JP7343059B2 - 液晶配向剤、液晶配向膜及び液晶表示素子 - Google Patents
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Description
しかし、本発明者が検討したところ、少ない光照射量で液晶配向が実現でき、且つAC残像を抑制できる液晶配向膜は、用いる重合体成分が光照射に対して敏感に反応するため、AC残像を抑制できる液晶配向膜が得られる光照射量の範囲が狭いことが明らかとなった。そうすると、液晶表示素子の大画面化を図った際に、得られる液晶配向膜の一部において液晶配向が不完全になり、画像表示を長時間行った際、面内の明るさにバラツキが生じ、表示品位を低下させることが懸念される。
本発明の液晶配向剤は、下記式(1)で表される繰り返し単位(a1)を有するポリイミド前駆体及び該ポリイミド前駆体のイミド化物であるポリイミドからなる群から選ばれる少なくとも1種の重合体(A)を含有する。
上記式(O)で表される2価の有機基としては、液晶配向性を高める観点から下記式(o-1)~(o-14)のいずれかで表される2価の有機基が好ましい。尚、下記式(o-1)~(o-14)において、nは2~4がより好ましく、2又は4が更に好ましい。式(o-10)において、mは2が好ましい。(o-14)において、mは0又は2がより好ましい。
上記Y3の具体例としては、下記式(Dx)で表される2価の有機基が挙げられる。
Q6及びQ7はそれぞれ独立して-H、-NHDを有する基(好ましくは、-NHDである。)、又は-N(D)2を有する基(好ましくは、-N(D)2である。)を表す。但し、m=0の場合、Q6はカルバメート系保護基を有し、m=1の場合、Q5、Q6及びQ7の少なくとも一つは基中にカルバメート系保護基を有する。また、Q6、及びQ7において、水素原子以外の基を表す場合、好ましい炭素数は1~8である。
上記Q9及びQ10の1価の有機基としては、炭素数1~6のアルキル基、炭素数2~6のアルケニル基、炭素数2~6のアルキニル基、フッ素原子を含有する炭素数1~6の1価の有機基が挙げられ、具体例として上記R1~R4で例示した構造が挙げられる。
4,4’-ジアミノジフェニルメタン、3,4’-ジアミノジフェニルメタン、3,3’-ジメチル-4,4’-ジアミノジフェニルメタン;下記式(g-1)~(g-9)で表されるジアミンなどの光配向性基を有するジアミン;下記式(u-1)~(u-3)で表されるジアミンなどのウレア結合を有するジアミン;下記式(u-4)~(u-6)で表されるジアミンなどのアミド結合を有するジアミン;窒素原子含有複素環、第二級アミノ基及び第三級アミノ基よりなる群から選ばれる少なくとも一種の窒素原子含有構造(以下、窒素原子含有構造ともいう。)を有するジアミン;2,4-ジアミノフェノール、3,5-ジアミノフェノール、3,5-ジアミノベンジルアルコール、2,4-ジアミノベンジルアルコール、4,6-ジアミノレゾルシノール;2,4-ジアミノ安息香酸、2,5-ジアミノ安息香酸、3,5-ジアミノ安息香酸及び下記式(3b-1)~式(3b-4)で示されるジアミン化合物などのカルボキシ基を有するジアミン;4-(2-(メチルアミノ)エチル)アニリン、4-(2-アミノエチル)アニリン、4,4’-ジアミノベンゾフェノン、1-(4-アミノフェニル)-1,3,3-トリメチル-1H-インダン-5-アミン、1-(4-アミノフェニル)-2,3-ジヒドロ-1,3,3-トリメチル-1H-インデン-6-アミン;メタクリル酸2-(2,4-ジアミノフェノキシ)エチル及び2,4-ジアミノ-N,N-ジアリルアニリン等の光重合性基を末端に有するジアミン;コレスタニルオキシ-3,5-ジアミノベンゼン、コレステニルオキシ-3,5-ジアミノベンゼン、コレスタニルオキシ-2,4-ジアミノベンゼン、3,5-ジアミノ安息香酸コレスタニル、3,5-ジアミノ安息香酸コレステニル、3,5-ジアミノ安息香酸ラノスタニル及び3,6-ビス(4-アミノベンゾイルオキシ)コレスタン等のステロイド骨格を有するジアミン;下記式(V-1)~(V-6)で表されるジアミン;1,3-ビス(3-アミノプロピル)-テトラメチルジシロキサン等のシロキサン結合を有するジアミン;下記式(Ox-1)~(Ox-2)等のオキサゾリン環構造を有するジアミン;1-(4-(2-(2,4-ジアミノフェノキシ)エトキシ)フェニル)-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパノン、2-(4-(2-ヒドロキシ-2-メチルプロパノイル)フェノキシ)エチル 3,5-ジアミノベンゾエート、4,4’-ジアミノベンゾフェノン、3,3’-ジアミノベンゾフェノン等のラジカル重合開始剤機能を有するジアミン等のジアミンから2つのアミノ基を除いた2価の有機基、WO2018/117239号公報に記載の式(Y-1)~(Y-167)のいずれかで表される基が挙げられる。
上記式(n)中のRの1価の炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基等のアルキル基;シクロヘキシル基等のシクロアルキル基;フェニル基、メチルフェニル基等のアリール基等が挙げられる。Rは、好ましくは水素原子又はメチル基である。
重合体(A)が繰り返し単位(a1)及び繰り返し単位(a1)のイミド化構造以外の繰り返し単位を含む場合は、重合体(A)は、繰り返し単位(a1)と繰り返し単位(a1)のイミド化構造との合計を全繰り返し単位の5~95モル%含むことが好ましく、5~90モル%含むことがより好ましく、5~80モル%含むことがさらに好ましい。
重合体(A)は、本発明の効果を効率的に得る観点から、繰り返し単位(a1)及びそのイミド化構造の少なくともいずれかと、繰り返し単位(a2)及びそのイミド化構造の少なくともいずれかと、繰り返し単位(a2’)及びそのイミド化構造の少なくともいずれかとを含み、繰り返し単位(a1)、繰り返し単位(a2)及び繰り返し単位(a2’)並びにそれらのイミド化構造の合計が全繰り返し単位の30モル%以上であることが好ましく、40モル%以上であることがより好ましい。重合体(A)が、繰り返し単位(a1)、繰り返し単位(a2)及び繰り返し単位(a2’)並びにそれらのイミド化構造以外の繰り返し単位を含む場合は、重合体(A)は、繰り返し単位(a1)、繰り返し単位(a2)及び繰り返し単位(a2’)並びにそれらのイミド化構造の合計を、全繰り返し単位の95モル%以下含むことが好ましく、90モル%以下含むことが更に好ましい。
本発明の液晶配向剤は、上記重合体(A)以外に、上記繰り返し単位(a1)を分子内に有しない重合体(B)を含有してもよい。本発明の効果を効率的に得る観点から、重合体(B)としては、下記式(5)で表される繰り返し単位を有するポリイミド前駆体及び該ポリイミド前駆体のイミド化物であるポリイミドからなる群から選ばれる少なくとも1種の重合体が挙げられる。
本発明に用いられるポリイミド前駆体であるポリアミック酸エステル、及びポリアミック酸並びにこれらのイミド化物であるポリイミドは、例えば、WO2013/157586号公報に記載されるような公知の方法で合成出来る。
上記溶媒の具体例としては、N-メチル-2-ピロリドン、N-エチル-2-ピロリドン、γ-ブチロラクトン、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノンが挙げられる。また、重合体の溶媒溶解性が高い場合は、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、4-ヒドロキシ-4-メチル-2-ペンタノン、又は下記の式[D-1]~式[D-3]で示される溶媒を用いることができる。
ジアミン成分とテトラカルボン酸誘導体成分とを溶媒中で反応させる際には、反応は任意の濃度で行うことができるが、好ましくは1~50質量%、より好ましくは5~30質量%である。反応初期は高濃度で行い、その後、溶媒を追加することもできる。
反応においては、ジアミン成分の合計モル数とテトラカルボン酸誘導体成分の合計モル数の比は0.8~1.2であることが好ましい。通常の縮重合反応同様、このモル比が1.0に近いほど生成する重合体(A)、重合体(B)の分子量は大きくなる。
本発明に用いられるポリアミック酸、ポリアミック酸エステル及びポリイミドは、これを濃度10~15質量%の溶液としたときに、例えば10~1000mPa・sの溶液粘度を持つものが作業性の観点から好ましいが、特に限定されない。なお、上記重合体の溶液粘度(mPa・s)は、当該重合体の良溶媒(例えばγ-ブチロラクトン、N-メチル-2-ピロリドンなど)を用いて調製した濃度10~15質量%の重合体溶液につき、E型回転粘度計を用いて25℃において測定した値である。
上記ポリアミック酸、ポリアミック酸エステル及びポリイミドのゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定したポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)は、好ましくは1,000~500,000であり、より好ましくは2,000~300,000である。また、Mwと、GPCにより測定したポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)との比で表される分子量分布(Mw/Mn)は、好ましくは15以下であり、より好ましくは10以下である。このような分子量範囲にあることで、液晶表示素子の良好な配向性及び安定性を確保することができる。
本発明における重合体(A)、重合体(B)を合成するに際して、上記の如きテトラカルボン酸誘導体成分、及びジアミン成分とともに、適当な末端封止剤を用いて末端封止型の重合体を合成することとしてもよい。末端封止型の重合体は、塗膜によって得られる液晶配向膜の膜硬度の向上や、シール剤と液晶配向膜の密着特性の向上という効果を有する。
本発明における重合体(A)、重合体(B)の末端の例としては、アミノ基、カルボキシル基、酸無水物基又はこれらの誘導体が挙げられる。アミノ基、カルボキシル基、酸無水物基又はこれらの基が誘導される末端基は通常の縮合反応により得るか、又は以下の末端封止剤を用いて末端を封止することにより得ることができ、前記誘導体は、例えば、以下の末端封止剤を用いて、同様に得ることができる。
本発明の液晶配向剤は、重合体(A)及び必要に応じて重合体(B)を含有する。本発明の液晶配向剤は、重合体(A)、重合体(B)に加えて、その他の重合体を含有していてもよい。その他の重合体の種類としては、ポリエステル、ポリアミド、ポリウレア、ポリオルガノシロキサン、セルロース誘導体、ポリアセタール、ポリスチレン又はその誘導体、ポリ(スチレン-フェニルマレイミド)誘導体、ポリ(メタ)アクリレートなどを挙げることができる。
例えば、ジイソプロピルエーテル、ジイソブチルエーテル、ジイソブチルカルビノール(2,6-ジメチル-4-ヘプタノール)、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、1,2-ブトキシエタン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、4-ヒドロキシ-4-メチル-2-ペンタノン、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、3-エトキシブチルアセタート、1-メチルペンチルアセタート、2-エチルブチルアセタート、2-エチルヘキシルアセタート、エチレングリコールモノアセタート、エチレングリコールジアセタート、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、エチレングリコールモノブチルエーテル(ブチルセロソルブ)、エチレングリコールモノイソアミルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、1-(2-ブトキシエトキシ)-2-プロパノール、2-(2-ブトキシエトキシ)-1-プロパノール、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセタート、プロピレングリコールジアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテルアセタート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセタート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセタート、2-(2-エトキシエトキシ)エチルアセタート、ジエチレングリコールアセタート、プロピレングリコールジアセテート、酢酸n-ブチル、酢酸プロピレングリコールモノエチルエーテル、3-メトキシプロピオン酸メチル、3-エトキシプロピオン酸エチル、3-メトキシプロピオン酸エチル、3-メトキシプロピオン酸プロピル、3-メトキシプロピオン酸ブチル、乳酸n-ブチル、乳酸イソアミル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジイソブチルケトン(2,6-ジメチル-4-ヘプタノン)などを挙げることができる。
オキサゾリン環構造を含む基を有する化合物の具体例としては、日本特開2007-286597号公報の段落[0115]に記載の、2個以上のオキサゾリン環構造を含む化合物が挙げられる。
シクロカーボネート基を有する化合物の具体例としては、WO2011/155577号公報に記載の化合物が挙げられる。
上記式(d)で表される基のR2、R3の炭素数1~3のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基が挙げられる。
上記式(e)の具体例を挙げるならば、WO2010/074269号公報に記載の化合物、下記式(e-1)~(e-10)で表される化合物が挙げられる。
本発明の液晶配向剤における、架橋性化合物の含有量は、液晶配向剤に含まれる重合体成分100質量部に対して、0.5~20質量部であることが好ましく、架橋反応が進行し、かつAC残像に対して良好な耐性を発現する観点から、より好ましくは1~15質量部である。
本発明の液晶配向膜は、上記液晶配向剤から得られる。本発明の液晶配向膜は、水平配向型若しくは垂直配向型(VA型)の液晶配向膜に用いることができるが、中でもIPS方式又はFFS方式等の水平配向型の液晶表示素子に好適な液晶配向膜である。また、光配向処理法用の液晶配向膜により好ましく用いられる。本発明の液晶表示素子は、上記液晶配向膜を具備するものである。本発明の液晶表示素子は、例えば以下の工程(1)~(3)及び(5)或いは工程(1)~(2)及び(5)を含む方法により製造することができる。より好ましくは、工程(1)~(5)を含む方法により製造される。
パターニングされた透明導電膜が設けられている基板の一面に、本発明の液晶配向剤を、例えばロールコーター法、スピンコート法、印刷法、インクジェット法などの適宜の塗布方法により塗布する。ここで基板としては、透明性の高い基板であれば特に限定されず、ガラス基板、窒化珪素基板とともに、アクリル基板やポリカーボネート基板等のプラスチック基板等を用いることもできる。また、反射型の液晶表示素子では、片側の基板のみにならば、シリコンウエハー等の不透明な物でも使用でき、この場合の電極にはアルミニウム等の光を反射する材料も使用できる。また、IPS型又はFFS型の液晶素子を製造する場合には、櫛歯型にパターニングされた透明導電膜又は金属膜からなる電極が設けられている基板と、電極が設けられていない対向基板とを用いる。
工程(2)は、基板上に塗布した液晶配向剤を焼成し、膜を形成する工程である。液晶配向剤を基板上に塗布した後は、ホットプレート、熱循環型オーブン又はIR(赤外線)型オーブンなどの加熱手段により、溶媒を蒸発させたり、ポリアミック酸又はポリアミック酸エステルの熱イミド化を行ったりすることができる。本発明の液晶配向剤を塗布した後の乾燥、焼成工程は、任意の温度と時間を選択することができ、複数回行ってもよい。液晶配向剤を焼成する温度としては、例えば40~180℃で行うことができる。プロセスを短縮する観点で、40~150℃で行ってもよい。焼成時間としては特に限定されないが、1~10分又は、1~5分が挙げられる。ポリアミック酸又はポリアミック酸エステルの熱イミド化を行う場合には、上記焼成工程の後、例えば150~300℃、又は150~250℃の温度範囲で焼成する工程ができる。焼成時間としては特に限定されないが、5~40分、又は、5~30分の焼成時間が挙げられる。
焼成後の膜状物は、薄すぎると液晶表示素子の信頼性が低下する場合があるので、5~300nmが好ましく、10~200nmがより好ましい。
工程(3)は、場合により、工程(2)で得られた膜に配向処理する工程である。即ち、IPS方式又はFFS方式等の水平配向型の液晶表示素子では該塗膜に対し配向能付与処理を行う。一方、VA方式又はPSAモード等の垂直配向型の液晶表示素子では、形成した塗膜をそのまま液晶配向膜として使用することができるが、該塗膜に対し配向能付与処理を施してもよい。液晶配向膜の配向処理方法としては、ラビング処理法、光配向処理法が挙げられ、光配向処理法がより好適である。光配向処理法としては、上記膜状物の表面に、一定方向に偏向された放射線を照射し、場合により、好ましくは、150~250℃の温度で加熱処理を行い、液晶配向性(液晶配向能ともいう)を付与する方法が挙げられる。放射線としては、100~800nmの波長を有する紫外線又は可視光線を用いることができる。なかでも、好ましくは100~400nm、より好ましくは、200~400nmの波長を有する紫外線である。
また、放射線を照射する場合、液晶配向性を改善するために、上記膜状物を有する基板を、50~250℃で加熱しながら照射してもよい。このようにして作製した上記液晶配向膜は、液晶分子を一定の方向に安定して配向させることができる。
更に、上記の方法で、偏光された放射線を照射した液晶配向膜に、水や溶媒を用いて、接触処理するか、放射線を照射した液晶配向膜を加熱処理することもできる。
上記の放射線を照射した塗膜に対して加熱処理を行ってもよい。
上記の放射線を照射した塗膜に対する加熱処理の温度は、50~300℃が好ましく、120~250℃がより好ましい。加熱処理の時間としては、それぞれ1~30分とすることが好ましい。
上記のようにして液晶配向膜が形成された基板を2枚準備し、対向配置した2枚の基板間に液晶を配置する。具体的には以下の2つの方法が挙げられる。第一の方法は、先ず、それぞれの液晶配向膜が対向するように間隙(セルギャップ)を介して2枚の基板を対向配置する。次いで、2枚の基板の周辺部をシール剤を用いて貼り合わせ、基板表面及びシール剤により区画されたセルギャップ内に液晶組成物を注入充填して膜面に接触した後、注入孔を封止する。
なお、塗膜に対してラビング処理を行った場合には、2枚の基板は、各塗膜におけるラビング方向が互いに所定の角度、例えば直交又は逆平行となるように対向配置される。
シール剤としては、例えば硬化剤及びスペーサーとしての酸化アルミニウム球を含有するエポキシ樹脂等を用いることができる。液晶としては、ネマチック液晶及びスメクチック液晶を挙げることができ、その中でもネマチック液晶が好ましい。
なお、FFS(Frindge Field Switching)モードにおいて使用される櫛歯電極基板であるFFS基板は、基材と、基材上に形成された面電極と、面電極上に形成された絶縁膜と、絶縁膜上に形成され、櫛歯状に配置された複数の線状電極と、絶縁膜上に線状電極を覆うように形成された液晶配向膜とを有する。
図1に例示する横電界液晶表示素子1においては、液晶配向膜2cを具備する櫛歯電極基板2と液晶配向膜4aを具備する対向基板4との間に、液晶3が挟持されている。櫛歯電極基板2は、基材2aと、基材2a上に形成され、櫛歯状に配置された複数の線状電極2bと、基材2a上に線状電極2bを覆うように形成された液晶配向膜2cとを有している。対向基板4は、基材4bと、基材4b上に形成された液晶配向膜4aとを有している。液晶配向膜2cは、例えば、本発明の液晶配向膜である。液晶配向膜4cも同様に本発明の液晶配向膜である。
この横電界液晶表示素子1においては、線状電極2bに電圧が印加されると、電気力線Lで示すように線状電極2b間で電界が発生する。
図2に例示する横電界液晶表示素子1においては、液晶配向膜2hを具備する櫛歯電極基板2と液晶配向膜4aを具備する対向基板4との間に、液晶3が挟持されている。櫛歯電極基板2は、基材2dと、基材2d上に形成された面電極2eと、面電極2e上に形成された絶縁膜2fと、絶縁膜2f上に形成され、櫛歯状に配置された複数の線状電極2gと、絶縁膜2f上に線状電極2gを覆うように形成された液晶配向膜2hとを有している。対向基板4は、基材4bと、基材4b上に形成された液晶配向膜4aとを有している。液晶配向膜2hは、例えば、本発明の液晶配向膜である。液晶配向膜4aも同様に本発明の液晶配向膜である。
この横電界液晶表示素子1においては、面電極2eおよび線状電極2gに電圧が印加されると、電気力線Lで示すように面電極2eおよび線状電極2g間で電界が発生する。
NMP:N-メチル-2-ピロリドン
BCS:ブチルセロソルブ
(ジアミン)
DA-1:p-フェニレンジアミン
DA-2:1,2-ビス(4-アミノフェノキシ)エタン
DA-3:下記式(DA-3)参照
DA-4:下記式(DA-4)参照
DA-5:下記式(DA-5)参照
DA-6:下記式(DA-6)参照
DA-7:1,3-ビス(4-アミノフェネチル)ウレア
DA-8:4-(2-メチルアミノエチル)アニリン
(テトラカルボン酸二無水物)
TA-1:1,3-ジメチル-1,2,3,4-シクロブタンテトラカルボン酸二無水物
TA-2:1,2,3,4-シクロブタンテトラカルボン酸二無水物
溶液の粘度は、E型粘度計TVE-22H(東機産業社製)を用い、サンプル量1.1mL、コーンロータTE-1(1°34’、R24)、温度25℃で測定した。
<合成例1>
撹拌装置及び窒素導入管付きの50mL四つ口フラスコに、DA-1を0.173g(1.60mmol)、DA-2を0.586g(2.40mmol)、DA-4を0.836g(2.40mmol)及びDA-3を0.638g(1.60mmol)量り取り、NMPを28.9g加えて、窒素を送りながら撹拌し溶解させた。このジアミン溶液を撹拌しながら、TA-1を1.704g(7.60mmol)添加し、50℃で20時間撹拌して、ポリアミック酸溶液(PAA-1)を得た。このポリアミック酸溶液の粘度は840mPa・sであった。
撹拌装置及び窒素導入管付きの50mL四つ口フラスコに、DA-1を0.130g(1.20mmol)、DA-2を0.440g(1.80mmol)、DA-5を0.678g(1.80mmol)及びDA-3を0.478g(1.20mmol)量り取り、NMPを21.9g加えて、窒素を送りながら撹拌し溶解させた。このジアミン溶液を撹拌しながら、TA-1を1.264g(5.64mmol)添加し、50℃で20時間撹拌して、ポリアミック酸溶液(PAA-2)を得た。このポリアミック酸溶液の粘度は394mPa・sであった。
撹拌装置及び窒素導入管付きの50mL四つ口フラスコに、DA-1を0.076g(0.70mmol)、DA-2を0.257g(1.05mmol)、DA-6を0.429g(1.05mmol)及びDA-3を0.279g(0.70mmol)量り取り、NMPを13.3g加えて、窒素を送りながら撹拌し溶解させた。このジアミン溶液を撹拌しながら、TA-1を0.738g(3.29mmol)添加し、50℃で20時間撹拌して、ポリアミック酸溶液(PAA-3)を得た。このポリアミック酸溶液の粘度は374mPa・sであった。
撹拌装置及び窒素導入管付きの500mL四つ口フラスコに、DA-8を9.01g(60.0mmol)、及びDA-7を26.8g(89.8mmol)取り、NMPを290g加えて、窒素を送りながら撹拌し溶解させた。このジアミン溶液を水冷下で撹拌しながらTA-2を27.9g(142mmol)添加し、NMPを71.4g加えて23℃で2時間撹拌してポリアミック酸の溶液(PAA-4)を得た。
このポリアミック酸の溶液の粘度は750mPa・sであった。
撹拌装置及び窒素導入管付きの50mL四つ口フラスコに、DA-1を0.108g(1.00mmol)、DA-2を0.366g(1.50mmol)、DA-5を0.565g(1.50mmol)及びDA-3を0.399g(1.00mmol)量り取り、NMPを17.2g加えて、窒素を送りながら撹拌し溶解させた。このジアミン溶液を撹拌しながら、TA-2を0.912g(4.65mmol)添加し、40℃で24時間撹拌して、ポリアミック酸溶液(PAA-5)を得た。このポリアミック酸溶液の粘度は373mPa・sであった。
<実施例1>
合成例2で得られた12質量%のポリアミック酸溶液(PAA-2)5.00gを20mL三角フラスコに取り、NMPを3.40g、及びBCSを3.60g加え、25℃にて2時間混合して、液晶配向剤(A1)を得た。この液晶配向剤に濁りや析出などの異常は見られず、均一な溶液であることが確認された。
合成例3で得られた12質量%のポリアミック酸溶液(PAA-3)5.00gを20mL三角フラスコに取り、NMPを3.40g、及びBCSを3.60g加え、25℃にて2時間混合して、液晶配向剤(A2)を得た。この液晶配向剤に濁りや析出などの異常は見られず、均一な溶液であることが確認された。
合成例2で得られた12質量%のポリアミック酸溶液(PAA-2)0.83gと合成例4で得られた15質量%のポリアミック酸溶液(PAA-4)2.67gを20mL三角フラスコに取り、NMPを4.50g、及びBCSを2.00g加え、25℃にて2時間混合して、液晶配向剤(A3)を得た。この液晶配向剤に濁りや析出などの異常は見られず、均一な溶液であることが確認された。
合成例3で得られた12質量%のポリアミック酸溶液(PAA-3)0.83gと合成例4で得られた15質量%のポリアミック酸溶液(PAA-4)2.67gを20mL三角フラスコに取り、NMPを4.50g、及びBCSを2.00g加え、25℃にて2時間混合して、液晶配向剤(A4)を得た。この液晶配向剤に濁りや析出などの異常は見られず、均一な溶液であることが確認された。
合成例1で得られた12質量%のポリアミック酸溶液(PAA-1)5.00gを20mL三角フラスコに取り、NMPを3.40g、及びBCSを3.60g加え、25℃にて2時間混合して、液晶配向剤(B1)を得た。この液晶配向剤に濁りや析出などの異常は見られず、均一な溶液であることが確認された。
合成例1で得られた12質量%のポリアミック酸溶液(PAA-1)0.83gと合成例4で得られた15質量%のポリアミック酸溶液(PAA-4)2.67gを20mL三角フラスコに取り、NMPを4.50g、BCSを2.00g加え、25℃にて2時間混合して、液晶配向剤(B2)を得た。この液晶配向剤に濁りや析出などの異常は見られず、均一な溶液であることが確認された。
合成例5で得られた12質量%のポリアミック酸溶液(PAA-5)5.00gを20mL三角フラスコに取り、NMPを3.40g、及びBCSを3.60g加え、25℃にて2時間混合して、液晶配向剤(B3)を得た。この液晶配向剤に濁りや析出などの異常は見られず、均一な溶液であることが確認された。
合成例5で得られた12質量%のポリアミック酸溶液(PAA-5)0.83gと合成例4で得られた15質量%のポリアミック酸溶液(PAA-4)2.67gを20mL三角フラスコに取り、NMPを4.50g、BCSを2.00g加え、25℃にて2時間混合して、液晶配向剤(B4)を得た。この液晶配向剤に濁りや析出などの異常は見られず、均一な溶液であることが確認された。
フリンジフィールドスィッチング(Fringe Field Switching:FFS)モード液晶表示素子の構成を備えた液晶セルを作製した。
始めに、電極付きの基板を準備した。基板は、30mm×35mmの大きさで、厚さが0.7mmのガラス基板であった。基板上には第1層目として対向電極を構成する、ベタ状のパターンを備えたITO電極が形成されていた。第1層目の対向電極の上には第2層目として、CVD法により成膜されたSiN(窒化珪素)膜が形成されていた。第2層目のSiN膜の膜厚は500nmであり、層間絶縁膜として機能する膜厚であった。第2層目のSiN膜の上には、第3層目としてITO膜をパターニングして形成された櫛歯状の画素電極が配置され、第1画素及び第2画素の2つの画素を形成している。各画素のサイズは、縦6mmで横約5mmであった。このとき、第1層目の対向電極と第3層目の画素電極とは、第2層目のSiN膜の作用により電気的に絶縁されていた。
上記した液晶セルを用い、60℃の恒温環境下、周波数60Hzで±5Vの交流電圧を120時間印加した。その後、液晶セルの画素電極と対向電極との間をショートさせた状態にし、そのまま室温で一日放置した。
上記実施例1~4で得られた液晶配向剤(A1)~(A4)を使用して得られた液晶表示素子、及び上記比較例1~4で得られた液晶配向剤(B1)~(B4を使用して得られた液晶表示素子に関しての評価結果を表2に示す。
2 櫛歯電極基板
2a 基材
2b 線状電極
2c 液晶配向膜
2d 基材
2e 面電極
2f 絶縁膜
2g 線状電極
2h 液晶配向膜
3 液晶
4 対向基板
4a 液晶配向膜
4b 基材
L 電気力線
Claims (16)
- 下記式(1)で表される繰り返し単位(a1)を有するポリイミド前駆体及び該ポリイミド前駆体のイミド化物であるポリイミドからなる群から選ばれる少なくとも1種の重合体(A)を含有することを特徴とする液晶配向剤。
- 前記式(H’)における前記1価の有機基が、炭素数1~3のアルキル基、炭素数1~3のアルキル基上の水素原子の少なくとも一部がハロゲン原子で置換されたハロゲン化アルキル基、炭素数1~3のアルコキシ基、炭素数1~3のアルコキシ基上の水素原子の少なくとも一部がハロゲン原子で置換されたハロゲン化アルコキシ基又は炭素数2~3のアルケニル基である、請求項1に記載の液晶配向剤。
- 前記重合体(A)が、さらに下記式(2)で表される繰り返し単位(a2)を有するポリイミド前駆体及び該ポリイミド前駆体のイミド化物であるポリイミドからなる群から選ばれる少なくとも1種の重合体である、請求項1~3のいずれか一項に記載の液晶配向剤。
- 前記重合体(A)が、さらに下記式(2’)で表される繰り返し単位(a2’)及び下記式(3)で表される繰り返し単位(a3)よりなる群から選ばれる少なくとも一つを有するポリイミド前駆体及び該ポリイミド前駆体のイミド化物であるポリイミドからなる群から選ばれる少なくとも1種の重合体である、請求項1~5のいずれか一項に記載の液晶配向剤。
- 前記重合体(A)が、前記繰り返し単位(a1)、前記繰り返し単位(a2)及び前記繰り返し単位(a2’)並びにそれらのイミド化構造の合計を全繰り返し単位の30モル%以上含む、請求項6に記載の液晶配向剤。
- 前記重合体(A)が、前記繰り返し単位(a1)と前記繰り返し単位(a1)のイミド化構造との合計を全繰り返し単位の5~95モル%含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の液晶配向剤。
- 光配向処理法用である、請求項1~9のいずれか一項に記載の液晶配向剤。
- 請求項1~10のいずれか一項に記載の液晶配向剤から得られる液晶配向膜。
- 請求項11に記載の液晶配向膜を具備する液晶表示素子。
- 下記の工程(1)~(3)を含む、液晶表示素子の製造方法。
工程(1):請求項1~10のいずれか一項に記載の液晶配向剤を基板上に塗布する工程
工程(2):塗布した液晶配向剤を焼成する工程
工程(3):工程(2)で得られた膜に配向処理する工程 - 前記配向処理が、光配向処理である、請求項13に記載の液晶表示素子の製造方法。
- 前記光配向処理における放射線の照射量が、100~1500mJ/cm2である、請求項14に記載の液晶表示素子の製造方法。
- 下記の工程(4)を更に含む、請求項13~15のいずれか一項に記載の液晶表示素子の製造方法。
工程(4):工程(3)で配向処理された膜に対して50~300℃の加熱処理を更に行う工程。
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