JP2018064010A - コイル部品およびそれを備えた電源装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】熱などによるコアのギャップ間隔の変化を防止するとともに漏れ磁束を抑制して、安定した特性が得られて損失も低減できるコイル部品およびそれを備えた電源装置を提供する。
【解決手段】コイル部品の一例であるトランス1は、磁気回路を形成するとともに、ギャップ13a、13bがそれぞれ設けられた外脚10a、10bとこれらの中心に配置された中脚10cとを有するコア10と、外脚10a、10bそれぞれに捲回された1次側巻線11a、11bと、外脚10a、10bそれぞれに捲回された2次側巻線12a、12bとを備える。
【選択図】図1

Description

本発明は、電力変換装置の構成部品などに用いられるリアクトル、トランス、チョークコイルなどのコイル部品およびそれを備えた電源装置に関し、特に、コアの両脚に間隙が設けられたコイル部品およびそれを備えた電源装置に関する。
リアクトル、トランス、チョークコイルなどのコイル部品は、コアと巻線とで構成される。そのコアにギャップを設けることによってコアの磁気飽和を防止したり、ギャップを種々異ならせることによって所定の電流−インダクタンス特性などに設定できたりすることも知られている。
コイル部品のうちのリアクトルでは、大型化することなく、リアクトル電流が小さい領域での損失を抑制可能で、かつリアクトルに接続される素子に流れる電流の最大値を抑制可能な技術が提案されている(例えば特許文献1参照)。
また、容易かつ低コストで、種々のギャップの状態に調整できて所望特性に設定することが可能な技術も提案されている(例えば特許文献2参照)。
特開2011−199227号公報 特開2012−146786号公報
上記の特許文献1に記載されたリアクトルでは、2つのU型コアの各両端間のギャップ間隔を保持するため、コア材とは別材料(磁性体や樹脂など)のスペーサを挿入していた。そのため、ギャップに挟んだスペーサとコア材との熱膨張係数や防湿性などの差に起因してスペーサが変形すると、ギャップ間隔も変化し、これによりリアクトルの特性も変化してしまうことがあった。
また、特許文献2に記載の電磁誘導器では、コアのギャップは1箇所で大きいため、漏れ磁束が大きく、損失も増大した。
従来技術のこのような課題に鑑み、本発明の目的は、熱などによるコアのギャップ間隔の変化を防止するとともに漏れ磁束を抑制して、安定した特性が得られて損失も低減できるコイル部品およびそれを備えた電源装置を提供することである。
上記目的を達成するため、本発明のコイル部品は、磁気回路を形成するとともに、間隙がそれぞれ設けられた複数の外脚とこれらの中心に配置された中脚とを有するコアと、前記外脚それぞれに捲回された複数の巻線とを備えることを特徴とする。この場合のコイル部品の具体例としては、リアクトルやチョークコイルが挙げられるが、これらに限らない。
あるいは、本発明のコイル部品は、磁気回路を形成するとともに、間隙がそれぞれ設けられた複数の外脚とこれらの中心に配置された中脚とを有するコアと、前記外脚それぞれに捲回された複数の1次側巻線と、前記外脚それぞれに捲回された複数の2次側巻線とを備えることを特徴とする。この場合のコイル部品の具体例としては、変圧器(トランス)が挙げられるが、これに限らない。
ここで、例えば、前記外脚それぞれの断面積は同一であり、前記中脚の断面積は前記外脚それぞれの前記断面積未満であり、前記間隙それぞれの間隔は同一であってもよい。
このような構成のコイル部品によれば、コアの中心に配置された中脚により、外脚に設けられた間隙の間隔が熱などによって変化することが防止されるとともに、コアの2箇所以上に小さな間隙を設けることで漏れ磁束が抑制されるので、安定した特性を得られて損失も低減できる。
本発明のコイル部品において、前記外脚は2つであり、前記外脚それぞれで、前記巻線は同一巻数で逆向きに捲回されており、または、前記1次側巻線および前記2次側巻線はそれぞれ同一巻数で逆向きに捲回されていてもよい。
このような構成のコイル部品によれば、前記外脚それぞれで発生した磁束が前記中脚で相殺されるので、鉄損やコア損など、前記中脚での磁束の損失をなくすことができる。
本発明のコイル部品において、前記外脚それぞれでの前記間隙と前記巻線とは離して配置され、または、前記外脚それぞれでの前記間隙と前記1次側巻線および前記2次側巻線とはそれぞれ離して配置されることが好ましい。
このような構成のコイル部品によれば、前記間隙で発生する漏れ磁束の影響が小さくなるので、巻線抵抗およびそれに伴う損失が減少し、効率が改善される。
本発明のコイル部品において、前記中脚は、前記外脚それぞれの方向に対称となるように複数に分割されていてもよい。さらに、分割された複数の分割中脚は、全体として前記外脚それぞれの方向への対称性を有しながら、前記分割中脚の一部に間隙が設けられていてもよい。
このような構成のコイル部品によれば、外脚に捲回された1次側巻線のみを通過する磁束量を、前記分割中脚の一部に設けた間隙の量で制御できる。これにより、漏れインダクタンスを簡単に調整することができる。
なお、上述したようなコイル部品を備えた電源装置も本発明の範疇である。
本発明のコイル部品によれば、コアの中心に配置された中脚により、外脚に設けられた間隙の間隔が熱などによって変化することが防止されるとともに、コアの2箇所以上に小さな間隙を設けることで漏れ磁束が抑制されるので、安定した特性を得られて損失も低減できる。
また、そのようなコイル部品を備えた電源装置によれば、コイル部品の安定した特性および低損失によって電源装置自体も安定した特性を得られて損失も低減できる。
本発明の第1実施形態に係るトランス1の概観構成を示す側面図である。 トランス1の1次側巻線11の巻数を増やして1次側巻線11’としたトランス1’の概観構成を示す側面図である。 トランス1’のコア10を、ギャップ13a、13bをそれぞれ下方に移動したコア10Aに置換したトランス1Aの概観構成を示す側面図である。 (a)〜(d)は、トランス1のコア10の中脚10cの断面形状および断面積をそれぞれ変更したコア10B、10C、10D、10Eの各横断面図である。 (a)は本発明の第2実施形態に係るトランス2の概観構成を示す側面図であり、(b)はトランス2のコア20の横断面図である。
以下、本発明のいくつかの実施形態を、図面を参照して説明する。
<第1実施形態>
図1は本発明の第1実施形態に係るトランス1の概観構成を示す側面図である。
図1に示すように、トランス1は、磁気回路を形成するとともに、ギャップ13aが設けられた外脚10a(左側)およびギャップ13bが設けられた外脚10b(右側)とこれらの中心に配置された中脚10cとを有するコア10と、外脚10a、10bそれぞれに捲回された1次側巻線11a(左側)および1次側巻線11b(右側)(区別が不要な場合はまとめて「1次側巻線11」と記す)と、外脚10a、10bそれぞれに捲回された2次側巻線12a(左側)および2次側巻線12b巻線(右側)(区別が不要な場合はまとめて「2次側巻線12」と記す)とを備えている。なお、トランス1では通常、ボビンも使用されるが、ここでは図示を省略している。
コア10は、同一断面積の外脚10a、10bとそれぞれの断面積未満の中脚10cとが、上側の天面部10dおよび下側の天面部10eによってそれぞれ接続されて構成されている。
ギャップ13aは外脚10aのほぼ中間に空洞として設けられるとともに、ギャップ13bは外脚10bのほぼ中間に空洞として設けられている。ギャップ13aの間隔Gaとギャップ13bの間隔Gbとは同一である。
コア10は、例えば2つのE型コアを組み合わせて構成できるが、外脚に対応する部分をギャップ間隔Ga、Gbに相当する長さだけ短くしておく必要がある。その場合、例えば、両方のE型コアの外脚に対応する部分をギャップ間隔Gaの1/2に相当する長さずつそれぞれ短くしてもよいし、一方のE型コアの外脚に対応する部分だけをギャップ間隔Gaに相当する長さずつ短くしてもよい。なお、コア10の材質は一般的なものでよい。
1次側巻線11はトランス1の入力側となるものであり、1次側巻線11a、11bは外脚10a、10bに巻線方向(図中に矢印で表示)を互いに逆にしてそれぞれ捲回される。1次側巻線11aを外脚10aに捲回することで発生する磁束と1次側巻線11bを外脚10bに捲回することで発生する磁束とは、量は同じで向きは反対である。
これを最も簡単に構成するには、ギャップ間隔Gaおよびギャップ間隔Gbが同一なので、例えば、1次側巻線11a、11bの巻数を同一にすればよいが、これに限らない。なお、1次側巻線11aおよび1次側巻線11bは、直列または並列に接続される。
2次側巻線12はトランス1の出力側となるものであり、2次側巻線12a、12bも1次側巻線11a、11bと同様に外脚10a、10bに巻線方向を互いに逆にしてそれぞれ捲回される。2次側巻線12aおよび2次側巻線12bも、同様に直列または並列に接続される。
ところで、トランスやリアクトルのインダクタンスは、巻線とコアの磁気抵抗Rmで決定される。コアの磁気抵抗Rmは、
l:ギャップ長
μ:透磁率
A:断面積
n:ギャップ数
とすると、以下の式で表されるので、ギャップ数nが増えれば、ギャップ長lを短くできる。
Rm ≒ l・n/μA
また、ギャップで発生する漏れ磁束の幅はギャップ長lで決まる。したがって、ギャップ長lが短いほど、漏れ磁束の幅は小さくできる。
以上で説明した第1実施形態によれば、コア10の中心に配置された中脚10cにより、外脚10a、10bに設けられたギャップ13a、13bの間隔Ga、Gbが熱などによって変化することが防止されるとともに、コア10の2箇所以上に小さなギャップ13a、13bを設けることで漏れ磁束が抑制されるので、安定した特性を得られて損失も低減できる。
<第1実施形態の変形例1>
図2はトランス1の1次側巻線11の巻数を増やして1次側巻線11’としたトランス1’の概観構成を示す側面図である。図3はトランス1’のコア10を、ギャップ13a、13bをそれぞれ下方に移動したコア10Aに置換したトランス1Aの概観構成を示す側面図である。
図2に示すように、トランス1’では、外脚10aに設けられたギャップ13aが1次側巻線11a’に近く、外脚10bに設けられたギャップ13bも1次側巻線11b’に近いため、ギャップ13aで発生する漏れ磁束Φlaおよびギャップ13bで発生する漏れ磁束Φlbの影響が大きくなる。つまり、これらの漏れ磁束Φla、Φlbが1次側巻線11a’、11b’それぞれに鎖交すると、近接効果によって見かけ上の巻線抵抗が増加してしまう。その結果、損失が増加して効率が悪化してしまう。
そこで、ギャップ13a、13bと1次側巻線11a’、11b’とをそれぞれできるだけ離して配置する。例えば、図3に示すように、外脚10Aa、10Abおよび中脚10Acを備えるコア10Aにおいて、ギャップ13a、13bをそれぞれ下方に移動することによって、ギャップ13aを1次側巻線11a’と2次側巻線12aとの間に配置するとともに、ギャップ13bを1次側巻線11b’と2次側巻線12bとの間に配置する。これにより、トランス1Aでは、ギャップ13aで発生する漏れ磁束Φlaおよびギャップ13bで発生する漏れ磁束Φlbの影響が小さくなるので、巻線抵抗およびそれに伴う損失が減少し、効率が改善される。
なお、ギャップ13a、13bは、2次側巻線12a、12bからもそれぞれできるだけ離して配置することが好ましい。
<第1実施形態の変形例2>
図4(a)〜(d)は、トランス1のコア10の中脚10cの断面形状および断面積をそれぞれ変更したコア10B、10C、10D、10Eの各横断面図である。
図4(a)に示すように、コア10Bの中脚10Bcの奥行き方向の長さは、外脚10Ba、10Bbと同じである。中脚10Bcの横幅は、外脚10Ba、10Bbの横幅よりやや小さい。
図4(b)に示すように、コア10Cの中脚10Ccの奥行き方向の長さは、コア10Bの中脚10Bcと同様に外脚10Ca、10Cbと同じである。中脚10Ccの横幅は、外脚10Ca、10Cbの横幅より小さい。
図4(c)に示すように、コア10Dの中脚10Dcの横幅は、コア10Cの中脚10Ccの横幅とほぼ同じで、外脚10Da、10Dbの横幅より小さい。中脚10Dcの奥行き方向の長さは、外脚10Da、10Dbの奥行き方向の長さより小さい。なお、中脚10Dcの断面形状は、奥行き方向に対称とする必要がある。
図4(d)に示すように、コア10Eの中脚10Ecの横幅は、コア10Dの中脚10Dcの横幅よりやや小さい。中脚10Ecの奥行き方向の長さは、コア10Dの中脚10Dcの奥行き方向の長さより小さい。なお、中脚10Ecの断面形状も、奥行き方向に対称とする必要がある。
このように、断面積で比較すると、中脚10Bcが最大であり、中脚10Cc、中脚10Dc、中脚10Ecの順に小さくなる。漏れインダクタンスで比較すると同様に、中脚10Bcが最大であり、中脚10Cc、中脚10Dc、中脚10Ecの順に小さくなる。
なお、中脚10Bc、10Cc、10Dc、10Ecの各断面積については、外脚10Ba、10Bb、10Ca、10Cb、10Da、10Db、10Ea、10Ebそれぞれに設けられた各ギャップを維持できる十分な強度がある限り、特に制約は無い。
<第2実施形態>
図5(a)は本発明の第2実施形態に係るトランス2の概観構成を示す側面図であり、図5(b)はトランス2のコア20の横断面図である。なお、第2実施形態は、次に述べる点を除いては第1実施形態と同一であるので、同じ構成部材には同じ参照符号を付すこととし、以下では主として相違点について説明する。
トランス2のコア20の中脚は、例えば図5(a)および図5(b)に示すように、左右対称であれば複数に分割することができる。ここでは、中脚20c1、中脚20c2および中脚20c3の3つに分割している。
外脚20a、20bのギャップ23a、23bを維持するため、少なくとも1つの中脚にはギャップを設けてはならない。ただし、他の中脚については、すべての中脚を合わせて全体として左右対称性があれば、ギャップを設けてもよい。ここでは、中央の中脚20c2にはギャップを設けず、左右の中脚20c1、c3にギャップ23c1、23c3をそれぞれ設けている。
以上で説明した第2実施形態によれば、外脚20a、20bそれぞれに捲回された1次側巻線11a、11bのみを通過する磁束量を、中脚20c1、c3それぞれに設けたギャップ23c1、23c3の量で制御できる。これにより、漏れインダクタンスを簡単に調整することができる。
<その他の実施形態>
以上で説明した第1実施形態、その変形例1および変形例2や第2実施形態では、コアの外脚に1次側巻線および2次側巻線がそれぞれ捲回されたトランスを提示したが、巻線がコアの外脚に捲回されたリアクトルなどにも本発明は適用可能である。
また、そのような構成のトランスやリアクトルなどのコイル部品を電源装置などに備えさせてもよい。
なお、本発明は、その主旨または主要な特徴から逸脱することなく、他のいろいろな形で実施することができる。そのため、上述の実施形態はあらゆる点で単なる例示にすぎず、限定的に解釈してはならない。本発明の範囲は特許請求の範囲によって示すものであって、明細書本文にはなんら拘束されない。さらに、特許請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本発明の範囲内のものである。
1、1’、1A、2
トランス
10、10A、10B、10C、10D、10E、20
コア
10a、10Aa、10Ba、10Ca、10Da、10Ea、20a
外脚(左脚)
10b、10Ab、10Bb、10Cb、10Db、10Eb、20b
外脚(右脚)
10c、10Ac、10Bc、10Cc、10Dc、10Ec、20c
中脚
11、11’
1次側巻線
11a、11a’
1次側巻線(左脚)
11b、11b’
1次側巻線(右脚)
12 2次側巻線
12a 2次側巻線(左脚)
12b 2次側巻線(右脚)

Claims (8)

  1. 磁気回路を形成するとともに、間隙がそれぞれ設けられた複数の外脚とこれらの中心に配置された中脚とを有するコアと、
    前記外脚それぞれに捲回された複数の巻線と
    を備えることを特徴とするコイル部品。
  2. 磁気回路を形成するとともに、間隙がそれぞれ設けられた複数の外脚とこれらの中心に配置された中脚とを有するコアと、
    前記外脚それぞれに捲回された複数の1次側巻線と、
    前記外脚それぞれに捲回された複数の2次側巻線と
    を備えることを特徴とするコイル部品。
  3. 請求項1または2に記載のコイル部品において、
    前記外脚それぞれの断面積は同一であり、
    前記中脚の断面積は前記外脚それぞれの前記断面積未満であり、
    前記間隙それぞれの間隔は同一であることを特徴とするコイル部品。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載のコイル部品において、
    前記外脚は2つであり、
    前記外脚それぞれで、前記巻線は同一巻数で逆向きに捲回されており、または、前記1次側巻線および前記2次側巻線はそれぞれ同一巻数で逆向きに捲回されていることを特徴とするコイル部品。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載のコイル部品において、
    前記外脚それぞれでの前記間隙と前記巻線とは離して配置され、または、前記外脚それぞれでの前記間隙と前記1次側巻線および前記2次側巻線とはそれぞれ離して配置されていることを特徴とするコイル部品。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載のコイル部品において、
    前記中脚は、前記外脚それぞれの方向に対称となるように複数に分割されていることを特徴とするコイル部品。
  7. 請求項6に記載のコイル部品において、
    分割された複数の分割中脚は、全体として前記外脚それぞれの方向への対称性を有しながら、前記分割中脚の一部に間隙が設けられていることを特徴とするコイル部品。
  8. 請求項1〜7のいずれか1項に記載のコイル部品を備えた電源装置。
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