JP2007203133A - 被処理水の凝集処理方法及びその処理装置 - Google Patents
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Abstract
【構成】被処理水に凝集剤を注入しての急速攪拌と凝集剤を注入しないフロック形成による凝集処理を行うに際し、前記被処理水又は当該急速攪拌が行われる急速攪拌槽に流入後の処理水に凝集剤を注入し、急速攪拌強度(GR値)を450sec −1以上として急速攪拌処理を行い、次いで、複数槽で構成されるフロック形成槽におけるフロック形成工程の最上流に位置する第1槽のフロック形成攪拌強度(Gs1値)を75sec −1以上とすると共に、第二槽以降のフロック形成攪拌強度(Gs2値)を75sec −1以下として凝集処理を行う。
【効果】従来よりも1オーダー低い濁度の沈澱処理水が得られ、病原性原虫のオーシストなどの濾過水中への漏出の危険性を低減化できるなどの利点がある。
【選択図】なし
【効果】従来よりも1オーダー低い濁度の沈澱処理水が得られ、病原性原虫のオーシストなどの濾過水中への漏出の危険性を低減化できるなどの利点がある。
【選択図】なし
Description
本発明は、被処理水の凝集処理方法及びその処理装置に関するものである。
水は、日常生活を営む上において重要であり、水道水は、毎日、口にするので、病原虫を含有しない等の河川などの原水から水道水への清浄な浄化処理は重要である。
我が国では、現在、総浄水量の80%近くに及ぶ多くの浄水場で、急速濾過システムが採用されてきている。
当該急速濾過システムは、例えば、図11に示すような処理工程で行われる。
先ず、濁質含有の原水1100を急速攪拌槽(混和池)1101に流入させ、凝集剤1102を注入し、攪拌機によって急速攪拌処理する。これにより、凝集剤1102が原水1100に均一分散され、原水中の濁質粒子は、その荷電が中和されて微フロック化される。次いで、当該急速攪拌処理水は、フロック形成槽(フロック形成池)1103に導かれ、前記急速攪拌よりも低速で回転する攪拌機によりフロック形成処理される。当該急速攪拌処理水中の微フロックは、長時間のフロック形成処理によって大きなフロックへと成長する。次いで、当該フロック形成処理水は、沈殿池1104へと導かれ、フロックが沈殿分離される。当該沈殿処理水は、次いで、濾過池1105へと導かれ、その処理水中に残留している微フロックが除去される。次いで、当該濾過処理水は、塩素消毒1106されて浄水となる。
当該急速濾過システムにおける凝集・フロック形成は、凝集剤の注入後の攪拌エネルギーに支配されるとの考えから、当該急速攪拌工程、フロック形成工程の設計に攪拌強度G値及びこれと攪拌時間T値が用いられていて、例えば、日米両国で採用されている設計基準値は、次の通りであり、我が国では水道施設設計指針として昭和37年に定められている。
日本 米国
急速攪拌強度(G:sec−1) 150 700〜1000
急速攪拌時間(T値:min) 1〜5 0.5〜1.0
フロック形成攪拌強度(G値:sec−1) 10〜75 10〜50
フロック形成攪拌時間(T値:min) 20〜40 >30
尚、当時の水道水質基準は、濾過水濁度が2度であり、主要の凝集剤として、硫酸アルミニウムを使用し、比較的低い凝集剤注入率による凝集処理が採用されていた。
しかし、その後の高度経済成長は、急速濾過システムによる浄水処理を大きく変貌させることとなった。
その1つに、凝集剤が、それまでの硫酸アルミニウムに替えて、凝集力に優れたポリ塩化アルミニウム凝集剤(PAC)が出現し、昭和40年以降多くの浄水場で採用されてきたことである。
第2に、都市部への人口集中による水道水源の変更や、種々の水質改善などが水道に求められてきたが、そうした条件変更の度に凝集剤注入率を高める方法が取られてきたことである。
このように、使用凝集剤が硫酸アルミニウムからPACへと変更される際に、急速攪拌強度(G値)の上昇を行わなかったことが思わぬ弊害を招くこととなった。即ち、弱く短い急速攪拌条件の下で、多量に注入されたPACは自らの高い凝集力のため、粗粒フロックを形成してしまい、フロック内に懸濁粒子を効率良く取込めないため、更にPAC注入率を高めるという悪循環に陥ることとなった。その結果、濾過池の洗浄回数が増え、汚泥発生量が多くなり、濃縮脱水性が悪くなるなど、浄水処理コストの上昇を招くこととなった。又、このように、多量に注入された凝集剤が膨潤な集塊物を形成する凝集型式は、スウィープ型凝集(荷電の殆んどないアルミニウム酸化物フロックの表面で濁質を捕捉する凝集形態)と呼ばれ、我が国のみならず高い急速攪拌強度(G値)を採用している米国でも、大半の浄水場がスウィープ型凝集であることが報告されている。
こうした凝集剤多量注入の影響は、浄水場の排水処理施設が水質汚濁防止法の特定施設に指定され、発生汚泥の処理処分が義務付けられるに及んで、発生量の多さ、処理の難しさ及び処理コストの上昇などが顕在化することとなった。そこで、「汚泥処理上からみた合理的浄水方法の研究」への取り組みが実施され、凝集剤注入率の低減化が汚泥処理の問題解決に有効との結論が出された。しかるに、凝集剤注入率の低減化は、急速濾過システムに採用されてきていない。それは、低い凝集剤注入率では、形成される凝集フロックが小径で残留濁度が高いためであって、結局、上記のように高い凝集剤注入率によるスウィープ型凝集方法が、急速濾過システムにおける凝集処理の主流となってきた。
ところが、20世紀末に病原性原虫の流出による住民の集団感染が起ったことから、濾過水濁度を0.1度以下とするよう浄水水質基準が改訂され、粒子分離効率の向上(濁度の低減化)が緊急の課題とされた。また、浄水処理コストの低減化をも併せて検討することが求められた。
ここに、急速濾過システムにおける粒子分離効率の向上とは、最終の固液分離手段である濾過池の濁質除去率を高めることを意味し、凝集剤注入率を低減化する程、濁質除去率が向上すると報告されてきている。一方、浄水処理コストは、濾過池の洗浄費用と汚泥処理費用がその多くを占めていることから、凝集剤注入率の低減化によって達成される。即ち、急速濾過システムにおける粒子分離効率の向上と浄水処理コストの低減化という課題の解決は、現状の凝集剤多量注入による凝集処理法に替えて、従来困難とされてきた低い凝集剤注入率での凝集処理を実現することにある。
このような背景の中、新たな取り組みがなされてきている。例えば、特開2002-192163号公報には、急速濾過システムにおける急速攪拌のG値(攪拌翼のエネルギー消費率を水の粘性係数で除した値の平方根)、T値の上昇の提案がなされている、同公報によれば、急速攪拌強度G値を300sec−1以上とすることを特徴としていて、PAC使用の場合には、300〜1000sec−1、鉄と無機アニオンポリマーである重合ケイ酸(シリカ)とを組み合わせた鉄−シリカ無機高分子凝集剤(以下、PSIと云う)使用の場合には、650〜1000sec−1と、凝集剤の種類に応じた急速攪拌強度G値を採用し、凝集沈澱の処理性改善を図る方法が提案されている。
しかしながら、PAC使用の場合、急速攪拌強度G値1000sec−1で最少化されるのは、凝集剤由来のアルミニウム、即ち、残留アルミニウム濃度のみであって、濁度及び色度は300sec−1で最少化されていて、G値を300sec−1以上に上昇すると濁度がかえって悪化するという問題点がある。
このように、急速攪拌のG値、T値の上昇の提案はなされているものの、急速濾過システムが抱える上記及び次のような諸課題を同時に解決し得る提案とはなっていない。
(1)沈殿処理水濁度の低減化のために、凝集剤を多量に注入する凝集処理法が取られてきていて、スウィープ型凝集をもたらす要因となっている。
(2)その濁度除去率は、病原性原虫対策として必要とされる4.3−log以上を下回る2.5〜2.7−log程度と低く、凝集剤の多量注入が処理水質改善に繋がっておらず、更なる凝集剤注入率の上昇も求められている。
(3)多量に注入された凝集剤の一部は沈殿処理水中に残留し、まず急速濾過処理の際に濾材に捕捉されることで損失水頭を急上昇させて、濾過池の洗浄回数を増加させて浄水処理コストを高める要因となっている。
(4)更に、凝集剤の一部は浄水中に流出して、人の健康係わるとされる残留アルミニウム濃度を高めている。
(5)凝集剤注入率の上昇は発生汚泥量の増加に繋がり、加えて、発生汚泥の濃縮・脱水性を悪化させていて、結果として浄水処理コストの上昇を招いている。
尚、特開平10-59713号公報は、アルミニウムの塩基性溶液と酸性溶液とを混合・中和して水酸化アルミニウムの製造方法について記載しているが、G値1000sec−1以下の攪拌強度では粗粒を形成し、目的とする0.1〜8μmの微粒水酸化アルミニウムが得られないことが説明されていて、スウィープ型凝集の発生機構とノンスウィープ型凝集の実現のために強い攪拌強度が必要であることを示唆している。
特開2002−192163号公報、特開平10−59713号公報
我が国では、現在、総浄水量の80%近くに及ぶ多くの浄水場で、急速濾過システムが採用されてきている。
当該急速濾過システムは、例えば、図11に示すような処理工程で行われる。
先ず、濁質含有の原水1100を急速攪拌槽(混和池)1101に流入させ、凝集剤1102を注入し、攪拌機によって急速攪拌処理する。これにより、凝集剤1102が原水1100に均一分散され、原水中の濁質粒子は、その荷電が中和されて微フロック化される。次いで、当該急速攪拌処理水は、フロック形成槽(フロック形成池)1103に導かれ、前記急速攪拌よりも低速で回転する攪拌機によりフロック形成処理される。当該急速攪拌処理水中の微フロックは、長時間のフロック形成処理によって大きなフロックへと成長する。次いで、当該フロック形成処理水は、沈殿池1104へと導かれ、フロックが沈殿分離される。当該沈殿処理水は、次いで、濾過池1105へと導かれ、その処理水中に残留している微フロックが除去される。次いで、当該濾過処理水は、塩素消毒1106されて浄水となる。
当該急速濾過システムにおける凝集・フロック形成は、凝集剤の注入後の攪拌エネルギーに支配されるとの考えから、当該急速攪拌工程、フロック形成工程の設計に攪拌強度G値及びこれと攪拌時間T値が用いられていて、例えば、日米両国で採用されている設計基準値は、次の通りであり、我が国では水道施設設計指針として昭和37年に定められている。
日本 米国
急速攪拌強度(G:sec−1) 150 700〜1000
急速攪拌時間(T値:min) 1〜5 0.5〜1.0
フロック形成攪拌強度(G値:sec−1) 10〜75 10〜50
フロック形成攪拌時間(T値:min) 20〜40 >30
尚、当時の水道水質基準は、濾過水濁度が2度であり、主要の凝集剤として、硫酸アルミニウムを使用し、比較的低い凝集剤注入率による凝集処理が採用されていた。
しかし、その後の高度経済成長は、急速濾過システムによる浄水処理を大きく変貌させることとなった。
その1つに、凝集剤が、それまでの硫酸アルミニウムに替えて、凝集力に優れたポリ塩化アルミニウム凝集剤(PAC)が出現し、昭和40年以降多くの浄水場で採用されてきたことである。
第2に、都市部への人口集中による水道水源の変更や、種々の水質改善などが水道に求められてきたが、そうした条件変更の度に凝集剤注入率を高める方法が取られてきたことである。
このように、使用凝集剤が硫酸アルミニウムからPACへと変更される際に、急速攪拌強度(G値)の上昇を行わなかったことが思わぬ弊害を招くこととなった。即ち、弱く短い急速攪拌条件の下で、多量に注入されたPACは自らの高い凝集力のため、粗粒フロックを形成してしまい、フロック内に懸濁粒子を効率良く取込めないため、更にPAC注入率を高めるという悪循環に陥ることとなった。その結果、濾過池の洗浄回数が増え、汚泥発生量が多くなり、濃縮脱水性が悪くなるなど、浄水処理コストの上昇を招くこととなった。又、このように、多量に注入された凝集剤が膨潤な集塊物を形成する凝集型式は、スウィープ型凝集(荷電の殆んどないアルミニウム酸化物フロックの表面で濁質を捕捉する凝集形態)と呼ばれ、我が国のみならず高い急速攪拌強度(G値)を採用している米国でも、大半の浄水場がスウィープ型凝集であることが報告されている。
こうした凝集剤多量注入の影響は、浄水場の排水処理施設が水質汚濁防止法の特定施設に指定され、発生汚泥の処理処分が義務付けられるに及んで、発生量の多さ、処理の難しさ及び処理コストの上昇などが顕在化することとなった。そこで、「汚泥処理上からみた合理的浄水方法の研究」への取り組みが実施され、凝集剤注入率の低減化が汚泥処理の問題解決に有効との結論が出された。しかるに、凝集剤注入率の低減化は、急速濾過システムに採用されてきていない。それは、低い凝集剤注入率では、形成される凝集フロックが小径で残留濁度が高いためであって、結局、上記のように高い凝集剤注入率によるスウィープ型凝集方法が、急速濾過システムにおける凝集処理の主流となってきた。
ところが、20世紀末に病原性原虫の流出による住民の集団感染が起ったことから、濾過水濁度を0.1度以下とするよう浄水水質基準が改訂され、粒子分離効率の向上(濁度の低減化)が緊急の課題とされた。また、浄水処理コストの低減化をも併せて検討することが求められた。
ここに、急速濾過システムにおける粒子分離効率の向上とは、最終の固液分離手段である濾過池の濁質除去率を高めることを意味し、凝集剤注入率を低減化する程、濁質除去率が向上すると報告されてきている。一方、浄水処理コストは、濾過池の洗浄費用と汚泥処理費用がその多くを占めていることから、凝集剤注入率の低減化によって達成される。即ち、急速濾過システムにおける粒子分離効率の向上と浄水処理コストの低減化という課題の解決は、現状の凝集剤多量注入による凝集処理法に替えて、従来困難とされてきた低い凝集剤注入率での凝集処理を実現することにある。
このような背景の中、新たな取り組みがなされてきている。例えば、特開2002-192163号公報には、急速濾過システムにおける急速攪拌のG値(攪拌翼のエネルギー消費率を水の粘性係数で除した値の平方根)、T値の上昇の提案がなされている、同公報によれば、急速攪拌強度G値を300sec−1以上とすることを特徴としていて、PAC使用の場合には、300〜1000sec−1、鉄と無機アニオンポリマーである重合ケイ酸(シリカ)とを組み合わせた鉄−シリカ無機高分子凝集剤(以下、PSIと云う)使用の場合には、650〜1000sec−1と、凝集剤の種類に応じた急速攪拌強度G値を採用し、凝集沈澱の処理性改善を図る方法が提案されている。
しかしながら、PAC使用の場合、急速攪拌強度G値1000sec−1で最少化されるのは、凝集剤由来のアルミニウム、即ち、残留アルミニウム濃度のみであって、濁度及び色度は300sec−1で最少化されていて、G値を300sec−1以上に上昇すると濁度がかえって悪化するという問題点がある。
このように、急速攪拌のG値、T値の上昇の提案はなされているものの、急速濾過システムが抱える上記及び次のような諸課題を同時に解決し得る提案とはなっていない。
(1)沈殿処理水濁度の低減化のために、凝集剤を多量に注入する凝集処理法が取られてきていて、スウィープ型凝集をもたらす要因となっている。
(2)その濁度除去率は、病原性原虫対策として必要とされる4.3−log以上を下回る2.5〜2.7−log程度と低く、凝集剤の多量注入が処理水質改善に繋がっておらず、更なる凝集剤注入率の上昇も求められている。
(3)多量に注入された凝集剤の一部は沈殿処理水中に残留し、まず急速濾過処理の際に濾材に捕捉されることで損失水頭を急上昇させて、濾過池の洗浄回数を増加させて浄水処理コストを高める要因となっている。
(4)更に、凝集剤の一部は浄水中に流出して、人の健康係わるとされる残留アルミニウム濃度を高めている。
(5)凝集剤注入率の上昇は発生汚泥量の増加に繋がり、加えて、発生汚泥の濃縮・脱水性を悪化させていて、結果として浄水処理コストの上昇を招いている。
尚、特開平10-59713号公報は、アルミニウムの塩基性溶液と酸性溶液とを混合・中和して水酸化アルミニウムの製造方法について記載しているが、G値1000sec−1以下の攪拌強度では粗粒を形成し、目的とする0.1〜8μmの微粒水酸化アルミニウムが得られないことが説明されていて、スウィープ型凝集の発生機構とノンスウィープ型凝集の実現のために強い攪拌強度が必要であることを示唆している。
本発明は、上記の従来技術の有する欠点を解消した技術を提供することを目的としたものである。
本発明の他の目的や新規な特徴については本件明細書全体の記載からも明らかになるであろう。
本発明の他の目的や新規な特徴については本件明細書全体の記載からも明らかになるであろう。
本発明の特許請求の範囲は、次の通りである。
(請求項1)被処理水に凝集剤を注入して急速攪拌及びフロック形成による凝集処理を行うに際し、前記被処理水又は当該急速攪拌が行われる急速攪拌槽に流入後の処理水に前記凝集剤を注入し、急速攪拌強度(GR値)を450sec −1以上として急速攪拌処理を
行い、次いで、複数槽で構成されるフロック形成槽におけるフロック形成工程の最上流に位置する第1槽のフロック形成攪拌強度(Gs1値)を75sec −1以上とすると共に、第二槽以降のフロック形成攪拌強度(Gs2値)を75sec −1以下として凝集処理を行うことを特徴とする被処理水の凝集処理方法。
(請求項2)急速攪拌強度(GR値)を1000sec −1を超えた値としてなることを特徴とする、請求項1に記載の被処理水の凝集処理方法。
(請求項3)急速攪拌処理における急速攪拌時間(TR値)を3分以上としてなることを特徴とする、請求項1又は2に記載の被処理水の凝集処理方法。
(請求項4)フロック形成工程の最上流に位置する第1槽のフロック形成攪拌強度(Gs1値)を75〜450sec −1としてなることを特徴とする、請求項1、2又は3に記載の被処理水の凝集処理方法。
(請求項5)フロック形成工程の最上流に位置する第1槽のフロック形成攪拌時間(Ts1値)を2分以上としてなることを特徴とする、請求項1、2、3又は4に記載の被処理水の凝集処理方法。
(請求項6)急速攪拌槽が複数槽で構成され、当該急速攪拌槽の各槽に凝集剤を分割して注入することを特徴とする、請求項1、2、3、4、又は5に記載の被処理水の凝集処理方法。
(請求項7)フロック形成工程の最上流に位置する第1槽において凝集剤を5mg/L以下注入することを特徴とする、請求項1、2、3、4、5又は6に記載の被処理水の凝集処理方法。
(請求項8)被処理水に凝集剤を注入して急速攪拌及びフロック形成による凝集処理を行う処理装置において、フロック形成槽を複数槽で構成し、当該複数槽の初頭にフロック形成攪拌強度(Gs1値)を75sec −1以上となし得る第1槽を付設してなることを
特徴とする被処理水の凝集処理装置。
(請求項1)被処理水に凝集剤を注入して急速攪拌及びフロック形成による凝集処理を行うに際し、前記被処理水又は当該急速攪拌が行われる急速攪拌槽に流入後の処理水に前記凝集剤を注入し、急速攪拌強度(GR値)を450sec −1以上として急速攪拌処理を
行い、次いで、複数槽で構成されるフロック形成槽におけるフロック形成工程の最上流に位置する第1槽のフロック形成攪拌強度(Gs1値)を75sec −1以上とすると共に、第二槽以降のフロック形成攪拌強度(Gs2値)を75sec −1以下として凝集処理を行うことを特徴とする被処理水の凝集処理方法。
(請求項2)急速攪拌強度(GR値)を1000sec −1を超えた値としてなることを特徴とする、請求項1に記載の被処理水の凝集処理方法。
(請求項3)急速攪拌処理における急速攪拌時間(TR値)を3分以上としてなることを特徴とする、請求項1又は2に記載の被処理水の凝集処理方法。
(請求項4)フロック形成工程の最上流に位置する第1槽のフロック形成攪拌強度(Gs1値)を75〜450sec −1としてなることを特徴とする、請求項1、2又は3に記載の被処理水の凝集処理方法。
(請求項5)フロック形成工程の最上流に位置する第1槽のフロック形成攪拌時間(Ts1値)を2分以上としてなることを特徴とする、請求項1、2、3又は4に記載の被処理水の凝集処理方法。
(請求項6)急速攪拌槽が複数槽で構成され、当該急速攪拌槽の各槽に凝集剤を分割して注入することを特徴とする、請求項1、2、3、4、又は5に記載の被処理水の凝集処理方法。
(請求項7)フロック形成工程の最上流に位置する第1槽において凝集剤を5mg/L以下注入することを特徴とする、請求項1、2、3、4、5又は6に記載の被処理水の凝集処理方法。
(請求項8)被処理水に凝集剤を注入して急速攪拌及びフロック形成による凝集処理を行う処理装置において、フロック形成槽を複数槽で構成し、当該複数槽の初頭にフロック形成攪拌強度(Gs1値)を75sec −1以上となし得る第1槽を付設してなることを
特徴とする被処理水の凝集処理装置。
本発明によれば、被処理水に凝集剤を注入して急速攪拌及びフロック形成による凝集処理を行うに際し、前記被処理水又は当該急速攪拌が行われる急速攪拌槽に流入後の処理水に前記凝集剤を注入し、急速攪拌強度(GR値)を450sec −1以上として急速攪拌処理を行い、次いで、複数槽で構成されるフロック形成槽におけるフロック形成工程の最上流に位置する第1槽のフロック形成攪拌強度(Gs1値)を75sec −1以上とすると共に、第二槽以降のフロック形成攪拌強度(Gs2値)を75sec −1以下として凝集処理を行うことにより、前記した急速濾過システムの抱える諸課題である粒子分離効率の向上、残留アルミニウム濃度の低減化及び処理コストの削減などを極めて簡単な方法で実施可能とすることができた。
急速濾過システムにおける凝集処理は、原水に凝集剤を注入して攪拌混合するだけの極めて簡単な操作ではあるが、濁質及び形成された微フロックなどの処理性を実質的に左右する最も重要なプロセスである。元来のGT理論は、適度な剪断力と衝突頻度とによって微フロックが集塊化されるとの考えに基づいている。
本発明者らは、微フロックの集塊化と破壊の機構について鋭意検討し、実効ある発明をなすに至った。それらの検討結果は以下の通りである。
(1).集塊化は、従来の凝集剤注入率上昇法に替えて、攪拌強度(G値)、攪拌時間(T値)を上昇し、微フロックの衝突頻度を高めることによっても達成され、その際、低い凝集剤注入率を採用し得る。
(2).低い凝集剤注入率を採用し、攪拌強度(G値)、攪拌時間(T値)を上昇する方法では、集塊化速度は大きいものの、急速攪拌工程終期に粗大微フロックの破壊によって沈殿処理水濁度が高くなる。
(3).スウィープ型凝集及び粗大微フロックの破壊は、従来注目されてこなかった凝集剤の加水分解生成物量と攪拌強度との関係で説明できる。先ず、スウィープ型凝集は加水分解生成物の多量残留時に攪拌強度(G値)を低くすることによって起り、一方の沈殿処理水濁度の上昇は加水分解生成物残留濃度低減時に剪断力で粗大微フロックが破壊されることに拠っている。前者は上記(1)の実施により回避され、後者は、(4),(5)によって解決される。
(4).PACやPSIなどの無機高分子凝集剤は、上記のように従来の硫酸アルミニウムに比べて凝集力が高く、より大きな剪断力下でも集塊化能力を保持する。
(5).集塊化と破壊は、攪拌強度(G値)、攪拌時間(T値)に基づく剪断力と衝突頻度及び加水分解生成物量によって大きな影響を受けるが、フロック形成初期の攪拌強度(G値)と攪拌時間(T値)に、破壊を起すことなく再集塊化のみを促進する条件が存在する。
以上の新たな知見から、単に急速攪拌工程のみを強化しても急速濾過システムの処理性改善は達成されないこと、急速攪拌工程とフロック形成工程を共に最適化することが不可欠であることがわかった。
以上の検討結果から、本発明では、先ず、課題解決のための最初の手段として、急速攪拌工程に高い攪拌強度(G値)、攪拌時間(T値)を採用したことにより、従来の急速攪拌の役割である凝集剤の均一分散と荷電中和に加えて、残留濁度の要因となる微細粒子数の低減化とスウィープ型凝集の典型的な現象である加水分解生成物の粗大化が防止できるようになった。当該急速攪拌強度(GR値)は450sec −1以上であり、好ましくは1000sec−1を超えた値とすれば、より一層、凝集剤の均一分散、加水分解生成物の粗大化防止、荷電中和及び微細粒子数の低減化が達成される。
上記から、凝集剤の利用効率が高くなるので、凝集剤注入率の低減化などの効果が得られるようになる。しかし、その際、急速攪拌工程で粗大微フロックが破壊され、より径の小さな微フロック数が増加する。
そこで、本発明では、請求項8に記載のように、フロック形成槽を複数槽で構成し、当該複数槽の初頭にフロック形成攪拌強度(Gs1値)を75sec −1以上となし得る第1槽を付設して、従来採用されてきた75sec−1以下と弱いフロック形成攪拌強度(G値)に替えて、複数槽で構成されるフロック形成工程の最上流に位置する第一槽のフロック形成攪拌強度(Gs1値)を75sec−1以上、好ましくはフロック形成攪拌時間(Ts1値)を3分以上とするとともに、第二槽以降のフロック形成攪拌強度(Gs2値)を75sec−1以下として凝集処理を行うようにした。
その結果、当該第一槽のフロック形成攪拌強度(Gs1値)による高い衝突効率が集塊化を促進するので、急速攪拌工程で破壊された微フロック及び未吸合の微フロックなどが再集塊化され、沈澱処理水の濁度が従来に比べて1オーダー低くなり、濾過後の濁度除去率は病原性原虫の除去に有効とされる4−logを越える高い粒子分離効率の獲得に繋げることができ、更には、残留アルミニウム濃度の低減化を図ることができるようになった。
更に、請求項6に記載のように、急速撹拌の際に注入される凝集剤は、急速撹拌槽が複数槽で構成される場合、各槽に分割注入することによりより一層、上記の作用効果を高めることができる。また、請求項7に記載のように、フロック形成工程の最上流に位置する第一槽において凝集剤を注入、特に5mg/L以下注入することにより、後で詳細を述べるように、より一層、上記の作用効果を高めることができる。
なお本発明では、凝集剤注入率を数値で指定していないが、それは以下の理由による。まず、原水水質によって凝集剤注入率は変化するので、数値を限定することは難しい。また、急速濾過システムにおける凝集処理では、採用し得る最少の凝集剤注入率において、粒子分離効率の向上と急速濾過システムコストの削減の効果が最大となる。従って、急速攪拌槽の攪拌時間(TR値)が短く、増設のためのスペースが確保できない場合、フロック形成槽の流入部に所定容量の急速攪拌槽を設けることが有効な方法となることは明らかである。しかし、粒子分離効率の向上と急速濾過システムコストの削減の効果は、多少低くなるものの急速攪拌槽の攪拌時間(TR値)の不足を、凝集剤注入率を多少高めて補うといった方法も取り得る。
急速濾過システムにおける凝集処理は、原水に凝集剤を注入して攪拌混合するだけの極めて簡単な操作ではあるが、濁質及び形成された微フロックなどの処理性を実質的に左右する最も重要なプロセスである。元来のGT理論は、適度な剪断力と衝突頻度とによって微フロックが集塊化されるとの考えに基づいている。
本発明者らは、微フロックの集塊化と破壊の機構について鋭意検討し、実効ある発明をなすに至った。それらの検討結果は以下の通りである。
(1).集塊化は、従来の凝集剤注入率上昇法に替えて、攪拌強度(G値)、攪拌時間(T値)を上昇し、微フロックの衝突頻度を高めることによっても達成され、その際、低い凝集剤注入率を採用し得る。
(2).低い凝集剤注入率を採用し、攪拌強度(G値)、攪拌時間(T値)を上昇する方法では、集塊化速度は大きいものの、急速攪拌工程終期に粗大微フロックの破壊によって沈殿処理水濁度が高くなる。
(3).スウィープ型凝集及び粗大微フロックの破壊は、従来注目されてこなかった凝集剤の加水分解生成物量と攪拌強度との関係で説明できる。先ず、スウィープ型凝集は加水分解生成物の多量残留時に攪拌強度(G値)を低くすることによって起り、一方の沈殿処理水濁度の上昇は加水分解生成物残留濃度低減時に剪断力で粗大微フロックが破壊されることに拠っている。前者は上記(1)の実施により回避され、後者は、(4),(5)によって解決される。
(4).PACやPSIなどの無機高分子凝集剤は、上記のように従来の硫酸アルミニウムに比べて凝集力が高く、より大きな剪断力下でも集塊化能力を保持する。
(5).集塊化と破壊は、攪拌強度(G値)、攪拌時間(T値)に基づく剪断力と衝突頻度及び加水分解生成物量によって大きな影響を受けるが、フロック形成初期の攪拌強度(G値)と攪拌時間(T値)に、破壊を起すことなく再集塊化のみを促進する条件が存在する。
以上の新たな知見から、単に急速攪拌工程のみを強化しても急速濾過システムの処理性改善は達成されないこと、急速攪拌工程とフロック形成工程を共に最適化することが不可欠であることがわかった。
以上の検討結果から、本発明では、先ず、課題解決のための最初の手段として、急速攪拌工程に高い攪拌強度(G値)、攪拌時間(T値)を採用したことにより、従来の急速攪拌の役割である凝集剤の均一分散と荷電中和に加えて、残留濁度の要因となる微細粒子数の低減化とスウィープ型凝集の典型的な現象である加水分解生成物の粗大化が防止できるようになった。当該急速攪拌強度(GR値)は450sec −1以上であり、好ましくは1000sec−1を超えた値とすれば、より一層、凝集剤の均一分散、加水分解生成物の粗大化防止、荷電中和及び微細粒子数の低減化が達成される。
上記から、凝集剤の利用効率が高くなるので、凝集剤注入率の低減化などの効果が得られるようになる。しかし、その際、急速攪拌工程で粗大微フロックが破壊され、より径の小さな微フロック数が増加する。
そこで、本発明では、請求項8に記載のように、フロック形成槽を複数槽で構成し、当該複数槽の初頭にフロック形成攪拌強度(Gs1値)を75sec −1以上となし得る第1槽を付設して、従来採用されてきた75sec−1以下と弱いフロック形成攪拌強度(G値)に替えて、複数槽で構成されるフロック形成工程の最上流に位置する第一槽のフロック形成攪拌強度(Gs1値)を75sec−1以上、好ましくはフロック形成攪拌時間(Ts1値)を3分以上とするとともに、第二槽以降のフロック形成攪拌強度(Gs2値)を75sec−1以下として凝集処理を行うようにした。
その結果、当該第一槽のフロック形成攪拌強度(Gs1値)による高い衝突効率が集塊化を促進するので、急速攪拌工程で破壊された微フロック及び未吸合の微フロックなどが再集塊化され、沈澱処理水の濁度が従来に比べて1オーダー低くなり、濾過後の濁度除去率は病原性原虫の除去に有効とされる4−logを越える高い粒子分離効率の獲得に繋げることができ、更には、残留アルミニウム濃度の低減化を図ることができるようになった。
更に、請求項6に記載のように、急速撹拌の際に注入される凝集剤は、急速撹拌槽が複数槽で構成される場合、各槽に分割注入することによりより一層、上記の作用効果を高めることができる。また、請求項7に記載のように、フロック形成工程の最上流に位置する第一槽において凝集剤を注入、特に5mg/L以下注入することにより、後で詳細を述べるように、より一層、上記の作用効果を高めることができる。
なお本発明では、凝集剤注入率を数値で指定していないが、それは以下の理由による。まず、原水水質によって凝集剤注入率は変化するので、数値を限定することは難しい。また、急速濾過システムにおける凝集処理では、採用し得る最少の凝集剤注入率において、粒子分離効率の向上と急速濾過システムコストの削減の効果が最大となる。従って、急速攪拌槽の攪拌時間(TR値)が短く、増設のためのスペースが確保できない場合、フロック形成槽の流入部に所定容量の急速攪拌槽を設けることが有効な方法となることは明らかである。しかし、粒子分離効率の向上と急速濾過システムコストの削減の効果は、多少低くなるものの急速攪拌槽の攪拌時間(TR値)の不足を、凝集剤注入率を多少高めて補うといった方法も取り得る。
本発明で処理される被処理水としては、地下水、河川水或いは湖沼水等の原水が例示できる。
本発明で使用される凝集剤としては、硫酸アルミニウム、鉄と無機アニオンポリマーである重合ケイ酸(シリカ)とを組み合わせた鉄−シリカ無機高分子凝集剤(PSI)、ポリ塩化アルミニウム凝集剤(PAC)などの無機凝集剤などが例示できる。更に、それら無機凝集剤の使用に加えて、有機性高分子凝集剤を併用することもできる。
本発明は、前記の急速濾過システムに適用される。
図11で説明したように、通常の急速濾過システムは、急速攪拌槽1101とフロック形成槽1103、沈殿池1104及び濾過池1105を有して構成される。
これに対し、本発明では、図1及び図2に示すように、フロック形成槽を複数槽で構成し、当該複数槽の初頭にフロック形成攪拌強度(Gs1値)を75sec −1以上となし得る第1槽1を付設してなる。当該処理装置による処理方法について説明するに、被処理水の地下水、河川水或いは湖沼水等の原水1100が、当該急速攪拌槽1101に送り込まれる。本発明では、又、当該急速攪拌槽1101を、図示のように、複数槽例えば2槽に構成する。当該急速攪拌槽1101には、凝集剤1102が注入される。当該凝集剤1102は、原水1100に注入(添加)してもよいし、又、当該急速攪拌槽1101で注入してもよい。また、当該凝集剤1102を、図示のように、当該複数槽の急速攪拌槽1101において分割注入してもよい。当該攪拌機(攪拌翼)2を備えた両方の急速攪拌槽1101で急速攪拌が行われる。その際に、当該急速攪拌槽1101における急速攪拌強度(GR値)を450sec−1以上好ましくは1000sec−1を超えた値とする。当該急速攪拌強度(GR値)450sec−1以上の強攪拌により、凝集剤の均一分散、荷電中和、加水分解生成物の粗大化防止及び微細粒子数の低減化が達成される。好ましくは1000sec−1を超えた急速攪拌強度(GR値)とすれば、より一層、凝集剤の均一分散、加水分解生成物の粗大化防止、荷電中和及び微細粒子数の低減化が達成される。その際、成長した微フロックの一部は、剪断力によって破壊されて小径粒子化する。こうした急速攪拌処理水を、従来の75sec−1以下と弱いフロック形成攪拌強度(Gs1値)の下でフロック形成を行うと、破壊されて小径化した微フロックは再集塊化されることなく沈殿処理水中に残留し、濁度上昇をもたらすこととなる。
そこで、本発明では、上記のように、複数槽で構成されるフロック形成槽におけるフロック形成工程の最上流に位置する攪拌機(攪拌翼)2を備えた第一槽1のフロック形成攪拌強度(Gs1値)を75sec−1以上とすると共に、攪拌機(攪拌翼)2を備えた第二槽以降の各槽1103のフロック形成攪拌強度(Gs値)を75sec−1以下として凝集処理を行う。ここで、フロック形成工程の最上流に位置する第一槽1のフロック形成攪拌強度(Gs1値)を75sec−1以上とすることによって与えられる剪断力と衝突頻度が、劇的な処理効果をもたらしている。即ち、当該剪断力では、急速攪拌工程で成長した粗大微フロックを破壊することがなく、一方、当該衝突頻度は、急速攪拌工程で破壊されて小径化した微フロックや未吸合の一次粒子の再集塊化を強く促進する。また、第二槽以降のフロック形成攪拌強度(Gs2値)75sec−1以下のフロック形成の継続は、再集塊化を更に促進する。その結果、濁度が従来に比べて1オーダー低くなり、沈澱や濾過処理水質を大幅に改善することができるようになった。当該フロック形成工程の最上流に位置する第一槽1のフロック形成攪拌強度(Gs1値)は、75〜450sec−1が採用できるが、450sec−1の場合、フロック形成攪拌時間(Ts1値)は2min程度が好適であり、150sec−1の場合、フロック形成攪拌時間(Ts1値)は12min程度を採用することができる。この場合、当該フロック形成工程の最上流に位置する第一槽のフロック形成攪拌強度(Gs1値)が450sec−1を越えると、剪断力による微フロックの破壊が集塊化の効果を上回り、またフロック形成攪拌強度(Gs1値)が75sec−1未満では、破壊は起りにくいものの集塊化の促進がなされず濁度の低減などの作用効果を奏し得が難くなる。
本発明による当該凝集処理法では、注入した凝集剤の利用効率が高く、残留凝集剤量を低減化でき、濾過池の洗浄頻度の低減や発生汚泥量の削減などが実現でき、急速濾過システムコストの低減化に繋げることができる。
図11で説明したように、通常の急速濾過システムは、急速攪拌槽1101とフロック形成槽1103、沈殿池1104及び濾過池1105を有して構成される。
これに対し、本発明では、図1及び図2に示すように、フロック形成槽を複数槽で構成し、当該複数槽の初頭にフロック形成攪拌強度(Gs1値)を75sec −1以上となし得る第1槽1を付設してなる。当該処理装置による処理方法について説明するに、被処理水の地下水、河川水或いは湖沼水等の原水1100が、当該急速攪拌槽1101に送り込まれる。本発明では、又、当該急速攪拌槽1101を、図示のように、複数槽例えば2槽に構成する。当該急速攪拌槽1101には、凝集剤1102が注入される。当該凝集剤1102は、原水1100に注入(添加)してもよいし、又、当該急速攪拌槽1101で注入してもよい。また、当該凝集剤1102を、図示のように、当該複数槽の急速攪拌槽1101において分割注入してもよい。当該攪拌機(攪拌翼)2を備えた両方の急速攪拌槽1101で急速攪拌が行われる。その際に、当該急速攪拌槽1101における急速攪拌強度(GR値)を450sec−1以上好ましくは1000sec−1を超えた値とする。当該急速攪拌強度(GR値)450sec−1以上の強攪拌により、凝集剤の均一分散、荷電中和、加水分解生成物の粗大化防止及び微細粒子数の低減化が達成される。好ましくは1000sec−1を超えた急速攪拌強度(GR値)とすれば、より一層、凝集剤の均一分散、加水分解生成物の粗大化防止、荷電中和及び微細粒子数の低減化が達成される。その際、成長した微フロックの一部は、剪断力によって破壊されて小径粒子化する。こうした急速攪拌処理水を、従来の75sec−1以下と弱いフロック形成攪拌強度(Gs1値)の下でフロック形成を行うと、破壊されて小径化した微フロックは再集塊化されることなく沈殿処理水中に残留し、濁度上昇をもたらすこととなる。
そこで、本発明では、上記のように、複数槽で構成されるフロック形成槽におけるフロック形成工程の最上流に位置する攪拌機(攪拌翼)2を備えた第一槽1のフロック形成攪拌強度(Gs1値)を75sec−1以上とすると共に、攪拌機(攪拌翼)2を備えた第二槽以降の各槽1103のフロック形成攪拌強度(Gs値)を75sec−1以下として凝集処理を行う。ここで、フロック形成工程の最上流に位置する第一槽1のフロック形成攪拌強度(Gs1値)を75sec−1以上とすることによって与えられる剪断力と衝突頻度が、劇的な処理効果をもたらしている。即ち、当該剪断力では、急速攪拌工程で成長した粗大微フロックを破壊することがなく、一方、当該衝突頻度は、急速攪拌工程で破壊されて小径化した微フロックや未吸合の一次粒子の再集塊化を強く促進する。また、第二槽以降のフロック形成攪拌強度(Gs2値)75sec−1以下のフロック形成の継続は、再集塊化を更に促進する。その結果、濁度が従来に比べて1オーダー低くなり、沈澱や濾過処理水質を大幅に改善することができるようになった。当該フロック形成工程の最上流に位置する第一槽1のフロック形成攪拌強度(Gs1値)は、75〜450sec−1が採用できるが、450sec−1の場合、フロック形成攪拌時間(Ts1値)は2min程度が好適であり、150sec−1の場合、フロック形成攪拌時間(Ts1値)は12min程度を採用することができる。この場合、当該フロック形成工程の最上流に位置する第一槽のフロック形成攪拌強度(Gs1値)が450sec−1を越えると、剪断力による微フロックの破壊が集塊化の効果を上回り、またフロック形成攪拌強度(Gs1値)が75sec−1未満では、破壊は起りにくいものの集塊化の促進がなされず濁度の低減などの作用効果を奏し得が難くなる。
本発明による当該凝集処理法では、注入した凝集剤の利用効率が高く、残留凝集剤量を低減化でき、濾過池の洗浄頻度の低減や発生汚泥量の削減などが実現でき、急速濾過システムコストの低減化に繋げることができる。
本発明における急速攪拌強度(GR値)は、次の式1から算出される。
但し、式1中、C:攪拌係数、B:攪拌翼幅(m)、攪拌翼高さ(m)、v:攪拌翼の周辺速度(m/sec)、γ:動粘性係数(m2・sec)、V:攪拌槽の容量(m3)である。
但し、式1中、C:攪拌係数、B:攪拌翼幅(m)、攪拌翼高さ(m)、v:攪拌翼の周辺速度(m/sec)、γ:動粘性係数(m2・sec)、V:攪拌槽の容量(m3)である。
本発明における複数槽で構成されるフロック形成槽におけるフロック形成工程の最上流に位置する第1槽のフロック形成攪拌強度(Gs1値)及び第二槽以降のフロック形成攪拌強度(Gs2値)は、上記の急速攪拌強度(GR値)の式1と同様にして算出される。
本発明では、急速攪拌工程の凝集剤注入率上昇時、フロック形成工程の最上流に位置する第一槽では、凝集剤を注入する必要はないが、図2に示すように、急速攪拌工程の凝集剤注入量低減時には、当該フロック形成工程の最上流に位置する第一槽でも、凝集剤1102を再注入すると集塊化が一層促進される。即ち、当該フロック形成工程の最上流に位置する第一槽1で、加水分解生成物が必要量以下に低下すると、微フロックの集塊化の効果が低くなるためである。その際、凝集剤1102は適切な量を注入する必要があり、5mg/L以下で注入することが好ましい。当該5mg/Lを超えて注入すると、凝集剤における例えば残留アルミニウム濃度が高くなり、濾過処理効率の低減化を招くことになる。
本発明では、急速攪拌工程の急速攪拌強度(GR値)を450sec−1以上好ましくは1000sec−1を超えた値とするが、当該急速攪拌強度(GR値)の適切な選択と共に、急速攪拌時間(TR値)を3分以上とすることにより、より一層、上記の作用効果を高めることができる。当該急速攪拌時間(TR値)が3分を超えないときには、急速攪拌強度(GR値)が適切であっても、微細粒子数の低減化が達成され難く、結局、凝集剤注入率の増加を余儀なくされ、又、加水分解生成物を粗大化させて凝集型式をスウィープ型とし、凝集剤の利用効率を低減させることとなる。又、フロック形成工程の最上流に位置する第一槽におけるフロック形成攪拌強度(Gs1値)を75sec−1以上、好ましくは75〜450sec−1とするが、フロック形成攪拌時間(Ts1値)が2分を超えないときには、フロック形成攪拌強度(Gs1値)が適切であっても、微フロックの衝突効率が低くなるので集塊化が促進されず、従って、濁度の低減などの作用効果を奏し得難くなる。
本発明では、上記のように、GR値、TR値、Gs1値、Ts1値を選択することにより、被処理水の処理に好影響を与えることができるが、一般に、急速濾過システムにおける沈殿処理では、径15μm以下の微フロックが残留するとされている。しかし、低い凝集剤注入率においてGR値を上昇すると形成される凝集フロックは、小径ではあるものの高密度となる。そこで、適宜の取付ピッチの傾斜板を設けることにより、その流出を抑制することができ、前記急速攪拌強度(GR値)及びフロック形成攪拌強度(Gs1値)、(Gs2値)との関係からは、その取付ピッチを例えば50mm以下とすることが良いことが判った。
(発明の実施の形態)
本発明の理解に供するため、以下に実施例を記載する。いうまでもなく、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
本発明の理解に供するため、以下に実施例を記載する。いうまでもなく、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
比較例1
カオリン粒子を加えた濁度20mg/Lに調製した試料水1リットルにポリ塩化アルミニウム凝集剤(PAC)を入れ、日本の急速攪拌の設計基準値(GR値:150sec −1 、 TR値5分間)と米国の急速攪拌の設計基準値(GR値:1000sec −1 、 TR値0.5分間)で各々ジャーテストを行った。
図7に、当該GR値及びTR値の下でのポリ塩化アルミニウム凝集剤(PAC)の注入率と沈殿水濁度との関係をグラフ化した図を示す。又、図8に、PACの注入率を19mg/Lとした時のGR値と沈殿水濁度との関係をグラフ化した図を示す。更に、図9に、当該GR値の下でのTR値沈殿水濁度との関係をグラフ化した図を示す。尚、急速攪拌時間(TR値)5分間の後、フロック形成攪拌強度(Gs値)25sec −1、フロック形成攪拌時間(Ts値)20分間のフロック形成を行った後、40分間静置沈澱させている。沈澱処理水濁度(度)は、所定位置から上澄水を採取し、積分式光電光度計(Water Analyzer 2000N、日本電色工業製)で測定した。
カオリン粒子を加えた濁度20mg/Lに調製した試料水1リットルにポリ塩化アルミニウム凝集剤(PAC)を入れ、日本の急速攪拌の設計基準値(GR値:150sec −1 、 TR値5分間)と米国の急速攪拌の設計基準値(GR値:1000sec −1 、 TR値0.5分間)で各々ジャーテストを行った。
図7に、当該GR値及びTR値の下でのポリ塩化アルミニウム凝集剤(PAC)の注入率と沈殿水濁度との関係をグラフ化した図を示す。又、図8に、PACの注入率を19mg/Lとした時のGR値と沈殿水濁度との関係をグラフ化した図を示す。更に、図9に、当該GR値の下でのTR値沈殿水濁度との関係をグラフ化した図を示す。尚、急速攪拌時間(TR値)5分間の後、フロック形成攪拌強度(Gs値)25sec −1、フロック形成攪拌時間(Ts値)20分間のフロック形成を行った後、40分間静置沈澱させている。沈澱処理水濁度(度)は、所定位置から上澄水を採取し、積分式光電光度計(Water Analyzer 2000N、日本電色工業製)で測定した。
図7から、従来法では凝集剤注入率が低いと、残留濁度が高く、凝集剤注入率を上昇することによって沈澱処理水濁度が低くなってゆくことがわかる。この場合、両基準ともに凝集剤注入率を上昇すると典型的なスウィープ型凝集となるが、日本の基準では急速撹拌で、一方米国の基準ではフロック形成でスウィープ型フロックが確認されている。これに対して図8、図9から、GR値もしくはTR値を上昇すると凝集剤注入率が低くても従来法と同程度の濁度の沈澱処理水が得られることがわかる。なお、図7のGR値1000sec −1においてTR値3.5分、5分はいずれもノンスウィープ型凝集であったが、特開平10−59713号公報の説明から、ノンスウィープ型凝集実現のためには、GR値、TR値を上昇して、予め加水分解生成物濃度を低減化することが必須要件であることが理解できる。
比較例2
カオリン粒子を加えた濁度20mg/Lに調製した試料水8リットルにポリ塩化アルミニウム凝集剤(PAC)13mg/Lを注入し、GR値の上昇に伴う沈澱処理水中の各径粒子数及び濁度を測定した。ここで、急速攪拌、緩速攪拌及び沈澱の条件は比較例1と同様である。沈澱処理水中の各径粒子数及び濁度は、所定位置から上澄水を採取し、前方散乱光微粒子カウント方式の高感度濁度計(ZYV型:富士電機製)で測定した。
その結果を、図10に示す。
カオリン粒子を加えた濁度20mg/Lに調製した試料水8リットルにポリ塩化アルミニウム凝集剤(PAC)13mg/Lを注入し、GR値の上昇に伴う沈澱処理水中の各径粒子数及び濁度を測定した。ここで、急速攪拌、緩速攪拌及び沈澱の条件は比較例1と同様である。沈澱処理水中の各径粒子数及び濁度は、所定位置から上澄水を採取し、前方散乱光微粒子カウント方式の高感度濁度計(ZYV型:富士電機製)で測定した。
その結果を、図10に示す。
図10から、径0.5〜1μm粒子は、GR値を上昇するほど低減化されてゆく。これに対して、径1μm以上の各粒子は、GR値を800sec −1以上に上昇すると、数が増加し、濁度も上昇に転じている。又、沈澱処理水濁度が径3μm以上の粒子数の増加に起因していることがわかる。更に、沈澱処理水中に残留する粒子は、概ね15μm以下であるが、径3μm以上粒子を選択的に除去することができないので、各径粒子数の低減化と濁度上昇をもらす径3μm以上粒子数の増加とを同時に達成することが必要であることがわかる。
実施例1
カオリン粒子を加えた濁度20mg/Lに調製した試料水1リットルにポリ塩化アルミニウム凝集剤(PAC)13mg/Lを注入し、GR値1000sec−1、TR値5分間の急速攪拌処理を行った後、複数槽で構成されるフロック形成槽におけるフロック形成工程の最上流に位置する第一槽のフロック形成攪拌時間(Ts1値)を2minとした時の、フロック形成攪拌強度(Gs1値)と沈澱処理水濁度の関係をグラフ化した図を図3に示す。また、同様に、フロック形成攪拌強度(Gs1値)を300sec−1とした時のフロック形成攪拌時間(Ts1値)と沈澱処理水濁度の関係をグラフ化した図4に示す。
カオリン粒子を加えた濁度20mg/Lに調製した試料水1リットルにポリ塩化アルミニウム凝集剤(PAC)13mg/Lを注入し、GR値1000sec−1、TR値5分間の急速攪拌処理を行った後、複数槽で構成されるフロック形成槽におけるフロック形成工程の最上流に位置する第一槽のフロック形成攪拌時間(Ts1値)を2minとした時の、フロック形成攪拌強度(Gs1値)と沈澱処理水濁度の関係をグラフ化した図を図3に示す。また、同様に、フロック形成攪拌強度(Gs1値)を300sec−1とした時のフロック形成攪拌時間(Ts1値)と沈澱処理水濁度の関係をグラフ化した図4に示す。
図3から、フロック形成攪拌強度(Gs1値)を上昇してゆくと、沈殿処理水濁度は450sec−1で最小値を取っていて、フロック形成攪拌強度(Gs1値)450sec−1までは破壊が抑制され、再集塊化の効果が上回って沈殿処理水濁度は低減化されてゆく。しかし、フロック形成攪拌強度(Gs1値)を450sec−1以上に上昇すると沈殿処理水濁度は急上昇していて、再集塊化の効果を破壊が上回っていることがわかる。また、図4から、フロック形成攪拌強度(Gs1値)300sec−1では、フロック形成攪拌時間(Ts1値)を長くするほど再集塊化が進み沈殿処理水濁度が低減化されてゆくことがわかる。
実施例2
比較例2と同様に急速攪拌処理を行った後、複数槽で構成されるフロック形成槽におけるフロック形成工程の最上流に位置する第一槽のフロック形成攪拌強度(Gs1値)を150sec−1以上、フロック形成攪拌時間(Ts1値)を5分として、径7μm以上粒子数と沈澱処理水濁度を比較例2と比較した。
その結果を図5に示す。
比較例2と同様に急速攪拌処理を行った後、複数槽で構成されるフロック形成槽におけるフロック形成工程の最上流に位置する第一槽のフロック形成攪拌強度(Gs1値)を150sec−1以上、フロック形成攪拌時間(Ts1値)を5分として、径7μm以上粒子数と沈澱処理水濁度を比較例2と比較した。
その結果を図5に示す。
図5から、複数槽で構成されるフロック形成槽におけるフロック形成工程の最上流に位置する第一槽のフロック形成攪拌強度(Gs1値)を150sec−1以上、フロック形成攪拌時間(Ts1値)を5分とすることによって、比較例2に比べると径7μm以上の粒子数と沈澱処理水濁度が、大幅に改善されることが理解できる。
比較例では、GR値が1000sec−1を底として濁度が上昇していくが、本発明では、急速攪拌工程に同一のGR値を採用しても、複数槽で構成されるフロック形成工程の最上流に位置する第一槽のフロック形成攪拌強度(Gs1値)を150sec−1以上、フロック形成攪拌時間(Ts1値)を5minとすると、GR値が1000sec−1を超えても濁度の上昇はなく、又、径7μm以上の粒子数と沈澱処理水濁度が、大幅に改善されることが判る。
比較例では、GR値が1000sec−1を底として濁度が上昇していくが、本発明では、急速攪拌工程に同一のGR値を採用しても、複数槽で構成されるフロック形成工程の最上流に位置する第一槽のフロック形成攪拌強度(Gs1値)を150sec−1以上、フロック形成攪拌時間(Ts1値)を5minとすると、GR値が1000sec−1を超えても濁度の上昇はなく、又、径7μm以上の粒子数と沈澱処理水濁度が、大幅に改善されることが判る。
実施例3
上記のジャーテストの結果に基づいて、本発明の凝集処理法と従来法であるスウィープ型凝集法の濾過処理水濁度の推移(平均値)との比較を行った。
本発明法
急速攪拌強度(GR値):1500sec −1
急速攪拌時間(TR値):5分
フロック形成槽におけるフロック形成工程の最上流に位置する第一槽のフロック形成攪拌強度(Gs1値):150sec −1
フロック形成槽におけるフロック形成工程の最上流に位置する第一槽のフロック形成攪拌時間(Ts1値):12分
フロック形成槽の第二槽のフロック形成攪拌強度(Gs2値):25sec −1
同第二槽攪拌時間(Ts2値):28分
凝集剤注入率(PAC1):18.9mg/L
凝集剤注入率(PAC2):2mg/L
対照例
急速攪拌強度(GR値):150sec −1
急速攪拌時間(Ts値):5分
フロック形成攪拌強度(Gs値)25sec −1
フロック形成攪拌時間(TR値):40分
凝集剤注入率(PAC):52.8mg/L
急速濾過池濾過速度:140m/日
その結果を図6に示す。
上記のジャーテストの結果に基づいて、本発明の凝集処理法と従来法であるスウィープ型凝集法の濾過処理水濁度の推移(平均値)との比較を行った。
本発明法
急速攪拌強度(GR値):1500sec −1
急速攪拌時間(TR値):5分
フロック形成槽におけるフロック形成工程の最上流に位置する第一槽のフロック形成攪拌強度(Gs1値):150sec −1
フロック形成槽におけるフロック形成工程の最上流に位置する第一槽のフロック形成攪拌時間(Ts1値):12分
フロック形成槽の第二槽のフロック形成攪拌強度(Gs2値):25sec −1
同第二槽攪拌時間(Ts2値):28分
凝集剤注入率(PAC1):18.9mg/L
凝集剤注入率(PAC2):2mg/L
対照例
急速攪拌強度(GR値):150sec −1
急速攪拌時間(Ts値):5分
フロック形成攪拌強度(Gs値)25sec −1
フロック形成攪拌時間(TR値):40分
凝集剤注入率(PAC):52.8mg/L
急速濾過池濾過速度:140m/日
その結果を図6に示す。
本発明法では、フロック形成工程の第一槽のフロック形成攪拌強度(Gs1値)を150sec−1、フロック形成攪拌時間(Ts1値)12分としている。
図6から、急速攪拌槽のGR値とフロック形成槽第一槽のフロック形成攪拌強度(Gs1値)の上昇によって、凝集剤注入率が半分以下と少ないにもかかわらず、対照例に比べて濾過処理水濁度は低く、経時的に改善が進んでいることが判る。
図6から、急速攪拌槽のGR値とフロック形成槽第一槽のフロック形成攪拌強度(Gs1値)の上昇によって、凝集剤注入率が半分以下と少ないにもかかわらず、対照例に比べて濾過処理水濁度は低く、経時的に改善が進んでいることが判る。
本発明によれば、次のような利点がある。
(1)従来例では、急速攪拌において粗大微フロックの破壊、即ち、GR値上昇に伴う沈澱処理水濁度の上昇があったが、これを防止でき、更に、従来よりも1オーダー低い濁度の沈澱処理水が得られた。
(2)より低い凝集剤注入率での1オーダー低い濁度の沈澱処理水は、より低い濾過水濁度をもたらすことに繋がるので、病原性原虫のオーシストなどの濾過水中への漏出の危険性を低減化できる。
(3)上記(1)の粗大微フロックの破壊抑制によって、急速攪拌工程のGR値を高めることができるようになり、これによって沈澱処理水中の残留濁度を構成する径3μm以下の粒子数の低減化を、より低い凝集剤注入率で達成できるようになる。また、同時に凝集剤の加水分解生成物の微フロック中への取込みも達成されるので、システム内でスウィープ型フロックが形成されることはなく、ノンスウィープ型凝集への転換が可能となる。
(4)上記3の加水分解生成物の微フロック中への取込みは、沈殿処理水中の加水分解生成物残留量を低減化し、濾過池の損失水頭の急上昇を防ぐので、洗浄頻度が低下し、結果として処理コストの削減に繋がる。また、より低い凝集剤注入率と高いGR値は、発生汚泥量の低減化、汚泥密度の上昇による濃縮・脱水性を向上させ、汚泥処理コストの削減に繋がる。<急速濾過システムコストに占める濾過池洗浄と汚泥処理のコストの割合は非常に大きいので、経済効果は極めて大きい>
(5)上記(4)の沈殿処理水中の加水分解生成物は、濾過池砂層内のフロッキュレーションや微フロックの抑留によって更に低減化されるので、今後強化が予想される濾過処理水の残留アルミニウム濃度の低下にも繋がる。
(1)従来例では、急速攪拌において粗大微フロックの破壊、即ち、GR値上昇に伴う沈澱処理水濁度の上昇があったが、これを防止でき、更に、従来よりも1オーダー低い濁度の沈澱処理水が得られた。
(2)より低い凝集剤注入率での1オーダー低い濁度の沈澱処理水は、より低い濾過水濁度をもたらすことに繋がるので、病原性原虫のオーシストなどの濾過水中への漏出の危険性を低減化できる。
(3)上記(1)の粗大微フロックの破壊抑制によって、急速攪拌工程のGR値を高めることができるようになり、これによって沈澱処理水中の残留濁度を構成する径3μm以下の粒子数の低減化を、より低い凝集剤注入率で達成できるようになる。また、同時に凝集剤の加水分解生成物の微フロック中への取込みも達成されるので、システム内でスウィープ型フロックが形成されることはなく、ノンスウィープ型凝集への転換が可能となる。
(4)上記3の加水分解生成物の微フロック中への取込みは、沈殿処理水中の加水分解生成物残留量を低減化し、濾過池の損失水頭の急上昇を防ぐので、洗浄頻度が低下し、結果として処理コストの削減に繋がる。また、より低い凝集剤注入率と高いGR値は、発生汚泥量の低減化、汚泥密度の上昇による濃縮・脱水性を向上させ、汚泥処理コストの削減に繋がる。<急速濾過システムコストに占める濾過池洗浄と汚泥処理のコストの割合は非常に大きいので、経済効果は極めて大きい>
(5)上記(4)の沈殿処理水中の加水分解生成物は、濾過池砂層内のフロッキュレーションや微フロックの抑留によって更に低減化されるので、今後強化が予想される濾過処理水の残留アルミニウム濃度の低下にも繋がる。
本発明は、急速濾過浄水方法の他、直接濾過浄水方法や高速凝集沈澱法における急速攪拌にも適用することができる。又、廃水処理における全ての凝集除濁処理方法にも適用できる。
1 フロック形成槽におけるフロック形成工程の最上流に位置する第一槽
1101 急速攪拌槽(混和池)
1103 フロック形成槽(第二槽)
1101 急速攪拌槽(混和池)
1103 フロック形成槽(第二槽)
Claims (8)
- 被処理水に凝集剤を注入して急速攪拌及びフロック形成による凝集処理を行うに際し、前記被処理水又は当該急速攪拌が行われる急速攪拌槽に流入後の処理水に前記凝集剤を注入し、急速攪拌強度(GR値)を450sec −1以上として急速攪拌処理を
行い、次いで、複数槽で構成されるフロック形成槽におけるフロック形成工程の最上流に位置する第1槽のフロック形成攪拌強度(Gs1値)を75sec −1以上とすると共に、第二槽以降のフロック形成攪拌強度(Gs2値)を75sec −1以下として凝集処理を行うことを特徴とする被処理水の凝集処理方法。 - 急速攪拌強度(GR値)を1000sec −1を超えた値としてなることを特徴とする、請求項1に記載の被処理水の凝集処理方法。
- 急速攪拌処理における急速攪拌時間(TR値)を3分以上としてなることを特徴とする、請求項1又は2に記載の被処理水の凝集処理方法。
- フロック形成工程の最上流に位置する第1槽のフロック形成攪拌強度(Gs1値)を75〜450sec −1としてなることを特徴とする、請求項1、2又は3に記載の被処理水の凝集処理方法。
- フロック形成工程の最上流に位置する第1槽のフロック形成攪拌時間(Ts1値)を2分以上としてなることを特徴とする、請求項1、2、3又は4に記載の被処理水の凝集処理方法。
- 急速攪拌槽が複数槽で構成され、当該急速攪拌槽の各槽に凝集剤を分割して注入することを特徴とする、請求項1、2、3、4、又は5に記載の被処理水の凝集処理方法。
- フロック形成工程の最上流に位置する第1槽において凝集剤を5mg/L以下注入することを特徴とする、請求項1、2、3、4、5又は6に記載の被処理水の凝集処理方法。
- 被処理水に凝集剤を注入して急速攪拌及びフロック形成による凝集処理を行う処理装置において、フロック形成槽を複数槽で構成し、当該複数槽の初頭にフロック形成攪拌強度(Gs1値)を75sec −1以上となし得る第1槽を付設してなることを
特徴とする被処理水の凝集処理装置。
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- 2006-01-31 JP JP2006021858A patent/JP2007203133A/ja active Pending
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