SSRM:Scanning Spread Resistance Microscope)により、正極活物質層の断面を観察し、粒子表面に粒子内部より抵抗が低い部分が存在する場合、抵抗が低い部分は活物質被覆部に存在する導電性炭素であると判定できる。そのような粒子以外に独立して存在し、かつ抵抗が低い部分は導電助剤であると判定することができる。
なお、不純物として考えられる微量な炭素や、製造時に正極活物質の表面から意図せず剥がれた微量な炭素などは、導電助剤と判定しない。
これらの方法を用いて、炭素材料からなる導電助剤が正極活物質層に含まれるか否かを確認することができる。
[セパレータの細孔の表面最大孔径]
本実施形態において、セパレータ20は多孔質層であり、ポロメータにより測定したセパレータ20の細孔の表面最大孔径が150nm以上であり、200nm以上が好ましく、250nm以上がより好ましい。セパレータ20の細孔の表面最大孔径が上記範囲の下限値以上であると、セパレータの骨格が細いため耐圧縮性が低下する傾向がある。
セパレータ20の細孔の表面最大孔径の上限値は、500nmであってもよく、700nmであってもよく、1000nmであってもよい。
ここで、セパレータ20の細孔の表面最大孔径は、ポロメータを用いて以下のように測定することができる。
株式会社日立ハイテクノロジーズ製S-4800走査電池顕微鏡(SEM)を用いてセパレータ20表面をSEM観察し、5μm×5μmの範囲で観測された細孔開口部について長さを測定し、得られた値のうち最大の値のものを表面最大孔径とした。
[セパレータ]
セパレータ20は、正極1と後述する負極3との間に配置して短絡等を防止する。セパレータ20は、後述する非水電解質を保持してもよい。
セパレータ20としては、特に限定されず、多孔性の高分子膜、不織布、ガラスファイバー等が例示できる。
セパレータ20は、各種可塑剤、酸化防止剤、難燃剤を含んでもよい。
酸化防止剤としては、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、モノフェノール系酸化防止剤、ビスフェノール系酸化防止剤、ポリフェノール系酸化防止剤等のフェノール系酸化防止剤;ヒンダードアミン系酸化防止剤;リン系酸化防止剤;イオウ系酸化防止剤;ベンゾトリアゾール系酸化防止剤;ベンゾフェノン系酸化防止剤;トリアジン系酸化防止剤;サルチル酸エステル系酸化防止剤等が例示できる。フェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤が好ましい。
[接着剤層]
接着剤層21は、正極本体10とセパレータ20の間に介在し、正極本体10をセパレータ20の一方の面20aに接着する。
接着剤層21を構成する接着剤としては、特に限定されず、例えば、PVDF、アクリル等が例示できる。
<正極の製造方法>
本実施形態の正極1の製造方法は、正極活物質を含む正極製造用組成物を調製する組成物調製工程と、正極製造用組成物を正極集電体11上に塗工する塗工工程と、セパレータ20に正極本体10を接着する接着工程とを有する。
例えば、正極活物質及び溶媒を含む正極製造用組成物を、正極集電体11上に塗工し、乾燥し溶媒を除去して正極活物質層12を形成する方法で正極本体10を製造できる。正極製造用組成物は導電助剤を含んでもよい。正極製造用組成物は結着材を含んでもよい。正極製造用組成物は分散剤を含んでもよい。
正極集電体11上に正極活物質層12を形成した積層物を、2枚の平板状冶具の間に挟み、厚み方向に均一に加圧する方法で、正極活物質層12の厚みを調整できる。例えば、ロールプレス機を用いて加圧する方法を使用できる。
正極製造用組成物の溶媒は非水系溶媒が好ましい。例えば、メタノール、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール等のアルコール;N-メチルピロリドン、N,N-ジメチルホルムアミド等の鎖状又は環状アミド;アセトン等のケトンが挙げられる。溶媒は1種でもよく、2種以上を併用してもよい。
次に、セパレータ20の一方の面20aに接着剤層21を構成する接着剤を塗工し、その接着剤を介して、セパレータ20の一方の面20aに正極本体10を積層する。その後、接着剤を硬化して接着剤層21を形成する方法で正極1を製造できる。
<非水電解質二次電池>
図2に示す本実施形態の非水電解質二次電池100は、本実施形態の非水電解質二次電池用正極1と、負極3と、非水電解質とを備える。図中、符号5は外装体である。
本実施形態において、正極1は、板状の正極集電体11と、その両面上に設けられた正極活物質層12と有する。正極活物質層12は正極集電体11の表面の一部に存在する。
正極集電体11の表面の縁部は、正極活物質層12が存在しない正極集電体露出部13である。正極集電体露出部13の任意の箇所に、図示しない端子用タブが電気的に接続する。
負極3は、板状の負極集電体31と、その両面上に設けられた負極活物質層32とを有する。負極活物質層32は負極集電体31の表面の一部に存在する。負極集電体31の表面の縁部は、負極活物質層32が存在しない負極集電体露出部33である。負極集電体露出部33の任意の箇所に、図示しない端子用タブが電気的に接続する。
正極1、負極3およびセパレータ2の形状は特に限定されない。例えば、平面視矩形状でもよい。
本実施形態の非水電解質二次電池100は、例えば、正極1と負極3を、セパレータ2を介して交互に積層した電極積層体を作製し、電極積層体をアルミラミネート袋等の外装体(筐体)5に封入し、非水電解質(図示せず)を注入して密閉する方法で製造できる。
図2では、代表的に、負極/セパレータ/正極/セパレータ/負極の順に積層した構造を示しているが、電極の数は適宜変更できる。正極1は1枚以上あればよく、得ようとする電池容量に応じて任意の数の正極1を用いることができる。負極3及びセパレータ2は、正極1の数より1枚多く用い、最外層が負極3となるように積層する。
[負極]
負極活物質層32は負極活物質を含む。さらに結着材を含んでもよい。さらに導電助剤を含んでもよい。負極活物質の形状は、粒子状が好ましい。
負極3は、例えば、負極活物質、結着材、及び溶媒を含む負極製造用組成物を調製し、これを負極集電体31上に塗工し、乾燥し溶媒を除去して負極活物質層32を形成する方法で製造できる。負極製造用組成物は導電助剤を含んでもよい。
負極活物質及び導電助剤としては、例えば、炭素材料、チタン酸リチウム(LTO)、シリコン、一酸化シリコン等が挙げられる。炭素材料としては、グラファイト、グラフェン、ハードカーボン、ケッチェンブラック、アセチレンブラック、カーボンナノチューブ(CNT)等が挙げられる。負極活物質及び導電助剤は、それぞれ1種でもよく2種以上を併用してもよい。
負極集電体31の材料は、上記した正極集電体11の材料と同様のものを例示できる。
負極製造用組成物中の結着材としては、ポリアクリル酸(PAA)、ポリアクリル酸リチウム(PAALi)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリフッ化ビニリデン-六フッ化プロピレン共重合体(PVDF-HFP)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリエチレンオキサイド(PEO)、ポリエチレングリコール(PEG)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ポリアクリルニトリル(PAN)、ポリイミド(PI)等が例示できる。結着材は1種でもよく2種以上を併用してもよい。
負極製造用組成物中の溶媒としては、水、有機溶媒が例示できる。有機溶媒としては、メタノール、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール等のアルコール;N-メチルピロリドン(NMP)、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)等の鎖状又は環状アミド;アセトン等のケトンが例示できる。溶媒は1種でもよく2種以上を併用してもよい。
負極活物質層32の総質量に対して、負極活物質及び導電助剤の合計の含有量は80.0~99.9質量%が好ましく、85.0~98.0質量%がより好ましい。
[非水電解質]
非水電解質は、正極1と負極3との間を満たす。例えば、リチウムイオン二次電池、電気二重層キャパシタ等において公知の非水電解質を使用できる。
非水電解質として、有機溶媒に電解質塩を溶解した非水電解液が好ましい。
有機溶媒は、高電圧に対する耐性を有するものが好ましい。例えば、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、γ-ブチロラクトン、スルホラン、ジメチルスルホキシド、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、1,2-ジメトキシエタン、1,2-ジエトキシエタン、テトロヒドラフラン、2-メチルテトラヒドロフラン、ジオキソラン、メチルアセテート等の極性溶媒、又はこれら極性溶媒の2種類以上の混合物が挙げられる。
電解質塩は、特に限定されず、例えば、LiClO、LiPF、LiBF、LiAsF、LiCF、LiCFCO、LiPFSO、LiN(SOF)、LiN(SOCF、Li(SOCFCF、LiN(COCF、LiN(COCFCF等のリチウムを含む塩、又はこれら塩の2種以上の混合物が挙げられる。
本実施形態の非水電解質二次電池は、産業用、民生用、自動車用、住宅用等、各種用途のリチウムイオン二次電池として使用できる。
本実施形態の非水電解質二次電池の使用形態は特に限定されない。例えば、複数個の非水電解質二次電池を直列又は並列に接続して構成した電池モジュール、電気的に接続した複数個の電池モジュールと電池制御システムとを備える電池システム等に用いることができる。
電池システムの例としては、電池パック、定置用蓄電池システム、自動車の動力用蓄電池システム、自動車の補機用蓄電池システム、非常電源用蓄電池システム等が挙げられる。
以下に実施例および比較例を用いて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
<測定方法>
[セパレータの細孔の表面最大孔径の測定方法]
上記の方法でセパレータの細孔の表面最大孔径を測定した。
<評価方法>
[ショート不良]
ショート不良の評価は、下記の手順に沿って行った。
1Ahラミネートセルを作製し、80℃、5MPaで10時間圧縮後室温に戻して充放電し、100セル中ショート不良を起こしたセルの数を評価した。なお、充放電速度は1C充電、1C放電とした。
不良数5を下回った条件を〇、満たなかった条件を×と判定した。
[耐圧縮性]
耐圧縮性の評価は、下記の手順に沿って行った。
ラミネートセルを80℃、5MPaで10時間圧縮後、解体し、セパレータの厚さの変化が5%以下となった条件を〇、満たなかった条件を×と判定した。耐圧縮性の低いセルは、上記ショート不良が良好であっても高圧化での使用を続けるといずれショートし発火する恐れがあるため、×判定は良好な電池とは判定しない。
<製造例1:負極の製造>
負極活物質である人造黒鉛100質量部と、結着材であるスチレンブタジエンゴム1.5質量部と、増粘材であるカルボキシメチルセルロースNa1.5質量部と、溶媒である水とを混合し、固形分50質量%の負極製造用組成物を得た。
得られた負極製造用組成物を、銅箔(厚さ8μm)の両面上にそれぞれ塗工し、100℃で真空乾燥した後、2kNの荷重で加圧プレスして負極シートを得た。得られた負極シートを打ち抜き、負極とした。
<製造例2:集電体被覆層を有する集電体の製造>
カーボンブラック100質量部と、結着材であるポリフッ化ビニリデン40質量部と、溶媒であるN-メチルピロリドン(NMP)とを混合してスラリーを得た。NMPの使用量はスラリーを塗工するのに必要な量とした。
得られたスラリーを厚さ15μmのアルミニウム箔(正極集電体本体)の表裏両面に、乾燥後の集電体被覆層の厚さ(両面合計)が2μmとなるように、グラビア法で塗工し、乾燥し溶媒を除去して正極集電体とした。両面それぞれの集電体被覆層は、塗工量及び厚みが互いに均等になるように形成した。
<実施例1~3、比較例1~2>
正極活物質粒子として、下記の3種の活物質被覆部を有するリン酸鉄リチウム粒子(以下「カーボンコート活物質」ともいう。)を用いた。
カーボンコート活物質(1.0):平均二次粒子径10μm、炭素含有量2.5質量%。また、一次粒子径は約100~500nmの範囲であった。
活物質被覆部の厚さは30nm以下であった。
導電助剤としてカーボンブラック(CB)又はカーボンナノチューブ(CNT)を用いた。CB及びCNTは不純物が定量限界以下であり、炭素含有量100質量%とみなすことができる。
結着材としてポリフッ化ビニリデン(PVDF)を用いた。
分散剤として、ポリビニルピロリドン(PVP)を用いた。
溶媒としてN-メチルピロリドン(NMP)を用いた。
正極集電体として、製造例2で得た集電体被覆層を有するアルミニウム箔、又は集電体被覆層を有しないアルミニウム箔(厚さ15μm)を用いた。
以下の方法で正極活物質層を形成した。
表2に示す配合の正極活物質粒子、導電助剤、結着材、分散剤に対し塗工に適した固形分濃度になるよう溶媒(NMP)をミキサーにて混合して正極製造用組成物を得た。溶媒の使用量は、正極製造用組成物を塗工するのに必要な量とした。なお、表中における正極活物質粒子、導電助剤、結着材及び分散剤の配合量は、溶媒以外の合計(即ち、正極活物質粒子、導電助剤、結着材及び分散剤の合計量)を100質量%とするときの割合である。
得られた正極製造用組成物を、正極集電体の両面上にそれぞれ塗工し、予備乾燥後、120℃環境で真空乾燥して正極活物質層を形成した。両面それぞれの正極活物質層は、塗工量及び厚みが互いに均等になるように形成した。得られた積層物を加圧プレスして正極シートを得た。
得られた正極シートを打ち抜き、正極とした。
以下の方法で、図2に示す構成の非水電解質二次電池を製造した。
エチレンカーボネート(EC)とジエチルカーボネート(DEC)を、EC:DECの体積比が3:7となるように混合した溶媒に、電解質としてLiPFを1モル/リットルとなるように溶解して、非水電解液を調製した。
本例で得た正極と、製造例1で得た負極とを、セパレータを介して交互に積層し、最外層が負極である電極積層体を作製した。セパレータとしては、ポリオレフィンフィルム(厚さ15μm)を用いた。
電極積層体を作製する工程では、まず、セパレータ2と正極1とを積層し、その後、セパレータ2上に負極3を積層した。
電極積層体の正極集電体露出部13及び負極集電体露出部33のそれぞれに、端子用タブを電気的に接続し、端子用タブが外部に突出するように、アルミラミネートフィルムで電極積層体を挟み、三辺をラミネート加工して封止した。
続いて、封止せずに残した一辺から非水電解液を注入し、真空封止して非水電解質二次電池(ラミネートセル)を製造した。
実施例1~3および比較例1のセパレータには乾式一軸セパレータを用いた。比較例2は細孔径の小さい湿式二軸セパレータを用いた。
上記の方法で、急速充電試験により、エネルギー密度とサイクル特性を評価した。結果を表1に示す。
Figure 2023141414000002
Figure 2023141414000003
表1の結果に示されるように、セパレータの細孔の最大孔径が250nm以上、正極活物質層の導電助剤の含有量が0.5質量%以下である実施例1~3は、ショート不良がなく、耐圧縮性に優れていた。
一方、正極活物質層の導電助剤の含有量が2質量%である比較例1は、ショート不良に劣っていた。これは導電助剤量が多いことで放電破壊が起きやすくなっていることが原因であると推測される。
また、セパレータの細孔の最大孔径が100nmである比較例2は、ショート不良試験は良好であったものの、耐圧縮性に劣っていたため、電池の安全性は確保されていない。
1 正極(非水電解質二次電池用正極)
3 負極
5 外装体
10 正極本体
11 集電体(正極集電体)
12 正極活物質層
13 正極集電体露出部
14 正極集電体本体
15 集電体被覆層
20 セパレータ
21 接着剤層
100 非水電解質二次電池

Claims (6)

  1. セパレータと、前記セパレータの一方の面に積層された正極本体と、を備え、
    前記正極本体は、集電体と、前記集電体上に存在する、正極活物質粒子を含む正極活物質層と、を有し、
    前記正極活物質層の総質量に対して導電助剤の含有量が0.5質量%以下であり、
    前記セパレータは、多孔質層であり、ポロメータにより測定した前記セパレータの細孔の表面最大孔径が150nm以上である、非水電解質二次電池用正極。
  2. 前記正極活物質粒子が、一般式LiFe(1-x)PO(式中、0≦x≦1、MはCo、Ni、Mn、Al、Ti又はZrである。)で表される化合物を含む、請求項1に記載の非水電解質二次電池用正極。
  3. 前記集電体の、前記正極活物質層側の表面の少なくとも一部に、導電材料を含む集電体被覆層が存在する、請求項1または2に記載の非水電解質二次電池用正極。
  4. 前記正極活物質層が導電助剤を含まない、請求項1~3のいずれか一項に記載の非水電解質二次電池用正極。
  5. 請求項1~4のいずれか一項に記載の非水電解質二次電池用正極、負極、及び前記非水電解質二次電池用正極と負極との間に存在する非水電解質を備える、非水電解質二次電池。
  6. 請求項5に記載の非水電解質二次電池の複数個を備える、電池モジュール又は電池システム。
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