以下、図面を参照して本発明のインクジェット印刷装置の一実施形態について詳細に説明する。本実施形態のインクジェット印刷装置は、インクジェットヘッドのクリーニング動作に特徴を有するものであるが、まずは、インクジェット印刷装置全体の構成について説明する。図1は、本実施形態のインクジェット印刷装置1の概略構成図である。なお、以下に示す実施形態の説明では、図1に矢印で示す上下左右前後を、インクジェット印刷装置1における上下左右前後方向とする。
本実施形態のインクジェット印刷装置1は、図1に示すように、シャトルベースユニット2と、フラットベッドユニット3と、シャトルユニット4とを備えている。
シャトルベースユニット2は、シャトルユニット4を支持するとともに、前後方向(副走査方向)にシャトルユニット4を移動させるものである。シャトルベースユニット2は、具体的には、架台部11と、副走査駆動モータ12(図18参照)とを備えている。
架台部11は、矩形枠状に形成されたものであり、シャトルユニット4を支持するものである。架台部11の左右の枠上には、前後方向に延びる副走査駆動ガイド13A,13Bがそれぞれ形成されている。副走査駆動ガイド13A,13Bは、シャトルユニット4を前後方向に移動するようにガイドするものである。副走査駆動モータ12は、シャトルユニット4を前後方向に移動させるものである。
フラットベッドユニット3は、建材や化粧パネルなどの印刷媒体15を支持するものである。フラットベッドユニット3は、シャトルベースユニット2の架台部11の内側に形成された直方体形状の凹部内に配置されている。フラットベッドユニット3は、印刷媒体15が載置される水平面である媒体載置面3aを有している。フラットベッドユニット3は、図示省略した油圧駆動機構などからなる昇降機構を有し、これにより媒体載置面3aの高さを調整できるように構成されている。
シャトルユニット4は、印刷媒体15に対して印刷処理を施すものである。図2は、シャトルユニット4の概略構成を示す図である。シャトルユニット4は、図2に示すように、筐体21と、主走査駆動ガイド22と、主走査駆動モータ23(図18参照)と、ヘッド昇降ガイド24と、ヘッド昇降モータ25(図18参照)と、ヘッドユニット26と、キャッピングユニット66と、吸引部28と、インク除去部29と、ワイピング部30とを備えている。
筐体21は、ヘッドユニット26などの各部を収納するものである。筐体21は、フラットベッドユニット3を左右方向に跨ぐような門型に形成されている。筐体21は、シャトルベースユニット2の架台部11に支持され、副走査駆動ガイド13A,13Bに沿って移動可能に構成されている。
主走査駆動ガイド22は、ヘッドユニット26を左右方向(主走査方向)に移動するようにガイドするものである。主走査駆動ガイド22は、左右方向に延びる長尺状の部材によって形成されている。ヘッドユニット26は、主走査駆動モータ23によって左右方向に移動する。
ヘッド昇降ガイド24は、ヘッドユニット26を上下方向に移動するようガイドするものである。ヘッド昇降ガイド24は、上下方向に細長い形状の部材から形成されている。ヘッド昇降ガイド24は、ヘッドユニット26とともに主走査駆動ガイド22に沿って左右方向に移動可能に構成されている。ヘッドユニット26は、ヘッド昇降モータ25によって上下方向に昇降する。
ヘッドユニット26は、上述したように主走査駆動ガイド22に沿って左右方向に移動しながら、印刷媒体15にインクを吐出することによって印刷処理を施すものである。ヘッドユニット26は、図2に示すように、4つのインクジェットヘッド31を有している。なお、インクジェットヘッド31の数としては4つに限らず、たとえばヘッドユニット26に5つ以上のインクジェットヘッド31を設けるようにしてもよい。
図3は、インクジェットヘッド31の外観を示す斜視図であり、図4は、図3に示すインクジェットヘッド31のA-A線断面の一部を示す図である。
インクジェットヘッド31は、図3に示すように、ノズルプレート36と、ノズルガード32とを備えている。ノズルプレート36は、インクを吐出するノズルのインク吐出口37が、前後方向に複数配列されたノズル列を有するものである。
ノズルガード32は、図3および図4に示すように、ノズルプレート36のノズル列に対応する部分に開口46を有し、ノズル列のインク吐出面36aに対して、隙間40を介して設けられるものである。なお、本実施形態においては、インク吐出面36aとは、ノズルのインク吐出口37の開口が配列された面であり、ノズルプレート36の表面と同じ面である。
ノズルガード32は、ノズルプレート36のインク吐出面36aを保護するものである。ノズルガード32は、具体的には、ノズル列の周囲を覆うように形成された底板41と、底板41の周縁に立設された側壁42とを有している。底板41には、上述した開口46が形成されており、底板41とインク吐出面36aとの間に隙間40が形成されている。開口46は、前後方向に細長い矩形状に形成され、全ノズルのインク吐出口37が露出するように形成されている。また、隙間40は、ノズルガード32をノズルプレート36に取り付けた状態において、ノズルガード32の底板41と、底板41に対向するインク吐出面36aの周縁部とによって挟まれた空間によって形成される。
図2に戻り、4つのインクジェットヘッド31は、左右方向に並列して配置されている。4つのインクジェットヘッド31は、それぞれ異なる色(たとえばシアン、ブラック、マゼンダおよびイエロー)のインクを吐出するものである。
各インクジェットヘッド31には、インク供給管53の一端が接続されている。そして、インク供給管53には、供給ポンプ55(図18参照)が配置されており、この供給ポンプ55が動作することによって、インク供給管53を介してインクジェットヘッド31に供給される。
キャッピングユニット66は、インクジェット印刷装置1が印刷処理を行わない待機中において、ノズルのインク吐出口37の乾燥を防ぐためにノズルガード32の開口46を密閉するものである。
キャッピングユニット66は、図2に示すように筐体21の右端部の内部に設置されている。そして、ヘッドユニット26が、筐体21の右端部の待機位置まで移動した際に、ノズルガード32の開口46を密閉するものである。
キャッピングユニット66は、図5に示すように、キャップ71と、キャップ土台72とを備えている。キャップ71は、長円形状の底部76と、底部76の周縁に立設された周壁77とを備えている。底部76には、パージの際にインクジェットヘッド31から吐出されたインクを吸引するための吸引孔78が形成されている。吸引孔78には、後述する吸引部28の吸引管68が接続されている。キャップ土台72は、キャップ71が形成される土台である。
キャッピングユニット66は、キャップ昇降モータ67(図18参照)によって上下方向に昇降するものである。具体的には、キャッピングユニット66は、キャップ71の周壁77がノズルガード32に当接する当接位置と、その当接位置より下方の退避位置との間で昇降するものである。
キャッピングユニット66の下方に設けられた吸引部28は、キャッピングユニット66に溜まったインクを吸引するものである。吸引部28は、4本の吸引管68と、4つの吸引ポンプ69と、廃液タンク70とを備えている。
4本の吸引管68の一端は、それぞれ4つのキャップ71の底部76に形成された吸引孔78に接続され、4本の吸引管68の他端は、廃液タンク70に接続されている。そして、各吸引管68に対してそれぞれ吸引ポンプ69が設置されている。
キャッピングユニット66に溜まったインクは、吸引ポンプ69の吸引によって各キャップ71の吸引孔78に流れ出し、各吸引管68を経由して廃液タンク70に貯留される。
図2に戻り、インク除去部29は、シャトルユニット4の筐体21の左端部の内部に設置されている。インク除去部29は、インクを吸収する吸収部材50をノズルガード32およびインクジェットヘッド31のインク吐出面36aに押し当てることによって、ノズルガード32の底板41とインク吐出面36aとの間に形成された隙間40に入り込んだインクを除去する機構である。
ここで、上述したように吸収部材50を、ノズルガード32の開口46およびインクジェットヘッド31のインク吐出面36aに押し当てて隙間40のインクを取り除く場合、たとえば吸収部材50として、インクジェットヘッド31のインク吐出面36aの大きさ程度にカットされたシート状の吸収部材50を用いるようにしたのでは、インク吐出面36aに押し当てる度に交換する必要があり、交換頻度が多くなり、メンテナンス性が悪い。そこで、本実施形態のインク除去部29では、上述したシート状の吸収部材50ではなく、長尺の吸収部材50がロール状に巻かれたロール吸収部材Rを用いる。
図6は、インク除去部29の外観を示す斜視図である。また、図7は、図6に示すインク除去部29を左側から見た図である。図6および図7に示すように、インク除去部29は、押し当て台91と、送りローラ92と、巻取りローラ93と、送り側搬送ローラ94と、巻取り側搬送ローラ95と、押し当て台昇降機構96とを備えている。なお、本実施形態においては、送りローラ92、巻取りローラ93、送り側搬送ローラ94、巻取り側搬送ローラ95および後述する巻取りモータ29aが、本発明の搬送部に相当する。また、押し当て台91、押し当て台昇降機構96および後述する押し当て台昇降モータ29bが、本発明の押し当て部に相当する。
送りローラ92、送り側搬送ローラ94、巻取り側搬送ローラ95および巻取りローラ93は、左右方向に延設されたローラ部材である。
送りローラ92は、吸収部材50がロール状に巻かれたロール吸収部材Rが設置されるローラである。そして、送りローラ92は、ロール吸収部材Rから巻き出された吸収部材50を巻取りローラ93に向けて送り出すローラである。
吸収部材50の材料としては、インクを吸収することができる材料であれば如何なる材料でも良いが、多孔質シートであることが好ましい。多孔質シートとして、多孔質を有する印刷用紙を用いるようにしてもよい。
また、吸収部材50の左右方向(4つのインクジェットヘッド31の配列方向)の幅は、ヘッドユニット26が有する全てのインクジェットヘッド31(本実施形態では4つのインクジェットヘッド31)の左右方向の幅の合計値の2倍以上の幅とすることが好ましい。
送り側搬送ローラ94は、送りローラ92の上方に設けられる。そして、送りローラ92から送られた吸収部材50は、送り側搬送ローラ94の外周に接しながら水平方向に搬送されることにより、前側から後ろ側に向けて搬送される。
巻取り側搬送ローラ95は、送り側搬送ローラ94と同じ高さであって、巻取りローラ93の上方に設けられる。送り側搬送ローラ94から送り出された吸収部材50は、巻取り側搬送ローラ95に受け渡され、巻取り側搬送ローラ95の外周に接しながら鉛直下方向に搬送されることにより、下方の巻取りローラ93に向けて搬送される。
巻取りローラ93は、送りローラ92と同じ高さであって、巻取り側搬送ローラ95の下方に設けられる。そして、巻取りローラ93は、巻取り側搬送ローラ95によって下方に向けて搬送された吸収部材50を巻き取るローラである。
巻取りローラ93は、巻取りモータ29a(図18参照)によって回転する駆動ローラであり、送りローラ92、送り側搬送ローラ94および巻取り側搬送ローラ95は、巻取りローラ93の回転によってロール吸収部材Rから引き出された吸収部材50との摩擦によって回転する従動ローラである。
そして、上述した送り側搬送ローラ94と巻取り側搬送ローラ95との間に、押し当て台91と押し当て台昇降機構96とが設けられる。送り側搬送ローラ94と巻取り側搬送ローラ95との間には、一定の張力で吸収部材50が張り渡され、その貼り渡された吸収部材50の下方に、吸収部材50と所定の間隔を空けて押し当て台91が設置される。
押し当て台91は、たとえば金属などのある程度の剛性を有する材料によって直方体形状で形成された台である。そして、押し当て台91の上面には、クッション部90が設けられている。
クッション部90は、弾性部材から形成されており、たとえばスポンジクロス、シリコンシートおよびゴムシートなどを用いることができる。
クッション部90を押し当て台91の上面に設けることによって、吸収部材50がインクジェットヘッド31のノズルガード32およびインク吐出面36aに押し当てられた際に、吸収部材50のノズルガード32およびインク吐出面36aに対する密着性を向上することができ、インク吐出面36aとノズルガード32との隙間40から滲み出したインクを均一に除去することができる。
そして、押し当て台91の下方に、押し当て台91を上下方向に昇降させる押し当て台昇降機構96が設けられている。押し当て台昇降機構96は、押し当て台昇降モータ29b(図18参照)によって駆動されて、上下方向に伸縮するように構成されおり、この伸縮動作によって押し当て台91が上下方向に昇降する。
図8は、上述したインク除去部29によるインク除去動作を説明するための図である。まず、送り側搬送ローラ94と巻取り側搬送ローラ95との間に張り渡された吸収部材50の上方までヘッドユニット26を移動させる。そして、吸収部材50に上方に間隔を空けてヘッドユニット26の4つのインクジェットヘッド31が配置された状態で、インクジェットヘッド31のパージが行われる。図8Aにおいて点線楕円で示すPIは、パージによってインクジェットヘッド31のインク吐出面36aに残留したインクを示している。
そして、上述したパージの後、押し当て台昇降機構96が上方に向けて延びることによって、図8Bに示すように、押し当て台91が上昇する。押し当て台91の上昇によってクッション部90と吸収部材50とが接触し、その後、さらに押し当て台91が上昇することによって、吸収部材50が、ノズルガード32に対して所定の圧力で押し当てられ、ノズルガード32の底板41とインク吐出面36aとの間に形成された隙間40に入り込んだインクが、ノズルガード32の開口46側に押し出される。そして、吸収部材50がインク吐出面36aに押し当てられることによって、隙間40から押し出されたインクが吸収部材50によって吸収される。
そして、吸収部材50がノズルガード32およびインク吐出面36aに押し当てられた状態で一定期間が経過した後、押し当て台昇降機構96が収縮することによって、図8Cに示すように、押し当て台91が下降し、吸収部材50から離れた状態となる。
次いで、押し当て台91が吸収部材50から離れた後、巻取りローラ93が回転することによって、インクを吸収した吸収部材50の一部の範囲が、後方に向けて搬送される。この際、インクジェットヘッド31のノズル列が延びる方向についてインクジェットヘッド31の長さ分だけ搬送される。
そして、この搬送によってインクジェットヘッド31のインク吐出面36aに対向する位置に、インクを吸収していない新しい吸収部材50の範囲が配置される。
これにより、シート状の吸収部材の交換が必要なく、交換頻度を少なくして、メンテナンス性を向上させることができる。
ここで、ヘッドユニット26に設けられた4つのインクジェットヘッド31は、左右方向に所定の間隔を空けて配置されている。なお、本実施形態では、インクジェットヘッド31間は、少なくともインクジェットヘッド31の左右方向(インクジェットヘッド31のノズル列が延びる方向に直交する方向)の幅を有するものとする。
したがって、上述した1回のインク除去動作によって吸収部材50にインクが吸収される範囲も、左右方向に所定の間隔を空けた範囲となる。図9は、1回目のインク除去動作後の吸収部材50を上方から見た図であり、図9に示す斜線部分が、インクが吸収された範囲である。図9に示すように、インクが吸収された範囲も、インクジェットヘッド31と同じ間隔で配置される。すなわち、インクが吸収された範囲の間の吸収部材50は、インクを吸収しておらず、未使用の状態と同じ状態である。
そこで、図8Cに示したように吸収部材50を後方に搬送する前に、吸収部材移動部51(図18参照)が、インク除去部29を左右方向について少なくともインクジェットヘッド31の幅と同じ距離だけ移動させるようにしてもよい。吸収部材移動部51は、公知なアクチュエータから構成される。なお、本実施形態においては、吸収部材移動部51が、本発明の移動部に相当する。
これにより、次のパージの際に、図8Bに示すように押し当て台91を上昇させることによって、吸収部材50の上述した未使用の範囲にもインクを吸収させることができ、吸収部材50をより効率良く使用することができる。図10は、上述した2回目のインク除去動作によって吸収部材50にインクが吸収された範囲を示す図である。
なお、本実施形態においては、吸収部材移動部51が、インク除去部29を移動させるようにしたが、ヘッドユニット26を移動させたり、インク除去部29およびヘッドユニット26の両方を移動させることによって相対的にインクジェットヘッド31の幅と同じ距離だけ移動させるようにしてもよい。このようにインクジェットヘッド31の幅と同じ距離の移動によって吸収部材50に押し当てる範囲を変更することによって、隙間なくより効率的に吸収部材50を使用することができる。
そして、2回目のインク除去動作が行われた後、図8Cに示したように吸収部材50を後方に搬送するようにすればよい。これにより、再び吸収部材50の未使用の範囲をヘッドユニット26の直下に配置することができ、再び2回のインク除去動作を行うことができるので、メンテナンス性を向上させることができる。
また、この際、インクジェットヘッド31のノズル列が延びる方向についてインクジェットヘッド31の長さ分だけ搬送することによって、隙間なくより効率的に吸収部材50を使用することができる。
なお、吸収部材50の前後方向への搬送については、制御部5によって巻取りモータ29aの回転量が制御されることによってその搬送量が制御されるが、ロール吸収部材Rの使用にともなってその直径が変化することによって、巻取りモータ29aを予め設定された回転量だけ回転させたとしても、所望の搬送量とならない場合がある。
そこで、たとえば送り側搬送ローラ94および巻取り側搬送ローラ95の少なくとも一方に、ロータリーエンコーダなどの搬送量検出部を設けることによって吸収部材50の搬送量を検出し、制御部5が、その検出した搬送量に基づいて、巻取りモータ29aの回転量を制御することによって、所望の搬送量となるようにしてもよい。
また、本実施形態では、上述したようにロール吸収部材Rから巻き出された1枚の吸収部材50をインクジェットヘッド31に押し当てるようにしたが、これに限らず、たとえばインクジェットヘッド31の隙間40に入り込むインクが多い場合などには、複数枚の吸収部材50を重ねた状態でインクジェットヘッド31に押し当てるようにしてもよい。図11および図12は、2枚の吸収部材50が重ねられた状態で、ノズルガード32およびインク吐出面36aに押し当てられる構成の一例を示す図である。
図11に示す構成においては、送りローラ92に設置されたロール吸収部材Rから巻き出された吸収部材50がインクジェットヘッド31の下方に向けて後ろ側から前側に搬送される。インクジェットヘッド31の直下を通過した吸収部材50は、第1搬送ローラ97aによって反対側に折り返されて再びインクジェットヘッド31の下方に向けて搬送される。
第1搬送ローラ97aは、送りローラ92と同じ高さであって、ヘッドユニット26を挟んで送りローラ92とは反対側に設置されている。
そして、第1搬送ローラ97aによって折り返された吸収部材50は、再びインクジェットヘッド31の直下を通過し、第2搬送ローラ97bまで搬送される。第2搬送ローラ97bは、送りローラ92の前側斜め下に配置されている。
そして、第2搬送ローラ97bまで搬送された吸収部材50は、第2搬送ローラ97bによって反対側に折り返され、巻取りローラ93によって巻き取られる。巻取りローラ93は、第2搬送ローラ97bの前側斜め下に配置されている。
上述したようにインクジェットヘッド31の直下を通過した吸収部材50を第1搬送ローラ97aによって反対側に折り返して搬送することによって、吸収部材50がインクジェットヘッド31の直下を2回搬送されることになる。このような吸収部材50の搬送状態において押し当て台91を上昇させるようにすれば、図11に示す点線楕円で示す範囲の2枚の吸収部材50が重ねられた状態でインクジェットヘッド31に押し当てることができる。これにより、インクジェットヘッド31の隙間40に入り込むインクが多い場合でも、2枚の吸収部材50によってそのインクを十分に吸収することができる。
次に、図12に示す構成は、本実施形態の送りローラ92、送り側搬送ローラ94、巻取り側搬送ローラ95および巻取りローラ93の組を、ヘッドユニット26の下方にもう一組設けるようにした構成である。図12に示す構成では、送り側搬送ローラ94および巻取り側搬送ローラ95よりも下方かつ、押し当て台91に近い位置に、もう一組の送り側搬送ローラ98および巻取り側搬送ローラ99が設けられている。なお、図12では、送りローラ92および巻取りローラ93、並びにこれらのローラと同様のもう一組のローラについては図示省略している。
図12に示す構成によっても、押し当て台91を上昇させた場合に、2枚の吸収部材50が重ねられた状態でインクジェットヘッド31に押し当てることができる。これにより、インクジェットヘッド31の隙間40に入り込むインクが多い場合でも、2枚の吸収部材50によってそのインクを十分に吸収することができる。
また、インクジェットヘッド31の隙間40に入り込むインクの量に応じて、制御部5が、1枚の吸収部材50をノズルガード32およびインク吐出面36aに押し当てる動作と、複数枚の吸収部材50をノズルガード32およびインク吐出面36aに押し当てる動作とを切り替えるようにしてもよい。具体的には、たとえば図12に示す構成の場合、制御部5が、1枚の吸収部材50をノズルガード32およびインク吐出面36aに押し当てる動作を行う場合には、いずれか一方のローラの組の吸収部材50を所定の移動機構によって左右方向に移動させることによって、インクジェットヘッドの直下から退避させるようにすればよい。
また、吸収部材50には、乾燥したインクに対して溶解性を有する液体を含めることが好ましい。このような液体を吸収部材50に含めることによって、インク吐出面36aとノズルガード32の隙間40から滲み出して乾燥してしまったインクも適切に除去することができる。乾燥したインクに対して溶解性を有する液体としては、後述するワイピング部30で使用する洗浄液と同様のものを用いることが好ましい。また、上記液体を予め含めた吸収部材50を用いるようにしてもよいし、上記液体を貯留するタンクを設け、送りローラ92から巻取りローラ93まで吸収部材50が搬送される間に、そのタンクに吸収部材50を浸漬させる構成をさらに設けるようにしてもよい。
図2に戻り、ワイピング部30は、シャトルユニット4の筐体21の左端部の内部であって、上述したインク除去部29の左側に設置されている。図13は、ワイピング部30の内部構成を示す図であり、図2に示す矢印Z-Z方向の断面図である。また、図14は、後述する待機時におけるワイピング部30の内部の状態を示す斜視図であり、図15は、後述する洗浄液の吹き付け時におけるワイピング部30の内部の状態を示す斜視図である。
ワイピング部30は、インクジェットヘッド31のインク吐出面36aとノズルガード32の下面を湿式ワイピングによってクリーニングするものである。
具体的には、ワイピング部30は、図13に示すように、筐体80と、ワイプブレード81と、回動軸82と、洗浄槽83と、シャワー部84と、洗浄槽用配管86と、シャワー部用配管87とを備えている。
ワイプブレード81は、インクジェットヘッド31のインク吐出面36aおよびノズルガード32の下面をワイプする部材である。ワイプブレード81は、可撓性を有する、たとえばゴムなどの材料からなり、矩形の板状に形成されている。
ワイプブレード81は、ヘッドユニット26のインクジェットヘッド31毎に設けられる。本実施形態では、4つのワイプブレード81が、4つのインクジェットヘッド31の間隔と同じ間隔で左右方向に配列されている。また、ワイプブレード81は、インクジェットヘッド31の左右方向の幅と同等の幅を有する。
回動軸82は、左右方向に延設された軸部材であって、ワイパ駆動部100(図18参照)によってその中心軸を中心として円周方向に回転する軸部材である。回動軸82には、上述した4つのワイプブレード81の一端がそれぞれ接続されており、回動軸82が回転することによって、4つのワイプブレード81が、図13の矢印A方向およびその逆方向に回動する。
図13は、待機時におけるワイプブレード81の位置を示しており、図16は、インクジェットヘッド31のワイピング時におけるワイプブレード81の位置を示しており、図17は、洗浄液の吹き付け時におけるワイプブレード81の位置を示している。ワイプブレード81は、図13に示す位置から図16に示す位置を経由して図17に示す位置まで回動し、逆に、図17に示す位置から図16に示す位置を経由して図13に示す位置まで回動可能なように構成されている。
洗浄槽83は、ワイピング部30の筐体80の前側半分の空間に設置されている。洗浄槽83は、洗浄液を貯留する直方体形状の容器である。洗浄槽83は、ワイプブレード81が図13および図14に示す位置(鉛直方向下方よりも前側斜め方向に延びる位置)にある場合に、洗浄液に浸漬するように配置されている。洗浄槽83の底には、洗浄槽用配管86が接続されており、この洗浄槽用配管86によって洗浄液の排出が可能に構成されている。
また、図示省略したが、洗浄槽83には、洗浄槽83内に新しい洗浄液を供給する洗浄液供給管が接続されている。たとえば洗浄槽83に貯留された洗浄液が、使用または揮発などによって減少した場合に、制御部5が、洗浄液供給管を介して洗浄槽83に新しい洗浄液を自動的に供給するようにしてもよい。洗浄液の量の制御については、たとえば洗浄槽83に貯留された洗浄液の量を、光学センサなどの液量検出部によって検出し、制御部5が、その検出信号に基づいて、洗浄液の量が所望の量で維持されるように制御すればよい。
シャワー部84は、ワイピング部30の筐体80の後ろ側半分の空間に設置されている。シャワー部84は、ワイプブレード81が、図15および図17に示す位置(鉛直方向下方よりも後ろ側斜め方向に延びる位置)にある場合に洗浄液を吹き出す。そして、シャワー部84は、その吹き出した洗浄液が、ワイプブレード81の下面に吹き付けられる配置されている。
シャワー部84は、図15に示すように、左右方向に延びるパイプ状の部材から構成されており、そのパイプ状の部材の長さ方向に沿って複数の吹き付け口84aが形成されている。シャワー部84のパイプ状の部材の内部に洗浄液が所定の圧力で供給され、これにより吹き付け口84aから洗浄液がシャワー状に吹き出される。吹き付け口84aから吹き出された洗浄液は、図15および図17に示す位置のワイプブレード81の下面に吹き付けられ、これによりワイプブレード81の下面が洗浄される。
そして、筐体80内の後ろ側半分の底部には、後ろ側が高く、前側が低くなった傾斜面85が形成されている。これにより、シャワー部84からワイプブレード81に吹き付けられた後に落下した洗浄液が、傾斜面85に沿って流れ、筐体80の底部全体の中心部に流れ着くように構成されている。筐体80の底部全体の中心部には、シャワー部用配管87が接続されている。そして、傾斜面85を経由して中心部に流れ着いた洗浄液が、シャワー部用配管87から外部に排出される。
また、シャワー部84の前側には、洗浄槽83の後ろ側の外壁面に沿って板部材88が設けられている。板部材88は、洗浄槽83の後ろ側の外壁面よりも上側に延設されており、その延設部分が、鉛直方向上方よりもシャワー部84の方に傾くように形成されている。これにより、シャワー部84からワイプブレード81の下面に吹き付けられ、ワイプブレード81の下面で跳ねた洗浄液が、板部材88の延設部分の下面に当たることによって、周囲に飛び散るのを防止することができる。そして、板部材88に当たった洗浄液は、板部材88に沿って下方に流れ、板部材88の直下に設けられた上述したシャワー部用配管87から排出される。
なお、上述の洗浄用配管86及びシャワー用配管87は、いずれも弾性を有するチューブから構成され、ワイピング部30の移動に追従できるように余裕を持った長さで下流側と接続されている。
また、ワイピング部30の筐体80の上面には、図14および図15に示すように、前後方向に延びる矩形状の4つの孔80aが形成されている。4つの孔80aは、4つのワイプブレード81に対応する位置に形成されている。そして、ワイプブレード81が、図16に示すワイプ位置に移動する際には、各ワイプブレード81が、対応する各孔80aの中を通過する。そして、図16に示すように、各ワイプブレード81の先端部(回動軸82の接続されていない方の端部)が、筐体80の上面から突き出た状態となるように構成されている。
次に、本実施形態のワイピング部30のワイプ動作について説明する。
まず、ワイピング部30は、シャトルユニット4が待機位置に配置された際、インクジェットヘッド31の前方となる位置に図13の状態で待機する(待機位置)。
ヘッドユニット26がワイピング部30の上方に移動すると、ヘッド昇降モータ25により各インクジェットヘッド31が下降し、ワイピング部30と各インクジェットヘッド31の間隔は所定距離まで近接する。
そして、図13に示すように洗浄槽83内の洗浄液に浸漬された状態のワイプブレード81が、ワイパ駆動部100によって矢印A方向に回動し、図17に示す吹き付け位置まで移動する。
そして、シャワー部84からワイプブレード81の下面に向けて洗浄液が吹き付けられる。これにより、ワイプブレード81に対して新しい洗浄液を付着させることができる。次いで、ワイプブレード81は、ワイパ駆動部100によって矢印A方向とは逆方向に回動し、鉛直方向に立設した状態まで移動する。この状態において、ワイプ移動部101(図18参照)は、各ワイプブレード81の先端が、対応する各インクジェットヘッド31の前端の位置にくるようにワイピング部30を前側に移動させる。ワイプ移動部101は、公知なアクチュエータから構成される。
そして、図16に示すように、ワイプ移動部101は、各ワイプブレード81の先端部が、各インクジェットヘッド31のノズルガード32とインク吐出面36aに押し当てられ、弾性変形した状態となるようにワイピング部30をワイプ位置まで移動させる。
そして、各ワイプブレード81の先端部が各インクジェットヘッドに押し当てられた状態において、ワイピング部30が、ワイプ移動部101(図18参照)によって後ろ側に移動することによって、各インクジェットヘッド31のノズルガード32の下面およびインク吐出面36aのワイピングが行われる。
なお、本実施形態においては、ワイピング部30を前後方向に移動させるようにしたが、これに限らず、ヘッドユニット26を前後方向に移動させるようにしてもよい。または、ワイピング部30とヘッドユニット26との両方を前後方向についてそれぞれ逆方向に移動させるようにしてもよい。
そして、各ワイプブレード81の先端部が、各インクジェットヘッド31の後端まで移動することによってワイピングを終了した後、ヘッドユニット26がヘッド昇降モータ25で所定距離上昇し、ワイピング部30は各インクジェットヘッド31と所定距離、離間する。なお、ワイピングを行う際にヘッドユニット26を昇降させるようにしているが、ワイピング部30を昇降させてワイプブレード81とインクジェットヘッド31との距離を調整する構成としてもよい。
そして、ワイプブレード81が、図17に示す位置まで回動し、再びシャワー部84からワイプブレード81の下面に向けて洗浄液が吹き付けられる。これにより、上述したワイピングによってワイプブレード81の下面に付着した汚れを洗い流すことができる。
次いで、シャワー部84によるワイプブレード81の洗浄の後、ワイプブレード81が逆方向に回動し、再び図13に示す位置まで移動する。以上が、本実施形態のワイピング部30のワイプ動作の一連の流れである。
本実施形態のワイピング部30によれば、常に綺麗な洗浄液で濡れたワイプブレードでインクジェットヘッド31をワイプすることができる。
なお、本実施形態においては、上述したように、インクジェットヘッド31のワイピングの前後においてシャワー部84による洗浄液の吹き付けを行っているが、ワイピング前の吹き付けの際の圧力と、ワイピング後の吹き付けの圧力とを変えるようにしてもよい。たとえばワイピング後の吹き付けの圧力は、ワイピングによってワイプブレード81に付着した汚れを落とす必要があるので相対的に高い方が好ましい。そして、ワイピング前の吹き付けの圧力を相対的に低くすることによって、洗浄液の消費を抑えることができる。
また、洗浄液としては、インク吐出面36aおよびノズルガード32の表面に付着された固着物(インク成分、印刷媒体表面のケバおよび粉を含む)を溶解させる液体を用いる。たとえば洗浄液としては、水及び界面活性剤を含む水性溶媒を用いることが好ましい。界面活性剤としては、たとえば脂肪酸ナトリウム、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、アルキルスルホン酸ナトリウム、α-オレフィンスルホン酸ナトリウム、アルキル硫酸エステルナトリウム、アルキルエーテル硫酸エステルナトリウム、α-スルホ脂肪酸エステルナトリウム、アルキル燐酸エステルナトリウム等のアニオン性界面活性剤;アルキルトリメチルアンモニウム、ジアルキルジメチルアンモニウム、等のカチオン性界面活性剤;ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、等のノニオン性界面活性剤;アルキルアミノ脂肪酸ナトリウム、アルキルベタイン、アルキルアミンオキサイド、等の両性界面活性剤を用いることができる。また、高分子系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤、及びアセチレングリコール系界面活性剤等も用いることができる。これらのなかでもポリオキシエチレンアルキルエーテルを用いることが好ましく、そのHLB値は11~17、アルキル基の炭素数は8~15、エチレンオキサイドの付加モル数は6~25であることがより好ましい。
また、洗浄液には、さらに増粘剤を含むことが好ましい。増粘剤としては、水溶性高分子系増粘剤、粘土鉱物系増粘剤を用いることができる。水溶性高分子系増粘剤としては、天然高分子、半合成高分子、合成高分子を用いることができる。天然高分子としては、例えば、アラビアガム、カラギーナン、グアガム、ローカストビーンガム、ペクチン、トラガントガム、コーンスターチ、コンニャクマンナン、寒天等の植物系天然高分子;プルラン、キサンタンガム、デキストリン等の微生物系天然高分子;ゼラチン、カゼイン、にかわ等の動物系天然高分子、を用いることができる。半合成高分子としては、例えば、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース等のセルロース系半合成高分子;ヒドロキシエチルスターチ、カルボキシメチルスターチナトリウム、シクロデキストリン等のデンプン系半合成高分子;アルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコール等のアルギン酸系半合成高分子;ヒアルロン酸ナトリウム、を用いることができる。合成高分子としては、例えば、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリビニルメチルエーテル、ポリN- ビニルアセトアミド、ポリアクリルアミド等のビニル系合成高分子;ポリエチレンオキサイド、ポリエチレンイミン、ポリウレタンを用いることができる。粘土鉱物系の増粘剤としては、例えば、モンモリロナイト、ヘクトライト、サポナイト等のスメクタイト系粘土鉱物を用いることができる。これらのなかでも、ヒドロキシプロピルメチルセルロースを用いることが好ましい。
さらに、洗浄液には、上記の成分に加え、任意に、水溶性有機溶剤、pH調整剤、酸化防止剤、防腐剤等を適宜含むことができる。洗浄液の粘度は、23℃において5~200mPa・sであることが好ましく、10~100mPa・sであることがより好ましい。
なお、洗浄槽83に貯留される洗浄液と、シャワー部84から吹き出される洗浄液とは必ずしも同じでなくてもよい。たとえば洗浄槽83に貯留される洗浄液は、シャワー部84から吹き出される洗浄液よりも揮発性が低い洗浄液であることが好ましい。これにより、洗浄槽83に貯留された洗浄液が揮発して減ってしまうのを防止することができる。このような洗浄液としては、たとえばアセチレングリコール系界面活性剤、グリセリンなどの保湿剤、水溶性溶剤、および水を単独または複数含む洗浄液などを用いることができる。
また、シャワー部84から吹き出される洗浄液は、洗浄槽83に貯留される洗浄液よりも洗浄能力が高い洗浄液であることが好ましい。洗浄槽83にはワイプブレード81がある程度の期間浸漬されるため、それほど高い洗浄能力がなくてもワイプブレード81を十分に洗浄することができるが、シャワー部84で用いられる洗浄液は、ワイプブレード81に対して吹き付けられるものであるため、ワイプブレード81の表面に長い時間留まるものではない。したがって、シャワー部84で用いられる洗浄液として洗浄能力が高い洗浄液を用いることによって、ワイプブレード81に対する吹き付けだけでも十分に洗浄を行うことができる。このような洗浄液としては、たとえばアセチレングリコール系界面活性剤、グリセリンなどの保湿剤、水溶性溶剤、および水を単独または複数含む洗浄液などを用いることができる。
なお、本実施形態においては、シャワー部84を1つだけ設けるようにしたが、たとえばワイプブレード81の両面に対向するように2つのシャワー部84を設け、ワイプブレード81の両面に洗浄液を吹き付けるようにしてもよい。
図18は、本実施形態のインクジェット印刷装置1の制御系を示すブロック図である。インクジェット印刷装置1は、装置全体を制御する制御部5を備えている。制御部5は、CPU(Central Processing Unit)、半導体メモリおよびハードディスクなどを備えている。制御部5は、半導体メモリまたはハードディスクなどの記憶媒体に予め記憶されたプログラムを実行し、かつ電気回路を動作させることによって図18に示す各部を制御するものである。
次に、本実施形態のインクジェット印刷装置1の印刷動作について説明する。
インクジェット印刷装置1において、印刷動作の開始前の待機状態では、シャトルユニット4は、待機位置に配置されている。シャトルユニット4の待機位置は、図1において実線で示すシャトルユニット4の位置であり、シャトルベースユニット2の架台部11の後端部である。
印刷ジョブが入力されると、制御部5は、副走査駆動モータ12を制御してシャトルユニット4を待機位置から印刷処理開始位置へ移動させる。シャトルユニット4の印刷処理開始位置は、図1において二点鎖線で示すシャトルユニット4の位置であり、シャトルベースユニット2の架台部11の前端部である。なお、印刷ジョブの入力に先立ち、印刷媒体15がフラットベッドユニット3の媒体載置面3a上に設置されている。
次いで、制御部5は、主走査駆動モータ23を制御してヘッドユニット26を主走査方向に移動させながら、入力された印刷ジョブに基づいて、インクジェットヘッド31を制御してノズルのインク吐出口37からインクを吐出させることによって、1パス分の印刷を行う。次いで、制御部5は、副走査駆動モータ12を制御してシャトルユニット4を次のパスの印刷位置まで後方向に移動させる。制御部5は、この1パス分の印刷とシャトルユニット4の移動とを交互に繰り返すことにより、印刷媒体15に画像を形成する。
1枚分の印刷が終了すると、制御部5は、副走査駆動モータ12を制御してシャトルユニット4を待機位置へ配置する。これにより、印刷動作が終了となる。
次に、本実施形態のインクジェット印刷装置1のクリーニング動作について、図19および図20を参照しながら説明する。本実施形態のクリーニング動作は、ノズルガード32とインク吐出面36aとの間の隙間40に入り込んだインクを除去するとともに、各ノズルのインク吐出口37にメニスカスを形成し、さらにノズルプレート36の撥水性の低下およびノズルの乾燥を防止する動作である。
クリーニング動作は、シャトルユニット4が待機位置に配置されているときに行われ、この際、シャトルユニット4内のヘッドユニット26は、図2に示す待機位置に配置されている。
そして、まず、図19Aに示すように、キャッピングユニット66の上方にインクジェットヘッド31が配置された状態において、制御部5によって供給ポンプ55が制御され、所定の圧力でインクが吐出されることによってパージが行われる。パージについては、たとえば1ノズルあたりのパージ量を約4.8mg/sとする。
このパージの際、インクジェットヘッド31のノズルガード32の開口46は、キャッピングユニット66のキャップ71によって密閉してもよいし、図19Aに示すように、開放していてもよい。ただし、ノズルガード32の開口46をキャップ71によって密閉する方が好ましく、このように密閉することによって、キャップ71上への埃などのゴミの混入や、キャップ71の周囲がインクで汚染されることを防止することができる。
そして、上述したパージによってインクジェットヘッド31から吐出されたインクは、キャッピングユニット66が受け、制御部5によって吸引ポンプ69が制御されることによってキャッピングユニット66から吸引されて回収される。そして、このパージによって、インクジェットヘッド31のインク吐出口37には、図19Aに示すようにインク滴Dが付着した状態となる。
次に、制御部5は、供給ポンプ55によって加圧した圧力が緩和し、ノズルからのインク排出量が安定するまで、図19Bに示す状態で待機する。具体的には、1ノズル当たり
のインク排出量が約4.8mg/sの圧力で3秒間パージする場合には、待機時間は、20s~30sであることが好ましい。なお、この待機状態において、インクジェットヘッド31のノズルガード32の開口46は、キャッピングユニット66のキャップ71によって密閉してもよいし、図19Bに示すように、開放していてもよい。また、待機時間については、パージの際の供給ポンプ55の圧力に応じて変更してもよい。
このように待機時間を設けることによって、たとえばこの後のヘッドユニット26の移動の際、パージによってインクジェットヘッド31のインク吐出口37に付着したインクが落下し、これにより装置内が汚れてしまうのを防止することができる。また、上述したようにパージの際の供給ポンプ55の圧力に応じて待機時間を変更することによって、供給ポンプ55の圧力が緩和するまで確実に待機することができる。
次いで、上述した待機時間が経過した後、図19Cに示すように、インクジェットヘッド31(ヘッドユニット26)が移動し、インク除去部29の押し当て台91の上方に配置される。そして、インク除去部29によって上述したインク除去動作が行われる。このインク除去動作によって、ノズルガード32とインク吐出面36aとの間の隙間40に入り込んだインクを除去することができ、各ノズルのインク吐出口37にメニスカスを形成することができる。このメニスカスの形成によって良好なインク吐出を行うことができる。
そして、インク除去動作が終了した後、インクジェットヘッド31(ヘッドユニット26)が移動し、図20Aに示すように、ワイピング部30の上方に配置される。そして、ワイピング部30によって上述したワイプ動作が行われる。これにより、インクジェットヘッド31のノズルガード32の底面およびインク吐出面36aに付着した汚れを落とすことができる。さらに、洗浄液によるワイピングによって、インク吐出面36aに付着したインクに含まれる樹脂などの成分(撥水性を低下させる成分)も取り除くことができるので、インク吐出面36aの撥水性を復活させることができる。また、洗浄液による湿式ワイピングによってノズルの乾燥を防止することができる。
そして、ワイプ動作が終了した後、インクジェットヘッド31(ヘッドユニット26)が移動し、キャッピングユニット66の上方に配置される。そして、キャッピングユニット66が上昇し、図20Bに示すように、インクジェットヘッド31に当接し、インクジェットヘッド31のノズルガード32の開口46が密閉された状態となる。以上が、本実施形態のクリーニング動作の説明である。
そして、上述したクリーニング動作の後、印刷処理を行う場合には、キャッピングユニット66が下降し、ヘッド昇降モータ25によってヘッドユニット26が上昇して所定の位置まで移動し、その後、主走査駆動ガイド22に沿って左右方向に移動して印刷処理が行われる。
なお、上述したクリーニング動作の後、印刷処理を行う前に、制御部5が、必要に応じて供給ポンプ55を制御することによってインクジェットヘッド31からインクを微量吐出するスピッティング工程を行うようにしてもよい。スピッティング工程は、インクジェットヘッド31によるインクの微量吐出動作であって、たとえば5kHでインクジェットヘッド31を動作させることによって、1000回/sだけインクを吐出させるようにすればよい。また、このスピッティング工程は、図20Bに示すように、インクジェットヘッド31のノズルガード32の開口46が、キャッピングユニット66によって密閉された状態で行うことが好ましい。
また、クリーニング動作については、印刷処理を開始する直前に自動的に行うようにしてもよいし、ユーザの指示入力に応じて行うようにしてもよい。また、予め設定された期間毎または予め設定された印刷枚数毎に行うようにしてもよい。
また、上記実施形態のクリーニング動作においては、パージを行った後に、インク除去動作を行うようにしたが、これに限らず、パージとインク除去動作の期間を多少重ねるようにしてもよい。このようなタイミングとしても、本発明の効果を得ることができる。
また、上記実施形態のクリーニング動作においては、インク除去部29によるインク除去動作を行った後に、ワイピング部30によるワイプ動作を行うようにしたが、たとえば印刷ジョブが多数枚の印刷処理を行うものであり、その印刷途中においてクリーニング動作を行う場合には、インク除去動作を行うことなく、ワイピング部30によるワイプ動作のみを行うようにしてもよい。
また、上記実施形態のインクジェット印刷装置1においては、ワイピング部30としてシャワー部84を備えたものを用いるようにしたが、これに限らず、洗浄槽に浸漬させたワイプブレードによるワイピングのみ行い、シャワー部84による洗浄液の吹き付けを行わない構成のものを用いるようにしてもよい。
ここで、上述したインク除去動作は、ノズルガード32とインク吐出面36aとの間の隙間40に入り込んだインクを除去するとともに、各ノズルのインク吐出口37にメニスカスを形成する動作である。
そして、インク除去動作において、上述したように隙間40のインクを適切に除去するとともに、各ノズルに形成されたメニスカスを維持するためには、吸収部材50の吸収性および表面粗さ、並びに押し当て台91によって吸収部材50をインクジェットヘッド31に押し当てる際の押し当て圧力および押し当て時間を適切に設定することが望ましい。
具体的には、吸収部材50の吸収性が低い場合には、ノズルガード32の隙間40のインクを適切に除去することができない。また、吸収部材50の表面の繊維が毛羽立っている場合には、インクジェットヘッド31に押し当てられた際、その繊維がインク吐出口37に入ってしまい、メニスカスを破壊する場合がある。
また、押し当て圧力が大きいほどノズルガード32の隙間40内のインクを隙間40の外側に押し出すことができ、吸収部材50によって吸収し易くすることができるが、押し当て圧力が大きすぎると吸収部材50がインク吐出口37に強く押し付けられすぎて、インク吐出口37に形成されたメニスカスを破壊し、インク吐出不良を招く場合がある。
また、吸収部材50の押し当てによってノズルガード32の隙間40から滲み出したインクが、吸収部材50に吸収される前にインク吐出口37に到達してしまい、インク吐出口37を塞いでしまい、これにより吐出不良を招く場合もある。図21は、吸収部材50の押し当てによってノズルガード32の隙間40から滲み出したインクInの状態の一例を示す図である。
また、押し当て時間が短すぎる場合には、隙間40から滲み出したインクを十分に吸収することができず、押し当て時間が長すぎる場合には、インク吐出口37に形成されたメニスカスを破壊する場合がある。
これらのことを考慮すると、吸収部材50としては、吸収性が10mm/5min以上80mm/5min以下であって、表面粗さRzが410μm以下の吸収部材50を用いることが好ましい。
また、10kPa以上80kPa以下の押し当て圧力によって吸収部材50をインクジェットヘッド31に押し当てることが好ましい。また、押し当て時間としては、7s以上60s以下であることが好ましい。
なお、上述した吸収部材50の吸収性および表面粗さRz並びに吸収部材50の押し当て圧力および押し当て時間の数値の根拠については、後述する実施例によって示す。上述した吸収部材50の吸収性および表面粗さRz並びに吸収部材50の押し当て圧力および押し当て時間とすることによって、メニスカスをより適切に形成することができ、良好なインク吐出を行うことができる。
また、上述した吸収部材50の吸収性および表面粗さRz並びに吸収部材50の押し当て圧力および押し当て時間の数値は、インクジェットヘッド31に押し当てられる吸収部材50が1枚の場合であるが、たとえば上述したように複数枚の吸収部材50を重ねた状態でインクジェットヘッド31に押し当てる場合には、適宜、メニスカスの形成に適切な値を設定するようにすればよい。
また、上述したように吸収部材50の繊維が、インク吐出口37に形成されたメニスカスを破壊しないようにするためには、吸収部材50が、ノズルの径よりも太い繊維から形成されたものであることが好ましい。これにより、インク吐出口37に吸収部材50の繊維が入り込むことによるメニスカスの破壊を防止することができる。
吸収部材50の繊維の太さは、NIKON社製 光学顕微鏡「AZ-100M」で吸収部材50の上面を観察し、測定ツールにて2点間の距離を測定する。具体的には、圧縮されて平らになった吸収部材50の上面から突出した繊維を測定対象とし、その径が最大となる2点を指定してその距離を測定する。そして、10本の繊維の測定結果の平均値を、ここでいう吸収部材50の繊維の太さとする。
また、吸収部材50の表面の繊維の長さは、ノズルのインク吐出面36aからノズルガードの表面32a(インク吐出面36aに対向する面、図4参照)までの距離よりも短いことが好ましい。これにより、吸収部材50の繊維が、インク吐出口37に入るのを防止することができ、インク吐出口37に形成されたメニスカスの破壊を防止することができる。
吸収部材50の表面の繊維の長さは、NIKON社製 光学顕微鏡「AZ-100M」で吸収部材50の側端面を観察し、測定ツールにて2点間の距離を測定する。具体的には、圧縮されて平らになった吸収部材50の上面から突出した繊維を測定対象とし、その繊維の突出した部分の両端を指定してその距離を測定する。そして、10本の繊維の測定結果の平均値を、ここでいう吸収部材50の表面の繊維の長さとする。
また、吸収部材50の表面の繊維の間隔は、ノズルの配列ピッチ(隣接するノズルの間隔)よりも広いことが好ましい。これにより、吸収部材50の繊維が、インク吐出口37に入るのを抑制することができ、インク吐出口37に形成されたメニスカスの破壊を抑制することができる。
吸収部材50の表面の繊維の間隔は、NIKON社製 光学顕微鏡「AZ-100M」で吸収部材50の上面を観察し、測定ツールにて2点間の距離を測定する。具体的には、圧縮されて平らになった吸収部材50の上面から突出した繊維を測定対象とし、隣接する2本の繊維を指定してその距離を測定する。そして、10組の繊維の測定結果の平均値を、ここでいう吸収部材50の表面の繊維の間隔とする。
以下、上述した吸収部材50の吸収性および表面粗さRz並びに吸収部材50の押し当て圧力および押し当て時間について、実施例および比較例を説明する。
まずは、吸収部材50の吸水性、表面粗さRz、押し当て圧力および押し当て時間の測定方法について説明する。
吸水性については、測定対象を水ではなくインクとし、JIS L 1907のバイレック法に基づく吸水性試験に準拠した方法で測定した。試験片は、幅1cm×長さ20cmとし、初期浸漬長さは3cm、浸漬時間は5分とした。
表面粗さRzについては、ISO25178表面性状(表面粗さの測定)の最大高さ粗さの測定値である。測定器は、KEYENCE社製カラー3Dレーザ顕微鏡「VK-8700」を用いた。
押し当て圧力については、プッシュプルゲージ(日本電産シンポ株式会社製 FGX-50R)をインクジェットヘッドの取り付け位置と同じ高さに固定し、押し当て台に吸収
部材を載置して、インクジェットヘッドに押し当てることによって測定した。押し当て時間は、押し当て圧力が、下表1~下表4に示す値に到達した時点から押し当てを解除した時点までの時間とした。
次に、各条件の評価方法について説明する。評価については、ノズルガード32の隙間40のインクが除去されているか否か(隙間インクの除去)と、各ノズルから正常にインクか吐出されているか否か(ノズルチェック)とを評価した。
まず、評価の前に、インクジェット印刷装置を一定期間使用後、パージを行い、上述したワイプ動作を行い、印刷媒体15上に予め設定されたノズルチェックパターンを印刷した。そして、その印刷結果を目視することによって全てのノズルからインクが正常に吐出されていることを確認した。パージについては、1ノズルあたりのパージ量を約4.8mg/sとした。
次いで、評価手順としては、インク除去部29のロール吸収部材Rとして、下表1~下表4に示す各種の吸収部材50からなるロール吸収部材Rを載置し、下表1~下表4に示す押し当て圧力および押し当て時間でインク除去部29を制御して、上述したインク除去動作を行った。
そして、隙間インク除去については、押し当て動作後のノズルガード32の底面41(図3および図4参照)を綿棒で押し、隙間40からインクが滲み出すか否かを目視によって確認することによって評価した。下表1から下表4では、インクの滲み出しが無かった場合を「A」とし、わずかにインクの滲み出しがあった場合を「B」とし、インクの滲み出しがある程度有った場合を「C」として示している。隙間インク除去の状態としては、「A」および「B」のレベルであることが好ましい。
また、ノズルチェックについては、上記インク除去動作の後にノズルチェックパターンを印刷し、インクが正常に吐出されていないノズル(吐出抜け)があるか否かを目視によって確認した。なお、インクが正常の吐出されていないノズルとは、メニスカスが破壊されて吐出不良を生じたノズルである。1つのインクジェットヘッド31辺りの吐出抜けのノズルの本数をカウントし、下表1から下表4では、0本以上3本以下である場合には「A」とし、4本以上9本以下である場合には「B」とし、10本以上である場合には「C」として示している。なお、1つのインクジェットヘッド31のノズルの本数は508本である。吐出抜けは、「A」および「B」のレベルであることが好ましい。
次に、具体的な実施例について説明する。表1に示す実施例1~実施例11は、吸水性および表面粗さRzが異なる種々の吸収部材50を用いて、それぞれ表1に示す押し当て圧力および押し当て時間によって上記押し当て動作を行い、隙間インク除去および吐出抜けを評価した結果である。ここでは、押し当て圧力は全て30kPaとし、押し当て時間は全て10sとした。
表1に示す評価結果から、吸収部材50の吸水性については、10mm/5min以上80mm/5min以下が好ましい範囲であることが分かった。また、吸収部材50の表面粗さRzについては、410μm以下が好ましい範囲であることが分かった。
次に、吸水性が下限値である実施例3の吸収部材50(印刷用紙アラベール(登録商標))を用いて、押し当て圧力を変化させて評価した結果を下表2に示す。押し当て時間は、全て10sとした。
表2に示す評価結果から、押し当て圧力については、10kPa以上80kPa以下であることが好ましいことが分かった。なお、実施例17は、押し当て圧力が低すぎるため、隙間インク除去が「C」となり、実施例18は、押し当て圧力が高すぎるため、メニスカスが破壊されてノズルチェックが「C」になったと考えられる。
次に、吸水性が上限値である実施例6の吸収部材50(アコースティック・ミュートボード(AMB))を用いて、押し当て時間を変化させて評価した結果を下表3に示す。押し当て圧力は、全て30kPaとした。
表3に示す評価結果から、押し当て時間については、7s以上60s以下であることが好ましいことが分かった。なお、実施例24は、押し当て時間が短すぎるため、ノズルガード32の隙間40から滲み出したインクが吸収部材50によって吸収される前に、ノズルのインク吐出口37まで到達し、インク吐出不良を起こしてノズルチェックが「C」になったと考えられる。また、実施例25は、押し当て時間が長すぎるため、メニスカスが破壊されてノズルチェックが「C」になったと考えられる。
次に、表1から表3までの評価結果を踏まえて、吸水性が下限値である実施例3の吸収部材50(印刷用紙アラベール(登録商標))を用いて、押し当て圧力を10kPaと80kPaとし、押し当て時間を7sと60sとして評価した結果を下表4に示す(実施例26~実施例29)。また、吸水性が上限値である実施例6の吸収部材50(AMB)を用いて、押し当て圧力を10kPaと80kPaとし、押し当て時間を7sと60sとして評価した結果を下表4に示す(実施例30~実施例33)。
表4の結果から、吸収部材50の吸水性を10mm/5min以上80mm/5min以下とし、押し当て圧力を10kPa以上80kPa以下とし、押し当て時間を7s以上60s以下とすることが好ましいことが分かった。
本発明のインクジェット印刷装置に関し、さらに以下の付記を開示する。
(付記)
本発明のインクジェット印刷装置において、インク除去部は、吸収部材がロール状に巻かれたロール吸収部材と、ロール吸収部材から吸収部材を巻き出し、インクジェットヘッドのインク吐出面に対向させて搬送する搬送部と、搬送部によって搬送された吸収部材をインク吐出面に向けて移動させてノズルガードの開口およびインク吐出面に押し当てる押し当て部とを備えることができる。
また、本発明のインクジェット印刷装置において、押し当て部は、押し当ての動作を吸収部材に行う場合、前に行った範囲と異なる範囲に行うようにできる。
また、本発明のインクジェット印刷装置においては、搬送部および押し当て部とインクジェットヘッドとのうちの少なくとも一方を移動させる移動部を備えることができ、移動部は、上記少なくとも一方を、ノズル列が延びる方向に直交する方向について相対的にインクジェットヘッドの幅だけ移動することによって、吸収部材の異なる範囲にそれぞれノズルガードの開口およびインク吐出面を押し当てることができる。
また、本発明のインクジェット印刷装置において、搬送部は、押し当て部によって吸収部材の異なる範囲にそれぞれノズルガードの開口およびインク吐出面が押し当てられた後、インク吐出面に対向する位置に新しい吸収部材の範囲が配置するように吸収部材を搬送することがきできる。
また、本発明のインクジェット印刷装置において、搬送部は、吸収部材を、ノズル列が延びる方向についてインクジェットヘッドの長さだけ搬送することによって、インク吐出面に対向する位置に新しい吸収部材の範囲を配置することができる。
本発明のインクジェット印刷装置において、吸収部材の吸水性は、10mm/5min以上80mm/5min以下とすることが好ましい。
また、本発明のインクジェット印刷装置において、インク除去部は、10kPa以上80kPa以下の圧力によって7s以上60s以下の時間だけ吸収部材をノズルガードの開口およびインク吐出面に押し当てることができる。
本発明のインクジェット印刷装置において、吸収部材は、ノズルの径よりも太い繊維から形成されることが好ましい。
本発明のインクジェット印刷装置において、吸収部材の表面の繊維の長さは、ノズルのインク吐出面からノズルガードの表面までの距離よりも短いことが好ましい。
本発明のインクジェット印刷装置において、吸収部材の表面の繊維の間隔は、ノズルの配列ピッチよりも広いことが好ましい。
また、本発明のインクジェット印刷装置において、搬送部は、インク吐出面に対向する位置において複数枚の吸収部材を搬送ものとすることができ、押し当て部は、複数枚の吸収部材が重ねられた状態でノズルガードの開口およびインク吐出面に押し当てることができる。
また、本発明のインクジェット印刷装置において、制御部は、パージを行った後、予め設定された待機時間だけ経過した後に、インク除去動作を行うことができる。
また、本発明のインクジェット印刷装置において、制御部は、パージの際の圧力に応じて、待機時間を変更することができる。
また、本発明のインクジェット印刷装置において、インク除去部は、インク除去動作を行うことによって、ノズルのインク吐出口にメニスカスを形成することができる。
また、本発明のインクジェット印刷装置において、吸収部材の表面粗さRzは、410μm以下であることが好ましい。