JP2006224266A - ワイヤソーを用いたインゴット切断方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】インゴット切断時のカーフロスを低減させ、またウェーハ面粗さを小さくすることでラッピング量が減少し、ウェーハ表面のナノトポグラフィも低減可能なワイヤソーを用いたインゴット切断方法を提供する。
【解決手段】ワイヤ11aを直径140μmとし、砥粒中の遊離砥粒を#1500とし、かつ(1)式の0.05<a/R<0.1と、(2)式のb/R<0.2を満足させるようにしたので、インゴット切断時のカーフロスが低減され、かつシリコンウェーハの面粗さも小さくできる。その結果、後工程のラッピング時に、シリコンウェーハの表裏面のラッピング量を減少できる。しかも、ウェーハ表面のナノトポグラフィも低減できる。
【選択図】図1
【解決手段】ワイヤ11aを直径140μmとし、砥粒中の遊離砥粒を#1500とし、かつ(1)式の0.05<a/R<0.1と、(2)式のb/R<0.2を満足させるようにしたので、インゴット切断時のカーフロスが低減され、かつシリコンウェーハの面粗さも小さくできる。その結果、後工程のラッピング時に、シリコンウェーハの表裏面のラッピング量を減少できる。しかも、ウェーハ表面のナノトポグラフィも低減できる。
【選択図】図1
Description
この発明はワイヤソーを用いたインゴット切断方法、詳しくはワイヤソーを利用して、半導体インゴットから多数枚の半導体ウェーハを切断するワイヤソーを用いたインゴット切断方法の改良に関する。
ワイヤソーは、ワイヤ繰出し用のボビンから導出されたインゴット切断用のワイヤを、複数本のグルーブローラ(溝ローラ)にコイル状に巻き架け、これをワイヤ巻取り用のボビンに巻き取るように構成されている。
グルーブローラは、円筒形状の台金の外周面を所定厚さのライニング材(ウレタンゴム)で被覆し、このライニング材の外周面に多数条のワイヤ溝を刻設している。グルーブローラは、その軸線方向の両端部に配置された1対の軸受により回転自在に支持されている。
グルーブローラは、円筒形状の台金の外周面を所定厚さのライニング材(ウレタンゴム)で被覆し、このライニング材の外周面に多数条のワイヤ溝を刻設している。グルーブローラは、その軸線方向の両端部に配置された1対の軸受により回転自在に支持されている。
インゴット切断時には、ラッピングオイルに遊離砥粒を含ませたスラリー状の砥液を供給しながら、グルーブローラ間を高速度で往復走行中のワイヤ列に対して、例えば単結晶シリコンインゴットを相対的に押し付ける。その結果、遊離砥粒の研削作用により、インゴットが多数枚のシリコンウェーハに切断される。
従来、インゴット切断用のワイヤとしては、直径190μm以上(例えば190〜200μm程度)の高張力鋼鉄線が採用されていた。また、砥液に混入された遊離砥粒としては、#1000以下(例えば#600(平均粒径28μm))という大粒のものが採用されていた。
特開平6−155450号公報
従来、インゴット切断用のワイヤとしては、直径190μm以上(例えば190〜200μm程度)の高張力鋼鉄線が採用されていた。また、砥液に混入された遊離砥粒としては、#1000以下(例えば#600(平均粒径28μm))という大粒のものが採用されていた。
このように、特許文献1によれば、インゴット切断用のワイヤとして直径190μm以上のワイヤを採用し、砥液中の遊離砥粒として#1000以下の大粒の砥粒を採用していた。これにより、インゴット切断時において、単結晶シリコンインゴットのカーフロス(切断代)が300μm以上と大きくなっていた。その結果、1本の単結晶シリコンインゴットから採取されるシリコンウェーハの枚数が減少していた。
しかも、シリコンウェーハの表裏面は粗くなり、後工程のラッピング工程でのラッピング量も増加していた。さらに、シリコンウェーハの表面において、ナノメータ単位の微細な凹凸であるナノトポグラフィが大きくなっていた。このナノトポグラフィが増大すると、出荷先のデバイス工場で行われるシリコンウェーハへのCMP(Chemical Mechanical Polishing)工程などで、ウェーハ面内の研磨取り代がばらつくといった問題が発生するおそれがあった。
そこで、発明者は鋭意研究の結果、ワイヤソーによる半導体インゴットの切断工程(スライス工程)において、ワイヤの細線化と砥液中の遊離砥粒の細粒化とを同時に図れば、インゴット切断時のカーフロスを、効果的に低減させることができることを知見し、この発明を完成させた。このカーフロスの低減により、ウェーハ面粗さが改善され、ラッピング量が減少するとともに、ウェーハ表面のナノトポグラフィも低減されることが判明した。
この発明は、インゴットの切削性が良好で、インゴット切断時のワイヤのダメージが小さく、かつインゴット切断時のカーフロスを低減可能であるとともに、ウェーハ面粗さを小さくすることができ、これによりラッピング量を減少させ、しかもウェーハ表面のナノトポグラフィを低減させることができるワイヤソーを用いたインゴット切断方法を提供することを目的としている。
請求項1に記載の発明は、複数本のグルーブローラ間に架け渡されたワイヤを往復走行させながら、#1500以上の遊離砥粒を含む砥液を供給しつつ、半導体インゴットをワイヤに相対的に押し付けて、前記半導体インゴットを切断するワイヤソーを用いたインゴット切断方法であって、次の(1)式と(2)式とを共に満足させるインゴット切断方法である。
0.05<a/R<0.1 (1)
b/R<0.2 (2)
a;砥粒分布における砥粒50%点での粒径
b;砥粒分布における砥粒3%点での粒径
R;ワイヤの直径とする。
0.05<a/R<0.1 (1)
b/R<0.2 (2)
a;砥粒分布における砥粒50%点での粒径
b;砥粒分布における砥粒3%点での粒径
R;ワイヤの直径とする。
請求項1に記載のワイヤソーによれば、ワイヤの直径は150μm以下に細線化する(表1)と同時に、遊離砥粒も#1500以上(平均粒径8μm以下)と細粒化し、かつ上記(1)式と(2)式とを共に満足させるようにしたので、インゴットの切削性が良好で、インゴット切断時のワイヤのダメージも小さく、かつインゴット切断時のカーフロスを低減させることができる。
しかも、このような条件でインゴットを切断するので、半導体ウェーハの面粗さ(ウェーハ表裏面の粗さ)を小さくすることができる。ウェーハ面粗さが小さくなれば、後工程のラッピング時に、半導体ウェーハのラッピング量を減少させることができる。しかも、ウェーハ表面のナノトポグラフィも低減される。これにより、出荷先のデバイス工場で行われる半導体ウェーハへのCMP工程などで、ウェーハ面内の研磨取り代にばらつきを原因として生じる膜残りなどを防止することができる。
(1)式は、ワイヤに付着する遊離砥粒の平均粒径がワイヤに対して大きすぎても、小さすぎてもインゴットの切削性が低下するために規定している。
また、(2)式は、遊離砥粒の砥粒分布において、大きい砥粒がある程度は存在しないとインゴットの切削性は低下するものの、過剰に大きい遊離砥粒が存在すれば、インゴット切断中のワイヤのダメージが大きくなり、偏摩耗およびワイヤの断線が発生し易くなるために規定している。
(1)式は、ワイヤに付着する遊離砥粒の平均粒径がワイヤに対して大きすぎても、小さすぎてもインゴットの切削性が低下するために規定している。
また、(2)式は、遊離砥粒の砥粒分布において、大きい砥粒がある程度は存在しないとインゴットの切削性は低下するものの、過剰に大きい遊離砥粒が存在すれば、インゴット切断中のワイヤのダメージが大きくなり、偏摩耗およびワイヤの断線が発生し易くなるために規定している。
半導体インゴットの素材としては、例えば単結晶シリコン、多結晶シリコン、ガリウム砒素などを採用するこができる。よって、得られる半導体ウェーハは、例えば単結晶シリコンウェーハ、多結晶シリコンウェーハ、ガリウム砒素ウェーハとなる。
半導体インゴットの直径は限定されない。例えば、直径200mm、直径300mmなどでもよい。
半導体インゴットのワイヤによる切断には、例えば、インゴットを下降させてワイヤに押し付け、これを切断する方式を採用してもよい。その他、インゴットを上昇させてワイヤに押し付け、これを切断する方式を採用してもよい。
半導体インゴットの直径は限定されない。例えば、直径200mm、直径300mmなどでもよい。
半導体インゴットのワイヤによる切断には、例えば、インゴットを下降させてワイヤに押し付け、これを切断する方式を採用してもよい。その他、インゴットを上昇させてワイヤに押し付け、これを切断する方式を採用してもよい。
グルーブローラとしては、例えば円筒形状の台金の外周面を所定厚さのライニング材(ウレタンゴムなど)により被覆し、ライニング材の外周面に多数条のワイヤ溝を刻設したものを採用することができる。グルーブローラは、その軸線方向の両端部に配置された1対の軸受により回転自在に支持される。
グルーブローラの使用本数は、2本以上であれば限定されない。例えば、3本または4本以上でもよい。
グルーブローラの使用本数は、2本以上であれば限定されない。例えば、3本または4本以上でもよい。
ワイヤの素材としては、例えば高張力鋼鉄線を採用することができる。
ワイヤの直径は、150μm以下である(表1)。
ワイヤの直径は、150μm以下である(表1)。
砥液は、ラッピングオイルに遊離砥粒を含ませたスラリー状の液体である。
砥液の供給量は、80〜120リットル/分である。80リットル/分未満ではスラリーの膜切れが発生し、ワイヤにスラリーがのらない。また、120リットル/分を超えると、装置的な問題でスラリーの循環使用が間に合わず、スラリーの供給異常が生じる。砥液の好ましい供給量は、100リットル/分程度である。
砥液の供給量は、80〜120リットル/分である。80リットル/分未満ではスラリーの膜切れが発生し、ワイヤにスラリーがのらない。また、120リットル/分を超えると、装置的な問題でスラリーの循環使用が間に合わず、スラリーの供給異常が生じる。砥液の好ましい供給量は、100リットル/分程度である。
遊離砥粒としては、例えば炭化珪素質砥粒(GC砥粒)、シリカ砥粒、アルミナ砥粒またはダイヤモンド砥粒などを採用することができる。
この発明では、遊離砥粒の番手(砥粒の大きさ)を#1500以上としている。#1500(平均粒径8μm)未満では加工ダメージが大きくなり、切断後の粗さが大きく、次のラップ工程での取り代を減らすことができない。遊離砥粒の好ましい番手は#1500(平均粒径8μm)〜#2000(平均粒径6μm)である。この範囲であれば、切断後のGBIR、表面粗さの向上ならびに加工条件の変更などを原因としたウェーハの生産性の低下が発生しないというさらに好適な効果が得られる。
この発明では、遊離砥粒の番手(砥粒の大きさ)を#1500以上としている。#1500(平均粒径8μm)未満では加工ダメージが大きくなり、切断後の粗さが大きく、次のラップ工程での取り代を減らすことができない。遊離砥粒の好ましい番手は#1500(平均粒径8μm)〜#2000(平均粒径6μm)である。この範囲であれば、切断後のGBIR、表面粗さの向上ならびに加工条件の変更などを原因としたウェーハの生産性の低下が発生しないというさらに好適な効果が得られる。
砥液中の遊離砥粒の添加量は、ラッピングオイル100リットルに対して、90〜120kgである。90kg未満では、切断に必要な比重、粘度が得られず切削性不足による精度悪化ならびに断線が生じる。また、120kgを超えると比重、粘度が高くなりすぎ、切断中のウェーハ間のすきまにスラリーが入り難い。砥液中の好ましい遊離砥粒の添加量は、100〜110kgである。
請求項2に記載の発明は、前記半導体インゴットを、直径140μmの前記ワイヤを往復走行させながら、#1500の前記遊離砥粒を含む砥液を供給しつつ切断する請求項1に記載のワイヤソーを用いたインゴット切断方法である。
この発明によれば、遊離砥粒を#1500以上とし、かつ上記(1)式と(2)式とを共に満足させるようにしたので、インゴットの切削性が良好で、インゴット切断時のワイヤのダメージも小さく、インゴット切断時のカーフロスを低減させることができる。しかも、半導体ウェーハの面粗さを改善することができ、これにより半導体ウェーハのラッピング量を減少させることができ、ウェーハ表面のナノトポグラフィも低減可能となる。
以下、この発明の実施例を具体的に説明する。
図1において、10はワイヤソーで、このワイヤソー10は、CZ法により引き上げられた単結晶シリコン製の8インチウェーハ用のインゴット(半導体インゴット)Iを多数枚のシリコンウェーハにワイヤ切断する装置である。
ワイヤソー10は、図1において正面視して逆三角形状に配置された3本のグルーブローラ12A,12B,12Cを有している。これらのグルーブローラ12A,12B,12C間には、1本のワイヤ11aが互いに平行かつ一定ピッチで巻き架けられている。これによって、グルーブローラ12A,12B,12C間にワイヤ列11が現出される。ワイヤ列11は、3本のグルーブローラ12A,12B,12C間で駆動モータにより往復走行される。上側に配置された2本のグルーブローラ12A,12Bの中間が、インゴットIを切断するワイヤ列11のインゴット切断位置a1である。
ワイヤソー10は、図1において正面視して逆三角形状に配置された3本のグルーブローラ12A,12B,12Cを有している。これらのグルーブローラ12A,12B,12C間には、1本のワイヤ11aが互いに平行かつ一定ピッチで巻き架けられている。これによって、グルーブローラ12A,12B,12C間にワイヤ列11が現出される。ワイヤ列11は、3本のグルーブローラ12A,12B,12C間で駆動モータにより往復走行される。上側に配置された2本のグルーブローラ12A,12Bの中間が、インゴットIを切断するワイヤ列11のインゴット切断位置a1である。
インゴットIは、カーボンベッド19aを介して、インゴットIを昇降させる昇降台19の下面に固定されている。インゴット切断位置a1の両側の上方には、砥液をワイヤ列11上に連続供給する砥液供給部が、例えば一対配設されている。
これらのグルーブローラ12A,12B,12Cは円筒形状で、これらの外周面は、ウレタンゴムからなる所定厚さのライニング材12a,12b,12cにより、それぞれ被覆されている。各ライニング材12a,12b,12cの外周面には、ワイヤ溝12dがそれぞれ刻設されている(図1(b)に詳示する)。
これらのグルーブローラ12A,12B,12Cは円筒形状で、これらの外周面は、ウレタンゴムからなる所定厚さのライニング材12a,12b,12cにより、それぞれ被覆されている。各ライニング材12a,12b,12cの外周面には、ワイヤ溝12dがそれぞれ刻設されている(図1(b)に詳示する)。
ワイヤ11aは、直径140μmの高張力鋼鉄線である。このワイヤ11aは、繰出し装置13のボビン20から導出され、供給側のガイドローラを介して、これらのグルーブローラ12A,12B,12Cに架け渡された後、導出側のガイドローラを介して、巻取り装置15のボビン21に巻き取られる。ボビン20,21の各回転軸は、駆動モータ16,17の対応する出力軸にそれぞれ連結されている。
各駆動モータ16,17を同期して駆動すると、一対の軸受18に軸支された各ボビン20,21が、その軸線を中心として図1(a)における時計回り方向または反時計回り方向に回転して、ワイヤ11aが往復走行する。
各駆動モータ16,17を同期して駆動すると、一対の軸受18に軸支された各ボビン20,21が、その軸線を中心として図1(a)における時計回り方向または反時計回り方向に回転して、ワイヤ11aが往復走行する。
図1(a)および図2に示すように、ワイヤソー10では、砥液を100リットル/分で砥液供給部よりワイヤ列11に供給しながら、駆動モータ16により繰出し装置13のボビン20を回転し、ワイヤ11aをグルーブローラ12A,12B,12Cに供給する。これと同時に、駆動モータ17により巻取り装置15のボビン21を回転し、グルーブローラ12A,12B,12Cを介して、ワイヤ11aを巻き取る。その際、一定の周期で各ボビン20,21の回転方向を変更し、ワイヤ11aを往復走行させる。砥液としては、ラッピングオイル100リットルに対して、#1500の遊離砥粒(GC砥粒)b1を110kg含んだものを採用している。
ワイヤ列11の往復走行中、上方からインゴットIをワイヤ列11へ押し付ける。これにより、インゴットIが多数枚のシリコンウェーハに切断される。すなわち、ワイヤ列11の往復走行時に、砥液中の遊離砥粒b1がワイヤ列11のワイヤ11aにより切断溝の底部に擦り付けられ、その底部が研削作用により徐々に削り取られる。そして、最終的に直径8インチの多数枚のシリコンウェーハに切断される。
ワイヤ列11の往復走行中、上方からインゴットIをワイヤ列11へ押し付ける。これにより、インゴットIが多数枚のシリコンウェーハに切断される。すなわち、ワイヤ列11の往復走行時に、砥液中の遊離砥粒b1がワイヤ列11のワイヤ11aにより切断溝の底部に擦り付けられ、その底部が研削作用により徐々に削り取られる。そして、最終的に直径8インチの多数枚のシリコンウェーハに切断される。
ここでは、ワイヤ11aの直径と遊離砥粒b1の粒径との関係を、次の(1)式(判定1)と、(2)式(判定2)とにより規定している。
0.05<a/R<0.1 (1)
b/R<0.2 (2)
このとき、aは遊離砥粒b1の砥粒分布における砥粒50%点での粒径、bは遊離砥粒b1の砥粒分布における砥粒3%点での粒径、Rはワイヤ11aの直径である。
また、(1)式は、ワイヤ11aに付着する遊離砥粒b1の平均粒径がワイヤ11aに対して大きすぎても、小さすぎてもインゴットIの切削性が低下するのを防ぐための規定である。
また、(2)式は、遊離砥粒b1の砥粒分布において、大きい遊離砥粒b1がある程度は存在しないとインゴットIの切削性は低下するものの、過剰に大きい遊離砥粒b1が存在すると、インゴット切断中のワイヤ11aに対するダメージが大きくなり、偏摩耗およびワイヤ11aの断線が発生し易くなるのを防ぐための規定である。
0.05<a/R<0.1 (1)
b/R<0.2 (2)
このとき、aは遊離砥粒b1の砥粒分布における砥粒50%点での粒径、bは遊離砥粒b1の砥粒分布における砥粒3%点での粒径、Rはワイヤ11aの直径である。
また、(1)式は、ワイヤ11aに付着する遊離砥粒b1の平均粒径がワイヤ11aに対して大きすぎても、小さすぎてもインゴットIの切削性が低下するのを防ぐための規定である。
また、(2)式は、遊離砥粒b1の砥粒分布において、大きい遊離砥粒b1がある程度は存在しないとインゴットIの切削性は低下するものの、過剰に大きい遊離砥粒b1が存在すると、インゴット切断中のワイヤ11aに対するダメージが大きくなり、偏摩耗およびワイヤ11aの断線が発生し易くなるのを防ぐための規定である。
実際に、ワイヤ11aの直径(120〜200μm)と、遊離砥粒b1の粒径(♯800〜♯2000)との関係を検査した結果を表1に示す。表1中、総合とは総合判定を示し、総合の○は、判定1と判定2とにおいて、共に○の評価が得られた場合を示す。また、総合の×は、判定1だけが○、判定2だけが○、判定1と判定2とが共に×の場合を示す。
表1から明らかなように、ワイヤ11aに関して、従来は直径160μmであったものを直径140μmまで20μm細線化し、かつ遊離砥粒b1については、従来が#1000(平均粒径11.5μm)だったものを#1500(平均粒径8μm)に変更した。これにより、遊離砥粒b1は、平均粒径で3.5μm細粒化された。その結果、インゴットIの切断性を維持することで、細いワイヤ11aを使用してもインゴットIの切断時間が従来に比べてそれほど長くならず、かつワイヤ11aのダメージも小さく、ワイヤ11aが断線することなくインゴットIを切断することができた。しかも、インゴット切断時のカーフロスC(図2)は、従来190μmであったものが160μmへと、30μmも低減された。
その後、シリコンウェーハに対して、面取り、ラッピング、エッチング、鏡面研磨の各工程が順次施される。
このうち、ラッピング工程では、シリコンウェーハを互いに平行なラップ定盤の間に配置し、遊離砥粒と分散剤と水との混合物であるラップ液を、ラップ定盤とシリコンウェーハとの間に流し込む。そして、加圧下で回転、すり合わせることにより、シリコンウェーハの表裏両面をラッピングする。その結果、スライス加工により発生したウェーハ毎の厚さのばらつき、および、ウェーハ面内での厚さのばらつきをそれぞれ抑え、さらには加工ダメージ層を除去することができる。
このうち、ラッピング工程では、シリコンウェーハを互いに平行なラップ定盤の間に配置し、遊離砥粒と分散剤と水との混合物であるラップ液を、ラップ定盤とシリコンウェーハとの間に流し込む。そして、加圧下で回転、すり合わせることにより、シリコンウェーハの表裏両面をラッピングする。その結果、スライス加工により発生したウェーハ毎の厚さのばらつき、および、ウェーハ面内での厚さのばらつきをそれぞれ抑え、さらには加工ダメージ層を除去することができる。
このとき、実施例1では、ワイヤ11aを直径140μmとし、砥粒中の遊離砥粒b1を#1500としたので、スライス直後のシリコンウェーハの面粗さが、従来の20μm程度から10μm程度まで小さくなった。これにより、ラッピング工程時に、シリコンウェーハの表裏面のラッピング量を、従来の80μm程度から50μm前後まで減少させることができた。しかも、ウェーハ表面のナノトポグラフィの低減も図ることができた。その結果、出荷先のデバイス工場で行われるシリコンウェーハへのCMP工程などで発生していたウェーハ面内での研磨取り代のばらつきによる膜残りなどを防止することができた。
この実施例1のワイヤソー10を用いて、ワイヤ直径140μm、#1500の遊離砥粒(GC砥粒、以下同じ)b1を含む砥液をワイヤ列11に供給しながら、上述の条件でインゴットIを切断した。その結果、カーフロスCが従来に比べて30μmも低減した。また、ワイヤ直径が130μmで、#1500の遊離砥粒b1または#2000の遊離砥粒b1を含む砥液をワイヤ列11に供給しながら、同様の条件でインゴットIを切断したところ、従来よりもカーフロスCが40μm(#1500の場合)、45μm(#2000の場合)低減した。さらには、ワイヤ直径120μmで、#1500の遊離砥粒b1または#2000の遊離砥粒b1を含む砥液を使用したところ、カーフロスCが従来より50μm(#1500の場合)、55μm(#2000の場合)低減した。しかも、これらの何れの場合であっても、インゴットIの切断性を維持することで、その切断時間が従来に比べてそれほど長くならず、かつワイヤ11aのダメージも小さいため、ワイヤ11aが断線することなくインゴットIを切断することができた。しかも、スライス直後のシリコンウェーハの面粗さは従来の場合よりそれぞれ改善された。その結果、ラッピング工程でのラッピング量が低減され、ウェーハ表面のナノトポグラフィもそれぞれ低減された。
10 ワイヤソー、
11a ワイヤ、
12A,12B,12C グルーブローラ、
I インゴット(半導体インゴット)、
b1 遊離砥粒。
11a ワイヤ、
12A,12B,12C グルーブローラ、
I インゴット(半導体インゴット)、
b1 遊離砥粒。
Claims (2)
- 複数本のグルーブローラ間に架け渡されたワイヤを往復走行させながら、#1500以上の遊離砥粒を含む砥液を供給しつつ、半導体インゴットをワイヤに相対的に押し付けて、前記半導体インゴットを切断するワイヤソーを用いたインゴット切断方法であって、次の(1)式と(2)式とを共に満足させるインゴット切断方法。
0.05<a/R<0.1 (1)
b/R<0.2 (2)
a;砥粒分布における砥粒50%点での粒径
b;砥粒分布における砥粒3%点での粒径
R;ワイヤの直径 - 前記半導体インゴットを、直径140μmの前記ワイヤを往復走行させながら、#1500の前記遊離砥粒を含む砥液を供給しつつ切断する請求項1に記載のワイヤソーを用いたインゴット切断方法。
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