JP7315106B2 - 液晶配向剤、液晶配向膜及び液晶表示素子 - Google Patents
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Description
液晶配向膜には液晶配向性に加えて、様々な特性が要求される。例えば、上記PSA方式の液晶表示素子では、静電気が液晶セル内に蓄積されたり、また、駆動によって生じる正負非対称電圧の印加によって液晶セル内に電荷が蓄積されたりすると、これらの蓄積された電荷が液晶配向の乱れや残像として表示に影響を与え、液晶素子の表示品位を著しく低下させることから、静電気の蓄積が抑制され、且つ、残像の少ない液晶配向膜が求められる。このような課題を解決する液晶配向膜として、特許文献2にはピロール構造を有するポリイミド系液晶配向膜が提案されている。
本発明は、下記式(1)で表されるジアミン(1)を含むジアミン成分を用いて得られるポリイミド前駆体及び該ポリイミド前駆体のイミド化物であるポリイミドからなる群から選ばれる少なくとも1種の重合体(P)を含有することを特徴とする液晶配向剤、該液晶配向剤から得られた液晶配向膜、及び該液晶配向膜を有する液晶表示素子にある。
本発明の上記効果が得られるメカニズムは必ずしも明らかではないが、以下に述べることが一因と考えられる。すなわち、本発明の液晶配向剤に用いる重合体成分の原料であるジアミンは、アミノ基のオルト位に置換基があることで、立体障害が発生し電荷移動の形成が抑制されることから、高い光透過率を有する液晶配向膜が得られ、また、上記ジアミンから得られる重合体は共役構造を有するため、蓄積された電荷の緩和が早く、残像特性に優れた液晶配向膜を得ることができると考えられる。
本発明の液晶配向剤は、下記式(1)で表されるジアミン(1)を含むジアミン成分を用いて得られるポリイミド前駆体及び該ポリイミド前駆体のイミド化物であるポリイミドからなる群から選ばれる少なくとも1種の重合体(P)を含有する。
Rにおける1価の有機基としては、芳香環構造を有する1価の有機基、炭素数1~30の1価の鎖状炭化水素基、又は炭素数3~30の1価の脂環式炭化水素基が好ましい。かかる鎖状炭化水素基又は脂環式炭化水素基が有する水素原子の一部は置換されていてもよく、その有するメチレン基の一部が、酸素原子、カルボニル基又は-COO-で置換されていてもよい。
上記炭素数1~30の1価の鎖状炭化水素基としては、炭素数1~30のアルキル基、炭素数2~30のアルケニル基、炭素数2~30のアルキニル基等が挙げられる。Rが鎖状炭化水素基又は脂環式炭化水素基である場合、これらの炭化水素基が有する水素原子の一部は置換されていてもよく、該置換基としては、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、水酸基、シアノ基、炭素数1~9のアルキル基、炭素数1~9のアルコキシ基、炭素数1~9のフルオロアルキル基等が挙げられる。中でも炭素数1~6のアルキル基又は炭素数1~6のフルオロアルキル基がより好ましく、炭素数1~6のアルキル基が特に好ましい。
上記芳香環構造を有する1価の有機基は、芳香環構造のみで構成されていてもよく、その一部に鎖状構造及び上記脂環式構造の少なくとも一方を含んでいてもよい。芳香環構造としては、ベンゼン環であってもよく、ナフタレン環、アントラセン環等の縮合ベンゼン環であってもよく、チオフェン環、ピロール環、フラン環、ピリジン環、ピリミジン環、トリアジン環等の複素芳香環であってもよい。上記芳香環構造を有する1価の基は、芳香環構造を1個のみ有していてもよく、複数個有していてもよい。複数個有している場合、それら複数個の芳香環構造が単結合により結合されていてもよく、この場合、具体的にはビフェニルやテルフェニル等が挙げられる。また、複数個の芳香環構造を連結するように鎖状構造又は脂環式構造が存在していてもよい。これら芳香環構造、鎖状構造及び脂環式構造のうち少なくとも1つの構造は、置換基を有していてもよい。該置換基としてはハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、水酸基、シアノ基、炭素数1~9のアルキル基、炭素数1~9のアルコキシ基、炭素数1~9のフルオロアルキル基等が挙げられる。
本発明の効果を効率的に得る観点から、R、R1及びR2は、それぞれ独立して、炭素数1~5のアルキル基が好ましい。
R、R1、R2における炭素数1~5のアルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、イソペンチル基、sec-ペンチル基、tert-ペンチル基が挙げられる。なかでも、炭素数1~3のアルキル基が好ましい。
また、R2は、液晶配向性を高める観点から、炭素数3~20のアルキル基又は炭素数2~20のアルコキシアルキル基が好ましい。
本発明の液晶配向剤に含有される重合体(P)は、1成分又は2成分以上のポリイミド前駆体及び/又は該ポリイミド前駆体のイミド化物であるポリイミドで構成されてもよい。ここにおいて、ポリイミド前駆体は、ポリアミック酸、ポリアミック酸エステルなどのイミド化にすることによりポリイミドを得ることができる重合体である。重合体(P)の好ましい具体的な態様として、以下の2つのタイプが挙げられるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
上記ジアミン(1)を含むジアミン成分を用いて得られるポリイミド前駆体及び該ポリイミド前駆体のイミド化物であるポリイミドからなる群から選ばれる少なくとも1種の重合体(p-1)と、上記ジアミン(s)を含むジアミン成分を用いて得られるポリイミド前駆体及び該ポリイミド前駆体のイミド化物であるポリイミドからなる群から選ばれる少なくとも1種の重合体(p-2)との混合物(以下、重合体ブレンドともいう。)。
上記共重合体又は重合体ブレンドは単独で使用してもよく、両者を組み合わせて使用してもよい。
上記重合体(P)のポリイミド前駆体であるポリアミック酸(P)は、上記ジアミン(1)を含有するジアミン成分、好ましくは上記ジアミン(1)に加えてジアミン(s)を含有するジアミン成分とテトラカルボン酸成分との重合反応により得ることができる。
この場合、ジアミン(1)の使用量は、テトラカルボン酸成分と反応させるジアミン成分に対して、1~100モル%が好ましく、1~99モル%がより好ましく、5~95モル%がさらに好ましい。
上記ジアミン(1)及びジアミン(s)に加えてその他のジアミンを使用する場合、ジアミン(s)の使用量は、テトラカルボン酸成分と反応させるジアミン成分に対して、98モル%以下が好ましく、94モル%以下がより好ましい。
上記ポリアミック酸(P)を製造する場合、ジアミン成分と反応させるテトラカルボン酸成分は、テトラカルボン酸二無水物だけでなく、テトラカルボン酸、テトラカルボン酸ジハライド、テトラカルボン酸ジアルキルエステル、又はテトラカルボン酸ジアルキルエステルジハライドなどのテトラカルボン酸二無水物の誘導体を用いることもできる。
ポリアミック酸(P)の製造に用いられるテトラカルボン酸二無水物及びその誘導体は、上記式(T)以外のテトラカルボン酸二無水物又はその誘導体を含有していてもよい。
上記溶媒の具体例としては、N-メチル-2-ピロリドン、N-エチル-2-ピロリドン、γ-ブチロラクトン、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノンが挙げられる。また、重合体の溶媒溶解性が高い場合は、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、4-ヒドロキシ-4-メチル-2-ペンタノン、又は下記式[D-1]~[D-3]で示される溶媒を用いることができる。
ジアミン成分とテトラカルボン酸成分とを溶媒中で反応させる際には、反応は任意の濃度で行うことができるが、上記溶媒に対するジアミン成分とテトラカルボン酸成分の濃度は、好ましくは1~50質量%、より好ましくは5~30質量%である。反応初期は高濃度で行い、その後、溶媒を追加することができる。
反応においては、ジアミン成分の合計モル数とテトラカルボン酸成分の合計モル数との比(ジアミン成分の合計モル数/テトラカルボン酸成分の合計モル数)は0.8~1.2であることが好ましい。通常の重縮合反応同様、このモル比が1.0に近いほど生成する重合体の分子量は大きくなる。
本発明の液晶配向剤に含有されるポリイミドは上記ポリイミド前駆体を閉環させて得られるポリイミドである。ポリイミドにおいては、アミック酸基の閉環率(イミド化率ともいう)は必ずしも100%である必要はなく、用途や目的に応じて任意に調整することができる。
本発明における重合体(P)は、その製造に際して、上記テトラカルボン酸成分、及びジアミン成分とともに、適当な末端封止剤を用いて末端封止型の重合体としてもよい。末端封止型の重合体は、塗膜によって得られる液晶配向膜の膜硬度の向上や、シール剤と液晶配向膜の密着特性の向上という効果を有する。
本発明における重合体(P)の末端の例としては、アミノ基、カルボキシ基、酸無水物基又はこれらの誘導体が挙げられる。アミノ基、カルボキシ基、酸無水物基、又はこれらの誘導体は通常の縮合反応或いは以下の末端封止剤を用いて得ることができ、前記誘導体は、例えば、以下の末端封止剤を用いて得ることができる。
本発明の液晶配向剤は、重合体(P)、及び必要に応じて使用されるその他の成分が、好ましくは適当な溶媒中に分散又は溶解してなる液状の組成物である。
本発明の液晶配向剤においては、例えば電気特性(例:高い電圧保持率特性)、垂直配向性や溶液特性を改善することなどを目的として、重合体(P)のほかに、それ以外の重合体(以下、その他の重合体ともいう。)を含有させてもよい。
その他の重合体の含有割合は、液晶配向剤中に含まれる重合体の合計100質量部に対して、90質量部以下が好ましく、10~90質量部がより好ましく、20~80質量部が更に好ましい。
上記重合体(B)として、電気特性を高める観点から、上記ジアミン(s)を含有するジアミン成分を用いて得られるポリイミド前駆体及び該ポリイミド前駆体のイミド化物からなる群から選ばれる少なくとも1種の重合体が、より好ましい。上記重合体(B)を得るために用いられるジアミン(s)の好ましい態様は、重合体(P)で例示したジアミン(s)と同様である。また、重合体(B)を得るために用いられるジアミン成分として、上記ジアミン(s)の他、上記重合体(P)で例示したその他のジアミンを用いることもできる。その他のジアミンは、中でも、上記ラジカル開始機能を有するジアミン、上記光照射により増感作用を示す光増感機能を有するジアミン、上記基「-N(D)-」を有するジアミン、を好ましく用いることができる。
重合体(B)を製造するために用いられるジアミン(s)は、重合体(B)を製造する場合に1種以上用いることができ、その使用量は、重合体(B)の製造に使用される全ジアミン成分に対して、好ましくは5~90モル%であり、より好ましくは10~90モル%である。
重合体(B)を製造するために用いられるテトラカルボン酸成分は、ポリアミック酸(P)を製造するために用いられるテトラカルボン酸成分として例示した化合物を挙げることができる。中でも、上記式(T)で表されるテトラカルボン酸二無水物又はその誘導体が好ましい。
重合体(B)を製造するために用いられる上記式(T)で表されるもの又はその誘導体は、重合体(B)を製造する場合に1種以上用いることができ、その使用量は、重合体(B)の製造に使用される全テトラカルボン酸成分に対して、好ましくは10モル以上%であり、より好ましくは20モル%以上である。
本発明の液晶配向膜は、上記液晶配向剤から得られる。本発明の液晶配向膜は、水平配向型若しくは垂直配向型の液晶配向膜に用いることができるが、中でもVA方式又は後述するPSAモード等の垂直配向型の液晶表示素子に好適である。本発明の液晶表示素子は、上記液晶配向膜を具備するものである。
本発明の液晶表示素子は、例えば、以下の工程(1)~(3)又は工程(1)~(4)を含む方法により製造することができる。
パターニングされた透明導電膜が設けられている基板の一面に、本発明の液晶配向剤を、例えばロールコーター法、スピンコート法、印刷法、インクジェット法などの適宜の塗布方法により塗布する。ここで基板としては、透明性の高い基板であれば特に限定されず、ガラス基板、窒化珪素基板とともに、アクリル基板やポリカーボネート基板等のプラスチック基板等を用いることもできる。また、反射型の液晶表示素子では、片側の基板のみにならば、シリコンウエハー等の不透明な物でも使用でき、この場合の電極にはアルミニウム等の光を反射する材料も使用できる。
液晶配向剤塗布後、塗布した配向剤の液垂れ防止等の目的で、好ましくは先ず予備加熱(プレベーク)が実施される。プレベーク温度は、好ましくは30~200℃であり、より好ましくは40~150℃であり、特に好ましくは40~100℃である。プレベーク時間は好ましくは0.25~10分であり、より好ましくは0.5~5分である。そしてさらに加熱(ポストベーク)工程が実施されることが好ましい。このポストベーク温度は好ましくは80~300℃であり、より好ましくは120~250℃である。ポストベーク時間は好ましくは5~200分であり、より好ましくは10~100分である。このようにして形成される膜の膜厚は、5~300nmが好ましく、10~200nmがより好ましい。
(3-1)VA型液晶表示素子の場合
上記のようにして液晶配向膜が形成された基板を2枚準備し、対向配置した2枚の基板間に液晶を配置する。具体的には以下の2つの方法が挙げられる。
第一の方法は、従来から知られている方法である。先ず、それぞれの液晶配向膜が対向するように間隙(セルギャップ)を介して2枚の基板を対向配置する。次いで、2枚の基板の周辺部を、シール剤を用いて貼り合わせ、基板表面及びシール剤により区画されたセルギャップ内に液晶組成物を注入充填して膜面に接触した後、注入孔を封止する。
また、本発明の液晶配向剤は、電極を備えた一対の基板の間に液晶層を有してなり、上記一対の基板の間に活性エネルギー線及び熱の少なくとも一方により重合する重合性基を含む液晶配向膜を配置し、電極間に電圧を印加する工程を経て製造される液晶表示素子(SC-PVAモード型の液晶表示素子)にも好ましく用いられる。
重合性化合物を含有する液晶組成物を注入又は滴下する点以外は上記(3-1)と同様にする。重合性化合物としては、例えば下記式(M-1)~(M-7)で表されるような重合性化合物を挙げることができる。
上記(3-1)と同様にした後、後述する紫外線を照射する工程を経て液晶表示素子を製造する方法を採用してもよい。この方法によれば、前記PSA型液晶表示素子を製造する場合と同様に、少ない光照射量で応答速度に優れた液晶表示素子を得ることができる。重合性基を有する化合物は、上記式(M-1)~(M-7)で表されるようなアクリレート基やメタクリレート基などの重合性不飽和基を分子内に1個以上有する化合物であってもよく、その含有量は、全ての重合体成分100質量部に対して0.1~30質量部であることが好ましく、より好ましくは1~20質量部である。また、前記重合性基は液晶配向剤に用いる重合体が有していてもよく、このような重合体としては、例えば前記光重合性基を末端に有するジアミンを含むジアミン成分を反応に用いて得られる重合体が挙げられる。
上記(3-2)又は(3-3)で得られた一対の基板の有する導電膜間に電圧を印加した状態で液晶セルに光照射する。ここで印加する電圧は、例えば5~50Vの直流又は交流とすることができる。また、照射する光としては、例えば150~800nmの波長の光を含む紫外線及び可視光線を用いることができるが、300~400nmの波長の光を含む紫外線が好ましい。照射光の光源としては、例えば低圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、重水素ランプ、メタルハライドランプ、アルゴン共鳴ランプ、キセノンランプ、エキシマレーザーなどを使用することができる。光の照射量としては、好ましくは1,000~200,000J/m2であり、より好ましくは1,000~100,000J/m2である。
BODA:ビシクロ[3.3.0]オクタン-2,4,6,8-テトラカルボン酸二無水物
CBDA:1,2,3,4-シクロブタンテトラカルボン酸二無水物
NMP:N-メチル-2-ピロリドン、 BCS:ブチルセロソルブ
THF:テトラヒドロフラン、 DMF:N,N-ジメチルホルムアミド
DMAc:N,N-ジメチルアセトアミド
装置:フーリエ変換型超伝導核磁気共鳴装置(FT-NMR)「AVANCE III」(BRUKER社製)500MHz。
溶媒:重水素化ジメチルスルホキシド([D6]-DMSO)。標準物質:テトラメチルシラン(TMS)。
測定装置:島津製作所社製GPC(LC-20シリーズ)、カラム温度:50℃、溶離液:N,N-ジメチルホルムアミド(添加剤として、臭化リチウム一水和物(LiBr・H2O)が30mmol/L、リン酸・無水結晶(o-リン酸)が30mmol/L、テトラヒドロフラン(THF)が10mL/L)、流速:1.0mL/分、検量線作成用標準サンプル:東ソー社製 TSK 標準ポリエチレンオキサイド(分子量約900,000、150,000、100,000、30,000)、及び、ポリマーラボラトリー社製 ポリエチレングリコール(分子量 約12,000、4,000、1,000)。
ポリイミド粉末20mgをNMRサンプル管(草野科学社製 NMRサンプリングチューブスタンダード φ5)に入れ、重水素化ジメチルスルホキシド(DMSO-d6、0.05%テトラメチルシラン(TMS)混合品)1.0mLを添加し、超音波をかけて完全に溶解させた。この溶液をフーリエ変換型超伝導核磁気共鳴装置(FT-NMR)「AVANCE III」(BRUKER社製)にて500MHzのプロトンNMRを測定した。
イミド化率(%)=(1-α・x/y)×100
1H-NMR(500MHz,[D6]-DMSO):δ=6.52(d,2H,J=8.3Hz),6.43(d,2H,J=2.4Hz),6.30(dd,2H,J=8.3,2.3Hz),4.29(s,4H),3.66(s,6H),3.07(s,3H)
(合成例1)
BODA(2.50g、10.0mmol)、DA-1(2.19g、8.0mmol)、DA-4(1.94g、8.0mmol)及びDA-5(1.58g、4.0mmol)をNMP(32.8g)中で混合し、60℃で3時間反応させたのち、CBDA(1.90g、9.7mmol)とNMP(7.6g)を加え、40℃で4時間反応させポリアミック酸溶液(1)を得た。このポリアミック酸の数平均分子量(Mn)は、12,100、重量平均分子量(Mw)は39,700であった。
BODA(2.50g、10.0mmol)、DA-2(1.59g、8.0mmol)、DA-4(1.94g、8.0mmol)及びDA-5(1.58g、4.0mmol)をNMP(30.4g)中で混合し、60℃で3時間反応させたのち、CBDA(1.90g、9.7mmol)とNMP(7.6g)を加え、40℃で4時間反応させポリアミック酸溶液(2)を得た。このポリアミック酸のMnは10,700、Mwは26,600であった。
BODA(2.50g、10.0mmol)、DA-3(1.71g、8.0mmol)、DA-4(1.94g、8.0mmol)及びDA-5(1.58g、4.0mmol)をNMP(30.9g)中で混合し、60℃で3時間反応させたのち、CBDA(1.90g、9.7mmol)とNMP(7.6g)を加え、40℃で4時間反応させポリアミック酸溶液(3)を得た。このポリアミック酸のMnは10,500、Mwは31,600であった。
(合成例4)
BODA(2.50g、10.0mmol)、DA-6(0.99g、3.0mmol)、DA-7(1.19g、5.0mmol)、DA-8(1.19g、6.0mmol)及びDA-9(2.61g、6.0mmol)をNMP(33.9g)中で混合し、60℃で3時間反応させたのち、CBDA(1.90g、9.7mmol)とNMP(7.6g)を加え、40℃で4時間反応させポリアミック酸溶液(4)を得た。このポリアミック酸のMnは11,400、Mwは29,300であった。
(実施例1)
合成例1で得られたポリアミック酸溶液(1)(6.0g)にNMP(6.0g)とBCS(8.0g)を加え室温で2時間撹拌することにより液晶配向剤(A-1)を得た。
(実施例2)
合成例1で得られたポリアミック酸溶液(1)(1.8g)および合成例4で得られたポリアミック酸溶液(4)(4.2g)にNMP(6.0g)とBCS(8.0g)を加え室温で2時間撹拌することにより液晶配向剤(A-2)を得た。
ポリアミック酸溶液(1)の代わりにそれぞれポリアミック酸溶液(2)、(3)を用いた以外は、実施例1と同様にして、比較例1、2の液晶配向剤(B-1)、(B-2)を得た。
(比較例3、4)
ポリアミック酸溶液(1)の代わりにそれぞれポリアミック酸溶液(2)、(3)を用いた以外は、実施例2と同様にして、比較例3、4の液晶配向剤(B-3)、(B-4)を得た。
上記で得られた液晶配向剤(A-1)、(A-2)、(B-1)~(B-4)をそれぞれ石英基板にスピンコートし、70℃のホットプレート上で90秒間乾燥させた。その後、230℃のIR式オーブンで20分間焼成を行い、膜厚100nmの塗膜を形成させて、液晶配向膜付き基板を得た。この液晶配向膜付き基板を内側にし、もう一枚石英基板を用いて光の干渉を防ぐ目的で接触液(島津デバイス製造社製)を挟んだ。透過率の評価には、測定装置にUV-3600(島津製作所社製)を用い、温度25℃、スキャン波長を380~800nmで測定した。その際、リファレンスには塗膜していない2枚の石英基板で接触液を挟んだものを用いた。評価は、590nmの波長の透過率を基準とし、その値を下記の表3に示す。
上記で得られた液晶配向剤(A-1)、(A-2)、(B-1)~(B-4)を用いて下記に示すような手順で液晶セルの作製を行った。液晶配向剤をITO電極付きガラス基板にスピンコートし、70℃のホットプレート上で90秒間乾燥した後、230℃のIR式オーブンで20分間焼成を行い、膜厚100nmの液晶配向膜を形成した。この液晶配向膜付き基板を2枚用意し、その1枚の液晶配向膜上に直径4μmのビーズスペーサー(日揮触媒化成社製、真絲球、SW-D1)を塗布し、液晶注入口を残して周囲に熱硬化性シール剤(協立化学産業社製 XN-1500T)を印刷した。次いで、もう一方の基板の液晶配向膜が形成された側の面を内側にして、先の基板と貼り合せた後、シール剤を硬化させて空セルを作製した。
UV照射後の電圧保持率評価用の液晶セルを用いて電圧保持率を測定した。60℃の熱風循環オーブン中で1Vの電圧を60μsec間印加し、その後16.67msec後の電圧を測定し、電圧がどのくらい保持できているかを電圧保持率として計算した。電圧保持率の測定には、東陽テクニカ社製のVHR-1を使用した。その値を下記の表3に示す。値が高いほど良好である。
上記で作製した残留DC電圧評価用の液晶セルに対し、直流2Vを重畳した30Hz、7.8Vppの矩形波を25℃で100時間印加し、直流電圧を切って1時間後の液晶セル内に残留した電圧(残留DC電圧)をフリッカー消去法により求めた。この値はDC蓄積により発生する残像の指標となり、この値が50mV以下であるとき、残像特性に優れている、即ち「良好」とし、50mVよりも大きい場合は「不良」と定義して評価を行った。結果を下記の表3に示す。
上記で得られた液晶配向剤(A-1)、(A-2)、(B-1)~(B-4)を用いて下記に示すような手順で液晶セルの作製を行った。液晶配向剤を画素サイズが200μm×600μmでライン/スペースがそれぞれ3μmのITO電極パターンが形成されているITO電極基板(縦:35mm、横:30mm、厚さ:0.7mm)と、高さ3.2μmのフォトスペーサーがパターニングされているITO電極付きガラス基板(縦:35mm、横:30mm、厚さ:0.7mm)のITO面上にそれぞれスピンコートし、ホットプレート上にて70℃で90秒間乾燥した後、230℃のIR式オーブンで20分間焼成を行い、膜厚100nmの液晶配向膜を形成した。なお、このITO電極パターンが形成されているITO電極基板は、クロスチェッカー(市松)模様に4分割されており4つのエリアごとで別々に駆動ができるようになっている。
上記で作製した残像特性評価用の液晶セルを用いて、4つの画素エリアのうち対角線の2つのエリアに60Hz、20Vp-pの交流電圧を印加し、25℃の温度下で168時間駆動させた。その後、4つの画素エリアすべてを5Vp-pの交流電圧で駆動させ、画素の輝度差を目視で観察した。輝度差がほぼ確認できない状態を「良好」とし、輝度差が容易に確認できる状態を「不良」と定義して評価を行った。結果を下記の表3に示す。
また、実施例で得られる液晶配向剤を用いると、電圧保持率評価においても高い電圧保持率を有する液晶配向膜が得られることが分かる。また、残留DC電圧の評価及び残像特性評価においても、良好な特性を示す液晶配向膜が得られることが分かる。
Claims (17)
- 前記式(1)において、Rが芳香環構造を有する1価の有機基、炭素数1~30の1価の鎖状炭化水素基、又は炭素数3~30の1価の脂環式炭化水素基であり、前記鎖状炭化水素基又は脂環式炭化水素基が有する水素原子の一部は置換されていてもよく、また、その有するメチレン基の一部が酸素原子、カルボニル基又は-COO-で置換されていてもよい請求項1に記載の液晶配向剤。
- 前記式(1)において、R、R1及びR2が、それぞれ独立して、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、イソペンチル基、sec-ペンチル基又はtert-ペンチル基である請求項1または2に記載の液晶配向剤。
- 前記重合体(P)が、更に、下記式(S1)、(S2)及び(S3)からなる群より選ばれる少なくとも1種の構造を有するジアミン(s)を含むジアミン成分を用いて得られる請求項1~5のいずれか1項に記載の液晶配向剤。
- 前記ジアミン(s)が、下記式(d1)又は式(d2)で表されるジアミンである請求項6に記載の液晶配向剤。
- 前記式(d2)で表されるジアミンが、下記の式(d2-1)~(d2-6)からなる群から選ばれるいずれかのジアミンである請求項7に記載の液晶配向剤。
- 前記重合体(P)が、前記ジアミン成分と、下記式(T)で表されるテトラカルボン酸二無水物又はその誘導体を含有するテトラカルボン酸成分と、の重合反応により得られる請求項1~9のいずれか1項に記載の液晶配向剤。
- 前記式(T)のXが、(x-1)~(x-7)、(x-11)~(x-13)のいずれかである請求項10に記載の液晶配向剤。
- 前記ジアミン(1)が、重合体(P)の原料である全ジアミン成分中、1~100モル%含有される請求項1~11のいずれか1項に記載の液晶配向剤。
- 前記ジアミン(s)が、重合体(P)の原料である全ジアミン成分中、1~99モル%含有される請求項6~12のいずれか1項に記載の液晶配向剤。
- 前記液晶配向剤が、さらに前記ジアミン(1)を含まないジアミン成分とテトラカルボン酸成分とを用いて得られるポリイミド前駆体及び該ポリイミド前駆体のイミド化物であるポリイミドからなる群から選ばれる少なくとも1種の重合体(B)を含有する、請求項1~13のいずれか一項に記載の液晶配向剤。
- 請求項1~14のいずれか1項に記載の液晶配向剤を用いて形成されてなる垂直配向用の液晶配向膜。
- 請求項13に記載の液晶配向膜を具備する液晶表示素子。
- 請求項1~14のいずれか1項に記載の液晶配向剤を、導電膜を有する一対の基板上に塗布して塗膜を形成し、液晶分子の層を介して前記塗膜が相対するように対向配置して液晶セルを形成し、前記一対の基板の有する導電膜間に電圧を印加した状態で前記液晶セルに光照射する液晶表示素子の製造方法。
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