JP7316156B2 - 浄水処理方法及び浄水処理装置 - Google Patents

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Description

本発明は、浄水処理方法及び浄水処理装置に関する。
河川水、湖沼水、貯水池水、伏流水、又は地下水等を原水として水道水を得る浄水処理が知られている。このような浄水処理においては、凝集沈殿処理と急速ろ過処理を組合せた急速ろ過方式が広く普及している。
急速ろ過方式では、濁質を含有する原水に硫酸アルミニウム(硫酸ばんど)又はポリ塩化アルミニウム(PAC)等のアルミニウム系無機凝集剤を注入し、濁質を取り込んだ凝集フロックを形成させ、この凝集フロックを重力で沈降分離させる凝集沈殿処理により、原水から濁質を除去する。さらに、得られた凝集沈殿処理水を、ろ過材が充填されたろ過池に通水して急速ろ過することにより、濁質を取り除く。
急速ろ過方式では、原水をろ過池でろ過するだけでは濁質の十分な除去が期待できないため、無機凝集剤による凝集沈殿処理が不可欠である。濁質量は、濁度計で測定した濁度を指標とすることが通常である。アルミニウム系無機凝集剤を用いた場合は、無機凝集剤中のアルミニウムと原水中の濁度の比を表す指標としてALT比が用いられる。無機凝集剤の注入率は原水水質に応じて最適値が変わるため、一般的にはジャーテストで決定される。一般に、原水の濁度が高くなると、無機凝集剤注入率は増加し、濁度が低くなると、無機凝集剤注入率も減少する。
図6に従来の浄水処理方法のフローの例を示す。着水井を経由した原水は、凝集混和池100とフロック形成池200と沈殿池300とを有する凝集沈殿処理設備で凝集沈殿される。凝集混和池100では原水に無機凝集剤が添加される。フロック形成池200で凝集フロックを成長させたのちに沈殿池300で固液分離が行われる。沈殿池300で得られた凝集沈殿処理水はろ過材が充填された急速ろ過池400でろ過されてろ過水が得られる。ろ過水を消毒剤で消毒後に水道水に供される。
このような浄水処理に関する先行技術としては、例えば、特開平5-317890号公報(特許文献1)、特開2004-243256号公報(特許文献2)、特開2006-7086号公報(特許文献3)、特許第3667154号公報(特許文献4)、特許第5512115号公報(特許文献5)等が知られている。
特開平5-317890号公報 特開2004-243256号公報 特開2006-7086号公報 特許第3667154号公報 特許第5512115号公報
近年の河川水の濁度は、上流にダムが建設された影響などにより濁度が低い状態が続くことが多い。経験的には原水濁度が10度を超えると、凝集沈殿処理は良好となる。しかしながら、濁度10度以下の原水は濁質が少ないために凝集沈殿処理が難しくなる。このような低濁度の原水を凝集沈殿処理すると、凝集反応が進行しにくく沈降性に乏しいフロックが形成されて処理水の水質低下を招く。特に冬季などのように原水の水温が低く、濁度も低い場合には、凝集反応が起こり難く、凝集フロックの形成と成長に時間を要する。
しかしながら、機械的または操作上の制限から、無機凝集剤の添加量には下限を設定する必要がある。この下限は設備によって異なるが、原水濁度が高くなった時への対応を考慮して選定されることが多く、概ね原水1Lあたり10~20mgである。
無機凝集剤の添加量は、硫酸アルミニウムの場合は固形分の質量であり、PAC(酸化アルミニウムAl23換算10質量%のポリ塩化アルミニウム溶液)の場合は、その液体質量である。原水中の濁質量が減少し、濁度で概ね5度以下になると、凝集フロック中の凝集剤含有量が相対的に多くなる。その結果、無機凝集剤の過剰注入となり、沈澱池におけるフロック沈降性の低下及びランニングコストの増加に繋がる。また、濁質分に対して無機凝集剤が過剰に含まれる凝集フロックは、沈降性や脱水性に乏しく、水流に拠るせん断力によって破壊され易い。その結果、ろ過池における濁度漏洩、排水処理設備におけるスラッジ発生量の濃縮性低下及び脱水性低下等の要因となる。
このように、河川水等の原水を急速ろ過法で処理する場合、原水の濁度が低濃度である場合には無機凝集剤過剰供給による凝集沈殿処理及びろ過処理が困難になり、スラッジ発生量等が多くなる場合がある一方で、現状は、濁度の急激な上昇を想定して無機凝集剤を比較的過剰に供給せざるを得ない状況であり、現状の手法では全体として無駄が多くなっている。
上記課題を鑑み、本発明は、無機凝集剤の使用量を少なくでき、原水の濁度が低濃度であってもより効率的で安定した浄水処理が継続可能な浄水処理方法及び浄水処理装置を提供する。
上記課題を解決するために本発明者らが鋭意検討した結果、低濁度原水に対し、フロック形成池と沈澱池をバイパスしろ過処理を少なくとも二段階に分けてろ過するとともに、一段階目のろ過処理で得られるろ過水の濁度に応じて、二段階目のろ過処理への供給の有無を判断することが有効であるとの知見を得た。
以上の知見を基礎として完成した本発明の実施の形態は一側面において、低濃度原水を前段ろ過と後段ろ過との二段でろ過することを含み、前段ろ過により得られる前段ろ過水の濁度を検出し、前段ろ過水の濁度が濁度目標値以下の場合は、前段ろ過のみでろ過処理したろ過水を得ることを特徴とする浄水処理方法である。
本発明の実施の形態に係る浄水処理方法は一実施態様において、ろ過水に紫外線を照射する。
本発明の実施の形態に係る浄水処理方法は別の一実施態様において、前段ろ過が、後段ろ過に使用されるろ過材の有効径より大きいろ過材を用いた急速ろ過処理を行う。
本発明の実施の形態に係る浄水処理方法は別の一実施態様において、低濃度原水の濁度に基づいて、低濃度原水に添加する無機凝集剤の注入率を制御する。
本発明の実施の形態は別の一側面において、原水に無機凝集剤を添加する無機凝集剤添加手段と、無機凝集剤が添加された原水中にフロックを形成させて沈殿させ、沈殿処理水を得る凝集沈殿手段と、原水の濁度を検出し、濁度検出値を得る原水濁度検出手段と、原水の濁度検出値が基準値以下の場合に、原水をろ過し、前段ろ過水を得る前段ろ過手段と、凝集沈殿処理水を急速ろ過してろ過水を得る後段ろ過手段と、前段ろ過水の濁度を検出し、濁度検出値を得るろ過水濁度検出手段と、原水の濁度検出値が基準値以下の場合に、凝集沈殿手段をバイパスして前段ろ過手段に原水を供給するように、原水の供給の切り替えを行う原水切り替え手段と、前段ろ過水の濁度検出値に基づいて、前段ろ過水を後段ろ過手段に供給するか、後段ろ過手段をバイパスして前段ろ過水をろ過水とするかを切り替えるろ過水切り替え手段と、原水濁度検出手段及びろ過水濁度検出手段の濁度検出値に基づいて、原水切り替え手段及びろ過水切り替え手段を制御する制御手段と、を備えることを特徴とする浄水処理装置である。
本発明の実施の形態に係る浄水処理装置は別の一実施態様において、前段ろ過手段のろ過水位を検知する水位計と、水位計により検知されたろ過水位が予め定められた高さ以上となった場合に、ろ過層の上部のろ過層上部水域に高分子凝集剤を添加する高分子凝集剤添加手段とを備える。
本発明によれば、無機凝集剤の使用量を少なくでき、原水の濁度が低濃度であってもより効率的で安定した浄水処理が継続可能な浄水処理方法及び浄水処理装置が提供できる。
第1の実施の形態に係る浄水処理装置の一例を示す概略図である。 第1の実施の形態に係る浄水処理装置が備える制御手段の制御フローの一例を表すフローチャートである。 第2の実施の形態に係る浄水処理装置の一例を表す概略図である。 第2の実施の形態に係る浄水処理装置が備える制御手段の制御フローの一例を表すフローチャートである。 第1及び第2の実施の形態に係る浄水処理装置に適用可能な前段ろ過手段の装置構成の一例を示す説明図である。 急速ろ過方式を採用する従来の浄水処理装置の一例を示す概略図である。
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態を説明する。以下に示す実施の形態は、この発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであってこの発明の技術的思想は構成部品の構造、配置等を下記のものに特定するものではない。
(第1の実施の形態)
-浄水処理装置-
図1に示すように、本発明の第1の実施の形態に係る浄水処理装置は、無機凝集剤を添加するための無機凝集剤添加手段1と、高分子凝集剤を添加するための高分子凝集剤添加手段15と、低濁度原水をろ過し、前段ろ過水を得る前段ろ過手段2と、前段ろ過水をろ過し、後段ろ過水を得る後段ろ過手段3と、前段ろ過水の濁度を検出するろ過水濁度検出手段4と、前段ろ過手段2と後段ろ過手段3との間に設けられたろ過水切り替え手段5とを備える。
原水としては、河川水、湖沼水、貯水池水、伏流水、地下水等が利用できる。本実施形態においては処理される原水は、典型的には濁度が10度以下の低濁度原水である。従来の急速ろ過法では、濁度が10度以下の低濁度原水を処理する場合、無機凝集剤の過剰注入によるフロック沈降性の低下による凝集沈殿処理水の水質低下の問題、及び無機凝集剤の過剰注入によるランニングコストの増大の問題等が生じる場合があった。このような濁度10度が以下の低濁度原水は、季節変動又は環境変動等によって濁質成分の変動が生じやすい。そのため、現状の急速ろ過方式では、無機凝集剤の添加量を減少させることも難しく、効率的な処理が困難である。
第1の実施の形態に係る浄水処理装置においては、従来の急速ろ過法での処理が困難な、濁質分が少ない濁度が基準値以下の低濁度原水、本明細書では濁度10度以下、更には5度以下、更には2度以下の低濁度原水を効率的に処理する。具体的には、図1に示すように、低濃度原水を少なくとも二段階のろ過処理を有する浄水処理装置でろ過処理することにより、従来の急速ろ過法を用いる場合に比べて、添加する無機凝集剤の量を低減でき、ろ過水の水質を安定的に維持でき、且つより効率的な処理を行うことができる。なお、本明細書において低濁度原水とは、濁度10度以下の原水を意味することとする。
無機凝集剤添加手段1は、原水中の濁質に起因する微粒子を凝集させるための無機凝集剤を原水に添加する。無機凝集剤としては、通常の浄水処理に使用される無機凝集剤が使用できる。例えば、比較的短時間で原水中の微粒子を凝集可能な硫酸ばんど、PAC等が好適に使用できる。無機凝集剤に加えて、更に高分子凝集剤を添加することにより、無機凝集剤を単独で添加する場合に比べて、ろ過水の濁度を低減できる上、無機凝集剤の使用量を低減でき、全体としてより効率的な処理が行える。
無機凝集剤の添加量は、原水の濁度に応じて最適な添加量が選択される。例えば、従来の急速ろ過方式の凝集沈殿処理においては、濁度10度以下、より具体的には濁度2度以下の低濁度原水であっても、概ね原水1Lあたり10~20mgの無機凝集剤が添加されてきた。
本実施形態においては、原水の濁度に応じて最適な注入率を決定することができる。例えば、濁度が2度以下の場合には、無機凝集剤の注入率を4.5~7.5mg/L、より具体的には4.7~5.5mg/L、更には5.0mg/L程度とすることができる。そのため、本実施形態によれば、従来の急速ろ過方式に比べて無機凝集剤の添加量を少なくした場合であっても、ろ過水の水質を良好に維持でき、安定した処理が継続可能である。
高分子凝集剤としては、水道用高分子凝集剤を用いる。水道用高分子凝集剤の種類は特に限定されない。例えば、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリアクリル酸カリウム、ポリアクリル酸アンモニウム、ポリメタクリル酸、ポリメタクリル酸ナトリウム、ポリメタクリル酸カリウム、ポリメタクリル酸アンモニウムからなる群より選択されるいずれか1種以上を用いることが可能であるが、特に好ましくはポリアクリル酸ナトリウムである。ポリアクリルアミド系高分子凝集剤は、ポリアクリルアミドとポリ(メタ)アクリル酸塩の共重合物で、アニオン系高分子凝集剤としての市販品が使用できる。
本実施形態においては、先に無機凝集剤を原水に添加して荷電中和と微細フロックの生成を行った後、高分子凝集剤を必要に応じて注入することが好ましい。図1には図示していないが、無機凝集剤をより確実に混合させるための凝集混和池を前段ろ過手段2の前段に配置してもよい。高分子凝集剤の注入率は、基本的には、ジャーテストで決定できる。或いは、高分子凝集剤の注入率は、予め原水濁度に対応する最適注入率を算出する関係式を求めておき、その関係式に沿って設定することも可能である。
高分子凝集剤の注入率は、不足すると効果が発現せず、過剰だと経済性が低下するだけでなく、凝集効果が妨げられる。本実施形態では、高分子凝集剤は原水に対して0.01~1.0mg/Lの範囲で添加されることが好ましく、0.02~0.5mg/Lの範囲で添加されることがより好ましい。
前段ろ過手段2としては特に限定されないが、例えば、浄水処理の急速ろ過で一般的に使用可能な自然平衡型急速ろ過池(重力式下向流ろ過装置)、重力式上向流ろ過装置、上向流移床型ろ過装置、圧力式下向流ろ過装置等が利用可能である。特に、大水量の浄水処理には、前段ろ過手段2として重力式下向流ろ過装置が用いられることが効率面から好ましい。
前段ろ過手段2に充填されるろ過材としては、アンスラサイト(有効径0.7~4.0mm、均等係数1.4以下、比重1.4~1.6)、粒状活性炭(有効径0.7~4.0mm、均等係数1.5以下、比重1.7以下)、ろ過砂等が利用できる。粒状活性炭は原料が石炭でもヤシ殻でもよい。
前段ろ過手段2に充填されるろ過材は、後段ろ過手段3に使用されるろ過材の有効径より大きいろ過材を用いることが好ましい。中でも特に、濁度10度以下の低濁度原水中の濁質をより効率的に捕捉するろ過材としては、有効径が1.0mm以上、より好ましくは2.0mm以上、更に好ましくは2.4mm以上で、均等係数が1.5以下、好ましくは1.3以下のろ過材を用いることが好ましい。
前段ろ過手段2は、単層ろ過及び複数ろ過のいずれで構成されていてもよい。ろ過層の洗浄効率及びろ過継続時間等への影響を総合的に勘案すると、単層ろ過を用いることがより効率面から好ましい。
ろ過層は、典型的にはろ過材の有効径に対して100~1000倍のろ過層厚を有する。ろ過層厚をより小さくすることで、ろ過材の使用量を低減できるとともに、ろ過層を洗浄する際の動力も節約できる点で好ましい。前段ろ過手段2に充填されるろ過層は、有効径に対して200~800倍であることがより好ましく、200~500倍であることが更に好ましい。
前段ろ過手段2のろ過継続時間は、長いほどろ過層の洗浄頻度を少なくできるため、ろ過層の洗浄のための動力を節約することができる点で有利である。実用的には、前段ろ過手段2のろ過継続時間が8時間以上、より好ましくは10時間以上、更に好ましくは12時間以上、より更に好ましくは20時間以上となるように、前段ろ過手段2のろ過材及びろ過層厚が選定されることで、より効率的で安定した処理が継続可能となる。
後段ろ過手段3としては、自然平衡型急速ろ過池が好適に用いられる。後段ろ過手段3としては、従来の急速ろ過方式において凝集沈殿処理後に用いられる既存の急速ろ過池を利用することができる。これにより、本実施形態に係る浄水処理装置を既存の浄水処理装置に適用する場合、後段ろ過手段3については新たな設備を設置する必要がないため、既存の設備を有効に用いてより効率的な処理を行うことができる。
後段ろ過手段3に充填されるろ過材としては、前段ろ過手段2に充填されるろ過材の有効径以下の有効径の材料が好ましい。具体的には、有効径1.0mm未満、好ましくは0.45~0.7mm、均等係数1.5以下のろ過材が使用されることが好ましい。
ろ過材としてはろ過砂、アンスラサイト、活性炭が、市販品で安価で、ろ過性能も高いので良い。活性炭は市販の新品でも良いが、浄水施設の高度処理設備で使用された使用済み活性炭の乾燥品または水蒸気賦活された再生炭は活性炭表面形状が濁質捕捉に有利なように凹凸が発達しておりろ過性能が特に良い。または、活性炭表面の凹凸により、後段ろ過手段3で前段ろ過手段2から流出する微量で微細な濁質除去を行うためには特に有効である。
後段ろ過手段3においても、前段ろ過手段2と同様に、単層ろ過であっても複数ろ過であっても構わない。なお、複数ろ過とした場合に、ろ過砂等のろ過材と組み合わされて使用されるアンスラサイトは、有効径が2.0mm以下、均等係数1.4以下、比重1.4~1.6以下であることが好ましい。このようなろ過材が後段ろ過手段3に使用されることによって、水道基準で求められる基準値よりも遥かに清澄な濁度0.1度以下のろ過水が得られる。
ろ過水濁度検出手段4としては、一般的に利用可能な濁度計が用いられる。ろ過水濁度検出手段4が検出した前段ろ過水の濁度検出値は、ろ過水濁度検出手段4に接続された制御手段8に出力される。制御手段8は更にろ過水切り替え手段5に接続されている。ろ過水切り替え手段5としては、バルブ(以下「バルブV1」ともいう)等が利用できる。ろ過水切り替え手段5は、前段ろ過手段2と後段ろ過手段3との間に設けられている。ろ過水切り替え手段5には、前段ろ過手段2で得られた前段ろ過水を、後段ろ過手段3から迂回させて、ろ過水出口側へ供給するための迂回ライン6に接続されている。
制御手段8は、ろ過水濁度検出手段4による前段ろ過水の濁度の検出結果に基づいて、前段ろ過水の後段ろ過手段3又は迂回ライン6への切り替えのための制御信号をろ過水切り替え手段5へ出力する。制御手段8による制御処理の具体例は後述する。
ろ過水切り替え手段5は、前段ろ過手段2で得られたろ過水の濁度が濁度目標値以下の場合は、前段ろ過水を迂回ライン6を介して後段ろ過手段3からバイパスするように、バルブV1を切り替える。一方、前段ろ過水の濁度が濁度目標値を超える場合は、前段ろ過水を後段ろ過手段3へ供給するようにバルブV1を切り替える。
なお、濁度目標値は、ろ過水に求められる水質に応じて適宜設定可能である。一般的に、クリプトスポリジウム等の汚染の恐れがある浄水場において、ろ過水の濁度目標値は0.1度である。原水の水質変動を考慮すると、本実施形態では、濁度目標値を0.08度以下、更には0.05度以下とすることが望ましい。
前段ろ過手段2の前段側には原水の濁度を検出するための原水濁度検出手段7が設けられている。原水濁度検出手段7としては、一般的に利用可能な濁度計が用いられる。原水濁度検出手段7及び無機凝集剤添加手段1は制御手段8に接続されている。原水濁度検出手段7による原水の濁度検出値は制御手段8へ出力される。制御手段8は、原水濁度検出手段7が検出した原水の濁度検出値に基づいて、無機凝集剤添加手段1及び高分子凝集剤添加手段15により原水に添加すべき無機凝集剤及び高分子凝集剤の最適な注入量を決定し、無機凝集剤添加手段1へ所定の制御信号を出力する。無機凝集剤添加手段1及び高分子凝集剤添加手段15は、原水濁度検出手段により検出された原水の濁度に応じて最適な注入量となるように、無機凝集剤及び高分子凝集剤を原水に添加する。
後段ろ過手段3の後段側には、前段ろ過水又は後段ろ過水からなるろ過水に紫外線を照射するためのUV手段9が配置される。UV手段9が配置されることで、ろ過水の消毒を行うことができるため、例えばろ過水の濁度が0.1度より高い場合においても水道水に適したろ過水を得ることが可能となる。更に、紫外線が照射されたろ過水に対しては消毒剤が添加される。
-浄水処理方法-
図1に示す浄水処理装置を用いて、第1の実施の形態に係る浄水処理を行うことができる。第1の実施の形態に係る浄水処理方法は、低濃度原水を前段ろ過と後段ろ過の二段でろ過することを含み、前段ろ過により得られる前段ろ過水の濁度を検出し、前段ろ過水の濁度が濁度目標値以下の場合は、前段ろ過のみでろ過処理したろ過水を得ることを含む。即ち、濁度が10度以下となる低濃度原水に無機凝集剤を添加した後、低濃度原水に前段ろ過処理を行って前段ろ過水を得て、前段ろ過水の濁度を検出し、前段ろ過水の濁度が濁度目標値を超える場合は、前段ろ過処理の後に後段ろ過処理を行い、後段ろ過処理で得られる後段ろ過水を浄水処理装置から流出させるろ過水とし、前段ろ過水の濁度が濁度目標値以下の場合は、前段ろ過水を浄水処理装置から流出させるろ過水とするものである。
浄水処理では、原水の濁度を検出し、検出した原水の濁度に応じて最適な注入量となるように、無機凝集剤及び高分子凝集剤を原水に添加することができる。無機凝集剤及び高分子凝集剤の最適な注入量は、ジャーテスト、或いは原水濁度に対応する無機凝集剤及び高分子凝集剤の最適注入率を算出する既知の関係式から求めることができる。原水の濁度に基づいて最適な注入量が決定されることにより、無機凝集剤及び高分子凝集剤の余分な注入を防いで注入量が最適化でき、より無駄のない効率的な処理が行えるようになる。
従来の急速ろ過式浄水処理の凝集沈殿処理では、原水の濁度が例えば2度程度とかなり低い場合であっても、原水の急激な濁度変動の発生及び設備上の理由から、最低でも凝集剤を10~20mg/L程度添加することが必要であった。
一方、本発明の第1の実施の形態に係る浄水処理方法によれば、例えば、原水の濁度が5.0超10.0度の場合は無機凝集剤の注入率を5~10mg/L、原水の濁度が2.0超5.0度未満の場合は無機凝集剤の注入率を5.0~7.5mg/L、原水の濁度が2.0以下の場合は無機凝集剤の注入率を4.5~7.5mg/L、好ましくは5.0mg/Lとした場合においても、安定的に処理を行うことができる。これにより、そのため、従来に比べて無機凝集剤の添加量を節約でき、より効率的で安定した浄水処理が継続可能な浄水処理方法及び浄水処理装置が提供できる。
-制御フロー例-
図2のフローチャートを用いて、図1の制御手段8の制御フロー例を説明する。ステップS101において、原水濁度検出手段7が原水の濁度を検出し、検出結果が制御手段8へ出力される。ステップS102において、制御手段8は、原水の濁度の検出結果に応じて、原水に対して添加すべき無機凝集剤及び必要に応じて添加される高分子凝集剤の注入率を算出し、算出結果に基づく制御信号を無機凝集剤添加手段1と、必要に応じて高分子凝集剤添加手段15へ出力する。無機凝集剤添加手段1と高分子凝集剤添加手段15は、制御手段8から出力された制御信号に基づいて、無機凝集剤及び必要に応じて高分子凝集剤を原水に添加する。無機凝集剤及び高分子凝集剤が添加された原水は前段ろ過手段2へ供給され、前段ろ過水が得られる。
ステップS103において、ろ過水濁度検出手段4が、前段ろ過水の濁度を検出し、検出結果が制御手段8へ出力される。ステップS104において、制御手段8は、前段ろ過水の濁度検出値が濁度目標値以下となるか否かを判定する。
前段ろ過水の濁度検出値が濁度目標値を超える場合には、ステップS105へ進み、ろ過水切り替え手段5が、前段ろ過水が後段ろ過処理へ供給されるようにバルブV1を切り替える。そして、前段ろ過水に対して後段ろ過処理を行って後段ろ過水を得る。後段ろ過水は、必要に応じてUV処理が行われた後、消毒剤で消毒されて水道水に供される。
一方、前段ろ過水の濁度検出値が濁度目標値以下となる場合には、ステップS106へ進み、ろ過水切り替え手段5が、前段ろ過水が迂回ライン6側へ供給されるようにバルブV1を切り替え、前段ろ過水に対して後段ろ過処理を行わずに、前段ろ過水を本装置外へと流出させるろ過水とする。
ステップS106において迂回処理が行われることにより、後段ろ過処理を省略することができるため、処理効率が向上する。また、後段ろ過処理に添加される無機凝集剤と高分子凝集剤の使用量も節約することができるため、無機凝集剤と高分子凝集剤の使用量低減効果も得られる。引き続き、ステップS107において、処理が継続される場合には、ステップS101へ戻り、ステップS101~106を繰り返す。
第1の実施の形態に係る制御方法によれば、濁度10度以下の低濁度原水に対して前段ろ過処理を行い、前段ろ過処理で得られるろ過水の濁度に応じて、後段ろ過処理を省略することができるため、無機凝集剤の使用量を少なくし、原水の濁度が低濃度であっても、より効率的で安定した浄水処理が継続可能となる。
(第2の実施の形態)
第2の実施の形態に係る浄水処理装置は、図3に示すように、原水に無機凝集剤を添加する無機凝集剤添加手段1と、濁度が10度以下の低濁度原水をろ過し、前段ろ過水を得る前段ろ過手段2と、前段ろ過水をろ過し、後段ろ過水を得る後段ろ過手段3と、前段ろ過水の濁度を検出するろ過水濁度検出手段4と、前段ろ過手段2と後段ろ過手段3との間に設けられたろ過水切り替え手段5と、後段ろ過手段3の前段に、前段ろ過手段2と並行に接続された凝集沈殿手段13(フロック形成池11、沈殿池12)と、凝集沈殿手段13及び前段ろ過手段2の前段に設けられ、原水の供給を凝集沈殿手段13と前段ろ過手段2との間で切り替える原水切り替え手段14とを備える。原水切り替え手段14としては、バルブ(以下「バルブV2」ともいう)等が利用できる。
後段ろ過手段3を急速ろ過池とした場合、凝集混和池10、フロック形成池11、沈殿池12、後段ろ過手段3は、それぞれ現在一般的に利用可能な浄水処理装置を利用することができる。従来の急速ろ過池は、ろ過材への付着とろ過層での篩分け作用によって濁質を除去する装置であり、ろ過速度120~150m/日が一般的である。後段ろ過手段3も従来の急速ろ過池と同様なろ過速度で前段ろ過水を処理することができる。
凝集混和池10では、原水と無機凝集剤添加手段1により添加された無機凝集剤が急速撹拌されることにより原水中の濁質が凝集して微細フロック(マイクロフロック)として成長する。微細フロックを含む原水は、下流側に設置されたフロック形成池11に導かれる。フロック形成池11では、微細フロックを含む原水を緩速撹拌し、微細フロックを粗大化させる。沈殿池12では、粗大フロックが重力分離され、沈殿し、上澄水が得られる。沈殿池12から排出された粗大フロックを主に含む沈殿物(スラッジ)は、図示しない汚泥処理手段である排水池、排泥池、濃縮池及び脱水装置において処理される。
前段ろ過手段2のろ過速度LVは200~500m/日である。前段ろ過手段2の高速ろ過に使用するろ過材の有効径は、従来の急速ろ過池又は後段ろ過手段3のろ過池のろ過材の有効径より大きいものを使用するために、前段ろ過手段2では長いろ過継続時間が確保できる。
また、無機凝集剤と高分子凝集剤の併用により、有効径の大きいろ過材でも原水の濁質を確実にろ過層で捕捉でき、前段ろ過手段2のろ過水の濁度は従来の急速ろ過池と同程度に低減される。
ろ過工程を継続し、水質的又は水量的にろ過機能を持続できなくなったときには、ろ過を停止してろ過層を洗浄して濁度除去能力を回復させる。ろ過層洗浄は、ろ過層下部から洗浄水を通水してろ過層内に抑留された濁質をろ過材から剥離し、ろ過層から分離して急速ろ過池から排出させる。急速ろ過池には種々の方式があるが、自然平衡型ろ過池が利用できる。前段ろ過手段2の前段には無機凝集剤が添加された原水に対して更に高分子凝集剤を添加するための高分子凝集剤添加手段15が接続されている。
制御手段8は、無機凝集剤添加手段1、原水濁度検出手段7、高分子凝集剤添加手段15、ろ過水濁度検出手段4、ろ過水切り替え手段5に接続されている。制御手段8は、原水濁度検出手段7又はろ過水濁度検出手段4の濁度検出値に基づいて、第1及び第2切り替え手段5、14のバルブV1、V2の切り替えを制御する。制御手段8の詳細は後述する。前段ろ過手段2で得られた前段ろ過水に対し後段ろ過手段3を迂回させるための迂回ライン6が接続されている。迂回ライン6は、後段ろ過手段3の後段側に接続されている。
後段ろ過手段3の更に後段側では、前段ろ過水又は後段ろ過水からなるろ過水を消毒するための消毒剤がろ過水に添加される。更に、消毒剤が添加される前のろ過水に対して、必要に応じてろ過水に紫外線を照射するためのUV手段9が配置されてもよい。他は、第1の実施の形態に係る浄水処理装置と実質的に同様であるので、重複した記載を省略する。
-浄水処理方法-
図3に示す浄水処理装置を用いて、第2の実施の形態に係る浄水処理を行うことができる。第2の実施の形態に係る浄水処理方法は、低濃度原水に無機凝集剤を添加した後、原水に前段ろ過処理を行って前段ろ過水を得て、前段ろ過水の濁度を検出し、前段ろ過水の濁度が濁度目標値を超える場合は、前段ろ過処理の後に後段ろ過処理を行い、後段ろ過処理で得られる後段ろ過水を必要に応じて消毒後に水道水に供する。前段ろ過水の濁度が濁度目標値以下の場合は、前段ろ過水を必要に応じて消毒後に水道水に供する。また、以下に限定されないが、原水の性状変動等により濁度が10度を超える場合、前段ろ過手段2を一時的に停止させる場合等のように、凝集沈殿処理を行う方が好ましいと判断される場合には、原水に無機凝集剤を添加した後に、凝集沈殿処理を行い、凝集沈殿処理により得られた凝集沈殿処理水に対して後段ろ過処理を行い、後段ろ過水をろ過水として得る。
第2の実施の形態に係る浄水処理方法によれば、原水の性状に応じて最適な処理を実施することができ、既存の設備を利用することができるため、無機凝集剤の使用量を少なくし、既存の設備への応用がしやすく、より効率的で安定した浄水処理が継続可能となる。
-制御フロー例-
図4のフローチャートを用いて、図2の制御手段8の制御フロー例を説明する。ステップS201において、原水濁度検出手段7が原水の濁度を検出し、検出結果が制御手段8へ出力される。ステップS210において、制御手段8が、原水の濁度検出値が基準値(濁度10度)以下となるか否かを判定する。
ステップS210において、原水の濁度の検出結果が例えば、10度以下でない場合は、ステップS211へ進み、原水切り替え手段14が、原水がフロック形成池11側へ供給されるように、バルブV2を切り替えて、原水に対して凝集沈殿処理と急速ろ過処理を組み合わせた従来の急速ろ過方式で処理を行うように、切り替えを行う。原水の濁度の検出結果が10度以下である場合には、ステップS212へ進み、原水切り替え手段14が、原水が前段ろ過手段2側へ供給されるように、バルブV2を切り替える。その後のステップS202~S207は図2のステップS102~S107と同様である。
第2の実施の形態に係る制御方法によれば、濁度10度以下の低濁度原水に対しては前段ろ過処理及び必要に応じて後段ろ過処理を行い、例えば、濁度10度を超える高濃度原水については、凝集沈殿処理及び急速ろ過(後段ろ過処理)を行うように、原水切り替え手段14が切り替えを行うことができる。その結果、原水の水質及び水質変動に応じて、それぞれ最適な浄水処理を行うことができる。
また、第2の実施の形態に係る浄水処理装置は、既存の浄水設備を有効利用することができるため、費用面においても作業効率面においても、浄水処理方法全体において無機凝集剤の使用量を少なくすることができ、原水の濁質濃度が低濃度であっても、より効率的で安定した浄水処理が継続可能となる。
(その他の実施の形態)
本発明は上記の実施の形態によって記載したが、この開示の一部をなす論述及び図面はこの発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態及び運用技術が明らかとなろう。
前段ろ過手段2の具体的構成は特に限定されないが、例えば前段ろ過手段2として、図5に示すようなろ過装置を使用することができる。図5のろ過装置は、装置内部に所定のろ過層厚を有するろ過層20が配置されている。ろ過層20の上部には、ろ過水位を検知する水位計21が配置されている。ろ過装置には、原水を供給するための原水供給ライン22と、処理後の前段ろ過水を排出するための排出ライン23が接続されている。原水供給ライン22には高分子凝集剤を添加するための高分子凝集剤添加手段15が接続されている。
高分子凝集剤添加手段15は、水位計21により検知されたろ過水位が予め定められた高さ以上となった場合にろ過層20の上部のろ過層上部水域24に高分子凝集剤を添加するように構成されている。ろ過層上部水域24内に高分子凝集剤が添加されることにより、高分子凝集剤がろ過層上部水域内で所定時間留ませることができるので、高分子凝集剤の添加効果が向上する。
本実施形態では、例えば、ろ過水位が、ろ過層20の表面から高さh1mmに達したことを水位計21が検知すると、高分子凝集剤添加手段15が高分子凝集剤の注入を開始させることができる。高さh1については、前段ろ過手段2の流入水量をQ(m3/min)、ろ過池面積をS(m2)としたとき、h1=2×Q/Sの関係式で算出される値とする(「2」は定数で、単位はmin)。
凝集剤添加のタイミングは、水位計を用いずに、h1=2×Q/Sの関係式の演算値で制御されてもよい。また、流入水量をQ(m3/min)は、原水量を稼働するろ過池で除して算出するなどして、原水量から推算してもよい。原水の濁度、アルカリ度、pH、水温を測定し、それらを組み合わせて高分子凝集剤の注入タイミングと注入率を制御することにより、より確実で安定した浄水処理が行える。
このように、本発明は上記の開示から妥当な特許請求の範囲の発明特定事項によって表されるものであり、実施段階においては、その要旨を逸脱しない範囲において変形し具体化し得るものである。
以下に本発明の実施例を比較例と共に示すが、これらの実施例は本発明及びその利点をよりよく理解するために提供するものであり、発明が限定されることを意図するものではない。
(実施例1)
濁度10度の原水に無機凝集剤PACを添加して、20秒間急速撹拌し、有効径2.4mm、均等係数1.3のアンスラサイトを、ろ過層高さ480mm(層厚/有効径200)で充填し、LV200m/日で前段ろ過処理した。前段ろ過水の濁度目標値は0.05度以下とした。PACは0~10mg/Lの範囲で注入率を変えた。結果を表1に示す。
「ろ過継続時間」は、ろ過を開始してからろ過層の洗浄のためにろ過を停止するまでの時間を示し、本実施例では、ろ過層が閉塞して次第に抵抗が徐々に増し、ろ過層表面(上端面)の高さが1200mmへ到達したときの時間を評価した。「ろ過水濁度」は、前段ろ過水を30分に1回の頻度で、日本電色工業株式会社製 WA 6000を用いて測定した結果の平均値を示す。
Figure 0007316156000001
表1に示すように、濁度10度の原水に対してPAC注入率を8mg/L以上としたNo.5、6では、前段ろ過処理により濁度目標値の0.05度以下となり、後段ろ過処理を省略して、前段ろ過水を水道水に供することが可能となることが分かった。
(実施例2)
濁度10度の原水にPAC6mg/Lを添加して、表1と同じ条件で、急速撹拌後に高分子凝集剤として高分子凝集剤の溶解液を添加して、有効径2.4mm、均等係数1.3のアンスラサイトを、ろ過層高さ480mm(層厚/有効径200)で充填し、LV200m/日で前段ろ過処理した。高分子凝集剤溶解液は、高分子凝集剤(エバグロースWA-142 水ing株式会社製、粉末品)を脱塩水に溶解して0.05%(重量)水溶液に調製して使用した。前段ろ過水の濁度目標値は0.05度以下とした。PAC及び高分子凝集剤の注入率とろ過結果との関係を表2に示す。
Figure 0007316156000002
PAC単独処理であるNo.7ではろ過継続時間が8時間、ろ過水濁度が0.08度であったが、高分子凝集剤0.01mg/Lを添加したNo.8では、ろ過時間を8時間以上の長時間に維持しつつ、ろ過水濁度を濁度目標値以下にすることができた。No.8~13に示すように、高分子凝集剤をPACと併用することで、PAC単独処理よりろ過水の濁度が低減できることが分かる。
また、濁度目標値を0.05度以下とした場合、No.8~13については後段ろ過処理を省略して、前段ろ過水は消毒後に水道水に供することが可能である。高分子凝集剤を併用することで、水質良好な処理水が得られる上、PACの注入率が削減できることも分かる。
(実施例3)
濁度10度の原水にPACを添加して、20秒間急速撹拌し、有効径2.4mm、均等係数1.4のアンスラサイトを、ろ過層高さ480mm(ろ過層厚/有効径:200)で充填し、LV200m/日で前段ろ過処理した。前段ろ過水の濁度目標値は、ろ過単独処理時には0.05度以下とし、UV処理の併用時には濁度目標値を2度と設定した。
Figure 0007316156000003
表3に示すように、PAC注入率3mg/Lと、PACの注入率が低い場合であっても、ろ過継続時間を9時間、ろ過水濁度を1.5度とすることができた。No.16~18については後段ろ過処理を省略して前段ろ過水に対してUV処理を行うことで、前段ろ過水は消毒後に水道水に供することが可能である。
(実施例4)
濁度が1~10度の原水にPACを添加して、20秒間急速撹拌し、有効径2.4mm、均等係数1.4のアンスラサイトを、ろ過層高さ480mm(ろ過層厚/有効径:200)で充填し、LV200m/日で前段ろ過処理した。前段ろ過水の濁度目標値は0.05度以下とした。原水濁度とPAC注入率及びろ過結果の関係を表4に示す。
Figure 0007316156000004
原水の濁度が5~10度の場合は、PACの注入率が5~10mg/L、原水濁度が2~5度の場合は、PACの注入率が5.0~7.5mg/L、原水濁度が2度以下の場合は、PACの注入率を5.0mg/Lとした場合にろ過水濁度の低減が認められた。また、表4の結果から、濁度10度以下の低濁度原水を用いた場合は、PACの注入率を従来の注入率(10mg/L)よりも低い7.5mg/L、或いは5.0mg/Lとした場合でも、濁度目標値を達成でき、後段ろ過処理を省略できることが分かった。
(実施例5)
濁度10度の原水にPAC8mg/Lを添加して、20秒間急速撹拌したのち、有効径0.6~3.5mm、均等係数1.3のアンスラサイトを用い、ろ過層厚/有効径50~1000としてLV200m/日で前段ろ過処理した。前段ろ過水の濁度目標値は0.05度以下、UV処理の併用時には濁度目標値を2度とした。結果を表5に示す。
Figure 0007316156000005
UV処理の併用を考慮した場合においては、No.36~55のいずれのろ過水においても濁度目標値2.0度以下を達成できており、いずれの場合も、後段ろ過処理を省略して、前段ろ過水にUV処理と消毒を行った後、水道水に供することが可能である。
ろ過材の有効径が小さいNo.36~41では、ろ過水濁度が濁度目標値を達成できているものの、ろ過継続時間が1~3時間、最大でも7時間となり、頻繁な洗浄処理が必要であった。有効径が2.4mm~3.5mmのNo.42~55では、ろ過層厚/有効径を200以上とすることでろ過継続時間を10時間以上とすることができ、ろ過水濁度も低い結果が得られた。
実用的にはろ過継続時間が10時間以上で、ろ過水の濁度目標値は0.05度以下とすると、ろ過層厚/有効径が200以上で、有効径2.4mm以上のろ過層を形成させることが好ましいことが分かった。ろ過層高さを極力低くし、より効率良く安定した処理を行うためには、有効径2.4mm以上のアンスラサイトを、ろ過層厚/有効径200以上、更に好ましくは200~500で堆積させることが好ましいことが分かった。一方、有効径が1.2mm以下のろ過材ではろ過水の濁度が0.05度以下であるもの、ろ過継続時間が10時間未満であり、実用上問題であることが分かった。
(実施例6)
濁度10度の原水にPAC6mg/Lを添加して、20秒間急速撹拌し、実施例2の高分子凝集剤を0.02mg/Lを添加したのち、有効径2.4mm、均等係数1.3のアンスラサイトを用い、ろ過層厚/有効径100~600でLV200m/日でろ過した。ろ過水の濁度目標値は0.05度以下、UV処理の併用時には濁度目標値を2度とした。結果を表6に示す。
Figure 0007316156000006
PACと高分子凝集剤とを併用することで、PAC単独で処理を行った表1のNo.4よりろ過水の濁度が低減した。
(実施例7)
濁度10度の原水にPAC8mg/Lを添加して、20秒間急速撹拌したのち、有効径2.4mm、均等係数1.3のアンスラサイトと有効径1.2mm、均等係数1.3のろ過砂を用いて、ろ過層厚/有効径100~500でLV200m/日で複層ろ過した。結果を表7に示す。表1のNo.5と表7のNo.61とを比較すると、単層ろ過及び複層ろ過のいずれもろ過水の濁度を濁度目標値以下に低減できていることが分かる。
Figure 0007316156000007
(比較例1)
表8及び表9に示す急速ろ過式浄水処理装置を用いて、pH7.1、濁度2~10度の河川水を原水とし、無機凝集剤10mg/Lを添加して凝集沈殿処理して、凝集沈殿処理水を得た。凝集沈殿処理水をろ過原水として、表9に示す条件でろ過試験を実施した。結果を表10に示す。
Figure 0007316156000008
Figure 0007316156000009
Figure 0007316156000010
比較例1に示すように、従来の急速ろ過方式を用いた浄水処理においても、急速ろ過前にPAC20mg/Lで凝集沈殿処理し、その処理水を急速ろ過することでろ過水の濁度を低くすることは可能であるが、無機凝集剤の注入率が多くなることが分かる。
(比較例2)
凝集沈殿処理を行わずに濁度2~10度の原水を表10の条件でろ過処理のみを行った場合の結果を表11に示す。
Figure 0007316156000011
表11に示すように、原水を急速ろ過のみで直接ろ過すると、ろ過継続時間が短くなるばかりかろ過水濁度も高くなった。急速ろ過の前に凝集沈殿処理を行わず、原水を表10に示すろ過材の有効径0.6mmの細かいろ過砂でろ過すると、そのろ過継続時間が短くなり、従来の細かいろ過砂でのろ過では浄水処理は難しいことが分かった。
1…無機凝集剤添加手段
2…前段ろ過手段
3…後段ろ過手段
4…ろ過水濁度検出手段
5…ろ過水切り替え手段
6…迂回ライン
7…原水濁度検出手段
8…制御手段
9…UV手段
10…凝集混和池
11…フロック形成池
12…沈殿池
13…凝集沈殿手段
14…原水切り替え手段
15…高分子凝集剤添加手段
20…ろ過層
21…水位計
22…原水供給ライン
23…排出ライン
24…ろ過層上部水域
100…凝集混和池
200…フロック形成池
300…沈殿池

Claims (6)

  1. 低濃度原水を前段ろ過と後段ろ過との二段でろ過する浄水処理方法において、
    ろ過材としてアンスラサイト、粒状活性炭、ろ過砂のいずれかを使用し、前記ろ過材の有効径に対して800倍以下のろ過層厚を有する単層ろ過層で前記前段ろ過を行い、前記前段ろ過により得られる前段ろ過水の濁度を検出し、
    前記前段ろ過水の濁度が濁度目標値以下の場合は、前記前段ろ過のみでろ過処理したろ過水を得ることを特徴とする浄水処理方法。
  2. 前記ろ過水に紫外線を照射することを特徴とする請求項1に記載の浄水処理方法。
  3. 前記前段ろ過が、前記後段ろ過に使用されるろ過材の有効径より大きいろ過材を用いた急速ろ過処理を行うことを特徴とする請求項1又は2に記載の浄水処理方法。
  4. 前記低濃度原水の濁度に基づいて、前記低濃度原水に添加する無機凝集剤の注入率を制御することを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の浄水処理方法。
  5. 原水に無機凝集剤を添加する無機凝集剤添加手段と、
    前記無機凝集剤が添加された原水中にフロックを形成させて沈殿させ、凝集沈殿処理水を得る凝集沈殿手段と、
    前記原水の濁度を検出し、濁度検出値を得る原水濁度検出手段と、
    前記原水の前記濁度検出値が基準値以下の場合に、前記原水をろ過材の有効径に対して800倍以下のろ過層厚を有し、前記ろ過材としてアンスラサイト、粒状活性炭、ろ過砂のいずれかによる単層ろ過層でろ過し、前段ろ過水を得る前段ろ過手段と、
    前記凝集沈殿処理水を急速ろ過してろ過水を得る後段ろ過手段と、
    前記前段ろ過水の濁度を検出し、濁度検出値を得るろ過水濁度検出手段と、
    前記原水の濁度検出値が前記基準値以下の場合に、前記凝集沈殿手段をバイパスして前記前段ろ過手段に前記原水を供給するように、前記原水の供給の切り替えを行う原水切り替え手段と、
    前記前段ろ過水の濁度検出値に基づいて、前記前段ろ過水を前記後段ろ過手段に供給するか、前記後段ろ過手段をバイパスして前記前段ろ過水をろ過水とするかを切り替えるろ過水切り替え手段と、
    前記原水濁度検出手段及び前記ろ過水濁度検出手段の濁度検出値に基づいて、前記原水切り替え手段及び前記ろ過水切り替え手段を制御する制御手段と、
    を備えることを特徴とする浄水処理装置。
  6. 前記前段ろ過手段のろ過水位を検知する水位計と、
    前記水位計により検知された前記ろ過水位が予め定められた高さ以上となった場合に、ろ過層の上部のろ過層上部水域に高分子凝集剤を添加する高分子凝集剤添加手段と、
    を備える請求項5に記載の浄水処理装置。
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