以下、家庭用IH(Induction Heating)式誘導加熱調理器の場合の実施の形態を、図面を参照して説明する。なお、以下の図面では各構成部材の大きさの関係が実際のものとは異なる場合がある。また、図1を含め、以下の図面において、同一の符号を付したものは、同一またはこれに相当するものであり、このことは明細書の全文において共通することとする。また、以下の説明において、図中におけるX方向を左右方向、Y方向を上下方向、およびZ方向を奥行方向と称し、X-Z平面を水平と称するが、これらは説明のためのものであって、本発明を限定するものではない。
実施の形態1.
(誘導加熱調理器の構成)
図1は、実施の形態1における誘導加熱調理器100の概略斜視図である。図1に示すように、誘導加熱調理器100は、本体1と、本体1の上面に配置されたトッププレート2とを備えている。本体1の前面には、前面操作部3が設けられている。前面操作部3は、誘導加熱調理器100の電源をON/OFFするための電源スイッチ、および火力を調節するための複数の操作ダイヤルなどを含む。
トッププレート2は、例えば、耐熱性のガラス板と、ガラス板の周囲に取り付けられた金属の枠体とにより構成される。トッププレート2の上面には、加熱領域である加熱口4が印刷等により設けられている。図1に示すように、本実施の形態では3つの加熱口4が設けられている。加熱口4は、鍋またはフライパンなどの調理容器が載置される領域を示すものである。加熱口4の下方の本体1の内部には、加熱源である加熱コイル5が設けられている。加熱口4は、加熱源である加熱コイル5の外形と同じ形状か、または、加熱コイル5の外形よりも若干大きい形状に形成される。本実施の形態では、加熱口4は上面視で円形状に形成されている。また、トッププレート2の加熱口4内には、透過窓40が設けられている。透過窓40は、赤外線センサ21(図2)によって、トッププレート2を透過する調理容器300(図2)の赤外線を検出するために設けられたものである。なお、加熱口4および加熱コイル5の数および形状は、図1に示す例に限定されるものではない。
トッププレート2の手前側には、操作表示部6が設けられている。本実施の形態の操作表示部6は、例えば複数の発光ダイオード(LED)を有する表示画面と、静電容量式のタッチセンサとを備える。タッチセンサは、各加熱口4に対応した加熱コイル5の火力、温度、および調理モードなどの使用者の操作入力を、トッププレート2を介して受け付ける。表示画面は、前面操作部3またはタッチセンサにより設定された火力の大きさを表す火力表示、または誘導加熱調理器100の設定状態および動作状態に関する情報などを表示する。ここで、誘導加熱調理器100の動作状態に関する情報とは、選択された調理モード、自動調理の進行状況、加熱口4に載置された調理容器の温度および警告情報の表示等が含まれる。
図2は、実施の形態1における誘導加熱調理器100の主要部の概略構成図である。図2は、トッププレート2に載置された調理容器300とともに誘導加熱調理器100の断面模式図と機能構成とを併せて示している。図2では、一つの加熱コイル5についてのみ図示しているが、他の加熱コイル5に関連する構造も図2と同様である。図2に示すように、誘導加熱調理器100の本体1の内部であって、トッププレート2の下方には加熱コイル5と、赤外線センサユニット20と、接触式温度センサ30aと、制御部11と、インバータ13とが設けられている。
加熱コイル5は、コイルベース51に保持され、トッププレート2に設けられた加熱口4の下方に配置される。加熱コイル5は、例えば銅線またはアルミ線などの導線が巻回してなる円形のコイルであり、高周波電流が供給されることで高周波磁界を発生する。図2に示すように、加熱コイル5は、第1コイル5aと第2コイル5bとに分割された、二重環状のコイルである。また、第1コイル5aおよび第2コイル5bは、電気的に接続され、同一のインバータ13によって駆動される。なお、加熱コイル5の形状および駆動回路の構成は、これに限定されるものではない。例えば、加熱コイル5の形状は楕円でもよい。また、コイルの構成は、三重環状以上の環状であってもよく、または、複数のコイルが組み合わされて構成されてもよい。また、分割されるコイルは、電気的に接続されていなくてもよく、複数のインバータ13によってそれぞれ独立して駆動されてもよい。
赤外線センサユニット20は、トッププレート2の透過窓40の下方において、第1コイル5aと第2コイル5bとの間に配置される。赤外線センサユニット20は、赤外線センサ21と、赤外線センサ21の周囲の環境温度を検出する複数の環境温度センサを備える。本実施の形態の赤外線センサユニット20は、第1環境温度センサ22aと第2環境温度センサ22bの2つの環境温度センサを備える。赤外線センサユニット20の詳細については、後ほど詳述する。
接触式温度センサ30aは、例えば熱電対またはサーミスタである。なお、図2には図示されていないが、本実施の形態では、3つの接触式温度センサ30a、30b、30cを備える(図3)。接触式温度センサ30a、30bおよび30cは、例えば熱電対またはサーミスタである。接触式温度センサ30a、30bおよび30cは、それぞれ図示しない保持部によって、トッププレート2の裏面、すなわち加熱コイル5と対向する面に接触するようにそれぞれ配置される。接触式温度センサ30a、30bおよび30cは、トッププレート2の上に載置される調理容器300の温度を、トッププレート2を介して検出する。
制御部11は、専用のハードウェア、またはメモリに格納されるプログラムを実行するCPU(Central Processing Unit)、プロセッサまたはマイクロコンピュータなどで構成される。制御部11は、プログラムを実行することによって実現される機能部として、温度検出部111と、加熱制御部112と、を有する。制御部11は、さらにRAM、ROMまたはフラッシュメモリなどの不揮発性または揮発性のメモリからなる記憶部113を有する。
温度検出部111は、赤外線センサ21、第1環境温度センサ22a、第2環境温度センサ22bおよび接触式温度センサ30a、30b、30cの出力を受信し、受信した出力に基づいて調理容器300の温度を求める。温度検出部111で求めた温度は、加熱制御部112へ送信される。
加熱制御部112は、前面操作部3または操作表示部6に入力された設定内容に基づいて、誘導加熱調理器100の動作を制御する。また、加熱制御部112は、使用者によって設定された調理温度と、温度検出部111によって算出された調理容器300の温度とに基づいてインバータ13を制御し、加熱制御を行う。
記憶部113は、制御部11により実行されるプログラム、および誘導加熱調理器100の動作を制御するために用いられる様々なデータを記憶する。
インバータ13は、商用電源400の交流電源を高周波電流に変換して、加熱コイル5へ供給する駆動回路である。なお、誘導加熱調理器100は、図2に示す以外の構成を含んでもよく、例えば、外部機器との通信を行う通信部などを備えてもよい。
図3は、実施の形態1における誘導加熱調理器100の加熱コイル5とコイルベース51の上面図である。コイルベース51は、例えば耐熱性能の高いポリブチレンテレフタレート樹脂(PBT)、またはポリフェニレンサルファイド樹脂(PPS)等の合成樹脂、もしくは金属などで構成される。図3に示すように、コイルベース51は、概ね円形で第1コイル5aの巻き線の中央に嵌合する中央部51aと、中央部51aと同心上に設けられ第2コイル5bの外周を囲む外周部51bとを有する。また、コイルベース51は、中央部51aと外周部51bとを径方向に繋ぐ複数の梁部51cとを有する。本実施の形態では、8本の梁部51cが放射状に設けられている。
梁部51cの下方には、フェライトコア7が配置される。フェライトコア7は、非導電性で高透磁率を有する強磁性材料からなる部材である。フェライトコア7を設けることで、加熱コイル5の下方向への漏れ磁束が抑制され、加熱効率の向上および調理容器300の均熱化を図ることができる。フェライトコア7の形状および構成は本発明を限定しない。
また、コイルベース51は、2つの梁部51cの間にセンサ配置部51dを有する。センサ配置部51dは、複数の梁部51cのうち、隣り合う2つの梁部51cを接続するよう水平に延びる平面である。梁部51cとセンサ配置部51dは、コイルベース51に一体に形成される。なお、本明細書において「一体に形成される」とは、同一材料で射出成形等により一体成形されること、もしくは同一材料で接着または機械的接合を用いずにプレス加工等により成形されることをいう。センサ配置部51dの下方には、赤外線センサユニット20が配置される。センサ配置部51dは、赤外線センサユニット20に不要な光が入ることを防ぐ遮光部として機能する。また、センサ配置部51dは、赤外線センサユニット20が備える赤外線センサ21の視野よりも大きい開口55を有する。開口55は、トッププレート2に形成される透過窓40の下に位置するよう形成される。
図3に示すように、複数の接触式温度センサ30a、30bおよび30cは、第1コイル5aと第2コイル5bの間であって、2つの梁部51cの間に配置される。接触式温度センサ30aは、センサ配置部51dに隣り合う梁部51cの近傍に配置される。すなわち、接触式温度センサ30aは、赤外線センサユニット20の近傍に配置される。また、接触式温度センサ30bおよび30cは、径方向において、接触式温度センサ30aと加熱コイル5の中心との同心円上であって、周方向において、赤外線センサユニット20が配置される領域とは異なる領域に配置される。
なお、接触式温度センサの数および配置は限定されるものではない。例えば、本実施の形態では、3個の接触式温度センサを備える構成としているが、接触式温度センサの数を2個以下または4個以上としてもよい。また、接触式温度センサ30aを、赤外線センサユニット20が配置される領域、すなわちセンサ配置部51dに配置してもよい。この場合、赤外線センサユニット20と同一の環境下でトッププレート2の温度を検出することができ、調理容器300の温度検知精度が向上する。また、接触式温度センサ30a、30bおよび30cの何れかを、加熱コイル5が最も高温になる箇所の近傍に配置することで、より精度よく過昇防止制御が可能になる。また、接触式温度センサ30a、30bおよび30cの何れかを加熱コイル5の外周に配置することで、より精度よく鍋ずれの検知が可能になる。
(赤外線センサユニットの構成)
続いて、本実施の形態における赤外線センサユニット20について説明する。図4は、実施の形態1における赤外線センサユニット20の概略構成図である。図4では、赤外線センサユニット20を縦に切断した断面を模式的に示している。赤外線センサユニット20は、赤外線センサ21と、第1環境温度センサ22aと、第2環境温度センサ22bと、センサケース23とを備える。
赤外線センサ21は、赤外線検出素子201と、赤外線検出素子201を収容するセンサ筐体202と、センサ筐体202の上面に設けられ、赤外線を赤外線検出素子201に集光する集光部203と、赤外線検出素子201が実装される基板204とを有する。また、赤外線センサ21は、基板204に接続されるコネクタ205と、コネクタ205と制御部11を接続する配線206と、を備える。
図4に示すように、赤外線検出素子201は、加熱コイル5上に載置された調理容器300の底部などから放射される赤外線エネルギーを検出するフォトダイオードまたはサーモパイルである。赤外線検出素子201は、基板204上に配置される。赤外線検出素子201の出力は、図示しない配線によって、コネクタ205に送信され、配線206を介して、制御部11の温度検出部111に送信される。
赤外線センサ21は、周囲の雰囲気温度が一様となるように、センサケース23内において空間距離を保ちながら保持されている。センサケース23は、樹脂または金属により構成され、基板204が配置される下ケース23aと、赤外線を透過するための開口を有する上ケース23bとからなる。センサケース23は、コイルベース51のセンサ配置部51dにタッピングネジなどの固定手段で固定され、トッププレート2と赤外線センサ21との間の距離が一定に保たれる。
第1環境温度センサ22aおよび第2環境温度センサ22bは、例えば、熱電対、サーミスタまたは温度に応じて抵抗が変化する銅または銀などの導電材料で形成された薄膜、などで構成される。第1環境温度センサ22aおよび第2環境温度センサ22bは、トッププレート2と赤外線センサ21の赤外線検出素子201が配置される配置面との間に配置される。赤外線検出素子201が配置される配置面は、基板204の上面である。
図4に示すように、第1環境温度センサ22aは、赤外線検出素子201の配置面と同一の平面上、すなわち基板204上に配置される。また、第2環境温度センサ22bは、第1環境温度センサ22aの上方であって、センサ筐体202の上部に配置される。すなわち、第1環境温度センサ22aおよび第2環境温度センサ22bは、トッププレート2の下面から赤外線検出素子201の配置面までの間で、トッププレート2から異なる距離に配置される。これにより、第1環境温度センサ22aおよび第2環境温度センサ22bは、トッププレート2から異なる距離における複数の環境温度を検出することができる。また、第1環境温度センサ22aおよび第2環境温度センサ22bは、センサ筐体202の外側の側面に接触して配置される。具体的には、第1環境温度センサ22aおよび第2環境温度センサ22bは、例えば接着剤などによりセンサ筐体202の外側の側面に直接取り付けられる。
第1環境温度センサ22aおよび第2環境温度センサ22bの出力は、図示しない配線を介して制御部11の温度検出部111に送信される。なお、第1環境温度センサ22aおよび第2環境温度センサ22bは、配線を含むプリント基板に実装されてもよい。
誘導加熱調理器100において加熱が開始されると、加熱コイル5の発熱により発生した熱、または調理容器300が加熱されることよって発生した熱が、加熱コイル5の下方に配置された赤外線センサ21に伝わることで、センサケース23の内部が加熱される。このとき、赤外線検出素子201は、トッププレート2の透過窓40を介して、調理容器300、トッププレート2、集光部203、およびセンサ筐体202が発する赤外線を受光する。そのため、調理容器300の温度を検知するためには、赤外線検出素子201が検出した赤外線量から、トッププレート2、集光部203、およびセンサ筐体202が発する赤外線を差し引く必要がある。
一般的な赤外線センサにおいては、センサ筐体の内部に自己温度を環境温度として検出する自己温度センサを備え、自己温度で検出された温度にて赤外線検出素子の出力が補正され、赤外線センサの出力とされる。しかしながら、自己温度センサは、センサ筐体内部において、赤外線検出素子と同一基板上に配置される。そのため、赤外線センサが、加熱コイル5またはトッププレート2に近接して配置されていた場合には、赤外線センサの上方のみが加熱されることで、赤外線センサの上下方向に温度差が生じる。また、赤外線センサが制御部の回路基板に配置される発熱素子(例えば、IGBT)に近接して配置されていた場合、赤外線センサの一方向の側面のみが加熱される。または、発熱素子を冷却するための冷却風が赤外線センサの一部にあたる構成であった場合は、赤外線センサの一部のみが冷却される。これらの場合は、赤外線センサの左右方向に温度差が生じる。このように、赤外線センサの上下方向または左右方向に温度差が生じる場合、自己温度センサだけでは補正しきれない状態が発生する。
図5は、従来技術における赤外線センサの上下方向における温度差の時間変化例を示すものである。図5は、赤外線センサの上部と下部との温度差Tgapと、従来技術における赤外線センサの出力Tpと、測定対象物の温度Tcとを示す。温度差Tgapは、従来の赤外線センサのセンサ筐体の上下に配置された環境温度センサにより検出される温度の差である。
図5に示すように、加熱調理器の加熱が開始される前は、赤外線センサの上下方向の温度差Tgapは略0である。加熱が開始されるとセンサ筐体の上部のみが加熱され、赤外線センサの出力Tpが増加する一方、温度差Tgapが上限値Tahを超えて拡大する。自己温度センサでは、赤外線センサ上部の温度変動に追従できないため、上部の温度変化を自己温度センサにて補正しきれず、赤外線センサの出力Tpが測定対象物の温度Tcよりも高くなる。その後、時間経過とともに、温度が均一化され、温度差Tgapが縮小すると、赤外線センサの出力Tpも安定する。しかしながら、次に加熱調理器の火力が高火力に変更されると、再度温度差Tgapが拡大し、赤外線センサの出力Tpが測定対象物の温度Tcよりも高くなる。このように、赤外線センサの上下に温度差があることで、自己温度センサのみでの補正では、安定した出力を得られない。
そこで、本実施の形態では、赤外線センサ21の上部と下部とに第1環境温度センサ22aおよび第2環境温度センサ22bを備え、第1環境温度センサ22aおよび第2環境温度センサ22bの温度差を用いて赤外線センサ21の出力を補正する。これにより、自己温度センサで補正しきれない赤外線センサ21の周囲環境についても補正することができ、より精度よく調理容器300の温度を求めることができる。
(赤外線センサの出力補正)
次に、本実施の形態の制御部11による赤外線センサ21の出力補正および加熱制御について説明する。図6は、実施の形態1における加熱調理動作の流れを示すフローチャートである。まず、使用者により前面操作部3の電源スイッチが投入されると、制御部11が起動され、各種データの初期化が行われ(S101)、使用者による加熱開始の指示待ちの状態となる(S102)。そして、使用者によって、操作表示部6などを用いて調理温度が設定され、加熱開始が指示されると(S102:YES)、加熱制御部112によって、加熱コイル5が駆動される(S103)。詳しくは、使用者によって設定された温度に基づいて加熱コイル5を駆動するように、加熱制御部112によってインバータ13が制御され、インバータ13から加熱コイル5に所定の周波数の電力が供給される。
これにより、加熱コイル5から磁束が発生し、この磁束によって調理容器300に渦電流が発生して調理容器300が加熱される。そして、調理容器300から放射される赤外線が赤外線センサ21によって受光され、受光量に応じた出力値Tiraが検出され、温度検出部111に出力される(S104)。
(環境温度補正)
続いて、第1環境温度センサ22aおよび第2環境温度センサ22bにより検出された温度を用いて、赤外線センサ21の出力値Tiraの環境温度補正を行う。まず、第1環境温度センサ22aにより、赤外線センサ21の下部温度Tamb_bが検出され(S105)、第2環境温度センサ22bにより、赤外線センサ21の上部温度Tamb_tが検出される(S106)。検出された下部温度Tamb_bおよび上部温度Tamb_tは、温度検出部111に送信される。そして、温度検出部111によって、センサ筐体202の上下方向の温度差Tgapが算出される(S107)。温度差Tgapは、例えば、下記の式(1)で示すように、赤外線センサ21の下部温度Tamb_bと上部温度Tamb_tとの差分の絶対値である。
Tgap=|Tamb_t―Tamb_b|・・・(1)
次に、予め導出された温度差Tgapの関数(f0)から、温度差補正値Tamb_offsetが算出される(S108)。関数(f0)は、実際の測定対象物(調理容器300)の温度と、赤外線センサ21の出力と、第1環境温度センサ22aおよび第2環境温度センサ22bの温度差と、から導出される二次関数である。関数(f0)は、実験またはシミュレーションにより求められ、制御部11の記憶部113に記憶される。なお、記憶部113に複数の関数(fn)を記憶し、温度差Tgapに応じて、何れかの関数(fn)を選択する構成としてもよい。
次に、下部温度Tamb_bが算出された温度差補正値Tamb_offsetで補正され、環境温度Tambが算出される(S109)。ここでは、下記の式(2)で示すように、赤外線センサ21の下部温度Tamb_bに温度差補正値Tamb_offsetを加算することで、環境温度Tambが求められる。
Tamb=Tamb_t+Tamb_offset・・・(2)
なお、環境温度Tambを、下部温度Tamb_bと温度差Tgapの関数から求めてもよい。この場合は、ステップS108とS109とが統合されることになる。
次に、赤外線センサ21の出力値Tiraを環境温度Tambで補正することで、環境温度補正後の赤外線センサ21の出力値Tirが算出される(S110)。この場合は、例えば下記の式(3)で示すように、赤外線センサ21の出力値Tiraから環境温度Tambを減算することで、補正後の出力値Tirが求められる。
Tir=Tira-Tamb・・・(3)
なお、補正後の出力値Tirは、上記式(3)により求められるものに限定されるものではなく、予め導出された関数(f1)に基づいて求められてもよい。
(トッププレート温度補正)
続いて、接触式温度センサ30a、30bおよび30cにより検出された温度を用いて、赤外線センサ21の補正後の出力値Tirのトッププレート温度補正を行う。調理容器300が加熱されることによって発生した熱量は、トッププレート2に熱伝導し、トッププレート2を加熱する。そして、トッププレート2の下方に配置された接触式温度センサ30a、30bおよび30cによって、トッププレート温度Tpa、Tpb、Tpcがそれぞれ検出され、温度検出部111に出力される(S111)。
温度検出部111により、接触式温度センサ30a、30bおよび30cによって検出されたトッププレート温度Tpa、TpbおよびTpcから、最も高い温度がTpmaxとして抽出される。そして、補正後の出力値TirがTpmaxで補正され、調理容器300の最高温度Tcmaxが算出される。また、温度検出部111により、補正後の出力値Tirが、接触式温度センサ30aが検出したトッププレート温度Tpaで補正され、調理容器300の調理制御用温度Tcookが算出される(S112)。接触式温度センサ30aは、赤外線センサ21の近傍に配置されるものである。補正後の出力値Tirの補正は、例えば、出力値Tirに対応する温度からTpmaxまたはTpaを減算することで行われる。これにより、赤外線センサ21の出力値Tiraから、周囲の環境温度およびトッププレート2の温度の影響が差し引かれ、調理容器300の温度が精度よく検出される。
(加熱制御)
次に、算出された調理容器300の最高温度Tcmaxと、2段階の制限値である第1制限値Tlim1および第2制限値Tlim2とが比較される。第1制限値Tlim1は、第2制限値Tlim2よりも小さな値である。第1制限値Tlim1および第2制限値Tlim2は、調理モードなどに応じ予め設定されるか、または使用者によって任意に設定されてもよい。そして、最高温度Tcmaxが第2制限値Tlim2よりも大きい場合(S113:YES)は、調理容器300の温度が高くなりすぎたと判断され、加熱制御部112によって加熱コイル5の駆動が停止される(S118)。また、このとき、操作表示部6または図示しない報知部から、加熱を停止した旨を視覚または音声によって使用者に報知してもよい。
一方、最高温度Tcmaxが第2制限値Tlim2以下の場合(S113:NO)であって、最高温度Tcmaxが第1制限値Tlim1より大きい場合(S114:YES)は、調理容器300の温度が高温に近づいていると判断される。そのため、この場合は、加熱コイル5への供給電力が低減される(S115)。また、このとき、操作表示部6または図示しない報知部から、加熱を低減した旨を視覚または音声によって使用者に報知してもよい。
一方、最高温度Tcmaxが第1制限値Tlim1以下の場合(S114:NO)は、調理容器300の温度が適切と判断される。そして、温度検出部111により算出された調理制御用温度Tcookと設定された温度とに基づいて、調理用の温度制御が行われる(S116)。
調理用の温度制御においては、設定温度になるようにフィードバック制御が行われる(S116)。詳しくは、加熱制御部112によって、調理制御用温度Tcookと設定温度とが比較される。そして、調理制御用温度Tcookが設定温度より低い場合、加熱コイル5へ電力が供給される。そして、調理制御用温度Tcookが設定温度に近づいた場合には、供給電力の周波数を上げて加熱コイル5への供給電力を低減する。また、調理制御用温度Tcookが設定温度を超えた場合、加熱制御部112によって、インバータ13が停止され、加熱コイル5への電力供給が停止される。以上の動作を加熱調理終了まで繰り返すことで、調理制御用温度Tcookを設定温度に維持する。
そして、加熱調理が終了した場合(S117:YES)、加熱制御部112によってインバータ13が停止され、加熱コイル5への電力供給が遮断される(S118)。
以上のように、本実施の形態では、第1環境温度センサ22aと第2環境温度センサ22bにより、赤外線センサ21の上部および下部の環境温度を検出する。そして、第1環境温度センサ22aおよび第2環境温度センサ22bにより検出される温度の差分を用いて環境温度を算出し、当該環境温度を用いて赤外線センサ21の出力を補正する。これにより、調理容器300、加熱コイル5または回路基板などの発熱量が急激に変化し、赤外線センサ21の上下に温度差が生じた場合でも、赤外線センサ21の出力を精度よく補正できる。その結果、調理容器300の温度を高精度に検出することが可能になる。
また、誘導加熱調理器100の火力が変更されることにより、急激な冷却風量または風温度の変動が生じることがある。もしくは本体1の薄型化のために、冷却風路途中の部品点数が増加した場合、部品それぞれの取り付け形態の変化または取り付けばらつきが生じることがある。本実施の形態では、これらの要因により、赤外線センサ21周辺の風量、風速または風向きが変化した場合でも、赤外線センサ21の周囲の環境温度の差分を用いることで赤外線センサ21の出力を精度よく補正することができる。
また、調理容器300の急激な温度変化を精度よく検出できることで、細かな温度管理が可能になり、調理の仕上がりが向上する。また、調理容器300の温度を精度よく検出できることで、余分な調理時間および火力投入を削減でき、消費電力の削減を実現できる。
なお、実施の形態1における赤外線センサユニット20は、上記構成に限定されるものではなく、様々な変形が可能である。例えば、第1環境温度センサ22aおよび第2環境温度センサ22bの位置は、上記に限定されるものではなく、任意に変更できる。本実施の形態における変形例について以下に説明する。
(変形例1-1)
実施の形態1の変形例1-1における赤外線センサユニット20Aについて説明する。図7は、変形例1-1における赤外線センサユニット20Aの概略構成図である。図7では、赤外線センサユニット20Aを縦に切断した断面を模式的に示している。図7に示すように、赤外線センサ21の上部温度を検出する第2環境温度センサ22bを、センサ筐体202の上面に接触して配置してもよい。本変形例のような構成とすることで第2環境温度センサ22bにより、集光部203と同等の輻射熱影響を受けているセンサ筐体202の上面温度を検出することができる。これにより、赤外線センサ21の出力をより精度よく補正することができる。
(変形例1-2)
実施の形態1の変形例1-2における赤外線センサユニット20Bについて説明する。図8は、変形例1-2における赤外線センサユニット20Bの概略構成図である。図8では、赤外線センサユニット20Bを縦に切断した断面を模式的に示している。図8に示すように、第1環境温度センサ22aと第2環境温度センサ22bとを、センサ筐体202の内部に設けてもよい。第1環境温度センサ22aは、赤外線検出素子201の配置面と同一の平面上、すなわち基板204上において、センサ筐体202の側面の内側に接触して配置される。また、第2環境温度センサ22bは、センサ筐体202の上面の内側に接触して配置される。この場合、第2環境温度センサ22bは、赤外線センサ21の集光部203と同一平面上に配置される。なお、本明細書において「同一平面上に配置」と称する場合は、厳密に同一の平面上に配置される場合だけでなく、上下方向において同等の位置に配置されることも含むものとする。
本変形例のような構成とすることで、第1環境温度センサ22aおよび第2環境温度センサ22bにより、センサ筐体202の内部の上下方向の温度差が検出できる。これにより、赤外線検出素子201と同等の環境下での温度を検出可能となり、環境温度の検出精度が向上する。また、この場合は、温度検出部111における環境温度補正(図6のステップS105~S110)を赤外線センサ21の内部回路で処理してもよい。これにより、誘導加熱調理器100の小型化を実現できる。
実施の形態2.
次に、本発明の実施の形態2について説明する。実施の形態2では、赤外線センサ21の自己温度センサ207を第1環境温度センサ22aとして用いる点において、実施の形態1と相違する。誘導加熱調理器100のその他の構成および制御については、実施の形態1と同様である。
図9は、実施の形態2における赤外線センサユニット20Cの概略構成図である。図9では、赤外線センサユニット20Cを縦に切断した断面を模式的に示している。図9に示すように、本実施の形態の赤外線センサ21は、赤外線検出素子201の周囲の環境温度を検出する自己温度センサ207を有する。自己温度センサ207は、例えば、熱電対、サーミスタまたは温度に応じて抵抗が変化する導電材料(銅、銀、等)で形成された薄膜、などで構成される。自己温度センサ207は、赤外線検出素子201の近傍において、基板204上に配置される。自己温度センサ207の出力は、図示しない配線によって、コネクタ205に送信され、配線206を介して、制御部11の温度検出部111に送信される。また、赤外線センサ21が自己温度センサ207を有する場合、赤外線センサ21の出力値Tiraは、赤外線検出素子201の出力を自己温度センサ207により検出される温度によって補正した後の出力値となる。
本実施の形態では、自己温度センサ207を第1環境温度センサ22aとして用いる。すなわち、温度検出部111は、自己温度センサ207により検出される温度を下部温度Tamb_bとする。そして、温度検出部111は、下部温度Tamb_bと第2環境温度センサ22bにより検出される上部温度Tamb_tとの差分を温度差Tgapとして、図6のステップS108~S110の処理を実行し、赤外線センサ21の出力値Tiraを補正する。
本実施の形態のような構成とすることで、実施の形態1と同様の効果を実現できるとともに、第1環境温度センサ22aを省略することができる。これにより、部材費用および組み立て工数を削減することができる。なお、第2環境温度センサ22bの位置は、上記に限定されるものではなく、任意に変更できる。本実施の形態における変形例について以下に説明する。
(変形例2-1)
実施の形態2の変形例2-1における赤外線センサユニット20Dについて説明する。図10は、変形例2-1における赤外線センサユニット20Dの概略構成図である。図10では、赤外線センサユニット20Dを縦に切断した断面を模式的に示している。図10に示すように、赤外線センサ21の上部温度を検出する第2環境温度センサ22bを、センサ筐体202の内側であって、センサ筐体202の上面に接触して配置してもよい。本変形例のような構成とすることで第2環境温度センサ22bにより、集光部203と同等の輻射熱影響を受けているセンサ筐体202の上面温度を検出することができる。これにより、赤外線センサ21の出力をより精度よく補正することができる。
実施の形態3.
次に、本発明の実施の形態3について説明する。実施の形態3では、第1環境温度センサ22aおよび第2環境温度センサ22bの少なくとも何れか一方を保持するセンサ保持部24を備える点において、実施の形態1と相違する。誘導加熱調理器100のその他の構成および制御については、実施の形態1と同様である。
図11は、実施の形態3の赤外線センサユニット20Eの概略構成図であり、図12は、実施の形態3の赤外線センサユニット20Eの斜視図である。図11では、赤外線センサユニット20Eを縦に切断した断面を模式的に示している。また、図12では、センサケース23の内部を説明するため、センサケース23を取り外した状態を示している。図11および図12に示すように、本実施の形態では、赤外線センサ21の下部温度を検出する第1環境温度センサ22aは、センサ筐体202の外側において、基板204上に配置される。また、赤外線センサ21の上部温度を検出する第2環境温度センサ22bは、基板204に配置されるセンサ保持部24の上端部に配置される。また、第1環境温度センサ22aは、センサ筐体202の近傍に配置され、第2環境温度センサ22bは、第1環境温度センサ22aの近傍に配置される。また第2環境温度センサ22bは、センサ筐体202からの距離が、第1環境温度センサ22aとセンサ筐体202との距離と同等となるよう配置されることが望ましい。
センサ保持部24は、耐熱性能の高いポリブチレンテレフタレート樹脂(PBT)、またはポリフェニレンサルファイド樹脂(PPS)等の樹脂または金属で構成される。センサ保持部24は、センサ筐体202と接触しないように、センサ筐体202および第1環境温度センサ22aの近傍に配置される。センサ保持部24は、赤外線検出素子201の配置面である基板204の上面から赤外線センサ21の集光部203までの距離と同等の高さを有する棒状の部材である。第2環境温度センサ22bは、赤外線センサ21の集光部203と同一平面上に配置されるように、センサ保持部24に接着剤などにより取り付けられる。なお、センサ保持部24を中空構造とし、第2環境温度センサ22bの配線をセンサ保持部24の内部に通してもよい。
また、第1環境温度センサ22aおよび第2環境温度センサ22bは、上面視でセンサケース23の開口内に配置されることが望ましい。センサケース23の開口内に配置されることで、第1環境温度センサ22aおよび第2環境温度センサ22bと、赤外線センサ21とが受ける上部からの輻射熱の影響をほぼ同等とできる。なお、センサケース23の開口が小さい場合などには、第1環境温度センサ22aおよび第2環境温度センサ22bを、上面視でセンサケース23の開口外側、すなわち上ケース23bの上面の下方に配置してもよい。ただし、第1環境温度センサ22aおよび第2環境温度センサ22bの両方を上面視でセンサケース23の開口内に配置するか、または両方を上面視でセンサケース23の開口外側に配置するものとする。すなわち、本実施の形態のように第1環境温度センサ22aおよび第2環境温度センサ22bが、センサ筐体202の周辺の雰囲気温度を検出する場合は、上部からの輻射熱の影響がほぼ同等となるよう、同一環境に配置する。
本実施の形態のような構成とすることで、実施の形態1と同様の効果を実現できる。また、第1環境温度センサ22aおよび第2環境温度センサ22bをセンサ筐体202に直接取り付ける必要がない。これにより、赤外線センサユニット20Eの製造性が向上するとともに、第1環境温度センサ22aおよび第2環境温度センサ22bの取り付けによる赤外線センサ21の出力への影響を低減し、赤外線センサ21の破損を抑制できる。なお、センサ保持部24は、上記に限定されるものではなく任意に変更できる。本実施の形態における変形例について以下に説明する。
(変形例3-1)
実施の形態3の変形例3-1における赤外線センサユニット20Fについて説明する。図13は、変形例3-1における赤外線センサユニット20Fの概略構成図である。図13では、赤外線センサユニット20Fを縦に切断した断面を模式的に示している。本変形例では、センサ保持部24をセンサ筐体202と同一の材料で構成する。そして、第1環境温度センサ22aは、赤外線検出素子201の配置面と同一平面において、センサ保持部24の下部に取り付けられる。これにより、第1環境温度センサ22aおよび第2環境温度センサ22bは、センサ保持部24の上部と下部の温度を検出する。センサ保持部24をセンサ筐体202と同一の材料で構成することで、センサ保持部24の上部と下部の温度は、赤外線センサ21の上部と下部の温度により近くなる。これにより、実施の形態3の効果を実現できるとともに、赤外線センサ21の補正精度を向上させることができる。
(変形例3-2)
実施の形態3の変形例3-2における赤外線センサユニット20Gについて説明する。図14は、変形例3-2における赤外線センサユニット20Gの概略構成図であり、図15は、変形例3-2における赤外線センサユニット20Gの斜視図である。図14では、赤外線センサユニット20Gを縦に切断した断面を模式的に示している。また、図15では、センサケース23の内部を説明するため、下ケース23aの一部以外を省略した状態を示している。図14および図15に示すように、本変形例のセンサ保持部24は、センサケース23と一体に形成される。
センサ保持部24は、下ケース23aの底面から赤外線センサ21の集光部203までの距離と同等の高さを有する。第2環境温度センサ22bは、赤外線センサ21の集光部203と同一平面に配置されるように、センサ保持部24に接着剤などにより取り付けられる。本変形例のような構成とすることで、センサ保持部24の取り付け誤差および取り付け工数を削減できるとともに、センサ保持部24の耐久性を向上させることができる。
(変形例3-3)
実施の形態3の変形例3-3における赤外線センサユニット20Hについて説明する。図16は、変形例3-3における赤外線センサユニット20Hの概略構成図であり、図17は、変形例3-3における赤外線センサユニット20Hの斜視図である。図16では、赤外線センサユニット20Hを縦に切断した断面を模式的に示している。また、図17では、センサケース23の内部を説明するため、下ケース23aの一部以外を省略した状態を示している。図16および図17に示すように、本変形例のセンサ保持部24は、赤外線センサ21を保持するための台座241を有する。
本変形例では、第1環境温度センサ22aは、赤外線検出素子201の配置面と同一平面上に配置されるように、センサ保持部24に取り付けられる。第2環境温度センサ22bは、センサ保持部24の上端部に配置される。
基板204には、センサ筐体202近傍に開口204aが設けられる。開口204aは、第1環境温度センサ22aおよび第2環境温度センサ22bが取り付けられたセンサ保持部24を通すことができる大きさを有する。
センサ保持部24は、基板204の開口204aを貫通して配置される。センサ保持部24には、基板204の開口204aより大きい台座241を有し、台座241に基板204が載置されることで、赤外線センサ21がセンサケース23内で保持される。
本変形例により、センサ保持部24をセンサ筐体202の近傍に配置でき、センサケース23を小型化できる。また、センサ保持部24が赤外線センサ21の保持部を兼ねることで、赤外線センサ21の位置決めが容易になり、組み立て誤差が低減される。
なお、変形例3-2および変形例3-3において、第1環境温度センサ22aおよび第2環境温度センサ22bを、上面視でセンサケース23の開口内に配置してもよい。この場合も、第1環境温度センサ22aおよび第2環境温度センサ22bの両方を上面視でセンサケース23の開口内に配置するか、または両方を上面視でセンサケース23の開口外側に配置するものとする。
実施の形態4.
次に、本発明の実施の形態4について説明する。実施の形態4では、第1環境温度センサ22aおよび第2環境温度センサ22bの少なくとも何れか一方をセンサケース230に配置する点において、実施の形態1と相違する。誘導加熱調理器100のその他の構成および制御については、実施の形態1と同様である。
図18は、実施の形態4の赤外線センサユニット20Jの概略構成図である。図18では、赤外線センサユニット20Jを縦に切断した断面を模式的に示している。本実施の形態のセンサケース230は、基板204が配置される下ケース230aと、赤外線を透過するための開口を有する上ケース230bとからなる。なお、本実施の形態では、コネクタ205および配線206は、奥行方向に配置されるものとし、図示を省略している。
図18に示すように、赤外線センサ21の下部温度を検出する第1環境温度センサ22aは、基板204の上方に配置されるように、下ケース230aの内側側面に接着剤等により取り付けられる。また、赤外線センサ21の上部温度を検出する第2環境温度センサ22bは、赤外線センサ21の集光部203と同一平面上に配置されるように、上ケース230bの内側側面に接着剤等により取り付けられる。
本実施の形態のような構成とすることで、実施の形態1と同様の効果を実現できる。また、第1環境温度センサ22aおよび第2環境温度センサ22bをセンサ筐体202に直接取り付ける必要がないため、赤外線センサ21への影響を低減することができる。さらに、実施の形態3のようにセンサ保持部24を別途設ける必要がないため、赤外線センサユニット20Jを簡素化できる。なお、第1環境温度センサ22aおよび第2環境温度センサ22bの位置は、上記に限定されるものではなく、任意に変更できる。本実施の形態における変形例について以下に説明する。
(変形例4-1)
実施の形態4の変形例4-1における赤外線センサユニット20Kについて説明する。図19は、変形例4-1における赤外線センサユニット20Kの概略構成図である。図19では、赤外線センサユニット20Kを縦に切断した断面を模式的に示している。図19に示すように、第1環境温度センサ22aおよび第2環境温度センサ22bをセンサ筐体202の近傍に配置してもよい。詳しくは、第1環境温度センサ22aを、センサ筐体202の近傍の基板204上に配置し、第2環境温度センサ22bを上ケース230bの上面の内側であって、上ケース230bの開口近傍に配置してもよい。
本変形例のような構成とすることで、第1環境温度センサ22aおよび第2環境温度センサ22bにてセンサ筐体202の近傍の温度を検出することができ、赤外線センサ21の出力の補正精度が向上する。
(変形例4-2)
実施の形態4の変形例4-2における赤外線センサユニット20Lについて説明する。図20は、変形例4-2における赤外線センサユニット20Lの概略構成図である。図20では、赤外線センサユニット20Lを縦に切断した断面を模式的に示している。図20に示すように、上ケース230bの上面の内側であって、上ケース230bの開口近傍に、下向きに突出するリブ231を設けてもよい。そして、第2環境温度センサ22bをリブ231の下面に配置してもよい。このとき、基板204の上面からリブ231の下面までの距離は、基板204の上面から集光部203までの距離と同等とする。
本変形例のような構成とすることで、第2環境温度センサ22bをセンサ筐体202の上面近傍に配置できる。これにより、赤外線センサ21の上部温度の検出精度が向上し、赤外線センサ21の出力の補正精度が向上する。
実施の形態5.
次に、本発明の実施の形態5について説明する。実施の形態5では、3つの環境温度センサを備える点において、実施の形態1と相違する。誘導加熱調理器100のその他の構成および制御については、実施の形態1と同様である。
図21は、実施の形態5の赤外線センサユニット20Mの概略構成図である。図21では、赤外線センサユニット20Mを縦に切断した断面を模式的に示している。図21に示すように、本実施の形態の赤外線センサ21Mは、集光部203と赤外線検出素子201との間に特定の波長帯の赤外線の透過率を高めるバンドパスフィルタ208を備える。また、センサ筐体202の、バンドパスフィルタ208が配置される箇所には、段差部212が形成される。段差部212は、センサ筐体202の上面と高低差を有し、センサ筐体202の上面よりも外側において、センサ筐体202の上面と平行に延びる面である。本実施の形態では、段差部212はセンサケース23の上面に形成される開口内に配置されるものとする。
本実施の形態の赤外線センサ21Mでは、赤外線検出素子201は、バンドパスフィルタ208を透過する赤外線を検出する一方、赤外線検出素子201の上方に配置される段差部212の発する赤外線の影響を受けやすくなる。段差部212は、センサ筐体202の上面よりも外側に配置され、集光部203と同様に上部からの輻射熱を直接受けるため、温度上昇しやすい。そのため、本実施の形態では、段差部212と同一平面上に第3環境温度センサ22cを配置し、段差部212における温度を検出する。
第3環境温度センサ22cは、例えば、熱電対、サーミスタまたは温度に応じて抵抗が変化する導電材料(銅、銀、等)で形成された薄膜、などで構成される。第3環境温度センサ22cの検出結果は、図示しない配線を介して、制御部11の温度検出部111に出力される。
本実施の形態では、実施の形態3の変形例3-1と同じセンサ保持部24に、第1環境温度センサ22aと、第2環境温度センサ22bと、第3環境温度センサ22cとが取り付けられる。第1環境温度センサ22aは、基板204上に配置され、赤外線センサ21の下部温度を検出する。第2環境温度センサ22bは、集光部203と同一平面上に配置され、赤外線センサ21の上部温度を検出する。第3環境温度センサ22cは、第1環境温度センサ22aと第2環境温度センサ22bの間に配置され、赤外線センサ21の段差部212の温度を検出する。
本実施の形態における赤外線センサ21Aの出力補正について説明する。図22は、実施の形態5における加熱調理動作の流れを示すフローチャートである。ステップS101~S106までの処理は、実施の形態1と同じである。続くステップS201において、第3環境温度センサ22cにより、センサ筐体202の段差部212の温度Tamb_cが検出される(S201)。そして、上部温度Tamb_tが、段差温度Tamb_c以上であるか否かが判断される(S202)。
上部温度Tamb_tが、段差温度Tamb_c以上である場合(S202:YES)、温度差Tgapは、実施の形態1と同様の式(1)から算出される(S203)。具体的には、温度差Tgapは、下部温度Tamb_bと上部温度Tamb_tとの差分の絶対値とされる。
一方、上部温度Tamb_tが、段差温度Tamb_cより小さい場合(S202:NO)、下記の式(4)から温度差Tgapが算出される(S204)。具体的には、温度差Tgapは、下部温度Tamb_bと段差温度Tamb_cとの差分の絶対値である。その後は、実施の形態1と同じステップS108以降の処理が実行され、赤外線センサ21Aの出力値Tiraが補正される。
Tgap=|Tamb_c―Tamb_b|・・・(4)
本実施の形態のような構成とすることで、実施の形態1と同様の効果を実現できる。また、段差部212の温度を用いて赤外線センサ21の出力値を補正することで、赤外線センサ21の出力の補正精度をより向上させることができる。
実施の形態6.
次に、本発明の実施の形態6について説明する。実施の形態6では、4つの環境温度センサを備える点において、実施の形態1と相違する。誘導加熱調理器100のその他の構成および制御については、実施の形態1と同様である。
図23は、実施の形態6の赤外線センサユニット20Nの概略構成図である。図23では、赤外線センサユニット20Nを縦に切断した断面を模式的に示している。図23に示すように、本実施の形態の赤外線センサユニット20Nは、第1環境温度センサ22aおよび第2環境温度センサ22bに加え、第4環境温度センサ22dおよび第5環境温度センサ22eを備える。第1環境温度センサ22aおよび第2環境温度センサ22bの構成および配置は、実施の形態1と同じである。
第4環境温度センサ22dおよび第5環境温度センサ22eは、例えば、熱電対、サーミスタまたは温度に応じて抵抗が変化する導電材料(銅、銀、等)で形成された薄膜、などで構成される。第4環境温度センサ22dは、第1環境温度センサ22aと同一平面上に配置される。具体的には、第4環境温度センサ22dは、赤外線検出素子201の設置面と同一の平面上、すなわち基板204上に配置される。また、第5環境温度センサ22eは、第2環境温度センサ22bと同一平面上に配置される。具体的には、第5環境温度センサ22eは、第4環境温度センサ22dの上方であって、センサ筐体202の上部に配置される。また、第4環境温度センサ22dおよび第5環境温度センサ22eは、センサ筐体202の外側の側面に接触して配置される。具体的には、第4環境温度センサ22dおよび第5環境温度センサ22eは、例えば接着剤などによりセンサ筐体202の外側の側面に直接取り付けられる。第4環境温度センサ22dおよび第5環境温度センサ22eの検出結果は、図示しない配線を介して、制御部11の温度検出部111に送信される。
また、第1環境温度センサ22aおよび第2環境温度センサ22bの配置は、図23において矢印で示す方向に冷却風が吹く場合、赤外線センサ21に対し、冷却風の風上側に配置される。第4環境温度センサ22dおよび第5環境温度センサ22eは、図23において矢印で示す方向に冷却風が吹く場合、赤外線センサ21に対し、冷却風の風下側に配置される。
図23に示すように、一方向から冷却風が赤外線センサ21に吹きつけた場合、センサケース23の内部では、風上側のセンサ筐体202の温度が低く、風下側のセンサ筐体202温度が高くなる。そのため、風上側と風下側に環境温度センサを設けることで、冷却風による温度分布についても補正することができる。
本実施の形態の温度検出部111は、第1環境温度センサ22aにより検出される温度と、第4環境温度センサ22dにより検出される温度との平均を下部温度Tamb_bとする。また、温度検出部111は、第2環境温度センサ22bにより検出される温度と第5環境温度センサ22eにより検出される温度との平均を上部温度Tamb_tとする。そして、温度検出部111は、下部温度Tamb_bおよび上部温度Tamb_tとの差分を用いて赤外線センサ21の出力値Tiraを補正する。
本実施の形態のような構成とすることで、実施の形態1と同様の効果を実現できるとともに、赤外線センサ21の左右方向の温度が一様でない場合でも、赤外線センサ21の出力を精度よく補正できる。
実施の形態7.
次に、本発明の実施の形態7について説明する。実施の形態7では、6つの環境温度センサを備える点において、実施の形態1と相違する。誘導加熱調理器100のその他の構成および制御については、実施の形態1と同様である。
図24は、実施の形態7の赤外線センサユニット20Pの概略構成図である。図24では、赤外線センサユニット20Pを縦に切断した断面を模式的に示している。図24に示すように、本実施の形態の赤外線センサユニット20Pのセンサケース230の側面には、冷却風を通過させるための開口232が形成される。センサケース230に開口232を設けることで、センサケース230内の温度の均一化を図ることができる。
また、赤外線センサユニット20Pは、第1環境温度センサ22aと、第2環境温度センサ22bと、第3環境温度センサ22cと、第4環境温度センサ22dと、第5環境温度センサ22eと、第6環境温度センサ22fとを備える。第1環境温度センサ22aと、第2環境温度センサ22bと、第4環境温度センサ22dと、第5環境温度センサ22eとの構成および配置は、実施の形態7と同じである。
第3環境温度センサ22cの構成は、実施の形態6と同じである。第6環境温度センサ22fは、例えば、熱電対、サーミスタまたは温度に応じて抵抗が変化する導電材料(銅、銀、等)で形成された薄膜、などで構成される。第6環境温度センサ22fの出力値は、図示しない配線を介して、制御部11の温度検出部111に送信される。第3環境温度センサ22cは、第1環境温度センサ22aと第2環境温度センサ22bとの間であって、センサケース230の開口232に対向する位置に配置される。第6環境温度センサ22fは、第3環境温度センサ22cと同一平面上に配置される。詳しくは、第6環境温度センサ22fは、第4環境温度センサ22dと第5環境温度センサ22eとの間であって、センサケース230の開口232に対向する位置に配置される。
本実施の形態の温度検出部111は、第1環境温度センサ22aにより検出される温度と第4環境温度センサ22dにより検出される温度の平均を下部温度Tamb_bとする。また、温度検出部111は、第2環境温度センサ22bにより検出される温度と第5環境温度センサ22eにより検出される温度との平均を上部温度Tamb_tとする。また、温度検出部111は、第3環境温度センサ22cにより検出される温度と第6環境温度センサ22fにより検出される温度との平均を開口温度Tamb_cとする。そして、温度検出部111は、上部温度Tamb_tと開口温度Tamb_cとの平均を最終的な上部温度Tamb_tとして、下部温度Tamb_bとの差分を温度差Tgapとする。
本実施の形態のような構成とすることで、実施の形態1と同様の効果を実現できるとともに、赤外線センサ21の左右方向および上下方向の温度が一様でない場合でも、赤外線センサ21の出力を精度よく補正できる。
実施の形態8.
次に、本発明の実施の形態8について説明する。実施の形態8では、第1環境温度センサ22aと、第2環境温度センサ22bに加え、自己温度センサ207を備える点において、実施の形態1と相違する。誘導加熱調理器100のその他の構成および制御については、実施の形態1と同様である。
図25は、実施の形態8の赤外線センサユニット20Qの概略構成図である。図25では、赤外線センサユニット20Qを縦に切断した断面を模式的に示している。図25に示すように、本実施の形態の赤外線センサユニット20Qは、第1環境温度センサ22aと、第2環境温度センサ22bに加え、自己温度センサ207を備える。第1環境温度センサ22aおよび第2環境温度センサ22bの構成および配置は、実施の形態1と同じである。自己温度センサ207の構成および配置は、実施の形態2と同じである。
この場合、第1環境温度センサ22aにより検出される温度と自己温度センサ207により検出される温度との差分は、左右方向の温度差を示す。また、第2環境温度センサ22bにより検出される温度と自己温度センサ207により検出される温度との差分は、上下方向の温度差を示す。温度検出部111は、左右方向の温度差および上下方向の温度差から、温度差補正値Tamb_offsetを求めるための関数(fn)を選択する。
図26は、実施の形態8における温度差補正値を求めるための関数の表を説明する図である。図26に示すように、左右方向の温度差と上下方向の温度差とをそれぞれ軸とした複数の関数(fn)がマッピングされ、記憶部113に記憶される。関数(fn)は、実験またはシミュレーションにより予め導出される。温度検出部111は、第1環境温度センサ22a、第2環境温度センサ22bおよび自己温度センサ207により検出された温度から、左右方向の温度差および上下方向の温度差を求め、図26の表から関数(fn)を選択する。
本実施の形態のような構成とすることで、実施の形態1と同様の効果を実現できる。また、赤外線センサ21が備える自己温度センサ207を基準に、赤外線センサ21の左右方向および上下方向の温度分布を踏まえて赤外線センサ21の出力値を補正できるため、補正精度がさらに向上する。
実施の形態9.
次に、本発明の実施の形態9について説明する。実施の形態9では、制御部11により実施される環境温度補正の方法が実施の形態1と相違する。誘導加熱調理器100のその他の構成および制御については、実施の形態1と同様である。
図27は、実施の形態9における加熱調理動作の流れを示すフローチャートである。ステップS101~S106までの処理は、実施の形態1と同じである。続くステップS301において、温度差Tgapが下記の式(5)から算出される。具体的には、温度差Tgapは、下部温度Tamb_bと上部温度Tamb_tとの差分として算出される。
Tgap=Tamb_t-Tamb_b・・・(5)
次に、温度差Tgapと、予め設定した下限値Talおよび上限値Tahとが比較される(S302)。ここで、下限値Talは、0より小さい値(Tal<0)であり、例えば-3℃である。上限値Tahは0より大きい値(Tah>0)であり、例えば+3℃である。
ここで、温度差Tgapが、下限値Tal以上であり、上限値Tah以下の場合は(S302:Tah≧Tgap≧Tal)、赤外線センサ21において、上下方向の温度差の影響がほぼ無いと判断し、温度差補正値Tamb_offset=0とする。そして、環境温度Tambは、下部温度Tamb_bと等しいものとする(S303)。
一方、温度差Tgapが上限値Tahより大きい場合は(S302:Tgap>Tah)、赤外線センサ21の上部温度が下部温度より高いことを示している。これは、赤外線センサ21の上部の温度上昇に赤外線センサ21の下部の温度変化が追従できていない場合、または冷却風が赤外線センサ21の下部にのみあたっている場合等が考えられる。そこで、この場合は、予め導出されたTgapに依存した関数(f2)から温度差補正値Tamb_offsetを求め(S304)、下部温度Tamb_bに温度差補正値Tamb_offsetを加算して環境温度Tambとする(S305)。
また、温度差Tgapが下限値Talより小さい場合は(S302:Tgap<Tal)、赤外線センサ21の下部温度が上部温度より高いことを示している。これは、赤外線センサ21の下部のみが、発熱素子等の影響で温度上昇している場合、または赤外線センサ21の上部のみに冷却風があたっている場合等が考えられる。そこで、この場合は、予め導出されたTgapに依存した関数(f3)から温度差補正値Tamb_offsetを求め(S306)、下部温度Tamb_bに温度差補正値Tamb_offsetを加算して環境温度Tambとする(S307)。なお、環境温度Tambは、下部温度Tamb_bと温度差Tgapとの関数から求めてもよい。
その後、赤外線センサ21の出力値Tiraを環境温度Tambで補正することで、環境温度補正後の赤外線センサ21の出力値Tirが算出される(S308)。その後は、実施の形態1と同じステップS111へ移行する。
本実施の形態によると、温度差補正値Tamb_offsetを赤外線センサ21の上部温度が高い場合と、下部温度が高い場合とで、別々の関数を用いて算出することができる。これにより、赤外線センサ21の出力をより精度よく補正することができる。
以上が本発明の実施の形態の説明であるが、本発明は、上記の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。例えば、上記実施の形態では、誘導加熱調理器100が、1つの赤外線センサユニット20を備える構成としたが、複数の赤外線センサユニット20を備える構成としてもよい。また、センサケース23およびセンサ筐体202の形状は、実施の形態1の構成に限定されるものではなく、任意に変更可能である。
また、図6、図22および図27に示すフローチャートにおける「トッププレート温度補正」に関するステップS111およびS112は、省略してもよい。また、温度差補正値Tamb_offsetは、関数により求められるものに限定されるものではなく、固定された値を加算して求めてもよい。また、第1~第6環境温度センサ22a~22fを用いた赤外線センサ21の出力値Tiraの補正方法は、上記実施の形態に限定されるものではなく、その他の方法で環境温度補正を行ってもよい。
また、実施の形態1~9およびこれらの変形例の何れかを任意に組み合わせることが可能である。例えば、実施の形態1、3~8において、実施の形態2の自己温度センサ207を備える構成としてもよい。また、実施の形態6~8において、実施の形態3のセンサ保持部24を備える構成としてもよい。さらに、第1~第6環境温度センサ22a~22fの配置は、上記実施の形態および変形例に限定されるものではない。例えば、実施の形態1では、第2環境温度センサ22bを第1環境温度センサ22aの真上に配置する構成としたが、第1環境温度センサ22aの上方において、真上以外に配置してもよい。第1~第6環境温度センサ22a~22fは、冷却風の向きまたは発熱源の位置などに応じて、センサ筐体202の周囲の任意の位置に配置することができる。
また、第1~第6環境温度センサ22a~22fは、上面視でセンサケース23の開口内または開口外側の何れに配置されてもよい。ただし、第1~第6環境温度センサ22a~22fがセンサ筐体202の外側であって、センサ筐体202に接触せずに配置される場合は、第1~第6環境温度センサ22a~22fのうち、少なくとも上下方向の温度差を検出する環境温度センサ(例えば第1環境温度センサ22aと第2環境温度センサ22b、または第4環境温度センサ22dと第5環境温度センサ22eなど)は、同一環境に配置されるものとする。