JP7307393B1 - リベット継手の製造方法、リベット継手、及び自動車部品 - Google Patents

リベット継手の製造方法、リベット継手、及び自動車部品 Download PDF

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Abstract

本発明の一態様に係るリベット継手の製造方法は、軸部及び頭部を有する鋼製のリベットの軸部を、重ねられた複数の板材の貫通孔に通すこと、リベットを、リベットの軸方向に一対の電極の間に挟むこと、一対の電極で、リベットを加圧及び通電して、軸部の先端に変形部を形成すること、及び、リベットを冷却することを備え、冷却後のリベットの頭部のビッカース硬さHBが130≦HB≦330を満たし、冷却後のリベットの変形部のビッカース硬さHA、変形部の厚みTA、軸部の軸方向の中心かつ径方向の中心の箇所のビッカース硬さHJ、軸部の直径DJ、頭部のビッカース硬さHB、及び頭部の厚みTBが、HJ×DJ≧4.7×HB×TB及びHA×TA≧1.3×HB×TBを満たす。

Description

本発明は、リベット継手の製造方法、リベット継手、及び自動車部品に関する。
本願は、2021年9月27日に、日本に出願された特願2021-156655号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
自動車の軽量化、及び衝突安全性の向上を目的として、高強度鋼板の適用が進められている。しかしながら、高強度鋼板から構成されるスポット溶接継手には、母材鋼板の引張強さが780MPaを超えると十字引張強さ(Cross Tension Strength、CTS)が低下するという課題がある。また、鋼板の引張強さが1500MPaを超えると、十字引張強さのみならず引張せん断強さ(Tensile Shear Strength、TSS)も低下する傾向にある。
スポット溶接継手の強度が低下すると、非常に厳しい条件における衝突などにより部材が変形した時に、溶接部の破断が生じる恐れがある。従って、たとえ鋼板の強度を向上させたとしても、部材全体としての耐荷重が不足する恐れがある。そこで、高強度鋼板から構成される継手の強度を向上させる接合方法が求められている。
継手の十字引張強さを向上させる手段の一つとして、本発明者らはリベット接合に着目した。リベット接合とは、鋼板に貫通孔を形成し、この貫通孔に頭部と軸部とを有するリベットを挿通させ、リベットの軸部の先端を室温で塑性変形させて潰し、そしてリベットの頭部及び塑性変形部によって鋼板をかしめる接合法である。リベット接合によって得られた継手は、リベット継手と呼ばれる。
リベット継手の製造方法に関し、例えば以下のような技術が開示されている。
特許文献1には、締結具によって2個以上の構成部材を互いに結合させる方法であって、各構成部材は、穴を備えるとともに、前記構成部材は、前記穴が互いに重なり合って前記締結具を前記穴内において受けるように配置され、前記穴内に配置される前記締結具は、機械的に加圧および加熱されることで、前記締結具が変形させられて、以って前記構成部材が互いに結合させられる方法において、前記締結具は本質的に前記締結具の変形段階においてのみ加熱されて、前記締結具から結合させられる前記構成部材への熱伝達が最小限に抑えられ、結合は、前記締結具と前記構成部材とのいずれもが金属間合金群の材料に含まれる同一または同様の合金により製作されて行なわれることを特徴とする方法が開示されている。
特許文献2には、1対の電極の間にリベットの頭部と先端部分とをはさんで通電加熱すると共に押圧してリベッティングする方法において、リベットの頭部裏面と被リベット材との間に、断面積が小さく、且つ、リベット穴にリベットの軸部が十分密着充填すると共に、又は、それ以後に、頭部裏面と被リベット材とが接触するような高さを有する間座部を設けて、リベッティングすることを特徴とするリベッティング方法が開示されている。
特許文献3には、リベットを電極ではさみ、電気を通して抵抗熱により加熱し、加圧成形を行うリベットの締結方法において、通電加熱後一旦成形側頭部電極をリベットから離して、リベットの先端部まで加熱をゆきわたらせることを特徴とするリベットの締結方法が開示されている。
特許文献4には、結合されるべき少なくとも2部材に貫通して形成されるリベット穴を少なくとも一部テーパ状穴に形成し、このリベット穴にリベットを嵌合させ、通電かしめによりリベットの軸部をテーパ状穴に沿った形状に膨出変形させ、通電かしめ後のリベットの熱収縮によりリベットの軸部とテーパ状穴とを密着させ隙間なく結合させることを特徴とするリベットの通電かしめによる部材結合方法が開示されている。ここで、通電かしめ時のリベット温度は700~900℃であるとされている。
特許文献5には、複数のワークをリベットを用いて結合するリベット締め方法であって、複数のワークに挿通したリベットを1対の電極間に挟んで加圧した状態で通電し、通電によるリベット自体の抵抗発熱でリベットを軟化させて、リベットの端部をかしめる、ことを特徴とするリベット締め方法が開示されている。
特許文献6には、穴の周囲に環状バーリング形状を有する2枚の被かしめ部材を対向して重ね合わせ、抵抗発熱を利用した抵抗スポット溶接によって界面接合し、更に前記穴にピンを挿入し、同様に抵抗発熱を利用して該ピンを加熱・加圧してかしめ接合を行うことを特徴とする無歪複合接合方法が開示されている。
特許文献7には、引張強さが430~1000MPaの高強度鋼板を被接合材とし、重ね合わせた該被接合材にリベットを打ち込んで貫通させ、貫通させたリベットの先端を変形させて、機械的に接合することを特徴とする引張特性と疲労特性に優れた高強度鋼板の接合方法が開示されている。
日本国特表2006-507128号公報 日本国特開昭55-27456号公報 日本国特開昭53-78486号公報 日本国特開昭61-165247号公報 日本国特開平10-205510号公報 日本国特開平3-216282号公報 日本国特開2000-202563号公報
高強度の板材(特に高強度金属板又は鋼板)に対してリベット接合を適用した例を、本発明者らは確認することができなかった。高強度板材の強度に釣り合う程度の高強度材料からリベットを製造するためには、加工コストがかかる。また、リベットを用いて板材を接合すると、部品点数が増大して、継手の製造コストが増大する。その一方、高強度板材をリベット接合することのメリットは知られていなかった。以上の理由により、高強度板材の接合手段は専ら溶接(特にスポット溶接)とされており、リベット接合の適用例は皆無であった。例えば、特許文献1~8のいずれにおいても、その接合対象は低強度材料とされている。特に特許文献8に記載されるような、貫通穴が設けられていない板材にリベットを打ち込んで貫通させる接合方法は、引張強さが1000MPa超の高強度鋼板に適用することができない。
しかし本発明者らは、高強度鋼板をリベット接合することにより得られる継手(リベット継手)の十字引張強さが、スポット溶接継手のそれよりも著しく高いことを知見した。鋼板を機械的に接合するリベット接合によれば、接合部の脆化が生じないので、高強度鋼板から構成される接合継手のCTSを高く保持可能であると考えられた。
一方、本発明者らは、リベット継手の引張せん断強さは必ずしも安定せず、さらに、スポット溶接継手のそれよりも劣ることを合わせて知見した。これは、リベットの軸部の引張せん断強さが低い理由はリベットの軸部の硬さがスポット溶接部より低いからであると考えられた。また、リベットと板材との間に隙間があるので、リベット継手におけるせん断応力がかかる領域の断面積が、スポット溶接継手のそれより小さいことも、引張せん断強さを低下させる一因であると考えられた。
例えば、特許文献1~8のいずれにおいても、TSSを向上させるための手段について何ら検討されていない。これら文献において、TSSの低下についてはなんら問題視されておらず、また、リベット継手においてTSSが低下するメカニズムについての考察もなされていない。さらに、本発明者らが検討したところ、これらの技術を高強度鋼板に適用して得られるリベット継手の継手強度(TSS及びCTSなど)は十分ではなかった。例えば特許文献8に記載されるような、貫通穴が設けられていない板材に対してリベットを打ち込んで貫通させる接合方法では、リベットの炭素量及び焼入れ性等を高め、これによりリベットを高強度化する必要がある。しかしながら、このようなリベットにおいては、リベッティング後の硬さ分布が不適切となりやすい。そのため、リベットの破断が生じやすい。
上述の事情に鑑みて、本発明は、引張せん断強さ(TSS)が安定的に高められたリベット継手を得ることが可能なリベット継手の製造方法、並びに、TSSが安定的に高められたリベット継手及び自動車部品を提供することを課題とする。
本発明の要旨は以下の通りである。
(1)本発明の一態様に係るリベット継手の製造方法は、軸部及び頭部を有する鋼製のリベットの前記軸部を、重ねられた複数の板材の貫通孔に通すこと、前記リベットを、前記リベットの軸方向に一対の電極の間に挟むこと、一対の前記電極で、前記リベットを加圧及び通電して、前記軸部の先端に変形部を形成すること、及び、前記リベットを冷却することを備え、冷却後の前記リベットの前記頭部のビッカース硬さHB(HV)が130≦HB≦330を満たし、冷却後の前記リベットの前記変形部のビッカース硬さHA(HV)、前記変形部の厚みTA(mm)、前記軸部の前記軸方向の中心かつ径方向の中心の箇所のビッカース硬さHJ(HV)、前記軸部の直径DJ(mm)、前記頭部のビッカース硬さHB(HV)、及び前記頭部の厚みTB(mm)が、下記式1及び式2を満たす。
HJ×DJ≧4.7×HB×TB :式1
HA×TA≧1.3×HB×TB :式2
(2)上記(1)に記載のリベット継手の製造方法では、冷却後の前記リベットの前記軸部の前記軸方向の中心かつ径方向の中心の箇所のビッカース硬さHJ(HV)、前記軸部の直径DJ(mm)、前記頭部のビッカース硬さHB(HV)、及び前記頭部の厚みTB(mm)が、下記式3を満たしてもよい。
HJ×DJ≧5.3×HB×TB :式3
(3)上記(1)又は(2)に記載のリベット継手の製造方法では、冷却後の前記リベットの前記変形部のビッカース硬さHA(HV)が、310≦HA≦600を満たし、冷却後の前記リベットの前記軸部の軸方向の中心かつ径方向の中心の箇所のビッカース硬さHJ(HV)が310≦HJ≦590であってもよい。
(4)上記(1)~(3)のいずれか一項に記載のリベット継手の製造方法は、前記リベットの前記頭部と、前記頭部に隣接した前記板材とをプロジェクション溶接することをさらに備えてもよい。
(5)上記(4)に記載のリベット継手の製造方法では、冷却後の前記リベットにおいて、前記プロジェクション溶接によって形成されるプロジェクション溶接部のビッカース硬さHP(HV)、及び前記頭部のビッカース硬さHB(HV)が、下記式4を満たしてもよい。
1.4×HB≦HP≦3.2×HB :式4
(6)上記(1)~(5)のいずれか一項に記載のリベット継手の製造方法では、複数の前記板材のうち1枚以上が、引張強さ1180MPa以上の高強度鋼板であってもよい。
(7)上記(1)~(6)のいずれか一項に記載のリベット継手の製造方法では、前記リベットのC含有量が0.08~0.40質量%であってもよい。
(8)上記(1)~(7)のいずれか一項に記載のリベット継手の製造方法では、前記リベットのC含有量、Mn含有量、及びB含有量が0.16≦C+(1/30)Mn+5B≦0.50を満たしてもよい。
(9)本発明の別の態様に係るリベット継手は、それぞれに貫通孔を備える、重ねられた複数の板材と、軸部、並びに前記軸部の両端に設けられた頭部及び変形部を有し、前記軸部が前記貫通孔を貫通し、前記複数の板材をかしめる鋼製のリベットと、を備え、前記リベットの前記頭部のビッカース硬さHB(HV)が130≦HB≦330を満たし、前記リベットの前記変形部のビッカース硬さHA(HV)、前記変形部の厚みTA(mm)、前記軸部の軸方向の中心かつ径方向の中心の箇所のビッカース硬さHJ(HV)、前記軸部の直径DJ(mm)、前記頭部のビッカース硬さHB(HV)、前記頭部の厚みTB(mm)が、下記式A及び式Bを満たす。
HJ×DJ≧4.7×HB×TB :式A
HA×TA≧1.3×HB×TB :式B
(10)上記(9)に記載のリベット継手では、前記リベットの前記軸部の前記軸方向の中心かつ径方向の中心の箇所のビッカース硬さHJ(HV)、前記軸部の直径DJ(mm)、前記頭部のビッカース硬さHB(HV)、及び前記頭部の厚みTB(mm)が、下記式Cを満たしてもよい。
HJ×DJ≧5.3×HB×TB :式C
(11)上記(9)又は(10)に記載のリベット継手では、前記リベットの前記変形部のビッカース硬さHA(HV)が310≦HA≦600を満たし、前記リベットの前記軸部の前記軸方向の中心かつ径方向の中心の箇所のビッカース硬さHJ(HV)が310≦HJ≦590を満たしてもよい。
(12)上記(9)~(11)のいずれか一項に記載のリベット継手は、前記リベットの前記頭部と、前記頭部に隣接した前記板材とを接合するプロジェクション溶接部をさらに備えてもよい。
(13)上記(12)に記載のリベット継手では、前記プロジェクション溶接部のビッカース硬さHP(HV)、及び前記リベットの前記頭部のビッカース硬さHB(HV)が下記式Dを満たしてもよい。
1.4×HB≦HP≦3.2×HB :式D
(14)上記(9)~(13)のいずれか一項に記載のリベット継手では、複数の前記板材のうち1枚以上が、引張強さ1180MPa以上の高強度鋼板であってもよい。
(15)上記(9)~(14)のいずれか一項に記載のリベット継手では、前記リベットのC含有量が0.08~0.40質量%であってもよい。
(16)上記(9)~(15)のいずれか一項に記載のリベット継手では、前記リベットのC含有量、Mn含有量、及びB含有量が0.16≦C+(1/30)Mn+5B≦0.50を満たしてもよい。
(17)本発明の別の態様に係る自動車部品は、上記(9)~(16)のいずれか一項に記載のリベット継手を備える。
(18)上記(17)に記載の自動車部品は、バンパー、又はBピラーであってもよい。
本発明によれば、引張せん断強さ(TSS)が安定的に高められたリベット継手を得ることが可能なリベット継手の製造方法、並びに、TSSが安定的に高められたリベット継手及び自動車部品を提供することができる。
本実施形態に係るリベット継手の製造方法を示す断面模式図である。 本実施形態に係るリベット継手の製造方法を示す断面模式図である。 本実施形態に係るリベット継手の製造方法を示す断面模式図である。 本実施形態に係るリベット継手の製造方法、及びこれにより得られたリベット継手を示す断面模式図である。 リベット継手に引張せん断応力が加えられた際の応力分布の模式図である。 引張せん断応力によって軸部が破断する場合の、リベット継手の断面模式図である。 引張せん断応力によって変形部が破断する場合の、リベット継手の断面模式図である。 引張せん断応力によって頭部が破断する場合の、リベット継手の断面模式図である。 貫通孔の大きさが板材ごとに異なるリベット継手の一例を示す断面図である。 貫通孔の周辺に配された接着剤をさらに有するリベット継手を示す断面図である。 リベット継手と、他の接合手段とを併用したバンパーの斜視図である。 プロジェクション溶接の直前の板材及びリベットの断面模式図である。 プロジェクション溶接の完了後の板材及びリベットの断面模式図である。 プロジェクション溶接部の拡大断面図である。 リベットと他の部品との干渉を防止するための手段の一例を示す断面図である。 リベットと他の部品との干渉を防止するための手段の一例を示す断面図である。 リベットと他の部品との干渉を防止するための手段の一例を示す断面図である。 本実施形態に係る自動車部品の一例であるBピラーの断面図である。 本実施形態に係る自動車部品の一例であるバンパーの断面図である。
本発明者らは、引張せん断強さ(TSS)が安定的に高められたリベット継手を得るための手段について鋭意検討を重ねた。その結果、リベットの破断箇所とリベット継手のTSSとの間に相関関係があることがわかった。リベットの軸部が引張せん断応力によって破断する場合、リベット継手のTSSは小さくなった。加えて、リベットの軸部が引張せん断応力によって破断する場合、引張せん断応力が印可されてからリベットが破断するまでの間のリベット継手の変形量が小さくなることも知見された。さらに本発明者らは、リベットの変形部が引張せん断応力によって破断する場合、TSSの値が安定しないことも見出した。そして本発明者らは、リベットが軸部又は変形部ではなく頭部から破断するようにリベットの形状及び硬さを制御することにより、リベット継手のTSSを安定的に高められることを知見した。
以上の知見に基づいて得られた本発明の一態様に係るリベット継手の製造方法(以下、リベット接合方法と略す場合がある)は、図1A~図1Dに示されるように、
(S1)軸部121及び頭部122を有する鋼製のリベット12(通電加熱用リベット)の軸部121を、重ねられた複数の板材11の貫通孔111に通すことと、
(S2)リベット12を、リベット12の軸方向に一対の電極Aの間に挟むことと、
(S3)一対の電極Aで、リベット12を加圧及び通電して、軸部121の先端に変形部123を形成することと、
(S4)リベット12を冷却することと、
を備える。ここで、冷却後のリベット12の頭部122のビッカース硬さHB(HV)が130≦HB≦330を満たすようにする。さらに、冷却後のリベット12の形状及び硬さが以下の式1及び式2を満たすようにする。
HJ×DJ≧4.7×HB×TB :式1
HA×TA≧1.3×HB×TB :式2
ここで、図1Dに示されるように、式1及び式2に含まれる符号の意味は以下の通りである。
HA:単位HVでの、冷却後のリベット12の変形部123のビッカース硬さ
TA:単位mmでの、冷却後のリベット12の変形部123の厚み
HJ:単位HVでの、冷却後のリベット12の軸部121の軸方向の中心かつ径方向の中心の箇所のビッカース硬さ
DJ:単位mmでの、冷却後のリベット12の軸部121の直径
HB:単位HVでの、冷却後のリベット12の頭部122のビッカース硬さ
TB:単位mmでの、冷却後のリベット12の頭部122の厚み
以下、この製造方法について詳細に説明する。
まず、図1Aに示されるように、鋼製のリベット12の軸部121を、重ねられた複数の板材の貫通孔111に通す。次に、図1Bに示されるように、リベット12の軸方向に一対の電極Aの間に、リベット12を挟む。板材11は、リベット継手1の母材となる。リベット12は、軸部121及び頭部122を有し、この軸部121の先端は、リベッティングによって塑性変形されて変形部123を構成する。頭部122は、変形部123とともに板材11を挟持する(かしめる)働きを有する。
板材11の構成は特に限定されない。例えば、板材11を鋼板、特に高強度鋼板(例えば引張強さTSが約590MPa以上の鋼板)とした場合、リベット継手1の強度を向上させることができて好ましい。また、本実施形態に係るリベット接合方法は、CTS低下を招く脆化を高強度鋼板に生じさせない。従って本実施形態に係るリベット接合方法は、高強度鋼板の接合に適用された場合に、高いCTSを有するリベット継手1を提供することができる。高強度鋼板の引張強さが980MPa以上である場合、CTSに関し、本実施形態に係るリベット接合の優位性は、スポット溶接に対して一層顕著となる。より好適には、板材11の強度水準は、引張強さが1180MPa以上、さらに最適には1500MPa以上である。板材11の引張強さの上限は特に限定されないが、例えば2700MPa以下としてもよい。
また、板材11をアルミ板、CFRP板、及びチタン板などとしてもよい。溶接による接合とは異なり、本実施形態に係るリベット接合では、板材11の材質を異ならせてもよい。例えば、鋼板とアルミ板との組み合わせ、又は鋼板とCFRP板との組み合わせでもよい。板材の配置には特に規定はないが、材質の異なる板材の場合、融点の低い板材をリベット頭部側に配置することが、融点の低い板材の溶融を避ける観点から望ましい。板材11に種々の表面処理がなされていてもよい。例えば、板材11がGAめっき、GIめっき、EGめっき、Zn-Alめっき、Zn-Mgめっき、Zn-Niめっき、Zn-Al-Mgめっき、Alめっき、並びにホットスタンプによって母材金属と合金化されたZn系めっき(Zn-Fe、Zn-Ni-Fe)及びAl系めっき(Al-Fe-Si)等を有してもよい。
板材11の板厚にも特に限定はなく、例えば0.5mm~3.6mmとしてもよい。板材11の厚みを異ならせてもよい。板材11の枚数も特に限定されない。本実施形態に係るリベット接合の説明においては、板材11の枚数を2枚と仮定するが、枚数を3枚以上とすることも妨げられない。好適な組み合わせとして例えば、板厚が約1.6mmの板材と約2.3mmの板材との2枚重ね、又は板厚が0.75mmの板材と、1.8mmの板材と、1.2mmの板材との3枚重ねが挙げられる。板材の好適な組み合わせの範囲として例えば、板厚が約0.6mm~2.9mmの板材と、0.6mm~2.9mmの板材との2枚重ね、又は板厚が0.6mm~1.6mm板材と、0.6mm~2.9mmの板材と、0.6mm~2.9mmの板材との3枚重ねが挙げられる。板材は、冷間もしくは熱間でのプレス成形、冷間でのロール成形、又はハイドロフォーム成形された成形品であっても良い。また、板材はパイプ状に成形されていても良い。
リベット12を挿通させる貫通孔(通し穴)111の構成も特に限定されない。リベット12を貫通孔111に滞りなく通す観点からは、貫通孔111の径が、リベッティング前のリベット12の軸部の直径より大きいことが好ましい。
貫通孔111の形状は、例えば円形等とすることができる。一方、貫通孔111の形状が4角形、5角形、6角形、8角形など多角形であってもよい。これらの多角形の角部に曲率を持たせても良い。また、貫通孔111の形状が楕円、又は、円の一部に凸部あるいは凹部がある形状であっても良い。貫通孔111を円形状以外の形状とすることにより、リベット接合した板材が、貫通孔のリベットを中心に回転することを防止したり、接合部のガタつきを軽減したりすることができるので、さらに望ましい。
リベット12を通すための貫通孔111は、レーザ切断、金型を用いた打ち抜き、ドリルを用いた穿孔等の任意の手段で形成することができる。板材11がホットスタンプ鋼板である場合は、熱間での金型打ち抜き、あるいはレーザ切断によって貫通孔111を形成することが望ましい。
貫通孔111の大きさは板材11の深さ方向に一定であってもよい。一方、深さ方向に貫通孔111の大きさが相違する段形状、又はテーパ形状を、貫通孔111に適用してもよい。また、複数の被接合材間の貫通孔111の中心軸は一致していなくても良い。
複数の板材11における貫通孔111の直径(貫通孔111が円形でない場合は、円相当径)は、図1Bに示されるように同一であってもよいし、一方図3に示されるように相違してしてもよい。貫通孔111の大きさに差を設けることにより、応力緩和効果や、リベット12を通す作業の効率化が期待できる。貫通孔111の直径の相違の程度は特に限定されないが、例えば、隣接する板材11における貫通孔111の直径の差が0.3mm~3mmの範囲内であることが好ましい。リベット12を通す作業の容易化の観点では、リベットの入り口となる側(リベットの頭部がある側)とは逆側の板材の貫通孔の直径を大きくする方が好ましい。これにより、リベット12の先端が貫通孔111の中で詰まることを防止できる。
また、貫通孔111の直径の最小値は、挿通するリベットの軸部の直径の最大値よりも0.1mm~5mm大きいことが望ましい。0.1mmより小さいと挿通性が悪化し、5mmより大きいと貫通孔111の隙間を十分に充填させることが難しくなるためである。より望ましくは、0.3mm~3mmの範囲であり、最適には0.5mm~2.3mmの範囲である。また、複数の被接合材間の貫通孔111の中心軸のずれは1.5mm以内が望ましく、0.75mm以下がさらに望ましい。
リベット12は、鋼製とされる。これにより、リベット継手1の接合強度を優れたものとすることができる。リベット12のその他の構成は、リベッティングの前の段階においては特に限定されない。後述するリベッティング後のリベット12の形状及び硬さが所定の関係式を満たすように、好適な構成を適宜選択することができる。リベット12の構成の好適な例については後述する。
次に、図1Cに示されるように、リベット12を、リベット12の軸方向に一対の電極Aの間に挟む。そして、一対の電極Aを介して、リベット12に加圧及び通電する。これにより、リベット12に抵抗発熱を生じさせ、リベット12を軟化させ、リベット12の軸部121の先端を潰す(いわゆるリベッティング)。これにより、軸部121の先端に変形部123が形成される。
本実施形態に係るリベット接合では、電極Aを用いてリベット12に加圧した後で、リベット12に通電することが好ましい。加圧した状態で通電を開始すると、軸部121の軟化及び軸部121の先端の変形が生じる。この時、リベット12の内部に溶融部が生じても良い。この場合、リベット12を電極Aの間に挟み込み、リベット12を加圧し、リベット12に通電し、そしてリベット12を冷却するという手順で、接合が実施されることになる。しかしながら、リベット12への加熱の開始のタイミング、及びリベット12への加圧の開始のタイミングは、上述の好ましい例に限定されない。
また、通常のリベット接合ではリベット12の軸部121を板材11の貫通孔111に挿通する前にリベット12を加熱及び軟化させることが許容される。本実施形態に係るリベット継手の製造方法においても、リベット12を加熱し、次いでリベット12の軸部121を板材11の貫通孔に通してもよい。挿通後、一対の電極Aに通電し、リベット12に抵抗発熱を生じさせ、リベット12を軟化させ、リベットの軸部の先端を変形させ、リベットを冷却する。挿通前において、リベットの軸部の直径が太い場合や、リベットが硬い場合などに、挿通前に軟化させると好ましい場合がある。
リベット12は、加圧及び通電に引き続いて冷却される。これにより、図1Dに示される冷却後の鋼製のリベット12には、焼入れ硬化が生じる。冷却後のリベット12においては、その形状及び硬さが、以下の式1及び式2を満たす必要がある。
HJ×DJ≧4.7×HB×TB :式1
HA×TA≧1.3×HB×TB :式2
また、冷却後のリベット12においては、上記式1及び式2に含まれるHBが、130≦HB≦330を満たす必要もある。
記号「HA」は、単位HVでの、冷却後のリベット12の変形部123のビッカース硬さである。以下、この値HAを「変形部123のビッカース硬さ」と称する。変形部123のビッカース硬さは、冷却後のリベット12の軸を通る、リベット継手1の切断面において測定される。この切断面において、変形部123と接する板材11の表面を、変形部123と軸部121との境界とみなす。そして、軸部121の両端における、変形部123の厚み方向中央部を、変形部123のビッカース硬さHAの測定位置とする。なお、変形部123の厚み方向は、リベット12の軸方向と等しい。例えば図1Dにおいて、符号「HA」が付された点が、変形部123のビッカース硬さHAの測定位置である。この測定位置において、荷重0.5kgfでビッカース硬さ測定をすることにより、変形部123のビッカース硬さHAが得られる。
記号「TA」は、単位mmでの、冷却後のリベット12の変形部123の厚みである。以下、この値TAを「変形部123の厚み」と称する。変形部123の厚みは、冷却後のリベット12の軸を通るリベット継手1の切断面において、リベット12の軸方向に沿って、軸部121の両端における変形部123の厚みを測定することによって得られる。例えば図1Dにおいて、符号「TA」が付された矢印が、変形部123の厚みTAの測定位置である。
図2Aに、リベット継手1に引張せん断応力が加えられた際の応力分布の模式図を示す。図2Aにおいて、白色の矢印は、板材11に加えられる引張せん断応力の方向を示し、黒色の矢印は、板材11がリベット12に加える応力の位置及び方向を示す。図2Aに示されるように、上述された変形部123のビッカース硬さHA及び厚みTAの測定箇所は、変形部123から頭部122に向かう方向にリベット12を貫通孔111から引き抜く応力が変形部123にかかった際に、応力が変形部123において最大となる箇所である。従って、リベット12の破断形態を制御するにあたっては、上述の測定箇所で得られる変形部123の硬さ及び厚みを利用することが、最も適切である。
記号「HJ」は、単位HVでの、冷却後のリベット12の軸部121の軸方向の中心かつ径方向の中心の箇所のビッカース硬さである。以下、この値HJを、「軸部121のビッカース硬さ」と称する。軸部121のビッカース硬さは、冷却後のリベット12の軸を通る、リベット継手1の切断面において測定される。この切断面において、軸部121と接する板材11の表面を、軸部121と変形部123との境界とみなし、頭部122と接する板材11の表面を、軸部121と頭部122との境界とみなす。そして、軸部121の中心軸上にあり、且つ上述の2つの境界の中央部にある位置を、軸部121のビッカース硬さHJの測定位置とする。例えば図1Dにおいて、符号「HJ」が付された点が、軸部121のビッカース硬さHJの測定位置である。この測定位置において、荷重0.5kgfでビッカース硬さ測定をすることにより、軸部121のビッカース硬さHJが得られる。ただし、ビッカース硬さ測定位置に、割れ、ブローホールなどの欠陥があった場合は、欠陥から0.2mm以上離れた近傍の位置で測定する。
記号「DJ」は、単位mmでの、冷却後のリベット12の軸部121の直径である。以下、この値DJを、「軸部121の直径」と称する。冷却後の軸部121が円筒形状である場合は、軸部121の直径は、冷却後のリベット12の軸を通るリベット継手1の切断面において、軸方向と垂直な方向に沿って測定される、軸部121の幅の最小値である。
例えば図1Dにおいて、符号「DJ」が付された矢印が、軸部121の直径DJの測定位置である。貫通孔111の直径及びリベッティング前の軸部121の直径が、軸方向に沿って一定である場合、リベッティング後の軸部121の直径は、変形部123に近づくほど大きくなる。リベッティングによって、変形部123に近い位置では軸部121と貫通孔111との間の隙間を埋めるように軸部121が大きく膨張する一方、頭部122に近い位置では軸部121があまり膨張しないからである。そのため、図1Dでは、頭部122と軸部121との境界が、軸部121の直径DJの測定位置とされる。ただし、貫通孔111がテーパを有している場合や、複数の板材11に設けられた貫通孔111の直径が相違する場合には、軸部121の幅が最小となる位置が、頭部122と軸部121との境界と一致しない可能性がある。
冷却後の軸部121が円筒形状ではない場合、リベット12の軸を通る切断面において軸部121の直径を測定することはできない。この場合、まず、リベット12の軸を通る切断面を観察することによって、軸部121の直径が最小となる位置を特定する。次に、軸部121の直径が最小となる位置において、リベット12の軸と垂直に、軸部121を切断する。リベット12の軸と垂直な切断面の円相当径を、軸部121の直径DJとみなす。
上述された軸部121のビッカース硬さHJの測定箇所は、軸部121のビッカース硬さを代表する箇所である。また、上述された軸部121の直径DJの測定箇所は、軸部121において最も破断しやすい箇所である。従って、リベット12の破断形態を制御するにあたっては、上述の測定箇所で得られる軸部121の硬さ及び直径を利用することが、最も適切である。
記号「HB」は、単位HVでの、冷却後のリベット12の頭部122のビッカース硬さである。以下、この値HBを「頭部122のビッカース硬さ」と称する。頭部122のビッカース硬さは、冷却後のリベット12の軸を通る、リベット継手1の切断面において測定される。この切断面において、頭部122と接する板材11の表面を、頭部122と軸部121との境界とみなす。そして、軸部121の両端における、頭部122の厚み方向中央部を、頭部122のビッカース硬さHBの測定位置とする。なお、頭部122の厚み方向は、リベット12の軸方向と等しい。例えば図1Dにおいて、符号「HB」が付された点が、頭部122のビッカース硬さHBの測定位置である。この測定位置において、荷重0.5kgfでビッカース硬さ測定をすることにより、頭部122のビッカース硬さHBが得られる。
記号「TB」は、単位mmでの、冷却後のリベット12の頭部122の厚みである。以下、この値TBを「頭部122の厚み」と称する。頭部122の厚みは、冷却後のリベット12の軸を通るリベット継手1の切断面において、リベット12の軸方向に沿って、軸部121の両端における頭部122の厚みを測定することによって得られる。例えば図1Dにおいて、符号「TB」が付された矢印が、頭部122の厚みTBの測定位置である。
図2Aに示されるように、上述された頭部122のビッカース硬さHB及び厚みTBの測定箇所は、頭部122から変形部123に向かう方向にリベット12を貫通孔111から引き抜く応力が頭部122にかかった際に、応力が頭部122において最大となる箇所である。従って、リベット12の破断形態を制御するにあたっては、上述の測定箇所で得られる頭部122の硬さ及び厚みを利用することが、最も適切である。
冷却後のリベット12においては、式1及び式2が満たされるように軸部121、頭部122、及び変形部123の形状及び硬さが制御される必要がある。
HJ×DJ≧4.7×HB×TB :式1
HA×TA≧1.3×HB×TB :式2
式1及び式2のいずれも、軸部121における破断を防止し、頭部122における破断を促進するために設けられた規定である。具体的には、式1では、軸部121のビッカース硬さHJ及び直径DJに対して、頭部122のビッカース硬さHB及び厚みTBを十分に小さくすることを規定している。また、式2では、変形部123のビッカース硬さHA及び厚みTAに対して、頭部122のビッカース硬さHB及び厚みTBを十分に小さくすることを規定している。これにより、破断が頭部122で優先的に生じる。
HJ×DJの下限値を、5.3×HB×TBとしてもよい。即ち、冷却後のリベット12の軸部121の軸方向の中心かつ径方向の中心の箇所のビッカース硬さHJ(HV)、軸部121の直径DJ(mm)、頭部122のビッカース硬さHB(HV)、及び頭部122の厚みTB(mm)が、下記式3を満たしてもよい。
HJ×DJ≧5.3×HB×TB :式3
上記式3が満たされる場合、軸部121における破断が一層抑制される。HJ×DJの下限値を、5.0×HB×TB、5.5×HB×TB、又は5.8×HB×TBとしてもよい。
HA×TAの下限値を、1.5×HB×TBとしてもよい。これにより、軸部121における破断が一層抑制される。HA×TAの下限値を、1.8×HB×TB、2.0×HB×TB、又は2.5×HB×TBとしてもよい。
頭部122で破断を生じさせるべき理由について、以下に説明する。本発明者らは、引張せん断強さ(TSS)が安定的に高められたリベット継手を得るための手段について鋭意検討を重ねた。その結果、リベット12の破断箇所とリベット継手1のTSSとの間に相関関係があることがわかった。リベット12の軸部121が引張せん断応力によって破断する場合、リベット継手1のTSSは小さくなった。加えて、リベット12の軸部121が引張せん断応力によって破断する場合、引張せん断応力が印可されてからリベット12が破断するまでの間のリベット継手1の変形量が小さくなることも知見された。さらに本発明者らは、リベット12の変形部123が引張せん断応力によって破断する場合、TSSの値が安定しないことも見出した。そして本発明者らは、リベット12が軸部121又は変形部123ではなく頭部122から破断するように冷却後のリベット12の形状及び硬さを制御することにより、リベット継手1のTSSを安定的に高められることを知見した。
図2A~図2Dに、引張せん断応力が加わった際のリベット継手1の断面模式図を示す。図2A~図2Dでは、上側の板材11が左側に引っ張られ、下側の板材11が右側に引っ張られている。これにより、軸部121の上部には、上側の貫通孔111の内壁によって左側に向かう応力が加えられ、軸部121の下部には、下側の貫通孔111の内壁によって右側に向かう応力が加えられる。また、頭部122には、下側の貫通孔111の外周によって、下側に向かう応力が加えられ、変形部123には、上側の貫通孔111の外周によって、上側に向かう応力が加えられる。なぜなら、貫通孔111からリベット12を引き抜くような応力が、頭部122及び変形部123に加えられるからである。
図2Bは、軸部121が破断起点となる場合のリベット継手1の模式図である。図2C及び図2Dはそれぞれ、変形部123及び頭部122が破断起点となる場合のリベット継手1の模式図である。本発明者らの実験結果によれば、軸部121が破断起点となった場合、図2Bに示されるように、破断までに板材11の変形があまり生じず、従ってせん断応力の印加の開始から破断に至るまでの変形量が小さかった。一方、変形部123又は頭部122が破断起点となった場合、図2C及び図2Dに示されるように、破断までに板材11が変形し、リベット12が傾き、これによりせん断応力の印加の開始から破断に至るまでの変形量が大きかった。そして、変形部123又は頭部122が破断起点となった場合のTSSは、軸部121が破断起点となった場合のTSSよりも大きかった。
ただし、変形部123で破断が生じた場合、TSSにばらつきが生じた。リベッティングの際に形成される変形部123では、形状が一定ではなく、また大きな塑性変形を経ているので硬さも一様ではない。これが、変形部123で破断する場合のTSSばらつきの原因となっている可能性がある。変形部123のサイズを大きくすることによりTSSばらつきを解消することを本発明者らは検討したが、この場合、リベッティング時に変形部123に割れが発生した。一方、頭部122で破断が生じた場合は、TSSは安定的に高い値となった。
本発明者らの実験結果によれば、式1及び式2を満たすように軸部121、頭部122、及び変形部123の形状及び硬さを制御することにより、冷却後のリベット12において、頭部122が最も破断しやすくなることが確認された。従って、本実施形態に係るリベット継手1の製造方法では、式1及び式2が満たされるようにリベッティング及び冷却を実施する必要がある。
また、冷却後のリベット12においては、頭部122のビッカース硬さHBが、130≦HB≦330を満たす必要がある。頭部122のビッカース硬さHBが330超である場合、リベット12の破断の起点が、頭部122の外部となるおそれがある。一方、頭部122のビッカース硬さHBが130未満である場合、リベット継手1のTSSがかえって低下する。以上の理由により、頭部122のビッカース硬さHBは130以上330以下とされる。頭部122のビッカース硬さHBを135以上、150以上、又は180以上としてもよい。頭部122のビッカース硬さHBを300以下、280以下、又は250以下としてもよい。
以上の要件が満たされるようにリベット12のリベッティング及び焼入れが実施される限り、通電条件は特に限定されない。リベット12の化学成分、リベット12の強度、リベット12の寸法、リベット12に加圧及び通電をする際の加圧条件及び通電条件、並びにリベット12の冷却条件を介して、冷却後のリベット12の形状及び硬さを制御することができる。これらの条件の好適な例は以下の通りである。
まず、リベット12の化学成分の例について説明する。リベット12の化学成分は、例えば、単位質量%でのC含有量、Mn含有量、及びB含有量が0.16≦C+(1/30)Mn+5B≦0.50以下となるようなものとすればよい。C+(1/30)Mn+5Bを0.16以上とすることにより、リベット12の硬さを確保することができる。一方、C+(1/30)Mn+5Bを0.50以下とすることにより、リベット12の靭性を確保することができる。C+(1/30)Mn+5Bを0.18以上、0.20以上、又は0.25以上としてもよい。C+(1/30)Mn+5Bを0.48以下、0.45以下、又は0.35以下としてもよい。
また、リベット12の炭素量を0.08~0.40質量%としてもよい。これにより、リベット12に焼き入れ部を形成し、リベット継手1の接合強度を一層高めることができる。リベット12の炭素量を0.10質量%以上、0.15質量%以上、又は0.17質量%以上としてもよい。リベット12の炭素量を0.350質量%以下、0.30質量%以下、又は0.25質量%以下としてもよい。
次に、リベッティング前のリベット12の形状の例について説明する。以下、特段の断りが無い限り、リベット12の形状の例に関する説明は、全て、加圧及び通電によって変形部123が形成される前のリベット12に関するものである。
リベッティング前のリベット12の軸部121の径(直径)(軸部121の断面が円形ではない場合は、軸部121の円相当径)は、継手強度を確保する観点から3mm以上としてもよい。また、軸部121の径が大きすぎると電流密度が低下しリベットが軟化しづらくなる。そのため、軸部121の径の上限は12mm以下としても良い。軸部121の長さ(リベット12の長さから、頭部122の厚みを除いた値)は、板材11の合計板厚より大きくする必要があり、リベット12が頭部122を有する場合、好ましくは、以下の範囲内とする。なお、下記式に含まれる値は、リベッティング前のものである。
板材の合計板厚+軸部の径×0.3≦軸部の長さ≦板材の合計板厚+軸部の径×2.0
リベット12の軸部121の長さを、板材11の合計板厚+軸部121の径×0.3より大きくすることにより、軸部121の先端を変形させた後のかしめ部(変形部123)の大きさを確保し、継手強度を一層高めることができる。軸部121の長さを板材11の合計板厚+軸部121の径×2.0以下とすることにより、製造効率を高めることができる。
なお、軸部121の径は一定であってもよい。一方、軸部121の先端に向かって、軸部121の径が減少する形状(いわゆるテーパ形状)をリベット12が有してもよい。テーパ部が、軸部121の全体にわたって形成されていても、軸部121の先端付近にのみ形成されていてもよい。テーパ形状を有するリベット12は、貫通孔111に挿通させやすいので好ましい。また、軸部121の先端は平らであっても半球形であってもよい。軸部121の先端を半球状にすると、軸部121を貫通孔111に挿通させやすいので好ましい。
リベット12の頭部122の形状は、一般的なフランジ形状とすればよい。例えば頭部122の形状を、半球形(いわゆる丸頭)、円盤形(いわゆる平頭)、又は表面側が平らで根本が円錐形となる形状(いわゆる皿頭)とすることができる。頭部122の平面視での形状は、例えば円形、四角形、又は六角形などの多角形とすることができる。頭部122の電極側の中央部に、位置決め用の凹部が設けられていてもよい。また、頭部122の座部(被接合材と接触する面)に、軸部121を取り囲む凹部(いわゆる座部アンダーカット)が設けられていてもよい。このような凹部は、頭部122に弾性を付与し、これによりリベット12のかしめ力を一層増大させる。また、頭部122の座部(被接合材と接触する面)に、1つ以上の突起部が設けられていても良い。このような突起部は、リベッティング時に被接合材にめり込むこと、又は被接合材と接合部とを形成することにより、リベット12のかしめ力を一層増大させる。突起部の形状は、円状、多角形状、軸部を囲むリング状が挙げられる。なお、図1D等に例示されるリベッティング及び冷却後のリベット12の頭部122の断面形状は四角形であるが、もし頭部122の断面形状がこれ以外の形状、例えば半球状であったとしても、頭部122のビッカース硬さHB及び頭部122の厚みTBの測定方法は上述の通りとすればよい。
リベット12は、その頭部122を用いて板材11をかしめる。そのため、頭部122の直径は、貫通孔111の直径より1.5mm以上大きくすることが好ましい。頭部122の直径は、より望ましくは、貫通孔111の直径より3.0mm以上大きい。また、頭部122の厚みは0.8mm~5mmとすることが好ましい。頭部122の厚みが0.8mm未満だと、継手強度が十分に得られない。一方、頭部122の厚みが5mm超であると、破断の起点が頭部122の外部となるおそれがある。
リベット12は例えば、コイル線材を切断し、切削加工、もしくは冷間鍛造加工に供することによって製造されれば良い。生産性の観点では、切断されたコイルの加工方法は、冷間鍛造加工が望ましい。リベット12は、加工ままで使用してもよいが、特に継手強度が必要な場合は、切削加工又は冷間鍛造加工後のリベットに焼き入れ、焼き戻しの熱処理をしても良い。この熱処理によりリベット12の頭部122も含めたリベット12全体の硬さを上げることで、継手強度がさらに向上する。
リベット12は表面処理がされていないものでよいが、耐食性が必要な場合は、表面処理がなされていてもよい。例えばリベット12に、亜鉛系めっき、アルミ系めっき、クロム系めっき、ニッケル系めっき、及びクロメート処理などがされても良い。
次に、リベット12の通電加圧条件の例について説明する。リベット12は、焼き入れ硬化が生じる程度に通電されることが好ましい。ただし、焼き入れ実施に必要な温度は、リベット12の成分(例えば炭素量及び炭素当量等)に応じて相違する。そのため、加熱温度はリベット12の成分に応じて適宜選択すればよい。例えば、リベット12の軸部121における最高到達温度を900℃超とすることが好ましい。ただし、リベット12のA点が低ければ、軸部121の最高到達温度を900℃未満としてもよい。また、リベットの頭部122については、焼き入れは必須ではないため、その最高到達温度が900℃以上でも900℃未満でも良い。なお、リベット12の軸部121の最高到達温度は、リベット12の軸部121の断面の金属組織の観察によって、推定することができる。例えばリベット12の材質が鉄合金であり、軸部にマルテンサイト組織が生成していれば、リベット12の軸部の最高到達温度は約900℃以上であったと推定することができる。また、リベット12の材質が鉄合金であり、軸部121に溶融凝固部が生成していれば、リベット12の軸部121の最高到達温度は1530℃以上であったと推定することができる。
リベット12は、板材11が重ね合わされた後で、例えば、リベット供給装置により貫通孔111に挿入される。そして、例えばスポット溶接機を用いて、リベットに加圧しながらリベットに通電加熱を行う。もしくは、板材11が重ね合わされた後で、リベット12は、例えばリベット供給装置により、リベットの頭部122を保持する機構を有するスポット溶接ロボットの電極A上に配置される。そして、スポット溶接ロボットが可動することにより電極A上のリベット12は貫通孔111に挿入される。そして、リベットに加圧しながらリベットに通電加熱を行う。リベット12を焼き入れ実施に必要な温度まで加熱するための具体的な通電条件(電流値、電圧値、及び通電時間等)、及びリベット12の加圧条件は特に限定されず、リベット12の形状及び材質に応じて適宜選択することができる。当業者であれば、種々の条件でリベット12への加圧及び通電を実施することにより、リベット12の形状及び材質に応じた最適な加圧条件、及び通電条件を検討することができる。
リベット12への加圧及び通電は、一対の電極Aを用いて行うことが好ましい。一対の電極Aの構成は特に限定されない。例えば、スポット溶接用の電極は加圧及び通電を実施することが可能であるので、これを用いて本実施形態に係るリベット接合を行ってもよい。電極Aの形状は、リベット12の形状に合わせて適宜選択することができる。例えば電極Aは、フラット型電極、シングルR型、CF型、及びDR型等であっても良い。電極Aの材質の例としては、導電性に優れたクロム銅、アルミナ分散銅、及びクロムジルコニウム銅等が挙げられる。なお、一対の電極Aの片側には、磁石、機械式保持機構、もしくは真空引きなどにより、リベットの頭部を接合時まで保持する機構を有することが望ましい。電極Aの材質の例としては、導電性に優れたクロム銅、アルミナ分散銅、及びクロムジルコニウム銅等が挙げられる。また、一対の電極Aにおいて形状、材質は異なっていてもよい。
溶接機の電源の例としては、単相交流、直流インバータ、及び交流インバータ等が挙げられる。ガンの形式の例としては、定置式もしくはC型、又はX型等が挙げられる。電極がリベットに印加する加圧力は、例えば150kgf~1000kgfである。加圧力は、好適には250kgf~600kgfである。割れの無い良好な接合部をえるためには、リベットの軸径が大きいほど加圧力を上げることが望ましい。加圧力の設定値は一定値で良いが、必要に応じて、通電中に加圧力を変化させても良い。電極によるリベットの加圧方向は、リベットの軸が伸びる方向に対して、10°以下の角度とすることが、良好な接合部を得る観点から望ましい。より望ましくは、加圧方向とリベットの軸方向とがなす角度は4°以下である。
通電時間は、例えば0.15秒~2秒である。通電時間は好適には0.2秒~1秒である。通電回数は1回でも良い(いわゆる単通電)が、必要に応じて2段通電、3段の多段通電を行っても良い。また、パルス通電や、電流を徐々に上げるアップスロープ、電流を徐々に下げるダウンスロープの通電でも良い。また、通電の前半に高い電流を流して急激にリベット加熱し、後半に電流を下げて変形させても良い。また、リベットの軸径が大きい場合は、通電の前半において、通電の後半よりも低い電流値を通電の後半よりも長く流すことでリベットを均一に加熱し、さらに通電の後半において、電流値を上げて通電することでリベットを変形させることが望ましい。一方、上述のように、抵抗発熱以外の手段によってリベット12を加熱してもよく、この場合、リベット12に加圧してリベッティングする手段も、一対の電極Aに限定されない。この通電条件と、後述の冷却条件とを組み合わせることにより、式1及び式2を満たすような硬さ分布を得ることが容易となる。
軟化されたリベット12を加圧し、その軸部121の先端を変形させた後で、リベット12を冷却する。これにより、複数の板材11がリベット12によってかしめられ、接合される。具体的には、リベット12の頭部122、及びリベット12の軸部121のつぶされた先端(即ち変形部123)によって、複数の板材11がかしめられる。さらに、リベット12の冷却により、リベット12の加熱時にリベット12の金属組織に生じたオーステナイトをマルテンサイト変態させる。これにより、その軸部121の中央に焼き入れ部を形成し、冷却後のリベット12の軸方向の中心かつ径方向の中心の箇所のビッカース硬さ(即ち軸部121のビッカース硬さHJ)を高めることができる。
上述のようにリベット12の加熱及び冷却をすることにより、例えば、冷却後のリベット12の軸部121のビッカース硬さHJ(HV)を、310以上590以下にしてもよい。軸部121のビッカース硬さHJを310以上とすることにより、上述した式1を満たすことが容易となる。一方、軸部121のビッカース硬さHJを590以下とすることにより、軸部121の脆化を回避して、リベット継手1のTSSを一層向上させることができる。軸部121のビッカース硬さHJを320以上、350以上、又は400以上としてもよい。軸部121のビッカース硬さHJを570以下、550以下、又は530以下としてもよい。
また、冷却後のリベット12の変形部123のビッカース硬さHA(HV)を、310以上600以下としてもよい。変形部123のビッカース硬さHAを310以上とすることにより、上述の式2を満たすことが容易となる。一方、変形部123のビッカース硬さHAを600以下とすることにより、変形部123の脆化を回避して、リベット継手1のTSSを一層向上させることができる。変形部123のビッカース硬さHAを320以上、350以上、又は400以上としてもよい。変形部123のビッカース硬さHAを580以下、550以下、又は530以下としてもよい。
リベット12の冷却条件は特に限定されないが、例えば、リベット12の800~500℃の間の冷却速度を50℃/秒以上、より好適には100℃/秒以上、最適には150℃/秒以上と規定してもよい。これにより、リベット12の軸部121の中央においてマルテンサイト変態を生じさせ、式1及び式2を満たすような硬さ分布を得ることが容易となる。
リベット12の冷却条件を上述の範囲内とするためには、リベット12を加速冷却することが望ましい。例えば電極Aの保持時間を延長することで、加速冷却することが可能である。保持時間とは、接合のための電流を流し終わってから、電極を開放し始めるまでの時間のことである。電極Aの内部には冷媒が流通している。通電後、電極Aをリベット12に接触させることなどにより、リベット12を加速冷却することができる。リベット12を加速冷却することにより、リベット12を焼き入れし、継手の接合強度を一層高めることができる。しかしながら、加速冷却をするための、電極Aとリベット12との接触状態を保持する時間(保持時間)が長すぎると、生産性が低下する。そのため、保持時間は、通電が完了した後、3秒以下とすることが望ましい。保持時間は、より望ましくは0.01秒以上1.00秒以下である。保持時間は、最適には0.10秒以上0.80秒以下である。
本実施形態に係るリベット継手の製造方法では、他の接合手段を併用することも妨げられない。異なる2種以上の接合手段を組み合わせることにより、リベット継手の接合強度を一層高めることができる。
例えば、本実施形態に係るリベット接合方法が、スポット溶接、レーザ溶接、及びアーク溶接(例えばMAG溶接、MIG溶接、CO溶接、及びプラズマ溶接等)からなる群から選択される一種以上の溶接方法によって複数の板材11を接合することをさらに有してもよい。溶接は、リベット接合の前に行われても後に行われてもよい。部品の組立て精度向上の観点からは、溶接後にリベット接合をすることが望ましい。溶接が、スポット溶接の場合、スポット溶接後、リベット接合を行えばよい。あるいは、スポット溶接後、リベット接合を行い、その後、スポット溶接を行っても良い。
また、本実施形態に係るリベット接合方法が、複数の板材11の間の、少なくとも貫通孔111の周辺に接着剤13を塗布して、次いで複数の板材11を重ねることをさらに有してもよい。これにより、図4に示されるように、板材11が接着される。接着剤の厚みは特に規定はないが、0.03mm以上1.5mm以下としてもよい。薄すぎると接着不良が発生し、厚すぎると接着強度が低下する。接着剤13の塗布は、複数の板材11を重ね、リベット12を板材11に通す前に行う必要がある。熱硬化型接着剤の場合、接着剤13の硬化は、リベット接合後、電着塗装ラインでの塗装焼き付け用の加熱によって行なってもよい。反応硬化型の接着剤の場合は、接着剤13の硬化は、リベット接合後、時間が経過することにより行われる。なお、板材11のスポット溶接においては、爆飛を防止するために、接着剤13の塗布箇所とスポット溶接箇所とを離隔させる必要が生じることがある。しかし本実施形態に係るリベット接合方法では、爆飛が生じないので、接着剤13の塗布箇所が限定されないという利点がある。リベット12と接着剤13とを併用することで接合継手の剛性を一層向上できる利点が得られる。また、リベット12と接着剤13とを併用することで、異種金属の接合や金属とCFRPとの接合において、重ね面の接触腐食を防止することができる。接着剤13の他に、シーラーを板材11の間に塗布してもよい。シーラーはリベット継手1の耐水性及び耐食性を高める。さらに、異種金属の接合の場合や、金属とCFRPとの接合の場合は、少なくとも片側の金属板に、リベット接合前に化成処理と塗装を施してもよい。これにより、異種材料間の接触腐食についてもさらに強く抑制し、耐食性を高めることができる。
リベット継手の製造方法が、図6A及び図6Bに示されるように、リベット12の頭部122と、頭部122に隣接した板材11とをプロジェクション溶接することをさらに備えてもよい。これにより得られるリベット継手1は、頭部122と板材11とを接合するプロジェクション溶接部14を有する。プロジェクション溶接部14は、リベット継手1に引張せん断応力が加えられた際に応力が一層分散させる効果を発揮し、これにより、リベット継手1のTSSが一層向上する。
なお、プロジェクション溶接は、板材11を重ね合わせる前に行っても、重ね合わせた後に行ってもよい。例えば図6A及び図6Bに示されるように、まずリベット12の軸部121を1枚の板材11の貫通孔111に通し、次にリベット12の頭部122と板材11とをプロジェクション溶接し、さらに残りの板材11の貫通孔111にリベット12の軸部121を通してもよい。この場合、プロジェクション溶接の後で板材11が重ね合わせられる。これにより、軸部121を重ねられた複数の板材11の貫通孔111に通すことができる。一方、まず複数の板材11を重ね合わせ、次に軸部121を複数の板材11の貫通孔111に通し、さらにリベット12の頭部122と板材11とをプロジェクション溶接してもよい。この場合、板材11を重ね合わせた後でプロジェクション溶接が行われることとなる。リベット継手1の製造装置に応じて、プロジェクション溶接を行うタイミングを適宜選択することができる。
プロジェクション溶接の条件は特に限定されないが、例えば、冷却後のリベット12において、プロジェクション溶接部14のビッカース硬さHP(HV)及び頭部122のビッカース硬さHB(HV)が下記式4を満たすように、プロジェクション溶接を行うことが好ましい。
1.4×HB≦HP≦3.2×HB :式4
ここでHPとは、図7に示されるように、頭部122と板材11との接触面から頭部122に向けて0.2mm離れた箇所において測定される、プロジェクション溶接部14のビッカース硬さである。なお、プロジェクション溶接部14は溶接金属から構成されていても、固相接合面から構成されていてもよい。いずれの場合であっても、プロジェクション溶接部14のビッカース硬さHPの測定箇所は上述の通りとすればよい。
プロジェクション溶接部14のビッカース硬さHPを1.4×HB以上とすることにより、引張せん断応力がリベット継手1に加えられた際に頭部122と板材11とが分離し難くなる。これにより、プロジェクション溶接部14の応力緩和効果を一層高めることができる。一方、プロジェクション溶接部14のビッカース硬さHPを3.2×HB以下とすることにより、プロジェクション溶接部14の低温割れを抑制し、プロジェクション溶接部14の応力緩和効果を一層高めることができる。なお、リベット12と板材11とをプロジェクション溶接する場合、図6Aに示されるように、プロジェクション溶接前のリベット12の頭部122の座面に突起1221を設けることが好ましい。座面とは、頭部122における、板材11と接触する面のことである。
次に、本発明の別の実施形態に係るリベット継手について説明する。本実施形態に係るリベット継手1は、図1Dに示されるように、それぞれに貫通孔111を有する、重ねられた複数の板材11と、軸部121、並びに軸部121の両端に設けられた頭部122及び変形部123を有し、軸部121が貫通孔111を貫通し、複数の板材11をかしめるリベット12と、を備える。ここで、リベット12の頭部122のビッカース硬さHB(HV)が130≦HB≦330を満たし、リベット12の変形部123のビッカース硬さHA(HV)、変形部123の厚みTA(mm)、軸部121の軸方向の中心かつ径方向の中心の箇所のビッカース硬さHJ(HV)、軸部121の直径DJ(mm)、頭部122のビッカース硬さHB(HV)、及び頭部122の厚みTB(mm)が、下記式A及び式Bを満たす。
HJ×DJ≧4.7×HB×TB :式A
HA×TA≧1.3×HB×TB :式B
複数の板材11の構成は特に限定されない。また、板材11に形成され、リベット12が挿通される貫通孔111の構成も特に限定されない。これらの具体例は、本実施形態に係るリベット継手の製造方法の説明において詳述された通りである。
複数の板材11における貫通孔111の直径(貫通孔111が円形でない場合は、円相当径)は、同一であってもよいし、相違してしてもよい。貫通孔111の大きさに差を設けることにより、応力緩和効果や、リベット12を通す作業の効率化が期待できる。貫通孔111の直径の相違の程度は特に限定されないが、例えば、隣接する板材11における貫通孔111の直径の差が0.3mm~3mmの範囲内であることが好ましい。
リベット12は、その軸部121が貫通孔111を貫通し、且つ、複数の板材11をかしめる部材である。そのため、リベット12は、軸部121の両端に設けられた頭部122及び変形部123を備える。軸部121は、複数の板材11の貫通孔111に挿通され、頭部122及び変形部123は複数の板材11を挟持し、これにより軸部121は複数の板材11をかしめ接合している。変形部123は、軸部121の先端が潰されることによって形成されている。なお頭部122と変形部123とは容易に判別可能であり、例えば、メタルフローや表面の酸化度合いからも判別可能である。または、ビッカース硬さが大きい方を変形部123とみなすこともできる。
リベット12の構成(形状、材質及び表面処理など)の具体例は、本実施形態に係るリベット継手の製造方法の説明において詳述された通りである。例えば、リベット12の炭素量は好ましくは0.08~0.40質量%である。リベット12の炭素量を0.10質量%以上、0.15質量%以上、又は0.17質量%以上としてもよい。リベット12の炭素量を0.350質量%以下、0.30質量%以下、又は0.25質量%以下としてもよい。また、リベット12の単位質量%でのC含有量、Mn含有量、及びB含有量が0.16≦C+(1/30)Mn+5B≦0.50を満たしてもよい。C+(1/30)Mn+5Bを0.18以上、0.20以上、又は0.25以上としてもよい。C+(1/30)Mn+5Bを0.48以下、0.45以下、又は0.35以下としてもよい。
リベット12においては、変形部123のビッカース硬さHA、変形部123の厚みTA、軸部121のビッカース硬さHJ、軸部121の直径DJ、頭部122のビッカース硬さHB、及び頭部122の厚みTBが、下記式A及びBを満たす。
HJ×DJ≧4.7×HB×TB :式A
HA×TA≧1.3×HB×TB :式B
これら数式に含まれる数値の測定方法は、リベット継手の製造方法において説明された方法と同じである。本発明者らの実験結果によれば、式A及び式Bを満たすように軸部121、頭部122、及び変形部の形状及び硬さを制御することにより、冷却後のリベット12において、頭部122が最も破断しやすくなることが確認された。
HJ×DJの下限値を、5.3×HB×TBとしてもよい。即ち、冷却後のリベット12の軸部121の軸方向の中心かつ径方向の中心の箇所のビッカース硬さHJ(HV)、軸部121の直径DJ(mm)、頭部122のビッカース硬さHB(HV)、及び頭部122の厚みTB(mm)が、下記式Cを満たしてもよい。
HJ×DJ≧5.3×HB×TB :式C
上記式Cが満たされる場合、軸部121における破断が一層抑制される。HJ×DJの下限値を、5.0×HB×TB、5.5×HB×TB、又は5.8×HB×TBとしてもよい。
HA×TAの下限値を、1.5×HB×TBとしてもよい。これにより、軸部121における破断が一層抑制される。HA×TAの下限値を、1.8×HB×TB、2.0×HB×TB、又は2.5×HB×TBとしてもよい。
また、リベット12においては、頭部122のビッカース硬さHBが、130≦HB≦330を満たす必要がある。頭部122のビッカース硬さHBが330超である場合、リベット12の破断の起点が、頭部122の外部となるおそれがある。一方、頭部122のビッカース硬さHBが130未満である場合、リベット継手1のTSSがかえって低下する。以上の理由により、頭部122のビッカース硬さHBは130以上330以下とされる。頭部122のビッカース硬さHBを135以上、150以上、又は180以上としてもよい。頭部122のビッカース硬さHBを300以下、280以下、又は250以下としてもよい。
リベット12は、その内部が焼き入れされていてもよい。これにより、リベット12において、軸方向の中心かつ径方向の中心の箇所のビッカース硬さ、即ち軸部121のビッカース硬さHJ(HV)が310以上590以下とされていてもよい。軸部121のビッカース硬さHJを310以上とすることにより、上述した式Aを満たすことが容易となる。一方、軸部121のビッカース硬さHJを590以下とすることにより、軸部121の脆化を回避して、リベット継手1のTSSを一層向上させることができる。軸部121のビッカース硬さHJを320以上、350以上、又は400以上としてもよい。軸部121のビッカース硬さHJを570以下、550以下、又は530以下としてもよい。
また、リベット12の変形部123のビッカース硬さHA(HV)を、310以上600以下としてもよい。変形部123のビッカース硬さHAを310以上とすることにより、上述の式Bを満たすことが容易となる。一方、変形部123のビッカース硬さHAを600以下とすることにより、変形部123の脆化を回避して、リベット継手1のTSSを一層向上させることができる。変形部123のビッカース硬さHAを320以上、350以上、又は400以上としてもよい。変形部123のビッカース硬さHAを580以下、550以下、又は530以下としてもよい。
複数の板材11のうち1枚以上が鋼板であってもよい。特に、板材11及びリベット12が高強度鋼(例えば引張強さが980MPa以上の鋼)である場合、リベット継手1の強度を飛躍的に高めることができる。なお、スポット溶接部とは異なり、リベット12は鋼材を脆化させず、従ってCTSの低下を生じさせない。また、通常のリベットとは異なり、本実施形態に係るリベット継手のリベット12は高いTSSを有するので、高強度鋼板の接合に適する。
また、リベット継手1が、少なくとも複数の板材11の間の貫通孔111の周辺に配された接着剤13をさらに有してもよい。リベット継手1が、スポット溶接部、レーザ溶接部、及びアーク溶接部からなる群から選択される一種以上の溶接部をさらに有してもよい。上述したように、複数の接合手段を組み合わせることにより、リベット継手1の継手強度を一層高めることができる。リベット継手1が、複数の板材11の間に配されたシーラーをさらに有してもよい。これによりリベット継手1の耐水性及び耐食性が高められる。また、接着層として、アイオノマーなどの樹脂接着テープを用いても良い。また、リベットの頭部及び/又は変形部を覆うようにシーラーを塗布しても良い。これにより、リベットの頭部及び/又は変形部と、金属又はCFRPとの隙間からの水の侵入を、防ぐことができる。
リベット12と、その他の接合手段とを併用したリベット継手1の例(バンパー)を図5に示す。図5に示されるように、衝突時に負荷される応力が高くなると予想される部位に、本実施形態に係るリベット12(図5における黒丸部分)を用いた接合を行い、その他の箇所では別の接合手段(例えば安価なスポット溶接によって形成されるスポット溶接部2)(図5における白丸部分)を採用してもよい。
本実施形態に係るリベット継手1では、リベット12が、軸部121の両端に配された頭部122及び変形部123を有する。ここで、図8~図10に示されるように、リベット12の軸部121の軸線に平行な断面視において、頭部122及び/又は変形部123の頂面が、軸部121の軸線に沿った方向において、リベット12の近傍の板材11の面から、軸部121から離れる側に向けて0.6mm離れた位置よりも、軸部121側にあってもよい。ここで、板材11の面(外面)とは、板材11において、他の板材と接していない面を意味する。これにより、頭部122及び/又は変形部123が板材11から突出することを抑制し(又は、突出部の高さを0.6mm以内に抑制し)、頭部122及び/又は変形部123と、その他の部品との干渉を抑制することができる。
図8及び図10の例では、リベット12の変形部123の頂面が、リベット12の近傍の板材の面112(外面)よりも、軸部121側にある。図9の例では、リベット12の頭部122及び変形部123の双方の頂面が、リベット12の近傍の板材それぞれに対して、これらの板材の面112(外面)よりも軸部121側にある。ここで、板材の面112(外面)とは、それぞれの板材において、他の板材と接していない方の面を意味する。なお、図8~図10では、頭部122及び/又は変形部123の頂面が、リベット12の近傍の板材の面112(外面)よりも軸部121側にあるが、頭部122及び/又は変形部123の頂面が最大で0.6mmだけ板材の面112からはみ出していてもよい。即ち、図8~図10において、頭部122及び/又は変形部123の頂面が、点線から0.6mm突出したとしても、他の部品との干渉を抑制する効果が得られる。
上述した手法により板材11を接合する前、あるいは、接合してから、板材11をプレス成形することで、頭部122及び/又は変形部123の頂面が、軸部121の軸線に沿った方向において、リベット12の近傍の板材11の面112から0.6mm離れた位置よりも、軸部121側にあるようにしてもよい。図8の例では、2枚の板材11のうち変形部123側に配されたものが、リベット12の近傍において、変形部123の側へ変形されている。図9の例では、2つの板材のうち頭部122側にあるものが、リベット12の近傍において頭部122側へ変形され、かつ、2つの板材のうち変形部123側にあるものが、リベット12の近傍において、変形部123側へ変形されている。図10の例では、2枚の板材11のうち変形部123側に配されたものが、リベット12の近傍において変形部123の側へ変形され、かつ、2枚の板材11のうち頭部122側に配されたものが、リベット12の近傍において、他方の板材11に対応して変形されている。なお、図8~図10に記載の破線は、板材の面112に一致する面を示す。
リベット継手1が、リベット12の頭部122と、頭部122に隣接した板材11とを接合するプロジェクション溶接部14をさらに備えてもよい。プロジェクション溶接部14は、リベット継手1に引張せん断応力が加えられた際に応力が一層分散させる効果を発揮し、これにより、リベット継手1のTSSが一層向上する。
プロジェクション溶接部14のビッカース硬さHP(HV)、及びリベット12の頭部122のビッカース硬さHB(HV)が下記式Dを満たしてもよい。
1.4×HB≦HP≦3.2×HB :式D
ここでHPとは、頭部122と板材11との接触面から頭部122に向けて0.2mm離れた箇所において測定される、プロジェクション溶接部14のビッカース硬さである。なお、プロジェクション溶接部14は溶接金属から構成されていても、固相接合面から構成されていてもよい。いずれの場合であっても、プロジェクション溶接部14のビッカース硬さHPの測定箇所は上述の通りとすればよい。HPは、荷重0.5kgfでビッカース硬さ測定をする。
プロジェクション溶接部14のビッカース硬さHPを1.4×HB以上とすることにより、引張せん断応力がリベット継手1に加えられた際に頭部122と板材11とが分離し難くなる。これにより、プロジェクション溶接部14の応力緩和効果を一層高めることができる。一方、プロジェクション溶接部14のビッカース硬さHPを3.2×HB以下とすることにより、プロジェクション溶接部14の割れを抑制し、プロジェクション溶接部14の応力緩和効果を一層高めることができる。
本発明の別の態様に係る自動車部品は、本実施形態に係るリベット継手を有する。これにより、本実施形態に係る自動車部品は、高い接合強度を有する。本実施形態に係る自動車部品とは、例えば、衝突安全性を確保するために重要な部材であるバンパー、及びBピラーである。図11に、本実施形態に係る自動車部品の一例であるBピラーの断面図を示す。図12に、本実施形態に係る自動車部品の一例であるバンパーの断面図を示す。また、Aピラー、サイドシル、フロアメンバー、フロントサイドメンバー、リアサイドメンバー、フロントサスタワー、トンネルリンフォース、ダッシュパネル、トルクボックス、シート骨格、シートレール、バッテリーケースのフレーム及びそれらのピラー同士の結合部(Bピラーとサイドシルの結合部、Bピラーとルーフレールの結合部、ルーフクロスメンバーとルーフレールの結合部)を、本実施形態に係る自動車部品としてもよい。
成分、形状、及び加工処理が異なる種々の鋼製のリベットを、ホットスタンプされた2枚の引張強さ2400MPaの高強度鋼板の貫通孔に挿通した。次いで、スポット溶接機を用いてこれらリベットに加圧及び通電して、リベット継手を作製した。一部のリベットに関しては、その頭部と鋼板とを接合するプロジェクション溶接を行った。
鋼板の板厚は1.6mmとした。鋼板の成分は0.45C-0.5Mn-,Si,Cr,Ti,Nb,B添加とした。リベッティングのために用いられた電極の材質は、Cr-Cu合金とした。リベットの接合条件、及びプロジェクション溶接条件は下記の通りとした。
●リベットの接合条件
・加圧力 :400kgf
・通電時間:0.30秒~0.50秒の範囲内で調整
・電流値 :5kA~10kAの範囲内で調整
・保持時間:0.5秒
●プロジェクション溶接条件
・加圧力 :400kgf
・通電時間:0.1秒
・電流値 :10kA~13kAの範囲内で調整
上述の手段によって得られた種々のリベット継手の変形部のビッカース硬さHA、変形部の厚みTA、軸部のビッカース硬さHJ、軸の直径DJ、頭部のビッカース硬さHB、及び頭部の厚みTBを、上述の手段によって測定し、表1に記載した。プロジェクション溶接を行ったリベット継手に関しては、プロジェクション溶接部のビッカース硬さHPも上述の手段によって測定し、表1に記載した。そして、上述の値が下記式を満たしているか否かの判定結果を、表2に記載した。
HJ×DJ≧4.7×HB×TB :式1(式A)
HA×TA≧1.3×HB×TB :式2(式B)
1.4×HB≦HP≦3.2×HB :式4(式D)
上述の手段によって得られた種々のリベット継手の引張せん断強さ(TSS)等を、引張せん断試験にて評価した。引張せん断試験は、JIS Z 3136:1999「抵抗スポット及びプロジェクション溶接継手のせん断試験に対する試験片寸法及び試験方法」に準拠して実施した。以下の2つの条件を満たすリベット継手を、TSSが安定的に高められたリベット継手と判定した。
(条件1)TSSが、1.3×DJ×TBを上回ること
(条件2)引張せん断試験によって形成された破断部が、リベットの頭部にあること
なお、破断部がリベットの頭部にあるか変形部にあるかは、試験後のリベットの破断部を観察することによって確認した。
条件1を満たしたリベット継手は、引張せん断応力に対する高い抵抗を有するとみなすことができる。なお、TSSはリベットの形状に大きく影響されるので、TSSが高められているか否かを判断するにあたっては、合否基準値を軸部121の直径DJ及び頭部122の厚みTBの関数とした。
また、条件2を満たしたリベット継手は、引張せん断応力が安定的に高められているとみなすことができる。破断部がリベットの変形部に形成されたリベット継手は、多数回の引張せん断試験を実施した場合にTSSがばらつくと推定されるので、たとえTSSが上記条件1を満たしていたとしても、TSSが安定的に高められたものとはみなされない。
Figure 0007307393000001
Figure 0007307393000002
頭部のビッカース硬さHB(HV)が130~330であり、且つ式1及び式2が満たされたリベット継手は、TSSが安定的に高められていた。
一方、頭部のビッカース硬さHBが過剰であり、さらに式2が満たされなかった例14では、破断部が変形部に形成された。例14は高いTSSを有していたが、例14の条件で複数個のリベット継手を製造した場合、TSSのばらつきが生じると推定される。
頭部のビッカース硬さHBが不足し、さらに式1が満たされなかった例15では、破断部が軸部に形成され、さらにTSSが極めて低かった。
式2が満たされなかった例16では、破断部が変形部に形成され、さらにTSSが低かった。
頭部のビッカース硬さHBが不足した例17では、TSSが低かった。破断部が頭部に形成されたので、例17のTSSは例15よりも若干高かったが、頭部のビッカース硬さHBが不足していたので、例17のTSSは合否基準に満たなかった。
1 リベット継手
11 板材
111 貫通孔
112 板材の面
12 リベット
121 軸部
122 頭部
1221 突起
123 変形部
13 接着剤
14 プロジェクション溶接部
2 スポット溶接部
A 電極
HA 変形部123のビッカース硬さ
TA 変形部123の厚み
HJ 軸部121のビッカース硬さ
DJ 軸部121の直径
HB 頭部122のビッカース硬さ
TB 頭部122の厚み

Claims (18)

  1. 軸部及び頭部を有する鋼製のリベットの前記軸部を、重ねられた複数の板材の貫通孔に通すこと、
    前記リベットを、前記リベットの軸方向に一対の電極の間に挟むこと、
    一対の前記電極で、前記リベットを加圧及び通電して、前記軸部の先端に変形部を形成すること、及び、
    前記リベットを冷却すること
    を備え、
    冷却後の前記リベットの前記頭部のビッカース硬さHB(HV)が130≦HB≦330を満たし、
    冷却後の前記リベットの前記変形部のビッカース硬さHA(HV)、前記変形部の厚みTA(mm)、前記軸部の前記軸方向の中心かつ径方向の中心の箇所のビッカース硬さHJ(HV)、前記軸部の直径DJ(mm)、前記頭部のビッカース硬さHB(HV)、及び前記頭部の厚みTB(mm)が、下記式1及び式2を満たす
    リベット継手の製造方法。
    HJ×DJ≧4.7×HB×TB :式1
    HA×TA≧1.3×HB×TB :式2
  2. 冷却後の前記リベットの前記軸部の前記軸方向の中心かつ径方向の中心の箇所のビッカース硬さHJ(HV)、前記軸部の直径DJ(mm)、前記頭部のビッカース硬さHB(HV)、及び前記頭部の厚みTB(mm)が、下記式3を満たすことを特徴とする請求項1に記載のリベット継手の製造方法。
    HJ×DJ≧5.3×HB×TB :式3
  3. 冷却後の前記リベットの前記変形部のビッカース硬さHA(HV)が、310≦HA≦600を満たし、
    冷却後の前記リベットの前記軸部の前記軸方向の中心かつ前記径方向の中心の前記箇所のビッカース硬さHJ(HV)が310≦HJ≦590である
    ことを特徴とする請求項1又は2に記載のリベット継手の製造方法。
  4. 前記リベットの前記頭部と、前記頭部に隣接した前記板材とをプロジェクション溶接すること
    をさらに備える請求項1又は2に記載のリベット継手の製造方法。
  5. 冷却後の前記リベットにおいて、前記プロジェクション溶接によって形成されるプロジェクション溶接部のビッカース硬さHP(HV)、及び前記頭部のビッカース硬さHB(HV)が、下記式4を満たすことを特徴とする請求項4に記載のリベット継手の製造方法。
    1.4×HB≦HP≦3.2×HB :式4
  6. 複数の前記板材のうち1枚以上が、引張強さ1180MPa以上の高強度鋼板であることを特徴とする請求項1又は2に記載のリベット継手の製造方法。
  7. 前記リベットのC含有量が0.08~0.40質量%であることを特徴とする請求項1又は2に記載のリベット継手の製造方法。
  8. 前記リベットのC含有量、Mn含有量、及びB含有量が0.16≦C+(1/30)Mn+5B≦0.50を満たすことを特徴とする請求項1又は2に記載のリベット継手の製造方法。
  9. それぞれに貫通孔を備える、重ねられた複数の板材と、
    軸部、並びに前記軸部の両端に設けられた頭部及び変形部を有し、前記軸部が前記貫通孔を貫通し、前記複数の板材をかしめる鋼製のリベットと、
    を備え、
    前記リベットの前記頭部のビッカース硬さHB(HV)が130≦HB≦330を満たし、
    前記リベットの前記変形部のビッカース硬さHA(HV)、前記変形部の厚みTA(mm)、前記軸部の軸方向の中心かつ径方向の中心の箇所のビッカース硬さHJ(HV)、前記軸部の直径DJ(mm)、前記頭部のビッカース硬さHB(HV)、前記頭部の厚みTB(mm)が、下記式A及び式Bを満たすリベット継手。
    HJ×DJ≧4.7×HB×TB :式A
    HA×TA≧1.3×HB×TB :式B
  10. 前記リベットの前記軸部の前記軸方向の中心かつ径方向の中心の箇所のビッカース硬さHJ(HV)、前記軸部の直径DJ(mm)、前記頭部のビッカース硬さHB(HV)、及び前記頭部の厚みTB(mm)が、下記式Cを満たすことを特徴とする請求項9に記載のリベット継手。
    HJ×DJ≧5.3×HB×TB :式C
  11. 前記リベットの前記変形部のビッカース硬さHA(HV)が310≦HA≦600を満たし、
    前記リベットの前記軸部の前記軸方向の中心かつ径方向の中心の箇所のビッカース硬さHJ(HV)が310≦HJ≦590を満たす
    ことを特徴とする請求項9に記載のリベット継手。
  12. 前記リベットの前記頭部と、前記頭部に隣接した前記板材とを接合するプロジェクション溶接部をさらに備えることを特徴とする請求項9に記載のリベット継手。
  13. 前記プロジェクション溶接部のビッカース硬さHP(HV)、及び前記リベットの前記頭部のビッカース硬さHB(HV)が下記式Dを満たすことを特徴とする請求項12に記載のリベット継手。
    1.4×HB≦HP≦3.2×HB :式D
  14. 複数の前記板材のうち1枚以上が、引張強さ1180MPa以上の高強度鋼板であることを特徴とする請求項9のいずれか一項に記載のリベット継手。
  15. 前記リベットのC含有量が0.08~0.40質量%であることを特徴とする請求項9に記載のリベット継手。
  16. 前記リベットのC含有量、Mn含有量、及びB含有量が0.16≦C+(1/30)Mn+5B≦0.50を満たすことを特徴とする請求項9に記載のリベット継手。
  17. 請求項9~16のいずれか一項に記載のリベット継手を備える自動車部品。
  18. バンパー、又はBピラーであることを特徴とする請求項17に記載の自動車部品。
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