JP7302295B2 - 薄板の製造方法、マルチワイヤソー装置、及びワークの切断方法 - Google Patents

薄板の製造方法、マルチワイヤソー装置、及びワークの切断方法 Download PDF

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本発明は、薄板の製造方法、マルチワイヤソー装置、及びワークの切断方法に関する。
マルチワイヤソー装置を用いてワークを切断し複数の薄板を形成する方法が知られている。例えば、結晶材料からウエハを製造する際に、上記の方法が用いられる。結晶材料のウエハを製造するプロセスは、例えば、円筒研削工程と、スライス工程と、ベベル工程と、ラップ工程と、ポリッシュ工程と、を備える。
円筒研削工程は、チョクラルスキー法などにより育成された結晶を、研削により円柱状に整える工程である。スライス工程は、円柱状に整形された結晶を薄くスライスし、ウエハ(ウエハ状の結晶)を得る工程である。
ベベル工程は、スライス工程により得られたウエハの外周部分を、研磨により面取りし、整形する工程である。ベベル工程を施すことにより、後に行うラップ工程や、ポリッシュ工程の際に、ウエハの割れやカケを抑制できる。
ラップ工程は、ウエハの表裏面を研磨する工程であり、ウエハの厚みを一定に整え、平坦性を得ることができる。ラップ工程では、ラップ盤による遊離砥粒を介した研磨や、固定砥粒を用いた平面研削盤などが使用される場合が多い。また、ポリッシュ工程は、必要に応じて実施され、ウエハの両面もしくは片面を鏡面に研磨し、仕上げる工程である。
上記の製造プロセスなどにより製造されるウエハは、最終的に、チップ状に裁断され、デバイス(例えば、集積回路、表面弾性波フィルタなど)に用いられる。デバイスの材料となるウエハの表面のマイクロクラック、キズ、よごれ、凹凸などは、デバイスの特性に悪影響を与えるため、ウエハは、可能な限り平坦に且つ清浄にポリッシュ工程を行う必要がある。ポリッシュ工程では、コロイダルシリカ、酸化セリウムなどの研磨材が用いられ、最終的な洗浄や検査は、クリーンルームで行われる場合が多い。
なお、結晶材料の種類や用途によって、上記の製造プロセスとは異なるプロセスによりウエハが製造されることもある。また、上記の各工程を行う順番も一様ではなく、上記工程以外に、洗浄やエッチング、エッジポリッシング、熱処理などの他の工程が加えられることもある。
ところで、上記のスライス工程において、結晶をウエハ状にスライスする際、複数のワイヤが列状に配置されたワイヤ列を有するワイヤソー装置(マルチワイヤソー装置)が広く用いられている。
マルチワイヤソー装置を用いた加工においては、従来からの課題の一つとして、ウエハの割れ不良が挙げられる。スライス精度(うねり)や、スライス厚み精度も重要な管理項目の一つではあるが、スライス工程後の加工にて修正が可能な場合が多い。一方、ウエハの割れ不良は、取り返しがつかない致命的な不良である。当然ながら、ウエハの厚みが薄くなるほど、ウエハが割れやすくなるところ、近年、ウエハのさらなる薄化が要求されている。
例えば、ニオブ酸リチウムや、タンタル酸リチウムからなるウエハは、携帯電話等に用いられるSAWフィルタに用いられる。携帯電話には、各国での仕様に応じた通話用のSAWフィルタを複数搭載したり、Wi-Fi、Bluetooth(登録商標)等の様々な周波数帯を利用した各種のデバイスチップを備える必要があり、ハイエンド機種の場合、総計で数十個のデバイスを搭載することも珍しくない。よって、実装スペースが限られる携帯電話では、デバイスサイズの小型化、低背化が求められ、ニオブ酸リチウムや、タンタル酸リチウムからなるウエハにおいても、薄化が要求されている。
なお、ウエハを薄化する方法としては、例えば、ウエハの裏面を砥石にて研削し(バックグラインド)、低背化する手法もあるが、多くのSAWフィルタでは、バルクスプリアスを防止する目的で、ウエハ裏面のラップ盤による、遊離砥粒研磨で作られた粗さが、品質として重要であるため、ウエハの薄化を目的とする場合は、スライス工程において、薄いウエハを得ることが求められている。
これまで、マルチワイヤソー装置を用いたスライス工程において、ウエハの割れの発生を抑制することを目的として、いくつかの技術が提案されている。
例えば、下記の特許文献1では、スライス途中で圧接板をウエハに圧接し、ワーク余長部の割れを防止することで、余長部ワーク割れの連鎖を抑制する切断方法が提案されている。
また、特許文献2では、単結晶シリコンや、砒化ガリウムインゴットのワイヤソースライスに対し、ワイヤ群の形成する面と、インゴットの劈開面のなす角を、10~45°にする切断方法が提案されている。特許文献2によれば、インゴットの璧開面を、ワイヤソーを構成するワイヤ列により形成される面に対して非平行となるようにインゴットを切断装置の固定手段に固定し、切断することにより切断中のウエハの割れ及び落下を防止できるとしている。
特開平9-272122号公報 特開2002-283340号公報
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、薄い脆性のウエハを圧接で抑え込むことは非現実的であるし、ワークを圧接するシリンダー等の機構を組み込んだワークシートを、既存のマルチワイヤソー装置に組み込むことは、さらなる設置スペースが必要となるため、実現が非常に難しい。また、マルチワイヤソー装置を用いて得られたウエハの割れは、必ずしも、ワーク余長部で発生するものではなく、必ずしもウエハの割れの発生を十分に抑制できるとはいえない。
また、特許文献2に記載の技術は、切断中のワイヤがワークに接触している接線である、ウエハとインゴットの未スライス部分の境目に、ワイヤソーの運転振動波によるひずみが発生することから、この接線を劈開方向と平行から離すことで、割れを防止するものである。しかしながら、この方法も、薄い脆性のウエハにスライスする際には、効果を発揮しない。
さらに、本発明者は、4インチ砒化ガリウムのスライスに対し、劈開方向を45°とする実験を行ったところ、ある程度の薄さになると、劈開方向に沿って割れが多発してしまうことを見出した。よって、劈開と振動波の観点だけでは、薄いウエハのスライスに対して不足であるといえる。
ニオブ酸リチウム、タンタル酸リチウムからなるウエハの直径は、φ3~6インチが流通しており、これらのウエハの厚みは、通常、0.5mm以下である。また、これらのウエハは、ガラス質で、劈開性の強い結晶という特性が相まって、非常に割れやすく、スライスが難しい。
さらに、例えばシリコンウエハであれば、厚みこそ0.6~0.8mm(φ5~8インチ)のものが主流であるが、φ12~18インチへ向け、大口径化が進められており、相対的に、上記したワイヤソーを用いたスライス工程における割れのリスクは増大し続けている。
本発明は、上述の問題点に着目してなされたもので、マルチワイヤソー装置を用いてワークを切断して薄板を製造する際に生じるワークの割れを抑制することを目的とする。
本発明の態様では、所定の間隔で並ぶワイヤ列を有するマルチワイヤソー装置を用いて、ワークを切断して、複数の薄板を製造する方法であって、ワイヤ列の間隔が調整されたマルチワイヤソー装置を用いてワークを切断し、所定の厚さを有する複数の薄板と、所定の厚さよりも厚い厚さを有する薄板支持体と、を得ること、を備え、薄板支持体の数は、複数の薄板の数よりも少なく、かつ、1つ以上であり、薄板支持体の少なくとも一つは、複数の薄板と複数の薄板と間に挟まれて配置される、薄板の製造方法が提供される。
また、薄板の製造方法において、薄板支持体は、複数の薄板を挟んで、所定の間隔で複数配置される構成としてもよい。また、薄板支持体が、複数の薄板を挟んで、一定の間隔で複数配置される構成としてもよい。また、ワークが、砒化ガリウム、ガリウム燐、インジウム燐、ニオブ酸リチウム、タンタル酸リチウム、サファイア、及び、シリコンから選択される少なくとも1つの結晶材料である構成としてもよい。また、薄板支持体の厚さが、3mm以上である構成としてもよい。また、ワークは、薄板支持体として切断される部分に、ダミーワークを含む構成としてもよい。
また、本発明の態様では、複数のワイヤが所定の間隔で並ぶワイヤ列によりワークを複数の薄板に切断するマルチワイヤソー装置であって、複数のローラと、複数のローラ間にワイヤを複数回巻き付けて形成されるワイヤ列と、ワークを保持するワーク保持部と、を備え、ワイヤ列は、第1の間隔と、第1の間隔よりも大きな第2の間隔と、で設けられ、第2の間隔の数は、第1の間隔の数より少なく、かつ、1つ以上であり、第2の間隔の少なくとも一つは、第1の間隔と第1の間隔と間に挟まれる位置に配置され、ワーク保持部は、ワイヤ列により、第1の間隔に対応する厚さを有する薄板と、第2の間隔に対応する厚さを有する薄板支持体とにワークが切断されるようにワークを保持する、マルチワイヤソー装置が提供される。
また、マルチワイヤソー装置において、ワイヤ列が、連続して配置される所定の数の第1の間隔を挟んで、第2の間隔が複数配置される構成としてもよい。また、ワイヤをローラ間に巻き付けてワイヤ列を形成するワイヤ巻き付け機構を備える構成としてもよい。
また、本発明の態様では、複数のローラに巻き付けられたワイヤを有するマルチワイヤソー装置を用いて、ワークを複数の薄板に切断する切断方法であって、ワイヤを、ローラの軸方向において、第1の間隔と、第1の間隔よりも大きな第2の間隔とで、複数のローラに巻き付けることと、ワークを、巻き付けられたワイヤにより、第1の間隔に対応する厚さを有する薄板と、第2の間隔に対応する厚さを有する薄板支持体とに切断することと、を備え、ワイヤは、第2の間隔が配置される数が、第1の間隔が配置される数より少なく、かつ、1以上であり、第2の間隔の少なくとも一つは、第1の間隔と第1の間隔との間に挟まれて配置されるように巻き付けられる、ワークの切断方法が提供される。
本発明の態様によれば、マルチワイヤソー装置を用いてワークを切断して薄板を製造する際に生じるワークの割れを抑制することができる。特に、ワークが脆性材料であり、厚さが薄い薄板を製造する際におけるワークの割れを抑制することができる。
本実施形態に係るマルチワイヤソー装置の概略図である。 従来のマルチワイヤソー装置におけるワイヤ列の一例を示す図である。 本実施形態に係るマルチワイヤソー装置におけるワイヤ列の一例を示す斜視図である。 図3に示すワイヤ列の上面図である。 従来のマルチワイヤソー装置を用い、切断が終了した時の薄板とスライスベッドとを示す模式図である。 薄板の厚みが薄い場合における、ワーク保持部に固定された切断後の薄板の状態を示す図である。 薄板に割れが生じる際における、切断後の薄板の状態を示す図である。 本実施形態のマルチワイヤソー装置により切断した薄板の状態を示す図である。
以下、本発明について図面を参照しながら説明する。ただし、本発明はこれに限定されない。また、図面においては実施形態を説明するため、一部分を大きく又は強調して記載するなど適宜縮尺を変更して表現している。また、以下の各図において、XYZ座標系を用いて図中の方向を説明する。このXYZ座標系においては、鉛直方向をZ方向とし、水平方向をX方向、Y方向とする。また、X方向、Y方向、及びZ方向のそれぞれについて、適宜、矢印の先の側(方向)を+側(方向)(例、+X側(方向))と称し、その反対側(方向)を-側(方向)(例、-X側(方向))と称す。また、本実施形態では、X方向を左右方向、+X方向を右方向、-X方向を左方向と称すこともある。また、本明細書において、数値等の範囲を「A~B」と記載した場合、「A以上、B以下」であることを意味する。
[実施形態]
図1は、本実施形態に係るマルチワイヤソー装置の概略図である。なお、本実施形態のマルチワイヤソー装置1において、後述するワイヤ列4及びワイヤ巻き付け機構以外の構成は、公知のマルチワイヤソー装置の構成を用いることができる。本実施形態のマルチワイヤソー装置1は、既存のマルチワイヤソー装置に適用可能である。したがって、本実施形態のマルチワイヤソー装置1は、低コストで容易に実施することができる。以下、本実施形態のマルチワイヤソー装置1の一例を説明する。
本実施形態に係るマルチワイヤソー装置1は、図1に示すように、複数のローラR(R1、R2)と、複数のローラR間にワイヤ3を複数回巻き付けて形成される複数のワイヤ列4(ワイヤ群)と、ワークWを保持するワーク保持部5と、を備える。マルチワイヤソー装置1は、切断対象であるワークW(例、円柱状の結晶)をワイヤ列4を用いて複数の薄板PL(例、ウエハ)に切断するワイヤソー装置である。
マルチワイヤソー装置1では、複数のローラR(R1、R2)間に、1本のワイヤ3を繰り返し巻きつけ、互いに所定の間隔で平行に並ぶ複数のワイヤ3からなるワイヤ列4を形成し、張力付与機構9により張力をかけ、このワイヤ列4を切刃とし、ワークWを切断する。ローラR(R1、R2)は、ガイドローラである。なお、図1では、ガイドローラが2つのローラR(R1、R2)である例を示しているが、ガイドローラは3つ以上のローラであってもよい。
ワークWの切断は、ワイヤ列4をワークWに対し相対的に移動させて、ワークWを切断方向(図ではZ方向)へ押し付けながら、各ワイヤ3(ワイヤ列4)を一方向あるいは往復方向へ走行させて行う。切刃としての切削能力はワイヤ3自身にはないため、マルチワイヤソー装置1による切断は、ワイヤ3とワークWが接触する部分に砥粒を含む加工液を供給する方式(遊離砥粒方式)や、予めワイヤ3に砥粒を固着させたものを用いる方式(固定砥粒方式)が用いられる。本実施形態のマルチワイヤソー装置1においては、上記の切断方式のいずれも用いることができる。
遊離砥粒方式では、砥粒(例えば、GC(SiC)、ダイヤ粉等の研磨剤)と、油又は水と、を混濁したスラリーをノズル6から噴射し、走行するワイヤ列4に付着させて共に加速し、ワークWに衝突させることで切削力を得る。
一方、固定砥粒方式では、ワイヤ3自身に切削能力を持たせる目的で、ワイヤ3の表面にダイヤモンド粒を電着などで固定する。この方式の場合、上記のスラリーは不要であるが、冷却液を供給しながらスライスする。冷却液は、主成分として水を含み、任意に、錆止め剤や切削油を少量添加してもよい。また、遊離砥粒方式のスラリー、及び、固定砥粒方式の冷却液は、それぞれ、タンクに保存され、循環式とする場合が多い。
いずれの砥粒方式においても、ワイヤ3は繰り返し使用を続けると、切断に伴い、ワイヤ3自身も磨耗して、いつかは破断してしまう。そこで、ワイヤ列4の往復走行量に差をつけて、常に新線リール7から一定量を引き出し、摩耗し余ったワイヤ3を順次、回収リール8に巻き取る。
マルチワイヤソー装置1は、ワークWを保持するワーク保持部5を備える。ワーク保持部5は、ワイヤ列4により、第1の間隔G1に対応する厚さを有する薄板PLと、第2の間隔G2に対応する厚さを有する薄板支持体PSとにワークWが切断されるようにワークWを保持する。ワーク保持部5は、例えばワークWを接着固定するスライスベッド5aと、ワークシート5bと、を備える。ワーク保持部5は、マルチワイヤソー装置1に対して脱着式になっており、マルチワイヤソー装置1からワーク保持部5を外し、個別に薄板PLの取り外しを行うことができる。
ワークWは、スライスベッド5a(台座)に接着固定される。スライスベッド5aは、セラミックやレジン、ガラス製である。また、スライスベッド5aは、ワークWを切断(スライス)後に得られる薄板PLを保持する役割を有する。
スライスベッド5aは、ワークシート5bに接着又はビス留め等で固定される。ワーク保持部5は、ワークシート5bを介して、サドル11にビス留め等で固定される。サドル11は、不図示の駆動機構により、ワイヤ列4に向けて(ワイヤ列4に近づく方向に)移動可能である。ワークWを保持したワーク保持部5が固定されたサドル11を、ワイヤ列4に向けて移動させることにより、ワークWは切断される。また、サドル11は、不図示の駆動機構により、ワイヤ列4から離れる方向に移動可能である。
スライス工程では、まず、ワークWを保持したワーク保持部5が固定されたサドル11をワイヤ列4に向けて移動させる。次いで、ワークWをワイヤ列4に押し当てて、ワークWの切断が開始される。次いで、さらに、サドル11を移動させて、ワイヤ列4がワークWを完全に通過し、スライスベッド5aを少し切り込んだ位置で切断が終了となる。
切断終了後、サドル11をワイヤ列4に対して離れる方向へ移動させ、ワイヤ列4から、切断後の薄板PLを引き抜く、又は、ワイヤ列4をワイヤカッターなどで切断、破棄した後、サドル11からワークWを保持したワーク保持部5(スライスベッド5a、ワークシート5b含む)ごと取り外す。取り外したワーク保持部5は、洗油等で洗浄した後、薄板PL(ウエハ)をスライスベッド5aから引き剥がす。なお、スライスベッド5aは一度の切断(スライス)で破棄される消耗品である。ワーク保持部5については、後にさらに説明する。
なお、切断(スライス)の方式は、特に限定されず、ダウンカット方式を用いてもよいし、アップカット方式を用いてもよい。ダウンカット方式は、相対的に、ワークWをワイヤ列4(切刃)に向かって下降する方向に移動して切断する方式である。一方、アップカット方式は、ワイヤ列4(切刃)を上方に備え、ワークWが上昇し切断する方式である。なお、アップカット方式では、ワークWの端材や欠片、異物を巻込みやすく、断線やワーク破壊などのトラブルが多いことから、現在では、ダウンカット方式(図1参照)が主流となっている。
図2は、従来のマルチワイヤソー装置におけるワイヤ列の一例を示す図である。従来のマルチワイヤソー装置では、ローラR(R1、R2)にはワイヤ3を巻き付けるための溝(図示せず)が等間隔で複数形成されている。この溝を用いてローラR(R1、R2)間にワイヤ3が複数回巻き付けられることにより、ワイヤ3が等間隔で平行にX方向に並ぶワイヤ列4xが形成される。
このワイヤ列4xに、ワークWを切断方向(図1ではZ方向)へ押し付けて切断することにより、図5に示すような、平行な薄板PLを得ることができる。切断して得られる薄板PLの厚さを変更するには、上記したローラR(R1、R2)に形成される溝と溝との間隔(ピッチとも呼ばれる)を変更すればよい。薄板PLの厚みは、ワークWの材料や用途によるが、例えば、0.1mm~数mm程度の間で調整可能である。
次に、本実施形態のマルチワイヤソー装置1におけるワイヤ列4について説明する。図3は、本実施形態に係るマルチワイヤソー装置1におけるワイヤ列4の一例を示す斜視図である。図4は、図3に示すワイヤ列4の上面図である。本実施形態では、図3及び図4に示すように、ワイヤ列4の構成を、従来の構成から変更している。本実施形態のワイヤ列4は、複数のワイヤ3が所定の間隔で並んで形成され、複数のワイヤ3における前記所定の間隔は、第1の間隔G1と、第1の間隔G1よりも大きな第2の間隔G2と、に設定されている。また、第2の間隔G2の数は、第1の間隔G1の数より少なく、かつ、1つ以上に設定される。また、第2の間隔G2の少なくとも一つは、第1の間隔G1と第1の間隔G1と間に挟まれる位置に配置される。
なお、図3及び図4では、3つの第2の間隔G2が設けられたワイヤ列4を示しているが、第2の間隔G2の数、位置、間隔の寸法等の構成は、図示の例に限定されるものではない。また、ワイヤ列4における第1の間隔G1が設けられる数、位置、間隔の寸法等の構成も、図示の例に限定されない。第1の間隔G1及び第2の間隔G2(薄板支持体PS)等の構成(寸法、数等)は、切断対象であるワークWの材質、大きさ、スライス後の厚み等により、適宜、調整することができる。
ワイヤ列4に設けられた第2の間隔G2の役割について説明する。本発明者は、従来のマルチワイヤソー装置を用いてワークWを切断(スライス)する際に生じる薄板PLの割れの発生を抑制するため、鋭意検討したところ、切断時における薄板PLの割れ(割れ不良)(以下、「切断時の割れ」と略すこともある)の生じる新たなメカニズムを発見した。以下、「切断時の割れ」のメカニズムの一例について説明する。
図5は、従来のマルチワイヤソー装置(ダウンカット方式)を用い、切断(スライス)が終了した時の薄板PLと薄板PLを固定するスライスベッド5aとを示す模式図である。図5は、切断後のワークW(薄板PL)を側面から俯瞰した図である。図5に示すように、切断後のワークW(薄板PL)は、スライスベッド5a(ワーク保持部5)から接着材を介し、吊下されている状態となる。なお、スライスベッド5aには、切断の際のワイヤ列4による切り込みにより凹部が複数形成されている。
図6は、薄板PLの厚みが薄い場合における、ワーク保持部5に固定された切断後の薄板PLの状態を示す図である。図6に示すように、薄板PLが薄い場合、複数の薄板PLが束を形成して複数の薄板PLからなる群GRをなす。この理由の一つとして、切断後の薄板PL間には、切断の際に用いられる砥粒を含むスラリー、又は、切削液が介在するため、薄板PLが薄い場合、表面張力により、薄板PL同士が吸着する力Fが働き、複数の薄板PL同士が群を形成すると考えられる。この吸着する力Fは、ワークWの切断中から生じ、ワークWの切断の終盤になるほど大きくなり、切断終了時に最大になると考えられる。
図7は、薄板PLの割れが生じる際における、切断後の薄板PLの状態を示す図である。図7に示すように、群GRを形成する薄板PLのうち、群GRの端部に存在する薄板PLが割れやすい。この原因の一つとして、薄板PLが薄くなる場合、薄板PLの剛性が低下し、弾性変形し易くなることや、切断が終了した後において、各薄板PLとワーク保持部5との接着面積が切断前と比較して小さくなることにより、接着剤の保持力が弱くなると考えられる。また、図7に示すように、薄板PLの群GRの端部の薄板PLは、特にしなり代が多く、吸着により、最も多く変形するため、薄板PLの群GRの外側に位置する薄板PLが、弾性変形の限界を超えて、割れてしまう場合が多いと考えられる。
そこで、本実施形態のマルチワイヤソー装置1では、上述の図3及び図4に示したワイヤ列4の構成としたことにより、上述の図6及び図7に示した「切断時の割れ」を抑制することができた。
図8は、本実施形態のマルチワイヤソー装置1により切断した薄板PLの状態を示す図である。本実施形態のマルチワイヤソー装置1によりワークWを切断すると、所定の厚さT1(図5参照)を有する複数の薄板PLと、所定の厚さT1よりも厚い厚さT2(図8参照)を有する薄板支持体PSと、を得ることができる。薄板PLは、第1の間隔G1に設定されたワイヤ列4の部分によって切断されることにより生成される。薄板支持体PSは、第2の間隔G2に設定されたワイヤ列4の部分によって切断されることにより生成される。
厚い薄板PLである薄板支持体PSは、スライスベッド5aに対する接着面が充分に大きいことに加えて、弾性変形が抑制された(例、弾性変形しない)厚みT2に調整されることで、切断終了時においても、垂直な姿勢を保つ。この薄板支持体PSは、薄板PL同士が吸着して束となった群GRをなす幅La(図8参照)を規制することができる。この構成により、群GRにおける端側に位置する薄板PL(図8に矢印で示す)であっても、一定の弾性変形量内で(所定値以下の弾性変形量に規制され)、割れに至らない。また、薄板支持体PSは、何らかの原因で薄板PLが倒れた場合に、薄板PLの倒れ(薄板PLの倒れの連鎖も含む)による薄板PLの割れ(損傷)も防止できる。
なお、薄板支持体PSの数、厚みT2、薄板支持体PS同士の間隔L3、すなわちワイヤ列4における第2の間隔G2の数、第2の間隔G2、第2の間隔G2同士の間隔L2は、切断対象のワークWの材質、大きさ、切断後の厚み等により、適宜、調整する。これらは、予備実験により、調整することができる。例えば、本実施形態において、ワークWの材質は、特に限定されないが、ワークWの材質が、砒化ガリウム、ガリウム燐、インジウム燐、ニオブ酸リチウム、タンタル酸リチウム、サファイア、及び、シリコンから選択される結晶材料である場合に好適である。中でも、ワークWの材質がニオブ酸リチウム及びタンタル酸リチウム等の脆性材料である場合、上記した薄板支持体PSにより顕著な効果を奏するため、好適である。また、薄板PLの厚さが薄い場合に、上記した薄板支持体PSにより顕著な効果を奏するため、好適である。なお、複数の第2の間隔G2がある場合、複数の第2の間隔G2の寸法及び第2の間隔G2同士の間隔L2は、同じでもよいし、異なっていてもよい。
具体的には、タンタル酸リチウムからなるワークWでは、ウエハ径が6インチの場合、薄板PL(ウエハ)の厚みが0.2mm~0.4mm、特に0.2mm~0.35mmである場合に、上記した薄板支持体PSにより顕著な効果を奏する。薄板PL(ウエハ)の厚みが上記範囲である場合、接着材の接着面積が小さいため保持力が小さく、かつ、ウエハ径が大きいため、少しの傾きで薄板PL(ウエハ)が倒れやすくなり、薄板PL(ウエハ)の割れが発生しやすくなる。また、この際の薄板支持体PS同士の間隔L3(第2の間隔G2同士の間隔L2)は、薄板PL(ウエハ)の厚みが0.2mmの場合、40mm~80mmであるのが好ましい。この範囲に薄板支持体PS同士の間隔L3(第2の間隔G2同士の間隔L2)を設けることで、薄板PL(ウエハ)の割れを効果的に抑制できる。なお、ウエハ割れを防止するには、薄板支持体PS同士の間隔L3(第2の間隔G2同士の間隔L2)を40mm以上にすることが好ましい。薄板PL(ウエハ)の厚みが0.3mmの場合は、ウエハの厚みが0.2mmに対し増加する分、接着剤の接着力も向上するため、薄板支持体PS同士の間隔L3(第2の間隔G2同士の間隔L2)は、薄板PL(ウエハ)の厚みが0.2mmの時の条件より広く設定することができ、例えば、50mm~90mmとすることができる。
薄板支持体PSの厚さT2は、3mm以上であるのが好ましい。薄板支持体PSの厚さT22は、複数枚の薄板PLが倒れた時に支えられる厚みであるのが好ましい。薄板支持体PSの厚さT2が3mm未満の場合、複数枚の薄板PLを支えることが困難な場合もある。また、薄板支持体PSの厚さT2は3mmを超えてもよいが、薄板支持体PSの部分は、所望の厚みの薄板PLではないため、ロスとなるので、薄板支持体PSの厚さT2は少ないほうが好ましい。よって、薄板支持体PSの厚さT2は、3mmであるのがより好ましい。
第2の間隔G2を設置する方法としては、上記した所定のピッチ(間隔)で複数の溝が形成されたローラR(R1、R2、ガイドローラ)により、第2の間隔G2を設定する部分に該当する溝のワイヤ3を設置しないことで設定できる。例えば、ローラR1、R2(ガイドローラ)の溝の間隔(ピッチ)が0.4mmであり、第2の間隔G2(の寸法)を3.2mmとする場合、溝を8ピッチ分を空けて、次の溝にワイヤ3を設置することで第2の間隔G2を設定することができる。この際のワイヤ3の設置は、手動で行ってもよいし、自動でワイヤ3を複数のローラR(R1、R2)間に巻き付けてワイヤ列4を形成するワイヤ巻き付け機構を用いて実施してもよい。すなわち、本実施形態のマルチワイヤソー装置1は、ワイヤ3をローラR1、R2間に巻き付けてワイヤ列4を形成するワイヤ巻き付け機構を任意に備えてもよい。ワイヤ巻き付け機構を備える場合、容易にワイヤ列4を形成することができる。例えば、このようなワイヤ巻き付け機構は、公知のワイヤ巻き付け機構(特開2014-087901号公報に記載される方法(装置)等)を用いてワイヤの間隔を調整することにより実現することができる。例えば、公知のワイヤ巻き付け機構に用いられる制御プログラムにおけるワイヤ3の間隔を調整する制御の部分を改変することにより実現することができる。
なお、マルチワイヤソー装置1において、ワイヤ例4が、連続して配置される所定の数の第1の間隔G1を挟んで、第2の間隔G2が複数配置される構成としてもよい。また、マルチワイヤソー装置1において、ワイヤ列4が、連続して配置される一定の数の第1の間隔G1を挟んで、第2の間隔G2が複数配置される構成としてもよい。なお、第2の間隔G2同士に挟まれる、上記の所定の数の第1の間隔G1が複数存在する場合、第1の間隔G1の所定の数は、同一でなくてもよい。
以上のように、本実施形態のマルチワイヤソー装置1は、複数のワイヤ3が所定の間隔で並ぶワイヤ列4によりワークWを複数の薄板PLに切断するマルチワイヤソー装置であって、複数のローラR1、R2と、複数のローラR1、R2間にワイヤ3を複数回巻き付けて形成されるワイヤ列4と、ワークWを保持するワーク保持部5と、を備え、ワイヤ列4は、第1の間隔G1と、第1の間隔G1よりも大きな第2の間隔G2と、で設けられ、第2の間隔G2の数は、第1の間隔G1の数より少なく、かつ、1つ以上であり、第2の間隔G2の少なくとも一つは、第1の間隔G1と第1の間隔G1と間に挟まれる位置に配置され、ワーク保持部5は、ワイヤ列4により、第1の間隔G1に対応する厚さを有する薄板PLと、第2の間隔G2に対応する厚さTを有する薄板支持体PSとにワークWが切断されるようにワークWを保持する。なお、上記以外の構成は、任意の構成であり、あってもよいし、なくてもよい。本構成によれば、マルチワイヤソー装置1を用いてワークWを切断して薄板PLを製造する際に生じるワークWの割れ(切断時の割れ)を抑制することができる。特に、ワークWが脆性材料であり、厚さが薄い薄板PLを製造する際におけるワークWの割れを抑制することができる。
次に、本実施形態の薄板の製造方法及びワークの切断方法について説明する。なお、本実施形態の薄板の製造方法において、上記した本実施形態のマルチワイヤソー装置1の実施形態と同様の構成については、同じ符号を付してその説明を適宜省略又は簡略化する。また、本実施形態の薄板の製造方法において、上記した本実施形態のマルチワイヤソー装置1の説明の構成は、本実施形態の薄板の製造方法及びワークの切断方法のいずれにも適用することができる。また、本実施形態の薄板の製造方法及びワークの切断方法の構成は、本実施形態のマルチワイヤソー装置1、薄板の製造方法及びワークの切断方法のいずれにも適用することができる。
本実施形態の薄板の製造方法は、所定の間隔で並ぶワイヤ列4を有するマルチワイヤソー装置1を用いて、ワークWを切断して、複数の薄板PLを製造する方法であって、ワイヤ列4の間隔が調整されたマルチワイヤソー装置1を用いてワークWを切断し、所定の厚さを有する複数の薄板PLと、所定の厚さよりも厚い厚さTを有する薄板支持体PSと、を得ること、を備え、薄板支持体PSの数は、複数の薄板PLの数よりも少なく、かつ、1つ以上であり、薄板支持体PSの少なくとも一つは、複数の薄板PLと複数の薄板PLと間に挟まれて配置される。なお、上記以外の構成は、任意の構成であり、あってもよいし、なくてもよい。本構成によれば、マルチワイヤソー装置を用いてワークを切断して薄板を製造する際に生じるワークの割れを抑制することができる。特に、ワークが脆性材料であり、厚さが薄い薄板PLを製造する際におけるワークWの割れを抑制することができる。本実施形態の薄板の製造方法は、上記したマルチワイヤソー装置1を用いて実施することができる。
また、本実施形態のワークの切断方法は、複数のローラR(R1,R2)に巻き付けられた複数のワイヤ3が所定の間隔で並ぶワイヤ列4を有するマルチワイヤソー装置1を用いて、ワークWを複数の薄板PLに切断する切断方法であって、ワイヤ3を、ローラR(R1,R2)の軸方向において、第1の間隔G1と、第1の間隔G1よりも大きな第2の間隔G2とで、複数のローラR(R1,R2)に巻き付けることと、ワークWを、巻き付けられたワイヤ3により、第1の間隔G1に対応する厚さを有する薄板PLと、第2の間隔に対応する厚さを有する薄板支持体PSと、に切断することと、を備え、ワイヤ3(ワイヤ列4)は、第2の間隔G2が配置される数が、第1の間隔G1が配置される数より少なく、かつ、1以上であり、第2の間隔G2の少なくとも一つは、第1の間隔G1と第1の間隔G1との間に挟まれて配置されるように巻き付けられる。なお、上記以外の構成は、任意の構成であり、あってもよいし、なくてもよい。本構成によれば、マルチワイヤソー装置を用いてワークWを切断して薄板を製造する際に生じるワークWの割れを抑制することができる。特に、ワークWが脆性材料であり、厚さが薄い薄板PLを製造する際におけるワークWの割れを抑制することができる。本実施形態のワークの切断方法は、上記したマルチワイヤソー装置1を用いて実施することができる。
なお、マルチワイヤソー装置1、薄板の製造方法、及びワークの切断方法において、上記した薄板支持体PSは、所望の厚さの薄板PLではないため、見かけ上、歩留まり的には、不利な方向へ作用する場合もあるが、切断時の割れ防止の効果が大きいため、その不利を補って余りある。
加えて、薄板支持体PSは、別途収集保管しておき、積層接着し、インゴット状へ整形したうえで、再度、マルチワイヤソー装置1により切断することで、多くを薄板PLとして回収可能である。すなわち、マルチワイヤソー装置1、薄板の製造方法、及びワークの切断方法において、ワークWは薄板支持体PSを含んでもよい。
また、ワークWをマルチワイヤソー装置1で切断前に、薄板支持体PSに該当する部分にダミーワークを用いる方法を実施すれば、薄板支持体PSの部分の歩留まりをより改善できる。すなわち、マルチワイヤソー装置1、薄板の製造方法、及びワークの切断方法において、ワークWは、薄板支持体PSとして切断される部分に、ダミーワークを含む構成としてもよい。また、ダミーワークは、薄板支持体PSを含んでもよい。なお、ダミーワークの材質は、薄板PLが形成される部分と同様の材質でもよいし、異なっていてもよい。
以下、本発明の実施例について具体的に説明する。なお、本発明は実施例によって何ら限定されるものではない。
[実施例1~3、比較例1]
本実施形態のマルチワイヤソー装置1、薄板の製造方法、及びワークの切断方法を用いて、直径6インチのタンタル酸リチウムの単結晶のワークWを切断し、複数の薄板PL、薄板支持体PS(実施例のみ)を得た。実施例1~3、比較例1における、製造条件、歩留まり、割れ不良等の集計結果を表1に示す。
Figure 0007302295000001
以上の実施例及び比較例の結果から、本実施形態のマルチワイヤソー装置1、薄板の製造方法、及びワークの切断方法によれば、マルチワイヤソー装置1を用いてワークWを切断して薄板PLを製造する際に生じるワークWの割れを抑制することができ、特に、ワークWが脆性材料であり、厚さが薄い薄板PLを製造する際におけるワークWの割れを抑制することができることが確認される。
なお、本発明の技術範囲は、上述の実施形態などで説明した態様に限定されるものではない。上述の実施形態などで説明した要件の1つ以上は、省略されることがある。また、上述の実施形態などで説明した要件は、適宜組み合わせることができる。また、上述の実施形態などで説明した要件は、本発明の要旨を逸脱しない範囲において各部材の改良、構造の変更を行ってもよい。また、法令で許容される限りにおいて、上述の実施形態などで引用した全ての文献の開示を援用して本文の記載の一部とする。
例えば、上述の実施形態では、タンタル酸リチウムの材質のワークWにおいて切断後の厚さが0.30mm未満の薄板PLについて中心に説明したが、上記実施形態のマルチワイヤソー装置1、薄板の製造方法、及びワークの切断方法において、ワークWの材質、厚みは、特に限定されず、任意である。
例えば、上述の実施形態では、ワークWの材質、割れやすさ、大きさ、厚みのバランスに関する一例を説明したが、上記実施形態のマルチワイヤソー装置1、薄板の製造方法、及びワークの切断方法の技術的思想が適用可能な範囲は、上述の実施形態の説明の範囲、及び、実施例の条件等に限定されず、上記以外においても適用可能であることは明白である。
1・・・マルチワイヤソー装置
3・・・ワイヤ
4・・・ワイヤ列
4x・・・ワイヤ列(従来)
5・・・ワーク保持部
5a・・・スライスベッド
5b・・・ワークシート
6・・・ノズル
7・・・新線リール
8・・・回収リール
11・・・サドル
G1・・・第1の間隔
G2・・・第2の間隔
GR・・・薄板の群
L2・・・第2の間隔と第2の間隔との間隔
L3・・・薄板支持体と薄板支持体との間隔
La・・・群を形成する薄板の幅
PL・・・薄板
PS・・・薄板支持体
R、R1、R2・・・ローラ
T1・・・薄板の厚み
T2・・・薄板支持体の厚み
W・・・ワーク

Claims (9)

  1. 所定の間隔で並ぶワイヤ列を有するマルチワイヤソー装置を用いて、ワークを切断して、複数の薄板を製造する方法であって、
    前記ワイヤ列の間隔が調整された前記マルチワイヤソー装置を用いて前記ワークを切断し、所定の厚さを有する前記複数の薄板と、前記所定の厚さよりも厚い厚さを有する薄板支持体と、を得ること、を備え、
    前記ワークは、円柱状の単結晶であり、
    前記薄板支持体の数は、前記複数の薄板の数よりも少なく、かつ、1つ以上であり、
    前記薄板支持体の少なくとも一つは、前記複数の薄板と前記複数の薄板と間に挟まれて配置される、薄板の製造方法。
  2. 前記薄板支持体は、前記複数の薄板を挟んで、所定の間隔で複数配置される、請求項1に記載の薄板の製造方法。
  3. 前記ワークは、砒化ガリウム、ガリウム燐、インジウム燐、ニオブ酸リチウム、タンタル酸リチウム、サファイア、及び、シリコンから選択される少なくとも1つの結晶材料である、請求項1又は請求項2に記載の薄板の製造方法。
  4. 前記薄板支持体の厚さは、3mm以上である、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の薄板の製造方法。
  5. 前記ワークは、前記薄板支持体として切断される部分に、ダミーワークを含む、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の薄板の製造方法。
  6. 請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の薄板の製造方法に用いられる、複数のワイヤが所定の間隔で並ぶワイヤ列によりワークを複数の薄板に切断するマルチワイヤソー装置であって、
    複数のローラと、前記複数のローラ間に前記ワイヤを複数回巻き付けて形成される前記ワイヤ列と、前記ワークを保持するワーク保持部と、を備え、
    前記ワイヤ列は、第1の間隔と、前記第1の間隔よりも大きな第2の間隔と、で設けられ、
    前記第2の間隔の数は、前記第1の間隔の数より少なく、かつ、1つ以上であり、
    前記第2の間隔の少なくとも一つは、前記第1の間隔と前記第1の間隔と間に挟まれる位置に配置され、
    前記ワーク保持部は、前記ワイヤ列により、前記第1の間隔に対応する厚さを有する薄板と、前記第2の間隔に対応する厚さを有する薄板支持体とに前記ワークが切断されるように前記ワークを保持する、マルチワイヤソー装置。
  7. 前記ワイヤ例は、連続して配置される所定の数の前記第1の間隔を挟んで、前記第2の間隔が複数配置される、請求項6に記載のマルチワイヤソー装置。
  8. 前記ワイヤを前記ローラ間に巻き付けて前記ワイヤ列を形成するワイヤ巻き付け機構を備える、請求項6又は請求項7に記載のマルチワイヤソー装置。
  9. 複数のローラに巻き付けられたワイヤを有するマルチワイヤソー装置を用いて、ワークを複数の薄板に切断する切断方法であって、
    前記ワイヤを、前記ローラの軸方向において、第1の間隔と、前記第1の間隔よりも大きな第2の間隔とで、複数の前記ローラに巻き付けることと、
    前記ワークを、巻き付けられた前記ワイヤにより、前記第1の間隔に対応する厚さを有する薄板と、前記第2の間隔に対応する厚さを有する薄板支持体とに切断することと、を備え、
    前記ワークは、円柱状の単結晶であり、
    前記ワイヤは、前記第2の間隔が配置される数が、前記第1の間隔が配置される数より少なく、かつ、1以上であり、
    前記第2の間隔の少なくとも一つは、前記第1の間隔と前記第1の間隔との間に挟まれて配置されるように巻き付けられる、ワークの切断方法。
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