JP7321073B2 - ホームドア装置 - Google Patents

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Description

本発明は、ホームドア装置に関する。
ホームドア装置は、鉄道駅のプラットホームに設置される一種の自動ドア装置である。プラットホームに隣接する軌道に列車が到着すると、ホームドア装置は開扉されて、当該列車への乗客の乗降を可能にする。乗客の乗降が完了すると、ホームドア装置は開扉されて、プラットホーム上に滞在する乗客の軌道への転落を防ぐ。また、一般的なホームドア装置は、プラットホームに固定される戸袋と、戸袋に進退自在に支持される扉体を備えている。開扉時において、扉体は戸袋の内部に引き込まれ、閉扉時において、扉体は戸袋の外部に引き出される。
さて、線区によっては、乗車扉の位置が異なる列車が同じプラットホームを使用することがある。例えば、普通列車と特急列車が同じプラットホームを使用していて、普通列車と特急列車の乗降口の位置が異なることがある。この場合に、普通列車と特急列車の乗降口をそれぞれ開閉するために、普通列車と特急列車の乗降口の間に配置された戸袋の一方の端から普通列車の乗降口を開閉する扉体を進退させ、該戸袋の他方の端から特急列車の乗降口を開閉する扉体を進退させるタイプのホームドア装置が使用される。
しかしながら、上記のホームドア装置においては、戸袋の幅は、普通列車と特急列車の乗降口の間隔によって、制限される。また、扉体の動作範囲は戸袋の幅によって制限される。そのため、普通列車と特急列車の乗降口の間隔が狭い場合には、扉体の動作範囲が制限されるので、乗降口を十分に開放できないという問題が生じる。
上記の問題を解決するために、ホームドア装置の戸袋の左右両方の側方に、扉体を出入りさせる扉出入り口を備えて、扉体が戸袋の左右の任意の側に引き出されるように構成することが知られている(特許文献1)。ホームドア装置をこのように構成すれば、一方の扉体を開扉位置に移動させて一方の乗降口を開放した場合に、当該一方の扉体の戸尻を他方の乗降口に突出させることができる。そのため、扉体の動作範囲が戸袋の幅によって制限されないので、普通列車と特急列車の乗降口の間隔が狭くても、乗降口を十分に開放できる。
特開2004-131008号公報
特許文献1に記載のホームドア装置において、扉体が戸袋の一方の扉出入り口を通って、戸袋の一方の側に引き出されると(特許文献1、図2,3)、扉体の反対側の端部は戸袋の内部にある(特許文献1、図8)。この時、戸袋の反対側の扉出入り口は、開放された状態にあるので、該扉出入り口から異物が侵入する恐れがある。また、異物が侵入することによって、ホームドア装置に障害が生じるおそれがある。
本発明は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、扉体が戸袋の左右の任意の側に引き出されるタイプのホームドア装置であって、扉体が引き出された側の反対側にある扉出入り口からの異物の侵入を防止できるホームドア装置を提供することを目的とする。また、異物の侵入に起因する障害の発生を防止できるホームドア装置を提供することを目的とする。
上記の目的を達成するために、本発明に係るホームドア装置は、プラットホーム上に設定された第1乗降口と第2乗降口の間に固定される戸袋と、戸袋に進退自在に支持される第1扉体および第2扉体と、を備え、第1扉体および第2扉体は、第1扉体および第2扉体が進退する方向に平行に配置されるとともに、第1扉体はプラットホーム側に、第2扉体は軌道側に、それぞれあって、互いに離隔して配置され、第1扉体および第2扉体が進退方向において何れの位置にあっても、第1扉体および第2扉体の少なくとも一部が、進退方向において重複するとともに、第1扉体は、第1扉体の進退する方向の一方の端に第1扉体第1端部を有するとともに、他方の端に第1扉体第2端部を有し、第2扉体は、第2扉体の進退する方向の一方の端に第2扉体第1端部を有するとともに、他方の端に第2扉体第2端部を有し、戸袋は単一の筐体を備えて、単一の筐体の内部に、第1扉体を進退自在に支持する部位と、第2扉体を進退自在に支持する部位とが、配置されるとともに、第1乗降口に臨む側の端面に、第1扉体第1端部が引き出される第1扉体第1端部側開口および第2扉体第2端部が引き出される第2扉体第2端部側開口を有するとともに、第2乗降口に臨む側の端面に、第1扉体第2端部が引き出される第1扉体第2端部側開口および第2扉体第1端部が引き出される第2扉体第1端部側開口を有し、第1扉体第2端部側開口は、第2扉体第1端部側開口よりも第1乗降口に寄った位置に配置される。そして、第1扉体は第1扉体第1端部側開口を通って戸袋の内部に引き戻されて第1乗降口を開扉するとともに、第2扉体は第2扉体第1端部側開口を通って戸袋の内部に引き戻されて第2乗降口を開扉し、第1乗降口が開扉された状態にある時に、第1扉体第1端部および第2扉体第2端部のうち第2乗降口から離れている方の停止する位置は、プラットホームに隣接する軌道に入線する列車の種類に応じて変更されるものである。
本発明によれば、第1扉体の一方端が戸袋の一方端に形成された第1扉戸先側開口を通って、戸袋の一方の側に引き出されて、閉扉位置に到達した場合に、第1扉体の他方端が戸袋の他方端に形成された第1扉戸尻側開口における異物の侵入を抑制する位置にある。そのため、第1扉戸尻側開口からの異物の侵入が防止されるので、ホームドア装置の安全性、信頼性が向上する。
本発明の実施の形態に係るホームドア装置の構成と作用を示す図であって、(A)はホームドア装置を上方から見た平面図、(B)は第2乗降口,Bが共に閉鎖された状態、(C)は第2乗降口が開放された状態、(D)は第1乗降口が開放された状態を、それぞれ示す正面図 図1に記載のホームドア装置の、プラットホーム側にある部分をプラットホーム側から見た正面図であって、(A)は扉体が戸袋の左側に引き出された状態を、(B)は扉体が戸袋の右側に引き出された状態を、示す図 図1に記載のホームドア装置の、プラットホーム側にある部分の内部機構を示す図であって、(A)及び(B)は、それぞれ図2(A)及び(B)に示された状態において、ホームドア装置を軌道側から見た背面図 本発明の第1の変形例に係るホームドア装置の、プラットホーム側にある部分の内部機構を示す図であって、(A)及び(B)は、それぞれ図3(A)及び(B)に対応する背面図 本発明の第2の変形例に係るホームドア装置の、プラットホーム側にある部分の内部機構を示す図であって、(A)及び(B)は、それぞれ図3(A)及び(B)に対応する背面図 本発明の第3の変形例に係るホームドア装置の構成を示す斜視図であって、(A)はホーム側扉体が閉扉位置にある状態を、(B)はホーム側扉体が開扉位置に移動する途中の状態を、それぞれ示す図 本発明の第4の変形例に係るホームドア装置の構成を示す斜視図 本発明の第5の変形例に係るホームドア装置の構成を示す斜視図 本発明の第6の変形例に係るホームドア装置の構成を示す斜視図 本発明の第7の変形例に係るホームドア装置の構成を示す斜視図 (A)は本発明の第8の変形例に係るホームドア装置の構成を示す斜視図、(B)は同じく第9の変形例に係るホームドア装置の構成を示す斜視図 本発明の第10の変形例に係るホームドア装置の構成を示す斜視図 本発明の第11の変形例に係るホームドア装置の構成を示す平面図であって、(A)はホーム側扉体と軌道側扉体が閉扉された状態を示す図、(B)はホーム側扉体が開扉された状態を示す図 本発明の第12の変形例に係るホームドア装置の構成を示す平面図であって、(A)はホーム側扉体と軌道側扉体が閉扉された状態を示す図、(B)は軌道側扉体が開扉された状態を示す図、(C)はホーム側扉体が開扉された状態を示す図 本発明の第13の変形例に係るホームドア装置の構成を示す平面図であって、(A)はホーム側扉体と軌道側扉体が閉扉された状態を示す図、(B)はホーム側扉体と軌道側扉体が開扉された状態を示す図、(C)は軌道側扉体が開扉された状態を示す図 本発明の第14の変形例に係るホームドア装置の構成を示す平面図 本発明の第15の変形例に係るホームドア装置の構成を示す平面図 本発明の第16の変形例に係るホームドア装置の構成を示す平面図 本発明の第17の変形例に係るホームドア装置の構成を示す平面図 本発明の第18の変形例に係るホームドア装置の構成を示す平面図 比較例との差異を説明する説明図であって(A)は急行列車の乗降扉の配置を示す側面図、(B)は普通列車の乗降扉の配置を示す側面図、(C)は全扉を閉鎖した状態にあるホームドア装置の平面図、(D)は急行列車の乗降扉に対面する扉を開放した状態にあるホームドア装置の平面図、(E)は普通列車の乗降扉に対面する扉を開放した状態にあるホームドア装置の平面図
以下、本発明の実施形態に係るホームドア装置の構成と作用を、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、各図面においては、同一または同等の部分に同一の符号を付している。
(全体構成と作用)
図1(A)~(D)は、本発明の実施の形態に係るホームドア装置1の構成と作用を示す図である。図1(A)はホームドア装置1を上方から見た平面図であり、図1(B)~(D)はホームドア装置1をプラットホーム側から見た正面図である。
図1(A)に示すように、ホームドア装置1は、プラットホームの床面2に固定される戸袋3を備えている。戸袋3には、軌道側に配置されて、戸袋3の左側に引き出される軌道側扉体4Tと、プラットホーム側に、軌道側扉体4Tと平行に配置されて、戸袋3の左右の任意の方向に引き出されるホーム側扉体4Hと、を備えている。軌道側扉体4Tと、ホーム側扉体4Hは進退自在に支持されている。そして、軌道側扉体4Tと、ホーム側扉体4Hは、図示しない駆動機構によって駆動されて、戸袋3に対して進退する。なお、ホーム側扉体4Hは本願発明の第1扉体に相当し、軌道側扉体4Tは第2扉体に相当する。
以下、本明細書において、戸袋3の軌道側扉体4Tが収容される部分を軌道側戸袋3Tと呼び、戸袋3のホーム側扉体4Hが収容される部分をホーム側戸袋3Hと呼ぶことにする。つまり、戸袋3は、軌道側戸袋3Tとホーム側戸袋3Hを備えている。また、図1(A)に示すように、軌道側戸袋3Tの軌道側扉体4Tが進退する方向の長さLtは、ホーム側戸袋3Hのホーム側扉体4Hが進退する方向の長さLhよりも長くされている。なお、ホーム側戸袋3Hと軌道側戸袋3Tは、それぞれ、本願発明の第1戸袋と第2戸袋に相当する。
図1(B)に示すように、ホームドア装置1は第1乗降口と第2乗降口の間に配置されている。そのため、ホームドア装置1によれば、第2乗降口と第1乗降口の開放及び閉鎖を行うことができる。図1(A)及び図1(B)に示す状態においては、第2乗降口と第1乗降口は共に閉鎖されている。
図1(A)~(C)に示すように、軌道側戸袋3Tの左端には軌道側扉体戸先側開口3Tlが形成されていて、軌道側扉体4Tは軌道側扉体戸先側開口3Tlを通って、軌道側戸袋3Tに対して進退する。そして、図1(C)に示すように、軌道側扉体4Tを軌道側戸袋3Tに引き込むことによって、第2乗降口が開放される。
図1(A)~(D)に示すように、ホーム側戸袋3Hの左端部3Lと右端部3Rの側面には、それぞれ、ホーム側扉体戸尻側開口3Htとホーム側扉体戸先側開口3Hlが形成されている。図1(A)~(C)に示す状態において、つまり、ホーム側扉体4Hの右端部4Rがホーム側扉体戸先側開口3Hlを通って閉扉位置まで引き出されて、ホーム側扉体4Hが第1乗降口を閉鎖する状態において、ホーム側扉体4Hの左端部4Lはホーム側戸袋3Hの左側に突出している。そのため、この時、ホーム側扉体戸尻側開口3Htは、ホーム側扉体4Hによって塞がれる。
なお、図1(A)~(D)に示すプラットホームにおいて、開閉される乗降口は、入線する列車によって異なる。第1乗降口あるいは第2乗降口のいずれか一方だけが開閉される場合もあるし、第1乗降口と第2乗降口の両方が同時に開閉される場合もある。第1乗降口と第2乗降口の両方が同時に開閉されることを、考慮して、ホームドア装置1を設計する場合には、開扉位置に移動したホーム側扉体4Hの左端部4Lが、つまり図1(D)に示す位置に移動したホーム側扉体4Hの左端部4Lが、第2乗降口及び第2乗降口の周囲に想定される乗降領域と干渉しないように、ホーム側扉体4Hの幅と動作範囲を設定する。軌道側扉体4Tの幅と動作範囲も、同様の考慮を行って、設定される。
なお、図1(A)~(D)に示すように、ホーム側扉体戸尻側開口3Htは軌道側扉体戸先側開口3Tlの右側に、つまり、ホーム側扉体戸尻側開口3Htは軌道側扉体戸先側開口3Tlよりも第1乗降口に近い位置に配置されている。また、ホーム側扉体戸尻側開口3Htとホーム側扉体戸先側開口3Hlと軌道側扉体戸先側開口3Tlは、それぞれ、本発明の第1扉戸尻側開口と第1扉戸先側開口と第2扉戸先側開口に相当する。
また、図1(D)に示す状態において、つまり、ホーム側扉体4Hの左端部4Lがホーム側扉体戸尻側開口3Htを通って開扉位置まで引き出されて、第1乗降口が開放された状態において、ホーム側扉体4Hの右端部4Rはホーム側戸袋3Hの右側に突出している。そのため、この時、ホーム側扉体戸先側開口3Hlは、ホーム側扉体4Hによって塞がれる。
このように、ホームドア装置1においては、ホーム側扉体4Hが開扉位置あるいは閉扉位置のいずれの位置に引き出されても、ホーム側扉体戸尻側開口3Htとホーム側扉体戸先側開口3Hlは、いずれも、ホーム側扉体4Hによって塞がれる。そのため、ホーム側扉体戸尻側開口3Htあるいはホーム側扉体戸先側開口3Hlから異物が侵入することがない。
なお、図1(A)~(D)においては、ホーム側扉体4Hが戸袋3の右側にある第1乗降口を開閉し、軌道側扉体4Tが戸袋3の左側にある第2乗降口を開閉する例を示したが、ホーム側扉体4Hと軌道側扉体4Tの動作方向を逆にして、軌道側扉体4Tが第1乗降口を開閉し、ホーム側扉体4Hが第2乗降口を開閉するようにしてもよい。
(駆動機構)
次に、ホーム側扉体4Hをホーム側戸袋3Hに対して進退させる駆動機構について説明する。図2(A)と図2(B)は、ホームドア装置1のホーム側戸袋3Hとホーム側扉体4Hをプラットホーム側から見た正面図である。図2(A)と図2(B)に示すように、ホームドア装置1は、制御装置5を備えている。制御装置5は、図示しない上位の制御装置によって制御されて、ホームドア装置1の動作を制御するコンピュータである。ホーム側扉体4Hと、図2(A),(B)において図示されない軌道側扉体4Tは、制御装置5によって制御されて、戸袋3に対して進退する。
図2(A)は、ホーム側扉体4Hがホーム側戸袋3Hの左側の開扉位置まで引き出された状態を示している。ホーム側扉体4Hの左端部4Lはホーム側扉体戸尻側開口3Htを通って、開扉位置まで引き出されている。この場合に、ホーム側扉体4Hの右端部4Rは、ホーム側戸袋3Hの右側において、ホーム側扉体戸先側開口3Hlを通って、ホーム側戸袋3Hの外部に突出している。
図2(B)は、ホーム側扉体4Hがホーム側戸袋3Hの右側の閉扉位置まで引き出された状態を示している。ホーム側扉体4Hの右端部4Rは、ホーム側扉体戸先側開口3Hlを通って、閉扉位置まで引き出されている。この場合に、ホーム側扉体4Hの左端部4Lは、ホーム側戸袋3Hの左側において、ホーム側扉体戸先側開口3Hlを通って、戸袋3の外部に突出している。
このように、ホーム側扉体4Hがホーム側戸袋3Hから開扉位置あるいは閉扉位置のいずれの位置に引き出さても、ホーム側扉体4Hの反対側の端部はホーム側戸袋3Hの反対側の端部からホーム側戸袋3Hの外部に突出している。そのため、ホーム側扉体戸尻側開口3Htとホーム側扉体戸先側開口3Hlは、常にホーム側扉体4Hによって塞がれる。その結果、該扉出入り口からの異物の侵入が防止される。
図3(A)と図3(B)は、ホームドア装置1のホーム側戸袋3Hとホーム側扉体4Hを軌道側から見た図であって、ホームドア装置1の内部機構を示している。図3(A)は図2(A)に、図3(B)は図2(B)にそれぞれ対応している。なお、戸袋3と扉体4の左右端を示す符号L,Rは、プラットホーム側から見た場合の左右を基準に、つまり図2(A)と図2(B)における左右を基準に付している。図3(A)と図3(B)においては、符号L,Rと図中の左右が逆になることに注意されたい。
図3(A)と図3(B)に示すように、扉体4には2本のガイドレール6が固定されている。2本のガイドレール6は、上下方向に間隔を空けて、互いに平行に配置されている。戸袋3には、4個のガイドローラ7が回転自在に取り付けられている。4個のガイドローラ7の内の2個は、上部に配置されたガイドレール6の下面に当接して、転動する。残りの2個のガイドローラ7は、下部に配置されたガイドレール6の上面に当接して、転動する。このように、扉体4はガイドレール6とガイドローラ7を介して、戸袋3に移動自在に支持される。
2本のガイドレール6の間には、ラック8がガイドレール6と平行に配置されて、扉体4に固定されている。ラック8には、ピニオン9が噛み合わされている。ピニオン9は戸袋3に取り付けられて、制御装置5によって制御される図示しないモータによって回転駆動される。ピニオン9が回転すると、扉体4は戸袋3に対して進退する。このように、扉体4は、制御装置5によって制御されて、図3(A)に示す位置の間と図3(B)に示す位置の間を移動する。戸袋3に対して進退する。加えて、扉体4は、当接片10L,10Rが固定されている。戸袋3には、ストッパ11L,11Rが固定されている。当接片10L,10Rとストッパ11L,11Rは同じ高さに配置されている。
図3(A)に示すように、扉体4の左端部4Lが開扉位置まで引き出されると、扉体4の当接片10Rがストッパ11Rに当接する。そのため、扉体4が開扉位置を超えて左側(図3(A)において右側)に移動することができない。このように、当接片10Rとストッパ11Rは、扉体4が開扉位置を超えて移動することを防ぐ安全装置として機能する。
図3(B)に示すように、扉体4の右端部4Rが閉扉位置まで引き出されると、扉体4の当接片10Lがストッパ11Lに当接する。そのため、扉体4が閉扉位置を超えて右側(図3(A)において左側)に移動することができない。このように、当接片10Lとストッパ11Lは、扉体4が閉扉位置を超えて移動することを防ぐ安全装置として機能する。
(第1の変形例)
図4(A)と図4(B)は、第1の変形例に係るホームドア装置1のホーム側戸袋3Hとホーム側扉体4Hを軌道側から見た図であって、ホームドア装置1の内部機構を示している。なお、図4(A)と図4(B)においても、ホーム側戸袋3Hとホーム側扉体4Hの左右端を示す符号L,Rが、図中の左右が逆になることに注意されたい。
図4(A)に示すように、第1の変形例に係るホームドア装置1においては、ホーム側扉体4Hの左端部4Lが開扉位置まで引き出されると、ホーム側扉体4Hの右端部4Rが、ホーム側戸袋3Hの右端部3Rの側面に形成されたホーム側扉体戸先側開口3Hlの端面と同一平面に位置するように、制御装置5が制御を行う。また、この時、ホーム側扉体4Hの当接片10Rがストッパ11Rに当接するように、当接片10Rの位置が調整されている。
図4(B)に示すように、第1の変形例に係るホームドア装置1においては、ホーム側扉体4Hの右端部4Rが閉扉位置まで引き出されると、ホーム側扉体4Hの左端部4Lがホーム側戸袋3Hの左端部3Lの側面に形成されたホーム側扉体戸尻側開口3Htと同一平面に位置するように、制御装置5が制御を行う。また、この時、ホーム側扉体4Hの当接片10Lがストッパ11Lに当接するように、当接片10Lの位置が調整されている。
このように、第1の変形例に係るホームドア装置1においては、扉体4の一方の端部が開扉位置あるいは閉扉位置まで引き出されると、ホーム側扉体4Hの反対側の端面は、ホーム側扉体戸尻側開口3Htあるいはホーム側扉体戸先側開口3Hlと同一平面に移動して、そこで停止する。この場合も、扉出入り口がホーム側扉体4Hによって塞がれるので、扉出入り口における異物の侵入が防止される。
(第2の変形例)
図5(A)と図5(B)は、第2の変形例に係るホームドア装置1のホーム側戸袋3Hとホーム側扉体4Hを軌道側から見た図であって、ホームドア装置1の内部機構を示している。なお、図5(A)と図5(B)においても、ホーム側戸袋3Hとホーム側扉体4Hの左右端を示す符号L,Rが、図中の左右が逆になることに注意されたい。
図5(A)に示すように、第2の変形例に係るホームドア装置1においては、ホーム側扉体4Hの左端部4Lが開扉位置まで引き出されると、ホーム側扉体4Hの右端部4Rがホーム側戸袋3Hの右端部3Rの側面に形成されたホーム側扉体戸先側開口3Hlから深さdだけ奥に入った位置で停止するように、制御装置5が制御を行う。また、この時、ホーム側扉体4Hの当接片10Rがストッパ11Rに当接するように、当接片10Rの位置が調整されている。
図5(B)に示すように、第2の変形例に係るホームドア装置1においては、ホーム側扉体4Hの右端部4Rが閉扉位置まで引き出されると、ホーム側扉体4Hの左端部4Lが、ホーム側戸袋3Hの左端部4Lの側面に形成されたホーム側扉体戸尻側開口3Htから深さdだけ奥に入った位置まで移動して、停止するように、制御装置5が制御を行う。また、この時、ホーム側扉体4Hの当接片10Lがストッパ11Lに当接するように、当接片10Lの位置が調整されている。
第2の変形例に係るホームドア装置1においては、深さdが4mm以下になるように、当接片10L,10Rの位置が調整されている。したがって、第2の変形例に係るホームドア装置1においては、ホーム側扉体4Hの一方端が開扉位置あるいは閉扉位置にある時、その反対側の端部は扉出入り口から見て4mm以下の浅い位置にある。
なお、深さdは4mm以下が好ましいが、深さdは、4mm以下には限定されない。ホーム側扉体4Hの先端部あるいはホーム側扉体戸先側開口3Hlあるいはホーム側扉体戸尻側開口3Htの周囲を柔軟性のある材質で構成する場合、あるいは後述するセンサを使用する場合などは、深さdは、4mmよりも深くても良い。侵入防止の対象を大人の手指とする場合は、深さdは20mm程度であっても良い。侵入防止の対象を手提げバックなどの物品、あるいは握りこぶしとする場合は、深さdは50mm程度であっても良い。また、深さdを50mm程度にすれば、穴が開いていることによって乗降客が感じる恐怖感を緩和することができる。
第2の変形例においては、侵入防止対象の異物として、幼児の手指、あるいは幼児の手指と同程度の寸法の物体を想定している。月齢6月の平均的な乳児の手指の先端の直径は5mm前後であるので、深さdが4mm以下であれば、少なくとも幼児以上の人間の手指が、ホーム側扉体4Hと扉出入り口の間を通って、戸袋の内部に届くことがない。このように、第2の変形例においては、扉出入り口における、幼児の手指、あるいは幼児の手指と同程度の寸法の物体の侵入を抑制することができる。
(第3の変形例)
図6(A),(B)は、本発明の第3の変形例に係るホームドア装置1の構成を示す斜視図である。図6(A)は、ホーム側扉体4Hが閉扉位置に引き出された状態を、図6(B)は、ホーム側扉体4Hが開扉位置に引き戻される途中の状態を、それぞれ示している、図6(A),(B)に示すように、第3の変形例に係るホームドア装置1は、軌道側戸袋3Tの頂部に固定された庇部材12を備えることを特徴としている。庇部材12はホーム側に張り出して、ホーム側戸袋3Hから引き出されるホーム側扉体4Hの上方を覆うことができる。ホームドア装置1に庇部材12を備えれば、プラットホームに所在する乗客が軌道側戸袋3Tのホーム側のホーム側扉体4Hが引き出される領域に接近することを抑制できる。
また、図6(A)に示すように、第3の変形例に係るホームドア装置1において、ホーム側扉体4Hが閉扉位置に引き出された場合に、ホーム側扉体4Hの戸尻側の端部、つまりホーム側扉体4Hの左端部4Lは、ホーム側戸袋3Hのホーム側扉体戸尻側開口3Htの端面と同一平面にある。そのため、ホーム側扉体戸尻側開口3Htからの異物の侵入が抑制される。
なお、ホーム側扉体4Hが閉扉位置に引き出された場合における、ホーム側扉体4Hの戸尻側の端部4Htの位置は、図6(A)に示した位置には限定されない。この場合のホーム側扉体4Hの戸尻側の端部4Htは、ホーム側扉体戸尻側開口3Htから異物の侵入が抑制される位置にあれば十分である。例えば、前述したように、ホーム側扉体4Hの戸尻側の端部4Htはホーム側扉体戸尻側開口3Htから外部に突出していても良い。同じく、前述したように、ホーム側扉体4Hの戸尻側の端部4Htは、ホーム側扉体戸尻側開口3Htからホーム側戸袋3Hの内部に多少下がった位置にあっても良い。
(第4の変形例)
図7は、本発明の第4の変形例に係るホームドア装置1の構成を示す斜視図である。図7に示すように、第4の変形例に係るホームドア装置1は、平面形において庇部材12の隅部12Rを湾曲させたことを特徴としている。その結果、隅部12Rに乗客が接触等した場合の衝撃が緩和される。なお、第4の変形例に係るホームドア装置1の基本的な構成と作用は、第3の変形例に係るホームドア装置1と同一である。
(第5の変形例)
図8は、本発明の第5の変形例に係るホームドア装置1の構成を示す斜視図である。図8に示すように、第5の変形例に係るホームドア装置1は、庇部材12に加えて、隔壁13を備えることを特徴としている。隔壁13は、軌道側戸袋3Tの側方の、ホーム側戸袋3Hから引き出されるホーム側扉体4Hが通過する領域の前記ホーム側に配置されている。隔壁13を備えるので、ホーム側戸袋3Hのホーム側扉体戸尻側開口3Ht(図8においては、隔壁13に隠れて見えない)から引き出されるホーム側扉体4Hは、プラットホームに所在する乗客から隔離される。
隔壁13は、外面と内面が互いに平行に形成された平板状の外形を有している。そのため、隔壁13の内側、つまり、ホーム側から見る場合の裏面には、凹凸、あるいは、板金加工によって形成される鈎型の断面を有する部材、あるいは、エッジが存在しない。そのため、万一、隔壁13の裏側に手指を差し込むことがあっても、手指を傷つけることがない。なお、隔壁13は、軌道側戸袋3Tの側面に平行に取り付けられたものには限定されない。隔壁13は、軌道側戸袋3Tの軌道側扉体戸先側開口3Tlが形成された端部に近付くにしたがって、軌道側戸袋3Tの側面との間隔が広がるように取り付けられても良い。
また、図8に示すように、隔壁13は窓部13aを備えていて、窓部13aには透明な部材が嵌めこまれている。そのため、ホーム側扉体4Hがホーム側戸袋3Hから引き出される様子を、窓部13aを通して、乗客が視認することができる。そのため、ホーム側扉体4Hがホーム側戸袋3Hから引き出される際に、乗客が不用意にホームドア装置1に近付くことを抑制できる。あるいは、乗客がホームドア装置1から退避することを促すことができる。また、隔壁13はヒンジ13bを介してホーム側戸袋3Hに取り付けられている。そのため、隔壁13をヒンジ軸S周りに揺動させることができるので、修理点検等のためにプラットホーム側から軌道側戸袋3Tにアクセスすることが容易になる。
図8においては、隔壁13が軌道側戸袋3Tの側方の、ホーム側戸袋3Hから引き出されるホーム側扉体4Hが通過する領域の全てを覆う例を示したが、隔壁13はかかる構成を備えるものには限定されない。隔壁13は、ホーム側戸袋3Hから引き出されるホーム側扉体4Hが通過する領域を部分的に覆うものであっても良い。つまり、図8において、隔壁13は、その左端が軌道側戸袋3Tの左端に届かないものであっても良い。隔壁13は、その右端がホーム側戸袋3Hの左端に届かないものであっても良い。
図8においては、ホームドア装置1に庇部材12と隔壁13を備える例を示したが、ホームドア装置1に庇部材12と隔壁13の両方を備えるものには限定されない。ホームドア装置1は、庇部材12あるいは隔壁13のいずれか一方を備えるものであっても良い。ホームドア装置1は、庇部材12と隔壁13の両方を備えないものであっても良い。また、隔壁13はホーム側戸袋3Hに取り付けられるものには限定されない。隔壁13は、軌道側戸袋3T、ホーム側戸袋3H及び庇部材12に対して構造的に独立したものであっても良い。例えば、隔壁13は床面2(図8において不図示)に直接固定されるものであっても良い。
(第6の変形例)
図9は、本発明の第6の変形例に係るホームドア装置1の構成を示す斜視図である。図9に示すように、隔壁13は一部が切り欠かれた、平面形において不定形をなすものであっても良い。また、隔壁13は全体または一部が透明材料で構成されていても良い。また、本変形例においては、ホーム側から見て、扉開動作時にホーム側扉体4Hの戸尻部が、最初に視認できる部位を開口部とする。この部位は、軌道側戸袋3Tの左端に形成された軌道側扉体4Tの戸先部が出入りする扉出入り口より右側に配置されている。
(第7の変形例)
図10は、本発明の第7の変形例に係るホームドア装置1の構成を示す斜視図である。図10に示すように、第7の変形例に係るホームドア装置1は、軌道側戸袋3Tのホーム側の側面と、庇部材12の下面にLED素子列14を備えることを特徴としている。LED素子列14は複数個のLED発光素子を配列して構成される部品である。LED素子列14は、ホーム側扉体4Hがホーム側戸袋3Hから引き出される前に点灯して、ホームドア装置1の周囲に所在する者の注意を喚起する警報手段として機能する。
(第8の変形例)
図11(A)は、本発明の第8の変形例に係るホームドア装置1の構成を示す斜視図である。図11(A)に示すように、第8の変形例に係るホームドア装置1は、隔壁13の下部にレーザ投射器15を備えることを特徴としている。レーザ投射器15はレーザ光を投射する方向を短時間で繰り返し変更することによって、あるいは特殊なレンズを通してレーザ光を投射することによって、投射面に図形16を形成する装置である。レーザ投射器15は、ホーム側扉体4Hがホーム側戸袋3Hから引き出される前に図形16を形成して、ホームドア装置1の周囲に所在する者の注意を喚起する警報手段として機能する。
(第9の変形例)
図11(B)は、本発明の第9の変形例に係るホームドア装置1の構成を示す斜視図である。図11(B)に示すように、第9の変形例に係るホームドア装置1は、隔壁13の上部にレーザ投射器15を備えることを特徴としている。本変形例においては、レーザ投射器15は軌道側扉体4Tに図形16を形成する。レーザ投射器15は、ホーム側扉体4Hがホーム側戸袋3Hから引き出される前に図形16を形成して、ホームドア装置1の周囲に所在する者の注意を喚起する警報手段として機能する。
(第10の変形例)
図12は、本発明の第10の変形例に係るホームドア装置1の構成を示す図である。ホーム側戸袋3Hに超音波センサ17が固定されていることを特徴としている。超音波センサ17は、送波器と受波器とを備えて、送波器から発信されて、対象物で反射された超音波を受波器で受信することによって、対象物の有無や対象物までの距離を検出するセンサである。本変形例においては、超音波センサ17は、軌道側戸袋3Tのホーム側の、ホーム側戸袋3Hから引き出されたホーム側扉体4Hが通過する領域に向けて超音波を発信して、該領域内における異物の有無を検出する。なお、図12において、検出範囲18は超音波センサ17の検出範囲を示す。このように、本変形例においては、超音波センサ17は、ホーム側扉体4Hが移動する方向における異物の有無を検出する異物検出手段として機能する。なお、検出範囲18は、図12に図示したもの、つまり戸袋3の左端に届くものには限定されない。検出範囲18は、図12において、ホーム側扉体4Hの左端部4Lに届くものであっても良い。
(第11の変形例)
図13(A)、(B)は、本発明の第11の変形例に係るホームドア装置1の構成を示す平面図である。図13(A)はホーム側扉体4Hと軌道側扉体4Tが閉扉された状態を、図13(B)はホーム側扉体4Hが開扉された状態を、それぞれ示している。
図13(A)、(B)に示すように、第11の変形例に係るホームドア装置1においては、ホーム側戸袋3Hと軌道側戸袋3Tは一体化、または互いに結合されて、単一の筐体を構成している。つまり、戸袋3は、ホーム側戸袋3Hと軌道側戸袋3Tが一体化、または互いに結合された単一の筐体を備えている。ホーム側戸袋3Hは、図13(A)、(B)における左右両端に図示しない扉出入り口を備えていて、ホーム側扉体4Hはホーム側戸袋3Hの左右の任意の側に引き出される。
図13(A)に示す状態、つまり、ホーム側扉体4Hが閉扉位置にある時、ホーム側扉体4Hはホーム側戸袋3Hの右側に引き出されている。そして、この時、ホーム側扉体4Hの左側の端部は、ホーム側戸袋3Hの左側に突出している。そのため、ホーム側戸袋3Hの左端に形成された図示しない扉出入り口は、ホーム側扉体4Hによって塞がれる。
図13(B)に示す状態、つまり、ホーム側扉体4Hが開扉位置にある時、ホーム側扉体4Hはホーム側戸袋3Hの左側に引き出されている。そして、この時、ホーム側扉体4Hの右側の端部は、ホーム側戸袋3Hの右側に突出している。そのため、ホーム側戸袋3Hの右端に形成された図示しない扉出入り口は、ホーム側扉体4Hによって塞がれる。
(第12の変形例)
図14(A)~(C)は、本発明の第12の変形例に係るホームドア装置1の構成を示す平面図である。図14(A)はホーム側扉体4Hと軌道側扉体4Tが閉扉された状態を、図14(B)は軌道側扉体4Tが開扉された状態を、図14(C)はホーム側扉体4Hが開扉された状態を、それぞれ示している。
上記の実施の形態と各変形例においては、ホーム側戸袋3Hの左右両端にホーム側扉体戸尻側開口3Htとホーム側扉体戸先側開口3Hlを備え、軌道側戸袋3Tは軌道側扉体戸先側開口3Tlのみを備える例を示したが、ホームドア装置1はこのように構成されたものには限定されない。図14(A)~(C)に示すように、第12の変形例に係るホームドア装置1は、ホーム側戸袋3Hがホーム側扉体戸先側開口3Hlのみを備え、軌道側戸袋3Tの左右両端に軌道側扉体戸先側開口3Tlと軌道側扉体戸尻側開口3Ttを備えている。
図14(A)~(C)に示すように、第12の変形例に係るホームドア装置1においては、軌道側扉体4Tは、軌道側扉体戸先側開口3Tlあるいは軌道側扉体戸尻側開口3Ttを通って、軌道側戸袋3Tの左右両側に引き出される。一方、ホーム側扉体4Hは、ホーム側扉体戸先側開口3Hlを通って、ホーム側戸袋3Hの右側のみに引き出される。そのため、第12の変形例に係るホームドア装置1においては、軌道側扉体4Tが本願発明の第1扉体に相当し、ホーム側扉体4Hが本願発明の第2扉体に相当する。なお、第12の変形例に係るホームドア装置1においても、ホーム側戸袋3Hと軌道側戸袋3Tは一体にされて、単一の筐体を構成している。つまり、戸袋3は、ホーム側戸袋3Hと軌道側戸袋3Tが一体化された単一の筐体を備えている。
図14(A)に示すように、軌道側扉体4Tが閉扉状態にある時、軌道側扉体4Tは、軌道側扉体戸先側開口3Tlを通って、軌道側戸袋3Tの左側に引き出されるが、軌道側扉体4Tの右端は、軌道側扉体戸尻側開口3Ttを通って、軌道側戸袋3Tの右側に、なお突出している。図14(B)に示すように、軌道側扉体4Tが開扉状態にある時、軌道側扉体4Tは、軌道側扉体戸尻側開口3Ttを通って、軌道側戸袋3Tの右側に引き出されるが、軌道側扉体4Tの左端は、軌道側扉体戸先側開口3Tlを通って、軌道側戸袋3Tの左側に、なお突出している。このように、軌道側扉体4Tが開閉いずれの状態にあっても、軌道側扉体戸先側開口3Tlと軌道側扉体戸尻側開口3Ttは、常に、軌道側扉体4Tによって塞がれる。
図14(C)に示すように、ホーム側扉体4Hが開扉状態にある時、ホーム側扉体4Hはホーム側戸袋3Hの内部に引き込まれるが、ホーム側扉体4Hの右端は、ホーム側扉体戸先側開口3Hlを通って、ホーム側戸袋3Hの右側に突出している。そのため、ホーム側戸袋3Hの右端に形成されたホーム側扉体戸先側開口3Hlは、常に、ホーム側扉体4Hによって塞がれる。
(第13の変形例)
図15(A)~(C)は、本発明の第13の変形例に係るホームドア装置1の構成を示す平面図である。図15(A)はホーム側扉体4Hと軌道側扉体4Tが閉扉された状態を、図15(B)はホーム側扉体4Hが開扉された状態を、図15(C)は軌道側扉体4Tが開扉された状態を、それぞれ示している。
上記の実施の形態と各変形例においては、ホーム側扉体4Hと軌道側扉体4Tのいずれか一方が、それぞれホーム側戸袋3Hあるいは軌道側戸袋3Tの両端の任意の側への引き出しが可能に構成された例を示した。第13の変形例においては、ホーム側扉体4Hと軌道側扉体4Tの両方が、それぞれホーム側戸袋3Hあるいは軌道側戸袋3Tの両端の任意の側への引き出しが可能に構成された例を示す。
図15(A)~(C)に示すように、第13の変形例に係るホームドア装置1のホーム側戸袋3Hは、その両端に、ホーム側扉体戸尻側開口3Htとホーム側扉体戸先側開口3Hlを備えている。また、軌道側戸袋3Tは、その両端に、軌道側扉体戸先側開口3Tlと軌道側扉体戸尻側開口3Ttを備えている。また、軌道側戸袋3Tの左端はホーム側戸袋3Hの左端よりも左側に位置していて、軌道側戸袋3Tの右端はホーム側戸袋3Hの左端よりも右側に位置している。軌道側扉体戸先側開口3Tlはホーム側扉体戸尻側開口3Htよりも左側に位置していて、軌道側扉体戸尻側開口3Ttはホーム側扉体戸尻側開口3Htよりも右側に位置している。
図15(A)に示すように、ホーム側扉体4Hと軌道側扉体4Tの両方が閉扉状態にあるとき、ホーム側扉体4Hは、ホーム側扉体戸先側開口3Hlを通って、ホーム側戸袋3Hの右側に、軌道側扉体4Tは、軌道側扉体戸先側開口3Tlを通って、軌道側戸袋3Tの左側に、それぞれ引き出される。この時、ホーム側扉体4Hの左端は、ホーム側扉体戸尻側開口3Htを通って、ホーム側戸袋3Hの左側に、軌道側扉体4Tの右端は、軌道側扉体戸尻側開口3Ttを通って、軌道側戸袋3Tの右側に、それぞれ、なお突出している。
図15(B)に示すように、ホーム側扉体4Hが開扉状態にある時、ホーム側扉体4Hは、ホーム側扉体戸尻側開口3Htを通って、ホーム側戸袋3Hの左側に引き出される。この時、ホーム側扉体4Hの右端は、ホーム側扉体戸先側開口3Hlを通って、ホーム側戸袋3Hの右側に、なお突出している。図15(C)に示すように、軌道側扉体4Tが開扉状態にある時、軌道側扉体4Tは、軌道側扉体戸尻側開口3Ttを通って、軌道側戸袋3Tの右側に引き出される。この時、軌道側扉体4Tの左端は、軌道側扉体戸先側開口3Tlを通って、軌道側戸袋3Tの左側に、なお突出している。
ホーム側扉体4Hと軌道側扉体4Tが開閉いずれの位置にあっても、つまり、ホーム側扉体4Hと軌道側扉体4Tのいずれかの端部が、それぞれ、ホーム側戸袋3Hと軌道側戸袋3Tのいずれかの側に引き出されても、ホーム側扉体4Hと軌道側扉体4Tの反対側の端部は、それぞれ、ホーム側戸袋3Hと軌道側戸袋3Tの反対側に、なお突出している。そのため、ホーム側戸袋3Hと軌道側戸袋3Tの左右両端に形成されて、ホーム側扉体4Hあるいは軌道側扉体4Tが進退する開口は、それぞれ、ホーム側扉体4Hあるいは軌道側扉体4Tによって、常に塞がれる。
なお、第13の変形例においては、軌道側戸袋3Tの左右両端に形成されて軌道側扉体4Tが進退する開口が、軌道側扉体4Tによって塞がれない場合があっても良い。
また、図15(C)において、軌道側扉体4Tが開扉位置にある時に、軌道側扉体4Tの右端が、ホーム側戸袋3Hの右端によりも右側に突出する例を示しているが、第13の変形に係るホームドア装置1は、軌道側扉体4Tの右端が、ホーム側戸袋3Hの右端によりも右側に突出するものには限定されない。
(第14の変形例)
図16は、本発明の第14の変形例に係るホームドア装置1の構成を示す平面図である。上記第13の変形例までは、軌道側戸袋3Tとホーム側戸袋3Hが、一体に構成された単一の筐体を備える例を示したが、第14の変形例以降においては、軌道側戸袋3Tとホーム側戸袋3Hが、それぞれ独立した別個の筐体を備える例を示す。
図16に示すように、第14の変形例に係るホームドア装置1は、軌道側戸袋3Tとホーム側戸袋3Hが、それぞれ独立した別個の筐体を備えていて、両者は、軌道側扉体4T及びホーム側扉体4Hが進退する方向において、間隔を空けて配置されている。また、軌道側戸袋3Tとホーム側戸袋3Hの間には、閉塞部材19が配置されている。閉塞部材19は軌道側戸袋3Tとホーム側戸袋3Hの間の隙間を塞ぐパネルであって、プラットホーム上に所在する乗客の転落を防ぐ固定柵として機能する。また、閉塞部材19を軌道側戸袋3Tあるいは、ホーム側戸袋3Hのいずれかにヒンジを介して、開閉自在に支持されるようにすれば、閉塞部材19は非常扉として機能する。また、閉塞部材19の一部または全部を透明部材で構成すれば、プラットホーム側から軌道側を見通すことができる。なお、第14の変形例に係るホームドア装置1の、上記以外の構成と作用は、第13の変形例の場合と同じなので、説明を省略する。
(第15の変形例)
図17は、本発明の第15の変形例に係るホームドア装置1の構成を示す平面図である。図17に示すように、第15の変形例に係るホームドア装置1も、軌道側戸袋3Tとホーム側戸袋3Hが、それぞれ独立した別個の筐体を備えていて、両者は、軌道側扉体4T及びホーム側扉体4Hが進退する方向において、間隔を空けて配置されている。第15の変形例に係るホームドア装置1は、閉塞部材19が、ホーム側戸袋3Hと一体に構成されている点で、第14の変形例に係るホームドア装置1とは異なる。なお、ここで「一体に構成される」とは、閉塞部材19がホーム側戸袋3Hに分離不可能な態様で、あるいは分離後の再結合が不可能な態様で結合されていることを意味する。なお、閉塞部材19は、軌道側戸袋3Tと一体に構成されても良い。
(第16の変形例)
図18は、本発明の第16の変形例に係るホームドア装置1の構成を示す平面図である。軌道側戸袋3Tとホーム側戸袋3Hが、それぞれ独立した別個の筐体を備えるホームドア装置1において、ホームドア装置1は、軌道側戸袋3Tとホーム側戸袋3Hが離隔配置されるものには限定されない。第14~16の変形例においては、軌道側戸袋3Tとホーム側戸袋3Hが接近配置される例を示す。
図18に示すように、第16の変形例に係るホームドア装置1は、軌道側扉体4T及びホーム側扉体4Hが進退する方向において、軌道側戸袋3Tの右端Rをホーム側戸袋3Hの左端Lに揃えている。そのため、軌道側戸袋3Tの右端R以外の部位と、ホーム側戸袋3Hの左端L以外の部位は、軌道側扉体4T及びホーム側扉体4Hが進退する方向において重ならない。このように、第16の変形例に係るホームドア装置1においては、軌道側扉体4T及びホーム側扉体4Hが進退する方向において、軌道側戸袋3Tの端部をホーム側戸袋3Hの端部に揃えるものの、軌道側戸袋3Tとホーム側戸袋3Hの他の部位が重ならない位置に、軌道側戸袋3Tとホーム側戸袋3Hを配置している。
なお、第16の変形例に係るホームドア装置1は、開扉時あるいは閉扉時において、軌道側戸袋3Tの左右両端に形成されて軌道側扉体4Tが進退する開口の一方が、軌道側扉体4Tによって塞がれない場合があっても良い。
(第17の変形例)
図19は、本発明の第17の変形例に係るホームドア装置1の構成を示す平面図である。図19に示すように、第17の変形例に係るホームドア装置1は、軌道側扉体4T及びホーム側扉体4Hが進退する方向において、軌道側戸袋3Tとホーム側戸袋3Hの一部が、互いに重なる位置に、軌道側扉体4T及びホーム側扉体4Hを配置することを特徴としている。
(第18の変形例)
図20は、本発明の第18の変形例に係るホームドア装置1の構成を示す平面図である。図20に示すように、第18の変形例に係るホームドア装置1は、軌道側扉体4T及びホーム側扉体4Hが進退する方向において、軌道側戸袋3Tの右端Rをホーム側戸袋3Hの右端Rに揃えている。そのため、軌道側扉体4T及びホーム側扉体4Hが進退する方向において、ホーム側戸袋3Hの全体が、軌道側戸袋3Tの一部と重なる。なお、ホームドア装置1においては、軌道側扉体4T及びホーム側扉体4Hが進退する方向において、軌道側戸袋3Tの左端Lをホーム側戸袋3Hの左端Lに揃えるようにしても良い。このように、ホームドア装置1は、軌道側扉体4T及びホーム側扉体4Hが進退する方向において、軌道側扉体4T及びホーム側扉体4Hの端部を互いに揃えるとともに、両者が重なるようにしても良い。
最後に、比較例に係るホームドア装置と比較しながら、上記の実施の形態と変形例に係るホームドア装置1の効果を説明する。
図21は、乗車扉の位置と大きさが異なる普通列車と急行列車が混在するプラットホームに比較例に係るホームドア装置を設置した場合に生じる問題を説明する図である。ここでは、急行列車20が図21(A)に示す位置に乗降口21Aを備え、普通列車22が図21(B)に示す位置に乗降口21B,21Cを備える場合を想定する。
比較例に係るホームドア装置23は、図21(C)に示すように、プラットホーム24に固定された3台の戸袋25A,25B,25Cを備えている。戸袋25Aには扉体26Aが、戸袋25Bには扉体26Bと扉体26Cが、戸袋25Cには扉体26Dが、それぞれ、進退自在に取り付けられている。図21(C)に示す状態において、プラットホーム24に隣接する軌道27には、まだ、列車が到着していない。この場合、プラットホーム24に所在する図示しない乗客の軌道27への転落を防止するために、ホームドア装置23の全ての扉が閉扉される。
図21(C)に示す状態において、扉体26Aは戸袋25Aの右側に引き出されている。扉体26Bは戸袋25Bの左側に引き出されている。そして、扉体26Aの戸先側の端部T2と扉体26Bの戸先側の端部T3は互いに当接している。このようにして、戸袋25Aと戸袋25Bの間において、プラットホーム24から軌道27に向かう通路が閉塞される。なお、この時、扉体26Aの戸尻側の端部T1と扉体26Bの戸尻側の端部T4は、それぞれ、戸袋25Aと戸袋25Bの内部に所在している。
図21(C)に示す状態において、扉体26Cは戸袋25Bの右側に引き出されている。扉体26Dは戸袋25Cの左側に引き出されている。そして、扉体26Cの戸先側の端部T6と扉体26Dの戸先側の端部T7は互いに当接している。このようにして、戸袋25Bと戸袋25Cの間において、プラットホーム24から軌道27に向かう通路が閉塞される。なお、この時、扉体26Cの戸尻側の端部T5と扉体26Dの戸尻側の端部T8は、それぞれ、戸袋25Bと戸袋25Cの内部に所在している。
なお、扉体26Aは戸袋25Aの左右の任意の側に引き出される。そのために、戸袋25Aの左右の端面には、扉体26Aを出入りさせる図示しない開口が形成されている。扉体26Bと扉体26Cは、戸袋25Bの左右の任意の側に引き出される。そのために、戸袋25Bの左右の端面には、扉体26Bと扉体26Cを出入りさせる図示しない開口が形成されている。扉体26Dは戸袋25Cの左右の任意の側に引き出される。そのために、戸袋25Cの左右の端面には、扉体26Dを進退させる図示しない開口が形成されている。
図21(D)は、プラットホーム24に隣接する軌道27に急行列車20が停車した場合におけるホームドア装置23の状態を示している。軌道27に急行列車20が到着すると、急行列車20への乗客の乗降を可能とするために、プラットホーム24から急行列車20の乗降口21Aに向かう通路を開放する必要がある。そのため、ホームドア装置23は図示しない制御装置によって制御されて、図21(D)に示すように、扉体26Cが戸袋25Bの中に引き込まれる。また、扉体26Dが戸袋25Cの中に引き込まれる。その結果、扉体26Cの戸先側の端部T6と扉体26Dの戸先側の端部T7が互いに離隔して、戸袋25Cと戸袋25Cの間において、プラットホーム24から急行列車20の乗降口21Aに向かう通路が開放される。なお、この時、扉体26Cの戸尻側の端部T5は、戸袋25Bの左側に突出している。また、扉体26Dの戸尻側の端部T8は、戸袋25Cの内部に所在している。
図21(E)は、プラットホーム24に隣接する軌道27に普通列車22が停車した場合におけるホームドア装置23の状態を示している。軌道27に普通列車22が到着すると、普通列車22への乗客の乗降を可能とするために、プラットホーム24から普通列車22の乗降口21B,21Cに向かう通路を開放する必要がある。そのため、ホームドア装置23は図示しない制御装置によって制御されて、図21(E)に示すように、扉体26Aが戸袋25Aの中に引き込まれる。また、扉体26Bが戸袋25Bの中に引き込まれる。その結果、扉体26Aの戸先側の端部T2と扉体26Bの戸先側の端部T3が互いに離隔して、戸袋25Aと戸袋25Bの間において、プラットホーム24から普通列車22の乗降口21Bに向かう通路が開放される。
また、同様にして、扉体26Cの戸先側の端部T6と扉体26Dの戸先側の端部T7は互いに離隔されて、戸袋25Bと戸袋25Cの間において、普通列車22の乗降口21Cに向かう通路が開放される。なお、急行列車20の乗降口21Aと普通列車22の乗降口21Cは、位置と開口幅が異なる。普通列車22の乗降口21Cは急行列車20の乗降口21Aよりも、図において右に寄った位置にある。また、普通列車22の乗降口21Cは急行列車20の乗降口21Aよりも開口幅が広い。そのため、図21(E)に示すように、扉体26Cと扉体26Dは図21(D)に示す場合に比べて右に寄った位置にある。また、扉体26Cの戸先側の端部T6と扉体26Dの戸先側の端部T7の間に形成される通路の幅は、図21(D)に示す場合に比べて広くされている。また、ホームドア装置23において、戸袋25Aと戸袋25Bの間、あるいは戸袋25Bと戸袋25Cの間に形成される通路の幅は、乗降口21,21A,21Bの開口幅よりも広くされる。急行列車20あるいは普通列車22の停車位置の誤差をカバーするためである。
また、図21(E)に示す状態において、扉体26Bの戸尻側の端部T4は、戸袋25Bの右側に突出するが、端部T4の突出長さは制限される。端部T4を戸袋25Bの右側に大きく突出させると、扉体26Cと扉体26Dの間に形成された乗降通路と干渉するからである。そのため、扉体26Bの幅は制約される。同様に、扉体26Cの戸尻側の端部T5は、戸袋25Bの左側に突出するが、端部T5の突出長さは制限される。端部T5を戸袋25Bの左側に大きく突出させると、扉体26Aと扉体26Bの間に形成された乗降通路と干渉するからである。そのため、扉体26Cの幅は制約される。同様に、扉体26Aの戸尻側の端部T1及び扉体26Dの戸尻側の端部T8の突出長さは制限される。そのため、扉体26A及び扉体26Dの幅も制約される。
扉体26A,26B,26C,26Dの幅が制約されるので、図21(C)に示す状態においては、戸袋25Aの左側面に形成された、扉体26Aの戸尻側の端部T1が出入りする図示しない開口は開放された状態にある。また、戸袋25Bの右側面に形成された、扉体26Bの戸尻側の端部T4が出入りする図示しない開口は開放された状態にある。戸袋25Bの左側面に形成された、扉体26Cの戸尻側の端部T5が出入りする図示しない開口は開放された状態にある。戸袋25Cの左側面に形成された、扉体26Dの戸尻側の端部T8が出入りする図示しない開口は開放された状態にある。
このように、比較例に係るホームドア装置23においては、戸袋25A~25Cに形成された、扉体26A~扉体26Cの戸尻側の端部が出入りする図示しない開口が開放された状態にある場合がある。この開口は、約40mm程度の幅があって、乗客の手が届く位置にある。そのため、開口が開放されていると、乗客が不用意に、手指を差し入れて、怪我をする恐れがある。また、開口を通って異物が、戸袋の中に進入して、ホームドア装置23を損傷させる可能性がある。
これに対して、図21(C)に示したホームドア装置23に代えて、上記の実施の形態と変形例に係るホームドア装置1を備えれば、上記の問題は解消する。
例えば、戸袋25Aと扉体26Aに変えて、第12の変形例に係るホームドア装置1、つまり、図14(A),(B)に記載のホームドア装置1を備えれば、図21(C)に示す状態において、扉体26A(軌道側扉体4T)の戸尻側の端部T1は、戸袋25A(軌道側戸袋3T)の左側に突出する。その結果、戸袋25Aの扉体26Aの戸尻側の端部T1が出入りする図示しない開口が閉塞される。また、図21(C)に示す状態において、戸袋25Aの扉体26Aの戸尻側の端部T1が出入りする図示しない開口を閉塞するために、扉体26Aの幅を拡げる必要がないので、図21(E)に示す状態において、扉体26A(軌道側扉体4T)の戸尻側の戸袋25Aの左側にはみ出す部分の長さを小さくすることができる。
戸袋25Bと扉体26B,26Cに変えて、第13の変形例に係るホームドア装置1、つまり、図15(A),(B)に記載のホームドア装置1を備えれば、図21(C)に示す状態において、扉体26B(軌道側扉体4T)の戸尻側の端部T4は、戸袋25B(軌道側戸袋3T)の右側に突出する。扉体26C(ホーム側扉体4H)の戸尻側の端部T5は、戸袋25B(ホーム側戸袋3H)の左側に突出する。その結果、戸袋25Bの、扉体26Bの戸尻側の端部T4が出入りする図示しない開口と扉体26Cの戸尻側の端部T5が出入りする図示しない開口が閉塞される。また、扉体26Aの場合と同様に、扉体26B,26Cの幅を拡げる必要がないので、図21(E)に示す状態において、扉体26B,26Cの戸尻側の戸袋25Bの左右にはみ出す部分の長さを小さくすることができる。
戸袋25Cと扉体26Dに変えて、第11の変形例に係るホームドア装置1、つまり、図13(A),(B)に記載のホームドア装置1を備えれば、図21(C)に示す状態において、扉体26D(ホーム側扉体4H)の戸尻側の端部T8は、戸袋25C(ホーム側戸袋3H)の右側に突出する。その結果、戸尻側の端部T8が出入りする図示しない開口が閉塞される。また、扉体26Aの場合と同様に、扉体26Dの幅を拡げる必要がないので、図21(E)に示す状態において、扉体26Dの戸尻側の戸袋25Cの右側にはみ出す部分の長さを小さくすることができる。
以上、説明したように、上記の実施の形態と変形例に係るホームドア装置1は、扉体4が戸袋3の左右の任意の側に、任意の位置まで引き出される装置である。上記の実施の形態と変形例に係るホームドア装置1によれば、扉体4が引き出された側の反対側にある扉出入り口からの異物の侵入を防止できる。また、異物の侵入に起因する障害の発生を防止することができる。
なお、本発明の技術的範囲は、上記の実施の形態と変形例によっては限定されない。本発明は、特許請求の範囲に示された技術的思想の限りにおいて、自由に応用、変形、あるいは改良して実施することができる。また、上記の各実施の形態及び各変形例に開示されていない構成要素を追加して、本発明を実施することも自由である。
上記の実施の形態と変形例においては、ホームドア装置1をプラットホーム側から見る場合に、第1乗降口がホームドア装置1の右側にあって、第2乗降口がホームドア装置1の左側にある例を示した。そして、閉扉時において、ホーム側扉体4Hが戸袋3の右側に引き出され、軌道側扉体4Tが戸袋3の左側に引き出される例を示した。しかしながら、ホームドア装置1と第1,2乗降口はこのように配列されたものには限定されない。第1乗降口がホームドア装置1の左側にあって、第2乗降口がホームドア装置1の右側にあっても良い。この場合、閉扉時において、ホーム側扉体4Hは戸袋3の左側に引き出され、軌道側扉体4Tが戸袋3の右側に引き出されるように構成される。
上記の実施の形態と変形例においては、第1乗降口と第2乗降口の一方が開扉される場合に、他方が閉扉される例を示したが、ホームドア装置1は第1乗降口と第2乗降口を同時に開扉するものであっても良い。この場合に、一方の扉体の戸尻が他方の乗降口と干渉しないように、扉体の幅あるいは扉体の動作範囲を変更しても良い。
上記実施の形態においては、扉体4の動作範囲を制限して、本発明を実現する手段として、ホームドア装置1に当接片10L,10Rとストッパ11L,11Rを備える例を示したが、ホームドア装置1は、かかる機械的動作範囲制限手段を備えるものには限定されない。
上記第7~9の変形例においては、警報手段の具体例として、LED素子列14とレーザ投射器15を例示したが、警報手段はこれらには限定されない。警報手段は単なる警告灯であっても良いし、単なる警告ブザーであっても良い。要するに、本発明においては、各種の警報手段を任意に選択することができる。
上記第10の変形例においては、異物検出手段の具体例として超音波センサ17を例示したが、異物検出手段は超音波センサ17には限定されない。異物検出手段はレーザ光を利用するものであっても良いし、電磁波を利用するものであっても良いし、画像処理技術を利用するものであっても良い。要するに、本発明においては、各種の異物検出手段を任意に選択することができる。
本出願は、2019年5月17日に出願された、日本国特許出願特願2019-094020に基づく。本明細書中に日本国特許出願特願2019-094020の明細書、特許請求の範囲、図面全体を参照として取り込むものとする。
1 ホームドア装置、2 床面、3 戸袋、3H ホーム側戸袋、3Hl ホーム側扉体戸先側開口、3Ht ホーム側扉体戸尻側開口、3T 軌道側戸袋、3Tl 軌道側扉体戸先側開口、3Tt 軌道側扉体戸尻側開口、3L 左端部、3R 右端部、4 扉体、4H ホーム側扉体、4Ht 戸尻側の端部、4T 軌道側扉体、4L 左端部、4R 右端部、5 制御装置、6 ガイドレール、7 ガイドローラ、8 ラック、9 ピニオン、10L,10R 当接片、11L,11R ストッパ、12 庇部材、12R 隅部、13 隔壁、13a 窓部、13b ヒンジ、14 LED素子列、15 レーザ投射器、16 図形、17 超音波センサ、18 検出範囲、19 閉塞部材、20 急行列車、21A,21B,21C 乗降口、22 普通列車、23 ホームドア装置、24 プラットホーム、25A,25B,25C 戸袋、26A,26B,26C,26D 扉体、27 軌道。



Claims (3)

  1. プラットホーム上に設定された第1乗降口と第2乗降口の間に固定される戸袋と、
    前記戸袋に進退自在に支持される第1扉体および第2扉体と、を備え、
    前記第1扉体および前記第2扉体は、前記第1扉体および前記第2扉体が進退する方向に平行に配置されるとともに、前記第1扉体はプラットホーム側に、前記第2扉体は軌道側に、それぞれあって、互いに離隔して配置され、
    前記第1扉体および前記第2扉体が進退方向において何れの位置にあっても、前記第1扉体および前記第2扉体の少なくとも一部が、前記進退方向において重複するとともに、
    前記第1扉体は、前記第1扉体の進退する方向の一方の端に第1扉体第1端部を有するとともに、他方の端に第1扉体第2端部を有し、
    前記第2扉体は、前記第2扉体の進退する方向の一方の端に第2扉体第1端部を有するとともに、他方の端に第2扉体第2端部を有し、
    前記戸袋は単一の筐体を備えて、前記単一の筐体の内部に、前記第1扉体を進退自在に支持する部位と、前記第2扉体を進退自在に支持する部位とが、配置されるとともに、前記第1乗降口に臨む側の端面に、前記第1扉体第1端部が引き出される第1扉体第1端部側開口および前記第2扉体第2端部が引き出される第2扉体第2端部側開口を有するとともに、前記第2乗降口に臨む側の端面に、前記第1扉体第2端部が引き出される第1扉体第2端部側開口および前記第2扉体第1端部が引き出される第2扉体第1端部側開口を有し、前記第1扉体第2端部側開口は、前記第2扉体第1端部側開口よりも前記第1乗降口に寄った位置に配置され、
    前記第1扉体は前記第1扉体第1端部側開口を通って前記戸袋の内部に引き戻されて前記第1乗降口を開扉するとともに、
    前記第2扉体は前記第2扉体第1端部側開口を通って前記戸袋の内部に引き戻されて前記第2乗降口を開扉し、
    前記第1乗降口が開扉された状態にある時に、前記第1扉体第1端部および前記第2扉体第2端部のうち前記第2乗降口から離れている方の停止する位置は、前記プラットホームに隣接する軌道に入線する列車の種類に応じて変更される、
    ホームドア装置。
  2. プラットホーム上に設定された第1乗降口と第2乗降口の間に固定される戸袋と、
    前記戸袋に進退自在に支持される第1扉体および第2扉体と、を備え、
    前記第1扉体および前記第2扉体は、前記第1扉体および前記第2扉体が進退する方向に平行に配置されるとともに、前記第1扉体はプラットホーム側に、前記第2扉体は軌道側に、それぞれあって、互いに離隔して配置され、
    前記第1扉体および前記第2扉体が進退方向において何れの位置にあっても、前記第1扉体および前記第2扉体の少なくとも一部が、前記進退方向において重複するとともに、
    前記第1扉体は、前記第1扉体の進退する方向の一方の端に第1扉体第1端部を有するとともに、他方の端に第1扉体第2端部を有し、
    前記第2扉体は、前記第2扉体の進退する方向の一方の端に第2扉体第1端部を有するとともに、他方の端に第2扉体第2端部を有し、
    前記戸袋は単一の筐体を備えて、前記単一の筐体の内部に、前記第1扉体を進退自在に支持する部位と、前記第2扉体を進退自在に支持する部位とが、配置されるとともに、前記第1乗降口に臨む側の端面に、前記第1扉体第1端部が引き出される第1扉体第1端部側開口および前記第2扉体第2端部が引き出される第2扉体第2端部側開口を有するとともに、前記第2乗降口に臨む側の端面に、前記第1扉体第2端部が引き出される第1扉体第2端部側開口および前記第2扉体第1端部が引き出される第2扉体第1端部側開口を有し、前記第1扉体第2端部側開口は、前記第2扉体第1端部側開口よりも前記第1乗降口に寄った位置に配置され、
    前記第1扉体は前記第1扉体第1端部側開口を通って前記戸袋の内部に引き戻されて前記第1乗降口を開扉するとともに、
    前記第2扉体は前記第2扉体第1端部側開口を通って前記戸袋の内部に引き戻されて前記第2乗降口を開扉し、
    前記第1乗降口が開扉された状態にある時に、前記第1扉体第1端部の停止する位置と、前記第2扉体第1端部の停止する位置の間の距離が、前記プラットホームに隣接する軌道に入線する列車の種類に応じて変更される、
    ホームドア装置。
  3. 前記第1扉体第1端部は、前記第1扉体の戸先側の端部であり、
    前記第2扉体第1端部は、前記第2扉体の戸先側の端部であり、
    前記第2扉体第2端部は、前記第2扉体の戸尻側の端部である、
    請求項1又は請求項2に記載のホームドア装置。










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