JP7320390B2 - ボルト支持具 - Google Patents
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Description
特許文献1には、建築部材に形成された上下方向に貫通する孔部に下側から挿入されたボルトが落下しないように支持するボルト支持具が開示されている。このボルト支持具は、孔部に挿通されたボルトの下側に配置されるプレートを有している。プレートの縁部には、プレートから上側に突出しボルトの側方に配置される一対の壁部が設けられている。
このため、プレートと建築部材との間隔がボルトの頭部の高さ寸法よりも大きい場合は、建築部材の孔部に挿入されてボルト支持具に支持されたボルトの頭部は、建築部材と離間した状態となる。
建築部材の孔部に挿入されてボルト支持具に支持されたボルトの頭部と建築部材と離間している場合、ボルトにナットが締結されることで、ボルトが引き上げられてボルトの頭部が建築部材の下面と接触した状態となる。
建築部材が、例えば、梁材などで、ボルトの頭部と建築部材との隙間を、建築部材の上方(上階)からでは確認が困難な場合には、建築部材の下方(下階)に移動して確認しなければならず、手間がかかるという問題がある。
一対のボルト回転防止部とボルト頭部押付部とは、連結されていないことにより、ボルトの側方に位置するボルト頭部押付部が建築部材と当接したとしても、ボルト頭部押付部のばね機構を妨げることが無く、ボルト頭部押付部によってボルトの頭部を建築部材に押し付けることができる。
このような構成とすることにより、一対のボルト回転防止部を強固な構造とすることができる。
このような構成とすることにより、ボルト支持具がボルトに対して第1方向の一方側に移動して建築部材から外れることを規制することができる。また、ボルト頭部押付部に押し付けられている状態のボルトに押付力と反対方向の力が作用し、ボルトがこの方向に変位したとしても、ボルトの頭部がこの力の方向にボルト回転防止部連結部を押すことがない。このため、ボルト回転防止部連結部がボルトに押されることに起因する、ボルト支持具が建築部材から外れることがない。
このような構成とすることにより、ボルトの頭部がボルト頭部切り欠き部に沿って配置されることで、ボルトを正位置に配置することができ、ボルトの回転を防止することができる。
このような構成とすることにより、ボルトの向き(姿勢)を調整しなくても、ボルト支持具を取り付けることでボルトを所望の向きに設置することができる。
このような構成とすることにより、ボルトとボルト支持具とが外れることを防止できる。
このような構成とすることにより、ボルト頭部押付部の板厚や板面の形状などを大きくしなくても、要求されるばね強度を確保することができる。
図1に示すように、本実施形態によるボルト支持具1は、鉄骨梁11のフランジ12(建築部材)に形成された孔部121に挿通されたボルト13の頭部14を、板ばねでフランジ12に押し付けて、ボルト13が孔部121から外れないように支持している。ボルト支持具1は、ステンレスなどの弾性変形可能な鋼板で形成され、ばね機構を有している。ボルト支持具1を形成する鋼板は、全体にわたってほぼ同じ板厚となっている。
ボルト13は、ボルト支持具1に支持された状態でネジ部15にナット(不図示)が締結される。ボルト支持具1は、ボルト13にナットが締結されても、フランジ12から外されないように構成されている。
ボルト支持具1は、フランジ12に対して、鉄骨梁11の軸直交方向(鉄骨梁11の軸方向に直交する水平方向、第1方向)から装着されるように構成されている。ボルト支持具1の説明では、フランジ12に対して装着される方向(鉄骨梁11の軸直交方向)を前後方向(図1の左右方向)とし、前後方向に直交する水平方向(鉄骨梁11の軸方向)を幅方向(図1の紙面に直交する方向)とする。
前後方向において、装着されるボルト支持具1に対して鉄骨梁11が設置されている側(鉄骨梁11のフランジ12の縁部12aからウェブ17に向かう側、第1方向の一方側)を前側とし、鉄骨梁11に対してボルト支持具1が設置される側(鉄骨梁11のウェブ17からフランジ12の縁部12aに向かう側、第1方向の他方側)を後側とする。
一対のボルト回転防止部5は、後端部(基端部)5bが連結部4と連結されているが、ボルト頭部押付部3とは連結されていない。
建築部材当接部2がフランジ12の上側に配置され、連結部4がフランジ12の後側に配置され、ボルト頭部押付部3、一対のボルト回転防止部5およびボルト回転防止部連結部6がフランジ12の下側に配置されている。
図2および図3に示すように、建築部材当接部2は、上方から前後方向に延びて見て前側に開口する第1切り欠き部21(ボルトネジ部切り欠き部)が形成されている。
第1切り欠き部21は、建築部材当接部2の幅方向の略中央における前側の部分に形成されている。建築部材当接部2は、板面が略U字形となっている。
第1切り欠き部21は、ボルト13のネジ部15(図1参照)が前側から挿入され、後端部にボルト13のネジ部15が配置されるように構成されている。
ボルトネジ部嵌合部23の幅寸法は、ボルト13のネジ部15の径と略同じに形成されている。
直線部24の幅寸法は、ボルト13のネジ部15の径よりもやや小さく形成されている。このため、直線部24の縁部とボルトネジ部嵌合部23の縁部との境界部分には、段部25(ボルト移動規制部)が形成されている。
第1連結板部41は、平板状に形成されて、板面が前後方向を向く鉛直面となる向きでフランジ12の縁部12a(図1参照)と対向するように配置される。
第1連結板部41の上下方向の寸法は、フランジ12の厚さ寸法と略同じ寸法または少し大きく設定されている。本実施形態では、第1連結板部41の上下方向の寸法はフランジ12の厚さ寸法よりも1~4mm程度大きく設定されている。
第1連結板部41は、幅方向全体にわたってほぼ同じ高さ寸法に設定されている。第1連結板部41の下端部は、幅方向に直線状に延びている。
第1連結板部41と第2連結板部42との接続部44は、略直角に屈曲している。
第2連結板部42と第3連結板部43との接続部45は、略直角に屈曲している。第2連結板部42と第3連結板部43との接続部45の角部は、角部に前側かつ上側に張り出すように湾曲する円弧状に形成されている。
ボルト頭部押付部3は、連結部4よりも幅寸法が小さく設定され、連結部4と幅方向の中心線を合わせるようにして配置されている(図6参照)。ボルト頭部押付部3は、連結部4の両端部よりも内側(幅方向の中心側)に配置されている。
第2押付板部32は、後縁部(第1押付板部31との接続部)から前側に向かって幅方向の両端が互いに近接するように幅方向の寸法が小さくなっている。第2押付板部32の板面は、略三角形に形成され、前縁部が前側に突出する角部32aを形成している(図6参照)。
ボルト頭部押付部3における第1押付板部31と第2押付板部32との接続部34は、上側に突出する鈍角に屈曲している。第1押付板部31と第2押付板部32との接続部34は、上側に張り出すように湾曲する円弧状に形成されている。
ボルト頭部押付部3は、第1押付板部31と第2押付板部32との接続部34がボルト13の頭部14と当接するように構成されている。第1押付板部31と第2押付板部32との接続部34をボルト頭部当接部34とする。
ボルト13を支持していない状態の建築部材当接部2とボルト頭部当接部34との上下方向の間隔h1は、フランジ12の厚さ寸法とボルト13の頭部14の高さ寸法の和よりも小さく設定されている。
ボルト回転防止部連結部6は、第1ボルト回転防止部51の前縁部と第2ボルト回転防止部52の前縁部から前側に向かって漸次下側に延びている。
第1ボルト回転防止部51は、ボルト頭部押付部3の第1押付板部31の幅方向の一方側に幅方向に間隔をあけて配置されている。第2ボルト回転防止部52は、ボルト頭部押付部3の第1押付板部31の幅方向の他方側に幅方向に間隔をあけて配置されている。
上方から見ると、一対のボルト回転防止部5の内部およびボルト回転防止部連結部6の第2切り欠き部61の内部に、ボルト頭部押付部3が配置されている。ボルト頭部押付部3は、一対のボルト回転防止部5およびボルト回転防止部連結部6と連結されずに離間している。
第2ボルト回転防止部52と連結部4との接続部54は下側かつ後側に張り出すように湾曲し円弧面を形成している。
第1ボルト回転防止部51と第2ボルト回転防止部52とは、幅方向に対称となるように形成されている。
第1ボルト回転防止部51とボルト回転防止部連結部6との接続部55は上側に張り出すように湾曲し円弧面を形成している。
第2ボルト回転防止部52とボルト回転防止部連結部6との接続部56は上側に張り出すように湾曲し円弧面を形成している。
第1ボルト回転防止部51とボルト回転防止部連結部6との接続部55と、第2ボルト回転防止部52とボルト回転防止部連結部6との接続部56とは、略同じ高さに配置され、ボルト頭部押付部3のボルト頭部当接部34(第1押付板部31と第2押付板部32との接続部34)よりも上側に配置されている。
第1ボルト回転防止部51および第2ボルト回転防止部52は、ボルト頭部押付部3よりも上側に位置している。
ボルト回転防止部連結部6の前端部(下端部)6aは、第1ボルト回転防止部51および第2ボルト回転防止部52と連結部4との接続部53,54、および第2押付板部32の下端部と略同じ高さに配置されている。
ガイド突起部63は、ボルト回転防止部連結部6の前端部からボルト回転防止部連結部6に沿って後側に向かって漸次上側に向かう斜め方向に延びている。ガイド突起部63の後端部は、第2切り欠き部61の近傍まで達している。
ガイド突起部63は、第1ボルト回転防止部51とボルト頭部押付部3との間隔の前方に配置されている。本実施形態では、ボルト13をその頭部14の側面がガイド突起部63に沿った状態でボルト回転防止部連結部6に沿って移動させることで、ボルト13の頭部14をボルト頭部押付部3の上側にガイドできるように構成されている。
まず、図7(a)に示すように、フランジ12の孔部121に下側からボルト13のネジ部15を挿通し、ボルト13が落下しないように作業者がボルト13を押さえる。
フランジ12およびボルト13に対してボルト支持具1を近づけ、ボルト支持具1の建築部材当接部2の前側部分をフランジ12の上面12bと当接させ、ボルト回転防止部連結部6の上面をボルト13の頭部14の下端面と当接させる。このようにすることでボルト回転防止部連結部6がボルト13の下側に配置されるため、ボルト13がフランジ12の孔部121から落下することが防止される。
ボルト13のネジ部15は、テーパ部22に沿って移動し第1切り欠き部21の直線部24の前側に配置される。
このとき、ボルト回転防止部連結部6のガイド突起部63がボルト13の頭部14の角部と当接すると、ガイド突起部63がボルト13の角部を内側に押し、ボルト13の角部よりも後側の側面がガイド突起部63に沿って幅方向を向く面となるようにボルト13を回転させる。
ボルト頭部押付部3は、下側に押し下げられるようにして弾性変形すると、復元力によって上側に配置されたボルト13を上方に押し付ける。ボルト13が上方に押し付けられることにより、ボルト13の頭部14の上面がフランジ12の下面と当接してボルト13の頭部14とフランジ12との間に隙間がない状態となる。
なお、ボルト13の頭部14の向きが上記の向きでない場合は、一対のボルト回転防止部5の縁部がボルト13の角部と当接し、ボルト13を回転させて上記の向きとすることができる。
ボルト13のネジ部15は、第1切り欠き部21の段部25を超えてボルトネジ部嵌合部23に配置される。ネジ部15の前側には、第1切り欠き部21の段部25(図2参照)が配置されるため、段部25がネジ部15と引っかかることにより、ボルト支持具1が後側に移動してボルト13と離間することが防止される。
このとき、ボルト13当接部はボルト13の頭部14に下側から当接し、ボルト13の頭部14を上側に押し付けている。
このため、ボルト13はフランジ12の下面に当接した状態に維持される。
この状態で、フランジ12の上側からボルト13のネジ部15にナットを締結する。
ボルト支持具1は、建築部材当接部2がナットとフランジ12に挟まれた状態となる。ボルト支持具1は、フランジ12に取り付けたままとする。
上述した本発明の実施形態によるボルト支持具1では、ボルト支持具1を建築部材当接部2とボルト頭部押付部3とでボルト13が挿通されたフランジ12を挟むように設置し、ボルト頭部押付部3でボルト13の頭部14を建築部材当接部2に向かって押し付けている。これにより、ボルト13の頭部14がフランジ12に押し付けられて、ボルト13の頭部14とフランジ12との間に隙間が生じないようにボルト13を支持することができる。
これにより、フランジ12に挿通されたボルト13にナットを締結する作業を容易に行うことができる、特に、鉄骨梁11の周囲に外壁材や床材などの他の部材が配置され、フランジ12の下側においてボルト13の頭部14を作業者が抑えることが困難な場合でも、容易に作業を行うことができる。
また、ボルト支持具1では、ボルト回転防止部連結部6は、ボルト13の頭部14の前側に配置されることにより、ボルト支持具1が後側に移動してフランジ12から外れることを規制することができる。また、ボルト頭部押付部3に押し付けられている状態のボルト13に押付力と反対方向の力が作用し、ボルト13がこの方向に変位したとしても、ボルト13の頭部14がこの力の方向にボルト回転防止部連結部6を押すことがない。このため、ボルト回転防止部連結部6がボルト13に押されることに起因する、ボルト支持具1が建築部材から外れることがない。
これにより、ボルト13とボルト支持具1とが外れることを防止できる。
ボルト頭部押付部3と連結部4との接続部33とが屈曲していることにより、ボルト頭部押付部3が連結部4との接続部33を軸として下側に弾性変形すると、ボルト頭部押付部3が上側に復元しようとする復元力が生じる。また、ボルト頭部押付部3が下側に弾性変形することによって、第3連結板部43も下側に引っ張られて第2連結板部42との接続部45を軸として下側に弾性変形すると、第3連結板部43が上側に復元しようとする復元力が生じる。
例えば、上記の実施形態では、ボルト支持具1は、建築部材(フランジ12)に形成された上下方向に貫通する孔部121にボルト13を挿通し、ボルト13の頭部14を上側に押し付けるように構成されている。これに対して、ボルト支持具は、建築部材に形成された水平方向や上下方向および水平方向に対して斜めとなる斜め方向に貫通する孔部に挿通されたボルトをそのボルトの頭部を建築部材に対して水平方向や斜め方向から押し付けるようにしてもよい。
また、上記の実施形態では、ボルト回転防止部連結部6は、ボルト13の頭部14の前側に配置されるように構成されているが、ボルト13の頭部14の前側以外に配置されてもよい。
また、上記の実施形態では、ボルト回転防止部連結部6には、ボルト13の頭部14の形状に対応する第2切り欠き部61が形成されているが、このような切り欠き部が形成されていなくてもよい。
これに対し、建築部材当接部2には、段部25が形成されていなくてもよい。また、ボルト13のネジ部15に対して建築部材当接部2が後側に移動することを規制する移動規制部は、上記の段部25以外であってもよい。
また、ボルト頭部押付部3は、ばね機構を有し、ボルト13の頭部14を建築部材に対して押し付け可能な構成であれば、上記以外の形状であってもよい。
2 建築部材当接部
2a 後端部(基端部)
3 ボルト頭部押付部
3a 後端部(基端部)
4 連結部
5 ボルト回転防止部
5a 前端部(先端部)
5b 後端部(基端部)
6 ボルト回転防止部連結部
12 フランジ(建築部材)
13 ボルト
14 頭部
15 ネジ部
21 第1切り欠き部(ボルトネジ部切り欠き部)
25 段部(移動規制部)
42 第2連結板部(第1板部)
43 第3連結板部(第2板部)
61 第2切り欠き部(ボルト頭部切り欠き部)
63 ガイド突起部(ガイド部)
Claims (7)
- 建築部材に対して、該建築部材の第1方向(以下、第1方向、と表記する)の一方側に移動させて設置され、建築部材に挿通されたボルトを支持するボルト支持具において、
前記建築部材に当接して配置される建築部材当接部と、
板ばねで構成され前記建築部材当接部と前記建築部材を挟んで対向して配置され、前記ボルトの頭部を前記建築部材に向かって押し付けるボルト頭部押付部と、
前記建築部材当接部における前記第1方向の他方側の端部と前記ボルト頭部押付部における前記第1方向の他方側の端部とを連結する連結部と、
前記ボルト頭部押付部の両側方に配置され、前記ボルトの回転を防止する一対のボルト回転防止部と、を有し、
前記一対のボルト回転防止部における前記第1方向の他方側の端部は、前記連結部と連結され、
前記一対のボルト回転防止部は、前記ボルト頭部押付部とは連結されていないことを特徴とするボルト支持具。 - 前記一対のボルト回転防止部における前記第1方向の一方側の端部同士を連結するボルト回転防止部連結部を有することを特徴とする請求項1に記載のボルト支持具。
- 前記ボルト回転防止部連結部は、前記ボルトの頭部の前記第1方向の一方側に配置されるように構成されていることを特徴とする請求項2に記載のボルト支持具。
- 前記ボルト回転防止部連結部は、前記ボルトの頭部の形状に対応するボルト頭部切り欠き部が形成されていることを特徴とする請求項3に記載のボルト支持具。
- 前記ボルト回転防止部連結部は、前記ボルトの頭部を前記ボルト頭部押付部に押し付けられる姿勢にガイドするガイド部を有することを特徴とする請求項2乃至4のいずれか一項に記載のボルト支持具。
- 前記建築部材当接部には、前記ボルトのネジ部が前記第1方向に移動可能なボルトネジ部切り欠き部が形成され、
前記ボルトネジ部切り欠き部は、前記ボルトのネジ部が嵌合するボルトネジ部嵌合部と、
前記ボルトネジ部嵌合部に嵌合したボルトのネジ部に対して前記建築部材当接部が前記第1方向の他方側に移動することを規制する移動規制部を有していることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載のボルト支持具。 - 前記連結部における前記建築部材当接部との接続部と、前記ボルト頭部押付部との接続部と、の間には、屈曲部が形成され、
前記連結部は、前記屈曲部よりも前記第1方向の他方側の第1板部と、前記屈曲部よりも前記第1方向の一方側の第2板部と、を有し、
前記第2板部は、前記屈曲部を更に屈曲させることで、接続された前記ボルト頭部押付部を前記建築部材に向かって押し上げ可能なばね機構を有することを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載のボルト支持具。
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