以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1は本発明の一実施の形態である車両用自動開閉装置が搭載されるワンボックスタイプの車両を示す側面図であり、図2は図1に示すスライドドアの車体への取り付け構造を示す平面図である。
図1に示すように、この車両11の車体12の側部には開閉体としてのスライドドア13が設けられている。車体12の側部にはガイドレール14が固定され、一方、スライドドア13にはローラアッシー15が設けられており、このローラアッシー15がガイドレール14に案内されることにより、スライドドア13は車体12の側部に沿って図1中に実線で示す全閉位置と二点鎖線で示す全開位置との間で車両前後方向に開閉自在となっている。また、図2に示すように、ガイドレール14の車両前方側には車室内側に湾曲する曲部14aが設けられており、ローラアッシー15が曲部14aに案内されることにより、スライドドア13は車体12の側面と同一面に収まるように車体12の内側に引き込まれた状態で閉じられるようになっている。
図示はしないが、ローラアッシー15は図示する部位(センター部)以外にスライドドア13の前端部の上下部分(アッパー部・ロア部)にも設けられ、これらに対応して車体12の開口部の上下部位にもアッパー部・ロア部に対応する図示しないガイドレールが設けられており、スライドドア13は車体12に計3カ所において支持されている。
この車両11には、スライドドア13を自動的に開閉するために、車両用自動開閉装置21(以下、開閉装置21とする。)が設けられている。
この開閉装置21はガイドレール14の車両前後方向の略中央部に隣接して車体12の内部に配置される駆動ユニット22と、ガイドレール14の車両後方側の端部に設けられる反転プーリ23aを介して開側(車両後方側)からローラアッシー15(スライドドア13)に接続される索条体としての開側ケーブル24aと、ガイドレール14の車両前方側の端部に設けられる反転プーリ23bを介して閉側(車両前方側)からローラアッシー15(スライドドア13)に接続される索条体としての閉側ケーブル24bとを備えており、開側ケーブル24aを駆動ユニット22によって引くことによりスライドドア13を自動開動作させ、閉側ケーブル24bを駆動ユニット22によって引くことによりスライドドア13を自動閉動作させるようになっている。
図3は図2に示す駆動ユニットの正面図であり、図4は図3に示す駆動ユニットのカバーを取り外した状態の正面図である。
図3、図4に示すように、駆動ユニット22は車体12に固定される樹脂製のケース25を備えており、このケース25にはモータユニット26が取り付けられている。モータユニット26は駆動源としての電動モータ27と減速機28とが1つのユニットとして構成されたものであり、電動モータ27の回転は減速機28により所定の回転数にまで減速して出力軸29から出力されるようになっている。
なお、電動モータ27としては、例えばブラシ付き直流モータなど正逆両方向に回転可能なものが用いられる。また、減速機28の内部には電磁クラッチ(不図示)が設けられ、スライドドア13が手動により開閉操作されるときには、この電磁クラッチにより電動モータ27と出力軸29との間の動力伝達経路が遮断されるようになっている。
図4に示すように、ケース25には略円筒状のドラム収容室25aが設けられており、このドラム収容室25aには駆動用回転体としてのドラム31が収容されている。モータユニット26の出力軸29はドラム収容室25aの内部に突出しており、ドラム31はその軸心において出力軸29に固定され、ドラム収容室25aの内部で出力軸29とともに回転するようになっている。
ドラム31の外周面には螺旋状の案内溝(不図示)が形成され、駆動ユニット22に案内された開側ケーブル24aは案内溝に沿ってドラム31に巻き掛けられ、その端部においてドラム31に固定されている。同様に、駆動ユニット22に案内された閉側ケーブル24bは案内溝に沿って開側ケーブル24aと同一方向にドラム31に巻き掛けられ、その端部においてドラム31に固定されている。つまり、各ケーブル24a,24bはその一端側においてドラム31に巻き掛けられるとともに他端においてスライドドア13に接続される。
ケース25のドラム収容室25aの裏側の部分には基板収容室(不図示)が設けられており、この基板収容室には、電動モータ27と電磁クラッチの作動を制御するための制御基板(不図示)が収容されている。制御基板は基板上にCPUやメモリ等の電子部品が実装された構造となっており、接続コネクタ32,33を介して車両11に搭載される図示しないバッテリ等の電源や車室内に配置される開閉スイッチ等に接続されるようになっている。
運転者等により開閉スイッチが操作されると、電動モータ27が制御基板により制御されて所定の方向に作動する。電動モータ27が作動すると、その回転が減速機28と電磁クラッチとを介して出力軸29に伝達され、ドラム31は電動モータ27により駆動されて出力軸29とともに回転する。ドラム31が回転すると、その回転方向に応じていずれか一方のケーブル24a,24bがドラム31に巻き取られ、スライドドア13は当該ケーブル24a,24bに牽引されて開閉する。また、開閉スイッチの操作方向を切り替えることにより、電動モータ27つまりドラム31を正逆回転させて、スライドドア13を開閉両方向に作動させることができる。
ケース25にはドラム収容室25aに隣接してテンショナ収容室25bが設けられており、駆動ユニット22に導かれた開側ケーブル24aと閉側ケーブル24bは、それぞれケース25に設けられるケーブル出入り部25cからテンショナ収容室25bに引き込まれ、当該テンショナ収容室25bを介してドラム収容室25aに案内されている。
テンショナ収容室25bには、開側ケーブル24aに所定の張力を付与するための開側のテンショナ機構34aと、閉側ケーブル24bに所定の張力を付与するための閉側のテンショナ機構34bとが収容されており、ローラアッシー15がガイドレール14の曲部14aに案内される等して、スライドドア13とドラム31との間でケーブル24a,24bの移動経路長が変化しても、これらのテンショナ機構34a,34bにより各ケーブル24a,24bの張力が一定に保たれ、各ケーブル24a,24bに弛みが生じないようになっている。
なお、ケース25の各ケーブル出入り部25cと各反転プーリ23a,23bとの間には可撓性を有するアウターチューブ35a,35bが連結されており、各ケーブル出入り部25cと各反転プーリ23a,23bとの間においては、各ケーブル24a,24bは対応するアウターチューブ35a,35bに挿通されて当該アウターチューブ35a,35bに沿って移動するようになっている。
ケース25は樹脂製のカバー36を備えており、図3に示すように、ドラム収容室25aやテンショナ収容室25bはこのカバー36により閉塞されるようになっている。
次に、テンショナ機構34a,34bの詳細について説明するが、開側のテンショナ機構34aと閉側のテンショナ機構34bとは、左右対称であって基本的な構造は同一となっているので、以下では、閉側のテンショナ機構34bについてのみ説明する。
図5(a)、(b)は、それぞれテンショナ機構の詳細を示す斜視図であり、このテンショナ機構34bは鋼材等により所定の長さ寸法に形成される断面円形のガイド軸41を備えている。図4に示すように、このガイド軸41はその両端においてケース25に設けられる装着溝25dに支持されてケース25の内部に装着され、これにより、テンショナ機構34bはテンショナ収容室25bに組み付けられている。
ガイド軸41にはプーリホルダ42が装着されている。このプーリホルダ42はガイド軸41への装着部分となるスライド部42aと当該スライド部42aと一体に形成される本体部42bとを備えており、スライド部42aにおいてガイド軸41に支持されて当該ガイド軸41に沿って軸方向に移動自在、且つ、軸周り方向に回動自在となっている。また、ガイド軸41の両端側にはそれぞれストッパリング43が固定されており、これらのストッパリング43によりプーリホルダ42の軸方向への移動範囲が規制されている。
プーリホルダ42の本体部42bは一対の側壁部42cを備え、これらの側壁部42cの間には支軸44が設けられており、この支軸44によりプーリホルダ42にはプーリ部材としてのテンショナプーリ45が回転自在に支持されている。テンショナプーリ45は断面略V字形のプーリ溝を備えた円板状に形成されており、ケーブル出入り部25cからケース25のテンショナ収容室25bに引き込まれたケーブル24aはこのテンショナプーリ45に掛け渡され、当該テンショナプーリ45によりその移動方向を略180度変換されてドラム31に案内されている。
ガイド軸41にはプーリホルダ42に対して軸方向に並ぶとともにプーリホルダ42とケース25のケーブル出入り部25cとの間に位置するようにストッパ46が装着されている。ストッパ46はガイド軸41への装着部分となる回動部46aと回動部46aと一体に形成される本体部46bとを備えており、回動部46aにおいてガイド軸41に当該ガイド軸41の軸心を中心として回動自在に装着されている。
ガイド軸41上つまりガイド軸41のストッパ46とプーリホルダ42との間の部分には、スライド部42aのフランジ63と回動部46aとに挟まれて、コイルばねからなる、ばね部材としてのスプリング47が僅かに圧縮された状態で装着されており、プーリホルダ42はこのスプリング47のばね力によりストッパ46から離れる方向つまりドラム31から離れる方向に付勢されている。これにより、スプリング47のばね力とケーブル24aの張力とが釣り合う位置にまでテンショナプーリ45がプーリホルダ42とともに当該ケーブル24aの径路長を増加させる方向に移動して、ケーブル24aに所定の張力が付与されるようになっている。
図6(a)〜(c)は、それぞれストッパの回動動作を示す説明図であり、図7(a)〜(c)は、それぞれストッパによるスプリングの圧縮変位量の切替え状態を示す説明図である。
図3、図6に示すように、ケース25のカバー36には一対のストッパ孔51が設けられており、各ストッパ46は、図6(a)に示すように、その一部がストッパ孔51からケース25の外部に突出する開放位置と、図6(c)に示すように、ストッパ孔51から突出した部分がケース25の内部に押し込まれて当該ケース25の内部に収容された状態となる規制位置との間で、ガイド軸41の軸心を中心として回動自在となっている。
ストッパ46の本体部46bの先端部分には外爪52が一体に設けられており、ストッパ46が開放位置にあるときには、この外爪52がストッパ孔51の縁に設けられた係止凸部53(図6に示す)に係合して、ストッパ46は開放位置に保持されるようになっている。これにより、ストッパ46が不意に開放位置から規制位置に移動することが防止される。図6(b)に示すように、外爪52を本体部46bの側に向けて押すと、外爪52の係止凸部53との係合を解除させることができ、この状態でストッパ46をケース25の内部に向けて押し込むことにより、当該ストッパ46を開放位置から規制位置に回動させることができる。
また、ストッパ46にはストッパ46を規制位置に保持するために保持爪54が設けられている。この保持爪54は、ストッパ46の本体部46bの側部に一体に形成されたガイド片46cに並べて設けられており、当該ガイド片46cに接近離反する方向に弾性変形自在となっている。一方、図3に示すように、カバー36のストッパ孔51はガイド片46cに対応した凸形状に形成されており、ストッパ46が開放位置から規制位置にまで回動すると、保持爪54がストッパ孔51の当該凸形状の縁部分においてケース25の内側からカバー36に係合するようになっている。これにより、開放位置から規制位置に移動したストッパ46は保持爪54により規制位置に保持される。なお、保持爪54のカバー36との係合の解除方法については後述する。
プーリホルダ42にはストッパ46に向けて突出する規制ブロック42dが一体に設けられている。ストッパ46が開放位置にあるときには、プーリホルダ42は規制ブロック42dがストッパ46に当接することなく、図7(a)に示す自然状態の位置から図7(c)に示すスプリング47を完全に圧縮させる仮保持位置にまで移動することができるようになっている。一方、ストッパ46が規制位置にあるときには、図7(b)に示すように、規制ブロック42dがストッパ46の本体部46bに当接することによりプーリホルダ42の移動範囲が仮保持位置よりも手前の範囲に規制され、スプリング47の圧縮変位量が所定の範囲に規制されるようになっている。これにより、スプリング47の過度の圧縮が防止され、ケーブル24a,24bに適正な張力を付与するとともにスライドドア13のがたつきを抑制して、この開閉装置21によるスライドドア13の作動を滑らかにすることができる。
図3に示すように、ケース25のカバー36には爪片としてのテンションカバー爪61が設けられている。このテンションカバー爪61は、プーリホルダ42がスプリング47を圧縮して仮保持位置にまで移動したときに当該プーリホルダ42のフランジ63の部分に係合し、これにより、プーリホルダ42を仮保持位置に保持してスプリング47を圧縮状態に仮保持するようになっている。そして、スプリング47を圧縮状態に仮保持することにより、この開閉装置21を車体12に搭載する際に、各ケーブル24a,24bに緩み代を設けて、当該ケーブル24a,24bのローラアッシー15への接続作業を容易にすることができるようになっている。
なお、カバー36には各テンショナ機構34a,34bに対応して一対のテンションカバー爪61が設けられるが、これらは基本的に同一の構造であるので、以下では、一方のテンションカバー爪61についてのみ説明する。
図3に示すように、ケース25のカバー36には、それぞれガイド軸41と平行に延びるとともに一端がストッパ孔51に連なる一対のスリット64a,64bがガイド軸41を挟んで並べて形成されており、テンションカバー爪61はこれらのスリット64a,64bとストッパ孔51とにより区画されて、カバー36と一体となってガイド軸41に沿って延びる長板状に形成されている。テンションカバー爪61の長手方向の一端はカバー36に連なっており、当該連結部分を支点としてガイド軸41やプーリホルダ42に接近・離反する方向に弾性変形自在となっている。
図8はテンションカバー爪によるプーリホルダの仮保持位置への保持状態を示す断面図であり、テンションカバー爪61のケース25の内側を向く面(内面)には、その長手方向の略中間部分に位置して係止爪62が設けられている。この係止爪62はガイド軸41の軸方向に垂直な係止面62aとガイド軸41の軸方向に対して傾斜する傾斜面62bとを備えた断面略三角形状に形成されており、ケース25の内部に向けて、つまりプーリホルダ42に向けて突出している。一方、図5からも解るように、プーリホルダ42のスライド部42aのフランジ63にはカバー36の側に向けて突出する扇状の鍔部63aが一体に形成されている。
ストッパ46を開放位置にセットした状態でプーリホルダ42をストッパ46側に移動させると、図7(c)および図8に示すように、スプリング47が圧縮されてプーリホルダ42が仮保持位置にまで移動する。プーリホルダ42が仮保持位置にまで移動すると、鍔部63aが傾斜面62bに沿って係止爪62を乗り越えて係止面62aの側に移動し、当該係止面62aに係合する。これにより、テンションカバー爪61の係止爪62がプーリホルダ42の鍔部63aに係合して、プーリホルダ42はテンションカバー爪61により仮保持位置に保持されることになる。このように、テンションカバー爪61の係止爪62をプーリホルダ42の鍔部63aに係合させることにより、スプリング47を圧縮状態に仮保持して、各ケーブル24a,24bに緩み代を生じさせることができる。
なお、鍔部63aを扇状に形成することで、プーリホルダ42のスライド部42bがガイド軸41に対して回動した場合にも、鍔部63aと係止爪62との係合が維持され、両者の係合状態が容易に解除されることがない。
図9(a)〜(c)は、それぞれプーリホルダが仮保持位置から解除される様子を示す説明図であり、図10(a)〜(c)は、それぞれストッパによりテンションカバー爪が解除方向に駆動される様子を示す説明図である。
テンションカバー爪61をプーリホルダ42から離れる解除方向に駆動して、スプリング47の仮保持を解除するために、ストッパ46の回動部46aの外周面にはカム部としての駆動カム71が設けられている。この駆動カム71は径方向外側に向けて突出する断面略三角形状に形成され、一方、テンションカバー爪61の先端部61aはストッパ46の回動部46aの駆動カム71の部位に対向しており、ストッパ46が開放位置から規制位置へ回動すると、テンションカバー爪61は、先端部61aが駆動カム71により押されて、プーリホルダ42から離れる方向に移動するようになっている。
つまり、図9(a)に示すように、ストッパ46が開放位置にあり、スプリング47が圧縮状態に仮保持された状態のもとで、ストッパ46を図10(a)に示す開放位置から図10(c)に示す規制位置にまでケース25内に向けて回動させると、図9(b)および図10(b)に示すように、テンションカバー爪61の先端部61aが駆動カム71により押されて解除方向に駆動され、プーリホルダ42から離れる方向に弾性変形し、その係止爪62のプーリホルダ42の鍔部63aとの係合が解除される。これにより、プーリホルダ42の仮保持位置への保持が解除され、図9(c)に示すように、プーリホルダ42はスプリング47が伸びた通常位置にまで戻って各ケーブル24a,24bの緩み代がとられ、テンショナ機構34a,34bにより所定の張力が各ケーブル24a,24bに付与される。
このように、この開閉装置21では、ストッパ46を開放位置としてプーリホルダ42をストッパ46側に移動させ、プーリホルダ42をテンションカバー爪61に係合させて仮保持位置に保持することにより、スプリング47を圧縮状態に仮保持して各ケーブル24a,24bに緩み代を設けることができるので、各ケーブル24a,24bのローラアッシー15への接続作業を容易にすることができる。
また、この開閉装置21では、各ケーブル24a,24bをローラアッシー15に接続した後、外爪52の係止凸部53との係合を解除して、ストッパ46をケース25の内部に向けて押し込んで規制位置にまで回動させることにより、テンションカバー爪61のプーリホルダ42との係合を解除して、テンショナ機構34a,34bを通常の作動状態にセットすることができるので、スプリング47を仮保持した状態からテンショナ機構34a,34bの通常状態へセットする作業を容易にすることができる。
さらに、この開閉装置21では、テンショナ機構34a,34bが作動状態となったときには、テンションカバー爪61による仮保持から開放されたスプリング47は、プーリホルダ42の規制ブロック42dがストッパ46に当接することによって所定の圧縮変位量に規制されるので、ケーブル24a,24bに適正な張力を付与して、この開閉装置21によるスライドドア13の作動を滑らかにすることができる。
さらに、この開閉装置21では、テンションカバー爪61をスリット64a,64bにより区画された弾性変形自在の長板状に形成し、その係止爪62を仮保持位置にあるプーリホルダ42の鍔部63aに係合させてスプリング47を圧縮状態に仮保持する構造としたので、簡単な構成でスプリング47を確実に圧縮状態に保持することができる。
さらに、この開閉装置21では、テンションカバー爪61をスリット64a,64bにより区画してケース25のカバー36に設けるとともにスリット64a,64bをテンショナ機構34a,34bの作動範囲よりも長く形成したので、これらのスリット64a,64bを介してテンショナ機構34a,34bの作動状況が目視でき、テンショナ機構34a,34bの異常や故障を容易に発見することができる。
さらに、この開閉装置21では、スプリング47をガイド軸41上に装着するようにしたので、スプリング47を容易にケース25に組み込むことができる。
さらに、この開閉装置21では、ストッパ46をガイド軸41に回動自在に装着し、ストッパ46がケース25に設けられたストッパ孔51から突出した開放位置にあるときにプーリホルダ42を仮保持位置にまで移動させてテンションカバー爪61に係合させるとともに、ストッパ46を開放位置からケース25内に向けて回動させることによりテンションカバー爪61をストッパ46により解除方向に駆動してプーリホルダ42との係合を解除させるようにしたので、ストッパ46をケース25内に押し込むワンアクションで、スプリング47を圧縮状態から自然状態に開放することができ、これにより、当該作業を容易にすることができる。
さらに、この開閉装置21では、ストッパ46に駆動カム71を設け、ストッパ46を開放位置からケース25内に向けて回動させたときに駆動カム71によりテンションカバー爪61を解除方向に駆動する構造としたので、スプリング47を圧縮状態から開放するための構造を簡素化することができる。
図11(a)〜(c)は、それぞれストッパを規制位置から開放位置に移動させる手順を示す説明図であり、図12(a)〜(c)は、それぞれスプリングを再度、圧縮状態に仮保持するための手順を示す説明図である。
ケース25のカバー36には、駆動ユニット22の交換等の際に、ストッパ46を規制位置から開放位置にまで回動させるとともにプーリホルダ42を仮保持位置に復帰動作させて、テンションカバー爪61により再度スプリング47を圧縮状態に仮保持するために、保持爪操作部としての保持爪操作孔72とホルダ操作部としてのホルダ操作孔73とが設けられている。
なお、カバー36には各テンショナ機構34a,34bに対応して一対の保持爪操作孔72と一対のホルダ操作孔73とが設けられるが、以下では、一方の保持爪操作孔72とホルダ操作孔73についてのみ説明する。
図3に示すように、保持爪操作孔72はストッパ孔51の凸形状の部分に隣接してカバー36に設けられており、カバー36を内外方向に貫通するとともにストッパ46の保持爪54が弾性変形する方向(ガイド軸41の軸方向に対して垂直な方向)に延びる長孔として形成されている。ストッパ46が規制位置にあるときには、保持爪54がカバー36の内側に係合して、ストッパ46は当該規制位置に保持されている。この状態から、ストッパ46を開放位置にまで回動させる際には、図11(a)に示すように、保持爪操作孔72からケース25内に六角レンチ等の棒状の工具74を差し込み、図11(b)に示すように、当該工具74の中間部分を保持爪操作孔72の長手方向端部に当接させて当該当接部分を支点として回動させる。そして、工具74の先端部で保持爪54をガイド片46cに向けて押して弾性変形させ、当該保持爪54のカバー36の内側との係合を解除させる。保持爪54のカバー36への係合が解除されると、ストッパ46の開放位置へ向けての回動が可能となり、図11(c)に示すように、ストッパ46をケース25内から引き上げることにより開放位置にまで回動させることができる。
一方、ホルダ操作孔73はテンションカバー爪61のカバー36と連なる側に隣接するとともに、一対のスリット64a,64bの一方の側部側のカバー36に設けられており、カバー36を内外方向に貫通するとともにガイド軸41に沿う方向に延びる長孔として形成されている。このホルダ操作孔73により、一度テンションカバー爪61との係合が解除されたプーリホルダ42を再度仮保持位置にまで復帰動作させるには、まず、ストッパ46を開放位置とした状態のもとで、図12(a)に示すように、ホルダ操作孔73からケース25内に六角レンチ等の棒状の工具74を差し込み、図12(b)に示すように、当該工具74の中間部分をホルダ操作孔73の長手方向端部に当接させて当該当接部分を支点として回動させる。そして、工具74によりプーリホルダ42をストッパ46の側つまり仮保持位置に向けて押すことにより、プーリホルダ42を仮保持位置にまで移動させることができる。そして、図12(c)に示すように、工具74により押されたプーリホルダ42が仮保持位置にまで移動すると、その鍔部63にテンションカバー爪61の係止爪62が係合して、プーリホルダ42は仮保持位置に保持され、スプリング47は圧縮状態に仮保持されることになる。
なお、図5に示すように、プーリホルダ42のスライド部42aと本体部42bとの間にはガイド溝75が形成されており、ホルダ操作孔73から挿入された工具74は、このガイド溝75と係合して、プーリホルダ42を移動させることが可能とされている。
このように、この開閉装置21では、ローラアッシー15(スライドドア13)に接続されたケーブル24a,24bを再度ローラアッシー15から取り外す際には、ホルダ操作孔73に差し込んだ工具74によってプーリホルダ42を仮保持位置にまで復帰動作させることにより、スプリング47を圧縮状態に仮保持することができるので、ケーブル24a,24bに緩み代を生じさせる作業、つまりケーブル24a,24bをローラアッシー15から取り外す作業を容易にすることができる。
また、この開閉装置21では、ストッパ46に設けられる保持爪54をカバー36に係合させて当該ストッパ46を規制位置に保持するとともにカバー36に設けられる保持爪操作孔72に差し込まれる工具74により保持爪54のカバー36との係合が解除されたときにストッパ46の開放位置へ移動が可能となるようにしたので、ストッパ46の誤作動を防止して、この開閉装置21の作動信頼性を高めることができる。
さらに、この開閉装置21では、ホルダ操作部をカバー36に設けられるホルダ操作孔73とし、ホルダ操作孔73から差し込まれる工具74によりプーリホルダ42を押して仮保持位置にまで移動させるようにしたので、スプリング47を圧縮状態に復帰させるためのホルダ操作部の構造を簡素化して、この開閉装置21のコストを低減することができる。
本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。例えば、前記実施の形態においては、駆動ユニット22を車体12の内部に配置し、各ケーブル24a,24bをスライドドア13に接続するようにしているが、これに限らず、駆動ユニット22をスライドドア13内に配置し、各ケーブル24a,24bをスライドドア13のローラアッシー15部位を経由させてガイドレール14の両端部に固定する構造としてもよい。
また、前記実施の形態においては、爪片を一対のスリット64a,64bにより区画してカバー36と一体に形成したテンションカバー爪61としているが、これに限らず、ケース25やカバー36に設けられていれば、これらと別体に設けられていてもよい。
さらに、前記実施の形態においては、駆動源としての電動モータ27はブラシ付き直流モータとされているが、これに限らず、ドラム31を回転駆動することができるものであれば、例えばブラシレスの電動モータ等を用いるようにしてもよい。
さらに、前記実施の形態においては、開側ケーブル24aと閉側ケーブル24bの2本のケーブルを用いるようにしているが、これに限らず、1本のケーブルの中間部分をドラム31に巻き付け、その両端部をスライドドア13に接続するようにしてもよい。