JP7302214B2 - 感熱記録材料、感熱記録方法、感熱記録装置、及び感熱記録媒体 - Google Patents

感熱記録材料、感熱記録方法、感熱記録装置、及び感熱記録媒体 Download PDF

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Description

本発明は、感熱記録材料、感熱記録方法、感熱記録装置、及び感熱記録媒体に関する。
電子供与性染料(以下、ロイコ染料と称することもある)と、電子受容性顕色剤(以下、顕色剤と称することもある)と、を含有する感熱記録媒体は、過熱によりロイコ染料と顕色剤が溶融混合することによって発色する。このような感熱記録媒体は、熱を発色のトリガーとするために、例えば、包装容器に使用されるホットメルト糊付け工程(130℃数秒間)での高温部との接触により、地肌カブリが発生する。
高温部との接触による地肌カブリを抑制する方法としては、例えば、200℃を超えるような高融点の顕色剤を使用する方法が提案されている(例えば、特許文献1~4参照)。
本発明は、高温部との接触による地肌カブリを抑制し、高感度に記録可能な感熱記録材料を提供することを目的とする。
前記課題を解決するための手段としての本発明の感熱記録材料は、電子供与性染料と、下記構造式1及び2のいずれかで表され、かつ融点が200℃以上である電子受容性化合物と、光熱変換材料とを含有する。
Figure 0007302214000001
Figure 0007302214000002
前記式(1)及び式(2)中、R1及びR2はそれぞれ、水素原子、炭素数1~12のアルキル基(R1及びR2を含む環状構造をとってもよい),炭素数6~20のアリール基、又は炭素数7~20のアラルキル基を表し、R1及びR2は同一であっても、異なっていてもよく、アリール基は置換されても置換されていなくともよく、
R3、R4、R5、及びR6はそれぞれ、水素原子、炭素数1~12のアルキル基、炭素数6~20のアリール基、又は炭素数7~20のアラルキル基を表し、R3、R4、R5、及びR6は同一であっても、異なっていてもよく、アリール基は置換されても置換されていなくともよく、
X1及びX2はそれぞれ、水素原子、水酸基、ハロゲン原子、炭素数1~3のアルキル基、又は炭素数1~3のアルコキシ基を表し、X1及びX2は同一であっても、異なっていてもよい(nは0~4の整数)。
本発明によると、高温部との接触による地肌カブリを抑制し、高感度に記録可能な感熱記録材料を提供することができる。
図1は、感熱記録媒体に印字する記録装置の一例を示す斜視図である。 図2は、感熱記録媒体に印字する記録装置の他の一例を示す斜視図である。 図3は、感熱記録媒体に印字する記録装置におけるレーザアイの一例を示す図である。
(感熱記録材料)
本発明の感熱記録材料は、電子供与性染料と、下記構造式1及び2のいずれかで表され、かつ融点が200℃以上である電子受容性化合物と、光熱変換材料とを含有し、更に必要に応じて、紫外線吸収材料、その他の材料を含有する。
Figure 0007302214000003
Figure 0007302214000004
前記式(1)及び式(2)中、R1及びR2はそれぞれ、水素原子、炭素数1~12のアルキル基(R1及びR2を含む環状構造をとってもよい),炭素数6~20のアリール基、又は炭素数7~20のアラルキル基を表し、R1及びR2は同一であっても、異なっていてもよく、アリール基は置換されても置換されていなくともよく、
R3、R4、R5、及びR6はそれぞれ、水素原子、炭素数1~12のアルキル基、炭素数6~20のアリール基、又は炭素数7~20のアラルキル基を表し、R3、R4、R5、及びR6は同一であっても、異なっていてもよく、アリール基は置換されても置換されていなくともよく、
X1及びX2はそれぞれ、水素原子、水酸基、ハロゲン原子、炭素数1~3のアルキル基、又は炭素数1~3のアルコキシ基を表し、X1及びX2は同一であっても、異なっていてもよい(nは0~4の整数)。
本発明者らは、高温部との接触による地肌カブリを抑制し、高感度に記録可能な感熱記録材料について検討したところ、以下の知見を得た。
従来の感熱記録材料では、融点の高い顕色剤を用いているため、高温の物質が記録媒体に接触した際に、記録層内に粉体で存在する染料と顕色剤が溶融混合しにくくなるために、高温に対する耐地肌カブリ性は向上する。しかし、感熱記録媒体を発色させるために、一般的な感熱記録媒体に比べて、高エネルギーを印加する必要がある。そのため、十分な発色濃度を得ようとすると、感熱記録媒体の印字箇所から煙の発生や基材のシュリンク、破れといった不具合が発生するという問題がある。
また、従来の感熱記録媒体では、例えば、高融点の顕色剤を用いた感熱記録媒体において蓄熱効果によって感度を向上させるために、中空粒子層を基材と記録の層の間に設けているが、十分な発色濃度(感度)を得ることが難しいという問題がある。
また、従来の感熱記録媒体では、例えば、感熱記録媒体の感度を向上させるために、構造にスルホニル基やカルボキシ基を有する顕色剤を用いている。しかし、顕色剤の構造中に、フェノールに対して電子吸引性を示すスルホニル基を持つため、融点に対して感度が高い傾向があり、130℃のホットスタンプにて地肌カブリが発生するという問題がある。また、カルボキシル基を有する顕色剤では、水への溶解度が高くなる傾向があるため、感熱記録媒体の地肌がカブリやすい等の問題がある。即ち、感度を向上させることによって、地肌かぶりしやすくなるという問題がある。
また、従来の融点205℃の顕色剤を用いた感熱記録媒体では、感熱ファクシミリのサーマルヘッドを用いて、1ライン記録速度10ミリ秒(走査線密度8ライン/mm)と低速で印字しており、近年の高速プリンター(印字速度100~250mm/秒)を用いた場合では十分な熱量を得ることができないため、発色することが難しいという問題がある。
また、融点240~250℃の顕色剤を用いた従来の感熱記録媒体では、蓄熱効果による感度向上を目的に、中空粒子層を基材と記録の層の間に設けているが、十分な発色感度を得ることはできていない。
そこで、本発明者らは、感熱記録材料に用いる顕色剤(電子受容性化合物)を特定の構造式を有する化合物とすることによって、所望の記録工程以外における接触式の加熱による地肌カブリ(熱カブリ)を抑制しつつ、従来の感熱記録媒体に印加するエネルギーと同程度の十分な感度(画像濃度)を得ることができる感熱記録材料とすることができることを見出した。
即ち、本発明では、近赤外レーザを用いた光熱変換方式により、感熱記録材料中の光熱変換材料を含む層の内部から発熱させることによって、印字箇所を短時間に、顕色剤の融点以上に加熱することができ、200℃以上の高融点を有する顕色剤を用いても、一般的な融点の顕色剤(150℃以上200℃未満)を用いた場合と同等の印字条件で発色させることを見出した。また、近赤外レーザを単位面積当たり数十μ秒以下の短い時間で照射することで、加熱時間が短くなりフィルムのシュリンク等のダメージが発生せずに、記録することできることを見出した。
-電子受容性化合物-
前記電子受容性化合物は、下記構造式1及び2のいずれかで表され、かつ融点が200℃以上である。
Figure 0007302214000005
Figure 0007302214000006
前記式(1)及び式(2)中、R1及びR2はそれぞれ、水素原子、炭素数1~12のアルキル基(R1及びR2を含む環状構造をとってもよい),炭素数6~20のアリール基、又は炭素数7~20のアラルキル基を表し、R1及びR2は同一であっても、異なっていてもよく、アリール基は置換されても置換されていなくともよく、
R3、R4、R5、及びR6はそれぞれ、水素原子、炭素数1~12のアルキル基、炭素数6~20のアリール基、又は炭素数7~20のアラルキル基を表し、R3、R4、R5、及びR6は同一であっても、異なっていてもよく、アリール基は置換されても置換されていなくともよく、
X1及びX2はそれぞれ、水素原子、水酸基、ハロゲン原子、炭素数1~3のアルキル基、又は炭素数1~3のアルコキシ基を表し、X1及びX2は同一であっても、異なっていてもよい(nは0~4の整数)。
前記電子受容性化合物は、所謂顕色剤として使用される化合物である。
前記電子受容性化合物の融点としては、200℃以上であり、300℃以上が好ましい。
融点が200℃以上であると、感熱記録材料への記録以外の工程、例えば、包装容器に使用されるホットメルト糊付け工程(約130℃)や、加熱したホットスタンプによる記録において、画像記録部位以外の部位における地肌カブリが発生することを抑制することができる。
また、融点が200℃以上であっても、ビスフェノールSのように、構造中に電子吸引性のスルホニル基を有する顕色剤は、地肌カブリが発生しやすい傾向がある。さらに、フェノールのオルト位に置換基をもつ構造の顕色剤は、立体障害により染料に近づきにくく、ロイコ染料との反応が阻害され発色濃度が低下する。特に、フェノールのオルト位に置換基が、t-ブチル基に代表される炭素数4以上の置換基であると、特に発色濃度が低くなる。
前記構造式(1)で表される電子受容性化合物としては、例えば、4,4’-(3,3,5-トリメチル-1,1-シクロヘキサンジイル)ビスフェノール(融点205℃)、9,9-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)フルオレン(融点218℃)、4,4’-(9-フルオレニリデン)ジフェノール(融点224℃)、4,4’,4’’-トリヒドロキシトリフェニルメタン(融点247℃)、1,1,1-トリス(4-ヒドロキシフェニル)エタン(融点248℃)、4,4’-ジヒドロキシテトラフェニルメタン(融点301℃)、9,9-ビス(4-ヒドロキシフェニル)フルオレン(融点223℃)などが挙げられる。
前記構造式(2)で表される電子受容性化合物としては、例えば、4,4’-(1,2-ジフェニルエチレン-1,2-ジイル)ジフェノール(融点225℃)、1,1,2,2-テトラキス(p-ヒドロキシフェニル)エタン(融点310~330℃)、テトラキス(4-ヒドロキシフェニル)エチレン(融点323℃)、1,1,2,2-テトラキス(4-ヒドロキシフェニル)エタン(融点310~330℃)などが挙げられる。
前記電子受容性化合物の50%累積体積粒径(D50)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、0.05μm以上2μm以下が好ましく、0.05μm以上0.5μm以下がより好ましい。前記電子受容性化合物の50%累積体積粒径(D50)が、0.05μm以上2μm以下であると、発色効率が上がり高感度かつ高濃度の発色画像を得ることができる。さらに、前記電子受容性化合物の50%累積体積粒径(D50)が、0.05μm以上0.5μm以下であると、感熱記録層の透明化を図ることができる。
前記電子受容性化合物の50%累積体積粒径(D50)は、レーザー回折/散乱式粒子径分布測定装置(装置名:LA-920、株式会社堀場製作所製)などを用いて測定することができる。
前記電子受容性化合物の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、感熱記録層に対して、20質量%以上80質量%以下が好ましく、40質量%以上70質量%以下がより好ましい。前記電子受容性化合物の含有量が、20質量%以上80質量%以下であると、鮮明でコントラストに優れる発色画像を得ることができる。
-電子供与性染料-
前記電子供与性染料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、トリフェニルメタン系、フルオラン系、フェノチアジン系、オーラミン系、スピロピラン系、インドリノフタリド系などの染料のロイコ化合物(以下、ロイコ染料と称することがある)などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
前記ロイコ染料としては、例えば、3-ピロリジノ-6-メチル-7-アニリノフルオラン、3-ジエチルアミノ-7-(m-トリフルオロメチルアニリノ)フルオラン、3-ジエチルアミノ-6-メチル-7-(m-メチルアニリノ)フルオラン、3-(N-イソアミル-N-エチルアミノ)-7-(o-クロロアニリノ)フルオラン、3-(N-エチル-p-トルイジノ)-6-メチル-7-アニリノフルオラン、3-(N-エチル-N-2-テトラヒドロフルフリルアミノ)-6-メチル-7-アニリノフルオラン、3-ジエチルアミノ-6-クロロ-7-アニリノフルオラン、3-ジ(n-ブチル)アミノ-6-メチル-7-アニリノフルオラン、3-ジ(n-アミル)アミノ-6-メチル-7-アニリノフルオラン、3-(N-イソアミル-N-エチルアミノ)-6-メチル-7-アニリノフルオラン、3-(N-n-ヘキシル-N-エチルアミノ)-6-メチル-7-アニリノフルオラン、3-〔N-(3-エトキシプロピル)-N-エチルアミノ)-6-メチル-7-アニリノフルオラン、3-〔N-(3-エトキシプロピル)-N-メチルアミノ)-6-メチル-7-アニリノフルオラン、3-ジエチルアミノ-7-(2-クロロアニリノ)フルオラン、3-ジ(n-ブチル)アミノ-7-(2-クロロアニリノ)フルオラン、3-ジエチルアミノ-6-メチル-7-アニリノフルオラン、3-ジエチルアミノ-6-メチル-7-(2,6-ジメチルアニリノ)フルオラン、3-ジエチルアミノ-6-メチル-7-(2,4-ジメチルアニリノ)フルオラン、2,4-ジメチル-6-(4-ジメチルアミノアニリノ)フルオラン、3-(N-シクロヘキシル-N-メチルアミノ)-6-メチル-7-アニリノフルオラン、3,3-ビス〔1,1-ビス(4-ピロリジノフェニル)エチレン-2-イル〕-4,5,6,7-テトラブロモフタリド、3,3-ビス〔1-(4-メトキシフェニル)-1-(4-ジメチルアミノフェニル)エチレン-2-イル〕-4,5,6,7-テトラクロロフタリド、3,3-ビス〔1-(4-メトキシフェニル)-1-(4-ピロリジノフェニル)エチレン-2-イル〕-4,5,6,7-テトラクロロフタリド、3-〔p-(p-アニリノアニリノ)アニリノ〕-6-メチル-7-クロロフルオラン、3-〔p-(p-ジメチルアミノアニリノ)アニリノ〕-6-メチル-7-クロロフルオラン、3,6-ビス(ジメチルアミノ)フルオレン-9-スピロ-3’-(6’-ジメチルアミノ)フタリド、ビス(p-ジメチルアミノスチリル)-p-トリルスルホニルメタン、3-〔p-(p-ジメチルアミノアニリノ)アニリノ〕-6-メチルフルオラン、3-ジ(n-ペンチル)アミノ-6,8,8-トリメチル-8,9-ジヒドロ-(3,2,e)ピリドフルオラン、3-ジ(n-ブチル)アミノ-6,8,8-トリメチル-8,9-ジヒドロ-(3,2,e)ピリドフルオラン、3-(p-n-ブチルアミノアニリノ)-6-メチル-7-クロロフルオラン、2―メシジノ-8-ジエチルアミノ-ベンズ〔C〕フルオラン、3,6-ビス(ジエチルアミノ)フルオラン-γ-アニリノラクタム、3,6-ビス(ジエチルアミノ)フルオラン-γ-(p-ニトロ)アニリノラクタム、3,6-ビス(ジエチルアミノ)フルオラン-γ-(o-クロロ)アニリノラクタム、3-ジメチルアミノ-7-ブロモフルオラン、3-ジエチルアミノフルオラン、3-ジエチルアミノ-6-メチルフルオラン、3-ジエチルアミノ-7-メチルフルオラン、3-ジエチルアミノ-7-クロロフルオラン、3-ジエチルアミノ-7-ブロモフルオラン、3-ジエチルアミノ-6-メチル-7-クロロフルオラン、3-ジエチルアミノ-7-tert-ブチルフルオラン、3-(N-エチル-N-トリルアミノ)-7-エチルフルオラン、3-(N-エチル-N-イソブチルアミノ)-6-メチル-7-クロロフルオラン、3-シクロヘキシルアミノ-6-クロロフルオラン、3-ジ(n-ブチル)アミノ-6-メチル-7-ブロモフルオラン、3-ジ(n-ブチル)アミノ-7,8-ベンゾフルオラン、3-トリルアミノ-7-メチルフルオラン、3-トリルアミノ-7-エチルフルオラン、2-(N-アセチルアニリノ)-3-メチル-6-ジ(n-ブチル)アミノフルオラン、2-(N-プロピオニルアニリノ)-3-メチル-6-ジ(n-ブチル)アミノフルオラン、2-(N-ベンゾイルアニリノ)-3-メチル-6-ジ(n-ブチル)アミノフルオラン、2-(N-カルボブトキシアニリノ)-3-メチル-6-ジ(n-ブチル)アミノフルオラン、2-(N-ホルミルアニリノ)-3-メチル-6-ジ(n-ブチル)アミノフルオラン、2-(N-ベンジルアニリノ)-3-メチル-6-ジ(n-ブチル)アミノフルオラン、2-(N-アリルアニリノ)-3-メチル-6-ジ(n-ブチル)アミノフルオラン、2-(N-メチルアニリノ)-3-メチル-6-ジ(n-ブチル)アミノフルオラン、3-ジエチルアミノ-7-フェノキシフルオラン、2-メチル-6-(N-p-トリル-N-エチルアミノ)-フルオラン、3-(N-エチル-N-イソアミルアミノ)-7,8-ベンゾフルオラン、3-(N-エチル-N-イソアミルアミノ)-7-フェノキシフルオラン、3,3-ビス(1-エチル-2-メチルインドール-3-イル)フタリド、3,3-ビス(1-n-オクチル-2-メチルインドール-3-イル)フタリド、7-(N-エチル-N-イソアミルアミノ)-3-メチル-1-フェニルスピロ〔(1,4-ジヒドロクロメノ〔2,3-c〕ピラゾール)-4,3’-フタリド〕、7-(N-エチル-N-イソアミルアミノ)-3-メチル-1-p-メチルフェニルスピロ〔(1,4-ジヒドロクロメノ〔2,3-c〕ピラゾール)-4,3’-フタリド〕、7-(N-エチル-N-n-ヘキシルアミノ)-3-メチル-1-フェニルスピロ〔(1,4-ジヒドロクロメノ〔2,3-c〕ピラゾール)-4,3’-フタリド〕、3,3-ビス(p-ジメチルアミノフェニル)-6-ジメチルアミノフタリド、3-(4-ジエチルアミノ-2-メチルフェニル)-3-(4-ジメチルアミノフェニル)-6-ジメチルアミノフタリド、3-(1-エチル-2-メチルインドール-3-イル)-3-(4-ジエチルアミノフェニル)フタリド、3-(1-エチル-2-メチルインドール-3-イル)-3-(2-メチル-4-ジエチルアミノフェニル)-4-アザフタリド、3-(1-エチル-2-メチルインドール-3-イル)-3-(2-エトキシ-4-ジエチルアミノフェニル)-4-アザフタリド、3-(1-エチル-2-メチルインドール-3-イル)-3-(2-n-ヘキシルオキシ-4-ジエチルアミノフェニル)-4-アザフタリド、3-ジフェニルアミノ-6-ジフェニルアミノフルオラン、3-(1-エチル-2-メチルインドール-3-イル)-3-(4-ジエチルアミノ-2-メチルフェニル)-4-アザフタリド、3-〔1,1-ビス(p-ジエチルアミノフェニル)エチレン-2-イル〕-6-ジメチルアミノフタリド、3,3-ビス(4-ジエチルアミノ-2-エトキシフェニル)-4-アザフタリド、3,3’-ビス(4-ジエチルアミノ-2-エトキシフェニル)-4-アザフタリド、3-(N-エチル-N-n-ヘキシルアミノ)-7-アニリノフルオラン、3-ジエチルアミノ-7-ジベンジルアミノフルオラン、3-ピロリジノ-7-ジベンジルアミノフルオラン、3,3-ビス(4-ジエチルアミノ-2-エトキシフェニル)-4-アザフタリド、3-(N-エチル-N-p-トリルアミノ)-7-(N-フェニル-N-メチルアミノ)フルオラン、3-〔p-(p-アニリノアニリノ)アニリノ〕-6-メチル-7-クロロフルオラン、3,6-ビス(ジメチルアミノ)フルオレン-9-スピロ-3’-(6’-ジメチルアミノ)フタリドなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記電子供与性染料の融点としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、180℃以上が好ましく、200℃以上がより好ましい。前記電子供与性染料の融点が180℃以上であると、高温部との接触による地肌カブリを抑制し、電子受容性化合物との組み合わせにより高感度な感熱記録材料とすることができる。
融点が180℃以上の電子供与性染料としては、例えば、2-アリニノ-3-メチル-6-ジブチルアミノフルオラン(融点180℃)、2-アニリノ-3-メチル-6-ジエチルアミノフルオラン(融点198℃)、6’‐(ジペンチルアミノ)-3’-メチル-2’-アニリノスピロ[イソベンゾフランー1(3H)(融点183℃)、6-(ジエチルアミノ)-2-[3-(トリフルオロメチル)アニリノ]スピロ[9H-キサンテン-9,3’(1’H)-イソベンゾフラン]-1’-オン(融点180℃)、3’-シクロヘキシルアミノ-6’-クロロスピロ[イソベンゾフラン-1(3H),9’-[9H]キサンテン]-3-オン(融点183℃)、3,3-ビス(パラージメチルアミノフェノール)-6-ジメチルアミノフタライド(融点180℃)、3,7-ビス(ジメチルアミノ)10-ベンゾイルフェノチアジン(融点193℃)などが挙げられる。
融点が200℃状の電子供与性染料としては、例えば、2-オルソ-クロロアニリノ―6―ジエチルアミノフルオラン(融点215℃)、3-NーシクロヘキシルーNーメチルアミノー6-メチルー7-アニリノフルオラン(融点201℃)、3-ジエチルアミノ-6-メチル-7-クロルフルオラン(融点240℃)、2’-アニリノ-6’-[N-エチル-N-(4-トリル)アミノ]-3’-メチル-3H-スピロ[イソベンゾフラン-1,9’-キサンテン]-3-オン(融点206~208℃)3-ジエチルアミノ-6-メチル-7-クロルフルオラン(融点240℃)、10-ジエチルアミン-2-エチルベンゾ〔1,4〕チアジノ〔3,2-b〕フルオラン(融点236℃)などが挙げられる。
これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
前記電子供与性染料の50%累積体積粒径(D50)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、0.05μm以上2μm以下が好ましい。
前記電子供与性染料の50%累積体積粒径(D50)は、例えば、レーザー回折/散乱式粒子径分布測定装置(装置名:LA-920、株式会社堀場製作所製)などを用いて測定することができる。
前記電子供与性染料の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、感熱記録層に対して、5質量%以上40質量%以下が好ましく、10質量%以上30質量%以下がより好ましい。前記電子供与性染料の含有夜が、5質量%以上40質量%以下であると、鮮明でコントラストに優れる発色画像を得ることができる。
-光熱変換材料-
前記光熱変換材料とは、レーザー光を吸収し熱に変換する材料を意味し、無機系材料と有機系材料とに大別できる。
前記無機系材料としては、特に制限はなく、例えば、カーボンブラックやGe、Bi、In、Te、Se、Cr等の金属又は半金属及びそれを含む合金や金属ホウ化物粒子、金属酸化物粒子が挙げられる。
前記金属ホウ化物及び金属酸化物としては、例えば6ホウ化物、酸化タングステン化合物、アンチモンドープ酸化スズ(ATO)、スズドープ酸化インジウム(ITO)、及びアンチモン酸亜鉛が好適である。
前記光熱変換材料としては、無機系材料が好ましく、その中でも6ホウ化物または酸化タングステン化合物から選択される少なくとも1種であることが好ましい。
前記6ホウ化物としては、例えば、LaB、CeB、PrB、NdB、GdB、TbB、DyB、HoB、YB、SmB、EuB、ErB、TmB、YbB、LuB、SrB、CaB、(La,Ce)Bなどが挙げられる。
前記酸化タングステン化合物としては、例えば、一般式:WyOz(ただし、Wはタングステン、Oは酸素、2.2≦z/y≦2.999)で表されるタングステン酸化物の微粒子、又は一般式:MxWyOz(ただし、Mは、H、He、アルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類元素、Mg、Zr、Cr、Mn、Fe、Ru、Co、Rh、Ir、Ni、Pd、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、Al、Ga、In、Tl、Si、Ge、Sn、Pb、Sb、B、F、P、S、Se、Br、Te、Ti、Nb、V、Mo、Ta、Re、Be、Hf、Os、Bi、及びIから選択される1種以上の元素、Wはタングステン、Oは酸素、0.001≦x/y≦1、2.2≦z/y≦3.0である)で表される複合タングステン酸化物の粒子などが挙げられる(国際公開第2005/037932号パンフレット、特開2005-187323号公報参照)。これらの中でも、近赤外領域の吸収が大きく、可視領域の吸収が小さい点から、セシウム含有酸化タングステンが好ましい。
前記有機系材料としては、吸収すべき光波長に応じて各種の染料を適宜用いることができるが、光源として半導体レーザーを用いる場合には、600nm以上1,200nm以下付近に吸収ピークを有する近赤外吸収色素が用いられ、例えば、シアニン色素、キノン系色素、インドナフトールのキノリン誘導体、フェニレンジアミン系ニッケル錯体、フタロシアニン系色素などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記光熱変換材料は、感熱記録層に含有してもよく、感熱記録層以外の層に含有してもよい。前記感熱記録層以外の層に含有する場合には、前記感熱記録層に隣接して光熱変換材料を含む層を設けることが好ましい。
前記光熱変換材料の含有量としては、感熱記録層に対して、0.1質量%以上10質量%以下が好ましく、0.3質量%以上5質量%以下がより好ましい。
-紫外線吸収剤料-
前記紫外線吸収材料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、サリチル酸系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤などが挙げられる。
前記紫外線吸収材料としては、例えば、フェニルサリシレート、p-tert-ブチルフェニルサリシレート、p-オクチルフェニルサリシレート、2,4-ジヒドロキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-オクトキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-ドデシルオキシベンゾフェノン、2,2’-ジヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン、2,2’-ジヒドロキシ-4,4’-ジメトキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシ-5-スルホベンゾフェノン、ビス(2-メトキシ-4-ヒドロキシ-5-ベンゾイルフェニル)メタン、2-(2’-ヒドロキシ-5’-メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-5’-tert-ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-3’,5’-ジ-tert-ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-3’,5’-ジ-tert-ブチルフェニル)クロロベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-3’-tert-ブチル-5’-メチルフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-3’,5’-ジ-tert-アミルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-{2’-ヒドロキシ-3’-(3”,4”,5”,6”-テトラヒドロフタルイミドメチル)-5’-メチルフェニル}ベンゾトリアゾール、2,2’-メチレンビス{4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)-6-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)フェノール}、2-(2’-ヒドロキシ-5’-メタアクリロキシフェニル)-2H-ベンゾトリアゾール、2-(3,5-ジーt-アミル-2-ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-5’-t-オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(5-メチル-2-ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾールなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
-その他の成分-
前記その他の成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、バインダー樹脂、感度向上剤として種々の熱可融性物質、補助添加剤、界面活性剤、滑剤、填剤などが挙げられる。
--バインダー樹脂--
前記バインダー樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、光硬化性樹脂などが挙げられる。これらの樹脂は水溶性樹脂、水分散性樹脂、溶剤可溶性樹脂などその性質を問わない。
前記バインダー樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、澱粉又はその誘導体;ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース等のセルロース誘導体;ポリアクリル酸ソーダ、ポリビニルピロリドン、アクリルアミド-アクリル酸エステル共重合体、スチレン-アクリル共重合体、アクリルアミド-アクリル酸エステル-メタクリル酸三元共重合体、スチレン-無水マレイン酸共重合体アルカリ塩、イソブチレン-無水マレイン酸共重合体アルカリ塩、ポリアクリルアミド、アルギン酸ソーダ、ゼラチン、カゼイン等の水溶性ポリマー;ポリ酢酸ビニル、ポリウレタン、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸エステル、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体、ポリブチルメタクリレート、エチレン-酢酸ビニル共重合体等のエマルション;スチレン-ブタジエン共重合体、スチレン-ブタジエン-アクリル共重合体等のラテックスなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、基材への接着性の観点から、アクリル樹脂、スチレン-アクリル共重合体が好ましい。
--熱可融性物質--
前記熱可融性物質としては、例えば、ステアリン酸、ベヘン酸等の脂肪酸類;ステアリン酸アミド、パルチミン酸アミド等の脂肪酸アミド類;ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸カルシウム、パルチミン酸亜鉛、ベヘン酸亜鉛等の脂肪酸金属塩類;p-ベンジルビフェニル、ターフェニル、トリフェニルメタン、p-ベンジルオキシ安息香酸ベンジル、β-ベンジルオキシナフタレン、β-ナフトエ酸フェニル、1-ヒドロキシ-2-ナフト酸フェニル、1-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸メチル、ジフェニルカーボネート、グリコールカーボネート、テレフタル酸ジベンジル、テレフタル酸ジメチル、1,4-ジメトキシナフタレン、1,4-ジエトキシナフタレン、1,4-ジベンジロキシナフタレン、1,2-ジフェノキシエタン、1,2-ビス(3-メチルフェノキシ)エタン、1,2-ビス(4-メチルフェノキシ)エタン、1,4-ジフェノキシ-2-ブテン、1,2-ビス(4-メトキシフェニルチオ)エタン、ジベンゾイルメタン、1,4-ジフェニルチオブタン、1,4-ジフェニルチオ-2-ブテン、1,3-ビス(2-ビニルオキシエトキシ)ベンゼン、1,4-ビス(2-ビニルオキシエトキシ)ベンゼン、p-(2-ビニルオキシエトキシ)ビフェニル、p-アリールオキシビフェニル、p-プロパギルオキシビフェニル、ジベンゾイルオキシメタン、ジベンゾイルオキシプロパン、ジベンジルジスルフィド、1,1-ジフェニルエタノール、1,1-ジフェニルプロパノール、p-ベンジルオキシベンジルアルコール、1,3-フェノキシ-2-プロパノール、N-オクタデシルカルバモイル-p-メトキシカルボニルベンゼン、N-オクタデシルカルバモイルベンゼン、1,2-ビス(4-メトキシフェノキシ)プロパン、1,5-ビス(4-メトキシフェノキシ)-3-オキサペンタン、シュウ酸ジベンジル、シュウ酸ビス(4-メチルベンジル)、シュウ酸ビス(4-クロロベンジル)などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
--補助添加剤--
前記補助添加剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ヒンダードフェノール化合物、ヒンダードアミン化合物などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記補助添加剤としては、例えば、2,2’-メチレンビス(4-エチル-6-ターシャリーブチルフェノール)、4,4’-ブチリデンビス(6-ターシャリーブチル-2-メチルフェノール)、1,1,3-トリス(2-メチル-4-ヒドロキシ-5-ターシャリーブチルフェニル)ブタン、1,1,3-トリス(2-メチル-4-ヒドロキシ-5-シクロヘキシルフェニル)ブタン、4,4’-チオビス(6-ターシャリーブチル-2-メチルフェノール)、テトラブロモビスフェノールA、テトラブロモビスフェノールS、4,4」チオビス(2-メチルフェノール)、4,4’-チオビス(2-クロロフェノール)、テトラキス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)-1,2,3,4-ブタンテトラカルボキシレート、テトラキス(1,2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)-1,2,3,4-ブタンテトラカルボキシレートなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
--界面活性剤--
前記界面活性剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、両性界面活性剤、フッ素系界面活性剤などが挙げられる。
前記アニオン性界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩、ドデシルベンゼンスルホン酸塩、ラウリル酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルサルフェートの塩などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記ノニオン性界面活性剤としては、例えば、アセチレングリコール系界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記アセチレングリコール系界面活性剤としては、例えば、2,4,7,9-テトラメチル-5-デシン-4,7-ジオール、3,6-ジメチル-4-オクチン-3,6-ジオール、3,5-ジメチル-1-ヘキシン-3-ジオール、2,5,8,11-テトラメチル-6-ドデシン-5,8-ジオールなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
--滑剤--
前記滑剤としては、例えば、高級脂肪酸又はその金属塩、高級脂肪酸アミド、高級脂肪酸エステル、動物性ワックス、植物性ワックス、鉱物性ワックス、石油系ワックスなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
--填剤--
前記填剤としては、例えば、炭酸カルシウム、シリカ、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化ジルコニウム、水酸化アルミニウム、水酸化亜鉛、硫酸バリウム、クレー、カオリン、タルク、表面処理されたカルシウム、表面処理されたシリカ等の無機系微粉末;尿素-ホルマリン樹脂、スチレン-メタクリル酸共重合体、ポリスチレン樹脂、塩化ビニリデン樹脂などの有機系微粉末などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記填剤の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記バインダー樹脂1質量部に対して、0.4質量部以下が好ましく、0.2質量部以下がより好ましい。
(感熱記録媒体)
本発明の感熱記録媒体は、支持体と、前記支持体上に、本発明の感熱記録材料を用いた感熱記録層と、を有し、更に必要に応じてその他の層を有する。これら各層は、単層構造であってもよいし、積層構造であってもよい。ただし、前記光熱変換層の上に設ける層においては、照射する特定波長のレーザー光のエネルギーロスを少なくするために該特定波長において吸収の少ない材料を用いて層を構成させることが好ましい。
<支持体>
前記支持体としては、その形状、構造、大きさ、色調、材質等については、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、前記形状としては、例えば、平板状、シート状などが挙げられ、前記構造としては、単層構造であってもよいし、積層構造であってもよく、前記大きさとしては、前記感熱記録媒体の大きさ等に応じて適宜選択することができる。
前記支持体の材質としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、無機材料、有機材料などが挙げられる。
前記無機材料としては、例えば、ガラス、石英、シリコーン、酸化シリコーン、酸化アルミニウム、SiO、金属などが挙げられる。
前記有機材料としては、例えば、上質紙、アート紙、コート紙、合成紙等の紙;三酢酸セルロース等のセルロース誘導体;ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリエチレン、ポリプロピレン等のプラスチックフィルムなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記支持体は、接着性を向上させる目的で、例えば、コロナ放電処理、酸化反応処理(クロム酸等)、エッチング処理、易接着処理、帯電防止処理などにより表面改質することが好ましい。
前記支持体の平均厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、2μm以上5,000μm以下が好ましく、20μm以上2,000μm以下がより好ましい。
<感熱記録層>
前記感熱記録層は、本発明の感熱記録材料を用いた層である。感熱記録層の材料などについては、本発明の感熱記録材料と同一であるため、説明を省略する。
前記感熱記録層の乾燥後の付着量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1.0g/m以上20.0g/m以下が好ましく、2.0g/m以上10.0g/m以下がより好ましく、2.0g/m以上4.0g/m以下が特に好ましい。
前記その他の層としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、光熱変換層、着色層、プライマー層、紫外線吸収層、バック層、保護層、接着層、粘着層、バリア層、光反射層などが挙げられる。
<光熱変換層>
前記光熱変換層は、前記レーザ光を高効率で吸収し発熱する役割を有する光熱変換材料を少なくとも含有してなる。前記光熱変換材料は前記画像記録層又は前記画像記録層の近接層の少なくとも一方の層に含有させても良く、前記画像記録層中に光熱変換材料を含有させる場合には前記画像記録層は前記光熱変換層を兼ねることとなる。また画像記録層と光熱変換層の間に両層が相互作用を抑制する目的でバリア層を形成することがあり、材料として熱伝導性のよい層が好ましい。前記画像記録層と光熱変換層の間に挟む層は、目的に応じて適宜選択することができ、これらに限定されるものではない。
前記光熱変換材料としては、無機系材料と有機系材料とに大別できる。
前記無機系材料としては、特に制限はなく、例えば、カーボンブラックやGe、Bi、In、Te、Se、Cr等の金属又は半金属及びそれを含む合金や金属ホウ化物粒子、金属酸化物粒子が挙げられる。
前記金属ホウ化物及び金属酸化物としては、例えば6ホウ化物、酸化タングステン化合物、アンチモンドープ酸化スズ(ATO)、スズドープ酸化インジウム(ITO)、及びアンチモン酸亜鉛が好適である。
前記有機系材料としては、特に制限はなく、吸収すべき光波長に応じて各種の染料を適宜用いることができるが、光源として半導体レーザを用いる場合には、700nm以上1,600nm以下の波長範囲内に吸収ピークを有する近赤外吸収色素が用いられる。具体的には、シアニン色素、キノン系色素、インドナフトールのキノリン誘導体、フェニレンジアミン系ニッケル錯体、フタロシアニン系化合物などが挙げられる。繰返し画像処理を行うためには、耐熱性に優れた光熱変換材料を選択するのが好ましく、この点からフタロシアニン系化合物が特に好ましい。
前記近赤外吸収色素は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記光熱変換層を設ける場合には、通常、前記光熱変換材料は、樹脂と併用して用いられる。該光熱変換層に用いられる樹脂としては、特に制限はなく、前記無機系材料及び有機系材料を保持できるものであれば、公知のものの中から適宜選択することができるが、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂などが好ましく、前記画像記録層で用いられたバインダー樹脂と同様なものを好適に用いることができる。
これらの中でも、感熱記録媒体の非発色部の透明性点から、アクリル樹脂、スチレン-アクリル共重合体が好ましい。
<着色層>
前記着色層は少なくとも着色剤を含有してなり、デザイン性を向上させる目的で設けることが好ましい。前記着色剤は前記画像記録層又は前記画像記録層以外の層に含有させても良く、前記画像記録層中に着色剤を含有させる場合には前記画像記録層は前記着色層を兼ねることとなる。
着色剤の種類は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、水性インキ、有機溶剤系インキ、紫外線硬化型インキなどの各種一般印刷用インキ、染料及び/又は顔料を含有する各種塗液などが挙げられる。
着色層を設ける方法は、特に限定されるものではなく、例えば、インクジェット方式、オフセット印刷、グラビア印刷、フレキソ印刷、スクリーン印刷など従来公知の種々の印刷方式、ブレードコート法、グラビアコート法、グラビアオフセットコート法、バーコート法、ロールコート法、ナイフコート法、エアナイフコート法、コンマコート法、Uコンマコート法、AKKUコート法、スムージングコート法、マイクログラビアコート法、リバースロールコート法、4本乃至5本ロールコート法、ディップコート法、カーテンコート法、スライドコート法、ダイコート法などの各種塗布方式が挙げられる。
<プライマー層>
前記支持体と前記画像記録層の結着性を向上させる目的で、支持体と画像記録層の間にプライマー層を設けても良い。前記プライマー層に含有する成分は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
<紫外線遮断層>
前記紫外線遮断層は少なくとも紫外線吸収剤または紫外線散乱剤を含有してなり、前記感熱記録媒体の光劣化を防止する目的で、設けることが好ましい。紫外線遮断層は390nm以下の紫外線を吸収または散乱するように、紫外線遮断層の厚みを適宜選択することが好ましい。
<バック層>
感熱記録媒体のカール、帯電防止、搬送性の向上のために支持体の画像記録層を設ける面と反対側にバック層を設けてもよい。前記バック層は、バインダー樹脂を少なくとも含有し、更に必要に応じて、フィラー、導電性フィラー、滑剤、着色顔料等のその他の成分を含有してなる。
<保護層>
前記画像記録層を保護する目的で該画像記録層上に保護層を設けることが好ましい。前記保護層は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、1層以上に形成してもよく、露出している最表面に設けることが好ましい。
<接着層>
前記接着層を設けて感熱記録ラベルとすることができる。
また画像記録層上または画像記録層とは反対側の支持体上に接着層を設けて、各種の紙やフィルムを貼り合わせても良い。特に包装部材として使用する場合には、包装物の保存性向上の目的で、アルミ蒸着フィルムやシリカ蒸着フィルムといった酸素遮断フィルムを貼り合わせることが好ましい。
<粘着層>
前記粘着層を設けて感熱記録ラベルとすることができる。
<バリア層>
前記画像逆記録層と画像記録層上の層の密着性向上、画像記録層上の層の塗布による画像記録層の変質防止、画像記録層上の層中の添加剤の画像記録層への移行を防止する目的で、両者の間にバリア層を設けることが好ましく、これによって画像の保存性が改善できる。
<光反射層>
画像記録層をレーザを用いて発色させる場合には、画像記録層のレーザ光が出射される方向とは反対側に光反射層を設けることが好ましい。光反射層を設けることで、反射されたレーザ光が画像記録層に再び吸収されることによる感度向上や、レーザ光を吸収してしまう画像記録層以外の層や支持体がレーザにより破壊されるのを防ぐことができる。光反射層としては、白色顔料を用いることが好ましい。
-感熱塗料又は感熱インク-
前記感熱塗料又は感熱インクは、前記感熱記録媒体における感熱記録材料と同様のものを用いることができ、更に必要に応じてその他の成分を含有する。
前記その他の成分としては、例えば、溶媒、UV硬化性塗料の場合にはモノマー、オリゴマー、反応性希釈剤が溶媒の役割を担う。また、塗工性の調整や塗布によって形成される皮膜の特性を調整する添加剤として、界面活性剤、消泡剤、滑剤、硬化剤、帯電防止剤などが挙げられる。
本発明の感熱記録媒体は、その用途に応じて所望の形状に加工することができ、前記形状としては、例えば、カード状、タグ状、ラベル状、シート状、ロール状などが挙げられる。
<用途>
本発明の感熱記録媒体の用途としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、POS(Point of Sales)分野などに用いられ、生鮮食料品、弁当、惣菜などに貼付するラベル、生鮮食料品、弁当、惣菜などに巻きつける帯などが挙げられる。前記態様として用いることにより、内容物の視認性が向上し、消費者にとっては内容物を確認しながら商品選択をすることができる。その他の態様としては、例えば、チケット、タグ、カードなどが挙げられる。より具体的には、例えば、券売機、レシート、領収書などの発券分野;航空機業界のパッケージ用タグ、ピルケース、ピルボトルなど:図書、文書などの複写分野においては、ファクシミリの出力用紙などが挙げられる。
本発明の感熱記録媒体は、YAGレーザ用、ファイバーレーザ用、及び半導体レーザ用のいずれかの用途として特に好適に用いることができる。
(感熱記録媒体の製造方法)
本発明の感熱記録材料の製造方法は、支持体又は構造体上に本発明の感熱記録材料を塗布又は付与して感熱記録層を形成する工程を含み、更に必要に応じてその他の工程を含む。
前記支持体としては、本発明の感熱記録媒体に用いるものと同様のものを用いることができるため、その説明を省略する。
前記構造体としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、袋、ボトル、瓶、コンテナ、段ボールなどの各種容器などの工業製品や仕掛品などが挙げられる。これらの構造体に、感熱記録材料を混ぜたり、感熱インキを塗布又は付与した形態としてもよい。
前記支持体又は構造体上に本発明の感熱記録材料を塗布又は付与して感熱記録層を形成する工程において、支持体又は構造体上に本発明の感熱記録材料を塗布する方法としては、特に制限はなく、従来公知の種々の塗布方式が適用でき、例えば、レードコート法、グラビアコート法、グラビアオフセットコート法、バーコート法、ロールコート法、ナイフコート法、エアナイフコート法、コンマコート法、Uコンマコート法、AKKUコート法、スムージングコート法、マイクログラビアコート法、リバースロールコート法、4本乃至5本ロールコート法、ディップコート法、カーテンコート法、スライドコート法、ダイコート法などが挙げられる。
前記支持体又は構造体上に本発明の感熱記録材料を塗布又は付与して感熱記録層を形成する工程において、支持体上に本発明の感熱記録材料を付与する方法としては、特に制限はなく、従来公知の種々の印刷方式が適用でき、例えば、インクジェット方式、オフセット印刷、グラビア印刷、フレキソ印刷、スクリーン印刷などが挙げられる。
その他の工程としては、例えば、フィルム貼り合わせ工程などが挙げられる。
(物品)
物品は、本発明の感熱記録媒体を有する。
物品としては、本発明の感熱記録媒体を有していれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、生鮮食料品、飲料、弁当、惣菜、図書、文書、これらを梱包材、包装資材、包装紙等で梱包した梱包品などが挙げられる。
(感熱記録方法及び感熱記録蔵置)
本発明の感熱記録方法は、本発明の感熱記録材料に対し、光を照射することにより画像を記録する。
本発明の感熱記録装置は、本発明の感熱記録材料に対し、光を照射することにより画像を記録する。
なお、本発明の感熱記録方法は、画像記録方法と称することもある。また、本発明の感熱記録装置は、画像記録装置と称することもある。
画像記録方法は、加熱することにより画像記録を行うもので、加熱手段としては種々のものが考えられるが、非接触で加熱できるレーザ光を使用することが好ましい。
前記レーザ光には特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、例えば、YAGレーザ光、ファイバーレーザ光、半導体レーザ、固体レーザ、色素レーザなどを通常用いられるレーザが挙げられる。中でも装置の小型化、更には低価格化が可能であるという利点から、半導体レーザ光が特に好ましい。
前記レーザ光の波長としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、700nm以上が好ましく、720nm以上がより好ましく、750nm以上が更に好ましい。前記レーザ光の波長の上限としては、目的に応じて適宜選択することができるが、1,600nm以下が好ましく、1,300mm以下がより好ましく、1,200nm以下が特に好ましい。
前記レーザ光の波長を700nmより短い波長にすると、可視光領域では媒体の画像形成時のコントラストが低下したり、媒体が着色してしまうという問題がある。更に短い波長の紫外光領域では、媒体の劣化が起こりやすくなるという問題がある。また光熱変換材料に有機色素を用いる場合、耐熱性が高く吸収波長が長い光熱変換材料を得るのは難しい。これよりレーザ光の波長としては1,600nm以下が好ましい。
前記画像形成装置における画像形成工程において照射されるレーザ光の出力としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1W以上が好ましく、3W以上がより好ましく、5W以上が特に好ましい。1W未満であると、画像形成に時間がかかり、画像形成時間を短くしようとすると出力が不足してしまう。
また、前記レーザ光の出力の上限としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、200W以下が好ましく、150W以下がより好ましく、100W以下が特に好ましい。200Wを超えると、レーザ装置の大型化を招くことがある。
また感熱記録媒体への画像記録を高速で行う場合には、複数のレーザ発光素子をアレイ状に配置したレーザアレイを用いる装置であることが特に好ましい。
一例として、記録対象物として感熱記録部を有する構造体、具体的には、記録対象物として、長尺状の感熱記録ラベルに画像を記録するレーザ記録装置について説明する。
図1は、レーザ記録装置たる画像記録システム100の概略斜視図である。
以下の説明では、感熱記録ラベルの搬送方向(移動方向)をX軸方向、上下方向をZ軸方向、移動方向および上下方向いずれにも直交する方向をY軸方向として説明する。
画像記録システム100は、以下に詳述するように、記録対象物たる感熱記録ラベルにレーザ光を照射して、表面の加工処理や画像の記録処理を行う。
画像記録システム100は、図1に示されるように、搬送装置10、記録装置20、本体部30、光ファイバ42、エンコーダ部60などを備えている。
記録装置20は、記録対象物にレーザ光を照射して、記録対象物の表面に加工処理を施したり、記録対象物に可視像たる画像を記録したりするものであり、レーザ照射装置に相当する。記録装置20は、搬送装置10の-Y側、すなわち搬送路の-Y側に配置されている。
搬送装置10は、例えば、複数の回転ローラを利用して感熱記録ラベルを搬送する。
本体部30は、搬送装置10、記録装置20などが接続されており、画像記録システム100全体を制御するものである。
エンコーダ部60は、感熱記録ラベルの移動速度を取得する。
図2は、画像記録システム100の構成を示す概略斜視図である。
画像記録システム100は、レーザ光源であるレーザ処理装置30を備えている。レーザ処理装置30は、レーザアレイ部14aとファイバアレイ部14bとを有するレーザ照射装置14と、光学部43と、を備えている。ここでは、レーザ照射装置14として、複数の光ファイバのレーザ出射部を記録対象物たる感熱記録ラベルの移動方向である副走査方向(X軸方向)と直交する主走査方向(Z軸方向)にアレイ状に配置したファイバアレイを用いて、表面加工処理、画像の記録を行うファイバアレイ記録装置を用いている。レーザ処理装置30は、レーザ発光素子41から出射したレーザ光を、ファイバアレイを介して感熱記録ラベルに照射し、描画単位からなる画像(可視像)を記録する。
レーザアレイ部14aは、アレイ状に配置された複数のレーザ発光素子41と、レーザ発光素子41を冷却する冷却ユニット50と、レーザ発光素子41に対応して設けられ、対応するレーザ発光素子41を駆動するための複数の駆動ドライバ45と、複数の駆動ドライバ45を制御するコントローラ46とを備えている。コントローラ46には、レーザ発光素子41に電力を供給するための電源48および画像情報を出力するパーソナルコンピュータなどの画像情報出力部47が接続されている。
通常、レーザ発光素子41においては、レーザ光に変換されないエネルギーが熱に変換されることで発熱する。そのため、冷却手段である冷却ユニット50によりレーザ発光素子41を冷却する。また、ここでのレーザ照射装置14は、ファイバアレイ部14bを用いることで、各レーザ発光素子41を離して配置することが可能となっている。これにより、隣接するレーザ発光素子41からの熱の影響を小さくすることが可能となり、レーザ発光素子41の冷却を効率的に行うことが出来るので、レーザ発光素子41の温度上昇、バラツキを回避することが出来、レーザ光の出力バラツキを低減出来、濃度ムラ、を改善できる。なお、レーザ光の出力とはパワーメータで計測される平均出力である。レーザ光の出力制御方法としては2種類あり、ピークパワーを制御する方法と、パルスの発光比率(デューティー:レーザ発光時間/周期時間)を制御する方法とがある。
冷却ユニット50は、冷却液を循環させてレーザ発光素子41を冷却する液冷方式であり、冷却液が各レーザ発光素子41から熱を受ける受熱部51と、冷却液の熱を放熱する放熱部52とを備えている。受熱部51と放熱部52とは、冷却パイプ53a、53bにより接続されている。受熱部51は、良熱伝導性部材で形成されたケース内部に良熱伝導性部材で形成された冷却液が流れるための冷却管が設けられている。複数のレーザ発光素子41は、受熱部51にアレイ状に配置されている。
放熱部52は、ラジエータと、冷却液を循環させるためのポンプとを備えている。放熱部52のポンプにより送り出された冷却液は、冷却パイプ53aを通って、受熱部51へ流入する。そして、冷却液は、受熱部51内の冷却管を移動しながら受熱部51に配列されたレーザ発光素子41の熱を奪ってレーザ発光素子41を冷やす。受熱部51から流出したレーザ発光素子41の熱を奪って温度上昇した冷却液は、冷却パイプ53b内を移動して放熱部52のラジエータへ流れ込み、ラジエータにより冷却される。ラジエータにより冷却された冷却液は、再びポンプにより受熱部51へ送り出される。
ファイバアレイ部14bは、レーザ発光素子41に対応して設けられた複数の光ファイバ42と、これら光ファイバ42のレーザ出射部42a付近を、上下方向(Z軸方向)にアレイ状に保持するアレイヘッド44とを備えている。各光ファイバ42のレーザ入射部は、対応するレーザ発光素子41のレーザ出射面に取り付けられている。
なお、一つのアレイヘッド44ですべての光ファイバ42を保持しようとした場合、アレイヘッド44が長尺となり、変形しやすくなる。その結果、一つのアレイヘッド44では、ビーム配列の直線性やビームピッチの均一性を保つのが難しい。このため、アレイヘッド44は、光ファイバ42を100個~200個保持するものとする。そのうえで、レーザ照射装置14は、100個~200個の光ファイバ42を保持した複数のアレイヘッド44を、感熱記録ラベルの移動方向に対して直交する方向であるZ軸方向に並べて配設するのが好ましい。
図3は、レーザアレイの配列状態について説明する図である。図3に示すように、図2におけるアレイヘッド44の光ファイバ42は、光学部43によって集光された焦点位置において、感熱記録媒体にレーザを照射して発色して形成されるドット径R1が連なるように配列される。
レーザ光の走査方向には、主走査方向と副走査方向とがあり、主走査方向と副走査方向とは互いに直交する。主走査方向とは、複数の光ファイバ42を配列する方向である。副走査方向とは、感熱記録ラベルが移動する方向である。
なお、アレイヘッド44と感熱記録ラベルとを相対的に移動させて感熱記録ラベルに画像を記録するため、アレイヘッド44が感熱記録ラベルに対して移動してもよく、感熱記録ラベルがアレイヘッド44に対して移動してもよい。感熱記録ラベルに対してアレイヘッド44を移動させる場合でも、アレイヘッド44を観測点とすれば、感熱記録ラベルの移動速度という表現を用いることができる。
また、図2に示すように、光学系の一例である光学部43は、各光ファイバ42から出射した発散光束のレーザ光を平行光束に変換するコリメートレンズ43aと、レーザ照射面である感熱記録ラベルの表面にレーザ光を集光する集光レンズ43bとを有している。また、上記光学部43を設けるか否かは、目的に応じて適宜選択すればよい。
パーソナルコンピュータなどの画像情報出力部47は、画像情報をコントローラ46に入力する。コントローラ46は、入力された画像情報に基づいて各駆動ドライバ45を駆動するための駆動信号(制御パルス)を生成する。コントローラ46は、生成された駆動信号(制御パルス)を各駆動ドライバ45へ送信する。具体的には、コントローラ46は、クロックジェネレータを備えている。コントローラ46は、クロックジェネレータが発振するクロック数が、規定のクロック数となったら、各駆動ドライバ45を駆動するための駆動信号(制御パルス)を各駆動ドライバ45へ送信する。
各駆動ドライバ45は、駆動信号(制御パルス)を受信すると、電流パルスを送信して対応するレーザ発光素子41を駆動する。レーザ発光素子41は、駆動ドライバ45の駆動に従い、発光パルスを出力してレーザ光を照射する。レーザ発光素子41から照射されたレーザ光は、対応する光ファイバ42に入射し、光ファイバ42のレーザ出射部42aから出射される。光ファイバ42のレーザ出射部42aから出射されたレーザ光は、光学部43のコリメートレンズ43a、集光レンズ43bを透過した後、記録対象物である感熱記録ラベルに照射される。感熱記録ラベルに照射されたレーザ光により加熱されることにより、感熱記録ラベルに画像が記録される。
ところで、記録装置として、ガルバノミラーを用いてレーザ光を偏向して記録対象物に画像を記録するものを用いた場合、文字等の画像は、ガルバノミラーの回転で一筆書きするように、レーザ光を照射して記録する。そのため、ある一定の情報量を記録対象物に記録する場合、記録対象物の搬送を停止させないと、記録が間に合わないという制約がある。
一方、レーザ照射装置14では、複数のレーザ発光素子41をアレイ状に配置したレーザアレイを用いることで、各画素に対応するレーザ発光素子のON/OFF制御で、感熱記録ラベルに画像を記録することができる。これにより、情報量が多くても、感熱記録ラベルの搬送を停止させずに、感熱記録ラベルに画像を記録することができる。よって、レーザ照射装置14によれば、多くの情報を記録対象物に記録する場合でも、生産性を落とさずに、画像を記録することができる。
レーザ照射装置14は、レーザ光を照射して感熱記録ラベルを加熱することで、感熱記録ラベルに画像を記録するため、ある程度の高出力のレーザ発光素子41を用いる必要がある。そのため、レーザ発光素子41の発熱量が多い。ファイバアレイ部14bを有さない従来のレーザアレイ記録装置においては、解像度に応じた間隔でレーザ発光素子41をアレイ状に配置する必要がある。従って、従来のレーザアレイ記録装置においては、200dpiの解像度にするためには、レーザ発光素子41を非常に狭いピッチで配置することになる。その結果、従来のレーザアレイ記録装置においては、レーザ発光素子41の熱が逃げ難く、レーザ発光素子41が高温となる。従来のレーザアレイ記録装置においては、レーザ発光素子41が高温となると、レーザ発光素子41の波長や光出力が変動してしまい、記録対象物を規定の温度にまで加熱することができず、良好な画像を得ることができなくなる。また、従来のレーザアレイ記録装置においては、このようなレーザ発光素子41の温度上昇を抑えるために、記録対象物の搬送スピードを落としてレーザ発光素子41の発光間隔を開ける必要があり、生産性を十分高めることができない。
通常、冷却ユニット50はチラー方式を用いることが多く、本方式では加熱を行わず冷却のみを行う。そのため、光源の温度はチラーの設定温度より高くなることはないが、環境温度より冷却ユニット50及び接触させているレーザ発光素子41の温度は変動することになる。一方、レーザ発光素子41として半導体レーザを用いた場合、レーザ発光素子41の温度に応じてレーザ出力が変化する現象が発生する(レーザ発光素子41の温度が
低温になるとレーザ出力が高くなる)。従って、レーザ出力を制御するためには、レーザ発光素子41の温度又は冷却ユニット50の温度を計測し、その結果に応じてレーザ出力が一定になるようにレーザ出力を制御する駆動ドライバ45への入力信号を制御することで、正常な画像形成を行うことが好ましい。
これに対し、レーザ照射装置14は、ファイバアレイ部14bを用いたファイバアレイ記録装置である。ファイバアレイ記録装置を用いることで、ファイバアレイ部14bのレーザ出射部42aを、解像度に応じたピッチで配置すればよく、レーザアレイ部14aのレーザ発光素子41間のピッチを画像解像度に応じたピッチにする必要がなくなる。これにより、レーザ照射装置14によれば、レーザ発光素子41の熱が十分放熱できるように、レーザ発光素子41間のピッチを十分広くすることができる。これにより、レーザ照射装置14によれば、レーザ発光素子41が高温となるのを抑制することができ、レーザ発光素子41の波長や光出力が変動するのを抑制することができる。その結果、レーザ照射装置14によれば、感熱記録ラベルに良好な画像を記録することができる。また、レーザ発光素子41の発光間隔を短くしても、レーザ発光素子41の温度上昇を抑制することができ、感熱記録ラベルの移動速度をあげることができ、生産性を高めることができる。
また、レーザ照射装置14においては、冷却ユニット50を設けて、レーザ発光素子41を液冷することで、レーザ発光素子41の温度上昇をより一層抑制することができる。その結果、レーザ照射装置14によれば、さらに、レーザ発光素子41の発光間隔を短くすることができ、感熱記録ラベルの移動速度をあげることができ、生産性を高めることができる。レーザ照射装置14では、レーザ発光素子41を液冷しているが、冷却ファンなどを用いてレーザ発光素子41を空冷するようにしてもよい。液冷の方が空冷より冷却効率が高く、レーザ発光素子41を良好に冷却できるというメリットがある。一方、空冷とすることで、液冷より冷却効率は落ちるが、安価にレーザ発光素子41を冷却することができるというメリットがある。
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明は、これらの実施例に何ら限定されるものではない。
<製造例1:感熱記録媒体1の製造>
-顕色剤(電子受容性化合物)分散液1の調製-
顕色剤(電子受容性化合物)として、4,4’-(3,3,5-トリメチル-1,1-シクロヘキサンジイル)ビス(フェノール)(融点205℃)30質量部、36質量%カルボキシル基含有アクリル樹脂水溶液(商品名:HPD-196、BASF社製)16質量部、及びイオン交換水54質量部を添加し、レーザー回折/散乱式粒子径分布測定装置(装置名:LA-920、株式会社堀場製作所製)で測定される50%累積体積粒径(D50)が0.1μmとなるようにサンドミルにより分散して顕色剤(電子受容性化合物)分散液1を得た。
-染料(電子供与性染料)分散液1の調製-
染料(電子供与性染料)として、2-アリニノ-3-メチル-6-ジブチルアミノフルオラン(融点180℃)30質量部、36質量%カルボキシル基含有アクリル樹脂水溶液(商品名:HPD-196、BASF社製)16質量部、及びイオン交換水54質量部を添加し、レーザー回折/散乱式粒子径分布測定装置(装置名:LA-920、株式会社堀場製作所製)で測定される50%累積体積粒径(D50)が0.1μmとなるようにサンドミルにより分散して染料分散液を得た。
-感熱記録層用塗布液(感熱記録材料)1の調製-
調製した顕色剤分散液1を25質量部、染料分散液1を75質量部、アクリルエマルジョン(商品名:EK-301、固形分42%、サイデン化学株式会社製)10.5質量部、光熱変換材料としてセシウム酸化タングステン分散体(商品名:YMW-D20、固形分28.5%、住友金属鉱山株式会社製)6質量部、及びイオン交換水23.5質量部を混合撹拌し、感熱記録材料(感熱記録層用塗布液)1を調製した。
調製した感熱記録層用塗布液1を、支持体としてコロナ処理したポリプロピレンフィルム(商品名:P2111、平均厚み:30μm、東洋紡株式会社製)のコロナ処理面に対して、前記感熱記録層用塗布液1を乾燥後の付着量が3.5g/mとなるように、バーコーターを用いて塗布し、乾燥させて、感熱記録媒体1を製造した。
<製造例2:感熱記録媒体2の製造>
製造例1において、顕色剤(電子受容性化合物)を4,4’-(3,3,5-トリメチル-1,1-シクロヘキサンジイル)ビス(フェノール)から9,9-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)フルオレン(融点218℃)に変更した以外は、製造例1と同様にして、感熱記録媒体2を製造した。
<製造例3:感熱記録媒体3の製造>
製造例1において、顕色剤(電子受容性化合物)を4,4’-(3,3,5-トリメチル-1,1-シクロヘキサンジイル)ビス(フェノール)から9,9-ビス(4-ヒドロキシフェニル)フルオレン(融点223℃)に変更した以外は、製造例1と同様にして、感熱記録媒体3を製造した。
<製造例4:感熱記録媒体4の製造>
製造例1において、顕色剤(電子受容性化合物)を4,4’-(3,3,5-トリメチル-1,1-シクロヘキサンジイル)ビス(フェノール)から1,1,1-トリス(4-ヒドロキシフェニル)エタン(融点248℃)に変更した以外は、製造例1と同様にして、感熱記録媒体4を製造した。
<製造例5:感熱記録媒体5の製造>
製造例1において、顕色剤(電子受容性化合物)を4,4’-(3,3,5-トリメチル-1,1-シクロヘキサンジイル)ビス(フェノール)から1,1,2,2-テトラキス(4-ヒドロキシフェニル)エタン(融点310~330℃)に変更した以外は、製造例1と同様にして、感熱記録媒体5を製造した。
<製造例6:感熱記録媒体6の製造>
製造例1において、染料(電子受容性化合物)を2-アリニノ-3-メチル-6-ジブチルアミノフルオランから2’-アニリノ-6’-[N-エチル-N-(4-トリル)アミノ]-3’-メチル-3H-スピロ[イソベンゾフラン-1,9’-キサンテン]-3-オン(融点206~208℃)に変更した以外は、製造例1と同様にして、感熱記録媒体6を製造した。
<製造例7:感熱記録媒体7の製造>
製造例6において、顕色剤(電子受容性化合物)を4,4’-(3,3,5-トリメチル-1,1-シクロヘキサンジイル)ビス(フェノール)から9,9-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)フルオレン(融点218℃)に変更した以外は、製造例6と同様にして、感熱記録媒体7を製造した。
<製造例8:感熱記録媒体8の製造>
製造例6において、顕色剤(電子受容性化合物)を4,4’-(3,3,5-トリメチル-1,1-シクロヘキサンジイル)ビス(フェノール)から9,9-ビス(4-ヒドロキシフェニル)フルオレン(融点223℃)に変更した以外は、製造例6と同様にして、感熱記録媒体8を製造した。
<製造例9:感熱記録媒体9の製造>
製造例6において、顕色剤(電子受容性化合物)を4,4’-(3,3,5-トリメチル-1,1-シクロヘキサンジイル)ビス(フェノール)から1,1,1-トリス(4-ヒドロキシフェニル)エタン(融点248℃)に変更した以外は、製造例6と同様にして、感熱記録媒体9を製造した。
<製造例10:感熱記録媒体10の製造>
製造例6において、顕色剤(電子受容性化合物)を4,4’-(3,3,5-トリメチル-1,1-シクロヘキサンジイル)ビス(フェノール)から1,1,2,2-テトラキス(4-ヒドロキシフェニル)エタン(融点310~330℃)に変更した以外は、製造例6と同様にして、感熱記録媒体10を製造した。
<製造例11:感熱記録媒体11の製造>
製造例1において、顕色剤(電子受容性化合物)を4,4’-(3,3,5-トリメチル-1,1-シクロヘキサンジイル)ビス(フェノール)から4,4’-(1,3-ジメチルブチリデン)ジフェノール(融点154℃)に変更した以外は、製造例1と同様にして、感熱記録媒体11を製造した。
<製造例12:感熱記録媒体12の製造>
製造例1において、顕色剤(電子受容性化合物)を4,4’-(3,3,5-トリメチル-1,1-シクロヘキサンジイル)ビス(フェノール)から4-ターシャリーブチルフェノールホルムアルデヒド重合体(融点149~190℃)に変更した以外は、製造例1と同様にして、感熱記録媒体12を製造した。
<製造例13:感熱記録媒体13の製造>
製造例1において、顕色剤(電子受容性化合物)を4,4’-(3,3,5-トリメチル-1,1-シクロヘキサンジイル)ビス(フェノール)から4,4’-(α-メチルベンジリデン)ビスフェノール(融点188℃)に変更した以外は、製造例1と同様にして、感熱記録媒体13を製造した。
<製造例14:感熱記録媒体14の製造>
製造例1において、顕色剤(電子受容性化合物)を4,4’-(3,3,5-トリメチル-1,1-シクロヘキサンジイル)ビス(フェノール)からブチリデンビス(メチル-ブチルフェノール)(融点210℃)に変更した以外は、製造例1と同様にして、感熱記録媒体14を製造した。
<製造例15:感熱記録媒体15の製造>
製造例1において、顕色剤(電子受容性化合物)を4,4’-(3,3,5-トリメチル-1,1-シクロヘキサンジイル)ビス(フェノール)から2,4,6-トリス(3’,5’-ジ-tert-ブチル-4’-ヒドロキシベンジル)メシチレン(融点245℃)に変更した以外は、製造例1と同様にして、感熱記録媒体15を製造した。
<製造例16:感熱記録媒体16の製造>
製造例1において、顕色剤(電子受容性化合物)を4,4’-(3,3,5-トリメチル-1,1-シクロヘキサンジイル)ビス(フェノール)から4,4’-スルフオニルジフエノール(ビスフェノールS)(融点250℃)に変更した以外は、製造例1と同様にして、感熱記録媒体16を製造した。
<製造例17:感熱記録媒体17の製造>
製造例6において、顕色剤(電子受容性化合物)を4,4’-(3,3,5-トリメチル-1,1-シクロヘキサンジイル)ビス(フェノール)から4,4’-(1,3-ジメチルブチリデン)ジフェノール(融点154℃)に変更した以外は、製造例6と同様にして、感熱記録媒体17を製造した。
<製造例18:感熱記録媒体18の製造>
製造例6において、顕色剤(電子受容性化合物)を4,4’-(3,3,5-トリメチル-1,1-シクロヘキサンジイル)ビス(フェノール)から4-ターシャリーブチルフェノールホルムアルデヒド重合体(融点149~190℃)に変更した以外は、製造例6と同様にして、感熱記録媒体18を製造した。
<製造例19:感熱記録媒体19の製造>
製造例6において、顕色剤(電子受容性化合物)を4,4’-(3,3,5-トリメチル-1,1-シクロヘキサンジイル)ビス(フェノール)から4,4’-(α-メチルベンジリデン)ビスフェノール(融点188℃)に変更した以外は、製造例6と同様にして、感熱記録媒体19を製造した。
<製造例20:感熱記録媒体20の製造>
製造例6において、顕色剤(電子受容性化合物)を4,4’-(3,3,5-トリメチル-1,1-シクロヘキサンジイル)ビス(フェノール)からブチリデンビス(メチル-ブチルフェノール)(融点210℃)に変更した以外は、製造例6と同様にして、感熱記録媒体20を製造した。
<製造例21:感熱記録媒体21の製造>
製造例6において、顕色剤(電子受容性化合物)を4,4’-(3,3,5-トリメチル-1,1-シクロヘキサンジイル)ビス(フェノール)から2,4,6-トリス(3’,5’-ジ-tert-ブチル-4’-ヒドロキシベンジル)メシチレン(融点245℃)に変更した以外は、製造例6と同様にして、感熱記録媒体21を製造した。
<製造例22:感熱記録媒体22の製造>
製造例6において、顕色剤(電子受容性化合物)を4,4’-(3,3,5-トリメチル-1,1-シクロヘキサンジイル)ビス(フェノール)から4,4’-スルフオニルジフエノール(ビスフェノールS)(融点250℃)に変更した以外は、製造例6と同様にして、感熱記録媒体22を製造した。
<製造例23~44:感熱記録媒体23~44の製造>
製造例1~22において、感熱記録用塗布液の光熱変換材料のセシウム酸化タングステン分散体(商品名:YMW-D20、固形分28.5%、住友金属鉱山株式会社製)を添加しない以外は、製造例1~22と同様にして、それぞれ感熱記録媒体23~44を製造した。
次に、製造した感熱記録媒体1~22において、以下のようにして、「地肌カブリ」及び「感度」を評価した。結果を表1に示す。
<地肌カブリ>
熱傾斜試験機(装置名:HG-100-2、東洋精機社製)を用いて、製造した感熱記録媒体1~22の地肌カブリを評価した。130℃及び160℃に加熱した熱ブロック(ホットスタンプ))で2kg/cm、1秒間の条件で支持体側から押し当てて、濃度計X-Rite Exactを用いて、作製した感熱記録媒体の加熱部及び非加熱部の黒濃度を測定し、加熱部と非加熱部の黒濃度差算出し、下記評価基準に基いて評価した。なお、「黒濃度差」が「1」以上であれば、使用上問題のないレベルである。
3:加熱部と非加熱部の黒濃度差が0.1未満
2:加熱部と非加熱部の黒濃度差が0.1以上0.2未満
1:加熱部と非加熱部の黒濃度差が0.2以上0.3未満
0:加熱部と非加熱部の黒濃度差が0.3以上
<「感度」及び「ダメージの有無」の評価>
図1に示す記録装置を用い、移動速度を 4m/秒間とし、製造した感熱記録媒体1~22に対して、5mm四方のベタ塗りつぶし画像を記録した。
図1に示す記録装置は、出射手段として最大出力30WのファイバーカップリングLDを100個有し、光ファイバーアレイとして100個の光ファイバー(光 ファイバーの直径125μm、コア部の直径105μm)が主走査方向に配列し、隣接する光ファイバー間のピッチ間隔が130μmである。感熱記録媒体上でのビーム径の大きさは0.127mmとした。
入射エネルギーは9W、周期時間31.8μs、Duty比100%~0%まで16段階でパルス幅変調し、印加エネルギー別の印字を行った。その後、濃度計X-Rite Exactを用いて、作製した感熱記録媒体の加熱部の黒濃度を測定し、下記評価基準に基いて評価した。また、フィルムのダメージは試験画像サンプルを目視にて確認し、フィルムの波うちや破れが発生しているか否かを評価した。なお、以下評価基準が「3」であれば、使用上問題のないレベルである。
[評価基準]
3:加熱部の黒濃度が1.0以上2.0未満かつダメージなし
0:加熱部の黒濃度が1.0未満又はダメージあり
Figure 0007302214000007
次に、製造した感熱記録媒体23~44において、以下のようにして、「地肌カブリ」及び「感度とダメージ」を評価した。結果を表2及び表3に示す。
<地肌カブリ>
熱傾斜試験機(装置名:HG-100-2、東洋精機社製)を用いて、製造した感熱記録媒体23~44の地肌カブリを評価した。130℃及び160℃に加熱した熱ブロック(ホットスタンプ))で2kg/cm、1秒間の条件で支持体側から押し当てて、濃度計X-Rite Exactを用いて、作製した感熱記録媒体の加熱部及び非加熱部の黒濃度を測定し、加熱部と非加熱部の黒濃度差算出し、下記評価基準に基いて評価した。なお、「黒濃度差」が「1」以上であれば、使用上問題のないレベルである。
3:加熱部と非加熱部の黒濃度差が0.1未満
2:加熱部と非加熱部の黒濃度差が0.1以上0.2未満
1:加熱部と非加熱部の黒濃度差が0.2以上0.3未満
0:加熱部と非加熱部の黒濃度差が0.3以上
<「感度」及び「ダメージの有無」>
炭酸ガスレーザは炭酸ガスレーザマーカ(SUNX社製、装置名:LP-400)を用い、スキャニングスピードを3,000mm/秒間、レーザパワーを40とし、製造した感熱記録媒体1~22に対して、補正値90%、80%、70%の5mm四方のベタ塗りつぶし画像を記録した結果を参考例1~22として示す。その後、濃度計X-Rite Exactを用いて、作製した感熱記録媒体の加熱部の黒濃度を測定し、下記評価基準に基いて評価した。その画像の黒濃度とフィルムのダメージを下記評価基準に基づき評価した。黒濃度は濃度計X-Rite Exactを用いて、作製した感熱記録媒体の加熱部の黒濃度を測定して評価した。また、フィルムのダメージは試験画像サンプルを目視にて確認し、フィルムの波うちや破れが発生しているか否かを示す。なお、以下評価基準が「3」であれば、使用上問題のないレベルである。
[評価基準]
3:加熱部の黒濃度が1.0以上かつダメージなし
0:加熱部の黒濃度が1.0未満又はダメージあり
Figure 0007302214000008
Figure 0007302214000009
表1の光熱変換方式のLDレーザを用いた印字方式では、実施例1~10は地肌カブリの抑制と感度が両立していた。一方、顕色剤の融点が200℃以下の比較例1~3、7~9と構造にスルホニル基を有する比較例6、12は耐熱カブリ性が不十分である。融点が200℃以上であるものの、フェノールのオルト位にt-ブチル基を有する比較例4、5、10、11は地肌カブリの抑制は十分であったが、発色感度が不十分であった。
表2及び表3に感熱記録層内部より加熱する光熱変換方式ではなく、感熱記録層表面より加熱する炭酸ガスレーザを用いた評価結果を示す。表1の実施例1~10に対応する比較例13~22では、地肌カブリの抑制は十分であったものの、発色濃度とフィルムのダメージを両立することができなかった。その他の比較例23~34も表1と同様の傾向で発色感度と十分な地肌カブリの抑制を満たすものはなかった。このことから、表1の実施例1~10で示した十分な地肌カブリの抑制と感度の両立は、高融点顕色剤を用いて、光熱変換方式により感熱記録層内部より加熱する印字方式によって達成されることが示された。
本発明の態様としては、例えば、以下のとおりである。
<1> 電子供与性染料と、下記構造式1及び2のいずれかで表され、かつ融点が200℃以上である電子受容性化合物と、光熱変換材料とを含有することを特徴とする感熱記録材料である。
Figure 0007302214000010
Figure 0007302214000011
前記式(1)及び式(2)中、R1及びR2はそれぞれ、水素原子、炭素数1~12のアルキル基(R1及びR2を含む環状構造をとってもよい)、炭素数6~20のアリール基、又は炭素数7~20のアラルキル基を表し、R1及びR2は同一であっても、異なっていてもよく、アリール基は置換されても置換されていなくともよく、
R3、R4、R5、及びR6はそれぞれ、水素原子、炭素数1~12のアルキル基、炭素数6~20のアリール基、又は炭素数7~20のアラルキル基を表し、R3、R4、R5、及びR6は同一であっても、異なっていてもよく、アリール基は置換されても置換されていなくともよく、
X1及びX2はそれぞれ、水素原子、水酸基、ハロゲン原子、炭素数1~3のアルキル基、又は炭素数1~3のアルコキシ基を表し、X1及びX2は同一であっても、異なっていてもよい(nは0~4の整数)。
<2> 前記電子受容性化合物の融点が300℃以上である、前記<1>に記載の感熱記録材料である。
<3> 前記電子供与性染料の融点が200℃以上である、前記<1>及び<2>のいずれかに記載の感熱記録材料である。
<4> レーザ記録用である、前記<1>及び<3>のいずれかに記載の感熱記録材料である。
<5> 前記光熱変換材料が酸化タングステン化合物の粒子である、前記<1>から<4>のいずれかに記載の感熱記録材料である。
<6> 前記<1>から<5>のいずれかに記載の感熱記録材料に対し、光を照射することにより画像を記録することを特徴とする感熱記録方法である。
<7> 前記光がレーザ光である、前記<6>に記載の感熱記録方法である。
<8> 前記レーザ光が、YAGレーザ光、ファイバーレーザ光、及び半導体レーザ光のいずれかである、前記<6>から<7>のいずれかに記載の感熱記録方法である。
<9> 支持体と、前記支持体上に前記<1>から<5>のいずれかに記載の感熱記録材料からなる感熱記録層と、を有することを特徴とする感熱記録媒体である。
<10> 前記<1>から<5>のいずれかに記載の感熱記録材料に対し、光を照射することにより画像を記録することを特徴とする感熱記録装置である。
前記<1>から<5>のいずれかに記載の感熱記録材料、前記<6>から<8>のいずれかに記載の感熱記録方法、前記<9>に記載の感熱記録媒体、及び前記<10>に記載の感熱記録装置によると、従来における諸問題を解決し、本発明の目的を達成することができる。
特開平8-25809号公報 特開平7-228057号公報 特開平9-24672号公報 特開平6-115255号公報

Claims (7)

  1. 電子供与性染料と、電子受容性化合物と、光熱変換材料と、を含有し、
    前記光熱変換材料の熱により、前記電子供与性染料と前記電子受容性化合物とが溶融混合することによって発色する感熱記録材料であって、
    前記電子受容性化合物は、4,4’-(3,3,5-トリメチル-1,1-シクロヘキサンジイル)ビスフェノール、及び1,1,2,2-テトラキス(4-ヒドロキシフェニル)エタンの少なくともいずれかを含むことを特徴とする感熱記録材料。
  2. 前記電子供与性染料の融点が200℃以上である、請求項1に記載の感熱記録材料。
  3. 前記光熱変換材料が酸化タングステン化合物の粒子である、請求項1から2のいずれかに記載の感熱記録材料。
  4. 請求項1から3のいずれかに記載の感熱記録材料に対し、光を照射することにより画像を記録することを特徴とする感熱記録方法。
  5. 前記光が、YAGレーザ光、ファイバーレーザ光、及び半導体レーザ光のいずれかである、請求項4に記載の感熱記録方法。
  6. 支持体と、前記支持体上に請求項1から3のいずれかに記載の感熱記録材料からなる感熱記録層と、を有することを特徴とする感熱記録媒体。
  7. 請求項1から3のいずれかに記載の感熱記録材料に対し、光を照射することにより画像を記録することを特徴とする感熱記録装置。
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