JP2006102620A - 水処理装置及び水処理方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】活性炭を添加して原水中の汚染物質を除去する水処理において、活性炭の吸着容量をより有効に活用することができ、さらには活性炭の使用量を減らすことができ、活性炭に起因する排出汚泥の量を減らすことができる水処理装置及び水処理方法を提供する。
【解決手段】活性炭を添加して原水中の汚染物質を除去する水処理装置であって、原水に活性炭を添加するための活性炭注入手段と、活性炭が添加された処理水をろ過して、活性炭を捕捉し、ろ過水を得るろ過手段と、ろ過手段により捕捉された活性炭を回収する回収手段と、回収された活性炭のうち少なくとも一部を原水に添加するための循環手段と、を有する水処理装置である。
【選択図】図1
【解決手段】活性炭を添加して原水中の汚染物質を除去する水処理装置であって、原水に活性炭を添加するための活性炭注入手段と、活性炭が添加された処理水をろ過して、活性炭を捕捉し、ろ過水を得るろ過手段と、ろ過手段により捕捉された活性炭を回収する回収手段と、回収された活性炭のうち少なくとも一部を原水に添加するための循環手段と、を有する水処理装置である。
【選択図】図1
Description
本発明は、活性炭を添加して原水中の汚染物質を除去する水処理装置及び水処理方法に関する。
従来より、浄水施設においては、凝集沈殿処理、砂ろ過処理を基本として、水処理が行われている。一方、取水源の水質(原水水質)が悪い場合には、処理水に臭気が残る、有害有機汚染物質等が残るという問題があり、このために活性炭吸着処理が行われる。
原水水質が、定常的に悪い場合には、粒状活性炭を充填した活性炭吸着塔を設け、砂ろ過処理水を活性炭吸着処理している。一方、原水水質が悪化する日数が少ない場合には、活性炭吸着塔を設けるのは得策でなく、原水水質が悪化した時に、粉末活性炭を投入し、臭気対策とすることが多い。この場合、粉末活性炭は、凝集沈殿処理の前段階で原水に投入され、凝集沈殿汚泥の一部として排除される。
活性炭吸着処理において、水に注入された粉末活性炭等の活性炭の吸着容量のうち、臭気物質や有害有機汚染物質等の吸着に実際に使われているのは極一部であることがわかった。従来の水処理では、沈澱池等で水から分離された粉末活性炭は、まだ多くの吸着能力を有しているにもかかわらず、汚泥として処理・処分されていることになり、また、注入した粉末活性炭は全量汚泥となり、その分汚泥量の増大となる。このため、濃縮・脱水などの汚泥処理工程に負荷がかかると同時に、脱水汚泥の処分費用の増大にもつながっている。
本発明は、活性炭を添加して原水中の汚染物質を除去する水処理において、活性炭の吸着容量をより有効に活用することができ、さらには活性炭の使用量を減らすことができ、活性炭に起因する排出汚泥の量を減らすことができる水処理装置及び水処理方法である。
本発明は、活性炭を添加して原水中の汚染物質を除去する水処理装置であって、原水に活性炭を添加するための活性炭注入手段と、前記活性炭が添加された処理水をろ過して、前記活性炭を捕捉し、ろ過水を得るろ過手段と、前記ろ過手段により捕捉された活性炭を回収する活性炭回収手段と、前記回収された活性炭のうち少なくとも一部を前記原水に添加するための循環手段と、を有する。
また、前記水処理装置における、前記循環手段において、前記ろ過手段が有する処理水の一部を取り出し、前記回収された活性炭のうち少なくとも一部と混合して、前記原水に添加することが好ましい。
また、前記水処理装置において、前記ろ過手段における損失水頭を検出する損失水頭検出手段をさらに有し、前記検出された損失水頭に基づいて、前記循環手段による前記回収された活性炭の添加を制御することが好ましい。
また、前記水処理装置において、前記回収された活性炭の吸着能力を検出する吸着能力検出手段をさらに有し、前記検出された活性炭の吸着能力に基づいて、前記活性炭注入手段による活性炭の添加を制御することが好ましい。
また、前記水処理装置において、前記ろ過手段は、フィルタにより前記活性炭を捕捉し、前記活性炭回収手段は、前記フィルタを逆洗することにより、捕捉された前記活性炭を回収することが好ましい。
また、前記水処理装置において、前記ろ過手段は、ディスク状フィルタを有する回転円板型ろ過装置であることが好ましい。
また、本発明は、活性炭を添加して原水中の汚染物質を除去する水処理方法であって、原水に活性炭を添加するための活性炭注入工程と、前記活性炭が添加された処理水をろ過して、前記活性炭を捕捉し、ろ過水を得るろ過工程と、前記ろ過工程により捕捉された活性炭を回収する活性炭回収工程と、前記回収された活性炭のうち少なくとも一部を前記原水に添加するための循環工程と、を含む。
また、前記水処理方法における、前記循環工程において、前記ろ過工程における処理水の一部を取り出し、前記回収された活性炭のうち少なくとも一部と混合して、前記原水に添加することが好ましい。
また、前記水処理方法において、前記ろ過工程における損失水頭を検出する損失水頭検出工程をさらに含み、前記検出された損失水頭に基づいて、前記循環工程における前記回収された活性炭の添加を制御することが好ましい。
また、前記水処理方法において、前記回収された活性炭の吸着能力を検出する吸着能力検出工程をさらに含み、前記検出された活性炭の吸着能力に基づいて、前記活性炭注入工程における活性炭の添加を制御することが好ましい。
また、前記水処理方法における、前記ろ過工程において、フィルタにより前記活性炭を捕捉し、前記活性炭回収工程において、前記フィルタを逆洗することにより、捕捉された前記活性炭を回収することが好ましい。
また、前記水処理方法における、前記ろ過工程において、ディスク状フィルタを有する回転円板型ろ過装置によりろ過を行うことが好ましい。
本発明において、活性炭を添加して原水中の汚染物質を除去する水処理装置及び水処理方法で、活性炭が添加された処理水をろ過して、捕捉された活性炭を回収し、回収された活性炭のうち少なくとも一部を循環して原水に添加することにより、活性炭の吸着容量をより有効に活用することができ、さらには新規活性炭の使用量を減らすことができ、活性炭に起因する排出汚泥の量を減らすことができる。
以下、本発明の実施形態について説明する。
本発明の実施形態に係る水処理装置の一例を図1に示す。本実施形態に係る水処理装置1は、活性炭注入装置10、ろ過装置12、逆洗用ポンプ14、逆洗排水受槽16、戻り逆洗排水用ポンプ18、ろ過水槽50等を含んで構成される。また、水処理装置1は、さらに、活性炭吸着能力測定装置20を含んでもよい。
河川水、地下水、湖沼水等の原水は、活性炭注入装置10により新規の活性炭(以後、「新規活性炭」と呼ぶ。)が注入され、一定時間配管中で滞留された後、ろ過装置12に導入される。
活性炭注入装置10は、活性炭スラリ槽52、活性炭注入用ポンプ22等を含んで構成される。活性炭スラリ槽52内で、新規活性炭は水等の溶媒によりスラリとされ、活性炭注入用ポンプ22を用いて、活性炭注入点24で原水が流入してきた配管内へ注入される。
図1に示す水処理装置1においては、活性炭注入点24において活性炭が注入された原水は、配管内において、新規活性炭と所定時間接触し、原水中の臭気物質や有害有機汚染物質等の汚染物質が吸着される。ここで、活性炭の十分な処理効果を得るために、新規活性炭と原水との接触時間を20分以上取ることが好ましい。したがって、活性炭注入点24からろ過装置12の回転ドラム32内部までの水の滞留時間が20分以上となるような位置に、活性炭注入点24とろ過装置12とを配置することが好ましい。
なお、位置的に滞留時間を20分以上とることが困難である等の場合には、図2に示すように活性炭注入点24と、ろ過装置12との間に接触槽26を設け、接触時間を確保することが好ましい。新規活性炭が注入された原水は、接触槽26において、所定時間、好ましくは20分以上滞留された後、ろ過装置12に導入される。なお、接触槽26において、活性炭注入装置10により、新規活性炭を注入してもよい。
原水に注入される活性炭としては、粉末活性炭、粒状活性炭等が挙げられるが、吸着面積が大きいことから、通常は粉末活性炭が用いられる。ここで、粉末活性炭とは、粒径が150μm以下のものをいい、水処理においては、通常、75μm以下のものが使用される。粉末活性炭としては、ヤシガラ炭、コール炭等が挙げられ、その製造方法としては、ガス賦活炭、塩化亜鉛賦活炭、燐酸賦活炭等が挙げられる。また、粉末活性炭の表面積としては、通常、700m2/g〜1400m2/gのものが通常使用される。
活性炭と所定時間接触された原水(以降、「活性炭処理水」と呼ぶ。)は、ろ過装置12に導入され、活性炭(以降、「既使用活性炭」と呼ぶ。)と、ろ過水とに分離される。ろ過装置12により回収された既使用活性炭のうち少なくとも一部は、循環されて原水に添加され、再利用される。ろ過水は、凝集沈殿装置46等により処理が行われ、砂ろ過処理、消毒処理等の後配水される。
ろ過装置12としては、例えば、回転円盤の両面に孔径1μm〜100μm程度のディスク状フィルタ28(例えば、特表2002−508235号公報参照)を装着し、回転円盤の一部を水に浸漬した回転円盤型ろ過装置が、処理能力、低い消費電力量等の点から使用される。この回転円盤型ろ過装置は、従来、粗ろ過装置として使用されていたが、本願発明者らは、粉末活性炭等の活性炭を含んだ水を、この装置に通水し、適切なフィルタの孔径を選択すれば、フィルタで活性炭の大部分を捕捉することができることを見出した。
図3に回転円盤型ろ過装置の構成の一例を示す。水処理で通常使用されている粒径75μm以下の粉末活性炭であれば、フィルタ孔径を1μm〜30μm、好ましくは10μm〜25μmの範囲とすることにより、使用した活性炭の量の70%以上を捕捉することが可能である。この場合、フィルタに捕捉されなかった既使用活性炭はろ過水側に流出する。ろ過装置12のディスク状フィルタ28の孔径は、原水に新規粉末活性炭を添加した活性炭処理水を、様々な孔径のフィルタでろ過し、活性炭の捕捉率を測定する回分式の実験を事前に行い決定することができる。なお、回転円盤型ろ過装置に代えて、長毛ろ布等をろ材とする回転ドラム型のフィルタを有するろ過装置等も利用することができる。
以下、このディスク状フィルタ28を有する回転円盤型ろ過装置を例に、ろ過方法、回収された既使用活性炭の循環方法について説明するが、回転円盤型ろ過装置に限定されるものではない。
ろ過装置12により回収された既使用活性炭のうち少なくとも一部は、循環されて原水に添加され、再利用される。また、活性炭処理水から既使用活性炭の少なくとも一部が除去されたろ過水は、ろ過水槽50に排出される。その後、凝集沈殿装置46等により処理が行われ、砂ろ過処理、消毒処理等の後配水される。
回転円盤型のろ過装置12のディスク状フィルタ28表面に付着した既使用活性炭は、ディスク状フィルタ28が軸30を中心に回転されることにより液面上に出た後、ディスク状フィルタ28のろ過水側から、逆洗用ポンプ14によってろ過水槽50中のろ過水からくみ上げられた逆洗水が噴霧されて、逆洗・剥離され、逆洗排水として回転ドラム32内より排出ライン34から排出される。逆洗排水は逆洗排水受槽16に入り、ここから、戻り逆洗排水用ポンプ18により任意に設定する所定量または逆洗排水全量が、原水に返送される。接触槽26が設けられている場合には、逆洗排水は、接触槽26に返送されてもよい。返送されなかった残りの逆洗水は、排水処理設備に移送される。
逆洗排水を原水に戻すため、回転ドラム32内の活性炭処理水中の濁質が徐々に濃縮され、ろ過装置12におけるフィルタろ過の損失水頭が増大し、回転ドラム32内の活性炭処理水の水位が上昇する。そこで、回転ドラム32の中(活性炭処理水側)には、活性炭処理水の水位を検知する検知センサ(レベルスイッチ)36を設置することが好ましい。活性炭処理水の水位が一定値(レベル高)に達したことが検知センサ(レベルスイッチ)36で検知された場合は、逆洗排水の原水への注入を抑制または停止することが好ましい。
また、制御部40を設け、この逆洗排水の原水への注入の抑制または停止は、制御部40により制御されることが好ましい。この場合、逆洗排水は所定量または全量、逆洗排水受槽16から排水処理設備へと移送される。この後は、原水水位が速やかに低下し、原水水位が一定値(レベル低)に達したことが検知センサ36で検知されると、逆洗排水の原水への返送が増加または開始されることが好ましい。逆洗排水が全量排水処理設備へ移送されているとき、つまり原水へ返送されないときは、新規活性炭のみの注入となり、この間だけは新規活性炭の注入量は逆洗排水の吸着能力を補う分、多く注入されることになる。
また、回転ドラム32内の活性炭処理水の一部を、吸引ポンプ42および配管によって、常時または間欠的に吸引し、逆洗排水と混合する機構も設けてもよい。このとき、ろ過装置12の回転ドラム32内の活性炭処理水の一部を取り出し、回収された既使用活性炭のうち少なくとも一部と混合して、原水に添加されてもよい。この機構を設けることで回転ドラム32内に流入する濁質が内部に蓄積しにくくなり、損失水頭の上昇速度が抑制される。
また、既使用活性炭が混入した逆洗排水を原水へ戻す位置は、新規活性炭注入点24の近くとすることが好ましい。また、原水に戻さない逆洗排水は逆洗排水受槽16から排水処理設備に移送するものとする。
また、原水へ返送する既使用活性炭が混入した逆洗排水の極少量を分岐して、活性炭吸着能力測定装置20へと導水し、一定時間毎に逆洗排水単位水量あたりの既使用活性炭の吸着能力を測定することが好ましい。
制御部40は、逆洗排水単位水量あたりの既使用活性炭の吸着能測定値と、返送排水管に設置した電磁流量計等の流量計44で指示される流量とから、原水に戻されている既使用活性炭の吸着能力を演算し、さらにそれをもとに、原水に注入すべき吸着能力の不足分に相当する新規活性炭量を演算し、その量を活性炭注入装置10により注入させることが好ましい。
活性炭吸着能力測定装置20は、原水に返送される既使用活性炭を含んだ逆洗排水の一部を分取し、吸着能力を測定する測定装置54に導水し、一定時間毎に、好ましくは20分〜30分毎に、単位水量あたりの吸着能力を自動測定する。吸着能力の指標としては、ヨウ素吸着能、メチレンブルー脱色力、フェノール価等が挙げられる。適切な吸着能力の指標を選択し、その指標による活性炭吸着能力測定方法を使用することが好ましい。活性炭吸着能力測定装置20は、逆洗排水を一定量容器に入れ、そこに試薬を所定量添加して、撹拌手段56等により混和接触させ、その後、吸着で減少した試薬中の成分の量を滴定などにより計測し、逆洗排水単位水量あたりの既使用活性炭の吸着能力を算出するものが好ましい。もちろん、既使用活性炭の吸着能力の測定は、上記指標を用いて、手動で滴定等により行ってもよい。
原水に返送される活性炭混入逆洗排水中の既使用活性炭の吸着能力は、測定された単位水量あたりの吸着能力と返送水量の積として求められる。新規活性炭の注入量は、あらかじめ設定した原水に注入する新規活性炭の吸着能力から逆洗排水の吸着能力を引いた差に相当する活性炭量として算出され、活性炭注入装置10にその量を注入するよう制御されることが好ましい。
以上のように、本実施形態に係る水処理装置1は以下の特徴を有する。
(1)粉末活性炭(新規活性炭)の注入点24の後段に、ディスク状フィルタ28を有するろ過装置12を配置し、既使用活性炭を捕捉し、ディスク状フィルタ28に捕捉された既使用活性炭を逆洗で剥離回収し、吸着能力を残している既使用活性炭を含んだ逆洗排水の一部または全部を原水に返送し、活性炭を循環利用する。
(2)また、既使用活性炭が濃縮された回転ドラム32内部の活性炭処理水の一部を取り出し、逆洗排水と混合し、その活性炭混入逆洗排水を原水に返送する機構を設ける。
(3)また、系内濃縮される濁質により徐々に増大していくフィルタろ過の損失水頭が一定値に達したら、活性炭混入逆洗排水の原水への返送を抑制または停止し、原水へ返送されないときは新規活性炭のみを注入し、損失水頭が一定値まで低下・回復したら、活性炭混入逆洗排水の原水への返送を増加または開始する。
(4)また、粉末活性炭混入逆洗排水に残留する既使用活性炭の吸着容量(例えば、ヨウ素吸着能)を計測し、水量を加味して原水に戻される活性炭の吸着容量を算出し、それをもとに新規の粉末活性炭を注入して補うべき吸着容量を算出し、さらにそれをもとに新規の粉末活性炭注入率を求め、活性炭注入装置10からの注入量を制御する。
(1)粉末活性炭(新規活性炭)の注入点24の後段に、ディスク状フィルタ28を有するろ過装置12を配置し、既使用活性炭を捕捉し、ディスク状フィルタ28に捕捉された既使用活性炭を逆洗で剥離回収し、吸着能力を残している既使用活性炭を含んだ逆洗排水の一部または全部を原水に返送し、活性炭を循環利用する。
(2)また、既使用活性炭が濃縮された回転ドラム32内部の活性炭処理水の一部を取り出し、逆洗排水と混合し、その活性炭混入逆洗排水を原水に返送する機構を設ける。
(3)また、系内濃縮される濁質により徐々に増大していくフィルタろ過の損失水頭が一定値に達したら、活性炭混入逆洗排水の原水への返送を抑制または停止し、原水へ返送されないときは新規活性炭のみを注入し、損失水頭が一定値まで低下・回復したら、活性炭混入逆洗排水の原水への返送を増加または開始する。
(4)また、粉末活性炭混入逆洗排水に残留する既使用活性炭の吸着容量(例えば、ヨウ素吸着能)を計測し、水量を加味して原水に戻される活性炭の吸着容量を算出し、それをもとに新規の粉末活性炭を注入して補うべき吸着容量を算出し、さらにそれをもとに新規の粉末活性炭注入率を求め、活性炭注入装置10からの注入量を制御する。
このように、本実施形態に係る水処理装置及び水処理方法により、例えば、
(1)活性炭の吸着容量をより有効に活用することができ、さらには新規活性炭の注入率を減らすことができるため、活性炭の使用量が減り、活性炭購入費用の低減が図られる。
(2)汚泥量(発生固形物量)が減り、これに伴い、汚泥処理・処分費用が低減される。
(3)水処理において前塩素注入や凝集処理を行っている場合、フィルタろ過後の段階で塩素を注入することにより、粉末活性炭による塩素や凝集剤の消費を抑制することができ、それらの使用量を減らすことができる。薬品使用量が減ることで、薬品費を減らすことができる。
等の効果を得ることができる。
(1)活性炭の吸着容量をより有効に活用することができ、さらには新規活性炭の注入率を減らすことができるため、活性炭の使用量が減り、活性炭購入費用の低減が図られる。
(2)汚泥量(発生固形物量)が減り、これに伴い、汚泥処理・処分費用が低減される。
(3)水処理において前塩素注入や凝集処理を行っている場合、フィルタろ過後の段階で塩素を注入することにより、粉末活性炭による塩素や凝集剤の消費を抑制することができ、それらの使用量を減らすことができる。薬品使用量が減ることで、薬品費を減らすことができる。
等の効果を得ることができる。
以下、実施例及び比較例を挙げ、本発明をより具体的に詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
原水取水箇所に活性炭注入装置10が配置されている凝集沈澱装置46(処理水量:500m3/day)において、凝集沈澱装置46の前段に、ディスク状フィルタ28を有する回転円盤型のろ過装置12を配置し、ろ過装置12の逆洗排水を受ける逆洗排水受槽16、および逆洗排水受槽16から逆洗排水用ポンプ18によって原水まで逆洗排水を返送する配管および逆洗排水の一部を取水して逆洗排水中の既使用活性炭の吸着能力(ヨウ素吸着能)を自動測定する活性炭吸着能力測定装置20を設置した。ろ過装置12には、回転ドラム32内部の活性炭処理水が吸引ポンプ42によって一定流量で排出できる機構を設けた。なお、活性炭注入点24からろ過装置12のディスク状フィルタ28を出るまでの滞留時間はほぼ30分に設定した。
原水取水箇所に活性炭注入装置10が配置されている凝集沈澱装置46(処理水量:500m3/day)において、凝集沈澱装置46の前段に、ディスク状フィルタ28を有する回転円盤型のろ過装置12を配置し、ろ過装置12の逆洗排水を受ける逆洗排水受槽16、および逆洗排水受槽16から逆洗排水用ポンプ18によって原水まで逆洗排水を返送する配管および逆洗排水の一部を取水して逆洗排水中の既使用活性炭の吸着能力(ヨウ素吸着能)を自動測定する活性炭吸着能力測定装置20を設置した。ろ過装置12には、回転ドラム32内部の活性炭処理水が吸引ポンプ42によって一定流量で排出できる機構を設けた。なお、活性炭注入点24からろ過装置12のディスク状フィルタ28を出るまでの滞留時間はほぼ30分に設定した。
この装置には既使用活性炭をろ過装置12で捕捉する場合としない場合の比較ができるよう、ろ過装置12を通過せずに凝集沈澱装置46に導水できるバイパスラインを設けた。また、凝集沈澱装置46からの汚泥とろ過装置12の逆洗排水受槽16から流出する逆洗排水を受けることができる排水槽48を設けた。本実施例で使用した水処理装置1の配置図を図4に、装置の仕様を以下に示す。
ろ過装置12のディスク状フィルタ28の孔径は、原水に新規粉末活性炭を添加した活性炭処理水を、様々な孔径のフィルタでろ過し、活性炭の捕捉率を測定する回分式の実験を事前に行い決定した。この実験結果から、活性炭の捕捉率が76%となる孔径25μmのフィルタを使用した。
使用した原水は、富栄養化した池から取水したものであり、実験期間中は、藻類が産生するジェオスミン等による臭気を発生し、この臭気を吸着除去するには、単位重量あたりのヨウ素吸着能が1mg/mgの粉末活性炭を20mg/L、ヨウ素吸着能として20mg/L注入することが必要であることを事前の実験において確認した。また、実験期間中は、原水水質は安定しており、原水のSSは最小7mg/L、最大12mg/L、平均でほぼ10mg/L(0.01kg/m3)であった。また、凝集沈澱処理においては活性炭の混入した原水の凝集に必要なポリ塩化アルミニウム(PAC)の注入率は80mg/Lとした。
(装置の仕様)
・処理水量:500m3/day(20.8m3/hr)
・活性炭注入装置:湿式注入方式
・粉末活性炭:石炭系活性炭(粒径30μm、表面積1100m2/g)
・回転ろ過装置:1台使用
・フィルタ:材質ポリエステル、孔径25μm
・ディスク径:φ1.5m 両面にフィルタ、ただしφ0.75m分は流入口および回転軸部
・フィルタ面積:2.6m2
・水中有効ろ過面積:1.3m2
・ろ過速度(処理水量/水中有効ろ過面積):384m/day
・逆洗水量:0.40m3/hr
・回転ドラム内活性炭混入逆洗排水の排出水量:0.8m3/hr
・損失水頭上限値(逆洗排水返送停止水位):400mmに設定
・損失水頭下限値(逆洗排水返送開始水位):100mmに設定
・逆洗排水受槽:容量0.5m3
・ヨウ素吸着能測定装置:測定時間20分に1回
・凝集沈澱装置:凝集槽容量1m3+フロック形成槽3.5m3×2槽+沈澱池60m3
・沈澱池:横流式沈澱池 表面負荷率17mm/min
・排水槽容量:10m3
・処理水量:500m3/day(20.8m3/hr)
・活性炭注入装置:湿式注入方式
・粉末活性炭:石炭系活性炭(粒径30μm、表面積1100m2/g)
・回転ろ過装置:1台使用
・フィルタ:材質ポリエステル、孔径25μm
・ディスク径:φ1.5m 両面にフィルタ、ただしφ0.75m分は流入口および回転軸部
・フィルタ面積:2.6m2
・水中有効ろ過面積:1.3m2
・ろ過速度(処理水量/水中有効ろ過面積):384m/day
・逆洗水量:0.40m3/hr
・回転ドラム内活性炭混入逆洗排水の排出水量:0.8m3/hr
・損失水頭上限値(逆洗排水返送停止水位):400mmに設定
・損失水頭下限値(逆洗排水返送開始水位):100mmに設定
・逆洗排水受槽:容量0.5m3
・ヨウ素吸着能測定装置:測定時間20分に1回
・凝集沈澱装置:凝集槽容量1m3+フロック形成槽3.5m3×2槽+沈澱池60m3
・沈澱池:横流式沈澱池 表面負荷率17mm/min
・排水槽容量:10m3
(比較例)
まず、最初の7日間(168時間)は、原水に新規粉末活性炭を注入した活性炭処理水をろ過装置12に流入させず、粉末活性炭を20mg/L(0.02kg/m3)、ヨウ素吸着能として20mg/L注入し、後段でPACを80mg/L(0.08kg/m3)注入した凝集沈澱処理を行った。沈澱処理水の平均SSは0.5mg/L(0.0005kg/m3)と良好であり、異臭はしなかった。
まず、最初の7日間(168時間)は、原水に新規粉末活性炭を注入した活性炭処理水をろ過装置12に流入させず、粉末活性炭を20mg/L(0.02kg/m3)、ヨウ素吸着能として20mg/L注入し、後段でPACを80mg/L(0.08kg/m3)注入した凝集沈澱処理を行った。沈澱処理水の平均SSは0.5mg/L(0.0005kg/m3)と良好であり、異臭はしなかった。
この間の、新規粉末活性炭使用量は、0.02kg/m3×500m3/day×7day=70kgであり、実際にこの量が使用された。凝集沈澱処理において発生する汚泥は、原水SSに由来する分が、
(0.01kg/m3−0.0005kg/m3)×500m3/day×7day=33kg
凝集剤に由来する汚泥は、PAC中のアルミニウムが水酸化アルミニウムAl(OH)3になるとして、
0.08kg/m3×0.153×500m3/day×7day=43kg
であり、合計70kg+33kg+43kg=146kgの汚泥固形物量が発生する計算であった。実際、汚泥を受ける排水槽48で貯留・沈降させた汚泥を測定すると、体積が5.2m3、濃度2.8%であり、固形物量は5.3m3×0.028(t/m3)×1000(kg/t)=148kgであり、実際に計算とほぼ同量の汚泥が発生したことが確認された。
(0.01kg/m3−0.0005kg/m3)×500m3/day×7day=33kg
凝集剤に由来する汚泥は、PAC中のアルミニウムが水酸化アルミニウムAl(OH)3になるとして、
0.08kg/m3×0.153×500m3/day×7day=43kg
であり、合計70kg+33kg+43kg=146kgの汚泥固形物量が発生する計算であった。実際、汚泥を受ける排水槽48で貯留・沈降させた汚泥を測定すると、体積が5.2m3、濃度2.8%であり、固形物量は5.3m3×0.028(t/m3)×1000(kg/t)=148kgであり、実際に計算とほぼ同量の汚泥が発生したことが確認された。
(実施例)
次の7日間、原水に新規粉末活性炭を注入した活性炭処理水をろ過装置12に流入させ、逆洗排水を返送した。回転ろ過装置12のろ過水の平均SSは8mg/Lであり、このろ過水の凝集沈澱においては、凝集剤PACの注入率を55mg/L(0.055kg/m3)としても比較例の80mg/Lと同等の沈澱処理水SS0.5mg/L(0.0005kg/m3)が得られ、まず、凝集剤の使用量が削減できることが確認された。逆洗排水量はろ過水量の約2%にあたる0.40m3/hrに設定しており、吸引ポンプ42による回転ドラム32内の活性炭処理水の排出水量は0.40m3/hrであり、逆洗排水受槽16において、その合計水量0.80m3/hrの80%である0.64m3/hrを原水に返送した。
次の7日間、原水に新規粉末活性炭を注入した活性炭処理水をろ過装置12に流入させ、逆洗排水を返送した。回転ろ過装置12のろ過水の平均SSは8mg/Lであり、このろ過水の凝集沈澱においては、凝集剤PACの注入率を55mg/L(0.055kg/m3)としても比較例の80mg/Lと同等の沈澱処理水SS0.5mg/L(0.0005kg/m3)が得られ、まず、凝集剤の使用量が削減できることが確認された。逆洗排水量はろ過水量の約2%にあたる0.40m3/hrに設定しており、吸引ポンプ42による回転ドラム32内の活性炭処理水の排出水量は0.40m3/hrであり、逆洗排水受槽16において、その合計水量0.80m3/hrの80%である0.64m3/hrを原水に返送した。
新規粉末活性炭の注入率は、原水に新規粉末活性炭を注入した活性炭処理水の回転ろ過装置12への導水直後は逆洗排水に既使用活性炭が混入していないため、比較例と同じ20mg/Lであったが、既使用活性炭が逆洗排水に混入しだすと、逆洗排水は吸着能力を有するようになり、自動測定器による単位体積あたりのヨウ素吸着能の平均は、260g/m3(0.26kg/m3)であった。単位体積あたりのヨウ素吸着能0.26kg/m3×逆洗排水量0.64m3/hr=ヨウ素吸着能0.166kg/hrの返送量であり、原水への注入率は0.166kg/hr÷20.8m3/hr=0.008kg/m3であった。これに伴い、新規活性炭は、ヨウ素吸着能として、0.020kg/m3−0.008kg/m3=0.012kg/m3、活性炭として平均12mg/L(0.012kg/m3)が注入された。
なお、逆洗排水の返送に伴い、回転ろ過装置12のろ過損失水頭が上昇し、回転ドラム32内の原水水位は、排水返送開始からほぼ5時間で上限の400mmに達した。このため逆洗排水の返送を停止し、1時間後、原水水位は、初期の100mmに回復し、再び逆洗排水の返送を開始した。逆洗排水が返送されている間は、新規活性炭の注入率は比較例と同じ20mg/Lであった。すなわち、新規活性炭平均注入率12mg/Lの時間が5時間、注入率が20mg/Lの時間が1時間であり、7日間で、このサイクルを28回繰り返した。
新規活性炭の使用量は、(0.012kg/m3×20.8m3/hr×5hr×28回)+(0.020kg/m3×20.8m3/hr×1hr×28回)=47kgであり、実際にほぼこの量が使用された。表1に示すように、この新規活性炭使用量は、比較例の70kgに対し、33%低減されたことになり、ここでも本水処理装置及び水処理方法の効果が確認された。
実施例における汚泥の発生量は、原水SSに由来する分は比較例と同じく、
(0.01kg/m3−0.0005kg/m3)×500m3/day×7day=33kg
凝集剤に由来する汚泥は、PAC中のアルミニウムが水酸化アルミニウムAl(OH)3になるとして、
0.055kg/m3×0.153×500m3/day×7日=29kg
であり、合計47kg+33kg+29kg=109kgの汚泥固形物量が発生する計算であった。実際、汚泥を受ける排水槽48で貯留・沈降させた汚泥を測定すると、体積が3.5m3、濃度3.1%であり、固形物量は3.5m3×0.031(t/m3)×1000(kg/t)=109kgであり、実際に計算とほぼ同量の汚泥が発生したことが確認された。表1に示すように、この汚泥固形物量109kgは、比較例の汚泥発生量148kgに比べて、26%減少しており、本水処理装置及び水処理方法の効果が確認された。
(0.01kg/m3−0.0005kg/m3)×500m3/day×7day=33kg
凝集剤に由来する汚泥は、PAC中のアルミニウムが水酸化アルミニウムAl(OH)3になるとして、
0.055kg/m3×0.153×500m3/day×7日=29kg
であり、合計47kg+33kg+29kg=109kgの汚泥固形物量が発生する計算であった。実際、汚泥を受ける排水槽48で貯留・沈降させた汚泥を測定すると、体積が3.5m3、濃度3.1%であり、固形物量は3.5m3×0.031(t/m3)×1000(kg/t)=109kgであり、実際に計算とほぼ同量の汚泥が発生したことが確認された。表1に示すように、この汚泥固形物量109kgは、比較例の汚泥発生量148kgに比べて、26%減少しており、本水処理装置及び水処理方法の効果が確認された。
1 水処理装置、10 活性炭注入装置、12 ろ過装置、14 逆洗用ポンプ、16 逆洗排水受槽、18 戻り逆洗排水用ポンプ、20 活性炭吸着能力測定装置、22 活性炭注入用ポンプ、24 活性炭注入点、26 接触槽、28 ディスク状フィルタ、30 軸、32 回転ドラム、34 排出ライン、36 検知センサ(レベルスイッチ)、40 制御部、42 吸引ポンプ、44 流量計、46 凝集沈澱装置、48 排水槽、50 ろ過水槽、52 活性炭スラリ槽、54 測定装置、56 撹拌手段。
Claims (12)
- 活性炭を添加して原水中の汚染物質を除去する水処理装置であって、
原水に活性炭を添加するための活性炭注入手段と、
前記活性炭が添加された処理水をろ過して、前記活性炭を捕捉し、ろ過水を得るろ過手段と、
前記ろ過手段により捕捉された活性炭を回収する活性炭回収手段と、
前記回収された活性炭のうち少なくとも一部を前記原水に添加するための循環手段と、
を有することを特徴とする水処理装置。 - 請求項1に記載の水処理装置であって、
前記循環手段において、
前記ろ過手段が有する処理水の一部を取り出し、前記回収された活性炭のうち少なくとも一部と混合して、前記原水に添加することを特徴とする水処理装置。 - 請求項1または2に記載の水処理装置であって、
前記ろ過手段における損失水頭を検出する損失水頭検出手段をさらに有し、
前記検出された損失水頭に基づいて、前記循環手段による前記回収された活性炭の添加を制御することを特徴とする水処理装置。 - 請求項1〜3のいずれか1項に記載の水処理装置であって、
前記回収された活性炭の吸着能力を検出する吸着能力検出手段をさらに有し、
前記検出された活性炭の吸着能力に基づいて、前記活性炭注入手段による活性炭の添加を制御することを特徴とする水処理装置。 - 請求項1〜4のいずれか1項に記載の水処理装置であって、
前記ろ過手段は、フィルタにより前記活性炭を捕捉し、
前記活性炭回収手段は、前記フィルタを逆洗することにより、捕捉された前記活性炭を回収することを特徴とする水処理装置。 - 請求項5に記載の水処理装置であって、
前記ろ過手段は、ディスク状フィルタを有する回転円板型ろ過装置であることを特徴とする水処理装置。 - 活性炭を添加して原水中の汚染物質を除去する水処理方法であって、
原水に活性炭を添加するための活性炭注入工程と、
前記活性炭が添加された処理水をろ過して、前記活性炭を捕捉し、ろ過水を得るろ過工程と、
前記ろ過工程により捕捉された活性炭を回収する活性炭回収工程と、
前記回収された活性炭のうち少なくとも一部を前記原水に添加するための循環工程と、
を含むことを特徴とする水処理方法。 - 請求項7に記載の水処理方法であって、
前記循環工程において、
前記ろ過工程における処理水の一部を取り出し、前記回収された活性炭のうち少なくとも一部と混合して、前記原水に添加することを特徴とする水処理方法。 - 請求項7または8に記載の水処理方法であって、
前記ろ過工程における損失水頭を検出する損失水頭検出工程をさらに含み、
前記検出された損失水頭に基づいて、前記循環工程における前記回収された活性炭の添加を制御することを特徴とする水処理方法。 - 請求項7〜9のいずれか1項に記載の水処理方法であって、
前記回収された活性炭の吸着能力を検出する吸着能力検出工程をさらに含み、
前記検出された活性炭の吸着能力に基づいて、前記活性炭注入工程における活性炭の添加を制御することを特徴とする水処理方法。 - 請求項7〜10のいずれか1項に記載の水処理方法であって、
前記ろ過工程において、フィルタにより前記活性炭を捕捉し、
前記活性炭回収工程において、前記フィルタを逆洗することにより、捕捉された前記活性炭を回収することを特徴とする水処理方法。 - 請求項11に記載の水処理方法であって、
前記ろ過工程において、ディスク状フィルタを有する回転円板型ろ過装置によりろ過を行うことを特徴とする水処理方法。
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-
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