JP7302744B2 - 液晶配向剤、液晶配向膜、及び液晶表示素子 - Google Patents
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Description
下記式(1)で表されるジアミンを使用されるジアミン成分1モルに対して5モル%以上含むジアミン成分と、下記式(T)で表される脂環式テトラカルボン酸二無水物又はその誘導体を含むテトラカルボン酸誘導体成分と、を用いて得られるポリイミド前駆体、及び該ポリイミド前駆体のイミド化物であるポリイミドからなる群から選ばれる少なくとも1種の重合体(A)を含有することを特徴とする、液晶配向剤。
本発明の上記効果が得られるメカニズムは必ずしも明らかではないが、以下に述べることが一因と考えられる。すなわち、本発明の重合体は、ウレア結合とベンゼン環とが直結した構造を有し、得られる重合体が比較的剛直な構造となるため、液晶配向膜面内での液晶配向性にバラツキが少なくなると共に、AC残像の抑制にも効果があったと考えられる。
本発明の液晶配向剤は、重合体(A)を含有する。
本発明の液晶配向剤の好ましい実施態様としては、重合体(A)、及び有機溶媒を含有する液晶配向剤が挙げられる。
また、本発明の液晶配向剤は、重合体(A)以外の重合体(例えば、後述する重合体(B))も含有することができる。
重合体(A)は、上記式(1)で表されるジアミン(以下、特定ジアミンともいう)を使用されるジアミン成分1モルに対して5モル%以上含むジアミン成分と、上記式(T)で表される脂環式テトラカルボン酸二無水物又はその誘導体を含むテトラカルボン酸誘導体成分とを用いて得られるポリイミド前駆体、及び該ポリイミド前駆体のイミド化物であるポリイミドからなる群から選ばれる少なくとも1種の重合体である。
このような重合体の具体例としては、例えば、ポリアミック酸及びポリアミック酸エステルなどのイミド前駆体構造を有するポリイミド前駆体、該ポリイミド前駆体のイミド化物であるポリイミドが挙げられる。
重合体(A)を得る為のジアミン成分は、上記式(1)で表されるジアミンの少なくとも1種を使用されるジアミン成分1モルに対して5モル%以上含む物であり、1種類のジアミンからなるものであってもよく、2種類以上のジアミンからなるものであってもよい。ジアミン成分が2種類以上のジアミンからなる場合には、式(1)で表されるジアミンと共に式(1)で表されるジアミン以外のジアミンを含んでいてもよい。下記式(1)で表される化合物は、一種を単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。重合体(A)を得る為のジアミン成分における式(1)で表されるジアミンの割合は、使用されるジアミン成分1モルに対して、5~100モル%であることが好ましく、5~99モル%がより好ましく、更に好ましくは5~70モル%である。液晶配向性を高める観点で、より一層好ましくは10~60モル%である。
上記式(2)で表されるジアミンを2種以上用いる場合は、Y2が上記式(o-1)~(o-14)で表される2価の有機基である式(2)のジアミンと、Y2が上記式(o-15)~(o-16)で表される2価の有機基である式(2)のジアミンとの合計が、重合体(A)の合成に使用されるジアミン成分1モルに対して1~95モル%であることが好ましく、30~95モル%であることがより好ましく、40~90モル%であることがさらに好ましい。
また、液晶表示素子のコントラストを高める観点から、式(2)で表されるジアミン及び式(2i)で表される各ジアミンの上限量は、重合体(A)の合成に使用されるジアミン成分1モルに対して50モル%以下、より好ましくは40モル%以下、更に好ましくは30モル%以下であってもよい。
基「-N(D)-(Dはカルバメート系保護基を表す。)」を有するジアミンの具体例としては、例えば、下記式(5-1)~(5-10)で表される化合物が挙げられる。
4,4’-ジアミノアゾベンゼン及び下記式(dT-1)~(dT-3)で表されるジアミンなどの光配向性基を有するジアミン;2,4-ジアミノフェノール、3,5-ジアミノフェノール、3,5-ジアミノベンジルアルコール、2,4-ジアミノベンジルアルコール、4,6-ジアミノレゾルシノール;2,4-ジアミノ安息香酸、2,5-ジアミノ安息香酸、3,5-ジアミノ安息香酸及び下記式(3b-1)~式(3b-4)で示されるジアミン化合物などのカルボキシル基を有するジアミン;3,3’-ジアミノジフェニルメタン、4,4’-ジアミノジフェニルメタン、3,4’-ジアミノジフェニルメタン、4,4’-ジアミノベンゾフェノン、1,4-ビス(4-アミノベンジル)ベンゼン、4,4’-ジアミノジフェニルエーテル、1-(4-アミノフェニル)-1,3,3-トリメチル-1H-インダン-5-アミン、1-(4-アミノフェニル)-2,3-ジヒドロ-1,3,3-トリメチル-1H-インデン-6-アミン;下記式(h-1)~(h-3)で表されるジアミン等のウレア結合を有するジアミン;下記式(h-4)~(h-6)で表されるアミド結合を有するジアミン;メタクリル酸2-(2,4-ジアミノフェノキシ)エチル及び2,4-ジアミノ-N,N-ジアリルアニリン等の光重合性基を末端に有するジアミン;1,3-ビス(3-アミノプロピル)-テトラメチルジシロキサン等のシロキサン結合を有するジアミン;下記式(Ox-1)~(Ox-2)等のオキサゾリン構造を有するジアミン等。
上記重合体(A)を製造する場合、ジアミン成分と反応させるテトラカルボン酸誘導体成分は、テトラカルボン酸二無水物だけでなく、テトラカルボン酸ジハライド、テトラカルボン酸ジアルキルエステル、又はテトラカルボン酸ジアルキルエステルジハライドなどのテトラカルボン酸二無水物の誘導体を用いることもできる。テトラカルボン酸誘導体成分は、一種のテトラカルボン酸二無水物又はその誘導体を単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
なお、本発明において、脂環式テトラカルボン酸二無水物は、脂環式構造に結合する少なくとも1つのカルボキシ基を含めて4つのカルボキシ基が分子内脱水することにより得られる酸二無水物である。但し、これら4つのカルボキシ基はいずれも芳香環には結合していない。また、脂環式構造のみで構成されている必要はなく、その一部に鎖状炭化水素構造や芳香環構造を有していてもよい。
芳香族テトラカルボン酸二無水物は、芳香環に結合する少なくとも1つのカルボキシ基を含めて4つのカルボキシ基が分子内脱水することにより得られる酸二無水物である。但し、芳香環構造のみで構成されている必要はなく、その一部に鎖状炭化水素構造や脂環式構造を有していてもよい。
非環式脂肪族テトラカルボン酸二無水物は、鎖状炭化水素構造に結合する4つのカルボキシ基が分子内脱水することにより得られる酸二無水物である。但し、鎖状炭化水素構造のみで構成されている必要はなく、その一部に脂環式構造や芳香環構造を有していてもよい。
重合体(A)の製造に用いられるテトラカルボン酸二無水物及びその誘導体は、上記式(T)で表される脂環式テトラカルボン酸二無水物又はその誘導体以外のテトラカルボン酸二無水物又はその誘導体(以下、その他のテトラカルボン酸二無水物又はその誘導体)を含有していてもよい。その他のテトラカルボン酸二無水物またはその誘導体の例として、下記式(2T)で表されるテトラカルボン酸二無水物またはその誘導体が挙げられる。上記テトラカルボン酸二無水物またはその誘導体は、一種を単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明の液晶配向剤は、残留DC由来の残像を少なくする観点から、テトラカルボン酸誘導体成分とジアミン成分とを用いて得られるポリイミド前駆体及び該ポリイミド前駆体のイミド化物であるポリイミドからなる群から選ばれる重合体(B)(但し、重合体(A)を除く。)を含有してもよい。このような重合体の具体例を挙げると、テトラカルボン酸誘導体成分と、上記特定ジアミンを含まないジアミン成分とを用いて得られるポリイミド前駆体及び該ポリイミド前駆体のイミド化物であるポリイミドからなる群から選ばれる重合体が挙げられる。
上記ポリイミド前駆体の具体例としては、ポリアミック酸、ポリアミック酸エステルなどが挙げられる。
重合体(B)は、一種を単独で使用してもよく、また二種以上を組み合わせて使用してもよい。
重合体(A)又は(B)の製造は、上記ジアミン成分と、テトラカルボン酸誘導体成分と、を溶媒中で(縮重合)反応させることにより行われる。重合体(A)又は(B)の一部にアミック酸構造を含む場合、例えば、テトラカルボン酸二無水物成分とジアミン成分とを反応させることにより、アミック酸構造を有する重合体(ポリアミック酸)が得られる。溶媒としては、生成した重合体が溶解するものであれば特に限定されない。
上記溶媒の具体例としては、N-メチル-2-ピロリドン、N-エチル-2-ピロリドン、γ-ブチロラクトン、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノンが挙げられる。また、重合体の溶媒溶解性が高い場合は、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、4-ヒドロキシ-4-メチル-2-ペンタノン、又は下記式[D-1]~[D-3]で示される溶媒を用いることができる。
ジアミン成分とテトラカルボン酸誘導体成分とを溶媒中で反応させる際には、反応は任意の濃度で行うことができるが、好ましくは1~50質量%、より好ましくは5~30質量%である。反応初期は高濃度で行い、その後、溶媒を追加することもできる。
反応においては、ジアミン成分の合計モル数とテトラカルボン酸誘導体成分の合計モル数の比は0.8~1.2であることが好ましい。通常の縮重合反応同様、このモル比が1.0に近いほど生成する重合体(A)、重合体(B)の分子量は大きくなる。
液晶配向性を高める観点から、重合体(A)のイミド化率は、20~100%が好ましく、50~95%が好ましく、更に好ましくは60~90%である。
本発明に用いられる重合体(A)又は(B)は、これを濃度10~15質量%の溶液としたときに、例えば10~1000mPa・sの溶液粘度を持つものが作業性の観点から好ましいが、特に限定されない。なお、上記重合体の溶液粘度(mPa・s)は、当該重合体の良溶媒(例えばγ-ブチロラクトン、N-メチル-2-ピロリドンなど)を用いて調製した濃度10~15質量%の重合体溶液につき、E型回転粘度計を用いて25℃において測定した値である。
本発明における重合体(A)、重合体(B)を合成するに際して、上記の如きテトラカルボン酸誘導体成分、及びジアミン成分とともに、適当な末端封止剤を用いて末端封止型の重合体を合成することとしてもよい。末端封止型の重合体は、塗膜によって得られる液晶配向膜の膜硬度の向上や、シール剤と液晶配向膜の密着特性の向上という効果を有する。
本発明における重合体(A)、重合体(B)の末端の例としては、アミノ基、カルボキシ基、酸無水物基又はこれらの誘導体が挙げられる。アミノ基、カルボキシ基、酸無水物基又はこれらの誘導体は通常の縮合反応により得るか、又は以下の末端封止剤を用いて末端を封止することにより得ることができ、前記誘導体は、例えば、以下の末端封止剤を用いて、同様に得ることができる。
本発明の液晶配向剤は、重合体(A)及び必要に応じて重合体(B)を含有する。本発明の液晶配向剤は、重合体(A)、重合体(B)に加えて、その他の重合体を含有していてもよい。その他の重合体の種類としては、ポリエステル、ポリアミド、ポリウレア、ポリオルガノシロキサン、セルロース誘導体、ポリアセタール、ポリスチレン又はその誘導体、ポリ(スチレン-フェニルマレイミド)誘導体、ポリ(メタ)アクリレートなどを挙げることができる。
液晶配向剤中の重合体(A)の含有量は、液晶配向剤の塗布方法や目的とする液晶配向膜の膜厚によって、適宜変更することができるが、2~10質量%であることが好ましく、特に、3~7質量%が好ましい。
本発明の液晶配向膜は、上記液晶配向剤から得られる。本発明の液晶配向膜は、水平配向型若しくは垂直配向型(VA型)の液晶配向膜に用いることができるが、中でもIPS方式又はFFS方式等の水平配向型の液晶表示素子に好適な液晶配向膜である。本発明の液晶表示素子は、上記液晶配向膜を具備するものである。本発明の液晶表示素子は、例えば以下の工程(1)~(4)或いは工程(1)~(2)及び(4)を含む方法により製造することができる。
パターニングされた透明導電膜が設けられている基板の一面に、本発明の液晶配向剤を、例えばロールコーター法、スピンコート法、印刷法、インクジェット法などの適宜の塗布方法により塗布する。ここで基板としては、透明性の高い基板であれば特に限定されず、ガラス基板、窒化珪素基板とともに、アクリル基板やポリカーボネート基板等のプラスチック基板等を用いることもできる。また、反射型の液晶表示素子では、片側の基板のみにならば、シリコンウエハー等の不透明な物でも使用でき、この場合の電極にはアルミニウム等の光を反射する材料も使用できる。また、IPS型又はFFS型の液晶素子を製造する場合には、櫛歯型にパターニングされた透明導電膜又は金属膜からなる電極が設けられている基板と、電極が設けられていない対向基板とを用いる。
工程(2)は、基板上に塗布した液晶配向剤を焼成し、膜を形成する工程である。液晶配向剤を基板上に塗布した後は、ホットプレート、熱循環型オーブン又はIR(赤外線)型オーブンなどの加熱手段により、溶媒を蒸発させたり、ポリアミック酸又はポリアミック酸エステルの熱イミド化を行ったりすることができる。本発明の液晶配向剤を塗布した後の乾燥、焼成工程は、任意の温度と時間を選択することができ、複数回行ってもよい。乾燥温度としては、例えば40~180℃で行うことができる。プロセスを短縮する観点で、40~150℃で行ってもよい。乾燥時間としては特に限定されないが、1~10分又は、1~5分が挙げられる。ポリアミック酸又はポリアミック酸エステルの熱イミド化を行う場合には、上記乾燥工程の後、例えば150~300℃、又は150~250℃の温度範囲で焼成する工程ができる。焼成時間としては特に限定されないが、5~40分、又は、5~30分の焼成時間が挙げられる。
焼成後の膜状物は、薄すぎると液晶表示素子の信頼性が低下する場合があるので、5~300nmが好ましく、10~200nmがより好ましい。
工程(3)は、場合により、工程(2)で得られた膜に配向処理する工程である。即ち、IPS方式又はFFS方式等の水平配向型の液晶表示素子では該塗膜に対し配向能付与処理を行う。一方、VA方式又はPSAモード等の垂直配向型の液晶表示素子では、形成した塗膜をそのまま液晶配向膜として使用することができるが、該塗膜に対し配向能付与処理を施してもよい。液晶配向膜の配向処理方法としては、ラビング処理法、光配向処理法が挙げられ、光配向処理法がより好適である。光配向処理法としては、上記膜状物の表面に、一定方向に偏向された放射線を照射し、場合により、好ましくは、150~250℃の温度で加熱処理を行い、液晶配向性(液晶配向能ともいう)を付与する方法が挙げられる。放射線としては、100~800nmの波長を有する紫外線又は可視光線を用いることができる。なかでも、好ましくは100~400nm、より好ましくは、200~400nmの波長を有する紫外線である。
また、放射線を照射する場合、液晶配向性を改善するために、上記膜状物を有する基板を、50~250℃で加熱しながら照射してもよい。このようにして作製した上記液晶配向膜は、液晶分子を一定の方向に安定して配向させることができる。
更に、上記の方法で、偏光された放射線を照射した液晶配向膜に、溶媒を用いて、これらと接触処理するか、放射線を照射した液晶配向膜を加熱処理することもできる。
上記のようにして液晶配向膜が形成された基板を2枚準備し、対向配置した2枚の基板間に液晶を配置する。具体的には以下の2つの方法が挙げられる。第一の方法は、先ず、それぞれの液晶配向膜が対向するように間隙(セルギャップ)を介して2枚の基板を対向配置する。次いで、2枚の基板の周辺部をシール剤を用いて貼り合わせ、基板表面及びシール剤により区画されたセルギャップ内に液晶組成物を注入充填して膜面に接触した後、注入孔を封止する。
なお、塗膜に対してラビング処理を行った場合には、2枚の基板は、各塗膜におけるラビング方向が互いに所定の角度、例えば直交又は逆平行となるように対向配置される。
シール剤としては、例えば硬化剤及びスペーサーとしての酸化アルミニウム球を含有するエポキシ樹脂等を用いることができる。液晶としては、ネマチック液晶及びスメクチック液晶を挙げることができ、その中でもネマチック液晶が好ましい。
NMP:N-メチル-2-ピロリドン
BCS:エチレングリコールモノブチルエーテル
GBL:γ-ブチロラクトン
分子量は、常温ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)装置(GPC-101)(昭和電工社製)、カラム(KD-803,KD-805)(昭和電工社製)を用いて、以下のようにして測定した。
カラム温度:50℃
溶離液:N,N-ジメチルホルムアミド(添加剤として、臭化リチウム一水和物(LiBr・H2O)が30mmol/L(リットル)、リン酸・無水結晶(o-リン酸)が30mmol/L、テトラヒドロフラン(THF)が10mL/L)
流速:1.0ml/分
検量線作成用標準サンプル:TSK 標準ポリエチレンオキサイド(分子量;約900,000、150,000、100,000及び30,000)(東ソー社製)及びポリエチレングリコール(分子量;約12,000、4,000及び1,000)(ポリマーラボラトリー社製)。
溶液の粘度は、E型粘度計TVE-22H(東機産業社製)を用い、サンプル量1.1mL、コーンロータTE-1(1°34’、R24)を用いて、温度25℃で測定した。
(合成例1)
WA-1(1.26g,5.20mmol)、A1(1.27g,5.20mmol)、A3(1.20g,5.20mmol)、A4(1.79g,5.20mmol)、A2(1.23g,5.20mmol)及びB1(5.48g,24.4mmol)をNMP(87.9g)中で混合し、40℃で3時間反応させ、樹脂固形分濃度12質量%のポリアミック酸溶液(粘度:212mPa・s)を得た。なお、ジアミン成分におけるWA-1の割合は、ジアミン成分1モルに対して、20モル%であった。
得られたポリアミック酸溶液(30.0g)に、NMPを加えて固形分濃度9.0質量%に希釈した後、イミド化触媒として無水酢酸(2.39g)及びピリジン(0.618g)を加え、65℃で3時間反応させた。この反応溶液をメタノール(220ml)中に投入し、得られた沈殿物を濾別した。この沈殿物をメタノールで洗浄し、80℃で減圧乾燥しポリイミド粉末を得た。このポリイミドのイミド化率は89%であり、数平均分子量は10,216であり、重量平均分子量は43,193であった。
得られたポリイミド粉末(3.00g)に、NMP(22.0g)を加え、80℃にて15時間撹拌して溶解させ、ポリイミド溶液(SPI-1)を得た。
WA-1(1.26g,5.20mmol)、A1(2.54g,10.4mmol)、A4(1.79g,5.20mmol)、A2(1.23g,5.20mmol)及びB1(5.48g,24.4mmol)をNMP(87.3g)中で混合し、40℃で3時間反応させ、樹脂固形分濃度12質量%のポリアミック酸溶液(粘度:199mPa・s)を得た。なお、ジアミン成分におけるWA-1の割合は、ジアミン成分1モルに対して、20モル%であった。
得られたポリアミック酸溶液(30.0g)に、NMPを加えて固形分濃度9.0質量%に希釈した後、イミド化触媒として無水酢酸(2.33g)及びピリジン(0.602g)を加え、60℃で3時間反応させた。この反応溶液をメタノール(210ml)中に投入し、得られた沈殿物を濾別した。この沈殿物をメタノールで洗浄し、80℃で減圧乾燥しポリイミド粉末を得た。このポリイミドのイミド化率は88%であり、数平均分子量は11,829であり、重量平均分子量は42,836であった。
得られたポリイミド粉末(3.00g)に、NMP(22.0g)を加え、80℃にて15時間撹拌して溶解させ、ポリイミド溶液(SPI-2)を得た。
WA-1(2.52g,10.4mmol)、A1(2.54g,10.4mmol)、A2(1.23g,5.20mmol)及びB1(5.48g,24.4mmol)をNMP(86.2g)中で混合し、40℃で3時間反応させ、樹脂固形分濃度12質量%のポリアミック酸溶液(粘度:189mPa・s)を得た。なお、ジアミン成分におけるWA-1の割合は、ジアミン成分1モルに対して、40モル%であった。
得られたポリアミック酸溶液(30.0g)に、NMPを加えて固形分濃度9.0質量%に希釈した後、イミド化触媒として無水酢酸(2.33g)及びピリジン(0.602g)を加え、60℃で3時間反応させた。この反応溶液をメタノール(210ml)中に投入し、得られた沈殿物を濾別した。この沈殿物をメタノールで洗浄し、80℃で減圧乾燥しポリイミド粉末を得た。このポリイミドのイミド化率は88%であり、数平均分子量は11,194であり、重量平均分子量は40,838であった。
得られたポリイミド粉末(3.00g)に、NMP(22.0g)を加え、80℃にて15時間撹拌して溶解させ、ポリイミド溶液(SPI-3)を得た。
WA-1(1.89g,7.80mmol)、A1(1.91g,7.80mmol)、A6(0.562g,5.20mmol)、A8(2.07g,5.20mmol)及びB1(5.59g,25.0mmol)をNMP(86.2g)中で混合し、40℃で3時間反応させ、樹脂固形分濃度12質量%のポリアミック酸溶液(PAA-4)(粘度:412mPa・s)を得た。なお、ジアミン成分におけるWA-1の割合は、ジアミン成分1モルに対して、30モル%であった。このポリマーの数平均分子量は15,832であり、重量平均分子量は46,829であった。
WA-1(1.26g,5.20mmol)、A1(1.91g,7.80mmol)、A6(0.562g,5.20mmol)、A8(3.11g,7.80mmol)及びB1(5.59g,25.0mmol)をNMP(91.1g)中で混合し、40℃で3時間反応させ、樹脂固形分濃度12質量%のポリアミック酸溶液(PAA-5)(粘度:398mPa・s)を得た。なお、ジアミン成分におけるWA-1の割合は、ジアミン成分1モルに対して、20モル%であった。このポリマーの数平均分子量は16,888であり、重量平均分子量は46,001であった。
A9(4.14g,20.8mmol)、A5(1.55g,5.20mmol)及びB3(4.84g,24.7mmol)をNMP(94.8g)中で混合し、40℃で15時間反応させ、樹脂固形分濃度10質量%のポリアミック酸溶液(PAA-6)(粘度:315mPa・s)を得た。このポリマーの数平均分子量は15,888であり、重量平均分子量は43,741であった。
A9(4.14g,20.8mmol)、A5(1.55g,5.20mmol)及びB2(7.34g,25.0mmol)をNMP(95.6g)中で混合し、70℃で15時間反応させ、樹脂固形分濃度12質量%のポリアミック酸溶液(PAA-7)(粘度:465mPa・s)を得た。このポリマーの数平均分子量は13,182であり、重量平均分子量は42,252であった。
A5(1.55g,5.20mmol)、A1(1.27g,5.20mmol)、A3(1.20g,5.20mmol)、A4(1.79g,5.20mmol)、A2(1.23g,5.20mmol)及びB1(5.48g,24.4mmol)をNMP(91.8g)中で混合し、40℃で3時間反応させ、樹脂固形分濃度12質量%のポリアミック酸溶液(粘度:203mPa・s)を得た。
得られたポリアミック酸溶液(30.0g)に、NMPを加えて固形分濃度9.0質量%に希釈した後、イミド化触媒として無水酢酸(2.28g)及びピリジン(0.591g)を加え、60℃で3.5時間反応させた。この反応溶液をメタノール(220ml)中に投入し、得られた沈殿物を濾別した。この沈殿物をメタノールで洗浄し、80℃で減圧乾燥しポリイミド粉末を得た。このポリイミドのイミド化率は86%であり、数平均分子量は11,191であり、重量平均分子量は40,381であった。
得られたポリイミド粉末(3.00g)に、NMP(22.0g)を加え、80℃にて15時間撹拌して溶解させ、ポリイミド溶液(SPI-R1)を得た。
A8(2.07g,5.20mmol)、A1(1.91g,7.80mmol)、A7(2.50g,7.80mmol)、A6(0.562g,5.20mmol)、及びB1(5.60g,25.0mmol)をNMP(92.6g)中で混合し、40℃で3時間反応させ、樹脂固形分濃度12質量%のポリアミック酸溶液(PAA-R2)(粘度:423mPa・s)を得た。このポリマーの数平均分子量は14,921であり、重量平均分子量は45,956であった。
(実施例1)
合成例1で得られたポリイミド溶液(SPI-1)(2.08g)に、合成例7で得られたポリアミック酸溶液(PAA-7)(2.08g)、GBL(3.00g)、BCS(2.00g)、AD-1の10質量%NMP希釈溶液(0.500g)、AD-2(0.050g)、AD-3(0.050g)及びAD-4の1質量%GBL希釈溶液(0.500g)を加え、室温で5時間撹拌して、液晶配向剤(V-1)を得た。この液晶配向剤に、濁りや析出などの異常は見られず、均一な溶液であることが確認された。
合成例2で得られたポリイミド溶液(SPI-2)(3.33g)に、NMP(1.67g)、GBL(3.00g)及びBCS(2.00g)を加え、室温で2時間撹拌して、液晶配向剤(V-2)を得た。この液晶配向剤に、濁りや析出などの異常は見られず、均一な溶液であることが確認された。
実施例2において、ポリイミド溶液(SPI-2)の代わりにポリイミド溶液(SPI-3)としたこと以外は、実施例2と同様にして液晶配向剤(V-3)を得た。この液晶配向剤に、濁りや析出などの異常は見られず、均一な溶液であることが確認された。
合成例4で得られたポリアミック酸溶液(PAA-4)(3.33g)にNMP(3.67g)とBCS(3.00g)を加え、室温で2時間撹拌して、液晶配向剤(V-4)を得た。この液晶配向剤に、濁りや析出などの異常は見られず、均一な溶液であることが確認された。
実施例4において、ポリアミック酸溶液(PAA-4)の代わりにポリアミック酸溶液(PAA-5)としたこと以外は、実施例4と同様にして液晶配向剤(V-5)を得た。この液晶配向剤に、濁りや析出などの異常は見られず、均一な溶液であることが確認された。
合成例5で得られたポリアミック酸溶液(PAA-5)(1.83g)に、合成例6で得られたポリアミック酸溶液(PAA-6)(3.30g)、NMP(0.770g)、BCS(3.00g)、AD-1の10質量%NMP希釈溶液(0.550g)及びAD-4の1質量%NMP希釈溶液(0.550g)を加え、室温で2時間撹拌して、液晶配向剤(V-6)を得た。この液晶配向剤に、濁りや析出などの異常は見られず、均一な溶液であることが確認された。
比較合成例1で得られたポリイミド溶液(SPI-R1)(2.08g)に、合成例7で得られたポリアミック酸(PAA-7)(2.08g)、GBL(3.00g)、BCS(2.00g)、AD-1の10質量%NMP希釈溶液(0.500g)、AD-2(0.050g)、AD-3(0.050g)及びAD-4の1質量%GBL希釈溶液(0.500g)を加え、室温で5時間撹拌して、液晶配向剤(V-R1)を得た。この液晶配向剤に、濁りや析出などの異常は見られず、均一な溶液であることが確認された。
比較合成例2で得られたポリアミック酸溶液(PAA-R2)(3.33g)に、NMP(1.67g)、GBL(3.00g)及びBCS(2.00g)を加え、室温で2時間撹拌して、液晶配向剤(V-R2)を得た。この液晶配向剤に、濁りや析出などの異常は見られず、均一な溶液であることが確認された。
<FFS駆動液晶セルの構成>
フリンジフィールドスィッチング(Fringe Field Switching:FFS)モード用の液晶セルは、面形状の共通電極-絶縁層-櫛歯形状の画素電極からなるFOP(Finger on Plate)電極層が表面に形成されている第1のガラス基板と、表面に高さ4μmの柱状スペーサーを有し裏面に帯電防止の為のITO膜が形成されている第2のガラス基板とを、一組とした。上記の画素電極は、中央部分が内角160°で屈曲した幅3μmの電極要素が6μmの間隔を開けて平行になるように複数配列された櫛歯形状を有しており、1つの画素は、複数の電極要素の屈曲部を結ぶ線を境に第1領域と第2領域を有している。
なお、第1のガラス基板に形成する液晶配向膜は、画素屈曲部の内角を等分する方向と液晶の配向方向とが直交するように配向処理し、第2のガラス基板に形成する液晶配向膜は、液晶セルを作製した時に第1の基板上の液晶の配向方向と第2の基板上の液晶の配向方向とが一致するように配向処理する。
上記一組のガラス基板それぞれの表面に、孔径1.0μmのフィルターで濾過した液晶配向剤をスピンコート塗布にて塗布し80℃のホットプレート上で2分間乾燥させた。その後、塗膜面に偏光板を介して消光比26:1の直線偏光した波長254nmの紫外線を照射し、次いで230℃の熱風循環式オーブンで30分間焼成を行い、膜厚100nmの液晶配向膜付き基板を得た。前記紫外線の照射量は表1および2に記載された通りである。
次に、上記一組の液晶配向膜付きガラス基板の一方にシール剤を印刷し、もう一方の基板を液晶配向膜面が向き合うように貼り合わせ、シール剤を硬化させて空セルを作製した。この空セルに減圧注入法によって、液晶MLC-7026(メルク社製)を注入し、注入口を封止して、FFS駆動液晶セルを得た。その後、得られた液晶セルを120℃で1時間加熱し、一晩放置してから残像特性の評価を実施した。
シンテック社製OPTIPRO-microを用いて液晶表示素子のツイスト角の評価を行った。上記で作製した液晶セルを測定ステージに設置し、電圧無印加の状態で、第1画素面内を20点測定して標準偏差σの3倍である3σを算出した。ツイスト角のバラツキが小さいことは、液晶配向膜面内での液晶配向性にバラツキが少ないことを示す。評価は、上記3σ値が1.3未満の場合は「良好」とし、1.3以上の場合は「不良」と定義して評価を行った。上記実施例及び比較例の各液晶配向剤を使用する液晶表示素子に関して実施した評価結果を表1に示す。
上記で作製したFFS駆動液晶セルに対し、60℃の恒温環境下、周波数60Hzで±10Vの交流電圧を120時間印加した。その後、液晶セルの画素電極と対向電極との間をショートさせた状態にし、そのまま室温に一日放置した。上記の処理を行った液晶セルに関して、電圧無印加状態における、画素の第1領域の液晶の配向方向と第2領域の液晶の配向方向とのずれを角度として算出した。具体的には、偏光軸が直交するように配置された2枚の偏光板の間に液晶セルを設置し、バックライトを点灯させ、画素の第1領域の透過光強度が最も小さくなるように液晶セルの配置角度を調整し、次に画素の第2領域の透過光強度が最も小さくなるように液晶セルを回転させたときに要する回転角度を求めた。長期交流駆動による残像特性は、この回転角度の値が0.1°以下の場合は「良好」とし、0.1°より大きい場合は「不良」と定義して評価を行った。残像特性の評価結果を表2に示す。
さらに、表2に示されるように、ジアミンWA-1を用いた液晶配向剤から得られる液晶配向膜は、良好な残像特性を示した。
Claims (18)
- 下記式(1)で表されるジアミンを使用されるジアミン成分1モルに対して5モル%以上含むジアミン成分と、下記式(T)で表される脂環式テトラカルボン酸二無水物又はその誘導体を含むテトラカルボン酸誘導体成分と、を用いて得られるポリイミド前駆体、及び該ポリイミド前駆体のイミド化物であるポリイミドからなる群から選ばれる少なくとも1種の重合体(A)を含有することを特徴とする、液晶配向剤。
- 前記ジアミン成分中の10~60モル%が、式(1)で表されるジアミンである、請求項1~2のいずれか一項に記載の液晶配向剤。
- 前記ジアミン成分が、更に下記式(2)又は(2i)で表されるジアミンを含有する請求項1~3のいずれか一項に記載の液晶配向剤。
- 前記重合体(A)が、分子内に基「-N(D)-(Dはカルバメート系保護基を表す。)」を有する、請求項1~5のいずれか一項に記載の液晶配向剤。
- 前記ジアミン成分が、基「-N(D)-(Dはカルバメート系保護基を表す。)」を有するジアミンをさらに含有する、請求項1~6のいずれか一項に記載の液晶配向剤。
- テトラカルボン酸誘導体成分と、前記式(1)で表されるジアミンを含まないジアミン成分とを用いて得られるポリイミド前駆体及び該ポリイミド前駆体のイミド化物であるポリイミドからなる群から選ばれる少なくとも1種の重合体(B)を更に含有する、請求項1~7のいずれか一項に記載の液晶配向剤。
- 前記重合体(B)を得るためのジアミン成分が、窒素原子含有複素環、第二級アミノ基及び第三級アミノ基よりなる群から選ばれる少なくとも一種の窒素原子含有構造を有するジアミンを含む、請求項8に記載の液晶配向剤。
- 架橋性化合物、末端封止剤及び密着助剤からなる群から選ばれる少なくとも1種の添加剤をさらに含有する、請求項1~9のいずれか一項に記載の液晶配向剤。
- 前記Xが式(x-1)で表される構造である、請求項1~10のいずれか一項に記載の液晶配向剤。
- 光配向処理法用の液晶配向膜に用いられる、請求項1~11のいずれか一項に記載の液晶配向剤。
- 請求項1~12のいずれか1項に記載の液晶配向剤から得られる液晶配向膜。
- 請求項13に記載の液晶配向膜を具備する液晶表示素子。
- 下記の工程(1)~(3)を含む、液晶配向膜の製造方法。
工程(1):請求項1~11のいずれか一項に記載の液晶配向剤を基板上に塗布する工程
工程(2):塗布した液晶配向剤を焼成する工程
工程(3):工程(2)で得られた膜に配向処理する工程 - 前記配向処理が、光配向処理である、請求項15に記載の液晶配向膜の製造方法。
- 前記光配向処理における放射線の照射量が、100~1500mJ/cm2である、請求項16に記載の液晶配向膜の製造方法。
- 配向処理された膜に対して50~300℃の加熱処理を更に行う、請求項15~17のいずれか一項に記載の液晶配向膜の製造方法。
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