JP2000309016A - ワイヤソー用スラリー - Google Patents

ワイヤソー用スラリー

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和明 杉谷
Takumi Kiyama
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  • Mining & Mineral Resources (AREA)
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  • Mechanical Treatment Of Semiconductor (AREA)
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  • Processing Of Stones Or Stones Resemblance Materials (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 カーフロスを少なくする。スライスドウェー
ハの厚さを所定範囲に保つ。十分なラップ取り代を確保
する。ウェーハ厚さバラツキをなくす。 【解決手段】 砥粒全体の体積累積値が97%となる点
での砥粒の粒径が、その体積累積値で50%となる点の
砥粒の粒径の1.5〜1.8倍(例えば30μm)に管
理した砥粒を砥液に混入してワイヤソー用スラリーを作
製する。大径の遊離砥粒が従来より少なく、カーフロス
の低減が図れる。ウェーハの厚さが安定化し、十分なラ
ップ取り代を確保できる。ソーマーク不良を低減でき
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明はワイヤソー用スラ
リー、詳しくはワイヤソーでのインゴット切断時におけ
るカーフロスを少なくし、ウェーハの厚さを安定させる
ワイヤソー用スラリーに関する。
【0002】
【従来の技術】ワイヤソーは、繰出しボビン(リール)
から導出されたインゴット切断用のワイヤを、複数本の
ワイヤソー用溝ローラに対してコイル状に巻き架けてワ
イヤ列を形成し、巻取ボビンに巻き取る装置構成となっ
ている。ラッピングオイルに砥粒を含む砥液(スラリ
ー)をインゴットまたはワイヤ列に連続して供給しなが
ら、往復走行中のワイヤ列に例えば単結晶シリコンイン
ゴットを相対的に押し付け、砥粒の研削作用によってイ
ンゴットを多数枚のウェーハに切断する。従来、このワ
イヤソー用スラリーに含まれる砥粒の粒度管理は、その
平均粒径値を基準にして行われていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うな管理方法によった従来のワイヤソー用スラリーで
は、砥粒の粒度分布にあって、小粒径のものから累積さ
せてその体積が全体の97%の値を示す砥粒の粒径が3
0.0μmを超える場合が多々あった。このように累積
体積値で97%の点の粒径が30.0μmを超えてしま
うと、インゴット切断時の溝幅が大きくなり、よってカ
ーフロスが大きくなるという問題点があった。また、切
断された多数枚のウェーハの中には、設定範囲を超えて
最小厚さが薄くなりすぎたものが出現するという問題点
もあった。
【0004】そして、このようにウェーハの厚さが薄く
なりすぎると、その後のラッピング工程で、スライス時
にウェーハ表裏面に形成されたソーマークを除去するた
めの十分なラップ取り代を確保することができなかっ
た。また、前述したように、従来の遊離砥粒の管理は平
均粒径を基準とした管理であったので、粒度分布を示す
山形グラフ(図2のグラフ参照)の、例えば上記体積累
積値が97%の砥粒の粒径といった、そのすその部分の
管理が野放しになっていた。その結果、砥粒の納入ロッ
トごとにおいて、それぞれのロットの粒度分布に大きな
バラツキが発生し、切断される各インゴット間で、ウェ
ーハの厚さにバラツキがあった。
【0005】そこで、発明者は、鋭意研究を重ねた結
果、砥粒の粒度分布にあって小さい粒度のものから加算
して体積累積値で97%となる砥粒の粒径を、その50
%となる砥粒のそれの1.5〜1.8倍の範囲となるよ
うに管理すれば、ウェーハの最小厚さが設定範囲内にお
さまり、その結果、ラップ取り代を十分に確保すること
ができて、ウェーハ表裏面のソーマーク不良を低減させ
ることができることを突き止め、さらにこのように砥粒
の粒度分布で体積累積値が97%となる砥粒の粒径を基
準にして粒度管理を行えば、砥粒の納入ロットごとのウ
ェーハ厚さのバラツキを抑えることができることを知見
し、この発明を完成させた。
【0006】
【発明の目的】この発明は、十分なラップ取り代を確保
することができ、ウェーハ表裏面のソーマーク不良を低
減させることができるワイヤソー用スラリーを提供する
ことを、その目的としている。また、この発明は、遊離
砥粒の納入ロットごとに発生していたインゴット単位の
ウェーハ厚さのバラツキを抑えることができるワイヤソ
ー用スラリーを提供することを、その目的としている。
さらに、この発明は、カーフロスを削減することができ
るワイヤソー用スラリーを提供することを、その目的と
している。
【0007】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載の発明
は、砥液中に砥粒を含み、ワイヤソーによるインゴット
切断時にインゴットの表面に供給されるワイヤソー用ス
ラリーにおいて、スラリー中の上記砥粒の粒度の分布状
態が、小さい粒度のものから加算した砥粒全体の体積累
積値が97%となる点での砥粒の粒径が、それが50%
となる点での砥粒の粒径の1.5〜1.8倍の範囲であ
るワイヤソー用スラリーである。
【0008】ワイヤソー用スラリーの砥液としては、例
えばラッピングオイルなどが挙げられる。また、砥液中
に混入される遊離砥粒としては、例えばSiC砥粒、ダ
イヤモンド砥粒などが挙げられる。砥液への砥粒の混入
量は限定されない。例えば、50〜60重量%などであ
る。ここで、小さい粒度のものから加算した砥粒全体の
体積累積値が97%となる点での砥粒の粒径が、それが
50%となる点での砥粒の粒径の1.5〜1.8倍の範
囲であることは、例えば50%での粒径が20μm前後
の#600の砥粒の場合、30〜36μmであることを
意味する。好ましい97%値は、50%値の1.5〜
1.8倍である。1.5倍未満では、切削性能が落ちる
という問題があり、1.8倍を超えると、加工ダメージ
が大きくなるという不都合を生じる。
【0009】この発明が適用されるワイヤソーはどのよ
うな種類のものでもよい。例えば、インゴットを動かし
てワイヤ列に押圧、接触させて切断するものでもよく、
反対にワイヤ列を動かしてインゴットに押圧、接触させ
て切断するものでもよい。また、ワイヤ列の上部にイン
ゴット下面が当接するものでもよく、また、ワイヤ列の
下部にインゴット上面が押し当てられるものでもよい。
ワイヤソーにより切断されるインゴットとしては、例え
ばシリコン単結晶、化合物半導体単結晶、磁性材料、石
英、セラミックスなどが挙げられる。
【0010】請求項2に記載の発明は、#600の砥粒
の場合で、上記体積累積値が97%となる点の砥粒の粒
径が30.0μm以下である請求項1に記載のワイヤソ
ー用スラリーである。30.0μmを超えると、加工ダ
メージが大きくなるという不都合が生じる。
【0011】
【作用】この発明によれば、砥粒全体の体積累積値が9
7%となる点での砥粒の粒径が、その体積累積値で50
%となる点の砥粒の粒径の1.5〜1.8倍に管理され
た砥粒を砥液に混入してワイヤソー用スラリーを作製す
る。このワイヤソー用スラリーでは、大径の遊離砥粒が
従来より少なくなるので、インゴットを切断するときの
カーフロスの低減が図れる。その結果、ウェーハの厚さ
が安定化し、十分なラップ取り代を確保することができ
る。よって、ウェーハ表裏面のソーマーク不良を低減す
ることができる。また、このように体積累積値97%点
の粒径を基準として砥粒の粒度管理を行うので、遊離砥
粒の納入ロットごとに発生するウェーハ厚さのバラツキ
を抑えることもできる。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、この発明の実施例を図面を
参照して説明する。図1はこの発明の一実施例に係るワ
イヤソー用スラリーが使用されるワイヤソーの概略構成
図である。図1において、10はこの発明の一実施例に
係るワイヤソー用スラリーが使用されるワイヤソーであ
り、このワイヤソー10は、CZ法により引き上げられ
た単結晶シリコン製のインゴットIを多数枚のウェーハ
にワイヤ切断する装置である。
【0013】ワイヤソー10は、1本のワイヤを溝ロー
ラ12に多数回巻掛けすることで一平面を構成するよう
にワイヤが並設されたワイヤ列11を有している。ワイ
ヤ列11は、正面視して逆三角形状に配置された3本の
溝ローラ12間で駆動モータにより往復走行される。上
側に配置された2本の溝ローラ12の中間が、インゴッ
トIの切断位置となっている。この切断位置の両側の上
方には、一対のスラリーノズル13が配設されている。
各スラリーノズル13からは、スラリータンク14に貯
留されたワイヤソー用スラリーSが、水平面を構成する
ようなワイヤ列11上に連続供給される。このワイヤソ
ー用スラリーSは、砥液であるラッピングオイル中にフ
ジミインコーポレーテッド社製の#600のSiC遊離
砥粒(商品名GC#600)が所定重量%混入されたも
のである。なお、このSiC遊離砥粒は、粒度分布を示
すグラフ(図2のグラフ参照)における体積累積値97
%の点の砥粒の粒径を基準にして粒度管理された砥粒で
ある。
【0014】次に、このワイヤソー10によるインゴッ
トIの切断方法を説明する。図1に示すように、ワイヤ
ソー10では、スラリータンク14に貯留されたワイヤ
ソー用スラリーSをスラリーノズル13からワイヤ列1
上に供給しながら、このワイヤ列11を往復走行させ
る。その際、インゴットIを上方からワイヤ列11に押
し付けることで、このインゴットIが何枚ものウェーハ
にスライスされる。すなわち、ワイヤ列11の往復走行
時に、ワイヤソー用スラリーS中の遊離砥粒が、ワイヤ
列11のワイヤによりインゴットIの切断溝の底部に擦
りつけられ、その部分が徐々に削り取られて最終的に多
数枚のウェーハに切り分けられる。
【0015】ところで、このインゴットIの切断時に発
生し、スライス後の各ウェーハの厚さに影響を与えるカ
ーフロスは、主に、大きな粒径の遊離砥粒の粒度バラツ
キの度合いにより増減する。すなわち、この砥粒バラツ
キが大きければカーフロスも大きくなる。一方、バラツ
キの度合いが小さければカーフロスも小さくなる。この
ように、カーフロスの大小に多大な影響を及ぼす大きな
粒径の遊離砥粒の粒度バラツキの度合いは、この砥粒の
粒度管理をいかなる基準により行うかによって異なる。
以下、これを図2のワイヤソー用スラリーの砥粒の粒度
分布を示すグラフを参照しながら説明する。
【0016】図2のグラフには、この一実施例のワイヤ
ソー用スラリーSに混入された小さい粒度のものから加
算した砥粒全体の体積累積値が97%となる点の砥粒の
粒径を基準にして粒度管理された#600の遊離砥粒の
粒度分布(実線)と、従来手段の平均粒径を基準に粒度
管理された#600の遊離砥粒の粒度分布(二点鎖線)
とが表示されている。なお、この実施例では、#600
の遊離砥粒の平均粒径20μmに定数1.5を乗算した
30μmが、この粒度分布上の体積累積値97%点の値
となっている。
【0017】このグラフから明らかなように、従来の平
均粒径に基づき粒度管理された遊離砥粒では平均粒径の
調整だけに注目され、その平均粒径(体積累積値50%
の点)から大きく離れた点、例えば体積累積値97%点
の管理はおろそかにされていた。そのため、従来の体積
累積値97%点では砥粒の粒径が40μmにまで達し、
カーフロスが増大してウェーハの厚さにバラツキが増え
ていた。これにより、設定範囲を超えた薄さのウェーハ
が現出し、ラップ工程でのラップ取り代を十分に確保す
ることができず、その結果、ラップ工程後におけるソー
マーク不良のウェーハが5%も発生していた。
【0018】これに対して、この実施例では、前述した
ように粒度分布上の体積累積値97%点(30μm)を
基準にして砥粒の粒度管理を行うようにしたので、カー
フロスが少なくなり、ウェーハの厚さバラツキが減少
し、ウェーハ表裏面に形成されるソーマーク不良を1%
に抑えることができた。また、このように粒度分布上の
体積累積値97%点の粒径を基準にして砥粒の粒度管理
を行うようにしたので、ウェーハの厚さが常に安定化す
る。これにより図3に示すグラフからも明らかなよう
に、砥粒の納入ロットごとに発生するインゴット単位で
のウェーハの厚さバラツキの発生を抑えることができ
る。なお、図3はこの発明のスラリーおよび従来のスラ
リーにおける納入ロットごとの粒度分布のバラツキ度合
いを示すグラフである。また、このように体積累積値9
7%点を基準にして粒度管理を行えば、図2のグラフに
示すように体積累積値50%点前後の砥粒が多く集中す
る。この結果、この実施例のワイヤソー用スラリーS
は、単に30μmを超える大粒の遊離砥粒が少ないとい
う利点だけでなく、より粒度が揃った高品質のワイヤソ
ー用スラリーともなる。
【0019】
【発明の効果】この発明によれば、スラリー中の砥粒の
最大粒径を抑えるようにしたので、インゴット切断時の
カーフロスが少なくなり、ウェーハの厚さを安定化させ
ることができる。これにより、十分なラップ取り代を確
保することができ、その結果、ウェーハ表裏面のソーマ
ーク不良の発生を低減することができる。また、このよ
うに粒度分布上の体積累積値97%点を基準にして砥粒
の粒度管理を行うので、砥粒の納入ロットごとに発生す
るインゴット単位のウェーハ厚さのバラツキを抑えるこ
ともできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施例に係るワイヤソー用スラリ
ーが使用されるワイヤソーの概略構成図である。
【図2】ワイヤソー用スラリーの砥粒の粒度分布を示す
グラフである。
【図3】この発明のスラリーおよび従来のスラリーにお
ける納入ロットごとの粒度分布のバラツキ度合いを示す
グラフである。
【符号の説明】
10 ワイヤソー、 I インゴット、 S ワイヤソー用スラリー。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 3C047 GG15 3C058 AA05 AC04 CA05 CB01 CB10 DA02 DA03 3C069 AA01 BA06 BB04 BC01 CA04 DA06 EA02

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 砥液中に砥粒を含み、ワイヤソーによる
    インゴット切断時にインゴットの表面に供給されるワイ
    ヤソー用スラリーにおいて、 スラリー中の上記砥粒の粒度の分布状態が、小さい粒度
    のものから加算した砥粒全体の体積累積値が97%とな
    る点での砥粒の粒径が、それが50%となる点での砥粒
    の粒径の1.5〜1.8倍の範囲であるワイヤソー用ス
    ラリー。
  2. 【請求項2】 #600の砥粒の場合、上記体積累積値
    が97%となる点の砥粒の粒径が30.0μm以下であ
    る請求項1に記載のワイヤソー用スラリー。
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