JP7318822B2 - 溶鋼の処理方法および鋼の製造方法 - Google Patents

溶鋼の処理方法および鋼の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP7318822B2
JP7318822B2 JP2022553113A JP2022553113A JP7318822B2 JP 7318822 B2 JP7318822 B2 JP 7318822B2 JP 2022553113 A JP2022553113 A JP 2022553113A JP 2022553113 A JP2022553113 A JP 2022553113A JP 7318822 B2 JP7318822 B2 JP 7318822B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
molten steel
molten
slag
steel
potential difference
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2022553113A
Other languages
English (en)
Other versions
JPWO2022270346A5 (ja
JPWO2022270346A1 (ja
Inventor
秀光 根岸
剛 村井
圭介 溝端
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
JFE Steel Corp
Original Assignee
JFE Steel Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by JFE Steel Corp filed Critical JFE Steel Corp
Publication of JPWO2022270346A1 publication Critical patent/JPWO2022270346A1/ja
Publication of JPWO2022270346A5 publication Critical patent/JPWO2022270346A5/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP7318822B2 publication Critical patent/JP7318822B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C21METALLURGY OF IRON
    • C21CPROCESSING OF PIG-IRON, e.g. REFINING, MANUFACTURE OF WROUGHT-IRON OR STEEL; TREATMENT IN MOLTEN STATE OF FERROUS ALLOYS
    • C21C7/00Treating molten ferrous alloys, e.g. steel, not covered by groups C21C1/00 - C21C5/00
    • C21C7/04Removing impurities by adding a treating agent
    • C21C7/06Deoxidising, e.g. killing
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C21METALLURGY OF IRON
    • C21CPROCESSING OF PIG-IRON, e.g. REFINING, MANUFACTURE OF WROUGHT-IRON OR STEEL; TREATMENT IN MOLTEN STATE OF FERROUS ALLOYS
    • C21C7/00Treating molten ferrous alloys, e.g. steel, not covered by groups C21C1/00 - C21C5/00
    • C21C7/04Removing impurities by adding a treating agent
    • C21C7/072Treatment with gases
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C21METALLURGY OF IRON
    • C21CPROCESSING OF PIG-IRON, e.g. REFINING, MANUFACTURE OF WROUGHT-IRON OR STEEL; TREATMENT IN MOLTEN STATE OF FERROUS ALLOYS
    • C21C7/00Treating molten ferrous alloys, e.g. steel, not covered by groups C21C1/00 - C21C5/00
    • C21C7/04Removing impurities by adding a treating agent
    • C21C7/076Use of slags or fluxes as treating agents
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C21METALLURGY OF IRON
    • C21CPROCESSING OF PIG-IRON, e.g. REFINING, MANUFACTURE OF WROUGHT-IRON OR STEEL; TREATMENT IN MOLTEN STATE OF FERROUS ALLOYS
    • C21C7/00Treating molten ferrous alloys, e.g. steel, not covered by groups C21C1/00 - C21C5/00
    • C21C7/10Handling in a vacuum
    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02PCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES IN THE PRODUCTION OR PROCESSING OF GOODS
    • Y02P10/00Technologies related to metal processing
    • Y02P10/20Recycling

Landscapes

  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Materials Engineering (AREA)
  • Metallurgy (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Treatment Of Steel In Its Molten State (AREA)

Description

本発明は、溶鋼と溶融スラグとの間に電位差を付与する溶鋼の処理方法であって、具体的には、脱酸した溶鋼と溶融スラグとの間に電位差を付与する溶鋼の処理方法、および、その方法により溶製された溶鋼を用いた鋼の製造方法に関する。
鋼板の表面疵等の欠陥を低減するためには、原因のひとつとなる鋼中の非金属介在物(以下、「介在物」という。)を低減することが重要である。鋼中の介在物を低減するため、従来から様々な対策がなされている(西山記念技術講座 第182・183回「介在物制御と高清浄度鋼製造技術」社団法人日本鉄鋼協会.2004.10)。その対策の一つとして、溶鋼を脱酸した後に、鋼中のAl,Si,Ti等の成分が空気や取鍋、タンディッシュ内の溶鋼上のスラグ中の酸化物と反応し、再酸化することによる介在物の生成を抑制する技術が挙げられている。この技術は、取鍋、タンディッシュを空気と遮断することにより、溶鋼上のスラグの酸化度を低減しているものである。
例えば、特許文献1には、溶綱を注入する前にタンディッシュ内の酸素濃度を下げるべく、タンディッシュと蓋の間を完全に密閉するとともに、タンディッシュ内にArガスを導入するタンディッシュ内の完全シール方法が開示されている。
また、特許文献2には、タンディッシュ内の溶鋼にスラグ脱酸剤とフラックスとを添加することで溶鋼上のスラグ中のT.Fe、MnOをいずれも1重量%以下にする高清浄度溶鋼の製造方法が開示されている。さらに、特許文献3には、溶鋼上のスラグにスラグ脱酸剤を添加するとともにスラグ浴面上を不活性ガスでシールする溶融金属の清浄方法も開示されている。
また、非特許文献1には外部からスラグ-メタル界面に直流電圧を印加することにより、溶存酸素濃度を低下できることが記載されている。
また、窒素は金属材料にとって有害成分であり、従来の製鋼プロセスでは主に溶銑の脱炭処理時に発生する一酸化炭素の気泡表面に溶鉄中の窒素Nを吸着させて除去している。そのため炭素濃度が低い溶鋼に関しては、一酸化炭素の発生量が限られているため、同様の手法では窒素を低濃度まで除去することができない。
一方で、CO排出量低減のためには、製鋼プロセスを従来の高炉、転炉を用いる方法から、スクラップや還元鉄を溶解させる方法へと転換する必要がある。その場合、得られる溶融鉄は炭素濃度が低くなり、前記理由で低窒素鋼を溶製できないおそれがある。
そこで、スラグを用いた溶鋼からの脱窒方法がいくつか提案されている。たとえば、特許文献4には、VOD炉にて溶鋼中のAl濃度を0.7mass%以上の濃度に少なくとも5分間保持し、アルミナイトライド(以下、「AlN」という。)の生成により脱窒するステンレス溶鋼の脱窒方法が示されている。
また、特許文献5には、電気炉で鉄スクラップを主鉄源として溶鋼を溶製し、当該溶綱を別の精錬容器に出鋼、保持した後、Al含有物質を含む脱窒用のフラックスを添加して、AlNをスラグに移行させてから、溶鋼に酸素含有ガスを吹き付けて脱窒する溶鋼の脱窒方法が示されている。
また、特許文献6には、ガス上吹き機能を有する精錬容器に溶融金属を装入し、この溶融金属の表面を、CaOおよびAlを主成分とするスラグで覆ったのち、この被覆スラグ面に対し酸化性ガスを、該ガスが溶融金属と直接接触しない程度に吹き付けることにより脱窒する溶融金属の脱窒方法が示されている。
また、特許文献7には、溶綱のスラグによる脱窒反応を行わせるに際し、スラグ側を正、溶鋼側を負となるような電極配置として直流電圧を印加しつつ脱窒反応を行わせる溶鋼の脱窒方法が示されている。
特開昭63-188460号公報 特開平8-49011号公報 特開平1-294817号公報 特開平5-320733号公報 特開2007-211298号公報 特開平8-246024号公報 特開平4-9420号公報
Steel making(煉鋼),28(Aug.2012)4,p.47-50(中国語)
しかしながら、上記従来技術には、以下のような問題がある。特許文献1に記載のタンディッシュ内の完全シール方法は、タンディッシュ内に溶鋼を注入するために、タンディッシュ蓋に溶鋼注入用ノズルを挿入できる空間が必要である。さらに、タンディッシュ蓋およびタンディッシュ本体の熱変形まで考慮すると、タンディッシュを完全に密閉することが困難であるという問題がある。タンディッシュが密閉できない状況で特許文献1に記載のシール方法を用いてタンディッシュ内へ不活性ガスを吹き込むと、注入点やタンディッシュ蓋の隙間から空気を巻き込んでしまうため、不活性ガスの置換が不十分となるといった問題が生じる。
また、特許文献2に記載の高清浄度溶鋼の製造方法は、スラグ脱酸剤の全てがスラグと反応するとは限らず、一部が溶鋼に溶解してしまうと成分外れとなり、再処理、他の鋼種への変更、最悪の場合には溶鋼がスクラップとなってしまう懸念もある。さらに、特許文献3に記載の溶融金属の清浄方法は、スラグ脱酸に関しては特許文献2に記載の溶鋼の製造方法と同様の懸念がある。特許文献3に記載の溶融金属の清浄方法において、スラグ浴面上のシールに関しては、シール用の蓋の設置が記載されている。しかし、特許文献1に記載されたタンディッシュ内のシール方法と同様に、常に完全に密閉することが困難であると考えられる。
また、非特許文献1に記載の技術による鋼中の溶存酸素濃度の低下は、溶鋼脱酸時の必要脱酸剤量が低減でき、生成する介在物の量も低減可能である。しかしながら、非特許文献1に記載の技術によって、溶鋼脱酸後の空気やスラグによる鋼中の脱酸成分の反応が抑制されるわけではなく、再酸化抑制の効果が得られるかは不明である。
しかも、非特許文献1に記載の技術は、電圧を制御する方式(いわゆる定電圧制御)であるため、攪拌を伴う場合に生じる湯面変動で溶鉄とスラグ側に浸漬した電極が接触した際、抵抗がほぼ0Ωの溶鉄に数10Vの電圧がかかる。それにより、回路に極めて大きい電流が流れることになる。その結果、これを許容するための配線や電源容量、ブレーカー機能等の設備保護策を実装することは現実的でない規模のものとなり、実装できなければ設備破損が起こるため、操業上実用的な手段となり得ない。
また、特許文献4及び特許文献5に記載の技術は、脱窒のためにAlNの生成を利用しており、生成したAlNの一部が溶鋼中に残存し、後工程の鋳造時に割れの起点になってしまうという課題がある。
また、AlNの生成を使用した脱窒方法を用いて、数十massppm程度の低窒素鋼を溶製するためには、AlとNとの溶解度積から考えて少なくともAl濃度が数mass%~10mass%程度必要である。もしくは、脱窒反応を有効に利用するためには数百massppm程度の初期窒素濃度が必要である。特許文献4及び特許文献5に記載の技術は、低窒素鋼を溶製するには工程的に必要となるコストが非常に高くなりすぎ、ステンレス鋼等の溶解窒素量の高い鋼種にしか適用できないという課題がある。
特許文献6に記載の技術は、溶鋼を酸化性ガスから遮断するための条件として、
(1) スラグ量を少なくとも溶鋼1トンあたり15kg確保すること、
(2) スラグ量、底吹きガス量、上吹きガス組成やその流量、ランス高さおよび雰囲気圧力などを適当な範囲に制御すること、を挙げている。
しかしながら、条件(1)は溶鋼を充填する容器のサイズによってスラグ量が増大すること、条件(2)は具体的な制御手段、制御範囲の記載がなく、ガスと溶鋼の遮断を確認する方法が明らかでないことから、適合条件が明確でない。さらに、特許文献6に記載された適合例と同一範囲で試験を行っても、実際は酸化性ガスによりスラグ-メタル界面のみかけの酸素分圧が増加することによるスラグ-メタル間での窒素移動抑制によって、脱窒速度が遅くなり、操業上実用的でないことを発明者らは確認している。
特許文献7に記載の技術は、スラグ-メタル界面の電圧をΔE(V)として、式(1)により脱窒能を決定することができる。
Figure 0007318822000001
ここで、
:外部電圧を印加しない時のスラグ-溶融金属間平衡窒素分配比(-)
:外部電圧を印加した時のスラグ-溶融金属間平衡窒素分配比(-)
F:ファラデー定数(C/mol)
R:ガス定数(J/mol/K)
T:絶対温度(K)
ΔE:溶融金属側を負としたときのスラグ-溶融金属界面における電位(V)である。
ところが、前記式(1)中のΔEを直接測定ないし制御することは不可能である。また、式(1)が成立するのは溶鋼中に窒素のみが反応し、かつその反応が窒素の拡散律速でない場合、つまり、ΔE=活性化過電圧η(V)の関係式が成立する場合に限られる。一方、製鋼反応は多数の元素が同時に反応する競合反応である。製鋼反応に能動的な攪拌を付与しない場合には、その反応は拡散律速となるケースが多い。このような観点から、特許文献7に記載の技術が前提としている多元素かつ攪拌を付与しない反応系において、式(1)は成立しないことを発明者らは確認している。
したがって、本来必要な脱窒量に応じて、式(1)及び回路とスラグの抵抗値から回路に印加する電圧を求めることはできない。すなわち、溶鋼と溶融スラグとの間に電位差を付与する手段として電流制御を行う際に必要となる回路に流す電流量を、特許文献7に記載の技術から推定することは不可能である。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、溶鋼中の金属成分が溶融スラグ中の酸化物と反応し、再酸化することを防止し、介在物の生成を抑制することができ、また、溶鋼を低窒素化することができる溶鋼の処理方法を提案することにある。さらに、本発明は、その溶鋼の処理方法で溶製した溶鋼を用いた鋼の製造方法を提案する。
上記課題を有利に解決する本発明の溶鋼の処理方法は、直流電源を用い、溶鋼に接する電極を負極とし、溶融スラグのみに接する電極を正極として、該両電極を通じて前記溶鋼と前記溶融スラグとの間に電位差を付与する溶鋼の処理方法において、前記溶鋼に脱酸剤を添加することにより前記溶鋼を脱酸する脱酸工程と、前記脱酸工程後に得られた脱酸した溶鋼に前記電位差を付与する工程と、を含むことを特徴とする。
ここで、脱酸工程とは、溶鋼に脱酸剤を添加して混合することによって当該溶鋼に含まれる金属成分と遊離酸素とを反応させて金属酸化物を形成させると共に、当該溶鋼の再酸化抑止を目的として過剰な脱酸剤を溶鋼中に溶存させるまでの工程を指す。
なお、本発明に係る溶鋼の処理方法は、
(a)前記脱酸工程において、前記溶鋼と前記溶融スラグとの間に前記電位差を付与すること、
(b)前記脱酸工程後に前記電位差を付与するに際して、前記溶融スラグ中のCaO濃度(mass%)とAl濃度(mass%)との比であるC/A(-)を0.4以上1.8以下にすること、
(c)前記脱酸工程後に前記電位差を付与するに際して、印加電流密度を1000(A/m)以下とすること等がより好ましい解決手段になり得るものと考えられる。
さらに、本発明に係る鋼の製造方法は、上記溶鋼の処理方法で溶製した溶鋼に対し、任意に成分調整したのち、鋳造することを特徴とする。
本発明によれば、溶鋼中の金属成分が溶融スラグ中の酸化物と反応し、再酸化することを防止し、介在物の生成を抑制することができる。
溶鋼をRH真空脱ガス装置で処理する際の実施形態に使用する溶鋼処理装置101を示す模式図である。 溶鋼を収容した取鍋などで溶鋼を搬送、保持、取鍋精錬炉にて処理する際の実施形態に使用する溶鋼処理装置102を示す模式図である。 取鍋から連続鋳造機に溶鋼を供給する際の実施形態に使用され、バッファとして用いられるタンディッシュを備えた溶鋼処理装置103を示す模式図である。 本実施形態に係る溶鋼の処理方法を実施して溶鋼処理を行った際の印加電流密度(A/m)とアルミニウムの再酸化速度定数の比であるKa/Ko(-)との関係を示すグラフである。 溶融スラグ中のCaO濃度(mass%)とAl濃度(mass%)の比であるC/A(-)と、到達窒素濃度(ppm)との関係(脱窒成績)を示すグラフである。
以下、図面に基づいて、本実施形態に係る溶鋼の処理方法について説明する。まず、本実施形態に係る溶鋼の処理方法を実施するために使用する溶鋼処理装置について説明し、次に、本実施形態に係る溶鋼の処理方法について説明する。なお、各図面は模式的なものであって、現実のものとは異なる場合がある。また、以下の実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであり、構成を下記のものに特定するものでない。すなわち、本発明の技術的思想は、特許請求の範囲に記載された技術的範囲内において、種々の変更を加えることができる。
図1A~図1Cは、本実施形態に係る溶鋼の処理方法を実施するために適した溶鋼処理装置101~103の模式図である。図1Aは、溶鋼をRH真空脱ガス装置8で処理する際の実施形態に使用する溶鋼処理装置101を示す模式図である。図1Bは、溶鋼を収容した取鍋などで溶鋼を搬送、保持、取鍋精錬炉にて処理する際の実施形態に使用する溶鋼処理装置102を示す模式図である。図1Cは、取鍋から連続鋳造機に溶鋼を供給する際の実施形態に使用され、バッファとして用いられるタンディッシュを備えた溶鋼処理装置103を示す模式図である。以下、溶鋼処理装置101~103について説明する。
図1Aは、本発明に係る溶鋼の処理方法に使用する溶鋼処理装置101を示す模式図である。図1Aに示された溶鋼処理装置101は、溶鋼3を充填するための取鍋1を備えている。取鍋1の内壁には、絶縁性耐火物2が内張りされている。絶縁性耐火物2としては、製鋼においてはAl系の煉瓦または不定形耐火物を用いることが多い。また、絶縁性耐火物2として導電性を持たない他の絶縁性耐火物で代用することもできる。
溶鋼処理装置101において、絶縁性耐火物2が内張りされた取鍋1などの容器に溶鋼3を充填し、その上にフラックスを添加し、溶融スラグ4とする。次に、取鍋1にRH真空脱ガス装置8の下部の浸漬管を浸漬し、溶鋼3の環流処理を行う。取鍋1の内部において、導電性物質5を溶融スラグ4側と、溶鋼3側(図1Aに示される溶鋼処理装置101の例では炉底に)との両側に配置し、導線6を通じて直流安定化電源7に接続する。溶融スラグ4側に配置した導電性物質5に接続した導線6は、直流安定化電源7の+側(正極)に接続される。一方、溶鋼3側に配した導電性物質5に接続した導線6は、直流安定化電源7の-側(負極)に接続される。
溶鋼処理装置101の例では、炉底に溶鋼3側の導電性物質5を配置したが、取鍋1の炉壁に導電性物質5を配置してもよい。また、後述する図1Bに示されるように、溶鋼3側に配置する導電性物質5の一部が溶融スラグ4を貫通して溶鋼3に浸漬するように配置してもよい。導電性物質5として、黒鉛シャフトやMgO-C系の耐火物を用いることができ、導電性があり、かつ溶鋼の温度域(1400~1750℃)で溶解しないものであれば、他の物質で代用してもよい。
図1Aに示されるような溶鋼処理装置101を用い、外部電源から電流を流すことにより、溶融スラグ-溶鋼間に電流を流すことが可能である。このように、図1Aに示されるような溶鋼処理装置101を用い、導電性物質5を溶鋼3、溶融スラグ4のそれぞれに浸漬して電位差を付与することにより、溶鋼3をRH真空脱ガス装置8で処理する際における溶鋼の再酸化を抑制することができる。
次に、図1Bは、本発明に係る溶鋼の処理方法に使用する溶鋼処理装置102を示す模式図である。図1Bに示されるように溶鋼処理装置102において、溶鋼3側に配する導電性物質5は、その一部が溶融スラグ4に接触していてもよい。この場合は、溶融スラグ4側に浸漬した導電性物質5の先端から溶融スラグ-溶鋼界面までの最短距離Lが溶融スラグ4内における2つの導電性物質5により形成される表面間の最短距離Lより小さくなるように配置する必要がある。なお、溶鋼3側に設置される導電性物質5の配置は、図1Aに示したように取鍋1の炉底又は炉壁に設置されているものであってもよい。
図1Bに示されるような溶鋼処理装置102を用い、直流安定化電源7から電流を流すことにより、溶融スラグ-溶鋼間に電流を流すことが可能である。このように、図1Bに示されるような溶鋼処理装置102を用い、導電性物質5を溶鋼3と溶融スラグ4のそれぞれに浸漬して電位差を付与することにより、溶鋼3の搬送中、鋳造に至るまでの待機中において、溶鋼の再酸化を抑制することができる。
また、図1Bに示されるような溶鋼処理装置102を用い、取鍋精錬などに供するにあたり、溶融スラグ-溶鋼間に電流を流す際に、溶融スラグ4中の組成を制御することにより、溶鋼からの脱窒を促進させることができる。
その際、溶鋼処理装置102にインジェクションランスや底吹きポーラスを追加して、これらを介して溶鋼3中にガスを吹込み、浴に攪拌を付与することがより好ましい。
また、溶鋼処理装置102を真空容器に収納して減圧雰囲気下で処理することがより好ましい。
さらに、図1Cは、本発明に係る溶鋼の処理方法に使用する溶鋼処理装置103を示す模式図である。図1Cに示されるように溶鋼処理装置103は、取鍋1から連続鋳造機に溶鋼3を供給する際に使用され、いわゆるバッファとして用いられるタンディッシュ9を備える。
タンディッシュ9には、溶鋼3をタンディッシュ9の本体内部に溶鋼3を注入するためのロングノズル10が挿入されている。さらに、タンディッシュ9の底部には、タンディッシュ9の本体内部に注入された溶鋼3を開放するためのスライディングノズル11が設けられている。スライディングノズル11の下部には、浸漬ノズル12が設けられている。スライディングノズル11が開放されることにより、タンディッシュ9の本体内部に注入された溶鋼3は、浸漬ノズル12を通して鋳型(図示せず)に注入される。また、タンディッシュ9上部にはタンディッシュ蓋13が設置される。
このように、図1Cに示されるような溶鋼処理装置103を用い、導電性物質5を溶鋼3、溶融スラグ4のそれぞれに浸漬して電位差を付与することにより、溶鋼3を連続鋳造する際に、溶鋼3の取鍋1における空気又は溶融スラグ4中の酸化物による溶鋼3の再酸化を効率的に抑制することができる。以下、溶鋼処理装置101~103を用いた本実施形態に係る溶鋼の処理方法について説明する。
[第1実施形態]
第1実施形態に係る溶鋼の処理方法について説明する。本実施形態は、溶鋼をRH真空脱ガス装置で処理する際に本発明に係る溶鋼の処理方法を適用するものである。本実施形態に係る溶鋼の処理方法は、直流電源を用い、溶鋼に接する電極を負極とし、溶融スラグのみに接する電極を正極として、該両電極を通じて前記溶鋼と前記溶融スラグとの間に電位差を付与する溶鋼の処理方法において、前記溶鋼に脱酸剤を添加することにより前記溶鋼を脱酸する脱酸工程と、前記脱酸工程後に得られた脱酸した溶鋼に前記電位差を付与する工程と、を含む。以下、各工程について説明する。
(溶鋼を脱酸する脱酸工程)
本実施形態に係る溶鋼の処理方法は、溶鋼を脱酸する脱酸工程を含む。溶鋼の脱酸は、溶鋼に脱酸剤を添加することによって行われる。具体的には、以下のような手順に従って行うことができる。最初に、転炉にて脱炭精錬に供された溶鋼3を取鍋1に出鋼する。なお、取鍋1内に出鋼された溶鋼3上には溶融スラグ4が存在する。
溶融スラグ4には、スラグ脱酸剤として、Al含有スラグ改質剤を添加することが望ましい。Al含有スラグ改質剤は、金属Al粒子を主体とする。金属Al粒子の粒子半径は、2.0~10.0mmであることが好ましい。金属Al粒子の粒子半径が上記範囲であれば、溶鋼3中にAl含有スラグ改質剤が溶け込むことがなく、溶融スラグ4中に存在するFeO,Fe2,MnO等の低級酸化物と十分に反応して、その反応効率が向上するからである。
次に、図1Aに示された溶鋼処理装置101が備えているRH真空脱ガス装置8を用いて溶鋼3の脱炭処理等を行う。溶鋼3が未脱酸の状態では、このRH真空脱ガス装置8によるRH真空脱ガス精錬により、溶鋼3の脱炭反応が進行する。
溶鋼3の脱炭反応を終了させた後、溶鋼3に存在する酸素の溶存酸素濃度を測定する。測定された溶存酸素濃度に基づいて、溶鋼3に存在する酸素を脱酸するのに必要とする脱酸剤の量、および必要組成分の金属Al等を決定する。その後、脱酸剤を真空槽内の溶鋼3に投入シュート(図示せず)から添加し、溶鋼3を脱酸、成分調整をする。溶鋼3に脱酸剤を添加することによって、溶鋼3の製鋼精錬過程において炭素、ケイ素、リン等の不純物を取り除くために溶鋼3に過剰に加えられた酸素が除去される。溶鋼3に存在する酸素を脱酸するための脱酸剤としては、粒状アルミニウム(金属Al)、フェロマンガン、フェロシリコン、フェロチタン等の合金鉄、カルシウムシリコン合金等を例示することができる。
(脱酸後の溶鋼に電位差を付与する工程)
本実施形態に係る溶鋼の処理方法は、前記脱酸工程後に得られた脱酸した溶鋼に前記電位差を付与する工程を含む。脱酸工程後に電位差を付与する工程は、脱酸後の溶鋼と溶融スラグとの間に必要な電位差を付与する工程である。
上記工程で脱酸後の溶鋼と溶融スラグとの間に付与される電位差は、脱酸後の溶鋼と溶融スラグとの間に電流が流れ始めるために電位差以上であることが必要となる。必要な電位差は、溶鋼及び溶融スラグの成分から熱力学的に算出される理論電解電圧に過電圧を考慮することにより決定することができる。脱酸工程後に電位差を付与する工程における電位差の付与は、電流制御によっても、電圧制御によっても制御することができる。
ここで、電圧制御(いわゆる定電圧制御)では、攪拌等を伴う場合に生じる湯面変動で溶鋼と溶融スラグ側に浸漬した電極が接触した際、抵抗がほぼ0Ωの溶鋼に数十Vの電圧がかかると、回路に極めて大きい電流が流れることになる。このため、回路に極めて大きい電流が流れることを許容するために溶鋼処理装置には、配線や電源容量、ブレーカー機能等を保護するために実装される保護設備が必要となる。その結果、溶鋼処理装置の設備コストが上昇してしまう。また、溶鋼処理装置の設備に上記保護設備を実装できない場合には、当該設備の破損が起こる。このような技術的事項を勘案すると、脱酸工程後に電位差を付与する工程における電位差の付与は、電流制御が好ましい。
以上説明したように、第1実施形態に係る溶鋼の処理方法によれば、溶鋼をRH真空脱ガス装置で処理する際に溶鋼に脱酸剤を添加することにより溶鋼を脱酸し、脱酸後の溶鋼に電位差を付与することにより、脱酸後の溶鋼の取鍋における空気又はスラグ中の酸化物による溶鋼の再酸化を効率的に抑制することができる。
[第2実施形態]
第2実施形態に係る溶鋼の処理方法について説明する。すなわち、本実施形態は、RH真空脱ガス精錬終了後の溶鋼3を連続鋳造にて鋳造するために取鍋1を連続鋳造機まで搬送する際に本発明に係る溶鋼の処理方法を適用するものである。
図1Bは、溶鋼を収容した取鍋などで溶鋼を搬送、保持、取鍋精錬炉にて処理する実施形態に使用する溶鋼処理装置102を示す模式図である。図1Bに示されるように、溶鋼3側に配置する導電性物質5は、その一部が溶融スラグ4に接触していてもよい。この場合は、溶融スラグ4側に浸漬した導電性物質5の先端から溶融スラグ-溶鋼界面までの最短距離Lが溶融スラグ4内での導電性物質5表面間の最短距離Lより小さくなるように配置する必要がある。
その際、図1Bに示すように導電性物質5を溶鋼3、溶融スラグ4のそれぞれに浸漬し電位差を付与することで溶鋼3の搬送中、鋳造に至るまでの待機中における溶鋼3の再酸化が抑制される。ここで、溶鋼3側に設置される導電性物質5の配置は、図1Aに示すように取鍋1に設置されているものでもよい。
以上説明したように、第2実施形態に係る溶鋼の処理方法によれば、溶鋼3が注入された取鍋1を連続鋳造機まで搬送する際に溶鋼に脱酸剤を添加することにより溶鋼を脱酸し、脱酸後の溶鋼に電位差を付与することにより、取鍋を連続鋳造機まで搬送する際において、空気又は溶融スラグ中の酸化物による溶鋼の再酸化を効率的に抑制することができる。
[第3実施形態]
第3実施形態に係る溶鋼の処理方法について説明する。すなわち、本実施形態に係る溶鋼の処理方法は、取鍋を連続鋳造機まで搬送した後、溶鋼を連続鋳造する際に本発明に係る溶鋼の処理方法を適用するものである。
図1Cは、第3実施形態に使用するバッファとして用いられるタンディッシュ9を備えた溶鋼処理装置103を示す模式図である。図1Cに示されるように、取鍋1が連続鋳造機に到着したら、タンディッシュ9上に取鍋1をセットし、取鍋1よりタンディッシュ9の本体内部にロングノズル10を介して溶鋼3を注入する。溶鋼3のタンディッシュ9内の溶鋼高さが所定位置に到達したら、スライディングノズル11を開け、浸漬ノズル12を通して鋳型(図示せず)に溶鋼3を注入し連続鋳造を開始する。
タンディッシュ9に溶鋼3を注入する前に、タンディッシュ9の内部を不活性ガスで置換しておくことが望ましい。さらには、溶鋼3の鋳造中もタンディッシュ9の内部に不活性ガスを導入しておくことが望ましい。また、導電性物質5を通して電位差を付与する前に、タンディッシュ9の内部に溶融スラグ4の源となるフラックスを添加しておく。フラックスとしては、CaOを主成分とする粉末状のフラックスを用いることができる。
溶融スラグ4の高さが溶融スラグ4側に浸漬する導電性物質5の高さと等しくなったら電位差を付与することにより、それ以降の処理工程における溶鋼の再酸化が抑制される。ここで、溶融スラグ4側に浸漬する導電性物質5の高さは、溶鋼3の上限以上の一定の高さに固定してもよいが、より望ましくは溶鋼3の高さに合わせて上下できる機構により、当該導電性物質5の高さを調整することで、電位差を付与できる期間を確保できることとなる。
なお、本実施形態に係る溶鋼の処理方法に使用される連続鋳造機は、図1Cに示されるように、単数のストランドを備えた連続鋳造機のタンディッシュの模式図である。しかしながら、複数のストランドを備えた連続鋳造機のタンディッシュでも同様の効果は得られるため、連続鋳造機が備えているストランドの個数には特に制限はない。
以上説明したように、第3実施形態に係る溶鋼の処理方法によれば、既に脱酸した溶鋼3を搬送する際に、脱酸後の溶鋼3に電位差を付与することにより、溶鋼を連続鋳造する際において、空気又は溶融スラグ中の酸化物による溶鋼の再酸化を効率的に抑制することができる。
なお、上記第1~第3実施形態に係る溶鋼の処理方法において、電位差の付与は、溶鋼のRH真空脱ガス精錬時、溶鋼の搬送時、溶鋼の連続鋳造時の全ての実施プロセスにおいて行われることが望ましいが、各々の実施プロセスでも効果を得られることができるので、実施プロセスに特に限定は無い。
[第4実施形態]
第4実施形態に係る溶鋼の処理方法について説明する。本実施形態に係る溶鋼の処理方法は上記実施形態に係る溶鋼の処理方法において、溶鋼に脱酸剤を添加することにより溶鋼を脱酸する脱酸工程において電位差を付与することを特徴とする。すなわち、本実施形態に係る溶鋼の処理方法は、RH真空脱ガス精錬時、RH真空脱ガス精錬終了後の溶鋼が注入された取鍋の連続鋳造機への搬送時、溶鋼を脱酸する脱酸工程の前処理工程として、脱酸前の溶鋼と溶融スラグとの間に前処理用の電位差を付与することを特徴としている。
本実施形態に係る溶鋼の処理方法は、溶鋼3を脱酸する際にも、導電性物質5を通して脱酸前の溶鋼3と溶融スラグ4との間に前処理用の電位差を付与する。脱酸前の溶鋼3と溶融スラグ4との間に前処理用の電位差を付与することにより、溶鋼3中の溶存酸素濃度が低下するため、必要な脱酸剤の量を低減できる。また、真空槽内に添加された脱酸剤が溶鋼3中の酸素と反応しきれずに取鍋1に流入した際に、この高濃度の脱酸成分と溶融スラグ4や大気からの酸素による溶鋼3の再酸化を抑制できる。その後、溶鋼3の温度、その成分を調整する間、導電性物質5を通して脱酸した溶鋼3に電位差を付与することにより、溶融スラグ4や大気からの酸素による溶鋼3中のAlのような脱酸元素の再酸化がさらに抑制される。
以上説明したように、第4実施形態に係る溶鋼の処理方法によれば、溶鋼に脱酸剤を添加することにより溶鋼を脱酸し、脱酸後の溶鋼に電位差を付与することに加え、さらに溶鋼を脱酸する脱酸工程においても電位差を付与することより、脱酸後の溶鋼の取鍋における空気又は溶融スラグ中の酸化物による溶鋼の再酸化を効率的に抑制することができる。
[第5実施形態]
第5実施形態に係る溶鋼の処理方法について説明する。本実施形態に係る溶鋼の処理方法は上記実施形態に係る溶鋼の処理方法において、電位差を付与するに際して、印加電流密度を1000(A/m)以下とすることを特徴とする。すなわち、本実施形態に係る溶鋼の処理方法は、RH真空脱ガス精錬時、RH真空脱ガス精錬終了後の溶鋼を連続鋳造するために取鍋から連続鋳造機への搬送時、及び溶鋼の連続鋳造時において電位差を付与するに際して、印加電流密度(A/m)を最適な範囲に特定することを特徴としている。
ここで、Al等の脱酸剤により脱酸した後の溶鋼の取鍋での空気や溶融スラグによる溶鋼中に存在する金属成分の再酸化挙動は、溶鋼中のAl濃度に着目することにより明らかとなる。即ち、溶鋼中のAl濃度がAl脱酸鋼として必要とされるAl濃度であれば、溶鋼中のAlは、時間にほぼ比例して濃度減少する。このことから、再酸化速度vは、以下の式(2)により定義することができる。
Figure 0007318822000002
ここで、上記式(2)において、[Al]は溶鋼中のAl濃度、tは時間、Kは再酸化速度定数を示し、再酸化速度vは、Kは再酸化速度定数に等しい。
図2は、印加電流密度(A/m)と再酸化速度定数の比であるKa/Ko(-)との関係を示したグラフである。図2に示すグラフにおいて、▲は300kg炉を使用して溶鋼の処理を実施した場合を示し、●は30kg炉を使用して溶鋼の処理を実施した場合を示す。図2に基づいて、電位差を付与した場合の再酸化速度定数Ka(mass%/分)と、電位差を付与する前の再酸化速度定数Ko(mass%/分)を比較した。
図2に示されるように、30kg炉を使用して溶鋼の処理を実施した場合、▲は300kg炉を使用して溶鋼の処理を実施した場合においても、再酸化速度定数の比であるKa/Ko(-)は、印加電流密度(A/m)への依存性があることを見出した。図2から明らかなように、印加電流密度が1000(A/m)超えでの再酸化速度定数Kaの増加率の傾きは小さい。このため、印加電流密度が1000(A/m)超えでは印加電流密度の増加による再酸化速度定数の増加効果は期待できない。したがって、本実施形態に係る溶鋼の処理方法において、電位差を付与するに際して、印加電流密度を1000(A/m)以下とするのが望ましい。
上記のようにして得られた印加電流密度J(A/m)とする。ここで、印加電流密度J(A/m)から回路に流す電流量I(A)を算出するにあたっては、電流量I(A)=印加電流密度J(A/m)×接触面積A(m)の関係式を用いる。かかる関係式を用いて、電流量I(A)を算出する際には、接触面積A(m)として取鍋(容器)内に充填された溶融スラグと溶鋼との接触面積A(m)を採用するのが望ましい。しかしながら、実際に溶鋼を処理するに際しては、溶鋼への攪拌付与等の影響により正確な上記接触面積A(m)が不明なことが多い。このため、取鍋1(容器)に内張りされた絶縁性耐火物2までを考慮した溶融スラグ-溶鋼界面位置の装置の内径断面積A’(m)を接触面積A(m)として用い、電流量I(A)を算出しても差し支えない。
これは、導電性物質5を通じて溶融スラグ4自体が+極(正極)、溶鋼3自体が-極(負極)として振る舞うためである。溶融スラグ4側の導電性物質5と溶鋼3側の導電性物質5との先端部分の断面積の比率を変更しても、再酸化速度に影響を及ぼさないことを発明者は確認している。
以上説明したように、第5実施形態に係る溶鋼の処理方法によれば、電位差を付与するに際して、印加電流密度を1000(A/m)以下とすることにより、脱酸後の溶鋼の取鍋における空気又は溶融スラグ中の酸化物による溶鋼の再酸化を効率的に抑制することができる。なお、上記電位差の付与は、RH真空脱ガス精錬時、取鍋搬送時、連続鋳造時の全ての実施プロセスで行われることが望ましいが、各々の実施プロセスでも効果を得ることができる。このため、本発明に係る溶鋼の処理方法は、実施プロセスを特に限定することなく適用することができる。
[第6実施形態]
第6実施形態に係る溶鋼の処理方法について説明する。本実施形態に係る溶鋼の処理方法は上記実施形態に係る溶鋼の処理方法において、脱酸工程後に電位差を付与するに際して、溶融スラグ中のCaO濃度(mass%)とAl濃度(mass%)との比であるC/A(-)を0.4以上1.8以下にすることを特徴とするものである。すなわち、本実施形態に係る溶鋼の処理方法において、脱酸された溶鋼に電位差を付与するに際し、溶鋼中の窒素濃度を調査したところ、条件によっては脱酸と同時に脱窒も進行していることを新たに見出した。
かかる新たな知見に基づいて、発明者は、電位差の付与により脱窒の進行が起こりうる条件に関して、溶鋼中のAl濃度[Al]に着目して詳細な調査を進めた。調査を進めていく中で、前述した特許文献6に記載された溶融金属の脱窒方法では、脱窒を進行させるために必要な溶鋼中のAl濃度[Al]が0.3mass%から2mass%という濃度が要求されており、0.1mass%以下でも脱窒が進行することが見出されたが、到達窒素濃度には大きなばらつきがあった。
そこで、本実施形態に係る溶鋼の処理方法では、溶融スラグ組成、主に溶融スラグ中のCaO濃度(mass%)とAl濃度(mass%)との比である、C/A(-)の脱窒へ及ぼす影響を調査した。具体的には、小型高周波真空誘導溶解炉にて、15kgの溶鋼を溶解し、溶鋼中のAl濃度[Al]を0.1mass%に調整し、15kg/t以上のCaO及びAl含有スラグを形成するに際し、C/A(-)を0.4~2.0まで振った際の到達窒素濃度(massppm)を測定した。図3に溶融スラグ中のCaO濃度(mass%)とAl濃度(mass%)の比であるC/A(-)と到達窒素濃度(ppm)との関係(脱窒成績)を示す。
図3に示すように、C/A(-)が0.4~1.2の範囲では脱窒成績は横ばい、C/Aが1.2を超えた点から脱窒成績は下がり始め、1.6を超えると急激に到達窒素濃度(massppm)が上昇し、1.8を超えると低窒素濃度域(窒素濃度が35massppm以下)へ到達しなくなった。このように、溶融スラグ組成は、滓化率が高いほど脱窒反応に有利であり、CaOとAlとの質量比C/Aが0.4~1.8の範囲にあることが好ましく、さらに0.7~1.7の範囲にあることがより好ましい。すなわち、本実施形態に係る溶鋼の処理方法において、脱窒を進行させるためには、電位差を付与するに際して、溶融スラグ中のC/A(-)を0.4以上1.8以下とするのが望ましい。
本実施形態に係る溶鋼の処理方法において、溶融スラグ中のMgO濃度は、脱窒促進のためには低い方が好ましいが、取鍋等の耐火物寿命との兼ね合いで溶融スラグ4中にMgOが含まれていてもよい。溶融スラグ4中のMgO濃度は、5.0mass%以下とするのが好ましい。取鍋等の耐火物保護の観点から、その濃度を増加させる必要がある場合は、MgO濃度が5.0mass%を超えて1.0mass%増加するごとに、溶鋼の温度を5℃以上増加させることが好ましい。また、溶融スラグ中のMgO濃度の下限は特に限定しないが、0mass%であってもよい。
本実施形態に係る溶鋼の処理方法において、図1Bに示す溶鋼処理装置102を使用し、導電性物質5を溶鋼3と、C/A(-)を0.4以上1.8以下とした溶融スラグ4中のそれぞれに浸漬し電位差を付与することで脱窒が促進される。ここで、溶鋼3側に設置される導電性物質5の配置は、図1Aに示すように取鍋1に設置されているものでもよい。
本実施形態に係る溶鋼の処理方法において、インジェクションランスや底吹きポーラスプラグを介して溶鋼3中にガスを吹込み、浴に攪拌を付与することがより好ましい。浴を撹拌する際に採用する攪拌動力密度の上限は、ガスを大量に吹き込んでも有効に活用されずに吹き抜けてしまうので、5000W/t程度を上限とし、攪拌動力密度の上昇に応じて起こり得る不具合(たとえば、炉蓋への地金付着等)が発生しない範囲で適宜設定することができる。
また、本実施形態に係る溶鋼の処理方法は、減圧雰囲気下で溶鋼を処理することがより好ましい。本実施形態に係る溶鋼の処理方法を減圧雰囲気下において行う場合には、その雰囲気圧は1.0×10Pa以下が好ましく、さらに好ましくは0.7×10Pa以下である。また、本実施形態に係る溶鋼の処理方法を減圧雰囲気下において行う場合において、過度の減圧は、排気系など設備費の増加を招くので、雰囲気圧の下限は、1.0×10Pa程度とすることが好ましい。
以上説明したように、第6実施形態に係る溶鋼の処理方法によれば、溶鋼3を脱酸し、脱酸後の溶鋼3と組成を制御した溶融スラグ4に電位差を付与することにより、溶鋼中のAl濃度[Al]を高濃度にすることなく、溶鋼からの脱窒を効率的に促進することができる。
[第7実施形態]
第7実施形態に係る鋼の製造方法について説明する。本実施形態に係る鋼の製造方法は、上記実施形態に係る溶鋼の処理方法で溶製した溶鋼に対し、任意にその成分調整したのち、鋳造することを特徴とする。すなわち、本実施形態に係る鋼の製造方法は、上記実施形態の溶鋼の処理方法を採用して溶製した溶鋼を鋳造する点に技術的特徴を有する。つまり、本実施形態に係る鋼の製造方法は、上記実施形態に係る溶鋼の処理方法によって、溶鋼を処理して溶製した溶鋼を鋼の鋳造材料とする。
ここで、上記実施形態に係る溶鋼の処理方法によって溶製された溶鋼は、介在物が低減され、かつ低窒素の溶鋼であることから、その成分調整を容易に行うことができる。本実施形態に係る鋼の製造方法において、溶鋼の成分調整及び溶鋼の鋳造は、特に制限されるものではなく、定法により行うことができる。また、本実施形態に係る鋼の製造方法は、上記介在物が低減され、かつ低窒素の溶鋼を鋼の鋳造材料として用いているので、本実施形態に係る鋼の製造方法によって製造された鋼は、介在物が低減され、かつ低窒素の鋼となる。
つまり、本実施形態に係る鋼の製造方法により製造された鋼を鋼製品の材料として用いることにより、表面疵等の欠陥が低減された低窒素の鋼製品を得ることができる。このような技術的観点から、本実施形態に係る鋼の製造方法による鋼製品の用途は限定されず、広く好適に用いることができる。中でも、圧延処理によって製造される薄鋼板、厚鋼板、およびそれらにより製造される鋼製品には特に好適である。
以上説明したように、第7実施形態に係る鋼の製造方法によれば、上記実施形態に係る溶鋼の処理方法を採用し、介在物の生成が抑制された溶鋼を鋳造することにより表面疵等の欠陥が低減された低窒素の鋼を製造することができる。
[他の実施形態]
以上、実施形態を参照して本願発明を説明したが、本願発明は上記実施形態に限定されるものではない。本願発明の構成や詳細には、本願発明の技術的範囲で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。
<実施例1>
炭素濃度が0.02~0.06質量%である約300トンの溶鋼を転炉から内径3.6mの取鍋に未脱酸状態のまま出鋼した。出鋼後、RH真空脱ガス装置で真空脱炭処理を行い、炭素濃度を0.01~0.02質量%に調整し、溶鋼中の溶存酸素濃度に見合う量の金属Alを添加した。
その後、溶融スラグには黒鉛シャフトを通じて外部電源の+極(正極)に、溶鋼にはMgO-C煉瓦を通じて外部電源の-極(負極)にそれぞれ導線を接続した。RHで溶鋼の成分調整等の環流処理を行っている間、直流安定化電源を用いて定電流印加法により回路に電流を流した。RH環流処理により溶鋼の温度とその成分調整を行った後、取鍋内の溶鋼のサンプルを採取し、分析に供した。比較例として、電流を流さなかった場合も実施した(No.9~13)。
処理条件として、RH脱酸3分経過後における溶鋼中のAlmass%濃度、電位差を付与する際の電流印加密度Ja(A/m)、RH脱酸後の処理時間(分)を設定した。そして、各処理条件における再酸化速度定数K(mass%/分)及び発明例として電流を流したNo.1~8のAl再酸化速度定数Kaと比較例とした電流を流さなかったNo.9~13の平均の再酸化速度定数Koとの比である再酸化速度定数比 Ka/Ko(-)を算出し、溶鋼の再酸化の抑制を評価した。表1に処理条件および処理結果を示す。
Figure 0007318822000003
表1に示すように、電流を流したNo.1~8(発明例)は、電流を流さなかったNo.9~13(比較例)に比較して再酸化速度定数が小さいことから、溶鋼中の金属成分の再酸化が抑制できていることが分かる。1000(A/m)よりも大きな印加電流密度で電流を流した試験(No.8)では、1000(A/m)の印加電流密度で電流を流した試験(No.7)と、再酸化速度は変わらなかった。このことから、1000(A/m)を超えた電流密度で電流を流すことは、再酸化速度には大きな影響を及ぼさないことが分かった。
<実施例2>
炭素濃度が0.02~0.06mass%である約300トンの溶鋼を転炉から内径3.6mの取鍋に未脱酸状態のまま出鋼し、出鋼後、RH真空脱ガス装置で真空脱炭処理を行い、溶鋼中の炭素濃度を0.003mass%以下まで低下させた。その後、溶融スラグには黒鉛シャフトを通じて外部電源の+極(正極)に、溶鋼にはMgO-C煉瓦を通じて外部電源の-極(負極)にそれぞれ導線を接続した。RH真空脱ガス装置で成分調整等の環流処理を行っている間、直流安定化電源を用いて定電流印加法により回路に電流を流した。
その後、溶鋼中の溶存酸素を溶存酸素測定用プローブで測定し、電流を流さなかった際に脱酸と溶鋼中に0.035mass%残留させるために必要な量の金属Alを添加した。金属Al添加後も電流を流したまま、RH環流処理により温度、溶鋼の成分調整を行った後、取鍋内の溶鋼のサンプルを採取し、分析に供した。比較として、電流を流さなかった場合も実施した。
処理条件として、RH脱酸3分経過後における溶鋼中のAl濃度(mass%)、電位差を付与する際の電流印加密度Ja(A/m)、電流印加時の酸素濃度[O](massppm)、RH脱酸3分経過後における溶鋼中のAl濃度(mass%)、RH脱酸後の処理時間(分)、RH脱酸終了後における溶鋼中のAl濃度(mass%)を設定した。そして、各処理条件における再酸化速度定数K(mass%/分)を測定した。さらに、発明例として電流を流したNo.14~18のAlの再酸化速度定数Kaと、比較例とした電流を流さなかったNo.19~21の平均の再酸化速度定数Koとの比である再酸化速度定数比 Ka/Ko(-)を算出し、再酸化の抑制を評価した。表2に処理条件および処理結果を示す。
Figure 0007318822000004
表2に示すように、電流を流したNo.14~18(発明例)は、電流を流さなかったNo.19~21(比較例)に比較してRH脱酸3分後の溶鋼中のAl濃度も高く、再酸化速度も遅いことから、溶鋼の再酸化が抑制できていることが分かる。
<実施例3>
容量30tの1ストランド連続鋳造機用タンディッシュに蓋をした上で、タンディッシュ内にArガスを吹き込んだ。なお、タンディッシュ内にはCaO-Al二元系、CaO-Al-MgO三元系、またはCaO-Al-SiO-MgO四元系のフラックスを入れ置いた。
上記タンディッシュ内に取鍋からロングノズルを介して、溶鋼中の炭素濃度が0.03mass%の低炭素鋼を注湯した。この低炭素鋼の注湯開始後、タンディッシュ内の溶鋼湯面高さが所定位置となったところで鋳造を開始した。その後、タンディッシュ内の溶鋼湯面高さが一定となったところで、溶融スラグには黒鉛シャフトを通じて外部電源の+極(正極)に、溶鋼にはMgO-C煉瓦を通じて外部電源の-極(負極)にそれぞれ導線を接続し、直流安定化電源を用いて定電流印加法により回路に電流を流した。表3に処理条件および処理結果を示す。
処理条件として、RH終了後(脱酸後)における溶鋼中のAl濃度、スループット(t/hr)、電位差を付与する際の電流印加密度Ja(A/m)を設定した。処理結果として、電位差を付与した後の溶鋼により形成したスラブの清浄度を評価した。具体的には、鋳造中期のスラブからサンプルを採取し、鋼中の酸化物個数を測定した。電流を流したNo.22~26(実施例)でのサンプルの平均の鋼中の酸化物個数と、電流を流していないNo.27~29(比較例)でのサンプルの平均の鋼中の酸化物個数との比(スラブ清浄度(指数))を算出し、溶鋼の再酸化の抑制を評価した。なお、溶鋼中の酸化物個数の測定は、サンプル断面を研磨したものを走査型電子顕微鏡で成分分析、個数測定をすることにより行った。
Figure 0007318822000005
表3に示すように、電流を流したNo.22~26(発明例)は、電流を流さなかったNo.27~29(比較例)に比較して、スラブ清浄度(指数)が1.0未満となっていることから、鋼中の酸化物個数を低減できていることが分かる。
<実施例4>
炭素濃度が0.02~0.06質量%である約160トンの溶鋼を電気炉から内径2.9mの取鍋に未脱酸状態のまま出鋼した。溶鋼を出鋼した後、LF脱硫装置にて媒溶剤と、脱酸剤として金属Alとをそれぞれ投入し、溶鋼の脱酸とアーク加熱によるCaO-SiO―Al―MgO四元系スラグの造滓・溶融を行った。その後、溶融スラグには黒鉛シャフトを通じて外部電源の+極(正極)に、溶鋼にはMgO-C煉瓦を通じて外部電源の-極(負極)にそれぞれ導線を接続し、発明例として、直流安定化電源を用いて定電流印加法により回路に電流を流し、溶鋼の脱窒処理を実施した(No.30~37)。
なお、溶鋼の脱窒処理の実施中は、取鍋底吹きプラグからArを毎分450~900Lの流量で溶鋼に吹き込み、攪拌を行った。
前記脱窒処理の前後で取鍋内の溶鋼のサンプルを採取し、分析に供した。比較例として、電流を流すことなく、溶鋼の脱窒処理を実施した(No.38~39)。表4に処理条件および処理結果を示す。
Figure 0007318822000006
表4に示すように、回路に電流を流すことにより溶鋼の脱窒処理を実施したNo.30~37(発明例)は、回路に電流を流すことなく溶鋼の脱窒処理を実施したNo.38~39(比較例)に比較して、脱窒が促進されている。また、回路に電流を流すことにより溶鋼の脱窒処理を実施した際の電流印加密度を1000(A/m)より大きくしたNo.36~37(発明例)は、電流印加密度を1000(A/m)としたNo.34~35(発明例)と比較しても、その脱窒成績は変化しなかった。このことから、1000(A/m)を超えた電流印加密度で電流を流すことにより溶鋼の脱窒処理を実施しても、その脱窒成績には大きな影響を及ぼさないことが分かった。
このように、本発明に係る溶鋼の処理方法によれば、脱酸工程後の溶鋼に電位差を付与することによって、溶鋼中の金属成分の再酸化速度定数を小さくすることができ、再酸化の防止による介在物の生成を抑制し、溶鋼の清浄度を向上することができる。
本発明に係る溶鋼の処理方法は、溶鋼中の金属成分が溶融スラグ中の酸化物と反応し、再酸化することを防止し、介在物の生成を抑制することができるので、製鉄業等の産業上きわめて有用である。
101 溶鋼処理装置(RH真空脱ガス精錬時)
102 溶鋼処理装置(取鍋搬送時)
103 溶鋼処理装置(連続鋳造時)
1 取鍋(容器)
2 絶縁性耐火物
3 溶鋼
4 溶融スラグ
5 導電性物質(導電性耐火物)
6 導線
7 直流安定化電源
8 RH真空脱ガス装置
9 タンディッシュ
10 ロングノズル
11 スライディングノズル
12 浸漬ノズル
13 タンディッシュ蓋

Claims (3)

  1. 直流電源を用い、溶鋼に接する電極を負極とし、溶融スラグのみに接する電極を正極として、該両電極を通じて前記溶鋼と前記溶融スラグとの間に電位差を付与する溶鋼の処理方法において、
    前記溶鋼に脱酸剤を添加することにより前記溶鋼を脱酸する脱酸工程と、
    前記脱酸工程後に得られた脱酸した溶鋼に前記電位差を付与する工程と、を含み、前記脱酸工程後に前記電位差を付与するに際して、前記溶融スラグ中のCaO濃度(mass%)とAl 濃度(mass%)との比であるC/A(-)を0.4以上1.8以下にすること、印加電流密度を1000(A/m )以下とすること、のいずれか一方または両方であることを特徴とする溶鋼の処理方法。
  2. 前記脱酸工程において、前記溶鋼と前記溶融スラグとの間に前記電位差を付与することを特徴とする請求項1に記載の溶鋼の処理方法。
  3. 請求項1または2に記載の溶鋼の処理方法で溶製した溶鋼に対し、任意に成分調整したのち、鋳造することを特徴とする鋼の製造方法。
JP2022553113A 2021-06-22 2022-06-14 溶鋼の処理方法および鋼の製造方法 Active JP7318822B2 (ja)

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2021103010 2021-06-22
JP2021103010 2021-06-22
PCT/JP2022/023737 WO2022270346A1 (ja) 2021-06-22 2022-06-14 溶鋼の処理方法および鋼の製造方法

Publications (3)

Publication Number Publication Date
JPWO2022270346A1 JPWO2022270346A1 (ja) 2022-12-29
JPWO2022270346A5 JPWO2022270346A5 (ja) 2023-05-31
JP7318822B2 true JP7318822B2 (ja) 2023-08-01

Family

ID=84544326

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2022553113A Active JP7318822B2 (ja) 2021-06-22 2022-06-14 溶鋼の処理方法および鋼の製造方法

Country Status (7)

Country Link
EP (1) EP4350012A1 (ja)
JP (1) JP7318822B2 (ja)
KR (1) KR20230173189A (ja)
CN (1) CN117529567A (ja)
AU (1) AU2022299766A1 (ja)
TW (1) TWI824575B (ja)
WO (1) WO2022270346A1 (ja)

Citations (10)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2007091700A1 (ja) 2006-02-09 2007-08-16 Jfe Steel Corporation 溶鋼の脱窒方法
CN101457276A (zh) 2009-01-04 2009-06-17 上海大学 可调节阳极氧分压的熔渣无污染脱氧方法及其装置
CN201660669U (zh) 2010-02-08 2010-12-01 鞍钢股份有限公司 一种无污染脱氧的rh精炼装置
JP2011516720A (ja) 2007-12-12 2011-05-26 ポスコ 極低炭素フェライト系ステンレス鋼の製造方法
CN102146496A (zh) 2010-02-08 2011-08-10 鞍钢股份有限公司 钢液外加电场无污染脱氧精炼装置及其应用方法
CN202925057U (zh) 2012-10-31 2013-05-08 上海大学 渣金间电化学脱氧用液芯电极
JP2014025111A (ja) 2012-07-27 2014-02-06 Jfe Steel Corp 高清浄度鋼の製造方法
JP2018104805A (ja) 2016-12-28 2018-07-05 新日鐵住金株式会社 溶鋼の昇温方法
JP2019018238A (ja) 2017-07-20 2019-02-07 新日鐵住金株式会社 低炭素鋼薄肉鋳片の製造方法および低炭素鋼薄肉鋳片、並びに低炭素鋼薄鋼板の製造方法
WO2020183841A1 (ja) 2019-03-13 2020-09-17 Jfeスチール株式会社 Ti含有極低炭素鋼の製造方法

Family Cites Families (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS63188460A (ja) 1987-01-28 1988-08-04 Nkk Corp タンデイシユ内の完全シ−ル方法
JPH01294817A (ja) 1988-05-23 1989-11-28 Kawasaki Steel Corp 溶融金属の清浄方法
JPH049420A (ja) 1990-04-27 1992-01-14 Nippon Steel Corp 溶鋼の脱窒方法
JPH05320733A (ja) 1991-12-27 1993-12-03 Sumitomo Metal Ind Ltd ステンレス溶鋼の脱窒方法
JP3257263B2 (ja) 1994-08-05 2002-02-18 株式会社神戸製鋼所 高清浄度溶鋼の製造方法
JP3333795B2 (ja) 1995-03-03 2002-10-15 川崎製鉄株式会社 溶融金属の脱窒方法および脱窒・脱炭方法
TWI704231B (zh) * 2019-04-11 2020-09-11 日商日本製鐵股份有限公司 轉爐設備

Patent Citations (10)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2007091700A1 (ja) 2006-02-09 2007-08-16 Jfe Steel Corporation 溶鋼の脱窒方法
JP2011516720A (ja) 2007-12-12 2011-05-26 ポスコ 極低炭素フェライト系ステンレス鋼の製造方法
CN101457276A (zh) 2009-01-04 2009-06-17 上海大学 可调节阳极氧分压的熔渣无污染脱氧方法及其装置
CN201660669U (zh) 2010-02-08 2010-12-01 鞍钢股份有限公司 一种无污染脱氧的rh精炼装置
CN102146496A (zh) 2010-02-08 2011-08-10 鞍钢股份有限公司 钢液外加电场无污染脱氧精炼装置及其应用方法
JP2014025111A (ja) 2012-07-27 2014-02-06 Jfe Steel Corp 高清浄度鋼の製造方法
CN202925057U (zh) 2012-10-31 2013-05-08 上海大学 渣金间电化学脱氧用液芯电极
JP2018104805A (ja) 2016-12-28 2018-07-05 新日鐵住金株式会社 溶鋼の昇温方法
JP2019018238A (ja) 2017-07-20 2019-02-07 新日鐵住金株式会社 低炭素鋼薄肉鋳片の製造方法および低炭素鋼薄肉鋳片、並びに低炭素鋼薄鋼板の製造方法
WO2020183841A1 (ja) 2019-03-13 2020-09-17 Jfeスチール株式会社 Ti含有極低炭素鋼の製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
AU2022299766A1 (en) 2024-01-18
WO2022270346A1 (ja) 2022-12-29
EP4350012A1 (en) 2024-04-10
KR20230173189A (ko) 2023-12-26
TWI824575B (zh) 2023-12-01
TW202317776A (zh) 2023-05-01
CN117529567A (zh) 2024-02-06
JPWO2022270346A1 (ja) 2022-12-29

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5092245B2 (ja) 溶鋼の脱窒方法
JP5910579B2 (ja) 極低窒素純鉄の溶製方法
JPWO2018135344A1 (ja) 溶鋼の脱硫処理方法及び脱硫剤
JP7318822B2 (ja) 溶鋼の処理方法および鋼の製造方法
JP2776118B2 (ja) 無方向性電磁鋼板材の溶製方法
JP2008169407A (ja) 溶鋼の脱硫方法
KR20060012266A (ko) 강철의 직접 합금 방법
JP7480751B2 (ja) 溶鋼の脱窒方法および鋼の製造方法
WO2020183841A1 (ja) Ti含有極低炭素鋼の製造方法
JPH10298631A (ja) 清浄鋼の溶製方法
JP3496545B2 (ja) 溶銑の脱硫方法
JPH04318118A (ja) 極低炭・極低硫鋼の製造方法
JP7235070B2 (ja) 溶鋼の二次精錬方法および鋼の製造方法
JP7424350B2 (ja) 溶鋼の脱窒方法および鋼の製造方法
JP6744600B1 (ja) Ti含有極低炭素鋼の製造方法
JP3297998B2 (ja) 高清浄極低炭素鋼の溶製方法
JP4312068B2 (ja) 極低炭素鋼の溶製方法
JP3277763B2 (ja) 高清浄性極低炭素鋼の精錬方法
KR20230175267A (ko) 용강의 탈질 방법, 탈질 및 탈황 동시 처리 방법 및 강의 제조 방법
JP2022027515A (ja) 溶鋼の脱硫方法および脱硫フラックス
JP2009173994A (ja) Alレス極低炭素鋼の溶製方法
CN117500946A (zh) 钢水的精炼方法
JP2021070856A (ja) 鋼の溶製方法
JPH11158537A (ja) 清浄度に優れた極低炭素鋼の製造方法
JPH0860228A (ja) 溶鋼の加熱精錬方法

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20220905

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20220905

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20230404

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20230526

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20230620

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20230703

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 7318822

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150