以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
<実施の形態>
[構成例]
図1は、本発明の一実施の形態に係るトランスを備えた電力変換装置1の一構成例を表すものである。この電力変換装置1は、直流電力を降圧する絶縁型のスイッチング電源装置である。電力変換装置1は、入力端子T11,T12と、出力端子T21,T22とを備えている。入力端子T11,T12は直流電源PDCに接続され、出力端子T21,T22は負荷LDに接続される。電力変換装置1は、直流電源PDCから供給された直流電力を降圧するように変換し、変換された直流電力を負荷LDに供給するように構成される。
電力変換装置1は、キャパシタ11と、スイッチング回路12と、トランス20と、整流回路14と、平滑回路17とを備えている。キャパシタ11およびスイッチング回路12は、電力変換装置1の一次側回路を構成し、整流回路14および平滑回路17は、電力変換装置1の二次側回路を構成する。
キャパシタ11の一端は、入力端子T11に導かれた電圧線L11に接続され、他端は、入力端子T12に導かれた基準電圧線L12に接続される。
スイッチング回路12は、直流電源PDCから供給された直流電圧を交流電圧に変換するように構成される。スイッチング回路12は、この例では、いわゆるシングルエンドフォワード型の回路であり、スイッチング素子13を有している。スイッチング素子13は、例えば、MOS-FET(Metal Oxide Semiconductor-Field Effect Transistor)、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)、GaN(Gallium Nitride)トランジスタ、SiC(Silicon Carbide)トランジスタなどが使用可能である。スイッチング素子13の一端はトランス20の接続端子T2(後述)に接続され、他端は基準電圧線L12に接続される。なお、この例では、フォワード型の回路を用いてスイッチング回路12を構成したが、これに限定されるものではなく、1または複数のスイッチング素子を有する様々な回路を用いることができる。
トランス20は、1次側回路と2次側回路とを直流的に絶縁するとともに交流的に接続し、1次側回路から供給された交流電圧を、トランス20の変成比Rで変換し、変換された交流電圧を2次側回路に供給するように構成される。この例では、トランス20の変成比Rは“1.5:1”に設定されている。トランス20は、接続端子T1~T4と、1次側巻線21と、2次側巻線22とを有している。接続端子T1は電圧線L11に接続され、接続端子T2はスイッチング回路12におけるスイッチング素子13の一端に接続される。接続端子T3は、出力端子T21に導かれる電圧線L21に接続され、接続端子T4は出力端子T22に導かれる基準電圧線L22に接続される。1次側巻線21の一端は接続端子T1に接続され、他端は接続端子T2に接続される。2次側巻線22の一端は接続端子T3に接続され、他端は接続端子T4に接続される。
整流回路14は、トランス20から出力された交流電圧を整流するように構成される。整流回路14は、ダイオード15,16を有している。ダイオード15は、電圧線L21上に設けられ、アノードはトランス20の接続端子T3に接続され、カソードは平滑回路17に接続される。ダイオード16のアノードは基準電圧線L22に接続され、カソードはダイオード15のカソードおよび平滑回路17に接続される。
平滑回路17は、整流回路14により整流された電圧を平滑化するように構成される。平滑回路17は、インダクタ18と、キャパシタ19とを有している。インダクタ18は、電圧線L21上に設けられ、一端は整流回路14におけるダイオード15,16のカソードに接続され、他端はキャパシタ19の一端に接続される。キャパシタ19の一端は、インダクタ18の他端に接続され、他端は基準電圧線L22に接続される。
(トランス20)
図2は、トランス20の一構成例を表すものである。なお、図2には、整流回路14および平滑回路17をも図示している。トランス20は、磁気コア100と、巻線21A,21B,22A,22Bとを有している。巻線21A,21Bは、図1に示した1次側巻線21に対応し、巻線22A,22Bは、図1に示した2次側巻線22に対応する。
図3は、磁気コア100の一構成例を表すものである。磁気コア100は、この例では、いわゆるEIコアやEEコアなどであり、E型のコアを用いて構成される。磁気コア100は、ベース部101,102と、脚部111~113とを有している。ベース部101,102は、Y方向に延伸するように構成され、X方向に並設される。脚部111~113は、X方向に延伸するように構成される。脚部111,113,112は、この順にY方向に並設される。この例では、中央に配置された脚部113は、脚部111,112よりも細く構成される。
脚部111の一端はベース部101の一端に接続され、他端はベース部102の一端に接続される。脚部112の一端はベース部101の他端に接続され、他端はベース部102の他端に接続される。脚部113の一端はベース部101の中央部101Aに接続され、他端はベース部102の中央部102Aに接続される。なお、これに限定されるものではなく、例えば、脚部111の一端をベース部101に接続せず、脚部111の一端とベース部101との間にギャップを設けてもよい。脚部111の他端についても同様であり、脚部112,113についても同様である。
この構成により、磁気コア100には、ベース部101の中央部101Aと、ベース部102の中央部102Aとの間に、3つの磁気経路121~123が設けられる。磁気経路121は、ベース部101の中央部101Aと、ベース部102の中央部102Aとを、脚部111を介して結ぶ経路である。磁気経路122は、ベース部101の中央部101Aと、ベース部102の中央部102Aとを、脚部112を介して結ぶ経路である。磁気経路123は、ベース部101の中央部101Aと、ベース部102の中央部102Aとを、脚部113を介して結ぶ経路である。
図4は、トランス20における巻線21A,21B,22A,22Bの一構成例を表すものであり、(A)は巻線21A,21Bの一構成例を示し、(B)は巻線22A,22Bの一構成例を示す。
図2,4(A)に示したように、巻線21Aは、磁気コア100の脚部111に1回巻き付けられる。なお、この例では、巻線21Aを、磁気コア100の磁気経路121における脚部111に巻き付けるようにしたが、これに限定されるものではなく、例えばベース部101,102の一部など、磁気経路121における脚部111以外の部分に巻き付けるようにしてもよい。巻線21Aの一端は接続端子T1に接続され、他端はノードN3に接続される。
巻線21Bは、磁気コア100の脚部112に1回巻き付けられる。なお、この例では、巻線21Bを、磁気コア100の磁気経路122における脚部112に巻き付けるようにしたが、これに限定されるものではなく、例えばベース部101,102の一部など、磁気経路122における脚部112以外の部分に巻き付けるようにしてもよい。巻線21Bの一端はノードN3に接続され、他端は接続端子T2に接続される。
巻線21A,21Bは、接続端子T1と接続端子T2との間で、直列に接続される。接続端子T1から接続端子T2に向かう方向において、巻線21Aの巻方向は時計回りであり、巻線21Bの巻方向は反時計回りである。すなわち、接続端子T1から接続端子T2に向かう方向における、巻線21Aの巻方向および巻線21Bの巻方向は互いに異なっている。
図2,4(B)に示したように、巻線22Aは、磁気コア100の脚部111に1回巻き付けられる。なお、この例では、巻線22Aを、磁気コア100の磁気経路121における脚部111に巻き付けるようにしたが、これに限定されるものではなく、例えばベース部101,102の一部など、磁気経路121における脚部111以外の部分に巻き付けるようにしてもよい。巻線22Aの一端は接続端子T3に接続され、他端は接続端子T4に接続される。
巻線22Bは、磁気コア100の脚部112に2回巻き付けられる。なお、この例では、巻線22Bを、磁気コア100の磁気経路122における脚部112に巻き付けるようにしたが、これに限定されるものではなく、例えばベース部101,102の一部など、磁気経路122における脚部112以外の部分に巻き付けるようにしてもよい。巻線22Bの一端は接続端子T3に接続され、他端は接続端子T4に接続される。
巻線22A,22Bは、接続端子T3と接続端子T4との間で並列に接続される。巻線22Aの巻き数(この例では“1”)と、巻線22Bの巻き数(この例では“2”)とは、互いに異なる。接続端子T3から接続端子T4に向かう方向において、巻線22Aの巻方向は時計回りであり、巻線22Bの巻方向は反時計回りである。すなわち、接続端子T3から接続端子T4に向かう方向における、巻線22Aの巻方向および巻線22Bの巻方向は互いに異なっている。
この構成により、脚部111において、巻線22Aに生じる交流電圧の振幅を“1”とすると、この交流電圧を生じさせるために巻線21Aに印加される交流電圧の振幅は“1”である。また、脚部112において、巻線22Bに生じる交流電圧の振幅を“1”とすると、この交流電圧を生じさせるために巻線21Bに印加される交流電圧の振幅は“0.5”である。よって、1次側巻線21(巻線21A,21B)に印加される交流電圧の振幅は“1.5”(=1+0.5)になるので、トランス20の変成比Rは“1.5:1”である。このように、トランス20では、変成比Rを整数比以外にすることができるようになっている。
ここで、スイッチング回路12は、本開示における「スイッチング回路」の一具体例に対応する。トランス20は、本開示における「トランス」の一具体例に対応する。整流回路14は、本開示における「整流回路」の一具体例に対応する。磁気コア100は、本開示における「磁気コア」の一具体例に対応する。磁気経路121は、本開示における「第1の磁気経路」の一具体例に対応する。磁気経路122は、本開示における「第2の磁気経路」の一具体例に対応する。磁気経路123は、本開示における「第3の磁気経路」の一具体例に対応する。脚部111は、本開示における「第1の脚部」の一具体例に対応する。脚部112は、本開示における「第2の脚部」の一具体例に対応する。脚部113は、本開示における「第3の脚部」の一具体例に対応する。接続端子T1は、本開示における「第1の接続端子」の一具体例に対応する。接続端子T2は、本開示における「第2の接続端子」の一具体例に対応する。接続端子T3は、本開示における「第3の接続端子」の一具体例に対応する。接続端子T4は、本開示における「第4の接続端子」の一具体例に対応する。巻線21Aは、本開示における「第1の巻線」の一具体例に対応する。巻線21Bは、本開示における「第2の巻線」の一具体例に対応する。巻線22Aは、本開示における「第3の巻線」の一具体例に対応する。巻線22Bは、本開示における「第4の巻線」の一具体例に対応する。ノードN3は、本開示における「接続ノード」の一具体例に対応する。
[動作および作用]
続いて、本実施の形態の電力変換装置1の動作および作用について説明する。
(全体動作概要)
まず、図1を参照して、電力変換装置1の全体動作概要を説明する。電力変換装置1では、スイッチング回路12において、スイッチング素子13がスイッチング動作を行うことにより、直流電源PDCから供給された直流電圧に基づいて交流電圧を生成する。トランス20は、この交流電圧を変成比Rにより変換し、変換された交流電圧を出力する。整流回路14は、トランス20により変換された交流電圧を整流し、平滑回路17は、整流された電圧を平滑化する。そして、電力変換装置1は、平滑化された電圧を負荷LDに供給する。
(詳細動作)
電力変換装置1は、スイッチング素子13をオン状態にする動作OPAと、スイッチング素子13をオフ状態にする動作OPBとを交互に繰り返す。
図5A,5Bは、電力変換装置1の動作を表すものであり、図5Aは動作OPAを示し、図5Bは動作OPBを示す。なお、これらの図では、スイッチング素子13を、その動作状態(オン状態もしくはオフ状態)を表すシンボルで示している。
動作OPAでは、図5Aに示したように、スイッチング回路12のスイッチング素子13がオン状態になることにより、1次側回路には、接続端子T1、トランス20の1次側巻線21(巻線21A,21B)、接続端子T2、スイッチング素子13の順に電流IA1が流れる。この電流IA1に応じて、2次側回路では、トランス20の2次側巻線22(巻線22A,22B)、接続端子T3、ダイオード15、インダクタ18、キャパシタ19および負荷LD、接続端子T4の順に電流IA2が流れる。
図2,4に示したように、この電流IA1が流れる巻線21Aと巻線21Bでは、巻方向が互いに異なる。よって、磁気コア100では、脚部111での磁界の向きと、脚部112での磁界の向きとが、互いに異なる。
図6は、1次側巻線21に電流IA1が流れる場合における、磁気コア100における磁界の一例を表すものである。図2に示したように、巻線21Aは、脚部111に巻き付けられているので、この巻線21Aに電流IA1が接続端子T1からノードN3に向かって流れることにより、脚部111、ベース部101、脚部113、ベース部102を順に通る磁路M1が形成される。また、巻線21Bは、脚部112に巻き付けられているので、この巻線21Bに電流IA1がノードN3から接続端子T2に向かって流れることにより、脚部112、ベース部102、脚部113、ベース部101を順に通る磁路M2が形成される。ここで、図2,4に示したように、1次側巻線21において、巻線21Aおよび巻線21Bは直列に接続されており、巻線21Aの巻き数は“1”であり、巻線21Bの巻き数は“1”である。また、2次側巻線22において、巻線22Aおよび巻線22Bは並列に接続されており、巻線22Aの巻き数は“1”であり、巻線22Bの巻き数は“2”である。よって、図4(A)に示したように、接続端子T2を基準とした接続端子T1における電圧を電圧Vinとすると、巻線21Aに印加される電圧は“(2/3)×Vin”で表すことができ、巻線21Bに印加される電圧は“(1/3)×Vin”で表すことができる。よって、磁路M1における磁界の強さは、磁路M2における磁界の強さの2倍になる。脚部113には、磁路M1に起因する強い磁界と、磁路M2に起因する弱い磁界が生じる。これらの磁界の向きは互いに異なるので、脚部113における磁界は弱まる。このようにして、図4に示したように、脚部111~113に磁界が生成される。この図4では、脚部111~113における磁界を記号で示している。記号の大きさは磁界の強さを示している。トランス20では、このように脚部113に弱い磁界が生じるので、脚部113を脚部111,112よりも細くすることができる。これにより、トランス20を小型化することができる。
動作OPBでは、図5Bに示したように、スイッチング回路12のスイッチング素子13がオフ状態になる。よって、1次側回路には電流は流れない。一方、2次側回路では、インダクタ18に逆起電力が生じ、インダクタ18、キャパシタ19および負荷LD、ダイオード16の順に電流IB2が流れる。
電力変換装置1は、このような動作OPAおよび動作OPBを交互に繰り返す。これにより、電力変換装置1は、直流電源PDCから供給された直流電力を降圧して出力する。電力変換装置1は、動作OPAを行う時間長と動作OPBを行う時間長との時比率(デューティ比)をPWM(Pulse Width Modulation)により制御することにより、出力電圧が一定になるように制御する。
このように、トランス20では、図2,3に示したように、接続端子T1から接続端子T2に向かう方向における、巻線21Aの巻方向および巻線21Bの巻方向が、互いに異なるようにし、接続端子T3から接続端子T4に向かう方向における、巻線22Aの巻方向および巻線22Bの巻方向が、互いに異なるようにした。また、巻線22Aの巻き数と巻線22Bの巻き数とが、互いに異なるようにした。これにより、トランス20では、例えば変成比Rを整数比以外にすることができるので、変成比Rの設定自由度を高めることができる。
また、トランス20では、互いに並列に設けられた3つの磁気経路121~123を有する磁気コア100を用いるようにした。これにより、トランス20では、以下に、比較例に係るトランス20Rと対比して説明するように、サイズを小型化することができる。
(比較例)
次に、比較例に係るトランス20Rについて説明する。
図7は、トランス20Rの一構成例を表すものである。トランス20Rは、磁気コア181A,181B,181Cと、巻線191と、巻線192A,192B,192Cとを有している。巻線191は、図1に示した1次側巻線21に対応し、巻線192A,192B,192Cは、図1に示した2次側巻線22に対応する。
磁気コア181A,181B,181Cのそれぞれは、トロイダルコアである。磁気コア181A,181B,181Cは、軸方向に、この順に並設されている。
巻線191は、3つの磁気コア181A,181B,181Cに1回巻き付けられ、一端は接続端子T1に接続され、他端は接続端子T2に接続される。
巻線192Aは、磁気コア181Aに2回巻き付けられ、一端は接続端子T3に接続され、他端は接続端子T4に接続される。巻線192Bは、磁気コア181Bに2回巻き付けられ、一端は接続端子T3に接続され、他端は接続端子T4に接続される。巻線192Cは、磁気コア181Cに2回巻き付けられ、一端は接続端子T3に接続され、他端は接続端子T4に接続される。言い換えれば、巻線192A,192B,192Cは、接続端子T3と接続端子T4との間で、並列に接続される。
この構成により、磁気コア181Aにおいて、巻線192Aに生じる交流電圧の振幅を“1”とすると、この交流電圧を生じさせるために巻線191に印加される交流電圧の振幅は“0.5”である。磁気コア181B,181Cについても同様である。よって、1次側巻線21(巻線191)に印加される交流電圧の振幅は“1.5”(=1+0.5)になるので、トランス20Rの変成比Rは“1.5:1”である。すなわち、トランス20Rの変成比Rは、本実施の形態に係るトランス20の変成比Rと同じである。
この比較例に係るトランス20Rは、3つの磁気コア181A,181B,181Cを有するので、サイズが大きくなってしまうおそれがある。よって、このようなトランス20Rを用いて電力変換装置を構成した場合には、装置サイズが大きくなってしまうおそれがある。
一方、実施の形態に係るトランス20では、互いに並列に設けられた3つの磁気経路121~123を有する磁気コア100を設けるようにしたので、サイズを小さくすることができる。その結果、電力変換装置1では、装置サイズを小さくすることができる。
[効果]
以上のように本実施の形態では、接続端子T1から接続端子T2に向かう方向における、巻線21Aの巻方向および巻線21Bの巻方向が、互いに異なるようにし、接続端子T3から接続端子T4に向かう方向における、巻線22Aの巻方向および巻線22Bの巻方向が、互いに異なるようにした。また、巻線22Aの巻き数と巻線22Bの巻き数とが、互いに異なるようにした。これにより、変成比の設定自由度を高めることができる。
本実施の形態では、互いに並列に設けられた3つの磁気経路を有する磁気コアを設けるようにしたので、装置サイズを小さくすることができる。
[変形例1]
上記実施の形態では、図2に示したように、トランス20に4つの巻線21A,21B,22A,22Bを設けたが、これに限定されるものではなく、例えば、より多くの巻線を設けてもよい。以下に、本変形例に係るトランス20Aについて詳細に説明する。
図8は、トランス20Aを備えた電力変換装置1Aの一構成例を表すものである。電力変換装置1Aは、いわゆるセンタータップ方式のスイッチング電源装置である。電力変換装置1Aは、スイッチング回路12Aと、トランス20Aと、整流回路14Aと、平滑回路17とを備えている。
スイッチング回路12Aは、直流電源PDCから供給された直流電圧を交流電圧に変換するように構成される。スイッチング回路12Aは、この例では、いわゆるフルブリッジ型の回路であり、スイッチング素子SW1~SW4を有している。スイッチング素子SW1の一端は電圧線L11に接続され、他端はノードN1に接続される。スイッチング素子SW2の一端はノードN1に接続され、他端は基準電圧線L12に接続される。スイッチング素子SW3の一端は電圧線L11に接続され、他端はノードN2に接続される。スイッチング素子SW4の一端はノードN2に接続され、他端は基準電圧線L12に接続される。
トランス20Aは、1次側回路から供給された交流電圧を、トランス20Aの変成比Rで変換し、変換された交流電圧を2次側回路に供給するように構成される。トランス20Aは、接続端子T1~T5と、1次側巻線21と、2次側巻線22,23とを有している。接続端子T3,T5は、出力端子T21に導かれる電圧線L21に接続され、接続端子T4は出力端子T22に導かれる基準電圧線L22に接続される。2次側巻線22の一端は接続端子T3に接続され、他端は接続端子T4に接続される。2次側巻線23の一端は接続端子T5に接続され、他端は接続端子T4に接続される。この例では、トランス20Aの変成比Rは“1.5:1:1”に設定されている。
整流回路14Aは、トランス20Aから出力された交流電圧を整流するように構成される。整流回路14Aは、ダイオード15A,16Aを有している。ダイオード15Aは、電圧線L21上に設けられ、アノードはトランス20Aの接続端子T3に接続され、カソードは平滑回路17に接続される。ダイオード16Aは、電圧線L21上に設けられ、アノードはトランス20Aの接続端子T5に接続され、カソードは平滑回路17に接続される。
図9は、トランス20Aの一構成例を表すものである。トランス20Aは、磁気コア100と、巻線21A,21B,22A,22B,23A,23Bとを有している。巻線22A,22Bは、図8に示した2次側巻線22に対応し、巻線23A,23Bは、図8に示した2次側巻線23に対応する。
図10は、トランス20Aにおける巻線21A,21B,22A,22B,23A,23Bの一構成例を表すものであり、(A)は巻線21A,21Bの一構成例を示し、(B)は巻線22A,22Bの一構成例を示し、(C)は巻線23A,23Bの一構成例を示す。図10(A),(B)は、図4(A),(B)と同様である。
図9,10(C)に示したように、巻線23Aは、磁気コア100の脚部111に2回巻き付けられ、一端は接続端子T5に接続され、他端は接続端子T4に接続される。巻線23Bは、磁気コア100の脚部112に1回巻き付けられ、一端は接続端子T5に接続され、他端は接続端子T4に接続される。巻線23A,23Bは、接続端子T5と接続端子T4との間で並列に接続される。巻線23Aの巻き数(この例では“2”)は、巻線22Bの巻き数と同じであり、巻線23Bの巻き数は、巻線22Aの巻き数(この例では“1”)と同じである。接続端子T5から接続端子T4に向かう方向において、巻線23Aの巻方向は時計回りであり、巻線23Bの巻方向は反時計回りである。すなわち、接続端子T5から接続端子T4に向かう方向における、巻線23Aの巻方向および巻線23Bの巻方向は互いに異なっている。
ここで、トランス20Aは、本開示における「トランス」の一具体例に対応する。整流回路14Aは、本開示における「整流回路」の一具体例に対応する。接続端子T5は、本開示における「第5の接続端子」の一具体例に対応する。巻線23Aは、本開示における「第5の巻線」の一具体例に対応する。巻線23Bは、本開示における「第6の巻線」の一具体例に対応する。
電力変換装置1Aは、スイッチング素子SW2,SW3がオン状態にする動作OPAと、スイッチング素子SW1,SW4がオン状態にする動作OPBとを交互に繰り返す。
図11A,11Bは、電力変換装置1Aの動作を表すものであり、図11Aは、動作OPAを示し、図11Bは動作OPBを示す。図12,13A,13Bは、磁気コア100における磁界の一例を表すものであり、図12(A),13Aは動作OPAにおける一例を示し、図12(B),13Bは動作OPBにおける一例を示す。図12(A)は、図6と同様であり、図13Aは、図4と同様である。
動作OPAでは、図11Aに示したように、スイッチング回路12のスイッチング素子SW1,SW4がオン状態になるとともに、スイッチング素子SW2,SW3がオフ状態になる。これにより、1次側回路には、スイッチング素子SW1、接続端子T1、トランス20Aの1次側巻線21(巻線21A,21B)、接続端子T2、スイッチング素子SW4の順に電流IA1が流れる。この電流IA1に応じて、2次側回路では、トランス20Aの2次側巻線22(巻線22A,22B)、接続端子T3、ダイオード15A、インダクタ18、キャパシタ19および負荷LD、接続端子T4の順に電流IA2が流れる。
図9に示したように、巻線21Aは、脚部111に巻き付けられているので、図12(A)に示したように、この巻線21Aに電流IA1が接続端子T1からノードN3に向かって流れることにより、脚部111、ベース部101、脚部113、ベース部102を順に通る磁路M1が形成される。また、巻線21Bは、脚部112に巻き付けられているので、この巻線21Bに電流IA1がノードN3から接続端子T2に向かって流れることにより、脚部112、ベース部102、脚部113、ベース部101を順に通る磁路M2が形成される。このようにして、上記実施の形態の場合と同様に、図13Aに示したように、脚部111~113に磁界が生成される。
動作OPBでは、図11Bに示したように、スイッチング回路12のスイッチング素子SW2,SW3がオン状態になるとともに、スイッチング素子SW1,SW4がオフ状態になる。これにより、1次側回路には、スイッチング素子SW3、接続端子T2、トランス20の1次側巻線21(巻線21A,21B)、接続端子T1、スイッチング素子SW2の順に電流IB1が流れる。この電流IB1に応じて、2次側回路では、トランス20Aの2次側巻線23(巻線23A,23B)、接続端子T5、ダイオード16A、インダクタ18、キャパシタ19および負荷LD、接続端子T4の順に電流IB2が流れる。
図9に示したように、巻線21Bは、脚部112に巻き付けられているので、図12(B)に示したように、この巻線21Bに電流IB1が接続端子T2からノードN3に向かって流れることにより、脚部112、ベース部101、脚部113、ベース部102を順に通る磁路M3が形成される。また、巻線21Aは、脚部111に巻き付けられているので、この巻線21Aに電流IA1がノードN3から接続端子T1に向かって流れることにより、脚部111、ベース部102、脚部113、ベース部101を順に通る磁路M4が形成される。ここで、図9,13Bに示したように、巻線21Aおよび巻線21Bは直列に接続されており、巻線21Aの巻き数は“1”であり、巻線21Bの巻き数は“1”である。また、2次側巻線23において、巻線23Aおよび巻線23Bは並列に接続されており、巻線23Aの巻き数は“2”であり、巻線23Bの巻き数は“1”である。よって、図13B(A)に示したように、接続端子T1を基準とした接続端子T2における電圧を電圧Vinとすると、巻線21Aに印加される電圧は“(1/3)×Vin”で表すことができ、巻線21Bに印加される電圧は“(2/3)×Vin”で表すことができる。よって、磁路M3における磁界の強さは、磁路M4における磁界の強さの2倍である。脚部113には、磁路M3に起因する強い磁界と、磁路M4に起因する弱い磁界が生じる。これらの磁界の向きは互いに異なるので、脚部113における磁界は弱まる。このようにして、図13Bに示したように、脚部111~113に磁界が生成される。
電力変換装置1Aは、このような動作OPAおよび動作OPBを交互に繰り返す。これにより、電力変換装置1Aは、直流電源PDCから供給された直流電力を降圧して出力する。電力変換装置1Aは、スイッチング素子SW1,SW4がオン状態になる動作OPAおよびスイッチング素子SW2,SW3がオン状態になる動作OPBを行う時間長と、スイッチング素子SW1~SW4の全てがオフ状態になる時間長との時比率をPWMにより制御することにより、出力電圧が一定になるように制御する。
[変形例2]
上記実施の形態では、図2,3等に示したように、3つの脚部111~113のうちの、両側の脚部111,112に巻線を巻き付け、中央の脚部113に巻線を巻き付けないようにしたが、これに限定されるものではなく、例えば、両側の脚部のいずれか一方と、中央の脚部に巻線を巻き付けてもよい。以下に、本変形例に係るトランスを備えた電力変換装置1Bについて詳細に説明する。
本変形例に係る電力変換装置1Bは、上記実施の形態に係る電力変換装置1(図1)と同様に、キャパシタ11と、スイッチング回路12と、トランス20Bと、整流回路14と、平滑回路17とを有している。
図14は、トランス20Bの一構成例を表すものである。トランス20Bは、磁気コア200と、巻線21A,21B,22A,22Bとを有している。トランス20Bの変成比Rは、上記実施の形態に係るトランス20の変成比Rと同じであり、“1.5:1”である。
磁気コア200は、脚部211~213を有している。脚部211,212,213は、この順に並設される。この例では、端に配置された脚部213は、脚部211,212よりも細く構成される。
図15は、トランス20Bにおける巻線21A,21B,22A,22Bの一構成例を表すものであり、(A)は巻線21A,21Bの一構成例を示し、(B)は巻線22A,22Bの一構成例を示す。
図14,15(A)に示したように、巻線21Aは、磁気コア200の脚部211に1回巻き付けられ、一端は接続端子T1に接続され、他端はノードN3に接続される。巻線21Bは、磁気コア200の脚部212に1回巻き付けられ、一端はノードN3に接続され、他端は接続端子T2に接続される。巻線21A,21Bは、接続端子T1と接続端子T2との間で、直列に接続される。接続端子T1から接続端子T2に向かう方向において、巻線21Aの巻方向は時計回りであり、巻線21Bの巻方向は反時計回りである。すなわち、接続端子T1から接続端子T2に向かう方向における、巻線21Aの巻方向および巻線21Bの巻方向は互いに異なっている。
図14,15(B)に示したように、巻線22Aは、磁気コア200の脚部211に1回巻き付けられ、一端は接続端子T3に接続され、他端は接続端子T4に接続される。巻線22Bは、磁気コア200の脚部212に2回巻き付けられ、一端は接続端子T3に接続され、他端は接続端子T4に接続される。巻線22A,22Bは、接続端子T3と接続端子T4との間で並列に接続される。巻線22Aの巻き数(この例では“1”)と、巻線22Bの巻き数(この例では“2”)とは、互いに異なる。接続端子T3から接続端子T4に向かう方向において、巻線22Aの巻方向は時計回りであり、巻線22Bの巻方向は反時計回りである。すなわち、接続端子T3から接続端子T4に向かう方向における、巻線22Aの巻方向および巻線22Bの巻方向は互いに異なっている。
ここで、トランス20Bは、本開示における「トランス」の一具体例に対応する。磁気コア200は、本開示における「磁気コア」の一具体例に対応する。脚部211を含む磁気経路は、本開示における「第1の磁気経路」の一具体例に対応する。脚部212を含む磁気経路は、本開示における「第2の磁気経路」の一具体例に対応する。脚部213を含む磁気経路は、本開示における「第3の磁気経路」の一具体例に対応する。脚部211は、本開示における「第1の脚部」の一具体例に対応する。脚部212は、本開示における「第2の脚部」の一具体例に対応する。脚部213は、本開示における「第3の脚部」の一具体例に対応する。
上記実施の形態の場合(図5A)と同様に、動作OPAでは、スイッチング回路12のスイッチング素子13がオン状態になる。これにより、1次側回路には、接続端子T1、トランス20Aの1次側巻線21(巻線21A,21B)、接続端子T2、スイッチング素子13の順に電流IA1が流れる。この電流IA1に応じて、2次側回路では、トランス20Aの2次側巻線22(巻線22A,22B)、接続端子T3、ダイオード15、インダクタ18、キャパシタ19および負荷LD、接続端子T4の順に電流IA2が流れる。これにより、上記実施の形態の場合と同様に、図15に示したように、脚部211~213に磁界が生成される。
[変形例3]
上記実施の形態では、トランス20の変成比Rを“1.5:1”にしたが、これに限定されるものではない。以下に、いくつか例を挙げて、本変形例について詳細に説明する。
図16は、変成比が“3:1”であるトランス20Cの一構成例を表すものであり、(A)は巻線21A,21Bの一構成例を示し、(B)は巻線22A,22Bの一構成例を示す。
図16(A)に示したように、巻線21Aは、磁気コア100の脚部111に1回巻き付けられ、一端は接続端子T1に接続され、他端はノードN3に接続される。巻線21Bは、磁気コア100の脚部112に2回巻き付けられ、一端はノードN3に接続され、他端は接続端子T2に接続される。巻線21A,21Bは、接続端子T1と接続端子T2との間で、直列に接続される。巻線21Aの巻き数(この例では“1”)と、巻線21Bの巻き数(この例では“2”)とは、互いに異なる。接続端子T1から接続端子T2に向かう方向において、巻線21Aの巻方向は時計回りであり、巻線21Bの巻方向は反時計回りである。すなわち、接続端子T1から接続端子T2に向かう方向における、巻線21Aの巻方向および巻線21Bの巻方向は互いに異なっている。
図16(B)に示したように、巻線22Aは、磁気コア100の脚部111に1回巻き付けられ、一端は接続端子T3に接続され、他端は接続端子T4に接続される。巻線22Bは、磁気コア100の脚部112に1回巻き付けられ、一端は接続端子T3に接続され、他端は接続端子T4に接続される。巻線22A,22Bは、接続端子T3と接続端子T4との間で並列に接続される。接続端子T3から接続端子T4に向かう方向において、巻線22Aの巻方向は時計回りであり、巻線22Bの巻方向は反時計回りである。すなわち、接続端子T3から接続端子T4に向かう方向における、巻線22Aの巻方向および巻線22Bの巻方向は互いに異なっている。
この構成により、脚部111において、巻線22Aに生じる交流電圧の振幅を“1”とすると、この交流電圧を生じさせるために巻線21Aに印加される交流電圧の振幅は“1”である。また、脚部112において、巻線22Bに生じる交流電圧の振幅を“1”とすると、この交流電圧を生じさせるために巻線21Bに印加される交流電圧の振幅は“2”である。よって、1次側巻線21(巻線21A,21B)に印加される交流電圧の振幅は“3”(=1+2)になるので、トランス20Cの変成比Rは“3:1”である。このように、変成比Rを整数比にしてもよい。
この例では、1次側巻線21における、巻線21Aの巻き数と巻線21Bの巻き数とが、互いに異なるようにした。すなわち、上記実施の形態では、2次側巻線22における、巻線22Aの巻き数と巻線22Bの巻き数とが、互いに異なるようにしたが、本変形例では、1次側巻線21における、巻線21Aの巻き数と巻線21Bの巻き数とが、互いに異なるようにした。このようにしても、変成比Rの設定自由度を高めることができる。
図17は、変成比が“2.5:1”であるトランス20Dの一構成例を表すものであり、(A)は巻線21A,21Bの一構成例を示し、(B)は巻線22A,22Bの一構成例を示す。
図17(A)に示したように、巻線21Aは、磁気コア100の脚部111に1回巻き付けられ、一端は接続端子T1に接続され、他端はノードN3に接続される。巻線21Bは、磁気コア100の脚部112に2回巻き付けられ、一端はノードN3に接続され、他端は接続端子T2に接続される。巻線21A,21Bは、接続端子T1と接続端子T2との間で、直列に接続される。巻線21Aの巻き数(この例では“1”)と、巻線21Bの巻き数(この例では“2”)とは、互いに異なる。接続端子T1から接続端子T2に向かう方向において、巻線21Aの巻方向は時計回りであり、巻線21Bの巻方向は反時計回りである。すなわち、接続端子T1から接続端子T2に向かう方向における、巻線21Aの巻方向および巻線21Bの巻方向は互いに異なっている。
図17(B)に示したように、巻線22Aは、磁気コア100の脚部111に2回巻き付けられ、一端は接続端子T3に接続され、他端は接続端子T4に接続される。巻線22Bは、磁気コア100の脚部112に1回巻き付けられ、一端は接続端子T3に接続され、他端は接続端子T4に接続される。巻線22A,22Bは、接続端子T3と接続端子T4との間で並列に接続される。巻線22Aの巻き数(この例では“2”)と、巻線22Bの巻き数(この例では“1”)とは、互いに異なる。接続端子T3から接続端子T4に向かう方向において、巻線22Aの巻方向は時計回りであり、巻線22Bの巻方向は反時計回りである。すなわち、接続端子T3から接続端子T4に向かう方向における、巻線22Aの巻方向および巻線22Bの巻方向は互いに異なっている。
この構成により、脚部111において、巻線22Aに生じる交流電圧の振幅を“1”とすると、この交流電圧を生じさせるために巻線21Aに印加される交流電圧の振幅は“0.5”である。また、脚部112において、巻線22Bに生じる交流電圧の振幅を“1”とすると、この交流電圧を生じさせるために巻線21Bに印加される交流電圧の振幅は“2”である。よって、1次側巻線21(巻線21A,21B)に印加される交流電圧の振幅は“2.5”(=0.5+2)になるので、トランス20Dの変成比Rは“2.5:1”である。
この例では、1次側巻線21における、巻線21Aの巻き数と巻線21Bの巻き数とが、互いに異なるようにするとともに、2次側巻線22における、巻線22Aの巻き数と巻線22Bの巻き数とが、互いに異なるようにした。このようにしても、変成比Rの設定自由度を高めることができる。
[変形例4]
上記実施の形態では、電力変換装置1は、直流電力を降圧するようにしたが、これに限定されるものではなく、これに代えて、例えば直流電圧を昇圧してもよい。以下に、本変形例に係る電力変換装置1Eについて詳細に説明する。
電力変換装置1Eは、上記実施の形態に係る電力変換装置1(図1)と同様に、キャパシタ11と、スイッチング回路12と、トランス20Eと、ダイオード13と、平滑回路30とを有している。
図18は、トランス20Eの一構成例を表すものである。トランス20Eは、磁気コア100と、巻線22A,22B,21A,21Bとを有している。巻線22A,22Bは、図1に示した1次側巻線21に対応し、巻線21A,21Bは、図1に示した2次側巻線22に対応する。すなわち、上記実施の形態に係るトランス20(図2)では、巻線21A,21Bを1次側巻線21として用い、巻線22A,22Bを2次側巻線22として用いたが、本変形例に係るトランス20Eは、巻線22A,22B巻線を1次側巻線21として用い、巻線21A,21Bを2次側巻線22として用いている。
ここで、トランス20Eは、本開示における「トランス」の一具体例に対応する。ダイオード13は、本開示における「整流回路」の一具体例に対応する。接続端子T3は、本開示における「第1の接続端子」の一具体例に対応する。接続端子T4は、本開示における「第2の接続端子」の一具体例に対応する。接続端子T1は、本開示における「第3の接続端子」の一具体例に対応する。接続端子T2は、本開示における「第4の接続端子」の一具体例に対応する。
この構成により、脚部111において、巻線22Aに印加される交流電圧の振幅を“1”とすると、これにより巻線21Aに生じる交流電圧の振幅は“1”である。また、脚部112において、巻線22Bに印加される交流電圧の振幅を“1”とすると、これにより巻線21Bに印加される交流電圧の振幅は“0.5”である。よって、2次側巻線22(巻線21A,21B)に生じる交流電圧の振幅は“1.5”(=1+0.5)になるので、トランス20Eの変成比Rは“1:1.5”である。
よって、電力変換装置1Eは、直流電源VDCから供給された直流電力を昇圧することができる。
[変形例5]
上記実施の形態では、図3に示した構成の磁気コア100を用いてトランス20を構成したが、これに限定されるものではない。これに代えて、例えば図19に示した磁気コア300を用いてトランス20Fを構成してもよい。この磁気コア300は、脚部311,312,313を有している。上記実施の形態の場合(図2)と同様に、例えば巻線21A,22Aを脚部311に巻き付け、巻線21B,22Bを脚部312に巻き付けることにより、トランス20Fを構成することができる。
また、例えば、図20に示した磁気コア400を用いてトランス20Gを構成してもよい。この磁気コア400は、脚部411,412,413を有している。上記実施の形態の場合(図2)と同様に、例えば巻線21A,22Aを脚部411に巻き付け、巻線21B,22Bを脚部412に巻き付けることにより、トランス20Gを構成することができる。
[その他の変形例]
また、これらの変形例のうちの2以上を組み合わせてもよい。
以上、実施の形態および変形例を挙げて本発明を説明したが、本発明はこれらの実施の形態等には限定されず、種々の変形が可能である。
例えば、上記実施の形態等では、ダイオード15,16を用いて整流動作を行うようにしたが、これに限定されるものではなく、例えば、スイッチング素子を設け、同期整流により整流動作を行うようにしてもよい。
例えば、上記実施の形態等では直流電源PDCから供給された直流電力を変換し、変換された直流電力を負荷LDに供給するようにしたが、これに限定されるものではない。これに代えて、例えば図21に示す電力変換システム90のように、バッテリ91,92を設け、電力変換装置1が、バッテリ91から供給された直流電力を変換し、変換された直流電力をバッテリ92に供給してもよい。