JP2003113271A - 高減衰性ゴム組成物 - Google Patents

高減衰性ゴム組成物

Info

Publication number
JP2003113271A
JP2003113271A JP2001305489A JP2001305489A JP2003113271A JP 2003113271 A JP2003113271 A JP 2003113271A JP 2001305489 A JP2001305489 A JP 2001305489A JP 2001305489 A JP2001305489 A JP 2001305489A JP 2003113271 A JP2003113271 A JP 2003113271A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
rubber
rubber composition
clay mineral
layered clay
vibration
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Withdrawn
Application number
JP2001305489A
Other languages
English (en)
Inventor
Takehiko Taguchi
武彦 田口
Koji Shinohara
幸司 篠原
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sumitomo Riko Co Ltd
Original Assignee
Sumitomo Riko Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sumitomo Riko Co Ltd filed Critical Sumitomo Riko Co Ltd
Priority to JP2001305489A priority Critical patent/JP2003113271A/ja
Publication of JP2003113271A publication Critical patent/JP2003113271A/ja
Withdrawn legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Arrangement Or Mounting Of Propulsion Units For Vehicles (AREA)
  • Vibration Prevention Devices (AREA)
  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 低温から高温までの広い温度域において、優
れた減衰性を実現し得ると共に、機械的物性を高度に確
保し得るゴム組成物を、提供すること。 【解決手段】 ゴム材料中に、層状粘土鉱物を、単層状
にナノ分散することなく、2〜10層の積層状を保った
状態において、微細に分散、含有せしめた。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【技術分野】本発明は、高減衰性ゴム組成物に係り、特
に、低温から高温までの広い温度域において、優れた減
衰性を実現し得るゴム組成物に関するものである。
【0002】
【背景技術】よく知られているように、振動或いは衝撃
伝達系を構成する部材間に介装されて、防振性乃至は緩
衝性を実現するようにした防振ゴムは、従来から、各種
の分野において、広く用いられており、例えば、自動車
においては、エンジンマウントやボディマウント、キャ
ブマウント、メンバマウント、ストラットマウント、ス
トラットバークッション、サスペンションブッシュ等と
して、用いられてきている。
【0003】ところで、そのような防振ゴムにあって
は、10〜20Hz程度の低周波振動が入力される場合
において、高い減衰性が要求されている。そして、その
ような要請に応えるべく、従来より、一般に、(a)ゴ
ム材料に対して、微粒子カーボンブラックと軟化剤と
を、多量に配合せしめてなるゴム組成物や、(b)ゴム
材料として、ガラス転移温度:Tgが高いポリマーを採
用してなるゴム組成物が、使用されているのであるが、
(a)のゴム組成物から作製される防振ゴムにあって
は、高い減衰性が実現されるものの、防振ゴムにとって
重要な要求特性である繰り返しの歪みに対する耐久性
や、ゴム強度が悪化せしめられ、また、(b)にあって
は、実温領域にある低温での弾性率が高くなって、静バ
ネ定数の変化が大きくなり、防振ゴムによって重要な支
持機能が悪化せしめられるといった問題が惹起されてい
たのである。
【0004】このため、そのような問題に対処すべく、
特開平2−308835号公報に提案される高減衰ゴム
組成物、即ち、天然ゴム等のゴム成分に対して、低分子
SBR等の低分子量のポリマーを配合してなるゴム組成
物を使用したのであるが、耐疲労性に悪影響を及ぼすこ
とが明らかとなっている。
【0005】また、室温から高温までにおける減衰性を
向上させるために、特開平5−194807号公報にお
いては、反応性フェノール樹脂を配合したゴム組成物が
提案されているのであるが、かかる樹脂は、ロール粘着
付与剤としての機能を有しているところから、10〜2
5重量部と多量に配合すると、ロール粘着性が強くロー
ル加工性が悪化することに加えて、耐疲労性が悪化せし
められていたのである。加えて、特開平5−22224
8号公報には、ゴム成分に対して、数平均分子量が25
0〜700である芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂
を配合してなるゴム組成物が提案され、これによって、
高い減衰性と、破断伸び(EB )の向上が実現されたの
であるが、ゴム強度及びゴム硬度が低下し、また、ロー
ル加工性が悪いという欠点を有するものであった。
【0006】このように、ゴム材料の配合を変更せしめ
たり等して、高減衰化を図る対策が、各種検討されてき
ているのであるが、高減衰化を実現すると、逆に、機械
的物性等の特性が悪化せしめられていたのである。
【0007】また一方、近年においては、マトリックス
中に含まれる分散相のサイズがナノメートルオーダ(1
-7m〜10-9m)である、ナノコンポジットに関する
研究が盛んに行なわれており、例えば、樹脂材料からな
るマトリックス相に、無機成分を分散した複合材料にあ
っては、ナノコンポジットの形成によって、樹脂材料の
引張強さや、弾性率等の向上を始め、従来のミクロンオ
ーダの複合材料から予想される性質とは大きく異なった
特性が得られる可能性があることが明らかとなってい
る。このため、ゴム材料をマトリックス相として形成さ
れるナノコンポジットにあっても、従来のミクロ分散で
は実現不可能な特性が得られる可能性が存しているので
ある。
【0008】
【解決課題】ここにおいて、本発明は、かかる事情を背
景にして為されたものであって、その解決課題とすると
ころは、低温から高温までの広い温度域において、優れ
た減衰性を実現し得ると共に、機械的物性を高度に確保
し得るゴム組成物を、提供することにある。
【0009】
【解決手段】そして、本発明者らは、ゴム材料をマトリ
ックス成分として、かかるゴム材料中に、層状粘土鉱物
を、ミクロ分散ではなく、ナノ分散せしめてなるナノコ
ンポジットが、機械的物性を有利に維持しつつ、低温か
ら高温までの広い温度域において、優れた減衰性を実現
し得ることを見出した。なお、かかるナノコンポジット
にあっては、マトリックス中に分散相として存在する層
状粘土鉱物が、単層状にナノ分散することなく、2〜1
0層の積層形態を保った状態にて分散せしめられている
ことが明らかとなったのである。
【0010】従って、本発明は、かかる知見に基づいて
完成されたものであって、その要旨とするところは、ゴ
ム材料中に、層状粘土鉱物が、単層状にナノ分散するこ
となく、2〜10層の積層状を保った状態において、微
細に分散、含有せしめられていることを特徴とする高減
衰性ゴム組成物にある。
【0011】すなわち、このような本発明に従う高減衰
性ゴム組成物は、ゴム材料からなるマトリックス中に、
積層状を保った層状粘土鉱物が、ナノ分散した形態を呈
しているものと推定されるのであり、そしてそれによ
り、かかる層状粘土鉱物の結晶層間に存在するゴムポリ
マーが拘束され、また熱の影響を受け難くなることによ
って、高い減衰性と機械的物性が、同時に効果的に発現
され得ることとなったのである。
【0012】なお、かかる本発明に従うゴム組成物の好
ましい態様の一つによれば、前記層状粘土鉱物が、炭素
数6以上の有機オニウムイオンがイオン結合することに
よって有機化されたものであることが望ましく、このよ
うな有機オニウムイオンにて有機化された層状粘土鉱物
を採用することによって、ゴムポリマーが層状粘土鉱物
の結晶層間へ侵入し易くなって、上記した特性がより一
層効果的に発揮されるようになる。
【0013】また、本発明における好ましい態様の他の
一つによれば、前記層状粘土鉱物が、前記ゴム材料の1
00重量部に対して、1〜100重量部の割合において
配合せしめられることが望ましい。
【0014】さらに、本発明に従う高減衰性ゴム組成物
の好ましい態様の別の一つによれば、前記層状粘土鉱物
を構成する積層構造粒子と単層粒子との個数比が、30
/70〜100/0の範囲内にあることが望ましく、こ
のような構成を採用することによって、本発明の目的
が、より一層有利に実現され得ることとなる。
【0015】また、本発明は、上述せる如きゴム組成物
から構成されていることを特徴とする防振ゴム、中で
も、エンジンマウントをも、また、その要旨とするもの
である。そして、そのようなゴム組成物にて得られる防
振ゴムには、前述せる如き高い減衰性と機械的物性が共
に、効果的に実現され得ているのである。
【0016】
【発明の実施の形態】ところで、本発明に従うゴム組成
物は、マトリックス相としてのゴム材料中に、層状粘土
鉱物を配合せしめてなるものであって、かかる層状粘土
鉱物は、一層ずつバラバラにナノ分散することなく、2
〜10層の積層状を維持した状態において、微細に分
散、含有せしめられているのである。
【0017】そして、そのようなゴム組成物中に、微細
に分散せしめられる層状粘土鉱物としては、例えば、モ
ンモリロナイト、サポナイト、ヘクトライト、バイデラ
イト、ノントロナイト、ソーコナイト、スチブンサイト
等のスメクタイト系のものや、バーミキュライト、ハロ
イサイト、マイカ等の、従来から公知のカチオン交換能
を有する層状粘土鉱物を例示することが出来、それらの
層状粘土鉱物のうちの少なくとも一種が、適宜に選択さ
れて用いられることとなるのである。
【0018】なお、かかる層状粘土鉱物は、一般に、有
機オニウムイオンをイオン結合せしめることによって、
有機化されているものであり、そして、このように層状
粘土鉱物を有機化することによって、層状粘土鉱物の結
晶層間にゴムポリマーが挿入される。そして、かかる結
晶層間に存在するゴムポリマーが拘束され、また、熱の
影響を受け難くなることによって、高温雰囲気下におけ
る減衰性の低下が効果的に防止され得ると共に、機械的
物性等が極めて有利に確保され得るのである。
【0019】そして、かかる有機オニウムイオンとして
は、特に限定されるものではなく、従来から公知のもの
が採用され得るのであるが、その中でも、特に、炭素数
6以上の有機オニウムイオンが望ましく、例えば、その
具体例としては、ヘキシルアンモニウムイオン、オクチ
ルアンモニウムイオン、2−エチルヘキシルアンモニウ
ムイオン、ドデシル(ラウリル)アンモニウムイオン、
オクタデシル(ステアリル)アンモニウムイオン、ジオ
クチルジメチルアンモニウムイオン、トリオクチルアン
モニウムイオン、ジステアリルジメチルアンモニウムイ
オン等のアンモニウムイオンや、ホスホニウムイオン、
オキソニウムイオン、スルホニウムイオン等を挙げるこ
とが出来、これらの中の少なくとも1種以上が適宜に選
択されて用いられることが望ましいのである。かくし
て、このような有機オニウムイオンを採用することによ
って、層状粘土鉱物の疎水性が向上すると共に、層状粘
土鉱物の層間距離がより一層有利に拡大せしめられ、以
て、層状粘土鉱物の結晶層間に、ゴムポリマーがより一
層され易くなって、本発明の目的がより一層有利に実現
され得ることとなる。
【0020】ここにおいて、上記した有機オニウムイオ
ンにて、層状粘土鉱物を有機化せしめるには、層状粘土
鉱物の結晶層間に存在する金属陽イオンを、陽イオンた
る有機オニウムイオンにてイオン交換すればよい。そし
て、かかるイオン交換が為されることによって、有機オ
ニウムイオンが層状粘土鉱物にイオン結合されることと
なり、その結果、層状粘土鉱物の層間距離が拡大し、か
かる結晶層間にゴムポリマーが侵入し易くなると共に、
層状粘土鉱物が疎水化されて、ゴム材料との混練状態が
良好となる。
【0021】なお、上記層状粘土鉱物を有機オニウムイ
オンと接触させてイオン交換する手法としては、従来か
ら公知のイオン交換法が採用され得るのであり、例え
ば、適当な量の有機オニウムイオンが含有せしめられた
水系媒体中に、層状粘土鉱物を浸漬し、その後、該層状
粘土鉱物を水洗して、過剰な有機オニウムイオンを除去
する手法等が挙げられる。そして、このようにイオン交
換によって有機化された層状粘土鉱物は、乾燥せしめら
れた状態において、ゴム材料に添加、含有せしめられる
こととなるのである
【0022】而して、上述せる如き層状粘土鉱物の添加
割合としては、最終的に得られる防振ゴム等のゴム製品
の減衰性が有利に向上され得るように、ゴム材料の10
0重量部に対して、通常、1〜100重量部程度、その
範囲の中でも、特に、ゴム材料の100重量部に対し
て、1〜50重量部程度が好適に採用され得る。かかる
層状粘土鉱物の添加割合が、余りにも少なくなると、層
状粘土鉱物を添加することによる充分な効果を期待する
ことが困難となり、逆に、多くなり過ぎると、混練り操
作が困難となったり、また、加硫後におけるゴム製品の
硬度が高くなり過ぎる等といった問題が惹起される恐れ
がある。
【0023】ところで、本発明に従うゴム組成物を与え
るゴム材料としては、天然ゴム(NR)、イソプレンゴ
ム(IR)、ブタジエンゴム(BR)、スチレンブタジ
エンゴム(SBR)、アクリロニトリルブタジエンゴム
(NBR)、クロロプレンゴム(CR)等のジエン系ゴ
ムや、ブチルゴム、フッ素ゴム、アクリルゴム等の従来
から公知のゴム材料のうちの少なくとも1種以上が、適
宜に選択されて用いられることとなる。そして、それら
の中でも、NR、NRとBRのブレンド物、NRとSB
Rのブレンド物等のジエン系ゴム材料が、より好適に採
用され、それによって、より一層優れた防振特性が発揮
され得るのである。
【0024】そして、そのようなゴム材料に対して、上
述の如き有機化された層状粘土鉱物が、従来から公知の
手法にて、微細に分散、含有せしめられることによっ
て、本発明に従うゴム組成物が調製されることとなるの
であるが、本発明にあっては、かかる層状粘土鉱物が、
分散相として、ゴム材料からなるマトリックス中に、一
層ずつバラバラに(単層状に)ナノ分散することなく、
2〜10層のブロック状(積層状)を保持した状態にお
いて、ナノ分散せしめられることとなり、それによっ
て、優れた減衰性が実現されると共に、機械的物性等が
高度に確保され得るようになるのである。
【0025】より具体的には、ゴム組成物中において、
そのようなマトリックス相に分散する積層状の粘土鉱物
(積層構造粒子)は、層状粘土鉱物の積層構造粒子と単
層粒子との個数比(積層構造粒子/単層粒子)が、30
/70〜100/0、好ましくは、50/50〜100
/0の範囲内にあることが望ましく、かかる積層構造粒
子の個数が少な過ぎる場合には、層状粘土鉱物が単層状
にナノ分散することとなって、減衰性の向上が有効に実
現され得なくなるのである。
【0026】そして、上述せる如き、2〜10層の積層
構造粒子が微細に分散されたゴム組成物を加硫すること
によって、防振ゴム等のゴム製品が製造されることとな
るのであるが、ここで、未加硫のゴム組成物の加硫に先
立って配合される加硫剤としては、使用するゴム材料に
おける加硫反応を良好に進行せしめ得るものであれば、
如何なるものをも採用することが出来、一般に、ゴム材
料の種類や求められる特性等を考慮して、公知の各種の
加硫剤の中から、適当なものが選択され、ゴム材料の使
用量に応じた量において用いられるのである。そのよう
な加硫剤としては、例えば、硫黄や、酸化亜鉛、酸化マ
グネシウム等の金属酸化物、ヘキサメチレンジアミンカ
ルバメート等のアミン化合物、ジクミルパーオキサイド
等の過酸化物等が挙げられる。
【0027】また、前記したゴム組成物には、更に、上
記の加硫剤と併せて、使用するゴム材料の種類に応じた
適当な加硫促進剤や加硫促進助剤を、それぞれ必要量に
おいてゴム材料に配合せしめることも可能である。ここ
で、そのような加硫促進剤としては、例えば、N−t−
ブチル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(BB
S)、N−シクロルヘキシル−2−ベンゾチアジルスル
フェンアミド(CBS)、N−オキシジエチレン−2−
ベンゾチアゾールスルフェンアミド(OBS)等のスル
フェンアミド類;ジメチルジチオカルバミン酸亜鉛(Z
nMDC)、ジエチルジチオカルバミン酸亜鉛(ZnE
DC)等のジチオカルバミン酸塩類;テトラメチルチウ
ラムジスルフィド(TMTD)、テトラエチルチウラム
ジスルフィド(TETD)、テトラブチルチウラムジス
ルフィド(TBTD)等のチウラム類等を挙げることが
出来、また、加硫促進助剤としては、酸化亜鉛やステア
リン酸等を例示することが出来るが、これらに何等限定
されるものではない。
【0028】さらに、ゴム組成物には、必要に応じて、
カーボンブラック等の補強剤、老化防止剤、軟化剤、ワ
ックス、可塑剤等、従来から公知の各種のゴム用配合剤
を、本発明の目的を逸脱しない限りにおいて、配合せし
めることも可能である。
【0029】但し、カーボンブラック等の補強剤を配合
せしめるに際しては、本発明において採用される層状粘
土鉱物が、補強剤の如く作用して、ゴムの硬度や強度等
を向上せしめる働きがあるところから、所望とするゴム
硬度等が得られるように、層状粘土鉱物の配合量に応じ
て、カーボンブラック等の補強剤が配合されることとな
る。因みに、前記した層状粘土鉱物の配合割合が増加す
るに従って、減衰性も向上され得るところから、より望
ましくは、ゴム組成物中に配合されるカーボンブラック
等の補強剤を、全て、層状粘土鉱物に置換することが望
ましい。
【0030】かくして、前記した有機化された層状粘土
鉱物やその他の必要なゴム用配合剤等をゴム材料に配合
せしめて、本発明に従うゴム組成物を調製するに際して
は、当業者に自明な各種の手法が採用され得るのであ
る。例えば、先ず、バンバリーミキサーやロール機等の
公知の混練装置を用いて、かかる装置内に、ゴム材料及
び有機化された層状粘土鉱物、及びその他必要な各種の
ゴム用配合剤を導入した後、混練り操作にて練り込ん
で、調製するのである。
【0031】また、かくの如き混練り操作にあっては、
本発明では、未加硫のゴム材料中において、層状粘土鉱
物が、所期の特性を発揮し得る程度にて微細に分散する
まで行なう必要があることから、混練条件は、所望の分
散状態が有利に得られるように、ゴム材料や層状粘土鉱
物の種類や使用量の他、混練装置の性能等を加味して、
適宜設定されることとなる。而して、そのような混練り
操作によって、層状粘土鉱物は、上述せるように、ゴム
材料中において、2〜10層の積層状を保った微細な粒
子形態をもって、分散した状態で、存在せしめられるこ
ととなるのである。なお、その積層構造粒子の粒子サイ
ズとしては、要求される特性が良好に発揮され得るよう
に、上記した混練り操作等によって、適宜に調整される
ものであり、特に制限されるものではないものの、一般
に、マトリックス中に含まれる分散相のサイズがナノメ
ートルオーダ(10-7m〜10-9m)となるように調整
されることが、望ましいのである。これは、かかる粒子
サイズが余りにも大きくなる場合には、所望とする特性
が充分に得られない等の不具合を惹起するからである。
【0032】そして、この得られたゴム組成物に更に加
硫剤を均一に混練せしめた後、所定温度に加熱せしめ
て、かかるゴム組成物中のゴム材料を加硫することによ
り、本発明に従う防振ゴム等のゴム製品を製造するので
ある。
【0033】なお、未加硫のゴム材料や、有機化された
層状粘土鉱物、加硫剤を始めとする各種ゴム用配合剤等
のゴム原料を、それぞれ、混練装置に導入するに際して
は、その導入順序は、上述の場合に何等限定されるもの
でなく、それらを同時に装置に供給するようにしても、
また、加硫剤を除く全てのゴム原料を供給して予備混練
(ベース練り)し、その後の混練り(仕上混練り)の際
に加硫剤を供給するようにしても、何等差支えないので
ある。
【0034】また、加硫条件にあっても、ゴム材料の種
類や使用量等に応じて、適宜に設定され得る。また、か
かる加硫の具体的手法も、何等限定されるものではな
く、成形と同時に加硫を行なうプレス加硫等の従来から
公知の各種の手法が採用されるのである。また、このよ
うな加硫成形においては、その加硫時において、或いは
加硫後において、鉄材質やアルミ材質からなる所定の金
具の接着操作を行なっても、何等支障はない。更にま
た、そのようにして作製されたゴム製品、例えば、エン
ジンマウント等の防振ゴムの形状、サイズ等も、特に限
定されるものではなく、用途等に応じて、適宜に設定さ
れ得る。
【0035】そして、そのようにして得られるゴム製品
は、高減衰性が必要とされる防振を目的とする防振ゴム
として、有利に用いられることとなる。中でも、自動車
用防振ゴムとして用いられる場合にあっては、エンジン
マウント、ボディマウント、キャブマウント、メンバマ
ウント、ストラットマウント、ストラットバークッショ
ン、サスペンションブッシュ等として、有利に用いられ
ることとなる。更にその中でも、本発明に従うゴム組成
物からなるゴム製品にあっては、高温域において、従来
のものに比して極めて優れた高減衰性が達成されるとこ
ろから、エンジンルーム等の温度が比較的高くなり易い
場所(略50〜80℃)に設置される防振ゴム、例え
ば、エンジンマウントとして、特に有利に用いられ得る
のである。
【0036】
【実施例】以下に、本発明の幾つかの実施例を示し、本
発明を更に具体的に明らかにすることとするが、本発明
が、そのような実施例の記載によって、何等の制約をも
受けるものでないことは、言うまでもないところであ
る。また、本発明には、以下の実施例の他にも、更には
上記の具体的記述以外にも、本発明の趣旨を逸脱しない
限りにおいて、当業者の知識に基づいて、種々なる変
更、修正、改良等を加え得るものであることが、理解さ
れるべきである。
【0037】−有機化層状粘土鉱物の調製− 先ず、層状粘土鉱物たるスメクタイト:ナトリウム型モ
ンモリロナイト10gを80℃の水1Lに分散させる一
方、有機オニウムイオンたるジ硬化牛脂アルキルジメチ
ルアンモニウムクロライド(花王株式会社製)5gを8
0℃の水0.5Lに溶解させた。
【0038】そして、これら両方の水溶液を一気に混合
することによって、イオン交換を実施した。次いで、そ
の沈殿物を水で洗浄した後、水を乾燥させて、有機化さ
れたスメクタイト(有機化スメクタイト)を得た。
【0039】−イオン結合の確認− そして、得られた有機化スメクタイトの一部を用いて、
強熱減量、即ち、熱重量分析(TGA)による加熱減量
測定により、有機化スメクタイト中の無機含量を測定し
たところ、約60重量%であった。かかる強熱減量の条
件としては、昇温速度:20℃/min、温度範囲:室
温〜800℃を、採用した。また、X線回折により、有
機化スメクタイトの層間距離を測定したところ、27Å
(2.7nm)であった。なお、有機化処理の施されて
いないスメクタイトの層間距離は、約10Å(約1n
m)であった。
【0040】−ゴム組成物の調製− そして、先ず、下記表1に示される各種配合組成に従っ
て、バンバリーミキサー内に、ゴム材料:天然ゴム(N
R)材料と、有機化スメクタイト乃至はカーボンブラッ
ク:HAFカーボン、及び、加硫促進助剤:酸化亜鉛+
ステアリン酸を仕込んで、混練せしめた後、更に、加硫
剤:硫黄、加硫促進剤:OBS(大内新興化学製 ノク
セラーMSA)とを、下記表1に示される割合にて添加
し、ロール機にて混練りして、均一に配合せしめること
により、実施例及び比較例に係るゴム組成物を調製し
た。
【0041】
【表1】
【0042】そして、その得られた未加硫のゴム組成物
を、150℃×20分にて、プレス加硫成形することに
より、NR材料を加硫せしめて、性能評価用の各種テス
トピースを、作製した。また、実施例に係るテストピー
スについて、NR中に分散する層状粘土鉱物を、TEM
(Transmission Electron Microscope:透過型電子顕微
鏡)にて、0.5μm×0.5μmの範囲を測定したと
ころ、2〜10層の積層構造粒子が微細に、分散してお
り、2〜10層の積層構造粒子と単層粒子の個数比が、
略80:20程度であることを確認した。
【0043】なお、引張試験用のテストピースとして
は、JIS−K−6251−1993の「加硫ゴムの引
張試験方法」に規定されるダンベル状5号形試験片を作
製し、また、硬さ試験用のテストピースとしては、JI
S−K−6253−1997の「加硫ゴム物理試験方
法」における「デュロメータ硬さ試験」に定められる、
厚さ:2mmの試験片を作製した。また、動的性質試験
用のテストピースとしては、JIS−K−6394−1
998の「加硫ゴム及び熱可塑性ゴムの動的性質試験方
法」における小形試験装置による動的性質試験の一般事
項(表6)の「引張方向」に規定される短冊状試験片を
作製した。なお、かかる短冊状試験片は、加硫ゴムシー
トを、厚み:2mm、幅:5mm及び長さ:40mmに
打抜くことによって、作製した。
【0044】そして、このようにして得られた実施例及
び比較例に係る各テストピースを用いて、以下の如き常
態物性試験(引張試験、硬さ試験)、並びに動的性質試
験を行なった。
【0045】−引張試験− 上記において得られた引張試験用の各テストピースを用
いて、JIS−K−6251−1993に規定される試
験方法に従って、所定の引張試験機により、テストピー
スを引張せしめて、100%伸び時における引張応力
(引張応力:M10 0 )、切断に至るまでの最大応力(引
張強さ:TB )、及び切断時の伸び(切断時伸び:
B )を測定し、その結果を下記表2に示した。
【0046】−硬さ試験− 上記において得られた硬さ試験用の各テストピースを用
いて、JIS−K−6253−1997の前記「デュロ
メータ硬さ試験」に準じて、タイプAデュロメータによ
り、テストピースの硬さを測定し、その結果を、下記表
2において、JISタイプA硬度(Hs)として、併せ
示した。
【0047】−動的性質試験− また、上記において得られた動的性質試験用の各テスト
ピースを用いて、JIS−K−6394−1998に規
定される「加硫ゴム及び熱可塑性ゴムの動的性質試験方
法」における「7.小形試験装置による動的性質試験」
の引張方法に従って、平均ひずみ:3%、振幅:±10
μm又は±5μm、周波数:10Hz又は100Hzに
て、損失係数:tanδを求めた。そして、各テストピ
ースにおける損失係数(tanδ)の温度依存性を、そ
れぞれ、図1及び図2において、グラフにて示した。な
お、それらの図において、◆印は実施例に係るテストピ
ースを示す一方、▲印は比較例に係るテストピースを表
わしている。
【0048】
【表2】
【0049】かかる表2及び図1、2に示される結果か
らも明らかなように、実施例のテストピースにあって
は、何れも、機械的物性(TB 、EB )及びその他の常
態特性(M100 、Hs)を高度に確保しながら、比較例
のテストピースに比して、低温(0℃付近)から高温ま
での広い温度域において、損失係数(tanδ)の値が
大きくなっており、優れた減衰性が効果的に発揮され得
ていることが分かるのである。
【0050】
【発明の効果】以上の説明より明らかなように、本発明
に従うゴム組成物にあっては、低温から高温までの広い
温度域において、高い減衰性を実現し得ると共に、機械
的物性等も高度に確保し得るのである。
【0051】従って、そのようなゴム組成物を加硫して
得られる防振ゴムにあっては、防振ゴムに必要とされる
機械的物性や、硬度等が有利に確保されると共に、低周
波振動の入力時において、優れた防振特性が実現され得
るのである。
【0052】また、本発明に従うゴム組成物からなるゴ
ム製品にあっては、0℃程度から高温域において、従来
に比して、優れた高減衰性が達成されるところから、エ
ンジンルーム等の温度が比較的高くなる場所(略50〜
80℃)に設置されるエンジンマウントとして、特に有
利に用いられ得るのである
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例において得られた、周波数:10Hz、
振幅:±10μmにおける損失係数(tanδ)の温度
依存性を示すグラフである。
【図2】実施例において得られた、周波数:100H
z、振幅:±5μmにおける損失係数(tanδ)の温
度依存性を示すグラフである。
フロントページの続き Fターム(参考) 3D035 CA05 3J048 AA01 BA01 BD04 EA01 4J002 AC011 AC031 AC061 AC071 AC081 AC091 BB181 BD121 BG041 DJ006 EN137 FB086 GN00

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ゴム材料中に、層状粘土鉱物が、単層状
    にナノ分散することなく、2〜10層の積層状を保った
    状態において、微細に分散、含有せしめられていること
    を特徴とする高減衰性ゴム組成物。
  2. 【請求項2】 前記層状粘土鉱物が、炭素数6以上の有
    機オニウムイオンがイオン結合することによって有機化
    されたものである請求項1に記載の高減衰性ゴム組成
    物。
  3. 【請求項3】 前記層状粘土鉱物が、前記ゴム材料の1
    00重量部に対して、1〜100重量部の割合において
    配合せしめられている請求項1又は請求項2に記載の高
    減衰性ゴム組成物。
  4. 【請求項4】 前記層状粘土鉱物を構成する積層構造粒
    子と単層粒子との個数比が、30/70〜100/0の
    範囲内にある請求項1乃至請求項3の何れかに記載の高
    減衰性ゴム組成物。
  5. 【請求項5】 請求項1乃至請求項4の何れかに記載の
    ゴム組成物から構成されていることを特徴とする防振ゴ
    ム。
  6. 【請求項6】 請求項1乃至請求項4の何れかに記載の
    ゴム組成物から構成されていることを特徴とするエンジ
    ンマウント。
JP2001305489A 2001-10-01 2001-10-01 高減衰性ゴム組成物 Withdrawn JP2003113271A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001305489A JP2003113271A (ja) 2001-10-01 2001-10-01 高減衰性ゴム組成物

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001305489A JP2003113271A (ja) 2001-10-01 2001-10-01 高減衰性ゴム組成物

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2003113271A true JP2003113271A (ja) 2003-04-18

Family

ID=19125270

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2001305489A Withdrawn JP2003113271A (ja) 2001-10-01 2001-10-01 高減衰性ゴム組成物

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2003113271A (ja)

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP1637558A4 (en) * 2003-06-18 2009-04-15 Bridgestone Corp RUBBER COMPOSITION
CN105199249A (zh) * 2015-10-27 2015-12-30 上海工程技术大学 一种含改性蒙脱土阻尼剂的氯化丁基阻尼橡胶的制备方法
CN110845769A (zh) * 2019-11-06 2020-02-28 安徽微威胶件集团有限公司 一种高阻尼天然橡胶材料
JP2021102992A (ja) * 2019-12-25 2021-07-15 株式会社クボタ 防振装置およびこれを備えた産業用機械

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP1637558A4 (en) * 2003-06-18 2009-04-15 Bridgestone Corp RUBBER COMPOSITION
CN105199249A (zh) * 2015-10-27 2015-12-30 上海工程技术大学 一种含改性蒙脱土阻尼剂的氯化丁基阻尼橡胶的制备方法
CN110845769A (zh) * 2019-11-06 2020-02-28 安徽微威胶件集团有限公司 一种高阻尼天然橡胶材料
JP2021102992A (ja) * 2019-12-25 2021-07-15 株式会社クボタ 防振装置およびこれを備えた産業用機械
JP7306982B2 (ja) 2019-12-25 2023-07-11 株式会社クボタ 防振装置およびこれを備えた産業用機械

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR100438400B1 (ko) 방진고무 및 그 제조법
US20130065991A1 (en) Vibration-proof rubber composition for automobile
JP4851863B2 (ja) ゴム組成物およびそれを用いたゴム製品
JPWO2020026657A1 (ja) 防振ゴム組成物およびその製造方法、ならびに防振ゴム部材
JP6657491B1 (ja) 防振ゴム組成物および防振ゴム部材
JP5072377B2 (ja) ゴム組成物の製法
JP6644962B1 (ja) 防振ゴム組成物および防振ゴム部材
KR20130026967A (ko) 고감쇠 조성물
JP2003113271A (ja) 高減衰性ゴム組成物
WO2018198647A1 (ja) 防振ゴム用ゴム組成物及び車両用防振ゴム
JP3885712B2 (ja) 低動倍率ゴム組成物
JP7037986B2 (ja) 電気自動車用防振ゴム組成物および電気自動車用防振ゴム部材
JP2014031405A (ja) ゴム組成物及びそれを用いた空気入りタイヤ
JP2014031404A (ja) ゴム組成物及びそれを用いた空気入りタイヤ
JP5919126B2 (ja) ゴム組成物及びそれを用いた空気入りタイヤ
JP7409936B2 (ja) 防振ゴム組成物および防振ゴム部材
DE112021000022T5 (de) Schwingungsdämpfende kautschukzusammensetzung und schwingungsdämpfungselement aus kautschuk
JP5110765B2 (ja) 防振ゴム
JP2022052896A (ja) ゴム組成物およびゴム組成物を加硫成形してなる防振ゴム
JP2010209285A (ja) 防振ゴム用ゴム組成物および防振ゴム
JP2011162585A (ja) 防振ゴム用ゴム組成物および防振ゴム
JP4120582B2 (ja) 防振ゴム組成物およびそれにより得られた防振ゴム
JP2020090665A (ja) 防振ゴム用ゴム組成物および防振ゴム
JP2006143860A (ja) 防振ゴム
JP4871554B2 (ja) ゴム組成物の製法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20040318

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20051125

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20051129

A761 Written withdrawal of application

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A761

Effective date: 20060127