図1~図27に、水田作業機の一例である乗用型田植機が示されており、Fは前方向を示し、Bは後方向を示し、Uは上方向を示し、Dは下方向を示し、Rは右方向を示し、Lは左方向を示している。
(乗用型田植機の全体構成)
図1に示すように、乗用型田植機は、右及び左の前輪1、右及び左の後輪2を備えた機体3の後部に、リンク機構4が上下に揺動可能に支持されて後側に延出されており、リンク機構4を昇降操作する油圧シリンダ5が設けられている。
苗植付装置6(作業装置に相当)が、リンク機構4の後部に支持されている。機体3の後部及び苗植付装置6に亘って、田面Gに肥料を供給する施肥装置7が設けられており、苗植付装置6の前側の下部に、田面Gを整地する整地装置50が支持されている。
機体3において、前後方向に沿った右及び左の機体フレーム60が設けられており、機体フレーム60の前部にミッションケース73が連結され、ミッションケース73の前部にエンジン34が支持されている。
(苗植付装置の全体構成)
図1及び図2に示すように、苗植付装置6に、支持フレーム8、フィードケース14、植付伝動ケース9、回転ケース10、植付アーム11、フロート12、苗のせ台13等が設けられている。
支持フレーム8は、アルミの引き抜き工法によって製作されており、台形状の断面形状を備えている(図3参照)。支持フレーム8が左右方向に沿って配置されており、支持フレーム8の左右中央部にフィードケース14が連結され、2個の植付伝動ケース9が支持フレーム8の右部及び左部に連結されて後側に延出されている。
植付伝動ケース9の後部の右部及び左部に、回転ケース10が回転可能に支持され、回転ケース10の両端に、植付アーム11が支持されている。苗のせ台13が、左右方向に往復移動可能に支持されている。
エンジン34の動力が、ミッションケース73の内部の植付クラッチ21(図8及び図19参照)から、伝動軸35を介して、フィードケース14の内部の伝動機構(図示せず)に伝達されて、フィードケース14に設けられた横送り軸(図示せず)により、苗のせ台13が所定のストロークで左右方向に往復横送り駆動される。
フィードケース14の伝動機構に伝達された動力が、伝動軸36、植付伝動ケース9の内部のトルクリミッター37、伝動チェーン38及び少数条クラッチ39を介して、回転ケース10に伝達される。苗のせ台13が左右方向に往復横送り駆動されるのに伴って、回転ケース10が回転駆動され、植付アーム11が苗のせ台13の下部から交互に苗を取り出して田面Gに植え付ける。
支持フレーム8の右端部及び左端部の前後方向に沿った軸芯P1周りに、右及び左のマーカー23が上下に搖動可能に支持されている。マーカー23に、軸芯P1周りに搖動可能に支持フレーム8に支持されたアーム部23aと、アーム部23aの先端部で自由回転可能に支持された回転体23bとが設けられている。
図19に示すように、マーカー23は、田面Gに接地して作業行程の指標を田面Gに形成する作業位置B1、及び田面Gから上側の格納位置B2に昇降可能である。作業位置B1に操作されたマーカー23の回転体23bが田面Gに接地した状態で、機体3が進行することにより、マーカー23の回転体23bが回転しながら田面Gに指標を形成する。
(施肥装置の全体構成)
図1及び図2に示すように、施肥装置7に、ホッパー15、繰り出し部16、ブロア17、作溝器18及びホース19等が設けられている。
機体3において運転座席20の後側に、肥料を貯留するホッパー15及び繰り出し部16が支持されており、繰り出し部16の左の横外側にブロア17が設けられている。フロート12に作溝器18が取り付けられて、4個の作溝器18が設けられており、繰り出し部16と作溝器18とに亘って4本のホース19が接続されている。
エンジン34の動力が、ミッションケース73の内部の施肥クラッチ22(図8及び図19参照)を介して、伝動アーム81に伝達される。伝動アーム81は、左の機体フレーム60を通って左外側に延出されており、左右方向の軸芯周りに回転駆動される。伝動アーム81と繰り出し部16とに亘って、伝動ロッド82が接続されており、伝動ロッド82は側面視で直線的に配置されている。
エンジン34の動力が、施肥クラッチ22及び伝動アーム81を介して、伝動ロッド82に伝達され、伝動ロッド82が前後方向に沿って押し引き駆動されて、繰り出し部16が駆動される。
ホッパー15の肥料が、繰り出し部16により繰り出され、ブロア17の搬送風によりホース19を通って作溝器18に供給される。作溝器18により田面Gに溝が形成されながら、肥料が作溝器18から田面Gの溝に供給される。
(整地装置の全体構成)
図1及び図2に示すように、苗植付装置6の前部の下部において、支持フレーム8の前側に、田面Gを整地する整地装置50が支持されている。
支持フレーム8の左端部及び右端部に、右及び左の支持部材45が連結されている。伝動軸36と同一の軸芯P6周りに、伝動ケース46が上下に揺動可能に左の支持部材45に支持され、支持アーム47が上下に揺動可能に右の支持部材45に支持されている。
伝動ケース46及び支持アーム47の前部に亘って、駆動軸48が回転可能に支持されて、多数の整地体53が駆動軸48に取り付けられている。伝動軸36の動力が、植付伝動ケース9と伝動ケース46とに亘って架設された伝動軸49から、伝動ケース46の内部のトルクリミッター51及び伝動チェーン52を介して、駆動軸48に伝達される。
伝動軸36の動力により、駆動軸48及び整地体53が、図1の反時計方向に回転駆動されて、整地体53により田面Gの整地が行われる。図2及び図3に示すように、支持部材45が前側に延出されて、支持部材45の延出部分に亘って、カバー54が取り付けられている。整地体53によって後側に跳ね飛ばされる泥がカバー54により止められて、フロート12での泥の堆積が防止される。
(苗植付装置の昇降操作用の制御弁及び昇降モータに関する構成)
図4~図7及び図19に示すように、油圧シリンダ5に作動油を給排操作する制御弁24が、機体3の後部において、運転座席20の下側に設けられている。制御弁24は、油圧シリンダ5に作動油を供給して油圧シリンダ5を上昇作動(収縮作動)させる上昇作動位置、油圧シリンダ5から作動油を排出して油圧シリンダ5を下降作動(伸長作動)させる下降作動位置、及び油圧シリンダ5を停止させる中立停止位置に操作可能である。
前後方向(図4及び図5の左右方向)にスライド操作可能なスプール24aが、制御弁24に前向きに設けられている。制御弁24のスプール24aは、中立停止位置を間に挟んで、一方側である制御弁24に近い側の上昇作動位置、及び他方側である制御弁24から遠い側の下降作動位置にスライド可能であり、制御弁24の内部に設けられたバネ(図示せず)により、下降作動位置に付勢されている。
制御弁24の前部にブラケット25,26が連結されており、操作軸55が、ブラケット25,26の左右方向の軸芯P7周りに回転可能に支持されている。操作軸55の右端部に、扇形状の操作ギヤ55aが連結され、操作ギヤ55aに軸状の操作部55bが連結されており、操作部55bが制御弁24のスプール24aの端部にまで延出されている。
昇降モータ56(昇降アクチュエータに相当)及び減速機構57が、ブラケット26に連結されており、減速機構57のピニオンギヤ57aが、操作軸55の操作ギヤ55aに咬合している。昇降モータ56により、減速機構57のピニオンギヤ57aが正逆に回転駆動され、操作軸55が正逆に回転操作される。
図5及び図7に示すように、昇降モータ56により操作軸55が回転操作されることによって、操作軸55の操作部55bが、制御弁24のスプール24aから下降作動位置側に離れた第1位置A1及び第4位置A4、制御弁24のスプール24aを中立停止位置に押し操作する第2位置A2、制御弁24のスプール24aを上昇作動位置に押し操作する第3位置A3に操作される。
(苗植付装置のフロートの支持構造)
図1,2,3に示すように、2個のフロート12が、平面視で右及び左の後輪2の後側に位置し、側面視で植付伝動ケース9の下側に位置するように配置されている。
支持フレーム8の後部に、ブラケット27が連結されており、フロートパイプ28が、植付伝動ケース9の下側に左右方向に沿って配置されて、左右方向の軸芯P2周りに回転可能にブラケット27に支持されている。フロートパイプ28に連結された支持アーム28aが後側に延出されて、支持アーム28aの後端部の左右方向の軸芯P3周りに、フロート12が昇降可能(揺動可能)に支持されている。
植付深さレバー29が、フロートパイプ28に連結されて、斜め前側の上側に延出されている。フィードケース14にレバーガイド30が連結されており、植付深さレバー29がレバーガイド30に挿入されている。
植付深さレバー29が上下に操作されることによって、フロートパイプ28の支持アーム28aが上下に操作されて、軸芯P3(フロート12の後部)の位置が上下に変更される。植付深さレバー29がレバーガイド30に係合することより、軸芯P3(フロート12の後部)の位置が固定される。
2個のフロート12の前部に亘って、フレーム31が連結されており、2個のフロート12が一体で軸芯P3周りに上下に揺動する。
支持部材32が、フレーム31の左右中央部に連結されて後側に延出され、レーキ状の整地部材33が支持部材32の後端部に連結されており、整地部材33が機体3の左右中央に配置されている。
(苗植付装置の昇降制御に関するフロート側の構成)
図2及び図3に示すように、正面視でチャンネル状の検知部40が、フレーム31の左部に連結されたブラケット31aの左右方向の軸芯P4周りに、揺動可能に支持されており、支持フレーム8とカバー54との間を通って上側に延出されている。
丸棒材を折り曲げて構成された接続部材41が設けられている。支持フレーム8の上部にブラケット42が連結されて、接続部材41の中間部が、ブラケット42の左右方向の軸芯P5周りに揺動可能に支持されている。
上下方向に沿った長孔40aが検知部40に開口されており、接続部材41の一方の端部41aが、検知部40の長孔40aに横側から挿入されている。植付深さレバー29に長孔29aが開口されており、接続部材41の他方の端部41bが、植付深さレバー29の長孔29aに横側から挿入されている。
ワイヤ43(昇降連係機構に相当)のインナー43aの一方の端部が、接続部材41の端部41aに接続され、ワイヤ43のアウター43bの一方の端部が、検知部40の上端部に接続されている。
機体3の進行に伴ってフロート12は田面Gに接地追従するのであり、田面G(フロート12)に対して苗植付装置6が上下動すると、苗植付装置6に対してフロート12が軸芯P3周りに上下に揺動するのであり、苗植付装置6(接続部材41)に対して検知部40が上下動する。検知部40が上下動することにより、ワイヤ43のインナー43aが押し引き操作される。
(苗植付装置の昇降制御に関する制御弁側の構成)
図4,6,7,19に示すように、操作アーム44(昇降連係機構に相当)が、操作軸55に相対回転可能に支持されており、操作アーム44の操作部44aが、制御弁24のスプール24aの端部に対向している。
操作アーム44の操作部44aと、操作軸55の操作部55bとが、正面視で制御弁24のスプール24aの端部に対向して、左右方向に並ぶように配置されている(図7参照)。操作アーム44の操作部44aと、操作軸55の操作部55bとが、別々に制御弁24のスプール24aを下降作動位置から、中立停止位置及び上昇作動位置に押し操作することができる。
制御弁24の上側の左右方向の軸芯P8周りに、感度レバー58が揺動可能に支持されており、感度レバー58がレバーガイド59を通って上側に延出されている。感度レバー58は正面視でクランク状に折り曲げられており、感度レバー58の下部58aに、ワイヤ43のアウター43bの他方の端部が支持されている。ワイヤ43のインナー43aの他方の端部が、操作アーム44の上部に接続されている。
感度レバー58が軸芯P8周りに揺動操作されることにより、ワイヤ43のアウター43bの他方の端部の位置が、ワイヤ43のインナー43aに沿って変更されるのであり、感度レバー58がレバーガイド59に係合することにより、ワイヤ43のアウター43bの他方の端部の位置が固定される。
(苗植付装置の昇降制御における苗植付装置の上昇操作)
図3,4,5,19に示す状態は、操作軸55の操作部55bが第1位置A1に操作され、制御弁24のスプール24aが、操作アーム44の操作部44aにより中立停止位置に止められて、油圧シリンダ5が停止している状態である。この状態で、苗植付装置6が田面Gから設定高さH1に維持されて、苗植付装置6(植付アーム11)による苗の植付深さが、設定植付深さに維持される。
図3に示す状態から苗植付装置6が下降して田面Gに接近すると、苗植付装置6に対してフロート12が上昇する状態となり、接続部材41に対して検知部40が上昇する状態となって、ワイヤ43のインナー43aが苗植付装置6側に引き操作される。
図4,5,19に示すように、ワイヤ43のインナー43aが苗植付装置6側に引き操作されることにより、操作アーム44が図4の反時計方向に揺動し、操作アーム44の操作部44aによって、制御弁24のスプール24aが上昇作動位置に押し操作されて、油圧シリンダ5が上昇作動し、苗植付装置6が上昇操作される。
苗植付装置6が上昇操作されることにより、ワイヤ43のインナー43aが操作アーム44側に押し操作されるのであり、苗植付装置6が設定高さH1に戻ると、検知部40の上端部と接続部材41の端部41aとの位置関係(ワイヤ43のアウター43bから出るインナー43aの長さ)が、図3に示す状態に戻る。
制御弁24の内部のバネにより、制御弁24のスプール24aが中立停止位置に作動することが許容されるのであり、制御弁24の内部のバネにより、制御弁24のスプール24aが、操作アーム44の操作部44aを押しながら中立停止位置に作動して、操作アーム44の操作部44aにより中立停止位置で止められる。
制御弁24のスプール24aが中立停止位置で止められると、油圧シリンダ5の上昇作動が停止して、苗植付装置6の上昇操作が停止し、苗植付装置6が設定高さH1で停止して、苗植付装置6(植付アーム11)による苗の植付深さが、設定植付深さに戻る。
(苗植付装置の昇降制御における苗植付装置の下降操作)
図3に示す状態から苗植付装置6が上昇して田面Gから離れると、苗植付装置6に対してフロート12が下降する状態となり、接続部材41に対して検知部40が下降する状態となって、ワイヤ43のインナー43aが操作アーム44側に押し操作される。
図4,5,19に示すように、ワイヤ43のインナー43aが操作アーム44側に押し操作されることにより、操作アーム44の操作部44aにより制御弁24のスプール24aが中立停止位置で止められる操作が消える。
制御弁24の内部のバネにより、制御弁24のスプール24aが下降作動位置に作動することが許容されるのであり、制御弁24の内部のバネにより、制御弁24のスプール24aが、操作アーム44の操作部44aを押しながら下降作動位置に作動して、油圧シリンダ5が下降作動し、苗植付装置6が下降操作される。
苗植付装置6が下降操作されることにより、ワイヤ43のインナー43aが苗植付装置6側に引き操作されるのであり、苗植付装置6が設定高さH1に戻ると、検知部40の上端部と接続部材41の端部41aとの位置関係(ワイヤ43のアウター43bから出るインナー43aの長さ)が、図3に示す状態に戻る。
ワイヤ43のインナー43aが苗植付装置6側に引き操作されることにより、操作アーム44が図4の反時計方向に揺動し、操作アーム44の操作部44aによって、制御弁24のスプール24aが中立停止位置に押し操作されて、中立停止位置で止められる。
制御弁24のスプール24aが中立停止位置で止められると、油圧シリンダ5の下降作動が停止して、苗植付装置6の下降操作が停止し、苗植付装置6が設定高さH1で停止して、苗植付装置6(植付アーム11)による苗の植付深さが、設定植付深さに戻る。
前述の(苗植付装置の昇降制御における苗植付装置の上昇操作)、及び本項の(苗植付装置の昇降制御における苗植付装置の下降操作)に記載のように、制御弁24とフロート12とに亘って設けられたワイヤ43及び操作アーム44により、フロート12に対する苗植付装置6の高さが制御弁24に機械的に伝達され、制御弁24のスプール24aが操作されて、苗植付装置6が田面Gから設定高さH1に維持される。
この場合、操作軸55の操作部55bが第1位置A1又は第4位置A4に操作されていると、前述のように、ワイヤ43及び操作アーム44により制御弁24のスプール24aが操作される状態となって、苗植付装置6が田面Gから設定高さH1に維持される。
(苗の設定植付深さの変更)
図3に示す状態は、軸芯P3(フロート12の後部)の位置が、苗植付装置6に最も接近した状態であり、設定高さH1(図19参照)が、最も低い状態(苗の設定植付深さが最も深い状態)である。
図3に示す状態から植付深さレバー29が操作されて、苗植付装置6に対する軸芯P3(フロート12の後部)の位置が下側に変更されていくと、設定高さH1が高くなっていき、苗の設定植付深さが浅くなっていく。
植付深さレバー29が操作されて苗の設定植付深さが変更されると、苗植付装置6に対するフロート12及び検知部40の位置が上下に変化する。植付深さレバー29に連動して、接続部材41が軸芯P5周りに揺動操作されるのであり、接続部材41の端部41aの位置が、以下の説明のように上下に変更される。
植付深さレバー29により苗の設定植付深さが深側(設定高さH1の低側)に変更されると(苗植付装置6に対して検知部40の位置が上昇すると)、これに伴ってワイヤ43のインナー43a(接続部材41の端部41a)の位置も上側に変更される。
植付深さレバー29により苗の設定植付深さが浅側(設定高さH1の高側)に変更されると(苗植付装置6に対して検知部40の位置が下降すると)、これに伴ってワイヤ43のインナー43a(接続部材41の端部41a)の位置も下側に変更される。
以上のように、植付深さレバー29が操作されて苗の設定植付深さが変更されても、検知部40の上端部と接続部材41の端部41aとの位置関係(ワイヤ43のアウター43bから出るインナー43aの長さ)が、図3に示す状態に維持される。
これにより、前述の(苗植付装置の昇降制御における苗植付装置の上昇操作)及び(苗植付装置の昇降制御における苗植付装置の下降操作)に記載のように、苗植付装置6が田面Gから設定高さH1に維持されて、苗植付装置6(植付アーム11)による苗の植付深さが、設定植付深さに維持される。
(苗植付装置の昇降制御の感度変更)
前述の(苗植付装置の昇降制御における苗植付装置の上昇操作)及び(苗植付装置の昇降制御における苗植付装置の下降操作)に記載の苗植付装置6の昇降制御において、以下の説明のように、感度レバー58により昇降制御の感度を敏感及び鈍感に設定することができる。
図3,4,19に示す状態は、感度レバー58が操作範囲の中央位置に操作されている状態である。感度レバー58の操作位置が敏感側に変更されると、ワイヤ43のインナー43aにおいて操作アーム44側に出る長さが長くなり、ワイヤ43のインナー43aにおいて苗植付装置6側に出る長さが短くなる。
これにより、制御弁24のスプール24aが中立停止位置で止められている状態でのフロート12の姿勢が、少し下向きとなり、フロート12の田面Gの接地面積が大きくなるのであり、フロート12が田面Gに敏感に接地追従する状態となる。
フロート12が田面Gに敏感に接地追従することにより、制御弁24のスプール24aが敏感に操作されるようになって、昇降制御の感度が敏感となる。
感度レバー58の操作位置が鈍感側に変更されると、ワイヤ43のインナー43aにおいて操作アーム44側に出る長さが短くなり、ワイヤ43のインナー43aにおいて苗植付装置6側に出る長さが長くなる。
これにより、制御弁24のスプール24aが中立停止位置で止められている状態でのフロート12の姿勢が、少し上向きとなり、フロート12の田面Gの接地面積が小さくなるのであり、フロート12が田面Gに鈍感に接地追従する状態となる。
フロート12が田面Gに鈍感に接地追従することにより、制御弁24のスプール24aが鈍感に操作されるようになって、昇降制御の感度が鈍感となる。
(昇降モータと植付クラッチとに亘って設けられた第1の作業連係機構)
図4及び図8に示すように、昇降モータ56と植付クラッチ21とに亘って、第1の作業連係機構61が設けられている。第1の作業連係機構61には、以下の説明のように、第1の連係部63、揺動部64及び第2の連係部65等が設けられている。
図4,8,10,11に示すように、右の機体フレーム60の右外側において、揺動部64が、左右方向の軸芯P9周りに揺動可能に支持されている。揺動部64は、板材が平面視でチャンネル状に折り曲げられて構成されており、揺動部64の外側の部分の長孔64aが開口されている。
図5,6,7に示すように、操作軸55において操作ギヤ55aの反対側の部分に、アーム部55cが連結されている。操作軸55のアーム部55cに連係部63が接続され、図4,8,10,11に示すように、連係部63の端部である操作部63aが、揺動部64の長孔64aに挿入されている。
図8に示すように、連係部63が上下方向に沿って配置されており、側面視で操作軸55(軸芯P7)と揺動部64の軸芯P9とを結ぶ仮想線に対して、揺動部64の長孔64aが、後側(植付クラッチ21の反対側)に配置されている。
図4,5,8,10に示すように、昇降モータ56により操作軸55が回転操作されることによって、操作軸55の操作部55b及びアーム部55cに連動して、連係部63の操作部63aが、第1位置A1及び第4位置A4、第2位置A2、第3位置A3に操作される(前述の(苗植付装置の昇降操作用の制御弁及び昇降モータに関する構成)参照)。
図4,10,11に示すように、連係部63の操作部63aと揺動部64の長孔64aとが設けられた融通部67が、第1の連係部63と揺動部64との接続部分に設けられ、第1の作業連係機構61に設けられている。
図8,10,11に示すように、長さ調節部66が揺動部64に取り付けられており(後述の(長さ調節部の構成)(長さ調節部の操作)参照)、ロッド状の連係部65が、長さ調節部66に接続されている。
右の機体フレーム60に、前後方向に沿った長孔60aが開口されており、連係部65が、長さ調節部66から機体フレーム60の長孔60aを通って、右及び左の機体フレーム60の間に入り込み、前側に延出されている。連係部65が、後述の(植付クラッチを操作する操作部材)に記載のように、植付クラッチ21に接続されている。
(植付クラッチを操作する操作部材)
図8及び図12に示すように、ミッションケース73の後部の内部に、植付クラッチ21が設けられており、植付クラッチ21が平面視で右及び左の機体フレーム60の間に配置されている。植付クラッチ21を伝動位置及び遮断位置に操作する操作ロッド68が、上下方向にスライド可能にミッションケース73に支持されている。
図12~図15に示すように、ミッションケース73における操作ロッド68の近傍部分に、上下方向及び前後方向に沿った平板状(リブ状)の一対の支持部83が設けられており、一方側及び他方側の支持部83の内面が、所定の間隔W1に開けられている。ピン状の支持軸84が設けられて、支持軸84の一方側の部分及び他方側の部分が、一方側及び他方側の支持部83により支持されている。
板材が折り曲げられて構成された第1の操作部材69が設けられている。操作部材69に、一方側の操作部材部分69a、他方側の操作部材部分69b、一方側及び他方側の操作部材部分69a,69bに亘って接続された操作部材間隔部分69c、一方側及び他方側の操作部材部分69a,69bから前側に延出されたアーム部69d、一方側の操作部材部分69aから下側に延出された操作部材揺動部分69e、操作部材揺動部分69eに開口された長孔69f、操作部材間隔部分69cから延出された当たり部69gが設けられている。
支持軸84における一方側及び他方側の支持部83の間の部分に、操作部材69の一方側及び他方側の操作部材部分69a,69bが、支持軸84の軸芯P10周りに揺動可能に支持されており、操作部材69のアーム部69dが操作ロッド68の下部に接続されている。
連係部65の前側の端部65aが、操作部材69の長孔69fに挿入されている。これにより、昇降モータ56と操作部材69とに亘って、操作軸55を介して、第1の作業連係機構61が設けられており、昇降モータ56と植付クラッチ21とに亘って、操作軸55及び操作部材69を介して第1の作業連係機構61が設けられている。
操作部材69が軸芯P10周りに揺動操作されることにより、操作ロッド68(植付クラッチ21)が伝動位置及び遮断位置に操作される。操作部材69が遮断位置に操作された際に、操作部材69の当たり部69gが他方側の支持部83に当たり、操作部材69の伝動位置を越えての揺動が止められる。
操作部材69に第1のバネ71が接続されて、バネ71により操作部材69が図12の反時計方向に付勢されており、操作ロッド68及び操作部材69、植付クラッチ21が、バネ71により遮断位置に付勢されている。
操作部材69の操作部材間隔部分69cによって、操作部材69の一方側及び他方側の操作部材部分69a,69bの外面の間隔が所定の間隔W1に維持されている。これにより、操作部材69が揺動操作される際に、操作部材69の一方側及び他方側の操作部材部分69a,69bの外面が、一方側及び他方側の支持部83の内面に接触しながら摺動する。
このことについて言い換えると、操作部材69の一方側及び他方側の操作部材部分69a,69bの支持軸84の軸芯に沿った方向での間隔W1が、操作部材69の一方側の操作部材部分69aが一方側の支持部83に接触し、且つ、操作部材69の他方側の操作部材部分69bが他方側の支持部83に接触する間隔W1に維持されるように、操作部材69の操作部材間隔部分69cが設けられている。
(植付クラッチを操作する操作部材に隣接して設けられる連係部材)
図12~図15に示すように、板材が折り曲げられて構成された連係部材70が設けられている。
連係部材70に、一方側の連係部材部分70a、他方側の連係部材部分70b、一方側及び他方側の連係部材部分70a,70bに亘って接続された連係部材間隔部分70c、一方側の連係部材部分70aから下側に延出された連係部材揺動部分70e、連係部材揺動部分70eに設けられた接続部70d、連係部材揺動部分70eに開口された長孔70fが設けられている。
図13及び図14に示すように、支持軸84における一方側の支持部83に対して操作部材69の反対側の外側の部分に、連係部材70の一方側の連係部材部分70aが、支持軸84の軸芯P10周りに揺動可能に支持されている。支持軸84における他方側の支持部83に対して操作部材69の反対側の外側の部分に、連係部材70の他方側の連係部材部分70bが、支持軸84の軸芯P10周りに揺動可能に支持されている。
連係部材70の連係部材間隔部分70cにより、連係部材70の一方側及び他方側の連係部材部分70a,70bの内面の間隔が、一方側及び他方側の支持部83の外面の所定の間隔W2に維持されている。これにより、連係部材70が揺動操作される際に、連係部材70の一方側及び他方側の連係部材部分70a,70bの内面が、一方側及び他方側の支持部83の外面に接触しながら摺動する。
このことについて言い換えると、連係部材70の一方側及び他方側の連係部材部分70a,70bの支持軸84の軸芯P10に沿った方向での間隔W2が、連係部材70の一方側の連係部材部分70aが一方側の支持部83に接触し、且つ、連係部材70の他方側の連係部材部分70bが他方側の支持部83に接触する間隔W2に維持されるように、連係部材70の連係部材間隔部分70cが設けられている。
図13,14,15に示すように、操作部材69の操作部材揺動部分69eと、連係部材70の連係部材揺動部分70eとが隣接しており、連係部65の前側の端部65aが、操作部材69の長孔69fと、連係部材70の長孔70fとに亘って挿入されている。
連係部65の端部65aにおいて、操作部材69の操作部材揺動部分69eと、連係部材70の連係部材揺動部分70eとの間の部分に、スペーサ85が取り付けられている。
これにより、操作部材69の操作部材揺動部分69eと連係部材70の連係部材揺動部分70eとの間隔が、スペーサ85の幅である所定の間隔W3に維持されている。
(第1の作業連係機構と施肥クラッチとに亘って設けられた第2の作業連係機構)
図8,12,13に示すように、ミッションケース73の後部に、施肥クラッチ22が設けられており、第1の作業連係機構61と施肥クラッチ22とに亘って、第2の作業連係機構62が設けられている。第2の作業連係機構62には、以下の説明のように、第2の操作部材75及び第3の連係部76等が設けられている。
施肥クラッチ22の下部の上下方向の軸芯P11周りに、施肥クラッチ22を伝動位置及び遮断位置に操作する操作部材75が、揺動可能に支持されている。連係部材70の接続部70dと操作部材75とに亘って、ロッド状の連係部76が接続されている。
操作部材75に第2のバネ72が接続されて、バネ72により操作部材75が図13の反時計方向に付勢されており、操作部材75及び施肥クラッチ22が、バネ72により遮断位置に付勢されている。
これにより、連係部材70と第2の操作部材75とに亘って、第2の作業連係機構62が設けられており、第1の作業連係機構61と施肥クラッチ22とに亘って、連係部材70及び第2の操作部材75を介して、第2の作業連係機構62が設けられている。
(長さ調節部の構成)
図8,10,11に示すように、長さ調節部66に、調節部86及び連結部87等が設けられている。
側面視で三角形状で平板状の調節部86の端部が、揺動部64の左右方向の軸芯P12周りに上下に揺動可能に支持されている。揺動部64に上下方向に沿った長孔64bが開口されており、連係部65の端部65bが、揺動部64の長孔64bに挿入されて、調節部86に接続されている。
調節部86に上下方向に沿った3個の連結孔86a,86b,86cが開口されて、揺動部64に1個の連結孔64cが開口されている。図10に示す状態は、ボルト及びナットを備えた連結部87が、調節部86の連結孔86a及び揺動部64の連結孔64cに挿入されて、調節部86が揺動部64に図10に示す位置で連結された状態である。
図8,10,11に示すように、長さ調節部66及び揺動部64が、平面視で右の機体フレーム60の右外側に配置されており、側面視で後輪2に近い位置である機体3の後側に配置されている。
長さ調節部66が、第2の連係部65と揺動部64との接続部分に設けられて、側面視で揺動部64の軸芯P9よりも前側に配置されている。長さ調節部66が、平面視で揺動部64に対して外側に配置されており、連係部65が、平面視で揺動部64に対して右の機体フレーム60側に配置されている。
(長さ調節部の操作)
図10及び図11において、連結部87が取り外された状態で、調節部86が上下に揺動操作されると、連係部65に沿った方向である連係部65の移動方向(図10の左右方向)と交差する方向に、調節部86が揺動操作される。調節部86が揺動操作されるのに伴って、連係部65の端部65bも軸芯P12周りに揺動操作されて、連係部65の移動方向と交差する方向に揺動操作される。
図10に示す状態から調節部86が上側に揺動操作されると、連係部65の端部65bの位置が、連係部65の移動方向に沿って、図10に示す位置から、長さ調節部66(軸芯P12)の反対側に少し移動するのであり、次に長さ調節部66(軸芯P12)側に少し移動する。
図10において、連結部87を調節部86の連結孔86aに挿入して、調節部86を揺動部64に連結すると、連係部65の端部65bの位置が長さ調節部66(軸芯P12)から最も遠い側に位置して、第1の作業連係機構61の昇降モータ56から植付クラッチ21に亘る長さが、最も長い状態となる。
連結部87を調節部86の連結孔86bに挿入して、調節部86を揺動部64に連結すると、連係部65の端部65bの位置が長さ調節部66(軸芯P12)に少し近い側に位置して、第1の作業連係機構61の昇降モータ56から植付クラッチ21に亘る長さが、前述の状態よりも少し短い状態となる。
連結部87を調節部86の連結孔86cに挿入して、調節部86を揺動部64に連結すると、連係部65の端部65aの位置が長さ調節部66(軸芯P12)に最も近い側に位置して、第1の作業連係機構61の昇降モータ56から植付クラッチ21に亘る長さが、最も短い状態となる。
以上のように、調節部86を上下に揺動操作し、連結部87を、調節部86の連結孔86a,86b,86c及び揺動部64の連結孔64cに挿入して、調節部86を揺動部64に連結することにより、連係部65の端部65bにおける揺動部64の接続位置が、連係部65の移動方向に沿って3段階に変更される。
これにより、連係部65の端部65bの位置が、連係部65の移動方向に沿って前後に少し変更されるのであり、第1の作業連係機構61の昇降モータ56から植付クラッチ21に亘る長さが調節される。
(昇降モータによる植付クラッチ及び施肥クラッチの遮断位置への操作)
図8及び図10に示すように、昇降モータ56により操作軸55のアーム部55cが、第1位置A1に操作されていると、連係部63の操作部63aが、第1位置A1に位置している。
連係部63の操作部63aが第1位置A1に位置していると、バネ71により操作部材69が図12の反時計方向に操作されて、植付クラッチ21が遮断位置に操作され、バネ72により操作部材75が図13の反時計方向に操作されて、施肥クラッチ22が遮断位置に操作されている。図12及び図13に示す状態で、連係部65の端部65aが、操作部材69の長孔69fの前後中間部に位置し、連係部材70の長孔70fの後部に位置している。
図8及び図10に示すように、昇降モータ56により操作軸55のアーム部55cが、第2位置A2及び第3位置A3に操作されても、連係部63の操作部63aが、揺動部64の長孔64a(融通部67)に沿って第2位置A2及び第3位置A3移動するだけで、揺動部64は操作されず、植付クラッチ21及び施肥クラッチ22は遮断位置に維持される。
以上のように、昇降モータ56により操作軸55のアーム部55cが、第1位置A1、第2位置A2及び第3位置A3に操作された状態が、第1及び第2の作業連係機構61,62、第1及び第2のバネ71,72を介して、植付クラッチ21及び施肥クラッチ22が遮断位置に操作された状態である。
昇降モータ56におけるワイヤ43及び操作アーム44に優先して制御弁24のスプール24aを上昇作動位置に操作する作動、及び、昇降モータ56におけるワイヤ43及び操作アーム44により制御弁24のスプール24aが操作される状態に維持する作動が、融通部67により植付クラッチ21及び施肥クラッチ22(操作部材69)に伝達されない。
(昇降モータによる植付クラッチ及び施肥クラッチの伝動位置への操作)
図8から図9に示すように、昇降モータ56により操作軸55のアーム部55cが第4位置A4に操作されると、連係部63の操作部63aが、揺動部64の長孔64aの上端部に達して第4位置A4(図10参照)に移動するのであり、揺動部64が図9の反時計方向に揺動操作されて、連係部65が後側に引き操作される。
図12及び図13に示す状態から、連係部65が後側に引き操作されると、連係部65の端部65aが連係部材70の長孔70fの後部に位置していることにより、連係部材70が図12の反時計方向に揺動操作され、連係部76が後側に引き操作されて、操作部材75がバネ72に抗して遮断位置から伝動位置側に操作され始める。
この場合、連係部65の端部65aが、操作部材69の長孔69fの前後中間部に位置していたことにより、連係部65の端部65aが、操作部材69の長孔69fに沿って後側に移動するだけで、操作部材69は操作されず、植付クラッチ21は遮断位置に維持される。
連係部65の端部65aが操作部材69の長孔69fの後端部に達すると、連係部65が後側に引き操作されるのに伴って、操作部材69がバネ71に抗して遮断位置から伝動位置側に揺動操作され始める。連係部65が後側に引き操作されることにより、施肥クラッチ22が伝動位置に操作され、これに少し遅れて植付クラッチ21が伝動位置に操作される。
以上のように、植付クラッチ21が伝動位置に操作されるのに伴って、連係部材70、第2の作業連係機構62及び第2の操作部材75により、施肥クラッチ22が伝動位置に操作される。
昇降モータ56における植付クラッチ21及び施肥クラッチ22を伝動位置に操作する作動が、融通部67により植付クラッチ21及び施肥クラッチ22に伝達される。
図1に示すように、施肥装置7において、繰り出し部16と作溝器18(田面G)とが少し離れているので、施肥クラッチ22が伝動位置に操作されて、繰り出し部16から最初の肥料が繰り出された場合、最初の肥料が作溝器18(田面G)に到達するまでに少し時間を要する。
植付クラッチ21が伝動位置に操作されるよりも少し前に、施肥クラッチ22が伝動位置に操作されることによって、最初の肥料が作溝器18(田面G)に到達するのと略同時に、植付アーム11による苗の植え付けが開始されるようにすることができる。
以上のように、昇降モータ56により操作軸55のアーム部55cが、第4位置A4に操作された状態が、第1及び第2の作業連係機構61,62により、第1及び第2のバネ71,72に抗して、植付クラッチ21及び施肥クラッチ22が伝動位置に操作された状態である。
昇降モータ56により操作軸55のアーム部55cが第4位置A4に操作されることにより、昇降モータ56における植付クラッチ21を伝動位置に操作する作動が、第1の作業連係機構61から第2の作業連係機構62を介して、施肥クラッチ22に伝達されて、施肥クラッチ22が第2のバネ72に抗して伝動位置に操作される。
図9から図8に示すように、昇降モータ56により操作軸55のアーム部55cが第1位置A1(第2位置A2)(第3位置A3)に操作されると、揺動部64による連係部65の引き操作が解消されるので、前述の(昇降モータによる植付クラッチ及び施肥クラッチの遮断位置への操作)に記載のように、バネ71,72により、植付クラッチ21及び施肥クラッチ22が略同時に遮断位置に操作される。
以上のように、植付クラッチ21が遮断位置に操作されるのに伴って、連係部材70、第2の作業連係機構62及び第2の操作部材75を介して、施肥クラッチ22が遮断位置に操作される。
(操作レバーによる苗植付装置の昇降操作の為の構成)
図1及び図19に示すように、機体3の前部に、前輪1を操向操作する操縦ハンドル77が設けられ、操縦ハンドル77の右の下側部に、操作レバー78(操作具に相当)が設けられて右横側に延出されている。
操作レバー78は、中立位置N、第1上昇位置U1、第2上昇位置U2(上昇位置に相当)、第1下降位置D1、第2下降位置D2(下降位置に相当)、後側の右マーカー位置R1、前側の左マーカー位置L1に人為的に操作可能である。作業者が操作レバー78から手を離すと、操作レバー78が自動的に中立位置Nに戻るように、操作レバー78は中立位置Nに付勢されている。
制御装置100が機体3に設けられ、操作レバー78の操作位置を検出する位置センサー(図示せず)が設けられて、操作レバー78の操作位置が制御装置100に入力されている。機体3に対するリンク機構4の上下角度を検出する角度センサー79(上限位置検出部に相当)(下限位置検出部に相当)が設けられており、角度センサー79の検出値が制御装置100に入力されている。
図6,7,19に示すように、操作軸55のアーム部55c側の端部に、操作軸55の回転角度を検出する位置センサー80が接続されており、位置センサー80の検出値が制御装置100に入力されている。位置センサー80により操作軸55の回転角度が検出されることによって、操作軸55の操作部55b及びアーム部55cの位置が検出される。
昇降制御部101が、制御装置100にソフトウェアとして設けられており、操作レバー78の操作位置(中立位置N、第1上昇位置U1、第2上昇位置U2、第1下降位置D1、第2下降位置D2)、及び角度センサー79の検出値に基づいて、昇降制御部101(制御装置100)により、昇降モータ56が以下の説明のように操作される。
(操作レバーの第1上昇位置による苗植付装置の上昇操作)
昇降モータ56により操作軸55の操作部55b及びアーム部55cが第4位置A4に操作されて、昇降モータ56により植付クラッチ21及び施肥クラッチ22が、伝動位置に操作され、図19に示すように、ワイヤ43及び操作アーム44により制御弁24のスプール24aが操作される状態を想定する。
前述の状態において、図19及び図22に示すように、操作レバー78が第1上昇位置U1に操作されると(ステップS1)、昇降モータ56により操作軸55の操作部55b及びアーム部55cが、第3位置A3に操作される(ステップS2)。
これにより、植付クラッチ21及び施肥クラッチ22が遮断位置に操作され(前述の(昇降モータによる植付クラッチ及び施肥クラッチの遮断位置への操作)参照)、ワイヤ43及び操作アーム44に優先して、制御弁24のスプール24aが上昇作動位置に押し操作されて、油圧シリンダ5が上昇作動し、苗植付装置6が上昇操作される。
操作レバー78が第1上昇位置U1から中立位置Nに操作されると(ステップS1,S6)、昇降モータ56により操作軸55の操作部55b及びアーム部55cが、第2位置A2に操作される(ステップS7)。
これにより、植付クラッチ21及び施肥クラッチ22が遮断位置に操作された状態で、ワイヤ43及び操作アーム44に優先して、制御弁24のスプール24aが中立停止位置に戻し操作されて、油圧シリンダ5及び苗植付装置6が停止する。
操作レバー78が第1上昇位置U1に操作された状態(苗植付装置6が上昇操作されている状態)において、角度センサー79によりリンク機構4が上限位置に達したことが検出されると(ステップS4)、昇降モータ56により操作軸55の操作部55b及びアーム部55cが、第2位置A2に操作される(ステップS7)。
これにより、操作レバー78が第1上昇位置U1に操作された状態でも、ワイヤ43及び操作アーム44に優先して、制御弁24のスプール24aが中立停止位置に戻し操作されて、油圧シリンダ5及び苗植付装置6が上限位置で停止する。
(操作レバーの第2上昇位置による苗植付装置の上昇操作)
図19及び図22に示すように、操作レバー78が第2上昇位置U2に操作されると(ステップS1)、昇降モータ56により操作軸55の操作部55b及びアーム部55cが第3位置A3に操作される(ステップS3)。
これにより、植付クラッチ21及び施肥クラッチ22が遮断位置に操作され(前述の(昇降モータによる植付クラッチ及び施肥クラッチの遮断位置への操作)参照)、ワイヤ43及び操作アーム44に優先して、制御弁24のスプール24aが上昇作動位置に押し操作されて、油圧シリンダ5が上昇作動し、苗植付装置6が上昇操作される。
操作レバー78が第2上昇位置U2から中立位置Nに操作されても(ステップS1)、昇降モータ56により操作軸55の操作部55b及びアーム部55cが、第3位置A3に維持され(ステップS3)、ワイヤ43及び操作アーム44に優先して、制御弁24のスプール24aが上昇作動位置に押し操作される状態が維持されて、油圧シリンダ5の上昇作動及び苗植付装置6の上昇操作は続行される。
前述のように、油圧シリンダ5の上昇作動及び苗植付装置6の上昇操作が続行された状態において、角度センサー79によりリンク機構4が上限位置に達したことが検出されると(ステップS5)、昇降モータ56により操作軸55の操作部55b及びアーム部55cが、第2位置A2に操作される(ステップS7)。
これにより、ワイヤ43及び操作アーム44に優先して、制御弁24のスプール24aが中立停止位置に戻し操作されて、油圧シリンダ5及び苗植付装置6が上限位置で停止する。
(操作レバーの第1下降位置による苗植付装置の下降操作)
苗植付装置6(フロート12)が田面Gから上側に離れた位置で、昇降モータ56により操作軸55の操作部55b及びアーム部55cが、第2位置A2に操作されて苗植付装置6が停止し、昇降モータ56により植付クラッチ21及び施肥クラッチ22が、遮断位置に操作された状態を想定する。
フロート12が田面Gから上側に離れていると、苗植付装置6に対してフロート12が下降する状態となり、接続部材41に対して検知部40が下降する状態となって、ワイヤ43のインナー43aが操作アーム44側に押し操作されている。
前述の状態において、図19,22,23に示すように、操作レバー78が第1下降位置D1に操作されると(ステップS1)、昇降モータ56により操作軸55の操作部55b及びアーム部55cが、第1位置A1に操作される(ステップS11)。
操作軸55の操作部55bにより制御弁24のスプール24aが中立停止位置で止められる操作が消えるので、制御弁24の内部のバネにより、制御弁24のスプール24aが下降作動位置に作動することが許容される。
これにより、ワイヤ43及び操作アーム44により制御弁24のスプール24aが操作される状態となって、制御弁24の内部のバネにより、制御弁24のスプール24aが、操作アーム44の操作部44aを押しながら下降作動位置に作動して、油圧シリンダ5が下降作動し、苗植付装置6が下降操作される(前述の(苗植付装置の昇降制御における苗植付装置の下降操作)参照)。植付クラッチ21及び施肥クラッチ22は、遮断位置に操作(維持)されている。
操作レバー78が第1下降位置D1から中立位置Nに操作されると(ステップS1,S13)、昇降モータ56により操作軸55の操作部55b及びアーム部55cが、第2位置A2に操作される(ステップS14)。
これにより、植付クラッチ21及び施肥クラッチ22が遮断位置に操作された状態で、ワイヤ43及び操作アーム44に優先して、制御弁24のスプール24aが中立停止位置に戻し操作されて、油圧シリンダ5及び苗植付装置6が停止する。
例えば路上等において、操作レバー78が第1下降位置D1に操作された場合、リンク機構4が下限位置に達することがある。
操作レバー78が第1下降位置D1に操作された状態(苗植付装置6が下降操作されている状態)において、角度センサー79によりリンク機構4が下限位置に達したことが検出されると(ステップS12)、昇降モータ56により操作軸55の操作部55b及びアーム部55cが、第2位置A2に操作される(ステップS14)。
これにより、操作レバー78が第1下降位置D1に操作された状態でも、ワイヤ43及び操作アーム44に優先して、制御弁24のスプール24aが中立停止位置に戻し操作されて、油圧シリンダ5及び苗植付装置6が下限位置で停止する。
(操作レバーの第2下降位置による苗植付装置の下降操作)
図19,22,24に示すように、操作レバー78が第2下降位置D2に操作されると(ステップS1)、昇降モータ56により操作軸55の操作部55b及びアーム部55cが、第1位置A1に操作される(ステップS21,S22)。
前述の(操作レバーの第1下降位置による苗植付装置の下降操作)に記載のように、ワイヤ43及び操作アーム44により制御弁24のスプール24aが操作される状態となって、制御弁24のスプール24aが下降作動位置に作動して、油圧シリンダ5が下降作動し、苗植付装置6が下降操作される。植付クラッチ21及び施肥クラッチ22は、遮断位置に操作(維持)されている。
操作レバー78が第2下降位置D2から中立位置Nに操作されても(ステップS22~S25)、昇降モータ56により操作軸55の操作部55b及びアーム部55cが、第1位置A1に維持され(ステップS22)、ワイヤ43及び操作アーム44により制御弁24のスプール24aが操作される状態が維持されて、油圧シリンダ5の下降作動及び苗植付装置6の下降操作は続行される。
フロート12が田面Gに接地すると、ワイヤ43及び操作アーム44により制御弁24のスプール24aが操作される状態によって、苗植付装置6が設定高さH1に維持される状態となり、苗植付装置6(植付アーム11)による苗の植付深さが設定植付深さに維持される状態となる(前述の(苗植付装置の昇降制御における苗植付装置の上昇操作)及び(苗植付装置の昇降制御における苗植付装置の下降操作)参照)。
例えば路上等において、操作レバー78が第2下降位置D2に操作された場合、リンク機構4が下限位置に達することがある。角度センサー79によりリンク機構4が下限位置に達したことが検出されると(ステップS25)、昇降モータ56により操作軸55の操作部55b及びアーム部55cが、第2位置A2に操作される(ステップS26)。
これにより、ワイヤ43及び操作アーム44に優先して、制御弁24のスプール24aが中立停止位置に戻し操作されて、油圧シリンダ5及び苗植付装置6が下限位置で停止する。
(操作レバーの第2下降位置による植付クラッチ及び施肥クラッチの伝動位置への操作)
前述の(操作レバーの第2下降位置による苗植付装置の下降操作)に記載のように、操作レバー78が、第2下降位置D2に操作されてから、中立位置Nに操作され再び第2下降位置D2に操作されると(ステップS23,S24)、昇降モータ56により操作軸55のアーム部55cが、第4位置A4に操作される(ステップS27)。
これにより、ワイヤ43及び操作アーム44により制御弁24のスプール24aが操作される状態が維持されながら、前述の(昇降モータによる植付クラッチ及び施肥クラッチの伝動位置への操作)に記載のように、植付クラッチ21及び施肥クラッチ22が伝動位置に操作される。
(マーカーを作業位置及び格納位置に操作するマーカーの操作構造)
図16~図19に示すように、機体3の後部において運転座席20の下側で、制御弁24に対して機体左右中央側の部分に、案内板88が支持されている。右及び左の操作アーム89が、案内板88の下側の左右方向の軸芯P13周りに互いに独立に前後方向に揺動可能に支持されている。
右の操作アーム89の上部と右のマーカー23のアーム部23aとに亘って、右のワイヤ90(マーカー操作機構に相当)が接続され、左の操作アーム89の上部と左のマーカー23のアーム部23aとに亘って、左のワイヤ90が接続されている。
案内板88に、2個の長孔状の開口部88aが前後方向に沿って開口されており、操作アーム89の上端部の操作部89aが、案内板88の開口部88aを通って上側に出ている。図19に示すように、右及び左のマーカー23を作業位置B1に付勢する右及び左のバネ91が、右及び左のマーカー23に接続されている。
機体3の後部において運転座席20の下側で、機体左右中央側部に、油圧シリンダ5が配置されることにより、操作アーム89及びワイヤ90が、油圧シリンダ5に隣接するように、油圧シリンダ5の近傍に配置されている。図16及び図19に示すように、油圧シリンダ5のピストンに連結された操作部5aが、案内板88の上側で、操作アーム89の操作部89aの後側に配置されている。
図16の二点鎖線に示す状態は、油圧シリンダ5が下降作動(ピストンが伸長作動)して、苗植付装置6が田面Gに下降操作された状態である。この状態で、油圧シリンダ5の操作部5aが、操作アーム89の操作部89aから後側に離れ、マーカー23がバネ91により作業位置B1に操作されており、ワイヤ90がマーカー23側に引き操作されて、操作アーム89の操作部89aが案内板88の開口部88aの後端部に位置している。
図16の二点鎖線に示す状態から油圧シリンダ5が上昇作動(ピストンが収縮作動)して、苗植付装置6が上昇操作されると、油圧シリンダ5による苗植付装置6の上昇操作に伴なって、油圧シリンダ5の操作部5aが、前側に移動して操作アーム89の操作部89aに当たり、操作アーム89が図16の反時計方向に揺動操作される。これにより、ワイヤ90が操作アーム89側に引き操作されて、マーカー23がバネ91に抗して格納位置B2に操作される。
油圧シリンダ5が下降作動(ピストンが伸長作動)して、苗植付装置6が下降操作されると、油圧シリンダ5の操作部5aが、操作アーム89の操作部89aから後側に離れるので、マーカー23がバネ91により作業位置B1に操作されるのであり、ワイヤ90がマーカー23側に引き操作されて、操作アーム89の操作部89aが案内板88の開口部88aの後端部に位置する状態に戻る。
(マーカーを格納位置に保持するマーカーの保持構造)
図16~図19に示すように、支持ピン92が案内板88に上向きに連結されており、右及び左の保持アーム93が、支持ピン92の軸芯P14周りに、互いに独立に揺動可能に支持されている。
バネ94が、支持ピン92に取り付けられて、バネ94により、右及び左の保持アーム93の先端の保持部93aが互いに接近し合う方向に、右及び左の保持アーム93が付勢されている。
案内板88の一部が上側に折り曲げられて当たり部88bが設けられており、保持アーム93の保持部93aが案内板88の当たり部88bに当たることによって、保持アーム93の保持部93aが、平面視で案内板88の開口部88aと重複する保持位置で止められる。
前述の(マーカーを作業位置及び格納位置に操作するマーカー操作機構)に記載のように、油圧シリンダ5による苗植付装置6の上昇操作に伴なって、油圧シリンダ5の操作部5aにより操作アーム89が図16の反時計方向に揺動操作されると、操作アーム89の操作部89aが、保持位置の保持アーム93の保持部93aをバネ94に抗して押し退けながら、図16及び図17に示す位置に達する。
操作アーム89の操作部89aが図16及び図17に示す位置に達すると、保持アーム93がバネ94により保持位置に戻るのであり、保持アーム93の保持部93aが操作アーム89の操作部89aに係合して、操作アーム89が図16及び図17に示す姿勢に保持される。
保持アーム93により操作アーム89が図16及び図17に示す姿勢に保持された状態において、油圧シリンダ5による苗植付装置6の下降操作が行われ、油圧シリンダ5の操作部5aが後側に移動しても、保持アーム93により操作アーム89は図16及び図17に示す姿勢に保持されて、マーカー23は格納位置B2に保持される。
これにより、保持アーム93及びバネ94が、格納位置B2に操作された右及び左のマーカー23を、操作アーム89、ワイヤ90及びバネ91に優先して格納位置B2に保持する状態となる。
(マーカーの保持を解除可能なマーカーモータに関する構成)
図16,17,18に示すように、案内板88の上側に支持された支持板95の左右方向の軸芯P15周りに、正面視でアングル形状の操作アーム96が前後方向に揺動可能に支持されている。扇形状の操作ギヤ96aが、操作アーム96と一体で揺動するように操作アーム96に連結されている。
マーカーモータ97及び減速機構98が、支持板95に連結されており、減速機構98のピニオンギヤ98aが、操作アーム96の操作ギヤ96aに咬合している。マーカーモータ97により、減速機構98のピニオンギヤ98aが正逆に回転駆動され、操作アーム96が正逆に揺動操作される。
操作部材99が、支持ピン92の軸芯P14周りに、保持アーム93とは独立に揺動可能に支持されている。操作部材99は、側面視でチャンネル形状に折り曲げられ、平面視で二股状に形成されて、右及び左の操作部99aが設けられており、アーム部99bが横外側に延出されている。
保持アーム93の後部が上側に延出されて操作部93bとなっており、操作部材99の操作部99aが、保持アーム93の操作部93bの外側に位置している。操作アーム96の先端部が二股状に形成され、操作部材99のアーム部99bが操作アーム96の二股状の先端部に入り込んでおり、操作アーム96と操作部材99のアーム部99bとが係合している。
操作アーム89及びワイヤ90が、油圧シリンダ5に隣接するように、油圧シリンダ5の近傍に配置されていることに加えて、案内板88に保持アーム93及びバネ94が支持され、案内板88の上側にマーカーモータ97が配置されている。これにより、操作アーム89及びワイヤ90と、保持アーム93及びバネ94と、マーカーモータ97とが、油圧シリンダ5の近傍に配置されている。
右及び左の操作アーム89が右及び左の保持アーム93により、マーカー23の格納位置B2に保持された状態において、マーカーモータ97により操作アーム96が前側に揺動操作されると、操作部材99が図17の時計方向に揺動操作される。
これにより、左の保持アーム93が保持位置に残された状態で、操作部材99の右の操作部99aにより右の保持アーム93の操作部93bが押し操作されて、右の保持アーム93の保持部93aが右の操作アーム89の操作部89aから外れる解除位置に、右の保持アーム93が操作される。
マーカーモータ97により操作アーム96が後側に揺動操作されると、操作部材99が図17の反時計方向に揺動操作される。これにより、右の保持アーム93が保持位置に残された状態で、操作部材99の左の操作部99aにより左の保持アーム93の操作部93bが押し操作されて、左の保持アーム93の保持部93aが左の操作アーム89の操作部89aから外れる解除位置に、左の保持アーム93が操作される。
(マーカーモータの操作に関する構成)
図17及び図19に示すように、操作アーム96の回転角度を検出する位置センサー111が、操作アーム96に接続されており、位置センサー111の検出値が制御装置100に入力されている。位置センサー111により操作アーム96の回転角度が検出されることによって、操作部材99の位置が検出される。
マーカー制御部102が、制御装置100にソフトウェアとして設けられており、操作レバー78の操作位置(右マーカー位置R1及び左マーカー位置L1)、及び位置センサー111の検出値に基づいて、マーカー制御部102(制御装置100)により、マーカーモータ97が以下の説明のように操作される。
(操作レバーの右マーカー位置及び左マーカー位置によるマーカーの操作)
前述の(操作レバーの第1上昇位置による苗植付装置の上昇操作)(操作レバーの第2上昇位置による苗植付装置の上昇操作)に記載のように、操作レバー78が第1上昇位置U1又は第2上昇位置U2に操作されて、苗植付装置6が上昇操作されると、前述の(マーカーを格納位置に保持するマーカー保持機構)に記載のように、右及び左のマーカー23が格納位置B2に操作され、右及び左の保持アーム93により右及び左の操作アーム89が保持されて、右及び左のマーカー23が格納位置B2に保持される。
次に、操作レバー78が第1下降位置D1又は第2下降位置D2に操作されて、苗植付装置6が田面Gに下降操作されたとする(油圧シリンダ5の操作部5aが、操作アーム89の操作部89aから後側に離れた状態)。この状態では、保持アーム93により操作アーム89が保持されて、マーカー23が格納位置B2に保持されている。
操作レバー78が右マーカー位置R1に操作されると、前述の(マーカー保持機構を解除可能なマーカーモータに関する構成)に記載のように、マーカーモータ97により操作アーム96が前側に揺動操作され、操作部材99が図17の時計方向に揺動操作され、右の保持アーム93が解除位置に操作される。
これにより、右のマーカー23がバネ91により作業位置B1に操作されるのであり、右のワイヤ90が右のマーカー23側に引き操作されて、右の操作アーム89の操作部89aが案内板88の開口部88aの後端部に位置する状態に戻る(図16の二点鎖線を参照)。
操作レバー78が左マーカー位置L1に操作されると、前述の(マーカー保持機構を解除可能なマーカーモータに関する構成)に記載のように、マーカーモータ97により操作アーム96が後側に揺動操作され、操作部材99が図17の反時計方向に揺動操作され、左の保持アーム93が解除位置に操作される。
これにより、左のマーカー23がバネ91により作業位置B1に操作されるのであり、左のワイヤ90が左のマーカー23側に引き操作されて、左の操作アーム89の操作部89aが案内板88の開口部88aの後端部に位置する状態に戻る(図16の二点鎖線を参照)。
操作レバー78が右マーカー位置R1(左マーカー位置L1)に操作された場合、操作アーム89の操作部89aが保持アーム93の保持部93aを通過する為に要する設定時間が経過すると、マーカーモータ97により操作アーム96が、図17に示す位置に戻し操作されて、右(左)の保持アーム93が保持位置に戻し操作される。
苗植付装置6が田面Gに下降操作された状態において、操作レバー78が右マーカー位置R1に操作され、次に左マーカー位置L1に操作されると(左マーカー位置L1に操作され、次に右マーカー位置R1に操作されると)、右及び左のマーカー23が作業位置B1に操作される。
苗植付装置6が上昇操作された状態において、操作レバー78が右マーカー位置R1(左マーカー位置L1)に操作されて、保持アーム93が解除位置に操作されても、油圧シリンダ5の操作部5aにより、操作アーム89の操作部89aが図16に示す姿勢に保持されているので、マーカー23は作業位置B1に操作されない。
(整地装置の昇降の構成)
図20に示すように、扇形の操作ギヤ112が、苗植付装置6の前部の上部の前後方向の軸芯P16周りに、揺動可能に支持されている。電動モータ113及び減速機構114が、苗植付装置6の前部の上部に支持されて、減速機構114のピニオンギヤが操作ギヤ112に咬合している。操作ギヤ112と、伝動ケース46及び支持アーム47とに亘って連係ロッド115が接続されている。
電動モータ113により減速機構114のピニオンギヤが正逆に回転駆動され、操作ギヤ112が正逆に揺動操作されて、整地装置50(伝動ケース46及び支持アーム47)が軸芯P6周りに昇降操作される。
(整地装置の高さ制御)
図1及び図20に示すように、ダイヤル操作型式の整地スイッチ116が、操縦ハンドル77の下側に設けられており、整地スイッチ116の操作信号が制御装置100に入力されている。整地スイッチ116に作業位置及び格納位置が設けられており、作業位置の操作範囲において、整地スイッチ116により整地装置50の設定整地深さが任意に設定される。
高さセンサー117が、操作ギヤ112における軸芯P16の部分に接続されて、高さセンサー117により苗植付装置6に対する整地装置50の上下位置が検出されており、高さセンサー117の検出値が制御装置100に入力されている。植付深さレバー29の操作位置を検出する位置センサー118が設けられており、位置センサー118の検出値が制御装置100に入力されている。
整地制御部103が制御装置100にソフトウェアとして設けられており、整地スイッチ116の操作位置、高さセンサー117及び位置センサー118の検出値に基いて、整地制御部103(制御装置100)により、電動モータ113が以下の説明のように操作される。
位置センサー118により植付深さレバー29の操作位置が検出されることによって、設定高さH1(苗の設定植付深さ)(前述の(苗の設定植付深さの変更)及び図19参照)が検出される。設定高さH1(苗の設定植付深さ)と、高さセンサー117の検出値(苗植付装置6に対する整地装置50の上下位置)とに基いて、田面Gからの整地装置50の高さが検出されるのであり、整地装置50の整地深さH2が検出される。
これにより、整地装置50の整地深さH2が、整地スイッチ116の設定整地深さとなるように、電動モータ113が作動して、整地装置50が昇降操作される。整地スイッチ116の設定整地深さが変更されると、整地装置50の整地深さH2が、変更された整地スイッチ116の設定整地深さとなるように、電動モータ113が作動して、整地装置50が昇降操作される。
設定高さH1(苗の設定植付深さ)が変更されても、位置センサー118の検出値(変更された設定高さH1(苗の設定植付深さ))と、高さセンサー117の検出値とに基いて、整地装置50の整地深さH2が検出され、整地装置50の整地深さH2が、整地スイッチ116の設定整地深さとなるように、電動モータ113が作動して、整地装置50が昇降操作される。
整地スイッチ116が格納位置に操作されると、電動モータ113により整地装置50が上限位置に上昇操作される。整地装置50の上限位置は、整地装置50が田面Gから大きく上昇操作されて、整地装置50が田面Gに接地しない位置である。
(畦際での旋回及び植え揃え)
図21に示すように、乗用型田植機では、1回の植付行程K1を終了して、機体3が畦Fに手前に達すると、作業者は、操作レバー78を操作して、苗植付装置6を田面Gから上昇操作し(植付クラッチ21及び施肥クラッチ22は遮断位置)、操縦ハンドル77を操作して畦際で旋回J1を行う。
旋回J1が終了すると、作業者は、操作レバー78を操作して、苗植付装置6を田面Gに下降操作し、植付クラッチ21及び施肥クラッチ22を伝動位置に操作して、次の植付行程K2に入る。
この場合、前の植付行程K1の終了位置K11(植付クラッチ21及び施肥クラッチ22が遮断位置に操作された苗植付装置6の位置)と、次の植付行程K2の開始位置K21(植付クラッチ21及び施肥クラッチ22が伝動位置に操作された苗植付装置6の位置)とを、一致させる必要がある。
(植え揃え制御部)
図20及び図21に示すように、植え揃え制御部104が、制御装置100にソフトウェアとして設けられている。後輪2の回転数を検出する回転数センサー120が設けられており、回転数センサー120の検出値が制御装置100に入力されている。ダイヤル操作型式の植え揃えスイッチ119が、操縦ハンドル77の近傍に設けられており、植え揃えスイッチ119の操作信号が制御装置100に入力されている。
前述の(畦際での旋回及び植え揃え)に記載のように、乗用型田植機が畦際での旋回J1を行う場合に、回転数センサー120の検出値及び前輪1の操向角度等に基づいて、植え揃え制御部104により、終了位置K11を原点として、植付行程K1に沿った座標での機体3(苗植付装置6)の位置が検出され、植付行程K1に沿った方向を基準方向として、基準方向に対する機体3の角度が検出される。
終了位置K11から旋回J1が開始されると、機体3(苗植付装置6)の位置が原点(終了位置K11)から畦F側に離れていき、機体3の角度が、基準方向に対して0度から次第に大きくなっていく。
前述の機体3の角度が90度になると、機体3(苗植付装置6)の位置が停止するのであり、旋回J1が進行により機体3の角度が90度から180度に近づくのに伴って、植付行程K1に沿った座標での機体3(苗植付装置6)の位置が、原点(終了位置K11)に接近していく。
これにより、機体3の角度が180度となり、植付行程K1に沿った座標での機体3(苗植付装置6)の位置が、原点(終了位置K11)に位置すれば、終了位置K11と開始位置K21とが、一致したと判断できる。
植え揃えスイッチ119が作業位置に操作された状態において、植え揃え制御部104(制御装置100)により、終了位置K11と開始位置K21とが一致するように、昇降モータ56が以下の説明のように操作される。
作業者が操作レバー78を操作して、苗植付装置6が田面Gから上昇操作されると、植え揃え制御部104は、操作レバー78が操作された時点で終了位置K11を設定し、植付行程K1に沿った方向を基準方向として設定する。終了位置K11を原点として、植付行程K1に沿った座標での機体3(苗植付装置6)の位置の検出、及び、基準方向に対する機体3の角度の検出が開始される。
機体3の角度が90度と180度との間に達し、植付行程K1に沿った座標での機体3(苗植付装置6)の位置が、原点(終了位置K11)から少し畦F側に達すると、植え揃え制御部104は、旋回J1の後半に入ったと判断して、昇降制御部101に優先して、昇降モータ56により操作軸55の操作部55b及びアーム部55cを、第3位置A3に操作して、苗植付装置6を田面Gに下降操作する(前述の(操作レバーの第2下降位置による苗植付装置の下降操作)参照)。
次に機体3の角度が180度となり、植付行程K1に沿った座標での機体3(苗植付装置6)の位置が、原点(終了位置K11)に達すると、植え揃え制御部104は、昇降制御部101に優先して、昇降モータ56により操作軸55の操作部55b及びアーム部55cを、第4位置A4に操作して、植付クラッチ21及び施肥クラッチ22を伝動位置に操作する(前述の(操作レバーの第2下降位置による植付クラッチ及び施肥クラッチの伝動位置への操作)参照)。
植え揃えスイッチ119の作業位置の操作範囲において、植え揃えスイッチ119を操作することにより、操作軸55の操作部55b及びアーム部55cが第4位置A4に操作されるタイミングを、植付行程K1に沿った座標での機体3(苗植付装置6)の位置が原点(終了位置K11)に達する少し前(早め)に設定したり、少し後(遅め)に設定したりすることができる。
これにより、植え揃え制御部104の作動状態で、終了位置K11と開始位置K21とがうまく一致しない場合、作業者が前述のように植え揃えスイッチ119を操作することにより、終了位置K11と開始位置K21とを一致させることができる。
植え揃えスイッチ119が停止位置に操作されていると、植え揃え制御部104は停止するので、作業者は、終了位置K11と開始位置K21とが一致するように、操作レバー78を操作して、苗植付装置6の田面Gへの下降操作、植付クラッチ21及び施肥クラッチ22の伝動位置への操作を行う。
(発明の実施の第1別形態)
第1の作業連係機構61に設けられる融通部67が、以下の説明のように構成されてもよい。
図25,26,27に示すように、制御弁24及び昇降モータ56の下側において、右及び左の機体フレーム60に亘って支持軸74が連結されている。右の機体フレーム60の右外側において支持軸74の端部に、第1の揺動部64及び第2の揺動部121が、左右方向の軸芯P9周りに、互いに独立に揺動可能に支持されている。
操作軸55のアーム部55cと揺動部64とに亘って、ロッド状の第1の連係部63が接続されている。昇降モータ56により操作軸55が回転操作されることによって、操作軸55の操作部55b及びアーム部55cに連動して、揺動部64が、第1位置A1及び第4位置A4、第2位置A2、第3位置A3に操作される(前述の(苗植付装置の昇降操作用の制御弁及び昇降モータに関する構成)参照)。
揺動部64に、ピン状の操作部64dが連結され、揺動部121に、軸芯P9を中心とする円弧状の長孔121aが開口されており、揺動部64の操作部64dが揺動部121の長孔121aに挿入されている。
これにより、揺動部64の操作部64dと揺動部121の長孔121aとが設けられた融通部67が、第1の揺動部64と第2の揺動部121とに亘って設けられ、第1の作業連係機構61に設けられている。
ロッド状の第2の連係部65が、揺動部121に接続されて、機体フレーム60の長孔60aを通って右及び左の機体フレーム60の間に入り込んでいる。連係部65が、前側に延出されて、操作部材69及び連係部材70に接続されている(前述の(植付クラッチを操作する操作部材)参照)。この場合、長さ調節部66は設けられていない。
図25に示すように、昇降モータ56により揺動部64が第1位置A1に操作されていると、揺動部64の操作部64dが、揺動部121の長孔121aの上端部に位置しており、植付クラッチ21及び施肥クラッチ22は遮断位置に操作されている。
昇降モータ56により操作軸55のアーム部55c及び揺動部64が、第2位置A2及び第3位置A3に操作されても、揺動部64の操作部64dが、揺動部121の長孔121aに沿って移動するだけで、揺動部121は揺動操作されず、植付クラッチ21及び施肥クラッチ22は遮断位置に維持される。
図25から図26に示すように、昇降モータ56により揺動部64が第4位置A4に操作されると、揺動部64の操作部64dが揺動部121の長孔121aの上端部に達し、揺動部64及び揺動部121が、一体で図26の反時計方向に揺動操作されて、連係部65が後側に引き操作される。
これにより、植付クラッチ21及び施肥クラッチ22が伝動位置に操作される(前述の(昇降モータによる植付クラッチ及び施肥クラッチの伝動位置への操作)参照)。
(発明の実施の第2別形態)
エンジン34の停止操作が行われた状態において、操作レバー78が例えば第2下降位置D2に操作され中立位置Nに操作されてから再び第2下降位置D2に操作されるというように、操作レバー78が特定方向に操作されると、昇降制御部101(制御装置100)により、昇降モータ56が作動操作されて、操作軸55のアーム部55cが第4位置A4に操作され、植付クラッチ21及び施肥クラッチ22が伝動位置に操作されてもよい。
苗植付装置6を作動及び停止させる植付クラッチ21は、一般に、定位置停止機能が備えられている。植付クラッチ21の定位置停止機能は、回転ケース10の2組の植付アーム11の両方が、田面Gから上側に位置する状態(例えば一方の植付アーム11が田面Gへの苗の植え付けを終了して田面Gから少し上昇し、他方の植付アーム11が苗のせ台13の下部から苗を取り出す直前の状態)で、回転ケース10を停止させて固定する機能である。
これにより、エンジン34を停止させた状態で、作業者が手動で回転ケース10を回転させて、植付アーム11による苗の取り出し量の確認等のメンテナンス作業を行う場合、植付クラッチ21が遮断位置に操作されて、前述の定位置停止機能が働いていると、手動で回転ケース10を回転させることが困難になる。
従って、エンジン34を停止させた状態で、前述のように植付クラッチ21を伝動位置に操作することができると、定位置停止機能が働かなくなるので、作業者が手動で回転ケース10を回転させることが無理なく行えるのであり、各種のメンテナンス作業が行い易くなる。
(発明の実施の第3別形態)
操作レバー78が中立位置Nに操作された状態において、エンジン34の停止操作が行われると、昇降制御部101(制御装置100)により、昇降モータ56が作動操作されて、操作軸55のアーム部55cが第2位置A2に操作され、ワイヤ43及び操作アーム44に優先して、制御弁24のスプール24aが中立停止位置に押し操作されてもよい。
操作レバー78が第1下降位置D1又は第2下降位置D2に保持された状態において、エンジン34の停止操作が行われると、前述のような昇降制御部101(制御装置100)による操作が行われないように構成されてもよい。
(発明の実施の第4別形態)
図1に示すように、機体3の前端部に、正面視でアーチ状の操作アーム122が設けられることがあり、操作アーム122は、図1に示す起立姿勢及び機体3から前側に延出された使用姿勢に、姿勢変更可能に支持されている。
通常の植付作業では、操作アーム122は起立姿勢に操作されている。畦Fを越えて乗用型田植機を水田に進入させる場合や水田から出る場合、機体3の前に立つ作業者が、使用姿勢の操作アーム122を持つことにより、機体3の前部の浮き上がりを押さえたり、機体3の向きの修正を行うことができる。
前述のような操作アーム122において、操作アーム122の上部に、タクトスイッチ型式のエンジン停止スイッチ(図示せず)が設けられてもよい。
これにより、機体3の前に立つ作業者が使用姿勢の操作アーム122を持つ場合、作業者がエンジン停止スイッチを操作することにより、エンジン34が停止操作されるのであり、これと同時にブザー等の警報音が鳴る。
(発明の実施の第5別形態)
角度センサー79を廃止して、リンク機構4が上限位置に達したことを検出する上限位置スイッチ(図示せず)(上限位置検出部に相当)と、リンク機構4が下限位置に達したことを検出する下限位置スイッチ(図示せず)(下限位置検出部に相当)とを、別々に設けてもよい。