JP7306982B2 - 防振装置およびこれを備えた産業用機械 - Google Patents

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本発明は、防振装置およびこれを備えた産業用機械に関する。
建設機械、農業機械等の産業用機械、および自動車等において、車体がエンジンから振動を受けると、当該振動が運転者らに伝播して乗り心地を悪化させる。そこで、車体がエンジンから受ける振動を抑制するため、車体とエンジンとの間に、防振装置が設けられている。
例えば、特許文献1には、防振装置として、フレームとエンジンとを電気的に接続する導電性吸振部と、前記吸振部の外面を覆って電磁波を吸収する電磁波吸収部とを有するエンジンマウントゴムが開示されている。
また、特許文献1には、導電性吸振部の素材として、アクリルニトリルブタジエンゴム、天然ゴム、クロロプレンゴム等に導電性充填剤を添加した導電性ゴムが開示されており、電磁波吸収部の素材として、フェライト焼結体を含むゴム等が開示されている。
特開2000-356246号公報(2000年12月26日公開) 国際公開第2012/033052号(2012年3月15日公開)
近年、前記産業用機械においても、出力増加、装置のコンパクト化等に伴い、エンジンルーム内の温度は上昇する傾向にある。そのため、防振装置の高耐熱性および高耐久性が求められている。
一方、北米地域等の寒冷地においては、産業用機械に対し、-30℃を下回るような低温環境下でも稼働できることが求められる。それゆえ、防振装置には、耐熱性と低温特性との両立が求められる。
しかし、特許文献1には、振動の減衰、および電磁波の低減については記載されているものの、耐熱性および低温特性については何ら言及されていない。
また、一般的に、防振措置には、動特性、耐久性、コスト等の観点から、天然ゴム、スチレンブタジエンゴム等のジエン系ゴムが使用されるが、ジエン系ゴムは一般に耐熱性に乏しい。そうであるにも関わらず、防振装置はエンジン等の熱源の近辺で用いられるため、高温環境下での長期使用に伴って、硬化、クリープ変形(いわゆる「へたり」)、破断等の劣化現象を生じ、防振特性が低下してゆくという問題がある。つまり、ジエン系ゴムには、高温環境下における耐久性に問題がある。
当該問題を解決すべく、近年では、耐熱性に優れるクロロプレンゴムを用いた防振装置も開発されている(例えば、特許文献2)。しかし、クロロプレンゴムは低温特性に問題があり、低温環境下ではガラス化、低温硬化等により硬度が大きく上昇し、防振機能を果たさないという問題がある。
このように、耐熱性と低温特性とを両立し得た防振装置は、未だ開発されていないのが現状である。
そこで、本発明の一態様は、耐熱性および低温特性に優れた防振装置を提供することを目的とする。
本発明者らは、前記課題を解決すべく鋭意検討した結果、低温特性に優れる耐寒性防振ゴムと、高温特性に優れる耐熱性防振ゴムと、を少なくとも備える防振装置が、低温環境下および高温環境下のいずれにおいても高い防振性を示すという新規知見を見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下の態様を含む。
<1>加振源を支持する防振装置であって、
ガラス転移温度が-45℃以下であること、および/または、
JIS K6394:2007に準拠した方法によって動的粘弾性を測定した際の損失正接のピーク温度が-35℃以下であること、を満たす耐寒性防振ゴムと、
JIS K6262:2013に準拠した方法によって、試験時間を72時間、試験温度を100℃とした条件下で測定した圧縮永久ひずみが40%以下であること、および/または、
JIS K6257:2017に準拠した方法によって、試験時間を72時間、試験温度を100℃とした条件下で熱老化性試験を行った後、JIS K6253-3:2012に準拠した方法によって、デュロメータ硬さを測定したときの、前記熱老化性試験を行う前のデュロメータ硬さに対する硬度変化が±5ポイント以内であること、を満たす耐熱性防振ゴムと、を少なくとも備える防振装置。
<2>前記加振源を前記防振装置に取り付けるための支持体を、前記耐寒性防振ゴムと、前記耐熱性防振ゴムとで挟持することによって前記加振源を支持する、<1>に記載の防振装置。
<3>前記耐寒性防振ゴムがジエン系ゴムであり、前記耐熱性防振ゴムが非ジエン系ゴムである、<1>または<2>に記載の防振装置。
<4>前記耐寒性防振ゴムが、天然ゴム、ポリイソプレンゴム、スチレンブタジエンゴム、およびポリブタジエンゴムからなる群より選ばれる1以上のジエン系ゴムである、<1>から<3>のいずれか1つに記載の防振装置。
<5>前記耐熱性防振ゴムが、クロロプレンゴム、エチレンプロピレンゴム、エチレンプロピレンジエンターポリマー、アクリルゴム、エピクロルヒドリンゴムおよびシリコーンゴムからなる群より選ばれる1以上の非ジエン系ゴムである、<1>から<4>のいずれか1つに記載の防振装置。
<6>前記耐熱性防振ゴムに負荷される前記加振源の荷重が、前記耐寒性防振ゴムに負荷される前記加振源の荷重よりも多くなるように、前記加振源に対して配置される、<1>から<5>のいずれか1つに記載の防振装置。
<7>前記加振源1つに対して2個以上5個以下配置されることによって前記加振源を支持する、<1>から<6>のいずれか1つに記載の防振装置。
<8>前記加振源がエンジンである、<7>に記載の防振装置。
<9><1>から<8>のいずれか1つに記載の防振装置を備えた、産業用機械。
<10><9>に記載の産業用機械が、建設機械、または農業機械である、産業用機械。
<11>前記防振装置がエンジンマウントである、<9>または<10>に記載の産業用機械。
本発明の一態様によれば、低温環境下および高温環境下のいずれにおいても高い防振性を示す防振装置を提供することができる。
本発明の一実施形態に係るエンジンマウントの構造の一例を示す模式図である。 実施例で用いた防振装置の、低温環境下における防振特性を示す図である。 比較例で用いた防振装置の、低温環境下における防振特性を示す図である。 本発明の一実施形態に係る防振装置が備える耐熱性防振ゴムおよび耐寒性防振ゴムに対して負荷される加振源の荷重の例を示す図である。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。ただし、本発明はこれに限定されるものではなく、記述した範囲内で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。なお、本明細書において特記しない限り、数値範囲を表す「A~B」は、「A以上、B以下」を意味する。
〔1.本発明の概要〕
本発明の一実施形態に係る防振装置は、加振源を支持する防振装置であって、
ガラス転移温度が-45℃以下であること、および/または、
JIS K6394:2007に準拠した方法によって動的粘弾性を測定した際の損失正接のピーク温度が-35℃以下であること、を満たす耐寒性防振ゴムと、
JIS K6262:2013に準拠した方法によって、試験時間を72時間、試験温度を100℃とした条件下で測定した圧縮永久ひずみが40%以下であること、および/または、
JIS K6257:2017に準拠した方法によって、試験時間を72時間、試験温度を100℃とした条件下で熱老化性試験を行った後、JIS K6253-3:2012に準拠した方法によって、デュロメータ硬さを測定したときの、前記熱老化性試験を行う前のデュロメータ硬さに対する硬度変化が±5ポイント以内であること、を満たす耐熱性防振ゴムと、を少なくとも備える。
加振源には、通常、複数箇所にそれぞれ防振装置が配置され、加振源を支持している。前記防振装置の種類が配置される箇所ごとに異なることは、特に珍しいことではない。例えば、エンジンの前後に防振ゴムとして配置される天然ゴムの硬度、当該天然ゴムの静的ばね定数等がそれぞれ異なること等は、通常見られることである。
しかし、従来、製造、管理等が煩雑になること等の観点から、前記複数箇所の一箇所に着目した場合、当該一箇所を支持する防振装置として、異なる二種以上の防振装置を用いることは試みられていなかった。
例えば、前記一箇所を2つ以上の防振ゴムによって挟持し、加振源を支持する場合、各防振ゴムとしては、従来、一種類の防振ゴムが用いられており、わざわざ異なる組成の防振ゴムを用いることは試みられていなかった。
一方、前述したように、ジエン系ゴムを防振ゴムとして用いた場合は高温環境下での耐久性に問題があり、クロロプレンゴムを防振ゴムとして用いた場合は、低温環境下での防振性に問題があった。
今回、前記課題を解決すべく、本発明者が所定の耐熱性防振ゴムと、所定の耐寒性防振ゴムとを備えた防振装置の防振特性を検討したところ、高温環境下での長期耐久性と低温環境下での防振性とを両立することができることが明らかとなった。
よって、本発明によれば、エンジンルーム内の高温化に対応し、かつ、寒冷地でのエンジン稼働時(特に始動時)の振動を大幅に低減することができるため、産業用機械の設計の自由度を向上させることができる。このような効果は、耐熱性防振ゴムおよび耐寒性防振ゴムの個々の特性からは予測することができない、驚くべき効果であると言える。
〔2.防振装置〕
本願明細書中、「加振源を支持する」とは、防振装置に負荷される前記加振源の荷重を支持することである。前記加振源としては、例えば、エンジン、ポンプ、コンプレッサー、発電機等が挙げられる。
本願明細書中、「耐寒性防振ゴム」とは、ガラス転移温度が-45℃以下であること、および/または、JIS K6394:2007に準拠した方法によって動的粘弾性を測定した際の損失正接のピーク温度が-35℃以下であることを満たすゴムのことである。
前記ガラス転移温度は、低温環境下で加振源を稼働させた際の防振性をさらに向上させることができるため、好ましくは-48℃以下であり、より好ましくは-50℃以下である。ガラス転移温度の下限は、特に限定されないが、例えば、-130℃以上である。
前記損失正接のピーク温度は、前記ガラス転移温度と同じ理由により、好ましくは-38℃以下であり、より好ましくは-40℃以下である。前記損失正接のピーク温度の下限は、特に限定されないが、例えば、-130℃以上である。
低温環境下で加振源を稼働させた際の防振性を向上させるという観点からは、前記耐寒性防振ゴムは、ガラス転移温度が-45℃以下という要件、もしくは、前記損失正接のピーク温度が-35℃以下という要件のいずれかを充足していればよい。一方、前記防振性をより向上させるという観点からは、前記要件のいずれをも充足することがさらに好ましい。
前記耐寒性防振ゴムは、室温での動倍率が2.0以下であることが好ましい。動倍率が2.0以下である場合、前記加振源を稼働させた際の防振性に優れるため好ましい。前記動倍率は、好ましくは1.8以下であり、より好ましくは1.7以下である。動倍率の下限は、特に限定されないが、例えば、1.0以上である。
前記ガラス転移温度は、例えば示差走査熱量計(DSC)によって測定することができる。
「JIS K6394:2007に準拠した方法によって動的粘弾性を測定した際の損失正接のピーク温度」は、JIS K6394:2007に準拠した方法によって動的粘弾性を測定することによって求めることができる。
「JIS K6394:2007に準拠した方法」とは、JIS K6394:2007に規定された方法の他、当該方法に準じた方法も含むことを意味する。つまり、「準拠した方法」とは、後述するJISに規定の方法も含め、例えばJIS K6394:2007に規定された方法と厳密に同一ではなくとも、JIS K6394:2007の趣旨を逸脱しない測定ができる方法であればよいとの意味である。「JIS K6394:2007に準拠した方法」としては、例えば、後述する実施例にて行った方法を挙げることができる。
なお、実施例では、測定温度の範囲を-80℃~60℃としたが、測定温度の範囲は、前記損失正接のピーク温度を検出できる温度範囲である必要がある。そのため、測定温度の範囲は、「前記損失正接のピーク温度が-35℃以下」という要件を含む温度範囲であり、かつ、広い方が好ましい。それゆえ、測定温度の範囲は、例えば、-120℃~60℃の範囲としてもよい。
動倍率は、動的ばね定数(貯蔵ばね定数)と静的ばね定数との比であり、例えばJIS K6385:2012に規定の「a)非共振方法の1)」の方法によって測定することができる。また、動的ばね定数は、JIS K6394:2007 附属書1の方法によって求めることができる。
ただし、動倍率の測定は、前記JIS K6385:2012およびJIS K6394:2007 附属書1に準拠した方法に基づいて行えばよい。すなわち、前記JIS K6385:2012およびJIS K6394:2007 附属書1に準じた方法であっても、前記動倍率の測定を行うことができる。例えば、後述する実施例に記載した方法によって動倍率を測定することができる。
本願明細書中、「耐熱性防振ゴム」とは、JIS K6262:2013に準拠した方法によって、試験時間を72時間、試験温度を100℃とした条件下で測定した圧縮永久ひずみが40%以下であること、および/または、JIS K6257:2017に準拠した方法によって、試験時間を72時間、試験温度を100℃とした条件下で熱老化性試験を行った後、JIS K6253-3:2012に準拠した方法によって、デュロメータ硬さを測定したときの、熱老化試験前に対する硬度変化が±5ポイント以内であること、を満たすゴムのことである。
前記圧縮永久ひずみは、高温環境下での前記防振装置の耐久性をさらに向上させることができるため、好ましくは38%以下であり、より好ましくは35%以下である。前記圧縮永久ひずみの下限は、特に限定されないが、例えば、5%以上である。
前記耐熱性防振ゴムの硬度変化としては、高温環境下での前記防振装置の耐久性をさらに向上させることができるため、好ましくは±5ポイント以内であり、より好ましくは±3ポイント以内である。
高温環境下での前記防振装置の耐久性を向上させるという観点からは、前記耐熱性防振ゴムは、前記圧縮永久ひずみが40%以下という要件、もしくは前記硬度変化が±5ポイント以内という要件のいずれかを充足していればよい。一方、前記耐久性をより向上させるという観点からは、前記要件のいずれをも充足することがさらに好ましい。
前記耐熱性防振ゴムは、室温での動倍率が2.0以下であることが好ましい。動倍率が2.0以下である場合、前記加振源を稼働させた際の防振性に優れるため好ましい。前記動倍率は、好ましくは1.8以下であり、より好ましくは1.7以下である。動倍率の下限は、特に限定されないが、例えば、1.0以上である。
前記圧縮永久ひずみは、JIS K6262:2013に準拠した方法によって、試験時間を72時間、試験温度を100℃とした条件下で測定する。試験はJIS K6262:2013に記載のA法によって終了とする。
なお、JIS K6262:2013に準拠した方法とは、JIS K6262:2013に規定された方法の他、当該方法に準じた方法も含むことを意味する。JIS K6262:2013に準拠した方法としては、例えば、後述する実施例に記載した方法を挙げることができる。
前記熱老化性試験は、JIS K6257:2017に準拠した方法によって、試験時間を72時間、試験温度を100℃とした条件下で行う。JIS K6257:2017に準拠した方法とは、JIS K6257:2017に規定された方法の他、当該方法に準じた方法も含むことを意味する。
前記熱老化性試験の方法としては、例えば、試験時間を72時間、試験温度を100℃とした条件下で、JIS K6257:2017に規定のAtA-1の方法を行うことが挙げられる。
前記熱老化性試験を行う前に、JIS K6253-3:2012に準拠した方法によって、本発明の一実施形態に係る防振装置のデュロメータ硬さを測定しておく。そして、前記熱老化性試験を行った後の、前記防振装置の前記デュロメータ硬さを測定する。さらに、前記熱老化性試験を行った後の前記防振装置の前記デュロメータ硬さと、前記熱老化性試験を行う前の前記防振装置の前記デュロメータ硬さとを比較し、硬度変化を求める。
なお、JIS K6253-3:2012に準拠した方法とは、JIS K6253-3:2012に規定された方法の他、当該方法に準じた方法も含むことを意味する。JIS K6253-3:2012に準拠した方法としては、例えば、後述する実施例に記載した方法を挙げることができる。
前記耐寒性防振ゴムは、前記耐熱性防振ゴムと共に用いることにより、本発明の一実施形態に係る防振装置に対し、例えば-30℃を下回るような低温環境下で加振源を稼働させた場合でも優れた防振性を発揮させることができる。
つまり、前記耐寒性防振ゴムは、前記防振装置の低温特性を大きく向上させることができる。それゆえ、前記加振源を搭載した産業用機械等の乗り心地を向上させることができ、振動による他部品への不具合(ねじの緩み、溶接部の疲労等)を抑制することができる。
前記特性を充足する耐熱性防振ゴムは、前述した耐寒性防振ゴムと共に用いることにより、前記防振装置に対し、例えば100℃を上回るような高温環境下で長期間使用した場合でも優れた耐久性を付与することができる。
すなわち、前記特性を充足する耐熱性防振ゴムは、前記防振装置を構成するゴムの熱による劣化を抑制することにより、前記防振装置の硬化、へたり等を抑制し、長期に渡って防振性を発揮することができる。
したがって、前記防振装置は、低温環境下における優れた防振性と、高温環境下における耐久性とを両立することができ、幅広い温度帯において優れた防振性を発揮することができる。
前記耐寒性防振ゴムと、前記耐熱性防振ゴムとは混合されておらず、それぞれ独立した形態で存在し、前記防振装置を構成している。
よって、通常であれば、当該防振装置を前記低温環境下にて使用した場合、前記耐寒性防振ゴムの部分はガラス化しないが、前記耐熱性防振ゴムの部分がガラス化してしまい、防振装置全体としては満足な防振性を発揮できないのではないかとも予想される。
また、通常であれば、当該防振装置を前記高温環境下にて使用した場合、前記耐熱性防振ゴムの熱による劣化が抑制されても、前記耐寒性防振ゴムの部分が熱によって劣化してしまい、防振装置全体としては満足な防振性を発揮できないのではないかとも予想される。
しかし、今回、前記予想とは異なり、前記耐寒性防振ゴムと、前記耐熱性防振ゴムとが互いに異なる機能を発揮し、低温環境下における優れた防振性と、高温環境下における耐久性とを両立することができるという効果を奏することが明らかとなった。これは、詳細なメカニズムは不明であるが、前記耐寒性防振ゴムと、前記耐熱性防振ゴムとが互いに、環境温度による他方のゴムへの過剰な負荷を緩和していることによると推察される。
この効果は、前記耐寒性防振ゴムと、前記耐熱性防振ゴムとによる相乗的な効果と言え、単なる相加的な効果ではない。そのため、当該効果は、単に耐寒性防振ゴムと耐熱性防振ゴムとを組み合わせることによって予測できる効果ではない。
本発明の一実施形態に係る防振装置は、前記加振源を前記防振装置に取り付けるための支持体を、前記耐寒性防振ゴムと、前記耐熱性防振ゴムとで挟持することによって前記加振源を支持する。
防振装置が前記構成を備えていれば、前記耐寒性防振ゴムと、前記耐熱性防振ゴムとがそれぞれ独立した状態で、加振源と防振装置とを容易に結合させることができる。
よって、低温環境下における優れた防振性と、高温環境下における耐久性とを、より容易に両立することができる。
前記支持体としては、例えば、ブラケット等が挙げられる。支持体の材質は特に限定されるものではなく、鉄鋼、炭素鋼、ステンレス、アルミニウム、真鍮、プラスチック等を用いることができる。
前記支持体は、別部材として前記加振源に取り付けたものでもよく、前記加振源の一部分であってもよい。
図1は、本発明の一実施形態に係る防振装置としてのエンジンマウントの構造の一例を示す模式図である。前記挟持の態様の一例を、図1を用いて説明する。
エンジンマウント1は、上側マウントゴム2および下側マウントゴム3を備える。そして、加振源であるエンジン4から突出したエンジン側ブラケット5(前記支持体に該当)を、上側マウントゴム2と、下側マウントゴム3とで挟持し、下側マウントゴム3を、ストッパー7を介して車体側ブラケット6に載置した状態で、上側マウントゴム2、下側マウントゴム3、ストッパー7、エンジン側ブラケット5および車体側ブラケット6を、締結用ボルト8によって締結する。
なお、上側マウントゴム2、下側マウントゴム3、エンジン側ブラケット5、車体側ブラケット6およびストッパー7は、締結用ボルト8を通すための穴をそれぞれ備える。
これによって、前記加振源を前記防振装置に取り付けるための支持体であるエンジン側ブラケット5が、上側マウントゴム2と、下側マウントゴム3とで挟持され、加振源であるエンジン4が、エンジンマウント1によって支持される。ただし、前記挟持の態様は、図1に示す態様に限られるものではない。
なお、締結用ボルト8による締結によって、上側マウントゴム2および下側マウントゴム3が圧縮される。このとき、上側マウントゴム2および下側マウントゴム3の圧縮率は、エンジン4を安定的に支持する観点から、10~40%であることが好ましく、20~25%であることがより好ましい。
前記圧縮率とは、前記締結を行っている場合の上側マウントゴム2または下側マウントゴム3の高さAの、前記締結を行っていない場合の上側マウントゴム2または下側マウントゴム3の高さBに対する割合をいう。
前記高さAは、図1中、ストッパー7に接している上側マウントゴム2または下側マウントゴム3の面から、エンジン側ブラケット5に接している上側マウントゴム2または下側マウントゴム3の面までの距離である。前記高さBは、前記締結を行っていない場合の前記距離である。
上側マウントゴム2と、下側マウントゴム3とは、いずれかが前記耐寒性防振ゴムであり、他方が前記耐熱性防振ゴムであればよい。
一方、本発明の一実施形態に係る防振装置は、前記耐熱性防振ゴムに負荷される前記加振源の荷重が、前記耐寒性防振ゴムに負荷される前記加振源の荷重よりも多くなるように、前記加振源に対して配置されることが好ましい。
例えば図1に示すエンジンマウント1では、エンジン4の荷重は、上側マウントゴム2には実質的に負荷されておらず、エンジン側ブラケット5を介して、大部分が下側マウントゴム3に負荷されている。このとき、上側マウントゴム2として前記耐寒性防振ゴムを用い、下側マウントゴム3として前記耐熱性防振ゴムを用いることが好ましい。
下側マウントゴム3には、エンジン4の荷重が強く負荷され、かつ、エンジン4からの熱が多く負荷される。よって、下側マウントゴム3は、上側マウントゴム2よりも過酷な環境下で使用されると言える。
それゆえ、下側マウントゴム3として前記耐熱性防振ゴムを用い、エンジンマウント1を、前記耐熱性防振ゴムに負荷される前記加振源の荷重が、前記耐寒性防振ゴムに負荷される前記加振源の荷重よりも多くなるように、エンジン4に対して配置することが好ましい。
これにより、前記耐熱性防振ゴムによる高温環境下での硬化、へたり等の抑制効果、および前記耐寒性防振ゴムによる低温環境下での優れた防振性を、より効果的に得ることができる。
なお、下側マウントゴム3として前記耐寒性防振ゴムを用い、上側マウントゴム2として前記耐熱性防振ゴムを用いた場合も、エンジンマウント1が、前記耐熱性防振ゴムによる高温環境下での硬化、へたり等の抑制効果、および前記耐寒性防振ゴムによる低温環境下での優れた防振性を奏することは可能である。
ただし、耐熱性に劣る前記耐寒性防振ゴムが前記過酷な環境側にて用いられるため、長期間使用した場合の硬化、へたり等の抑制効果は、下側マウントゴム3として前記耐熱性防振ゴムを用い、上側マウントゴム2として前記耐寒性防振ゴムを用いた場合よりも劣る。その結果、エンジンマウント1の寿命は相対的に短くなる。
図4は、本発明の一実施形態に係る防振装置が備える耐熱性防振ゴムおよび耐寒性防振ゴムに対して負荷される加振源の荷重の例を示す図である。図4において、符号は図1と同じ意味を表す。ただし、ストッパー7および締結用ボルト8の記載は省略している。
図4の右側に示すエンジンマウント1は、エンジン4に対して傾斜させて配置されているが、下側マウントゴム3に負荷されるエンジン4の荷重が、上側マウントゴム2に負荷されるエンジン4の荷重よりも多くなるように、エンジン4に対して配置されている。
よって、このとき、下側マウントゴム3として前記耐熱性防振ゴムを用い、上側マウントゴム2として前記耐寒性防振ゴムを用いることによって、高温環境下での硬化、へたり等の抑制効果、および前記耐寒性防振ゴムによる低温環境下での優れた防振性を十分に得ることができる。
一方、図4の左側に示すエンジンマウント1は、エンジン4に対して垂直に設置されている。このとき、上側マウントゴム2および下側マウントゴム3には、エンジン4の荷重が均等にかかる。そのため、左側に示す下側マウントゴム3は、右側に示す下側マウントゴム3とは異なり、エンジン4の荷重が強く負荷され、かつ、エンジン4からの熱が多く負荷されるという環境にはないことになる。
一方、前述したように、耐熱性防振ゴムは、エンジン4の荷重が強く負荷され、かつ、エンジン4からの熱が多く負荷される環境下で使用されることが好ましい。それゆえ、図4の左側に示すエンジンマウント1のように、下側マウントゴム3および上側マウントゴム2に均等に前記加振源の荷重が負荷されている場合は、下側マウントゴム3および上側マウントゴム2のいずれに耐熱性防振ゴムを使用した場合でも、耐熱性防振ゴムの特性を十分に発揮させることができないため、図1、図4の右側に示すエンジンマウント1の配置に比べると好ましい態様とは言えない。
ただし、図4の左側に示すエンジンマウント1の配置であっても、図1に示す下側マウントゴム3として前記耐寒性防振ゴムを用い、上側マウントゴム2として前記耐熱性防振ゴムを用いた場合に比べると、長期間使用した場合の硬化、へたり等の抑制効果および低温環境下での防振性は優れると考えられる。
本発明の一実施形態に係る防振装置は、前記耐寒性防振ゴムがジエン系ゴムであり、前記耐熱性防振ゴムが非ジエン系ゴムであることが好ましい。
防振装置を構成するゴムが前記のゴムであれば、低温環境下であっても硬化を抑制でき、かつ、高温環境下であっても熱劣化を抑制できる防振装置を提供することができる。
本発明の一実施形態に係る防振装置は、前記耐寒性防振ゴムが、天然ゴム、ポリイソプレンゴム、スチレンブタジエンゴム、およびポリブタジエンゴムからなる群より選ばれる1以上のジエン系ゴムであることが好ましい。
前記ジエン系ゴムは単独で用いてもよく、2種類以上のジエン系ゴムの混合物を用いてもよい。前記混合物を用いる場合、前記ジエン系ゴムの混合比率は、耐寒性防振ゴムとしての効果が損なわれない限り、特に限定されない。
前記ジエン系ゴムとしては、低温環境下での硬化をより効果的に抑制することができるという観点から、好ましくは天然ゴム、ポリイソプレンゴム、スチレンブタジエンゴムおよびポリブタジエンゴムであり、より好ましくは天然ゴムおよびスチレンブタジエンゴムである。これらは単独で用いても良いが、混合物として使用することが特に好ましい。
本発明の一実施形態に係る防振装置は、前記耐熱性防振ゴムが、クロロプレンゴム、エチレンプロピレンゴム、エチレンプロピレンジエンターポリマー、アクリルゴム、エピクロルヒドリンゴムおよびシリコーンゴムからなる群より選ばれる1以上の非ジエン系ゴムであることが好ましい。
前記非ジエン系ゴムは単独で用いてもよく、2種類以上の非ジエン系ゴムの混合物を用いてもよい。前記混合物を用いる場合、前記非ジエンゴムの混合比率は、耐熱性防振ゴムとしての効果が損なわれない限り、特に限定されない。
前記非ジエン系ゴムとしては、高温環境下での熱劣化をより効果的に抑制することができるという観点から、好ましくはクロロプレンゴム、エチレンプロピレンゴム、エチレンプロピレンジエンターポリマー、およびシリコーンゴムであり、より好ましくはクロロプレンゴムおよびエチレンプロピレンジエンターポリマーである。
本発明の一実施形態に係る防振装置は、本発明の効果を損なわない限り、ゴム工業にて通常用いられる配合剤を含有していてもよい。
前記配合剤としては、例えば、硫黄、有機過酸化物等の架橋剤;グアニジン系、スルフェンアミド系等の架橋促進剤;亜鉛華等の架橋促進(助)剤;ステアリン酸等の加工助剤;シラン系、チタネート系等のカップリング剤;IPPD、TMDQ等の老化防止剤;カーボンブラック、シリカ、炭酸カルシウム等の充填剤;補強剤;軟化剤;可塑剤;粘着付与剤;スコーチ防止剤等を使用することができる。
本発明の一実施形態に係る防振装置は、前記加振源1つに対して2個以上5個以下配置されることによって前記加振源を支持することが好ましい。防振装置が加振源1つに対して前記範囲内の数であれば、加振源を安定した状態で支持することができる。
低温環境下での防振性および高温環境下での耐久性をより安定的に得る観点からは、前記加振源1つに対する前記防振装置の数は多いほど好ましいが、5個以下で十分である。前記防振装置は、前記加振源に対し、前記加振源の荷重ができるだけ均等に各防振装置に負荷されるように配置することが好ましい。
本発明の一実施形態に係る防振装置は、前記加振源がエンジンであることが好ましい。加振源がエンジンであれば、後述する産業用機械の部材として、前記防振装置を好適に用いることができる。
エンジンとしては、特に限定されず、各種のエンジンであってよいが、産業用機械のエンジンであることが特に好ましい。
産業用機械のエンジンは一般に鋳鉄製であるため、主としてアルミニウムを材質とし、軽量化が図られている自動車用のエンジンよりも非常に重い。また、ディーゼルエンジンでは、環境規制の問題から排ガス浄化装置等が取り付けられているものもある。この場合、防振装置はエンジン本体以外の付帯装置の荷重も支持する必要があり、支持すべき重量はより増加する。さらに、産業用機械は自動車と比べ、不整地等での稼働が必要となることが多く、かつ、前述したように、過酷な低温環境下での稼働も必要となる。
それゆえ、防振装置にも過重な負荷がかかるため、例えば通常の自動車用に用いられている防振装置を産業用機械のエンジンに用いた場合、前記負荷に耐えられず、早期に劣化してしまうことが避けられない。
本発明の一実施形態に係る防振装置は、前述したように、低温環境下における防振性に優れ、かつ、高温環境下における耐久性に優れる。よって、産業用機械のエンジンの防振装置として好適に用いることができる。
〔3.産業用機械〕
本発明の一実施形態に係る産業用機械は、本発明の一実施形態に係る防振装置を備えている。
前記産業用機械としては、農業用トラクター、田植え機等の農業機械、バックホー等の建設機械、フォークリフト等の運搬機械、エンジン発電機等の定置型機械等が挙げられる。前記防振装置が低温環境下および/または高温環境下での使用に適するという観点から、前記産業用機械は、好ましくは、建設機械、農業機械である。
前記建設機械は、例えば、スキッドステアローダー、コンパクトトラックローダー等のローダー類であってもよい。
本発明の一実施形態に係る前記産業用機械は、前記防振装置がエンジンマウントとして使用されることが好ましい。
前記防振装置は、前述したように、幅広い温度帯で使用可能であり、低温環境下における防振性に優れ、かつ、高温環境下における耐久性に優れる。
よって、前記防振装置がエンジンマウントとして使用されることにより、エンジンマウントの長寿命化、低温環境下におけるエンジンの振動抑制等を実現することができる。したがって、長期に渡って、産業用機械の乗り心地を向上させることができ、振動による他部品への不具合(ねじの緩み、溶接部の疲労等)を抑制することができる。
ただし、前記防振装置の用途は、エンジンマウントとしての使用には限られない。例えば、ミッションマウント等に用いることも可能である。
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
本発明について、実施例および比較例に基づいてより具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
〔1.低温環境下における防振特性試験〕
〔実施例1〕
上側マウントゴム2として、耐寒性防振ゴム(材質:天然ゴムを主体としたジエン系ゴム)を用い、下側マウントゴム3として耐熱性防振ゴム(材質:クロロプレンゴム)を用い、エンジンマウント1とした。エンジンマウント1は、本発明の一実施形態に係る防振装置である。
前記上側マウントゴム2のガラス転移温度は-63℃、JIS K6394:2007の方法によって動的粘弾性を測定した際の損失正接のピーク温度は-48℃、室温で測定した動倍率は1.9であった。
前記上側マウントゴム2の動的粘弾性の測定は、長さ40mm、幅2mm、厚さ2mmの試験片を切り出して用い、引張モードにて初期荷重10g、周波数1Hz、昇温速度2℃/分、つかみ具間距離20mm、動的ひずみ0.1%の条件にて実施した。測定温度範囲は-80~60℃とした。測定装置としては、TA INSTRUMENTS製のRSA-3を用いた。
また、JIS K6262:2013に基づき、1枚の円盤に切り出した大型試験片を作成した。当該試験片を用い、JIS K6262:2013に規定の方法にて、試験時間を72時間、試験温度を100℃とした条件下で測定した前記下側マウントゴム3の圧縮永久ひずみは33%であった。なお、試験はJIS K6262:2013に記載のA法によって終了とした。
前記下側マウントゴム3につき、長さ40mm、幅10mm、厚さ2mmの試験片を切り出して作製した。当該試験片につき、JIS K6257:2017に規定のAtA-1の方法にて、試験時間を72時間、試験温度を100℃とした条件下で、ESPEC社製ギヤー式老化試験機を用い、熱老化性試験を行った。
当該試験後の上記試験片について、JIS K6253-3:2012の方法によってデュロメータ硬さを測定したときの、前記熱老化性試験を行う前のデュロメータ硬さに対する硬度変化は+5ポイントであった。
なお、デュロメータとしては、高分子計器社製アスカーゴム硬度計A型を使用した。前記硬度変化は、熱老化試験後のデュロメータ硬さから、熱老化試験前のデュロメータ硬さを差し引くことによって求めた。
前記下側マウントゴム3につき、室温で測定した動倍率は1.7であった。静的ばね定数の測定は、以下のように行った。まず、試験片に対し、負荷-除荷1サイクルあたりの時間が1分となる圧縮速度にて、前記試験片の高さに対し、0~30%の区間で圧縮を行った。前記測定にあたり、予備圧縮を2回負荷し、3回目の計測値を採用した。静的ばね定数の算出区間は23~25%の区間とし、往復路方式を採用した。
動的ばね定数は、大型試験装置を用い、JIS K6394:2007に従った圧縮方法によって測定を行い、平均ひずみを10%、ひずみ振幅を±2%、周波数を30Hzとしたときの動的ばね定数を求めた。動倍率は、動的ばね定数を静的ばね定数で除した値である。
エンジンマウントゴムの低温下での防振特性評価は、株式会社クボタ製 SVL75を用いて行った。エンジンは当該機に用いられているエンジンである。エンジンマウント1を、エンジン4に対して図1に示すように設置し、エンジンマウント1によってエンジン4を支持した。
次に、図1に示す部材1~8を含むSVL75を-35℃の低温試験室に1日放置して部材1~8全体を含むSVL75を十分に冷却した後、エンジン4を始動し、エンジン回転数を1400rpmとして、防振特性試験を実施した。
まず、加速度ピックアップを用いて、エンジン4の始動直後から振動加速度レベルを計測した。計測位置としては、運転席に運転手が坐したときの向きからエンジン4を見たときに右前側に位置するエンジンマウント1とした。左右方向におけるエンジンマウント1の振動加速度レベルを、加振源側はエンジン4から計測し、伝達側は車体メインフレームから計測した。計測値は低温時の振動レベルを評価するため、エンジン始動30秒後の値を採用した。
次に、加振源側の振動加速度レベルと、伝達側の振動加速度レベルとの差から得た周波数応答関数に基づき、右前側のエンジンマウント1の左右方向の防振特性を46.7Hzにおいて評価した。
図2は、エンジンマウント1を実施例1の防振特性試験に供して得られた周波数応答関数である。エンジンマウント1の46.7Hz(回転数:1400rpm)における加振源側の振動加速度レベルと、伝達側の振動加速度レベルとの差は、約10dBであった。
なお、本試験時のSVL75本体の振動は許容範囲内であり、試験中にエンジンルーム内の温度が徐々に上昇することによって防振性が向上し、低温試験の意味をなさなくなったため、30分経過時点で試験を中断した。
〔比較例1〕
上側マウントゴム2および下側マウントゴム3として耐熱性防振ゴム(材質:クロロプレンゴム)を用い、エンジンマウントとした。このエンジンマウントを比較エンジンマウント1’とする。
比較エンジンマウント1’を、エンジン4に対して、図1に示すエンジンマウント1と同様に設置し、比較エンジンマウント1’によってエンジン4を支持した。その他は実施例1と同様にして、低温環境下における比較エンジンマウント1’の防振特性試験を実施した。
図3は、比較エンジンマウント1’を、比較例1の防振特性試験に供して得られた周波数応答関数である。46.7Hz(回転数:1400rpm)における加振源側の振動加速度レベルと、伝達側の振動加速度レベルとの差は、約40dBであった。なお、本試験時はSVL75本体の振動が激しく、本体破損の恐れがあったことから1分以上の試験継続は不可能であった。
〔結果〕
図2および3より、エンジンマウント1は、比較エンジンマウント1’と比べて、低温環境下であっても、防振特性に優れていることが明らかとなった。
本発明は、農業用トラクター、田植え機等の農業機械、バックホー等の建設機械、フォークリフト等の運搬機械、エンジン発電機等の定置型機械等のエンジンマウント等として好適に利用することができる。
1 エンジンマウント
2 上側マウントゴム
3 下側マウントゴム
4 エンジン
5 エンジン側ブラケット
6 車体側ブラケット
7 ストッパー
8 締結用ボルト

Claims (10)

  1. 加振源を支持する防振装置であって、
    ガラス転移温度が-45℃以下であること、および/または、
    JIS K6394:2007に準拠した方法によって動的粘弾性を測定した際の損失正接のピーク温度が-35℃以下であること、を満たす耐寒性防振ゴムと、
    JIS K6262:2013に準拠した方法によって、試験時間を72時間、試験温度を100℃とした条件下で測定した圧縮永久ひずみが40%以下であること、および/または、
    JIS K6257:2017に準拠した方法によって、試験時間を72時間、試験温度を100℃とした条件下で熱老化性試験を行った後、JIS K6253-3:2012に準拠した方法によって、デュロメータ硬さを測定したときの、前記熱老化性試験を行う前のデュロメータ硬さに対する硬度変化が±5ポイント以内であること、を満たす耐熱性防振ゴムと、を少なくとも備え
    前記加振源を前記防振装置に取り付けるための支持体を、前記耐寒性防振ゴムと、前記耐熱性防振ゴムとで挟持することによって前記加振源を支持する、
    防振装置。
  2. 前記耐寒性防振ゴムがジエン系ゴムであり、前記耐熱性防振ゴムが非ジエン系ゴムである、請求項1に記載の防振装置。
  3. 前記耐寒性防振ゴムが、天然ゴム、ポリイソプレンゴム、スチレンブタジエンゴム、およびポリブタジエンゴムからなる群より選ばれる1以上のジエン系ゴムである、請求項1または2に記載の防振装置。
  4. 前記耐熱性防振ゴムが、クロロプレンゴム、エチレンプロピレンゴム、エチレンプロピレンジエンターポリマー、アクリルゴム、エピクロルヒドリンゴムおよびシリコーンゴムからなる群より選ばれる1以上の非ジエン系ゴムである、請求項1からのいずれか1項に記載の防振装置。
  5. 前記耐熱性防振ゴムに負荷される前記加振源の荷重が、前記耐寒性防振ゴムに負荷される前記加振源の荷重よりも多くなるように、前記加振源に対して配置される、請求項1からのいずれか1項に記載の防振装置。
  6. 前記加振源1つに対して2個以上5個以下配置されることによって前記加振源を支持する、請求項1からのいずれか1項に記載の防振装置。
  7. 前記加振源がエンジンである、請求項に記載の防振装置。
  8. 請求項1からのいずれか1項に記載の防振装置を備えた、産業用機械。
  9. 請求項に記載の産業用機械が、建設機械、または農業機械である、産業用機械。
  10. 前記防振装置がエンジンマウントである、請求項またはに記載の産業用機械。
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