(対基板作業システム10の構成)
以下、本開示を実施するための形態を具体化した一実施形態について、図を参照しつつ詳しく説明する。図1は、本実施形態の対基板作業システム10の構成を模式的に示している。本実施形態の対基板作業システム10は、例えば、図1に示すように、基板11に電子部品12を実装する複数の生産ライン13を備えている。複数の生産ライン13の各々は、例えば、ラインの上流側から順に、基板投入機21、印刷機22、装着システム23、装着作業結果検査機25、リフロー炉27、最終検査機28を並んで配置されている。基板11は、それらの機器等を順次通過して電子部品12を実装される。また、対基板作業システム10は、上記した基板投入機21等の各々を統括して制御するホストコンピュータ15を備えている。なお、上記した対基板作業システム10の構成は、一例である。
印刷機22は、上流側の基板投入機21から搬入された基板11に対して所定のパターンの半田を印刷する。装着システム23は、複数の電子部品装着機(以下、装着機という場合がある)24を備える。装着機24は、印刷機22から搬入した基板11に電子部品12を装着する。装着作業結果検査機25は、基板11に対する電子部品12の装着状態の良否を検査する。リフロー炉27は、装着作業結果検査機25によって良好と判定された基板11を加熱する。基板11に印刷された半田は、加熱した後に冷却されることによって、溶融及び固化する。これにより、電子部品12は、基板11に接合される。最終検査機28は、基板11に接合された電子部品12の状態等を検査する。
ホストコンピュータ15は、基板投入機21等とネットワーク18を介して接続されている。ネットワーク18の接続は、有線でも無線でも良い。ホストコンピュータ15は、記憶装置15Aを備えている。記憶装置15Aは、例えば、ハードディスクや不揮発性メモリ等を備えている。記憶装置15Aには、複数の生産ライン13に係わる種々の情報、例えば、各生産ライン13で生産する基板11の種類及び生産量等に係わる生産計画の情報、それら各種の基板11を生産すために基板投入機21等の動作を制御する生産プログラムPG等が記憶されている。ホストコンピュータ15は、CPU等(図示略)で各種プログラムを実行することで、ネットワーク18を介して各生産ライン13の基板投入機21等に生産プログラムPG等を送信する。例えば、各装着機24は、受信した生産プログラムPGに設定された装着位置に基づいて基板11に電子部品12を装着する。
(装着システム23の構成)
次に、複数の装着機24を備える装着システム23の構成について、図2及び図3を参照しつつ説明する。図2は、装着システム23の斜視図を示している。図3は、交換ロボット41と装着機24の斜視図を示している。尚、図3は、装着機24のタッチパネル42や上部カバー24A等(図2参照)を取り外した状態を図示している。
図2及び図3に示すように、装着システム23は、複数の装着機24を一方向に並設し互いに連結して構成されており、基板11の搬送を行う。以下の説明では、図2及び図3に示すように、装着機24を連結する方向であり且つ基板11を搬送する方向を左右方向(X方向)、左右方向に直交し搬送される基板11の平面と平行な方向を前後方向(Y方向)、左右方向及び前後方向に直交する方向を上下方向(Z方向)と称して説明する。
装着システム23は、前後方向における前面側(図2の手前側)に、フィーダ保管装置43と、交換ロボット41と、管理装置45とを備えている。複数の装着機24、フィーダ保管装置43、管理装置45等は、ネットワーク18を介して通信可能となっている。装着機24等は、ネットワーク18を介して各種のデータを送受信する。
また、フィーダ保管装置43は、基板11を搬入する搬入側(左右方向の左側)に設けられ、カセット式のフィーダ51を保管する。フィーダ51は、電子部品12(図1参照)をテープ化したキャリアテープから電子部品12を供給するフィーダ型の供給装置である。フィーダ保管装置43は、複数のスロットを有し、各スロットにセットされたフィーダ51をストックする。フィーダ51は、フィーダ保管装置43のスロットにセットされると、管理装置45との間で通信可能な状態となる。これにより、フィーダ保管装置43のスロットとそのスロットにセットされたフィーダ51の識別符号(ID)が関連付けられて管理装置45に記録される。
管理装置45は、装着システム23の動作状況を監視し、装着システム23の制御を行う。管理装置45は、ホストコンピュータ15(図1参照)から生産プログラムPGを受信する。管理装置45は、装着システム23の生産処理の実行に際して、生産プログラムPGなどの各種データを装着システム23の各装置に適宜送信する。これにより、装着機24等は、生産プログラムPGに基づいた装着作業を実行する。
(装着機24の構成)
次に、装着機24の構成について説明する。複数の装着機24の各々は、モジュール53と、ベース54とを備える。装着機24は、例えば、1つのベース54の上に、1つのモジュール53が配置されている。尚、装着機24は、1つのベース54の上に複数のモジュール53を配置する構成や、複数のベース54の上に1つのモジュール53を配置する構成でも良い。
モジュール53は、装着機24に搬入された基板11に対して電子部品12を装着する装着作業を行う。モジュール53は、2つの基板搬送装置55と、上部スロット56と、装着ヘッド57と、ヘッド移動装置58と、タッチパネル42(図2参照)とを有する。基板搬送装置55の各々は、前後方向で対向する一対の基板ガイド59を有する。基板ガイド59の内側には、基板11を搬送するためのベルトコンベア(図示略)や基板11を所定位置で固定するためのクランプ装置(図示略)などが設けられている。基板搬送装置55は、ベルトコンベアの回転に応じて、基板11を搬送方向(右方向)へ順次搬送する。基板搬送装置55は、上流側(左側)の装着機24から基板11を搬入し、モジュール53内における所定位置に基板11をクランプ装置によって位置決めする。そして、基板搬送装置55は、モジュール53による装着作業が実行された後に、基板11を下流の装着機24へ搬出する。
上部スロット56は、装着機24の前側の上部に配置され、セットされたフィーダ51を動作可能に保持する。上部スロット56にセットされたフィーダ51は、モジュール53による装着作業に連動して制御され、フィーダ51の上部に設けられた供給位置において電子部品12(図1参照)を供給する。
また、ベース54は、下部スロット61を有する。下部スロット61は、上部スロット56の下方に配置され、フィーダ51をストックする。下部スロット61は、生産に用いられるフィーダ51を予備的にストックし、又は生産に用いられた使用済みのフィーダ51を一時的にストックする。上部スロット56と下部スロット61との間でのフィーダ51の交換は、交換ロボット41による自動交換、又はユーザによる手動交換によりなされる。
装着ヘッド57は、フィーダ51の供給位置に供給される電子部品12を保持する保持部材(図示せず)を有する。保持部材としては、例えば、負圧を供給されて電子部品12を保持する吸着ノズルや、電子部品12を把持して保持するチャックなどを採用できる。装着ヘッド57は、例えば、保持部材を駆動する駆動源として複数のサーボモータ75(図4参照)を有する。保持部材は、例えば、サーボモータ75の駆動に基づいてZ方向に移動する。また、保持部材は、例えば、サーボモータ75の駆動に基づいてZ方向に沿った軸を中心に回転する。
ヘッド移動装置58は、モジュール53の上部に設けられ、X方向及びY方向の任意の位置に装着ヘッド57を移動させる。詳述すると、ヘッド移動装置58は、装着ヘッド57をX方向に移動させるX軸スライド機構58Aと、装着ヘッド57をY方向に移動させるY軸スライド機構58Bとを備える。X軸スライド機構58Aは、Y軸スライド機構58Bに取り付けられている。Y軸スライド機構58Bは、駆動源としてリニアモータ(図示略)を有している。X軸スライド機構58Aは、Y軸スライド機構58Bのリニアモータの駆動に基づいてY方向の任意の位置に移動する。
また、X軸スライド機構58Aは、駆動源としてリニアモータ77(図4参照)を有している。装着ヘッド57は、X軸スライド機構58Aに取り付けられ、X軸スライド機構58Aのリニアモータ77の駆動に基づいてX方向の任意の位置に移動する。従って、装着ヘッド57は、X軸スライド機構58A及びY軸スライド機構58Bの駆動にともなってモジュール53上の任意の位置に移動する。
また、装着ヘッド57は、X軸スライド機構58Aにコネクタを介して取り付けられ、ワンタッチで着脱可能であり、種類の異なる装着ヘッド57、例えば、ディスペンサヘッド等に変更できる。タッチパネル42は、装着機24の上部カバー24Aの上に設けられ、装着機24の各種情報の表示や、ユーザによる操作入力を受け付ける。
また、図2に示すように、ベース54の前面には、上部ガイドレール63と、下部ガイドレール65とが設けられている。上部ガイドレール63及び下部ガイドレール65は、X方向に延びる一対のレールであり、互いに平行をなしている。複数の装着機24の各々が備える上部ガイドレール63及び下部ガイドレール65は、隣接する装着機24の上部ガイドレール63及び下部ガイドレール65と着脱可能となっている。このため、装着機24は、X方向に並ぶ装置数を変更し、生産ライン13(図1参照)の長さを変更可能となっている。
交換ロボット41(作業部の一例)は、装着システム23において着脱可能に設けられ、複数の装着機24及びフィーダ保管装置43のそれぞれに対してフィーダ51の交換などの各種の作業を行う。交換ロボット41には、上部ガイドレール63に挿入される上部ローラ(図示略)と、下部ガイドレール65に挿入される下部ローラ(図示略)とが設けられている。また、交換ロボット41には、駆動源としてモータが設けられている。モータの出力軸には、上部ガイドレール63に設けられたラックギヤ(図示略)と噛み合うギヤが取り付けられている。交換ロボット41は、上部ガイドレール63に設けられた非接触給電コイル(図示略)から電力の供給を受ける受電コイルを備えている。交換ロボット41は、非接触給電コイルから受電した電力をモータに供給する。これにより、交換ロボット41は、モータによってギヤを回転させることで、X方向(左右方向)へ移動することができる。また、交換ロボット41は、上部ガイドレール63及び下部ガイドレール65内でローラを回転させ、上下方向や前後方向の位置を保持しながらX方向へ移動することができる。
交換ロボット41は、フィーダ51をクランプする把持部(図示略)を備える。交換ロボット41は、上部スロット56との間で交換するフィーダ51を配置する上部移載部41Aと、下部スロット61との間で交換するフィーダ51を配置する下部移載部41Bとを備えている。交換ロボット41は、把持部を用いて、上部移載部41A、下部移載部41B、装着機24のそれぞれのフィーダ51を交換等する。
また、図2に示すように、交換ロボット41は、光無線装置47を備えている。光無線装置47は、LED等の光源として機能する発光素子と、フォトダイオードなどの受光素子とを備えている。また、管理装置45は、交換ロボット41の光無線装置47に対向して光無線装置49を備える。光無線装置49は、光無線装置47側(交換ロボット41側)の発光素子や受光素子との間で光軸が一致するように固定されている。これにより、交換ロボット41が移動した場合であっても、光無線装置47,49間で、レーザ等の無線による光通信が可能となっており、双方向によるデータの送受信が可能となっている。管理装置45は、この光通信により交換ロボット41の動作を制御する。
管理装置45は、フィーダ51の残りの電子部品の数を監視する。管理装置45は、例えば、フィーダ51の補給が必要であると判断すると、補給が必要な部品種を収容したフィーダ51をフィーダ保管装置43にセットする指示を画面に表示する。ユーザは、画面を確認して、フィーダ51をフィーダ保管装置43にセットする。管理装置45は、所望のフィーダ51がフィーダ保管装置43にセットされたことを検出すると、交換ロボット41に対して補給作業の開始を指示する。例えば、交換ロボット41は、フィーダ保管装置43にセットされたフィーダ51を把持部によって挟持し、上部移載部41Aや下部移載部41Bにセットする。交換ロボット41は、管理装置45から指示を受けた装着機24の前方まで移動し、上部移載部41Aや下部移載部41Bのフィーダ51を把持部で挟持して、装着機24の上部スロット56に装着する。これにより、新たなフィーダ51が装着機24に補給される。また、交換ロボット41は、装着機24の上部スロット56と下部スロット61との間でフィーダ51を交換する。また、交換ロボット41は、部品切れ等のフィーダ51を装着機24からフィーダ保管装置43に搬送する。このようにして、新たなフィーダ51の補給及び部品切れとなったフィーダ51の回収を、交換ロボット41によって自動的行うことができる。
次に、装着機24の詳細について説明する。図3に示すように、装着機24は、装置本体部71と、固定部基板73をモジュール53内に備えている。装置本体部71及び固定部基板73は、基板搬送装置55の下方におけるモジュール53内に設けられている。図4は、装着機24のブロック図を示している。図4に示すように、本実施形態の装着機24では、モジュール53内に固定された固定部基板73と、モジュール53内で移動する可動部(X軸スライド機構58A及び装着ヘッド57)との間のデータ伝送を、光ファイバケーブル81,82を介した光通信(多重通信)により行う。
装置本体部71は、サーボアンプ83、装置制御メイン基板85、及び画像処理基板87を有している。また、固定部基板73は、FPGA(Field Programmable Gate Array)91、不揮発性メモリ92、送信側光電変換器93A,94A、受信側光電変換器93B,94Bを有している。また、X軸スライド機構58Aは、X軸基板95、マークカメラ96、リニアモータ77、リニアスケール78を有している。また、装着ヘッド57は、ヘッド基板97、パーツカメラ98、サーボモータ75、エンコーダ76を有している。
本実施形態の装着機24では、装着ヘッド57やX軸スライド機構58Aが有する装置の各種データを多重の光通信により送受信する。ここでいう各種データとは、例えば、X軸スライド機構58Aが有するリニアスケール78のリニアスケール信号、装着ヘッド57が有するエンコーダ76のエンコーダ信号である。また、各種データとは、例えば、マークカメラ96やパーツカメラ98の画像データである。また、各種データとは、X軸スライド機構58Aや装着ヘッド57が有する各種センサやリレー(図示略)の信号である。
固定部基板73のFPGA91は、装置本体部71のサーボアンプ83、装置制御メイン基板85、画像処理基板87から入力したデータを多重化する。図5は、固定部基板73の光ファイバケーブル82の接続部分の構成を示している。図5に示すように、FPGA91は、例えば、起動時において、不揮発性メモリ92からコンフィグ情報CFを読み込んで多重化処理を行う論理回路を構築する。FPGA91は、例えば、時分割多重化方式(TDM:Time Division Multiplexing)により多重化を行う。FPGA91は、例えば、サーボアンプ83等から入力した各種データを、入力ポートに対して割り当てた一定時間(タイムスロット)に応じて多重化し、多重化した多重化データを送信側光電変換器93A,94Aを介して、X軸スライド機構58Aや装着ヘッド57へ送信する。
図4に示すX軸スライド機構58AのX軸基板95は、送信側光電変換器101A、受信側光電変換器101B、FPGA103、不揮発性メモリ105を有している。固定部基板73の送信側光電変換器93A及び受信側光電変換器93Bは、光ファイバケーブル81を介してX軸スライド機構58Aの送信側光電変換器101A及び受信側光電変換器101Bに接続されている。FPGA103は、X軸スライド機構58Aのマークカメラ96、リニアスケール78、各種センサ等から入力したデータを多重化する。FPGA103は、例えば、起動時において、不揮発性メモリ105からコンフィグ情報を読み込んで多重化処理を行う論理回路を構築する。
同様に、装着ヘッド57のヘッド基板97は、送信側光電変換器111A、受信側光電変換器111B、FPGA113、不揮発性メモリ115を有している。固定部基板73の送信側光電変換器94A及び受信側光電変換器94Bは、光ファイバケーブル82を介して装着ヘッド57の送信側光電変換器111A及び受信側光電変換器111Bに接続されている。FPGA113は、装着ヘッド57のパーツカメラ98、エンコーダ76、各種センサ等から入力したデータを多重化する。FPGA113は、例えば、起動時において、不揮発性メモリ115からコンフィグ情報を読み込んで多重化処理を行う論理回路を構築する。なお、多重化の処理を行う回路(FPGA91,103,113)は、FPGAに限らず、プログラマブルロジックデバイス(PLD)、複合プログラマブルロジックデバイス(CPLD)でも良い。また、多重化の処理を行う回路を、特定用途向け集積回路(ASIC)やCPUによるソフトウェア処理などで実現しても良い。
光ファイバケーブル81,82は、例えば、ケーブル内の光ファイバ線の配置や太さを調整して、耐屈曲性を高めたものである。これにより、装着ヘッド57やX軸スライド機構58Aの移動にともなって光ファイバケーブル81,82が屈曲した場合であっても、光ファイバ線を損傷させることなく、安定してデータを伝送できる。なお、固定部基板73、装着ヘッド57、X軸スライド機構58Aを接続する通信は、有線通信に限らず、レーザ等を用いた光無線通信でも良い。
また、不揮発性メモリ92,105,115は、例えば、EEPROMである。なお、固定部基板73等が備える記憶装置は、不揮発性メモリに限らず、SRAMなどの揮発性メモリ、ハードディスクなどの他の記憶装置でも良い。
固定部基板73の送信側光電変換器93Aは、FPGA91によって多重化された多重化データを光信号に変換し、光ファイバケーブル81を介してX軸基板95の受信側光電変換器101Bへ送信する。受信側光電変換器101Bは、送信側光電変換器93Aから受信した光信号を電気信号の光電流に変換してFPGA103へ出力する。本実施形態のFPGA103は、AD変換回路等を有し、アナログの光電流をデジタル信号に変換して処理する。また、後述するように、FPGA91,103,113は、受信した光信号を受信側光電変換器101B等で変換した受光電力W(変換値の一例)の値に基づいて、受光量を判断することが可能となっている。なお、FPGA91,103,113は、受光電力Wを用いずに、他の値、例えば、受光した光信号を変換した光電流の電流値を用いて受光量を判断しても良い。
また、FPGA103は、変換したデジタル信号、即ち、多重化データの非多重化を実行し、多重化データに多重化されたデータを分離する。FPGA103は、分離した各種のデータを、対応する装置へ出力する。これにより、固定部基板73とX軸スライド機構58Aとの間において、各種のデータを多重化した多重通信(光通信)が実行される。同様に、FPGA103は、マークカメラ96の画像データ等を多重化して送信側光電変換器101Aを介して固定部基板73の受信側光電変換器93Bへ送信する。FPGA91は、多重化データの非多重化を行い、分離した各種データを、装置本体部71の画像処理基板87等へ出力する。
また、固定部基板73は、X軸スライド機構58Aと同様に、装着ヘッド57との間でも多重の光通信を行う。固定部基板73の送信側光電変換器94A及び受信側光電変換器94Bは、光ファイバケーブル82を介してヘッド基板97の送信側光電変換器111A及び受信側光電変換器111Bと接続されている。固定部基板73のFPGA91は、光ファイバケーブル82を介して、ヘッド基板97のFPGA113と多重通信を行う。
本実施形態の装置本体部71は、上記した多重通信により、X軸スライド機構58Aと装着ヘッド57に対する制御を実行する。装置本体部71のサーボアンプ83は、X軸スライド機構58Aのリニアスケール78に対する初期化処理、リニアスケール信号の取得処理などを実行する。リニアスケール78は、X軸スライド機構58Aのスライド位置を示すリニアスケール信号を、多重通信を介してサーボアンプ83へ送信する。サーボアンプ83は、X軸スライド機構58Aのリニアモータ77と電源線(図示略)を介して接続されており、リニアスケール78のリニアスケール信号に基づいてリニアモータ77へ供給する電力を変更することで、リニアモータ77に対するフィードバック制御を実行する。装置制御メイン基板85は、ホストコンピュータ15から受信した生産プログラムPGなどに基づいてサーボアンプ83を制御する。これにより、X軸スライド機構58Aは、生産プログラムPGに基づいたX方向の位置へ移動する。
同様に、サーボアンプ83は、装着ヘッド57のエンコーダ76に対する初期化処理、エンコーダ信号の取得処理などを実行する。エンコーダ76は、サーボモータ75の回転位置などを示すエンコーダ信号を、多重通信を介してサーボアンプ83へ送信する。このサーボモータ75は、上記したように、装着ヘッド57が有する保持部材を駆動する駆動源等として機能する。サーボアンプ83は、装着ヘッド57のサーボモータ75と電源線(図示略)を介して接続されており、エンコーダ76のエンコーダ信号に基づいて、サーボモータ75に対するフィードバック制御を実行する。これにより、装着ヘッド57は、生産プログラムPGに基づいて、保持部材を回転や上下動させる。
また、装置本体部71の装置制御メイン基板85は、産業用ネットワークを介してX軸スライド機構58Aや装着ヘッド57の備えるリレーやセンサ等を制御可能となっている。ここでいう産業用ネットワークは、例えば、EtherCAT(登録商標)である。なお、本開示の産業用ネットワークとしては、EtherCAT(登録商標)に限らず、例えば、MECHATROLINK(登録商標)-IIIやProfinet(登録商標)等の他のネットワーク(通信規格)を採用できる。
FPGA91,103,113には、産業用ネットワークのスレーブとして機能する回路ブロック(IPコアなど)が構築されている。装置制御メイン基板85は、産業用ネットワークのマスターとして機能し、多重通信を介してFPGA91等のスレーブへ制御データを送信する。FPGA91等のスレーブは、装置制御メイン基板85から受信した制御データに基づいて、リレーやセンサを駆動する。また、スレーブは、リレーやセンサの信号を、多重通信を介して装置制御メイン基板85へ送信する。これにより、装置制御メイン基板85は、各装置のリレー等を制御することができる。
また、X軸スライド機構58Aのマークカメラ96は、基板11を撮影するためのカメラであり、下方を向いた状態でX軸スライド機構58Aに固定されている。マークカメラ96は、X軸スライド機構58Aのスライド部分の移動に伴って、基板11の任意の位置を上方から撮像可能となっている。マークカメラ96が撮像した画像データは、多重通信によってX軸スライド機構58Aから装置本体部71へ送信され、装置本体部71の画像処理基板87において画像処理される。画像処理基板87は、画像処理によって、基板11に関する情報、電子部品12の装着位置の誤差等を取得する。
また、装着ヘッド57のパーツカメラ98は、保持部材(吸着ノズルなど)に吸着保持した電子部品12を撮像するカメラである。パーツカメラ98が撮像した画像データは、多重通信によって装着ヘッド57から装置本体部71へ送信され、画像処理基板87において画像処理される。画像処理基板87は、画像処理によって、保持部材における電子部品12の保持位置の誤差等を取得する。
尚、図4に示す通信システムの構成は、一例であり適宜変更可能である。例えば、Y軸スライド機構58B(図3参照)のリニアモータ(図示略)に取り付けたリニアスケール信号を、多重通信により伝送しても良い。また、Y軸スライド機構58Bのリレー等の信号を、多重通信により伝送しても良い。
上記した構成により、装置制御メイン基板85は、ホストコンピュータ15から受信した生産プログラムPGに基づいて装着機24を制御する。装置制御メイン基板85は、例えば、CPUを主体として構成される処理回路であり、生産プログラムPGに基づいた処理を実行する。装置制御メイン基板85は、産業用ネットワークによって収集したデータ、マークカメラ96やパーツカメラ98で撮像した画像データ、リニアスケール78のリニアスケール信号、エンコーダ76のエンコーダ信号等を、多重通信を介して受信する。装置制御メイン基板85は、受信したデータ等に基づいて、次の制御内容(装着する電子部品12の種類や装着位置など)を決定する。装置制御メイン基板85は、決定した制御内容に応じて各種装置を制御する。
(補正判断処理)
次に、FPGA91,103,113による受光電力Wの補正処理、及び補正後の受光電力Wの判断処理について説明する。なお、以下の説明では、補正前と補正後の受光電力Wを区別する場合、補正前の受光電力Wを、補正前受光電力W1と称し、補正後の受光電力Wを補正後受光電力W2と称して説明する。また、以下の説明では、一例として、装置本体部71のFPGA91による処理について説明し、他のFPGA103,113の処理の詳細については説明を省略する。
図5に示すように、光ファイバケーブル82の固定部基板73側の先端に設けられたLCコネクタ121は、受信側光電変換器94BのLCコネクタ122に接続されている。なお、光ファイバケーブル82と受信側光電変換器94Bを接続するコネクタの種類は、LCコネクタに限らず、SCコネクタやMUコネクタなど、他の種類のコネクタでも良い。
受信側光電変換器94Bは、光電変換を行う受光素子としてフォトダイオード123を有する。LCコネクタ122とフォトダイオード123とは、短い光ファイバケーブル125によって接続されている。FPGA91は、受信側光電変換器94Bに接続されている。受信側光電変換器94Bは、LCコネクタ121,122を介して受信した光信号をフォトダイオード123によって電気信号の光電流に変換し、変換した光電流をFPGA103へ出力する。FPGA113は、受信側光電変換器94Bから入力した光電流の電力、あるいはその光電流をアナログ/デジタル変換した後のデジタル信号に基づいた電力を、補正前受光電力W1として処理する。FPGA91は、補正前受光電力W1(変換値の一例)の値に基づいて、受光量を判断する。
ここで、例えば、送信側である装着ヘッド57の送信側光電変換器111Aに設けられた発光素子(LEDなど)は、経年劣化によって送信電力(発光量)が低下する虞がある。送信電力が一定量以上低下した場合、多重化データのビットエラーが増大し、最終的に通信不能となる。このため、FPGA91は、例えば、受信側光電変換器94Bの受光電力に基づいて、送信側光電変換器111Aの送信電力の大きさを判断する。これにより、経年劣化による発光素子の交換時期などを案内することができる。
一方で、受信側光電変換器94Bの受光感度(受光効率など)ば、例えば、生産過程の精度のばらつきなどによって変動する虞がある。その結果、受信側光電変換器94Bの個体差によって、送信側から同一の強さの光を発光させたとしても、受信側の光電変換後の受光電力、即ち、補正前受光電力W1が異なる値となる虞がある。例えば、図5に示すように、本実施形態の受信側光電変換器94Bでは、LCコネクタ122とフォトダイオード123とが、数十cmの光ファイバケーブル125によって接続されている。このような構造では、光ファイバケーブル125とフォトダイオード123との接続点127の接続精度に応じて受光感度が大きく変動する虞がある。
そして、例えば、装着ヘッド57を装着する装着機24の変更、即ち、受信側光電変換器94Bと送信側光電変換器111Aとの組み合わせの変更に伴って、受信側光電変換器94B(固定部基板73)の受光感度が変動する。例えば、装着する装着機24を変更し受信側光電変換器94Bが変更されることによって、装着ヘッド57の送信側光電変換器111Aから同じ送信電力(光量)の光を送信しても、変更後の受信側光電変換器94Bの補正前受光電力W1が、変更前の受信側光電変換器94Bの補正前受光電力W1に比べて低下する虞がある。従って、製品毎の受光感度を無視して、同じ閾値を用いて受光電力を判断し、機器の交換の案内などを行った場合、受光感度の違いによって交換案内等を誤って報知する虞がある。例えば、別の装着機24で使用できた装着ヘッド57が、装着する装着機24を変更しただけで、交換の直後に使用不能と判断される虞がある。
そこで、本実施形態の装着機24では、受信側光電変換器(受信側光電変換器94Bなど)の個々の受光感度の差を考慮して補正前受光電力W1の補正を行い、補正後の補正後受光電力W2を用いて受光量を判断する。詳述すると、図5に示すように、不揮発性メモリ92には、上記した論理回路を構築するためのコンフィグ情報CFの他に、制御プログラムPG2、受光感度補正データD2、閾値データTHDが記憶されている。また、図5に示すように、FPGA91は、CPU91Aを有する。このCPU91Aは、例えば、FPGA91内に配置可能なプロセッサであり、例えばアルテラ社製「NIOS」(登録商標)を採用できる。CPU91Aは、例えば、不揮発性メモリ92に記憶された制御プログラムPG2を読み込んで、補正前受光電力W1の補正処理、及び補正後受光電力W2に基づく受光量の判断処理を実行する。以下の説明では、制御プログラムPG2を実行するCPU91Aのことを、単に装置名で記載する場合がある。例えば、「CPU91Aが」という記載は、「制御プログラムPG2を実行するCPU91Aが」ということを意味する場合がある。
受光感度補正データD2には、補正前受光電力W1を補正するための補正値(固有値の一例)が記憶されている。例えば、受信側光電変換器の各々について、予め基準となる光源で受光感度を測定しておき、基準光源に対する補正値、即ち、受光感度の個体差を補正するための補正値を算出する。そして算出した補正値を、受光感度補正データD2として各受信側光電変換器に対応する不揮発性メモリに記憶しておく。
具体的には、例えば、基準光源から1mW相当の光を発光させ、基準となる受信側光電変換器で受光させた受光電力が100μWとなる基準光源との距離を設定する。そして、基準光源の送信電力を1mWに固定し設定した距離に受信側光電変換器を設置し、各受信側光電変換器について補正値を設定する。例えば、計測した受光電力が110μWであった場合、110%(1.1倍)を受光感度の補正値として受光感度補正データD2に設定する。CPU91Aは、例えば、受光感度補正データD2として1.1倍の倍率が設定されていた場合、補正前受光電力W1を1.1倍して補正後受光電力W2を演算する。CPU91Aは、補正後受光電力W2に基づいて受光量を判断する。
また、例えば、計測した受光電力が70μWであった場合、70%(0.7倍)を受光感度の補正値として受光感度補正データD2に設定する。CPU91Aは、例えば、受光感度補正データD2として0.7倍の倍率が設定されていた場合、補正前受光電力W1を0.7倍して補正後受光電力W2を演算する。CPU91Aは、補正後受光電力W2に基づいて受光量を判断する。これにより、CPU91Aは、補正後の補正後受光電力W2を用いることで、受信側光電変換器の受光感度のばらつきを補正し、受光量を精度よく判断できる。
また、不揮発性メモリ92の閾値データTHDには、補正後受光電力W2を判断するための閾値が記憶されている。図6は、補正後受光電力W2と、各閾値の関係とを示している。例えば、図6に示すように、閾値データTHDには、第1閾値TH1、第2閾値TH2、第3閾値TH3の3つの値が記憶されている。CPU91Aは、この3種類の閾値を用いて、補正後受光電力W2を判断する。
第1閾値TH1は、例えば、受光量の低下を報知するか否かを判断する閾値である。第1閾値TH1の大きさは、例えば、13μWである。第2閾値TH2は、装着作業を禁止するか否かを判断する閾値である。第2閾値TH2の大きさは、例えば、10μWである。第3閾値TH3は、送信側光電変換器と受信側光電変換器の組合せ、例えば、装着ヘッド57とその装着ヘッド57を装着する装着機24の組み合わせを判断する閾値である。第3閾値TH3の大きさは、例えば、15μWである。図6の縦軸は、補正後受光電力W2を示している。横軸は、時間tを示している。CPU91Aは、時間tの経過にともなって低下する補正後受光電力W2、即ち、送信電力を、第1及び第2閾値TH1,TH2を用いて判断する。また、装着ヘッド57の交換を案内する際に、第3閾値TH3を用いて補正後受光電力W2を判断し組み合わせを判断する。なお、各閾値を用いた処理については後述する。また、図6に示す閾値の大きさは一例である。また、判断基準の閾値は、3種類に限らず、1種類、2種類、あるいは4種類以上の複数種類でも良い。また、判断基準は、1つの値に限らず、一定の幅を有する範囲(例えば、15μW~13μWなど)でも良い。また、CPU91Aは、補正後受光電力W2に限らず、光電流の電流値に基づいて受光量を判断しても良い。
(補正判断処理の処理内容)
次に、上記した受光感度補正データD2及び閾値データTHDを用いた補正判断処理の内容について説明する。一例として、FPGA91のCPU91Aによる補正判断処理について説明する。なお、他のFPGA103,113においても、CPU91Aと同様に、受光感度補正データD2及び閾値データTHDを用いて補正判断を実行できる。FPGA103,113の処理内容は、FPGA91と同様であるため、その説明を省略する。
図7は、CPU91Aによる補正判断処理の内容を示している。CPU91Aは、例えば、装着機24の装着作業が開始されるタイミングに合わせて、図7に示す補正判断処理を開始する。なお、補正判断処理を開始するタイミングは、装着作業を開始するタイミングに限らず、装着機24のシステムの起動時など、光通信を開始する他のタイミングでも良い。
図7のステップ(以下、単に「S」と記載する)13に示すように、CPU91Aは、装着作業が開始されると、受信側光電変換器94Bの補正前受光電力W1を、受光感度補正データD2を用いて補正し、補正後受光電力W2を演算する補正処理を実行する。次に、CPU91Aは、S13で補正した補正後受光電力W2が第1閾値TH1以下であるか否かを判断する(S15)。CPU91Aは、不揮発性メモリ92から読み出した閾値データTHDの第1閾値TH1を用いて、補正後受光電力W2が第1閾値TH1以下であるか否かを判断する。CPU91Aは、補正後受光電力W2が第1閾値TH1以下でないと判断する間(S15:NO)、S13の補正処理とS15の判断処理を繰り返し実行する。このため、CPU91Aは、補正後受光電力W2が第1閾値TH1以下となるまで、繰り返し補正後受光電力W2の判断を行う。
CPU91Aは、補正後受光電力W2が第1閾値TH1以下であると判断すると(S15:YES)、補正後受光電力W2が第2閾値TH2以下であるか否かを判断する(S17)。CPU91Aは、補正後受光電力W2が第2閾値TH2以下でないと判断すると(S17:NO)、S19を実行する。この場合、補正後受光電力W2は、第1閾値TH1以下で、且つ第2閾値TH2よりも大きい値となる。例えば、送信側の送信側光電変換器111Aの送信電力が、経年劣化等により第1閾値TH1以下まで低下したこととなる(図6参照)。そこで、CPU91Aは、S19において、受光量の低下を報知する。例えば、CPU91Aは、現在装着されている装着ヘッド57の交換を促す内容を報知する。あるいは、CPU91Aは、装着ヘッド57の送信側光電変換器111Aの交換を促す内容を報知する。
従って、本実施形態のCPU91A(制御部の一例)は、補正後受光電力W2(受光量、補正後の変換値の一例)が、第1閾値TH1以下であるか否かを判断し(S15)、第1閾値TH1以下であると判断すると(S15:YES)、受光量が低下している旨(装着ヘッド57の交換指示など)の情報を報知する(S19)。これによれば、補正後の補正後受光電力W2と第1閾値TH1に基づいて受光量の低下を精度よく検出でき、受光量の低下を報知することで、交換する送信側光電変換器111Aや装着ヘッド57の準備をユーザ等に促すことができる。従って、適切なタイミングで装着ヘッド57の交換等を促すことができる。
S19における受光量の低下を報知する方法は、特に限定されない。例えば、CPU91Aは、受光量の低下を検出したことを装置制御メイン基板85へ通知する。装置制御メイン基板85は、例えば、タッチパネル42(図2参照)に、「装着ヘッド57の送信側光電変換器111Aの送信電力が低下しています、装着ヘッド57又は送信側光電変換器111Aを交換して下さい」などの表示を行う。これにより、タッチパネル42の表示を見たユーザ等は、装着ヘッド57の送信電力の低下、即ち、送信側光電変換器111Aのレーザ等の交換時期が近づいていることを認識でき、交換部品(装着ヘッド57や送信側光電変換器111A)等を準備することができる。
あるいは、装置制御メイン基板85は、CPU91Aから通知を受けると、管理装置45(図2参照)やホストコンピュータ15へ、受光量の低下の情報と、通知を送信してきた装着機24の情報等を送信する。これにより、ホストコンピュータ15は、送信電力が低下している装着機24を特定する情報(生産ライン13の番号や、生産ライン13における装着機24を識別する情報など)を、モニター等に表示することができる。ユーザ等は、ホストコンピュータ15の表示を確認することで、どの生産ライン13のどの装着機24において、送信側光電変換器111Aのレーザ等の交換時期が近づいているのかを認識できる。CPU91Aは、S19を実行すると図7に示す補正判断処理を終了する。
また、S17において、CPU91Aは、補正後受光電力W2が第2閾値TH2以下であると判断すると(S17:YES)、S21を実行する。この場合、補正後受光電力W2は、第2閾値TH1以下となる。経年劣化によって送信側光電変換器111Aの送信電力が低下すると、多重通信のビットエラーが増大する。このため、多重通信を用いた制御を精度よく実行することが困難となり、装着ヘッド57の動作が不安定となるなどの不具合が生じる虞がある。このため、例えば、上記した装着ヘッド57の動作の不具合等が発生する前に、装着機24の動作を適切に停止、あるいは装着機24の動作開始を適切に禁止(後述する図9参照)できるか否かを基準として、第2閾値TH2を設定できる。換言すれば、補正後受光電力W2が第2閾値TH2以下になった場合、装着機24の動作を停止する必要がある。
そこで、CPU91Aは、S21において、装着機24の装着作業を停止させる。例えば、CPU91Aは、補正後受光電力W2が第2閾値TH2以下まで低下したことを装置制御メイン基板85へ通知する。装置制御メイン基板85は、装着機24の各部を制御し、装着機24の装着作業を適切に終了させる。
従って、本実施形態のCPU91Aは、補正後受光電力W2(受光量、補正後の変換値の一例)が、第1閾値TH1よりも小さい第2閾値TH2以下であるか否かを判断し(S17)、第2閾値TH2以下であると判断すると(S17:YES)、装着ヘッド57(作業部の一例)による作業を禁止する(S21)。これによれば、装着作業中に、適切に作業を実行できない第2閾値TH2まで補正後受光電力W2が低下した場合に、装着ヘッド57による作業を禁止して、作業を継続することにより不具合が発生するのを抑制できる。CPU91Aは、S21を実行すると図7に示す補正判断処理を終了する。
また、本実施形態の受信側光電変換器94B(検出部の一例)は、固定部基板73(固定部の一例)に設けられる。これによれば、着脱可能な装着ヘッド57を交換された場合に、固定された固定部基板73側で受光量と閾値とを用いた判断を実行することができる。
なお、本開示における作業を禁止するとは、上記した装着作業中に装着ヘッド57を停止させることだけでなく、作業を開始させない動作を含む概念である。このため、例えば、装着ヘッド57の交換直後(後述する段取り替え時の案内など)に、補正後受光電力W2が第2閾値TH2以下であった場合に、装着ヘッド57の動作を開始させないことで、作業を禁止しても良い。
CPU91Aは、S21又はS19の処理を実行した場合、装置制御メイン基板85を介してホストコンピュータ15へ補正後受光電力W2の低下を通知する。ホストコンピュータ15は、CPU91Aからの通知に基づいて、交換用の装着ヘッド57を案内する処理を実行する。
図8は、ホストコンピュータ15が備える管理DB(データベースの略)の内容を示している。図1に示すように、ホストコンピュータ15の記憶装置15Aには、管理DBが記憶されている。図8に示すように、管理DBには、装置の種類、送信側又は受信側の情報、送信電力、受光感度、識別情報、設置場所又は保管場所の情報を1件のレコードとして関連付けて記憶されている。管理DBは、装着ヘッド57、固定部基板73、X軸基板95の各々の送信側光電変換器や受信側光電変換器についてデータが記憶されている。
例えば、ユーザ等は、対基板作業システム10に新たな装着ヘッド57等を導入する際に、ホストコンピュータ15を操作して新たな装着ヘッド57等の情報を管理DBに登録する。また、ホストコンピュータ15は、装着作業中等において、補正前受光電力W1の値、即ち、送信電力の値をFPGA91等から取得し、管理DBの送信電力の値を適宜更新する。これにより、管理DBの送信電力の値は、経年劣化による低下に応じて更新される。なお、ホストコンピュータ15は、取得した補正後受光電力W2について、光ファイバケーブル82等の伝送路の損失分を考慮した補正を行って送信電力として処理しても良い。
図8に示すように、管理DBの装置種類の欄には、装着ヘッド57、固定部基板73、X軸基板95のどの装置に設置された送信側光電変換器又は受信側光電変換器であるのかを示す情報が記憶されている。また、送信OR受信の欄には、送信側光電変換器又は受信側光電変換器を示す情報が記憶されている。また、送信電力の欄には、各送信側光電変換器の送信電力の値(μW)が記憶されている。受光感度の欄には、受信側光電変換器の受光感度(パーセントや倍率)が記憶されている。識別情報の欄には、各光電変換器を識別するための情報が記憶されている。例えば、装着ヘッド57については、装着ヘッド57を識別する識別IDが記憶されている。また、固定部基板73やX軸基板95については、基板を識別するIDが記憶されている。また、設置又は保管場所の欄には、各機器の設置場所や保管場所の情報が記憶されている。例えば、装着ヘッド57は、装着機24に装着されたものだけでなく、交換や保守用として倉庫等に予備のものが準備される可能性がある。このため、ユーザ等は、例えば、装着機24から取り外した装着ヘッド57を保管庫に保管する場合、保管した棚の位置の情報などを、ホストコンピュータ15を操作して管理DBに登録する。これにより、管理DBにより、装着ヘッド57の詳細な保管場所を管理できる。
ホストコンピュータ15は、上記した管理DBを用いて、交換用の装着ヘッド57の案内を実行する。図9及び図10は、補正前受光電力W1、受光感度、補正後受光電力W2の一例を示している。図9は、一例として、受信側光電変換器94Bの受光感度が50%(1/2倍)である場合を示している。例えば、受信側光電変換器94Bの受光感度が50%である装着機24のFPGA91から図7のS21の停止通知やS19の受光量低下通知をホストコンピュータ15が受けた場合を説明する。
この場合、ホストコンピュータ15は、図9に示すように、固定部側受光感度を50%に設定し、交換用の装着ヘッド57、例えば保管庫内の装着ヘッド57の各々について、交換した場合の補正後受光電力W2を演算し、第3閾値TH3に基づいて動作可否を判断する。図9に示す例では、装着ヘッド57の識別情報(装着ヘッドH1~H5)の順に、送信電力が50、40、30、20、10μWとなっている。上記したように、第3閾値TH3は、装着ヘッド57の組合せを判断する閾値であり、例えば、15μWの値が設定されている。
図9には、補正前受光電力W1と第3閾値TH3を用いて動作可否を判断した結果と、補正後受光電力W2と第3閾値TH3を用いて動作可否を判断した結果とが示されている。補正前受光電力W1を用いて判断をした場合、装着ヘッドH4は、補正前受光電力W1(送信電力)の値が20μW(15μWより大)で交換可能と判断される(図中のOK)。一方、補正後受光電力W2は、10μW(15μW以下)で交換不能と判断される(図中のNG)。本実施形態の第3閾値TH3は、装着ヘッド57を交換した場合に、多重通信を良好に行えるだけの補正後受光電力W2を確保できるか否かを判断できる値が設定される。このため、第3閾値TH3は、例えば、交換後の一定時間(経年劣化による低下を考慮した時間)だけ良好に装着作業を実行できるように、第1閾値TH1よりも大きな値が設定される。なお、第3閾値TH3は、第1閾値TH1と同一値でも良い。
例えば、仮に補正を行わずに補正前受光電力W1で判断し、装着ヘッドH4を交換用の装着ヘッド57として案内したとする。この場合、受光感度の違いから実際には補正後受光電力W2の値が10μWとなり、交換後に直ぐに作業停止(図7のS21)となる。その結果、ユーザ等に再度交換作業を行わせるなどの、作業効率の低下を招く虞がある。
そこで、本実施形態のホストコンピュータ15は、受光感度補正データD2によって補正した補正後受光電力W2で判断することで、適切な装着ヘッド57の交換案内を行うことができる。ホストコンピュータ15は、管理DBの受光感度(図9参照)に基づいて補正した補正後受光電力W2を用いて動作可否を良好と判断した装着ヘッド57を案内する。また、ホストコンピュータ15は、作業時間、即ち、交換後の装着ヘッド57を使用して作業を行う時間を考慮して、案内する装着ヘッド57を決定しても良い。例えば、ホストコンピュータ15は、交換を必要としている装着機24の残りの作業時間を、生産プログラムPGに基づいて演算する。ホストコンピュータ15は、残りの作業時間だけ使用し、経年劣化によって送信電力が低下したとしも、補正後受光電力W2が第1閾値TH1以下とならない装着ヘッド57のうち、最も送信電力が小さいものを案内する。これにより、交換可能な装着ヘッド57のうち、最も送信電力が低下したものを、即ち、製品寿命が短いものを案内することができる。
なお、上記した説明では、装着ヘッド57を送信側、固定部基板73を受信側として説明したが、ホストコンピュータ15は、逆方向の送信電力及び補正後受光電力W2についても同様に判断する。ホストコンピュータ15は、送受信の両方向について補正後受光電力W2を判断する。ホストコンピュータ15は、例えば、送信側光電変換器111Aの送信電力と受信側光電変換器94Bの補正後受光電力W2に基づく動作可否が良好であり、且つ、送信側光電変換器93Aの送信電力と受信側光電変換器111Bの補正後受光電力W2に基づく動作可否が良好となる装着ヘッド57を案内する。
また、図10は、一例として、受信側光電変換器94Bの受光感度が160%(1.6倍)である場合を示している。この場合、ホストコンピュータ15は、図10に示すように、固定部側受光感度を160%に設定し、交換用の装着ヘッド57の各々について、交換した場合の補正後受光電力W2を演算し、第3閾値TH3に基づいて動作可否を判断する。図10に示す例では、装着ヘッドH5は、補正前の補正前受光電力W1(送信電力)の値が10μW(15μW以下)となり交換不能と判断される。一方、補正後の補正後受光電力W2では、16μW(15μWより大)となり、交換可能と判断される。従って、補正を行わずに補正前受光電力W1で動作可否を判断した場合、光感度が160%の受信側光電変換器94Bと組み合わせれば実際には使用できる装着ヘッド57であるにも係わらず、交換不能と判断される。これに対し、本実施形態のホストコンピュータ15では、補正後受光電力W2を用いて動作可否を判断することで、交換可能な装着ヘッド57をより適切に判断できる。
ホストコンピュータ15は、交換の案内を行う装着ヘッド57を決定すると、例えば、図11に示す画面をモニター等に表示する。図11に示すように、ホストコンピュータ15は、管理DBに基づいて、交換用の装着ヘッド57の識別情報、その装着ヘッド57の保管されている場所、交換先の生産ライン13の番号や装着機24の識別情報を表示する。これにより、ユーザ等は、どこにある装着ヘッド57をどの装着機24に装着すべきなのかを容易に把握することができる。
従って、本実施形態のホストコンピュータ15(制御装置の一例)は、複数台の装着機24(作業機の一例)と接続され、送信側光電変換器111A(光送信部の一例)の送信電力と、受信側光電変換器94B(光受信部の一例)の受光感度(固有値の一例)に基づいて、補正後の補正後受光電力W2が第3閾値TH3以上となる送信側光電変換器111A及び受信側光電変換器94Bの組み合わせを判断し、第3閾値TH3以上となる組み合わせを報知する
これによれば、ホストコンピュータ15は、送信電力と、受光感度に基づいて、補正後受光電力W2が第3閾値TH3より大きくなる固定部基板73と装着ヘッド57の組み合わせを判断して報知する。例えば、ホストコンピュータ15は、ある固定部基板73と組み合わせて使用すると、補正後受光電力W2が第3閾値TH3以下となる装着ヘッド57を、他の固定部基板73と組み合わせることで動作可否の判断が良好となる組み合わせを作ることができる。これにより、送信側光電変換器111A及び受信側光電変換器94Bの使用可能な期間を延ばすことができる。
また、ホストコンピュータ15は、第3閾値TH3より大きくなる送信側光電変換器111A及び受信側光電変換器94Bの組み合わせに基づいて、装着ヘッド57を装着すべき装着機24の位置を、生産ライン13の情報に基づいて報知する。これによれば、例えば、生産ライン13ごとに導入時期や送信側光電変換器93A(固定部基板73)の交換時期が異なる場合に、ある生産ラインでは所定の条件を満たさない装着ヘッド57(送信側光電変換器111Aや受信側光電変換器111B)を、他の生産ライン13で使用可能であると判断すると、その旨を報知する。これにより、装着ヘッド57の使用可能な期間を延ばすことができる。
(段取り替え時の案内)
上記した説明では、装着作業中に補正後受光電力W2を判断する処理を説明したが、補正後受光電力W2を判断するタイミングは、装着作業中に限らない。例えば、生産ライン13で生産する基板種を変更する際に、フィーダ51(図2参照)や装着ヘッド57の種類を変更する作業、所謂段取り替え作業において補正後受光電力W2による判断処理を実行しても良い。
例えば、ホストコンピュータ15は、次の基板11の生産に使用可能な装着ヘッド57を判断し、どの生産ライン13のどの装着機24に装着すべきかを案内しても良い。図11は、生産ライン13と装着ヘッド57との組み合わせを変更した場合の、受光感度、補正前受光電力W1、補正後受光電力W2、動作可否判断を示している。図11に示す例では、組み合わせ1と組み合わせ2とを示している。組み合わせ1は、生産ラインAに装着ヘッドH1を、生産ラインBに装着ヘッドH2を配置した場合を示している。また、組み合わせ2は、組み合わせ1とは逆に、生産ラインAに装着ヘッドH2を、生産ラインBに装着ヘッドH1を配置した場合を示している。
例えば、図11に示す例では、生産ラインAは、生産ラインBに比べて、固定部基板73の受信側光電変換器94Bの受光感度が低い。また、例えば、装着ヘッドH1の使用開始時期は、装着ヘッドH2よりも古い。このため、装着ヘッドH1は、送信側光電変換器111Aの経年劣化が進んでおり、送信電力が低くなっている。このような場合、組み合わせ1のように、受光感度の低い生産ラインAに、送信電力(補正前受光電力W1)の低下した装着ヘッド57を配置すると、補正後受光電力W2が第3閾値TH3(15μW)以下となる。そこで、ホストコンピュータ15は、例えば、組み合わせ2に示すように、使用期間が短く送信電力が大きい装着ヘッドH2を、受光感度の低い生産ラインAに優先的に配置する組み合わせを判断する。ホストコンピュータ15は、段取り替え作業を開始する前に、各生産ライン13について、第3閾値TH3を満たすように装着ヘッド57の配置を判断する。これにより、より適切な交換案内ができ、装着作業を停止させることなく継続することができる。
因みに、対基板作業システム10は、作業システムの一例である。ホストコンピュータ15は、制御装置の一例である。装着機24は、作業機の一例である。装着ヘッド57は、作業部の一例である。ヘッド移動装置58は、可動部の一例である。固定部基板73は、固定部の一例である。FPGA91,103,113は、制御部の一例である。不揮発性メモリ92は、記憶部の一例である。送信側光電変換器93A,94A,101A,111Aは、光送信部の一例である。受信側光電変換器93B,94B,101B,111Bは、検出部、光受信部の一例である。FPGA91のCPU91Aは、制御部の一例である。補正前受光電力W1は、受光量、変換値の一例である。補正後受光電力W2は、受光量、補正後の変換値の一例である。第3閾値TH3は、閾値の一例である。
以上、上記した本実施例によれば以下の効果を奏する。
本実施例の一態様では、受信側光電変換器94Bは、受信した光信号をフォトダイオード123によって電気信号の光電流に変換し、変換した光電流をFPGA103へ出力する。FPGA113は、受信側光電変換器94Bから入力した光電流に基づいた補正前受光電力W1(変換値の一例)の値に基づいて、受光量を判断する。FPGA91は、補正前受光電力W1を補正した補正後受光電力W2と閾値(第1閾値TH1など)を比較し、比較結果に応じた制御を行う。これによれば、装着ヘッド57の交換によって送信側光電変換器111Aと受信側光電変換器94Bとの組合せが変更されたとしても、FPGA91のCPU91Aによって補正後受光電力W2と閾値を比較し、受光量を判断することができる。そして、判断結果に応じた制御(装着ヘッド57の交換を促す処理)などを実行できる。
また、本実施例の一態様では、不揮発性メモリ92には、予め基準となる基準光源から受信側光電変換器94Bへ受光させて測定した固有値であり、且つ受信側光電変換器94Bの個々の受光感度に基づく固有値を含む受光感度補正データD2が記憶されている。CPU91Aは、補正前受光電力W1に対し、受光感度補正データD2の固有値に基づく補正を行った補正後受光電力W2に基づいて受光量を判断する。
これによれば、CPU91Aは、受信側光電変換器94Bで光電変換した補正前受光電力W1に対し、不揮発性メモリ92に記憶された受光感度補正データD2の固有値に基づく補正を行う。この固有値は、予め基準光源から受信側光電変換器94Bへ受光させて測定した受光感度に基づく固有値であり、受信側光電変換器94Bの機器固有の受光感度に合わせて補正前受光電力W1を補正できる値である。そして、CPU91Aは、補正後受光電力W2に基づいて受光量を判断する。これにより、装着ヘッド57の交換が行われたとしても、予め基準光源で測定した固有値に基づいて補正を行い、受信側光電変換器94Bにおける受光量を精度良く判断できる。そして、判断結果に応じた制御(装着ヘッド57の交換を促す処理)などを実行できる。
尚、本開示は上記の実施例に限定されるものではなく、本願の趣旨を逸脱しない範囲内での種々の改良、変更が可能であることは言うまでもない。
例えば、上記実施形態では、FPGA91,103,113は、補正前受光電力W1を補正後受光電力W2に補正する処理を実行したが、実行しなくとも良い。この場合、FPGA91,103,113は、補正前受光電力W1と閾値を比較し受光量を判断し、判断結果に応じた制御を実行しても良い。
また、上記実施形態では、装着ヘッド57の送信側光電変換器111Aや固定部基板73の受信側光電変換器94Bについて、受光量の判断処理を説明したが、これに限らない。例えば、交換ロボット41(図2参照)に使用する光無線装置47,49の光通信についても、上記した装着ヘッド57と同様に、受光量の判断や受光量に基づく制御を実行しても良い。例えば、交換ロボット41の補正後受光電力W2に基づいて、交換ロボット41を配置する生産ライン13を判断しても良い。この場合、交換ロボット41は、本開示の作業部に相当する。
また、本願の光通信は、有線に限らず、無線でも良い。
また、上記実施形態では、送信側光電変換器と、受信側光電変換器の一方が固定されていたが、両方とも可動する構成でも良い。
また、CPU91Aは、第1閾値TH1、第2閾値TH2、及び第3閾値TH3による受光量(補正後受光電力W2)の判断を実行したが、何れか1つの閾値による受光量の判断のみを実行しても良い。
また、上記実施形態では、本開示の作業機として、基板11に電子部品12を装着する。装着機24を採用したが、これに限らない。作業機としては、例えば、図1に示す基板投入機21、印刷機22、検査機25、リフロー炉27、最終検査機28など、装着機24以外の対基板作業機を採用できる。また、本開示の作業機は、基板11に対する作業を行う対基板作業機に限らず、多関節ロボット、介護用ロボット、工作機械など、様々な作業機を採用することができる。