JP7319222B2 - プーリ装置 - Google Patents

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Description

本発明は、駆動源により駆動されるケーブルの移動方向を変換するプーリ装置に関する。
ワンボックス車等の車両の側部には、乗員の乗り降りや荷物の積み下ろし等を容易にするために、比較的大きな開口部が設けられている。開口部は、車両の前後方向に移動するスライドドアにより開閉され、スライドドアは車両の側部に固定されたガイドレールに沿って移動する。そして、車両の側部の近傍で、かつ車室内側には、スライドドアを前後方向に移動させるパワースライドドア装置が搭載されている。
パワースライドドア装置には、スライドドアに接続されたケーブルを駆動源により駆動して、スライドドアを車両の前後方向に移動させるようにしたケーブル式のものが多く採用される。具体的には、駆動源から一対のケーブルが引き出され、これらのケーブルの端部が、ガイドレールの長手方向両端にそれぞれ配置された一対のプーリ装置を介してスライドドアに接続されている。つまり、一対のケーブルの移動方向が、一対のプーリ装置によりそれぞれ変換されている。
そして、駆動源を正転させて一方のケーブルを巻き取りかつ他方のケーブルを送り出すことで、スライドドアがケーブルに牽引されて開動作される。これに対し、駆動源を逆転させて他方のケーブルを巻き取りかつ一方のケーブルを送り出すことで、スライドドアがケーブルに牽引されて閉動作される。
パワースライドドア装置を形成するプーリ装置には、例えば、特許文献1に記載されたものがある。特許文献1に記載されたプーリ装置は、ケーブルが巻き掛けられる溝部を備えたプーリと、プーリを回転自在に収容するケースと、を有している。そして、プーリを収容するケースは、プーリの径方向に分割された一対のケース半体を突き合わせて形成されている。
特開2011-074724号公報
ところで、上述の特許文献1に記載されたプーリ装置では、一方のケース半体(第1ケース体)に設けられた係合溝に、他方のケース半体(第2ケース体)に設けられた係止爪を引っ掛けて、両者を一体化させている。具体的には、一方のケース半体の外壁部分に形成された係合溝に、他方のケース半体の係止爪を引っ掛けるようにしている。つまり、他方のケース半体の係止爪は、外部に露出された状態となっている。
したがって、例えば、当該プーリ装置を備えたパワースライドドア装置が搭載される車体メーカーへの搬送中において、外部に露出された係止爪に異物が接触する等して係止爪が損傷したり、係止爪が係合溝から外れてしまったりする可能性があった。
本発明の目的は、第1ケース体および第2ケース体の接続部分が損傷したり外れたりすることを抑制できるプーリ装置を提供することにある。
本発明の一態様では、駆動源により駆動されるケーブルの移動方向を変換するプーリ装置であって、前記ケーブルが巻き掛けられる溝部を備えたプーリと、前記プーリを回転自在に収容するケースと、を有し、前記ケースは、前記プーリの径方向一側を覆う第1ケース体と、前記プーリの径方向他側を覆う第2ケース体と、を備え、前記第1ケース体には、前記プーリの径方向に貫通する複数の貫通孔を有し、かつ前記第2ケース体と対向する対向壁部が設けられ、前記第2ケース体には、前記対向壁部に向けて突出され、かつ前記複数の貫通孔にそれぞれ挿通されて前記対向壁部に引っ掛けられた複数の爪部が設けられていることを特徴とする。
本発明によれば、第2ケース体の爪部を、第1ケース体の外壁部分から当該外壁部分よりも内側の部分に配置することが可能となる。したがって、第1ケース体および第2ケース体の接続部分が、異物の接触により損傷したり外れたりすることを抑制することが可能となる。
パワースライドドア装置を搭載した車両の概要図である。 図1のパワースライドドア装置を示す斜視図である。 図2の駆動源を示す部分断面図である。 図2のリア側プーリ装置を示す斜視図である。 図4のA矢視図である。 図5のB-B線に沿う断面図である。 (a),(b)は、第1ケース体を示す斜視図である。 (a),(b)は、第2ケース体を示す斜視図である。 リア側プーリ装置の組み立て手順を説明する分解斜視図である。 第1ケース体への第2ケース体の組み付け手順を説明する斜視図である。
以下、本発明の一実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。
図1はパワースライドドア装置を搭載した車両の概要図を、図2は図1のパワースライドドア装置を示す斜視図を、図3は図2の駆動源を示す部分断面図を、図4は図2のリア側プーリ装置を示す斜視図を、図5は図4のA矢視図を、図6は図5のB-B線に沿う断面図を、図7(a),(b)は第1ケース体を示す斜視図を、図8(a),(b)は第2ケース体を示す斜視図を、図9はリア側プーリ装置の組み立て手順を説明する分解斜視図を、図10は第1ケース体への第2ケース体の組み付け手順を説明する斜視図をそれぞれ示している。
図1に示される車両10はワンボックス車両である。車両10を形成する車体11の側部には、乗員の乗り降りや荷物の積み下ろし等が行われる比較的大きな開口部12が設けられている。開口部12は、車体11の前後方向に移動し得るスライドドア13によって開閉される。ここで、スライドドア13の移動は、車体11の側部に固定されたガイドレール14に案内される。
図1および図2に示されるように、ガイドレール14は、車体11の上下方向に沿う略中央部で、かつ開口部12の車両後方側に固定されている。そして、ガイドレール14は、車体11の前後方向に延びる直線部14aと、当該直線部14aの車両前方側から車室内側に向けて湾曲された湾曲部14bと、を備えている。
また、スライドドア13の車両後方側には、ローラアッシー15が設けられている。ローラアッシー15は、ガイドレール14に移動自在に装着されている。そして、ローラアッシー15が、ガイドレール14に沿って車体11の前後方向に移動することで、スライドドア13は車体11の側方で移動される。
具体的には、ローラアッシー15が、ガイドレール14の直線部14aの車両後方側に移動されると、スライドドア13は全開の状態(図1の実線の状態)となる。また、ローラアッシー15が、ガイドレール14の湾曲部14bの車両前方側に移動されると、スライドドア13は車室内側に引き込まれて、全閉の状態(図1の二点鎖線の状態)となる。
ここで、ガイドレール14の他に、車体11の開口部12の上下部分にも、それぞれガイドレール(図示せず)が設けられている。そして、スライドドア13の車両前方側でかつ上下部分には、開口部12の上下部分に設けられたガイドレールに対応させて、一対のローラアッシー(図示せず)がそれぞれ設けられている。このようにスライドドア13は、合計3箇所のガイドレールおよびローラアッシーにより、車体11に安定状態で支持されている。
さらに、車体11には、スライドドア13を自動的に開閉するために、パワースライドドア装置20が搭載されている。
パワースライドドア装置20は、それぞれローラアッシー15に接続される開側ケーブル(ケーブル)21および閉側ケーブル(ケーブル)22を備え、所謂ケーブル式の自動開閉装置となっている。また、パワースライドドア装置20は、開側および閉側ケーブル21,22を駆動する駆動源23を備え、当該駆動源23は、ガイドレール14の長手方向に沿う略中央部で、かつ車室内側に配置されている。よって、駆動源23は、風雨に曝されることがない。
駆動源23から車両後方側へ引き出された開側ケーブル21は、ガイドレール14の車両後方側に設けられたリア側プーリ装置(プーリ装置)40により、その移動方向が車両前方側に変換されている。そして、開側ケーブル21の先端部は、ガイドレール14に沿って車両後方側からローラアッシー15に接続されている。また、駆動源23から車両前方側へ引き出された閉側ケーブル22は、ガイドレール14の車両前方側に設けられたフロント側プーリ装置24により、その移動方向が車両後方側に変換されている。そして、閉側ケーブル22の先端部は、ガイドレール14に沿って車両前方側からローラアッシー15に接続されている。
図2および図3に示されるように、駆動源23は、モータ本体25と、モータ本体25の駆動により開側および閉側ケーブル21,22を駆動する駆動部26と、を備えている。モータ本体25は、ブラシ付きの直流モータ(詳細図示せず)であり、アーマチュア軸(図示せず)が正逆方向に回転可能な電動モータとなっている。なお、モータ本体25には、ブラシ付きの直流モータに限らず、ブラシレスの直流モータ等を採用することもできる。
駆動部26は、開側および閉側ケーブル21,22がそれぞれ巻き掛けられるドラム27を備えている。なお、モータ本体25のアーマチュア軸とドラム27との間には、減速機構およびクラッチ機構(何れも図示せず)が設けられている。また、ドラム27には開側および閉側ケーブル21,22の端部が固定され、かつ開側および閉側ケーブル21,22は、ドラム27のケーブル溝(図示せず)に互いに逆向きに巻き掛けられている。
これにより、図3を参照しつつ、ドラム27が時計回り方向に回転(正転)されると、開側ケーブル21がドラム27に巻き掛けられ、かつ閉側ケーブル22がドラム27から送り出される。よって、スライドドア13(図1参照)は車両後方側に牽引(開動作)される。これに対し、ドラム27が反時計回り方向に回転(逆転)されると、閉側ケーブル22がドラム27に巻き掛けられ、かつ開側ケーブル21がドラム27から送り出される。これにより、スライドドア13は車両前方側に牽引(閉動作)される。
なお、操作者によりスライドドア13を手動で開閉操作する場合には、アーマチュア軸とドラム27との間のクラッチ機構が開放される。よって、アーマチュア軸とドラム27との間の動力伝達経路が遮断される。ここで、モータ本体25およびクラッチ機構は、駆動部26に内蔵された制御基板(図示せず)のCPU等によって制御される。すなわち、駆動源23は、所謂機電一体型の駆動源となっている。
また、駆動部26とリア側プーリ装置40およびフロント側プーリ装置24との間には、開側および閉側ケーブル21,22の移動をそれぞれ案内する開側および閉側アウターケーシング28,29が設けられている。開側および閉側アウターケーシング28,29は、可撓性を有する樹脂材料により管状に形成され、開側および閉側ケーブル21,22は、開側および閉側アウターケーシング28,29の内部に、グリース等の潤滑剤を介してスムーズに移動可能に挿通されている。
さらに、開側および閉側アウターケーシング28,29の両端には、開側および閉側エンドキャップ28a,29aがそれぞれ装着されている。そして、開側および閉側アウターケーシング28,29は、開側および閉側エンドキャップ28a,29aを介して、駆動部26と、リア側およびフロント側プーリ装置40,24とに固定されている。
また、駆動部26には、開側および閉側テンショナ機構30,31が設けられている。これらの開側および閉側テンショナ機構30,31は、それぞれ開側および閉側ケーブル21,22に所定の張力を付与する機能を有している。これにより、長期使用等により開側および閉側ケーブル21,22のケーブル長が長くなったとしても、開側および閉側テンショナ機構30,31により開側および閉側ケーブル21,22の弛みが除去される。よって、長期に亘って、パワースライドドア装置20(図2参照)の正常な動作が確保される。
次に、本発明が適用されるリア側プーリ装置40の詳細構造について、図面を用いて説明する。なお、リア側プーリ装置40に限らず、フロント側プーリ装置24(図2参照)にも本発明を適用することができる。
図4ないし図8(a),(b)に示されるように、リア側プーリ装置40は、開側ケーブル21が巻き掛けられるプーリ41と、当該プーリ41を回転自在に収容するケース42と、を有している。リア側プーリ装置40は、車体11の側部に車室内外を跨ぐようにして設けられ、当該リア側プーリ装置40を介して、開側ケーブル21が車室内外に案内されている。
プーリ41は、プラスチック等の樹脂材料により略円板状に形成されている。プーリ41の径方向外側には、図6に示されるように、ケース42内に引き込まれた開側ケーブル21が巻き掛けられ、断面が略V字形状に形成された溝部41aが設けられている。また、プーリ41の回転中心には、第1ケース部52に固定された金属製の支軸43(図4および図5参照)が挿通され、これによりプーリ41は支軸43により回転自在に支持されている。
ここで、プーリ41は、支軸43の軸方向を車体11の上下方向に向けた状態で、横置きとなるように配置されている。なお、溝部41aは、断面を略V字形状に形成するに限らず、例えば、断面を略円弧形状となるように形成しても良い。
プーリ41を回転自在に収容するケース42は、図6ないし図8(a),(b)に示されるように、プーリ41の径方向、つまり車室内外の方向(図6中左右方向)に分割された第1ケース体50および第2ケース体60を備えている。これらの第1ケース体50および第2ケース体60は、プーリ41の径方向から互いに突き合わせて一体化されている。なお、ケース42の車室外側に配置される第2ケース体60には、ケース42の内部への雨水等の進入を防止するゴムカバー70が装着されている。
車体11の車室内側に配置される第1ケース体50は、プラスチック等の樹脂材料を射出成形することで所定形状に形成され、略長方形形状の平板状に形成されたベース部51を備えている。なお、ベース部51は、プーリ41の径方向から第2ケース体60と対向する部分であって、本発明における対向壁部を構成している。
ベース部51の長手方向両側(図7(a)中上下側)には、第1ケース体50(ケース42)を車体11に固定するための固定ねじ(図示せず)が挿通されるねじ穴51aが、それぞれ設けられている。そして、それぞれのねじ穴51aには、固定ねじの過剰な締め付けトルクからベース部51を保護するために、金属製のカラーCLが装着されている。
また、ベース部51の長手方向中央部には、略半円形状に形成された第1ケース部52が一体に設けられている。第1ケース部52は、車室内側でかつ車両前方側に開口され、かつプーリ41の径方向車室内側(径方向一側)の略半分を覆っている。第1ケース部52は、プーリ41の径方向車室内側を収容しており、図7(b)に示されるように、車室外側に突出された一対の支持壁52aを備えている。これらの支持壁52aは、プーリ41の径方向車室内側を、プーリ41の軸方向両側から覆っている。そして、これらの支持壁52aには、プーリ41を回転自在に支持する支軸43(図4および図5参照)の軸方向両端が固定されている。
さらに、ベース部51には、当該ベース部51の剛性を高めるための補強リブ53が設けられている。補強リブ53は、ベース部51の支持壁52a側とは反対側(車室内側)、つまり第2ケース体60側とは反対側に向けて延在されている。そして、補強リブ53は、ベース部51の長手方向に延びる3つの長尺リブ53aと、ベース部51の短手方向に延びる2つの短尺リブ53bと、ねじ穴51aの周囲の一部を囲うようにして設けられた一対の円弧リブ53cと、から構成されている。これにより、平板状のベース部51の剛性が高められて、プーリ41の回転時等におけるベース部51の歪みが効果的に抑えられる。
また、図7(a)に示されるように、3つの長尺リブ53aと2つの短尺リブ53bとで囲まれた部分には、一対のデッドスペースDSが形成されており、これらのデッドスペースDSの内部には、第1ケース部52が配置されている。そして、第1ケース部52のベース部51からの突出高さは、長尺リブ53aおよび短尺リブ53bのベース部51からの延在高さよりも低くなっている。すなわち、第1ケース体50を側方(車体11の前後方向)から見たときに、第1ケース部52は、補強リブ53によって隠されている。
さらに、ベース部51のデッドスペースDSに対応する部分には、複数(合計4つ)の貫通孔54(図7(b)参照)が設けられている。これらの貫通孔54は、断面が略長方形形状に形成され、プーリ41の径方向に対してベース部51を貫通するようにして設けられている。具体的には、プーリ41の軸方向に沿う第1ケース部52の両側に、それぞれ一対の貫通孔54が配置されている。また、これらの貫通孔54は、何れもデッドスペースDSを形成する短尺リブ53bの近傍に配置されている(図6参照)。
そして、図6に示されるように、それぞれの貫通孔54には、ベース部51と対向する第2ケース体60に設けられた複数(合計4つ)の爪部63が、それぞれ挿通されるようになっている。また、ベース部51のデッドスペースDSの内部側で、かつ短尺リブ53b寄りの部分には、第2ケース体60の爪部63を形成する凸部63aが引っ掛けられるようになっている。
このように、第2ケース体60を第1ケース体50に固定するための爪部63の凸部63a、すなわち第1ケース体50と第2ケース体60との接続部分は、何れもデッドスペースDSの内部に配置されている。言い換えれば、第2ケース体60における爪部63の凸部63aは、補強リブ53(長尺リブ53aおよび短尺リブ53b)によって囲まれている。なお、補強リブ53は、本発明における囲い壁を構成している。
そして、図6に示されるように、第2ケース体60を第1ケース体50に固定した状態、つまりベース部51に凸部63aが引っ掛けられた状態において、凸部63aのベース部51からの突出高さhが、長尺リブ53aおよび短尺リブ53bのベース部51からの延在高さHの略1/3となっている(h<H)。これにより、第1ケース体50を側方(車体11の前後方向)から見たときに、貫通孔54に挿通されてベース部51に引っ掛けられた爪部63の凸部63aは、何れも補強リブ53によって隠されている。言い換えれば、補強リブ53を、当該補強リブ53のベース部51からの延在方向と交差(直交)する方向から見たときに、第1ケース体50と第2ケース体60との接続部分は、補強リブ53によって隠されている。
また、車体11の車室外側に配置される第2ケース体60は、第1ケース体50と同様に、プラスチック等の樹脂材料を射出成形することで所定形状に形成されている。第2ケース体60は、図8(a),(b)に示されるように、略長方形形状の平板状に形成された固定本体61を備え、当該固定本体61は、一対の長辺部61aと一対の短辺部61bとを備えている。なお、固定本体61は、図6に示されるように、プーリ41の径方向から第1ケース体50のベース部51と対向する部分となっている。
固定本体61の略中央部分には、第1ケース体50側(車室内側)に開口し、かつ略半円形状に形成された第2ケース部62が一体に設けられている。第2ケース部62は、第2ケース体60を第1ケース体50に固定した状態において、第1ケース体50の一対の支持壁52aおよび支軸43とともに、プーリ41の径方向車室外側(径方向他側)の略半分を覆っている。
さらに、図8(a)に示されるように、第2ケース部62には、略長方形形状に形成されたケーブル引き出し孔62aが設けられている。ケーブル引き出し孔62aは、プーリ41の溝部41a(図6参照)と対向する部分に配置されている。そして、プーリ41に巻き掛けられ、かつ方向転換された開側ケーブル21(図6参照)は、第2ケース部62に接触すること無く、ケーブル引き出し孔62aからローラアッシー15(図2参照)に向けて引き出される。
また、固定本体61の周囲には、固定本体61の他の部分よりも薄肉となった合計3つのカバー装着凸部61cが一体に設けられている。3つのカバー装着凸部61cのうちの1つは、ケーブル引き出し孔62a寄りの短辺部61b(図8(a),(b)中右側)の略中央部に設けられ、その他の2つのカバー装着凸部61cは、他方の短辺部61b(図8(a),(b)中左側)の一対の角部にそれぞれ設けられている。そして、これら3つのカバー装着凸部61cには、ゴムカバー70に設けられた合計3つの装着部72(図9参照)が、それぞれ引っ掛けられるようになっている。
さらに、図8(a),(b)に示されるように、固定本体61の一対の長辺部61aと第2ケース部62との間には、それぞれ一対の爪部63(合計4つ)が設けられている。具体的には、固定本体61の短手方向において、第2ケース部62を挟むようにして、当該第2ケース部62の両側に、それぞれ2つずつの爪部63が鏡像対称となるように配置されている。そして、第2ケース部62の両側に配置されたそれぞれ2つずつの爪部63は、長辺部61aの延在方向に所定間隔で並べられている。
合計4つの爪部63は、それぞれ固定本体61の第2ケース部62側とは反対側に突出、つまり第1ケース体50のベース部51に向けて突出されている。そして、爪部63の基端部分は、固定本体61に対して柔軟に(弾性変形可能に)固定されている。また、爪部63は、ベース部51の貫通孔54に挿通され、その内部に配置される本体部63bと、本体部63bの先端部分に設けられ、断面が略三角形形状に形成された凸部63aと、を備えている。合計4つの爪部63の凸部63aは、何れも長辺部61aに向けて突出され、これらの凸部63aは、ベース部51に引っ掛けられるようになっている(図6参照)。
より具体的には、図6に示されるように、第2ケース体60を第1ケース体50に固定した状態において、合計4つの爪部63にそれぞれ設けられた凸部63aは、補強リブ53の短尺リブ53bに向けて突出し、かつデッドスペースDSの内部において、ベース部51に引っ掛けられるようになっている。
ここで、爪部63の凸部63aは、短尺リブ53bの近傍に配置されている。具体的には、凸部63aと短尺リブ53bとの離間寸法Lは、貫通孔54に挿通された爪部63の本体部63bにおける肉厚寸法Tよりも小さくなっている(L<T)。ここで、本体部63bにおける肉厚寸法Tとは、凸部63aの突出方向に沿う本体部63bの厚み寸法を指している。
このように、デッドスペースDSの内部で、かつデッドスペースDSの隅に、爪部63の凸部63aを配置しつつ、凸部63aのベース部51からの突出高さhを、長尺リブ53aおよび短尺リブ53bのベース部51からの延在高さHよりも小さくしている。よって、仮に、パワースライドドア装置20の搬送中等において、デッドスペースDSの内部に異物が進入したとしても、当該異物の爪部63への接触が避けられる。したがって、第1ケース体50と第2ケース体60との接続部分が保護されて、第1ケース体50から第2ケース体60が外れてしまうことが効果的に抑えられる。
また、図8(b)に示されるように、固定本体61のケーブル引き出し孔62a寄りの短辺部61b(図8(b)中右側)の部分には、支持突起64が一体に設けられている。支持突起64は、固定本体61から爪部63の突出方向と同じ方向に所定の高さで突出され、第1ケース体50の第1ケース部52における車両前方側(図7(a)中右側)の開口に装着される。そして、支持突起64は、第1ケース部52との間において、開側エンドキャップ28a(図4参照)を、外れないように挟持する。
さらに、第2ケース体60には、ケース42の内部への雨水等の進入を防止するゴムカバー70が装着されている。ゴムカバー70は、ゴム材料を射出成形することで所定形状に形成されている。ゴムカバー70は、図9に示されるように、第2ケース体60の固定本体61を覆う第1被覆部71を備えている。そして、第1被覆部71の第2ケース体60寄りの部分には、固定本体61に設けられた3つのカバー装着凸部61cにそれぞれ装着される合計3つの装着部72が一体に設けられている。これらの装着部72は、カバー装着凸部61cに引っ掛けられ、これによりゴムカバー70は、第2ケース体60に確りと固定される。
また、第1被覆部71の略中央部には、第2ケース体60の第2ケース部62を覆う第2被覆部73が一体に設けられている。具体的には、第2被覆部73は、第2ケース部62と同様に略半円形状に形成されている。そして、第2被覆部73には、開側ケーブル21が摺接するシール部74が一体に設けられている。シール部74は、第2ケース部62のケーブル引き出し孔62a(図8(a)参照)の部分に対応して設けられている。これにより、開側ケーブル21に付着した雨水等が、シール部74により掻き落とされて、ケース42の内部に進入することが防止される。
次に、以上のように形成されたリア側プーリ装置40の組み立て手順について、図9および図10を用いて詳細に説明する。なお、図10では、第1ケース体50および第2ケース体60の接続部分を見易くするために、第1ケース体50および第2ケース体60のみを示している。
まず、図9に示されるように、それぞれ別の製造工程で製造された第1ケース体50,プーリ41,支軸43,第2ケース体60,ゴムカバー70および開側ケーブル21(開側アウターケーシング28および開側エンドキャップ28a付き)を準備する。
次に、図9の矢印M1に示されるように、開側エンドキャップ28aを、第1ケース部52の開口部分に装着する。その後、図9の矢印M2に示されるように、プーリ41の径方向一側を第1ケース部52の内部に差し込む。引き続き、支軸43をプーリ41の回転中心に挿通しつつ、一対の支持壁52a(図10参照)に固定する。これにより、プーリ41が第1ケース体50に回転自在に支持される。このとき、開側ケーブル21を、プーリ41の径方向一側の溝部41aに巻き掛けるようにする。
次いで、図9および図10の矢印M3に示されるように、第1ケース体50のベース部51に対して、第2ケース体60の固定本体61を対向するようにして臨ませる。このとき、それぞれの爪部63をそれぞれの貫通孔54に向けつつ、ベース部51の第2ケース体60側から爪部63を貫通孔54に差し込むようにする。なお、開側ケーブル21は、予め第2ケース部62のケーブル引き出し孔62aに通しておく。また、ベース部51に対して固定本体61を平行にした状態で、全ての爪部63をそれぞれの貫通孔54に略同時に差し込むようにする。
これにより、図6に示されるように、それぞれの爪部63の凸部63aが、デッドスペースDSの内部に露出され、かつベース部51に引っ掛けられる。このとき、それぞれの爪部63の本体部63bは、貫通孔54の内部に配置される。よって、第1ケース体50に対する第2ケース体60の装着が完了する。
次に、図9の矢印M4に示されるように、ゴムカバー70の第1被覆部71側を、第2ケース体60に臨ませる。なお、開側ケーブル21は、予め第2被覆部73のシール部74に通しておく。そして、第1被覆部71および第2被覆部73を、それぞれ固定本体61および第2ケース部62に被せるようにして装着する。これに引き続き、3つの装着部72を、3つのカバー装着凸部61cにそれぞれ引っ掛けるようにする。
これにより、図6に示されるように、ゴムカバー70が、第2ケース体60に装着されて、リア側プーリ装置40の組み立てが完了する。
ここで、固定本体61の一方の短辺部61b(図9中右側)に1つのカバー装着凸部61cが設けられ、固定本体61の他方の短辺部61b(図9中左側)に2つのカバー装着凸部61cが設けられている。そのため、作業者は、第2ケース体60に対するゴムカバー70の組み付け方向性を容易に把握することができ、これらの誤組み付けを確実に防止できるようになっている。
以上詳述したように、本実施の形態に係るリア側プーリ装置40によれば、第1ケース体50には、プーリ41の径方向に貫通する合計4つの貫通孔54を有し、かつ第2ケース体60と対向するベース部51が設けられ、第2ケース体60には、ベース部51に向けて突出され、かつ合計4つの貫通孔54にそれぞれ挿通されてベース部51に引っ掛けられた合計4つの爪部63が設けられている。
これにより、第2ケース体60の爪部63を、第1ケース体50の補強リブ53の部分から当該補強リブ53の部分よりも内側のデッドスペースDSの部分に配置することが可能となる。したがって、第1ケース体50および第2ケース体60の接続部分、つまり爪部63(凸部63a)の部分が、異物の接触により損傷したり外れたりすることを抑制することが可能となる。
また、本実施の形態に係るリア側プーリ装置40によれば、爪部63は、貫通孔54の内部に配置された本体部63bと、本体部63bの先端に設けられ、ベース部51に引っ掛けられた凸部63aと、を有し、ベース部51には、第2ケース体60側とは反対側に向けて延在された補強リブ53が設けられ、ベース部51に引っ掛けられた合計4つの凸部63aが、補強リブ53に囲まれているので、それぞれの凸部63aを、異物の接触等からより確実に保護することができる。
さらに、本実施の形態に係るリア側プーリ装置40によれば、凸部63aのベース部51からの突出高さhが、補強リブ53(長尺リブ53aおよび短尺リブ53b)のベース部51からの延在高さHよりも小さいので、これによっても、それぞれの凸部63aを、異物の接触等からより確実に保護することができる。
また、本実施の形態に係るリア側プーリ装置40によれば、合計4つの凸部63aと補強リブ53(短尺リブ53b)との離間寸法Lが、貫通孔54に挿通された本体部63bの肉厚寸法Tよりも小さいので、仮に、デッドスペースDSの内部に異物が進入したとしても、当該異物の凸部63aへの接触等を、より確実に避けることが可能となる。
本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることは言うまでもない。例えば、上記実施の形態では、リア側プーリ装置40が、駆動源23が車体11に搭載されたケーブル式のパワースライドドア装置20を構成する場合を示したが、本発明はこれに限らず、スライドドア13の内部に駆動源が搭載されたケーブル式の自動開閉装置のプーリ装置にも適用することができる。
その他、上記実施の形態における各構成要素の材質,形状,寸法,数,設置箇所等は、本発明を達成できるものであれば任意であり、上記実施の形態に限定されない。
10:車両,11:車体,12:開口部,13:スライドドア,14:ガイドレール,14a:直線部,14b:湾曲部,15:ローラアッシー,20:パワースライドドア装置,21:開側ケーブル(ケーブル),22:閉側ケーブル(ケーブル),23:駆動源,24:フロント側プーリ装置,25:モータ本体,26:駆動部,27:ドラム,28:開側アウターケーシング,28a:開側エンドキャップ,29:閉側アウターケーシング,29a:閉側エンドキャップ,30:開側テンショナ機構,31:閉側テンショナ機構,40:リア側プーリ装置(プーリ装置),41:プーリ,41a:溝部,42:ケース,43:支軸,50:第1ケース体,51:ベース部(対向壁部),51a:ねじ穴,52:第1ケース部,52a:支持壁,53:補強リブ(囲い壁),53a:長尺リブ,53b:短尺リブ,53c:円弧リブ,54:貫通孔,60:第2ケース体,61:固定本体,61a:長辺部,61b:短辺部,61c:カバー装着凸部,62:第2ケース部,62a:ケーブル引き出し孔,63:爪部,63a:凸部,63b:本体部,64:支持突起,70:ゴムカバー,71:第1被覆部,72:装着部,73:第2被覆部,74:シール部,CL:カラー,DS:デッドスペース

Claims (4)

  1. 駆動源により駆動されるケーブルの移動方向を変換するプーリ装置であって、
    前記ケーブルが巻き掛けられる溝部を備えたプーリと、
    前記プーリを回転自在に収容するケースと、
    を有し、
    前記ケースは、
    前記プーリの径方向一側を覆う第1ケース体と、
    前記プーリの径方向他側を覆う第2ケース体と、
    を備え、
    前記第1ケース体には、前記プーリの径方向に貫通する複数の貫通孔を有し、かつ前記第2ケース体と対向する対向壁部が設けられ、
    前記第2ケース体には、前記対向壁部に向けて突出され、かつ前記複数の貫通孔にそれぞれ挿通されて前記対向壁部に引っ掛けられた複数の爪部が設けられていることを特徴とする、
    プーリ装置。
  2. 請求項1に記載のプーリ装置において、
    前記爪部は、
    前記貫通孔の内部に配置された本体部と、
    前記本体部の先端に設けられ、前記対向壁部に引っ掛けられた凸部と、
    を有し、
    前記対向壁部には、前記第2ケース体側とは反対側に向けて延在された囲い壁が設けられ、前記対向壁部に引っ掛けられた前記凸部が、前記囲い壁に囲まれていることを特徴とする、
    プーリ装置。
  3. 前記凸部の前記対向壁部からの突出高さが、前記囲い壁の前記対向壁部からの延在高さよりも小さいことを特徴とする、
    請求項2に記載のプーリ装置。
  4. 請求項2または請求項3に記載のプーリ装置において、
    前記凸部と前記囲い壁との離間寸法が、前記貫通孔に挿通された前記本体部の肉厚寸法よりも小さいことを特徴とする、
    プーリ装置。
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