JP2005211804A - 逆洗付き2段細砂ろ過装置及びその方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 急速ろ過法、緩速ろ過法に代わり得る、運転操作が容易で、完全自動化でき、オペレーターが不要な、安全で美味しい浄水を得ることができる浄水装置または浄水方法を提供すること。
【解決手段】 逆洗付き2段細砂ろ過法による。前段では30〜200m/日でろ過し、このろ過によって濁質の大半と有機物の50%程度が除去される。後段では10〜75m/日でろ過する。後段のろ過の主目的は有機物および異臭味物質の生物分解である。この方式では、無薬注で浄水が行えるので、前段・後段共にろ過損失水頭を基準に自動逆洗を行えば連続運転ができ、完全自動化または無人運転が可能である。
【選択図】 図1
【解決手段】 逆洗付き2段細砂ろ過法による。前段では30〜200m/日でろ過し、このろ過によって濁質の大半と有機物の50%程度が除去される。後段では10〜75m/日でろ過する。後段のろ過の主目的は有機物および異臭味物質の生物分解である。この方式では、無薬注で浄水が行えるので、前段・後段共にろ過損失水頭を基準に自動逆洗を行えば連続運転ができ、完全自動化または無人運転が可能である。
【選択図】 図1
Description
本発明は河川表流水、湖沼水、ダム水、河口堰水などの原水から浄水を得るための濁水処理に関するものである。さらに詳しくは、やや汚濁した原水の中高速砂ろ過法または緩速砂ろ過法に関し、原水を安全で美味しい飲み水にする浄水装置に関するものである。さらに、上水の製造の他、超純水の製造、工業用水の浄化装置に関するものである。
水道水の浄水方法は、河川水や湖沼水に凝集剤を加えて沈殿分離と急速ろ過を行う急速ろ過法が最も一般的である。比較的きれいな原水が確保できる自治体では標準的な緩速ろ過法も用いられている。その他に新しい方法として膜ろ過法があるが、一般的ではない。水道全体の20%程度は全く浄水しないで地下水や伏流水を汲み上げ塩素消毒する直送方式で給水している。
都市においては原水の水質悪化に歯止めがかからない状態である。また地方においても地下水源の枯渇、水質悪化が悩みの種であり、最終的には河川表流水に頼らざるを得ないところもある。また、ダムの水質は悪化の傾向にある。これらの傾向は住民の上水道水質改善要求の高まりと共に、高度処理する又はしないに関わらず、浄水装置の複雑化・大型化を招くものである。
また、急速ろ過法はPAC(ポリ塩化アルミニウム)などのアルミニウム系凝集剤を使用するが、これらの薬品が水道水に混入することは避けられない。膜ろ過法も同じようにPACを使用するのが標準的浄水法の1つとなっている。アルミニウムはアルツハイマー症状をもたらすことが知られており、水道の水質基準にも規制項目として入れられることになった。水道水が基本的に国民の健康を支えるものである以上、無薬注の浄水が期待されるところであるが、無薬注ではこれらの浄水装置の運転は無理である。
緩速ろ過法はバクテリアによる浄水であり、薬品を加える必要が無く、水質も良好である。しかしながら、ろ過速度が4〜5m/日と非常に遅く、河川表流水や湖沼水など汚濁した原水に対しては目詰まりを起こす。そのため砂の削り取りが必要になり、作業の手間がかかる。また、削り取りの後で浄水を得るには2週間程度の慣らし運転が必要であり、その間、水道水が供給されず、水が不足する。
以上のように、現在の浄水方法には問題点が多い。さらに地方自治体が河川表流水を原水として小規模浄水場を建設しようとする場合、適当な方法がないのが現状である。小さな河川の水は濁水になり易く、有機物が多いのは水量が少ないためである。これを急速ろ過法で浄水しようとすると、オペレーターの確保が大きな問題となる。他の緩速ろ過法や膜ろ過法では技術的に対応できないことが多い。結局、このような場合、谷川の無浄化水をそのまま使うか、水質に問題がある地下水を使うなど、国民は最低限の水質保証さえ得られていないこともある。このような小規模水道に対して、対応できる技術の開発が待たれている。
急速ろ過法、緩速ろ過法に代わり得る、運転操作が容易で、完全自動化でき、オペレーターが不要な、安全で美味しい浄水を得ることができる浄水装置または浄水方法を提供することが課題である。
国民の要求はより美味しい安全な水の提供、および無薬注の浄水であるが、浄水方法の主流である急速ろ過法は、代わりの浄水技術がないために相変わらず利用しなければならない。新しい技術として持てはやされていた膜ろ過法も汚濁した原水に対しては無薬注では処理できないのが一般的である。さらに、急速ろ過法および膜ろ過法は、有機物分解能力が無く、濁質の除去だけである。これらの方法に代わる無薬注で、しかも有機物を分解するシステムの開発が待たれている。
しかし、無薬注で、しかも有機物を分解するシステムである従来の緩速ろ過法は維持管理の問題と、大きな規模となる問題が解決出来る目途が立たない。そこで、緩速ろ過法のこれらの欠点を解決する新技術の開発が課題である。
次に、地方の町村において小規模浄水に対応した技術がないため、高コストの膜ろ過法を使うとか、浄水しない谷川の水を利用するなどの事態が起きているが、これらに応える技術の開発が急務である。また、地方の小規模浄水場において運転容易で簡単な浄水施設が可能となるならば、大規模長距離配管が不要となり、結果として安価な水道を供給できることになる。そのような小規模浄水技術が待たれる。
本特許の発明者らが先に出願した特許「細砂緩速ろ過装置及びその方法」は、上記の問題を解決するものであった。逆洗付き細砂緩速ろ過は薬品や特殊な膜を使用せず、緩速ろ過のろ過機能と有機物分解機能を保持しながら、維持管理が容易で、簡単な浄水システムを実現した。
しかしながら、汚濁が激しい原水、たとえば都市河川や湖沼水を原水とする場合にも適用できる装置、およびその装置の自動化、さらにはその装置の簡略化について研究開発が待たれている。地方であっても汚濁した河川が多く、これらに対応できる装置及びシステムが望まれる。
本発明は前記の特許を基本的技術として改良したものである。薬品や特殊な膜を使わないこと、砂のみでろ過することから分類すると原理的には緩速ろ過に近いものである。しかし、ろ過速度から見ると中速砂ろ過と見なすことができ、管理が容易な方法である。
前記の特許では、汚濁が激しい河川表流水などに対しては、前段を逆洗装置付き細砂ろ過、後段を細砂緩速ろ過という装置及びシステムであった。この方法では、原水の汚濁が低い場合は前段の自動逆洗があればほとんど人手を要しない。しかし、汚濁が激しいときは後段も目詰まりすることがあり、砂の削り取りが必要である。もちろん削り取り回数は非常に少ないことから、従来の緩速ろ過法に比べ人手はほとんどかからない。
しかしながら、完全に無人運転という所までは至っていなかった。
そこで、本発明では、1年間にわたる河川表流水の2段ろ過浄水実験を行った結果、細砂を用いた逆洗付き2段細砂ろ過という方法を生み出した。
前段の細砂ろ過では30〜200m/日でろ過する。このろ過によって濁質の大半と有機物の50%程度が除去される。河川増水時の濁質もこの前段で除去される。ろ過層は次第に損失水頭が高くなるから、原水池の水位が上限界に達したならば、逆洗モードに入る。逆洗水は排水処理する。なお、前段に河川表流水等の取水を供給する手段は、ポンプ設備に限らず、水位の落差を利用する自然落下による方法も可能であることは言うまでもない。
ろ過速度が前記の特許の上限を超えることができたのは、後段に逆洗付き砂ろ過池があるためである。下限は特に制限はないが、後段より高くなければシステムとしての特長が無くなる。
原水の濁度が低く、ろ過速度10〜50m/日と低い場合、前段でろ過された水は、そのまま浄水とすることが出来るが、高度浄水を目指してさらに後段でろ過する。後段のろ過の主目的は有機物及び異臭味物質の生物分解である。したがって、ろ過速度は低いほど良い。なお、後段に、前段のろ過水を供給する手段は、ポンプ設備に限らず、水位の落差を利用する自然落下による方法も可能であることは言うまでもない。
2段の砂ろ過による有機物の分解割合は、原水によって異なるが、概ね50〜90%である。緩速ろ過法の場合、ろ過速度は4〜5m/日であるが、本発明では緩速ろ過法の10倍程度の速度が可能である。緩速ろ過法では濁質除去や有機物分解は、ろ過砂の表面から数mmの範囲で行われる。そのため削り取りは砂1cm程度でよい。本発明においては、濁質は十分に除去されるので問題はないので、有機物分解について説明する。
ろ過速度が高い場合、有機物の分解は立体的に行われる。ろ過速度10m/日までの場合は、バクテリアの固まる部分、すなわちろ過膜が肥大する所は、主に砂の表面から5mm程度の範囲である。ろ過速度を50m/日とした場合、砂層3cm程度がろ過膜肥大部分となる。従来の砂の削り取りでは6cm程度除去する必要があり、これは現実に作業出来る砂厚ではない。しかし、本発明ではろ過速度は高いが、逆洗を行うので砂を削り取る必要がなくこの問題はない。緩速ろ過法では、この砂の削り取りを逆洗に置き換えるということは、過去には無かったことである。
緩速ろ過法で、砂の削り取り以外の方法が発明されなかったのは、砂の粒径が0.6mm程度と大きく、逆洗装置が大規模となり非現実的であること、逆に、砂の粒径を小さくすると目詰まりによりろ過速度を上げることが出来なかったためである。
先ず、緩速ろ過法で砂の粒径0.6mmの砂層が逆洗できないことについて述べる。砂粒径が大きくなると逆洗速度を高くしなければ砂を流動化できず、現在の緩速ろ過装置を800〜1000m/日程度で逆洗するためのポンプ、配管、排水施設いずれを持ってしても非現実的な規模となる。ここで、逆洗速度を下げるために細砂を使うと、ろ過中に短時間で目詰まりを起こし、削り取りばかり行うこととなり、運転不能になる。
次に、緩速ろ過法でろ過速度を上げられない理由について述べる。ろ過速度を上げると濁質がそのまま漏出してしまうため、ろ過速度を下げて砂表面に、ろ過膜の発達を促し、これによって濁質を砂上面に捕捉させるのである。砂は上部1cm程度削り取れば再生する。
本発明では、後段は機能的に緩速ろ過法そのものであるが逆洗出来るのは、前段で逆洗付きろ過が行われているためである。既に濁質は前段で除去されており、ろ過速度を上げることが出来る。数ヶ月に1回程度の逆洗は、ろ過膜の損傷を押さえて緩速ろ過法の機能を発揮させることになる。前段がある故に後段の逆洗付きろ過が可能になるのである。
これに対して、前段は濁質除去だけでなく有機物も除去するが、河川表流水などのように汚濁している原水では、逆洗回数は1日1回以上行われるから、ろ過膜の損傷は免れない。しかし、前段で除去できなかった有機物も、後段でほぼ完全に除去できるので、2段ろ過の重要性がある。
後段において、ろ過速度を50m/日でも可能であることを述べたが、最高速度について検討する。河川の有機物をろ床方式で浄化する場合、1〜2時間の処理時間が必要である。ろ床方式の場合、ろ過膜に相当する生物膜の表面積は1m3当たり50m2程度である。一方、粒径0.1mmの砂では表面積はその300倍にも達する。このようにろ過膜が高密度であるから、短時間で分解できる。しかしながら、生物による処理であるから、無限に早く浄水出来るわけではない。排水処理など特別に高度処理する場合、処理時間は30分である。したがって、本発明の場合も30分を限界とするのが妥当である。砂の厚さを1mとすると、ろ過速度は2m/時すなわち約50m/日となる。さらに、多少性能を落としても良いと考えたとしても、75m/日が限度である。
本発明の逆洗速度は基本的には前記の特許を踏襲する。細砂の場合は30〜500m/日、微細砂の場合は20〜200m/日とする。ただし、細砂の範囲は前記の特許に比べやや大きな粒径までを含み、0.05〜0.3mmとする。これは2段逆洗付きろ過による、ろ過能力の向上により粒径範囲が拡大したためである。
河川表流水など汚濁した原水の場合、ゴミ類も同時に流入する。その対策は標準の緩速ろ過法と同じように必要である。しかし、緩速ろ過法の普通沈殿池が滞留時間約8時間であるのに対して、本発明では2時間以内がよい。8時間の池はゴミ以外に汚泥除去に効果があり、緩速ろ過法の緩速ろ過池の目詰まりを起こさせないために重要であったが、逆に藻類が繁殖するという欠点があった。本発明では、汚泥は混入しても逆洗で除去できるから問題がない。
沈殿池は藻類対策として覆蓋することが好ましい。沈殿池の代わりにゴミ除去用のろ過器を使用することもできる。ただし、予め沈砂を行う必要がある。
次に、本発明の完全自動化について記述する。前段と後段の逆洗付きろ過は、仕組みが極めて簡単でありトラブルを発生させる部位は無い。また薬品を使用しないから、その維持管理業務はない。逆洗付き細砂ろ過装置の前段・後段共に、ろ過層の損失水頭を基準に逆洗する自動制御をすれば完全自動化できる。原水濁度が上昇したとしても何ら調整するところはなく、単に前段の逆洗回数が多くなるだけである。もちろん、後段は全く影響を受けない。極端な濁水に対しては数時間の流入停止で対応できる。急速ろ過法のようなオペレーターは不要である。オペレーターが要らないというのは地方の小規模浄水場にとって極めて重要な要素である。
浄水施設を設置する場合、施設面積が問題になる。仮に、2万m3/日の浄水場で必要な池面積を試算すると、緩速ろ過法では普通沈殿池と緩速ろ過池を合わせて、約6400m2、急速ろ過法では混和池、フロック形成池、沈殿池、急速ろ過池、排水処理施設などを合わせて総計1700m2となった。これに対して本発明の施設は前段のろ過速度を70m/日、後段のろ過速度を20m/日とすると、2000m2であった。池の周辺に空間を取る必要があり、それを加味した結果、総面積比は、緩速ろ過法:急速ろ過法:本発明=3:1:1となった。
本発明は自動逆洗のみで、維持管理が容易で無人運転できるシステムである。従来の視点からは、後段は砂の削り取り方式とすべき所であるが、これが排除できた。また、前段を緩速ろ過法の前処理と考えて、凝集剤を使用することで急速ろ過とするのが従来の開発であり、実際、現在まで、そのような装置が作られてきた。しかし、敢えてそれを排し、逆洗だけで砂が再生できるシステムを作り上げた。もしも、前段に凝集剤を使用したならば、濁度の変化に凝集剤濃度を連動させなければならず、細砂は凝集剤と一体化してマッドボールを生成し、運転不能になる。結局、粒径1mm程度の粗い砂を使うことになっていたであろう。
本発明は、完全自動化を基本とした発明であるためオペレーターはゼロである。従来の技術の急速ろ過法は、実質上オペレーターの常駐が不可欠である。無人運転では濁質の変動に対応できず、小規模施設には不適である。無薬注にすることにより、無人運転が可能になった。一方、緩速ろ過法は無人であるが、濁質の流入や普通沈殿池での藻類の繁殖は多くのトラブルを発生し、原水水質が悪いとき、トラブル解決に多くの人手を要する。
本発明は装置が簡単で、安全な飲み水を提供することが出来る。特に河川水、湖沼・ダム水などで汚濁が進行している原水の濁質を除去し、有機物を除去することができる。無薬注であるから安心して水道水とすることが出来る。また、汚泥の発生量が少なく汚泥処理が簡単である。さらに、完全自動化が容易であり、維持管理に高度な技術を要しないことから、小規模水道の浄水に適当である。本発明は工業用水の浄化、超純水の前処理としても有用なものである。
次に、図を用いて、本発明を実施するための最良の形態について説明する。図1は典型的な逆洗付き2段細砂ろ過装置の説明図である。原水10は除ゴミ施設で浮遊ゴミと砂が除去される。この前処理をうけた水11は前段逆洗付き砂ろ過池2において、細砂によって、ろ過速度30〜200m/日のろ過を受ける。この段階で濁質は除去され、有機物の半分が除去される。前段でろ過された水12は中間池である前段ろ過池3に入った後、後段逆洗付きろ過池4において、細砂によって、ろ過速度10〜75m/日のろ過を受ける。2段砂ろ過を受けた水は浄水15となる。
除ゴミ施設1は沈殿池あるいは粗ろ過器などで構成され、浮遊物質と砂泥を除去する。沈殿池の滞留時間は概ね2時間以内であり、藻類の繁殖を防ぐものとする。沈殿の性能を高めるため、さらに滞留時間を長くする場合は覆蓋することを基本とする。
前段逆洗付きろ過池2の構造は急速ろ過池に類似しているが、最上部に入れる砂が細砂ろ過層7である。砂の粒径は、篩目でいうならば最大で0.3mm、最低は0.05mmである。
逆洗には前段ろ過水12若しくは浄水15を用いる。逆洗速度は30〜500m/日である。逆洗に使用する総水量は充填層(砂利・砂支持層と細砂層)の容量の1〜3倍で、急速ろ過法に比べて数分の1でよい。これは、凝集剤を用いないので汚泥の分離が良好なためである。
逆洗後、ろ過開始からろ過水が正常になるまでの水量は概ね充填層容量の1〜3倍である。緩速ろ過法では砂削り取り後2週間程度は浄水が安定しないが、本発明では砂の粒径が小さいため、ろ過開始と同時に濁質の漏出が止まり、捨水である逆洗排水14はきわめて少ない。
逆洗排水14に含まれる濁質は、河川表流水中の濁質で自然由来の成分であり問題はなく、かつ僅かである。排水処理施設9は、それぞれの原水に合わせた簡単な方法を採用できる。
覆蓋8は基本的には全ての池が対象になる。太陽光線は池で藻類を繁殖させ、結果として水質が悪化する。緩速ろ過法と違い、ろ過速度が速い本発明では藻類は目詰まりを起こしやすいため、遮光するほど良い。特に、後段の逆洗付き砂ろ過池4は逆洗が数ヶ月に1回程度であるから覆蓋しなければ藻類が繁殖する。一方、前段の逆洗付き砂ろ過池2では1日1回以上逆洗が起こることが一般的であるため覆蓋は絶対条件ではない。
次に、実施例によって、この発明をさらに詳細に説明する。
有機物がほとんどない原水を使用し、水温10℃以下で実験した。すなわち、生物膜がろ過層に生成せず篩効果のみによるろ過実験である。装置の説明図を図2に示す。前段逆洗付き砂ろ過カラム17は直径12.5cmの透明な塩ビ管であり、下部に砂利・砂層6を充填し、その上に篩区分0.15〜0.25mmの細砂を30cm充填し細砂ろ過層7とした。このカラムで原水を30〜160m/日の速度でろ過したところ、濁度は95%除去された。ただし、ろ過速度140m/日では除去率は90%と悪化し、それ以上ではさらに悪くなると共に、損失水頭も高くなった。実験データから判断すると、損失水頭2m以内とすると、ろ過速度は200m/日が限度である。実際の原水では生物膜が発達するため、濁質は99%以上ろ過できると推察されるが、150m/日を超える場合は濁質の漏出に留意しなければならない。また、篩区分0.11〜0.15mmの砂を使用すると、ろ過速度の上限は150m/日であった。
実施例1の前段ろ過水12(平均濁度0.3度)の水を、後段の直径150mmの後段逆洗付き砂ろ過カラム18を通した。ろ過速度は20〜70m/日とした。浄水15は濁度0.1度以下であった。前段逆洗付き砂ろ過カラム17は逆洗が1〜2回/日であったのに対し、後段逆洗付き砂ろ過カラム18は実験期間中、目詰まりしなかった。原水の濁質が1/20程度であることおよび濁質粒径が小さいことが原因である。予想されたことではあるが、後段逆洗付き砂ろ過カラム18の逆洗回数は前段の100分の1以下である。
実施例1の実験において、逆洗終了後、通水量が充填層容量の2倍から次の逆洗が始まるまでの浄水15の濁度変化を測定した。最初から最後まで大きな変化は無かった。
河川表流水を用いた逆洗付き2段砂ろ過実験を行った。実験装置の説明図を図3に示す。河川表流水20は目開き1mmのフィルターでろ過後、原水槽19に入る。前段逆洗付き砂ろ過池2は直径60cmで観察窓がある。ろ過砂は、篩の主な区分0.25〜0.3mmが45%、0.15〜0.25mmが40%程度、0.11〜0.15mmが15%のものを30cm充填した。ろ過速度50m/日、逆洗速度210m/日で運転した。逆洗は表面洗浄も併用したが、空気は入れなかった。河川表流水20の濁度は約2度、しばしば濁流が流れ込み濁度30〜50度のこともあった。晴天時は1日1〜2回逆洗が働いた。前段ろ過水12の濁度は0.1度以下、過マンガン酸消費量は50%減少した。河川表流水20が濁水時も濁度0.1度以下であった。濁水時は数時間間隔で逆洗された。12ヶ月間の運転でトラブルは発生せず、実質上メインテナンスフリーであった。
後段逆洗付き砂ろ過池4は、前段ろ過水12の一部を使用した。カラムの直径は90cmである。ろ過層は前段と同じものを50cm充填した。ろ過速度は10m/日である。浄水15は濁度0.1度以下であり、過マンガン酸消費量は原水の76%減少した。9ヶ月間、目詰まりは発生せず、メインテナンスフリーであり、トラブルは全く発生しなかった。
実施例4の実験において、9ヶ月後、後段逆洗付き砂ろ過池4の損失水頭が1.2mを超えた。そこで砂層を調べたところ、表面の砂3mmだけが目詰まりしていた。6mmまでと、その下6〜12mmまでの砂を採取し、汚泥の強熱減量を測定した。最上部6mmまでが92%、その下が91%であった。すなわち汚泥の大半は有機物であることが判明した。後段逆洗付き砂ろ過池4は主に有機物除去として働いている。
実施例5の実験の後、後段逆洗付き砂ろ過池4の逆洗を行った。逆洗速度は80m/日、逆洗水量は充填層容量の約50%である。その結果、大量の汚泥が細砂上部だけでなく、内部からも剥離された。逆洗後ろ過を再開したが、充填層容量の約1倍流した後は清澄な浄水15が得られた。
実施例6の実験の後、後段逆洗付き砂ろ過池4の目詰まりが起きた時、120m/日で逆洗した。砂表面の一部が固まりとなっていたので表面洗浄も行った。その結果、砂の削り取りは不要であった。
実施例6および実施例7の結果から、逆洗付き2段細砂ろ過においては、いずれの段も、逆洗水量は充填層容量の1倍、ろ過再開後の捨水の量は充填層容量の1〜2倍で浄水が得られることが判明した。
逆洗速度と砂膨張率の実験を行った。直径125mmの透明カラムにろ過層を設置し、逆洗した。篩区分0.15〜0.25mmの砂を20cm充填して測定したところ、砂膨張率は逆洗速度40m/日で10%、300m/日で110%であった。実装置ではこの実験の砂より、やや粒径の小さい0.3mmの砂まで含むことを考慮すると、実装置の逆洗速度は30〜500m/日の範囲で選定することになる。
実施例3において、細砂の代わりに篩区分0.11〜0.15mmの微細砂を20cm充填して砂膨張率を測定した。砂が流動化するのは、逆洗速度が30m/日以上であった。これよりさらに微細な砂の場合もあることを考慮すると、微細砂層を適度に流動させるための逆洗速度は、20〜200m/日であった。
1 除ゴミ施設(沈殿池、粗ろ過器)
2 前段逆洗付き砂ろ過池
3 前段ろ過池
4 後段逆洗付き砂ろ過池
5 集水・分水部
6 砂利・砂支持層
7 細砂ろ過層
8 覆蓋
9 排水処理施設
10 原水
11 前処理水
12 前段ろ過水
13 逆洗水
14 逆洗排水
15 浄水
16 原水タンク
17 前段逆洗付き砂ろ過カラム
18 後段逆洗付き砂ろ過カラム
19 原水槽
20 河川表流水
2 前段逆洗付き砂ろ過池
3 前段ろ過池
4 後段逆洗付き砂ろ過池
5 集水・分水部
6 砂利・砂支持層
7 細砂ろ過層
8 覆蓋
9 排水処理施設
10 原水
11 前処理水
12 前段ろ過水
13 逆洗水
14 逆洗排水
15 浄水
16 原水タンク
17 前段逆洗付き砂ろ過カラム
18 後段逆洗付き砂ろ過カラム
19 原水槽
20 河川表流水
Claims (6)
- 河川や地下などから取水した水をろ過して飲料水又は洗浄水を生成する細砂ろ過装置において、該細砂ろ過装置の細砂層の目詰まり時に逆洗再生するための装置を配設した逆洗付き細砂ろ過装置を前段と後段の2段に直列配置し、該前段では、ろ過速度を30〜200m/日とする該取水を供給するためのポンプ設備と逆洗速度30〜500m/日とする逆洗再生のためのポンプ設備を備えており、該後段ではろ過速度を10〜75m/日とする該前段のろ過水を供給するための設備と逆洗速度30〜500m/日とする逆洗再生のためのポンプ設備を備えることを特徴とする逆洗付き2段細砂ろ過装置。
- 請求項1において、上記の前段又は後段の逆洗付き細砂ろ過装置の逆洗するタイミングをタイマー又はろ過損失水頭によって決定することにより、該逆洗付き細砂ろ過装置の運転を完全自動化することを特徴とする逆洗付き2段細砂ろ過装置。
- 請求項1及び請求項2において、上記の逆洗付き2段細砂ろ過装置の前処理として沈殿池又はゴミろ過装置を配設することを特徴とする逆洗付き2段細砂ろ過装置。
- 河川や地下などから取水した水をろ過して飲料水又は洗浄水を生成する細砂ろ過装置において、該細砂ろ過装置の細砂層の目詰まり時に逆洗再生するための装置を配設した逆洗付き細砂ろ過装置を前段と後段の2段に直列配置し、該前段では、ろ過速度を30〜200m/日とする該取水を供給するためのポンプ設備と逆洗速度30〜500m/日とする逆洗再生のためのポンプ設備を備えており、該後段ではろ過速度を10〜75m/日とする該前段のろ過水を供給するための設備と逆洗速度30〜500m/日とする逆洗再生のためのポンプ設備を備えることを特徴とする逆洗付き2段細砂ろ過方法。
- 請求項4において、上記の前段又は後段の逆洗付き細砂ろ過装置の逆洗するタイミングをタイマー又はろ過損失水頭によって決定することにより、該逆洗付き細砂ろ過装置の運転を完全自動化することを特徴とする逆洗付き2段細砂ろ過方法。
- 請求項4及び請求項5において、上記の逆洗付き2段細砂ろ過装置の前処理として沈殿池又はゴミろ過装置を配設することを特徴とする逆洗付き2段細砂ろ過方法。
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JP2004022432A Pending JP2005211804A (ja) | 2004-01-30 | 2004-01-30 | 逆洗付き2段細砂ろ過装置及びその方法 |
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JP (1) | JP2005211804A (ja) |
Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2008104901A (ja) * | 2006-10-23 | 2008-05-08 | Hitachi Plant Technologies Ltd | 合流式下水処理システム |
WO2010125662A1 (ja) * | 2009-04-30 | 2010-11-04 | Miyazaki Toyofumi | 微生物処理に優れた緩速濾過装置 |
CN103803667A (zh) * | 2014-02-28 | 2014-05-21 | 环境保护部南京环境科学研究所 | 一种两级漠沙滤池及其废水处理方法 |
CN104174220A (zh) * | 2014-09-05 | 2014-12-03 | 上海华畅环保设备发展有限公司 | 压水堆核电站反应堆水池净化回路冷却水旋流净化方法与装置 |
RU2720116C1 (ru) * | 2019-12-30 | 2020-04-24 | Акционерное Общество "Научно-Исследовательский И Проектно-Конструкторский Институт Энергетических Технологий "Атомпроект" | Самоочищающаяся система очистки жидкости |
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2004
- 2004-01-30 JP JP2004022432A patent/JP2005211804A/ja active Pending
Cited By (6)
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JP2008104901A (ja) * | 2006-10-23 | 2008-05-08 | Hitachi Plant Technologies Ltd | 合流式下水処理システム |
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CN104174220B (zh) * | 2014-09-05 | 2016-03-30 | 上海华畅环保设备发展有限公司 | 压水堆核电站反应堆水池净化回路冷却水旋流净化方法与装置 |
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