以下、本開示の一実施形態について図面を参照しながら説明する。図1は、本実施形態の部品装着システム10の概略構成を示す平面図である。図2は、部品装着機20及びローダ13の概略構成を示す斜視図である。尚、以下の説明では、図1の左右方向をX方向と称し、前後方向をY方向と称し、X方向及びY方向に垂直な方向をZ方向(上下方向)と称して説明する。
図1に示すように、部品装着システム10は、生産ライン11と、ローダ13と、管理コンピュータ15とを備えている。生産ライン11は、X方向に並べられた複数の部品装着機20を有し、基板17に対する電子部品の装着等を行う。基板17は、例えば、図1に示す左側の部品装着機20から右側の部品装着機20へと搬出され、搬送中に電子部品の装着等を実行される。
図2に示すように、部品装着機20は、ベース21と、モジュール22とを備えている。ベース21は、Y方向に長い略長方形の箱型をなし、部品装着機20を設置する工場の床等に載置される。ベース21は、例えば、隣り合うモジュール22の基板搬送装置23の位置を合わせるように上下方向の位置を調整され、隣の部品装着機20のベース21と互いに固定されている。モジュール22は、基板17に対する電子部品の装着等を行う装置であり、ベース21の上に載置されている。モジュール22は、ベース21に対して前後方向の手前側へ引き出し可能となっており、他のモジュール22と交換可能となっている。
モジュール22は、基板搬送装置23と、パレット24と、ヘッド部25と、ヘッド移動機構27とを備える。基板搬送装置23は、モジュール22内に設けられ、基板17をX方向に搬送する。基板搬送装置23は、基板17を搬送するコンベアベルトや、そのコンベアベルトを回転させる駆動源としての電磁モータ等を備えている。また、基板搬送装置23は、後述する産業用ネットワークに接続される第4スレーブ101(図3参照)を備える。第4スレーブ101は、例えば、基板搬送装置23に設けられた電磁モータ、リレー、センサ等の各種装置が接続され、装置本体部41のマスター53(図3参照)から受信した制御データCDに基づいて、各種装置が入出力する信号を処理する。
パレット24は、モジュール22の前面に設けられ、側面視がL字状の台である。パレット24は、X方向に複数配列されたスロット24A(図3参照)を備える。パレット24の各スロット24Aには、電子部品を供給するフィーダ29が装着される。パレット24は、後述する産業用ネットワークに接続される第5スレーブ103(図3参照)を備える。第5スレーブ103は、例えば、パレット24のスロット24A等の各種装置が接続され、装置本体部41のマスター53(図3参照)から受信した制御データCDに基づいて、各種装置が入出力する信号を処理する。フィーダ29は、例えば、電子部品を所定のピッチで収容するテープから電子部品を供給するテープフィーダである。第5スレーブ103は、マスター53から受信した制御データCDに基づいてフィーダ29の動作やフィーダ29へ供給する電力を個別に(スロット24Aごとに)制御可能となっている。尚、図1に示すように、モジュール22の上部カバーの上には、部品装着機20に対する操作入力を行うタッチパネル26が設けられている。図2は、上部カバーやタッチパネル26を取り外した状態を示している。
ヘッド部25は、フィーダ29から供給された電子部品を吸着する吸着ノズル(図示略)を備え、吸着ノズルで吸着した電子部品を基板17に装着する。ヘッド部25は、例えば、複数の吸着ノズルの位置や、個々の吸着ノズルの位置を変更する駆動源として電磁モータ(図示略)を有している。ヘッド移動機構27は、モジュール22の上部部分において、X方向及びY方向の任意の位置にヘッド部25を移動させる。詳述すると、ヘッド移動機構27は、ヘッド部25をX方向に移動させるX軸スライド機構27Aと、ヘッド部25をY方向に移動させるY軸スライド機構27Bとを備える。X軸スライド機構27Aは、Y軸スライド機構27Bに取り付けられている。また、X軸スライド機構27Aは、後述する産業用ネットワークに接続される第3スレーブ65(図3参照)を備える。第3スレーブ65は、X軸スライド機構27Aに設けられたリレー81やセンサ83(図3参照)などの各種装置が接続され、装置本体部41のマスター53(図3参照)から受信した制御データCDに基づいて、各種装置が入出力する信号を処理する。
Y軸スライド機構27Bは、駆動源としてリニアモータ(図示略)を有している。X軸スライド機構27Aは、Y軸スライド機構27Bのリニアモータの駆動に基づいてY方向の任意の位置に移動する。また、X軸スライド機構27Aは、駆動源としてリニアモータ(図示略)を有している。ヘッド部25は、X軸スライド機構27Aに取り付けられ、X軸スライド機構27Aのリニアモータの駆動に基づいてX方向の任意の位置に移動する。従って、ヘッド部25は、X軸スライド機構27A及びY軸スライド機構27Bの駆動にともなってモジュール22の上部部分で任意の位置に移動する。尚、第3スレーブ65が制御する各種装置は、リレー81やセンサ83に限らず、リニアモータ等の他の装置でも良い。
また、ヘッド部25は、X軸スライド機構27Aにコネクタを介して取り付けられ、ワンタッチで着脱可能であり、種類の異なるヘッド部25、例えば、ディスペンサヘッド等に変更できる。従って、本実施形態のヘッド部25は、部品装着機20に対して着脱可能となっている。また、ヘッド部25には、基板17を撮影するためのマークカメラ69(図3参照)が下方を向いた状態で固定されている。マークカメラ69は、ヘッド部25の移動に伴って、基板17の任意の位置を上方から撮像可能となっている。マークカメラ69が撮像した画像データGDは、モジュール22の本体制御装置51(図3参照)において画像処理される。本体制御装置51は、画像処理によって、基板17に関する情報、装着位置の誤差等を取得する。
また、ヘッド部25は、産業用ネットワークに接続される第2スレーブ61(図3参照)を備える。第2スレーブ61は、ヘッド部25に設けられたリレー75やセンサ77などの各種装置が接続され、装置本体部41のマスター53(図3参照)から受信した制御データCDに基づいて、各種装置が入出力する信号を処理する。また、ヘッド部25には、吸着ノズルに吸着保持した電子部品を撮像するパーツカメラ71が設けられている。パーツカメラ71が撮像した画像データGDは、モジュール22の本体制御装置51(図3参照)において画像処理される。本体制御装置51は、画像処理によって、吸着ノズルにおける電子部品の保持位置の誤差等を取得する。尚、本実施形態の部品装着機20が備えるカメラの種類や取り付け位置は、一例である。例えば、パーツカメラ71を、モジュール22の上面に設置し、ヘッド部25に吸着保持された電子部品を下方から撮像しても良い。この場合、ヘッド部25には、吸着保持された電子部品を側方から撮像する側方カメラを設けても良い。
また、図2に示すように、ベース21の前面には、上部ガイドレール31と、下部ガイドレール33と、ラックギヤ35と、非接触給電コイル37とが設けられている。上部ガイドレール31は、X方向に延びる断面U字状のレールであり、開口部が下を向いている。下部ガイドレール33は、X方向に延びる断面L字状のレールであり、垂直面がベース21の前面に取り付けられ、水平面が前方に伸び出している。ラックギヤ35は、下部ガイドレール33の下部に設けられ、X方向に延び、前面に複数の縦溝が刻まれたギヤである。ベース21の上部ガイドレール31、下部ガイドレール33及びラックギヤ35は、隣接するベース21の上部ガイドレール31、下部ガイドレール33及びラックギヤ35と着脱可能に連結することができる。このため、部品装着機20は、生産ライン11に並んだ部品装着機20の数を増減することができる。非接触給電コイル37は、上部ガイドレール31の上部に設けられ、X方向に沿って配置されたコイルであり、ローダ13への電力の供給を行う。
ローダ13は、部品装着機20に対するフィーダ29の補充及び回収を自動で行う装置であり、フィーダ29をクランプする把持部(図示略)を備える。ローダ13には、上部ガイドレール31に挿入される上部ローラ(図示略)と、下部ガイドレール33に挿入される下部ローラ(図示略)とが設けられている。また、ローダ13には、駆動源としてモータが設けられている。モータの出力軸には、ラックギヤ35と噛み合うギヤが取り付けられている。ローダ13は、部品装着機20の非接触給電コイル37から電力の供給を受ける受電コイルを備えている。ローダ13は、非接触給電コイル37から受電した電力をモータに供給する。これにより、ローダ13は、モータによってギヤを回転させることで、X方向(左右方向)へ移動することができる。また、ローダ13は、上部ガイドレール31及び下部ガイドレール33内でローラを回転させ、上下方向や前後方向の位置を保持しながらX方向へ移動することができる。
図1に示す管理コンピュータ15は、部品装着システム10を統括的に管理する装置である。管理コンピュータ15は、例えば、有線LANや無線LANにより生産ライン11の各部品装着機20と通信可能となっている。部品装着機20は、管理コンピュータ15の管理に基づいて、電子部品の装着作業を開始する。部品装着機20は、基板17を搬送しながらヘッド部25によって電子部品の装着作業を行う。また、管理コンピュータ15は、フィーダ29の残りの電子部品の数を監視する。管理コンピュータ15は、例えば、フィーダ29の補給が必要であると判断すると、補給が必要な部品種を収容したフィーダ29をローダ13にセットする指示を画面に表示する。ユーザは、画面を確認して、フィーダ29をローダ13にセットする。管理コンピュータ15は、所望のフィーダ29がローダ13にセットされたことを検出すると、ローダ13に対して補給作業の開始を指示する。ローダ13は、指示を受けた部品装着機20の前方まで移動し、ユーザによってセットされたフィーダ29を把持部で挟持してパレット24のスロット24A(図3参照)に装着する。これにより、新たなフィーダ29が部品装着機20に補給される。また、ローダ13は、部品切れになったフィーダ29を把持部で挟持してパレット24から引き出して回収する。このようにして、新たなフィーダ29の補給及び部品切れとなったフィーダ29の回収を、ローダ13によって自動的行うことができる。
次に、部品装着機20が備える多重通信システムについて説明する。図3は、部品装着機20に適用される多重通信システムの構成を示すブロック図である。図2に示すように、部品装着機20は、装置本体部41と、分岐スレーブ43と、固定多重部45をモジュール22内に備えている。装置本体部41、分岐スレーブ43、及び固定多重部45は、基板搬送装置23の下方におけるモジュール22内に設けられている。
図3に示すように、本実施形態の多重通信システムでは、モジュール22内に固定された装置本体部41、分岐スレーブ43及び固定多重部45と、モジュール22内で移動する可動部(X軸スライド機構27A及びヘッド部25)との間のデータ伝送を多重通信により行う。装置本体部41は、本体制御装置51と、マスター53を有している。また、分岐スレーブ43は、マスター53、基板搬送装置23の第4スレーブ101、及びパレット24の第5スレーブ103と接続されている。固定多重部45は、第1多重処理装置55を備える。第1多重処理装置55の第1スレーブ57は、分岐スレーブ43と接続されている。ヘッド部25には、第2スレーブ61を有する第2多重処理装置63が設けられている。また、X軸スライド機構27Aには、第3スレーブ65を有する第3多重処理装置67が設けられている。尚、図3に示す多重通信や産業用ネットワークの接続構成は、一例である。
分岐スレーブ43、第1スレーブ57、第2スレーブ61、第3スレーブ65、第4スレーブ101、及び第5スレーブ103は、マスター53によって制御される。マスター53は、産業用ネットワークに接続される分岐スレーブ43、第1~第5スレーブ57,61,65,101,103(以下、各スレーブという場合がある)を制御する制御データCDの伝送を統括的に制御する。産業用ネットワークは、例えば、EtherCAT(登録商標)である。尚、本開示の「産業用ネットワーク」とは、例えば、EtherCAT(登録商標)の通信規格を用いて、リレー75,81やセンサ77,83等を制御する制御データCDを伝送するネットワークである。また、本開示の産業用ネットワークは、EtherCAT(登録商標)に限らず、例えば、Profinet(登録商標)やMECHATROLINK(登録商標)-III等の他の産業用ネットワーク(通信規格)でも良い。
本体制御装置51は、例えば、CPUを主体として構成される処理回路であり、マスター53によって収集した制御データCDや、第1多重処理装置55で受信した画像データGD等を入力し、次の制御内容(装着する電子部品の種類や装着位置など)を決定する。また、本体制御装置51は、決定した制御内容に応じた制御データCDをマスター53から送信させる。マスター53は、産業用ネットワークを介して各スレーブへ制御データCDを送信する。
ヘッド部25は、上記した第2多重処理装置63、マークカメラ69、パーツカメラ71等を有している。第2スレーブ61は、装置本体部41のマスター53から受信した制御データCDに基づいて、各種装置(リレー75やセンサ77など)で入出力される信号を処理する。例えば、制御データCDには、複数のスレーブ(第1スレーブ57など)の各々に対応した領域が設定されている。
図4は、産業用ネットワークで伝送される制御データCDのデータ構造の一例を示している。制御データCDは、例えば、イーサネット(登録商標)のヘッダ情報の後ろに産業用ネットワークのデータ領域が設定されている。産業用ネットワークのデータ領域には、例えば、第1スレーブ57から順番に、第2スレーブ61・・・・第5スレーブ103、分岐スレーブなどの各スレーブのデータ領域が設定されている。各スレーブのデータ領域の各々には、読み込み領域105及び書き込み領域107が設定されている。
例えば、ヘッド部25の第2スレーブ61は、マスター53から受信した制御データCDのうち、第2スレーブ61用の読み込み領域105から読み込んだデータに基づいてリレー75やセンサ77を駆動する。また、第2スレーブ61は、リレー75の駆動結果の信号やセンサ77の検出信号に応じたデータを、制御データCDのうち、第2スレーブ61用の書き込み領域107へ書き込む。第2スレーブ61は、書き込みが終了した制御データCDを、マスター53や他のスレーブ(第3スレーブ65など)に向けて送信する。尚、制御データCDは、後述する多重の高速シリアル通信により伝送される。
また、X軸スライド機構27Aの第3スレーブ65は、上記したヘッド部25の第2スレーブ61と同様に、制御データCDに基づいて、X軸スライド機構27Aに取り付けられたリレー81やセンサ83などを制御する。同様に、第1多重処理装置55の第1スレーブ57、基板搬送装置23の第4スレーブ101、パレット24の第5スレーブ103は、第2スレーブ61や第3スレーブ65と同様に、マスター53から分岐スレーブ43を介して受信した制御データCDに基づいて各種装置を制御する。
制御データCDは、例えば、マスター53、第1スレーブ57、第2スレーブ61、第3スレーブ65、第4スレーブ101、第5スレーブ103、マスター53の順に、分岐スレーブ43を介しながら各スレーブを循環して伝送される。従って、本実施形態の各スレーブは、マスター53から送信された制御データCDを循環させるように、他のスレーブ等へ転送する。また、本実施形態の各スレーブは、マスター53から送信された制御データCDを順番に転送する際に、自装置が制御データCDを正常に受信できたことを示す状態情報109を制御データCDに設定した後に制御データCDを転送する。
図4に示すように、例えば、各スレーブに対応する書き込み領域には、状態情報109を書き込むための領域(ビット値)が設定されている。各スレーブは、制御データCDを受信して、上記したような制御データCDに基づく処理を完了させると、自装置の書き込み領域107の状態情報109を書き換える。例えば、マスター53は、制御データCDを各スレーブに送信する際に、各書き込み領域107の状態情報109として初期値(ゼロを示す1ビットの値など)を設定する。そして、各スレーブは、制御データCDに基づく処理を完了させると、状態情報109を初期値以外(1を示すビット値など)に書き換える。
一方で、各スレーブは、産業用ネットワークを介した制御データCDの転送が任意のスレーブにおいて実行できない場合、その任意のスレーブを飛ばして制御データCDの転送を実行する。例えば、仮に、ネットワークの障害やソフトウェアの不具合により第2スレーブ61との産業用ネットワークを介した通信に通信異常が発生した場合、制御データCDは、第2スレーブ61を飛ばして次の第3スレーブ65に転送される。例えば、制御データCDは、マスター53、第1スレーブ57、第3スレーブ65、第4スレーブ101、第5スレーブ103の順に転送される。各書き込み領域107の状態情報109は、第2スレーブ61を除いた他のスレーブによって書き換えられる。換言すれば、制御データCDは、第2スレーブ61に対応する書き込み領域107の状態情報109だけが、初期値のままの状態でマスター53に戻される。
本体制御装置51は、マスター53で受信した制御データCD、即ち、複数のスレーブで転送された後の制御データCDの状態情報109が初期値であるか否かを確認することで、各スレーブの各々との間の通信における通信異常を確認することができる。例えば、本体制御装置51は、状態情報109が初期値のままのスレーブとの間の通信において、産業用ネットワークにおける通信異常が発生したと判断する。ここでいう産業用ネットワークにおける通信異常とは、通信ケーブル(後述する光ファイバケーブル91)の断線、通信ケーブルに発生した外来ノイズ、制御データCDを処理するソフトウェア(後述するFPGAなど)の不具合など、通信が正常に実行できない様々な異常を含む。
また、本実施形態のパレット24は、スロット24Aにフィーダ29が接続されている。パレット24の第5スレーブ103(図3参照)は、スロット24Aを介した通信ネットワーク(本願のネットワークの一例)でフィーダ29と通信可能であり、マスター53から受信した制御データCDに基づいて各フィーダ29の動作を制御する。また、第5スレーブ103は、各フィーダ29へ供給する電力をスロット24Aごとに制御可能となっている。そして、第5スレーブ103は、スロット24Aに接続されたフィーダ29と通信できない通信異常が発生すると、制御データCDの状態情報109により通信異常が発生したことをマスター53(本体制御装置51)に通知する。
例えば、第5スレーブ103は、スロット24Aに接続された複数のフィーダ29のうち、少なくとも一つのフィーダ29との間で通信できない通信異常を検出すると、通信異常が発生したことを示す状態情報109を、第5スレーブ103に対応する状態情報109に書き込み送信する。第5スレーブ103は、例えば、スロット24Aを介した通信においてフィーダ29から一定時間応答がない場合に、そのフィーダ29との間の通信で通信異常が発生したと判断する。第5スレーブ103は、通信異常が発生したスロット24Aの番号等を状態情報109に設定して送信する。装置本体部41の本体制御装置51は、マスター53で受信した制御データCDの状態情報109に基づいて、どのスロット24Aに接続されたフィーダ29との間で、通信異常が発生したのかを検出することができる。
尚、各スレーブに接続される各種装置(制御データCDによって制御される装置)は、特に限定されない。例えば、X軸スライド機構27Aのリレー81は、X軸スライド機構27Aのリニアモータのブレーキを駆動する駆動信号を出力するリミットスイッチである。リレー81は、駆動信号を出力してブレーキを駆動することで、例えば、X軸スライド機構27Aのオーバーランを抑制する。また、X軸スライド機構27Aのセンサ83は、例えば、部品装着機20に設定された基準高さ位置に基づいて、基板17の上面の高さを計測する基板高さセンサである。
次に、上記した産業用ネットワークの制御データCDやパーツカメラ71等の画像データGDを伝送する多重通信について説明する。本実施形態の部品装着機20は、上記した固定多重部45、X軸スライド機構27A及びヘッド部25の間のデータ伝送を多重の高速シリアル通信によって実行する。図3に示すように、固定多重部45は、上記した第1多重処理装置55の他に、光変換モジュール85,87を有する。光変換モジュール85は、ヘッド部25が有する光変換モジュール89と、光ファイバケーブル91を介して接続されている。同様に、固定多重部45の光変換モジュール87は、X軸スライド機構27Aが有する光変換モジュール93と、光ファイバケーブル95を介して接続されている。尚、固定多重部45、ヘッド部25、X軸スライド機構27Aを接続する通信は、光通信に限らず、例えば、Gigabit Ethernet(登録商標)の通信規格に準拠したLANケーブルを用いたパケット通信でも良い。また、部品装着機20が備える通信システムは、有線の通信システムに限らず、無線の通信システムでも良い。
次に、第1多重処理装置55と第2多重処理装置63の間の通信について説明する。尚、第1多重処理装置55と第3多重処理装置67との間の通信の処理内容は、第1多重処理装置55と第2多重処理装置63との間の通信の処理内容と同様であるため、その説明を適宜省略する。固定多重部45の光変換モジュール85は、光信号とデジタル信号の変換を実行する物理インターフェースである。光変換モジュール85は、第1多重処理装置55に接続され、第1多重処理装置55から入力されたデータを光信号に変換する。光変換モジュール85は、変換した光信号を、光ファイバケーブル91を介してヘッド部25の光変換モジュール89へ送信する。また、光変換モジュール85は、ヘッド部25の光変換モジュール89から受信した光信号をデジタ信号(シリアル信号)に変換して第1多重処理装置55へ出力する。
第1多重処理装置55は、例えば、FPGA(Field Programmable Gate Array)などのプログラム可能なロジックデバイスである。上記した各スレーブは、例えば、ロジックデバイスの論理回路の構築に使用されるIPコアである。尚、第1多重処理装置55は、FPGAに限らず、プログラマブルロジックデバイス(PLD)、複合プログラマブルロジックデバイス(CPLD)でも良い。また、第1多重処理装置55は、第1スレーブ57以外の回路を、特定用途向け集積回路(ASIC)などで構成しても良い。
また、固定多重部45は、例えば、FPGAの論理回路を構築するためのコンフィグ情報を記憶するメモリ(図示略)を備えている。第1多重処理装置55は、メモリに記憶されたコンフィグ情報を読み込んで、各種の処理回路(論理回路)を構築する。第1多重処理装置55は、構築した処理回路により制御データCDなどの通信システムで伝送するデータの処理を行う。
具体的には、第1多重処理装置55は、例えば、産業用ネットワークの制御データCD、本体制御装置51からマークカメラ69等に送信する撮像の開始信号などを入力し多重化する。第1多重処理装置55は、例えば、時分割多重化方式(TDM:Time Division Multiplexing)により多重化を行う。第1多重処理装置55は、例えば、入力した各種データを、入力ポートに対して割り当てた一定時間(タイムスロット)に応じて多重化し、多重化した多重化データを光変換モジュール85へ出力する。尚、上記した多重通信システムの構成は、一例であり適宜変更可能である。例えば、部品装着機20の多重通信システムは、ヘッド部25の吸着ノズルの駆動源である電磁モータのエンコーダのエンコーダ信号や、エンコーダに対する制御コマンドを多重化しても良い。
また、第1多重処理装置55は、例えば、光変換モジュール85から入力したシリアルデータをパラレルデータに変換する。第1多重処理装置55は、光変換モジュール85を介してヘッド部25の第2多重処理装置63から受信した多重化データの非多重化を実行し、多重化データに多重化されたデータを分離する。第1多重処理装置55は、分離した各種のデータを、対応する各装置へ出力する。これにより、固定多重部45とヘッド部25との間において、制御データCD、画像データGD等の各種のデータを多重化した多重通信(高速シリアル通信)が実行される。
次に、部品装着機20の電源構成について説明する。図5は、部品装着機20の電源構成の一例を示している。尚、図5は、電源に係わる構成を示しており、上記した多重通信システム等のデータ通信の接続構成の図示を省略している。本実施形態の装置本体部41は、各スレーブへの電力の供給、供給の停止を制御可能となっている。詳述すると、図5に示すように、部品装着機20は、電源装置111、DC/DC回路113、114、115、116、117を備えている。電源装置111は、部品装着機20の各装置へ電力を供給する電源として機能する装置である。電源装置111は、商用電源と接続される接続プラグ、AC/DC回路等を備え、商用電源から供給される交流電力を直流電力に変換する。
DC/DC回路113~117は、電源装置111に接続されている。DC/DC回路113、114、115、116、117は、この順に、固定多重部45、ヘッド部25、X軸スライド機構27A、基板搬送装置23、パレット24(以下、固定多重部45等という場合がある)に接続されている。DC/DC回路113~117は、例えば、スイッチングレギュレータである。DC/DC回路113~117は、電源装置111から供給された直流電圧を、固定多重部45等で必要な電圧に変換し、固定多重部45等へ供給する。
DC/DC回路113~117の各々と固定多重部45等の間には、切替装置119が接続されている。切替装置119は、装置本体部41の本体制御装置51から供給される制御信号CIに基づいて、DC/DC回路113~117と固定多重部45等を接続するオン状態と、DC/DC回路113~117と固定多重部45等を切断するオフ状態とに切り替わる。切替装置119の構成は特に限定されないが、例えば、FET(電界効果トランジスタ)やリレー回路などを採用することができる。従って、本実施形態の本体制御装置51は、切替装置119のオンオフを切り替えることで、電源装置111からDC/DC回路113~117を介して固定多重部45等へ供給する電力の供給と、供給の停止を切り替えることができる。
尚、固定多重部45等への電力の供給を切り替える方法は、上記した切替装置119を用いる方法に限らない。例えば、本体制御装置51は、DC/DC回路113~117の各々の動作を個別に制御し停止等させることで、固定多重部45等へ供給する電力を個別に停止しても良い。あるいは、本体制御装置51は、電源装置111の動作を停止させて固定多重部45等の全てに供給する電力を停止しても良い。また、図5に示す電源の構成は、一例である。例えば、本体制御装置51は、分岐スレーブ43に供給する電力の供給と、供給の停止を制御しても良い。
次に、装置本体部41の本体制御装置51が実行する通信異常時の処理について図6を参照しつつ説明する。本実施形態の本体制御装置51は、各スレーブ、及び第5スレーブ103に接続されたフィーダ29(以下、被制御装置という場合がある)との間の通信において発生する通信異常を検出する。即ち、本体制御装置51は、産業用ネットワークに直接接続された各スレーブや、各スレーブと通信可能な装置など、制御データCDで制御可能な被制御装置との間の通信における通信異常の発生を検出する。
本実施形態の本体制御装置51は、通信異常の発生を検出すると、通信異常が発生した被制御装置への電力供給を停止する停止モードと、電力供給を停止した後に供給を再開し被制御装置を自動で再起動する再起動モードとの2つのモードを備えている。まず、以下の説明では、再起動モードについて説明し、停止モードについては後述する。停止モードと再起動モードとを切り替える方法は特に限定されない。例えば、本体制御装置51は、タッチパネル26(図1参照)に対する操作入力に基づいて、2つのモードを切り替えても良く、管理コンピュータ15からの指示データに基づいて、2つのモードを切り替えても良い。
詳述すると、本体制御装置51は、部品装着機20の起動に応じて電源装置111及びDC/DC回路113~117が起動すると、切替装置119をオン状態にして各DC/DC回路113~117と被制御装置を接続し、DC/DC回路113~117から各被制御装置への電力供給を開始させる。本体制御装置51は、各被制御装置のスレーブやフィーダ29が起動すると、産業用ネットワークによる制御データCDの伝送を開始する。本体制御装置51は、部品装着機20による電子部品の装着作業を開始する。本体制御装置51は、装着作業を開始すると、図6に示す処理を開始する。尚、図6に示す処理を開始する条件は、装着作業を開始する条件に限らない。例えば、本体制御装置51は、産業用ネットワークにおいて制御データCDの転送を開始したことや、各スレーブとの通信を確立できたことを開始条件として、図6に示す処理を開始しても良い。即ち、本体制御装置51は、制御データCDの伝送を開始した直後や、任意のスレーブとの通信が開始された直後から通信異常の監視等を実行しても良い。
本体制御装置51は、図6に示す処理を開始すると、ステップ(以下、単に「S」と記載する)11において、通信異常が発生したか否かを判断する。本体制御装置51は、上記したように制御データCDに含まれる状態情報109(図4参照)に基づいて、複数の被制御装置の各々について通信異常が発生したか否かを判断する(S11)。本体制御装置51は、通信異常が発生するまでの間(S11:NO)、S11の処理を繰り返し実行する。これにより、本体制御装置51は、部品装着機20の装着作業中において、装置本体部41と被制御装置との間の通信を監視することができる。
本体制御装置51は、例えば、全ての被制御装置のうち、少なくとも一つの被制御装置との間の通信に通信異常が発生したと判断すると、S11において肯定判断し(S11:YES)、S13を実行する。本体制御装置51は、必要に応じて装着作業を停止する処理を行う(S13)。
例えば、本体制御装置51は、装着作業に必要な被制御装置への電力供給を停止する場合、S13において装着作業を停止する。第1スレーブ57には、X軸スライド機構27Aやヘッド部25が接続されているため、第1スレーブ57を停止すると装着作業ができなくなる。一方で、例えば、2組以上のX軸スライド機構27A、ヘッド部25、基板搬送装置23を搭載している場合、装着作業に使用していないX軸スライド機構27Aやヘッド部25を停止しても装着作業を継続することができる。また、パレット24に接続されたフィーダ29のうち、装置作業に使用しないフィーダ29であればそのフィーダ29を停止しても装着作業を継続することができる。従って、本体制御装置51は、このような装着作業の継続に必要な被制御装置を停止する場合はS13において装着作業を停止する。また、本体制御装置51は、装着作業に使用していない被制御装置、使用する予定がない被制御装置、代替えの装置がある被制御装置等を停止する場合は、S13において装着作業を停止しない。これにより、可能な限り装着作業を継続することができる。尚、本体制御装置51は、通信異常が発生した場合に、必ず装着作業を停止しても良い。
本体制御装置51は、S13を実行すると、通信異常が発生した被制御装置への電力供給を停止する(S15)。スレーブとの間で通信異常が発生した場合、本体制御装置51は、通信異常が発生したスレーブと接続された切替装置119(図5参照)を制御信号CIで制御しオフ状態とする(S15)。これにより、通信異常が発生したスレーブやスレーブを備える装置への電力供給が停止される。尚、本体制御装置51は、スレーブのみを停止しても良い。例えば、本体制御装置51は、固定多重部45への電力供給を継続しつつ、固定多重部45が備える第1スレーブ57への電力供給を停止しても良い。この場合、第1スレーブ57の電源線に切替装置119を設けても良く、固定多重部45に対して第1スレーブ57を停止する指令を出しても良い。
また、パレット24に接続された複数のフィーダ29のうち、任意のフィーダ29との間の通信に通信異常が発生した場合、本体制御装置51は、通信異常が発生したフィーダ29への電力供給を停止する指令を制御データCDにより第5スレーブ103へ通知する(S15)。第5スレーブ103は、制御データCDに基づいてスロット24Aの電力供給を制御し、通信異常が発生したフィーダ29への電力供給を停止する。
本体制御装置51は、S15を実行した後、S17を実行する。S17において、本体制御装置51は、一定時間だけ経過するのを待つ処理を実行する。S15における一定時間は、通信異常が発生した、即ち、S15で電力供給を停止した被制御装置が電力供給を停止してから動作を停止するまでに必要な時間である。
本体制御装置51は、S17を実行すると、電力供給を停止した被制御装置への電力供給を再開する(S19)。これにより、電力供給を停止し一定時間の経過を待って被制御装置を完全に停止した上で、被制御装置への電力供給を再開できる。被制御装置は、電力を再度供給されることで再起動し、通信に係わる処理等をリセットして再開できる。本体制御装置51は、停止した被制御装置がスレーブであれば、そのスレーブに対応する切替装置119をオン状態としスレーブへの電力供給を再開する。また、本体制御装置51は、停止した被制御装置がフィーダ29であれば制御データCDにより第5スレーブ103を制御してパレット24にフィーダ29への電力供給を再開させる。
従って、本実施形態の本体制御装置51は、産業用ネットワークや、第5スレーブ103とフィーダ29の通信ネットワーク(ネットワークの一例)における通信異常が発生した場合に(S11:YES)、電源装置111から被制御装置へ供給する電力を停止した後、電力の供給を再開させ被制御装置を再起動させる。これによれば、ネットワークの通信異常が発生した場合に、被制御装置への電力の供給の停止及び再開を実行し、被制御装置を再起動することができる。本体制御装置51と被制御装置との通信を自動で復旧させ、部品装着機20による装着作業を自動で復旧させることができる。作業者は、部品装着機20が設置されている位置まで移動して部品装着機20の再起動などを手作業で実行する必要がなくなる。また、被制御装置を個別に再起動することができるため、部品装着機20や部品装着システム10全体を再起動する必要がなくなる。その結果、通信異常の発生から異常の復旧までの時間を短縮することができ、作業の停止時間を短くできる。
本体制御装置51は、S19を実行した後、S21を実行する。S21において、本体制御装置51は、一定時間だけ経過するのを待つ処理を実行する。S21における一定時間は、S19で電力供給を再開した被制御装置が、電力を供給されてから起動するのに必要な時間である。
本体制御装置51は、S21を実行すると、被制御装置との間の通信が正常に実行できるか確認する(S23)。これにより、電力供給を再開し一定時間の経過を待って被制御装置を完全に起動させた上で(再起動させた上で)、被制御装置との通信を確認できる。本体制御装置51は、制御データCDを送信し、各スレーブで転送された後の状態情報109を確認することで、再起動した被制御装置との間で正常に通信できるか確認できる(S23)。
本体制御装置51は、S23を実行した後、S25を実行する。S25において、本体制御装置51は、S23において通信確認を正常に実行できたか否かを判断する。本体制御装置51は、被制御装置と通信を正常に確認できた場合(S25:YES)、再起動した被制御装置に対する初期設定を実行する(S27)。初期設定において、例えば、マスター53は、再起動したスレーブについて、スレーブを識別するための固有値をスレーブから読み出す処理や、スレーブが備えている機能を確認する処理などを実行する。あるいは、マスター53は、再起動したフィーダ29について、動作の確認処理等を実行する。
本体制御装置51は、S27を実行すると、装着作業を続行する(S29)。本体制御装置51は、S13において装着作業を停止していた場合は、作業を再開する。また、本体制御装置51は、S13において装着作業を停止せずに、被制御装置のみを停止した場合は、再起動した被制御装置を待機等させながら装着作業を継続する。これにより、通信異常が発生した被制御装置を自動で再起動させ部品装着機20を復旧させることができる。
一方、本体制御装置51は、S25において、被制御装置との間の通信を正常に確認できない場合(S25:NO)、例えば、通信異常が回復しない場合、通信異常を報知する(S31)。本体制御装置51は、例えば、部品装着機20のタッチパネル26や管理コンピュータ15の画面に通信異常が発生した旨や、どの被制御装置で通信異常が発生したのかを表示する。また、本体制御装置51は、通信異常が発生した被制御装置を使用する必要がある場合、装着作業を停止する処理を実行する。本体制御装置51は、S29又はS31を実行すると図6に示す処理を終了する。
従って、本実施形態の本体制御装置51は、電力の供給を再開させ被制御装置を再起動させた後、ネットワークを介して被制御装置との間で通信ができるか否かを確認し(S23)、被制御装置との間で通信ができなかった場合(S25:NO)、通信異常を報知する(S31)。被制御装置の故障、ネットワークケーブルの切断等が発生した場合、被制御装置の再起動によってもネットワークの通信異常が復旧しない可能性が高い。このような物理的な故障等が発生し、被制御装置の再起動によっても本体制御装置51と被制御装置との間の通信ができない場合、通信異常を報知する。これにより、通信異常の原因調査や部品の交換作業などの適切な対応をユーザに促すことができる。
また、本実施形態では、ネットワークとして、産業用ネットワークを採用している。被制御装置は、複数設けられ、本体制御装置51から受信した制御データCDに基づいて制御される。これによれば、本体制御装置51は、産業用ネットワークを介して制御データCDを送信することで、複数の被制御装置を制御することができる。そして、産業用ネットワークに通信異常が発生し、被制御装置に対して制御データCDによる制御ができなくなった場合に、電源装置111から被制御装置への電力の供給を停止することで、被制御装置を停止することができる。
また、複数の被制御装置の各々は、本体制御装置51から送信された制御データCDを順番に転送し、自装置が制御データCDを正常に受信できたことを示す状態情報109を制御データCDに設定した後に制御データCDを転送する。本体制御装置51は、複数の被制御装置で転送された後の制御データCDを受信し、受信した制御データCDの状態情報109に基づいて、複数の被制御装置の各々と接続された産業用ネットワークにおける通信異常を判定する。これによれば、複数の被制御装置は、本体制御装置51から送信された制御データCDを産業用ネットワークで循環させるように互いに転送しながら送受信する。この際、被制御装置は、制御データCDを正常に受信して処理すると、正常に受信できたことを示す状態情報109を制御データに設定して次の被制御装置や本体制御装置51へ転送する。これにより、本体制御装置51は、複数の被制御装置間で転送された後の制御データCDを確認することで、各被制御装置が制御データCDを正常に受信できかた否か、即ち、産業用ネットワークの通信異常を適切に判断することができる。
また、部品装着機20は、電源装置111と、被制御装置とを接続する電源線に接続され、電源装置111から被制御装置への電源線を介した電力の供給と、供給の停止を切り替える切替装置119を備える。本体制御装置51は、切替装置119を制御して、電源装置111から被制御装置へ供給する電力を停止する。これによれば、本体制御装置51は、通信異常が発生した場合に、電源線に接続された切替装置119を制御することで、電源装置111から被制御装置へ供給する電力を停止し、被制御装置を停止することができる。
次に、停止モードについて説明する。図7は、停止モードにおける通信異常時の処理内容を示している。以下の説明では、図6における再起動モードと同様の内容については、その説明を適宜省略する。
図7のS15に示すように、本体制御装置51は、図6に示す再起動モードと同様に、通信異常が発生した被制御装置への電力供給を停止すると、S33を実行する。本体制御装置51は、部品装着機20の装置の状態を維持して通信異常を報知する(S33)。本体制御装置51は、図6のS31と同様に、タッチパネル26等に通信異常を報知する。また、本体制御装置51は、被制御装置を停止した状態、即ち、通信異常が発生した直後の状態を保持して部品装着機20を停止させる。本体制御装置51は、通信異常時の制御データCDの内容、通信ログ、センサ77,83等の検出ログを保存しても良い。従って、本体制御装置51は、停止モードにおいて、再起動モードとは異なり、被制御装置の再起動を実行せず、通信異常が発生した部品装着機20の状態を、可能な限り発生時のまま保持する。
従って、本実施形態の本体制御装置51は、ネットワークにおける通信異常が発生した場合に、電源装置111から被制御装置へ供給する電力を停止し、被制御装置を停止させる停止モードと、ネットワークにおける通信異常が発生した場合に、電源装置111から被制御装置へ供給する電力を停止した後、電力の供給を再開させ被制御装置を再起動させる再起動モードとを備える。これによれば、停止モードを設定することで、通信異常が発生した場合に、被制御装置を再起動させずに停止できる。通信異常が発生した部品装着機20の状態を保持させ、通信異常の原因をより正確に調査することができる。また、再起動モードを設定することで、通信異常が発生した場合に被制御装置を自動で再起動させ、通信異常を迅速に復旧させ作業を再開させることができる。例えば、部品装着機20の開発や修理を行なう場合、通信異常の原因を調査する必要があり、停止モードにより通信異常の状態を確認することができる。また、ユーザが実際に使用している場合、出来るだけ装着作業を停止したくない場合があり、再起動モードにより迅速な復旧を実現できる。
因みに、部品装着機20は、作業機の一例である。フィーダ29は、被制御装置の一例である。本体制御装置51は、制御装置の一例である。第1~第5スレーブ57,61,65,101,103は、被制御装置の一例である。DC/DC回路113~117は、電源装置の一例である。
以上、上記した本実施例によれば以下の効果を奏する。
本実施例の一態様では、装置本体部41の本体制御装置51は、第1スレーブ57等の被制御装置と産業用ネットワークを介して接続され、産業用ネットワークを介して被制御装置を制御する。本体制御装置51は、産業用ネットワークやフィーダ29との間の通信ネットワークにおける通信異常が発生した場合に(S11:YES)、電源装置111から被制御装置へ供給する電力を停止し、被制御装置を停止させる(S15)。
これによれば、本体制御装置51は、被制御装置を制御するのに用いるネットワークに通信異常が発生すると、電源装置111から被制御装置へ供給する電力を停止する。被制御装置は、電力の供給を停止されることで、動作を停止させる。これにより、ネットワークの通信異常により、ネットワークを介して本体制御装置51から被制御装置へ動作の停止指示等ができない状態になっても、電力の供給を停止することで、被制御装置を停止することができる。
尚、本開示は上記の実施例に限定されるものではなく、本開示の趣旨を逸脱しない範囲内での種々の改良、変更が可能であることは言うまでもない。
例えば、上記実施形態では、部品装着機20は、停止モードと再起動モードとの両方を備えたが、どちらか一方のモードのみを備える構成でも良い。
また、産業用ネットワークに適用される通信規格は、イーサネット(登録商標)に限らず、他の通信規格でもよい。
また、上記実施例では、1つのマスター53に対して5つのスレーブ(第1~第5スレーブ57,61,65,101,103)を接続したが、これに限らない。マスター53の数は、2以上の複数個でも良い。また、スレーブの数は、1個、2~3個、6個以上の複数個でもよい。
また、部品装着機20は、多重通信システムを備えなくとも良い。例えば、部品装着機20は、制御データCDを他のデータと多重化して伝送しなくとも良い。
また、上記実施形態では、本体制御装置51が図6、図7に示す処理を実行したが、マスター53等の他の装置が実行しても良い。この場合、マスター53は、本開示の制御装置の一例である。
また、本体制御装置51は、状態情報109により通信異常を判断したが、他の方法を用いて判断しても良い。例えば、本体制御装置51は、制御データCDとは別の確認用データを第1スレーブ57等に送信し、スレーブとの間の通信異常の発生を確認しても良い。
また、部品装着機20は、切替装置119を備えなくとも良い。この場合、本体制御装置51は、DC/DC回路113~117や電源装置111を停止させ、被制御装置への電力供給を停止しても良い。
また、第1多重処理装置55と第2多重処理装置63との間における多重通信は、時分割多重化方式以外、例えば、周波数多重化方式でも良い。
また、上記実施例では本開示における作業機として、電子部品を基板17に実装する部品装着機20を採用した例について説明した。しかしながら、本開示における作業機は、部品装着機20に限定されるものではなく、はんだ印刷装置などの他の対基板作業機を採用することができる。また、作業機は、例えば、工作機械や組立て作業を実施するロボットでも良い。