JP7301622B2 - モータ制御装置およびモータ制御方法、光学機器 - Google Patents

モータ制御装置およびモータ制御方法、光学機器 Download PDF

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Description

本発明は、ステッピングモータの進角制御の技術に関する。
さまざまな分野で用いられるステッピングモータは、オープンループ制御で高精度な位置決め動作を容易に行えるが、オープンループ制御時の高負荷や高速回転により脱調する可能性がある。そこで、ステッピングモータに設けた位置センサから得られるモータの回転位相信号を用いて、回転位相に対する駆動波形の進角を制御する方法がある。この方法によれば、最適な進角制御によって回転効率を最大限に引き出すことが可能となり、高速化や省電力化を実現できる。
特許文献1では、ステッピングモータのマイクロステップ駆動において、駆動波形の周期を変更して進角値を目標値に一致させる方法が開示されている。特許文献2では、ステッピングモータのマイクロステップ駆動において、駆動波形の振幅を変更して進角値を目標値に一致させる方法が開示されている。
特許第6278622号公報 特許第6207223号公報
特許文献1に開示の技術は、モータ回転速度の高速域では優位であるが、モータ回転速度の低速域では位置センサの検出周期が長くなる。そのため、周期変動が大きくなり、モータの騒音が発生する可能性がある。また目標進角については、実験的に求めた進角と回転速度との関係のデータをメモリに記憶しておき、記憶された進角量が目標進角として設定される。しかしながらモータとこれに接続される移動部材には個体差があり、また経時変化、温度変化、姿勢差等により負荷状態が変化する。そのため、実験的に求めた進角と回転速度との関係のデータのみでは、常に最適な進角となる制御状態を得ることはできない。
特許文献2では、駆動波形に対するモータの追従遅れが90度である時に最大効率が得られることを前提としている。しかしながらモータ回転中には逆起電力が発生することによる駆動波形の位相ずれが発生するので、逆起電力の発生状態に依って最大効率が得られる追従遅れ量は変化する。つまり、制御するべき進角量は逆起電力の影響を受けるので、一律には決めることができない。
本発明の目的は、制御対象の状態の変化に対して目標進角を変更して制御を行うことで回転効率をより高めて、高速化や省電力化を実現することである。
本発明の実施形態のモータ制御装置は、ステッピングモータのロータの回転位相を検出する検出手段と、前記ステッピングモータを駆動させる駆動波形を生成する生成手段と、前記ロータの回転位相と前記駆動波形の位相との位相差を検出し、前記駆動波形の振幅または周期を制御することにより、前記位相差を制御する制御手段と、を有し、前記制御手段は、前記駆動波形の振幅の変化量に対する前記位相差の変化量から目標位相差を決定して前記駆動波形の振幅を制御する。
本発明によれば、制御対象の状態の変化に対して目標進角を変更して制御を行うことで回転効率をより高めて、高速化や省電力化を実現可能である。
実施形態に係るステッピングモータユニットの概略構成を示す図である。 モータ制御システムの構成例を示すブロック図である。 ロータマグネット、励磁コイル、回転検出部の関係を説明する図である。 追従遅れがない場合のロータ回転位相と駆動波形との関係を示す図である。 追従遅れの発生状態でのロータ回転位相と駆動波形との関係を示す図である。 進角制御によって行う補正処理の説明図である。 駆動波形の周期制御方式の動作を説明する図である。 駆動波形の振幅制御方式の動作を説明する図である。 進角と速度、振幅と進角、振幅と進角変化率の各関係を説明する図である。 第1実施形態の進角制御部が行う処理を説明するフローチャートである。 図10に続く処理を説明するフローチャートである。 第2実施形態の進角制御部が行う処理を説明するフローチャートである。 図12に続く処理を説明するフローチャートである。 第3実施形態の進角制御部が行う処理を説明するフローチャートである。 第3実施形態における目標速度と目標進角との関係式の生成処理を説明するフローチャートである。 第3実施形態における目標速度と目標進角との関係を説明する図である。 第3実施形態における振幅制御を説明するフローチャートである。 制御方式の切換における駆動波形の振幅と進角と回転速度の関係を示す図である。 制御方式の切換における駆動波形の振幅と進角と回転速度の関係について別例を示す図である。 第4実施形態の進角制御部が行う処理を説明するフローチャートである。 第4実施形態における駆動波形の周期制御の処理を説明するフローチャートである。
以下に本発明の実施形態に係るモータ制御装置について、添付図面を参照して詳細に説明する。モータ制御装置は、光学機器や撮像装置において、レンズ等の光学部材とその駆動機構を有する場合に光学部材をモータで駆動するシステムに適用可能である。本発明の各実施形態に共通する装置の構成および動作を説明した後、各実施形態を説明する。
図1は、本発明の実施形態に係るステッピングモータユニットの概略構成を示す。ステッピングモータ(以下、単にモータともいう)101は回転軸102を備える。モータの回転軸102はリードスクリューとなっており、ラック103と噛み合う。回転軸102の回転に応じて、ラック103に接続された図示しない移動部材が軸方向に移動する。2つのフォトインタラプタ104,105はスリット回転板106の回転を検出する。以下では第1のフォトインタラプタ104をch0-PIと表記し、第2のフォトインタラプタ105をch1-PIと表記する。
回転軸102とともに回転するスリット回転板106は、同じ幅を持つ複数の反射部と透過部を備える。反射部と透過部の数はモータの極数に応じて設定され、例えばモータの極数が10極であれば、遮光部と透過部の数が合計で10に設定される。本実施形態では、ch0-PIおよびch1-PI、スリット回転板106を用いて、ステッピングモータ101の回転位相が検出される。
図2は、駆動用の電気回路を含めたモータ制御システムの構成例を示すブロック図である。ch0-PI(104)およびch1-PI(105)、スリット回転板106を用いて検出される信号はコンパレータ201に入力される。コンパレータ201は、ch0-PIで検出されたアナログ入力信号と、ch1-PIで検出されたアナログ入力信号を取得し、2値化処理を行う。
回転位相検出部202は、コンパレータ201によって2値化された信号の立ち上がりエッジと立ち下りエッジを検出し、ステッピングモータ101の回転位相を出力するとともに、フォトインタラプタの出力に係るエッジ検出信号を出力する。この検出信号をPIエッジ検出信号という。PIはフォトインタラプタの略記号である。
駆動波形周期生成部203は、モータ駆動によって移動する移動部材の目標移動速度に応じて、駆動波形の周期情報を生成する。移動部材は、例えば撮像装置への適用において撮像光学系を構成する可動レンズや絞り等の光学部材またはその保持部材である。駆動波形周期生成部203は生成した駆動波形の周期情報を進角制御部204に出力する。
進角制御部204は、回転位相検出部202より出力されるPIエッジ検出信号を取得し、駆動波形周期生成部203により生成された駆動波形の周期情報に基づいてモータの進角制御を行う。進角制御部204は、回転位相検出部202より出力されるステッピングモータ101の回転位相と、駆動波形生成部205で生成される駆動波形との位相差(すなわち駆動波形の進角)を検出する。更に進角制御部204は、検出された進角および駆動波形周期生成部203からの周期情報に基づき、駆動波形生成部205で生成される駆動波形の振幅、周期および進角を制御する。進角制御部204の処理の詳細に関しては後述する。
駆動波形生成部205は、進角制御部204より出力される情報に基づく正弦波信号を生成してモータドライバ部206に出力する。モータドライバ部206は、駆動波形生成部205からの正弦波信号にしたがってモータ駆動信号を生成し、ステッピングモータ101を駆動する。
図3を参照して、ステッピングモータ101の回転位相と、フォトインタラプタ104および105と、スリット回転板106との位置関係について説明する。図3では、説明を分かり易くするために、モータ極数を2に簡略化した例を示す。
図3(A)にて、ステッピングモータ101のロータマグネット301と、A+相の励磁コイル302およびB+相の励磁コイル303を示す。励磁コイル302,303は、電気角で90度(degree)ずらした位置に配置される。尚、A-相とB-相の各励磁コイルについては図示および説明を省略する。
図3(A)のスリット回転板106には、その遮光部(暗部)と透過部(明部)を表現している。スリット回転板106に対してch0-PI(104)とch1-PI(105)をそれぞれ示す。ロータマグネット301のN極とスリット回転板106の明部との位相が一致し、ロータマグネット301のS極とスリット回転板106の暗部との位相が一致する配置である。またch0-PI(104)はA+相の励磁コイルに対して90度ずらした位相に対応する位置に配置され、ch1-PI(105)はB+相の励磁コイルに対して90度ずらした位相に対応する位置に配置されている。
図3(B)は、ロータマグネット301の回転角に対応する状態を示す模式図である。回転角として0,90,180,270度にそれぞれ対応する4状態を示す。図3(C)は、ch0-PI(104)の位置に対するロータマグネット301の回転位相をS極/N極で表し、ch0-PIの検出信号の変化を示す。図3(D)は、ch1-PI(105)の位置に対するロータマグネット301の回転位相をS極/N極で表し、ch1-PIの検出信号の変化を示す。
図4から図6を参照して、本実施形態における進角制御について説明する。図4はロータマグネット301の追従遅れがない場合のロータ回転位相と駆動波形との関係を示す図である。以下では、モータの回転方向として、各図に示すロータマグネット301が時計回りに回転する方向を正転方向とし、反時計回り方向を逆転方向と定義する。
図4(A)は、ロータマグネット301の正転時においてロータと励磁コイルとの位置関係を示し、図3(B)に対応する図である。ロータマグネット301の回転角として0,90,180,270度にそれぞれ対応する4状態を示す。図4(B)は、各回転角におけるch0-PI(104)の位置からみた場合の、ロータマグネット301のS極/N極の回転位相を示す。図4(C)はch0-PI(104)の検出信号の変化を示す。
図4(D)は、A+相励磁コイル302の位置での回転方向へのトルクの大きさを示す。A+相励磁コイル302がN極に励磁されている場合に、ロータマグネット301に対して正方向のトルクを与える場合のトルク値を正の値とする。回転角が90度の時に正方向への最大トルクが発生し、回転角が270度の時に負方向への最大トルクが発生する状態となる。尚、回転角が0度および180度の場合には、ロータマグネット301とA+相励磁コイル302とが反発し、または引き合う関係となり、回転方向へのトルクは発生しない。
図4(E)は、ロータマグネット301の回転角に対してA+相励磁コイル302の駆動波形を示しており、+側がN極の励磁状態を示す。横軸の設定は図4(D)と同じである。ロータマグネット301の回転角が90度の時に+側の最大励磁(N極)の状態であり、回転角が270度の時に-側の最大励磁(S極)の状態である。回転角が0度と180度の時に励磁なしの状態となるように、励磁波形の位相が決定される。図4(F)は、図4(E)の駆動波形での励磁によって得られる回転方向へのトルクの変化を示す。横軸の設定は図4(D)と同じである。
図4(G)は、ロータマグネット301の各回転角におけるch1-PI(105)の位置からみた場合の、ロータマグネット301のS極/N極の回転位相を示す。図4(H)はch1-PI(105)の検出信号を示す。図4(I)は、B+相励磁コイル303の位置での回転方向へのトルクの大きさを示す。横軸の設定は図4(D)と同じである。B+相励磁コイル303がN極に励磁されている場合に、ロータマグネット301に対して正方向のトルクを与える場合のトルク値を正の値とする。回転角が0度の時に正方向への最大トルクが発生し、回転角が180度の時に負方向への最大トルクが発生する状態となる。尚、回転角が90度および270度の場合にはロータマグネット301とB+相励磁コイル303とが反発し、または引き合う関係となり、回転方向へのトルクは発生しない。
図4(J)は、ロータマグネット301の回転角に対してB+相励磁コイル303の駆動波形を示しており、+側がN極の励磁状態を示す。横軸の設定は図4(D)と同じである。ロータマグネット301の回転角が0度の時に+側の最大励磁(N極)の状態となり、回転角が180度の時に-側の最大励磁(S極)の状態となる。回転角が90度と270度の時に励磁なしの状態となるように、励磁波形の位相が決定される。図4(K)は、図4(J)の駆動波形での励磁によって得られる回転方向へのトルクの変化を示す。横軸の設定は図4(D)と同じである。
図4(L)は合成トルクを示し、A相で発生するトルク(図4(F)参照)と、B相で発生するトルク(図4(K)参照)とを合成したトルクがステッピングモータ101のトルクとなる。ロータマグネット301の回転角に対して、駆動波形の位相を合わせることで、最大効率のトルクが得られる。
以上では、A+励磁コイル302およびB+相励磁コイル303の駆動波形に対してロータマグネット301の追従遅れがないか、または遅れが無視できることを前提として説明を行った。しかしながら回転状態にあるモータには逆起電力が発生するので、実際に励磁コイルに供給される駆動波形には位相遅れが発生する。位相ずれによりロータマグネット301の追従遅れが発生している状態でのロータ回転位相と駆動波形との関係を図5に示す。図5(A)から(L)はそれぞれ図4(A)から(L)に対応しているので、図4との相違点を説明し、図5(B)、(C)、(D)、(G)、(H)、(I)の説明を割愛する。
図5(E)において波形(a)はモータドライバ部206のA+相励磁コイル302に対する出力波形を示し、波形(b)は実際にA+相励磁コイルに供給される駆動波形を示している。波形(a)に対して波形(b)には位相αの遅れが発生している。図5(F)において波形(a)は図5(E)の波形(a)に対応するトルクの変化を表し、波形(b)は図5(E)の波形(b)に対応するトルクの変化を表す。
また図5(J)において波形(a)はモータドライバ部206のB+相励磁コイル303に対する出力波形を示し、波形(b)は実際にB+相励磁コイルに供給される駆動波形を示している。波形(a)に対して波形(b)には位相αの遅れが発生している。図5(K)において波形(a)は図5(J)の波形(a)に対応するトルクの変化を表し、波形(b)は図5(J)の波形(b)に対応するトルクの変化を表す。
図5(F)および(K)に示す通り、A+相励磁コイル302およびB+相励磁コイル303による回転方向のトルクは波形(b)の状態となる。A相とB相とで合成したトルクは図5(L)に示す通り、最大効率である(a)の状態ではなく、(b)の状態となる。つまり(a)の状態に対して効率が低下したトルク状態となる。
以上のように、駆動波形の位相ずれによってトルクの効率の低下が発生するが、本実施形態では、この位相ずれ分だけ駆動波形の位相を進めることでトルクの制御を行う。以下、進角制御の処理を説明する。
図6は、図5で説明した位相ずれによるトルク効率の低下に対して、進角制御によって補正を行う処理の説明図である。図4および図5との相違点のみ説明し、図6(B)から(D)、および(G)から(I)の説明を割愛する。
図6(E)において波形(a)はモータドライバ部206のA+相励磁コイル302に対する出力波形を示し、波形(b)は実際にA+相励磁コイル302に供給される駆動波形を示している。モータドライバ部206のA+相励磁コイル302に対する出力波形を位相αだけ進める制御が行われる。実際にA+相励磁コイル302に供給される駆動波形は波形(b)となり、ロータ磁力の位相を一致させることができる。つまり、図6(D)に示す波形に対して、図6(E)の波形(b)の位相が一致することになる。
また図6(J)において波形(a)はモータドライバ部206のB+相励磁コイル303に対する出力波形を示し、波形(b)は実際にB+相励磁コイル303に供給される駆動波形を示している。モータドライバ部206のB+相励磁コイル303に対する出力波形を位相αだけ進める制御が行われる。実際にB+相励磁コイル303に供給される駆動波形は波形(b)となり、ロータ磁力の位相を一致させることができる。つまり、図6(I)に示す波形に対して図6(J)の波形(b)の位相が一致することになる。
図6(F)はA+相励磁コイルによる回転方向のトルクの変化を示し、図6(K)はB+相励磁コイルによる回転方向のトルクの変化を示す。A相とB相とで合成したトルクとしては図6(L)に示す通り、最大効率でのトルクが得られる。つまりモータドライバ部206から出力する駆動波形の位相(進角)を制御することにより、トルク制御が可能となる。
次に図7および図8を参照して進角制御方法を説明する。進角制御方法には、駆動波形の周期を変更することで進角を制御する周期制御方式と、駆動波形の振幅を変更することで進角を制御する振幅制御方式がある。
図7は駆動波形の周期制御方式の動作を説明する図である。図7(A)はch0-PI(104)の位置から見た場合の、ロータマグネット301の回転位相を示す。図7(B)はこのときのch0-PIの出力波形を示し、図7(C)はA相のモータ駆動信号を示す。尚、ここではch0-PIを基準にして説明を行うが、ch1-PI(105)に対しても同様の関係である。この場合、図7(A)はch1-PI(105)の位置から見た場合の、ロータマグネット301の回転位相を示す。図7(B)はこのときのch1-PIの出力波形を示し、図7(C)はB相のモータ駆動信号を示すことになる。また、図7(C)において、破線の波形は進角の引き込みを行わない場合の波形であり、実線の波形は進角の引き込みを行っている時の波形である。
図7中に示すタイミング(a)はロータマグネット301のN極とS極との境界に対応するタイミングであり、その次のタイミングを(b)に示す。タイミング(a)で進角制御部204は進角としてα(degree)を検出したとする。現在の駆動波形の周期をTと表記する。目標進角α(degree)が設定されている場合、進角制御部204は現在の駆動波形の周期Tから、「α-α」だけ補正した周期(Tと記す)を算出する。つまり、「T=T-(α-α)」の関係である。補正前の駆動波形(破線)の周期はTであり、補正後の駆動波形(実線)の周期はTである。進角制御部204は補正した周期Tを周期情報として駆動波形生成部205に出力する。駆動波形の周期をTからTに変更することによって、駆動波形の進角はタイミング(b)で目標進角αに制御される。
図8は駆動波形の振幅制御方式の動作を説明する図である。図8(A)から(C)は図7と同様、ロータマグネット301の回転位相、ch0-PIの出力波形、モータ駆動制御信号をそれぞれ示している。図8のタイミング(a)で進角制御部204が進角としてα(degree)を検出したとする。これに対して目標進角α(degree)が設定されている場合、進角制御部204は現在の駆動波形の振幅を変更する。つまり、現在の振幅mはmに変更される。例えば、現在の進角αよりも目標進角αを大きくする場合、振幅mは振幅mよりも小さい値に変更される。変更前の駆動波形(破線)の振幅はmであり、変更後の駆動波形(実線)の振幅はmである。振幅を小さくすることによってロータの追従に遅れが生じ、回転周期がτからτに変化する(τ<τ)。この結果、進角は目標進角αに到達する。尚、目標進角αを現在の進角αよりも小さくする場合には振幅mが振幅mよりも大きい値に変更され、ロータの追従の遅れを小さくする方向に制御が行われる。
進角制御部204における進角の引き込み方法を踏まえて、以下の実施形態にて進角制御を詳説する。
[第1実施形態]
本実施形態では、目標位相差である目標進角の決定方法に関して、振幅制御方式の例を説明する。図9は進角と速度、振幅と進角、振幅と進角変化率の各関係を説明する図である。図9(A)は、ロータマグネット301の回転位相に対する駆動波形の進角(単位:degree)を横軸にとり、駆動可能な回転速度(単位:pulses per second)を縦軸にとって両者の関係を示す図である。各グラフには、モータドライバ部206より出力される駆動波形の振幅(単位:ボルト)を1.0~5.0Vの範囲で0.5V刻みで示している。
図9(A)に示す領域T1は、進角を0度から大きくしていった場合、進角と速度との関係が一定となるリニア領域である。領域T2は、領域T1から更に進角を大きくした場合に速度の上昇が飽和する領域である。領域T3は、領域T2から更に進角を大きくした場合に速度が急激に低下していく領域である。
ここで、目標回転速度を400ppsに設定し、駆動振幅をその最大値5.0Vから徐々に下げていく場合を想定する。P線は400ppsに相当し、横軸に平行な直線である。5Vから駆動振幅を下げていくと、進角と速度とが線形関係となるリニア領域T1では、振幅の変化に伴って進角が徐々に変化する。これを図9(A)のP線上の矢印(1)で示す。この状態は2.5V付近まで続く。さらに駆動振幅を下げていくと、進角と速度との関係が飽和する領域T2に達する。領域T2では図9(A)のP線上の矢印(2)に示すように、駆動振幅の変化に対する進角の変化が急激に大きくなり、やがて速度が飽和するポイント(Mと記す)に到達する。速度が飽和するポイントMでは、最大効率が得られる進角となる。
図9(B)は振幅(単位:ボルト)を横軸にとり、進角(単位:degree)を縦軸にとって両者の関係を示す図である。図9(B)は目標回転速度(400pps)を示すP線をたどって駆動波形の振幅に対する進角を示している。図9(C)は振幅(単位:ボルト)を横軸にとり、進角変化率(単位:degree/V)を縦軸にとって両者の関係を示す図である。進角変化率は、振幅の変化量に対する進角の変化量の比率を表す。
図9(B)および(C)にて振幅を5.0Vから下げていくと、2.5V程度まで(領域T1参照)は進角の変化率はわずかである。2.5Vから2.0V(領域T2参照)では、進角の変化率が急激に大きくなる。つまり領域T2では、わずかな電圧の変化で進角は大きく変化していることが分かる。図9(B)に示すポイントNは進角の変化量が急変する位置に相当する。進角の変化量を検出して変化量が急激に大きくなるポイントNに対応する進角を目標進角に設定すれば、0.5V以下の誤差の範囲内で最大効率が得られることになる。尚、説明の便宜上、駆動波形の振幅を0.5V刻みで説明するが、実際の制御では更に細かい刻みでの制御が実施される。
図10および図11を参照して進角制御部204が行う処理を説明する。図10および図11は、図9で説明した目標進角(目標位相差)の探索処理を説明するフローチャートである。進角制御部204は回転位相検出部202より出力されるPIエッジ検出信号に基づいて以下の処理を実行する。
まず図10のS1001にて進角制御部204は、前回処理で検出された進角、および前回処理で算出された駆動波形の振幅を各々、進角(n-1)、振幅(n-1)に退避する。進角(n-1)、振幅(n-1)は、n-1回目の処理で取得された進角値、振幅値をそれぞれ表す。S1002では割り込み要因の判定処理が実行される。PIエッジ検出信号のエッジ検出要因に応じてS1003~S1006に分岐する。ch0-PI(104)の立ち上がりエッジの検出でS1003へ移行し、ch1-PI(105)の立ち上がりエッジの検出でS1004へ移行する。ch0-PI(104)の立ち下がりエッジの検出でS1005へ移行し、ch1-PI(105)の立ち下がりエッジの検出でS1006へ移行する。S1003~S1006の処理で進角が検出される。進角(n)はn回目の処理で取得された進角値を表す。
ロータの追従遅れがない場合のロータ回転位相と駆動波形との関係は、以下のとおりである。
・ch0-PI(104)の立ち上がりエッジでは位相角0度
・ch1-PI(105)の立ち上がりエッジでは位相角90度
・ch0-PI(104)の立ち下がりエッジでは位相角180度
・ch1-PI(105)の立ち下がりエッジでは位相角270度。
進角はこの位相角からのずれであるので、エッジ検出要因に応じて各々S1003~S1006の処理によって現在の進角を取得できる。例えば、S1004ではA相駆動波形の位相から位相角90度を減算した値が「進角(n)」として検出される。
S1003~S1006の処理後、S1007の処理に進む。S1007にて、駆動波形周期生成部203より入力される周期情報に変更があるかどうかの判別処理が実行される。周期情報の変更により、駆動波形周期が変更される場合、S1008に進み、周期情報に変更がない場合にはS1010に進む。
S1008では、駆動波形の振幅および目標進角の初期化処理が行われる。初期化では振幅(n)が最大電圧5Vに更新されるとともに、目標進角が360度に設定される。360度は目標進角が未設定状態であることを意味する。本実施形態では最大電圧を5Vと定義しているが、この限りではなく、設定された駆動周期でモータを回転可能な電圧を設定すればよい。S1009では駆動波形の周期が設定される。そしてリターン処理へ移行する。
S1010以降の処理は本実施形態における目標進角の探索処理である。S1010で進角制御部204は、今回検出された「進角(n)」と前回検出された「進角(n-1)」との差分から、PIエッジ検出期間で発生した「進角変化量(n)」を算出する。進角制御部204は更に、今回設定された駆動波形の「振幅(n)」と前回設定された駆動波形の「振幅(n-1)」との差分から、PIエッジ検出期間で発生した「振幅変化量(n)」を算出する。次にS1011で進角制御部204は、算出された進角変化量(n)と振幅変化量(n)から、下記式(1)により、進角変化率(n)を算出する。
進角変化率(n) = 進角変化量(n)/振幅変化量(n) ・・・(式1)
S1011の次に、図11のS1012に進み、進角制御部204は目標進角が未設定(360度)であって、且つ進角変化率が閾値(Sと記す)未満であるか否かを判定する。ここで閾値Sの設定に関して図9を使って補足説明を行う。目標進角は速度が飽和する進角ポイント(M)に対応する進角値に設定することが理想的である。しかしながら進角変化率は図9(C)に示すように、ステッピングモータ101のコギングや、ステッピングモータ101に加わる負荷変動、駆動波形のノイズ等による影響を受けて変動する。この変動に基づくマージンを設ける必要がある。つまり、(式1)における進角変化量(n)として、上記要因による進角変動成分を設定した場合に算出される進角変化率(n)が、上記要因により発生する進角変化率となる。そこで領域T1における進角変化率(n)に対して上記要因により発生する進角変化率を加えた進角変化率が閾値Sとして設定される。
S1012にて目標進角が未設定であって、且つ進角変化率が閾値未満であると判定された場合、S1013の処理に進む。この判定条件を満たさない場合、つまり目標進角が設定済みであるか、または進角変化率が閾値S以上であることが判定された場合にはS1014の処理に進む。
S1013で進角制御部204は、駆動波形の「振幅(n)」を固定の振幅調整量分だけ補正する。固定の振幅調整量は、目標進角の探索に必要な測定分解能を得ることができる調整量である。進角制御部204は駆動波形周期生成部203で指定された周期情報と、今回設定された駆動波形の振幅情報を駆動波形生成部205に出力して駆動波形を制御する。S1013の処理後、リターン処理へ移行する。
S1014で進角制御部204は、目標進角が未設定状態(360度)であるかどうかを判定する。目標進角が未設定状態であった場合、S1015に進み、進角制御部204は、その時の「進角(n)」を目標進角として設定する。
S1015の次にS1016の処理に進み、または、S1014で目標進角が設定済みの状態であった場合にS1016の処理に進む。S1016からS1022の処理は本実施形態における振幅制御方式による進角制御の処理である。
S1016にて進角制御部204は誤差量として、目標進角に対する、検出された進角(n)のずれ量を算出する。つまり「誤差量=進角(n)-目標進角」である。次いでS1017にて進角制御部204は、算出された誤差量が閾値を超えているか否かを判定する。図9(B)のΔPは閾値を表し、P3はポイントNを基準として誤差量が-ΔPから+ΔP以内の領域である。またP1はポイントNを基準として誤差量が+ΔPより大きい領域であり、P2はポイントNを基準として誤差量が-ΔP未満(負方向に大きい)の領域である。誤差量が+ΔPを超えていると判定された場合(図9(B)の領域P1)、素早く振幅を上げて、飽和点(M)を超えないように制御しなければならない。そこでS1018に進み、進角制御部204は振幅調整量のゲインとして、大きなゲイン(K1と記す)を選択し、誤差量にゲインK1を乗算して大きな振幅調整量を算出する。
一方、S1017にて、算出された誤差量が+ΔP以下であることが判定された場合、S1019の処理に進む。S1019で進角制御部204は、算出された誤差量が-ΔP未満であるか否かを判定する。誤差量が-ΔP未満であると判定された場合(図9(B)の領域P2)、目標進角への引き込み中となるので、進角制御部204は引き込みを速くするために素早く振幅を下げる制御を行う。つまりS1020で進角制御部204は振幅調整量のゲインとして、大きなゲイン(K2と記す)を選択し、誤差量にゲインK2を乗算して大きな振幅調整量を算出する。誤差量が-ΔP未満となる図9(B)の領域P2は、誤差量が+ΔPを超える領域P1に対して、振幅変化量に対する進角変化量が小さくなる領域である。そのため、ゲインK2はゲインK1よりも大きな値が設定される。
S1019にて誤差量が-ΔP以上であると判定された場合(図9(B)の領域P3)、目標進角への引き込みが完了しているので、進角制御部204は目標進角付近で進角が安定状態となるように制御を行う。S1021で進角制御部204は振幅調整量のゲインとして、小さなゲイン(K3と記す)を選択し、誤差量にゲインK3を乗算して小さな振幅調整量を算出する。
S1018、S1020、S1021で振幅調整量が設定された後、S1022の処理に進む。S1022で進角制御部204は、駆動波形の「振幅(n-1)」を、設定された振幅調整量分だけ補正して「振幅(n)」を算出する。進角制御部204は駆動波形周期生成部203で指定された周期情報と、今回設定された駆動波形の振幅情報を駆動波形生成部205に出力して駆動波形を制御する。S1022の処理後、リターン処理へ移行する。
ここで、±ΔPの範囲およびゲインの設定に関して図9を使って補足説明を行う。進角は図9(B)に示すように、モータのコギング等による負荷変動の影響を受けて変動する。この負荷変動に対する応答性を高くしすぎると制御が不安定化することが懸念される。そこで、モータのコギング等による負荷変動に起因した進角の変動には追従しないように、±ΔPの範囲およびゲインが設定される。
本実施形態では、進角制御時の目標進角(目標位相差)の決定方法として、進角変化率(n)が閾値以上(S以上)となる進角が目標進角として設定される。この目標進角の設定方法および振幅制御方式による進角制御によれば、モータ、移動部材の個体差(ばらつき)や、経時変化、温度変化、姿勢差等による負荷のばらつきがあっても、最適な進角を探索して制御が行われる。よって、常に効率的な駆動トルクを得ることができる。
本実施形態では、ロータマグネット301の回転位相検出にフォトインタラプタおよびスリット回転板を使った構成を説明した。これに限らず、回転検出用にホールセンサやMRセンサを用いてもよい。また位置検出用信号として2値信号の例を示したが、正弦波状信号でも構わない。この場合、位置検出信号の正弦波の位相と、駆動信号の正弦波の位相との比較によって進角が検出されることになる。これらの事項については後述の実施形態でも同じである。
[第2実施形態]
次に本発明の第2実施形態を説明する。本実施形態では、進角制御部204による目標進角の決定方法として、進角変化率が連続して増加方向に変化することが判定された進角を目標進角として設定する例を示す。本実施形態にて第1実施形態と同様の事項については既に使用した符号や記号を用いることにより説明を省略する。このような説明の省略方法は後述の実施形態でも同じである。
図12および図13を参照して、本実施形態の進角制御部204が行う処理を説明する。図12および図13のフローチャートでは、図10のS1001と図11のS1012の処理が、S1101とS1112の処理に変更されている。以下、差異部分であるS1101およびS1112のみ説明する。
図12のS1101では、S1001の処理に対し、「前回/前々回の処理で算出された進角変化率を各々進角変化率(n-1)、進角変化率(n-2)に退避する処理」が追加される。また図12のS1011の次に、図13のS1112の処理では目標進角が設定済みであるか、または「進角変化率(n)>進角変化率(n-1)>進角変化率(n-2)」となることを判定する処理に変更される。S1112において、目標進角が設定済みであるか、または進角変化率が2回連続して増加方向に変化したことが判定された場合、S1014の処理に進む。またS1112の判定条件を満たさない場合にはS1013の処理に進む。
本実施形態では、進角変化率が2回連続して増加方向に変化することを判定する処理を説明したが、連続の回数は判定の信頼性の高さに応じて適宜に変更可能である。判定の信頼性が高い場合には、1回の増加方向の変化(進角変化率(n)>進角変化率(n-1))に設定してもよいし、判定の信頼性が低い場合にはさらに判定の回数を増やしてもよい。
本実施形態によれば、進角変化率を連続して判定して最適な進角を探索して進角制御を行うので、より効率的な駆動トルクを得ることができる。
[第3実施形態]
本実施形態では、移動部材の基準位置を設定するキャリブレーション動作時にて、目標速度に対する目標進角の設定を行う方法に関して説明する。図14、図15、図17は本実施形態の進角制御部204が行う処理を示すフローチャートである。図16は目標速度と目標進角との関係式を説明する図である。
図14のS1201にて、進角制御部204はキャリブレーションフラグがクリアされているかどうかを判定する。キャリブレーション処理とは、ラック103を介してステッピングモータの回転軸102に接続された移動部材の絶対位置を検出するために移動座標の基準位置を探索する処理である。キャリブレーションの動作については公知であるので説明を割愛する。キャリブレーションフラグはキャリブレーションの完了状態を示すフラグである。キャリブレーションフラグがクリアされていると判定された場合、S1202のキャリブレーション処理に進む。キャリブレーションフラグがセットされていると判定された場合にはS1210の処理に進む。電源投入時にはキャリブレーションフラグはクリアされており、必ずS1201からS1202に進んでキャリブレーション処理が実行される。
S1203で進角制御部204は、目標進角(MAX速)、目標進角(MIN速)にそれぞれ360度を設定する。目標進角(MAX速)は最高速度での目標進角を表し、目標進角(MIN速)は最低速度での目標進角を表す。360度は目標進角が未設定状態であることを意味する。S1204で進角制御部204は目標進角(MAX速)、目標進角(MIN速)の探索処理を行う。探索結果に基づき目標速度と目標進角との関係式を生成する処理が実行される。その詳細については後述する。
次いでS1205で進角制御部204は、キャリブレーション時の温度(Cal)、およびキャリブレーション時の姿勢(Cal)を設定する。温度(Cal)は、現時点でサーミスタ等によって検出された温度(現在)により設定され、姿勢(Cal)は、現時点で姿勢検出センサ等によって検出された装置の姿勢(現在)により設定される。
以上のように、S1204における目標速度と目標進角との関係式を生成するための処理は、キャリブレーション時の探索動作中に実施される。S1206では目標進角(MAX速)が設定されたか否かが判定される。目標進角(MAX速)が設定されたと判定された場合、S1207に進み、設定されていない場合にはリターン処理へ移行する。S1207では目標進角(MIN速)が設定されたか否かが判定される。目標進角(MIN速)が設定されたと判定された場合、S1208に進み、設定されていない場合にはリターン処理へ移行する。
S1208ではキャリブレーションが完了したか否かが判定される。キャリブレーションが完了したと判定された場合、S1209に進み、完了していないと判定された場合にはリターン処理へ移行し、キャリブレーションを続行する。
S1209で進角制御部204はキャリブレーションフラグをセットし、一連のキャリブレーション動作を完了してリターン処理へ移行する。キャリブレーションフラグがセットされた後には、S1201からS1210へ処理を進める。
ここで進角と速度との関係について説明する。ステッピングモータの特性は温度により変化するので、進角と速度との関係には変化が発生する。また、回転軸102とラック103との接触部にはグリスが塗布されているが、このグリスにも温度による特性変化が発生するため、更に進角と速度との関係に変化が加わる。それ以外にも回転軸102やラック103、移動部材自体にも熱膨張等による移動時の負荷変動が発生するので、更に進角と速度との関係に変化が加わることになる。また、装置の姿勢変化が発生した場合、回転軸102とラック103との接触部における、移動部材の自重のかかり方が変化することで接続部の摺動の負荷が変化するので、やはり進角と速度との関係に変化が発生する。
進角と速度との関係において、モータと、モータに接続される移動部材には個体差があり、また経時変化、温度変化、姿勢差により負荷状態が変化する。そのため、実験的に求めた進角と回転速度との関係だけでは、常に最適な目標進角での制御状態を得ることはできない。そこで本実施形態では、電源投入時のキャリブレーション動作時に目標進角の更新を行うことで、経時変化に対して常に最適な目標進角での制御状態を実現可能である。また温度変化、姿勢差により負荷変動がある場合でも、目標進角の更新を行うことによって最適な目標進角での制御状態を実現可能である。
図14のS1210で進角制御部204は、前回のキャリブレーション時の装置の温度(Cal)から、サーミスタ等によって検出された温度(現在)を減算した温度差を、温度変化の閾値(Toと記す)と比較する。装置の温度(Cal)は周囲環境の熱源や気温等によって変化する。閾値Toについては、進角と速度との関係が変化することにより最適な進角制御ができなくなる温度として設定される。温度差が閾値Toより大きい場合、S1212の処理に進み、温度差が閾値以下である場合、S1211の処理に進む。
S1211で進角制御部204は、前回のキャリブレーション時の装置の姿勢(Cal)に対して、姿勢検出センサ等によって検出された姿勢(現在)が変化したかどうかを判定する。例えば撮像装置への適用例では、姿勢検出センサ(ジャイロセンサ、加速度センサ等)によって、ユーザが装置を把持する状態の変化や身体の揺れ等を検出することができる。装置の姿勢(現在)の変化が検出された場合、S1212の処理に進み、姿勢(現在)の変化が所定の許容範囲内である場合にはS1213の処理に進む。
S1212ではキャリブレーションフラグがクリアされる。この場合、S1202からS1205の処理が再実施され、目標進角が更新されることになる。また、キャリブレーションが完了した場合には、S1213にて駆動波形の振幅制御が行われる。S1212、S1213の処理後、リターン処理へ移行する。
次に図15を参照し、目標進角を更新して目標速度と目標進角との関係式を生成する処理(図14:S1204)について説明する。先ずS1301で進角制御部204は、移動部材の目標速度に応じて設定可能な最大速度で探索した目標進角が設定されているか否かを判定する。この目標進角を目標進角(MAX速)とする。目標進角(MAX速)が未設定である場合、S1302の処理に進み、目標進角(MAX速)が設定済である場合にはS1306の処理に進む。
S1302で進角制御部204は目標回転速度を最大速度に設定し、S1303で目標進角の探索処理を実行する。目標進角の探索処理は、第1実施形態にて図10および図11で説明したS1001からS1022の処理である。あるいは目標進角の探索処理は、第2実施形態にて図12および図13で説明したS1101、S1002からS1011、S1112、S1013からS1022の処理である。処理の説明はすでに行っているので、探索処理の説明を割愛する。
図15のS1304で進角制御部204は、目標進角の探索が完了して目標進角が設定されたか否かを判定する。目標進角が未設定である場合、S1305の処理に進み、目標進角が設定済みである場合にはリターン処理へ移行する。S1305にて進角制御部204は、探索された目標進角を目標進角(MAX速)として設定した後、リターン処理へ移行する。
目標進角(MAX速)が設定された後の次の処理では、S1301からS1306の処理に進む。S1306では進角制御部204は、移動部材の目標速度に応じて設定可能な最小速度で探索した目標進角が設定されているか否かを判定する。この目標進角を目標進角(MIN速)とする。目標進角(MIN速)が設定されていない場合、S1307の処理に進み、目標進角(MIN速)が設定されている場合にはリターン処理へ移行する。
S1307で進角制御部204は、目標回転速度を最小速度に設定し、S1308で目標進角の探索処理を実行する。この探索処理はS1303の処理と同様である。S1309で進角制御部204は目標進角の探索が完了して目標進角が設定されたか否かを判定する。目標進角が未設定である場合、S1310の処理に進み、目標進角が設定済みである場合にはS1311の処理に進む。
S1310で進角制御部204は、探索された目標進角を、目標進角(MIN速)として設定する。S1311で進角制御部204は、探索された目標速度(MAX速)、目標速度(MIN速)から目標速度と目標進角との関係式を生成する。図16を参照して、目標速度と目標進角との関係を具体的に説明する。
図16は、横軸にロータの回転位相に対する駆動波形の進角(単位:degree)をとり、縦軸に駆動可能な回転速度(単位:pulses per second)をとって両者の関係を示す図である。モータドライバ部206より出力される駆動波形の振幅を1.0から5.0Vの範囲にて0.5V刻みで示している。「測定ポイントMAX」は、目標回転速度の最大値であるMAX速に対応する測定ポイントを表し、最大振幅5.0Vのグラフ曲線上の飽和点に位置している。また「測定ポイントMIN」は、目標回転速度の最小値であるMIN速に対応する測定ポイントを表し、最小振幅1.0Vのグラフ曲線上で飽和点に位置している。
図15に示すS1303の処理では、図16における進角-速度特性の飽和点である「測定ポイントMAX」にむかって探索が実施される。また図15に示すS1308の処理では、図16における進角-速度特性の飽和点である「測定ポイントMIN」にむかって探索が実施される。直線Qは、S1303で探索された「測定ポイントMAX」とS1308で探索された「測定ポイントMIN」とを結ぶ直線である。つまり、これらの測定ポイントの間に存在する、駆動波形の振幅での進角-速度特性の飽和点とほぼ一致するポイントをたどって直線Qが引かれている。この関係から目標回転速度に対して、最大効率が得られる目標進角は直線Qの関係式により得られることが分かる。
直線Qの関係式は下記(式2)の一次式で表される。aは直線Qの傾きを表す定数であり、bは直線Qの切片を表す定数である。
目標速度=a×目標進角+b
a=(目標速度(MAX速)-目標速度(MIN速))/(目標進角(MAX速)-目標進角(MIN速))
b= 目標速度(MAX速)-a×目標進角(MAX速)
・・・・(式2)
図15のS1311では、(式2)を使って目標速度と目標進角との関係式が生成される。
次に図17のフローチャートを参照して、図14に示すS1213の駆動波形振幅制御の処理について説明する。まずS1501で進角制御部204は、駆動波形周期生成部203が生成した周期情報から目標速度を取得する。進角制御部204は図15のS1311で(式2)に基づき生成された目標速度と目標進角との関係式から、目標速度に対する目標進角を算出する。
S1502で進角制御部204は誤差量を算出する。目標進角に対する検出された進角(n)のずれ量、つまり、進角(n)から目標進角を減算した量が誤差量である。次にS1503で進角制御部204は、算出された誤差量が+ΔP(図9(B)参照)を超えているか否かを判定する。誤差量が+ΔPを超えていると判定された場合(図9(B)の領域P1参照)、S1504に処理に進み、誤差量が+ΔP以下であると判定された場合、S1505に処理に進む。
S1504で進角制御部204は、誤差量に対するゲイン乗算を行い、振幅調整量を算出する。この場合、素早く振幅を上げて、回転速度が飽和点(M)を超えないように制御しなければならない。そこで、大きなゲインK1が選択され、誤差量にゲインK1を乗算した大きな振幅調整量が算出される。
S1505で進角制御部204は、算出された誤差量が-ΔP(図9(B)参照)未満であるか否かを判定する。誤差量が-ΔP未満であると判定された場合(図9(B)の領域P2参照)、S1506の処理に進み、誤差量が-ΔP以上であると判定された場合にはS1507の処理に進む。
S1506で進角制御部204は、誤差量に対するゲイン乗算を行い、振幅調整量を算出する。この場合、目標進角への引き込み中となるので、引き込みを速くする目的で素早く振幅を下げるために、ゲインK1よりも大きなゲインK2が選択され、誤差量にゲインK2を乗算した大きな振幅調整量が算出される。つまり図9(B)にて、誤差量が-ΔP未満となる領域P2では、誤差量が+ΔPを超える領域P1に対して、振幅変化量に対する進角変化量が小さくなるので、K2>K1を満たす、更に大きなゲインが設定される。
S1507で進角制御部204は、誤差量に対するゲイン乗算を行い、振幅調整量を算出する。この場合、誤差量が-ΔP以上であり(図9(B)の領域P3参照)、目標進角への引き込みが完了している。よって、目標進角付近で進角が安定状態となるように制御するために、振幅調整用のゲインとしては、ゲインK1に比べて小さなゲインK3が選択され、誤差量にゲインK3を乗算した小さな振幅調整量が算出される。
S1504、S1506、S1507の処理後、S1508にて進角制御部204は、設定された振幅調整量分の補正を行い、駆動波形の「振幅(n)」を算出する。つまり、前回の「振幅(n-1)」に振幅調整量を加算して今回の「振幅(n)」が算出される。進角制御部204は、駆動波形周期生成部203で指定された周期情報と、今回設定された駆動波形の振幅情報を駆動波形生成部205に出力し、駆動波形を制御する。
本実施形態では、モータ、移動部材の個体差(ばらつき)や、経時変化、温度変化、姿勢差等による負荷のばらつきがあっても、最適な進角を探索して制御を行うので、常に効率的な駆動トルクを得ることができる。更に本実施形態では、目標進角の探索および速度-進角関係式の設定をキャリブレーション時に実施する。よって、目標速度が変更されたときに実施される目標進角の探索動作は不要となり、より早く最適な進角で制御を行うことができる。
[第4実施形態]
本実施形態では、周期制御方式と振幅制御方式とを選択する方法に関して説明を行う。図18は、モータの目標回転速度に応じて周期制御方式と振幅制御方式とを切り換える処理を説明する図である。図18の横軸および縦軸の設定については図9と同じであり、各グラフにはモータドライバ部206より出力される駆動波形の振幅を1.0Vから5.0Vの範囲で0.5V刻みで示す。本実施形態では、制御方式切換の閾値となる回転速度を400ppsと定義し、回転速度が400ppsより大きいときに周期制御方式を用い、回転速度が400pps以下のときに振幅制御方式を用いる。
図18(A)は目標回転速度を200ppsから500ppsまで上げるときの駆動振幅、速度、進角の関係を示している。進角制御部204は目標回転速度を徐々に上げていく際に、400pps以下の場合に振幅制御を行い、最大効率が得られる目標進角に従って電圧を変更する。進角制御部204は、1.5Vのグラフ線上で200ppsに対応する現在のポイントから、矢印(1)で示すように振幅制御を行いながら回転速度を上昇させる。
400ppsより大きい値を目標回転速度に設定する場合、進角制御部204はP線上の矢印(2)で示すように、まず回転速度400ppsで駆動振幅を3.0Vまで上げる。この処理を行わずに矢印(1)で示す制御後、すぐに周期制御方式に切り替えた場合には、矢印(1)の終端位置に対応する2.5V程度で振幅が固定されてしまい、必要トルクが得られない。
その後、進角制御部204は矢印(3)で示すように振幅を3.0Vに固定したままで進角量を制御し、目標回転速度である500ppsに到達させる。ここで、周期制御に関して説明を補足する。先に説明した通り、領域T1は進角と回転速度とが線形関係となるリニア領域である。したがって、あらかじめ進角と回転速度との関係式を設定することによって、進角を調整することで回転速度が制御可能となる。矢印(3)に示す領域、つまり周期制御方式の制御が行われる領域では進角量を変更して加速させる制御が行われる。
一方、図18(B)を参照して、減速制御を説明する。現在の回転速度を500ppsとし、切換回転速度を400ppsとし、目標回転速度を200ppsとする。矢印(1)で示すように、回転速度を500ppsから400ppsまでの間は、図18(A)の矢印(3)の場合と同様に、周期制御方式の領域である。つまり、進角制御部204は進角量を変更して減速させる制御を行う。
回転速度が400ppsに到達すると、P線上の矢印(2)で示す領域で進角制御部204は振幅制御方式に切り替え、最大効率が得られる振幅まで電圧を下げる制御を行う。最大効率となる振幅まで下がった後、進角制御部204は矢印(3)で示すように、最大効率を維持するように200ppsまで速度を下げていく。
以上のように高速域では応答性を優先させるために高トルクが得られる周期制御方式が用いられ、低速域では静音性を維持しつつ効率的な電圧で制御できる振幅制御方式が用いられる。ただし、低速域においても応答性が求められる駆動モードにおいては、400pps以下であっても周期制御を用いるものとする。この場合の制御について図19を用いて説明する。図19の横軸および縦軸等の設定については図18と同じである。
図19(A)は、現在の回転速度200ppsから周期制御方式によって目標回転速度500ppsまで回転速度を上げる処理の説明図である。進角制御部204は、矢印(1)で示すように、回転速度が200ppsである時点で、周期制御に必要な3.0Vまで振幅を上げる。その後、進角制御部204は図18(A)の矢印(3)の場合と同様に、進角量を変更して図19(A)にて矢印(2)で示すように目標回転速度500ppsに到達させる。
一方、減速の処理で速度を下げる場合を、図19(B)で説明する。まず進角制御部204は周期制御方式を用いて駆動振幅を3.0Vとしたまま、矢印(1)で示すように進角量を変化させることで回転速度を200ppsまで到達させる。回転速度を下げたあとで進角制御部204は、矢印(2)で示すように振幅制御方式によって駆動振幅を、最大効率となる値まで下げていく。
本実施形態では切換回転速度を400ppsとする例を説明したが、切換回転速度に設定する数値はこれに限られるものではない。切換回転速度の数値を決定する方法の一例として、モータの静音性が維持される回転速度を予め測定しておき、この回転速度に対応するポイントを制御方式の切換ポイントに設定する方法がある。だだし、切換回転速度については静音性以外の要因(例えば、消費電力)に基づいて決定してもよく、その方法は限定されない。
図14および図20のフローチャートを参照して、制御方式の切換処理について説明する。ここでは図14の処理(ステップ番号1201から1213)は説明済みであるため、本実施形態で追加された処理(1600より大きいステップ番号を付与した処理)を説明する。
S1211からS1601に進む場合(姿勢変化が許容範囲内である場合)、S1601で進角制御部204は、目標回転速度が切換回転速度400ppsより大きいか否かを判定する。目標回転速度が切換回転速度400ppsより大きいことが判定された場合、S1602に進み、400pps以下であることが判定された場合、S1606に進む。
S1602で進角制御部204は、前回の目標回転速度が切換回転速度400ppsより大きいか否かを判定する。前回の目標回転速度が400ppsより大きいと判定された場合、S1604に進み、400pps以下であることが判定された場合、S1603に進む。
S1604で進角制御部204は、前回の目標回転速度として保持する値を今回の目標回転速度で更新し、S1605にて駆動波形の周期制御に移行させる。S1605の周期制御に関しては、図21を用いて後述する。またS1603で進角制御部204は、前回の目標回転速度として保持する値を今回の目標回転速度で更新する。そのあとで進角制御部204は、一旦目標回転速度を400ppsに設定してから、S1605の周期制御の処理へ移行させる。これは、図18(A)の矢印(2)で示した処理内容に対応する。S1605に示す駆動波形の周期制御が行われたあとで、リターン処理へ移行する。
S1606では進角制御部204は、急加速モードまたは急減速モードであるかどうかを判定する。急加速モードまたは急減速モードは、静音性等よりも急峻に目標速度へ到達させることを目的とした制御モードであり、閾値より大きい加速または減速の制御が行われる。急加速モードまたは急減速モードである場合、S1604の処理に移行し、S1605の周期制御方式が選択される。これは、図19で示した処理内容に対応する。
S1606で急加速モード、急減速モードのいずれにも該当しない場合、S1607の処理に進む。S1607で進角制御部204は、前回の目標回転速度が400ppsより大きいか否かを判定する。前回の目標回転速度が400pps以下であると判定された場合には、前回からの振幅制御が継続され、S1608で進角制御部204は前回の目標回転速度として保持する値を今回の目標回転速度で更新する。そのあとで進角制御部204は、一旦目標回転速度を400ppsに設定してから、S1213に示す振幅制御の処理に移行させる。これは、図18(B)の矢印(2)で示した処理内容に対応する。
一方、S1607の判定処理にて、前回の目標回転速度が400ppsより大きいと判定された場合にはS1609の処理に進む。S1609で進角制御部204は、前回の目標回転速度として保持する値を今回の目標回転速度で更新した後、S1213の振幅制御の処理へ移行する。尚、S1607の判定処理はS1602と同じ処理であるため、S1602での判定結果を保持しておき、S1607ではその保持した結果を使って処理を行ってもよい。
図21を参照して、図20のS1605に示す駆動波形の周期制御の処理を説明する。周期制御において進角制御部204はS1701で振幅(n)を3.0Vに固定する。S1702で進角制御部204は現在の目標回転速度に応じた進角を目標進角として算出する。先述の通り、図19の領域T1は進角と速度との関係が線形関係となるリニア領域であり、あらかじめ進角と回転速度との関係式を設定することで、S1702において目標進角を設定することが可能である。
S1703で進角制御部204は誤差量として、目標進角に対する検出された進角(n)のずれ量を算出する。次いでS1704で進角制御部204は、算出された誤差量の大きさ(絶対値)がΔPを超えているかどうかを判定する。誤差量に対する制御量の算出については振幅制御方式の場合と同様である。ΔPについては、第1実施形態にて図9にて説明済みである。誤差量の絶対値がΔPより大きいと判定された場合、S1705へ進み、誤差量の絶対値がΔP以下であると判定された場合、S1706へ進む。
S1705にて進角制御部204は周期調整量のゲインとして、大きなゲインG1を選択し、誤差量にゲインG1を乗算した大きな周期調整量を算出する。これにより、目標進角への引き込みを速くする周期調整量が算出される。
S1704からS1706へ進む場合には、目標進角への引き込みが完了しているので、進角制御部204は目標進角付近で進角が安定状態となる制御を行う。S1706で進角制御部204は周期調整量のゲインとして、G1に比べて小さなゲインG2を選択し、誤差量にゲインG2を乗算した小さな周期調整量を算出する。
S1705、S1706の処理後、S1707にて進角制御部204は、駆動波形の「周期(n-1)」に対し、設定された周期調整量分だけ加算することで補正して、「周期(n)」を算出する。進角制御部204は、「周期(n)」の情報と、先に設定した駆動波形の振幅3.0Vとを駆動波形生成部205に出力して駆動波形の制御を行う。S1707の処理後、リターン処理へ移行する。
本実施形態によれば、モータ回転速度として高速域での速度、あるいは閾値を超える加速度、減速度が求められる場合に、目標速度まで高トルクでロータを回転させ、応答性を向上させることができる。また、モータ回転速度として低速域での速度、あるいはゆるやかな加速、減速が求められる場合に、静音性を維持しつつ、より効率的な駆動電圧でモータを駆動させることが可能となる。
前記実施形態によれば、制御対象の状態が変化した場合でも常に最適な進角量を目標進角として設定することによって、モータの回転効率を最大限に引き出し、高速化や省電力化を実現可能である。
101‥‥ステッピングモータ
104,105‥‥フォトインタラプタ
106‥‥スリット回転板
201‥‥コンパレータ
202‥‥回転位相検出部
203‥‥駆動波形周期生成部
204‥‥進角制御部
205‥‥駆動波形生成部
206‥‥モータドライバ部

Claims (22)

  1. ステッピングモータのロータの回転位相を検出する検出手段と、
    前記ステッピングモータを駆動させる駆動波形を生成する生成手段と、
    前記ロータの回転位相と前記駆動波形の位相との位相差を検出し、前記駆動波形の振幅または周期を制御することにより、前記位相差を制御する制御手段と、を有し、
    前記制御手段は、前記駆動波形の振幅の変化量に対する前記位相差の変化量から目標位相差を決定して前記駆動波形の振幅を制御する
    ことを特徴とするモータ制御装置。
  2. 前記制御手段は、前記駆動波形の振幅を変化させたときの前記位相差の変化量を検出し、前記振幅の変化量と位相差の変化量との関係が予め定められた条件を満たすときの前記位相差を前記目標位相差に決定する
    ことを特徴とする請求項1に記載のモータ制御装置。
  3. 前記制御手段は、前記駆動波形の振幅を変化させたときの前記位相差の変化に対応する前記目標位相差を設定し、前記目標位相差が設定された後に前記駆動波形の振幅制御により前記位相差を前記目標位相差に近づける制御を行う
    ことを特徴とする請求項1に記載のモータ制御装置。
  4. 前記制御手段は、前記駆動波形の振幅を下げつつ前記位相差の変化量を検出し、前記駆動波形の振幅の変化量に対する前記位相差の変化量の比率が予め定められた条件を満たすときの前記位相差を前記目標位相差として設定する
    ことを特徴とする請求項3に記載のモータ制御装置。
  5. 前記制御手段は、前記比率が閾値以上であるときの前記位相差から前記目標位相差を設定する
    ことを特徴とする請求項4に記載のモータ制御装置。
  6. 前記制御手段は、前記ステッピングモータのコギングによる回転の変動、または前記ステッピングモータに加わる負荷の変動もしくは前記駆動波形のノイズによる回転の変動によって発生する前記位相差の変化量に基づく前記閾値を設定する
    ことを特徴とする請求項5に記載のモータ制御装置。
  7. 前記制御手段が処理を行う周期における前記位相差の変化量は、前記周期で制御される前記駆動波形の振幅の変化量により変化する
    ことを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載のモータ制御装置。
  8. 前記制御手段は、前記駆動波形の振幅の変化量に対する前記位相差の変化量の比率が連続して増加する方向に変化したときの前記位相差を前記目標位相差として設定する
    ことを特徴とする請求項3に記載のモータ制御装置。
  9. 前記制御手段は、検出された前記位相差と設定された前記目標位相差との差分の大きさが閾値より大きい場合、前記駆動波形の振幅調整量を第1の調整量に設定し、前記差分の大きさが前記閾値より小さい場合、前記駆動波形の振幅調整量を前記第1の調整量より小さい第2の調整量に設定する
    ことを特徴とする請求項7に記載のモータ制御装置。
  10. 前記制御手段は、
    前記ステッピングモータの回転速度を第1の回転速度とする第1の条件、および前記回転速度を第2の回転速度とする第2の条件を設定し、
    前記第1および第2の条件にてそれぞれ、前記駆動波形の振幅を変化させたときの前記位相差の変化量が、設定された条件を満たす前記位相差を前記目標位相差に設定し、
    前記第1および第2の回転速度と、前記第1および第2の回転速度にそれぞれ対応する前記目標位相差との関係から、前記回転速度と前記位相差との関係式を生成し、前記関係式を用いて前記ステッピングモータの目標回転速度に対応する前記目標位相差を算出する
    ことを特徴とする請求項1から9のいずれか1項に記載のモータ制御装置。
  11. 前記制御手段は、前記関係式として、前記回転速度と前記位相差との関係を表す一次式を生成する
    ことを特徴とする請求項10に記載のモータ制御装置。
  12. 前記制御手段は、前記駆動波形の振幅を制御する第1の制御、または前記駆動波形の周期を制御する第2の制御を選択する
    ことを特徴とする請求項1から11のいずれか1項に記載のモータ制御装置。
  13. 前記制御手段は、前記ステッピングモータの目標回転速度が閾値より大きい場合、または閾値を越える加速もしくは減速を行う駆動モードが設定された場合、前記第2の制御を選択する
    ことを特徴とする請求項12に記載のモータ制御装置。
  14. 前記制御手段は、前記第1の制御から前記第2の制御に変更する場合、前記第2の制御にて予め定められた前記駆動波形の振幅に変更し、前記目標位相差を算出して前記駆動波形の周期を制御する
    ことを特徴とする請求項12または請求項13に記載のモータ制御装置。
  15. 前記制御手段は、前記第2の制御から前記第1の制御に変更した場合、前記駆動波形の振幅の変化量に対する前記位相差の変化量から決定した前記目標位相差にしたがって前記駆動波形の振幅を制御する
    ことを特徴とする請求項12または請求項13に記載のモータ制御装置。
  16. 前記制御手段は、前記位相差と前記ステッピングモータの回転速度との関係が線形関係である領域で前記駆動波形の振幅を選択し、前記駆動波形の周期を変更して前記回転速度の制御を行う
    ことを特徴とする請求項12または請求項13に記載のモータ制御装置。
  17. 前記第2の制御にて前記制御手段は、検出された前記位相差と設定された目標位相差との差分の大きさが閾値より大きい場合、前記駆動波形の周期調整量を第1の調整量に設定し、前記差分の大きさが前記閾値より小さい場合、前記駆動波形の周期調整量を前記第1の調整量より小さい第2の調整量に設定する
    ことを特徴とする請求項12または請求項13に記載のモータ制御装置。
  18. 前記制御手段は、前記ステッピングモータにより移動される移動部材の基準位置を設定するキャリブレーション時に前記ステッピングモータの目標回転速度に対する前記目標位相差の設定を行う
    ことを特徴とする請求項1から17のいずれか1項に記載のモータ制御装置。
  19. 前記制御手段は、前回のキャリブレーション時の装置の温度と現在の温度との差が閾値より大きい場合、次のキャリブレーション時に前記ステッピングモータの目標回転速度に対する前記目標位相差の設定を行う
    ことを特徴とする請求項18に記載のモータ制御装置。
  20. 前記制御手段は、前回のキャリブレーション時の装置の姿勢に対して現在の姿勢が変化した場合、次のキャリブレーション時に前記ステッピングモータの目標回転速度に対する前記目標位相差の設定を行う
    ことを特徴とする請求項18に記載のモータ制御装置。
  21. 請求項1から20のいずれか1項に記載のモータ制御装置と、
    光学部材と、
    前記ステッピングモータと、を備え、
    前記モータ制御装置により制御される前記ステッピングモータが前記光学部材を移動させる
    ことを特徴とする光学機器。
  22. ステッピングモータを制御するモータ制御装置にて実行されるモータ制御方法であって、
    前記ステッピングモータのロータの回転位相を検出する検出工程と、
    前記ステッピングモータを駆動させる駆動波形を生成する生成工程と、
    前記ロータの回転位相と前記駆動波形の位相との位相差を検出し、前記駆動波形の振幅または周期を制御することにより、前記位相差を制御する制御工程と、を有し、
    前記制御工程は、前記駆動波形の振幅の変化量に対する前記位相差の変化量から目標位相差を決定する工程と、決定された前記目標位相差にしたがって前記駆動波形の振幅を制御する工程を有する
    ことを特徴とするモータ制御方法。
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